JP2001110408A - 電池電極の製造方法 - Google Patents

電池電極の製造方法

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JP2001110408A JP29068999A JP29068999A JP2001110408A JP 2001110408 A JP2001110408 A JP 2001110408A JP 29068999 A JP29068999 A JP 29068999A JP 29068999 A JP29068999 A JP 29068999A JP 2001110408 A JP2001110408 A JP 2001110408A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正極や負極とセパレータとの密着が悪かっ
た。 【解決手段】 基材2上に負極層301、セパレータ層
302、正極層303の順に間欠パターンで塗布形成し
た後、第2の基材5を正極層303に密着させ、各層の
基材走行方向の長さを、負極層301をL1、正極層3
02をL2、各層の間欠パターンの幅方向の寸法を、負
極層をW1、正極層をW2としたとき、L1>L2、W
1>W2を満たすように構成する。正極層をストライプ
の間欠パターンで塗布形成する場合には、ストライプの
条数をn(n≧2)としたとき、W1>n×W2を満た
すように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水電解質電池に
使用される電池電極の製造方法及び電池に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ポリマー電解質二次電池は、正極と負極
とを有し、かつそれらの間にセパレータを有している。
正極および負極それぞれは、正極または負極の活物質
と、非水電解液と、この電解液を保持するポリマーとを
含む塗料を所定の集電体上に塗布しその後乾燥して形成
し、他方セパレータは、非水電解液およびこの電解液を
保持するポリマーを含む塗料を所定の基材上に塗布して
乾燥し、その後基材を取り除いて形成する。なお、正極
に対応する集電体として例えばアルミニウムの集電体が
あり、他方負極に対応する集電体として例えば銅の集電
体がある。さて、このように別々に形成した正極、負極
およびセパレータから電池電極を製造する製造方法とし
ては、例えば特開平9−500485号公報で開示され
ているように、正極とセパレータと負極とを2つのロー
ルの間に挟み込んで加圧、加熱し、熱融着させる方法が
ある。これにより一体化した正極、負極、セパレータか
らなるポリマー電解質二次電池を製造する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、正極および
負極の表面は平滑性が要求されるが、多数の孔を有する
ラスメタルと呼ばれる集電体の上に正極や負極の塗料を
塗布することと、その後乾燥工程を経ることとによっ
て、正極および負極の表面には、通常数十ミクロンの凹
凸が生じる。この上にセパレータを熱融着させると、極
板の凸部に対してはセパレータの密着性は良好である
が、凹部に対しては密着性が弱いか、密着されずに隙間
が生じてしまう場合がある。隙間は電解液が存在しない
空間となってしまうため、リチウムイオン等の正極活物
質イオンの移動が不可能となり、このようなポリマー電
解質二次電池で充放電を行うと、電池容量が小さくなる
とか、サイクル特性が劣化するなどの、致命的な問題が
生じる。また、正極や負極を製造するとき、上述したよ
うに集電体の上に活物質層を塗布形成した後乾燥するの
であるが、乾燥後の膜厚が100ミクロンオーダーと厚
いため、いわゆるマイグレーションが生じて溶媒の蒸発
に伴ってバインダーであるポリマーが表層に集まる。そ
の結果、表層部の活物質量が相対的に少なくなり、電池
容量の低下やサイクル特性の劣化を招く。さらに集電体
近傍にはバインダーであるポリマー量が少なくなり、集
電体と活物質層の密着強度が弱くなる。その結果、特に
サイクル特性が劣化する。さらに、正極と負極とセパレ
ータを個別に作成した後、重ね合わせて電池電極を製造
するため、重ね合わせる工程で異物などが混入し、その
異物がセパレータ層を突き破ることで、ショート不良の
原因ともなっていた。
【0004】本発明は、正極および負極の少なくとも一
方とセパレータとを確実に密着させ、またバインダーで
あるポリマーを活物質層内部に実質上均一に分散させ、
さらにショート不良などの発生を抑制する電池電極の製
造方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の本発明(請求項1
に対応)は、基材上に負極層、セパレータ層、正極層の
順に間欠パターンで塗布形成した後、第2の基材を前記
正極層に密着させ、各層の基材走行方向の長さを、負極
層をL1、正極層をL2、各層の間欠パターンの幅方向
の寸法を、負極層をW1、正極層をW2としたとき、L
1>L2、W1>W2を満たすことを特徴とする電池電
極の製造方法である。
【0006】第2の本発明(請求項2に対応)は、第1
の基材上に負極層、セパレータ層の順に間欠パターンで
塗布形成し、第2の基材上に正極層を間欠パターンで塗
布形成し、各層の間欠パターンの基材走行方向の長さ
を、負極層をL1、正極層をL2、各層の間欠パターン
の幅方向の寸法を、負極層をW1、正極層をW2とした
とき、L1>L2、W1>W2を満たし、さらに前記各
層が未乾燥の内に前記負極層及びセパレータ層と前記正
極層を密着させた後、さらに乾燥を行うことを特徴とす
る電池電極の製造方法である。
【0007】第3の本発明(請求項3に対応)は、第1
の基材上に負極層を間欠パターンで塗布形成し、第2の
基材上に正極層を間欠パターンで塗布形成し、各層の間
欠パターンの基材走行方向の長さを、負極層をL1、正
極層をL2、各層の間欠パターンの幅方向の寸法を、負
極層をW1、正極層をW2としたとき、L1>L2、W
1>W2を満たし、さらに前記各層が未乾燥の内に前記
負極層と前記正極層との間に予め作製したセパレータ層
を密着させた後、さらに乾燥を行うことを特徴とする電
池電極の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。
