JP2020045449A - 変性共役ジエン系重合体組成物のベール、及び変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法 - Google Patents

変性共役ジエン系重合体組成物のベール、及び変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法 Download PDF

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大祐 早田
Daisuke Hayata
大祐 早田
僚 鈴木
Ryo Suzuki
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Abstract

【課題】経時変化が小さく安定した品質を担保でき、シリカを含むゴム組成物とした場合に、未加硫状態での保存安定性を向上でき、かつ優れたシリカの分散性を発現することで、優れた省燃費性能を有するゴム組成物を得ることが可能な、共役ジエン系重合体組成物のベールを提供する。【解決手段】変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部と、非イオン界面活性剤0.1〜10質量部と、を、含む、変性共役ジエン系重合体組成物のベールであって、前記変性共役ジエン系重合体が、重量平均分子量が20×104以上300×104以下であり、かつ前記変性共役ジエン系重合体の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体の成分を0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満である、変性共役ジエン系重合体組成物のベール。【選択図】なし

Description

本発明は、変性共役ジエン系重合体組成物のベール、及び変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法に関する。
近年、自動車に対する省燃費化要求が高まり、自動車用タイヤ、特に地面と接するタイヤトレッドの材料として、転がり抵抗が小さい材料の開発が求められている。
一方、安全性の観点からは、湿潤路面でのブレーキ性能(ウェットスキッド抵抗性)に優れ、かつ引張特性や耐摩耗性にも優れたゴム材料の開発が求められている。
補強性充填剤として、従来多く用いられてきたカーボンブラックに替えてシリカを用いた場合、転がり抵抗性とウェットスキッド抵抗性のバランスに優れたゴム組成物が得られることが知られている。
しかしながら、シリカの表面は親水性を有するため、疎水性の高い共役ジエン系重合体と組み合わせて組成物とすると、当該組成物中では、シリカ粒子同士が凝集し、良好な分散性が得られないという問題を有している。そのため、共役ジエン系重合体とシリカ表面との親和性を高め、組成物中でのシリカの分散性を改良して、転がり抵抗性をより優れたものにする試みが行われている。
例えば、特許文献1には、ゴム溶液にシリカ等のフィラーと、カップリング剤等の表面改質剤を加えて混合し、分散させた後、乾燥することにより、シリカが分散したゴムマスターバッチを製造する方法が開示されている。
特表2016−538394号公報
特許文献1に記載されている方法のように、シリカ等のフィラーと、シランカップリング剤等をゴム溶液に加えて混合することにより、フィラーの分散性を向上させることができると考えられる。
しかしながら、本発明者が検討したところ、特許文献1に記載されている方法のように、ゴム溶液にシランカップリング剤等を添加し、溶液中で混合し、乾燥させた製品を用いて、シリカ等との組成物とした場合、その保管中にシランカップリング剤による共役ジエン系重合体の架橋反応が進行し、そのため、得られるベール製品としてのゴム組成物が貯蔵生産性に劣ったりするという問題を有している。
そこで本発明においては、上述した従来技術が有する問題点に鑑みて、ベール製品として安定した品質を担保しつつ、かつシリカを含むゴム組成物とした場合に、未加硫状態での保存安定性を向上でき、かつ優れたシリカの分散性を発現することで、優れた省燃費性能を有するゴム組成物を得ることが可能な、変性共役ジエン系重合体組成物のベール、及び変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、所定の要件を満たす変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対し、非イオン界面活性剤を0.1〜10質量部含む、変性共役ジエン系重合体組成物のベールにより、上記従来技術の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
〔1〕
変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部と、
非イオン界面活性剤0.1〜10質量部と、
を、含む、変性共役ジエン系重合体組成物のベールであって、
前記変性共役ジエン系重合体が、
重量平均分子量が20×104以上300×104以下であり、かつ前記変性共役ジエン系重合体の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体の成分を0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満である、変性共役ジエン系重合体組成物のベール。
〔2〕
前記変性共役ジエン系重合体が、窒素原子と珪素原子とを有する、前記〔1〕に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベール。
〔3〕
前記変性共役ジエン系重合体が、分岐を有し、分岐度が5以上である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベール。
〔4〕
前記変性共役ジエン系重合体が、下記一般式(I)で表される、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベール。
(式(I)中、D1は、ジエン系重合体鎖を示し、R1〜R3は、各々独立に、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R4及びR7は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R5、R8、及びR9は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R6及びR10は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。m及びxは、各々独立に、1〜3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは、1〜3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のD1、R1〜R11、m、p、x、y、及びzは、各々独立しており、同じであっても異なっていてもよい。iは、0〜6の整数を示し、jは、0〜6の整数を示し、kは、0〜6の整数を示し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5〜30の整数である。Aは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、珪素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す。)
〔5〕
前記式(I)において、Aは、下記一般式(II)〜(V)のいずれかで表される、前
記〔4〕に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベール。
(式(II)中、B1は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB1は、各々独立している。)
(式(III)中、B2は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、B3は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のB2及びB3は、各々独立している。)
(式(IV)中、B4は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB4は、各々独立している。)
(式(V)中、B5は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB5は、各々独立している。)
〔6〕
変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、非イオン界面活性剤とを含む、変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法であって、
(A)前記ゴム成分の溶液に、非イオン界面活性剤を、前記ゴム成分100質量部に対し0.1〜10質量部添加し、溶液を得る工程と、
(B)前記工程(A)で得られた溶液を脱溶剤する工程と、
を有し、
前記変性共役ジエン系重合体が、重量平均分子量が20×104以上300×104以下であり、かつ前記変性共役ジエン系重合体の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体の成分を0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満である、
変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法。
〔7〕
前記脱溶剤する工程(B)において、前記溶液を、水に接触させずに脱溶剤する、前記〔6〕に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法。
〔8〕
変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、非イオン界面活性剤とを含む、変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法であって、
(C)前記ゴム成分に、非イオン界面活性剤を、前記ゴム成分100質量部に対し0.1〜10質量部添加する工程を、
有し、
前記変性共役ジエン系重合体が、重量平均分子量が20×104以上300×104以下であり、かつ前記変性共役ジエン系重合体の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体の成分を0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満である、変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法。
〔9〕
前記変性共役ジエン系重合体が、窒素原子と珪素原子とを有する、前記〔6〕乃至〔8〕のいずれか一に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法。
〔10〕
前記変性共役ジエン系重合体が、分岐を有し、分岐度が5以上である、前記〔6〕乃至〔9〕のいずれか一に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法。
〔11〕
前記変性共役ジエン系重合体が、下記一般式(I)で表される、前記〔6〕乃至〔10〕のいずれか一に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法。
(式(I)中、D1は、ジエン系重合体鎖を示し、R1〜R3は、各々独立に、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R4及びR7は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R5、R8、及びR9は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R6及びR10は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。m及びxは、各々独立に、1〜3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは、1〜3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のD1、R1〜R11、m、p、x、y、及びzは、各々独立しており、同じであっても異なっていてもよい。iは、0〜6の整数を示し、jは、0〜6の整数を示し、kは、0〜6の整数を示し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5〜30の整数である。Aは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、珪素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す。)
〔12〕
前記式(I)において、Aは、下記一般式(II)〜(V)のいずれかで表される、前記〔11〕に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法。
(式(II)中、B1は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB1は、各々独立している。)
(式(III)中、B2は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、B3は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のB2及びB3は、各々独立している。)
(式(IV)中、B4は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB4は、各々独立している。)
(式(V)中、B5は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB5は、各々独立している。)
本発明によれば、ベール製品として経時変化が小さく安定した品質を担保しつつ、かつシリカを含むゴム組成物とした場合に、未加硫状態での保存安定性を向上でき、かつ優れたシリカの分散性を発現することで、優れた省燃費性能を有するゴム組成物を得ることが可能な、共役ジエン系重合体組成物のベール、及び共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法を提供できる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。
〔変性共役ジエン系重合体組成物のベール〕
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールは、
変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部と、
非イオン界面活性剤0.1〜10質量部と、
を、含有するベールであって、
前記変性共役ジエン系重合体が、
重量平均分子量が20×104以上300×104以下であり、かつ前記変性共役ジエン系重合体の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体の成分を0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満である。
(ゴム成分)
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールは、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と非界面活性剤とを含有する変性共役ジエン系重合体組成物のベールである。
本実施形態のベールは、ゴム成分として、所定の変性共役ジエン系重合体の他、所定のゴム材料を含有してもよい。
(変性共役ジエン系重合体)
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールは、所定の変性共役ジエン系重合体(以下、本実施形態の変性共役ジエン系重合体と記載する場合がある。)を含有する。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、繰り返し単位に共役ジエン由来の構造を少なくとも1種類有する高分子量体であり、その重量平均分子量は20×104以上300×104以下であり、かつ分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体の成分を、その総量に対して0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が、0.64未満である。
変性共役ジエン系重合体の変性前の共役ジエン系重合体は、共役ジエン単量体を重合することによって得られる単独重合体であってもよく、共役ジエン単量体と他の単量体との共重合体であってもよい。
共役ジエン単量体としては、重合可能な単量体であれば特に限定されず、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、及び1,3−ヘキサジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記共役ジエン系重合体は、上記の共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体であってもよい。
芳香族ビニル単量体としては、共役ジエン単量体と共重合可能な単量体であれば特に限定されず、例えば、スチレン、m又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン、及びジビニルベンゼンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
変性共役ジエン系重合体中に、芳香族ビニル単量体単位を含む場合、結合した芳香族ビニル単量体の量(以下、単に「結合芳香族ビニル量」ともいう。)は、変性共役ジエン系重合体の総量(100質量%)に対して、5.0質量%以上70質量%以下であることが好ましく、10質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
結合芳香族ビニル量がこのような範囲であると、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールをタイヤに加工した場合に、タイヤの転がり抵抗性とウェットスキッド抵抗性とのバランスがより優れる傾向にあり、耐摩耗性及び破壊強度も満足する変性共役ジエン系重合体組成物の加硫物を得られる傾向にある。
結合芳香族ビニル量は、具体的には、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。
変性共役ジエン系重合体における共役ジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−又は3,4−結合)は、10モル%以上75モル%以下であることが好ましく、13モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。
変性共役ジエン系重合体のビニル結合量が前記範囲であると、タイヤに加工した場合に低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスがより優れ、耐摩耗性及び破壊強度も満足する変性共役ジエン系重合体組成物の加硫物を得ることができる傾向にある。
共役ジエン系重合体がブタジエンの単独重合体である場合は、そのブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)は赤外分光光度計を用いた測定結果を、モレロ法にてデータ処理することで算出することができる。
なお、変性共役ジエン系重合体が共重合体である場合は、その共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。ここで、変性共役ジエン系重合体がブタジエンとスチレンの共重合体である場合には、ハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949))により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)を求めることができる。
ランダム共重合体としては、以下に限定されないが、例えば、ブタジエン−イソプレンランダム共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、及びブタジエン−イソプレン−スチレンランダム共重合体が挙げられる。
共重合体鎖中の各単量体の組成分布は、統計的ランダムな組成に近い完全ランダム共重合体、及び組成分布に勾配があるテーパー(勾配)ランダム共重合体が挙げられる。共役ジエン系重合体の結合様式、すなわち1,4−結合、1,2−結合等の組成は、分子鎖によって均一であってもよいし、異なっていてもよい。
ブロック共重合体としては、以下に限定されないが、例えば、ブロックが2個からなる2型ブロック共重合体、3個からなる3型ブロック共重合体、及び4個からなる4型ブロック共重合体挙げられる。ここで、スチレン等の芳香族ビニル単量体からなるブロックをSで表し、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン単量体からなるブロック及び/又は芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体との共重合体からなるブロックをBで表すと、S−B2型ブロック共重合体、S−B−S3型ブロック共重合体、及びS−B−S−B4型ブロック共重合体等の式で表される。
