JP2020043811A - 食肉軟化剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 食肉を軟らかくする食肉軟化剤、該食肉軟化剤を使用して製造した食感が軟らかくなった食肉加工食品、及びその製造方法を提供する。【解決手段】 中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含有することを特徴とする食肉軟化剤、食肉加工食品の製造において、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含有する食肉軟化剤を使用(漬け込みによる方法、注入による方法)することを特徴とする食肉加工食品の製造方法、及び中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを、食肉を軟らかくする食肉軟化剤として使用する方法。【選択図】 図3

Description

本発明は、食肉軟化剤に関する。
これまで、鶏肉、牛肉、豚肉等の食肉の食感を軟らかくするために、各種乳化剤を配合した品質改良剤が開発されてきた(特許文献1)。
また、食感だけでなく、見た目もきれいな霜降り状にするために、融点25℃以上の油脂を平均粒径1μm以下の固形油脂分散液として水溶液中に5〜60重量%含有させた食肉油脂注入液が開発されてきた(特許文献2)。
このように、食肉の食感を軟らかくする目的で、これまで各種乳化剤や融点25℃以上の油脂の肉への注入は検討されていたが、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールについては何ら検討がなされていなかった。
特開2001−269117号公報 特開2002−142671号公報
本発明の目的は、食肉を軟らかくする食肉軟化剤、該食肉軟化剤を使用して製造した食感が軟らかくなった食肉加工食品、及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを食肉軟化剤として使用することで、食感が軟らかい食肉加工食品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に関するものである。
〔1〕中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含有することを特徴とする食肉軟化剤。
〔2〕食肉加工食品の製造において、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含有する食肉軟化剤を使用することを特徴とする食肉加工食品の製造方法。
〔3〕前記食肉加工食品の製造方法が、前記食肉軟化剤に、又は前記食肉軟化剤と調味液とを混合したものに、食肉を漬け込むことである、〔2〕に記載の食肉加工食品の製造方法。
〔4〕前記食肉加工食品の製造方法が、前記食肉軟化剤を、又は前記食肉軟化剤と調味液とを混合したものを、食肉に注入することである、〔2〕に記載の食肉加工食品の製造方法。
〔5〕中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを、食肉を軟らかくする食肉軟化剤として使用する方法。
本発明によれば、食感が軟らかくなった食肉加工食品を製造することができるので、軟らかくて食べやすいお肉を提供することができる。特に、お年寄りや子供が食べやすいお肉を提供することができる。
また、本発明によれば、肉を軟らかくするプロテアーゼ等の酵素を使用しない場合であっても、軟らかい食肉加工食品を製造することができる。
図1は、比較例1、2及び実施例1〜4の鶏むね肉の全油脂中の全構成脂肪酸中に占める中鎖脂肪酸の割合(%)のグラフである。 図2は、剪断型プランジャーによる鶏むね肉の剪断試験の写真である。 図3は、比較例3〜5、及び実施例5、6の鶏むね肉を剪断プランジャーで剪断する時に、プランジャーにかかった荷重(g)を示すグラフである。
まず、本発明の食肉軟化剤について説明をする。
本発明の食肉軟化剤は、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール(以下、「MTG」ともいう)を含有するものである。
まず、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールについて説明をする。
中鎖脂肪酸とは、炭素数が6〜12の脂肪酸のことを言う。中鎖脂肪酸は、特に、エネルギー効率と風味の点から、炭素数が8であるn−オクタン酸、及び炭素数が10であるn−デカン酸から選ばれる1種又は2種であることが好ましい。
具体的な中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールとして、例えば、構成脂肪酸が全て中鎖脂肪酸である中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(以下、「MCT」ともいう)や、構成脂肪酸が中鎖脂肪酸と炭素数が14以上である長鎖脂肪酸とからなる中長鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(以下、「MLCT」ともいう)が挙げられる。
