JP2020050187A - 車体前部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フロントサブフレームを備えた車体前部構造において、ロアアームから入力される横力に対する剛性を向上させる。【解決手段】 車体前部構造1は、車両2の前部に取り付けられたフロントサブフレーム6と、フロントサブフレームに揺動可能に支持された左右のロアアーム31とを有し、フロントサブフレームは、左右の縦メンバ23と、クロスメンバ24と、縦メンバ及びクロスメンバの少なく一方に設けられ、ロアアームを揺動可能に支持するための少なくとも1つのロアアーム支持部36とを有し、平面視において縦メンバの左右外縁は前後方向における中央部が左右内方に凹むように湾曲し、ロアアーム支持部のうちで最も前側に配置された前ロアアーム支持部の前端はクロスメンバの後端よりも前方に配置され、かつ前ロアアーム支持部の後端はクロスメンバの前端よりも後方に配置されている。【選択図】 図5

Description

本発明は、フロントサブフレームを備えた車体前部構造に関する。
四輪車両の車体前部構造として、前後に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、フロントサイドフレームの下側に取り付けられたフロントサブフレームとを有する構造が公知である(例えば、特許文献1)。フロントサブフレームは、前後に延びた左右一対の縦メンバと、左右に延びて左右の縦メンバに結合したクロスメンバとを有する。左右の縦メンバは、それぞれ前部及び後部において対応するフロントサブフレームに取り付けられている。前輪の操舵角を大きくするために、左右の縦メンバは後部が前部よりも左右内側に位置するように湾曲している。
特開2005−271810号公報
サブフレームの剛性が低いと、サスペンションのロアアームから入力される横力によってサブフレームが変形し易くなり、乗り心地や走行性能が悪化する。縦メンバに湾曲部を設けた場合には、縦メンバの剛性が低下するため、乗り心地が一層悪化する虞がある。
本発明は、以上の背景を鑑み、フロントサブフレームを備えた車体前部構造において、ロアアームから入力される横力に対する剛性を向上させることを課題とする。
上記課題を解決するために本発明のある態様は、車両(2)の前部に取り付けられたフロントサブフレーム(6)と、前記フロントサブフレームに揺動可能に支持された、サスペンション(30)の左右一対のロアアーム(31)とを有し、前記フロントサブフレームは、前後に延びた左右一対の縦メンバ(23)と、左右に延びて左右の前記縦メンバに結合したクロスメンバ(24)と、前記縦メンバ及び前記クロスメンバの少なく一方に設けられ、前記ロアアームを揺動可能に支持するための少なくとも1つのロアアーム支持部(36)とを有し、平面視において、前記縦メンバの左右外縁は、前後方向における中央部が左右内方に凹むように湾曲し、前記ロアアーム支持部のうちで最も前側に配置された前ロアアーム支持部の前端は前記クロスメンバの後端よりも前方に配置され、かつ前記前ロアアーム支持部の後端は前記クロスメンバの前端よりも後方に配置されていることを特徴とする車体前部構造(1)を提供する。
この構成によれば、湾曲した縦メンバにおいて、クロスメンバによって剛性が高められた部分に前ロアアーム支持部が配置されるため、ロアアームから加わる横力に対してフロントサブフレームを変形し難くすることができる。これにより、乗り心地や走行性能を向上させることができる。縦メンバが湾曲しているため、サブフレームの左右外方に前輪を操舵するためのスペースを大きく確保することができ、前輪の操舵角を大きくすることができる。
上記の態様において、前記車両の前部を前後に延びた左右一対のフロントサイドフレーム(4)を有し、前記前ロアアーム支持部は、前記縦メンバ及び前記クロスメンバの少なくとも一方から延び、前記フロントサイドフレームに取り付けられているとよい。
この構成によれば、ロアアームから前ロアアーム支持部に加わる横力をクロスメンバに伝達することができる。
