JP2020045316A - 経皮吸収用組成物及び経皮吸収性向上方法 - Google Patents

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伸岳 高橋
康之 高橋
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康之 高橋
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Toshiro Sone
俊郎 曽根
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Abstract

【課題】皮膚に塗布することにより所定の成分を経皮吸収させるための経皮吸収用組成物、及び経皮吸収させるべき成分の経皮吸収性を向上させる方法を提供する。【解決手段】所定の成分を含有せしめたうえ、それを皮膚に塗布することにより該成分を経皮吸収させるための組成物であって、前記組成物は、W/O型乳化組成物であることを特徴とする経皮吸収用組成物である。また、経皮吸収させるべき成分を、W/O型乳化組成物に含有せしめる、前記成分の経皮吸収性向上方法である。【選択図】 なし

Description

本発明は、皮膚に塗布することにより所定の成分を経皮吸収させるための経皮吸収用組成物、及び経皮吸収させるべき成分の経皮吸収性向上方法に関する。
油相に水相が分散してなるW/O型乳化状の組成物であって、分散相の割合が高いものは高内相乳化組成物と呼ばれている(特許文献1参照)。一般に、高内相乳化組成物のメリットとしては、W/O型の乳化化粧料として、さっぱりとした使用感と高い保湿効果の両立が得られる点が挙げられる。そのデメリットとしては、乳化状態を維持するのが難しく、経時安定性が低いことが挙げられる。
一方、皮膚に作用して生理活性を示す成分が知られており、例えば、ビタミンC又はその誘導体、ビタミンE又はその誘導体、ビタミンA又はその誘導体、グリチルリチン酸又はその誘導体、トラネキサム酸又はその誘導体、あるいは種々の保湿剤、美白剤、抗炎症剤、抗にきび剤、抗しわ剤、抗酸化剤などが挙げられ、従来、これらを医薬部外品や化粧品に配合して皮膚に作用させることが行われている(非特許文献1)。
特開昭57−81827号公報
新化粧品ハンドブック(2006)日光ケミカルズ
しかしながら、W/O型の乳化組成物、特に高内相乳化組成物によって、所定の成分の皮膚への移行性を向上させる技術に関する報告はなかった。
よって、本発明の目的は、W/O型の乳化組成物、特に高内相乳化組成物を利用して、皮膚に塗布することにより所定の成分を経皮吸収させるための経皮吸収用組成物、及び経皮吸収させるべき成分の経皮吸収性を向上させる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1は、所定の成分を含有せしめたうえ、それを皮膚に塗布することにより該成分を経皮吸収させるための組成物であって、前記組成物は、W/O型乳化組成物であることを特徴とする経皮吸収用組成物を提供するものである。
本発明に係る経皮吸収用組成物によれば、W/O型乳化組成物を用いるので、所定の成分を含有せしめたうえ、それを皮膚に塗布することにより、その所定の成分の経皮吸収性が、他の乳化状の形態の組成物の場合よりも向上する。よって、例えば、さっぱりとした使用感と高い保湿効果の両立を企図した化粧料の形態でいて、なお且つ、所望の成分を経皮吸収させる目的にも適した、経皮吸収用の形態を提供することができる。
本発明に係る経皮吸収用組成物においては、前記組成物は、水相の占める割合が70質量%以上であり、油ゲル化剤の配合により安定化されたW/O型乳化組成物であることが好ましい。これによれば、その乳化状態がより安定に維持されて、ひいては優れた経皮吸収特性が得られる。
本発明に係る経皮吸収用組成物においては、前記油ゲル化剤は、デキストリン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含むものであることが好ましい。これによれば、その乳化状態がより安定に維持されて、ひいては優れた経皮吸収特性が得られる。
本発明に係る経皮吸収用組成物においては、前記油ゲル化剤は、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ベヘン酸グリセリル、及び(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含むものであることが好ましい。これによれば、その乳化状態がより安定に維持されて、ひいては優れた経皮吸収特性が得られる。
本発明に係る経皮吸収用組成物においては、前記成分として、油溶性成分を経皮吸収させるためのものであることが好ましい。
一方、本発明の第2は、経皮吸収させるべき成分を、W/O型乳化組成物に含有せしめる、前記成分の経皮吸収性向上方法を提供するものである。
本発明に係る経皮吸収性向上方法によれば、経皮吸収させるべき成分を、W/O型乳化組成物に含有せしめるので、それを皮膚に塗布することにより、その所定の成分の経皮吸収性が、他の乳化状の形態の組成物の場合よりも向上する。よって、例えば、さっぱりとした使用感と高い保湿効果の両立を企図した化粧料の形態でいて、なお且つ、所望の成分を経皮吸収させる目的にも適した、経皮吸収用の形態を提供することができる。
