JP2020048573A - 細胞の稀少なサブ集団を検出するための方法及び細胞の高度に精製された組成物 - Google Patents

細胞の稀少なサブ集団を検出するための方法及び細胞の高度に精製された組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】幹細胞を検出する従来の方法における、非幹細胞における幹細胞遺伝子のバックグラウンド発現のため、そして、試料調製の間の細胞の損失のために、限定された感度しか有していなかったというこれらの限界を克服することができ、そして細胞集団中の稀少な細胞型を検出するための高感度の方法を与える方法を提供することを課題とする。【解決手段】特定の工程(a)〜(e)を含む、細胞の集団における標的細胞の存在を検出する、又は非存在を確認する方法。【選択図】なし

Description

関連出願の開示
本出願は各々が参照により全体が本明細書に組み込まれる2010年7月23日出願の米国特許仮出願61/367,038号(代理人整理番号75820.160001)及び2010年11月17日出願の米国特許仮出願61/414,770号(代理人整理番号75820.160002)の利益を請求する。
幹細胞の治療用途は医学的治療に革命をもたらす深遠な能力を有している。研究者等は治療移植のための細胞の原料として胚性幹細胞及び他の多能性細胞型を使用することを長く希望してきた。例えば、胚性幹細胞は各々が参照により全体が本明細書に組み込まれる特許文献1、特許文献2及び特許文献3、米国特許出願12/682,712、米国特許仮出願60/998,668、60/998,766、61/009,911、61/009,908及び61/262,002、特許文献4、及び特許文献5に記載の通り、網膜色素上皮細胞に分化され、そして網膜症の防止又は治療のために患者に移植される場合がある。
しかしながら、そのような治療上の展望を付与する肝心の属性である幹細胞の自己更新能力及び形成性は同時に安全性の問題をもたらす。十分な安全性試験を行わずに幹細胞を使用することの潜在的な危険性の劇的な説明は、タイの個人病因において自身の腎臓内に幹細胞注射を受けたとされる「幹細胞ツーリスト」の最近の症例である(明らかに未試験で、如何なる規制当局による許可も受けていない治療)。患者は処置による明確な治療効果を全く享受することなく、逆に注射部位に塊状物を発生し、腎臓除去を余儀なくされた(Thirabanjasak等、“Angiomyeloproliferative Lesions Following AutologousStem Cell Therapy,” J Am Soc Nephrol. 2010 Jun 17)。この研究の著者は塊状物が移植された幹細胞から生じたと結論している。この事例は、「病人は無節操な施術者により横行される幹細胞ツーリズムに傾倒することにより自身の安全と財力を賭けた冒険をすべきでない」という考えさせられる注意事項として大手新聞において広範に報告されている(Coghlan,“Deathrevives warnings about rogue stem cell clinics,” The New Scientist,17 June2010).
ES細胞に由来する分化した細胞型を用いた治療計画においてさえも、数個の残留ES細胞の存在が腫瘍又は奇形腫を生じさせるという問題点がある。一部の安全性保証は動物(例えば免疫無防備状態動物に細胞調製物を投与することから得ることができる。しかしながら、ヒトのES細胞は動物モデルよりもヒト宿主において奇形腫を形成しやすい傾向があるため、動物実験単独では不十分であると考えられる、
潜在的な安全性の懸念に着目した1つの補足的取り組みは誘導性「自殺遺伝子」を発現するように幹細胞を遺伝子的に操作することである。これらの方法に期待することは、幹細胞及びそれらの子孫は増殖が調節不能である場合には選択的に殺傷でききることである(例えばSchuldiner等、“Selective ablation of human embryonic stem cells expressinga ‘suicide’gene,” Stem Cells,2003;21(3):257-65参照)。しかしながら、関与する疾患及び幹細胞誘導組織の箇所及び量によっては、移植細胞の死を誘導することは、患者にとって多大な害をもたらす場合がある。更に、患者特異的細胞療法の場合、安全性機序のこの種の使用は、患者特異的細胞の潜在的に極めて労働集約的な遺伝子操作、並びに安全性、薬効、及び望ましくない遺伝子修飾の非存在に関する患者特異的細胞系統各々の
試験を必要とすると考えられる。誘導性自殺遺伝子は腫瘍又は奇形腫が生じ始めた後に治療の選択肢を与えるかもしれないとしても、腫瘍又は奇形腫の形成を完全に回避することが明らかに好ましい。更に又、細胞は、例えば自殺遺伝子を無効化し、細胞が潜在的に有害であり続けることができるようにする自殺遺伝子の突然変異又は消失により、自殺遺伝子の誘導に対して耐性となる。即ち、細胞集団中の幹細胞を直接検出する方法は又、未分化の幹細胞がせいぜい極めて低濃度で存在するか、好ましくは完全に非存在であることの保証を与えることが望まれる。
幹細胞を検出する従来の方法は幹細胞の非存在の十分な保証を与えない場合がある限定された感度を有している。バルク細胞抽出物を利用する方法(例えばRT−PCR及びウエスタンブロット)の場合、感度は非幹細胞中の幹細胞遺伝子のバックグラウンド発現により必然的に制限される場合がある。例えば、幹細胞が非幹細胞中1000倍低値の濃度で発現される場合、1000個中1個の幹細胞濃度を有するバルク細胞抽出液はその遺伝子産物の2倍未満の上昇を有することになり、これは多くの従来の検出方法に関するノイズ閾値未満である。治療計画で500,000個の細胞を投与する場合、そのような方法は細胞調製物中に500個もの多くの残留幹細胞も検出することができなくなる。この幹細胞数は奇形腫形成のる潜在性のために安全ではないと考えられる可能性が高い。即ち、これらの方法は、所望の検出感度が集団中の幹細胞と他の細胞の間の幹細胞遺伝子発現の倍数差を越えない場合に最も有用となる。この非感受性のために、このような方法は患者の安全性を保証するためには不十分であると考えられる。
もう1つの従来の幹細胞検出方法であるフローサイトメトリーは、バルク抽出液よりは寧ろ個々の細胞を考慮しているため、幹細胞の検出に関してはRT−PCRよりも幾分高値の感度を有することができる。しかしながら、フローサイトメトリーのための細胞の調製では、細胞の損失をもたらす工程、例えば細胞透過性付与、洗浄、及び単細胞懸濁確保のための細胞の分篩を行う。この細胞損失のため、フローサイトメーターに到達する細胞の集団が本当に初期細胞集団を代表するものであるかどうかという懸念が生じる。例えば、幹細胞が他の細胞型と比較して相対的に「粘着性」である傾向を有する場合、それらは細胞分篩段階において優先的に損失される可能性がある。更に又、それらのサイズが小さいため、幹細胞の小凝集物が一緒に分篩膜を通過し、フローサイトメーター中で単一の事象として誤認計上され、調製物中の幹細胞の過少計上をもたらす場合がある。更に又、フローサイトメトリーアッセイの場合、細胞破砕物、細胞凝集物、及び非特異的バックグラウンド「ノイズ」を排除するためには、細胞集団のゲーティングが典型的には必要である。未ゲーティングの細胞を評価する場合であっても、結果の解釈は(陽性/陰性細胞に関して「線引き」するところまでは)オペレーターの主観的見解に依存する場合があり、そして、集団中の夾雑細胞の大半の量がフローサイトメトリーにより容易に検出できるものの、少数の細胞は、それらが潜在的な安全性の懸念を呈するに十分多数である場合でも、ほぼ確実に「ノイズ」のカテゴリーに分類されてしまう。即ち、幹細胞の消失、又は完全計上の失敗の可能性のために、フローサイトメトリー法もまた患者の安全性を確保するためには不十分な感度を有する場合がある。
即ち、細胞組成物中の未分化細胞の存在を検出する高感度の方法、及び、未分化幹細胞を付随しないことが確認されている幹細胞誘導組成物が当該分野で必要とされている。好ましい方法は、100,000個中1個未満の低い細胞密度であっても幹細胞を検出するために十分な感度を有し、そして更に、アッセイ調製の間に細胞の相当な割合の損失を伴うことなく集団中の個々全ての細胞の試験を可能にする。
米国特許第7,795,025号明細書 米国特許第7,794,704号明細書 米国特許第7,736,896号明細書 国際公開第2009/051671号 国際公開第2011/063005号
本開示は標的型の細胞を他の型の細胞のより大きい集団内で高感度に検出するためのアッセイ方法を提供する。好ましい実施形態においては、標的細胞は稀少な細胞、即ち細胞集団中で極めて少ない量で存在する細胞を含むことになり、好ましくはその細胞集団を細胞療法のために使用しようとする場合である。特に好ましい実施形態においては、これらの稀少な細胞は、対象に投与されれば有害反応又は疾患を誘発する場合のある細胞を含むことになる。特定の例は、ウィルス感染(例えばHIV、肝炎等)細胞、他の疾患又は異常細胞(例えば癌性、前癌性及び癌幹細胞)、特定の免疫細胞、例えばTリンパ球等を包含し、これらはレシピエントに投与されれば、感染症、疾患、又は他の有害反応、例えば有害免疫反応(例えばGVHD)をもたらすか、又は、望ましくない細胞の増殖をもたらす場合がある。例えば要件方法は、細胞療法又は移植変において使用する予定である自系又は異系のドナーに由来する骨髄又は膵細胞のようなドナー細胞含有集団が、癌、ウィルス感染又は有害免疫反応を誘発する場合がある細胞を保有していないことを確認するために使用してよい。好ましい例示される実施形態においては、移植療法のために使用する予定である細胞の集団中の残留多能性細胞の存在に関して試験するためにこれらの方法を使用する例を提示する。画定された数量のES細胞を細胞集団に添加した実験は、600,000個の細胞の集団から5個もの少数のES細胞を検出するために十分な感度を明らかにしており、これにより総細胞集団の0.0008%もの稀少な標的細胞を検出する能力が明らかになった。これらの方法の例示される実施形態を用いれば、熟練したオペレーターは時間当たり細胞1〜10百万個の桁数で検査することができる。任意に多数の細胞を検査できるため、方法は無限の感度を有する潜在性を有している。
1つの例示される実施形態において、本開示は下記工程:
(a)細胞集団を準備すること;
(b)第1の染色及び第2の染色を該細胞集団に適用すること、ここで該第1の染色は標的細胞を示す第1のマーカーを検出し、そして該第2の染色は標的細胞を示す第2のマーカーを検出し、そしてここで該第1の染色に関して陽性である細胞は可視光下に検出可能であり、そして該第2の染色に関して陽性である細胞は紫外光下に検出可能であるもの;
(c)該細胞集団を可視光下に顕微鏡観察することにより該第1のマーカーに関して陽性である細胞を検出すること;
(e)紫外光下に該第1のマーカーに関して陽性である該細胞を顕微鏡観察すること、及び、該第1のマーカー及び該第2のマーカーに関して細胞が陽性であるかどうかを調べること;及び、
(f)該第1のマーカー及び該第2のマーカーに関して陽性である細胞を標的細胞として識別すること;
を含む細胞集団中の標的細胞の存在を検出する方法を提供する。
第1の染色は可視光下及び紫外光下に観察可能であってよい。
第1のマーカーはアルカリホスファターゼであってよい。
第1の染色は着色された試薬又は着色された試薬を生成することができる酵素に直接又は間接的にカップリングされた抗体を含んでよい。
着色された試薬は金粒子、銀粒子、又はラテックス粒子を含んでよい。
第1の染色は金粒子に直接又は間接にカップリングされた抗体を含んでよく、そして該方法は更に、該金粒子上に銀沈殿を形成することを含んでよい。
第1のマーカーはアルカリホスファターゼ、Oct−4、Nanog、期特異的胚性抗原−3(SSEA−3)、期特異的胚性抗原−4(SSEA−4)、TRA−1−60、TRA−1−81、TRA−2−49/6E、Sox2、成長分化因子3(GDF3)、低下発現1(REX1)、線維芽細胞成長因子4(FGF4)、胚細胞特異的遺伝子1(ESG1)、発生多能性関連2(DPPA2)、DPPA4、テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、SALL4、E−CADHERIN、クラスター指定30(CD30)、Cripto(TDGF−1)、GCTM−2、Genesis、生殖細胞核因子、及び幹細胞因子(SCF又はc−Kitリガンド)よりなる群から選択されてよい。
第1の染色はアルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ及びパーオキシダーゼよりなる群から選択される第1の酵素を含んでよい。
パーオキシダーゼはセイヨウワサビパーオキシダーゼであってよい。
第1の酵素は標的細胞により発現されてよい。
第1の酵素は一次又は二次抗体に直接又は間接的にカップリングされていてよい。
第1の染色はアルカリホスファターゼを含んでよい。
第1の染色は更に、ナフトールAS−BIホスフェート;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート(BCIP)及びニトロブルーテトラゾリウム(NBT);BCIP試薬及びINTX試薬;ナフトールAS−BI及びファーストレッドバイオレットLB;テトラゾリウム塩;ジアゾ化合物;VECTOR(登録商標)Red;VECTOR(登録商標)Blue;VECTOR(登録商標)Black;及びp−ニトロフェニルホスフェート(pNPP)よりなる群から選択されるアルカリホスファターゼ基質を含んでよい。
第1の染色はパーオキシダーゼを含んでよい。
第1の染色は更に3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB);3,3’−ジアミノベンジジン(DAB);3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC);4−クロロ−1−ナフトール;2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS);2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロリド;2−クロロ−5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン;3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン;3,3′−ジアミノベンジジンテトラクロリド;3−ニトロテトラゾリウムブルークロリド;4−アミノフタルヒドラジド;4−クロロ−1−ナフトール;4−クロロ−7−ニトロベンゾフラザン;5−アミノサリチル酸;2塩酸ジカルボキシジン;グアイアコール;過酸化水素−尿素付加物;ヨードニトロテトラゾリウムクロリド;ルミノール;MTTホルマザン;N−(4−アミノブチル)−N−エチルイソルミノール
;N−(6−アミノヘキシル)−N−エチルイソルミノール;ニトロテトラゾリウムブルークロリド;ピロガロール;テトラニトロブルーテトラゾリウムクロリド;テトラゾリウムブルークロリド指示薬;テトラゾリウムバイオレット;o−ジアニシジン;o−ジアニシジン2塩酸塩;o−フェニレンジアミン2塩酸塩;o−フェニレンジアミン遊離塩基;及びトランス−5−フェニル−4−ペンテニルヒドロパーオキシドよりなる群から選択されるパーオキシダーゼ基質を含んでよい。
第1の染色はベータガラクトシダーゼを含んでよい。
第1の染色は更に1−メチル−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド;2−ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシド;4−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド;4−ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド;6−ブロモ−2−ナフチルβ−D−ガラクトピラノシド;6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド;フルオレセインジ(β−D−ガラクトピラノシド);及びレゾルフィンβ−D−ガラクトピラノシドよりなる群から選択されるベータガラクトシダーゼ基質を含んでよい。
標的細胞は胚性幹細胞であってよく、そして該第2のマーカーはアルカリホスファターゼ、Oct−4、Nanog、期特異的胚性抗原−3(SSEA−3)、期特異的胚性抗原−4(SSEA−4)、TRA−1−60、TRA−1−81、TRA−2−49/6E、Sox2、成長分化因子3(GDF3)、低下発現1(REX1)、線維芽細胞成長因子4(FGF4)、胚細胞特異的遺伝子1(ESG1)、発生多能性関連2(DPPA2)、DPPA4、テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、SALL4、E−CADHERIN、クラスター指定30(CD30)、Cripto(TDGF−1)、GCTM−2、Genesis、生殖細胞核因子、及び幹細胞因子(SCF又はc−Kitリガンド)よりなる群から選択されてよい。
第2の染色は一次抗体を含んでよく、そしてこれは蛍光標識を含んでよい。
第2の染色は更に二次抗体を含んでよく、そしてこれは蛍光標識を含んでよい。
蛍光標識はAlexa Fluor350、Alexa Fluor405、Alexa Fluor430、Alexa Fluor488、Alexa Fluor514、Alexa Fluor532、Alexa Fluor546、Alexa Fluor555、Alexa Fluor568、Alexa Fluor594、Alexa Fluor610、Alexa Fluor633、Alexa Fluor635、Alexa Fluor647、Alexa Fluor660、Alexa Fluor680、Alexa Fluor700、Alexa Fluor750及びAlexa Fluor790、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テキサスレッド、SYBRグリーン、DyLightFluors、緑色蛍光蛋白(GFP)、TRIT(テトラメチルローダミンイソチオール)、NBD(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール)、テキサスレッド染料、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸
、クレジルファーストバイオレット、クレジルブルーバイオレット、ブリリアントクレジルブルー、p−アミノ安息香酸、エリスロシン、ビオチン、ジゴキシゲニン、5−カルボキシ−4',5'−ジクロロ−2',7'−ジメトキシフルオレセイン、TET(6−カルボキシ−2',4,7,7'−テトラクロロフルオレセイン)、HEX(6−カルボキシ−2',4,4',5',7,7'−ヘキサクロロフルオレセイン)、Joe(6−カルボキシ−4',5'−
ジクロロ−2',7'−ジメトキシフルオレセイン)、5−カルボキシ−2',4',5',7'−
テトラクロロフルオレセイン、5−カルボキシフルオレセイン、5−カルボキシローダミン、Tamra(テトラメチルローダミン)、6−カルボキシローダミン、Rox(カルボキシ−X−ローダミン)、R6G(ローダミン6G)、フタロシアニン類、アゾメチン類、シアニン類(例えばCy3、Cy3.5、Cy5)、キサンチン類、スクシニルフルオレセイン類、N,N−ジエチル−4−(5'−アゾベンゾトリアゾリル)−フェニルアミン、アミノアクリジン及び量子ドットよりなる群から選択してよい。
細胞集団はレイヨウ、ウシ、ラクダ、ネコ、マメジカ(ネズミジカ)、チンパンジー、乳牛、シカ、イヌ、キリン、ヤギ、モルモット、ハムスター、カバ、ウマ、ヒト、マウス、非ヒト霊長類、ヒツジ類、イノシシ、ブタ、プロングホーン、ウサギ、ラット、マカク、サイ、ヒツジ、バク、及び有蹄類よりなる群から選択される種の細胞を含んでよい。
方法は更に、細胞集団中の細胞の概数を測定することを含んでよい。
該細胞集団の細胞の少なくとも90%を可視光下に検査することにより該第1のマーカーに関して陽性である細胞を検出してよく、そして該第1のマーカーに関して陽性である各細胞を紫外光下に検査することにより該第2のマーカーに関してその細胞が陽性であるかどうか調べてよい。
細胞集団は意図する用途に応じて何れかの数の細胞を含有してよい。例えば細胞集団は少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも1010個の細胞、又は10〜1010個の細胞を含有してよい。
第1のマーカー及び第2のマーカーは胚性幹細胞マーカーであってよい。
細胞集団は胚性幹細胞のインビボ又はインビトロの分化により生産してよい。
標的細胞は胚性幹細胞又は誘導多能性(iPS)細胞であってよい。
細胞集団は更に、胚性幹細胞又はiPS細胞から分化した細胞を含んでよい。
胚性幹細胞又はiPS細胞から分化した細胞はRPE細胞であってよい。例えばRPE細胞は参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる米国特許7,795,025、7,794,704及び7,736,896号、米国特許出願12/682,712、WO/2009/051671及びWO2011/063005に開示されている方法の何れかにより生産してよい。
標的細胞は例えば脂肪細胞;骨髄線維芽細胞;心筋細胞;軟骨細胞;分化RBC及びWBC直系;内皮骨髄線維芽細胞;外胚葉;外胚葉前駆体;胚様体(EB);胎生期癌(EC);胚性幹(ES);内胚葉;内皮;造血細胞;造血幹細胞(HSC),付随体、内皮前駆体;肝細胞;ケラチノサイト;間葉;間葉性幹細胞(MSC);中胚葉;MSC前駆体;筋芽細胞;筋細胞;神経前駆体;神経幹細胞;ニューロン;稀突起神経膠細胞;骨芽細胞;膵上皮;膵島;膵前駆体;骨格筋細胞;平滑筋;間質性(間葉)前駆細胞;及び白血球(WBC)を包含する細胞の特定の型から選択してよい。第2のマーカー及び第2のマーカーは表1に示す通り該標的細胞と関連しているマーカーであってよい。更に、標的細胞は特定の疾患に関与する細胞、例えば癌性又は前癌性の細胞、又は骨髄のような移植又は細胞療法のために潜在的には細胞集団から排除することが望ましい癌幹細胞を含んでよい。或いは、標的細胞は特定の直系の細胞を与える成人幹細胞を含んでよい。
方法は更に、工程(a)の前に、標的細胞型の細胞のメンテナンス細胞に好都合な条件下に細胞集団を培養することを含んでよく、そして、標的細胞は胚性幹細胞又は誘導多能性(iPS)細胞であってよく、そして、培養条件は胚性幹細胞培地及び/又はマウス胚性線維芽細胞フィーダー細胞の存在を含んでよい。
細胞は更に、標的細胞型を含む第2の細胞集団をプレーティングすること、及び、工程(a)の該細胞集団と同じ方法により該第2の細胞集団を分析することにより該方法の検出限界を明確化することを含んでよい。該標的細胞型の細胞のみを該第2の集団に添加するか、又は、第2の細胞集団は、細胞の第1の集団が標的細胞型と同じ型のものである細胞の第1の集団と細胞の第2の集団の混合物を含んでよい。細胞の該第2の群は工程(a)の該細胞集団と本質的に同じコンスティテュエンシーを有してよい。細胞の該第1の群及び細胞の該第2の群の細胞の数の比は、1:10;1:100;1:1,000;1:10,000;1:100,000;1:1,000,000;1:10,000,000;1:100,000,000;1:1,000,000,000;1:10と1:100との間;1:10と1:1,000との間;1:10と1:10,000との間;1:10と1:100,000との間;1:10と1:1,000,000との間;1:10と1:10,000,000との間;1:10と1:100,000,000との間;1:10と1:1,000,000,000との間;1:100と1:1,000との間;1:100と1:10,000との間;1:100と1:100,000との間;1:100と1:1,000,000との間;1:100と1:10,000,000との間;1:100と1:100,000,000との間;1:100と1:1,000,000,000との間;1:1,000と1:10,000との間;1:1,000と1:100,000との間;1:1,000と1:1,000,000との間;1:1,000と1:10,000,000との間;1:1,000と1:100,000,000との間;1:1,000と1:1,000,000,000との間;1:10,000と1:100,000との間;1:10,000と1:1,000,000との間;1:10,000と1:10,000,000との間;1:10,000と1:100,000,000との間;1:10,000と1:1,000,000,000との間;1:100,000と1:1,000,000との間;1:100,000と1:10,000,000との間;1:100,000と1:100,000,000との間;1:100,000と1:1,000,000,000との間;1:1,000,000と1:10,000,000との間;1:1,000,000と1:100,000,000との間;1:1,000,000と1:1,000,000,000との間;1:10,000,000と1:100,000,000との間;1:10,000,000と1:1,000,000,000との間;及び1:100,000,000と1:1,000,000,000との間よりなる群から選択してよい。
標的細胞はウィルス感染細胞、癌性又は前癌性の細胞、癌幹細胞、及び免疫細胞から選択してよい。
標的細胞を含有すると推定される組成物は骨髄、血球、又は膵細胞を含んでよい。
標的細胞を含有すると推定される細胞集団は、細胞ソーティング、放射線照射、化学療法又は標的細胞を除去するための他の手段により予め処理されていてよい。
別の例示される実施形態は該幹細胞を本質的に含有しない場合がある幹細胞に由来する体細胞を含む組成物を提供する。
別の例示される実施形態は、細胞及び存在する標的細胞(例えば幹細胞)の数又は割合を示すインジケーターを含む組成物を提供し、この場合、該組成物中の細胞の代表となる
細胞集団に本明細書に記載した方法を適用することにより該インジケーターの値を測定してよい。組成物は胚性幹細胞、iPS細胞、割球、内細胞塊、又は単為生殖的に活性化されてよい卵母細胞のような多能性幹細胞から分化したものであってよいRPE細胞を含んでよい。これらの多能性幹細胞は組み換え体又は遺伝子操作されてよい(例えば所望の治療蛋白を発現するため、又は黄斑変性のような遺伝子的不全に関与している遺伝子の発現を排除するために操作される)。RPE細胞は網膜の変性疾患を治療するために製剤化して使用してよい。更に又、多能性幹細胞誘導RPE細胞はRPE細胞の生存(インビトロ及び/又はインビボ)をモジュレートする剤を発見するため、RPE細胞の成熟を研究するため、又は、RPE細胞の成熟をモジュレートする剤を発見するためのスクリーニングアッセイにおいて使用できる。そのようなスクリーニングアッセイを使用して発見された材はインビトロ又はインビボで使用してよく、そして、網膜変性疾患を治療するために単独又はRPE細胞と組み合わせて使用できる追加的治療薬を提供してよい。1つの実施形態において、組成物はヒト多能性幹細胞から分化したヒトRPE細胞の実質的に精製された調製物を含んでよく、その場合、RPE細胞はmRNA及び蛋白レベルにおいて、RPE−65、ベストロフィン、PEDF、CRALBP、Otx2及びMITFを発現し、そして、細胞はOct−4、NANOG及びRex1の発現を実質的に欠失している。別の実施形態においては、RPE細胞は分化RPE細胞及び成熟分化RPE細胞を含み、そしてその場合、少なくとも成熟分化RPE細胞は更に、mRNA及び蛋白レベルにおいて、PAX2、pax−6及びチロシナーゼを発現する。別の実施形態においては、RPE細胞はヒトES細胞又はヒトiPS細胞から分化させる。
組成物は少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも1010個の細胞、又は10〜1010個の細胞を含んでよい。
組成物は低温保存された細胞を含んでよい。1つの実施形態において、組成物は少なくとも約10個のヒトRPE細胞を含む低温保存された調製物を含んでよく、その場合、調製物はヒト多能性幹細胞に由来するヒトRPE細胞の実質的に精製された調製物であり、そしてその場合、RPE細胞はRPE−65、ベストロフィン、PEDF、CRALBP、Otx2及びMITFを発現する。別の実施形態においては、RPE細胞の少なくとも約85%が解凍後に生存性を維持している。例えばRPE細胞は(a)RPE細胞を培養すること、(b)該RPE細胞を採取すること、(c)該RPE細胞を遠心分離すること、(d)10%DMSO/90%FBS溶液中に該RPE細胞を再懸濁すること;及び(e)該RPE細胞を凍結することを含む方法により低温保存されてよい。
別の例示される実施形態は下記工程:
(a)細胞集団を準備すること;
(b)第1の染色及び第2の染色を該細胞集団に適用すること、ここで該第1の染色はアルカリホスファターゼを検出し、そして該第2の染色は胚性幹細胞を示すマーカーを検出し、そしてここで、該第1の染色に関して陽性である細胞は可視光及び紫外光下に検出可能であり、そして該第2の染色に関して陽性である細胞は紫外光下に検出可能であること;
(c)該第1のマーカーに関して陽性である細胞を検出するために可視光下に該細胞集団の細胞を顕微鏡観察すること;
