JP2020047506A - 電極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】均一な厚みの活物質層および絶縁層が形成された,品質の高い電極を製造することができる電極の製造方法を提供すること。【解決手段】電極板100を,集電箔110を搬送しつつ,その第1面111の活物質層形成領域Aに電極合剤ペースト220を塗工する。また同時に,集電箔110の第1面111の絶縁層形成領域B1に絶縁材料ペースト230を塗工する。そして,電極合剤ペースト220として,固形分率が50〜60wt%の範囲内,固形分の全重量に占める結着剤の重量の割合が1〜10%の範囲内のものを用いる。さらに,絶縁材料ペースト230として,固形分率が10〜20wt%の範囲内,固形分の全重量に占める結着剤の重量の割合が5〜30%の範囲内,結着剤の重量平均分子量が500000〜1500000の範囲内のものを用いる【選択図】図5
Description
本発明は,電極の製造方法に関する。より詳細には,金属箔の表面に活物質層と,活物質層の端面に沿って形成された絶縁層とを有する電極の製造方法に関するものである。
リチウムイオン二次電池などの電池に使用される正負の電極は,一般的には,集電体である金属箔の表面に活物質層が形成されてなるものである。また,電極には,電池における安全性の向上等のため,集電体の表面に,活物質層の端部に沿って絶縁層を設けてなる構成のものがある。
そのような構成の電極の製造方法として,例えば,特許文献1には,電極材料を含む電極合剤ペーストと,絶縁性材料を含む絶縁材料ペーストとを吐出するダイコータを用いたダイ塗工により行うことが開示されている。
ところで,上記の従来技術のような異なるペーストを同時に塗工するような方法においては,例えば,一方のペーストに適した塗工条件で塗工を行うと,他方のペーストの塗工に影響が生じてしまう等の問題があった。すなわち,塗工により形成されるペーストの層に塗工欠陥が生じてしまうことがあった。また,ペースト乾燥後に得られる活物質層や絶縁層の膜厚のバラつき等が生じてしまうことがあった。このため,均一な厚みの活物質層および絶縁層が形成された,品質の高い電極を製造できないことがあった。
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点の解決を目的としてなされたものである。すなわちその課題とするところは,均一な厚みの活物質層および絶縁層が形成された,品質の高い電極を製造することができる電極の製造方法を提供することである。
この課題の解決を目的としてなされた本発明の電極の製造方法は,金属箔を搬送しつつ,金属箔の表面の一部に,電極活物質および結着剤を少なくとも含む電極合剤ペーストを塗工するとともに,表面のうちの電極合剤ペーストの塗工領域の端部に沿って位置する領域に,絶縁性材料と結着剤とを少なくとも含む絶縁材料ペーストを塗工する塗工工程を有する電極の製造方法であって,電極合剤ペーストとして,固形分率が50〜60wt%の範囲内,固形分の全重量に占める結着剤の重量の割合が1〜10%の範囲内のものを用い,絶縁材料ペーストとして,固形分率が10〜20wt%の範囲内,固形分の全重量に占める結着剤の重量の割合が5〜30%の範囲内,結着剤の重量平均分子量が500000〜1500000の範囲内のものを用いることを特徴とする電極の製造方法である。
本発明に係る電極の製造方法は,電極合剤ペーストおよび絶縁材料ペーストを,同程度の粘度とし,同程度の厚みで塗工することができる。これにより,均一な厚みの活物質層および絶縁層が形成された,品質の高い電極を製造することができる。
本発明によれば,均一な厚みの活物質層および絶縁層が形成された,品質の高い電極を製造することができる電極の製造方法が提供されている。
以下,本発明を具体化した最良の形態について,図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず,図1および図2により,本形態において製造される電極板100について説明する。図1は,電極板100の平面図である。電極板100は,図1における左右方向を長手方向とし,上下方向を幅方向とする,長尺のシート状のものである。図2は,電極板100の幅方向における断面図である。また,図1および図2に示すように,電極板100は,集電箔110,活物質層120,絶縁層130を有している。