本発明に係る経皮吸収性向上方法においては、前記組成物は、水相の占める割合が70質量%以上であり、油ゲル化剤の配合により安定化されたW/O型乳化組成物であることが好ましい。これによれば、その乳化状態がより安定に維持されて、ひいては優れた経皮吸収特性が得られる。
本発明に係る経皮吸収性向上方法においては、前記油ゲル化剤は、デキストリン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含むものであることが好ましい。これによれば、その乳化状態がより安定に維持されて、ひいては優れた経皮吸収特性が得られる。
本発明に係る経皮吸収性向上方法においては、前記油ゲル化剤は、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ベヘン酸グリセリル、及び(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含むものであることが好ましい。これによれば、その乳化状態がより安定に維持されて、ひいては優れた経皮吸収特性が得られる。
本発明に係る経皮吸収性向上方法においては、前記成分として、油溶性成分を経皮吸収させるためのものであることが好ましい。
本発明によれば、W/O型乳化組成物を用いるので、所定の成分を含有せしめたうえ、それを皮膚に塗布することにより、その所定の成分の経皮吸収性が、他の乳化状の形態の組成物の場合よりも向上する。よって、例えば、さっぱりとした使用感と高い保湿効果の両立を企図した化粧料の形態でいて、なお且つ、所望の成分を経皮吸収させる目的にも適した、経皮吸収用の形態を提供することができる。
図1は、試験例1において各種の乳化組成物を用いた皮膚吸収性試験により、皮膚代替膜に含まれる酢酸DL−α−トコフェロールの含有量を調べた結果を示す図表である。 図2は、試験例6において各種の乳化組成物を用いた皮膚吸収性試験により、皮膚代替膜に含まれる酢酸DL−α−トコフェロールの含有量を調べた結果を示す図表である。 図3は、試験例7において各種の乳化組成物を用いた皮膚吸収性試験により、皮膚代替膜に含まれるグリチルレチン酸ステアリルの含有量を調べた結果を示す図表である。 図4は、試験例8において各種の乳化組成物を用いた皮膚吸収性試験により、皮膚代替膜に含まれるパルミチン酸レチノールの含有量を調べた結果を示す図表である。 図5は、試験例9において各種の乳化組成物を用いた皮膚吸収性試験により、皮膚代替膜に含まれる酢酸DL−α−トコフェロールの含有量を調べた結果を示す図表である。
本発明は、経皮吸収させるべき成分の経皮吸収性の向上を図るために、特定の性状を備えた乳化組成物を用いる技術に関するものであり、より詳細には、特定の性状を備えた乳化組成物に所定の成分を含有せしめたうえ、それを皮膚に塗布することにより、その所定の成分を経皮吸収させるための組成物に関するものである。ここで、本明細書において「経皮吸収」とは、所定の成分が皮膚を介して生体に取り込まれることを意味するものであり、また「経皮吸収性」とは、所定の成分が皮膚を介して生体に取り込まれる際の取り込まれ易さを意味するものである。この場合、本発明の適用は、所定の成分が主に血中にまで移行する場合と、主に皮膚中にとどまる場合と、いずれの経皮吸収形態のものにも制限されるものではなく、また、経皮吸収のメカニズムは任意であり、特定の経皮吸収メカニズムのものに制限されるものではない。
本発明に用いる乳化組成物は、W/O型乳化組成物である。後述の実施例に示されるように、このような性状を備えた乳化組成物に所定の成分を含有せしめると、その所定の成分の経皮吸収性が、他の乳化状の形態の組成物の場合よりも向上する。その水相の占める割合としては、典型的には70質量%以上99質量%以下であり、より典型的には74質量%以上95質量%以下であり、更により典型的には74質量%以上90質量%以下である。以下、このような高内相W/O型の性状を備えた乳化組成物を「高内相W/O型乳化組成物」と称する場合がある。
ここで、一般に乳化組成物の乳化状態として、油相中に水相が分散してなるW/O型の乳化状態を形成しているかどうかは、当業者に周知の方法により、例えば、試験管に入れた水に乳化物を滴下し、分散しなければW/O型の乳化状態であると判定することができる(希釈法)。また、例えば、乳化物にテスターの電極部分を接触させ電気伝導度を測定することによりW/O型の乳化状態であることを確認することができる(電気伝導度法)。更に、例えば、水溶性または油溶性色素を添加し、顕微鏡像によりW/O型の乳化状態であることを確認することができる(色素法)。
本発明を適用して経皮吸収させるべき成分としては、従来から皮膚に適用されている成分であってもよく、あるいは新規な成分であってもよく、特に制限されるものではない。従来から皮膚に適用されているものとしては、例えば、保湿剤、美白剤、抗にきび剤、抗しわ剤、抗炎症剤、抗酸化剤等が挙げられ、より具体的には、ビタミンA、B、C(アスコルビン酸)、D、E、P、U等のビタミン類、その誘導体又はそれらの塩、トラネキサム酸、その誘導体又はそれらの塩等の美白剤、アミノ酸、糖、グリセリン等の保湿剤、グリチルリチン酸、その誘導体又はそれらの塩、グリチルレチン酸、アラントイン、トラネキサム酸、その誘導体又はそれらの塩等の抗炎症剤、システイン、その誘導体又はそれらの塩、ニコチン、その誘導体又はそれらの塩などが挙げられる。経皮吸収させるべき成分としては、2種類以上が併用されてもよい。
