JP2020037501A - 窒化物半導体基板の製造方法および窒化物半導体基板 - Google Patents

窒化物半導体基板の製造方法および窒化物半導体基板 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶性を向上させた窒化物半導体基板の製造方法および窒化物半導体基板の製造方法を提供する。【解決手段】窒化物半導体基板の製造方法は、窒素ガスを含む雰囲気でアルミニウムをターゲットとしてスパッタリングすることにより、基板上に第1窒化アルミニウム層を形成する第1工程と、窒化アルミニウムをターゲットとしてスパッタリングすることにより、前記第1窒化アルミニウム層上に第2窒化アルミニウム層を形成する第2工程と、を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、極性反転構造を有する窒化物半導体基板の製造方法および窒化物半導体基板に関する。
近年、AlN(窒化アルミニウム)、GaN(窒化ガリウム)、AlGaN(窒化アルミニウムガリウム)等を発光材料として利用した紫外光源(波長200nm〜400nm)の研究開発が盛んである(例えば、特許文献1、2参照)。
また、極性反転層を有する窒化物半導体基板は、SHG素子(Second Harmonic Generation)に利用可能である。すなわち、極性反転層を有する窒化物半導体基板上にInGaN青色レーザ素子を形成し、極性反転層を非線形光学結晶として第二次高調波を発生させる光学系として構成すれば、コヒーレント性の高い紫外光を発生させるSHG素子として利用可能である。
極性反転層に関して次のような先行技術がある。非特許文献1は、ウルツ鉱型GaNの分子線エピタキシ成長中のマグネシウムの混入はGa極性(0001)面をN極性に反転させることを開示している。非特許文献2は、プラズマ分子線エピタキシにより成長させたGaNの極性を、窒化アルミニウム/酸化アルミニウムを混合した中間層を挿入することにより、N極性からGa極性に反転させることを開示している。
特開2017−055116号公報 特開2008−303137号公報
V. Ramachandran et al.,"Inversion of wurtzite GaN(0001) by exposure to magnesium" Published in Appl. Phys. Lett. 75, 808 (1999) Man Hoi Wong et al., "Polarity inversion of N-face GaN using an aluminum oxide interlayer" Journal of Applied Physics 108, 123710 (2010), Published Online: 28 December 2010
しかしながら、従来技術によれば、極性反転構造を有する窒化物半導体基板の結晶性を向上させることが困難であるという問題がある。
例えば、非特許文献1に開示された手法により極性反転したGaN層に作成する場合、窒化マグネシウムからなる中間層を含むため、結晶性が悪化するという問題がある。また、非特許文献2に開示された手法により極性反転したGaN層に作成する場合、酸化アルミニウムからなる中間層を含むため、結晶性が悪化するという問題がある。
本発明は、極性反転構造を有する窒化物半導体基板の結晶性を向上させた窒化物半導体基板の製造方法および窒化物半導体基板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る窒化物半導体基板の製造方法は、窒素ガスを含む雰囲気でアルミニウムをターゲットとしてスパッタリングすることにより、基板上に第1窒化アルミニウム層を形成する第1工程と、窒化アルミニウムをターゲットとしてスパッタリングすることにより、前記第1窒化アルミニウム層上に第2窒化アルミニウム層を形成する第2工程と、を有する。
また、本発明の一態様に係る窒化物半導体基板は、基板と、前記基板上に形成された第1窒化物層と、前記第1窒化物層上に形成された第2窒化物層と、を備え、前記第1窒化物層は前記窒素極性を有し、前記第2窒化物層は前記窒素極性を反転した極性を有し、前記第1窒化物層の膜厚は50nm以上である。
本発明の窒化物半導体基板の製造方法によれば、極性反転構造を有する窒化物半導体基板の結晶性を向上させることができ、製造コストを大幅に低減することができる。
また、本発明の窒化物半導体基板によれば、極性反転構造を有する窒化物半導体基板の結晶性を向上させることができる。
図1Aは、実施の形態に係る窒化物半導体基板の構成例を示す断面図である。 図1Bは、実施の形態に係る窒化物半導体基板のより具体的な例を示す断面図である。 図2は、実施の形態に係るスパッタ装置の構成例を示す模式図である。 図3は、実施の形態に係る窒化物半導体基板の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図4Aは、アルミニウムをターゲットとして成膜した窒化アルミニウム層の極性を調べた顕微鏡写真を示す図である。 図4Bは、アルミニウムをターゲットとして成膜した1つ目の窒化アルミニウム層の上に、窒化アルミニウムをターゲットとして成膜した2つ目の窒化アルミニウム層の極性を調べた顕微鏡写真を示す図である。 図5は、図4Aおよび図4Bに示した試料の特性を示す図である。 図6は、窒化アルミニウムをターゲットとして成膜した1つ目の窒化アルミニウム層の上に、アルミニウムをターゲットとして成膜した2つ目の窒化アルミニウム層の極性を調べた顕微鏡写真を示す図である。 図7は、図6に示した試料の特性を示す図である。 図8Aは、窒化物半導体基板1に形成されたSHG素子の構成例を示す図である。 図8Bは、窒化物半導体基板1を用いたSHG素子の導波路幅と実効屈折率との関係を示す図である。 図9は、窒化物半導体基板1に形成されたSHG素子の電界分布を示す図である。 図10Aは、窒化物半導体基板1の電子顕微鏡写真を示す図である。 図10Bは、図10A中の部分画像P1を拡大した図である。 図10Cは、図10A中の部分画像P2を拡大した図である。 図10Cは、図10A中の部分画像P3を拡大した図である。 図11は、窒化物半導体基板の二次イオン質量分析法による計測結果を示す図である。 図12は、比較例に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す断面図である。 図13は、窒化物半導体基板内でIII族極性、窒素極性が反転している状態示す電子顕微鏡写真を示す図である。 図14は、サファイア基板の上に形成された窒化アルミニウム層の極性の定義を示す説明図である。
(本発明の基礎となった知見)
本発明者らは、「背景技術」の欄において記載した、極性反転構造を有する窒化物半導体基板に関し、結晶性の問題および製造コストの問題が生じることを見出した。