【0009】(実施の形態1)先ず、本発明の実施の形
態1の電池電極の製造方法を述べる。
【0010】(図1)に、本発明の実施の形態1の電池
電極の製造方法に用いる塗布装置の概略構成図を示す。
1は多層ノズルで基材2の上に負極層301とセパレー
タ層302、正極層303からなる電極層3を塗布形成
する。基材2は銅の集電体であり、例えば多孔箔、ラス
メタル、銅箔である。4はノズル4、基材5の上に導電
性の接着剤501を塗布形成する。基材5はアルミの集
電体であり、例えば多孔箔、ラスメタル、アルミ箔であ
る。乾燥された電極層3の正極層301側と導電性接着
剤501側とをニップロール6で密着、一体化し、図示
していないが乾燥させた後、巻き取る。多層ノズル1
は、マニホールド101、102および103と、それ
ぞれのマニホールドには塗料を吐出するためのスリット
とを連通している。同様に、ノズル4は、マニホールド
401と、これに連通するスリット401を備えてい
る。
【0011】さて、図示していないが定量ポンプによ
り、負極層301の塗料をマニホールド101へ供給
し、セパレータ層302の塗料をマニホールド102へ
供給し、正極層302の塗料をマニホールド103へ供
給する。そして、それぞれのマニホールドに連通してい
るスリットから負極層301の塗料、セパレータ層30
2の塗料、正極層303の塗料を押し出して、基材2の
上に、負極層301、セパレータ層の302、正極層3
03の順に間欠パターンで塗布する。(図2)はその一
例であって、負極層301とセパレータ層302とが間
欠パターンで塗布形成し、正極層303はストライプで
且つ間欠パターンで塗布形成している。間欠塗布する方
法に関しては、特開平7−68208号公報、特開平7
−275786号公報、特開平11−221512号公
報に記載のものを用いることができる。また図示してい
ないが必要に応じては負極層301とセパレータ層30
2もストライプ且つ間欠パターンで塗布形成することも
できる。各層の基材走行方向の長さを、(図2)に示す
ように負極層301をL1、正極層303をL2、各層
の間欠パターンの幅方向の寸法を、負極層301をW
1、正極層303をW2としたとき、正極層303は2
条のストライプ間欠であるのでL1>L2、W1>2×
W2を満たすように塗布形成する。
【0012】この後、図示していないが乾燥工程を経て
る。なお、乾燥後の厚みが、正極および負極が20〜5
00μmの範囲、セパレータ層が5〜50μmの範囲と
なるように乾燥する。塗布時(ウエットにおける)各層
の厚みを、乾燥後の厚みの2〜10倍程度となるように
し、熱風式や赤外線式等の乾燥方法を用いると、乾燥後
の厚みが、正極および負極が20〜500μmの範囲
に、セパレータ層が5〜50μmの範囲に、それぞれお
さまる。
【0013】さらに、図示していないが定量ポンプによ
り、導電性接着層501の塗料をノズル4のマニホール
ド401へ供給する。そして、マニホールドに連通して
いるスリットから導電性接着層501の塗料を押し出し
て、基材5の上に正極層303の上に塗布する。その
後、ニップロール6により正極層303と導電接着層5
01とを密着一体化させ、図示していないが巻き取る。
従って、基材2もしくは基材5の何れか一方は、導電性
接着層501の溶媒が蒸発できるように多孔箔あるいは
ラスメタル状など、穴が開いている必要がある。
【0014】なお、本実施の形態では、(図1)を用い
て説明したように、負極層301の塗料と、セパレータ
層302の塗料と、正極層303の塗料とを、同時に基
材2に片面で塗布する場合を例にとって電池電極の製造
方法を説明したが、請求項1の本発明の電池電極の製造
方法は、負極層301を塗布した後、これが未乾燥の内
にセパレータ層302、さらに正極層303を逐次塗布
しても良い。また基材2の両面に負極層301、セパレ
ータ層302、正極層303を塗布形成しても良い。両
面に塗布形成する方法としては、出願人が先に提案した
特願平11−133609号に記載のものを用いること
ができる。
【0015】ノズル1および/または4の先端形状は、
各塗料の粘度や塗布層の厚みに応じて、長さや、厚みな
どを最適化したものを用いる。またノズル1および/ま
たは4の先端形状は、図示していないが曲面形状や多角
形の複合化した形状でもよい。また塗布層の厚みに応じ
て、図示していないが各スリットの先端の高さに段差を
設けてもよい。
【0016】正極の塗料組成には、活物質とポリマーと
が含まれる。活物質としては、LiCoO2、LiNi
O2、LiMn2O4、リチウムを含む非晶質五酸化バナ
ジウムなどや、二流化チタンや二流化モリブデンなどの
カルコゲン化合物を用いることができる。ポリマーとし
ては、ポリエチレンオキサイド系、ポリプロピレンオキ
サイド系、ポリクリルニトリル系、ビニリデンフロライ
ドとヒキサフルオロプロピレンとの共重合体などを用い
ることができる。この他に、正極の塗料には溶媒と添加
剤、電解液などを必要に応じて加える。
【0017】他方、負極の塗料組成にも、活物質とポリ
マーとが含まれる。活物質としては、リチウムイオンを
吸蔵・放出する炭素材料、例えば人造グラファイト、天
然グラファイトなどを用いることができる。また、負極
の塗料には溶媒と添加剤、電解液などを必要に応じて加
える。ポリマーや、溶媒や、添加物や電解液などは、正
極の塗料に含まれるものと同様のものを適時選択して用
いる。
【0018】セパレータの塗料組成は、上記ポリマーを
主として、シリカなどのフィラー、溶媒、添加剤、電解
液などを適時選択し混合したものである。
【0019】導電性接着剤の塗料組成は、導電剤として
アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛を主と
して、上記ポリマーと溶媒、添加剤、電解液などを適時
選択し混合したものである。
【0020】前記工程を得て作製した極板は、裁断工程
にて所定の極板サイズに裁断する。例えば(図3)に示
すように、裁断後の寸法を幅方向WS、基材走行方向を
L0とする。ここでL0>L1とすることで、集電体2
が剥き出しの部分である間欠部201を設けることで、
図示していないがリードの接続部分を容易に形成でき