上記の態様において、前記前ロアアーム支持部は、前記クロスメンバから前記フロントサイドフレームに向けて左右外方かつ上方に延びる連結部(36D)を有するとよい。
この構成によれば、ロアアームから前ロアアーム支持部に加わる横力をフロントサイドフレームに伝達することができる。
上記の態様において、前記前ロアアーム支持部は、前記縦メンバ及び前記クロスメンバに結合されているとよい。また、前記前ロアアーム支持部は、前記縦メンバの左右外側面及び上面と、前記クロスメンバの上面とに結合されているとよい。また、前記前ロアアーム支持部は、前記縦メンバの左右外側面、上面及び下面と、前記クロスメンバの上面とに結合されているとよい。
この構成によれば、ロアアームから前ロアアーム支持部に加わる横力をクロスメンバに伝達することができる。
上記の態様において、前記クロスメンバには、前記クロスメンバを上下に貫通し、前記クロスメンバの上面及び下面に結合されたカラー(47)が設けられ、前記カラーには、ステアリングギヤボックス(40)が取り付けられ、前記傾斜部の左右方向における内端は、前記カラーの上端の側方に配置されているとよい。
この構成によれば、クロスメンバにおいてカラーによって剛性が向上した部分に傾斜部の端部が設けられるため、クロスメンバからフロントサイドフレームに荷重を効率良く伝達することができる。
上記の態様において、前記クロスメンバよりも後方を左右に延び、左右の前記縦メンバを連結するブレース(26)を有するとよい。また、前記ブレースは、平面視でX字形をなし、前側の左右の端部において前記クロスメンバの左端及び右端に結合され、後側の左右の端部において左右の前記縦メンバに結合されているとよい。
この構成によれば、ブレースによってフロントサブフレームの剛性を向上させることができる。これにより、ロアアームから加わる横力に対してフロントサブフレームを変形し難くすることができる。
上記の態様において、左右の前記縦メンバの前記クロスメンバより前側の部分には、左右に延びるスタビライザ(55)を回転可能に支持する左右一対のスタビライザ支持部(56)が設けられているとよい。
この構成によれば、スタビライザによってフロントサブフレームの剛性を向上させることができる。
以上の構成によれば、フロントサブフレームを備えた車体前部構造において、ロアアームから入力される横力に対する剛性を向上させることができる。
実施形態に係る車体構造の底面図 フロントサブフレーム及びリヤサブフレームを省略した車体構造の底面図 車体構造の前部の側面図 車体構造の前部の底面図 フロントサブフレームの斜視図 フロントサブフレームの左側面図 フロントサブフレームの前縦メンバの後端部と後端支持部との締結構造を示す断面図 フロントサブフレームを示す平面図
以下、本発明に係る車体構造について説明する。以下の説明では、車両を基準として前後方向、左右方向(車幅方向)、及び上下方向を定める。左右内方(車幅方向内方)とは左右方向において車両の中心に近づく方向をいい、左右外方(車幅方向外方)とは左右方向において車両の中心から離れる方向をいう。車体構造を構成するフレームやパネル、各種部材は、特に断りがない限り、鋼材によって形成されている。
図1及び図2に示すように、車体構造1は、車両2の両側部の下部の左右側部を前後に延びる左右一対のサイドシル3と、車両2の前部を前後に延び、後端において対応する左右のサイドシル3の前端に結合された左右一対のフロントサイドフレーム4と、左右のフロントサイドフレーム4の下側に取り付けられた、前輪5を支持するためのフロントサブフレーム6とを有する。
左右のサイドシル3の上側には、面が上下を向くフロントフロアパネル7が掛け渡されている。図3に示すように、左右のサイドシル3の前端には、左右一対のフロントピラー8が設けられている。各フロントピラー8は、上下に延び、下端においてサイドシル3の前端に結合されている。図1及び図2に示すように、左右のフロントピラー8の間には、面が前後を向くダッシュパネル9が設けられている。ダッシュパネル9は、左右の側縁において左右のフロントピラー8に結合され、下縁においてフロントフロアパネル7の前縁に結合されている。