結晶性の問題については非特許文献1および2を引用して既に説明したので、ここでは主に製造コストの問題について説明する。
まず、比較例として、本発明者らの知見に係る窒化物半導体基板の製造方法をについて説明する。
図12は、比較例に係る極性反転構造を有する窒化物半導体基板の製造方法を示す説明図である。
はじめに、図12の(a)に示されるように、サファイア基板2aの上にAlN緩衝層3aを成膜する工程が行われる。AlN緩衝層3aは、窒化アルミニウム結晶層3の前駆体であり、後の構成において熱処理されることにより、窒化アルミニウム結晶層3となる層である。AlN緩衝層3aは、例えば、700W、600℃の条件でスパッタ法を用いて成膜される。このとき生成されるAlN緩衝層3aは、例えば200nmの厚さである。なお、サファイア基板2b上にAlN緩衝層3bが成膜された基板も同様に製造される。例えばサファイア基板2aとサファイア基板2bとは、同時に同じプロセスで処理される異なるウェハーである。
次に、図12の(b)に示すように、サファイア基板2a上にAlN緩衝層3aが成膜された半導体基板とサファイア基板2b上にAlN緩衝層3bが成膜された半導体基板とを2枚一組として半導体基板組とし、各半導体基板におけるAlN緩衝層3aと3bが配置された面(AlN面)を対向して密着させる。
次に、図12の(c)に示すように、AlN面を対向して密着させた半導体基板組の熱処理を行う。熱処理は、電気炉などを用いた熱処理工程である。例えば、1700℃の温度で3時間熱処理を行う。半導体基板組の主面対向面や周囲では、ガスが実質的に流れない滞留状態としており、熱処理時にAlNの成分が解離して抜け出すのが抑制され、表面が平坦でかつ高品質のAlN結晶層が形成された窒化物半導体基板1が作製される。
次に、図12の(d)に示すように、2枚の半導体基板のうちの一方について、サファイア基板2bを剥離する処理を行う。サファイア基板2bを剥離した窒化物半導体基板は、サファイア基板2a上にAl極性のAlN結晶層3aが配置され、AlN結晶層3aの上に窒素極性のAlN結晶層3bが配置された構成となっている。このようにして極性反転された2つのAlN結晶層を形成することができる。
次に、図12の(e)及び(f)は、上記した様に得られた半導体基板を、デバイスとして加工する工程である。SHG素子を例に取り簡単に説明する。
まず、図12の(e)に示すように、サファイア基板2aの上に積層された+cAlN結晶層3aと−cAlN結晶層3bとを、リソグラフィー、ドライエッチングといった半導体加工プロセスで一般的な手法を用いて導波路コア層のパターンに形成する。その後、図12の(f)に示すように、導波路コア層内に光を閉じ込めるための保護層として、クラッド層7を形成する。
図12の比較例で示した窒化物半導体基板の製造方法によれば、極性反転構造を有する窒化物半導体基板を良好な結晶品質で製造することができる。しかしながら、SHG素子を作成するためにサファイア基板2bを剥離しなければならず(図12の(d))、煩雑な工程が必要となる。また、半導体基板組における2枚の基板の位置ずれおよび角度ずれを考慮しなければならず、精密は位置整合には装置的コストおよび時間的コストを要するという問題がある。
そこで、本発明は、第1に、極性反転構造を有する窒化物半導体基板の結晶性を向上させた窒化物半導体基板の製造方法および窒化物半導体基板を提供することを目的とする。第2に、製造コストを低減させる窒化物半導体基板の製造方法および窒化物半導体基板を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る窒化物半導体基板の製造方法は、窒素ガスを含む雰囲気でアルミニウムをターゲットとしてスパッタリングすることにより、基板上に第1窒化アルミニウム層を形成する第1工程と、窒化アルミニウムをターゲットとしてスパッタリングすることにより、前記第1窒化アルミニウム層上に第2窒化アルミニウム層を形成する第2工程とを有する。
これによれば、第1窒化物層と第2窒化物層との間に中間層を介在させることなく極性反転構造を形成するので結晶性を向上させることができる。また、第1工程および第2工程のスパッタリングを連続的に行うことができるので、窒化物半導体基板同士を張り合わせたり剥離したりする工程を要しないので複雑な製造装置を必要とせず、製造装置の低コスト化と、製造時間の短縮とによって、製造コストを大幅に低減することができる。
また、本発明の一態様に係る窒化物半導体基板は、基板と、前記基板上に形成された第1窒化物層と、前記第1窒化物層上に形成された第2窒化物層と、を備え、前記第1窒化物層は窒素極性を有し、前記第2窒化物層は窒素極性を反転した極性を有し、前記第1窒化物層の膜厚は50nm以上である。
これによれば、中間層を介在させない極性反転構造により結晶性を向上させることができる。
補足すると、本件発明者らは、上記課題について、窒化物半導体のスパッタリング条件を制御することで極性反転する手法を見出した。すなわち、ターゲットにアルミニウム固体を使用するとN極性の窒化アルミニウム層が成膜され、ターゲットに窒化アルミニウムの焼結体を使用するとAl極性の窒化アルミニウム層が成膜されることを明らかにした。これにより、スパッタリングのターゲットを切り替えることでN極性からAl極性に極性を反転させることが可能となる。したがって、中間層を有しないことから結晶性を向上させ、また、サファイア基板の剥離という煩雑な工程をなくして製造コストを大幅に低減することができる。
具体的な実施態様の説明の前に、極性反転構造を有する窒化物半導体基板1の構成例について説明する。
図13は、窒化物半導体基板内でIII族極性、窒素極性が反転している状態示す電子顕微鏡写真を示す図である。図13の(a)および(b)は、窒化物半導体基板のIII族極性(同図ではAl極性)と窒素極性とがIII族結晶層内で反転している状態を示す電子顕微鏡写真である。より詳細には、図13の(a)および(b)に示す電子顕微鏡写真は、HAADF−STEM(High-Angle Annular Dark-Field Scanning Transmission Electron Microscopy、高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡)による窒化物半導体基板の観測像(STEM像)である。図13の(a)および(b)では、窒化物半導体基板が有するサファイア基板と、サファイア基板のc軸方向の一方向を正としたときの正の極性を示す+cAlN結晶層と、c軸方向の正の方向と反対方向を負としたときの負の極性を示す−cAlN結晶層とが観測されている。極性が反転している部分、すなわち+cAlN結晶層と−cAlN結晶層との界面は、比較例では図12の(b)に示したように基板組を貼り合わせた場合の界面である。なお、図13の(b)は、図13の(a)に示した半導体基板における+cAlN結晶層と−cAlN結晶層との界面近傍の一部を1500万倍の高倍率で測定した結果を示している。