る。さらに、少なくともWS>W2で且つL1>L2と
することで正極層303面積を負極層301面積よりも
小さくすることが可能である。これにより正極層303
の端部と負極層301の端部とが接触しショートするこ
とは全くない。
【0021】以下に、本実施の形態の特徴を順に説明す
る。
【0022】第1の特徴は、負極層301、セパレータ
層302、正極層303の順に間欠パターンで集電体2
の上に塗布形成するため、従来の製造方法で示された、
極板とセパレータの熱融着が不要であるばかりでなく、
負極層などの塗布層が設けられていない、すなわち集電
体2が剥き出しの部分である間欠部201を形成できる
ので、リードの接続が容易となる点にある。
【0023】第2の特徴は、同時に多層塗布すること
で、従来発生していた乾燥工程におけるマイグレーショ
ンを抑制できることである。集電体2の上に負極層など
を単層で塗布形成した従来の場合、乾燥工程において、
溶媒が蒸発する過程でバインダーであるポリマーも表層
部分に移動し、集電体2側におけるポリマー量が相対的
に少なくなる。この結果、従来の製造方法では集電体2
と負極層などの密着強度が弱くなりすぎて、負極層など
の脱落やサイクル特性の低下などの致命的問題が生じて
いた。それに対して、本実施の形態において説明したよ
うに、同時に多層を塗布形成すると、セパレータ層が負
極層や正極層に含まれるバインダーの移動を阻害するの
でマイグレーションの発生を抑制できる。その結果、集
電体と負極層や正極層の密着強度は高く、さらにサイク
ル特性も格段に向上させることができる。
【0024】第3の特徴は、各層の基材走行方向の長さ
を、負極層301をL1、正極層303をL2、各層の
間欠パターンの幅方向の寸法を、負極層をW1、正極層
をW2としたとき、L1>L2、W1>W2を満たすこ
とである。また正極層をストライプの間欠パターンで塗
布形成する場合には、ストライプの条数をn(n≧2)
としたとき、W1>n×W2を満たすことである。さら
にまた、負極層301、セパレータ層302、正極層3
03を所定寸法に裁断した後の極板の寸法は、少なくと
も負極層301の幅方向の寸法WSが、WS>W2をを
満たすことを特徴とする。これにより以下に述べるよう
に生産性が格段に向上し、さらにショート不良を画期的
に低減することが可能となる。正極層303の長さ方向
寸法L2、幅方向寸法W2は、電池として用いる極板サ
イズと同一にする。負極層301とセパレータ層302
の長さ方向寸法と幅方向寸法は、裁断した後でも正極の
寸法よりも大きく構成しているので、負極層301の端
部と正極層303の端部とが接触することは全く無く、
従って接触によるショート不良も皆無にすることが可能
となる。また、従来は負極層、セパレータ層、正極層を
所定寸法にそれぞれ裁断した後、お互いを熱融着させて
いた。本実施の形態では少なくとも正極層303は所定
寸法で塗布形成しているので裁断の必要はない。さらに
上記構成の結果、セパレータ層と負極層を同時に裁断し
ても、正極層303と負極層301とは接触しない構成
である。従って一回の裁断で所定の電池サイズにするこ
とが可能となり、生産性を格段に向上させることができ
る。
【0025】第4の特徴は、第2の基材5に導電性接着
剤501を塗布形成した後、未乾燥の内に正極層303
に密着させることにより、正極側に集電体を効率よく貼
り合わせることが可能である。さらに第2の基材5は、
多孔質もしくは穴開きとすることで、導電性接着剤を乾
燥させるとき、この穴から溶剤を蒸発させることがで
き、集電体2と正極層303とを強固に密着させること
が可能となる。
【0026】次に、上述した方法で製造した極板を用い
て二次電池を作成し、評価を行った。以下に、詳細な製
造方法と、評価結果について説明する。
【0027】正極塗料として、LiCoO2と、ポリマ
ーと、溶媒とからなるからなるものを用いた。乾燥後の
正極活物質層の密度は1.4(g/cm3)である。負
極塗料として、グラファイトとポリマー、溶媒からなる
ものを用いた。乾燥後の負極活物資層の密度も1.4
(g/cm3)である。セパレータ塗料は、ポリマーと
シリカと溶媒を主成分とした。評価するために作成した
極板は、(図1)で示したように、ノズル1、4で(図
2)に示すような正極層303はストライプ間欠、負極
層301、セパレータ層302は間欠パターンで塗布形
成した。そのパターンサイズはL1が60mm、L2が
50mm、W1が130mm、W2が50mmとした。
さらに、前記極板を(図3)に示すような極板形状に裁
断した。WSが60mm、L0は80mmである。これ
を用いて二次電池を1000個作成し、放電容量とサイ
クル特性、ショート不良の数について評価を行った。な
お、上記したものを実施例1とする。また、比較例とし
て、従来の製造方法で、前記寸法の二次電池を1000
個作成したものを用いた。
【0028】(1)放電容量 室温において、一定電流、終止電圧4.2Vで充電を完
了した二次電池を一定電流で放電して、放電開始から低
下する電圧が終止電圧2Vに達したときの放電容量で比
較した。本実施例では(図6)に示すように、放電容量
の低下が小さいことがわかった。これは、正負極層とセ
パレータ層を多層塗布しているために、両者の間に隙間
が全くなくかつ密着性が良いためである。
【0029】(2)サイクル特性 室温において、一定条件で充放電を繰り返して放電容量
を測定し、比較した。(図7)に示すように、本実施例
では比較例に比べて明らかに容量の低下が小さい。これ
は、正負極層とセパレータ層を同時に多層塗布している
ために、両者の間に隙間が全くなくかつ密着性が良いた
めである。また、マイグレーションを抑制することがで
き、そのため正極や負極の表層におけるポリマーの分布
が実質上均一になったので、集電体と正極または負極の
密着性が高くなり、剥離しにくくなったことも、サイク
ル特性がアップした理由の一つである。
【0030】(3)ショート不良数 本実施例による電池はショート不良数が1000個中、
0個、従来の方法によるショート不良数は1000個
中、3個であり、本実施例によればショート不良を画期
的に抑制できることが明確となった。これは、正極層の
面積を負極層の面積よりも小さくし、且つ塗布工程で一
体化するためである。
【0031】このように、セパレータ層と極板との密着