前記式において、各ブロックの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。例えば、ブロックBが芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体との共重合体の場合、ブロックB中の芳香族ビニル単量体は均一に分布していても、又はテーパー状に分布していてもよい。また、ブロックBに、芳香族ビニル単量体が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。さらに、ブロックBに、芳香族ビニル単量体含有量が異なるセグメントが複数個共存していてもよい。共重合体中にブロックS、ブロックBがそれぞれ複数存在する場合、それらの分子量及び組成の構造は、同一でもよいし、異なっていてもよい。
(収縮因子(g’))
一般的に、分岐を有する重合体は、同一の絶対分子量である直鎖状の重合体と比較した場合に、分子の大きさが小さくなる傾向にある。
収縮因子(g’)は、想定上同一の絶対分子量である直鎖状重合体に対する、分子の占める大きさの比率の指標である。すなわち、重合体の分岐度が大きくなれば、収縮因子(g’)は小さくなる傾向にある。
本実施形態では、分子の大きさの指標として固有粘度を用い、直鎖状の重合体は、固有粘度[η]=−3.883M0.771の関係式従うものとして用いる。変性共役ジエン系重合体の各絶対分子量のときの収縮因子(g’)を算出し、絶対分子量が100×104〜200×104のときの収縮因子(g’)の平均値を、その変性共役ジエン系重合体の収縮因子(g’)とする。ここで、「分岐」とは、1つの重合体に対して、他の重合体とが直接的又は間接的に結合することにより形成されるものである。また、「分岐度」は、1の分岐に対して、直接的又は間接的に互いに結合している重合体の数である。例えば、後述するカップリング剤残基を介して間接的に、後述の5つの共役ジエン系重合体鎖が互いに結合している場合には、分岐度は5である。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の収縮因子(g’)は、0.64未満であり、好ましくは0.63以下であり、より好ましくは0.60以下であり、さらに好ましくは0.59以下であり、よりさらに好ましくは0.57以下である。
また、収縮因子(g’)の下限は特に限定されず、検出限界値以下であってもよいが、好ましくは0.30以上であり、より好ましくは0.33以上であり、さらに好ましくは0.35以上であり、よりさらに好ましくは0.45以上である。
収縮因子(g’)がこの範囲である変性共役ジエン系重合体は、加硫物とする際の加工性に優れる傾向にある。
収縮因子(g’)は分岐度に依存する傾向にあるため、例えば、分岐度を指標として収縮因子(g’)を制御することができる。具体的には、分岐度が6である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.59以上0.63以下となる傾向にあり、分岐度が8である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.45以上0.59以下となる傾向にある。収縮因子(g’)は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のベールに含まれる変性共役ジエン系重合体は、共役ジエン系重合体鎖と、カップリング残基を含有する。
<共役ジエン系重合体鎖>
共役ジエン系重合体鎖は、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、後述する共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、共役ジエン系重合体由来の構造単位である。共役ジエン系重合体鎖は、後述する1のカップリング残基に対して結合していることが好ましい。
<カップリング残基>
カップリング残基は、共役ジエン系重合体鎖に結合される、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、後述する共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、カップリング剤由来の構造単位である。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、分岐を有し、分岐度が5以上であることが好ましい。また、変性共役ジエン系重合体は、1以上のカップリング残基と、当該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して5以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことがより好ましい。分岐度が5以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して5以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、より確実に収縮因子(g’)を0.64未満にすることができる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、分岐を有し、分岐度が6以上であることがより好ましい。
また、変性共役ジエン系重合体は、1以上のカップリング残基と、当該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して6以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、さらに好ましい。分岐度が6以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して6以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.63以下にすることができる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、分岐を有し、分岐度が7以上であることがさらに好ましく、分岐度が8以上であることがよりさらに好ましい。分岐度の上限は特に限定されないが、18以下であることが好ましい。
また、変性共役ジエン系重合体は、1以上のカップリング残基と、当該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して7以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことがよりさらに好ましく、1の当該カップリング残基に対して8以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことがさらにより好ましい。1のカップリング残基に対して結合している共役ジエン系重合体鎖の数は、収縮因子(g’)の値から確認することができ、分岐度が8以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して8以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.59以下にすることができる。
さらに、本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、窒素原子と、珪素原子とを有することが好ましい。これにより、本実施形態の効果である、加硫物とする際の加工性により優れ、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス及び耐摩耗性により優れる傾向にある。
変性共役ジエン系重合体が窒素原子を有することは、後述する実施例に記載の方法で、特定のカラムへの吸着の有無によって確認することができる。また、変性共役ジエン系重合体が珪素原子を有することは、後述する実施例に記載の方法で金属分析によって確認することができる。
また、変性共役ジエン系重合体は珪素原子を有することが好ましく、この変性共役ジエン系重合体が有する少なくとも1の珪素原子が、炭素数1〜20のアルコキシシリル基又はシラノール基を構成することがより好ましい。これにより、本実施形態の効果がより顕著となる傾向にある。また、空気と反応してハロゲン化水素を発生し得るという観点から、変性共役ジエン系重合体は、ハロゲンを有していないことが好ましい。
5以上の共役ジエン系重合体鎖は、少なくともその1つの末端が、それぞれカップリング残基が有する珪素原子と結合していることが好ましい。これによって、本実施形態の効果がより顕著となる傾向にある。この場合、複数の共役ジエン系重合体鎖の末端が、1の珪素原子と結合していてもよい。また、共役ジエン系重合体鎖の末端と炭素数1〜20のアルコキシ基又は水酸基とが、一つの珪素原子に結合し、その結果として、その1つの珪素原子が炭素数1〜20のアルコキシシリル基又はシラノール基を構成していてもよい。空気と反応してハロゲン化水素を発生し得るという観点から、カップリング残基は、ハロゲンを有していないことが好ましい。
本実施形態の変性共役ジエン系共重合体は、伸展油を加えた油展重合体とすることができる。
本実施形態の変性共役ジエン系共重合体は、非油展であっても、油展であってもよく、ゴム加硫物とする際の加工性と加硫物としたときにおける耐摩耗性との観点から、100℃で測定されるムーニー粘度が、20以上100以下であることが好ましく、30以上80以下であることがより好ましい。ムーニー粘度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、20×104以上300×104以下であり、好ましくは50×104以上であり、より好ましくは64×104以上であり、さらに好ましくは80×104以上である。また、上記重量平均分子量は、好ましくは250×104以下であり、好ましくは180×104以下であり、より好ましくは150×104以下である。
重量平均分子量が20×104以上であることで、本実施形態の効果である、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス及び耐摩耗性に優れる。また、重量平均分子量が300×104以下であることで、加硫物とする際の加工性及び充填剤の分散性に優れ、実用上十分な破壊特性が得られる。変性共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、当該変性共役ジエン系の総量(100質量%)に対して、分子量が200×104以上500×104以下である該変性共役ジエン系重合体の成分(以下、「特定の高分子量成分」ともいう。)を、0.25質量%以上30質量%以下含む。これによって、本実施形態の効果である、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス及び耐摩耗性に優れる。
変性共役ジエン系重合体は、特定の高分子量成分を、好ましくは1.0質量%以上含み、より好ましくは1.4質量%以上含み、さらに好ましくは1.75質量%以上含み、さらにより好ましくは2.0質量%以上含み、よりさらに好ましくは2.15質量%以上含み、極めて好ましくは2.5質量%以上含む。
また、変性共役ジエン系重合体は、特定の高分子量成分を、好ましくは28質量%以下含み、より好ましくは25質量%以下含み、さらに好ましくは20質量%以下含み、18質量%以下含む。
また、本明細書において「分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって得られる、標準ポリスチレン換算分子量である。
特定の高分子量成分の含有量がこのような範囲にある変性共役ジエン系重合体を得るためには、後述する重合工程と変性反応工程とにおける反応条件を制御することが好ましい。例えば、重合工程においては、後述する有機モノリチウム化合物の重合開始剤としての使用量を調整すればよく、次のようにしてもよい。後述する重合工程において、連続式、及び回分式のいずれの重合様式においても、滞留時間分布を有する方法、すなわち、成長反応の時間分布を広げるとよい。連続式における具体的な方法としては、好ましくは攪拌機付槽型反応器を、攪拌機で激しく混合する形式のバックミックス反応器とし、より好ましくは完全混合型反応器として用いる、管型反応器では一部をリサーキュレーションする方法、重合開始剤のフィード場所を、単量体入口又はその付近の他に重合器途中に重合開始剤の入り口を設ける方法、及び、槽型と管型組み合わせる方法が挙げられる。これらの方法は、滞留時間分布を大きくして、滞留時間の長い重合体成分を高分子量成分となす方法である。また、回分式における具体的な方法としては、例えば、好ましくは重合開始剤のフィード方法を、重合開始時から重合途中の間で連続的若しくは断続的に、重合開始時、及び/又は重合途中で連続的若しくは断続的にフィードする方法が挙げられる。この方法は、最初に重合開始剤をフィードした重合開始時点から重合した重合体が高分子量成分となり、後で開始した重合体との間で分子量の差が生じるものとする方法である。より具体的には、単量体に対し、目標分子量に相当する重合開始剤の量を、例えば転化率0%〜95%までの間、連続的にフィードすれば、拡大した分子量分布を有する重合体とすることができる傾向にある。
上述した方法を用いることで、変性反応工程前の共役ジエン系重合体のリビング末端の活性比率が高くなる傾向にあり、カップリング後のカップリング率、すなわち、変性率が高い変性共役ジエン系重合体が得られる傾向にある。これらの方法の中で、さらに好ましくは、攪拌機付槽型反応器を用い、攪拌機で激しく混合する形式のバックミックス反応器とする方法である。また、重合工程後からカップリング剤が添加されるまでの温度変化は、好ましくは10℃以下であり、より好ましくは5℃以下である。
上述の重合工程における反応条件の制御に加えて、変性反応工程における反応条件の制御としては、例えば、反応時間を、好ましくは10秒以上、より好ましくは30秒以上として反応させることが好ましい。また、重合工程の終了後から変性反応工程の開始時間までの時間は、より短い時間である方が好ましいが、さらに好ましくは5分以内である。そうすることにより、高いカップリング率、及び高い変性率が得られやすく、かつ高分子量成分が得られやすい傾向にある。
また、カップリング剤の官能基数が多ければ多いほど、変性反応工程でカップリング剤の添加量を所望範囲に制御できなかった場合において、得られる変性共役ジエン重合体における分岐度が所望の値からずれやすくなる。よって、所定量の高分子量成分を生成するためには、カップリング剤の添加量を適正に制御することが好ましい。カップリング剤の添加量を適正に制御するためには、例えば、カップリング剤を希釈してから添加する方法が好ましい。その際の希釈濃度は、0.1mmol/L〜1.1mol/Lであることが好ましく、1mmol/L〜0.75mol/Lであることがより好ましい。添加量のずれが同じである場合、希釈していた方が共役ジエン系重合体のモル数とカップリング剤のモル数とのずれが小さくなる傾向にある。さらに、希釈する溶媒の水分量は、好ましくは100質量ppm以下、より好ましくは50質量ppm以下、さらに好ましくは30質量ppm以下、さらにより好ましくは10質量ppm以下である。希釈する溶媒の水分量が100質量ppm以下であることで、カップリング剤と水とが反応し、当該カップリング剤中の官能基が減少することに起因して、共役ジエン系重合体のモル数とカップリング剤のモル数とのずれを抑制することができ、高分子量成分が得られやすい傾向にある。
分子量が200×104以上500×104以下の変性共役ジエン系重合体の成分量を制御する方法としては、変性反応工程前の共役ジエン系重合体の分子量及び分子量分布を制御する方法、カップリング率を制御する方法等も挙げられる。
具体的には、上述の成分量を増やす場合、重合工程において重合開始剤の量を減量し分子量を上げる方法、回分式においては重合開始剤のフィード速度を下げ分子量分布を広げる方法、変性工程における反応時間を長くする等してカップリング率を上げて分子量を上げる方法、等により制御できる。上記分子量の成分量を減らしたい場合は、上述と逆の操作を適用することができる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体においては、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、1.6以上3.0以下が好ましい。この範囲の分子量分布である変性共役ジエン系重合体は、加硫物とする際の加工性により優れる傾向にあり、加硫物としたときにおける摩耗性により優れる傾向にある。
変性共役ジエン系重合体の、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、特定の高分子量成分の含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、好ましくは、下記一般式(I)で表される。
式(I)中、D1は、ジエン系重合体鎖を示し、該ジエン系重合体鎖の重量平均分子量は、10×104〜100×104であることが好ましい。
1〜R3は、各々独立に、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R4及びR7は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R5、R8、及びR9は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R6及びR10は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。m及びxは、1〜3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは1〜3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のD1、R1〜R11、m、p、x、y、及びzは、各々独立しており、同じで合っても異なっていてもよい。iは、0〜6の整数を示し、jは0〜6の整数を示し、kは0〜6の整数を示し、(i+j+k)は3〜10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5〜30の整数である。
Aは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、珪素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す。Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を含む。上記活性水素を有しない有機基は、共役ジエン系重合体が有する活性末端を、不活性化させる有機基である。そのような有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH2)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基である。
前記式(I)で表される変性共役ジエン系重合体は、本実施形態の効果である、加硫物とする際の加工性により優れる傾向にあり、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス及び耐摩耗性により優れる傾向にある。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体において、前記式(I)において、Aは、好ましくは、下記一般式(II)〜(V)のいずれかで表される。
式(II)中、B1は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB1は、各々独立している。
式(III)中、B2は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、B3は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のB2及びB3は、各々独立している。
式(IV)中、B4は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB4は、各々独立している。
式(V)中、B5は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB5は、各々独立している。
前記式(I)中、Aが式(II)〜(V)のいずれかで表されることにより、本実施形態の効果である、加硫物とする際の加工性により優れる傾向にあり、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス及び耐摩耗性により優れる傾向にある。また、実用上入手が容易となる傾向にある。
〔変性共役ジエン系重合体の製造方法〕
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の製造方法は、有機モノリチウム化合物を重合開始剤として用い、少なくとも共役ジエン化合物を重合し、共役ジエン系重合体を得る重合工程と、当該共役ジエン系重合体の活性末端に対して、5官能以上の反応性化合物(以下、「カップリング剤」ともいう。)を反応させる変性反応工程と、を有する。