STEM像では、重い原子ほど明るく見える。このことより、図13の(b)において、白いドットはN原子よりも重いAl原子を示しており、そこから彗星の尾のように伸びている部分にN原子が存在していることがわかる。+cAlN結晶層と−cAlN結晶層とは、もともと2枚の独立したAlN基板であったが、界面にはくっきりとした原子像が見られており、非常に高い結晶性を示していることが分かる。+cAlN結晶層から−cAlN結晶層への極性反転は、単原子層で生じており、これまでの結晶成長法では難しかった急峻な極性反転を実現している。ここで、原子構造の乱れが1nm以下であること、+cAlN結晶層と−cAlN結晶層とが1乃至2原子レベルで完全に接合していること、および、+cAlN結晶層と−cAlN結晶層との界面にアモルファス層が存在していないことを、STEM像から読み取ることができる。
また、STEM像からAl原子の原子間距離を抽出すると、貼り合わせ界面では2.8Åであり、貼り合わせ界面から離れた箇所では2.5Åであった。貼り合わせ界面では原子間距離が1割ほど大きくなっていることから、貼り合わせ界面には酸素や炭素などの不純物が含まれており、これらを介した原子結合になっていることが考えられる。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すもので
ある。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲によって特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
[1.窒化物半導体基板の構成]
図1Aおよび図1Bを参照して本実施の形態に係る窒化物半導体基板1について説明する。図1Aは、実施の形態に係る窒化物半導体基板1の構成例を示す断面図である。図1Bは、実施の形態に係る窒化物半導体基板1のより具体的な例を示す断面図である。
図1Aに示すように、窒化物半導体基板1は、基板2と、基板2側に窒素極性を有する第1窒化物層3と、基板2側にIII族極性を有する第2窒化物層4とを有する。この窒化物半導体基板1は、例えば極性反転型SHG素子等に用いる窒化物半導体基板である。
基板2は、サファイア、炭化ケイ素および窒化アルミニウムの少なくとも一つからなる基板である。
窒化物半導体基板1は、基板の表面に、AlxGayIn(1−x−y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、(x+y)≦1)で表わされるIII族窒化物半導体の結晶粒の集合体からなるIII族窒化物半導体結晶層を有している。窒化物半導体基板1は、III族窒化物半導体結晶層として、基板2側に窒素極性を有する第1窒化物層3と、基板2側にIII族極性である第2窒化物層4とを有し、III族極性と窒素極性との極性反転層構造を有している。
具体例としては、図1Bに示すように、窒化物半導体基板1は、基板の一例であるサファイア基板2と、基板2側に窒素極性を有する窒化アルミニウム層(つまり第1窒化物層3)と、基板2側にAl極性を有する窒化アルミニウム層(つまり第2窒化物層4)を有している。以下、基板2、第1窒化物層3、第2窒化物層4を、具体例を示すときはサファイア基板2、第1窒化アルミニウム層3、第2窒化アルミニウム層4とそれぞれ呼ぶことがある。
サファイア基板2の上に形成された第1窒化アルミニウム層3と第2窒化アルミニウム層4とは、サファイア基板2のc軸方向に沿って互いに反平行な自発分極ないしピエゾ分極を有している。ここで、ウルツ鉱型結晶中のAl−N結合のうちc軸に平行な結合に着目し、サファイア基板側にAlが位置する場合をAl極性、Nが位置する場合を窒素極性の結晶方位と定義するのが一般的である。図14は、サファイア基板の上に形成された窒化アルミニウム層の極性の定義を示す説明図である。同図の(a)はアルミニウム極性(Al極性)を、(b)は窒素極性(N極性)を模式的に示している。図14の(a)中の破線枠は図13中の部分画像P131に対応する。また、図14の(b)中の破線枠は図13中の部分画像P132に対応する。
図1Bでは、第1窒化アルミニウム層3は窒素極性である。第2窒化アルミニウム層4はAl極性である。以下では、サファイア基板2の上に配置された窒化アルミニウム層について、Al極性を有する窒化アルミニウム層を、+cAlN結晶層とも呼ぶ。また、窒素極性を有する窒化アルミニウム層を、−cAlN結晶層とも呼ぶ。本実施の形態では、第1窒化アルミニウム層3は、−cAlN結晶層であり、第1窒化物層3である。第2窒化アルミニウム層4は、+cAlN結晶層であり、第2窒化物層4である。
ここで、Al極性と窒素極性が反転している第1窒化物層3および第2窒化物層4が積層された構造を極性反転構造という。つまり、−cAlN結晶層と+cAlN結晶層とが積層された構造を極性反転構造という。また、第1窒化物層3および第2窒化物層4との極性反転構造において、Al極性と窒素極性が反転している層を、極性反転層と定義する。極性反転層は、1乃至2原子の厚さの中での構造であり、かつ、第1窒化物層3と第2窒化物層4との界面という側面を持つものである。また、窒化物半導体基板1において、−cAlN結晶層上に+cAlN結晶層が積層された構造を極性反転構造は、サファイア基板2の表面と平行に、−cAlN結晶層と+cAlN結晶層との界面が配置される構成となっている。つまり、窒化物半導体基板1において、極性反転層は、図1Aおよび図1Bにも示すようにサファイア基板2の表面と平行である。
なお、図1では窒化物半導体基板1を模式的に表現しているため、サファイア基板と第1窒化物層3および第2窒化物層4とが同等の厚さにみえるが、実際にはサファイア基板2は、200μm以上1000μm以下程度であり、第1窒化物層3は、50nm以上200nm以下程度である。第1窒化物層3と第2窒化物層4の膜厚の合計は1000nm以下である。図1Aに示す窒化物半導体基板1では、第1窒化物層3および第2窒化物層4の界面である厚みの中央付近に極性反転層を有する。しかし、第1窒化物層3と第2窒化物層4は同じ厚さでなくてもよい。そのため、極性反転層は、必ずしも結晶層3および第2窒化物層4の合計厚さの中央付近にできるものではなく、窒化物半導体基板1を加工して得られるデバイスの特性要求に応じて、極性反転層の位置を自由に設定できるものである。
[2.窒化物半導体基板の製造装置]
次に、極性反転構造を有する窒化物半導体基板1の製造装置としてスパッタ装置の構成について説明する。