性が良好であり、さらに両者の間に隙間を生じさせず、
極板内に電解液を実質上均一に存在させることができる
ため、リチウムイオンの移動が可能となるので、ポリマ
ー電解質二次電池の電池容量やサイクル特性を向上させ
ることができ、さらに製品のコストダウンを達成、また
ショート不良を抑制できる。
【0032】以上のようにポリマー電池などの二次電池
極板の製造方法において、請求項1の基発明の製造方法
の効果を確認することができた。
【0033】(実施の形態2)次に、本発明の実施の形
態2の電池電極の製造方法を述べる。
【0034】(図4)に、本発明の実施の形態2の電池
電極の製造方法に用いる塗布装置の概略構成図を示す。
7は多層ノズルで基材2の上に負極層301とセパレー
タ層302を間欠パターンで塗布形成する。基材2は銅
の集電体であり、例えば多孔箔、ラスメタル、銅箔であ
る。8はノズルで基材5の上に正極層303を間欠パタ
ーンで塗布形成する。基材5はアルミの集電体であり、
例えば多孔箔、ラスメタル、アルミ箔である。負極層3
01及びセパレータ層302と正極層303が未乾燥の
内にニップロール6でそれぞれを密着させた後、さらに
図示していないが乾燥を行い、巻き取る。前記未乾燥の
状態では、負極層及びセパレータ層と正極層において、
固形分に対する溶媒含有率が2wt%以上、50wt%
以下の範囲とすることで、セパレータ層302と正極層
303とを確実に密着一体化させることができる。溶媒
含有率を前記範囲とするためには、ノズル7及び8とニ
ップロール6との間で、溶媒を蒸発させるための乾燥手
段を設ける。例えば熱風乾燥、遠赤外線ヒーターなどで
ある。溶媒含有率が前記範囲よりも小さい場合には、各
層が乾燥しすぎて密着させることが不可能である。また
前記範囲よりも大きい場合には、ニップロールにおいて
各層が混じり合い電池電極としては使用できなくなる。
【0035】多層ノズル7は、マニホールド701、7
02と、それぞれのマニホールドには塗料を吐出するた
めのスリットとを連通している。同様に、ノズル4は、
マニホールド401と、これに連通するスリットを備え
ている。
【0036】さて、図示していないが定量ポンプによ
り、負極層301の塗料をマニホールド701へ供給
し、セパレータ層302の塗料をマニホールド702へ
供給する。また図示していないが定量ポンプにより正極
層303の塗料をマニホールド801へ供給する。そし
て、それぞれのマニホールドに連通しているスリットか
ら負極層301の塗料、セパレータ層302の塗料を押
し出して基材2の上に負極層301、セパレータ層30
2の順に間欠パターンで塗布する。また、正極層303
の塗料を押し出して、基材5の上に、正極層303を間
欠パターンで塗布する。間欠塗布する方法に関しては、
特開平7−68208号公報、特開平7−275786
号公報、特開平11−221512号公報に記載のもの
を用いることができる。また図示していないが必要に応
じては負極層301とセパレータ層302、正極層30
3をストライプ且つ間欠パターンで塗布形成することも
できる。各層の基材走行方向の長さを、(図2)に示す
ように負極層301をL1、正極層303をL2、各層
の間欠パターンの幅方向の寸法を、負極層301をW
1、正極層303をW2としたとき、正極層303は2
条のストライプ間欠であるのでL1>L2、W1>2×
W2を満たすように塗布形成する。なお、(図2)では
基材5を省略して示してある。
【0037】この後、図示していないが乾燥工程を経
る。なお、乾燥後の厚みが、正極および負極が20〜5
00μmの範囲、セパレータ層が5〜50μmの範囲と
なるように乾燥する。塗布時(ウエットにおける)各層
の厚みを、乾燥後の厚みの2〜10倍程度となるように
し、熱風式や赤外線式等の乾燥方法を用いると、乾燥後
の厚みが、正極および負極が20〜500μmの範囲
に、セパレータ層が5〜50μmの範囲に、それぞれお
さまる。湿潤状態の正負極層とセパレータ層を乾燥させ
るために、基材2もしくは基材5の少なくとも何れか一
方を多孔質もしくは穴開きとして、溶媒を蒸発できるよ
うにすることが必要である。
【0038】なお、本実施の形態では、(図1)を用い
て説明したように、負極層301の塗料と、セパレータ
層302の塗料とを、同時に基材2に片面で塗布する場
合を例にとって電池電極の製造方法を説明したが、請求
項1の本発明の電池電極の製造方法は、負極層301を
塗布した後、これが未乾燥の内にセパレータ層302を
逐次塗布しても良い。また基材2の両面に負極層30
1、セパレータ層302を塗布形成したものに対してそ
の両側から正極層303を貼り合わせても良い。両面に
塗布形成する方法としては、出願人が先に提案した特願
平11−133609号を用いることができる。
【0039】ノズル7および/または8の先端形状は、
各塗料の粘度や塗布層の厚みに応じて、長さや、厚みな
どを最適化したものを用いる。またノズル7および/ま
たは8の先端形状は、図示していないが曲面形状や多角
形の複合化した形状でもよい。また塗布層の厚みに応じ
て、図示していないが各スリットの先端の高さに段差を
設けてもよい。
【0040】正極の塗料組成には、活物質とポリマーと
が含まれる。活物質としては、LiCoO2、LiNi
O2、LiMn2O4、リチウムを含む非晶質五酸化バナ
ジウムなどや、二流化チタンや二流化モリブデンなどの
カルコゲン化合物を用いることができる。ポリマーとし
ては、ポリエチレンオキサイド系、ポリプロピレンオキ
サイド系、ポリクリルニトリル系、ビニリデンフロライ
ドとヒキサフルオロプロピレンとの共重合体などを用い
ることができる。この他に、正極の塗料には溶媒と添加
剤、電解液などを必要に応じて加える。
【0041】他方、負極の塗料組成にも、活物質とポリ
マーとが含まれる。活物質としては、リチウムイオンを
吸蔵・放出する炭素材料、例えば人造グラファイト、天
然グラファイトなどを用いることができる。また、負極
の塗料には溶媒と添加剤、電解液などを必要に応じて加
える。ポリマーや、溶媒や、添加物や電解液などは、正
極の塗料に含まれるものと同様のものを適時選択して用
いる。
【0042】セパレータの塗料組成は、上記ポリマーを
主として、シリカなどのフィラー、溶媒、添加剤、電解