中鎖脂肪酸をM、長鎖脂肪酸をLとすると、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールの構造は、MMMである。
また、長鎖脂肪酸を含む中長鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール(MLCT)の構造は、MLL、LML、LLM、MML、MLM、又はLMMである。
市販品の入手のし易さ、及びより多くの中鎖脂肪酸を利用できるという点で、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールは、炭素数8及び/又は炭素数10の直鎖脂肪酸が結合した中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールであることがより好ましく、炭素数8及び炭素数10の直鎖脂肪酸が結合した中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールであることがより好ましい。
中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの構成脂肪酸を確認、定量する方法としては、例えば、MTGの構成脂肪酸をメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィーにより定量分析する方法(例えば、日本油化学会制定「基準油脂分析試験法2013年版 2.4.2.3−2013 脂肪酸組成(キャピラリーガスクロマトグラフ法)が挙げられる。
また、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールのトリアシルグリセロール組成を確認、定量する方法としては、例えば、ガスクロマトグラフィー法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993))が挙げられる。
中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールは、公知の方法で製造することもできる。
例えば、ヤシ油やパーム核油由来の炭素数6〜12の中鎖脂肪酸とグリセリンとを触媒下、好ましくは無触媒下で、好ましくは減圧下で120〜180℃に加熱し、脱水縮合させることにより製造することができる。
中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸の割合を調整する方法としては、例えば、あらかじめ所望の割合のn−オクタン酸(C8)とn−デカン酸(C10)とを準備し、それらをグリセリンとエステル結合させる方法が挙げられる。
中長鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールは、ヤシ油、パーム核油のような天然油脂に含まれる中長鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを使用することができる。また、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールと、炭素数が14以上である長鎖脂肪酸を構成脂肪酸とする油脂とのエステル交換油脂を使用することもできる。
長鎖脂肪酸を構成脂肪酸とする油脂は、炭素数が14以上である脂肪酸を構成脂肪酸とする油脂であれば特に限定されない。長鎖脂肪酸を構成脂肪酸とする油脂として、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、かぼちゃ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米糠油、パーム油、豚脂、牛脂等が挙げられる。
中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールと長鎖脂肪酸を構成脂肪酸とする油脂とをエステル交換する方法は特に限定されず、例えば、ナトリウムメトキシドを触媒とした化学的エステル交換や、リパーゼ製剤を触媒とした酵素的エステル交換等、通常行われる方法を適用することができる。エステル交換の原料に使用する中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールと、長鎖脂肪酸を構成脂肪酸とする油脂との原料仕込みの質量比は、好ましくは10:90〜90:10であり、より好ましくは20:80〜80:20であり、さらにより好ましくは30:70から70:30である、
本発明に使用する中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールは、市販品を使用することができる。
市販品として、例えば、日清オイリオグループ(株)販売の商品「O.D.O」、「スコレー64G」「スコレーMC」「スコレー8」等が挙げられる。なお、「O.D.O」の構成脂肪酸組成目安は、C8:C10=75:25で、「スコレー64G」の構成脂肪酸組成目安は、C8:C10=60:40で、スコレーMCの構成脂肪酸組成目安は、C8:C10=85:15で、スコレー8の構成脂肪酸組成目安は、C8が95%以上である。