本発明において、経皮吸収させるべき成分としては、油溶性の物質であることがより好ましい。これによれば、上記高内相W/O型乳化組成物の連続相である油相に溶解させやすい。ここで、「油溶性」とは、例えば、1気圧20℃で純水と混合したときに、均一な外観を維持するものが水溶性であり、その水溶性以外のものを油溶性である、といった指標により、油溶性かどうか判定してもよい。油溶性の物質として、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリルなどのグリチルレチン酸誘導体、トコフェロール、レチノール、レチナール、レチノイン酸などの脂溶性ビタミン類、酢酸DL-α-トコフェロール、トコフェロールニコチン酸エステル、パルミチン酸レチノール、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビルなどの脂溶性のビタミン誘導体、β-カロテンなどのカロチノイド類、ユビキノン類、オクチト酸とその誘導体、カルニチン誘導体、セラミド、スフィンゴ脂質、脂溶性プロビタミン、脂溶性のプロビタミン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。経皮吸収性が良いという点から、酢酸DL-α-トコフェロール、グリチルレチン酸ステアリル、パルミチン酸レチノールが好ましい。
以下には、本発明に用いる高内相W/O型乳化組成物について、更に詳細に説明する。ただし、本発明に用いる高内相W/O型乳化組成物は、上記性状を備えたものであればよく、以下に説明する好ましい態様は、本発明の範囲をなんら制限するものではない。
本発明に用いる高内相W/O型乳化組成物は、その好ましい態様においては、
成分(A)として乳化剤を、
成分(B)として液状油を、
成分(C)として油ゲル化剤を、
成分(D)として水を含有し、水相からなる分散相の占める割合が70質量%以上である。この場合、後述の実施例に示されるように、成分(C)として油ゲル化剤を配合することにより、高内相W/O型乳化組成物の乳化状態を安定化させることができる。
本発明に用いる高内相W/O型乳化組成物は、水相からなる分散相の占める割合が70質量%以上99質量%以下であることが好ましく、74質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、74質量%以上90質量%以下であることが最も好ましい。
成分(A)の乳化剤としては、一般に化粧料等に使用可能な乳化剤を適宜選択して使用すればよいが、特にエステルを構成する脂肪酸が不飽和である親油性の界面活性剤が好ましい。例えば不飽和脂肪酸としてオレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リシノレイン酸などが挙げられ、界面活性剤の親水部分としては、ショ糖、グリセリン、ソルビタン、オキシエチレンなどが挙げられる。なかでも、オレイン酸スクロースやエルカ酸スクロースを用いるのが好ましい。また、使用感、安定性および乳化組成物の粘性の観点より、エステルを構成する脂肪酸が飽和脂肪酸であるパルミチン酸やステアリン酸である界面活性剤を併用してもよい。なかでもパルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロースを用いるのが好ましい。また、使用感の観点から、ポリグリセリン脂肪酸エステル、特に縮合リシノレイン酸ペンタグリセリンを用いることが好ましい。
成分(A)は、乳化剤として、1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
成分(A)の含有量としては、成分(B)〜(D)の配合量や他の原料の配合量との関係もあり、また、用いる乳化剤の種類によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中に0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。この範囲を外れると、高内相W/O型乳化組成物の乳化状態を安定化する効果に乏しくなる。
成分(B)の液状油としては、一般に化粧料等に使用可能な液状油を適宜選択して使用すればよく、特に制限はない。例えば、低粘で肌に塗布しやすい乳化液体状の化粧料とする観点からは、常温(25℃)で液体状となる液状油を用いることが好ましい。
具体的には、例えば、脂肪酸類とアルコール類とをエステル結合してなるエステル油である。エステル油としては、例えば、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸2−オクチルドデシル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリイソステアリン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、2−エチルヘキサン酸ジグリセリド等が挙げられる。低粘性及び安定性の観点からは、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニルやトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルが好ましい。
また、例えば、炭化水素系の非エステル油である。非エステル油としては、例えば、ミネラルオイル(流動パラフィン)、スクワラン、スクワレン、セレシン等が挙げられる。低粘性及び安定性の観点からは、ミネラルオイルやスクワランが好ましい。