カップリング剤としては、窒素原子と珪素原子とを有する5官能以上の反応性化合物を反応させることが好ましい。
具体的には、下記一般式(VI)に示す化合物と、を反応させる変性反応工程と、を有することが好ましい。
式(VI)中、R12〜R14は、各々独立に、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15〜R18、及びR20は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R19及びR22は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R21は、炭素数1〜20のアルキル基又はトリアルキルシリル基を示す。mは、1〜3の整数を示し、pは、1又は2を示す。それぞれ複数存在する場合のR12〜R22、m、及びpは、各々独立しており、同じであっても異なっていてもよい。iは、0〜6の整数を示し、jは、0〜6の整数を示し、kは、0〜6の整数を示し、(i+j+k)は、3〜10の整数である。Aは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、珪素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、活性水素を有しない有機基を示す。Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を含む。活性水素を有しない有機基は、共役ジエン系重合体が有する活性末端を不活性化させる有機基である。そのような有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH2)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基である。
(重合工程)
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の製造方法において、重合工程は、有機モノリチウム化合物を重合開始剤とし、少なくとも共役ジエン化合物を重合し、共役ジエン系重合体を得る。
重合工程は、リビングアニオン重合反応による成長反応による重合が好ましく、これにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得ることができ、高変性率の変性ジエン系重合体を得ることができる傾向にある。
<共役ジエン系重合体>
共役ジエン系重合体は、少なくとも共役ジエン化合物を重合して得られ、必要に応じて共役ジエン化合物とビニル置換芳香族化合物との両方を共重合して得られる。共役ジエン化合物としては、重合可能な単量体であれば特に限定されないが、1分子当り4〜12の炭素原子を含む共役ジエン化合物が好ましく、より好ましくは4〜8の炭素原子を含む共役ジエン化合物である。このような共役ジエン化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、及び1,3−ヘプタジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ビニル置換芳香族化合物としては、共役ジエン化合物と共重合可能な単量体であれば特に限定されないが、モノビニル芳香族化合物が好ましい。モノビニル芳香族化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、スチレン、m又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<重合反応用溶剤>
溶液重合法を用いた共役ジエン系重合体の、重合工程における重合反応は、溶剤(以下、「重合反応用溶剤」ともいう。)中で重合する溶液重合の反応が好ましい。
重合反応用溶剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。
具体的な重合反応用溶剤としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;これらの混合物からなる炭化水素等が挙げられる。
後述する本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法における工程(A)において、変性共役ジエン系重合体が溶解した溶液に、非イオン界面活性剤を溶解させて、変性共役ジエン系重合体と非イオン界面活性剤とを含む混合溶液を得る場合においては、変性共役ジエン系重合体と非イオン界面活性剤が共に溶解しやすい溶媒を使用することにより、均一溶液となり製造工程における取扱いが容易になるため好ましい。
<重合開始剤>
溶液重合法を用いた共役ジエン系重合体の、重合工程における重合開始剤として用いるアルカリ金属化合物は、特に限定されないが、有機リチウム化合物が好ましい。
有機リチウム化合物としては、低分子化合物、可溶化したオリゴマーの有機リチウム化合物、有機基とリチウムの結合様式において炭素−リチウム結合を有する化合物、錫−リチウム結合、を有する化合物等が挙げられる。
有機リチウム化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等が挙げられる。
上記のモノ有機リチウム化合物に加え、多官能有機リチウム化合物を併用して、重合を行うこともできる。
前記多官能有機リチウム化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,4−ジリチオブタン、sec−ブチルリチウムとジイソプロペニルベンゼンの反応物、1,3,5−トリリチオベンゼン、n−ブチルリチウムと1,3−ブタジエン及びジビニルベンゼンの反応物、n−ブチルリチウムとポリアセチレン化合物の反応物等が挙げられる。さらに、米国特許第5,708,092号明細書、英国特許第2,241,239号明細書、米国特許第5,527,753号明細書等に開示されている公知の有機アルカリ金属化合物も使用することができる。
有機リチウム化合物としては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが好ましい。
これらの有機リチウム化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
他の有機アルカリ金属化合物としては、例えば、有機ナトリウム化合物、有機カリウム化合物、有機ルビジウム化合物、有機セシウム化合物等が挙げられる。具体的には、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。その他にも、リチウム、ナトリウム及びカリウム等のアルコキサイド、スルフォネート、カーボネート等が挙げられる。また、他の有機金属化合物と併用してもよい。
重合工程における重合開始剤として用いるアルカリ土類金属化合物としては、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、有機ストロンチウム化合物等が挙げられる。また、アルカリ土類金属のアルコキサイド、スルフォネート、カーボネート等の化合物を用いてもよい。これらの有機アルカリ土類金属化合物は、アルカリ金属化合物や、その他有機金属化合物と併用してもよい。
重合工程においては、極性化合物を添加してもよい。これにより芳香族ビニル化合物を共役ジエン化合物とランダムに共重合させることができ、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる傾向にある。また、重合反応の促進等にも効果がある傾向にある。
極性化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−tert−アミラート、カリウム−tert−ブチラート、ナトリウム−tert−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等を用いることができる。これらの極性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
極性化合物の使用量は、特に限定されず、目的等に応じて選択することができるが、重合開始剤1モルに対して、0.01モル以上100モル以下であることが好ましい。このような極性化合物(ビニル化剤)は重合体共役ジエン部分のミクロ構造の調節剤として、所望のビニル結合量に応じて、適量用いることができる。多くの極性化合物は、同時に共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合において有効なランダム化効果を有し、芳香族ビニル化合物の分布の調整やスチレンブロック量の調整剤として用いることができる傾向にある。共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをランダム化する方法としては、例えば、特開昭59−140211号公報に記載されているような、スチレンの全量と1,3−ブタジエンの一部とで共重合反応を開始させ、共重合反応の途中に残りの1,3−ブタジエンを断続的に添加する方法を用いてもよい。
重合工程において、重合温度は、リビングアニオン重合が進行する温度であることが好ましく、生産性の観点から、0℃以上であることがより好ましく、120℃以下であることがさらに好ましい。このような範囲にあることで、重合終了後の活性末端に対するカップリング剤の反応量を充分に確保することができる傾向にある。よりさらに好ましくは50℃以上100℃以下である。
重合工程において得られる、変性反応工程前の共役ジエン系重合体は、好ましくは110℃で測定されるムーニー粘度が10以上90以下であり、より好ましくは15以上85以下であり、よりさらに好ましくは20以上60以下である。この範囲であると、本実施形態の変性共役ジエン系重合体は加工性及び耐摩耗性に優れる傾向にある。
(変性反応工程)
本実施形態の反応工程においては、重合工程で得られた共役ジエン系重合体の活性末端に対して、5官能以上の反応性化合物(以下、「カップリング剤」ともいう。)を反応させ、カップリング残基と5分子以上の共役ジエン系重合体とが結合した変性共役ジエン系重合体を得る。
窒素原子と珪素原子とを有する5官能以上の反応性化合物を反応させるのが好ましい。
<カップリング剤>
変性反応工程で用いられるカップリング剤は、5官能以上の反応性化合物であればいかなる構造のものでもよく、製造する重合体において想定する分岐数に応じて、適切な構造のものを選択すればよい。
官能基を5以上有し、5分岐以上の重合体が期待できるカップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、1,3,5−トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、N−(メトキシカルボニルエチル)−N,N−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(エトキシカルボニルエチル)−N,N−ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−(メトキシカルボニルプロピル)−N,N−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(エトキシカルボニルプロピル)−N,N−ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン等が挙げられる。
カップリング剤は、好ましくは、窒素原子と珪素原子とを有する5官能以上の反応性化合物が好ましく、少なくとも3個の珪素含有官能基を有していることが好ましい。さらに好ましいカップリング剤は、少なくとも1の珪素原子が、炭素数1〜20のアルコキシシリル基又はシラノール基を構成するものであり、より好ましくはカップリング剤として上述した式(VI)で表される化合物である。
カップリング剤が有するアルコキシシリル基は、例えば、共役ジエン系重合体が有する活性末端と反応して、アルコキシリチウムが解離し、共役ジエン系重合体鎖の末端とカップリング残基の珪素との結合を形成する傾向にある。カップリング剤1分子が有するSiORの総数から、反応により減じたSiOR数を差し引いた値が、カップリング残基が有するアルコキシシリル基の数となる。また、カップリング剤が有するアザシラサイクル基は、>N−Li結合及び共役ジエン系重合体末端とカップリング残基の珪素との結合を形成する。なお、>N−Li結合は、仕上げ時の水等により容易に>NH及びLiOHとなる傾向にある。また、カップリング剤において、未反応で残存したアルコキシシリル基は仕上げ時の水等により容易にシラノール(Si−OH基)となり得る傾向にある。
変性反応工程において、1個の珪素原子に対し3個のアルコキシ基を有する、すなわちトリアルコキシシラン基1モルに対し、3モルの共役ジエン系重合体の活性末端を反応させる場合、2モルまでの共役ジエン系重合体との反応は起こるが、1モルのアルコキシ基は未反応で残存する傾向にある。これは、1モルの共役ジエン系重合体が、反応せずに未反応の重合体として残存することから確かめられる。本明細書中の官能基の数は、この傾向を考慮に入れてカウントするものとする。すなわち、「5官能以上」という場合、反応しないで残るアルコキシ基を含まず、反応する官能基の数が5以上であることを意味する。
なお、アルコキシシ基は多く反応させることにより、仕上げ時、貯蔵時に縮合反応を起こすことに起因して、重合体粘度が大きく変わることを抑制できる傾向にある。特に、トリアルコキシシラン基1モルに対して、2モルの共役ジエン共重合体が反応したものが変性共役ジエン共重合体中に3以上、すなわち分岐度が6以上であり、かつ、その他に反応可能なアルコキシ基が変性共役ジエン共重合体中に存在しないとき、縮合反応を抑制できる傾向にある。
カップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリプロポキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)―[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−メチル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、ペンタキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ジエチレントリアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]シラン、3−トリス[2−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)エトキシ]シリル−1−トリメトキシシリルプロパン、1−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−3,4,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−シクロヘキサン、1−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−3,4,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−シクロヘキサン、3,4,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−シクロヘキシル−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]エーテル、(3−トリメトキシシリルプロピル)ホスフェイト、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)―[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]ホスフェイト、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)ホスフェイト、及びトリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]ホスフェイトが挙げられる。
変性反応工程における反応温度は、好ましくは共役ジエン系重合体の重合温度と同様の温度であり、より好ましくは0℃以上120℃以下であり、さらに好ましくは50℃以上100℃以下である。また、重合工程後からカップリング剤が添加されるまでの温度変化は、好ましくは10℃以下であり、より好ましくは5℃以下である。
変性反応工程における反応時間は、好ましくは10秒以上であり、より好ましくは30秒以上である。重合工程の終了時から変性反応工程の開始時までの時間は、より短い方が好ましいが、より好ましくは5分以内である。そうすることにより、高いカップリング率、及び高い変性率が得られる傾向にある。
変性反応工程における混合は、機械的な攪拌、スタティックミキサーによる攪拌等のいずれでもよい。重合工程が連続式である場合は、変性反応工程も連続式であることが好ましい。変性反応工程における反応器は、例えば、撹拌機付きの槽型、管型のものが用いられる。カップリング剤は、不活性溶媒により希釈して反応器に連続的に供給してもよい。重合工程が回分式の場合は、重合反応器にカップリング剤を投入する方法でも、別の反応器に移送して変性反応工程を行ってもよい。
式(VI)において、Aは、好ましくは下記一般式(II)〜(V)のいずれかで表さ
れる。
式(II)中、B1は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB1は、各々独立している。
式(III)中、B2は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、B3は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のB2及びB3は、各々独立している。
式(IV)中、B4は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB4は、各々独立している。
式(V)中、B5は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10
の整数を示す。複数存在する場合のB5は、各々独立している。
Aが式(II)〜(V)のいずれかで表されることにより、本実施形態のより優れた性
能を有する変性共役ジエン系重合体を得ることができる傾向にある。
式(VI)においてAが式(II)で表される場合のカップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)―[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−エトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)―[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、及びペンタキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ジエチレントリアミンが挙げられる。
式(VI)においてAが式(III)で表される場合のカップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス(2−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス(2−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、N1,N1’−(プロパン−1,3−ジイル)ビス(N1−メチル−N3,N3−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,3−プロパンジアミン)、及びN1−(3−(ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N1−メチル−N3−(3−(メチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N3−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
式(VI)においてAが式(IV)で表される場合のカップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、(3−トリメトキシシリル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)シラン、及びビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(1−メトキシ−2−メチル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]シランが挙げられる。
式(VI)においてAが式(V)で表される場合のカップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、3−トリス[2−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)エトキシ]シリル−1−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロパン、及び3−トリス[2−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)エトキシ]シリル−1−トリメトキシシリルプロパンが挙げられる。