(e)紫外光下に該第1のマーカーに関して陽性である該細胞を顕微鏡観察すること、及び、該第1のマーカー及び該第2のマーカーに関して細胞が陽性であるかどうか調べる
こと;及び、
(f)該第1のマーカー及び該第2のマーカーに関して陽性である細胞を胚性幹細胞として識別すること;
を含む細胞集団中のヒト胚性幹細胞の存在を検出する方法を提供する。
細胞集団は参照により各々の全体が本明細書に組み込まれる米国特許7,795,025、7,794,704及び7,736,896、米国特許出願12/682,712、米国特許仮出願60/998,668、60/998,766、61/009,911、61/009,908及び61/262,002、WO/2009/051671及びWO2011/063005に記載されている方法により多能生細胞から分化されたRPE細胞を含んでよい。
1つの実施形態において、標的細胞は胚性幹細胞、誘導多能性幹(iPS)細胞、成人幹細胞、造血細胞、胎児幹細胞、間葉幹細胞、分娩後幹細胞、複能性幹細胞又は胚性生殖細胞である。別の実施形態においては、多能性幹細胞は哺乳類多能性幹細胞であってよい。又別の実施形態において、多能性幹細胞は
ヒト多能性幹細胞、例えば限定しないがヒト胚性幹(hES)細胞、ヒト誘導多能性幹(iPS)細胞、ヒト成人幹細胞、ヒト造血幹細胞、ヒト胎児幹細胞、ヒト間葉幹細胞、ヒト分娩後幹細胞、ヒト複能性幹細胞又はヒト胚性生殖細胞細胞であってよい。別の実施形態においては、多能性幹細胞はEuropean Human Embryonic Stem Cell Registry‐hESCregに列挙されているhES細胞系統であってよい。別の実施形態においては、hES細胞系統は割球誘導hES細胞系統、例えばMA09又は参照により各々の全体が本明細書に組み込まれる米国特許7,893,315又は7,838,727記載の方法により誘導される他の細胞系統であってよい。
1つの実施形態において、本発明は網膜変性の治療のための医薬の製造におけるRPE細胞の医薬調製物の使用を提供する。
1つの実施形態において、本発明は本明細書に記載したRPE細胞の有効量を投与することを含む網膜変性を治療する応報を提供する。別の実施形態においては、網膜変性は、先天性脈絡膜欠如、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性、網膜剥離、色素性網膜炎、又はシュタルガルト病によるものである。
1つの実施形態において、調製物は懸濁液、マトリックス、ゲル、コロイド、スカホールド又は基板として移植される。別の実施形態においては、調製物は眼の網膜下隙内に注射により投与される。
その他の実施形態において、有効量は少なくとも約20,000〜200,000RPE細胞である。別の実施形態においては、有効量は少なくとも約20,000、50,000、75,000、100,000、125,000、150,000、175,000、180,000、185,000、190,000又は 200,000 RPE細胞である。
1つの実施形態において、方法は更に対象において網膜電位図応答、オプトメーター明瞭度閾値、又は光度閾値を計測することにより方法の効力をモニタリングすることを含む。
1つの実施形態において、製剤はES細胞、ウィルス、細菌又はカビの汚染を実質的に含有しない。別の実施形態においては、RPE細胞は移植により網膜に組み込むことができ
る機能性RPE細胞である。その他の実施形態において、RPE細胞は移植後の視覚的明瞭度を向上させる。
本発明は眼の障害の治療のための方法を提供する。特に、これらの方法は眼の障害、特に内因性のRPE層の損傷又は破壊により全体的に又は部分的に誘発されるか又は悪化する眼の障害を治療するか、その症状を緩解するためのRPE細胞の使用を包含する。
1つの実施形態において、本明細書に記載したRPE細胞は網膜の編成をもたらす場合がある遺伝子突然変異を実質的に含有しない。
1つの実施形態において、RPE細胞はポリ乳酸、ポリ(乳酸・コ・グリコール酸)、50:50PDLGA、85:15PDLGA及びINION GTR(登録商標)生体分解性膜(生体適合性重合体の混合物)のような生体適合性重合体と共に移植されてよい。
別の実施形態においては、RPE細胞は移植後にブルーフ膜に接着し、極性を発生し、そしてレシピエントの組織内に組み込まれる。
1つの実施形態において、RPE細胞は移植後に視覚的明瞭度を向上させる場合がある。別の実施形態においては、RPE細胞は移植後に視覚的明瞭度を実質的に向上させる場合がある。
1つの実施形態において、RPE細胞はOct−4、NANOG、Rex1、アルカリホスファターゼ、Sox2、TDGF 1、DPPA 2及びDPPA 4を包含するがこ
れらに限定されない胚性幹細胞マーカーの実質的な発現を欠失している。別の実施形態においては、RPE細胞はRPE65、CRALBP、PEDF、ベストロフィン、MITF、Otx2、PAX2、Pax 6及びチロシナーゼを包含するがこれらに限定されないRPE細胞マーカーを発現する。その他の実施形態において、RPE細胞は少なくとも1つの遺伝子を発現し、その場合少なくとも1つ遺伝子の発現はヒトES細胞における発現と相対比較してRPE細胞中で増大する。1つの実施形態において、RPE細胞は増大したアルファインテグリンサブユニット発現を示す。別の実施形態においては、アルファインテグリンサブユニットはアルファ1、2、3、4、5、6又は9である。更に別の実施形態において、発現はmRNA発現、蛋白発現、又はmRNAと蛋白の両方の発現である。
本発明は(a)低温保存されたRPE細胞のバイアルを解凍すること、(b)培地中にRPE細胞を再懸濁すること、(c)RPE細胞を遠心分離すること、(d)培地中にRPE細胞を再懸濁すること、(e)RPE細胞をバイアル中に分注すること、及び(f)臨床現場に移行させることを含む臨床現場にRPE調製物を提供する方法を提供する。1つの実施形態において、再懸濁及び遠心分離の工程は少なくとも1、2、3、4又は5回反復してよい。別の実施形態においては、RPE産物は工程(e)の終了後少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10時間以内に臨床現場に輸送される。その他の実施形態において、バイアルにはラベルを付してよい。
本発明は又、(a)RPE細胞を生産すること、及び(b)顧客への移行のために該RPE細胞調製物を調製することを含む販売用のRPE細胞調製物を提供するための方法を提供する。1つの実施形態において、方法はRPE細胞を低温保存することを含んでよい。別の実施形態においては、方法は販売用の該RPE細胞調製物を供与することを含む。その他の実施形態において、方法はRPE細胞調製物を広告することを含む。
本発明は上記又は後述する側面及び実施形態の何れかの組み合わせを意図している。例えば分化RPE細胞及び成熟RPE細胞の何れかの組み合わせを含むRPE細胞の調製物を本明細書に記載する状態の何れかの治療において使用できる。同様に、出発物質としてヒト胚性幹細胞を用いながらRPE細胞を生産する眼の本明細書に記載した方法は、同様に、出発物質として何れかのヒト多能性幹細胞を用いながら実施してよい。
図1は分化した細胞からのhES細胞(Oct−4陽性及びアルカリホスファターゼ陽性)の検出を示す代表的顕微鏡図である。GFP発現はhES細胞のアイデンティティーを確認している。
RNAをRPE細胞及びhES細胞の混合集団から抽出した(記載通り、0%、0.01%、0.1%、1%、10%又は100%hES細胞を含有)。次にcDNAを合成し、相対的な遺伝子発現を3連でアッセイし、反復を各試料中に存在するベータアクチンシグナルに対して規格化した。遺伝子発現プロファイリングは、ソフトウエアバージョン2.1によるApplied Biosystems StepOne Plus及びLife Technologiesから入手したTaqMan遺伝子発現アッセイを用いたRT−qPCRにより、比較相対定量のための製造元の推奨するサイクル条件に従って実施した。データはT検定により求めたP値を用いて3連の平均±標準偏差として標示した。結果を(A)OCT4、(B)Nanog及び(C)SOX2の発現に関して示す。 同上。 同上。
詳細な説明
幹細胞を検出する従来の方法は非幹細胞における幹細胞遺伝子のバックグラウンド発現のため、そして、試料調製の間の細胞の損失のために、限定された感度しか有していなかった。本開示は、これらの限界を克服することができ、そして細胞集団中の稀少な細胞型を検出するための高感度の方法を与える方法を提供する。これらの方法を使用すれば、オペレーターは時間当たり細胞1〜10百万個の桁数で検査することができ、そして細胞集団中の標的細胞型の個々の細胞を検出できる。例示される実施形態は更にスループットを向上させる場合がある自動化又は半自動化の様式において実施してよい。例えば、分化した細胞をES細胞から作製する場合、残留ES細胞が幾らかでも細胞集団中に残存しているかどうかを調べることが望ましく、そしてES細胞の比率が予め設定された何らかの閾値を超過していれば所定ロットの細胞を廃棄してよい。数時間の作業の負担のみにより分化した細胞の各ロットから数百万の代表的な細胞を検査でき、残留ES細胞の非存在の大きく向上した保証を与えることができる。
任意に多数の細胞を検査できるため、本発明の方法の実施形態は潜在的に無限の感度を有する。
例示される実施形態においては、細胞を高密度で、しかし最も好ましくは単層を超えない密度で(細胞の顕微鏡観察を簡単にするため)プレーティングし、これはフィーダー細胞の単層の上にあってよく、そして次に、可視光下に検出可能な第1のマーカー及び紫外光下に検出可能な第2のマーカーを包含する標的細胞型の2つ以上の特徴的マーカーの存在に関して染色する。プレーティングされた細胞を次に可視光下に顕微鏡観察することにより第1のマーカーを発現している細胞を検出する。プレーティングされた細胞の一角から出発し、オペレーター(又は自動化システム)は全プレートに渡ってスキャンし、そして重複トラックに戻り、これにより確実に各細胞が検査されるようにする。可視光を使用
するため、未染色の細胞が目視可能であり、そして焦点面を必要に応じて調節することにより、プレーティングされた細胞を視野に渡って移動させる際に細胞が焦点内に残存できるようにする。可視光の使用は又、紫外光下に起こりえる光脱色を防止する。可視光下のスキャンは又、比較的低倍率で実施でき、これにより各顕微鏡視野中に観察される細胞数を増大でき、そしてスループットを上昇できる。次に第1のマーカーに関して陽性である細胞を紫外光下に検査することにより、これらの細胞が第2のマーカーも発現するかどうか調べる。マーカーの選択は多能性細胞におけるそれらの知られた発現に基づいてよく:例えばアルカリホスファターゼ(これは可視光でプレート全体を「スキャン」するために使用されるマーカーとしてES細胞と共に使用してよい)はES細胞中、それらが分化を開始する時に他のマーカーよりも長く在留することが知られている。即ち、細胞がアルカリホスファターゼに関して陽性である場合、それは第2のマーカーに関して陽性又は陰性である場合があり、そしてそのため、第1及び第2のマーカーに関して陽性である細胞はhES細胞であると考えられる。好ましくは(hES細胞に関してAP及びOct−4の場合と同様)第1のマーカーは標的細胞を頑健に染色する(それが他の細胞も同様に染色する可能性があるとしても)ことにより第2のマーカーに関して陽性である可能性があるが、第1のマーカーの発現は低いか検出不可能である細胞を観察する機会を逃すことを回避する。典型的には、写真の比較により重複視野中で観察される細胞の二重計上を回避できるように陽性細胞を写真撮影する。プレーティングされた細胞の総数は、1つ以上の代表的な顕微鏡視野の各々における全ての細胞を計数すること、及び、計数した総プレーティング面積の割合で計数した細胞数を割ることにより、求められる。最終的に、検出された標的細胞の数は検査した細胞の総数の比率として表示される。
これらのマーカーは集団中の他の細胞型から標的細胞を区別するために選択される。例えば標的細胞がhES細胞であり、そして、集団における他の細胞型がヒトRPE細胞である場合、第1のマーカーはアルカリホスファターゼであってよく、そして第2のマーカーはOct−4であってよい。これらの方法と共に使用してよい他の例示されるhES細胞マーカーはNanog、期特異的胚性抗原−3(SSEA−3)、期特異的胚性抗原−4(SSEA−4)、TRA−1−60、TRA−1−81、TRA−2−49/6E、Sox2、成長分化因子3(GDF3)、低下発現1(REX1)、線維芽細胞成長因子4(FGF4)、胚細胞特異的遺伝子1(ESG1)、発生多能性関連2(DPPA2)、DPPA4、テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、SALL4、E−CADHERIN、クラスター指定30(CD30)、Cripto(TDGF−1)、GCTM−2、Genesis、生殖細胞核因子、及び幹細胞因子(SCF又はc−Kitリガンド)を包含する。本発明の方法は少なくとも2つのマーカーを利用し、そして、細胞が標的型のものであるかどうかを更に確認するかもしれない3つ、4つ、5つ、6つ等のマーカーを利用してもよい。
追加的な例示される実施形態においては、標的細胞は癌幹細胞であり、そして参照により全体が本明細書に組み込まれる以下の米国特許出願公開20100169990、20090004205、20080194022、20080178305、20080175870、20080064049、20070297983、20070259969、20070231325、20070212737、20070190647、20060073125、20060051325、20040037815及び20020119565の1つに開示されているマーカー1つ以上に関する染色により検出される。
好ましくは、細胞は標的細胞型の維持に好都合な条件下にプレーティングされる。そのような条件下にプレーティングすることにより、標的細胞型を培養物中でより保持しやすくなり、そして方法の感度が向上するはずである。例えば、標的細胞がhES細胞である場合、多能性状態にhES細胞を維持することがわかっている条件下に細胞をプレーティングしてよい。例示される培養条件は、放射線照射、又はマイトマイシンCによる前処理
、又は当該分野で知られた他の方法により有糸分裂的に不活性化されていてよいフィーダー細胞上、又はフィーダー細胞によりコンディショニングされた培地中にプレーティングすることを包含する。多くの適当なフィーダー細胞型が当該分野で知られており、例えば一次線維芽細胞培養物、例えばネズミ胚性線維芽細胞(MEF)、ヒト成人皮膚線維芽細胞、STO細胞、その他が包含される。ES細胞のフィーダーフリーの維持のための培養条件は当該分野で知られており、そして、マトリゲル、ラミニン、副腎皮質刺激ホルモン、コンディショニング培地、又は何れかのこれらの組み合わせを包含してよい。フィーダーフリー培地を包含する例示されるES細胞の培地は参照により各々の全体が本明細書に組み込まれるCarpenter等、Dev Dyn. 2004 Feb;229(2):243-58; Xu等、Nat Biotechnol. 2001Oct;19(10):971-4; Rosler等、Dev Dyn. 2004 Feb;229(2):259-74; and Amit等、BiolReprod.2004 Mar;70(3):837-45;WO01/51616;米国特許6,800,480
;米国特許出願公開2009/0275128;米国特許出願公開2008/0064099;及び米国特許出願公開2007/0160974に記載されている。
好ましくは、方法は例えば「スパイキング実験」によりその感度を調べるためにバリデーションされ、その場合、所定数量の標的細胞型細胞を集団に添加し、次にこれを要件方法を用いて圧制することにより標的細胞型の細胞を検出する。標的細胞の所定数量を含有する集団の使用は、アッセイにより標的細胞を検出する前の存在すべき標的細胞の最小限の数量、又はアッセイの検出限界、例えば、平均において標的細胞型のものでなければならない集団の最小限のパーセンテージの測定を可能にする。検出限界はアッセイにおいて検出することができる標的細胞型の細胞の最小限の比率を示す比又は割合として標示してよい(例えば細胞600,000個中5個又は0.0008%)。
方法はアッセイの感度又は検出限界を補正するために使用できる補正ファクターを求める工程を包含してよい。例えば、標的細胞はアッセイを実施する前の培養中に損失が生じる場合がある(例えば標的細胞が他の細胞型に分化する場合がある)。標的型の細胞の所定の数量をスパイキング実験と同じ条件下に、ただし、集団中の細胞の他の型の非存在下でプレーティングしてよい(ただし、フィーダー細胞が培養条件の一部である場合は、それらは存在してよい)。例えば、標的細胞とは異なる種のフィーダー細胞が存在する場合、標的細胞の特異的マーカーを失っている細胞を検出する標的細胞の種の細胞を特異的に識別する種特異的抗体で細胞を染色してよい。この培養の後、培養物を検査すればアッセイで使用した標的細胞マーカーの発現を保持している標的細胞の割合を求めることができ、これによりプレーティングした細胞の数及び検出に使用した表現型を保持している数との間の関係を明確化する「補正ファクター」を求めることができる。例えば、標的細胞の50%がこれらの条件下にアッセイした標的細胞マーカーの発現を失うことが解った場合、標的細胞の有効数(例えばスパイキング実験における検出限界を計算するために使用)は相応に減少する。即ち、「スパイキング」実験において、アッセイは集団中の百万個の細胞当たり10個もの少数の添加標的細胞を検出できるが、標的細胞の50%が検出される表現型を培養の間に失うことが示された場合、アッセイの検出の補正された限界は集団中に実際に存在し続ける標的細胞の数を反映するためには、10百万個中5個の細胞と計算してよい。
更に又、方法は好ましくは、集団に存在し続け、そして検出のために使用される標的細胞マーカーの発現を保持する標的細胞の数を最大限にする試料調製を採用する。追加的な例示される実施形態は、選択されたマーカーの標的細胞による発現を温存する培養条件を発見する方法を提供し、これは種々の培養条件下に標的細胞をプレーティングすること、各培養条件下の標的細胞に特徴的なマーカー1つ以上の発現を保持している標的細胞の割合を確認すること、及び、選択されたマーカーの標的細胞による発現を温存している培養条件として、より高い割合を保持している培養条件を認定することを含む。例えば、本開示は、hES細胞を検出するためには、hES細胞マーカー(そしてこれにより、アッセ
イの感度)の保持はRPE細胞培養条件(MEFの非存在、及びhES細胞が分化する培地)よりは寧ろhES細胞培養条件(hES細胞培地上の培養)を使用することにより、大きく向上することを明らかにしている。
マーカーは、可視光下に検出可能である少なくとも1つ染色及び紫外光下に検出可能な別のマーカーを用いながら検出してよい。可視光下に検出可能なマーカーは酵素活性に基づいて検出可能であってよい。可視光下に検出可能な着色された生成物を生成することができる酵素の例は、アルカリホスファターゼ、パーオキシダーゼ(例えばセイヨウワサビパーオキシダーゼ)、及びβ−ガラクトシダーゼを包含する。これらの酵素は標的細胞により発現されてよく、又は、標的細胞に結合する分子(例えば一次又は二次抗体)にカップリングしてよい。
本発明の開示の実施形態において使用してよい可視光下に検出可能な1つのマーカーはアルカリホスファターゼであり、これはその酵素活性に基づいて染色してよい。アルカリホスファターゼは内因性に発現されるか、抗体にカップリングされるか、又は両方であってよい。可視光下に検出可能な生成物を生成するためのアルカリホスファターゼ染色のためには多くの基質を使用することができ、例えば基質としてのナフトールAS−BIホスフェート及び比色読み取りとしてのファーストレッド染料(例えばStemgent(登録商標)アルカリホスファターゼ(AP)染色キットIIを使用); ブロモ−クロロ−イ
ンドリルホスフェート(BCIP)及びニトロブルーテトラゾリウム(NBT/チアゾリルブルー/ニトロBT)(例えばアルカリホスファターゼブルーマイクロウエル基質(SIGMA−ALDRICH(登録商標)));BCIP試薬及びINTX試薬(SIGM
A−ALDRICH(登録商標));ナフトールAS−BI及びファーストレッドバイオレットLB(例えば白血球アルカリホスファターゼキット(SIGMA−ALDRICH(登録商標)が包含され;沈殿を形成する基質はテトラゾリウム塩の還元又は着色されたジアゾ化合物の生成の何れかに基づいている(例えばVECTOR(登録商標)Red、VECTOR(登録商標)Blue、Vector(登録商標)Black、p−ニトロフェニルホスフェート、BCIP/NBTAP基質キット、及び5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウム)。場合により、アルカリホスファターゼ阻害剤、例えばレバミソール((S)−6−フェニル−2,3,5,6−テトラヒドロイミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール)又は熱処理を使用することにより望ましくないバックグラウンドのアルカリホスファターゼ活性を阻害してよい。
本開示の実施形態において使用してよい可視光下に検出可能な別のマーカーはその酵素活性に基づいて染色してよいセイヨウワサビパーオキシダーゼ(HRP)のようなパーオキシダーゼである。パーオキシダーゼは内因性に発現されるか、抗体にカップリングされるか、両方であってよい。パーオキシダーゼは発色性基質の着色された分子への変換を触媒することができる。例示されるパーオキシダーゼ基質は3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB);3,3’−ジアミノベンジジン(DAB);3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC);4−クロロ−1−ナフトール;2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS);2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロリド;2−クロロ−5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン;3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン;3,3′−ジアミノベンジジンテトラクロリド;3−ニトロテトラゾリウムブルークロリド;4−アミノフタルヒドラジド;4−クロロ−1−ナフトール;4−クロロ−7−ニトロベンゾフラザン;5−アミノサリチル酸;2塩酸ジカルボキシジン;グアイアコール;過酸化水素−尿素付加物;ヨードニトロテトラゾリウムクロリド;ルミノール;MTTホルマザン;N−(4−アミノブチル)−N−エチルイソルミノール;N−(6−アミノヘキシル)−N−エチルイソルミノール;ニトロテトラゾリウムブルークロリド;ピロガロール;テトラニトロブルーテトラゾリウムクロリド;テトラゾリウムブルークロリド指示薬;テトラゾリウムバイオレ
ット;o−ジアニシジン;o−ジアニシジン2塩酸塩;o−フェニレンジアミン2塩酸塩;o−フェニレンジアミン遊離塩基;及びトランス−5−フェニル−4−ペンテニルヒドロパーオキシドを包含する。
本開示の実施形態において使用してよい可視光下に検出可能な別のマーカーは酵素活性に基づいて染色してよいβ−ガラクトシダーゼである。β−ガラクトシダーゼは内因性に発現されるか、抗体にカップリングされるか、両方であってよい。β−ガラクトシダーゼは発色性基質の着色された分子への変換を触媒することができる。例示されるβ−ガラクトシダーゼ基質は1−メチル−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド;2−ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシド;4−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド;4−ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド;6−ブロモ−2−ナフチルβ−D−ガラクトピラノシド;6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド;フルオレセインジ(β−D−ガラクトピラノシド);及びレゾルフィンβ−D−ガラクトピラノシドを包含する。
抗体を染色の成分として使用する場合、マーカーを抗体に直接又は間接的にカップリングすることができる。間接的カップリングの例はアビジン/ビオチンカップリング、二次抗体を介したカップリング、及びこれらの組み合わせを包含する。例えば、細胞は標的特異的抗原に結合する一次抗体で染色してよく、そして
一次抗体又は一次抗体にカップリングした分子に結合する二次抗体を検出可能なマーカーにカップリングすることができる。間接的カップリングの使用は例えばバックグラウンド結合を低減すること、及び/又は、シグナル増幅をもたらすことにより、シグナル対ノイズ比を向上させることができる。
可視光下に検出可能な他の染色は金、銀又はラテックスを包含する粒子を包含する。例えば、粒子は一次又は二次抗体に直接又は間接的にカップリングしてよく、又は別様に標的細胞に結合してよい。場合により、染色はイムノ金銀染色を用いて増強してよく、その場合、細胞はコロイド状の金にカップリング下抗体で染色され、そして金粒子は銀沈殿反応法を用いて顕在化される(Holgate等、J Histochem Cytochem. 1983 Jul;31(7):938-44)。
本発明の方法の例示される実施形態は、蛍光分子、例えば臭化エチジウム、SYBRグリーン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、DyLightFluors、緑色蛍光蛋白(GFP)、TRIT(テトラメチルローダミンイソチオール)、NBD(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1, 3−ジアゾール)、テキサスレッド染料、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、クレジルファーストバイオレット、クレジルブルーバイオレット、ブリリアントクレジルブルー、p−アミノ安息香酸、エリスロシン、ビオチン、ジゴキシゲニン、5−カルボキシ−4',5'−ジクロロ−2', 7'−ジメトキシフル
オレセイン、TET(6−カルボキシ−2', 4, 7, 7'−テトラクロロフルオレセイン)、HEX(6−カルボキシ−2',4, 4', 5', 7, 7'−ヘキサクロロフルオレセイ
ン)、Joe(6−カルボキシ−4', 5'−ジクロロ−2', 7'−ジメトキシフルオレセイン)、5−カルボキシ−2',4', 5', 7'−テトラクロロフルオレセイン、5−カル
ボキシフルオレセイン、5−カルボキシローダミン、Tamra(テトラメチルローダミン)、6−カルボキシローダミン、Rox(カルボキシ−X−ローダミン)、R6G(ローダミン6G)、フタロシアニン類、アゾメチン類、シアニン類(例えばCy3、Cy3.5、Cy5)、キサンチン類、スクシニルフルオレセイン類、N,N−ジエチル−4−(5'−アゾベンゾトリアゾリル)−フェニルアミン及びアミノアクリジンにカップリン
グした抗体を利用する。他の例示される蛍光分子は特許文献[例えば参照により各々全体
が本明細書に組み込まれる米国特許6,207,299、6,322,901、6,576,291、6,649,138(混合疎水性/親水性重合体転移剤が量子ドットの表面に結合している表面修飾法)、米国特許6,682,596、6,815,064(合金又は混合シェルに関する)]、及び技術文献[例えば"Alternative Routes toward High Quality CdSe Nanocrystals, " (Qu等、NanoLett., 1(6):333-337 (2001)]に記載されている量子ドットを包含する。種々の表面化学及び蛍光特性を有する量子ドットが特にInvitrogen Corporation,Eugene,Oreg.,Evident
Technologies(Troy,N.Y.)及びQuantum Dot Corporation(Hayward,Calif.)から販売されている。量子ドットは又、合金化された量子ドット、例えばZnSSe、ZnSeTe、ZnSTe、CdSSe、CdSeTe、ScSTe、HgSSe、HgSeTe、HgSTe、ZnCdS、ZnCdSe、ZnCdTe、ZnHgS、ZnHgSe、ZnHgTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、ZnCdSSe、ZnHgSSe、ZnCdSeTe、ZnHgSeTe、CdHgSSe、CdHgSeTe、InGaAs、GaAlAs及びInGaNを包含する。合金化量子ドット及びそれを作製するための方法は、例えば、米国特許出願公開2005/0012182及びPCT公開WO2005/001889に開示されている。