また、例えば、シリコーン系のシリコーン油である。シリコーン油としては、例えば、ジフェニルシロキシトリメチコン、ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)、フェニルトリメチコン、シクロペンタシロキサン等が挙げられる。メイクなじみや、2種以上の液状油を使用する場合の他の油相成分との相溶性の観点からは、ジフェニルシロキシトリメチコンやジメチコンが好ましい。
また、例えば、植物油である。植物油としては、例えば、ホホバ油、オリーブ油、マカダミアナッツ油、ツバキ油、アボガド油、ローズヒップ油、ククイナッツ油、ヘーゼルナッツ油、メドウフォーム油等が挙げられる。安定性の観点からは、マカダミアナッツ油やメドウフォーム油が好ましい。
成分(B)は、液状油として、1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
成分(B)の含有量としては、成分(A)、(C)、及び(D)の配合量や他の原料の配合量との関係もあり、また、用いる液状油の種類によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中に0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。上記範囲を超えると、水相からなる分散相の占有比を維持し難くなる。また、上記範囲未満であると、W/O型の乳化状態を維持し難くなる。
成分(C)の油ゲル化剤としては、一般に化粧料等に使用可能な油ゲル化剤を適宜選択して使用すればよく、特に制限はない。例えば、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、ステアリン酸イヌリン等の多糖と脂肪酸のエステル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、ベヘン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル、バチルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコールや有機変性粘度鉱物等が挙げられる。なかでも、後述の実施例で示されるように、デキストリン脂肪酸エステルやグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましく、より具体的には、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、ベヘン酸グリセリル等を用いることが好ましい。
成分(C)は、油ゲル化剤として、1種類のものを単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
成分(C)の含有量としては、成分(A)、(B)、及び(D)の配合量や他の原料の配合量との関係もあり、また、用いる油ゲル化剤の種類によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中におよそ0.05質量%以上程度含有せしめれば、安定な高内相W/O型乳化組成物の形成に寄与し得る。好ましくは0.1質量%以上であり、0.1質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることが更により好ましい。上記範囲未満であると、高内相W/O型乳化組成物の乳化状態を安定化する効果に乏しくなる。また、上記範囲を超えて含有せしめても、その含有量に応じて乳化状態を安定化する効果に乏しく、かえって、安定な高内相W/O型乳化組成物の形成を妨げる場合がある。
成分(D)の水としては、例えば、精製水、蒸留水、イオン交換水、RO水、滅菌処理水等、一般に化粧料等に使用可能なものを適宜用いればよく、特に制限はない。
成分(D)の含有量としては、他の成分(A)〜(C)の配合量との関係等によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中に70質量%以上99質量%以下であることが好ましく、74質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。上記範囲未満であると、水相からなる分散相の占有比を維持し難くなる。また、上記範囲を超えると、W/O型の乳化状態を維持し難くなる。
本発明に用いる高内相W/O型乳化組成物には、上記成分(A)〜(D)の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、一般に化粧料等に配合される成分、例えば、アルコール類、有機酸類、塩類、防腐剤、香料、色素、抗菌剤、植物抽出物等を何れも配合することができる。また、増粘のための増粘剤を配合してもよい。
アルコール類としては、肌にしっとり感を付与し、使用感を向上させるという観点からは、例えば、ソルビトール、キシリトール、マルチトールといった糖アルコールや、グリセリン、ジグリセリン等の3価以上の多価アルコールを適宜配合してもよい。また、防腐力等の観点から、例えば、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンチレングリコール、1,2−へキシレングリコール等の2価のアルコールや、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、フェノキシエタノール等の1価のアルコールを適宜配合してもよい。