本発明の食肉軟化剤は、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールのみを含有するものが好ましいが、一般に食用に適する油脂(中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール以外の油脂)を配合することもできる。
油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、かぼちゃ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米糠油、パーム油、豚脂、牛脂、魚油等の各種植物油脂や各種動物油脂、これらの水素添加油脂、分別油脂、及びエステル交換油脂等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の油脂を配合することができる。
また、本発明の食肉軟化剤には、乳化剤も配合することもできる。
乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル(グリセリン脂肪酸モノエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル)、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の乳化剤を配合することができる。
本発明の食肉軟化剤中の中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの含量は、50〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることがさらにより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。なお、本発明の食肉軟化剤中の中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール含量が100質量%とは、食肉軟化剤が、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールのみからなるものである。
また、食肉軟化剤中の中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール以外の油脂の含量は、0〜50質量%であることが好ましく、0〜20質量%であることがより好ましく、0〜10質量%であることがさらにより好ましい。
また、食肉軟化剤中の乳化剤の含量は、0〜5質量%であることが好ましく、0〜2質量%であることがより好ましく、0〜1質量%であることがさらにより好ましい。
次に、食肉について説明をする。
本発明における食肉は、食用にできる肉であれば特に制限なく使用することができる。
具体的には食肉として、鶏肉、牛肉、豚肉、羊肉、鹿肉、兎肉等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。特に、鶏むね肉を使用するのが好ましい。
次に、食肉加工食品について説明をする。
本発明における食肉加工食品は、先に説明をした食肉を加熱処理して得られる食品である。
ここで、加熱処理は、食肉が加熱されれば良く、特に加熱処理方法に限定はないが、例えば、炒め加熱処理、油ちょう加熱処理、ボイル加熱処理、蒸し加熱処理、電子レンジ加熱処理等を挙げることができる。
中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロール以外の油脂や乳化剤を配合した食肉軟化剤は、例えば、次のようにして製造することができる。
中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールに、油脂及び/又は乳化剤を添加後、プロペラ撹拌機、ホモミキサー等の撹拌機で混合することにより製造することができる。必要に応じて、撹拌時に加熱をしても良い。
次に、本発明の食肉軟化剤を使用した食肉加工食品の製造方法について説明をする。
本発明の食肉軟化剤は、単独で食肉に使用することもできるが、次に説明をする調味液と混合したものを使用することもできる。
食肉軟化剤と調味液を混合したものは、既に調製した調味液を用いて、食肉軟化剤と調味液を混合して製造することもできるが、水と後述する調味成分と食肉軟化剤とを混合して製造しても良い。
混合は、プロペラ撹拌機、ホモミキサー等の撹拌機を用いて行うことができ、必要に応じて混合時に加熱をしても良い。
調味液は、水に調味成分を溶解又は分散させたもので、調味成分としては、食塩、油脂、タンパク質(大豆、小麦、卵、乳等)、糖類、甘味料、でん粉、加工澱粉、増粘多糖類、リン酸塩、乳化剤、香料、保存料、着色料、酸化防止剤、乳化油脂、有機酸、有機酸塩、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、エリソルビン酸、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等)、ナトリウム塩、カリウム塩などの1価アルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の2価アルカリ金属塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