図1〜図4に示すように、左右のフロントサイドフレーム4は、左右のサイドシル3よりも左右内方かつ上方を前後に延びるフロントサイドフレーム前部4Aと、各フロントサイドフレーム前部4Aの後端から後方かつ下方に延びるフロントサイドフレーム中間部4Bと、各フロントサイドフレーム中間部4Bの後端から後方かつ左右外方に延びて対応するサイドシル3の前端に結合したフロントサイドフレーム傾斜部4C(アウトリガー)とを有する。
フロントサイドフレーム中間部4Bは、上方に向けて開口したハット形の断面を有し、ダッシュパネル9の下部の前面に結合され、ダッシュパネル9と協働して閉断面構造を形成している。フロントサイドフレーム傾斜部4Cは、上方に向けて開口したハット形の断面を有し、フロントフロアパネル7の下面に結合され、フロントフロアパネル7と協働して閉断面構造を形成している。フロントサイドフレーム傾斜部4Cは、左右外方に向けて前後幅が漸増し、左右外端においてサイドシル3の左右方向における内側面に結合している。
図3に示すように、左右のフロントサイドフレーム前部4Aの前端には、バルクヘッド11が設けられている。バルクヘッド11は、上下に延びる左右一対のバルクヘッドサイドメンバ11Aと、左右に延びて左右のバルクヘッドサイドメンバ11Aの上端どうしを連結するバルクヘッドアッパメンバ11Bと、左右に延びて左右のバルクヘッドサイドメンバ11Aの下端どうしを連結するバルクヘッドロアメンバ11Cと有し、四角形の枠形に形成されている。フロントサイドフレーム前部4Aの前端は、バルクヘッドサイドメンバ11Aの後面の上下方向における中間部に結合されている。
左右のバルクヘッドサイドメンバ11Aには、衝撃吸収体としての左右一対の前クラッシュボックス12を介して左右に延びるフロントバンパビーム13が結合されている。各前クラッシュボックス12は、前後に延びる筒形に形成され、後端においてバルクヘッドサイドメンバ11Aの上下方向における中間部に結合され、前端においてフロントバンパビーム13の後側面に結合されている。前クラッシュボックス12は、フロントサイドフレーム4やフロントバンパビーム13、バルクヘッド11よりも前後方向における剛性が低く、前方衝突時の荷重が加わったときにフロントサイドフレーム4等よりも先に変形して衝撃を吸収する。
各フロントピラー8の上部には前方に向けて延びた後、前方かつ下方に延びたフロントアッパメンバ15が設けられている。左右のフロントアッパメンバ15は、左右のフロントサイドフレーム前部4Aに対して左右外方かつ上方に配置されている。各フロントアッパメンバ15の前端は、左右に延びる連結部材16を介して対応するフロントサイドフレーム前部4Aの前端部に結合されている。左右において対応するフロントサイドフレーム前部4Aとフロントアッパメンバ15との間は、前ダンパハウジング17が設けられている。前ダンパハウジング17は、フロントサイドフレーム前部4Aの後部から上方に延びた縦壁部17Aと、縦壁部17Aの上端から左右外方に延び、左右外端においてフロントアッパメンバ15に結合した上壁部17Bとを有する。
図4に示すように、左右のフロントサイドフレーム中間部4Bには、左右内方に延びる横延長部4Dがそれぞれ設けられている。左右の横延長部4Dの左右内端は、左右方向において隙間を介して互いに対向している。左右の横延長部4Dの左右外端は、フロントサイドフレーム中間部4Bの内側面に結合されている。横延長部4Dは、上方に開口したハット形の断面を有し、フロアパネルと協働して閉断面構造を形成している。横延長部4Dは、フロントサイドフレーム4の一部を構成する。
図4及び図7に示すように、左右の横延長部4Dの左右内端には、ガイド部材19が設けられている。ガイド部材19は、横延長部4Dの左右内端の下面から後方に延びている。ガイド部材19は、その前下部に後方に向けて下方に傾斜した傾斜面19Aを有する。横延長部4D及びガイド部材19は、フロントサブフレーム6の後端を支持する後端支持部21を構成する。横延長部4Dは、フロントサブフレーム6の後端が締結される締結座として機能する。