式(VI)において、Aは、好ましくは式(II)又は式(III)で表され、kは、0を示す。このようなカップリング剤は、入手が容易である傾向にあり、また、変性共役ジエン系重合体を加硫物としたときにおける耐摩耗性及び低ヒステリシスロス性能がより優れるものとなる傾向にある。このようなカップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、及びビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリスメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
式(VI)において、Aは、より好ましくは式(II)又は式(III)で表され、kは、0を示し、式(II)又は式(III)において、aは、2〜10の整数を示す。これにより、加硫したときにおける耐摩耗性及び低ヒステリシスロス性能がより優れるものとなる傾向にある。このようなカップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、及びN1−(3−(ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N1−メチル−N3−(3−(メチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N3−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
カップリング剤としての式(VI)で表される化合物の添加量は、共役ジエン系重合体のモル数対カップリング剤のモル数が、所望の化学量論的比率で反応させるよう調整することができ、そのことにより所望の分岐度が達成される傾向にある。具体的な重合開始剤のモル数は、カップリング剤のモル数に対して、好ましくは5.0倍モル以上、より好ましくは6.0倍モル以上であることが好ましい。この場合、式(VI)において、カップリング剤の官能基数((m−1)×i+p×j+k)は、5〜10の整数であることが好ましく、6〜10の整数であることがより好ましい。
式(VI)で表される化合物の官能基数が多ければ多いほど、変性反応工程でカップリ
ング剤の添加量を所望範囲に制御できなかった場合において、得られる変性共役ジエン系重合体における分岐度が所望の値からずれやすくなる。よって、カップリング剤の添加量を適正に制御することが好ましい。カップリング剤の添加量を適正に制御するためには、例えば、カップリング剤を希釈してから添加する方法が好ましい。添加量のずれが同じである場合、希釈していた方が共役ジエン系重合体のモル数とカップリング剤のモル数とのずれが小さくなる傾向にある。さらに、希釈する溶媒の水分量は、好ましくは100質量ppm以下、より好ましくは50質量ppm以下、さらに好ましくは30質量ppm以下、よりさらに好ましくは10質量ppm以下である。希釈する溶媒の水分量が100質量ppm以下であることで、カップリング剤と水とが反応し、該カップリング剤中の官能基が減少することに起因して、共役ジエン系重合体のモル数とカップリング剤のモル数とのずれを抑制することができる傾向にある。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体おいては、当該変性共役ジエン系重合体中のカップリング重合体の割合は、変性率で表される。
変性率は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。変性率が30質量%以上であることで、加硫物とする際の加工性に優れ、加硫物としたときにおける耐摩耗性及び低ヒステリシスロス性能により優れる傾向にある。なお、本実施形態においてカップリング重合体の割合は、カップリング残基に窒素、珪素からなる官能基を有している場合、変性率と同義になる。変性率は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体において、特定の高分子成分を有する変性共役ジエン系重合体を得るためには、共役ジエン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)を好ましくは1.5以上2.5以下、より好ましくは1.8以上2.2以下とするとよい。
また、得られる変性共役ジエン系重合体はGPCによる分子量曲線は一山のピークが検出されるものであることが好ましい。この場合、本実施形態の目的とする加工性及び耐摩耗性がより優れる傾向にある。
<重合形態>
溶液重合法を用いた共役ジエン系重合体の重合様式としては、特に限定されないが、回分式(「バッチ式」ともいう。)、連続式等の重合様式で行うことができる。連続式においては、1個又は2個以上の連結された反応器を用いることができる。反応器は、撹拌機付きの槽型、管型等のものが用いられる。一般的に、バッチ式では槽内の滞留時間分布が狭いため分子量分布の狭いポリマーが生成し、一方連続式では槽内の滞留時間分布が広いため分子量分布の広いポリマーが生成する傾向にある。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールは、上述した本実施形態の変性共役ジエン系重合体と、後述する非イオン界面活性剤とを含有するが、これらの組み合わせの、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物において、シリカ系無機充填剤の分散性を向上させると、その未加硫状態の変性共役ジエン系重合体組成物において、保存安定性を向上でき、かつ加硫物としてもシリカ系無機充填剤の分散性が良好で優れた省燃費性能を有するゴム組成物を得ることができる。
主に炭化水素から成り、疎水性を示す共役ジエン系重合体は、親水性を示すシリカ系無機充填剤と相溶しにくい傾向にあるため、両者を溶融混練し、シリカ系無機充填剤を均一に微分散させることは一般的に困難である。シリカ系無機充填剤の分散性を向上させるためには、(1)シリカ系無機充填剤を細かく解砕すること、(2)解砕したシリカ系無機充填剤の再凝集を抑制すること、が重要となる。
前記(1)のシリカ系無機充填剤を細かく解砕する観点からは、例えば溶融混練で十分な機械的せん断を加える方法等が考えられる。しかし、一般に、重合体の分子量を大きくすることで組成物の引張特性が向上する傾向にあるため、機械的せん断を加えすぎると変性共役ジエン系重合体の分子鎖切断が起こりうるために、引張強度の低下を招来するおそれがある。
シリカ系無機充填剤を細かく解砕する方法において、剪断力を大きくする以外の方法としては、分子量の低い変性共役ジエン系重合体を使用する、伸展油を加える等により溶融粘度を下げる等の方法も考えられるが、やはり加硫物の引張特性低下に繋がり好ましくない。
一方、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物においては、変性共役ジエン系重合体が分岐構造を有しているため、高分子量にしても比較的溶融粘度を低くできる。そのため、溶融混練時の剪断力が小さくても充填剤が解砕されやすく、その結果、分子鎖切断を抑制し、引張特性を維持しつつ、シリカ系無機充填剤を解砕することが可能となる傾向にある。
前記(2)の解砕したシリカ系無機充填剤の再凝集を抑制する観点からは、親水性であるシリカ系無機充填剤は、疎水性である共役ジエン系重合体のマトリクス中において、その表面水酸基同士の相互作用により再凝集する傾向にあるため、解砕を十分に進めても再凝集抑制ができなければ、結果として分散は不十分となる。
この現象は未加硫物の保管中にも発生するため、再凝集の発生は、すなわち保存安定性の悪化を意味する。
シリカ系無機充填剤の再凝集を抑制するために、例えば、共役ジエン系重合体を変性させることによりシリカ系無機充填剤表面の水酸基と相互作用させ、安定化する方法等が考えられるが、その相互作用基の数は一般的に表面水酸基数に対し不足しており、再凝集を抑制には不十分である。
一方、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物においては、非イオン界面活性剤の極性基が、変性共役ジエン系重合体の変性基で覆いきれないシリカ系無機充填剤表面水酸基に作用し、疎水化することで再凝集を抑制することができ、保存安定性を向上することが可能となる。
更に、シリカ系無機充填剤の再凝集は熱を加える加硫工程においてより顕著に発生するため、再凝集を抑制することは加硫物中でのシリカ系無機充填剤の分散性を向上することにもつながる。
すなわち、本実施形態によれば、変性共役ジエン系重合体と非イオン界面活性剤との組み合わせにより、シリカ系無機充填剤の解砕とその再凝集抑制が可能となり、未加硫物の保存安定性向上と加硫物のシリカ分散性向上を達成できる。
未加硫試料におけるシリカ系無機充填剤の解砕度再凝集性は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
本実施形態においては、非イオン界面活性剤と変性共役ジエン系重合体は、両者を含むベール状態となっているのが特に有意義であると考えられる。
変性共役ジエン系重合体、シリカ系無機充填剤、非イオン界面活性剤の三者を同時に混練する場合、非イオン界面活性剤がシリカ系無機充填剤に作用及び/又は反応するのと、非イオン界面活性剤自身が分散するのと、の競争になるためである。
具体的には、従来、ベール状の変性共役ジエン系重合体とシリカ系無機充填剤を混練する際に、非イオン界面活性剤も添加するということが行われるが、この場合、低分子である非イオン界面活性剤の移動速度が速いため、非イオン界面活性剤の分散が進む前にシリカ系無機充填剤の表面に作用及び/又は反応し、シリカ系無機充填剤の分散性が不均一になる。
一方、非イオン界面活性剤を予め、シリカ系無機充填剤に被覆させた状態で混和機内に投入し、混練する方法も考えられるが、シリカ系無機充填剤の表面官能基がすべて非イオン界面活性剤で被覆された状態にあるため、変性共役ジエン系重合体やシランカップリング剤と作用及び/又は反応する点が失われてしまい、補強性に劣り引張特性や耐摩耗性が低下してしまう傾向にある。
これに対し、本実施形態においては、ベールが非イオン界面活性剤を含有し、非イオン界面活性剤と変性共役ジエン系重合体とが、好ましくは溶液中で十分に混合された状態になっているために、これにシリカ系無機充填剤を混練すると、シリカ系無機充填剤の分散作用と非イオン界面活性剤によるシリカ系無機充填剤の再凝集抑制作用が適切に発揮され、かつ変性共役ジエン系重合体がシリカ系無機充填剤に作用及び/又は反応することが可能になると想定される。
後述する本実施形態の共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法においては、変性共役ジエン系重合体と非イオン界面活性剤を均一溶液とすることによって(工程(A))、あるいは、変性共役ジエン系重合体と非イオン界面活性剤を押出機等の中で混合することによって(工程(C))、変性共役ジエン系重合体と非イオン界面活性剤とが均一に混合されたベールを製造できる。
これにより、シリカ系無機充填剤を含む組成物とした場合に、変性共役ジエン系重合体の官能基と非イオン界面活性剤中の親水性基の双方がより効率よく、均一に高い吸着性又は反応性を発揮できると想定される。このため、得られるシリカ系無機充填剤の組成物の効果を最大化できる傾向にある。
(変性共役ジエン系重合体以外のゴム成分)
本実施形態のベールは、上述した変性共役ジエン系重合体以外のゴム成分を含有してもよい。
当該変性共役ジエン系重合体以外のゴム成分としては、特に限定されず、例えば、共役ジエン系重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合体又はその水素添加物、その他の共役ジエン系共重合体又はその水素添加物、非ジエン系重合体、天然ゴム等が挙げられる。
共役ジエン系重合体又はその水素添加物の具体例としては、ブタジエンゴム又はその水素添加物、イソプレンゴム又はその水素添加物等が挙げられる。
共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体又はその水素添加物の具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム又はその水素添加物が挙げられる。
共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合体又はその水素添加物の具体例としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体又はその水素添加物、スチレン−イソプレンブロック共重合体又はその水素添加物等のスチレン系エラストマーが挙げられる。
その他の共役ジエン系共重合体又はその水素添加物の具体例としては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素添加物等が挙げられる。
また、非ジエン系重合体としては、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−ヘキセンゴム、エチレン−オクテンゴム等のオレフィン系エラストマー、ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、α、β−不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−共役ジエン共重合ゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム等が挙げられる。
(非イオン界面活性剤)
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールは、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対し、非イオン界面活性剤を0.1〜10質量部、含有しており、0.2〜9質量部がより好ましく、0.3〜8質量部がさらに好ましい。
非イオン界面活性剤とは、水に溶けた時、イオンに乖離しない親水基を持つ界面活性剤をいう。
非イオン界面活性剤の添加効果を十分に発現する観点から0.1質量部以上とすることが好ましく、一方で添加量が多すぎるとベール中でのブリードが生じてしまうため、10質量部以下とすることが好ましい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールをシリカ系無機充填剤と配合した際に、非イオン界面活性剤はシリカ系無機充填剤表面を改質し、配合物中でのシリカ系無機充填剤の再凝集を抑制することができるため、シリカ系無機充填剤の分散性が向上する。
非イオン界面活性剤としては、その分子内にシリカ系無機充填剤表面に吸着ないし反応する官能基(親水性基)と、シリカ系無機充填剤表面まわりに立体障害層を形成し、シリカ系無機充填剤同士の再凝集を防ぐ疎水性基とを有する化合物を使用することができる。
非イオン界面活性剤は、その構造にもよるが、一般的に溶媒への溶解がしやすく、後述する本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法において取扱いが容易である上、シリカ系無機充填剤を含む組成物とした場合、効果的にシリカ系無機充填剤表面に吸着し、シリカ系無機充填剤の凝集抑制効果を発現しやすい傾向にあるため好ましい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールに適した非イオン界面活性剤を選択するためには、変性共役ジエン系重合体との疎水性/親水性のバランス近さの観点を利用することが好ましい。
例えば、疎水性の高い変性共役ジエン系重合体に対し、HLB値の小さい、すなわち疎水性の高い非イオン界面活性剤を適用すると、相溶性が上がる一方で、非イオン界面活性剤と変性共役ジエン系重合体の相溶性が高すぎると、シリカ系無機充填剤と配合物中において、非イオン界面活性剤が充填剤表面から剥がれてしまい、効果的に再凝集抑制効果を発揮しにくくなる傾向にある。
他方、疎水性の高い変性共役ジエン系重合体に対し、HLB値の大きい、すなわち親水性の高い非イオン界面活性剤を適用すると、シリカ系無機充填剤と配合物中において、界面活性剤が効果的に充填剤表面に吸着ないし反応しやすくなるものの、変性共役ジエン系重合体との相溶性が下がり、ベール表面に非イオン界面活性剤がブリードしてしまう、あるいはシリカ系無機充填剤との配合物中において立体障害層形成が効果的になされず、再凝集抑制効果を発揮しにくくなる傾向にある。
さらには、後述する本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法における、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分が溶解した溶液に、非イオン界面活性剤を添加して溶液を得る工程(工程(A))においては、非イオン界面活性剤そのものが、本実施形態で使用する溶媒に可溶であることが好ましい。
非イオン界面活性剤は、以上の観点から選定することができる。
変性共役ジエン系重合体の疎水性/親水性バランスの指標としては、例えば公知のHansenの溶解性パラメーターの計算方法を使用できる。
非イオン界面活性剤の疎水性/親水性バランスの指標としては、例えばGriffinらによって提唱されたHLB値(W,C.Griffin,J. Soc. Cosmet. Chem., 1, 311(1949))を使用でき、その値は実験的に決定されるほか、その構造の分析値から決定することができ、例えば多価アルコール脂肪酸エステルのHLB値は下記式(1)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル誘導体のHLB値は下記式(2)、界面活性剤を2種類組み合わせる場合の混合HLB値(HLBA,B)は下記式(3)でそれぞれ表される。
HLB = 20(1−SA) ・・・(1)
前記式(1)中、Sはエステルのケン化価、Aは脂肪酸の酸価を表す。
HLB = E/5 ・・・(2)
前記式(2)中、Eはオキシエチレン基の重量分率を表す。
HLBA,B = (HA・X+HB・Y)/(X+Y)・・・(3)
前記式(3)中、HA、HBはそれぞれ非イオン界面活性剤AおよびBのHLB値を、X、Yは非イオン界面活性剤A及びBの混合量(g)を表す。
変性共役ジエン系重合体の骨格となる共役ジエン系重合体としてSBRやBR、天然ゴムを使用した場合、変性共役ジエン系重合体の溶解度パラメーター(SP値[(cal/cm3)1/2])は、計算方法や測定方法にもよるが、SBRであると8.1から9.4、BRであると8.1から8.6、天然ゴムであると7.9から8.4程度である。これに対し、非イオン界面活性剤の溶解度パラメーターは、上述した観点から好ましくは0.1〜30、より好ましくは0.2〜25、さらに好ましくは0.3〜20のものを選択する。
非イオン界面活性剤としては、以下に限定されないが、例えば、カルボン酸、カルボン酸エステル、ケトン、アルコール、アルデヒド、アミン、アミド、アミノアルコール、下記式(4)の化合物、下記式(5)の化合物、下記式(6)の化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
前記式(4)中、R1は、炭素数6〜26の不飽和結合を有する炭化水素基を表す。rは整数を表す。
前記式(5)中、R1及びR2は、同一もしくは異なっていてもよく、炭素数6〜26の不飽和結合を有する炭化水素基を表す。sは整数を表す。
前記式(6)中、t、u、vは整数を表す。
上記非イオン界面活性剤であるカルボン酸としては、飽和または不飽和の脂肪酸(1価の鎖状カルボン酸)が好ましく、このような脂肪酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等のいわゆる高級脂肪酸が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤であるカルボン酸エステルとしては、上述した飽和又は不飽和の脂肪酸と多価アルコールとのエステルが挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビタン、プロピレングリコール、ショ糖等が挙げられる。このようなカルボン酸エステルとしては、例えば、カルボン酸グリセリンエステル(モノグリセリド)が挙げられ、その具体例としては、以下に限定されるものではないが、ラウリン酸グリセリン、ステアリン酸グリセリン、リノレン酸グリセリン等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤であるケトンとしては、いわゆる高級ケトンが挙げられ、その具体例としては、以下に限定されるものではないが、2−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、2−ヘプタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤であるアルコールとしては、いわゆる高級アルコールが挙げられ、その具体例としては、以下に限定されるものではないが、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、パルミチルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤であるアルデヒドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラウリルアルデヒド、ミリスチルアルデヒド、セチルアルデヒド、ステアリルアルデヒド、パルミチルアルデヒド、オレイルアルデヒド等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤であるアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミンジ−2−エチルヘキシルアミン、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、シクロヘキシル−2−エチルヘキシルアミン、ベンジルシクロヘキシルアミン、ベンジル−2−エチルヘキシルアミン、ドデカメチレンイミン、テトラデカメチレンイミン、ヘキサデカメチレンイミン、ラウリルアミン、ジラウリルアミン、ラウリルメチルアミン、ジラウリルメチルアミン、ラウリルジメチルアミン、トリラウリルアミン、ミリスチルアミン、ジミリスチルアミン、ミリスチルメチルアミン、ジミリスチルメチルアミン、ミリスチルジメチルアミン、トリミリスチルアミン、パルミチルアミン、ジパルミチルアミン、パルミチルメチルアミン、ジパルミチルメチルアミン、パルミチルジメチルアミン、トリパルミチルアミン、ステアリルアミン、ジステアリルアミン、ステアリルメチルアミン、ジステアリルメチルアミン、ステアリルジメチルアミン、トリステアリルアミン、オレイルアミン、ジオレイルアミン、オレイルメチルアミン、ジオレイルメチルアミン、オレイルジメチルアミン、トリオレイルアミン、ラウリルジエチルアミン、ミリスチルジエチルアミン、パルミチルジエチルアミン、ステアリルジエチルアミン、オレイルジエチルアミン、ラウリルジプロピルアミン、ミリスチルジプロピルアミン、パルミチルジプロピルアミン、