本開示は分化RPE細胞集団中のヒト胚性幹細胞の高感度な検出を説明している例示される実施形態を与えるが、他の細胞型を検出するため、又はヒト以外の種を用いる場合にも容易に適合させることができる。例えば、これらの方法は他の細胞型、例えば他の幹細胞型、癌細胞、フィーダー細胞、異種細胞、又は特徴的なマーカーを発現する他のいずれかの細胞型と共に使用してよい。同様に、これらの方法はヒト、非ヒト霊長類、レイヨウ、ウシ、ラクダ、ネコ、マメジカ(ネズミジカ)、チンパンジー、乳牛、シカ、イヌ、キリン、ヤギ、モルモット、ハムスター、カバ、ウマ、ヒト、マウス、非ヒト霊長類、ヒツジ類、イノシシ、ブタ、プロングホーン、ウサギ、ラット、マカク、サイ、ヒツジ、バク、及び有蹄類、又は何れかの他の哺乳類又は非哺乳類細胞型とともに使用してよい。
標的細胞(例えば幹細胞)は、幹細胞マーカー1つ以上の発現により識別してよい。標的細胞マーカー1つ以上(例えばマーカー2つ、マーカー3つ、マーカー4つ等)の発現を試験することにより、標的細胞マーカーを発現している細胞が実際に標的細胞であることを更に保証することが望ましい場合がある。例えば種々異なるマーカーに対する抗体の「カクテル」を各々同じ標識か、又は異なる標識にカップリングさせてよい(直接又は間接的)。一例として、種々異なるマーカーに対する抗体のカクテルは、各々、同じ標識に結合する結合モチーフを含有してよい(例えば、各々が同じ二次抗体により認識される同じ種のFcを含有してよく、又は、各々がビオチニル化され、そして同じアビジンカップリング標識により特異的に結合されてよい)。場合により、2つ以上の異なる抗体、又は抗体のカクテルを利用してよい。好ましくは、相互に区別可能である少なくとも2つの標識を用いて細胞を染色することにより、標的細胞型の少なくとも2つの異なるマーカーを発現する細胞の発見を可能とすることができる。細胞は又、相互に区別可能である少なくとも3つ、4つ、5つ、又はそれより多い異なる標識を用いて細胞を染色することにより、より多くの標的細胞型のマーカーを発現する細胞の検出を可能にしてもよい。場合により、細胞は、それがマーカーの予め選択された数、又はマーカーの特定の予め選択された組み合わせを発現する場合、標的型の細胞として識別されてよい。
更に又、標的細胞型のマーカーは、それらが集団において標的細胞の他の細胞からの区別を可能にする限り、標的細胞にユニークなものである必要はない。例えば、アルカリホスファターゼは、RPEの集団内において、他の細胞型もアルカリホスファターゼを発現する場合であっても、アルカリホスファターゼは通常はRPEにより発現されないため、hES細胞を検出するための適当なマーカーとして使用してよい。
例示される胚性幹細胞マーカーは、アルカリホスファターゼ、Oct−4、Nanog、期特異的胚性抗原−3(SSEA−3)、期特異的胚性抗原−4(SSEA−4)、TRA−1−60、TRA−1−81、TRA−2−49/6E、Sox2、成長分化因子3(GDF3)、低下発現1(REX1)、線維芽細胞成長因子4(FGF4)、胚細胞特異的遺伝子1(ESG1)、発生多能性関連2(DPPA2)、DPPA4、テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、SALL4、E−CADHERIN、クラスター指定30(CD30)、Cripto(TDGF−1)、GCTM−2、Genesis、生殖細胞核因子、及び幹細胞因子(SCF又はc−Kitリガンド)を包含する。
一部の例示される細胞型に関しては、細胞は所定のマーカーに関して、そのマーカーが細胞内部で特徴的な局在性又はパターンを呈する場合にのみ、陽性であると見なされる。例えば、細胞骨格マーカーが細胞骨格中に存在する場合に「陽性」、そして何らかの散在する細胞質の染色がある場合に「陰性」と見なしてよい。そのような場合、細胞内部に特徴的な局在性又はパターンを樹立するために適当な条件下で細胞を培養してよい(例えば接着培養)。所定のマーカーの頑健な検出のために必要である場合がある細胞骨格組み立て(又は細胞未満の組織化を樹立するための他のプロセス)のために適する培養条件及び時間は、当業者により容易に決定される。更に又、頑健な染色に至る前条件としての接着培養の必要性を低減又は排除するようなマーカーが容易に選択される。例えば、非接着細胞集団は、サイトスピン様の操作(この場合、細胞はそれらの正常な形態を失い、その間、遠心力によりスライド上に押し潰される)の後に染色してよく;そのような状況下で使用する場合に適するマーカーは良く知られており、又は容易に発見できる。
上記した幹細胞マーカーに加えて、本開示の方法は他の細胞型と共に使用してよい。本開示の方法の実施形態に従って使用できる他の例示される細胞集団又は標的細胞型に対するマーカーを下記の表1に列挙する。
RPE細胞はRPE細胞マーカーを発現してよい。例えばRPE細胞遺伝子、RPE65、PAX2、PAX6、及びチロシナーゼ、ベストロフィン、PEDF、CRALBP、Otx2、及びMITFの発現レベルは天然に存在するRPE細胞におけるものと等価であってよい。RPE細胞の成熟度レベルはPAX2、PAX6及びチロシナーゼの少なくとも1つの発現、又はそれらの各々の発現レベルにより評価してよい。
一方、RPE細胞はES細胞マーカーを発現しなくてもよい。例えばES細胞遺伝子Oct−4、NANOG及び/又はRex1の発現レベルはES細胞よりもRPE細胞において約100〜1000倍低値であってよい。例えばRPE細胞は、オクタマー結合転写因子4(Oct−4、a.k.a.、POU5F1)、期特異的胚性抗原(SSEA)3
及びSSEA4、腫瘍拒絶抗原(TRA)−1−60、TRA−1−80、アルカリホスファターゼ、NANOG、及びRex1を包含するがこれらに限定されないES細胞マーカーの発現を実質的に欠いていてもよい。即ち、ES細胞と比較してRPE細胞はOct−4、NANONG及び/又はRex1の発現を実質的に欠いている。
RPE細胞の調製
本発明はRPE細胞及び存在する他の性細胞の数又は割合を示すインジケーターの調製物を提供し、この場合、そのインジケーターの値は該調製物中の細胞を代表する細胞集団に本明細書に記載した方法を適用することにより求めてよい。本明細書に記載した本発明はRPE細胞、RPE細胞の実質的に精製された集団、RPE細胞を含む医薬調製物、及びRPE細胞の低温保存された調製物を提供する。本明細書に記載したRPE細胞は少なくとも1つの蛋白、分子、又はその天然の環境において存在する他の夾雑物を実質的に伴わなくてよい(例えば「単離されている」)。RPE細胞は哺乳類の、例えばヒトのRP
E細胞をであってよい。本発明は又、ヒトRPE細胞、ヒトRPE細胞の実質的に精製された集団、ヒトRPE細胞を含む医薬調製物、及びヒトRPE細胞の低温保存された調製物を提供する。調製物は、ヒト胚性幹細胞誘導RPE細胞、ヒトiPS細胞誘導RPE細胞を含む調製物、及び、分化したES細胞誘導RPE細胞を含む実質的に精製された(非RPE細胞に関して)調製物であってよい。
RPE細胞集団は成熟度の種々のレベルの分化RPE細胞を包含してよく、又は、成熟度の特定のレベルの分化RPE細胞に関して実質的に純粋であってよい。RPE細胞は成熟度/色素沈着の種々のレベルのRPE細胞を含む実質的に精製された調製物であってよい。例えばRPE細胞の実質的に精製された培養物は、分化RPE細胞及び成熟分化RPE細胞の両方を含有してよい。成熟RPE細胞の間で、色素のレベルは、種々多様であってよい。しかしながら、成熟RPE細胞は、色素沈着の上昇したレベル及びより柱様の形状に基づいてRPE細胞からは目視により区別可能であってよい。RPE細胞の実質的に精製された調製物は成熟度の種々異なるレベルのRPE細胞を含む(例えば分化RPE細胞及び成熟分化RPE細胞)。そのような場合、色素沈着を示すマーカーの発現に関しては、調製ごとに変動が生じる場合がある。細胞培養におけるRPE細胞の色素沈着は均質であってよい。更に又、細胞培養におけるRPE細胞の色素沈着は不均質であってよく、そしてRPE細胞の培養物は分化RPE細胞及び成熟RPE細胞の両方を含んでよい。RPE細胞を含む調製物は非RPE細胞型に関しては実質的に純粋であるが、分化RPE細胞と成熟分化RPE細胞の混合物を含有する調製物を包含する。RPE細胞を含む調製物は又、非RPE細胞型に関し、そして、成熟度の他のレベルのRPE細胞に関し、共に実質的に純粋である調製物を包含する。
培養物中の成熟分化RPE細胞のパーセンテージは培養物の密度を低下させることにより低下させてよい。即ち、本明細書に記載した方法は更に、より少ないパーセンテージの成熟RPE細胞を含有する培養物を製造するために成熟RPE細胞の集団を継代培養することを含んでよい。調製物中のRPE細胞の数は成熟度のレベルに関わらず、そして分化RPE細胞及び成熟分化RPE細胞の相対的パーセンテージに関わらず、分化したRPE細胞を包含する。調製物中のRPE細胞の数は分化RPE細胞又は成熟RPE細胞の何れかの数を指す。調製物は少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の分化RPE細胞を含んでよい。調製物は少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の成熟RPE細胞を含んでよい。RPE細胞調製物は分化RPE細胞と成熟RPE細胞の混合集団を含んでよい。
本発明は色素沈着した、そして、ヒトRPEではない細胞中では発現されない遺伝子少なくとも1つを発現するヒトRPE細胞を含む細胞培養物を提供する。例えば、このようなRPE細胞は天然のヒトRPE細胞と実質的に同じRPE65、PEDF、CRALBP及びベストロフィンの発現を有する場合がある。RPE細胞はPAX2、Pax6、MITF及び/又はチロシナーゼの1つ以上の発現に関して、成熟度のレベルに応じて種々多様である場合がある。分化後色素沈着のこのような変動は又、PAX2の発現の変化と相関している。成熟RPE細胞は色素沈着のレベル、PAX2、Pax6及び/又はチロシナーゼの発現レベルにより、RPE細胞から区別してよい。例えば成熟RPE細胞はRPE細胞と比較した場合により高いレベルの色素沈着、又はより高いレベルのPAX2、Pax6及び/又はチロシナーゼの発現を有してよい。
調製物は非RPE細胞に関して実質的に精製されており、少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のRPE細胞を含んでよい。RPE細胞調製物は非RPE細胞を本
質的に含有しないか、又はRPE細胞よりなるものであってよい。例えば、RPE細胞の実質的に精製された調製物は約25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%未満の非RPE細胞型を含んでよい。例えばRPE細胞調製物は約25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%又は0.0001%未満の非RPE細胞を含んでよい。
RPE細胞調製物は、非RPE細胞に関し、そして他の成熟度レベルのRPE細胞に関し、共に実質的に純粋であってよい。調製物は、非RPE細胞に関して実質的に精製されており、そして成熟RPE細胞に関してリッチ化されていてよい。例えば、成熟RPE細胞に関してリッチ化されたRPE細胞調製物中、少なくとも約30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99%又は100%のRPE細胞が成熟RPE細胞である。調製物は非RPE細胞に関して実質的に精製されており、そして成熟RPE細胞ではなく分化RPE細胞に関してリッチ化されていてよい。例えば、少なくとも約30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のRPE細胞が成熟RPE細胞ではなく分化RPE細胞であってよい。
RPE細胞調製物は、少なくとも約1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x1010、2x1010、3x1010、4x1010、5x1010、6x1010、7x1010、8x1010又は9x1010個のRPE細胞を含んでよい。RPE細胞調製物は、少なくとも約5,000〜10,000、50,000〜100,000、100,000〜200,000、200,000〜500,000、300,000〜500,000又は400,000〜500,000個のRPE細胞を含んでよい。RPE細胞調製物は少なくとも約20,000〜50,000個のRPE細胞を含んでよい。また、RPE細胞調製物は少なくとも約5,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、75,000、80,000、100,000又は500,000個のRPE細胞を含んでよい。
RPE細胞調製物は、少なくとも約1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x1
、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x1010、2x1010、3x1010、4x1010、5x1010、6x1010、7x1010、8x1010又は9x1010個/mlのRPE細胞を含んでよい。RPE細胞調製物は、少なくとも約5,000〜10,000、50,000〜100,000、100,000〜200,000、200,000〜500,000、300,000〜500,000又は400,000〜500,000個/mlのRPE細胞を含んでよい。RPE細胞調製物は少なくとも約20,000〜50,000個/mlのRPE細胞を含んでよい。また、RPE細胞調製物は少なくとも約5,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、75,000、80,000、100,000又は500,000個/mlのRPE細胞を含んでよい。
本明細書に記載した調製物は細菌、ウィルス又はカビの汚染又は感染、例えば限定しないがHIV1、HIV2、HBV、HCV、CMV、HTLV1、HTLV2、パルボウィルスB19、エプスタイン−バーウィルス又はヘルペスウィルス6の存在を実質的に伴わなくてよい。本明細書に記載した調製物はマイコプラズマの汚染又は感染を実質的に伴わなくてよい。
本明細書に記載したRPE細胞は又、移植後に機能性RPE細胞として作用してよく、その場合、RPE細胞は移植細胞を受けた患者において神経感覚網膜と脈絡膜の間に単層を形成する。RPE細胞は又、隣接する光受容体に栄養を供給し、そして貪食作用により使用済みの光受容体外部セグメントを廃棄する場合がある。更に又、本明細書に記載するRPE細胞は眼のドナーに由来する細胞よりも老化が遅い場合がある(例えばRPE細胞は眼のドナーのものよりも「より幼若」である)。これにより、本明細書に記載したRPE細胞は眼ドナーに由来する細胞よりも長い寿命を有することができる。
RPE細胞を含む調製物はGood Manufacturing Practices(GMP)(例えば調製物はGMP遵守である)及び/又は現行のGood Tissue Practices(GTP)(例えば調製物はGTP遵守であってよい)に従っ
て調製してよい。
RPE細胞培養
本発明は又、ヒトRPE細胞を包含するRPE細胞の実質的に精製された培養物及び存在する多能性の数又は割合を示すインジケーターを提供し、この場合、該インジケーターの値は該培養物中の細胞の代表的な細胞集団に本明細書に記載した方法を適用することにより求めてよい。本明細書に記載したRPE培養物は少なくとも約1,000;2,000;3,000;4,000;5,000;6,000;7,000;8,000;又は9,000個のRPE細胞を含んでよい。培養物は、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x
10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x1010、2x1010、3x1010、4x1010、5x1010、6x1010、7x1010、8x1010又は9x1010個のRPE細胞を含んでよい。
RPE細胞は成熟RPE細胞の培養物を生産するためにさらに培養してよい。RPE細胞は成熟であってよく、そしてRPE細胞を例えばMDBKMM培地中で更に培養することにより、所望のレベルの成熟度としてよい。これは成熟化の間、色素沈着レベルの上昇をモニタリングすることにより行ってよい。MDBKMM培地の代替として、機能的に等価又は同様の培地を使用してよい。RPE細胞を成熟させるために使用する特定の培地とは関わり無く、培地には場合により成長因子又は剤を補給してよい。RPE細胞及び成熟RPE細胞の両方が分化RPE細胞である。しかしながら、成熟RPE細胞は分化RPE細胞と比較して上昇したレベルの色素を特徴としている。成熟度及び色素沈着のレベルは分化RPE細胞の培養物の密度を上昇又は低下させることにより調節してよい。即ち、RPE細胞の培養物を更に培養することにより成熟RPE細胞を生産してよい。或いは、成熟RPE細胞を含有する培養物の密度を低下させることにより成熟分化RPE細胞のパーセンテージを低下させ、そして分化RPE細胞のパーセンテージを上昇させてよい。
RPE細胞は、そのような細胞のメッセンジャーRNA転写物をインビボで誘導された細胞と比較することにより識別してよい。細胞の小分量を胚性幹細胞からRPE細胞への分化の間に種々の時間間隔で採取し、そして上記したマーカーの何れかの発現に関してアッセイする。これらの特徴は分化RPE細胞を区別可能とする。
RPE細胞培養物は少なくとも約30%、35%、40%又は45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の分化RPE細胞を含む実質的に精製された培養物であってよい。実質的に精製された培養物は少なくとも約30%、35%、40%又は45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の成熟分化RPE細胞を含んでよい。
RPE細胞培養物はGood Manufacturing Practices(GMP)(例えば培養物はGMP遵守である)及び/又は現行のGood Tissue Practices(GTP)(例えば培養物はGTP遵守であってよい)に従って調製
してよい。
RPE細胞の低温保存調製物
RPE細胞は保存のために凍結してよい。例えば、RPE細胞集団の一部分を本明細書に記載した方法で分析することにより集団中の何れかの残留hES細胞の存在を検出してよく、そして集団の残余を凍結保存することにより、細胞集団中のhES細胞の概算濃度を求めることができる。凍結されたRPE細胞は集団中で検出されたhES細胞の数又は濃度を示すか、又は、別様にアッセイの結果を示すインジケーター、例えばhES細胞の検出数又は濃度が樹立された販売閾値より低値であるため細胞が使用に適すると見なされることから細胞がhES細胞夾雑に関する試験に「合格した」ことを示すインジケーターと関連されていて良い。
RPE細胞は当該分野で知られている何れかの適切な方法(例えば低温凍結)で保存してよく、そして細胞の保存に適する何れかの温度で凍結してよい。例えば、細胞は約−20℃、−80℃、−120℃、−130℃、−135℃、−140℃、−150℃、−160℃、−170℃、−180℃、−190℃、−196°C、細胞の保存に適する何れ
かの他の温度で凍結してよい。低温凍結された細胞は適切な容器中に保存し、そして細胞の損傷の危険性を低減し、そして細胞が解凍に耐えうる可能性を最大限とするために保存用に調製してよい。RPE細胞は分化の直後、インビトロ成熟化の後、又はある培養期間の後に低温保存してよい。RPE細胞は又、室温に維持するか、又は例えば約4℃で冷蔵してもよい。
RPE細胞を低温保存する方法も同様に提供される。RPE細胞は採取し、緩衝液又は培地で洗浄、計数、濃縮(遠心分離を介して)、凍結媒体(例えば90%FBS/10%DMSO)中に製剤するか、これらの工程の何れかの組み合わせに付してよい。例えば、RPE細胞を数個の培養容器中に播種し、連続増殖させてよい。RPE細胞を採取して約4℃でFBS中に維持し、数個のフラスコのRPE細胞を合わせて単一ロットとする。RPE細胞はまた、少なくとも1、2、3、4又は5回食塩水(例えばDPBS)で洗浄してもよい。更に又、ジストロフィンを細胞膜で組織化させ、PAX6発現が低値となった後にRPE細胞を低温保存してよい。更に、バイアルを一次及び/又は二次ラベルによりラベル貼付してよい。ラベル上の情報は細胞型(例えばhRPE細胞)、ロット番号及び日付、細胞数(例えば細胞1x10個/mL)、有効期限(例えばバイアルを消費すべき最終日)、製造情報(例えば名称及び住所)、警告及び保存手段(例えば液体窒素中の保存)を包含してよい。
本明細書に記載した低温保存されたRPE細胞調製物は少なくとも約50,000〜100,000個のRPE細胞を含んでよい。低温保存されたRPE細胞調製物はまた少なくとも約20,000〜500,000個のRPE細胞を含んでよい。また、低温保存されたRPE細胞調製物は少なくとも約5,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、75,000、80,000又は100,000個のRPE細胞を含んでよい。低温保存されたRPE細胞調製物は、少なくとも約1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、75,000、80,000、100,000又は500,000個のRPE細胞を含んでよい。低温保存されたRPE細胞調製物は、少なくとも約1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10又は9x10個のRPE細胞を含んでよい。低温保存されたRPE細胞集団のRPE細胞は哺乳類RPE細胞、例えばヒトRPE細胞であってよい。
更に又、本明細書に記載した低温保存されたRPE細胞調製物は少なくとも約50,000〜100,000個/mlのRPE細胞を含んでよい。低温保存されたRPE細胞調製物はまた少なくとも約20,000〜500,000個/mlのRPE細胞を含んでよい。また、低温保存されたRPE細胞調製物は少なくとも約5,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、75,000、80,000又は100,000個/mlのRPE細胞を含んでよい。低温保存されたRPE細胞調製物は、少なくとも約1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、75,000、80,000、100,000又は500,000個
/mlのRPE細胞を含んでよい。低温保存されたRPE細胞調製物は、少なくとも約1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10又は9x10個/mlのRPE細胞を含んでよい。低温保存されたRPE細胞集団のRPE細胞は哺乳類RPE細胞、例えばヒトRPE細胞であってよい。
本発明のRPE細胞は低温保存の後、保存から回復させてよい。低音保存から回復させたRPE細胞は又、その生存性及び分化の状態を維持している。例えばRPE細胞の少なくとも約65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%が低温保存の後、生存性及び分化を保持している場合がある。更に又、本発明のRPE細胞は低温保存され、そして少なくとも約1、2、3、4、5、6又は7日間保存した後にそれらの生存性を維持している場合がある。本発明のRPE細胞は低温保存され、そして少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10,11又は12ヶ月間保存した後にそれらの生存性を維持している場合がある。本発明のRPE細胞は低温保存され、そして少なくとも約1、2、3、4、5、6又は7年間保存した後にそれらの生存性を維持している場合がある。例えば、本発明のRPE細胞は少なくとも約4年間低温保存し、そして少なくとも約80%の生存性を示してよい。RPE細胞を含む低温保存された調製物は実質的にDMSOを含有しない。
RPE細胞を製造する方法
要件方法により分析される細胞集団は多能性幹細胞から生産してよい。生産してよい細胞型はRPE細胞、RPE前駆体細胞、虹彩色素上皮(IPE)細胞、及び他の視力関連神経細胞、例えば介在ニューロン(例えば内核層(INL)の「リレー」ニューロン)及びアマクリン細胞を包含するがこれらに限定されない。更に又、網膜細胞、杆体、錐体、及び角膜細胞も生産してよい。眼の脈管構造を与える細胞もまた本明細書に記載した方法により生産してよい。
特定の理論に制約されないが、本発明者等は、本明細書に記載した方法がFGF、EGF、WNT4、TGF−ベータ、及び/又は、酸化ストレスを通じて作用してMAPキナーゼ及び潜在的CJun末端キナーゼの経路をシグナリングすることによりペアードボックス6(PAX6)転写因子の発現を誘導する可能性があることを発見した。PAX6はPAX2と相乗作用的に作用してMITF及びOtx2の共調を介して成熟RPEを末端分化させることによりチロシナーゼ(Try)のようなRPE特異的遺伝子及びRPE 65、ベストロフィン、CRALBP及びPEDFのような下流の標的を転写する。WO2009/051671の図1を参照できる。
本明細書に記載したRPE細胞はヒト胚性幹細胞のような多能性幹細胞から分化してよく、そして、胚性幹細胞、成人由来RPE細胞、及び胎児由来RPE細胞とは分子的に区別可能であってよい。例えば、本明細書に記載した製造プロセスの工程は、最終RPE細胞産物に対して、これらの細胞がネイティブのRPE細胞に近似しており、そして胎児由
来のRPE細胞又はRPE細胞系統(例えばAPRE19)とは区別可能となるように、区別可能な構造的及び機能的な特性を付与してよい。
RPE細胞を生産するための例示される方法は、(a)多能性幹細胞を準備すること;(b)栄養リッチ低蛋白の培地中で胚様体としての多能性幹細胞を培養すること、ここで培地は場合により血清非含有B27補給物を含むこと;(c)栄養リッチ低蛋白培地中で接着培養物としての胚様体を培養すること、ここで培地は場合により血清非含有B27補給物を含むこと;(d)栄養リッチ低蛋白培地中で(c)の細胞の接着培養物を培養すること、ここで培地は血清非含有B27補給物を含まないこと;(e)高密度体細胞培養物の増殖を支援することができる培地中で(d)の細胞を培養することによりRPE細胞を細胞の培養物中に生じさせること;(f)好ましくは機械的又は化学的に(例えばプロテアーゼ又は他の酵素又は別の解離培地を使用)(e)の培地から細胞又は細胞の凝集物を解離させること;(g)培地からRPE細胞を選択すること、及び、RPE細胞を成長因子を補給した培地を含有する別の培養物中に移行させることによりRPE細胞のリッチ化培養物を作製すること;及び(g)RPE細胞のリッチ化培養物を増殖させることによりRPE細胞を生産すること;を含む。これらの方法の工程はRPE細胞の実質的に精製された培養物を生産するために少なくとも1回実施してよい。更に又、これらの方法の工程はより多くのRPE細胞を生産するために少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上反復してよい。
更に、本発明は又、(a)多能性幹細胞を準備すること;(b)栄養リッチ低蛋白の培地中で胚様体としての多能性幹細胞を培養すること、ここで培地は場合により血清非含有B27補給物を含むこと;(c)栄養リッチ低蛋白培地中で接着培養物としての胚様体を培養すること、ここで培地は場合により血清非含有B27補給物を含むこと;(d)栄養リッチ低蛋白培地中で(c)の細胞の接着培養物を培養すること、ここで培地は血清非含有B27補給物を含まないこと;(e)高密度体細胞培養物の増殖を支援することができる培地中で(d)の細胞を培養することによりRPE細胞を細胞の培養物中に生じさせること;(f)好ましくは機械的又は化学的に(例えばプロテアーゼ又は他の酵素又は別の解離培地を使用)(e)の培地から細胞又は細胞の凝集物を解離させること;(g)培地からRPE細胞を選択すること、及び、RPE細胞を成長因子を補給した培地を含有する別の培養物中に移行させることによりRPE細胞のリッチ化培養物を作製すること;(h)RPE細胞のリッチ化培養物を増殖させること;及び(i)RPE細胞のリッチ化培養物を培養することにより成熟RPE細胞を生産することを含む成熟網膜色素上皮(RPE)細胞を生産するための方法を提供する。これらの方法の工程はRPE細胞の実質的に精製された培養物を生産するために少なくとも1回実施してよい。更に又、これらの方法の工程はより多くのRPE細胞を生産するために少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上反復してよい。
明示した工程の何れかに関して、細胞は少なくとも約1〜10週間培養してよい。例えば細胞は少なくとも約3〜6週間培養してよい。明示した工程の何れかに関して、細胞は約1日〜50日間、例えば少なくとも約1〜3、3〜4、7、4〜9、7〜10、7〜12、8〜11、9〜12、7〜14、14〜21及び3〜45日間培養してよい。細胞は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50日間培養してよい。細胞は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24時間培養してよい。例えば、細胞は2〜4及び3〜6時間培養してよい。上記明示した方法の工程の何れかに関して、細胞は各工程において同じ時間に渡り、又は工程の1つ以上において異なる時間に渡り、培養してよい。更に