また、例えば、ハム、ソーセージ等の畜肉加工食品の製造によく使用されているピックル液を、調味液として使用することもできる。
以下に、各調味成分を例示する。
油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、かぼちゃ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米糠油、パーム油、豚脂、牛脂、魚油等の各種植物油脂や各種動物油脂、これらの水素添加油脂、分別油脂、及びエステル交換油脂等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
また、たんぱく質としては、例えば、大豆タンパク、大豆タンパク分解物、大豆粉末、大豆ホエー濃縮物、乾燥卵白、卵黄、加糖卵黄、小麦グルテン、小麦グルテン分解物、乳ホエー、カゼインナトリウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
また、糖類としては、例えば、ブドウ糖、果糖、ガラクトースなどの単糖類、ショ糖(砂糖)、乳糖、麦芽糖などの2〜数個の単糖類が結びついてできた少糖類、オリゴ糖、澱粉、加工澱粉、デキストリン、グリコーゲンなどの多糖類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
また、甘味料としては、例えば、トレハロース、マルトトリオース、テトラオース、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉加水分解物、還元澱粉糖化物等の甘味料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
また、高甘味度甘味料としては、例えばアセスルファムK、スクラロース、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン、ラカンカ等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
また、澱粉としては、例えば天然澱粉や加工澱粉を使用することができ、それらの1種又は2種以上を使用することができる。天然澱粉としては、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、片栗澱粉、サゴ澱粉、タピオカ澱粉、コーン澱粉、米澱粉、小麦澱粉、緑豆澱粉等が挙げられる。加工澱粉としては、これらの天然澱粉を加工したものを使用することができ、例えば、澱粉を無水酢酸等でエステル化した酢酸澱粉、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
また、増粘多糖類としては、例えば、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、アラビアガム、タラガム、寒天、CMC、等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
また、リン酸塩としては、例えば、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
また、乳化剤としては、モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の食肉軟化剤の使用方法としては、漬け込み液として使用する方法(以下、「漬け込みによる方法」とも言う。)や注入液として使用する方法(以下、「注入による方法」とも言う。)等がある。
本発明の食肉軟化剤及び調味液を漬け込み液として使用して、食肉加工食品を製造する方法の例について説明をする。
例えば、食塩、ポリリン酸塩、大豆蛋白、及び水を含有する調味液に、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールからなる食肉軟化剤を添加し、ミキサーで混合し、漬け込み液を調製する。
容器に、調製した漬け込み液と食肉を入れ、食肉の周りに漬け込み液が付くように食肉を動かす。食肉の一部又は全部を漬け込み液に漬け込んだ状態で、1〜7日程度冷蔵で保管する。保管後、加熱処理して食肉加工食品を製造する。
なお、使用する漬け込み液は、容器の中の食肉の全部が浸る量を使用しても良いが、食肉の全部が浸る量ではなくても、漬け込み処理により食肉の周りに液を付着させられる量を使用すれば良い。
また、本発明の食肉軟化剤及び調味液を漬け込み液として使用して、食肉加工食品を製造する方法として、次の方法が挙げられる
例えば、食塩、ポリリン酸塩、大豆蛋白、及び水を含有する調味液に、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールからなる食肉軟化剤を添加し、ミキサーで混合し、漬け込み液を調製する。