ステアリルジプロピルアミン、オレイルジプロピルアミン、N−エチル−N−メチルステアリルアミン、N−エチル−N−プロピルステアリルアミン、N−メチル−N−プロピルステアリルアミン、N−ラウリルピロリジン、N−ミリスチルピロリジン、N−パルミチルピロリジン、N−ステアリルピロリジン、N−オレイルピロリジン、N−ラウリルピペリジン、N−ミリスチルピペリジン、N−パルミチルピペリジン、N−ステアリルピペリジン、N−オレイルピペリジン、ポリオキシエチレンオクチルアミン、ポリオキシエチレンデシルアミン、ポリオキシエチレンドデシルアミン(ポリオキシエチレンラウリルアミン)、ポリオキシエチレンテトラデシルアミン(ポリオキシエチレンミリスチルアミン)、ポリオキシエチレンヘキサデシルアミン(ポリオキシエチレンパルミチルアミン)、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン(ポリオキシエチレンステアリルアミン)、ポリオキシエチレンオクタデセニルアミン(ポリオキシエチレンオレイルアミン)、ジ(ポリオキシエチレン)オクチルアミン、ジ(ポリオキシエチレン)デシルアミン、ジ(ポリオキシエチレン)ドデシルアミン、ジ(ポリオキシエチレン)テトラデシルアミン、ジ(ポリオキシエチレン)ヘキサデシルアミン、ジ(ポリオキシエチレン)オクタデシルアミン(ジ(ポリオキシエチレン)ステアリルアミン)、ジ(ポリオキシエチレン)オクタデセニルアミン(ジ(ポリオキシエチレン)オレイルアミン)等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤であるアミンにおいて、ポリオキシエチレンを構造中に有する場合のポリオキシエチレンの平均付加モル数は、上述した疎水性/親水性のバランスの観点から適宜選択できるが、例えば、1以上であり、例えば、40以下、好ましくは、30以下である。
上記非イオン界面活性剤であるアミノアルコールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エタノールアミン(モノエタノールアミン、2−アミノエタノール)、プロパノールアミン(モノプロパノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール)、1−アミノ−2−プロパノール、ブタノールアミン(モノブタノールアミン、4−アミノ−1−ブタノール)、2−アミノ−1−ブタノール、ペンタノールアミン(モノペンタノールアミン、5−アミノ−1−ペンタノール)、ヘキサノールアミン(モノヘキサノールアミン、6−アミノ−1−ヘキサノール)、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−プロピルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、N−ペンチルエタノールアミン、N−ヘキシルエタノールアミン、N−ヘプチルエタノールアミン、N−オクチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−(β−アミノエチル)プロパノールアミン、ジエタノールアミン、2−(イソプロピルアミノ)エタノール、2−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−1−エタノール、2−(t−ブチルアミノ)エタノール、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン、N−(3−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、N−エチル−N,N−ジエタノールアミン、N−n−ブチル−N,N−ジエタノールアミン、N−t−ブチル−N,N−ジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N、N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N、N−ジエチルプロパノールアミン、N、N−ジエチルイソプロパノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン(2−(ジブチルアミノ)エタノール)、2−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]エタノール、N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ニトロソアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ビス(2−アミノエチル)エーテル、2−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール、2−(ジイソプロピルアミノ)エタノール、トリエタノールアミン等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤であるアミドとしては、オクタン酸モノエタノールアミド、オクタン酸モノイソプロパンプロパノールアミド、ポリオキシエチレンオクタン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、オレイン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミドなどのモノアルカノールアミド、例えば、オクタン酸ジエタノールアミド、オクタン酸ジイソプロパノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンオレイン酸ジエタノールアミド等のジアルカノールアミド等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤であるアミドにおいて、ポリオキシエチレンを構造中に有する場合のポリオキシエチレンの平均付加モル数は、上述した疎水性/親水性のバランスの観点から適宜選択できるが、1以上が好ましく、例えば、40以下、好ましくは30以下である。
上記式(4)で表される非イオン界面活性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコールモノオレエート、エチレングリコールモノパルミエート、エチレングリコールモノバクセネート、エチレングリコールモノリノレート、エチレングリコールモノリノレネート、エチレングリコールモノアラキドネート、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールモノセチルエート、エチレングリコールモノラウレート、(ポリオキシエチレン)モノオレエート、(ポリオキシエチレン)モノパルミエート、(ポリオキシエチレン)モノバクセネート、(ポリオキシエチレン)モノリノレート、(ポリオキシエチレン)モノリノレネート、(ポリオキシエチレン)モノアラキドネート、(ポリオキシエチレン)モノステアレート、(ポリオキシエチレン)モノセチルエート、(ポリオキシエチレン)モノラウレート等が挙げられる。
rは上述した疎水性/親水性のバランスの観点から適宜選択できるが、中でも、rとしては、好ましくは1〜40、より好ましくは1〜30、さらに好ましくは1〜25である。
上記式(5)で表される非イオン界面活性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコールジオレエート、エチレングリコールジパルミエート、エチレングリコールジパルミテート、エチレングリコールジバクセネート、エチレングリコールジリノレート、エチレングリコールジリノレネート、エチレングリコールジアラキドネート、エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジセチルエート、エチレングリコールジラウレート、(ポリオキシエチレン)ジオレエート、(ポリオキシエチレン)ジパルミエート、(ポリオキシエチレン)ジパルミテート、(ポリオキシエチレン)ジバクセネート、(ポリオキシエチレン)ジリノレート、(ポリオキシエチレン)ジリノレネート、(ポリオキシエチレン)ジアラキドネート、(ポリオキシエチレン)ジステアレート、(ポリオキシエチレン)ジセチルエート、(ポリオキシエチレン)ジラウレート等が挙げられる。
sは上述した疎水性/親水性のバランスの観点から適宜選択できるが、中でも、sとしては、好ましくは1〜40、より好ましくは1〜30、さらに好ましくは1〜25である。
上記式(6)で表される非イオン界面活性剤としては、BASFジャパン(株)製のプルロニックシリーズ、三洋化成工業(株)製のニューポールPEシリーズ、旭電化工業(株)製のアデカプルロニックL又はFシリーズ、第一工業製薬(株)製エパンシリーズ、日油(株)製のプロノンシリーズ又はユニルーブ等が挙げられる。
t、u、vは上述した疎水性/親水性のバランスの観点から適宜選択できるが、中でも、非イオン界面活性剤のブリードを好適に制御でき、本発明の効果がより好適に得られるという観点から、uは好ましくは100以下であり、より好ましくは10〜70、さらに好ましくは10〜60、さらにより好ましくは20〜60、よりさらに好ましくは20〜45である。同様の観点から、t+vは、好ましくは100以下であり、より好ましくは3〜65、さらに好ましくは5〜55、さらにより好ましくは5〜40、よりさらに好ましくは10〜40である。
上述した非イオン界面活性剤の中でも、シリカ系無充填剤との配合物とした時のシリカ系無機充填剤の分散性、及び配合物の加工性の観点から、特にステアリルジメチルアミン、ジ(ポリオキシエチレン)オクタデシルアミン(ジ(ポリオキシエチレン)ステアリルアミン)、式(4)で表されるエチレングリコールモノステアレート、前記式(5)で表されるエチレングリコールジステアレートが好ましい。
非イオン界面活性剤は、後述する変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法において、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分が溶解した溶液に、非イオン界面活性剤を添加して溶液を得る工程(工程(A))に記載のごとく、変性共役ジエン系重合体が溶解した溶液に、非イオン界面活性剤を、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部添加するか、または、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分に、非イオン界面活性剤を混合する工程(工程(C))に記載のごとく、変性共役ジエン系重合体に非イオン界面活性剤を、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対して0.1〜100質量部添加することが好ましい。
かかる工程(A)及び工程(C)についての詳細は、後述する。
上述した配合量により非イオン界面活性剤を添加することにより、非イオン界面活性剤の添加効果を十分に発現でき、かつベール中でのブリードの発生を防止することができる。
(オイル)
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールは、変性共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対し、ゴム用軟化剤としてオイルを5〜50質量部を含んでいてもよい。
ゴム用軟化剤としては、鉱物油、又は液状若しくは低分子量の合成軟化剤が好適である。ゴムの軟化、増容、加工性の向上を図るために使用されているプロセスオイル又はエクステンダーオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が30〜45%のものがナフテン系、芳香族炭素数が30%を超えるものが芳香族系と呼ばれている。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールに用いるゴム用軟化剤としては、適度な芳香族含量を有するものが変性共役ジエン系重合体との馴染みがよい傾向にあるため好ましい。また、非イオン界面活性剤との相溶性に優れるものが、ブリードアウトを抑制できる傾向にあるため好ましく、さらに変性共役ジエン系重合体の溶液にオイルを添加する場合は、その溶媒に溶解しやすいものであることにより、均一溶液となり製造工程における取扱いが容易になるため好ましい。
添加されたオイルは、後述する工程(A)で得られた溶液を脱溶剤する工程(B)、及び変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分に非イオン界面活性剤を混合する工程(C)においてトルクを下げる効果を有するとともに、溶液から溶剤を脱揮した後にも、脱揮されずに変性共役ジエン系重合体組成物と共に残存し、他の材料と混合加工する際に、加工性を改良する効果を有する。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールにおいて、オイルの添加は必須ではないが、添加する場合の配合量は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物に由来する変性共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対して、5〜50質量部が好ましく、8〜48質量部がより好ましく、10〜45質量部がさらに好ましい。オイルの配合量がゴム成分100質量部に対して50質量部以下とすることにより、ブリードアウトを抑制でき、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの表面にベタツキを生ずることを防止することができる。
〔変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法(第一の製造方法)〕
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法においては、上述した本実施形態の変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分に、上述した非イオン界面活性剤が分散した変性共役ジエン系重合体組成物のベールを製造する。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの第一の製造方法は、上述した本実施形態の変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分が溶解した溶液に、非イオン界面活性剤を、前記ゴム成分100質量部に対し、0.1〜10質量部添加し、溶解させ溶液を得る工程(A)と、
前記溶液を脱溶剤する工程(B)と、
を、有する。
なお、前記工程(A)と前記工程(B)の間、又は工程(A)より前に、ゴム用軟化剤としてオイルや安定剤等を加える調整工程を実施してもよい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法においては、他の実施形態として、例えば、後述する第二の製造方法の工程(C)のように、押出機内で変性共役ジエン系重合体と非イオン界面活性剤とを混練する工程を実施してもよい。
押出機内では、変性共役ジエン系重合体は溶融した高粘度状態である一方、非イオン界面活性剤は液状あるいは溶融した低粘度状態であることが多いが、一般的に、粘度が大きく異なる2相を均一混合するのは困難であることが知られている。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法における工程(A)のように、溶液状態で、すなわち低粘度状態で、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と非イオン界面活性剤とを混合し、均一な溶液とすることにより、工程(B)により溶液を脱溶剤する工程を経ると、最終的に得られる変性共役ジエン系重合体組成物のベール中において、非イオン界面活性剤の分散性が向上し、シリカ系無機充填剤と配合した際に、その混練物の物性改良効果を最大化できる傾向にある。
一方、第二の製造方法における工程(C)を採用する場合は、変性共役ジエン系重合体組成物中のポリマーとして、溶液重合以外の重合方法で製造された変性共役ジエン系重合体も採用できるという利点がある。
(工程(A))
本実施形態の、変性共役ジエン系重合体組成物のベールの第一の製造方法は、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分が溶剤に溶解した溶液(変性共役ジエン系重合体の溶液と記載する場合がある。)に、非イオン界面活性剤を、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対し、0.1〜10質量部添加し、溶解させ、均一な溶液を得る工程(A)を有する。
<変性共役ジエン系重合体の溶液>
工程(A)における、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分が溶剤に溶解した溶液(以下、変性共役ジエン系重合体溶液と記載する場合がある。)は、変性共役ジエン系重合体と溶剤とを含む。
溶剤としては、特に限定されないが、例えば、C4〜C8の炭化水素溶剤、トルエン、キシレンが挙げられる。さらに、溶剤は環式の構造を有するものでもよく、不飽和結合又は分岐構造を有するものでもよい。沸点及び蒸気圧が製造工程上取り扱いやすいことから、C5又はC6の炭化水素溶剤が好ましく、ペンタン、ノルマルヘキサン、及びシクロヘキサンがより好ましい。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
変性共役ジエン系重合体溶液の製造方法としては、固形の変性共役ジエン系共重合体及び必要に応じて任意のゴム成分を、前記溶剤に溶解させてもよく、溶液重合法を用いて製造した変性共役ジエン系重合体溶液をそのまま使用してもよい。
溶液重合法を用いて製造した変性共役ジエン系重合体を使用する場合、製造プロセス簡素化の観点から、変性共役ジエン系重合体の重合工程で使用したものと同じ溶剤であることが好ましい。すなわち、重合反応や、必要に応じて変性反応を行った溶液から溶媒を除くことなくそのまま使用することができる。
変性共役ジエン系重合体と非イオン界面活性剤の双方が溶解し、均一溶液を得られるようにこれらの組合せと溶媒を選ぶことが、工程での取り扱いの観点から好ましい。非イオン界面活性剤が溶解しない又は溶解しにくい場合、例えば、非イオン界面活性剤の疎水性基/親水性基の量バランスを変えて、溶解性をコントロールし、溶解するものを選択することも好ましい態様である。
変性共役ジエン系重合体溶液は、その変性共役ジエン系重合体溶液の総量(100質量%)に対して、溶剤を10質量%以上99質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは30質量%以上98質量%以下、さらに好ましくは50質量%以上97質量%以下含む。溶剤を10質量%以上含むことにより、非イオン界面活性剤を混合する際の溶液粘度を低下させ、非イオン界面活性剤の均一分散性をより向上させる効果がある。一方、99質量%以下含むことで、後述する脱溶剤する工程(B)で揮発させる溶剤量を減らし、プロセスへの負荷を低減することができる。
<安定剤、オイル>
工程(A)においては、変性共役ジエン系重合体溶液に、変性共役ジエン系重合体に対して、保管中のゲルの生成を防止する観点、及び加工時の安定性を向上させる観点から、ゴム用安定剤を共存させてもよい。
ゴム用安定剤は、公知のものを用いることができ、以下に限定されるものではないが、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤が好ましいものとして挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの第一の製造方法においては、上述した工程(A)で得られた、非イオン界面活性剤が溶解した変性共役ジエン系重合体の溶液に対し、必要に応じて上述したオイル、安定剤等を加える調整工程を実施することができる。