図4及び図5に示すように、フロントサブフレーム6は、前後に延びた左右一対の前縦メンバ23と、左右に延びて前縦メンバ23のそれぞれに結合した前クロスメンバ24とを有する。左右の前縦メンバ23は、後方に向けて互いの距離が近づくように、後方に向けて左右内方に傾斜している。また、前縦メンバ23の左右外縁は、前後方向における中央部が左右内方に凹むように湾曲している。
前クロスメンバ24の左右端は、前縦メンバ23の前後方向における中間部に結合されている。前クロスメンバ24の左右端は、前縦メンバ23の前後方向における中央よりも若干前側に結合されている。前縦メンバ23及び前クロスメンバ24は、それぞれ閉断面構造の横断面を有する。前クロスメンバ24の前縁(前端)は、左右方向に直線状に形成されている。前クロスメンバ24の前縁は、左右方向に直線状に形成されている。前クロスメンバ24の後縁は、左右の端部において左右外方に向けて後方に傾斜している。すなわち、前クロスメンバ24は、左右外方に向けて前後幅が漸増している。
前クロスメンバ24の後方には、左右に延び、左右の前縦メンバ23を連結するブレース26が設けられている。ブレース26は、平面視でX字形をなし、中央部から左前方、右前方、左後方、及び右後方に延びている。前側の左右の端部において前クロスメンバ24の左端及び右端に結合され、後側の左右の端部において左右の前縦メンバ23に結合されている。ブレース26は、面が上下を向く鋼板によって形成されているとよい。
図4に示すように、各前縦メンバ23の前端は、左右において対応するフロントサイドフレーム前部4Aの下方かつ左右内方にオフセットして配置される。詳細には、平面視において、前縦メンバ23の前端の左右外側部分がフロントサイドフレーム前部4Aの前端の左右内側部分と重なりを有する位置に配置される。前縦メンバ23は、前端部にフロントサイドフレーム4に対して取り付けられる前端取付部23Aを有する。前端取付部23Aは、前縦メンバ23の前端の左右外側部分に設けられている。各前縦メンバ23の前端取付部23Aと、左右において対応するフロントサイドフレーム前部4Aの前端とは、上下に延びる前連結部材28によって互いに結合されている。詳細には、前縦メンバ23は、下方から貫通するボルトによって前連結部材の下端に締結されている。前連結部材28は、フロントサブフレーム6の前端を支持する前端支持部を構成する。本実施形態では、前端取付部23Aは前連結部材28を介して間接的にフロントサイドフレーム前部4Aに取り付けられている。他の実施形態では、前端取付部23Aは前連結部材28を介して間接的にフロントサイドフレーム前部4Aに取り付けられてもよい。
各前縦メンバ23の後端は、左右において対応する横延長部4Dの下方に配置されている。すなわち、前縦メンバ23の後端は、左右において対応するフロントサイドフレーム中間部4Bよりも左右内方に配置されている。図7に示すように、前縦メンバ23の後端には、上下に貫通するカラー29Aが設けられている。カラー29Aを下方から貫通し、横延長部4Dに結合されたナット29Cに螺合するボルト29Bによって、前縦メンバ23の後端は横延長部4Dの下面に締結されている。前縦メンバ23の後端は、横延長部4Dよりも後方に突出し、その後縁は左右に延びている。また、前縦メンバ23の後端は、後方に向けて上下幅(上下厚さ)が漸減している。
前縦メンバ23の後端は、前後方向においてガイド部材19の傾斜面19Aと隙間をおいて対向している。また、平面視において、前縦メンバ23の後端は、ガイド部材19の傾斜面19Aと重なりを有する位置に配置されている。
図4に示すように、また、前縦メンバ23の後端の下面は、板片状の連結部材27によって、フロントサイドフレーム中間部4Bの下面に連結されている。連結部材27は、所定の荷重が加わったときに、変形し、前縦メンバ23とフロントサイドフレーム中間部4Bとの連結を解除する。