また、化粧料の使用感を調整するとの観点から、油剤としては、例えば、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)等の半固形油、ステアリン酸バチル、ベヘニルアルコール、蜜蝋、コレステロール等の固形油、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ケイ酸(Al/Mg)、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル重合体等の水系増粘剤を適宜配合してもよい。
本発明の好ましい態様においては、その他の素材として、更に、乳酸菌発酵物を含むことができる。乳酸菌発酵物とは、一般に化粧料等に配合される成分を乳酸菌(ビフィズス菌を含む)で発酵させたものを指し、例えば、特公平02−040643号公報記載の乳酸菌発酵液(牛乳)、特許第4512265号公報記載の乳酸菌発酵液(牛乳)、特許第3795011号記載の乳酸桿菌/アロエベラ発酵液、特許第3184114号公報記載の豆乳ビフィズス菌発酵液等が挙げられるが、これらに限らない。
乳酸菌発酵物の含有量としては、成分(A)〜(D)の配合量や他の原料の配合量との関係もあり、また、用いる乳酸菌発酵物の種類や配合目的によっても一概ではないが、典型的には、例えば、組成物全量中に乾燥固形分換算で0.001質量%以上0.4質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.2質量%以下であることがより好ましい。上記範囲未満であると、当該乳酸菌発酵物を配合したことによる効果を得難くなる。また、上記範囲を超えると、高内相W/O型乳化組成物の乳化状態を安定に維持し難くなる。
本発明に用いるW/O型乳化組成物は、通常、当業者に周知の調製方法のとおり、成分(B)の液状油を主体とし、油によく溶解し又は分散させることができる原料を混合もしくは分散させてなる油性原料と、成分(D)の水を主体とし、水によく溶解し又は分散させることができる原料を混合もしくは分散させてなる水性原料とを調製しておき、必要とあれば、適当な温度条件下、例えば室温〜80.0℃にて、それら油相に水相を少量ずつ添加しながら分散させることにより調製することができる。一旦乳化状態を形成した後は、例えば室温等に冷却してもよい。このような調製の際には、成分(C)の油ゲル化剤は、一般に油に親和性を有する場合が多いので、油性原料に混合もしくは分散させておくことが好ましい。また、上記経皮吸収させるべき成分が、一般に油に親和性を有する場合にも、油性原料に混合もしくは分散させておくことが好ましい。
本発明に用いるW/O型乳化組成物は、それをそのまま化粧料の形態にして用いてもよく、あるいは化粧料の原料の形態にして化粧料の製造工程で配合するようにして用いてもよい。具体的には、例えば、乳液、クリーム、クレンジング、マッサージ、サンスクリーン、化粧下地、クリームファンデーション等の化粧料の形態や、その原料の形態として、好適に用いられる。更により具体的には、本発明に用いるW/O型乳化組成物として、例えば化粧料や化粧料原料の形態中に、経皮吸収させるべき成分を含有せしめて、得られた化粧料を皮膚に塗布することにより、その所定の成分の経皮吸収性を向上させることができる。よって、所定の成分の経皮吸収の目的に、好適に用いられる。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[試験例1]
表1に示す配合で、下記に示す各種の乳化組成物を調製した。
・調製例1−1:水相からなる分散相と油相からなる連続相との比が85:15であるW/O型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)
・調製例1−2:油相からなる分散相と水相からなる連続相との比が85:15であるO/W型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)
・調製例1−3:水相からなる分散相と油相からなる連続相との比が50:50であるW/O型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)
・調製例1−4:油相からなる分散相と水相からなる連続相との比が50:50であるO/W型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)
・調製例1−5:水相からなる分散相と油相からなる連続相との比が15:85であるW/O型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)
・調製例1−6:油相からなる分散相と水相からなる連続相との比が15:85であるO/W型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)
具体的には、表1に示す配合で、油相及び水相の各原料を秤量後、それぞれ80℃にて溶解・混合し、更にディスパーミキサー(商品名「TK ROBOMICS」(撹拌翼φ35mm)、フィルミックス株式会社製)により、80℃にて油相と水相とを少量ずつ混合しながら撹拌翼回転速度2500rpmで分散させた後、35℃まで冷却し、各種乳化組成物を調製した。