かかる調整工程においては、後述する工程(B)にて取り出す、変性共役ジエン系重合体組成物中の変性共役ジエン系重合体、非イオン界面活性剤、ゴム用軟化剤、安定剤等の組成を調整した溶液を作製する。
前記調整工程において添加するオイルとしては、ゴム用軟化剤(伸展油)が適用できる。これにより、後述する脱溶剤する工程(B)において、トルクを下げる効果を有するとともに、溶液から溶剤を脱揮した後にも、脱揮されずに変性共役ジエン系重合体組成物と共に残存し、他の材料と混合加工する際に、加工性を改良する効果を有する。
ゴム用軟化剤としては、鉱物油、又は液状若しくは低分子量の合成軟化剤が好適である。ゴムの軟化、増容、加工性の向上を図るために使用されているプロセスオイル又はエクステンダーオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が30〜45%のものがナフテン系、芳香族炭素数が30%を超えるものが芳香族系と呼ばれている。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールに用いるゴム用軟化剤としては、適度な芳香族含量を有するものが変性共役ジエン系重合体との馴染みがよい傾向にあるため好ましい。また、非イオン界面活性剤との相溶性に優れるものが、ブリードアウトを抑制できる傾向にあるため好ましく、更に、工程(A)において溶媒に溶解しやすいものであることにより均一溶液となり、製造工程における取扱いが容易になるため好ましい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの第一の製造方法において、オイルを添加する調整工程を行うタイミングは特に限定されず、後述する脱溶剤する工程(B)よりも前の工程であればよく、工程(A)の前でもよく、工程(A)に続く工程として実施してもよい。
添加されたオイル、例えば、ゴム用軟化剤は、後述する脱溶剤する工程(B)においてトルクを下げる効果を有するとともに、溶液から溶剤を脱揮した後にも、脱揮されずに変性共役ジエン系重合体組成物のベールに残存し、他の材料と混合加工する際に、加工性を改良する効果を有する。
オイルの配合量は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物に由来する共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対して、5〜50質量部が好ましく、8〜48質量部がより好ましく、10〜45質量部がさらに好ましい。オイルの配合量がゴム成分100質量部に対して50質量部以下とすることにより、ブリードアウトを抑制でき、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物の表面にベタツキを生ずることを防止することができる。
前記調整工程において、変性共役ジエン系重合体に対して、保管中のゲルの生成を防止する観点、及び加工時の安定性を向上させる観点から、ゴム用安定剤を添加してもよい。ゴム用安定剤としては、公知のものを用いることができ、以下に限定されるものではないが、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤が好ましい。
(工程(B))
本実施形態の、変性共役ジエン系重合体組成物のベールの第一の製造方法は、上記工程(A)で得られた、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と非イオン界面活性剤との混合溶液を脱溶剤する工程(B)を有する。
工程(B)は、上述した工程(A)又は調整工程で得られた変性共役ジエン系重合体組成物の溶液から溶剤を揮発させ、固形分としての変性共役ジエン系重合体組成物を得る工程である。
<脱揮方法>
工程(B)は、スチームストリッピング、フラッシュタンク、薄膜型濃縮器、ドラムドライヤー、及び撹拌翼付き濃縮容器、脱揮二軸押出機等を用いる方法が挙げられるが、上述した工程(A)又は調整工程で得られた変性共役ジエン系重合体組成物の溶液を、水と接触させずに脱揮できる方法を適用することが好ましい。
水と接触させて脱溶剤するプロセスとして、例えば、スチームストリッピングによって溶媒を除去する場合、工程(A)又は調整工程で得られた変性共役ジエン系重合体組成物の溶液に含まれる非イオン界面活性剤が親水部を持つため、水に溶解し流出してしまい排水を汚染する上、添加した界面活性剤のロスが発生し効果が低減してしまうこと、あるいはスチームストリッピング工程において界面活性剤として作用し、同工程内で泡が生成し運転が困難になってしまう、あるいは得られる変性共役ジエン系重合体組成物の粒子サイズが小さく粉状になってしまい、下流工程の生産性が落ちてしまう等が考えられるが、脱揮二軸押出機等、水と接触しない脱溶剤プロセスを適用すると、非イオン界面活性剤をロスすることなく所望の組成物を得やすく、シリカ系無機充填剤との組成物とした場合の物性向上効果を最大化できる上に、排水への環境負荷低減という観点でも好ましく、更にはプロセスの安定性の観点からも好ましい。
脱揮された変性共役ジエン系重合体組成物の残揮発分量は、その変性共役ジエン系重合体組成物の総量(100質量%)に対して、0.001質量%以上5.0質量%以下であることが、変性共役ジエン系重合体組成物を製品に加工する際の作業性の観点から好ましい。残揮発分は、重合や溶剤などの原料、水分を含んでもよい。
〔共役ジエン系重合体組成物の製造方法(第二の製造方法)〕
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの第二の製造方法は、
変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分に、非イオン界面活性剤を、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対し0.1〜10質量部混合する工程(C)を有する。
なお、前記工程(C)の前に、ゴム用軟化剤としてオイルや安定剤等を加える調整工程を実施してもよい。
(工程(C))
工程(C)は、共役ジエン系重合体を含むゴム成分に、非イオン界面活性剤を、共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対し0.1〜10質量部混合する工程である。
<添加方法>
工程(C)は、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、非イオン界面活性剤とを混合できるプロセスであれば特に限定されず、例えば単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用い、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分の供給速度に応じて所定量の非イオン界面活性剤を添加し連続的に混合する方法、あるいはバンバリーミキサーやニーダー、ロール等を用い、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と非イオン界面活性剤とを所定量ずつ、回分式に混合する方法等が挙げられる。
上記工程(A)にて記載の通り、粘度が大きく異なる2相を均一混合することは困難であることから、その混合均一性は第一の製造方法に対し劣る傾向にある。さらに、運転中に変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分の供給速度が乱れると、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と非イオン界面活性剤との比率が乱れ、組成が均一でなくなる傾向にある。
<非イオン界面活性剤添加時の含水量>
工程(C)において、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分が水分を含んでいると、添加する非イオン界面活性剤と親和性を有するため、以降の工程内で水分を除去することが困難となり、最終的にベール内に水分が残存してしまう傾向にある。一般的に、ベール内に残存する水分は、シリカ系無機充填剤との組成物を製造する際、その組成物の品質に大きく影響することから、極力低く抑えることが好ましく、そのベールの総量(100質量%)に対して、0.001質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。かかる観点から、工程(C)においては、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分に非イオン界面活性剤を添加する時点で、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対する含水量が0.01〜30質量部であることが好ましく、0.02〜25質量部であることがより好ましく、0.03〜20質量部であることがさらに好ましい。
工程(C)及びその下流工程において、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分が含有する水を排出する排水機構が設けられている場合、添加した非イオン界面活性剤が排水へ流出するおそれがあり、排水を汚染する上、添加した非イオン界面活性剤のロスが発生し効果が低減してしまうことが考えられるが、かかる排水汚染や非イオン界面活性剤のロスの発生を防止する観点からも、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分に非イオン界面活性剤を添加する時点で、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対する含水量が0.01〜30質量部であることが好ましく、0.02〜25質量部であることがより好ましく、0.03〜20質量部であることがさらに好ましい。
〔用途〕
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールは、直方体に圧縮成形されたものであり、各種用途に適用することができる。
また、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールは、天然ゴム等の他のゴム材料、シリカ系無機充填剤、カーボン等の無機材料等と配合して、タイヤトレッド等のタイヤ用部材、前記タイヤトレッドを具備するタイヤ(空気入りである場合も含む)、各種工業用ベルト、履物等にも加工できる。
〔ゴム組成物、及びその成形体〕
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールは、上述した各種成分の他、必要に応じてその他の成分を配合することにより、所望の機能をもたせたゴム組成物、及びその成形体とすることができる。
(その他の成分)
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールは、上述したように、ゴム成分として本実施形態の変性共役ジエン系重合体以外のゴム成分を添加してもよい。このようなゴム成分については、上記において説明したものを適宜選択することができる。
また、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールは、加硫物として好適に用いられる。
加硫物は、例えば本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールを、必要に応じて、シリカ系無機充填剤やカーボンブラック等の有機充填剤、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物に含まれるゴム成分以外のゴム状重合体、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤、加硫剤、加硫促進剤・助剤等と混合して組成物とした後、加熱して加硫することにより得ることができる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールは、タイヤ等のゴム製品の製造に利用できる。
従来のタイヤ用ゴム組成物では、ゴム成分とシリカ系無機充填剤を溶融混練していたが、シリカ系無機充填剤表面の親水基のため、ゴム成分とシリカ系無機充填剤は相溶し難く、分散性を高めることが困難であった。これに対し、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールは、シリカ系無機充填剤表面の親水基に作用する部分と変性共役ジエン系重合体に相溶しシリカ系無機充填剤表面に吸着層を形成する部分を持つ非イオン界面活性剤を含有しており、かつ当該非イオン界面活性剤が変性共役ジエン系重合体中にあらかじめ均一分散しているので、目的の組成物中においてシリカ系無機充填剤の再凝集を抑制し微分散した状態になり易い。そのため、加硫物としたときに、シリカ系無機充填剤の分散性が良好となり、省燃費性能と引張特性及び耐摩耗性に優れ、かつその混練物の品質のばらつきが少なく生産安定性に優れたゴム組成物を提供できる。
<シリカ系無機充填剤>
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールを、シリカ系無機充填剤を含む加硫物として使用する際、本実施形態の変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対し、シリカ系無機充填剤を5〜300質量部を含むものとすることが好ましい。
シリカ系無機充填剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、SiO2、又はSi3Alを構成単位として含む固体粒子が好ましく、SiO2、又はSi3Alを構成単位の主成分とすることがより好ましい。ここで、主成分とは、シリカ系無機充填剤中に50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上含有される成分をいう。
シリカ系無機充填剤としては、具体的には、シリカ、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等の無機繊維状物質等が挙げられる。
また、表面を疎水化したシリカ系無機充填剤や、シリカ系無機充填剤とシリカ系以外の無機充填剤との混合物も用いることができる。強度や耐摩耗性等の観点からは、シリカ及びガラス繊維が好ましく、シリカがより好ましい。例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、合成ケイ酸塩シリカ等が挙げられる。これらの中でも、加硫物とした際の破壊特性果並びにウェットスキッド抵抗性のバランスの観点から、湿式シリカが好ましい。ここでシリカ系無機充填剤は、表面改質されているものを用いてもよい。
シリカ系無機充填剤のBET吸着法で求められる窒素吸着比表面積としては、好ましくは100〜300m2/gであり、より好ましくは130〜280m2/gであり、さらに好ましくは150〜250m2/gである。
また必要に応じて、比較的比表面積が小さい(例えば、比表面積が200m2/g未満)
シリカ系無機充填剤と、比較的比表面積の大きい(例えば、200m2/g以上)のシリカ系無機充填剤と、を組み合わせて、窒素吸着比表面積が前記範囲となるように調整したシリカ系無機充填剤を用いることができる。これにより、良好な耐摩耗性、破断強度及び低発熱性を高度にバランスさせることができる。
シリカ系無機充填剤の一次粒径としては3〜100nmであることが好ましく、より好ましくは5〜50nm、さらに好ましくは10〜30nmである。3nm以上とすることにより、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールと混練する際にハンドリングが良好になる傾向にあり、100nm以下とすることにより良好な補強効果が発揮される傾向にある。
シリカ系無機充填剤の形状は特に限定されず、目標とする物性に応じて球状、真球状、無定形の粒状、針状、繊維状、板状のもの等を使用できるが、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールをタイヤ用に加工する場合、異方性が出にくい球状又は真球状のものを使用することが、応力集中の偏在が起きにくく好ましい。
シリカ系無機充填剤の配合比率(質量比)は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールに由来する変性共役ジエン系重合体成分を含むゴム成分100質量部に対し、5〜300質量部含むものとすることが好ましく、10〜250質量部含むものがより好ましく、20〜200質量部含むものがさらに好ましい。
シリカ系無機充填剤の添加効果が発現する観点から、シリカ系無機充填剤の合計量は5質量部以上とすることが好ましく、変性共役ジエン系重合体組成物の加工性や機械強度を実用的に十分なものとする観点からが300質量部以下とすることが好ましい。
<カーボンブラック>
カーボンブラックとしては特に限定されず、例えば、SRF、FEF、HAF、ISAF、SAF等の各クラスのカーボンブラックが使用できる。これらの中でも、窒素吸着比表面積が50m2/g以上、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が80mL/100gのカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックの含有量は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールに由来する変性共役ジエン系重合体成分を含むゴム成分100質量部に対し、0.5〜100質量部が好ましく、3〜100質量部がより好ましく、5〜50質量部がさらに好ましい。
カーボンブラックの含有量は、ドライグリップ性能や導電性等のタイヤ等の用途に求められる性能を発現する観点から、0.5質量部以上とすることが好ましく、分散性の観点から、100質量部以下とすることが好ましい。
<その他の充填剤>
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールには、シリカ系無機充填剤やカーボンブラック以外に、金属酸化物や金属水酸化物をその他の充填剤として配合してもよい。
金属酸化物とは、化学式MxOy(Mは金属原子を表し、x及びyは各々1〜6の整数を表す。)を構成単位の主成分とする固体粒子のことをいい、例えばアルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等を用いることができる。
また金属酸化物と金属酸化物以外の無機充填剤の混合物も用いることができる。金属水酸化物としては、特に限定されず、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム等が挙げられる。
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤は、ゴム成分とシリカ系無機充填剤との相互作用を緊密にする機能を有しており、ゴム成分及びシリカ系無機充填剤のそれぞれに対する親和性又は結合性の基を有しており、一般的には、硫黄結合部分とアルコキシシリル基、シラノール基部分を一分子中に有する化合物が用いられる。具体的には、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−ジスルフィド、ビス−[2−(トリエトキシシリル)−エチル]−テトラスルフィド等が挙げられる。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ系無機充填剤の合計100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部がさらに好ましい。シランカップリング剤の配合量が上記範囲であると、シランカップリング剤による上記添加効果を一層顕著なものにすることができる。
<ゴム用軟化剤>
本実施形態における変性共役ジエン系重合体組成物のベールを用いて加工する際、加工性の改良を図るために、ゴム用軟化剤をさらに含有させてもよい。
ゴム用軟化剤としては、鉱物油、又は液状若しくは低分子量の合成軟化剤が好適である。ゴムの軟化、増容、加工性の向上を図るために使用されているプロセスオイル又はエクステンダーオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が30〜45%のものがナフテン系、芳香族炭素数が30%を超えるものが芳香族系と呼ばれている。本実施形態に用いるゴム用軟化剤としては、適度な芳香族含量を有するものが共重合体との馴染みがよい傾向にあるため好ましい。また、非イオン界面活性剤との相溶性に優れるものが、得られる配合物の物性改良効果を最大化できることから好ましい。
ゴム用軟化剤の配合量は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールに由来する変性共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、5〜80質量部がより好ましく、10〜50質量部がさらに好ましい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造工程において、ゴム用軟化剤を添加した場合は、それに由来するゴム用軟化剤との合計量が上記範囲内にあることが好ましい。ゴム用軟化剤の含有量がゴム成分100質量部に対して100質量部以下であることにより、ブリードアウトを生じることを防止でき、変性共役ジエン系重合体組成物表面にベタツキを生ずることを防止できる。