図1及び図8に示すように、フロントサブフレーム6及び左右のフロントサイドフレーム4には、左右一対のフロントサスペンション30が設けられている。フロントサスペンション30は、左右の前縦メンバ23のそれぞれに揺動可能に支持された左右一対のロアアーム31と、ロアアーム31のそれぞれに支持された左右一対の前ナックル32と、各前ナックル32の上部と左右において対応する前ダンパハウジング17の上壁部17Bとを接続する前ショックアブソーバ33とを有する。
ロアアーム31は、いわゆるAアームであり、後端から左右外方かつ前方に傾斜して延びたアーム後部31Aと、アーム後部31Aの前端から左右外方に湾曲したアーム湾曲部31Bと、アーム湾曲部31Bの左右外端から左右外方に延びて先端において前ナックル32を支持するアーム前部31Cとを有する。アーム前部31Cは、アーム後部31A及びアーム湾曲部31Bのそれぞれよりも幅が広く形成されている。アーム湾曲部31Bの左右内面には、左右内方に突出した前軸支部31Dが設けられている。前軸支部31Dは、軸線が前後に延びている。アーム後部31Aの後端には、軸線が上下に延びた後軸支部31Eが設けられている。
図4に示すように、左右の前縦メンバ23のそれぞれには、ロアアーム31の前軸支部31Dを支持する前ロアアーム支持部36と、ロアアーム31の後軸支部31Eを支持する後ロアアーム支持部51とが設けられている。
前ロアアーム支持部36は、左右方向において前クロスメンバ24と重なりを有する位置に配置され、前縦メンバ23及び前クロスメンバ24に結合されている。
図5に示すように、前ロアアーム支持部36は、前縦メンバ23の上側を左右に延び、前縦メンバ23及び前クロスメンバ24に結合されたベース部36Aと、ベース部36A及び前縦メンバ23に結合され、前縦メンバ23の左右外側面から左右外方に突出した前支持壁36B及び後支持壁36Cとを有する。
ベース部36Aは、前部材及び後部材を互いに組み合せて中空形状に形成され、前縦メンバ23の上面及び左右内側面と、前クロスメンバ24の上壁に結合されている。ベース部36Aの左右内端は、中空状に形成された前クロスメンバ24の上壁を貫通して前クロスメンバ24の内部に延びている。ベース部36Aは、前縦メンバ23の上面から上方かつ左右外方に延びて左右外端部を形成している。前縦メンバ23の左右外端部は、前縦メンバ23の左右外側面よりも左右外方に位置する。
ベース部36Aの左右外端部は、ブラケット39を介してフロントサイドフレーム前部4Aの下面に結合されている。ブラケット39は、上下に延びるボルトによってフロントサイドフレーム前部4Aの下面に締結された上板部と、上板部の左右内端から垂下した縦板部とを有する。ブラケット39の縦板部は、ベース部36Aの左右外端部の左右外方を向く端面と当接し、左右に延びるボルトによってベース部36Aの左右外端部と締結されている。
ベース部36Aの上部は、左右内端部から左右外端部にかけて上り勾配の連結部36Dを形成している。すなわち、連結部36Dは、前クロスメンバ24からフロントサイドフレーム前部4Aにかけて傾斜して延びている。
前支持壁36B及び後支持壁36Cは、面が前後を向く板状部材であり、それらの左右内縁において前縦メンバ23の左右外側に溶接されている。後支持壁36Cは、前支持壁36Bに対して後方に隙間をおいて配置されている。前支持壁36Bの左右内縁の上部は、前縦メンバ23の上側に延び、ベース部36Aの前面に溶接されている。後支持壁36Cの左右内縁の上部は、前縦メンバ23の上側に延び、ベース部36Aの後面に溶接されている。前支持壁36B及び後支持壁36Cの左右内縁の下部は、前縦メンバ23の下側に延び、前縦メンバ23の下面に溶接されている。
図8に示すように、ロアアーム31の前軸支部31Dは、前支持壁36B及び後支持壁36Cの間に配置される。ロアアーム31の前軸支部31Dにはゴムブッシュ(不図示)が装着され、前支持壁36B及び後支持壁36Cにはゴムブッシュを貫通して前後に延びる支持軸(不図示)が設けられる。