容器に、調製した漬け込み液と食肉を入れ、食肉の周りに漬け込み液が付くように食肉を動かし、漬け込み処理をする。食肉を漬け込み液に漬け込んだ状態で、減圧処理及びタンブリング処理を行った後、加熱処理して食肉加工食品を製造する。
例えば、減圧処理及びその開放操作は、次にようにして行うことができる。
容器に、調製した漬け込み液と食肉を入れ、食肉の周りに漬け込み液が付くように食肉を動かして漬け込み処理をする。食肉を漬け込み液に漬け込んだ状態で、真空チャンバー包装機(製造メーカー:Sepp Haggenmuller GmbH&Co.KG、名称「Multivac A300/52」、販売元:東京食品機械(株))に入れ、約10秒〜約3分間減圧して真空チャンバー内の気圧を約10〜50mmHgにする。その後減圧状態を開放し、鶏むね肉をひっくり返し、再び食肉を真空装置に入れ、約10秒〜約3分間減圧して真空チャンバー内の気圧を約10〜50mmHgにする。この減圧処理及びその開放の操作を、好ましくは10〜30回、より好ましくは15〜25回繰り返す。
このように、食肉軟化剤及び調味液を漬け込み液として使用する場合、食肉軟化剤の量は、食肉100質量部に対して、食肉軟化剤中の中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの量が0.1〜10質量部となる量であることが好ましく、0.5〜8質量部となる量であることがより好ましく、1〜8質量部となる量であることが最も好ましい。
また、使用する調味液の量は、食肉100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、2〜80質量部であることがより好ましく、5〜50質量部であることが最も好ましい。
また、加熱処理としては、炒め加熱処理、油ちょう加熱処理、ボイル加熱処理、蒸し加熱処理、電子レンジ加熱処理等を行うことができる。
次に、本発明の食肉軟化剤及び調味液を注入液として使用して、食肉加工食品を製造する方法の例について説明をする。
例えば、食塩、ポリリン酸塩、大豆蛋白、及び水を含有する調味液に、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールからなる食肉軟化剤を添加し、ミキサーで混合し、注入液を調製する。
調製した注入液を入れた注射器を用いて、食肉の数カ所〜数百カ所に注入液を注入する。
注入液の注入後、減圧処理及びタンブリング処理を行った後、加熱処理して食肉加工食品を製造する。
例えば、減圧処理及びその開放操作は、次にようにして行うことができる。
注入液を注入した鶏むね肉を容器に入れ、真空チャンバー包装機(製造メーカー:Sepp Haggenmuller GmbH&Co.KG、名称「Multivac A300/52」、販売元:東京食品機械(株))に入れ、約10秒〜約3分間減圧して真空チャンバー内の気圧を約10〜50mmHgにする。その後減圧状態を開放し、鶏むね肉をひっくり返し、再び食肉を真空装置に入れ、約10秒〜約3分間減圧して真空チャンバー内の気圧を約10〜50mmHgにする。この減圧処理及びその開放の操作を、好ましくは10〜30回、より好ましくは15〜25回繰り返す。
このように、食肉軟化剤及び調味液を注入液として使用する場合、使用する食肉軟化剤の量は、食肉100質量部に対して、食肉軟化剤中の中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールの量が0.1〜10質量部となる量であることが好ましく、0.5〜8質量部となる量であることがより好ましく、1〜8質量部となる量であることが最も好ましい。
また、使用する調味液の量は、食肉100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、2〜80質量部であることがより好ましく、5〜50質量部であることが最も好ましい。
また、加熱処理としては、炒め加熱処理、油ちょう加熱処理、ボイル加熱処理、蒸し加熱処理、電子レンジ加熱処理等を行うことができる。
また、本発明の食肉軟化剤を、調味液と混合しないで、単独で使用することもできる。
この場合の食肉加工食品の製造としては、例えば、先に説明をした食肉軟化剤及び調味液を漬け込み液として使用した食肉加工食品の製造方法において、食肉軟化剤のみを漬け込み液として使用した方法で製造することができる。
このように、食肉軟化剤のみを漬け込み液として使用する場合、使用する食肉軟化剤の量は、食肉100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、2〜50質量部であることがより好ましく、2〜20質量部であることが最も好ましい。
また、この場合の食肉加工食品の製造としては、例えば、先に説明をした食肉軟化剤及び調味液を注入液として使用した食肉加工食品の製造方法において、食肉軟化剤のみを注入液として使用した方法で製造することができる。