又、上記明示した方法の工程の何れも、より多くのRPE細胞を生産するために反復(例えば多数のRPE細胞を生産するためにスケールアップ)してよい。
本明細書に記載した方法において、RPE細胞はEBの接着培養において細胞群から分化する場合がある。RPE細胞はそれらの玉石状の形態及び色素沈着の初期外観に基づいて目視により認識してよい。RPE細胞が分化を継続するに従い、RPE細胞のクラスターが観察される場合がある。
胚様体の培養における非RPE細胞のクラスター群の中からRPE細胞を選択するため、又は、接着細胞の継代培養を容易にするために、機械的又は酵素的な方法を使用してよい。例示される機械的方法は、ピペットを用いた滴定、又は抜去針を用いた切削を包含するがこれらに限定されない。例示される酵素的方法は細胞を解離させるために適する何れかの酵素(例えばトリプシン(例えばトリプシン/EDTA)、コラゲナーゼ(例えばコラゲナーゼB、コラゲナーゼIV)、ジスパーゼ、パパイン、コラゲナーゼとジスパーゼの混合物、コラゲナーゼとトリプシンの混合物)を包含するがこれらに限定されない。非酵素溶液、例えば高EDTA含有溶液、例えばHanks系の細胞解離緩衝液を使用して細胞を解離させてよい。
RPE細胞は胚様体から分化させてよい。EBからRPE細胞を単離することによりインビトロのリッチ化培地中でRPE細胞を増殖させることができる。ヒト細胞の場合は、90日未満増殖させたEBからRPE細胞を得てよい。更に、RPE細胞は少なくとも約7〜14日間、14〜28日間、28〜45日間、又は45〜90日間増殖させたヒトEBから生じてよい。多能性幹細胞、胚様体及びRPE細胞を培養するために使用する培地は、何れかの時間間隔において除去及び/又は同じか又は異なる培地と交換してよい。例えば、培地は少なくとも約0〜7日間、7〜10日間、10〜14日間、14〜28日間又は28〜90日間で除去及び/又は交換してよい。更に又、培地は少なくとも毎日、一日おき、又は少なくとも3日毎に交換してよい。
RPEをリッチ化するため、及び、RPE細胞の実質的に精製された培養物を樹立するためには、機械的及び/又は化学的(酵素的を包含)方法を用いながらRPE細胞を相互から、そして非RPE細胞から解離させてよい。次にRPE細胞の懸濁液を新しい培地及び新しい培養容器に移すことによりRPE細胞のリッチ化された集団としてよい。
RPE細胞を解離細胞から選択し、別個に培養することにより、RPE細胞の実質的に精製された培養物としてよい。RPE細胞はRPE細胞に関連する特性に基づいて選択される。例えばRPE細胞は玉石状の細胞形態及び色素沈着により認識できる。更に又、幾つかの知られたRPEマーカーが存在し、例えば細胞レチンアルデヒド結合蛋白(CRALBP)、即ち尖端微小絨毛中に存在する細胞質蛋白;RPE65、即ちレチノイド代謝に関与する細胞質蛋白;ベストロフィン、即ちBest卵黄様黄斑変性遺伝子(VMD2)の産物、及び色素上皮由来因子(PEDF)、即ち血管新生抑制特性を有する48kDの分泌蛋白が挙げられる。これらのマーカーのメッセンジャーRNA転写物は、PCR(例えばRT−PCR)又はノーザンブロットを用いてアッセイしてよい。又、これらのマーカーの蛋白レベルはイムノブロット技術又はウエスタンブロットを用いてアッセイしてよい。
RPE細胞は又、細胞機能に基づいて、例えば消耗した杆体及び錐体の外部セグメントの貪食作用(又は別の基材、例えばポリスチレンビーズの貪食作用)、迷光の吸収、ビタミンA代謝、類網膜の再生、及び組織修復により選択してよい。評価は又、適当な宿主動物(例えば網膜変性の天然に存在するか誘導された状態に罹患しているヒト又は非ヒト動物)内へのRPE細胞移植の後のインビボ機能を、例えば、挙動試験、蛍光血管造影、組
織分析、接着結合の導電性を用いながら試験することにより、又は電子顕微鏡を用いた評価により行ってよい。
RPE細胞のリッチ化されたクラスターは適切な培地、例えばEGM2培地中で培養してよい。これ、及び機能的等価物、又は同様の培地には、成長因子又は剤(例えばbFGF、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、血管内皮成長因子、組み換えインスリン様成長因子、アスコルビン酸、又はヒト表皮成長因子)を補給してよい。RPE細胞は培養物中長期間に渡り(例えば6週間超)表現型的に安定である場合がある。
多能性幹細胞
本明細書に記載した方法は多能性幹細胞から生産された分化細胞(例えばRPE細胞)を使用してよい。適当な多能性幹細胞は多能性幹細胞を派生させた方法に関わらず、胚性幹細胞、胚由来幹細胞、及び誘導多能性幹細胞を包含するが、これらに限定されない。多能性幹細胞は例えば当該分野で知られている方法を用いて発声させてよい。例示される多能性幹細胞は胚盤胞期の胚の内細胞塊(ICM)に由来する胚性幹細胞、並びに分裂期又は桑実胚期の胚の割球1つ以上に由来する胚性幹細胞(場合により胚の残余の破壊を伴わない)を包含する。そのような胚性幹細胞は受精によるか、又は、無性的な手段、例えば体細胞核転移(SCNT)、単為生殖、細胞リプログラミング及び雄性発生により生産される胚性物質から形成されてよい。更に又、適当な多能性幹細胞は多能性幹細胞を派生させた方法に関わらず、ヒト胚性幹細胞、ヒト胚由来幹細胞、及びヒト誘導多能性幹細胞を包含するが、これらに限定されない。
多能性幹細胞(例えばhES細胞)は胚様体(EB)を生産するために懸濁培養物として培養してよい。胚様体は約7〜14日間懸濁液中で培養してよい。しかしながら、特定の実施形態においては、EBは7日未満(7、6、5、4、3、2日、又は1日未満)又は、14日超の間、懸濁液中で培養してよい。EBはB27補給物を補給した培地中で培養してよい。
懸濁培養においてEBを培養した後、EBを移行させて接着培養物を作製してよい。例えば、培地中のゼラチンコーティングプレート上にEBをプレーティングしてよい。接着培養物として培養する場合、懸濁液中で増殖させる場合と同様の型の培地中でEBを培養してよい。細胞を接着培養物として培養する場合はB27補給物を培地に補給しなくてもよい。また、培地には初期(例えば約7日以内)にB27を補給するが、その後は、接着培養期間の残余に渡ってB27非存在下で培養する。EBを少なくとも約14〜28日間接着培養物として培養してよい。しかしながら、特定の実施形態においては、約14日未満(14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2日未満又は1日未満)、又は約28日超の間、接着培養物としてEBを培養してよい。
ヒト胚性幹細胞
ヒト胚性幹(hES)細胞を本明細書に記載した方法における多能性幹細胞として使用してよい。ヒト胚性幹細胞(hES)は胚盤胞の内細胞塊(ICM)の子孫、又は、別の由来元からの細胞を包含し、そして事実上無限に多能性を維持してよい。hES細胞は早期の分裂期の胚の割球1つ以上から、場合により胚を破壊することなく、又は、損傷を与えることなく、導かれる場合がある。hES細胞は核転移を用いて作製される場合がある。hES細胞は又、後により詳細に説明する誘導多能性細胞(iPS細胞)であってもよい。また、低温保存されたhES細胞も使用してよい。hES細胞は当該分野で知られている何れかの方法において、例えばフィーダー細胞の存在下又は非存在下に培養されてよい。例えば、hES細胞をMDBKGM、hESC培地、INVITROGEN(登録商
標)幹細胞培地、OptiProSFM、VPSFM、EGM2又はMDBKMM中で培養してよい。例えばStem Cell Information (Culture of humanEmbryonic Stem Cells (hESC))[NIHウエブサイト、2010]を参照できる。hES細胞はGMP基準に従っ
て使用及び維持されてよい。
画定された条件においてフィーダー層上の培養物として増殖させる場合、hES細胞は特定の形態を維持し、核の細胞質に対する比が高く、細胞間の境界が明確であり、そして先鋭で屈折性のコロニー境界を有する小型の堅固に充填された細胞よりなる平坦なコロニーを形成する。hES細胞は一連の分子マーカー、例えば8量体結合蛋白(Oct−4、a.k.a.、Pou5f1)、期特異的胚性抗原(SSEA)3及びSSEA4、腫瘍拒
絶抗原(TRA)−1−60、TRA−1−80、アルカリホスファターゼ、NANOG、及びRex1を発現する。所定の直系に分化するICMの細胞と同様、培養物中のhES細胞を分化するように誘導してよい。例えばhES細胞を本明細書に記載した画定された条件下にヒトRPEに分化させてよい。
使用してよいヒト胚性幹細胞は、MA01、MA04、MA09、ACT4、MA03、H1、H7、H9、及びH14を包含するがこれらに限定されない。追加的に例示される細胞系統はNED1、NED2、NED3、NED4及びNED5を包含する。NIHの
ヒトEmbryonic Stem Cell Registryも参照できる。使用してよい例示されるヒト胚性幹細胞系統はMA09細胞である。MA09細胞の単離及び調製は以前に、Klimanskaya等、(2006)“ヒトEmbryonicStem Cell lines Derived from Single Blastomeres.”Nature444:481‐485に記載されている。
hESは初期にはネズミ肺性フィーダー細胞(MEF)細胞と共に同時培養されてよい。MEF細胞をマイトマイシンCへの曝露により有糸分裂的に不活性化した後に同時培養物にhESを播種し、これによりMEFが培養物中で増殖しないようにしてよい。更に、hES細胞培養物を顕微鏡検査し、非hES細胞形態を含有するコロニーを、例えば幹細胞カッティングツールを用いるか、レーザ剥離、又は他の手段により釣り上げて廃棄してよい。典型的には、胚様体形成のための播種のためのhES細胞の採取時点の後は、追加的なMEF細胞はプロセス中では使用しない。MEF除去と本明細書に記載したRPE細胞採取の間の時間は最低でMEF非含有細胞培養において少なくとも1、2、3、4又は5継代、及び少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100日間であってよい。MEF除去とRPE細胞採取の間の時間もまた、MEF非含有細胞培養物中、少なくとも約3継代及び少なくとも約80〜90日間であってよい。本明細書に記載した生産の方法のため、本明細書に記載したPE細胞の培養及び調製は、マウス胚性線維芽細胞(MEF)及びヒト胚性幹細胞(hES)を実質的に共存させなくてもよい。
誘導多能性幹細胞(iPS細胞)
更に例示される多能性幹細胞は、因子(「リプログラミング因子」)の組み合わせを発現するか、発現を誘導することにより体細胞をリプログラミングすることにより形成された誘導多能性幹細胞(iPS細胞)を包含する。iPS細胞は胎児、出生後、新生仔、幼若、又は成人の体細胞を用いて発生させてよい。iPS細胞はセルバンクから得てよい。或いは、RPE細胞又は他の細胞型への分化を開始する前に、当該分野で知られている方法によりiPS細胞を新たに形成してもよい。iPS細胞の作製は分化細胞の生産における初期工程であってよい。組織マッチRPE細胞を形成するという目的により、特定の患者又はマッチしたドナーから得られた材料を用いながらiPS細胞を特異的に形成してよい。iPS細胞は意図するレシピエント中で実質的に免疫原性ではない細胞から生産され、例えば、自系細胞から、又は意図するレシピエントに対して組織適合性の細胞から、生
産されることができる。
誘導多能性幹細胞は体細胞中でリプログラミング因子1つ以上を発現するか、発現を誘導することにより生産されてよい。体細胞は、線維芽細胞、例えば皮膚線維芽細胞、滑膜線維芽細胞、又は肺線維芽細胞、又は非線維芽細胞体細胞である。体細胞は少なくとも1、2、3、4、5回の発現によりリプログラミングされる。リプログラミング因子はOct3/4、Sox2、NANOG、Lin28、c−Myc及びKlf4から選択してよい。リプログラミング因子の発現を誘導する小型有機分子剤のような剤少なくとも1つに体細胞を接触させることによりリプログラミング因子の発現を誘導してよい。
体細胞は又コンビナトリアルな手順を用いてリプログラミングされても良く、その場合リプログラミング因子を発現させ(例えばウィルスベクター、プラスミド等を使用)、そしてリプログラミング因子の発現を誘導する(例えば小型有機分子を使用)。例えば、レトロウィルスベクター又はレンチウィルスベクターのようなウィルスベクターを用いた感染により体細胞中でリプログラミング因子を発現させてよい。また、エピソームプラスミドのような非組み込みベクターを用いながら体細胞中でリプログラミング因子を発現させてもよい。リプログラミング因子を非組み込みベクターを用いながら発現させる場合、ベクターによる体細胞のエレクトロポレーション、トランスフェクション、又は形質転換を用いながら因子を発現させてよい。例えばマウス細胞においては、組み込みウィルスベクターを用いた4つの因子(Oct3/4、Sox2、c−myc及びKlf4)の発現が体細胞をリプログラミングするために十分である。ヒト細胞においては、組み込みウィルスベクターを用いた4つの因子(Oct3/4、Sox2、NANOG及びLin28)の発現が体細胞をリプログラミングするために十分である。
リプログラミング因子を細胞中で発現させた後、細胞を培養してよい。経時的に、ESの特徴を有する細胞が培養皿中に出現する。例えばES形態に基づいて、又は、選択可能又は検出可能なマーカーの発現に基づいて、細胞を選択し、そして継代してよい。細胞を培養することによりES細胞に類似した細胞の培養物を生産してよく、これらは推定iPS細胞となる。
iPS細胞の多能性を確認するために、多能性のアッセイ1つ以上において細胞を試験してよい。例えばES細胞マーカーの発現に関して細胞を試験してよく;SCIDマウスへの移植時に奇形腫を形成する能力に関して細胞を評価してよく;分化して3胚葉全ての細胞型を生成する能力に関して細胞を評価してよい。多能性iPS細胞が得られた後、それを用いてRPE細胞を生産してよい。
低複雑性分化細胞を得るためのヒト胚性幹細胞におけるMHC遺伝子の操作
ヒト胚性幹(hES)細胞は、ヒト胚性幹細胞のライブラリから派生させてよい。ヒト胚性幹細胞のライブラリは幹細胞を含んでよく、その各々はヒト集団に存在するMHC対立遺伝子少なくとも1つに関して半接合、ホモ接合、又はヌル接合であり、この場合、幹細胞の該ライブラリの各メンバーはライブラリの残余メンバーと相対比較して、異なるセットのMHC対立遺伝子に関して半接合、ホモ接合、又はヌル接合である。ヒト胚性幹細胞のライブラリはヒト集団中に存在する全てのMHC対立遺伝子に関して半接合、ホモ接合、又はヌル接合である幹細胞を含んでよい。本発明の文脈においては、組織適合性抗原遺伝子1つ以上に対してホモ接合である幹細胞は、そのような遺伝子1つ以上(そして一部の実施形態においては全て)に対してヌル接合である細胞を包含する。遺伝子座に対してヌル接合とは、遺伝子がその遺伝子座においてヌルであることを意味する(即ちその遺伝子の両方の対立遺伝子が欠失又は不活性化している)。
hES細胞は細胞のMHC複合体中の姉染色体の対立遺伝子の1つに対する修飾を含んでよい。遺伝子ターゲティングのような遺伝子修飾を生じさせるための種々の方法を用いてMHC複合体中の遺伝子を修飾してよい。更に、細胞中のMHC複合体の修飾された対立遺伝子をその後操作してホモ接合とすることにより同一の対立遺伝子が姉染色体上に存在するようにしてよい。ヘテロ接合性の損失(LOH)のような方法を用いることによりMHC複合対中にホモ接合対立遺伝子を有するように細胞を操作してよい。例えば、親対立遺伝子に由来するMHC遺伝子のセットにおける遺伝子1つ以上をターゲティングすることにより、半接合細胞を形成することができる。他のセットのMHC遺伝子は遺伝子ターゲティング又はLOHにより除去することによりヌル系統とすることができる。個のヌル系統を更に、HLA遺伝子又は個々の遺伝子のドロップアレイを有する胚性細胞系統として使用することにより、別様には均一な遺伝子的背景を有する半接合又はホモ接合のバンクを作製できる。全てのMHC遺伝子に関してヌル接合である幹細胞は、例えば遺伝子ターゲティング及び/又はへテロ接合性損失(LOH)のような当該分野で知られている標準的な方法により生産されてよい。例えば米国特許出願公開2004/0091936、2003/0217374及び2003/0232430及び米国特許仮出願60/729,173を参照できる。
従って、本発明は低減されたMHC複雑性を有する分化細胞のライブラリを包含する分化細胞(例えばRPE細胞)を得る方法に関する。低減されたMHC複雑性を有する分化細胞は、患者マッチングに関わる困難を排除する場合があるため治療用途に使用できる細胞の供給を増大させるために使用されてよい。そのような細胞はMHC複合体の遺伝子に関して半接合又はホモ接合であるように操作された幹細胞から派生させてよい。
本発明は又、分化細胞(例えばRPE細胞及び/又はRPE直系細胞)のライブラリを提供し、その場合、ES細胞の数系統を選択し、分化させて分化細胞とする。これらの分化細胞を細胞療法の必要のある患者のために使用してよい。本発明は又、各々がヒト集団に存在する少なくとも1つのMHC対立遺伝子に関して半接合、ホモ接合又はヌル接合である分化した細胞のライブラリを提供し、その場合、分化細胞の該ライブラリの各メンバーはライブラリの残余メンバーと相対比較してMHC対立遺伝子の異なるセットに関して半接合、ホモ接合又はヌル接合である。本発明はヒト集団に存在する全てのMHC対立遺伝子に関して半接合、ホモ接合又はヌル接合であるヒトの分化した細胞のライブラリを提供する。
培地
高密度培養を支援することができる何れかの培地、例えばウィルス、細菌又は真核生物細胞の培養のための培地を、本明細書に記載した方法において使用してよい。例えば、培地は高栄養蛋白非含有培地、又は、高栄養低蛋白培地であってよい。更に、培地は又、アルブミン、B27補給物、エタノールアミン、フェチュイン、グルタミン、インスリン、ペプトン、精製されたリポ蛋白物質、亜セレン酸ナトリウム、トランスフェリン、ビタミンA、ビタミンC又はビタミンEのような栄養成分を包含してよい。例えば、栄養リッチ低蛋白培地は培養物中の細胞の成育を支援し、そして低い蛋白含有量を有する何れかの培地であってよい。例えば栄養リッチ低蛋白培地は、MDBK GM、OptiPro SFM、VPSFM、DMEM、RPMI培地1640、IDMEM、MEM、F−12栄養混合物、F−10栄養混合物EGM2、DMEM/F−12培地、培地1999又はMDBKMMを包含するがこれらに限定されない。表2も参照できる。更に又、栄養リッチ低蛋白培地は、胚性幹細胞の増殖又は維持を支援しない培地であってもよい。
低蛋白培地を使用する場合、培地は少なくとも約20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5
%、4%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、0.20%、0.10%、0.05%、0.02%、0.016%、0.015%又は0.010%の動物由来蛋白(例えば10%FBS)を含有してよい。ただし、低蛋白培地中に存在する蛋白のパーセンテージに言及する場合、それは培地単独を指しており、例えばB27補給物中に存在する蛋白は計上していないことに留意しなければならない。即ち、細胞を低蛋白培地とB27補給物との中で培養する場合、培地中に存在する蛋白のパーセンテージはより高くなる場合があると理解される。
低蛋白又は蛋白非含有培地を血清非含有B27補給物で補給する。B27補給物の栄養成分は、ビオチン、L−カルニチン、コルチコステロン、エタノールアミン、D+−ガラクトース、還元グルタチオン、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレシン、酢酸レチニル、セレン、トリヨードー1−スレオニン(T3)、DL−アルファ−トコフェロール(ビタミンE)、DL−アルファ−酢酸トコフェロール、ウシ血清アルブミン、カタラーゼ、インスリン、スーパーオキシドジスムターゼ及びトランスフェリンを含んでよい。細胞をB27補給した蛋白非含有培地中で培養する場合、蛋白非含有とはB27添加前の培地を指す。
本明細書に記載した成長因子、剤及び他の補給物は、単独で、又は他の因子、剤、又は補給物と組み合わせて、培地中に包含させるために使用されてよい。因子、剤及び補給物は、即座に、又は細胞培養中の何れかの時点で、又はその後に培地に添加してよい。
培地は又、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、アスコルビン酸、血清(例えばウシ胎児血清)、又は成長マトリックス(例えばウシ角膜上皮由来細胞外マトリックス、MATRIGEL(登録商標)(基底膜マトリックス)又はゼラチン)、フィブロネクチン、フィブロネクチンの蛋白分解性のフラグメント、ラミニン、トロンボスポンジン、アグレカン及びシンデザンのような補給物も含有してよい。
培地には1つ以上の因子又は剤を補給してよい。
使用してよい成長因子は、例えばEGF、FGF、VEGF及び組み換えインスリン様成長因子を包含する。本発明において使用してよい成長因子は又、6Cカイン(組み換え)、アクチビンA、α−インターフェロン、アルファ−インターフェロン、アンフィレギュリン、アンジオゲニン、β内皮細胞成長因子、ベータセルリン、βインターフェロン、脳由来栄養要求性因子、カルジオトロフィン1、毛様体栄養要求性因子、サイトカイン派生好中球化学誘引物質1、内皮細胞成長補給物、エオタキシン、表皮成長因子、上皮好中球活性化ペプチド78、エリスロポエチン,エストロゲン受容体−α、エストロゲン受容体−β、線維芽細胞成長因子(酸性/塩基性、ヘパリン安定化、組み換え)、FLT3/FLK2リガンド(FLT3リガンド)、ガンマ−インターフェロン、グリア細胞系統派生栄養要求性因子、GlyHisLys、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、GRO−アルファ/MGSA、GROB、GRO−ガンマ、HCC1、ヘパリン−結合表皮成長因子様成長因子、肝細胞成長因子、ヘレグリン−アルファ(EGFドメイン)、インスリン成長因子結合蛋白1、インスリン様成長因子結合蛋白1/IGF1複合体、インスリン様成長因子、インスリン様成長因子II、2.5S神経成長因子(NGF)、7SNGF、マクロファージ炎症蛋白1β、マクロファージ炎症蛋白2、マクロファージ炎症蛋白3α、マクロファージ炎症蛋白3β、単球走化性蛋白1、単球走化性蛋白2、単球走化性蛋白3、ニュートロフィン3、ニュートロフィン4、NGFβ(ヒト又はラット組み換え)、オンコスタチンM(ヒト又はマウス組み換え)、下垂体抽出物、胎盤成長因子、オンコスタチン内皮細胞成長因子、オンコスタチン成長因子、プレイオトロフィン、ランテス、幹細胞因子、間質性細胞由来因子1B/プレB細胞成長刺激因子、トロンボポエチン、形質転換成長因子アルファ、形質転換成長因子β1、形質転換
成長因子β2、形質転換成長因子β3、形質転換成長因子β5、腫瘍壊死因子(α及びβ)及び血管内皮成長因子を包含する。
本発明に従って使用してよい剤はサイトカイン類、例えばインターフェロン−α、インターフェロン−αA/D、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターフェロン−γ−誘導蛋白10、インターロイキン1、インターロイキン2、インターロイキン3、インターロイキン4、インターロイキン5、インターロイキン6、インターロイキン7、インターロイキン8、インターロイキン9、インターロイキン10、インターロイキン11、インターロイキン12、インターロイキン13、インターロイキン15、インターロイキン17、ケラチノサイト成長因子、レプチン、白血病抑制因子、マクロファージコロニー刺激因子及びマクロファージ炎症蛋白1−αを包含する。
培地には17Bエストラジオール、副腎皮質刺激ホルモン、アドレノメジュリン、アルファ−メラノサイト刺激ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、コルチコステロイド−結合グロブリン、コルチコステロン、デキサメタゾン、エストリオール、卵胞刺激ホルモン、ガストリン1、グルカゴン、ゴナドトロピン、ヒドロコルチゾン、インスリン、インスリン様成長因子結合蛋白、L−3,3’,5’−トリヨードチロニン、L−3,3’,5’トリヨードチロニン、レプチン、黄体形成ホルモン、L−チロキシン、メラトニン、MZ4、オキシトシン、副甲状腺ホルモン、PEC60、脳下垂体成長ホルモン、プロゲステロン、プロラクチン、セクレチン、性ホルモン結合グロブリン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出因子、チロキシン−結合グロブリン及びバソプレシンを包含するがこれらに限定されないホルモン類及びホルモン拮抗剤を補給してよい。培地には抗低密度リポ蛋白受容体抗体、抗プロゲステロン受容体,内部抗体、抗アルファインターフェロン受容体鎖2抗体、抗−c−cケモカイン受容体1抗体、抗CD118抗体、抗CD119抗体、抗コロニー刺激因子1抗体、抗CSF1受容体/c−fins抗体、抗表皮成長因子(AB3)抗体、抗表皮成長因子受容体抗体、抗表皮成長因子受容体,ホスホ特異的抗体、抗表皮成長因子(AB1)抗体、抗エリスロポエチン受容体抗体、抗エストロゲン受容体抗体、抗エストロゲン受容体、C末端抗体、抗エストロゲン受容体B抗体、抗線維芽細胞成長因子受容体抗体、抗線維芽細胞成長因子、basic抗体、抗ガンマ−インターフェロン受容体鎖抗体、抗ガンマ−インターフェロンヒト組み換え抗体、抗GFRアルファ1C末端抗体、抗GFRアルファ2C末端抗体、抗顆粒球コロニー刺激因子(AB1)抗体、抗顆粒球コロニー刺激因子受容体抗体、抗インスリン受容体抗体、抗インスリン様成長因子1受容体抗体、抗インターロイキン−6ヒト組み換え抗体、抗インターロイキン−1ヒト組み換え抗体、抗インターロイキン−2ヒト組み換え抗体、抗レプチンマウス組み換え抗体、抗神経成長因子受容体抗体、抗p60、ニワトリ抗体、抗副甲状腺ホルモン様蛋白抗体、抗オンコスタチン成長因子受容体抗体、抗オンコスタチン成長因子受容体B抗体、抗オンコスタチン成長因子−アルファ抗体、抗プロゲステロン受容体抗体、抗レチン酸受容体−アルファ抗体、抗甲状腺ホルモン核受容体抗体、抗甲状腺ホルモン核受容体−アルファ1/Bi抗体、抗トランスフェスフェリン受容体/CD71抗体、抗形質転換成長因子−アルファ抗体、抗形質転換成長因子B3抗体、抗腫瘍壊死因子−アルファ抗体及び抗血管内皮成長因子抗体を包含するがこれらに限定されない種々の因子に対する抗体を補給してよい。
本明細書に記載した方法における使用に適する例示される培養培地を表2に列挙する。
網膜色素上皮(RPE)
網膜色素上皮(RPE)は下層の脈絡膜(網膜後方の血管の層)と上層の網膜視覚細胞(例えば光受容体−杆体及び錐体)の間の神経感覚網膜の外側の色素沈着細胞層である。RPEは光受容体及び網膜の機能及び健康状態のために重要である。RPEは光色素のリサイクル、ビタミンAの送達、代謝及び保存、杆体光受容体外部セグメントの貪食作用、網膜と脈絡膜の間の鉄及び小分子の輸送、Bruch膜の維持、及び、迷光を吸収して良好な解像度を与えることにより、光受容体の機能を維持している。 Engelmann and Valtink (2004) “RPE Cell Cultivation.” Graefe’sArchive for Clinical and Experimental Ophthalmology 242(1): 65-67;同じくIrinaKlimanskaya, Retinal Pigment Epithelium Derived From Embryonic Stem Cells, inStem Cell ANTHOLOGY 335‐346 (Bruce Carlson ed., 2009)を参照できる。
成熟RPEはその黒色色素沈着細胞の玉石状の細胞形態及びRPE細胞マーカー、例えば、細胞レチンアルデヒド結合蛋白(CRALBP)、即ち尖端微小絨毛中に存在する36kDの細胞質レチンアルデヒド結合蛋白(Eisenfeld等、(1985) Experimental Research 41(3):299‐304);RPE65、即ちレチノイド代謝に関与する65kDの細胞質蛋白(Ma等、(2001)InvestOpthalmol Vis Sci.42(7): 1429‐35; Redmond(2009) Exp Eye Res.88(5):846‐847);ベストロフィン、即ちBest卵黄様黄斑変性遺伝子(VMD2)の膜
局在68kD産物(Marmorstein等、(2000)PNAS97(23): 12758‐12763)及び色素上皮由来
因子(PEDF)、即ち血管新生抑制特性を有する48kDの分泌蛋白(Karakousis等、(2001)MolecularVision 7:154‐163; Jablonski等、(2000)The Journal of Neuroscience
20(19): 7149‐7157)を特徴とする。
網膜の疾患
RPEの変性は網膜剥離、網膜形成異常又は網膜移植を誘発する場合があり、これは光受容体損傷及び盲目をもたらす多くの視覚変化疾患、例えば先天性脈絡膜欠如、糖尿病性網膜症、黄斑変性(加齢性黄斑変性を包含)、色素性網膜炎、及びシュタルガルト病(黄色斑眼底)に関連している。WO2009/051671。
先天性脈絡膜欠如。先天性脈絡膜欠如はRabエスコート蛋白1(REP−2をコードするCHM遺伝子における突然変異により誘発される脈絡膜毛細管、網膜色素上皮及び眼の光受容体の変性をもたらすX連鎖劣勢網膜変性疾患である。Genetics Home Reference (U.S. National Library of Medicine) [October17, 2010]。