<混練方法>
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールと、シリカ系無機充填剤、カーボンブラックやその他の充填剤、本実施形態の変性共役ジエン系重合体以外のゴム成分、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤等の添加剤とを混合する方法については特に限定されるものではない。
例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法等が挙げられる。また、共役ジエン系重合体組成物と各種配合剤とを一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能である。
ここで非イオン界面活性剤は、本実施形態においては予めベール内に均一分散した状態にあるが、一方において上記混練工程で加えることも可能ではある。しかしこの場合、混和機内では変性共役ジエン系重合体は溶融した高粘度状態であり、非イオン界面活性剤は液状あるいは溶融した低粘度状態であることが多く、一般的に粘度が大きく異なる2相を均一混合するのは困難であることが知られている上、非イオン界面活性剤以外にも、上述した様々な薬品類を同時に混練することから、シリカ系無機充填剤に対する吸着反応が阻害されやすい傾向にあることから、得られる混練組成物中においてその均一性が劣り、得られる組成物の物性改良効果が劣る傾向にある。
同様に、非イオン界面活性剤を予め、シリカ系無機充填剤に被覆させた状態で混和機内に投入し、混練する方法も考えられるが、上記同様に得られる混練組成物中においてその均一性が劣り、得られる組成物の物性改良効果が劣る傾向にある上、シリカ系無機充填剤の表面官能基がすべて非イオン界面活性剤で被覆された状態にあるため、共役ジエン系重合体やシランカップリング剤と結合する点が失われてしまい、補強性に劣り引張特性や耐摩耗性が低下してしまう傾向にある。
<加硫組成物>
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールは、加硫剤により加硫処理を施した加硫組成物としてもよい。
加硫剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、有機過酸化物及びアゾ化合物等のラジカル発生剤、オキシム化合物、ニトロソ化合物、ポリアミン化合物、硫黄、硫黄化合物が使用できる。硫黄化合物には、一塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物、高分子多硫化合物等が含まれる。
加硫剤の使用量は、通常は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールに由来する共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対して0.01〜20質量部であり、0.1〜15質量部が好ましい。加硫方法としては、従来公知の方法を適用でき、加硫温度は、通常120〜200℃であり、好ましくは140〜180℃である。
また、加硫に際しては、必要に応じて加硫促進剤を用いてもよい。加硫促進剤としては、従来公知の材料を用いることができ、以下に限定されるものではないが、例えば、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、チオ尿素系、ジチオカルバメート系等の加硫促進剤が挙げられる。
また、加硫助剤としては、亜鉛華、ステアリン酸等を使用できる。加硫促進剤の使用量は、通常、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールに由来する共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対して0.01〜20質量部であり、0.1〜15質量部が好ましい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物のベールには、本実施形態の目的を損なわない範囲内で、上述した以外のその他の軟化剤や充填剤、さらに、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、滑剤等の各種添加剤を用いてもよい。その他の軟化剤としては、公知の軟化剤を用いることができる。その他の充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられる。上記の耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、潤滑剤としては、それぞれ公知の材料を用いることができる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本実施形態をさらに詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、各種特性の評価方法は以下のとおりである。
(評価1)ブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量)
後述する試料A〜Qの変性共役ジエン系重合体50mgを10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとした。
溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm-1の範囲で測定して所定の波数における吸光度により、全てハンプトンの方法の計算式に従いブタジエン部分のミクロ構造を求めた(日本分光社製、フーリエ変換赤外分光光度計「FT−IR230」)。
下記表中、測定結果を「Vinyl(% in Bd)」として示す。
(評価2)結合スチレン量
後述する試料A〜Qの変性共役ジエン系重合体をクロロホルムで100mLにメスアップ、溶解して測定サンプルとした。
スチレンのフェニル基によるUV254nmの吸収により結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所社製、分光光度計「UV−2450」)。
下記表中、測定結果を「St (wt%)」として示す。
(評価3)ムーニー粘度
後述する試料A〜Qを試料として、ムーニー粘度計(上島製作所社製、「VR1132」)を用い、JIS K6300(ISO289−1)に準拠し、後述する実施例及び比較例において、測定温度100℃においてムーニー粘度を測定した。
まず、試料を1分間予熱した後、2rpmでローターを回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度(ML1+4)とした。
試料のムーニー粘度は、試料生産時及び生産30日後の2種類を測定した。
(評価4)変性共役ジエン系重合体の計算SP値
変性共役ジエン系重合体のSP値は、Fedorsらの方法(R.F.Fedors:Polym. Eng. Sci., 14〔2〕, 147−154(1974))に従い、変性共役ジエン系重合体の分子構造から凝集エネルギーΣEcoh(cal/mol)とモル分子容ΣV(cm3/mol)を算出し、δ= [ΣEcoh/ΣV] 1/2 式に基づきSP値δ(cal/cm31/2を得た。
(評価5)変性率
後述する試料A〜Qから、分取GPCにより単離した変性共役ジエン系重合体を試料として、シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した塩基性重合体成分が吸着する特性を応用することにより、測定した。
試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系カラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムと、の差分よりシリカ系カラムへの吸着量を測定し、変性率を求めた。具体的には、以下に示すとおりとした。
試料溶液の調製:試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのTHFに溶解させて、試料溶液とした。
ポリスチレン系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、THFを溶離液として用い、試料溶液10μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。
カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用した。THFを溶離液として用い、試料溶液200μLを装置に注入して測定した。
カラムは、ガードカラム:東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperH−H」、カラム:東ソー社製の商品名「TSKgel SuperH5000」、「TSKgel SuperH6000」、「TSKgel SuperH7000」を使用した。カラムオーブン温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で、RI検出器(東ソー社製 HLC8020)を用いて測定しクロマトグラムを得た。
シリカ系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、THFを溶離液として用い、試料溶液50μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5ml/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。カラムは、商品名「Zorbax PSM−1000S」、「PSM−300S」、「PSM−60S」を接続して使用し、その前段にガードカラムとして商品名「DIOL 4.6×12.5mm 5micron」を接続して使用した。
変性率の計算方法:ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求めた。
変性率(%)=[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(ここで、P1+P2=P3+P4=100である。)
(評価6)分子量
後述する試料A〜Qを試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」)を使用して、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8320」)を用いてクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用して得られる検量線に基づいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)と、分子量200×104以上500×104以下成分の割合と、を求めた。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHF(テトラヒドロフラン)を使用した。
カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用した。
測定用の試料10mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液10μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で測定した。
(評価7)収縮因子(g’)
後述する試料A〜Qを試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(Malvern社製の商品名「GPCmax VE−2001」)を使用して、光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定し、標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器結果から絶対分子量を、RI検出器と粘度検出器の結果から固有粘度を求めた。
直鎖ポリマーは、固有粘度[η]=−3.883M0.771に従うものとして用い、各分子量に対応する固有粘度の比としての収縮因子(g’)を算出した。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用した。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、及び「TSKgel G6000HXL」を接続して使用した。
測定用の試料20mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定した。
(評価8)窒素原子の有無
(評価4)と同様の測定を行い、算出された変性率が10%以上であった場合、窒素原子を有していると判断した。これにより、実施例1〜13、及び比較例2〜4の共役ジエン系重合体が窒素原子を有すること、比較例1の変性共役ジエン系重合体が窒素原子を有しないことを確認した。
(評価9)珪素原子の有無
後述する試料A〜Qから、分取GPCにより単離した変性共役ジエン系重合体各0.5を試料として、JIS K 0101 44.3.1に準拠して、紫外可視分光光度計(島津製作所社製の商品名「UV−1800」)を用いて測定し、モリブデン青吸光光度法により定量した。
これにより、珪素原子が検出された場合(検出下限10質量ppm)、珪素原子を有していると判断した。
これにより、実施例1〜13、及び比較例1〜4の変性共役ジエン系重合体が珪素原子を有することを確認した。
(非イオン界面活性剤)
非イオン界面活性剤として、以下の2種類を使用した。
非イオン界面活性剤1:ジ(ポリオキシエチレン)ステアリルアミン
(ポリオキシエチレンの平均付加モル数は5、HLB値は12.5)
非イオン界面活性剤2:エチレングリコールモノステアレート
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤として、エボニック デグサ社製の商品名「Si69」(ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)を使用した。
〔実施例1〜13、比較例1〜4〕
(実施例1)
内容積10Lで、内部の高さと直径の比(L/D)が4であり、底部に入り口、頂部に出口を有し、撹拌機及び温度調整用のジャケットを有するオートクレーブを重合反応器とした。予め、水分等の不純物を除去した、1,3−ブタジエンを17.9g/分、スチレンを9.8g/分、n−ヘキサンを145.3g/分の条件で混合した。この混合溶液が1基目の反応器に入る直前で、不純物不活性化処理用のn−ブチルリチウムを0.104mmol/分でスタティックミキサーで混合した後、1基目反応器の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.0194g/分の速度で、重合開始剤として、n−ブチルリチウムを0.255mmol/分の速度で、1基目反応器の底部へ供給し、連続的に重合反応を継続させた。反応器頂部出口における重合溶液の温度が75℃となるように温度を制御した。反応器の出口より流出した重合体溶液に、カップリング剤として2.74mmol/Lに希釈したビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン(表中、「A」と略す。)を0.0425mmol/分の速度で連続的に添加し、カップリング剤を添加された重合体溶液はスタティックミキサーを通ることで混合されカップリング反応した。
スタティックミキサーから流出した重合体溶液に酸化防止剤(BHT)をポリマー100gあたり0.2gとなるように連続的に添加し、変性反応を終了させ、変性共役ジエン系重合体の溶液を得た。
更に、オイルとしてS−RAE(JX日鉱日石エネルギー社製の商品名「プロセスNC140」)をポリマー100gあたり23.0g、非イオン界面活性剤1を、ポリマー100gあたり2.0gとなるように混合した後、ジャケットを具備した二軸の脱揮押出機により溶媒を除去して、ベール状に成形し、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料A)を得た。
試料Aの性状を表1に示す。
(実施例2)
カップリング剤としてビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミンの代わりにトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン(表中、「B」と略す。)に替えた。その他の条件は(実施例1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料B)を得た。
試料Bの性状を表1に示す。
(実施例3)
不純物不活性化処理用のn−ブチルリチウムの添加量を0.117mmol/分、重合用のn−ブチルリチウムの添加量を0.242mmol/分とし、カップリング剤をビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミンからトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン(表中、「C」と略す。)に替え、カップリング剤の添加量を0.0302mmol/分とした。その他の条件は(実施例1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料C)を得た。
試料Cの性状を表1に示す。
(実施例4)
不純物不活性化処理用のn−ブチルリチウムの添加量を0.108mmol/分、重合用のn−ブチルリチウムの添加量を0.251mmol/分とし、カップリング剤をビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミンからトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン(表中、「D」と略す。)に替え、カップリング剤の添加量を0.0359mmol/分とした。その他の条件は(実施例1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料D)を得た。
試料Dの性状を表1に示す。
(実施例5)
不純物不活性化処理用のn−ブチルリチウムの添加量を0.117mmol/分、重合用のn−ブチルリチウムの添加量を0.242mmol/分とし、カップリング剤をビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミンからテトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン(表中、「E」と略す。)に替え、カップリング剤の添加量を0.0302mmol/分とした。その他の条件は(実施例1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料E)を得た。
試料Eの性状を表1に示す。
(実施例6)
不純物不活性化処理用のn−ブチルリチウムの添加量を0.117mmol/分、重合用のn−ブチルリチウムの添加量を0.242mmol/分とし、カップリング剤をビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミンからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に替え、カップリング剤の添加量を0.0302mmol/分とした。その他の条件は(実施例1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料F)を得た。
試料Fの性状を表1に示す。
(実施例7)
不純物不活性化処理用のn−ブチルリチウムの添加量を0.117mmol/分、重合用のn−ブチルリチウムの添加量を0.242mmol/分とし、カップリング剤をビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミンからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(表中、「G」と略す。)に替え、カップリング剤の添加量を0.0302mmol/分とした。その他の条件は(実施例1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料G)を得た。
試料Gの性状を表1に示す。
(実施例8)
添加する非イオン界面活性剤1の量を、ポリマー100gあたり5.0gとなるように、更に添加するオイル(S−RAE)の量を、ポリマー100gあたり20.0gとなるように混合した。その他の条件は、(実施例6)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料H)を得た。
試料Hの性状を表1に示す。
(実施例9)
添加する非イオン界面活性剤1の量を、ポリマー100gあたり8.0gとなるように、更に添加するオイル(S−RAE)の量を、ポリマー100gあたり17.0gとなるように混合した。その他の条件は、(実施例6)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料I)を得た。
試料Iの性状を表1に示す。
(実施例10)
非イオン界面活性剤1の替わりに非イオン界面活性剤2とした。その他の条件は(実施例6)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料J)を得た。
試料Jの性状を表1に示す。