このように、食肉軟化剤のみを注入液として使用する場合、使用する食肉軟化剤の量は、食肉100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることがより好ましく、1〜8質量部であることが最も好ましい。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例の内容に限定して解釈されるものではない。
(1)食肉加工食品の製造(漬け込みによる方法、注入による方法)、及び食肉軟化剤浸透の確認試験
〔使用した食肉軟化剤〕
食肉軟化剤として、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(日清オイリオグループ(株)販売、商品名「O.D.O」、構成脂肪酸組成目安はカプリル酸(C8):カプリン酸(C10)=75:25)を使用した。
〔漬け込みによる食肉加工食品の製造〕
表1に、製造した食肉加工食品(比較例1、実施例1、2)の原料及び配合量を示す。
まず、表2に示す調味液の原料を混合し、調味液を調製した。
得られた調味液に、食肉軟化剤を入れて、ホモミキサー(3000rpm)で、1分間混合することで漬け込み液を調製した。
得られた漬け込み液を容器に入れ、そこに鶏むね肉を入れて鶏むね肉の周りに漬け込み液が付着するように漬け込み処理を行った。漬け込み液と鶏むね肉が入った容器を、そのまま真空チャンバー包装機(製造メーカー:Sepp Haggenmuller GmbH&Co.KG、名称「Multivac A300/52」、販売元:東京食品機械(株))に入れて約30秒間減圧して、真空チャンバー内の気圧を20mmHgにした。その後減圧状態を開放し、鶏むね肉をひっくり返し、再び食肉を真空装置に入れて約30秒間減圧して、真空チャンバー内の気圧を20mmHgにした。この減圧及びその開放の操作を計20回繰り返し行った。その後、鶏むね肉の入った容器を冷蔵庫に入れ、一晩保存した。
一晩保存後、漬け込み液から鶏むね肉を取り出し、肉に付着している漬け込み液を拭き取った後、レトルトパウチに入れ、真空チャンバー包装機(製造メーカー:Sepp Haggenmuller GmbH&Co.KG、名称「Multivac A300/52」、販売元:東京食品機械(株))で真空シールをした。
真空シールをした鶏むね肉を、80℃のお湯で30分間加熱処理することで、ボイルした鶏むね肉(食肉加工食品)を製造した(実施例1、2)。
また、調味液のみを漬け込み液として使用して、同様の方法で、ボイルした鶏むね肉(食肉加工食品)を製造した(比較例1)。
〔注入による食肉加工食品の製造〕
表3に、製造した食肉加工食品(比較例2、実施例3、4)の原料及び配合量を示す。
まず、実施例1で使用したものと同じ配合の調味液に食肉軟化剤を入れてホモジナイザーで混合し、注入液を調製した。
注入液を入れた注射器で、鶏むね肉に注入液を注入した。注入は、約50カ所に行った。
注入液を注入した鶏むね肉を容器に入れ、真空チャンバー包装機(製造メーカー:Sepp Haggenmuller GmbH&Co.KG、名称「Multivac A300/52」、販売元:東京食品機械(株))に入れて約30秒間減圧して、真空チャンバー内の気圧を20mmHgにした。その後減圧状態を開放し、鶏むね肉をひっくり返し、再び食肉を真空装置に入れて約30秒間減圧して、真空チャンバー内の気圧を20mmHgにした。この減圧及びその開放の操作を計20回繰り返し行った。その後、鶏むね肉の入った容器を冷蔵庫に入れ、一晩保存した。
一晩保存後、鶏むね肉をレトルトパウチに入れ、真空チャンバー包装機(製造メーカー:Sepp Haggenmuller GmbH&Co.KG、名称「Multivac A300/52」、販売元:東京食品機械(株))で真空シールをした。
真空シールをした鶏むね肉を、80℃のお湯で30分間加熱処理することで、ボイルした鶏むね肉(食肉加工食品)を製造した(実施例3、4)。
また、調味液のみを注入液として使用して、同様の方法で、ボイルした鶏むね肉(食肉加工食品)を製造した(比較例2)。
〔鶏むね肉中への食肉軟化剤の浸透の確認試験〕
鶏むね肉中への食肉軟化剤の浸透について、鶏むね肉の全油脂中の全構成脂肪酸組成を測定し、中鎖脂肪酸(n−オクタン酸及びn−デカン酸の合計)の割合(%)を算出することで確認した。
具体的には、鶏むね肉をミキサーで粉砕することで均一化した肉50gに、150gのヘキサンを加えて30分間浸漬後、ろ過した。得られたろ液を脱溶剤して油脂を得た。
得られた油脂の構成脂肪酸組成を、日本油化学会制定「基準油脂分析試験法2013年版 2.4.2.3−2013 脂肪酸組成(キャピラリーガスクロマトグラフ法)に準拠して測定した。
鶏むね肉の全油脂中の全構成脂肪酸中に占める中鎖脂肪酸(n−オクタン酸及びn−デカン酸)の割合を表4及び図1に示す。
表4、及び図1から次のことがわかった。
比較例1では、鶏むね肉の全油脂中の全構成脂肪酸中に占める中鎖脂肪酸の割合は0であったが、実施例1では約5%、実施例2では約13%で、実施例2の鶏むね肉には、実施例1よりも多くの中鎖脂肪酸が含まれていた。