集電箔110は,金属箔である。例えば,電極板100がリチウムイオン二次電池用の正極である場合,集電箔110としてはアルミニウム箔を用いることができる。また例えば,電極板100がリチウムイオン二次電池の負極である場合,集電箔110としては,銅箔を用いることができる。集電箔110は,第1面111と,第1面111の裏側に位置する第2面112とを有している。
活物質層120は,少なくとも活物質と結着剤とを含む電極材料により構成された層である。活物質は,例えば,電極板100がリチウムイオン二次電池用のものである場合,リチウムイオンを吸蔵および放出することができるものであり,充放電に寄与する材料である。活物質層120の結着剤は,活物質層120中の活物質等の電極材料を互いに結着させて活物質層120を形成するとともに,活物質層120を集電箔110の第1面111に結着させている材料である。なお,その他,活物質層120の電極材料は,適宜,導電助材等が含まれているものであってもよい。また,電極材料は,電極板100が用いられる電池の種類や極性等に応じて適宜,選択することができる。
活物質層120は,集電箔110の第1面111のうち,幅方向の中央に位置する活物質層形成領域Aに形成されている。よって,集電箔110の幅方向における活物質層形成領域Aの両外側には,非活物質層形成領域Bが設けられている。また,図1および図2には,活物質層120の幅方向における端面121を示している。
絶縁層130は,少なくとも絶縁性材料と結着剤とを含んで構成された層である。絶縁性材料は,絶縁層130に絶縁性を付与することができる材料である。絶縁層130の結着剤は,絶縁性材料を互いに結着させて絶縁層130を形成するとともに,絶縁層130を集電箔110の第1面111に結着させている材料である。
絶縁層130は,集電箔110の第1面111のうち,非活物質層形成領域B内に位置する絶縁層形成領域B1に形成されている。図1および図2に示すように,本形態の電極板100において,絶縁層形成領域B1は2つ,活物質層形成領域Aの幅方向における両方の外側にそれぞれ隣接して設けられている。このため,2つの絶縁層130はそれぞれ,集電箔110の第1面111のうち,活物質層120の両方の端面121に沿って形成されている。
また,電極板100には,絶縁層形成領域B1のさらに両方の外側にそれぞれ,活物質層120および絶縁層130がともに形成されていない領域B2が設けられている。そして,本形態の電極板100の領域B2では,集電箔110の第1面111が露出している。
本形態では,上記のような電極板100を,塗工工程と乾燥工程とを行うことで製造する。塗工工程では,活物質層120を形成するための電極合剤ペーストおよび絶縁層130を形成するための絶縁材料ペーストを,集電箔110の第1面111の所定領域にそれぞれ塗工する。電極合剤ペーストは,少なくとも活物質と結着剤とを含む電極材料を,溶媒中に分散させてなるものである。絶縁材料ペーストは,少なくとも絶縁性材料と結着剤とを,溶媒中に分散させてなるものである。そして,乾燥工程は,集電箔110上に塗工された電極合剤ペースト中の溶媒成分および絶縁材料ペースト中の溶媒成分を除去する工程である。
図3は,電極板100を製造する電極板製造装置1の概略構成図である。図3に示すように,電極板製造装置1は,巻出部10,巻取部20,バックアップローラ30,ダイヘッド40,乾燥装置50を有している。巻出部10は,ロール状に巻かれた長尺の集電箔110がセットされており,電極板製造装置1の搬送経路へと集電箔110を供給することができるものである。巻出部10より巻き出された集電箔110の搬送経路には,バックアップローラ30およびダイヘッド40,乾燥装置50,巻取部20がこの順で設けられている。
バックアップローラ30には,集電箔110が巻き掛けられている。また,集電箔110は,その第2面112が,バックアップローラ30の外周面側に向けた状態で,バックアップローラ30に巻き掛けられている。
ダイヘッド40は,バックアップローラ30の外周面のうち,集電箔110が巻き掛けられている範囲に対抗して配置されている。このため,集電箔110は,第1面111をダイヘッド40に向けた状態で搬送される。そして,ダイヘッド40は,電極合剤ペーストおよび絶縁材料ペーストを吐出することで,これらを,搬送されている集電箔110の第1面111に塗工することができるものである。