液などを適時選択し混合したものである。
【0043】前記工程を得て作製した極板は、裁断工程
にて所定の極板サイズに裁断する。例えば(図3)に示
すように、裁断後の寸法を幅方向WS、基材走行方向を
L0とする。なお、(図3)は基材5を省略して示し
た。ここでL0>L1とすることで、集電体2が剥き出
しの部分である間欠部201を設けることで、図示して
いないがリードの接続部分を容易に形成できる。さら
に、少なくともWS>W2で且つL1>L2とすること
で正極層303面積を負極層301面積よりも小さくす
ることが可能である。これにより正極層303の端部と
負極層301の端部とが接触しショートすることは全く
ない。
【0044】以下に、本実施の形態の特徴を順に説明す
る。
【0045】第1の特徴は、負極層301、セパレータ
層302の順に間欠パターンで集電体2の上に塗布形成
し、正極層303を第2の集電体5に間欠パターンで塗
布形成し、それぞれを未乾燥の内に密着一体化するた
め、従来の製造方法で示された、極板とセパレータの熱
融着が不要であるばかりでなく、負極層などの塗布層が
設けられていない、すなわち集電体2が剥き出しの部分
である間欠部201を形成できるので、リードの接続が
容易となる点にある。
【0046】第2の特徴は、同時に多層塗布すること
で、従来発生していた乾燥工程におけるマイグレーショ
ンを抑制できることである。集電体2の上に負極層など
を単層で塗布形成した従来の場合、乾燥工程において、
溶媒が蒸発する過程でバインダーであるポリマーも表層
部分に移動し、集電体2側におけるポリマー量が相対的
に少なくなる。この結果、従来の製造方法では集電体2
と負極層などの密着強度が弱くなりすぎて、負極層など
の脱落やサイクル特性の低下などの致命的問題が生じて
いた。それに対して、本実施の形態において説明したよ
うに、同時に多層を塗布形成すると、セパレータ層が負
極層や正極層に含まれるバインダーの移動を阻害するの
でマイグレーションの発生を抑制できる。その結果、集
電体と負極層や正極層の密着強度は高く、さらにサイク
ル特性も格段に向上させることができる。
【0047】第3の特徴は、各層の基材走行方向の長さ
を、負極層301をL1、正極層303をL2、各層の
間欠パターンの幅方向の寸法を、負極層をW1、正極層
をW2としたとき、L1>L2、W1>W2を満たすこ
とである。また正極層をストライプの間欠パターンで塗
布形成する場合には、ストライプの条数をn(n≧2)
としたとき、W1>n×W2を満たすことである。さら
にまた、負極層301、セパレータ層302、正極層3
03を所定寸法に裁断した後の極板の寸法は、少なくと
も負極層301の幅方向の寸法WSが、WS>W2をを
満たすことを特徴とする。これにより以下に述べるよう
に生産性が格段に向上し、さらにショート不良を画期的
に低減することが可能となる。正極層303の長さ方向
寸法L2、幅方向寸法W2は、電池として用いる極板サ
イズと同一にする。負極層301とセパレータ層302
の長さ方向寸法と幅方向寸法は、裁断した後でも正極の
寸法よりも大きく構成しているので、負極層301の端
部と正極層303の端部とが接触することは全く無く、
従って接触によるショート不良も皆無にすることが可能
となる。また、従来は負極層、セパレータ層、正極層を
所定寸法にそれぞれ裁断した後、お互いを熱融着させて
いた。本実施の形態では少なくとも正極層303は所定
寸法で塗布形成しているので裁断の必要はない。さらに
上記構成の結果、セパレータ層と負極層を同時に裁断し
ても、正極層303と負極層301とは接触しない構成
である。従って一回の裁断で所定の電池サイズにするこ
とが可能となり、生産性を格段に向上させることができ
る。
【0048】第4の特徴は、第2の基材5に正極層30
3を塗布形成した後、未乾燥の内にセパレータ層302
に密着させることにより、各層を効率よく貼り合わせる
ことが可能である。さらに何れか一方の基材は、多孔質
もしくは穴開きとすることで、この穴から溶剤を蒸発さ
せることができ、各層を乾燥により強固に密着させるこ
とが可能となる。
【0049】次に、上述した方法で製造した極板を用い
て二次電池を作成し、評価を行った。以下に、詳細な製
造方法と、評価結果について説明する。
【0050】正極塗料として、LiCoO2と、ポリマ
ーと、溶媒とからなるからなるものを用いた。乾燥後の
正極活物質層の密度は1.4(g/cm3)である。負
極塗料として、グラファイトとポリマー、溶媒からなる
ものを用いた。乾燥後の負極活物資層の密度も1.4
(g/cm3)である。セパレータ塗料は、ポリマーと
シリカと溶媒を主成分とした。評価するために作成した
極板は、(図1)で示したように、ノズル1、4で(図
2)に示すような正極層303はストライプ間欠、負極
層301、セパレータ層302は間欠パターンで塗布形
成した。そのパターンサイズはL1が60mm、L2が
50mm、W1が130mm、W2が50mmとした。
さらに、前記極板を(図3)に示すような極板形状に裁
断した。WSが60mm、L0は80mmである。これ
を用いて二次電池を1000個作成し、放電容量とサイ
クル特性、ショート不良の数について評価を行った。な
お、上記したものを実施例1とする。また、比較例とし
て、従来の製造方法で、前記寸法の二次電池を1000
個作成したものを用いた。
【0051】(1)放電容量 室温において、一定電流、終止電圧4.2Vで充電を完
了した二次電池を一定電流で放電して、放電開始から低
下する電圧が終止電圧2Vに達したときの放電容量で比
較した。本実施例では(図6)に示すように、放電容量
の低下が小さいことがわかった。これは、正負極層とセ
パレータ層を多層塗布しているために、両者の間に隙間
が全くなくかつ密着性が良いためである。
【0052】(2)サイクル特性 室温において、一定条件で充放電を繰り返して放電容量
を測定し、比較した。(図7)に示すように、本実施例
では比較例に比べて明らかに容量の低下が小さい。これ
は、正負極層とセパレータ層を同時に多層塗布している
ために、両者の間に隙間が全くなくかつ密着性が良いた
めである。また、マイグレーションを抑制することがで
き、そのため正極や負極の表層におけるポリマーの分布
が実質上均一になったので、集電体と正極または負極の