このことから、漬け込みによる方法では、鶏むね肉に対する食肉軟化剤の量が多いほど、鶏むね肉中に食肉軟化剤(中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール)が多く浸透していることがわかった。
また、比較例2では、鶏むね肉の全油脂中の全構成脂肪酸中に占める中鎖脂肪酸の割合は0であったが、実施例3では約10%、実施例4では25%で、実施例4の鶏むね肉には、実施例3よりも多くの中鎖脂肪酸が含まれていた。
このことから、注入よる方法においても、鶏むね肉に対する食肉軟化剤の量が多いほど、鶏むね肉中に食肉軟化剤(中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール)が多く浸透していることがわかった。
さらに、鶏むね肉の全油脂中の全構成脂肪酸中に占める中鎖脂肪酸の割合は、実施例1よりも実施例3の方が多く、また、実施例2よりも実施例4の方が多かったことから、漬け込みによる方法よりも、注入による方法の方が、多くの量の食肉軟化剤を鶏むね肉中に浸透できることがわかった。
(2)食肉加工食品の製造(漬け込みによる方法)、食感評価、及びプランジャーによる肉の剪断試験
〔使用した食肉軟化剤〕
食肉軟化剤として、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(日清オイリオグループ(株)販売、商品名「O.D.O」、構成脂肪酸組成目安はカプリル酸(C8):カプリン酸(C10)=75:25)を使用した。
〔漬け込みによる食肉加工食品の製造〕
表5に、製造した食肉加工食品(比較例3、4、5、実施例5、6)の原料及び配合量を示す。なお、オリーブ油は、日清オイリオグループ(株)販売の商品「ボスコピュア」を使用し、アマニ油は、日清オイリオグループ(株)販売の商品「日清アマニ油」を使用した。オリーブ油、及びアマニ油は、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含まない油である。
まず、実施例1で使用したものと同じ配合の調味液に、オリーブ油、アマニ油、又は食肉軟化剤を入れてホモジナイザーで混合し、各漬け込み液を調製した。
得られた漬け込み液を容器に入れ、そこに鶏むね肉を入れて、鶏むね肉の周りに漬け込み液が付着するように漬け込み処理を行った。漬け込み液と鶏むね肉が入った容器を、そのまま真空チャンバー包装機(製造メーカー:Sepp Haggenmuller GmbH&Co.KG、名称「Multivac A300/52」、販売元:東京食品機械(株))に入れて約30秒間減圧して、真空チャンバー内の気圧を20mmHgにした。その後減圧状態を開放し、鶏むね肉をひっくり返し、再び食肉を真空装置に入れて約30秒間減圧して、真空チャンバー内の気圧を20mmHgにした。この減圧及びその開放の操作を計20回繰り返し行った。その後、鶏むね肉の入った容器を冷蔵庫に入れ、一晩保存した。
一晩保存後、漬け込み液から鶏むね肉を取り出し、肉に付着している漬け込み液を拭き取った後、レトルトパウチに入れ、真空チャンバー包装機(製造メーカー:Sepp Haggenmuller GmbH&Co.KG、名称「Multivac A300/52」、販売元:東京食品機械(株))で真空シールをした。
真空シールをした鶏むね肉を、80℃のお湯で30分間加熱処理することで、ボイルした鶏むね肉(食肉加工食品)を製造した(比較例4、5、実施例5、6)。
また、調味液のみを漬け込み液として使用して、同様の方法で、ボイルした鶏むね肉(食肉加工食品)を製造した(比較例3)。
〔食感評価(軟らかさ、歯切れの良さ、ほぐれ感)〕
得られたボイルした鶏むね肉について、10人のパネラーにより、その食感を評価した。なお、食感評価試験は、社内分析試験方法の「風味および加熱試験」に定められた専門パネル選定試験(臭覚テスト及び味覚テスト)に合格した社内専門パネラーが、表6〜表8に示す評価基準を用いて点数で評価をし、10人の評価点の平均点を官能評価点とした。
具体的には、約1cmの厚みに切った鶏むね肉を、食したときの食感(軟らかさ、歯切れ、ほぐれ感)を評価した。評価結果を表9、表10に示す。
〔プランジャーによる肉の剪断試験〕
テクスチャーアナライザーを用いて、ボイルした鶏むね肉を剪断型プランジャーで剪断したときのプランジャーにかかった荷重を測定した。
具体的には、テクスチャーアナライザー(製造メーカー:Stable Micro Systems Ltd、名称「Texture Analyser TA.XT.plus」、発売元:英弘精機(株))のサンプル台に、高さ15mm、縦20mm、横20mmの直方体に切った鶏むね肉を載せ、剪断型プランジャーで鶏むね肉を剪断した。プランジャーは、下降していくことで肉表面を押し込んだ後、肉表面を切断し、その後は肉内部を切断していく。剪断型プランジャーは、鶏むね肉から約5mm上の地点から降下速度1mm/秒で動かした。
図2は、剪断型プランジャーによる鶏むね肉の剪断試験の写真である。
図3に、テクスチャーアナライザー分析結果のグラフを示す。グラフの縦軸は、プランジャーにかかった荷重(g)で、横軸は、プランジャー下降距離(mm)である。なお、鶏むね肉にプランジャーが接触するのは、下降距離約5mmの時点である。