乾燥装置50は,集電箔110の第1面111に塗工された電極合剤ペーストおよび絶縁材料ペーストを乾燥することができるものである。この乾燥装置50の乾燥により,電極合剤ペーストおよび絶縁材料ペーストからは,それぞれ溶媒成分が除去される。これにより,集電箔110の第1面111上に活物質層120および絶縁層130が形成されて電極板100が製造される。
巻取部20は,製造された電極板100を巻き取ることでロール状に回収することができるものである。そして,電極板製造装置1は,巻出部10や巻取部20等を回転させることで,集電箔110の搬送方向に長い,電極板100を製造することができる。
図4は,ダイヘッド40の電極合剤ペーストおよび絶縁材料ペーストを吐出する吐出口を示す図である。図4における上下方向が搬送方向であり,左右方向が集電箔110の幅方向である。図4に示すように,ダイヘッド40には,1つの第1吐出口41と,2つの第2吐出口42とが形成されている。第1吐出口41は,電極合剤ペースト220が吐出される開口部である。第2吐出口42は,絶縁材料ペースト230が吐出される開口部である。なお,本形態においては,第1吐出口41および第2吐出口42の搬送方向における長さは,同じ長さとされている。
図5は,バックアップローラ30およびダイヘッド40の位置での集電箔110の断面を示した図である。つまり,図5は,ダイヘッド40の塗工位置における集電箔110の断面図である。図5において,奥行き方向が集電箔110の搬送方向であり,左右方向が幅方向である。図5に示すように,ダイヘッド40は,第1吐出口41および第2吐出口42を,バックアップローラ30の外周面に巻き掛けられている集電箔110の第1面111に向けた状態で設けられている。
第1吐出口41は,集電箔110の第1面111のうち,活物質層形成領域Aに対応する箇所に形成されている。つまり,第1吐出口41は,幅方向における中央に位置する領域に設けられている。これにより,ダイヘッド40は,第1吐出口41から吐出された電極合剤ペースト220を,集電箔110の第1面111の活物質層形成領域Aへと塗工することができる。
第2吐出口42は,集電箔110の第1面111のうち,絶縁層形成領域B1に対応する箇所に形成されている。つまり,2つの第2吐出口42は,幅方向について,第1吐出口41の両外側に設けられている。これにより,ダイヘッド40は,第2吐出口42から吐出される絶縁材料ペースト230を,集電箔110の第1面111の絶縁層形成領域B1に塗工することができる。
ここで,本形態の電極板製造装置1では,バックアップローラ30に巻き掛けられている集電箔110の活物質層形成領域Aおよび絶縁層形成領域B1にそれぞれ,ダイヘッド40により電極合剤ペースト220および絶縁材料ペースト230を同時に塗工している。また,活物質層形成領域Aと絶縁層形成領域B1とは集電箔110の幅方向について隣接した領域であるため,第1吐出口41と第2吐出口42とは,仕切られているものの,近い箇所に設けられている。
さらに,ダイヘッド40とバックアップローラ30との距離は,集電箔110の幅方向について異なるものとすることが困難である。すなわち,例えば,ダイヘッド40とバックアップローラ30との距離を,集電箔110の活物質層形成領域Aの位置では,集電箔110の絶縁層形成領域B1の位置よりも遠く,あるいは近くすることなどが困難である。
このため,ダイヘッド40とバックアップローラ30との距離を,電極合剤ペースト220と絶縁材料ペースト230のどちらか一方が適切に塗工される距離とした場合,従来においては,他方が適切に塗工されないことがあった。具体的には,ペーストを塗工して形成されるペーストの層に塗工欠陥が生じてしまったり,乾燥後の層の厚みにバラつきが発生してしまうことがあった。すなわち,活物質層120および絶縁層130をともに,それぞれの目標通りの均一な厚みで形成することができないことがあった。そこで,本発明者は,電極合剤ペースト220および絶縁材料ペースト230の性状を調整することにより,塗工欠陥や,厚みのバラつきを抑制できることを見出した。
具体的には,電極合剤ペースト220として,固形分率が50〜60wt%の範囲内,固形分の全重量に占める結着剤の重量の割合が1〜10%の範囲内のものを用いる。さらに,絶縁材料ペースト230として,固形分率が10〜20wt%の範囲内,固形分の全重量に占める結着剤の重量の割合が5〜30%の範囲内,結着剤の重量平均分子量が500000〜1500000の範囲内のものを用いる。