図2は、実施の形態に係るスパッタ装置10の構成例を示す模式図である。同図のようにスパッタ装置10は、チェンバー100、吸気管101、排気管102、バルブ103、排気ポンプ104、基板ホルダ105、永久磁石108、高圧電源109を備える。
チェンバー100は、基板2と、第1窒化物層3の原料となるターゲット107とを対向させて保持し、内圧および温度を任意に設定可能なほぼ密閉された部屋である。
吸気管101は、外部から供給される不活性ガスをチェンバー100内部に導入するための吸気管である。不活性ガスは、窒素ガス、アルゴンガスなどである。
排気管102は、チェンバー100内部のガスを外部に排気するための排気管である。
バルブ103は、排気管102の排気流量を調整する。
排気ポンプ104は、排気管102およびバルブ103を介してチェンバー100内部のガスを外部に排気するためのポンプである。
基板ホルダ105は、ウェハー基板の状態の基板2を保持する。なお、基板ホルダ105は、同時に成膜される複数枚の基板2を保持してもよい。
ターゲット107は、ターゲットホルダに保持される。なお、ターゲットホルダは、複数種類のターゲットを保持し、スパッタリングの対象となる1つのターゲットを切り替え可能な構成でもよい。本実施形態では、ターゲットホルダは、少なくとも2つのターゲット、つまりアルミニウム固体と窒化アルミニウムの焼結体とを保持し、チェンバー100内で保持したまま、スパッタリングターゲットとして択一的に切り替え可能であるものとする。
永久磁石108は、スパッタリングによりイオン化したターゲット107の原子を基板2に導くための磁界を形成する。
高圧電源109は、基板2とターゲット107との間に高周波電圧を印加する。高周波電圧は、例えば、DC(Direct Current)電圧によりバイアスされたRF(Radio Frequency)電圧である。高周波電圧のRF電圧成分は、基板2とターゲット107の間で不活性ガスをプラズマ化する。プラズマ化した不活性ガスは、DC電圧成分による電界によってターゲット107に衝突し、ターゲット107表面の原子を弾き出す(スパッタリングする)。弾き出された原子は、DC電圧成分の電界に従って、基板2に向かって飛び、付着する。その結果、基板2上にターゲット107を原料とする膜を形成する。高周波電圧の電圧は、例えば、数百V、高周波電圧の周波数は数十MHzでよい。
なお、図2のスパッタ装置10では、高周波電圧を用いるいわゆるRFスパッタの例を示したが、数百Vの直流電圧を用いるDCスパッタでもよい。
また、図2のスパッタ装置10では、基板2がターゲット107よりも上側に対向して配置されるスパッタアップ型(またはフェイスダウン型)の構成例を説明したが、基板2がターゲット107よりも下に対向して配置されるスパッタダウン型(ファイスアップ型)でもよいし、基板2がターゲット107の側方に対向して配置されサイドスパッタ型(サイドファイス型)でもよい。
[3.窒化物半導体基板の製造方法]
次に、図3のフローチャートを用いて、窒化物半導体基板1の製造方法について説明する。
図3に示すように、窒化物半導体基板1の製造方法は、大きく分けて、ステップS21〜ステップS27を有する。
ステップS21では、スパッタ装置10内の基板ホルダ105に基板2を準備する。この基板2は、ウェハー基板の状態でよく、例えば、サファイア製のウェハーである。基板ホルダ105は、例えば、2インチのウェハー基板を4枚保持可能な構成でもよい。
ステップS22では、成膜材料であるターゲット107としてアルミニウムの固体を準備する。具体的には、まず、ターゲットホルダにアルミニウムの固体と窒化アルミニウムの焼結体とを保持させる。次に、スパッタリングの対象としてアルミニウムの固体をプラズマ放電に曝される位置に配置する。このとき、スパッタリングの対象でない窒化アルミニウムの焼結体はプラズマ放電に曝されない位置に配置しシャッターなどにより影響を受けない状態にする。
ステップS23では、ターゲット107であるアルミニウム固体をスパッタリングすることにより、ターゲット材料の組成を含む第1窒化物層3(ここではAlN層)を基板2上に成膜する。これにより、サファイア基板2側に窒素極性を有する窒化アルミニウム層が成膜される。このとき、ターゲットホルダに保持されたアルミニウムの固体がスパッタリングされ、ターゲットホルダに保持された窒化アルミニウムの焼結体はスパッタリングされない。
より具体的に説明すると、チェンバー100の内圧は、0.5Pa以下になるように排気ポンプ104およびバルブ103により調整される。チェンバー100のサファイア基板2付近には図示はしていないがヒータが設置され、サファイア基板2の温度は約500〜650℃の範囲内の温度で、例えば約600℃に保たれる。また、ターゲット107、永久磁石108の付近には配管によって冷却水が引かれており、ターゲット107付近の温度は100〜200℃の範囲に押さえられている。吸気管101からは不活性ガスとして窒素(N2)ガスのみが供給される。窒素ガスの流量は、例えば、数10sccm(standard Cubic Centimeter per Minute)である。単位sccmは、0℃、1気圧で標準化された単位である。高圧電源109の高周波電圧は 数百Vであり、高周波電圧の周波数は13.56MHzである。スパッタリングする時間は、成膜すべき第1窒化物層3の所望する膜厚に応じて定めればよい。
第1窒化物層3の膜厚は、極性反転構造を形成する観点からは50nm以上200nm以下であればよい。また、第1窒化物層3の膜厚が大きいほどチェンバー100の内圧を小さくしてもよい。
第1窒化物層3の所望する膜厚に対応するスパッタリング時間の経過後に、スパッタリングを停止する。つまり、高圧電源109による高周波電圧の発生を停止する。このとき、高周波電圧以外のチェンバー100の状態(温度、不活性ガスの供給、スパッタ圧力等)は維持しておいてよい。
ステップS24では、成膜材料であるターゲット107として窒化アルミニウムの焼結体を準備する。具体的には、ターゲットホルダに保持されたアルミニウムの固体と窒化アルミニウムの焼結体のうち、スパッタリングの対象として窒化アルミニウムの焼結体をプラズマ放電に曝される位置に配置する。このとき、スパッタリングの対象でないアルミニウムの固体はプラズマ放電に曝されない位置に配置しシャッターなどにより影響を受けない状態にする。
ステップS25では、ターゲット107である窒化アルミニウムの焼結体をスパッタリングすることにより、ターゲット材料の組成を含む第2窒化物層4(ここではAlN層)を第1窒化物層3上に成膜する。これにより、サファイア基板2側にAl極性を有する窒化アルミニウム層が成膜される。このとき、ターゲットホルダに保持された窒化アルミニウムの焼結体がスパッタリングされ、ターゲットホルダに保持されたアルミニウムの固体はスパッタリングされない。