密着性が高くなり、剥離しにくくなったことも、サイク
ル特性がアップした理由の一つである。
【0053】(3)ショート不良数 本実施例による電池はショート不良数が1000個中、
0個、従来の方法によるショート不良数は1000個
中、3個であり、本実施例によればショート不良を画期
的に抑制できることが明確となった。これは、正極層の
面積を負極層の面積よりも小さくし、且つ塗布工程で一
体化するためである。
【0054】このように、セパレータ層と極板との密着
性が良好であり、さらに両者の間に隙間を生じさせず、
極板内に電解液を実質上均一に存在させることができる
ため、リチウムイオンの移動が可能となるので、ポリマ
ー電解質二次電池の電池容量やサイクル特性を向上させ
ることができ、さらに製品のコストダウンを達成、また
ショート不良を抑制できる。
【0055】以上のようにポリマー電池などの二次電池
極板の製造方法において、請求項2の基発明の製造方法
の効果を確認することができた。
【0056】(実施の形態3)次に、本発明の実施の形
態3の電池電極の製造方法を述べる。
【0057】(図5)に、本発明の実施の形態3の電池
電極の製造方法に用いる塗布装置の概略構成図を示す。
9はノズルで基材2の上に負極層301を間欠パターン
で塗布形成する。基材2は銅の集電体であり、例えば多
孔箔、ラスメタル、銅箔である。10はノズルで基材5
の上に正極層303を間欠パターンで塗布形成する。基
材5はアルミの集電体であり、例えば多孔箔、ラスメタ
ル、アルミ箔である。負極層301及び予め作製したセ
パレータ層302と正極層303が未乾燥の内にニップ
ロール6でそれぞれを密着させた後、さらに図示してい
ないが乾燥を行い、巻き取る。前記セパレータ層302
は予め別工程で作製したもので、乾燥されたものであ
る。前記未乾燥の状態では、負極層及び正極層におい
て、固形分に対する溶媒含有率が2wt%以上、50w
t%以下の範囲とすることで、負極層301とセパレー
タ層302と正極層303とを確実に密着一体化させる
ことができる。溶媒含有率を前記範囲とするためには、
ノズル9及び10とニップロール6との間で、溶媒を蒸
発させるための乾燥手段を設ける。例えば熱風乾燥、遠
赤外線ヒーターなどである。溶媒含有率が前記範囲より
も小さい場合には、各層が乾燥しすぎて密着させること
が不可能である。また前記範囲よりも大きい場合には、
ニップロールにおいて正負極層の厚みがニップの力で不
均一となってしまい電池電極としては使用できなくな
る。
【0058】ノズル9は、マニホールド901と塗料を
吐出するためのスリットとを連通している。同様に、ノ
ズル10は、マニホールド1001と、これに連通する
スリットを備えている。
【0059】さて、図示していないが定量ポンプによ
り、負極層301の塗料をマニホールド901へ供給す
る。また図示していないが定量ポンプにより正極層30
3の塗料をマニホールド1001へ供給する。そして、
マニホールドに連通しているスリットから負極層301
の塗料を押し出して基材2の上に負極層301を間欠パ
ターンで塗布する。また、正極層303の塗料を押し出
して、基材5の上に、正極層303を間欠パターンで塗
布する。間欠塗布する方法に関しては、特開平7−68
208号公報、特開平7−275786号公報、特開平
11−221512号公報に記載のものを用いることが
できる。また図示していないが必要に応じては負極層3
01、正極層303をストライプ且つ間欠パターンで塗
布形成することもできる。各層の基材走行方向の長さ
を、(図2)に示すように負極層301をL1、正極層
303をL2、各層の間欠パターンの幅方向の寸法を、
負極層301をW1、正極層303をW2としたとき、
正極層303は2条のストライプ間欠であるのでL1>
L2、W1>2×W2を満たすように塗布形成する。な
お、(図2)では基材5を省略して示してある。
【0060】この後、図示していないが乾燥工程を経
る。なお、乾燥後の厚みが、正極および負極が20〜5
00μmの範囲、セパレータ層が5〜50μmの範囲と
なるように乾燥する。塗布時(ウエットにおける)各層
の厚みを、乾燥後の厚みの2〜10倍程度となるように
し、熱風式や赤外線式等の乾燥方法を用いると、乾燥後
の厚みが、正極および負極が20〜500μmの範囲
に、セパレータ層が5〜50μmの範囲に、それぞれお
さまる。湿潤状態の正負極層とセパレータ層を乾燥させ
るために、基材2もしくは基材5の少なくとも何れか一
方を多孔質もしくは穴開きとして、溶媒を蒸発できるよ
うにすることが必要である。
【0061】ノズル9および/または10の先端形状
は、各塗料の粘度や塗布層の厚みに応じて、長さや、厚
みなどを最適化したものを用いる。またノズル9および
/または10の先端形状は、図示していないが曲面形状
や多角形の複合化した形状でもよい。また塗布層の厚み
に応じて、図示していないが各スリットの先端の高さに
段差を設けてもよい。
【0062】正極の塗料組成には、活物質とポリマーと
が含まれる。活物質としては、LiCoO2、LiNi
O2、LiMn2O4、リチウムを含む非晶質五酸化バナ
ジウムなどや、二流化チタンや二流化モリブデンなどの
カルコゲン化合物を用いることができる。ポリマーとし
ては、ポリエチレンオキサイド系、ポリプロピレンオキ
サイド系、ポリクリルニトリル系、ビニリデンフロライ
ドとヒキサフルオロプロピレンとの共重合体などを用い
ることができる。この他に、正極の塗料には溶媒と添加
剤、電解液などを必要に応じて加える。
【0063】他方、負極の塗料組成にも、活物質とポリ
マーとが含まれる。活物質としては、リチウムイオンを
吸蔵・放出する炭素材料、例えば人造グラファイト、天
然グラファイトなどを用いることができる。また、負極
の塗料には溶媒と添加剤、電解液などを必要に応じて加
える。ポリマーや、溶媒や、添加物や電解液などは、正
極の塗料に含まれるものと同様のものを適時選択して用
いる。
【0064】セパレータの塗料組成は、上記ポリマーを
主として、シリカなどのフィラー、溶媒、添加剤、電解
液などを適時選択し混合したものである。
【0065】前記工程を得て作製した極板は、裁断工程
にて所定の極板サイズに裁断する。例えば(図3)に示
すように、裁断後の寸法を幅方向WS、基材走行方向を