得られた調製物について、常法に従い、皮膚代替膜を用いた皮膚透過試験を実施した。具体的には、試験条件は以下のとおりとした。
(皮膚透過試験)
静置型フランツセル:垂直型ガラス製拡散セル、開口部直径11.28mm、レシーバー容量 8.0mL(パーメギア社)
皮膚代替膜:「Strat-M(登録商標)メンブレン、経皮拡散試験モデル、直径25mm」、厚さおよそ300μm(メルク社)
レシーバー側の溶液:ウシ血清アルブミン5%含有PBS溶液8.0mL
ドナー側への試料適用量:1.0mL(酢酸DL−α−トコフェロール10mg含有)
試験温度:32℃
試験時間:24時間
酢酸DL−α−トコフェロールの定量:HPLC
各種の乳化組成物にわたり3例の皮膚透過性試験を行い、試験後に皮膚代替膜が含有する酢酸DL−α−トコフェロール量を、HPLCにより定量した。
結果を表2及び図1に示す。なお、結果は、皮膚代替膜1枚あたりの酢酸DL−α−トコフェロール量として求め、その平均値と標準偏差を示した。また、統計手法であるTukey法により危険率Pを求め、P<0.001未満のものについては、図1中に示した。
[HPLC条件]
HPLC:Thermo Fisher Scientific社 UltiMate3000
カラム:phenomenex社 Kinetex C18(50x3.0mm)
移動相:85%エタノール水溶液
流速:0.5mL/min
検出:UV254nm
その結果、連続相と分散相の比率が同じであれば、W/O型乳化組成物がO/W型乳化組成物に比べて、皮膚代替膜が含有する酢酸DL−α−トコフェロール量が顕著に高かった。また、調製例1−1、すなわち、水相からなる分散相と油相からなる連続相との比が85:15であるW/O型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)では、その他の各種の乳化組成物(調製例1−2〜調製例1−6)に比べて、皮膚代替膜が含有する酢酸DL−α−トコフェロール量が顕著に高かった。
[試験例2]
表3に示す配合で、水相からなる分散相の占める割合が90質量%である高内相W/O型乳化組成物の調製を試みた。具体的には、油相及び水相の各原料を秤量後、それぞれ80℃にて溶解・混合させ、80℃にて油相に水相を少量ずつ添加しながらディスパーミキサー(商品名「スリーワンモーター Blh600」(撹拌翼φ40mm)、新東科学株式会社製)により、撹拌翼回転速度600rpmで分散させた後、35℃まで冷却した。
得られた調製物は、室温条件下でスイングローター式の遠心分離機に供して720×gで30分間の遠心分離処理を行い、調製物が油相と水相に分離せずに乳化状態を保つかどうか目視にて観察し、その安定性を評価した。
また、調製1日後のバルク硬度として、レオメーター(商品名「CR-3000EX-S」、株式会社サン科学製、φ25mm、58mm/min)にて、直径25mmの円柱状のプローブを試料表面から58mm/minの進入速度で充填容器の底面まで進入させたときの平均応力(単位:g(グラム))を計測した。
(安定性評価基準)
○:遠心分離処理後に油相と水相に分離していない。
△:遠心分離処理後に油相と水相に一部分離している。
×:遠心分離処理後に油相と水相に完全に分離している。
その結果、油ゲル化剤として知られるパルミチン酸デキストリンを調製物の全体中に0.05質量%配合すると、一部安定な高内相W/O型乳化組成物が得られることが明らかとなり、パルミチン酸デキストリンを調製物の全体中に0.1質量%以上配合すると、乳化状態が安定な高内相W/O型乳化組成物が得られることが明らかとなった。また、調製物のバルク硬度は油ゲル化剤であるパルミチン酸デキストリンの配合量の増加とともに増大した。
[試験例3]
表4に示す配合で、試験例2と同様の調製方法で、水相からなる分散相の占める割合が90質量%である高内相W/O型乳化組成物の調製を試み、試験例2と同様にして、乳化状態が安定な高内相W/O型乳化組成物が得られるかどうかを試験した。
(安定性評価基準)
○:遠心分離処理後に油相と水相に分離していない。
△:遠心分離処理後に油相と水相に一部分離している。
×:遠心分離処理後に油相と水相に完全に分離している。
その結果、油ゲル化剤として知られる(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルを調製物の全体中に0.05質量%配合すると、一部安定な高内相W/O型乳化組成物が得られることが明らかとなり、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルを調製物の全体中に0.1質量%以上配合すると、乳化状態が安定な高内相W/O型乳化組成物が得られることが明らかとなった。また、調製物のバルク硬度は油ゲル化剤である(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルの配合量の増加とともに増大した。
[試験例4]
表5に示す配合で、試験例2と同様の調製方法で、水相からなる分散相の占める割合が90質量%である高内相W/O型乳化組成物の調製を試み、試験例2、3と同様にして、乳化状態が安定な高内相W/O型乳化組成物が得られるかどうかを試験した。
(安定性評価基準)
○:遠心分離処理後に油相と水相に分離していない。
△:遠心分離処理後に油相と水相に一部分離している。