スパッタリングの設定条件は、ステップS23と同様でよい。ただし、スパッタリングする時間は、成膜すべき第2窒化物層4の所望する膜厚に応じて定めればよい。第2窒化物層4の膜厚は、極性反転構造を形成する観点からは、第1窒化物層3の膜厚と合わせて1000nm以下にしてもよい。なお、第2窒化物層4の膜厚は、クラックの発生を抑制する観点からは、640nm以下にしてもよいし、第2窒化物層4の膜厚が大きいほどチェンバー100の内圧を小さくしてもよい。ここで内圧は0.5Pa、好ましくは0.2Paである。
ステップS26では、第1窒化物層3および第2窒化物層4が成膜されたサファイア基板2を、1400℃以上、好ましくは1650℃以上1750℃以下でアニールする。
より具体的に説明すると、まず、ステップS25によって第1窒化物層3および第2窒化物層4が成膜された基板2を、アニール装置の内部に配置する。アニール装置は、アニール処理が可能な装置であればよく、スパッタ装置10とは別の装置であってもよいし、スパッタ装置10であってもよい。アニール装置内部での基板2の配置は次のように行う。すなわち、成膜された第2窒化物層4の主面から窒化物半導体の成分が解離するのを抑制するためのカバー部材で第2窒化物層4の主面を覆った気密状態にする。ここで、「解離」とは、第2窒化物層4の種面からその成分(窒素、アルミニウム、ガリウム、インジウム等)が離脱して抜け出すことをいい、昇華、蒸発および拡散が含まれる。また、半導体(または基板)の「主面」とは、その上に他の材料が積層(または形成)される場合における積層(形成)される側の表面をいう。
次に、アニール装置内を排気して真空にした後に不活性ガスまたは混合ガスを流入することでガス置換を行う。その後に、気密状態に配置された第1窒化物層3、第2窒化物層4をアニールする。このとき、第1窒化物層3が成膜された基板2の温度は1650℃以上1750℃以下で、かつ、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスまたは不活性ガスにアンモニアガスを添加した混合ガスの雰囲気で、アニールする。
また、アニール装置内の不活性ガスまたは混合ガスの圧力は、0.1〜10気圧(76〜7600Torr)の範囲がアニール効果を期待できる範囲であるが、高温時の防爆強度等の関係から0.5〜2気圧程度に設定される。原理的には、これらのガスの圧力が高い方がAlN緩衝層3の結晶性および表面荒れの改善が期待できるが、ガスの圧力は1気圧前後に設定してもよい。ここで圧力単位の関係は1気圧=101,325Pa(パスカル)=760Torrである。
このようなアニールによって、第1窒化物層3、第2窒化物層4の貫通転位密度を低下させて結晶性を向上させることができる。
ステップS27では、アニール後の窒化物半導体基板1が常温になるまで放置することにより冷却する。
なお、アニール装置は、一定の体積を持った加熱容器であって、基板温度を500℃〜1800℃で制御できる機能、および、装置内に導入して置換するための不活性ガスおよび混合ガスの圧力と流量とを制御できる機能を有するものであればよい。 次に、ステップS26における気密状態について説明する。
気密状態とは、アニール装置内で実現される状態であり、第2窒化物層4の主面からその成分が解離するのを抑制するためのカバー部材で第2窒化物層4の主面を覆った状態である。つまり、気密状態は、物理的な手法で、第2窒化物層4の主面からその成分が解離するのを抑制している。この状態では、カバー部材と第1窒化物層3の主面との間におけるガスが実質的に流れない滞留状態となる。このような気密状態で、窒化物半導体基板をアニールすることで、第2窒化物層4の主面からその成分が解離することによって主面が荒れてしまうことが抑制される。また、より高温でのアニールが可能となり、表面が平坦でかつ高品質の第2窒化物層4が形成された窒化物半導体基板1が実現される。
なお、ステップS21で準備される基板2は、サファイアに限定されず、サファイア、炭化ケイ素(SiC)および窒化アルミニウム(AlN)の少なくとも一つからなる基板であってもよい。
なお、ステップS25のスパッタリングにおける不活性ガスは、窒素ガスに限らず、窒素ガスとアルゴンガスとの混合気体でもよい。
なお、ステップS24のS25の間にS26とS27を実施してもよい。すなわち、第1窒化物層3を成膜してからアニールによって結晶性を向上させ、その上に第2窒化物層4を成膜してからアニールによって結晶性を向上させてもよい。
図3に示した窒化物半導体基板1の製造方法によれば、ターゲットにアルミニウム固体を使用するとN極性の窒化アルミニウム層が成膜され、ターゲットに窒化アルミニウムの焼結体を使用するとAl極性の窒化アルミニウム層が成膜される。これにより、スパッタリングのターゲットを切り替えることでN極性からAl極性に極性を反転させることが可能となる。したがって、中間層を有しないことから結晶性を向上させ、また、サファイア基板の剥離という煩雑な工程をなくして製造コストを大幅に低減することができる。
さらに、アニール処理によって、第1窒化物層3および第2窒化物層4の貫通転位密度を低下させて結晶性を向上させることができる。また、スパッタ圧力を0.5Pa以下にすることによって、第1窒化物層3および第2窒化物層4の膜厚が大きいとでも、アニール処理に起因するクラックの発生を抑制することができる。
続いて、実施の形態に係る窒化物半導体基板1の製造方法により作製した試料を評価した結果について説明する。
図4Aは、アルミニウムをターゲットとして成膜した窒化アルミニウム層の極性を調べた顕微鏡写真を示す図である。同図の試料4Aは、図3のステップS23で第1窒化物層3を200nm成膜した直後に、評価のためにスパッタ装置10から取り出したものである。
図4Aの上段の画像は、原子間力顕微鏡により試料4Aの表面状態を観察した像であり、画像縦方向がAlNの[1−100]方向、画像横方向がAlNの[11−20]方向となるように測定を行っている。2×2μm範囲では、表面の二乗平均平方根粗さを示すRq値は0.41nmであった。一般的に、表面粗さが1nm以下であれば接合は可能とされており、接合には十分に平坦である。
図4Aの下段の画像は、試料4Aの極性を確認するために、試料4Aを水酸化カリウム(KOH)水溶液によって室温下で10秒間エッチングした後の表面状態を観察した像である。エッチング後の表面の平均粗さを示すRq値は29.1nmであった。図4Aの下段の画像は、上段の画像と比べて凹凸がかなり大きく、画像が黒っぽくなっているのは、表面にN原子よりも十分に大きいAl原子が見えている状態である。つまり、KOH水溶液は窒素極性のAlNのみを溶解する性質を持っているため、表面側にAl極性(基板2側にN極性)になっていることが分かる。