L0とする。なお、(図3)は基材5を省略して示し
た。ここでL0>L1とすることで、集電体2が剥き出
しの部分である間欠部201を設けることで、図示して
いないがリードの接続部分を容易に形成できる。さら
に、少なくともWS>W2で且つL1>L2とすること
で正極層303面積を負極層301面積よりも小さくす
ることが可能である。これにより正極層303の端部と
負極層301の端部とが接触しショートすることは全く
ない。
【0066】以下に、本実施の形態の特徴を順に説明す
る。
【0067】第1の特徴は、負極層301を間欠パター
ンで集電体2の上に塗布形成し、正極層303を第2の
集電体5に間欠パターンで塗布形成し、それぞれを未乾
燥の内にセパレータ層302と密着一体化するため、従
来の製造方法で示された、極板とセパレータの熱融着が
不要であるばかりでなく、負極層などの塗布層が設けら
れていない、すなわち集電体2が剥き出しの部分である
間欠部201を形成できるので、リードの接続が容易と
なる点にある。
【0068】第2の特徴は、正負極層が未乾燥の内にセ
パレータ層と密着一体化することで、従来発生していた
乾燥工程におけるマイグレーションを抑制できることで
ある。集電体2の上に負極層などを単層で塗布形成した
従来の場合、乾燥工程において、溶媒が蒸発する過程で
バインダーであるポリマーも表層部分に移動し、集電体
2側におけるポリマー量が相対的に少なくなる。この結
果、従来の製造方法では集電体2と負極層などの密着強
度が弱くなりすぎて、負極層などの脱落やサイクル特性
の低下などの致命的問題が生じていた。それに対して、
本実施の形態において説明したように、セパレータ層が
負極層や正極層に含まれるバインダーの移動を阻害する
のでマイグレーションの発生を抑制できる。その結果、
集電体と負極層や正極層の密着強度は高く、さらにサイ
クル特性も格段に向上させることができる。
【0069】第3の特徴は、各層の基材走行方向の長さ
を、負極層301をL1、正極層303をL2、各層の
間欠パターンの幅方向の寸法を、負極層をW1、正極層
をW2としたとき、L1>L2、W1>W2を満たすこ
とである。また正極層をストライプの間欠パターンで塗
布形成する場合には、ストライプの条数をn(n≧2)
としたとき、W1>n×W2を満たすことである。さら
にまた、負極層301、セパレータ層302、正極層3
03を所定寸法に裁断した後の極板の寸法は、少なくと
も負極層301の幅方向の寸法WSが、WS>W2をを
満たすことを特徴とする。これにより以下に述べるよう
に生産性が格段に向上し、さらにショート不良を画期的
に低減することが可能となる。正極層303の長さ方向
寸法L2、幅方向寸法W2は、電池として用いる極板サ
イズと同一にする。負極層301とセパレータ層302
の長さ方向寸法と幅方向寸法は、裁断した後でも正極の
寸法よりも大きく構成しているので、負極層301の端
部と正極層303の端部とが接触することは全く無く、
従って接触によるショート不良も皆無にすることが可能
となる。また、従来は負極層、セパレータ層、正極層を
所定寸法にそれぞれ裁断した後、お互いを熱融着させて
いた。本実施の形態では少なくとも正極層303は所定
寸法で塗布形成しているので裁断の必要はない。さらに
上記構成の結果、セパレータ層と負極層を同時に裁断し
ても、正極層303と負極層301とは接触しない構成
である。従って一回の裁断で所定の電池サイズにするこ
とが可能となり、生産性を格段に向上させることができ
る。
【0070】第4の特徴は、正負極層が未乾燥の内にセ
パレータ層302に密着させることにより、各層を効率
よく貼り合わせることが可能である。さらに何れか一方
の基材は、多孔質もしくは穴開きとすることで、この穴
から溶剤を蒸発させることができ、各層を乾燥により強
固に密着させることが可能となる。
【0071】次に、上述した方法で製造した極板を用い
て二次電池を作成し、評価を行った。以下に、詳細な製
造方法と、評価結果について説明する。
【0072】正極塗料として、LiCoO2と、ポリマ
ーと、溶媒とからなるからなるものを用いた。乾燥後の
正極活物質層の密度は1.4(g/cm3)である。負
極塗料として、グラファイトとポリマー、溶媒からなる
ものを用いた。乾燥後の負極活物資層の密度も1.4
(g/cm3)である。セパレータ塗料は、ポリマーと
シリカと溶媒を主成分とした。評価するために作成した
極板は、(図1)で示したように、ノズル1、4で(図
2)に示すような正極層303はストライプ間欠、負極
層301、セパレータ層302は間欠パターンで塗布形
成した。そのパターンサイズはL1が60mm、L2が
50mm、W1が130mm、W2が50mmとした。
さらに、前記極板を(図3)に示すような極板形状に裁
断した。WSが60mm、L0は80mmである。これ
を用いて二次電池を1000個作成し、放電容量とサイ
クル特性、ショート不良の数について評価を行った。な
お、上記したものを実施例1とする。また、比較例とし
て、従来の製造方法で、前記寸法の二次電池を1000
個作成したものを用いた。
【0073】(1)放電容量 室温において、一定電流、終止電圧4.2Vで充電を完
了した二次電池を一定電流で放電して、放電開始から低
下する電圧が終止電圧2Vに達したときの放電容量で比
較した。本実施例では(図6)に示すように、放電容量
の低下が小さいことがわかった。これは、正負極層とセ
パレータ層を多層塗布しているために、両者の間に隙間
が全くなくかつ密着性が良いためである。
【0074】(2)サイクル特性 室温において、一定条件で充放電を繰り返して放電容量
を測定し、比較した。(図7)に示すように、本実施例
では比較例に比べて明らかに容量の低下が小さい。これ
は、正負極層とセパレータ層を同時に多層塗布している
ために、両者の間に隙間が全くなくかつ密着性が良いた
めである。また、マイグレーションを抑制することがで
き、そのため正極や負極の表層におけるポリマーの分布
が実質上均一になったので、集電体と正極または負極の
密着性が高くなり、剥離しにくくなったことも、サイク
ル特性がアップした理由の一つである。
【0075】(3)ショート不良数 本実施例による電池はショート不良数が1000個中、
0個、従来の方法によるショート不良数は1000個