このような電極合剤ペースト220および絶縁材料ペースト230を用いることで,これらペーストの粘度を同程度とすることができる。そして,ダイヘッド40から吐出させる際の圧力(吐出圧)を,電極合剤ペースト220と絶縁材料ペースト230とで同じ圧力として,集電箔110上に形成されるペースト層の厚み(ウェット厚み)についても,同程度とすることができる。これにより,塗工欠陥や,厚みのバラつきを抑制し,目標通りの均一な厚みの活物質層120および絶縁層130を形成できることがわかった。
図6は,ダイヘッド40によって電極合剤ペースト220および絶縁材料ペースト230が塗工された後,乾燥装置50による乾燥前における集電箔110の,幅方向の端部付近の断面図である。図6に示すように,集電箔110の第1面111における活物質層形成領域Aには電極合剤ペースト220が,絶縁層形成領域B1には絶縁材料ペースト230がそれぞれ塗工されている。また,これらペースト層の厚みは同程度である。
図7は,乾燥装置50により乾燥された後における集電箔110の,幅方向の端部付近の断面図である。図7に示すように,乾燥後の集電箔110の第1面111における活物質層形成領域Aには活物質層120が,絶縁層形成領域B1には絶縁層130がそれぞれ形成されている。すなわち,活物質層形成領域Aにおいては,塗工により形成されていた電極合剤ペースト220の層に含まれている溶媒成分が,乾燥により除去され,活物質層120となっている。絶縁層形成領域B1においては,塗工により形成されていた絶縁材料ペースト230に含まれている溶媒成分が,乾燥により除去され,絶縁層130となっている。これにより,活物質層120と,活物質層120の端面121に隣接する絶縁層130とが形成されている。
なお,図7に示すように,乾燥後においては,絶縁層130は,活物質層120よりも厚みの薄いものとなっている。これは,前述したように,絶縁材料ペースト230において,固形分率が,電極合剤ペースト220よりも低く設定されていることによるものである。すなわち,絶縁材料ペースト230は,電極合剤ペースト220よりも,溶媒成分が占める体積割合が高いものである。このため,絶縁材料ペースト230を乾燥することで形成された絶縁層130は,電極合剤ペースト220を乾燥することで形成された活物質層120よりも,乾燥による体積の減少幅が大きいのである。
そして,このように製造された本形態の電極板100を用いることで,高品質な電池を製造することができる。すなわち,例えば,正負の電極板を,これらの間にセパレータを挟みつつ捲回または平積みにより積層して電極体を構成し,その電極体を電解液とともに電池ケース内に収容することで電池を製造することができる。その際,正負の電極板の一方または双方として,本形態に係る製造方法により製造された電極板100を用いる。そして,電極板100は,絶縁層130に覆われている箇所での短絡が抑制される。これにより,本形態の電極板100を用いることで,より安全性の高い電池を製造することができるようになる。
また,絶縁層130は,充放電には寄与しないものであり,電池の出力や満充電容量を直接,向上するものではない。そして,本形態とは異なり,活物質層よりも絶縁層の方が厚みの厚い電極板を用いた場合には,本形態の電極板100を用いた場合よりも,電極体の体積あたりの電極板の積層枚数が少なくなってしまう。つまり,活物質層よりも絶縁層の方が厚みの厚い電極板を用いた場合には,絶縁層の位置での短絡は抑制できるものの,電池の出力や満充電容量を低下させてしまう。これに対し,本形態の電極板100を用いることにより,出力や満充電容量を高く維持しつつ,絶縁層130の位置での短絡が抑制された高品質な電池を製造することができる。
また,本発明者は,本発明の効果を確認するため,本形態に係る実施例を,比較例とともに実施した。実施例では,本形態に係る方法により電極板を製造し,比較例では,実施例とは一部異なる方法により電極板を製造した。実施例および比較例に係る電極合剤ペースト,絶縁材料ペーストの各条件を次の表1に示している。