糖尿病性網膜症。糖尿病性網膜症は最も一般的な糖尿病性の眼疾患であり、そして合衆国における盲目の第1の原因である。糖尿病性網膜症は網膜の血管の変化により起こる。一般的に糖尿病性網膜症は手術により制御又は緩徐化されるが治療はできない場合が有り、そして患者は通常は視覚障害に罹患したままとなる。従って、進歩した糖尿病性網膜症の治療が必要とされている。「Diabetic Retinopathy」(MayoClinic.org) [February 11,
2010]。
黄斑変性。加齢性黄斑変性(AMD)は合衆国及び欧州における法的盲目の最も一般的な原因である。黄斑下RPEの萎縮及び脈絡膜新生血管形成(CNV)の発生が二次的に中心視力の損失をもたらす。AMDの早期の徴候は網膜色素上皮とブルーフ膜との間の沈着(ドルーゼン)である。中心地図状萎縮(「乾性AMD」)は網膜の下の網膜色素上皮層の萎縮に起因し、これは眼の中心部分の光受容体(杆体及び錐体)の損失を介して視力喪失を誘発する。血管新生性又は滲出性のAMD(「湿性AMD」)は究極的には黄斑の下部の血液及び蛋白の漏出をもたらすブルーフ膜を介した脈絡毛管板における異常な血管成長(脈絡膜新生血管形成)に起因する視力喪失を誘発する。これらの血管からの出血、漏出及び瘢痕形成は未治療で放置すれば最終的には光受容体への非可逆的な損傷及び急速な視力喪失を誘発する。黄斑変性の現時点での治療法はラニビツマブ(LUCENTIS(登録商標))又はベバシツマブ(AVASTIN(登録商標))を用いた抗血管形成療法、光凝固(レーザー手術)、バーテポルフィン(VISUDYNE(登録商標))を用いた光力学的療法、及び黄斑下出血部除去手術を包含する。“Macular Degeneration” (MayoClinic.org) [October 2010]。しかしながら、これらの治療の目的は更なる視力喪失を防止することであり、そして、残念ながら、既存の損傷を回復させることはできない。従って、黄斑変性の治療法が強く望まれている。
色素性網膜炎(RP)。色素性網膜炎(RP)は全世界で約1.5百万人が罹患している網膜における光受容体(例えば杆体及び錐体)に損傷を与える遺伝疾患の群である。例えば常染色体劣性RPはシスレチンアルデヒド結合蛋白又はRPE65における突然変異により誘発される。RPの進行は緩徐であり、患者毎に異なる。RP患者は全て、ある程度の視力喪失に罹患しており、それに伴って典型的初期症状としての夜間盲目、それに引き続きトンネル視があり、そして一部は完全に視力を喪失する。「RetinitisPigmentosa」American Optometric Association (October 2010)。ビタミンA及びルテインを用いた治療
がRPの進行を遅らせることがある程度示されているが、有効な治療法はない。
網膜剥離。裂孔原性網膜剥離、滲出性、漿液性又は二次的な網膜剥離、及び牽引性の網
膜剥離を包含する網膜剥離は、網膜が自身の支持組織の伏在層から剥離する眼の障害であり、視力喪失及び盲目をもたらす場合がある。Ghazi and Green (2002)Eye 16:411‐421;Facts About Retinal Detachment[NEI Health Information](October 2010)を参照できる。網膜剥離の治療法が望まれている。
シュタルガルト病(黄色斑眼底)。シュタルガルト病(黄色斑眼底)はある種の黄斑変性であり、常染色体劣性及び優性の型の両方を包含し、両方の眼の中心視力の進行性の喪失を誘発する。Gass and Hummer (1999) Retina 19(4): 297‐301 及びAaberg (1986) Tr. Am.Ophth. Soc. LXXXIV: 453‐487を参照できる。現時点ではシュタルガルト病の治療
法はない。
医療におけるRPE細胞
視覚及び網膜の健康状態の維持においてRPEが重要であるとすれば、RPE及びインビトロでRPE細胞を生産するための方法は多大な利益をもたらす。Lund等、(2001)Progress in Retinal and Eye Research 20(4):415‐449を参照できる。例えばGouras等、(2002)Investigative Ophthalmology & Visual Science 43(10): 3307‐311に報告されてい
る研究はトランスジェニックRPE65−/−マウス(網膜変性のマウスモデル)内への正常マウス由来のRPE細胞の移植を記載している。Gourasは健常RPE細胞の移植はRPE65−/−マウスにおける網膜変性を緩徐化したが、3.7週間後にはその健全な作用は減衰し始めたことを開示している。Treumer等、(2007)Br J Opthalmol 91: 349‐353は
加齢性黄斑変性(AMD)患者における窩下脈絡膜新生血管形成(CNV)の除去後の自系RPE脈絡膜シートの移植が成功したことを記載しているが、この操作法は平均視力の中程度の上昇をもたらしたのみであった。
更に又、RPE細胞は脳の慢性変性疾患であるパーキンソン病を治療するための考えられる療法として示唆されている。疾患は基底神経節の領域における特殊化されたニューロン細胞の変性により生じる。ドーパミン作用性ニューロンの死滅はパーキンソン病患者における重要な神経伝達物質であるドーパミンの合成低下をもたらす。Ming and Le (2007)
Chinese Medical Journal 120(5): 416‐420はパーキンソン病を治療するために有益な
神経栄養性及び抗炎症性のサイトカインを供給するためのパーキンソン病患者の線条内への眼ドナー由来のRPE細胞の移植を示唆している。
しかしながら、ヒトドナー由来のRPE細胞は幾つかの困難な問題点を有している。第1は眼ドナーの不足であり、そして現在の必要性は提供された眼組織で足りる限度を超えている。第2に、ヒトドナー由来のRPE細胞は病原体で汚染されている場合があり、そして遺伝子的欠陥を有する場合がある。第3に、提供されたRPE細胞は移植に使用するには十分な品質ではないかもしれない死体由来のものである。例えば、死体原料のRPEは老齢に近いことを含む加齢性の血管を有する場合がある。更に、胎児組織に由来するRPE細胞は極めて低い増殖能力を呈している。更に、死体原料のRPE細胞はバッチ毎に大きく変動し、そして移植前の安全性に関して特性化しなければならない。例えば、Irina Klimanskaya, Retinal Pigment Epithelium Derived From EmbryonicStem Cells, in STEM SELL ANTHOLOGY 335‐346 (Bruce Carlson ed., 2009)を参照できる。RPE細胞の
原料をヒトドナーとすることは又、ドナーの同意の問題及び規制に夜制約を被る場合があり、治療のためのRPE細胞の採取及び使用を複雑化させている。AMDにおいては、患者及び高齢患者は又、ブルーフ膜の変性にも罹患しており、RPE細胞移植を複雑化している。Gullapalli等、(2005)Exp Eye Res. 80(2): 235‐48を参照できる。
自系RPE細胞(患者の「良い方の」眼から得たもの)もまた限定的治験において試み
られているが、満足できないものであることが解っている。自系細胞はAMDの発症をもたらした可能性がある同じ遺伝子的傾向を有するため、自系細胞には基本的に限界がある。例えばBinder等、(2007) Progress in Retinal and Eye Research 26(5): 516‐554を
参照できる。更に、自系RPE細胞は限定的な増殖能力を有し(特にAMDは最も頻繁には高齢患者において発症するため)、これが治療用途におけるその利用性を制限している(例えばRPE細胞は良好に移植されない場合があり、そして視力のより完全な回復のために十分な長期間に渡って持続する可能性が低い)。
RPE細胞に由来する胚性幹細胞(hESC−RPE細胞)
ヒト胚性幹細胞(hES)は臨床使用のための代替RPE細胞の有望な原料であると考えられる。Idelson等、(2009)Cell Stem Cell 5:396‐408を参照できる。しかしながら、それらの治療薬としての使用は、奇形腫形成の危険性及び免疫拒絶による問題点を克服するための強力な免疫抑制剤の必要性を包含する多くの問題により依然として困難になっている。例えば、Wang等(2010)のTransplantationはマウス胚性幹細胞をRPE細胞に分化さ
せ、そして次に色素性網膜炎のマウスモデル(Rpe65rd12/Rperd12C57BL6マウス)内に移植するという試験を記載している。RPE細胞移植物を移植されたRpe65rd12/Rperd12マウスは7ヶ月の期間有意な視力の回復を示さなかったが、これは網膜剥離及び腫瘍を合併していた。
更に又、基礎研究から臨床応用への移行は、現行Good Manufacturing Practices (GMP)及び現行Good Tissue Practices (GTP)と総称される合衆国食品医薬品局により提示され
たガイドラインに準拠する必要性により制約されている。hES細胞由来RPEのような細胞療法製品の臨床製造の文脈において、GTPはドナーの同意、トレーサビリティー及び感染症スクリーニングを統括しているのに対し、GMPはヒト使用のために一貫して安全及び有効である製品を生産するための施設、プロセス、試験及び実施状況に関連している。Lu等、StemCells 27: 2126‐2135(2009)。即ち、移植療法における使用に適するRPE細胞を多数生産するための系統的直接的態様が望まれている。
本出願の譲受人により所有されている特許及び出願は、参照により各々の全体が本明細書に組み込まれる米国特許7,795,025、7,794,704及び7,736,896、米国特許出願12/682,712、並びに“Methods of Producing humanRPE Cells and Pharmaceutical Preparationsof human RPE Cells”と題された2010年11
月17日出願のPCT出願PCT/US10/57056(現在はWO2011/063005として公開)(代理人整理番号75820.001020)及び2009年11月17日出願の米国特許仮出願61/262,002(代理人整理番号75820.001000)において胚性幹細胞の分化を介してRPE細胞を生産する方法を開示している。
治療方法
本明細書に記載した方法により生産されたRPE細胞及びRPE細胞を含む医薬調製物は、細胞治療のために使用されてよい。本発明はRPE細胞を含む医薬調製物の有効量を投与することを含む網膜変性の関与する状態を治療するための方法を提供し、ここでRPE細胞はインビトロの多能性幹細胞から派生される。網膜変性の関与する状態は例えば先天性脈絡膜欠如、糖尿病性網膜症、網膜萎縮、網膜剥離、網膜形成異常及び色素性網膜炎を包含する。本明細書に記載するRPE細胞は又、加齢性黄斑変性(乾性又は湿性)、ノ
ースカロライナ黄斑変性、ソーズビー基底部ジストロフィー、シュタルガルト病、パターンジストロフィー、ベスト病、マラッティア・レベンテティネーズ、ドインの蜂巣状脈絡膜症、優性ドルーゼン及び放射状ドルーゼンを包含するがこれらに限定されない黄斑変性を治療するための方法において使用してよい。本明細書に記載するRPE細胞はまたパー
キンソン病(PD)を治療する方法において使用してよい。
細胞移植の一般的特徴は低い移植片の生存性であり、例えば多くの細胞移植試験において移植の直後(例えば第1週のうち)に細胞の損失が生じる傾向がある。この損失は移植された細胞の拒絶よりは寧ろ、細胞の特定のパーセントを移植部位に保持する能力を欠失していることに起因していると考えられる。細胞保持のこの欠失は、多くの要因、例えば伏在する構造に細胞が結合できないこと、十分な栄養が無いこと、又は、移植部位における物理的ストレスに起因している可能性が高い。この初期の細胞数低下の後、移植後の種々の時点における細胞の生存性は試験毎に大きく変動する場合がある。即ち、一部の試験は数において定常的な低下を示しているが、別のものは移植細胞が安定数に到達できているという結果が示す。しかしながら、移植の成功を検討する場合に重要な因子は、細胞移植の後に生存移植片を有するレシピエントのパーセンテージである。
以前の調製物とは対照的に、本明細書に記載した医薬調製物中のRPE細胞は移植後長期にわたり生存する場合がある。例えばRPE細胞は少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10日間生存する場合がある。更に、RPE細胞は少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10週間;少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10ヶ月間;又は少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10年間、生存する場合がある。また更にRPE細胞は移植片のレシピエントの生涯に渡って生存する場合がある。更に、本明細書に記載したRPE細胞のレシピエントの少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%が移植RPE細胞の生存を示す場合がある。また更に、本明細書に記載したRPE細胞は移植レシピエント中のRPE層内に良好に組み込まれ、細胞の半連続的な線を形成し、そして、重要なRPE分子マーカー(例えばRPE65及びベストロフィン)の発現を保持する場合がある。本明細書に記載したRPE細胞はまた、ブルーフ膜にも結合し、移植レシピエント中で安定なRPE層を形成する。また、本明細書に記載したRPE細胞はES細胞を実質的に共存させておらず、そして移植レシピエントは移植部位において異常な増殖又は腫瘍の形成を示さない。
網膜変性に関連する状態に罹患した患者を治療する方法は、局所的に本発明の組成物を投与することを含んでよい(例えば本発明の医薬調製物を含むマトリックスの眼内注射又は挿入による)。本発明の医薬調製物の眼内投与は例えば、ガラス体内、経角膜、結膜下、強膜近傍、強膜後及び眼腱下部分への送達を包含する。例えば米国特許7,794,704;7,795,025;6,943,145;及び6,943,153を参照できる。
本発明は又、患者に低複雑性胚性幹細胞から派生させてあるヒトRPE細胞を投与する方法を提供する。この方法は、(a)ヒトRPE細胞の人への投与を含む治療を要する患
者を識別すること;(b)患者の細胞の表面に発現しているMHC蛋白を識別すること;
(c)本発明のRPE細胞を生産するための方法により作製された低MHC複雑性のヒトRPE細胞のライブラリを準備すること;(d)この患者の自身の細胞上のMHC蛋白にマッチするRPE細胞をライブラリから選択すること;(e)該患者に工程(d)由来の細胞の何れかを投与すること
を含む。この方法は地域の施設、例えば病因、診療所、医院及び他の医療施設において実施してよい。更に、患者にマッチするとして選択されたRPE細胞は、少数の細胞として保存した場合には、患者への投与の前に増殖させてよい。
移植の前に、未培養のRPE細胞、又は他のRPE細胞調製物と比較してアルファインテグリンサブユニット1〜6又は9の発現を増大させる条件下でRPE細胞を培養してよい。本明細書に記載するRPE細胞は、アルファインテグリンサブユニット1、2、3、
4、5、6又は9の発現レベルを上昇させるように培養されてよい。本明細書に記載するRPE細胞は、アルファインテグリンサブユニット1〜6の発現を促進する条件下で培養されてよい。例えば、マンガン及び活性化モノクローナル抗体(mAb)TS2/16を包含するがこれらに限定されないインテグリン活性化剤と共にRPE細胞を培養してよい。Afshari等、Brain (2010) 133(2): 448‐464を参照できる。
特定の投与計画、投与経路及びアジュバント療法は、特定の状態、状態の重症度、及び患者の全般的健康状態に基づいて専用化してよい。RPE細胞を含む医薬調製物の投与は、症状の重症度を低減するため、及び/又は、患者の状態における更なる変性を防止するために有効であってよい。例えば、RPE細胞を含む医薬調製物の投与は患者の視力を向上させてよい。更に、特定の実施形態においては、RPE細胞の投与は視力喪失又は他の症状の何らかを完全に回復させるために有効であってよい。また更に、RPE細胞の投与は内因性のRPE層に対する傷害の症状を治療してよい。
RPE細胞の医薬調製物
製薬上許容しうる担体を用いてRPE細胞を製剤してよい。例えば、RPE細胞は単独で、又は、医薬品製剤の成分として投与されてよい。要件化合物は医薬中の使用のための何れかの好都合な方法における投与のために製剤されてよい。投与に適する医薬調製物は、1つ以上の製薬上許容しうる滅菌された等張性の水性又は非水性の溶液(例えばバランス塩溶液(BSS))、分散液、懸濁液又は乳液、又は、使用直前に滅菌注射溶液又は分散液に再建してよい滅菌粉末と組み合わせてRPE細胞を含んでよく、これらは抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、溶質又は懸濁剤又は濃厚化剤を含有してよい。
投与の際、本発明における使用のための医薬調製物は発熱物質非含有の生理学的に許容される形態にあってよい。本明細書に記載する方法において使用されるRPE細胞を含む調製物は、懸濁液、ゲル、コロイド、スラリー又は混合物として移植されてよい。更に又、製剤は望ましくは、網膜又は脈絡膜の損傷の部位への送達のために、カプセル化されるか、又は、ガラス体液内に粘稠形態で注射される。また、注射時には、低温保存されたRPE細胞を市販のバランス塩溶液で再建することにより網膜下注射による投与のために望ましい浸透圧及び濃度を達成してよい。
本発明のRPE細胞は眼内注射により製薬上許容しうる眼科用製剤として送達されてよい。ガラス体内注射により製剤を投与する場合、例えば、最小限の容量が送達されるように溶液を濃縮してよい。注射用の濃度は、本明細書に記載した因子に応じて、有効であり非毒性である何れかの量であってよい。患者の治療のためのRPE細胞の医薬調製物は、少なくとも約10RPE細胞/mlの細胞の用量で製剤してよい。患者の治療のためのRPE細胞調製物は少なくとも約10、10、10、10、10、10、10又は1010RPE細胞/mlの用量において製剤される。例えばRPE細胞を製薬上許容しうる担体又は抽出し中に製剤してよい。
本明細書に記載したRPE細胞の医薬調製物は少なくとも約1,000;2,000;3,000;4,000;5,000;6,000;7,000;8,000;又は9,000個のRPE細胞を含んでよい。RPE細胞の医薬調製物は少なくとも約1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10
、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x1010、2x1010、3x1010、4x1010、5x1010、6x1010、7x1010、8x1010又は9x1010個のRPE細胞を含んでよい。RPE細胞の医薬調製物は少なくとも約1x10〜1x10、1x10〜1x10、1x10〜1x10又は1x10〜1x10個のRPE細胞を含んでよい。RPE細胞の医薬調製物は少なくとも約10,000、20,000、25,000、50,000、75,000、100,000、125,000、150,000、175,000、180,000、185,000、190,000又は200, 000個のRPE細胞を含んでよい。例えば、RPE細胞の医薬調製物は少なくとも約50〜200μLの容量中少なくとも約20,000〜200,000個のRPE細胞を含んでよい。更に又、RPE細胞の医薬調製物は少なくとも約150μLの容量中に少なくとも約180,000個のRPE細胞を含んでよい。
調製物が、前眼房、後眼房、ガラス体、房水、ガラス体液、角膜、虹彩/毛様体、水晶体、脈絡膜、網膜、強膜、脈絡膜上隙、結膜、結膜下隙、強膜上隙、角膜内隙、角膜上隙、毛様体輪、外科的に誘導された血管領域、又は斑部のような眼の患部に細胞が浸透できるような十分な時間に渡って、調製物が眼表面と接触状態で維持できるような製薬上許容しうる眼科用ベヒクル中で、RPE細胞を送達用に製剤してよい。
本明細書に記載した方法に従って投与される調製物の容量は、投与様式、RPE細胞の数、患者の年齢及び体重、及び治療すべき疾患の型及び重症度のような要因に依存する場合がある。注射により投与する場合、本発明のRPE細胞の医薬調製物の容量は少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、4又は5mLであってよい。容量は少なくとも約1〜2mLであってよい。例えば、注射により投与する場合、本発明のRPE細胞の医薬調製物の容量は少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、100、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199又は200μL(マイクロリットル)であってよい。例えば本発明の調製物の容量は少なくとも約10〜50、20〜50、25〜50又は1〜200μLであってよい。本発明の調製物の容量は少なくとも約10、20、30、40、50、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は200μLであってよい。
例えば調製物は少なくとも約1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10
3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10個のRPE細胞をμL当たり含んでよい。調製物はμL当たり2000個のRPE細胞、例えば50μL当たり100,000個のRPE細胞、又は、90μL当たり180,000個のRPE細胞を含んでよい。
網膜変性を治療する方法は更に、免疫抑制剤の投与を含んでよい。使用してよい免疫抑制剤は抗リンパ球グロブリン(ALG)ポリクローナル抗体、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)ポリクローナル抗体、アザチオプリン、BASILIXIMAB(登録商標)(抗IL−2Rα受容体抗体)、シクロスポリン(シクロスポリンA)、DACLIZUMAB(登録商標)(抗IL−2Rα受容体抗体)、エベロリムス、マイクフェノール酸、RITUXIMAB(登録商標)(抗CD20抗体)、シロリムス、及びタクロリムスを包含するがこれらに限定されない。免疫抑制剤は、少なくとも約1、2、4、5、6、7、8、9又は10mg/kgで投与してよい。免疫抑制剤を使用する場合、それらは全身投与又は局所投与してよく、そしてRPE細胞の投与の前、それと同時、又はその後に投与してよい。免疫抑制剤療法はRPE細胞投与後、数週間、数ヶ月間、数年間、又は無期限に継続する。例えば、患者はRPE細胞投与後6週間5mg/kgのシクロスポリンを投与されてよい。
網膜変性の治療方法はRPE細胞の単回用量の投与を含んでよい。また、本明細書に記載した治療方法は、RPE細胞をある期間に渡って多数回投与する治療過程を含んでよい。例示される治療過程は毎週、2週毎、毎月、毎四半期、年二回、又は毎年の治療を含んでよい。或いは、多数回の投薬を初期には必要とし(」例えば第1週は毎日投薬)、そしてその後はより少ない、そして低頻度の投薬を要する段階的な治療を進めてもよい。
眼内注射により投与する場合、患者の生存中を通して周期的に一回以上RPE細胞を送達してよい。例えば、一年に1回、6〜12ヶ月毎に1回、3〜6ヶ月毎に1回、1〜3ヶ月毎に1回、又は1〜4週間毎に1回、RPE細胞を送達してよい。或いは、特定の状態又は障害に対してはより高頻度の投与が望まれる場合がある。インプラント又は装置により投与される場合、特定の患者及び治療すべき障害又は状態のために必要に応じて、1回、又は、患者の生涯に渡って周期的に一回以上、RPE細胞を投与してよい。同様に、治療計画も経時的に変化することを意図している。例えば、最初はより高頻度の治療を要する場合がある(例えば毎日又は毎週の治療)。経時的に、患者の状態が改善されるにつれ、より低頻度の治療が必要となるか、又はもはや治療を必要としなくなる場合がある。
本明細書に記載した方法は更に、対象における網膜電位図応答、オプトメーター明瞭度閾値、又は光度閾値を計測することにより治療の効力又は防止をモニタリングする工程を含んでよい。方法は又、細胞の免疫原性又は眼における細胞の遊走をモニタリングすることにより治療の効力又は防止をモニタリングすることを含んでよい。
網膜変性を治療するための医薬の製造においてRPE細胞を使用してよい。本発明は又、盲目の治療におけるRPE細胞を含む調製物の使用を包含する。例えば、光受容体損傷及び盲目をもたらす多くの視覚変化疾患、例えば糖尿病性網膜症、黄斑変性(加齢性黄斑変性、例えば湿性加齢性黄斑変性及び乾性加齢性黄斑変性を包含)、色素性網膜炎、及びシュタルガルト病(黄色斑眼底)に伴う網膜変性を治療するためにヒトRPE細胞を含む調製物を、使用してよい。調製物は、少なくとも約5,000〜500,000個のRPE細胞(例えば100,00個のRPE細胞)を含んでよく、これは光受容体損傷及び盲目をもたらす多くの視覚変化疾患、例えば糖尿病性網膜症、黄斑変性(加齢性黄斑変性を包含)、色素性網膜炎、及びシュタルガルト病(黄色斑眼底)に伴う網膜変性を治療するために投与されてよい。
本明細書に提示したRPE細胞は、ヒトRPE細胞であってよい。しかしながら、注意すべきは、ヒト細胞はヒト患者並びに動物モデル又は動物患者において使用してよいという点である。例えば、網膜変性のマウス、ラット、ネコ、イヌ、又は非ヒト霊長類のモデルにおいてヒト細胞を試験してよい。更に、獣医科用の医薬の場合のように、治療を要する動物を治療するためにヒト細胞を使用してよい。
投与様式
投与経路に従って製薬上許容しうる担体中に医薬調製物を製剤してよい。例えば、眼の網膜下に投与するように調製物を製剤してよい。同じ患者の一方の眼、又は両方の眼にRPE細胞を含有する調製物を投与してよい。両眼への投与は逐次的又は同時であってよい。例えば、RPE細胞を含む調製物を懸濁液、溶液、スラリー、ゲル又はコロイドとして製剤してよい。
本発明のRPE細胞は、注射により局所に(例えばガラス体内注射)、又は装置又はインプラントの部分として(例えばインプラント)、投与されてよい。例えば、調製物を眼の網膜下隙内への注射により投与してよい。更に又、調製物を経角膜投与してよい。例えば、ガラス体切除により網膜下隙内に本発明の細胞を移植してよい。更に、注射時には、市販のバランス塩溶液にRPE細胞を再懸濁することにより網膜下注射による投与のための望ましい浸透圧及び濃度を達成してよい。
投与方法に応じて、RPE細胞を緩衝電解質バランス水溶液、潤滑性付与重合体、鉱物油又はワセリン系軟膏、他の油脂、リポソーム、シクロデキストリン、除放性重合体又はゲルを含有する緩衝電解質バランス水溶液に添加してよい。
RPE細胞と共に使用するためのマトリックス
本明細書に記載した方法はインプラント又は装置として本発明のRPE細胞を投与する工程を含む。特定の実施形態においては、装置は、活性剤の粒子の少なくとも約75%が約10μm未満の直径を有する生体分解性重合体マトリックス内部に分散された活性剤を含む眼の医学的状態を治療するための生体腐食性のインプラントである。生体腐食性のインプラントは眼の領域におけるインプラント処置のための大きさを有する。眼の領域は、前眼房、後眼房、ガラス体、脈絡膜、脈絡膜上隙、結膜、結膜下隙、強膜上隙、角膜内隙、角膜上隙、強膜、毛様体輪、外科的に誘導された血管領域、斑部及び網膜の何れか1つ以上であってよい。生体分解性重合体は例えばポリ(乳−コ−グリコール)酸(PLGA)共重合体、生体分解性ポリ(DL−乳−コ−グリコール酸)フィルム、又はPLLA/PLGA重合体基板であってよい。重合体における乳酸のグリコール酸に対する単量体の比は約25/75、40/60、50/50、60/40、75/25重量%、より好ましくは約50/50である。PLGA重合体は生体腐食性インプラントの約20、30、40、50、60、70、80〜約90重量%であってよい。PLGA共重合体は生体腐食性インプラントの約30〜約50重量%、好ましくは約40重量%であってよい。ポリ乳酸、ポリ(乳−コ−グリコール酸)、50:50PDLGA、85:15PDLGA及びINIONGTR(登録商標)生体分解性膜(生体適合性重合体の混合物)のような生体適合性重合体と組み合わせてRPE細胞を移植してよい。米国特許6,331,313;7,462,471;及び7,625,582を参照できる。また、Hutala等、(2007)“In vitro biocompatibility of degradable biopolymersin cell line cultures from various ocular tissues: Direct contact studies.”Journal of Biomedical Materials
Research 83A(2): 407‐413; Lu等、(1998) J BiomaterSci Polym Ed 9: 1187‐205; and Tomita等、(2005) Stem Cells 23: 1579‐88を参照できる.