図4Bは、アルミニウムをターゲットとして成膜した1つ目の窒化アルミニウム層の上に、窒化アルミニウムをターゲットとして成膜した2つ目の窒化アルミニウム層の極性を調べた顕微鏡写真を示す図である。同図の試料4Bは、図3のステップS23で第1窒化物層3を20nm成膜し、ステップS25で第2窒化物層4を180nm成膜した直後に、評価のためにスパッタ装置10から取り出したものである。
図4Bの上段の画像は、原子間力顕微鏡により試料4Bの表面状態を観察した像であり、2×2μm範囲では、表面の平均粗さを示すRq値は1.59nmであった。
図4Bの下段の画像は、試料4Bの極性を確認するために、試料4Bを水酸化カリウム水溶液によって室温下で30秒間エッチングした後の表面状態を観察した像である。エッチング後の表面の平均粗さを示すRq値は1.26nmであった。図4Bの下段の画像は、上段の画像と比べて凹凸がやや小さく、画像が黒っぽくなっていないのは、表面にN原子が見えている状態である。つまり、表面側にN極性(基板2側にAl極性)になっていることが分かる。
図5は、図4Aおよび図4Bに示した試料4Aおよび4Bの特性を示す図である。図5では、エッチングの結果から判別された極性と、(0002)面におけるXRC(X線ロッキングカーブ)測定で得られる回折ピークの半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum、以下単に半値幅と呼ぶ)と、(10−12)面における同じく半値幅と、c軸方向の格子定数とを示している。XRCの半値幅は小さいほど、つまり、得られる回折ピークがシャープなほど結晶性が良好であることを示す。なお、XRCの半値幅の単位は、角度を表わすarcsec(”)である。
図5に示すように、試料4Aについては、基板2側にN極性を有し、(0002)面のXRC半値幅は11arcsec、(10−12)面のXRC半値幅は319arcsec、c軸格子定数は4.989Å、a軸格子定数は3.098Åである。
試料4Bについては、基板2側にAl極性を有し、(0002)面のXRC半値幅は13arcsec、(10−12)面のXRC半値幅は255arcsec、c軸格子定数は4.988Å、a軸格子定数は3.099Åである。
図5から、アルミニウムをターゲットとして成膜した1つ目の窒化アルミニウム層と、窒化アルミニウムをターゲットとして成膜した2つ目の窒化アルミニウム層とでは極性が反転しており、極性反転構造をターゲットの切り替えで形成できることが確認できた。また、図5の半値幅および格子定数から高品質な結晶性を有し、例えば、1つ目のN極性の窒化アルミニウム層は高品質テンプレートとして利用可能である。
次に、実施の形態に係る窒化物半導体基板1の製造方法とは異なる手順により作製した試料を評価した結果について説明する。
図6は、窒化アルミニウムをターゲットとして成膜した1つ目の窒化アルミニウム層の上に、アルミニウムをターゲットとして成膜した2つ目の窒化アルミニウム層の極性を調べた顕微鏡写真を示す図である。同図の試料6は、図3のステップS23とステップS25の順番を入れ替えて作成したものである。
図6の上段の画像は、原子間力顕微鏡により試料6の表面状態を観察した像であり、2×2μm範囲では、表面の平均粗さを示すRq値は1.64nmであった。
図6の下段の画像は、試料6の極性を確認するために、試料6を水酸化カリウム水溶液によって80℃加熱下で2.5分間エッチングした後の表面状態を観察した像である。エッチング後の表面の平均粗さを示すRq値は0.85nmであった。図6の下段の画像は、上段の画像と比べて凹凸がやや小さく、画像が黒っぽくなっていないのは、表面にN原子が見えている状態である。つまり、表面側にN極性(基板2側にAl極性)になっていることが分かる。
図7は、図6に示した試料6の特性を示す図である。同図は、図5と同じ項目を示す。
試料6については、基板2側にAl極性を有し、(0002)面のXRC半値幅は20arcsec、(10−12)面のXRC半値幅は325arcsec、c軸格子定数は4.990Å、a軸格子定数は3.099Åである。
図6および図7から、試料6の1層目の20nmの窒化アルミニウム層も、2層目の180nmの窒化アルミニウム層も共に表面側にN極性(基板2側にAl極性)になり、極性反転構造を形成できないことが分かった。言い換えれば、図3のステップS23とステップS25の順番を入れ替えた場合、極性反転構造を有する窒化物半導体基板を製造できないことが分かった。
次に、窒化物半導体基板1を用いたSHG素子の構成例について説明する。
図8Aは、窒化物半導体基板1を用いたSHG素子の構成例を示す概略図である。図8Aの(a)は、SHGデバイス300の断面模式図である。また、図8Aの(b)は、SHG素子300の斜視図である。
SHG素子300は、導波路301と、サファイアで構成されるクラッド層302とを有している。導波路301は、−cAlN結晶層303と、+cAlN結晶層304とを有している。−cAlN結晶層303と+cAlN結晶層304とは、上述した図3の製造方法で作製された極性反転構造となっている。−cAlN結晶層303、+cAlN結晶層304は、第1窒化物層3、第2窒化物層4に対応する。
ここで、導波路301は、窒化物半導体基板1を用いて、極性反転構造を有するAlN結晶層を導波路幅w、導波路厚さh、導波路長lとなる形状の導波路に形成したものである。このAlN結晶層は、第1窒化物層3および第2窒化物層4からなる結晶層である。このときの導波路幅w、導波路厚さh、導波路長lは、後述するように、導波路長lの方向つまり図8Aの(a)に示すy軸方向に入射するレーザ光の入射波長に基づき算出される。
ここで、図8Aの(a)を用いて極性反転層を中心とした、第二次高調波発生の仕組みを説明する。
−cAlN結晶層303と+cAlN結晶層304とで構成された導波路301は、光学非線形性を有している。光学非線形性を有する導波路301により第二次高調波(SH波)を得るには、位相整合条件を満たす必要がある。すなわち、導波路301に入力された光(基本波)と発生する光(SH波)とは結晶中で進む速さが異なるため、光の位相がπ異なる場合には両者が打ち消しあってしまう。そこで、導波路301では、異方性結晶の複屈折を利用して位相整合させることが一般的である。すなわち、異方性結晶への入射角度をうまく調整することで基本波とSH波の屈折率を一致させる。これにより、導波路301において位相整合条件が満たされるので、効率よくSH波を発生させることが可能となる。
ここで、AlN結晶層は、自立基板の作製に大きなコストがかかることから、数mm角のAlN結晶を要する従来の複屈折位相整合方法は実用的ではない。かつ、複屈折性が弱いことから、深紫外波長域では複屈折を用いた位相整合はそもそも不可能である。そこで、極性反転させたAlN結晶層(薄膜)を利用した疑似位相整合を用いている。このSHG素子300からの出力は、下記の(式1)で示されるように、y軸方向(伝搬方向)とz軸方向(垂直方向)の位相整合を満たす必要がある。このとき、y軸方向の位相整合は導波路中のモード分散を利用し、z軸方向の位相整合はAlNの極性反転を利用する。なお、(式1)において、lはy軸方向に延びる導波路の導波路長、kは光の波数、d33は非線形光学係数である。