表1において,結着剤割合は,ペースト中の固形分の全重量に占める結着剤の重量の割合のことである。結着剤分子量は,ペーストに使用した結着剤の重量平均分子量のことである。固形分率は,ペーストの全重量に占める固形分の重量の割合のことである。乾燥厚みは,電極における各層の設計値であり,塗工した各ペーストを乾燥させた後における活物質層または絶縁層の厚みのことである。なお,活物質層の乾燥厚みは電池の性能から決まる値であり,絶縁層の乾燥厚みは電池において安全性を担保できる厚みに設定されている。ウェット厚みは,各ペーストを塗工することで形成されたペースト層の,乾燥前における厚みのことである。
表1に示すように,電極合剤ペーストについては,実施例,比較例でいずれも,同じものを使用した。この電極合剤ペーストは,前述した本形態の要件を満たすものである。つまり,実施例および比較例の電極合剤ペーストは,固形分率が50〜60wt%の範囲内,固形分の全重量に占める結着剤の重量の割合が1〜10%の範囲内のものである。そして,実施例,比較例では,絶縁材料ペーストとしてそれぞれ,異なるものを用いた。
実施例の絶縁材料ペーストは,固形分率,結着剤割合,結着剤分子量がいずれも,前述した本形態の要件を満たすものである。すなわち,実施例の絶縁材料ペーストは,固形分率が10〜20wt%の範囲内,結着剤割合が5〜30%の範囲内,結着剤分子量が500000〜1500000の範囲内のものである。
これに対し,比較例の絶縁材料ペーストはいずれも,それぞれ1つの要件を満たしていないものである。すなわち,比較例1の絶縁材料ペーストは,結着剤分子量が,500000未満である。また,比較例1の絶縁材料ペーストは,固形分率が,20wt%を超えている。
そして,表1に示すように,実施例および比較例1の絶縁材料ペーストは,ウェット厚みが電極合剤ペーストと同程度であった。これに対し,比較例2の絶縁材料ペーストは,ウェット厚みが電極合剤ペーストよりもかなり薄いものであった。ウェット厚みは,ペーストの固形分率の影響を受けやすいものである。そして,比較例2の絶縁材料ペーストでは,固形分率が高すぎたことにより,ウェット厚みが薄くなってしまったものと考えられる。
また,表1に示すように,実施例の絶縁材料ペーストは,粘度が電極合剤ペーストと同程度であった。これに対し,比較例1の絶縁材料ペーストは,粘度が電極合剤ペーストよりもかなり低く,比較例2の絶縁材料ペーストは,粘度が電極合剤ペーストよりもかなり高いものであった。絶縁材料ペーストでは,絶縁層の厚みを活物質層よりも薄く形成するため,固形分率を電極合剤ペーストよりも低くする必要がある。また,粘度は,固形分率が低いほど,低くなる傾向にある。このような傾向に鑑み,本形態に係る実施例においては,固形分率が低い絶縁材料ペーストの粘度を,固形分率が高い電極合剤ペーストと同程度になるように,結着剤割合および結着剤分子量が適切に調整されている。
また,実施例および比較例では,それぞれ上記の電極合剤ペーストおよび絶縁材料ペーストを集電箔上に塗工し,塗工により形成されたペーストの層や,その乾燥後の層について評価を行った。なお,塗工方法については,実施例および比較例でいずれも同じダイヘッドおよびバックアップローラを用いて,同じ条件で行った。また,ダイヘッドにおいては,電極合剤ペーストおよび絶縁材料ペーストにおいてともに,吐出圧を同じ圧力とした。そして,これら塗工条件(ダイヘッドとバックアップローラとの距離等)は,実施例および比較例で同じ電極合剤ペーストを用いていることから,活物質層が適切に形成される条件とした。評価項目と評価結果を次の表2に示している。
評価項目は,塗工面の形成状態と,厚みバラつきの2つである。塗工面の形成状態は,塗工によりペースト層が途切れることなく連続して形成されているか否かについて判定したものである。ペースト層が途切れることなく連続して形成されていた場合には「〇」とし,ペースト層が途中で途切れているなど,連続して形成されていない場合には「×」とした。また,厚みバラつきは,活物質層または絶縁層の乾燥厚みが,その平均値を基準として−10%〜+10%の範囲内に収まっている場合には「〇」とし,収まっていない場合には「×」とした。そして,表2に示すように,電極合剤ペーストについては,塗工面の形成状態および厚みバラつきの評価がともに「〇」であった。
また,比較例1の絶縁材料ペーストは,塗工面の形成状態の評価は「〇」であったが,厚みバラつきの評価が「×」であった。また,比較例2の絶縁材料ペーストは,塗工面の形成状態および厚みバラつきの評価がともに「×」であった。