×:遠心分離処理後に油相と水相に完全に分離している。
その結果、油ゲル化剤として知られるミリスチン酸デキストリンを調製物の全体中に0.05質量%配合すると、一部安定な高内相W/O型乳化組成物が得られることが明らかとなり、油ゲル化剤として知られるミリスチン酸デキストリンを調製物の全体中に0.1質量%以上配合すると、乳化状態が安定な高内相W/O型乳化組成物が得られることが明らかとなった。また、調製物のバルク硬度は油ゲル化剤であるミリスチン酸デキストリンの配合量の増加とともに増大した。
[試験例5]
表6に示す配合で化粧料を調製した。具体的には、油相及び水相の各原料を秤量後、それぞれ80℃にて溶解・混合させ、80℃にて油相に水相を少量ずつ添加しながら更にディスパーミキサー(商品名「TK ROBOMICS」(撹拌翼φ35mm)、フィルミックス株式会社製)により、撹拌翼回転速度2500rpmで分散させた後、35℃まで冷却した。
その結果、得られた化粧料は、水相からなる分散相の占める割合が75質量%である高内相W/O型乳化組成物であった。また、その乳化状態は、試験例2記載の遠心分離処理による安定性評価の結果、安定であった。
[試験例6]
表7に示す配合で、調製例6−1と調製例6−2の乳化組成物を調製し、皮膚代替膜を用いた皮膚透過試験を実施した。乳化組成物の調製及び皮膚透過試験は、試験例1と同様にして行った。
・調製例6−1:水相からなる分散相と油相からなる連続相との比が85:15であるW/O型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)
・調製例6−2:油相からなる分散相と水相からなる連続相との比が13.1:86.9であるO/W型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)
結果を表8及び図2に示す。なお、結果は、皮膚代替膜1枚あたりのトコフェロール量として求め、その平均値と標準偏差を示した。また、統計手法であるT検定により危険率Pを求め、P<0.001未満のものについては、図2中に示した。
その結果、調製例6−1、すなわち、水相からなる分散相と油相からなる連続相との比が85:15であるW/O型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)では、調製例6−2、すなわち、油相からなる分散相と水相からなる連続相との比が13.1:86.9であるO/W型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)に比べて、皮膚代替膜が含有する酢酸DL−α−トコフェロール量が顕著に高かった。
[試験例7]
表9に示す配合で、調製例7−1と調製例7−2の乳化組成物を調製し、皮膚代替膜を用いた皮膚透過試験を実施した。乳化組成物の調製及び皮膚透過試験は、グリチルレチン酸ステアリルの定量のためのHPLCを下記条件とした以外、試験例1と同様にして行った。
・調製例7−1:水相からなる分散相と油相からなる連続相との比が85:15であるW/O型乳化組成物(グリチルレチン酸ステアリル0.3質量%含有)
・調製例7−2:油相からなる分散相と水相からなる連続相との比が13.9:86.1であるO/W型乳化組成物(グリチルレチン酸ステアリル0.3質量%含有)
[HPLC条件]
HPLC:Thermo Fisher Scientific社 UltiMate3000
カラム:phenomenex社 Kinetex C18(50x3.0mm)
移動相:90%エタノール水溶液
流速:0.5mL/min
検出:UV254nm
結果を表10及び図3に示す。なお、結果は、皮膚代替膜1枚あたりのグリチルレチン酸ステアリル量として求め、その平均値と標準偏差を示した。また、統計手法であるT検定により危険率Pを求め、P<0.001未満のものについては、図3中に示した。
その結果、調製例7−1、すなわち、水相からなる分散相と油相からなる連続相との比が85:15であるW/O型乳化組成物(グリチルレチン酸ステアリル0.3質量%含有)では、調製例7−2、すなわち、油相からなる分散相と水相からなる連続相との比が13.9:86.1であるO/W型乳化組成物(グリチルレチン酸ステアリル0.3質量%含有)に比べて、皮膚代替膜が含有するグリチルレチン酸ステアリル量が顕著に高かった。
[試験例8]
表11に示す配合で、調製例8−1と調製例8−2の乳化組成物を調製し、皮膚代替膜を用いた皮膚透過試験を実施した。乳化組成物の調製及び皮膚透過試験は、パルミチン酸レチノールの定量のためのHPLCを下記条件とした以外、試験例1と同様にして行った。
・調製例8−1:水相からなる分散相と油相からなる連続相との比が85:15であるW/O型乳化組成物(パルミチン酸レチノール0.25質量%含有)
・調製例8−2:油相からなる分散相と水相からなる連続相との比が13.9:86.1であるO/W型乳化組成物(パルミチン酸レチノール0.25質量%含有)
[HPLC条件]
HPLC:Thermo Fisher Scientific社 UltiMate3000
カラム:phenomenex社 Kinetex C18(50x3.0mm)
移動相:90%エタノール水溶液
流速:0.5mL/min
検出:UV325nm
結果を表12及び図4に示す。なお、結果は、皮膚代替膜1枚あたりのパルミチン酸レチノール量として求め、その平均値と標準偏差を示した。また、統計手法であるT検定により危険率Pを求め、P<0.001未満のものについては、図4中に示した。