(実施例11)
溶媒の除去を、ジャケットを具備した二軸の脱揮押出機の代わりにスチームストリッピングとした。その他の条件は(実施例6)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料K)を得た。
試料Kの性状を表1に示す。
(実施例12)
変性共役ジエン系重合体の溶液を得るまでの条件は(実施例6)と同様にして、非イオン界面活性剤1を加えない状態で、ジャケットを具備した二軸の脱揮押出機で溶媒の除去を行ったあと、単軸の押出機内に、得られた変性共役ジエン系重合体と非イオン界面活性剤1とを、質量比で、変性共役ジエン系重合体:非イオン界面活性剤1=100:2となるよう連続的に供給して、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料L)を得た。
試料Lの性状を表1に示す。
(実施例13)
溶媒の除去を、ジャケットを具備した二軸の脱揮押出機の代わりにスチームストリッピングとした。その他の条件は(実施例12)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料M)を得た。
試料Mの性状を表1に示す。
(比較例1)
不純物不活性化処理用のn−ブチルリチウムの添加量を0.114mmol/分、重合用のn−ブチルリチウムの添加量を0.248mmol/分とし、カップリング剤をビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミンからビス(トリメトキシシリル)エタン(表中、「H」と略す。)に替え、カップリング剤の添加量を0.0620mmol/分とした。その他の条件は(実施例1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料N)を得た。
試料Nの性状を表2に示す。
(比較例2)
不純物不活性化処理用のn−ブチルリチウムの添加量を0.114mmol/分、重合用のn−ブチルリチウムの添加量を0.248mmol/分とし、カップリング剤をビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミンからビス(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルアミン(表中、「I」と略す。)に替え、カップリング剤の添加量を0.0620mmol/分とした。その他の条件は(実施例1)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料O)を得た。
試料Oの性状を表2に示す。
(比較例3)
非イオン界面活性剤1を加えず、更に添加するオイル(S−RAE)の量を、ポリマー100gあたり25.0gとなるように混合した。その他の条件は(実施例6)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料P)を得た。
試料Pの性状を表2に示す。
(比較例4)
非イオン界面活性剤1の代わりにシランカップリング剤(エボニック デグサ社製の商品名「Si69」)を使用した。その他の条件は(実施例6)と同様にして、変性共役ジエン系重合体の組成物(試料Q)を得た。
試料Qの性状を表2に示す。
表1及び表2中に示す「分岐度」とは、収縮因子の値から想定される分岐数である。
比較例1において用いたカップリング剤(H)でカップリングしたゴムは、シリカカラムに吸着されず、変性率は測定できなかった。
表1、表2に示すとおり、非イオン界面活性剤を含む実施例1〜13の変性共役ジエン系重合体組成物のベールは、生産時から30日間のムーニー粘度変化が小さく、貯蔵安定性に優れることが確認された。
〔実施例14〜26、比較例5〜11〕
以下に示すベール試料及び試薬を用いて、表3、表4に示す配合組成に従い、それぞれの試料を含有するゴム組成物を得た。
なお、すべての実施例及び比較例において、ポリマーとシリカ系無機充填剤含有量の比率を統一するため、試料A〜P由来のポリマー量100質量部に対し、シリカ系無機充填剤が75質量部、オイルと非イオン界面活性剤の合計が42質量部となるよう決定した。
シリカ(エボニック デグサ社製の商品名「Ultrasil 7000Gr」窒素吸着比表面積170m2/g)
表面処理シリカ1、2:Ultrasil 7000Grを予め以下の非イオン界面活性剤1または2で表面処理したもの。ここで、表面処理に使用した非イオン界面活性剤量は、シリカ75質量部に対し2質量部とした。
表面処理シリカ1:ジ(ポリオキシエチレン)ステアリルアミン
(ポリオキシエチレンの平均付加モル数は5)
表面処理シリカ2:エチレングリコールモノステアレート
オイル:S−RAE(JX日鉱日石エネルギー社製の商品名「プロセスNC140」)
(上述の試料A〜Qにて使用したもの)
非イオン界面活性剤1〜2:上述の試料A〜Oにて使用したもの
また、表3、表4に示す組成に加えて、下記の材料を添加した。
シランカップリング剤:エボニック デグサ社製の商品名「Si75」(ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド):6.0質量部
カーボンブラック(東海カーボン社製、シーストKH(N339)):5.0質量部
亜鉛華:2.5質量部
ステアリン酸:1.0質量部
老化防止剤(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン):2.0質量部
硫黄:2.2質量部
加硫促進剤1(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフィンアミド):1.7質量部
加硫促進剤2(ジフェニルグアニジン):2.0質量部
合計:239.4質量部
上記した材料を下記の方法により混練してゴム組成物を得た。
温度制御装置を具備する密閉混練機(内容量0.3L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数50/57rpmの条件で、変性共役ジエン系重合体組成物(試料A〜P)、シリカ系無機充填剤、非イオン界面活性剤、オイル(S−RAE)、カーボンブラック、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸を混練した。このとき、密閉混合機の温度を制御し、排出温度は155〜160℃でゴム組成物(配合物)を得た。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、再度混練した。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155〜160℃に調整した。
冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤を加えて混練した。その後、成型し、160℃で20分間、加硫プレスにて加硫した。
加硫後、ゴム組成物の物性を測定した。
物性測定結果を表3、表4に示す。
ゴム組成物の物性は、下記の方法により測定した。
((1)配合物ムーニー粘度)
第三段の混練後の試料を測定対象とし、ムーニー粘度計を使用し、JIS K6300−1に準拠して、130℃、1分間の予熱を行った後に、ローターを毎分2回転で4分間回転させた後の粘度を測定した。
各々の測定値は、比較例11の値を100として指数化してあり、値が小さいほど加工性に優れることを示す。
((2)シリカ解砕度及びシリカ再凝集度)
第二段の混練後の試料を測定対象とし、測定装置としてRPA2000(ALPHA TECHNOLOGIES社製、未加硫粘弾性装置)を用い、以下のプログラムを組んだ。ステップ1:50℃、周波数1.0Hzの条件下、歪みを0.1%から100%まで掃引する。これを3回、繰り返す。
ステップ2:100℃に昇温し、周波数1.0Hz、歪み0.1%の条件下、60分間保つ。
ステップ3:50℃、周波数1.0Hzの条件下、歪みを0.1%から100%まで掃引する。
試料に対し、歪みを0.1%から100%まで掃引した際、その測定中に試料中のシリカ凝集体の解砕が起こると言われており、0.1%歪と100%歪の貯蔵弾性率(G’)値の差として得られるペイン効果ΔG’は試料中のシリカ凝集度を表すと言われている。同一試料に対し、歪み掃引操作を連続で3回繰り返すと、ΔG’はそれ以上大きな変化はせずほぼ一定となる。このとき、ステップ1の3回目の操作で得られたΔG’(1)が、第一段及び第二段の混練によるシリカの解砕度とみなすことができ、「シリカ解砕度」と定義した。測定値は、比較例11の値を100として指数化した。値が小さいほど解砕が進んでいることを表す。
また、3回の繰り返し操作後、装置内において100℃で試料をエージングする(ステップ2)ことにより、シリカの再凝集を促進させることができる。再凝集進行の様子は貯蔵弾性率(G’)の推移で判断でき、60分間加温したのちはで概ね一定値を示した。
エージング後、再度50℃まで温度を下げ、歪みを0.1%から100%まで掃引した(ステップ3)際に得られるペイン効果ΔG’(3)とΔG’(1)との差は、エージングによるシリカ再凝集に相当するとみなすことができ、「シリカ再凝集度」と定義した。測定値は、比較例11の値を100として指数化した。値が小さいほど再凝集を抑制できていることを表す。
((3)粘弾性パラメーター)
加硫後のゴム組成物を測定試料とし、レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機「ARES」を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメーターを測定した。
各々の測定値は、比較例11の値を100として指数化した。
50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを省燃費特性の指標(表2中、50℃ tanδ (歪み 3%)と表記した。)とした。
値が小さいほど省燃費性能が良好であることを示す。
更に、50℃、周波数10Hzの条件下で、ひずみ0.1%で測定したG’の値と、ひずみ10%で測定したG’の値の差分(ペイン効果)をシリカの分散性の指標(表2中、ペイン効果ΔG’と表記した。)とした。値が小さいほど、シリカの分散性が良好であることを示す。
((4)引張強度)
JIS K6251の引張試験法に準拠し引張強度を測定し、比較例11の結果を100として指数化した。指数が大きいほど引張強度が良好であることを示す。
表3、表4に示す通り、実施例14〜26のゴム組成物は、比較例11のゴム組成物と比較して、配合物ムーニー粘度が良好であり加工性に優れる上、シリカの解砕度及び再凝集度も良好で、50℃のtanδが低く、タイヤの低転がり抵抗性が実現されているとともに、50℃のペイン効果ΔG’が低く、シリカの分散性に優れ、さらに、引張特性にも優れることが判った。
また表3、表4に示す通り、非イオン界面活性剤を含むベールとした実施例19及び23と、非イオン界面活性剤を溶融混練時に添加した比較例9〜10とを比べ、非イオン界面活性剤は予め(変性)共役ジエン系共重合体組成物としておいた方が、上記物性のバランスが優れることが確認された。
さらに表3、表4に示す通り、非イオン界面活性剤を含むベールとした実施例19及び23と、非イオン界面活性剤によりシリカ表面を被覆した状態で溶融混練した比較例7〜8とを比べ、非イオン界面活性剤は予め(変性)共役ジエン系共重合体組成物としておいた方が、上記物性のバランスが優れることが確認された。
本発明の共役ジエン系重合体組成物は、タイヤ用ベーストレッド及びタイヤの材料として、産業上の利用可能性を有している。

Claims (12)

  1. 変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部と、
    非イオン界面活性剤0.1〜10質量部と、
    を、含む、変性共役ジエン系重合体組成物のベールであって、
    前記変性共役ジエン系重合体が、
    重量平均分子量が20×104以上300×104以下であり、かつ前記変性共役ジエン系重合体の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体の成分を0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満である、変性共役ジエン系重合体組成物のベール。
  2. 前記変性共役ジエン系重合体が、窒素原子と珪素原子とを有する、請求項1に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベール。
  3. 前記変性共役ジエン系重合体が、分岐を有し、分岐度が5以上である、請求項1又は2に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベール。
  4. 前記変性共役ジエン系重合体が、下記一般式(I)で表される、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベール。
    (式(I)中、D1は、ジエン系重合体鎖を示し、R1〜R3は、各々独立に、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R4及びR7は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R5、R8、及びR9は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R6及びR10は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。m及びxは、各々独立に、1〜3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは、1〜3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のD1、R1〜R11、m、p、x、y、及びzは、各々独立しており、同じであっても異なっていてもよい。iは、0〜6の整数を示し、jは、0〜6の整数を示し、kは、0〜6の整数を示し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5〜30の整数である。Aは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、珪素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す。)
  5. 前記式(I)において、Aは、下記一般式(II)〜(V)のいずれかで表される、
    請求項4に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベール。
    (式(II)中、B1は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB1は、各々独立している。)
    (式(III)中、B2は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、B3は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のB2及びB3は、各々独立している。)
    (式(IV)中、B4は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB4は、各々独立している。)
    (式(V)中、B5は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB5は、各々独立している。)
  6. 変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、非イオン界面活性剤とを含む、変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法であって、
    (A)前記ゴム成分の溶液に、非イオン界面活性剤を、前記ゴム成分100質量部に対し0.1〜10質量部添加し、溶液を得る工程と、
    (B)前記工程(A)で得られた溶液を脱溶剤する工程と、
    を有し、
    前記変性共役ジエン系重合体が、重量平均分子量が20×104以上300×104以下であり、かつ前記変性共役ジエン系重合体の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体の成分を0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満である、
    変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法。
  7. 前記脱溶剤する工程(B)において、前記溶液を、水に接触させずに脱溶剤する、
    請求項6に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法。
  8. 変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、非イオン界面活性剤とを含む、変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法であって、
    (C)前記ゴム成分に、非イオン界面活性剤を、前記ゴム成分100質量部に対し0.1〜10質量部添加する工程を、
    有し、
    前記変性共役ジエン系重合体が、重量平均分子量が20×104以上300×104以下であり、かつ前記変性共役ジエン系重合体の総量に対して、分子量が200×104以上500×104以下である変性共役ジエン系重合体の成分を0.25質量%以上30質量%以下含み、収縮因子(g’)が0.64未満である、変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法。
  9. 前記変性共役ジエン系重合体が、窒素原子と珪素原子とを有する、
    請求項6乃至8のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法。
  10. 前記変性共役ジエン系重合体が、分岐を有し、分岐度が5以上である、
    請求項6乃至9のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法。
  11. 前記変性共役ジエン系重合体が、下記一般式(I)で表される、請求項6乃至10のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法。
    (式(I)中、D1は、ジエン系重合体鎖を示し、R1〜R3は、各々独立に、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R4及びR7は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R5、R8、及びR9は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R6及びR10は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。m及びxは、各々独立に、1〜3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは、1〜3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のD1、R1〜R11、m、p、x、y、及びzは、各々独立しており、同じであっても異なっていてもよい。iは、0〜6の整数を示し、jは、0〜6の整数を示し、kは、0〜6の整数を示し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5〜30の整数である。Aは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、珪素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す。)
  12. 前記式(I)において、Aは、下記一般式(II)〜(V)のいずれかで表される、
    請求項11に記載の変性共役ジエン系重合体組成物のベールの製造方法。
    (式(II)中、B1は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB1は、各々独立している。)
    (式(III)中、B2は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、B3は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のB2及びB3は、各々独立している。)
    (式(IV)中、B4は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB4は、各々独立している。)
    (式(V)中、B5は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB5は、各々独立している。)
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WO2022080450A1 (ja) * 2020-10-16 2022-04-21 Jsr株式会社 ゴムベール及びその製造方法、重合体組成物、架橋体及びタイヤ

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