中、3個であり、本実施例によればショート不良を画期
的に抑制できることが明確となった。これは、正極層の
面積を負極層の面積よりも小さくし、且つ塗布工程で一
体化するためである。
【0076】このように、セパレータ層と極板との密着
性が良好であり、さらに両者の間に隙間を生じさせず、
極板内に電解液を実質上均一に存在させることができる
ため、リチウムイオンの移動が可能となるので、ポリマ
ー電解質二次電池の電池容量やサイクル特性を向上させ
ることができ、さらに製品のコストダウンを達成、また
ショート不良を抑制できる。
【0077】以上のようにポリマー電池などの二次電池
極板の製造方法において、請求項2の基発明の製造方法
の効果を確認することができた。
【0078】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、
本発明は、正極層および負極層とセパレータとを確実に
密着させ、またバインダーであるポリマーを活物質層内
部に実質上均一に分散させ、さらにショート不良などの
発生を抑制する生産性に優れた電池電極の製造方法を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の電池電極の製造方法に
用いる塗布装置の概略構成図
【図2】本発明の実施の形態1による裁断前の極板の概
略構成図
【図3】本発明の実施の形態1による裁断後の極板の概
略構成図
【図4】本発明の実施の形態2の電池電極の製造方法に
用いる塗布装置の概略構成図
【図5】本発明の実施の形態3の電池電極の製造方法に
用いる塗布装置の概略構成図
【図6】本発明の実施の形態1、2および3において説
明した各製造方法を用いて作製した電池電極の評価結果
を示す図
【図7】図6とは別の、本発明の実施の形態1、2およ
び3において説明した各製造方法を用いて作製した電池
電極の評価結果を示す図
【符号の説明】
1 多層ノズル 2 基材 3 電極層 4 ノズル 5 第2の基材 6 ニップロール 7 多層ノズル 8 ノズル 9 ノズル 10 ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H014 AA04 AA06 BB01 BB08 CC04 HH01 HH06 5H017 AA03 AS01 BB01 BB08 BB14 CC05 CC25 HH01 HH05 5H029 AJ01 AJ14 AK03 AK05 AL06 AM02 CJ02 CJ04 CJ22 CJ28 DJ08 EJ12 HJ01 HJ12

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に負極層、セパレータ層、正極層
    の順に間欠パターンで塗布形成した後、第2の基材を前
    記正極層に密着させ、各層の基材走行方向の長さを、負
    極層をL1、正極層をL2、各層の間欠パターンの幅方
    向の寸法を、負極層をW1、正極層をW2としたとき、 L1>L2、W1>W2 を満たすことを特徴とする電池電極の製造方法。
  2. 【請求項2】 第1の基材上に負極層、セパレータ層の
    順に間欠パターンで塗布形成し、第2の基材上に正極層
    を間欠パターンで塗布形成し、各層の間欠パターンの基
    材走行方向の長さを、負極層をL1、正極層をL2、各
    層の間欠パターンの幅方向の寸法を、負極層をW1、正
    極層をW2としたとき、 L1>L2、W1>W2 を満たし、さらに前記各層が未乾燥の内に前記負極層及
    びセパレータ層と前記正極層を密着させた後、さらに乾
    燥を行うことを特徴とする電池電極の製造方法。
  3. 【請求項3】 第1の基材上に負極層を間欠パターンで
    塗布形成し、第2の基材上に正極層を間欠パターンで塗
    布形成し、各層の間欠パターンの基材走行方向の長さ
    を、負極層をL1、正極層をL2、各層の間欠パターン
    の幅方向の寸法を、負極層をW1、正極層をW2とした
    とき、 L1>L2、W1>W2 を満たし、さらに前記各層が未乾燥の内に前記負極層と
    前記正極層との間に予め作製したセパレータ層を密着さ
    せた後、さらに乾燥を行うことを特徴とする電池電極の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記正極層をストライプの間欠パターン
    で塗布形成する場合には、ストライプの条数をn(n≧
    2)としたとき、 W1>n×W2 を満たすことを特徴とする請求項1、2または3記載の
    電池電極の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記基材上に塗布形成した負極層、セパ
    レータ層、正極層を所定寸法に裁断した後の極板の寸法
    は、少なくとも前記負極層の幅方向の寸法WSが、 WS>W2 を満たすことを特徴とする請求項1、2または3記載の
    電池電極の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第2の基材に導電性の接着剤を塗布
    形成した後、未乾燥の内に前記正極層に密着させること
    を特徴とする請求項1記載の電池電極の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記基材の内少なくとも一方は、多孔質
    もしくは穴開きであることを特徴とする請求項1、2ま
    たは3記載の電池電極の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記未乾燥の状態では、負極層及びセパ
    レータ層と前記正極層の固形分に対する溶媒含有率が2
    wt%以上、50wt%以下の範囲であることを特徴と
    する請求項2記載の電池電極の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記未乾燥の状態では、前記負極層及び
    前記正極層の固形分に対する溶媒含有率が2wt%以
    上、50wt%以下の範囲であることを特徴とする請求
    項3記載の電池電極の製造方法。
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