図3から次のことがわかった。
鶏むね肉表面を切断するまで(プランジャー下降距離約5mm〜約15mmの間)は、比較例3〜5、実施例5、6のすべて、プランジャーにかかる荷重は大きくなっていた。
その荷重の大きさを比較すると、比較例4、5は、比較例3よりも大きくなったが、プランジャー下降距離約15mmの時点では、実施例5、6は、比較例3よりも小さかった。
また、鶏むね肉表面を切断した後、肉内部を切断するとき(プランジャー下降距離約15mm〜20mmの間)のプランジャーにかかる荷重を見ると、比較例4、5は、比較例3よりも大きくなったが、実施例5、6は、比較例3よりも小さかった。
さらに、鶏むね肉表面を切断した後、肉内部を切断するとき(プランジャー下降距離約15mm〜20mmの間)のプランジャーにかかる荷重の変化に着目すると、比較例3は、徐々に大きくなっていたが、実施例5、6は、ほとんど変化しなかった。
このことから、実施例5、6の鶏むね肉は、肉表面をかみ切る力、及びその後肉内部をかみ切る力が、比較例3〜5の鶏むね肉をかみ切る力よりも少なくてすむことがわかる。
(3)食肉加工食品の製造(注入による方法)、食感評価
〔使用した食肉軟化剤〕
食肉軟化剤として、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(日清オイリオグループ(株)販売、商品名「O.D.O」、構成脂肪酸組成目安はカプリル酸(C8):カプリン酸(C10)=75:25)を使用した。
〔注入による食肉加工食品の製造〕
表11に、製造した食肉加工食品(比較例6、7、8、実施例7、8)の原料及び配合量を示す。なお、オリーブ油は、日清オイリオグループ(株)販売の商品「ボスコピュア」を使用し、アマニ油は、日清オイリオグループ(株)販売の商品「日清アマニ油」を使用した。オリーブ油、及びアマニ油は、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含まない油である。
まず、実施例1で使用したものと同じ配合の調味液に、オリーブ油、アマニ油、又は食肉軟化剤を入れてホモジナイザーで混合し、各注入液を調製した。
注入液を入れた注射器で、鶏むね肉に注入液を注入した。注入は、約50カ所に行った。
注入液を注入した鶏むね肉を容器に入れ、真空チャンバー包装機(製造メーカー:Sepp Haggenmuller GmbH&Co.KG、名称「Multivac A300/52」、販売元:東京食品機械(株))に入れて約30秒間減圧して、真空チャンバー内の気圧を20mmHgにした。その後減圧状態を開放し、鶏むね肉をひっくり返し、再び食肉を真空装置に入れて約30秒間減圧して、真空チャンバー内の気圧を20mmHgにした。この減圧及びその開放の操作を計20回繰り返し行った。その後、鶏むね肉の入った容器を冷蔵庫に入れ、一晩保存した。
一晩保存後、鶏むね肉をレトルトパウチに入れ、真空チャンバー包装機(製造メーカー:Sepp Haggenmuller GmbH&Co.KG、名称「Multivac A300/52」、販売元:東京食品機械(株))で真空シールをした。
真空シールをした鶏むね肉を、80℃のお湯で30分間加熱処理することで、ボイルした鶏むね肉(食肉加工食品)を製造した(比較例7、8、実施例7、8)。
また、調味液のみを注入液として使用して、同様の方法で、ボイルした鶏むね肉(食肉加工食品)を製造した(比較例6)。
〔食感評価(軟らかさ、歯切れの良さ、ほぐれ感)〕
得られたボイルした鶏むね肉について、10名のパネラーにより、その食感を評価した。なお、食感評価試験は、社内分析試験方法の「風味および加熱試験」に定められた専門パネル選定試験(臭覚テスト及び味覚テスト)に合格した社内専門パネラーが、先に示した表6〜表8の評価基準を用いて点数で評価をし、10人の評価点の平均点を官能評価点とした。
具体的には、約1cmの厚みに切った鶏むね肉を、食したときの食感(軟らかさ、歯切れ、ほぐれ感)を評価した。評価結果を表12、表13に示す。
本発明の食肉軟化剤は、食品分野において広く利用することができる。

Claims (5)

  1. 中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含有することを特徴とする食肉軟化剤。
  2. 食肉加工食品の製造において、中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを含有する食肉軟化剤を使用することを特徴とする食肉加工食品の製造方法。
  3. 前記食肉加工食品の製造方法が、前記食肉軟化剤に、又は前記食肉軟化剤と調味液とを混合したものに、食肉を漬け込むことである、請求項2に記載の食肉加工食品の製造方法。
  4. 前記食肉加工食品の製造方法が、前記食肉軟化剤を、又は前記食肉軟化剤と調味液とを混合したものを、食肉に注入することである、請求項2に記載の食肉加工食品の製造方法。
  5. 中鎖脂肪酸含有トリアシルグリセロールを、食肉を軟らかくする食肉軟化剤として使用する方法。
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