まず、y軸に関する項については、(式2)のように表せる。
(式2)において、λωは基本波の波長、nωは基本波における実効屈折率、n2ωはSH波における実効屈折率を示す。基本波とSH波の実効屈折率が一致するとΔkは0になり、第1項はsinc関数として1を示すため、高いSHG効率を得ることができる。ここでは、一般的な複屈折は利用せず、上述したようにモード分散を利用して位相整合条件を満たしている。つまり、SH波には導波路の層の中央に電界分布の節が存在する高次モードを用いることで、基底次モード間では一致することのない実効屈折率の一致を実現している。
図8Aの(a)は導波路301を側面から見た図、図8Aの(b)は導波路301の斜視図になる。図8Aの(a)では、AlN結晶層により形成された導波路301を伝搬する基本波の電界分布(TM00 Ezω)とSH波の電界分布(TM01 Ez2ω)とを実線で示している。また、図9の(a)に示された電界分布図は、TM00 Ezωを、図9の(b)にTM01 Ez2ωの電界分布をxz平面上にプロットしたものである。図9の(a)および(b)において、フィールド中にBlで指示している分布が正の値、Rdで指示している分布が負の値を示している。
ここで、TMとは、Transverse magnetic modeを意味しており、図8Aの(a)では、x軸方向にのみ磁界成分が存在するような電磁波を指す。さらに、TMijの添字i、jはx軸方向とz軸方向のそれぞれの電界分布の節の数を表している。図8Aの(a)では、TM00 Ezωには節がないが、TM01 Ez2ωには節が中央に1つ見られる。AlNは屈折率が高く、サファイア(Al2O3)は屈折率が低いことを利用して、それぞれの材料における電界分布を調整することで、両者の実効屈折率を調整することができる。なお、図8Aの(a)において、TM00 EzωおよびTM01 Ez2ωのカーブを示した近傍に記載されている破線は、電界0の位置を示している。
例えば、厚さhと導波路幅wを適宜調整することにより電界分布を調整することができる。図8Aの(b)ではサファイア基板302を残しているが、図5の(d)の段階でも記載したように、基板を全て剥離して、別のクラッド層を周囲全周施すことができる。SHG素子の場合には酸化ケイ素(SiO2)にすると、より光の閉じ込め効果を向上させ、波長変換効率を向上させることができる。
ただし、TM01 Ez2ωは電界に正負があるため通常の単一の極性を有するAlN膜だと位相整合項の重なり積分が0になってしまうことが問題となる。そのため、上記した極性反転を行い、非線形光学係数d33(z)の符号をSH波電界分布の節にあたる膜厚において反転させる必要がある。これにより(式1)の積分項は非0の値になり、SHG光が出力される。これらの取り組みにより、最終的にy軸方向とz軸方向の位相整合条件が満たされ、高効率なSHG出力を実現することができる。
このように、既存のInGaN青色レーザを光源とし、窒化物半導体基板1のAlN結晶層を非線形光学結晶として第二次高調波を発生させるようなSHG素子を用いて光学系を組めば、コヒーレント性の高い紫外光を発生させることができる。
なお、AlN結晶層を非線形光学結晶として用いる利点として、次の3点が挙げられる。
(1)AlN結晶層の吸収端波長は210nmであるから、紫外の広い領域で透明である。
(2)既存の非線形光学結晶であるBBO(ホウ酸バリウム)やCLBO(ホウ酸セシウムリチウム)よりも高い非線形光学係数d33を有する。
(3)AlN結晶層は、化学的および機械的に安定な材料であり、BBOやCLBOのような潮解性および有毒性がない。
次に、図8Bを用いて、本実施の形態に係る導波路301の設計例について説明する。以下では、
図8Bは、窒化物半導体基板1を用いたSHG素子の設計例に係る導波路幅wと実効屈折率との関係を示す図である。同図に示すグラフの横軸は導波路幅、縦軸は基本波(入射波長λ1=532nm)とSH波(出射波長λ2=266nm)の実効屈折率を示している。導波路301を構成するAlN結晶層の膜厚はh=110nm、導波路長はl=1mmとした。
図8Bには、TM00 EzωおよびTM01 Ez2ωの実効屈折率neff,1とneff,2が導波路301の導波路幅wによって変化する曲線を示している。導波路301の導波路幅wを、2つの曲線の交点である導波路幅w=1.94μmにすると、実効屈折率の差がゼロとなり、波長変換効率は最大となる。本設計では、基本波にλ1=532nmの波長を用いたが、これは測定系の都合でYAGレーザのSH波を使用するためである。より短波長での波長変換を行う場合、λ1=450nm付近の波長で設計を行えば、λ2=225nmのSH波との間で位相整合を満たすことができる。
ここで、上述した設計例は、入射波長をλ1とし、SHGデバイスから出力される出力光の波長をλ2=λ1/2とした場合の結晶層の入射波長における屈折率をn1、出射波長における屈折率をn2として、AlN結晶層の膜厚(導波路厚さ)hをh=110nmに固定して導波路幅wの値を変化させたときに、n1=n2となる導波路幅wの値を求めたものである。n1とn2の許容差は(n1−n2)/n1で計算した場合好ましくは0.1%以下、より好ましくは±0.005%である。導波路301の設計はこれに限らず、例えば導波路幅wの値を固定してAlN結晶層の膜厚hを変化させるグラフを用いることもできる。
このように、入射波長をλ1とし、窒化物半導体基板1の出力光の波長をλ2とした場合のAlN結晶層の入射波長における屈折率をn1、出射波長における屈折率をn2として、前記幅wまたは前記厚さhの値の一つを固定した後、前記幅wまたは前記厚さhの固定していない値を変化させたときに、n1=n2となるときのwまたはhの値が算出される。
なお、図1Aの第1窒化物層3および第2窒化物層4の少なくとも一方のX線回折(10−12)のロッキングカーブ半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)は1000arcsec以下であることが望ましい。
続いて、図10A〜図10Dを用いて、本実施の形態に係る窒化物半導体基板1の製造方法により作製した窒化物半導体基板1の電子顕微鏡写真の例を示す。
図10Aは、化物半導体基板1の電子顕微鏡写真を示す図であり、HAADF−STEMによる窒化物半導体基板1の観測像(STEM像)の一例を示す図である。図10Bは、図10A中の部分画像P1の拡大画像を示す図である。図10Cは、図10A中の部分画像P2の拡大画像を示す図である。また、図10Dは、図10A中の部分画像P3の拡大画像を示す図である。