以上のように、前ロアアーム支持部36は、ベース部36A、前支持壁36B及び後支持壁36Cを有し、ロアアーム31の前軸支部31Dを揺動可能に支持する。前ロアアーム支持部36は、前縦メンバ23及び前クロスメンバ24に溶接され、フロントサイドフレーム前部4Aにブラケット39を介して締結されている。
図4に示すように、平面視において、前ロアアーム支持部36の前端をなす前支持壁36Bは前クロスメンバ24の左右端部の後端より前方に配置され、かつ前ロアアーム支持部36の後端をなす後支持壁36Cは前クロスメンバ24の前端より後方に配置されていることが好ましい。すなわち、左右方向において前ロアアーム支持部36は、前クロスメンバ24と重なりを有することが好ましい。本実施形態では、前支持壁36B(前ロアアーム支持部36の前端)は前クロスメンバ24の前端よりも後方に配置され、後支持壁36C(前ロアアーム支持部36の後前端)は前クロスメンバ24の後端よりも前方に配置されている。
図8に示すように、前クロスメンバ24の上面には、ステアリングギヤボックス40が設けられている。ステアリングギヤボックス40は、左右に延びる筒形のラックハウジング41を有する。ラックハウジング41の内部には、ラックハウジング41に対して左右にスライド移動可能にラック軸42が設けられている。ラック軸42の左右の端部は、それぞれラックハウジング41から左右に突出し、タイロッド43を介して左右の前ナックル32に接続されている。ラック軸42とタイロッド43とは、例えばボールジョイントであるジョイント部44によって接続されている。左右のジョイント部44は、それぞれラックハウジング41の左右の端部に取り付けられたブーツ45の内部に配置されている。
前クロスメンバ24の前部の左右両端部、及び後部の左右の前ロアアーム支持部36のベース部36Aの左右内端部の左右内方に位置する部分の4箇所には、前クロスメンバ24を上下に貫通し、前クロスメンバ24の上壁及び下壁に溶接されたカラー47が設けられている。後側の2つのカラー47は、前側の2つのカラー47に対して左右内方に配置されている。
ラックハウジング41の前側の左右両端部は、前クロスメンバ24に設けられた左右の前側のカラー47にボルトによって締結されている。ラックハウジング41の後部は、前クロスメンバ24に設けられた左右の後側のカラー47の一方にボルトによって締結されている。ラックハウジング41の形状はステアリングシャフトの左右位置によって異なる。ラックハウジング41の形状に応じて、ラックハウジング41を締結する後側のカラー47が選択される。このように、ラックハウジング41は3か所において、前クロスメンバ24に締結されている。
左右の前ロアアーム支持部36の前端は、前クロスメンバ24の前端よりも後方に配置されている。ベース部36Aの連結部36Dの左右内端部は、カラーの上端の左右外方(側方)に配置されている。
後ロアアーム支持部51は、前縦メンバ23において前ロアアーム支持部36と横延長部4Dに締結された後端部との間に設けられている。後ロアアーム支持部51は、前縦メンバ23の左右外側面に形成された開口51Aと、開口51Aの奥側に設けられ、上下に延びて前縦メンバ23の上壁及び下壁に結合された支持軸(不図示)とを有する。ロアアーム31の後軸支部31Eには、支持軸が挿通されたゴムブッシュ(不図示)が装着されている。ロアアーム31の後軸支部31Eは、ゴムブッシュの変形によって後ロアアーム支持部51に対して変位する。ロアアーム31は、前ロアアーム支持部36及び後ロアアーム支持部51によってフロントサブフレーム6に揺動可能に支持されている。
図4に示すように、底面視(平面視)において、左側の後ロアアーム支持部51は、ブレース26の左後方の端部を延長した延長線上に配置されている。また、平面視において、右側の後ロアアーム支持部51は、ブレース26の右後方の端部を延長した延長線上に配置されている。後ロアアーム支持部51は、前ロアアーム支持部36よりも左右方向における内方に配置されている。また、左右の後ロアアーム支持部51は、左右のジョイント部44よりも左右内方に配置されている。