スクリーニングアッセイ
本発明はRPE細胞の成熟度をモジュレートする剤を識別するためのスクリーニングのための方法を提供する。例えば、ヒトES細胞から分化したRPE細胞は、RPE成熟化を促進する剤を求めるスクリーニングにおいて使用されてよい。識別した剤は、治療計画の部分として単独で、又はRPE細胞と組み合わせて使用されてよい。或いは、識別した剤はインビトロで分化させたRPE細胞の生存性を向上させるための培養方法の部分として使用されてよい。
RPE細胞は医薬品、化学又は生化学企業、病因、又は学術又は研究機関のような状況における研究ツールとして使用されてよい。そのような使用は、例えばインビトロ又はインビボのRPEの生存を促進するために使用してよい、又は、RPE成熟化を促進するために使用してよい剤を識別するためのスクリーニングアッセイにおける胚性幹細胞から分化したRPE細胞の使用を包含する。識別された剤は、例えばそれらの単独又はRPE細胞と組み合わせた場合の潜在的用途を評価するために、インビトロ又は動物モデルにおいて試験されてよい。
本発明は、RPE細胞を準備すること、該RPE細胞を剤と接触させること、該RPE細胞を成熟の徴候に関して評価すること、そして次に、該剤がRPE細胞を成熟の徴候を示すように誘発する場合にRPEの成熟化を促進する剤を識別することを含むRPE成熟化を促進する剤を識別するための方法を提供する。成熟の徴候は本明細書において考察するとおり、色素沈着のレベル、遺伝子発現のレベル、及び形態であってよい。
商業的応用及び方法
本発明の特定の側面は商業的な量に到達するためのRPE細胞の生産に関する。RPE細胞は大規模生産され、必要に応じて保存され、そして病因、医師又は他の医療機関に供給されてよい。
特定の側面によれば、本発明は本明細書に開示した方法により生産されたRPE細胞の製造、保存及び流通の方法に関する。RPE細胞の生産の後、RPE細胞を採取し、精製し、そして場合により保存した後に患者の治療を行ってよい。RPE細胞は場合により患者特異的であるか、又はHLA又は他の免疫学的プロファイルに基づいて特異的に選択してよい。例えば、糖尿病性網膜症、黄斑変性(加齢性黄斑変性を含む)、色素性網膜炎、網膜萎縮、網膜剥離、網膜形成異常及びシュタルガルト病(黄色斑眼底)のような適応症を患者が呈した場合、RPE細胞が注文され、遅滞無く提供されてよい。従って、本発明は、商業的規模で細胞を得るためのRPE細胞製造方法、該方法に由来するRPE細胞を含む細胞調製物、並びに、病院及び医師にRPE細胞を提供する(即ち、生産し、場合により保存し、そして販売する)方法に関する。分化RPE細胞又は成熟分化RPE細胞の生産を商業的使用のためにスケールアップしてよい。
本発明は又、販売のために調製物を流通させるための流通システムを樹立することを含む医薬品業務を実施する方法を提供するか、又は、医薬調製物を販売するための販売グループを樹立することを包含してよい。
本発明は、本明細書に開示した方法により生産されたRPE細胞が保存され、病院、医療センター又は医師による要望により注文され、そしてRPE細胞療法を必要とする患者に投与される、病院、医療センター及び医師にRPE細胞を供給する方法を提供する。病院、医療センター及び医師は患者の特定のデータに基づいてRPE細胞を注文し、RPE
細胞は患者の仕様に従って生産され、そしてその後、注文を出した病院又は医師に供給される。例えば、特定のRPE細胞調製物を患者に適するものとして選択した後、これを患者治療に適する量に到達するまで増殖させる。
本発明の別の側面は潜在的患者レシピエントにマッチした細胞を提供できるRPE細胞のライブラリに関する。従って、本発明は少なくとも1つの組織適合性抗原に対してホモ接合であるRPE細胞調製物を準備する工程を含む医薬品業務を実施する方法を提供し、ここで細胞は、本明細書に開示した方法により増殖させてよいRPE細胞のライブラリを含むその細胞のバンクから選択され、
ここで各RPE細胞調製物はヒト集団中に存在する少なくとも1つMHC対立遺伝子に関して半接合又はホモ接合であり、
そしてここで該RPE細胞バンクは、細胞のバンクの他のメンバーと相対比較してMHC対立遺伝子の異なるセットに関して各々半接合又はホモ接合である細胞を含む。上記した通り、RPE細胞を派生させるために使用される半接合又はホモ接合のMHC対立遺伝子幹細胞を発生させるために、遺伝子ターゲティング又はヘテロ接合性の損失を使用してよい。
本発明は又、患者からヒトES細胞を獲得し、そして次にES細胞から派生させたRPE細胞を発生及び増殖させる方法を包含する。これらのRPE細胞を保存してよい。更に、これらのRPE細胞は、ESを獲得した患者、又はその患者の親戚を治療するために使用されてよい。
本開示は、ヒトRPE細胞が十分画定され再現性のある条件下にヒトES細胞から信頼性良く分化及び増殖される可能性があることを明らかにしており、網膜変性障害を有する患者に対して細胞の無尽の入手源を与えるものである。これらの細胞の濃度は、入手し易さにより制限されるのではなく、むしろ、個体の厳密な臨床的必要性に対して滴定されることになる。患者の生涯に渡って同じ細胞集団の注入又は移植を反復することも、医師が必要と見なせば、可能となる。更に又、RPE細胞の生産原料となりえるマッチした、又は低複雑性のHLAhES系統のバンクを作製する能力は、免疫抑制剤及び/又は免疫調節性のプロトコルの必要性を共に、潜在的に低減又は排除する場合がある。
特段の記載が無い限り、本明細書において使用する全ての技術的及び学術的な用語は本発明が属する技術の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと同様又は等価な方法及び物質を本発明、又は本発明の試験において使用できるが、適当な方法及び物質は以下に記載する通りである。物質、方法及び例は、説明を目的とするのみであり、そして制限することを意図していない。
本発明を更に明確化するために、本明細書において以下の用語及び定義を提示する。
本明細書の説明において、そして後述する請求項を通じて使用する場合、文脈により別様に明示されない限り、単数と複数の標記を区別しない。更に又、文脈により別様に明示されない限り、「中に」という意味は「中に」及び「上に」を包含する。
明細書全体に渡り、「含む」又はその変形、例えば「含んでいる」等は、記載されている整数又は整数の群の包含を意味するが、何れかの他の整数又は整数の群の排除を意味しないと理解しなければならない。
「有効量」とは、本明細書において使用する場合、広範には、疾患を治療するために患者に投与する場合にその疾患に対して治療を奏効させるために十分である化合物又は細胞の量を指す。有効量は予防のために有効な量及び/又は防止のために有効な量であってよ
い。有効量は低下させるために有効な量、徴候/症状の発生を防止するため、徴候/症状の発生の重症度を低下させるため、徴候/症状の発生を排除するため、徴候/症状の発生の進行を緩徐化するため、徴候/症状の発生の進行を防止するため、及び/又は徴候/症状の発生の予防を行うために有効な量であってよい。「有効量」は疾患及びその重症度及び治療すべき患者の年齢、体重、病歴、感受性、及び既往症により変動してよい。「有効量」という用語は本発明の目的のためには「治療有効量」と同義である。
「胚」又は「胚性」とは、本明細書において使用する場合、広範には母宿主の子宮膜に移植されていない発生中の細胞塊を指す。「胚性細胞」とは胚から単離されているか胚に含有されている細胞である。これは又、2細胞期もの早期に得られる割球、及び集合した割球を包含する。
「胚性幹細胞」(ES細胞)とは、本明細書において使用する場合、広範には細胞系統として連続継代されている胚盤胞又は桑実胚の内細胞塊から派生させた細胞を指す。ES細胞は精子又はDNAによる卵細胞の受精、核転移、単為生殖によるか、又はHLA領域におけるホモ接合性を有するES細胞を発生させる手段により、派生させてよい。ES細胞は又、精子と卵細胞の融合、核転移、単為生殖、又はクロマチンのリプログラミング及びリプログラミングされたクロマチンのその後の原形質膜内への取り込みによる細胞の生産により生産された接合子、割球、又は胚盤胞期の哺乳類胚から派生させた細胞も指す。胚性幹細胞はそれらの原料又はそれらを生産するために使用される特定の方法に関わらず、
(i)全ての3種の胚葉の細胞に分化する能力、(ii)少なくともOct−4及びアルカリホスファターゼの発現、及び(iii)免疫無防備状態の動物に移植された場合に奇形腫を生じさせる能力に基づいて識別されることができる。用語は又、胚の割球1つ以上から、好ましくは胚の残余を破壊することなく単離された細胞を包含する。用語は又、非胚性細胞をプロセスに使用する場合であっても体細胞核転移により生産される細胞を包含する。ES細胞は精子又はDNAによる卵細胞の受精、核転移、単為生殖によるか、又はHLA領域におけるホモ接合性を有するES細胞を発生させる手段により、派生させてよい。ES細胞は又、精子と卵細胞の融合、核転移、単為生殖、又はクロマチンのリプログラミング及びリプログラミングされたクロマチンのその後の原形質膜内への取り込みによる細胞の生産により生産された接合子、割球、又は胚盤胞期の哺乳類胚から派生させた細胞でもある。本発明のヒト胚性幹細胞はMA01、MA09、ACT−4、No.3、H1、H7、H9、H14及びACT30胚性幹細胞を包含するがこれらに限定されない。特定の実施形態においては、RPE細胞を生産するために使用するヒトES細胞はGMP基準に従って派生及び維持される。
「胚派生細胞(Embryo−derived cells、EDC)」とは、本明細
書において使用する場合、広範には桑実胚派生細胞、胚盤胞派生細胞、例えば内細胞塊、胎盾、又は原外胚葉のもの、早期の胚の他の多能性幹細胞、例えば原始内胚葉, 外胚葉, and 中胚葉及びそれらのは生物を指す。「EDC」は又、割球及び集合した単独の割球に由来する細胞塊、又は発生の種々の期に由来する胚を包含するが、細胞系統として継代されているヒト胚性幹細胞は除外する。
「黄斑変性」とは、本明細書において使用する場合、ブルーフ膜、神経網膜及び網膜色素上皮の異常に関連する中心視力の進行性の損失を特徴とする疾患を指す。黄斑変性疾患は、加齢性黄斑変性、ノースカロライナ黄斑変性、ソーズビー基底部ジストロフィー、シュタルガルト病、パターンジストロフィー、ベスト病、マラッティア・レベンテティネーズ、ドインの蜂巣状脈絡膜症、優性ドルーゼン及び放射状ドルーゼンを包含するがこれらに限定されない。
「多能性幹細胞」とは、本明細書において使用する場合、広範にはインビトロで長期間又は実質に無限の増殖を行うことが可能であり、そして自身の未分化の状態を保持し、安定な(好ましくは正常な)核型を呈し、そして適切な条件下で全3胚葉(即ち外胚葉、中胚葉及び内肺葉)に分化する能力を有している細胞を指す。
「多能性胚性幹細胞」とは、本明細書において使用する場合、(a)免疫不全(SCID)マウスに移植した場合に奇形腫を誘導することが可能であり;
(b)全3胚葉の細胞型(例えば外胚葉、中胚葉及び内肺葉の細胞型)に分化する能力を有し;そして(c)少なくとも1つの分子胚性幹細胞マーカーを発現する(例えばOct−4、アルカリホスファターゼ、SSEA3表面抗原、SSEA4表面抗原、NANOG、TRA160、TRA181、SOX2、REX1を発現する)細胞を指す。例示される多能性幹細胞は例えば当該分野で知られている方法を用いて形成でききる。例示される多能性幹細胞は胚盤胞期の胚のICMから派生させた胚性幹細胞、並びに分裂期又は桑実胚期の胚の割球1つ以上から派生させた胚性幹細胞(場合により胚の残余の破壊を伴わない)を包含する。そのような胚性幹細胞は受精によるか、又は、無性的な手段、例えば体細胞核転移(SCNT)、単為生殖及び雄性発生により生産された胚性の物質から発生させることができる。別の例示される多能性幹細胞は因子(本明細書においては、リプログラミング因子と称する)の組み合わせを発現させるか、又は発現を誘導することにより体細胞をリプログラミングすることにより発生させた誘導多能性幹細胞(iPS細胞)を包含する。iPS細胞は胎児、出生後、新生仔、幼若、又は成人の体細胞を用いて発生させてよい。特定の実施形態においては、体細胞を多能性幹細胞にリプログラミングするために使用できる因子は、例えばOct4(場合によりOct3/4と称する)、Sox2、c−Myc及びKlf4の組み合わせを包含する。他の実施形態において、体細胞を多能性幹細胞にリプログラミングするために使用できる因子は、例えばOct−4、Sox2、Nanog及びLin28の組み合わせを包含する。他の実施形態において、体細胞は少なくとも2つのリプログラミング因子、少なくとも3つのリプログラミング因子、又は4つのリプログラミング因子を発現させることによりリプログラミングされる。他の実施形態において、追加的なリプログラミング因子を発見し、そして単独又は1つ以上の知られたリプログラミング因子と組み合わせて使用することにより体細胞を多能性幹細胞にリプログラミングする。iPS細胞は典型的には、胚性幹細胞と同じマーカーの発現により識別されることができるが、特定のiPS細胞系統はその発現プロファイルにおいて変動する場合がある。
「RPE細胞」、「分化RPE細胞」、「ES派生RPE細胞」とは、本明細書において使用する場合、本発明の方法を用いて多能性幹細胞から分化されたRPE細胞を広範に指すために全体を通して互換的に使用してよい。用語は遺伝子的には細胞の成熟度のレベルに関わらず、分化RPE細胞を指すために使用され、そしてそのため、種々のレベルの成熟度のRPE細胞を包含してよい。RPE細胞はその玉石様の形態及び初期の色素出現により目視上は認識されえる。RPE細胞は又、Oct−4及びNANOGのような胚性幹細胞マーカーの発現を実質的に欠いていることに基づき、並びに、RPE65、PEDF、CRALBP及びベストロフィンのようなRPEマーカーの発現に基づき、分子的には識別されることができる。即ち、特段の記載が無い限り、RPE細胞は、本明細書において使用する場合、多能性幹細胞からインビトロで分化されたRPE細胞を指す。
「成熟RPE細胞」及び「成熟分化RPE細胞」は、本明細書において使用する場合、RPE細胞の初期の分化の後に起こる変化を広範に指すために全体を通して互換的に使用してよい。特に、RPE細胞は部分的には初期の色素出現に基づいて認識されえるが、分化の後は、成熟RPE細胞は増強された色素沈着に基づいて認識されえる。
「色素沈着した」とは、本明細書において使用する場合、広範には何れかのレベルの色
素沈着、例えばRPE細胞がES細胞から分化する際に初期に起こる色素沈着を指す。色素沈着は分化したRPE細胞の細胞密度及び成熟度により変動してよい。RPE細胞の色素沈着はRPE細胞の終末分化の後の平均的RPE細胞と同様であってよい。RPE細胞の色素沈着はRPE細胞の終末分化の後の平均的RPE細胞よりも高値に色素沈着してよい。RPE細胞の色素沈着は終末分化の後の平均的RPE細胞よりも低値に色素沈着してよい。
疾患の「徴候」とは、本明細書において使用する場合、広範には患者の検査時に発見可能な疾患を示す何れかの異常;即ち、疾患の自覚的指標である症状とは対照的に疾患の他覚的指標を指す。
疾患の「症状」とは、本明細書において使用する場合、患者により経験され、そして疾患を示す、構造、機能、又は感覚における何れかの罹患現象又は正常からの逸脱を指す。
「施療」、「施療の」、「治療すること」又は「治療」とは本明細書において使用する場合広範には疾患を治療すること、疾患又はその臨床症状の発生を停止又は低減すること、及び/又は、疾患を緩和すること、疾患又はその臨床症状の後退を誘発することを指す。施療は、疾患、徴候、及び/又は症状の予防、防止、処置、治癒、矯正、低減、軽減、及び/又は緩解を包含する。施療は進行中の疾患の徴候及び/又は症状(例えば盲目、網膜劣化)を有する患者における徴候及び/又は症状の軽減を包含する。施療は又「予防」及び「防止」を包含する。予防は患者における疾患の治療の後に生じる疾患を防止すること、又は、患者における疾患の発生又は重症度を低減することを包含する。「低減された」という用語は、施療の目的のためには、広範には、徴候及び/又は症状の臨床上有意な低減を指す。施療は回帰又は再発の徴候及び/又は症状(例えば網膜変性、視力喪失)を治療することを包含する。療法は常時徴候及び/又は症状の出現を妨げること、並びに、既存の徴候及び/又は症状を低減すること、及び、既存の徴候及び/又は症状を排除することを包含するがこれらに限定されない。療法は慢性疾患(「維持」)及び急性疾患を治療することを包含する。例えば、治療は徴候及び/又は症状(例えば盲目、網膜変性)の回帰又は再発を治療又は防止することを包含する。
以下の実施例を参照しながら本発明をより深く説明するが、これらは説明のみであり、上記本発明を限定するものと見なしてはならない。
本発明を全般的に説明してきたが、これは、本発明の特定の側面及び実施形態の説明を目的とするのみであり、そして本発明を限定する意図はない以下の実施例を参照することにより更に容易に理解されることになる。
実施例1
前臨床動物試験において、本発明者等は、hES細胞から発生すると考えられる奇形腫/腫瘍の存在について、それらがヒト網膜色素上皮(hRPE)細胞産物中に存在する場合に、探索していた。動物に100%hES細胞を注射した場合、奇形腫は4週間以内に検出された(顕微鏡的)。しかしながら、hRPE細胞を1%以下のhES細胞でスパイクした場合には、腫瘍は検出されなかった。産物中のhES細胞の最大許容割合は、少なくとも、マウスに置いて奇形腫をもたらすことになるhESの濃度より低値、即ち0.1%未満の桁数であった。理想的には、これよりも遥かに低値においてもhES細胞の濃度を性格に計測すること、又は好ましくはhRPE細胞産物においてhES細胞が存在しないことを示すことができることが望ましい。上記した通り、従来の方法(例えばRT−PCR、ウエスタンブロット、及びフローサイトメトリー)は、約500,000個の分化
細胞の集団中に数個の残留hES細胞があるかどうかを測定するためには感度が不十分である。
実施例2
本実施例は細胞集団における多能性hES細胞の検出のための優れた感度を有するアッセイを説明する。このアッセイを使用しながら、hES細胞から分化した細胞を試験することにより、集団中に残留hES細胞があったかどうかを調べた。残留hES細胞があればレシピエントへの移植により腫瘍を形成する可能性があるため、本アッセイは貴重な安全性の情報を与えることができる。
本実施例においては、アッセイの2つの異なる側面(その各々が相互に独立して使用される)、即ち第1にはhES細胞マーカー発現の損失をもたらす場合のある細胞分化を最小限にするためのhES細胞の維持を支援する条件下のプレーティング;そして第2には時間当たり約1〜10百万個の細胞を観察することが可能な熟練したオペレーターによる集団中の各細胞の評価を可能にする手法の開発、がアッセイの感度に寄与していることを明らかにする。
現時点において、学術文献では、多能性hES細胞(インビボで奇形腫を形成できる)は知られた一連の分子マーカーを発現し、そしてOct−4の発現が多能性の保持には重要であり、このマーカーの損失は細胞分化に関連していることが受け入れられている。検出可能なレベルでこのマーカーを発現する何れかの細胞は、多能性であり、そしてそのため最終産物において望ましくないものと見なされてよい。Oct−4発現を失っている細胞はもはや多能性ではないと見なされることができる。本アッセイにおいては、細胞を先ず可視光下の陽性アルカリホスファターゼ染色に関して検査し、次に免疫蛍光分析によりOct−4発現に関して検査した。
ヒト網膜色素上皮(hRPE)を米国特許7,736,896、米国特許出願12/682,712及び米国特許出願61/262,002に記載の通りヒト肺性幹(hES)細胞を分化させることにより得た。米国特許7,893,315に記載の通り単一のヒト割球を起源としているMA09hES細胞系統からhRPE細胞を分化させた。これらの細胞をMA09−hRPEと命名した。
RPE細胞の培養物中のhES細胞を検出するアッセイの感度を測定した。これらの実験においては、MA09−hRPEとhES細胞の混合物を0.001%、0.01%、0.1%、1%又は10%のhES(合計約200,000個の細胞)を含有するように調製し、そして3連で播種した。細胞を以下の2種類の異なる型の培養条件の何れか、即ち:RPE培養条件(詳細には、hRPE細胞を培養するための通常の操作法に従ってEGM(登録商標)−2(Lonza Biologics,Basel,Switzerland)培地中でゼラチンコーティング4穴プレート上にプレーティング)又はhES細胞培養条件(本実験ではMEF上のプレーティングであり、コンディショニングされたhES−GMを使用したhES細胞の成育及び維持を支援する条件;表2参照)となるように播種した。使用したhES細胞はGFP陽性hES細胞系統(H1又はWA01)であった。このGFP陽性hES細胞系統を使用することにより、細胞が多能性のままであるか分化しているかに関わらずhES細胞から派生させた細胞の存在を検出することが可能であった。H1を使用したこれらの初期の実験の後、GFPを発現しなかったが、ヒト細胞(hES細胞を包含)を染色したがMEF(マウス起源)を染色しなかった抗ヒト核抗体を用いて検出できている別のhES細胞系統であるMA09でも同様の結果が得られたことが確認された。
プレーティングの後、基板への結合を可能にするように細胞を培養し、次に細胞を2%パラホルムアルデヒドで固定し、0.1%NP−40代替物で透過性を付与(これは固定後即座に、又は数週間以内、例えば約24時間後に実施してよい)し、そしてアルカリホスファターゼ(AP)及びOct−4に関して染色した。可視光下に検出可能な染色を与えるVECTOR(登録商標)Blue(Vector Laboratories)を用いながら製造元の説明書に従ってAPを検出した。Oct−4は免疫蛍光(後述する実施例7記載のものと本質的に同じ方法)を用いて検出した。蛍光顕微鏡の低倍率対物レンズを用いながら、ウェル全体の最初のスキャンを透過可視光において上、右へ、端部へ、下、左から端部へ、下、右・・・の繰り返しパターンとして、プレート上の各セルを観察しながら、アルカリホスファターゼ活性を示す細胞の青色染色について行った。細胞は可視光下に観察されているため、非染色細胞もまた目視可能であり、そして顕微鏡の焦点を必要に応じて調節することにより、スキャン中に垂直方向の変異があればそれを補正し、これにより確実に焦点面に細胞が残存するようにした。青色染色細胞が観察されたら、Oct−4染色に関し、次にGFPに関して紫外光下により高倍率(x20対物レンズ)で再検査した。紫外光下の観察の時間が本方法によれば低値に保たれていたため、Oct−4及びGFP染色は光退色しなかった。代表的な顕微鏡写真を図1に示す。上パネルは1:10の比(10%)でRPE細胞と混合したGFP陽性(左)及びOct−4陽性(右)細胞を示す。DAPI染色(下左パネル)は視野に存在する全ての細胞(RPE及びhESの両方)を示し、そして下右パネルはアルカリホスファターゼ染色を示す。200倍。
AP染色は可視光下に検出可能であるため、一次スクリーニングとして、集団中のあらゆる細胞を迅速に検査できた(本実施例において200,000個の細胞)。AP陽性であった細胞を紫外光下にOct−4及びGFPの発現に関して検査した。AP、Oct−5及びGFPに関して陽性である細胞は多能性であるのに対し、GFP陽性でありOct−4陰性である細胞は多能性細胞の分化した子孫である。一部のAP陽性細胞はGFP陰性及びOct−4陰性であり、潜在的hES細胞を迅速に発見するためにAPを使用できることを示しており、そしてこれらの細胞を次にhES細胞を発見するための第2のhES細胞マーカー(本実施例ではOct−4)に関して検査することができる。添加したhES細胞は構成的にGFP陽性であったため、AP陽性であるがOct−4に関して陰性及びGFPに関して陰性であった検出細胞は添加したhES細胞を起源としておらず、寧ろMEF集団内の散在するAP陽性細胞に起因すると解釈した。
細胞をRPE培養条件下にプレーティングした場合、本発明者等はGFP陽性細胞の50%超がOct−4陰性であることを観察しており、RPE培養条件は短い培養期間の後であってもhES細胞の多能性状態を殆ど支援しないことが確認された。しかしながら、あらゆるOct−4陽性細胞は又、アルカリホスファターゼ及びGFPを発現し、従ってこのことにより本発明者等は、Oct−4発現はhES細胞を識別するために十分であると結論できた。
しかしながら、細胞をhES細胞培養条件下にプレーティングした場合、Oct−4発現はGFP陽性細胞の遥かに高値の割合において保持されており、0.001%もの低値のhES細胞でスパイクされた培養物中でのOct−4陽性hES細胞の検出も可能であった。このことは、RPE細胞増殖のための培養条件はhES細胞培養の維持には貢献しないが、その代わり、hES細胞の分化を誘発するという本発明者等の所見と合致している(後述する実施例3参照)。
アルカリホスファターゼはOct−4よりも感受性が高く、約178,000個中僅か5個の細胞を検出できる。即ち、アルカリホスファターゼアッセイを一時スクリーニング方法として選択した。しかしながら、APはhES細胞のユニークなマーカーではないた
め、その発現は潜在的hES細胞を識別し、そしてこれはOct−4のようなより確定的なマーカーにより確認できる。AP擬陽性が観察(GFP又はOct−4陰性)されており、そしてOct−4を確認アッセイとして使用する。0.001%のhES細胞を用いた場合、3ウェル中合計5個の細胞がアルカリホスファターゼに関して陽性に染色され、そしてGFP陽性であった。即ち、これらの方法を用いた場合、RPE細胞培養物中のhES細胞の免疫蛍光検出に関する検出限界は5/600,000細胞(0.0008%)と結論された。
実施例3
本実施例はインビトロスパイキング試験の結果を説明している。その目的は、全ての添加hESCは、高パーセンテージであっても、hESC又は未分化EBからの低温保存のための採取時にRPEを分離する時間よりも少ない6週間又は2継代の過程にわたってRPE培養条件下に分化することを示すことであった。
インビトロスパイキング試験をMA09及びH1−GFP細胞を用いて実施した。培養物は、hESCとRPEの混合物を含有しており、1%、10%又は20%hESとした。3週間(p1)及び6週間(p2)における染色及びQ−PCRにより細胞集団を評価した。培養物の顕微鏡観察によれば、hESCはほぼ即座に分化を開始して3D構造を形成し、これはRPE単層の一体性を破壊していたため、容易に観察できた。培養時間の終了時までに、Oct−4陽性細胞は観察されなくなったが、一部アルカリホスファターゼ染色は継続していた。AP染色は分化hESCに起因すると考えられたが、その理由は、分化により種々の細胞型が形成される場合があり、その一部がアルカリホスファターゼ陽性となりえるからである。
新たに調製したhRPEとhESの細胞の上記比で混合した懸濁液をhRPE細胞を培養するための通常の操作法に従ってEGM−2培地中ゼラチンコーティング下6穴及び4穴のプレートにプレーティングした。EGM−2培地はhRPE細胞の増殖を支援するものである。4穴の対照プレートは、第3日に2%パラホルムアルデヒドで固定するか採取(qPCR分析用)することによりこれらの培養物の初期の外観を評価した。残りの6穴プレートはコンフルエントまで培養した時点で、培地をhRPE細胞の維持のために使用されるMDBK−MMに変えた。約3週間の後、培養物を固定するか採取(qPCR用)するか、又は、6穴プレート又は4穴プレートに継代した。プレートを更に3週間培養し
た後に、固定するかqPCR用に採取した。この培養は分化RPEコロニーの単離から最終産物までの製造プロセスをシミュレーションするものであった。
試験1においては、培養物に添加するhES細胞をMA09細胞とした。固定したプレートの染色は、hES細胞マーカーであるOct−4に関しては間接的免疫蛍光を用い、その後、Alexaコンジュゲート二次抗体(赤色発光として識別)及び核可視化のためのDAPIを用いて行い、倒立蛍光顕微鏡下に検査した。アルカリホスファターゼ活性は、VECTOR(登録商標)Blueキット(Vector Laboratories,Burlingame,CA)を用いながら同じプレート上で測定した。更に、生存培養物の単層の不規則性について位相差顕微鏡下、又は、Hoffman Modulation Optics(HMC)を用いながら検査した。
試験2においては、培養物に添加するhES細胞をGFPを構成的に発現するH1−GFPp細胞とした。これらのhES細胞及びそれらの子孫はそれらのGFP発現により容易に検出可能であり、多能性であり続けているか、分化したかに関わらず、ES細胞等の検出をそれらの全培養基間を通じて可能にする。qPCRはOct−4、Nanog、Rex−1及びSox2の発現に関してアッセイするTaqMan Gene Expression Assay(Applied Biosystems)を用いて実施した。ベータアクチン遺伝子発現を標準化のために使用した。
試験3はMA09−RPE細胞を培養中更に1回継代した後にhESH1−GFPp細胞と混合した以外は試験2と同様とした。
試験1の結果