その結果、調製例8−1、すなわち、水相からなる分散相と油相からなる連続相との比が85:15であるW/O型乳化組成物(パルミチン酸レチノール0.25質量%含有)では、調製例8−2、すなわち、油相からなる分散相と水相からなる連続相との比が13.9:86.1であるO/W型乳化組成物(パルミチン酸レチノール0.25質量%含有)に比べて、皮膚代替膜が含有するパルミチン酸レチノール量が顕著に高かった。
[試験例9]
表13に示す配合で、調製例9−1と調製例9−2と調製例9−3の乳化組成物を調製し、皮膚代替膜を用いた皮膚透過試験を実施した。乳化組成物の調製及び皮膚透過試験は、試験例1と同様にして行った。
・調製例9−1:水相からなる分散相と油相からなる連続相との比が55:45であるW/O型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)
・調製例9−2:水相からなる分散相と油相からなる連続相との比が70:30であるW/O型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)
・調製例9−3:水相からなる分散相と油相からなる連続相との比が85:15であるW/O型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)
結果を表14及び図5に示す。なお、結果は、皮膚代替膜1枚あたりの酢酸DL−α−トコフェロール量として求め、その平均値と標準偏差を示した。また、統計手法であるTukey法により危険率Pを求め、P<0.001未満のものについては、図5中に示した。
その結果、水相が70%以上である高内相W/O型乳化組成物では、水相が55%であるW/O型乳化組成物に比べて、皮膚代替膜が含有する酢酸DL−α−トコフェロール量が顕著に高かった。
その結果、調製例9−3、すなわち、水相からなる分散相と油相からなる連続相との比が85:15であるW/O型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)では、調製例9−1、すなわち、水相からなる分散相と油相からなる連続相との比が55:45であるW/O型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)に比べて、皮膚代替膜が含有する酢酸DL−α−トコフェロール量が顕著に高かった。また、調製例9−2、すなわち、水相からなる分散相と油相からなる連続相との比が70:30であるW/O型乳化組成物(酢酸DL−α−トコフェロール1質量%含有)でも、上記調製例9−3よりは低下したものの、上記調製例9−1に比べて、皮膚代替膜が含有する酢酸DL−α−トコフェロール量が顕著に高かった。

Claims (10)

  1. 所定の成分を含有せしめたうえ、それを皮膚に塗布することにより該成分を経皮吸収させるための組成物であって、前記組成物は、W/O型乳化組成物であることを特徴とする経皮吸収用組成物。
  2. 前記組成物は、水相の占める割合が70質量%以上であり、油ゲル化剤の配合により安定化されたW/O型乳化組成物である、請求項1記載の経皮吸収用組成物。
  3. 前記油ゲル化剤は、デキストリン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含むものである、請求項1又は2記載の経皮吸収用組成物。
  4. 前記油ゲル化剤は、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ベヘン酸グリセリル、及び(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含むものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の経皮吸収用組成物。
  5. 前記成分として、油溶性成分を経皮吸収させるためのものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の経皮吸収用組成物。
  6. 経皮吸収させるべき成分を、W/O型乳化組成物に含有せしめる、前記成分の経皮吸収性向上方法。
  7. 前記組成物は、水相の占める割合が70質量%以上であり、油ゲル化剤の配合により安定化されたW/O型乳化組成物である、請求項6記載の方法。
  8. 前記油ゲル化剤は、デキストリン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含むものである、請求項6又は7記載の方法。
  9. 前記油ゲル化剤は、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ベヘン酸グリセリル、及び(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含むものである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記成分として、油溶性成分を経皮吸収させるためのものである、請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法。
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