前ロアアーム支持部36は、ステアリングギヤボックス40よりも後方に配置されている。アーム前部31Cは、左右外方に向けて若干後方に傾斜していてもよく、アーム前部31Cを長手方向に外挿した延長線上に中立位置O1にあるジョイント部44が配置されてよい。
図5及び図6に示すように、前縦メンバ23のそれぞれは、前クロスメンバ24との結合部よりも前側に、前縦メンバ23の他の部分よりも剛性が低い変形促進部53を有する。変形促進部53は、前縦メンバ23の上面に下方に向けて凹設された凹部である。変形促進部53は、前縦メンバ23の左右内側面から左右外側面に左右に延びている。前縦メンバ23に前後から衝突荷重が加わったときに、前縦メンバ23は変形促進部53において最初に変形し、変形促進部53を起点として下方に屈曲する。
各前縦メンバ23の上面における変形促進部53よりも前側には、上面に沿って補強板54がそれぞれ結合されている。各補強板54には、前スタビライザ55を回転可能に支持する前スタビライザ支持部56が設けられている。前スタビライザ55は、棒状部材であり、左右に延びる横延在部と、横延在部の左右両端から後方に延びた左右の端部とを有し、端部において連結部材を介して左右の前ショックアブソーバ33の下端に結合されている。前スタビライザ支持部56は、スタビライザの横延在部が通過する支持孔(不図示)を有する。支持孔内には、スタビライザの横延在部を支持するためのゴムブッシュが装着されている。前スタビライザ支持部56は、複数のボルトによって前縦メンバ23の上面に締結されている。前縦メンバ23において、補強板54及び前スタビライザ支持部56が設けられた部分は、他の部分よりも剛性が高くなっている。
以下に、上述した実施形態の効果について説明する。本実施形態に係るフロントサブフレーム6は、前クロスメンバ24によって剛性が高められた部分に前ロアアーム支持部36が配置されているため、前縦メンバ23が変形促進部53を有する態様や、前縦メンバ23が前輪5の転舵空間を広くするために湾曲した形状を有する態様においても、ロアアーム31から加わる横力に対してフロントサブフレーム6が変形し難くなる。これにより、乗り心地や走行性能を向上させることができる。また、前縦メンバ23を左右内方に湾曲させることが可能になり、フロントサブフレーム6の左右外方に前輪5を操舵するためのスペースを大きく確保することができ、前輪5の操舵角を大きくすることができる。
前ロアアーム支持部36が前クロスメンバ24と左右方向に重なりを有する部分に設けられることによって、ロアアーム31から加わる横力に対してフロントサブフレーム6を一層変形し難くすることができる。
前ロアアーム支持部36が前縦メンバ23及び前クロスメンバ24に結合されることによって、前ロアアーム支持部36の剛性が一層向上する。これにより、フロントサブフレーム6は、ロアアーム31を確実に支持することができる。また、前縦メンバ23において、変形促進部53と、変形促進部53の後方の前クロスメンバ24及び前ロアアーム支持部36が設けられた部分との剛性差が大きくなるため、前縦メンバ23は前方衝突時に変形促進部53において確実に変形することができる。
前ロアアーム支持部36がフロントサイドフレーム4に結合しているため、前ロアアーム支持部36の剛性が向上する。また、ロアアーム31から前ロアアーム支持部36に加わる横力をフロントサイドフレーム4に伝達することができる。また、連結部36Dによって前縦メンバ23及び前クロスメンバ24からフロントサイドフレーム4に荷重を効率良く伝達することができる。前クロスメンバ24においてカラー47によって剛性が向上した部分に連結部36Dの端部が設けられるため、前クロスメンバ24からフロントサイドフレーム4に荷重を効率良く伝達することができる。また、ステアリングギヤボックス40によって前クロスメンバ24の剛性を向上させることができる。
ブレース26は、フロントサブフレーム6の剛性を向上させる。同様に、前スタビライザ55はフロントサブフレーム6の剛性を向上させる。これらにより、ロアアーム31から加わる横力に対してフロントサブフレーム6を変形し難くすることができる。