培養物中のMA09胚性幹細胞を正として識別する手段が無いため、hRPE細胞の培養物中へのMA09hES細胞の添加を行うこの実験の主な目的は、Oct−4又はアルカリホスファターゼ活性(これらはES細胞に特異的である)に関して染色される細胞をこれらの混合培養において検出できるかを調べることであった。結果によれば、Oct−4とアルカリホスファターゼの両方に関して陽性に染色された細胞は3日で検出された(二重染色)が、3週では胚性幹細胞マーカーに関して明確に陽性染色されたものは無かった。3日におけるこのような二重陽性染色細胞は大部分は典型的なES様コロニーにおいて観察され、そしてES様形態を有していた。全ての培養物の顕微鏡検査によれば、100%(陽性対照)においてhES細胞は典型的な胚性幹細胞の態様において挙動しており、即ち、それらは分化して3次元の構造を形成し、一部は遊離浮遊状態の胚様体様の凝集物であった。これに対し、純粋なRPE培養物(陰性対照)は典型的なRPE増殖挙動を呈し、即ち、それらは増殖期の間は、伸長して低色素沈着であり、そして、単層が樹立され培地をMDBK−MMに変更した後は、上皮の多角形の色素沈着外観を再獲得していた。しかしながら、全ての混合培養物(1%、10%、20%hES細胞)において、hES細胞の分化派生体に似ている単層中の幾つかの不規則性から分化hES細胞に典型的な大型の発芽した胚様体様及びその他の3D構造に至るまで、2種の異なる細胞型の存在は容易に感知することができた。アルカリホスファターゼ陽性細胞の幾つかのクラスターが10%及び20%培養物中では観察されたが、これらの染色細胞の形態はES細胞とは極めて異なっており、ES細胞の3次元分化凝集物の内部には線維芽細胞様の細胞又は小型の細胞のグループが存在していた。このような3次元凝集物において、は非特異的抗体結合、即ち「ノイズ」のレベルは細胞単層よりも高値であったが、本発明者等は明るく染色されたパッチの何れもOct−4の陽性染色を示すと考えられるDAPI染色核とは関連付けなかった。
試験2及び3の結果
これらの試験の両方に関する所見は、hRPE細胞の両方の培養物を用いた場合の所見が同一であったため、一緒に考察することにする。第2日において、hES細胞のコロニーの形態及び免疫染色によるOct−4の十分検出可能な存在を有していたGFP陽性細胞が検出され、これによりRPE培養物中のESの存在が確認された。hES細胞が成育及び分化し、RPE培養物中に極めて顕著な3次元の凝集物を形成しており、そして用意に検出可能であった(派生体の形態及び増殖中のGFP陽性細胞塊の両方による)。分化したhES細胞の存在を確認する形態学的な観察所見は1%hES:RPE比においても観察された。しかしながら、3週間終了時までには、hES細胞培養物の100%において散見される単細胞を除き、核においては検出可能なOct−4は無かった(これは以前本発明者等が観察した3週齢の分化hES細胞培養物中にOct−4陽性細胞が稀にしか存在しなかったことと合致している)。これらの分化細胞の特異的な性質は調べなかったものの、それらはこの時点までは十分分化したと考えられた。
表4〜8はこれらの培養物に関する形態学的観察及び染色の結果を総括している。これらの表において、−は検出不可能を意味し、?はシグナル検出可能であるが信頼性高く特異的であるとはいえないことを意味し、+はシグナル検出可能を意味し、++はシグナルが極めて強いことを意味し、そして+++はシグナルが強く、そして特異的であることを意味する。
結論
hES及びそれらの派生体は1%濃度で添加された場合でもRPE細胞物の早期及び後期の培養物の両方において顕微鏡観察で検出可能である。hES細胞のコロニー(相当程度分化)はRPE細胞がなお平板でありコンフルエントに満たない第3日には目視可能である。培養物中で3週間の後、顕微鏡観察によれば、RPEの形態とは極めて異なり容易に感知できるhESCから派生した大型の細胞塊が明らかになった。
第3日において、培養物中に存在するhESCの一部はなお多能性のままであったが、第22日には、結果は初期培養物中のhES細胞の割合に依存するものであった。初期に20%以下のhES細胞を含有していた培養物中では、全ての細胞が第22日に分化していた。しかしながら、初期に100%hES細胞を含有していた培養物中では、数個のOct−4陽性細胞が第22日に検出可能のままであった。
Oct−4染色は第3日に検出可能である。1%hESC培養物中において、Oct−4陽性細胞はより検出困難であったが、10%及び20%ではこれらの細胞は容易に検出できた。
H1−GFPp細胞を使用した場合、GFPマーカーは実験の全ての段階において存在しており、そして第3日には10%及び20%hESC中で容易に検出可能であった。第22日においては、hESCの派生体が増殖していたので、全ての異なる濃度で検出は極めて容易であった。
実施例4
本実施例では実施例3で記載したhES細胞及びRPE細胞の混合集団の培養を継続した場合に更に観察されたことを記載する。
継代2における培養物中で3週間の後、細胞をQ−PCRのためにRLT緩衝液中に採取するか、又は、2%PFAで固定してOct−4に関して染色した。アルカリホスファターゼ活性は製造元の説明書に従ってVECTOR(登録商標)Blue染色を用いて検出した。DAPIを用いながらVECTASHIELD(登録商標)中に試料をマウントし、検査/写真撮影した。
青色染色(アルカリホスファターゼ反応性生物の存在を示している)の数箇所の領域が数試料で観察された。しかしながら、これらの細胞の何れもOct−4陽性ではなく、そして検査した如何なる視野にも他のOct−4陽性細胞は全く検出されなかった。これらの結果はES細胞が培養物中に残存していたことを示している。観察されたアルカリホスファターゼ染色は、アルカリホスファターゼ活性を有する他の細胞型をもたらしたES細胞の分化の結果であると考えられる。
GFP陽性細胞は全ての検査した試料中に存在しており、そしてそれらの形態は種々のES細胞派生体を示していたが、ES細胞には似ていなかった。
陽性対照(3日間培養したMA09hES細胞)は極めて高レベルのOct−4染色及びアルカリホスファターゼ活性を示していた。
結論
RPE細胞と混合してRPE培地中で培養したhES細胞は分化したが、分化した状態で増殖を継続した。ES細胞の夾雑の可能性を検知するためには数種の追加的な試験を実
施することが必要である。
Oct−4/アルカリホスファターゼに関して染色したRPE細胞の早期の培養物(2〜3日間)に関しては、この段階において、細胞はコンフルエント未満であり、そして単層として増殖しており、そしてバックグラウンドを形成する細胞外マトリックスの十分な量を付着させていないため、単細胞又は小型のクラスターがあればその存在は容易に検出できるはずである。免疫蛍光試験に関しては、好ましくは3連の少なくとも200,000個の細胞のサンプルサイズがより高感度を与えると考えられる。
RPE培養物が増殖して成熟するに従い、hES細胞の存在は、非上皮形態の単細胞から、未分化ES細胞を居留させる場合がある大型の3次元凝集物に至る範囲の、単層における不規則性を生じさせる場合がある。非RPE形態の単細胞は交差分化した、又は老齢のRPE、又は網膜前駆体である場合があるが、分化ES細胞形態の典型の大型凝集3D凝集物は培養物中のhES細胞の存在を示唆している。
実施例5
hES細胞はそれらの多能性状態を支援しない条件(例えばフィーダー細胞、組成既知マトリックス、又は組成既知培地上)で増殖させた場合、極めて急速に分化することが広範に受け入れられている。この分化はOct−4及びアルカリホスファターゼのような多能性の分子マーカーの損失に関連している。RPE培養条件はhES細胞のhES細胞の未分化成育を支援しないため、RPE細胞との初期多能性のhES細胞の混合物を固定する時点においては、多くのhES細胞は既にOct−4の発現の損失又はダウンレギュレーションを起こしており、そのため検出不能となっていると仮定されていた(そしてこれらの実験により確認された)。
hES細胞の検出の感度に対する培養条件の作用を定量化するため、低濃度のH1−GFPp細胞をMA09−hRPE細胞と混合し、そしてそれらの多能性状態の維持に好都
合な条件、又は、そうではない条件下の何れかでプレーティングした。詳細には、細胞をマウス胚性線維芽細胞フィーダー細胞(MEF)上のhES細胞培地中、又はゼラチン上の2%FBS添加内皮培養培地(EGM−2)中の何れかで培養した。EGM−2はRPE増殖を支援するがhES細胞の多能性状態を維持しない培地である。培地中で分化が起こるための時間を減少させるために、細胞を僅か16時間のみ培養した後に固定した。次に細胞をアルカリホスファターゼ及びOct−4で染色し、実施例2に記載したとおり顕微鏡検査した。フィーダー細胞上のES細胞培地中にプレーティングした細胞集団に関しては、GFP陽性細胞の約80%がAP及びOct−4に関して陽性であった。これとは対照的に、EGM−2培地にプレーティングした細胞集団については、GFP陽性細胞の僅か20%のみがAP及びOct−4に関して陽性であった。これらの結果から、本発明者等は、多能性状態の維持に好都合な条件下のプレーティングは細胞集団におけるhES細胞の検出の感度を大きく向上させることができると結論した。
実施例6
本実施例は稀少な細胞サブ集団を検出する場合、リアルタイムPCRが比較的低感度であることを示すものである。
方法
MA09−RPE細胞とMA09hES細胞の混合物を用いながらqRT−PCRLODを評価した。低温保存されたMA09−RPE細胞を解凍して計数し、そして、hES
MA09も解凍して計数した(存在する多能性hES細胞の数を求めるためアルカリホスファターゼ染色を使用)。次に100%、10%、1%、0.1%、0.01%又は0%の細胞がhES細胞、残余がMA09−RPEとなるように細胞400,000個から混合物を形成した。Qiagenより入手したRNeasyRNA単離キットを用いて細胞混合物からRNAを抽出し、試料当たり30μLのRNAの最終容量とした。次にcDNAをQiagenより入手したQuantitectcDNA合成キットを用いてRNA10μLから合成し、最終容量20μLのcDNAとした。次にcDNA1μLを各試料中に存在するベータアクチンシグナルに標準化した3連において相対的遺伝子発現に関して試験した。遺伝子発現分析は、ソフトウエアバージョン2.1を有するApplied
Biosystems StepOne Plus及びLife Technologiesから入手したTaqMan遺伝子発現アッセイを用いながら、比較Ct相対定量のための製造元の推奨するサイクル条件に従って実施した。
Nanog、Oct−4及びSOX2に関するqRT−PCRアッセイを
後に示すグラフにおけるゼロセット点として使用される100%hES細胞試料で観察される発現レベルに対して標準化した(RQ=相対的定量)。100%hES対照と比較した場合の未スパイク(0%hES)RPE試料に対するNanog(2.51log)、Oct−4(2.73log)及びSOX2(1.63log)の平均のダウンレギュレーションはこのロットに関する過去データと合致する。全てのhESマーカーのダウンレギュレーションは1%及び10%hES細胞でスパイクしたRPE細胞において劇的に低下した。
結果
図2A〜Cは、(A)Oct−4;(B)Nanog;及び(C)SOX2に関する相対的遺伝子発現(qRT−PCRにより検出)をグラフで示したものである。RPE対照(0%hES)と0.1%スパイク試料の間の統計学的有意差はNanogとOct−4で顕著である。しかしながら、0.1%のスパイク用量においては、SOX2のダウンレギュレーションの程度は100%RPE試料で観察されたものに匹敵するものである。0.001%スパイク試料における全3種のhES細胞マーカーに関する発現は100%RPE対照で観察されたものと区別不可能である。従って、qRT−PCRアッセイは0.01%レベルにおける潜在的hES細胞夾雑を検出できないと考えられる。
本試験においては、3つのhESマーカー中の2つ(Nanog及びOct−4)に関するqRT−PCRのLODは0.1%hES細胞レベルであった。しかしながら、RPEの特定のロットに関するダウンレギュレーションの程度に応じて、qRT−PCRがこのレベルであってもhES細胞の夾雑の一貫した信頼できる指標を与えるかどうかは疑問である。結論として、hES発現に関するqRT−PCRは上記した免疫染色アッセイよりも3〜4桁低い感度である。
実施例7
本実施例は更に、染色方法を用いたRPE細胞集団内の稀少なhES細胞の検出の高い感度を明らかにするものである。これらの実験は、RPEの集団における未分化(多能性)hESCを検出するためのアッセイの感度を計測するものである。細胞を結合及び拡大可能とする最小の時間、hESC培地中のMEF上で明確な相対的に少数のhESC(異なる実験でH1及びMA09の両方)でRPEをスパイクし、これによりそれらが免疫染色操作の間接着状態で残存できるようにした。これらの条件(MEF、コンディショニングされたhESC−GM培地、RPEへの最小限の曝露)はhESCの多能性を温存させた。14〜16時間後、プレートを固定して染色し、次に検査した。検査したウェル当た
りの総細胞数に対し、幾つかの無作為に選んだ視野において視野当たりの核(DAPI染色)を計数した。AP染色は多能性細胞に加えて他の細胞型においても発現されるため、AP+/Oct4−細胞はMEFを起源とすると考えられ;即ち、各々のAP陽性細胞をOct−4に関して検査し、そして二重陽性細胞をhES細胞として計上した。Oct−4とGFPの比較により求めた場合、多能性細胞から分化型への僅かな損失があったが、これらのhESCに対して最適化した条件下では、この損失は最小限である(MEF非存在及びRPE培地中では損失は遥かに大きかった)。
方法
MA09hES及びRPE細胞を、8hES細胞対10百万RPE細胞の比で調製した。陰性対照はhES細胞を添加しないRPE細胞よりなるものとした。計算平均で1.6hES細胞を含有する2百万のRPE細胞をhESコンディショニング細胞培養培地中に懸濁し、そしてフィーダー細胞(マイトマイシンCを呼び投与したMEF)500,000個を含有する6穴プレート中に播種することによりhESの多能性の保持を促進した。細胞を約16時間培養した後に、固定及び染色を行った。14〜18時間の後、培地を除去し、培養物をPBSで洗浄し、0.1%NP−40で浸透性付与(10分間)し、そして再度洗浄した。非特異的結合を10%正常ヤギ血清でブロックした(30〜60分)。Oct−4に対する一次抗体を添加し、その後洗浄し、そして二次蛍光標識抗体中でインキュベートした。染色条件を確認するため、そして培養物中に存在するMEFに起因する非特異的染色を全て排除するための対照アッセイを、抗ヒト核(抗HuNu)抗体及びOct−4による二重染色を用いて実施した。次にVector Blue(Vector
Labs)を用いながらアルカリホスファターゼ(青)の存在下で培養物を染色した。AP色変化が完了した後、染色を除去し、細胞を洗浄し、そしてDAPIで染色した(蛍光DNA染色)。
GFP又は他の内部マーカーを有さないMA09細胞を用いた場合、本発明者等は、同じマーカー+抗ヒト核に関して染色されるMEF上のhESのみ(RPE非存在)の対照を包含させた。hES細胞は包囲するhES細胞の相互補強の非存在下で分化しやすいため、この対照実験により本発明者等は、プレーティング後に残存できる未分化のhES細胞の数の上限を求めることができた。これらの対照実験においては、同じ数のhES細胞を、hES細胞培地(コンディショニングhES−GM;表2参照)中のMEFの同じプレート領域に、ただしRPE細胞非存在下でプレーティングした。次に培養物を抗ヒト核(抗HuNu)抗体で染色することにより、MEF最上部の上のヒト細胞の検出を可能にし、そして残存する未分化のhES細胞を計数した。これらの計測により、低密度であるが最良の培養条件下でプレーティングされた場合に(MEF上のhES培地中にプレーティング)どれほど多くの未分化hES細胞が残存するかを測定した。これらの対照プレート中で検出された未分化のhES細胞の数を、検出された未分化細胞のパーセントを計算する際の分母として使用した。計算上600,000個当たり5個のhES細胞を導入した場合、少なくとも2つの二重陽性が検出された。このように少数の夾雑細胞が導入される場合、ピペッティングのような操作中の細胞の損失は一定であり、そして夾雑細胞の漸減するパーセンテージとは相関しないため、「ノイズ」効果は顕著になる場合がある。
結果
上記考察した通り、かなりの割合のhES細胞が免疫染色アッセイの前の培養の過程(24時間)の間にOct−4染色性を失う場合がある。Oct−4染色性の損失は染色の前のRPE培養培地中の培養を維持することに起因していた。追加的な試験により培養の過程(約18時間)の間にMA09hES細胞におけるOct−4発現の同様の損失が確認された。即ち、アッセイ条件に応じて、初期は多能性であったhES細胞のあるパーセ
ンテージは、それらが免疫染色のために固定化される時点までに、Oct−4発現に関してはダウンレギュレートされており、これにより元の細胞集団におけるhES細胞の検出の感度が減衰すると考えられる。
Oct−4発現の損失を最小限にするために、MEFフィーダー細胞及びhESコンディショニング培養培地の使用を組み込むようにアッセイ条件を変更し、これによりアッセイの過程の間のhES多能性マーカーの持続性を強化した。明視野中に陽性シグナル(青色細胞染色)が観察されるため一次スクリーニング手段としてAPを温存し、オペレーターが焦点面を確保しつづけることができるようにした。一方、蛍光に関して細胞をスキャンすることは、細胞を蛍光下に目視することを必要とし、これは焦点面から逸脱する細胞をもたらす場合があり、そして陽性シグナルを見逃すことになる場合がある。更に、AP染色はオペレーターを数百万中のあらゆる細胞を検査可能とし、後のOct−4発現確認の検査のためのAP陽性細胞をピンポイントで特定できる。
これらの試験はRPE細胞集団中の多能性MA09hES細胞の稀少なサブ集団を検出するためのこの方法が優れた感度を呈することを確認している。
本実施例において報告した2つの試験の各々に関し、6穴プレートの4〜5穴の細胞の全てを先ずAP(青色)染色に関して検査した。次にAP陽性細胞があればそれを、Oct−4の存在を示す赤色蛍光に関して再検査した。上記実施例で記載したものと同じスキャン方法を用いて細胞の染色を検査し、即ち明視野では青色染色細胞を検索し、プレートの左上から「右−下−左−下の反復」の移動を最も右側下の視野が検査されるまで継続した。この方法において、あらゆる青色染色AP陽性細胞をOct−4(赤色)染色に関して検査した。ウェル当たり検査した細胞の総数を求めるために、3つの無作為に選択された視野(0.26mm/視野)の顕微鏡写真中のDAPI染色核の数を計数し、そして視野当たりの平均の細胞を6ウェル当たりの視野の総数(ウェル当たり960mm/視野当たり0.26mm)=6ウェル当たり3692視野と掛け合わせた。ここで注意すべきは、各ウェルはやはり約500,000MEFも含有しており、このためMEFのみを含有するレファレンスウェルを設定し、そしてMEF核も同様にDAPI染色して計数することにより、MEFを除くRPE/hES細胞の正確な数を得た。代替法として、ウェル当たり計数されたヒト細胞(マウス由来MEFの場合とは異なる)を、HuNuのようなヒト特異的マーカーで染色した細胞を計数することにより求めることができる。
これらの試験において、陽性応答は、2百万RPE細胞毎の1.6MA09hES細胞の計算された比においてスパイクされたRPE調製物中の二重染色細胞の最小値として定義された。従って夾雑hESを検出するためのLODは0.00008%のレベルである。ここで注意すべきは、これがGFP−hES試験に関して以前に報告されているものよりも1桁感度が高いことである。増強された感度には、少なくとも2つの要因、即ち1)hESの多能性を維持するためのMEF及びhESコンディショニング培地の使用、及び2)検査細胞数の増大がアッセイの感度を上昇させることが寄与している。
これらの試験の結果を以下の表9に総括する。
追加的試験において、2人の盲検オペレーターが100%RPE細胞及び0.0001%hESでスパイクしたRPE細胞を含有するウェルを検査した。全オペレーターがスパイクされたウェル中の二重陽性(Oct−4/AP染色)細胞全てを識別したのに対し、100%RPE対照では何れのオペレーターによってもhES染色は観察されなかった。
実施例8
本実施例は、集団中の標的細胞を検出する別の例示される方法を説明するものである。アルカリホスファターゼ(AP)に直接又は間接的にカップリングさせた第1の抗体及び蛍光標識にカップリング第2の抗体を用いながら標的細胞を検出する。この方法はAPを発現しない(又は頑健な検出のためには不十分なAPを不十分に発現する)型の稀少な細胞を検出するために使用してよい。また、本方法は内因性にAPを発現する稀少細胞(例えばES細胞)を検出するために使用してよく、そのような場合、APにカップリングさせた抗体はAP染色強度を上昇させることが期待される。第1及び第2の抗体は稀少細胞型の種々異なるマーカーに特異的に結合する。例えば、標的細胞型がES細胞である場合、抗体は2種の異なるES細胞マーカー、例えばアルカリホスファターゼ、Oct−4、Nanog、期特異的胚性抗原−3(SSEA−3)、期特異的胚性抗原−4(SSEA−4)、TRA−1−60、TRA−1−81、TRA−2−49/6E、Sox2、成長分化因子3(GDF3)、低下発現1(REX1)、線維芽細胞成長因子4(FGF4)、胚細胞特異的遺伝子1(ESG1)、発生多能性関連2(DPPA2)、DPPA4、テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、SALL4、E−CADHERIN、クラスター指定30(CD30)、Cripto(TDGF−1)、GCTM−2、Genesis、生殖細胞核因子、及び幹細胞因子(SCF又はc−Kitリガンド)に特異的に結合する。
AP及び蛍光標識への抗体のそれぞれのカップリングは、直接、又は間接的に、例えば二次抗体、アクチン/ビオチンアフィニティー、及び間接的カップリングのその他の方法を介して行ってよい。次に細胞をアルカリホスファターゼ活性に関して染色することにより可視光下に第1の抗体に結合する細胞を可視化することができる。次に、細胞集団を前
記実施例において記載したとおり可視光下に検査することによりAP陽性細胞を識別し;次にAP陽性細胞を紫外光下に検査することにより第2の抗体によっても標識される細胞を検出する。第1及び第2の抗体の両方に結合する細胞を標的型の細胞として識別する。場合により、標的細胞型の増殖及び/又は生存に好都合な条件下に細胞集団をプレーティングする。場合により、検査する細胞の総数の推定は、例えば、無作為視野中の細胞数を計数し、そして計数した総面積にまでスケールアップすることにより行い、そして細胞の所定の最小数を検査することにより所望のレベルの感度を確保してよい。培養条件がフィーダー細胞の存在を包含する場合、細胞集団の計数は、フィーダー細胞に由来する細胞集団を区別する標識(例えば種特異的抗体又は直系特異的抗体、ここでフィーダー細胞は細胞集団とは異なる種又は型のものである)の存在下で実施されてよく、これは2連のウェル中で実施してよい。
実施例9
本実施例は集団内の標的細胞を検出する別の例示される方法を説明するものである。相互に目視区別可能な第1及び第2の染色を用いながら2種の異なる標的細胞マーカーを検出するために細胞集団を染色する。例えば、目視可能な生成物を与える反応を触媒する2種の異なる酵素(例えばアルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ及びパーオキシダーゼ、例えばセイヨウワサビパーオキシダーゼから選択)に各々直接又は間接的にカップリングされた第1及び第2の抗体で細胞を標識してよい。次に目視可能な生成物を与える反応を触媒する2種の異なる酵素の基質と細胞を接触させ、その場合、基質は、それらの産物が相互に異なる色となるように選択される。或いは、産物は相互に同じ色であるが、区別可能名染色パターンを有するように選択されてもよい(例えば1つは核を染色する抗体にカップリングされ、他方は原形質膜を染色する抗体にカップリングされる)。一例として、酵素の1つはアルカリホスファターゼであり、その基質はVector Red又はVector Blue(赤色及び青色の産物をそれぞれ生成する)であってよく、そして他方の酵素はパーオキシダーゼであり、その基質は3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)(暗茶色産物を生成)であってよい。使用してよい別の例示される酵素はベータガラクトシダーゼとその基質X−Gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド)(青色産物を生成)であり、これはパーオキシダーゼ/DAB(茶色産物)又はAP/Vector Red(赤色産物)と共に容易に使用されてよい。目視により区別可能な産物を生成する他の適当な実施例/基質の組み合わせは定型的な実験により容易に発見される。本方法の利点は蛍光下の検査を必要とすることなく可視光のみを用いて稀少細胞を検出してよい点である。更に、所望により、別の蛍光標識(例えば第3のマーカーに対する抗体にカップリング)を利用することにより、紫外光下の検査により検出細胞(即ち第1及び/又は第2の標識により標識)を更に確認することができる。
本発明を実施例及び好ましい実施形態により説明してきたが、本明細書において使用した用語は説明の用語であって限定の用語ではない。本発明の広範な側面における範囲及び精神を逸脱することなく添付請求項を鑑みながら変更を行ってよい。本発明は本明細書においては特定の手段、材料及び実施形態を参照しながら説明してきたが、本発明は特化維持した特定のものに限定されないと理解しなければならない。本発明は添付請求項の範囲内にある全ての等価な構造、手段及び使用にも及ぶものである。
本明細書に記載した本発明の特定の実施形態の多くの等価物を、定型的に過ぎない実験を用いながら当業者は容易に認識又は確認できるはずである。そのような等価物は後に示す請求項に包含されることを意図している。
本明細書において引用した各文書(全ての特許、特許出願及び他の公開物を包含する)
は、各々個々の全てが特定的及び個別に参照により本明細書に組み込まれるように示される場合と同様の程度にまで参照により全体が本明細書に組み込まれる。以下の米国特許仮出願、即ち2007年10月12日出願の60/998,766、2007年10月12日出願の60/998,668、2008年1月2日出願の61/009,908及び2008年1月2日出願の61/009,911の各々の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。更に、WO2009/051671の開示も参照により全体が本明細書に組み込まれる。

Claims (100)

  1. 下記工程:
    (a)細胞集団を準備すること;
    (b)第1の染色及び第2の染色を該細胞集団に適用すること、ここで該第1の染色は自身の発現が標的細胞の存在を示す第1のマーカーを検出し、そして該第2の染色は自身の発現がやはり同じ標的細胞の存在を示す第2のマーカーを検出し、そしてここで、該第1の染色は可視光下に検出可能であり、そして該第2の染色は紫外光下に検出可能であること;
    (c)可視光下に該細胞集団を顕微鏡観察することにより該第1のマーカーに関して陽性である何れかの細胞を検出すること;
    (d)紫外光下に該第1のマーカーに関して陽性である該細胞を顕微鏡観察すること、及び、該検出された細胞の何れかが該第1のマーカー及び該第2のマーカーに関して陽性であるかどうか調べること;及び、
    (e)該第1のマーカー及び該第1のマーカーに関して陽性である何れかの細胞を標的細胞として識別すること;
    を含む、細胞集団における標的細胞の存在を検出する、又は非存在を確認する方法。
  2. 下記工程:
    (a)細胞集団を準備すること;
    (b)第1の染色及び第2の染色を該細胞集団に適用すること、ここで 該第1の染色は自身の発現が標的細胞を示す第1のマーカーを検出し、そして第2の染色は自身の発現が同じ標的細胞を示す第2のマーカーを検出し、ここで該第1の染色は可視光下に検出可能であり、そして該第2の染色は可視光下に検出可能であり、そしてここで該第1の染色及び該第2の染色は目視により区別可能であること;
    (c)可視光下に該細胞集団を顕微鏡観察することにより該第1のマーカーに関して陽性である何れかの細胞を検出すること;
    (d)可視光下に該細胞集団の細胞を顕微鏡観察することにより該第2のマーカーに関して陽性である何れかの細胞を検出すること;そして、
    (e)標的細胞として該第1のマーカー及び該第2のマーカーに関して陽性である何れかの細胞を(c)及び(d)で検出された細胞から識別すること;
    を含む、細胞集団における標的細胞の存在を検出するか、又は非存在を確認する方法。
  3. 細胞集団から検出された標的細胞を除去又は単離することを更に含む請求項1又は2記載の方法。
  4. 細胞集団が多能性細胞1つ以上に由来する請求項1又は2記載の方法。
  5. 多能性細胞1つ以上に由来する細胞集団複数に対して行う請求項1又は2記載の方法。
  6. 該細胞集団が異なるHLA型の多能性細胞に由来する請求項5記載の方法。
  7. 該第1の染色が可視光下及び紫外光下に観察可能である請求項1又は2記載の方法。