具体的には,絶縁材料ペーストのウェット厚みが薄かった比較例2については,薄くなりすぎてしまった箇所において,絶縁材料ペーストの層が途切れてしまうことがあった。また,電極合剤ペーストと粘度の差が大きな絶縁材料ペーストを用いた比較例1,2においてはともに,厚みバラつきが大きくなってしまっていた。これは,電極合剤ペーストと大きく粘度が異なる絶縁材料ペーストを,電極合剤ペーストと同じ吐出圧で吐出させていることで,絶縁材料ペーストの吐出量が安定していなかったことによるものであると考えられる。
これに対し,実施例の絶縁材料ペーストは,塗工面の形成状態および厚みバラつきの評価がともに「〇」であった。これは,実施例においては,絶縁材料ペーストとして,ウェット厚みおよび粘度がともに,電極合剤ペーストと同程度のものを用いているからであると考えられる。よって,本形態に係る実施例により,品質の高い活物質層および絶縁層を安定して形成できることが確認された。
以上詳細に説明したように,本実施の形態では,電極板100を,集電箔110を搬送しつつ,その第1面111の活物質層形成領域Aに電極合剤ペースト220を塗工する。また同時に,集電箔110の第1面111の絶縁層形成領域B1に絶縁材料ペースト230を塗工する。絶縁層形成領域B1は,集電箔110の幅方向について,活物質層形成領域Aの端部に沿って設けられた領域である。そして,電極合剤ペースト220として,固形分率が50〜60wt%の範囲内,固形分の全重量に占める結着剤の重量の割合が1〜10%の範囲内のものを用いる。さらに,絶縁材料ペースト230として,固形分率が10〜20wt%の範囲内,固形分の全重量に占める結着剤の重量の割合が5〜30%の範囲内,結着剤の重量平均分子量が500000〜1500000の範囲内のものを用いる。これにより,均一な厚みの活物質層および絶縁層が形成された,品質の高い電極を製造することができる電極の製造方法が実現されている。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,上記の実施形態では,集電箔110の第1面111のみに活物質層120および絶縁層130を形成する場合について説明したが,集電箔110の第2面112にも活物質層120および絶縁層130を形成することができる。集電箔110の第2面112の活物質層120および絶縁層130の形成についても,上記の実施形態で説明した第1面111に形成する場合と同様に行うことができる。また,本発明は,正極版,負極板のいずれにも適用することができる。
1 電極板製造装置
30 バックアップローラ
40 ダイヘッド
50 乾燥装置
100 電極板
110 集電箔
120 活物質層
130 絶縁層
220 電極合剤ペースト
230 絶縁材料ペースト
A 活物質層形成領域
B1 絶縁層形成領域
30 バックアップローラ
40 ダイヘッド
50 乾燥装置
100 電極板
110 集電箔
120 活物質層
130 絶縁層
220 電極合剤ペースト
230 絶縁材料ペースト
A 活物質層形成領域
B1 絶縁層形成領域
Claims (1)
- 金属箔を搬送しつつ,前記金属箔の表面の一部に,電極活物質および結着剤を少なくとも含む電極合剤ペーストを塗工するとともに,前記表面のうちの前記電極合剤ペーストの塗工領域の端部に沿って位置する領域に,絶縁性材料と結着剤とを少なくとも含む絶縁材料ペーストを塗工する塗工工程を有する電極の製造方法において,
前記電極合剤ペーストとして,
固形分率が50〜60wt%の範囲内,固形分の全重量に占める結着剤の重量の割合が1〜10%の範囲内のものを用い,
前記絶縁材料ペーストとして,
固形分率が10〜20wt%の範囲内,固形分の全重量に占める結着剤の重量の割合が5〜30%の範囲内,結着剤の重量平均分子量が500000〜1500000の範囲内のものを用いることを特徴とする電極の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2018175919A JP6965859B2 (ja) | 2018-09-20 | 2018-09-20 | 電極の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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