前方衝突時には、最初に前クラッシュボックス12が変形して荷重を吸収するため、衝突荷重が小さい場合に変形促進部53が変形することを抑制することができる。これにより、フロントサブフレーム6の交換を避けることができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。
1 :車体構造
3 :サイドシル
4 :フロントサイドフレーム
6 :フロントサブフレーム
23 :前縦メンバ
24 :前クロスメンバ
26 :ブレース
31 :ロアアーム
36 :前ロアアーム支持部
40 :ステアリングギヤボックス
44 :ジョイント部
51 :後ロアアーム支持部
53 :変形促進部
55 :前スタビライザ
56 :前スタビライザ支持部

Claims (10)

  1. 車両の前部に取り付けられたフロントサブフレームと、
    前記フロントサブフレームに揺動可能に支持された、サスペンションの左右一対のロアアームとを有し、
    前記フロントサブフレームは、前後に延びた左右一対の縦メンバと、左右に延びて左右の前記縦メンバに結合したクロスメンバと、前記縦メンバ及び前記クロスメンバの少なく一方に設けられ、前記ロアアームを揺動可能に支持するための少なくとも1つのロアアーム支持部とを有し、
    平面視において、前記縦メンバの左右外縁は、前後方向における中央部が左右内方に凹むように湾曲し、
    前記ロアアーム支持部のうちで最も前側に配置された前ロアアーム支持部の前端は前記クロスメンバの後端よりも前方に配置され、かつ前記前ロアアーム支持部の後端は前記クロスメンバの前端よりも後方に配置されていることを特徴とする車体前部構造。
  2. 前記車両の前部を前後に延びた左右一対のフロントサイドフレームを有し、
    前記前ロアアーム支持部は、前記縦メンバ及び前記クロスメンバの少なくとも一方から延び、前記フロントサイドフレームに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
  3. 前記前ロアアーム支持部は、前記クロスメンバから前記フロントサイドフレームに向けて左右外方かつ上方に延びる連結部を有することを特徴とする請求項2に記載の車体前部構造。
  4. 前記前ロアアーム支持部は、前記縦メンバ及び前記クロスメンバに結合されていることを特徴とする請求項3に記載の車体前部構造。
  5. 前記前ロアアーム支持部は、前記縦メンバの左右外側面及び上面と、前記クロスメンバの上面とに結合されていることを特徴とする請求項4に記載の車体前部構造。
  6. 前記前ロアアーム支持部は、前記縦メンバの左右外側面、上面及び下面と、前記クロスメンバの上面とに結合されていることを特徴とする請求項4に記載の車体前部構造。
  7. 前記クロスメンバには、前記クロスメンバを上下に貫通し、前記クロスメンバの上面及び下面に結合されたカラーが設けられ、
    前記カラーには、ステアリングギヤボックスが取り付けられ、
    前記傾斜部の左右方向における内端は、前記カラーの上端の側方に配置されていることを特徴とする請求項3〜請求項6のいずれか1つの項に記載の車体前部構造。
  8. 前記クロスメンバよりも後方を左右に延び、左右の前記縦メンバを連結するブレースを有することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1つの項に記載の車体前部構造。
  9. 前記ブレースは、平面視でX字形をなし、前側の左右の端部において前記クロスメンバの左端及び右端に結合され、後側の左右の端部において左右の前記縦メンバに結合されていることを特徴とする請求項8に記載の車体前部構造。
  10. 左右の前記縦メンバの前記クロスメンバより前側の部分には、左右に延びるスタビライザを回転可能に支持する左右一対のスタビライザ支持部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1つの項に記載の車体前部構造。
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