  8. 該第1のマーカーが該標的細胞により発現されるアルカリホスファターゼを含む請求項1〜7の何れかに記載の方法。
  9. 該第1の染色が該第1のマーカーに特異的に結合する抗体を含み、そして該抗体がアルカリホスファターゼに直接又は間接的にカップリングする請求項1〜7の何れかに記載の方法。
  10. 該第1の染色がナフトールAS−BIホスフェート;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート(BCIP)及びニトロブルーテトラゾリウム(NBT);BCIP試薬及びINTX試薬;ナフトールAS−BI及びファーストレッドバイオレットLB;テトラゾリウム塩;ジアゾ化合物;VECTOR(登録商標)Red;VECTOR(登録商標)Blue;VECTOR(登録商標)Black;及びp−ニトロフェニルホスフェート(pNPP)よりなる群から選択されるアルカリホスファターゼ基質を含む請求項8又は9の何れかに記載の方法。
  11. 該第1の染色がベクターレッド又はベクターブルーを含む請求項10記載の方法。
  12. 該第2の染色が該第2のマーカーに特異的に結合する一次抗体を含み、そして該一次抗体が蛍光標識に直接又は間接的にカップリングされる請求項1又は7〜11の何れかに記載の方法。
  13. 該第2のマーカーがアルカリホスファターゼ、Oct−4、Nanog、期特異的胚性抗原−3(SSEA−3)、期特異的胚性抗原−4(SSEA−4)、TRA−1−60、TRA−1−81、TRA−2−49/6E、Sox2、Lin28、成長分化因子3(GDF3)、低下発現1(REX1)、線維芽細胞成長因子4(FGF4)、胚細胞特異的遺伝子1(ESG1)、発生多能性関連2(DPPA2)、DPPA4、テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、SALL4、E−CADHERIN、クラスター指定30(CD30)、Cripto(TDGF−1)、GCTM−2、Genesis、生殖細胞核因子、及び幹細胞因子(SCF又はc−Kitリガンド)よりなる群から選択される請求項12記載の方法。
  14. 該標的細胞が胚性幹細胞である請求項13記載の方法。
  15. 該第2のマーカーがOct−4及びNanogよりなる群から選択される請求項14記載の方法。
  16. 該一次抗体が蛍光標識を含む請求項12〜15の何れかに記載の方法。
  17. 該第2の染色が更に二次抗体を含む請求項12〜15の何れかに記載の方法。
  18. 該二次抗体が蛍光標識を含む請求項17記載の方法。
  19. 該蛍光標識がAlexa Fluor350、Alexa Fluor405、Alexa Fluor430、Alexa Fluor488、Alexa Fluor514、Alexa Fluor532、Alexa Fluor546、Alexa Fluor555、Alexa Fluor568、Alexa Fluor594、Alexa Fluor610、Alexa Fluor633、Alexa Fluor635、Alexa Fluor647、Alexa Fluor660、Alexa Fluor680、Alexa Fluor700、Alexa Fluor750及びAlexa Fluor790、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テキサスレッド、SYBRグリーン、DyLightFluors、緑色蛍光蛋白(GFP)、TRIT(テトラメチルローダミンイソチオール)、NBD(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール)、テキサスレッド染料、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル
    酸、クレジルファーストバイオレット、クレジルブルーバイオレット、ブリリアントクレジルブルー、p−アミノ安息香酸、エリスロシン、ビオチン、ジゴキシゲニン、5−カルボキシ−4',5'−ジクロロ−2',7'−ジメトキシフルオレセイン、TET(6−カルボ
    キシ−2',4,7,7'−テトラクロロフルオレセイン)、HEX(6−カルボキシ−2',
    4,4',5',7,7'−ヘキサクロロフルオレセイン)、Joe(6−カルボキシ−4',5'−ジクロロ−2',7'−ジメトキシフルオレセイン)、5−カルボキシ−2',4',5',7'−テトラクロロフルオレセイン、5−カルボキシフルオレセイン、5−カルボキシローダミン、Tamra(テトラメチルローダミン)、6−カルボキシローダミン、Rox(カルボキシ−X−ローダミン)、R6G(ローダミン6G)、フタロシアニン類、アゾメチン類、シアニン類(例えばCy3、Cy3.5、Cy5)、キサンチン類、スクシニルフルオレセイン類、N,N−ジエチル−4−(5'−アゾベンゾトリアゾリル)−フェニルアミン、アミノアクリジン及び量子ドットよりなる群から選択される請求項16又は18記載の方法。
  20. 該蛍光標識がAlexa Fluor488を含む請求項19記載の方法。
  21. 該第2の染色が該第2のマーカーに特異的に結合する一次抗体を含み、そして該一次抗体が可視光下に観察可能な試薬に直接又は間接的にカップリングする請求項2〜11の何れかに記載の方法。
  22. 可視光下に観察可能な該試薬が金粒子、銀粒子、又はラテックス粒子を含む請求項21記載の方法。
  23. 該第2の染色が該第2のマーカーに特異的に結合する一次抗体を含み、そして該一次抗体が可視光下に観察可能な生成物を生成する反応を触媒する酵素に直接又は間接的にカップリングする請求項2〜11の何れかに記載の方法。
  24. 該酵素がアルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、及びパーオキシダーゼよりなる群から選択される請求項23記載の方法。
  25. 該パーオキシダーゼがセイヨウワサビパーオキシダーゼを含む請求項24記載の方法。
  26. 該パーオキシダーゼを3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB);3,3’−ジアミノベンジジン(DAB);3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC);4−クロロ−1−ナフトール;2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS);2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロリド;2−クロロ−5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン;3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン;3,3′−ジアミノベンジジンテトラクロリド;3−ニトロテトラゾリウムブルークロリド;4−アミノフタルヒドラジド;4−クロロ−1−ナフトール;4−クロロ−7−ニトロベンゾフラザン;5−アミノサリチル酸;2塩酸ジカルボキシジン;グアイアコール;過酸化水素−尿素付加物;ヨードニトロテトラゾリウムクロリド;ルミノール;MTTホルマザン;N−(4−アミノブチル)−N−エチルイソルミノール;N−(6−アミノヘキシル)−N−エチルイソルミノール;ニトロテトラゾリウムブルークロリド;ピロガロール;テトラニトロブルーテトラゾリウムクロリド;テトラゾリウムブルークロリド指示薬;テトラゾリウムバイオレット;o−ジアニシジン;o−ジアニシジン2塩酸塩;o−フェニレンジアミン2塩酸塩;o−フェニレンジアミン遊離塩基;及びトランス−5−フェニル−4−ペンテニルヒドロパーオキシドよりなる群から選択されるパーオキシダーゼ基質と接触させることを更に含む請求項23又は24記載の方法。
  27. 該酵素がベータガラクトシダーゼを含む請求項24記載の方法。
  28. 該ベータガラクトシダーゼを、1−メチル−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノ
    シド;2−ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシド;4−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド;4−ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド;6−ブロモ−2−ナフチルβ−D−ガラクトピラノシド;6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド;フルオレセインジ(β−D−ガラクトピラノシド);及びレゾルフィンβ−D−ガラクトピラノシドよりなる群から選択されるベータガラクトシダーゼ基質と接触させることを更に含む請求項27記載の方法。
  29. 該第2の染色が該第2のマーカーに特異的に結合する一次抗体を含み、 該一次抗体が金粒子に直接又は間接的にカップリングし、そして該方法が更に該金粒子上に銀沈殿を形成することを含む請求項2〜11の何れかに記載の方法。
  30. 該第2のマーカーがアルカリホスファターゼ、Oct−4、Nanog、期特異的胚性抗原−3(SSEA−3)、期特異的胚性抗原−4(SSEA−4)、TRA−1−60、TRA−1−81、TRA−2−49/6E、Sox2、成長分化因子3(GDF3)、低下発現1(REX1)、線維芽細胞成長因子4(FGF4)、胚細胞特異的遺伝子1(ESG1)、発生多能性関連2(DPPA2)、DPPA4、テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、SALL4、E−CADHERIN、クラスター指定30(CD30)、Cripto(TDGF−1)、GCTM−2、Genesis、生殖細胞核因子、及び幹細胞因子(SCF又はc−Kitリガンド)よりなる群から選択される請求項21〜29の何れかに記載の方法。
  31. 該標的細胞が胚性幹細胞である請求項30記載の方法。
  32. 該第2のマーカーがOct−4及びNanogよりなる群から選択される請求項31記載の方法。
  33. 該第1の染色が該第2のマーカーに特異的に結合する第1の一次抗体を含み、該第1の一次抗体が可視光下に観察可能な第1の試薬に直接又は間接的にカップリングする請求項1〜2又は12〜32の何れかに記載の方法。
  34. 可視光下に観察可能な該第1の試薬が金粒子、銀粒子、又はラテックス粒子を含む請求項33記載の方法。
  35. 該第1の染色が該第1のマーカーに特異的に結合する第1の一次抗体を含み、該第1の一次抗体が可視光下に観察可能な生成物を生成する反応を触媒する第1の酵素に直接又は間接的にカップリングする請求項1〜2又は12〜32の何れかに記載の方法。
  36. 該第1の酵素がアルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ及びパーオキシダーゼよりなる群から選択される請求項35記載の方法。
  37. 該第1の酵素がカップリングする該パーオキシダーゼがセイヨウワサビパーオキシダーゼを含む請求項36記載の方法。
  38. 該第1の酵素がカップリングする該パーオキシダーゼを3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB);3,3’−ジアミノベンジジン(DAB);3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC);4−クロロ−1−ナフトール;2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS);2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロリド;2−クロロ−5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサ
    ンジオン;3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン;3,3′−ジアミノベンジジンテトラクロリド;3−ニトロテトラゾリウムブルークロリド;4−アミノフタルヒドラジド;4−クロロ−1−ナフトール;4−クロロ−7−ニトロベンゾフラザン;5−アミノサリチル酸;2塩酸ジカルボキシジン;グアイアコール;過酸化水素−尿素付加物;ヨードニトロテトラゾリウムクロリド;ルミノール;MTTホルマザン;N−(4−アミノブチル)−N−エチルイソルミノール;N−(6−アミノヘキシル)−N−エチルイソルミノール;ニトロテトラゾリウムブルークロリド;ピロガロール;テトラニトロブルーテトラゾリウムクロリド;テトラゾリウムブルークロリド指示薬;テトラゾリウムバイオレット;o−ジアニシジン;o−ジアニシジン2塩酸塩;o−フェニレンジアミン2塩酸塩;o−フェニレンジアミン遊離塩基;及びトランス−5−フェニル−4−ペンテニルヒドロパーオキシドよりなる群から選択されるパーオキシダーゼ基質と接触させることを更に含む請求項36又は37記載の方法。
  39. 該第1の酵素がベータガラクトシダーゼを含む請求項35記載の方法。
  40. 該第1の酵素がカップリングする該ベータガラクトシダーゼを1−メチル−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド;2−ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシド;4−メチルウンベリフェリルβ−D−ガラクトピラノシド;4−ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド;6−ブロモ−2−ナフチルβ−D−ガラクトピラノシド;6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド;フルオレセインジ(β−D−ガラクトピラノシド);及びレゾルフィンβ−D−ガラクトピラノシドよりなる群から選択されるベータガラクトシダーゼ基質と接触させることを更に含む請求項27記載の方法。
  41. 該第1の染色が該第1のマーカーに特異的に結合する一次抗体を含み、該一次抗体が金粒子に直接又は間接的にカップリングし、 そして該方法が更に該金粒子上に銀沈殿を形成することを含む請求項1〜2又は12〜32の何れかに記載の方法。
  42. 第1のマーカーが、アルカリホスファターゼ、Oct−4、Nanog、期特異的胚性抗原−3(SSEA−3)、期特異的胚性抗原−4(SSEA−4)、TRA−1−60、TRA−1−81、TRA−2−49/6E、Sox2、成長分化因子3(GDF3)、低下発現1(REX1)、線維芽細胞成長因子4(FGF4)、胚細胞特異的遺伝子1(ESG1)、発生多能性関連2(DPPA2)、DPPA4、テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、SALL4、E−CADHERIN、クラスター指定30(CD30)、Cripto(TDGF−1)、GCTM−2、Genesis、生殖細胞核因子、及び幹細胞因子(SCF又はc−Kitリガンド)よりなる群から選択される請求項33〜41の何れかに記載の方法。
  43. 該標的細胞が胚性幹細胞である請求項42記載の方法。
  44. 該第2のマーカーがOct−4、Oct−4、Lin28、Sox2、Klf4、n−又はc−Myc及びNanogよりなる群から選択される請求項43記載の方法。
  45. 該第1のマーカーが該第2のマーカーとは異なる請求項42〜44の何れかに記載の方法。
  46. 該標的細胞が胚性幹細胞であり、そして該第2のマーカーがアルカリホスファターゼ、Oct−4、Nanog、期特異的胚性抗原−3(SSEA−3)、期特異的胚性抗原−
    4(SSEA−4)、TRA−1−60、TRA−1−81、TRA−2−49/6E、Sox2、成長分化因子3(GDF3)、低下発現1(REX1)、線維芽細胞成長因子4(FGF4)、胚細胞特異的遺伝子1(ESG1)、発生多能性関連2(DPPA2)、DPPA4、テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、SALL4、E−CADHERIN、クラスター指定30(CD30)、Cripto(TDGF−1)、GCTM−2、Genesis、生殖細胞核因子、及び幹細胞因子(SCF又はc−Kitリガンド)よりなる群から選択される上記請求項の何れかに記載の方法。
  47. 該細胞集団がレイヨウ、ウシ、ラクダ、ネコ、マメジカ(ネズミジカ)、 チンパンジー、乳牛、シカ、イヌ、キリン、ヤギ、モルモット、ハムスター、カバ、ウマ、ヒト、マウス、非ヒト霊長類、ヒツジ類、イノシシ、ブタ、プロングホーン、ウサギ、ラット、マカク、サイ,ヒツジ、バク、及び有蹄類よりなる群から選択される種の細胞を含む上記請求項の何れかに記載の方法。
  48. 該細胞集団がヒト細胞を含む請求項47記載の方法。
  49. 細胞集団中の細胞の概数を測定することを更に含む上記請求項の何れかに記載の方法。
  50. 該細胞集団中の細胞の少なくとも90%を可視光下に検査することにより該第1のマーカーに関して陽性である細胞を検出する上記請求項の何れか一項に記載の方法。
  51. 該第1のマーカーに関して陽性である各細胞を、その細胞が該第2のマーカーに関して陽性であるかどうかを調べるために検査する請求項50記載の方法。
  52. 該細胞集団が少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも1010個の細胞、又は10〜1010個の細胞を含有する上記請求項の何れか一項に記載の方法。
  53. 該第1のマーカー及び該第2のマーカーが胚性幹細胞マーカーである上記請求項の何れか一項に記載の方法。
  54. 細胞の該集団が胚性幹細胞のインビボ又はインビトロの分化により生産される上記請求項の何れか一項に記載の方法。
  55. 該標的細胞が多能性細胞、胚性幹細胞、又は誘導多能性(iPS)細胞である上記請求項の何れか一項に記載の方法。
  56. 該細胞集団が多能性細胞、胚性幹細胞、又は誘導多能性(iPS)細胞から分化した細胞を更に含む請求項55の方法。
  57. 該細胞集団を標的細胞型の増殖又は維持に好都合な条件下に培養する上記請求項の何れかに記載の方法。
  58. 該標的細胞型が胚性幹細胞である請求項57記載の方法。
  59. 該培養条件がフィーダー細胞上で該細胞集団を培養することを含む請求項58記載の方法。
  60. 該フィーダー細胞がMEFである請求項59記載の方法。
  61. 胚性幹細胞又はiPS細胞から分化した該細胞が網膜色素上皮(RPE)細胞である請求項56〜60の何れかに記載の方法。
  62. 該RPE細胞がヒトのものである請求項61記載の細胞。
  63. 該RPE細胞が下記工程:
    (a)多能性幹細胞を準備すること;
    (b)多能性幹細胞を培養することにより多能性幹細胞の多層集団又は多能性幹細胞を含む胚様体を形成すること;
    (c)細胞培養物中にRPE細胞が出現するために十分な期間、多層集団又は胚様体を培養すること;及び、
    (d)培養物からRPE細胞を単離すること;
    を含む方法により作製される請求項61又は62記載の方法。
  64. 該多能性幹細胞が誘導多能性幹(iPS)細胞、胚性幹(ES)細胞、成人幹細胞、造血幹細胞、胎児幹細胞、間葉性幹細胞、分娩後幹細胞、複能性幹細胞、又は胚性生殖細胞である請求項63記載の方法。
  65. 多能性幹細胞がヒトES細胞又はヒトiPS細胞である請求項63記載の方法。
  66. 工程(c)の期間が少なくとも約7〜10日間である請求項63〜65の何れか一項に記載の方法。
  67. 工程(c)の期間が少なくとも約2週間である請求項63〜65の何れか一項に記載の方法。
  68. 工程(c)の期間が少なくとも約3週間である請求項63〜65の何れか一項に記載の方法。
  69. 工程(c)の期間が少なくとも約4週間である請求項63〜65の何れか一項に記載の方法。
  70. 工程(c)の期間が少なくとも約5週間である請求項63〜65の何れか一項に記載の方法。
  71. 工程(c)の期間が少なくとも約6週間である請求項63〜65の何れか一項に記載の方法。
  72. 該RPE細胞培養物がマウス胚性フィーダー細胞(MEF)及びヒト胚性幹細胞(hES)を実質的に含有しない請求項61〜71の何れか一項に記載の方法。
  73. RPE細胞のリッチ化された培養物を増殖させるために使用される培地が未分化の多能性幹細胞の増殖又は維持を支援しない請求項61〜72の何れか一項に記載の方法。
  74. 標的細胞が脂肪細胞;骨髄線維芽細胞;心筋細胞;軟骨細胞;分化RBC及びWBC直系;内皮骨髄線維芽細胞;外胚葉;外胚葉前駆体;胚様体(EB);胎生期癌(EC);胚性幹(ES);内胚葉;内皮;造血細胞;造血幹細胞(HSC)、付随体、内皮前駆体;肝細胞;ケラチノサイト;間葉;間葉性幹細胞(MSC);中胚葉;MSC前駆体;筋芽細胞;筋細胞;神経前駆体;神経幹細胞;ニューロン;稀突起神経膠細胞;骨芽細胞;
    膵上皮;膵島;膵前駆体;骨格筋細胞;平滑筋;間質性(間葉)前駆細胞;及び白血球(WBC)よりなる群から選択される請求項1〜74の何れか一項に記載の方法。
  75. 第1のマーカー及び第2のマーカーが表1に記載するとおり上記標的細胞と関連しているマーカーである請求項71記載の方法。
  76. 工程(a)の前に、標的細胞型のメンテナンス細胞に好都合な条件下に細胞集団を培養することを更に含む上記請求項の何れかに記載の方法。
  77. 標的細胞が胚性幹細胞又は誘導多能性(iPS)細胞である請求項76記載の方法。
  78. 該培養条件が胚性幹細胞培地及びマウス胚性線維芽細胞フィーダー細胞の存在を含む請求項77記載の方法。
  79. 標的細胞型を含む第2の細胞集団をプレーティングすること、及び、工程(a)の該細胞集団と同じ方法により該第2の細胞集団を分析することにより該方法の検出限界を明確化することを更に含む上記請求項の何れか一項に記載の方法。
  80. 該第2の細胞集団が該標的細胞型よりなるか、本質的にこれよりなる請求項79記載の方法。
  81. 該第2の細胞集団が細胞の第1の群及び細胞の第2の群の混合物を含み、細胞の該第1の群が標的細胞型と同じ型のものである請求項79記載の方法。
  82. 細胞の該第2の群が工程(a)の該細胞集団と本質的に同じコンスティテュエンシーを有する請求項81記載の方法。
  83. 細胞の該第1の群及び細胞の該第2の群における細胞の数の比が1:10;1:100;1:1,000;1:10,000;1:100,000;1:1,000,000;1:10,000,000;1:100,000,000;1:1,000,000,000;1:10と1:100との間;1:10と1:1,000との間;1:10と1:10,000との間;1:10と1:100,000との間;1:10と1:1,000,000との間;1:10と1:10,000,000との間;1:10と1:100,000,000との間;1:10と1:1,000,000,000との間;1:100と1:1,000との間;1:100と1:10,000との間;1:100と1:100,000との間;1:100と1:1,000,000との間;1:100と1:10,000,000との間;1:100と1:100,000,000との間;1:100と1:1,000,000,000との間;1:1,000と1:10,000との間;1:1,000と1:100,000との間;1:1,000と1:1,000,000との間;1:1,000と1:10,000,000との間;1:1,000と1:100,000,000との間;1:1,000と1:1,000,000,000との間;1:10,000と1:100,000との間;1:10,000と1:1,000,000との間;1:10,000と1:10,000,000との間;1:10,000と1:100,000,000との間;1:10,000と1:1,000,000,000との間;1:100,000と1:1,000,000との間;1:100,000と1:10,000,000との間;1:100,000と1:100,000,000との間;1:100,000と1:1,000,000,000との間;1:1,000,000と1:10,000,000との間;1:1,000,000と1:100,000,000との間;1:1,000,000と1:1,000,000,000との間;1:10,000,000と1:100,000,000との間;1:10,000,0
    00と1:1,000,000,000との間;及び1:100,000,000と1:1,000,000,000との間よりなる群から選択される請求項81又は82記載の方法。
  84. 該第2の細胞集団中の標的細胞の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%が標的細胞の該第1のマーカー及び該第2のマーカーに関して陽性として検出される請求項79〜83の何れか一項に記載の方法。
  85. 工程(a)の該細胞集団と同じ培養条件と期間の下に標的細胞型の第3の細胞集団をプレーティングすること、及び、該第3の細胞集団中の標的細胞型の細胞を検出及び計数することにより、該培養条件下に標的細胞の該第1及び第2のマーカーの発現を維持する標的細胞型の細胞の比率を測定することを更に含む請求項79〜84の何れか一項に記載の方法。
  86. 該第2の細胞集団における標的細胞型の細胞の予測される数を測定するため補正計数として該培養条件下に維持される標的細胞型の細胞の該集団を用いながら該第2の細胞集団を用いて測定される方法の検出限界を計算する請求項85記載の方法。
  87. 該第2の細胞集団中及び/又は該第3の細胞集団中の該標的細胞が標的細胞又はそれらの子孫を識別する別のマーカーを発現する請求項79〜86の何れか一項に記載の方法。
  88. 該別のマーカーがGFP又は細胞により発現される別の蛍光蛋白を含む請求項87記載の方法。
  89. 標的細胞がウィルス感染細胞、癌性又は前癌性の細胞、癌幹細胞及び免疫細胞から選択される上記請求項の何れか一項に記載の方法。
  90. 標的細胞を含有すると推定される組成物が骨髄、血球、又は膵細胞である請求項89記載の方法。
  91. 標的細胞を含有すると推定される細胞集団が、細胞ソーティング、放射線照射、化学療法又は標的細胞を除去するための他の手段により予め処理されている請求項89記載の方法。
  92. 幹細胞を本質的に含有しない該幹細胞に由来する体細胞を含む組成物。
  93. 細胞及び存在する幹細胞の数又は割合を示すインジケーターを含む組成物であって、該組成物中の細胞の代表となる細胞集団に適用される上記請求項の何れかに記載の方法を用いて該インジケーターの値を測定する上記組成物。
  94. 少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも10個の細胞、少なくとも1010個の細胞、又は10と1010個の間の細胞を含む請求項93記載の組成物。
  95. 低温保存された細胞を含む請求項92〜94の何れかに記載の組成物。
  96. 下記工程:
    (a) 細胞集団を準備すること;
    (b) 第1の染色及び第2の染色を該細胞集団に適用すること、ここで該第1の染色は
    アルカリホスファターゼを検出し、そして該第2の染色は胚性幹細胞を示すマーカーを検出し、そして該第1の染色に関して陽性である細胞は可視及び紫外光下に検出可能であり、そして該第2の染色に関して陽性である細胞は紫外光下に検出可能であること;
    (c) 該第1のマーカーに関して陽性である細胞を検出するために可視光下に該細胞集
    団の細胞を顕微鏡観察すること;
    (e) 紫外光下に該第1のマーカーに関して陽性である該細胞を顕微鏡観察すること、
    及び、細胞が該第1のマーカー及び該第2のマーカーに関して陽性であるかどうか測定すること;及び、
    (f) 該第1のマーカー及び該第2のマーカーに関して陽性である細胞を胚性幹細胞と
    して識別すること;
    を含む細胞集団中のヒト胚性幹細胞の存在を検出する方法。
  97. フィーダー細胞上のhES細胞培地中に細胞集団をプレーティングすること、hES細胞を示すマーカーを検出する染色を適用すること、及び該マーカーに関して陽性である細胞を識別することを含む、細胞集団中のヒト胚性幹(hES)細胞の存在を検出する方法。
  98. 該細胞集団に第3の染色を適用すること、ここで該第3の染色は自身の発現が標的細胞の存在を示す第3のマーカーを検出すること;該細胞集団の細胞を顕微鏡観察することにより該第3のマーカーに関して陽性である何れかの細胞を検出すること;及び該第1のマーカー、該第2のマーカー及び該第3のマーカーに関して陽性である何れかの細胞を標的細胞として識別することを更に含む何れかの上記請求項に記載の方法。
  99. 該第3の染色が該第1の染色から、及び該第2の染色から目視により区別可能である請求項98記載の方法。
  100. 該第3の染色が可視光下又は紫外光下に検出可能である請求項98又は99記載の方法。
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