図10Aに示す窒化物半導体基板1は、基板2(サファイア基板)の上にアルミニウムをターゲットとするスパッタリングにより成膜した約100nmのAlターゲット層と、窒化アルミニウムをターゲットとするスパッタリングにより成膜した約100nmのAlNターゲット層とを含む。Alターゲット層は、概ね図1Bの第1窒化物層3に対応する。AlNターゲット層は、概ね図1Bの第2窒化物層4に対応する。
図10Aでは、AlNターゲット層の成膜開始直後の基板2側の部分は、アルミニウム極性ではなく窒素極性(−cAlN極性)になっており、その後反転してアルミニウム極性(+cAlN極性)になっている。これは、ターゲットをAl固体からAlN焼結体への切り替えた直後の過渡期に窒素極性(−cAlN極性)のなっているものと考えられる。
図10Bでは、図10A中の部分画像P1の下部は基板2側に窒素極性(−cAlN極性)になっている。また、部分画像P1の上部は基板2側にAl極性(+cAlN極性)になっている。つまり、極性反転構造が形成されていることが確認できた。
図10Cでは、図10A中の部分画像P2中の濃淡が現れている部分を更に拡大した部分を部分画像P21として示している。部分画像P21は、画像に濃淡が現れているものの、第1窒化物層3内ではいずれも窒素極性(−cAlN極性)になっていることが確認できた。
図10Dでは、図10A中の部分画像P3中の一部を更に拡大した部分画像P31と部分画像P33とを支援している。また、図10D中の部分画像P32は、特に積層欠陥が生じている部分を示している。積層欠陥のある部分画像P33の下側にある部分画像P33は、基板2側にAl極性(+cAlN極性)になっている。また、積層欠陥のある部分画像P33の上側にある部分画像P31は、画像上で極性を明確には判別困難である。
図10A〜図10Dに示すように、電子顕微鏡写真では極性不明な部分や積層欠陥が存在するけれども、図1Bのような、窒化物半導体基板1が極性反転構造を有することが確認できた。
次に図11を用いて本発明の窒化物半導体基板1が極性反転構造を含むことを確認するために行った二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry、略称:SIMS)の結果について説明する。SIMSとは、質量分析法におけるイオン化方法の種類の一つである。
図11は、窒化物半導体基板の二次イオン質量分析法による計測結果を示す、すなわち不純物濃度の深さ方向分布を示している図である。図11において横軸左側が窒化物半導体基板1の第2窒化物層4の表面側であり、横軸右端側がサファイア基板側である。表面側の不純物密度は、酸素(O)が7×1020cm−3、炭素(C)が2×1019cm−3、珪素(Si)は5×1018cm−3である。これに対し、膜深さ0.5μm(500nm)付近では酸素(O)が4×1019cm−3、炭素(C)が1×1019cm−3、珪素(Si)は4×1016cm−3である。これは膜中の酸素濃度が高いと−cAlN極性が+cAlN極性に反転することを示唆していると考えられる。言い換えれば、第2窒化物層4である窒化アルミニウム層の酸素濃度が第1窒化物層3である窒化アルミニウム層の酸素濃度より10倍以上多くなっていることから、窒化物半導体基板1に極性反転構造ができていると考えられる。
以上説明してきたように本実施の形態に係る窒化物半導体基板の製造方法は、窒素ガスを含む雰囲気でアルミニウムをターゲットとしてスパッタリングすることにより、基板上に第1窒化アルミニウム層を形成する第1工程と、窒化アルミニウムをターゲットとしてスパッタリングすることにより、前記第1窒化アルミニウム層上に第2窒化アルミニウム層を形成する第2工程と、を有する。
これによれば、第1窒化アルミニウム層と第2窒化アルミニウム層との間に中間層を介在させることなく極性反転層を形成するので結晶性を向上させることができる。また、第1工程および第2工程のスパッタリングを連続的に行うことができるので、窒化物半導体基板同士を張り合わせる工程を要しないので複雑な製造装置を必要とせず、製造装置の低コスト化と、製造時間の短縮とによって、製造コストを大幅に低減することができる。
ここで、(前記第1窒化アルミニウム層は、窒素極性を有し、前記第2窒化アルミニウム層は、窒素極性からアルミニウム極性へと極性転換を有してもよい。
これによれば、窒素極性の第1窒化アルミニウム層とアルミニウム極性の第2窒化アルミニウム層を順次形成することにより極性反転層を低製造コストで容易に形成し、結晶性向上させることができる。
ここで、前記第1窒化アルミニウム層の膜厚は50nm以上であり、前記第1窒化アルミニウム層の膜厚は200nm以下であり、前記第1および第2窒化アルミニウム層の膜厚の合計は1000nm以下であってもよい。
これによれば、極性反転層を、第二次高調波を発生させる非線形光学系として利用可能な膜厚を確保することができる。
ここで、前記第1工程および第2工程における前記スパッタリングでは、前記基板の温度は約500〜650℃であり、スパッタリングで装置内に窒素を含むガスが供給されていてもよい。
これによれば、基板を加熱することにより基板表面での原子のマイグレーションが促進され、良質な成膜が可能となる。さらに、窒素を含むガスを流入することでAlNを構成するN原子を供給することができる。
ここで、前記第2工程の後に、前記第1および第2窒化アルミニウム層が形成された前記基板を1400度以上1750度以下の温度でアニールする第3工程を有してもよい。
これによれば、比較的高温でアニールするので第1および第2窒化アルミニウム層の結晶性を向上させ、ひいては極性反転層の結晶性を向上させることができる。
また、本発明の一態様に係る窒化物半導体基板は、基板と、前記基板上に形成された第1窒化物層と、前記第1窒化物層上に形成された第2窒化物層と、を備え、前記第1窒化物層は前記窒素極性を有し、前記第2窒化物層は前記窒素極性を反転した極性を有し、前記第1窒化物層の膜厚は50nm以上である。
これによれば、中間層を介在させない極性反転層を有し、その結晶性を向上させることができる。
ここで、前記基板は、サファイア、炭化ケイ素、シリコン、および窒化アルミニウムの少なくとも一つからなる構成としてもよい。
これによれば、サファイアまたは炭化ケイ素からなる基板は比較的安価なので、コストを低減することができる。
ここで、前記第1窒化物層は窒素極性を含む窒化アルミニウム層であり、前記第2窒化物層はアルミ極性を含む窒化アルミニウム層であり、前記第2窒化物層である窒化アルミニウム層の酸素濃度が前記第1窒化物層である窒化アルミニウム層の酸素濃度より10倍以上多くてもよい。
これによれば、膜中の酸素濃度を適切に調整することで窒化アルミニウム層の極性を任意に制御することができる。
ここで、前記第1窒化物層および第2窒化物層の少なくとも一方のX線回折(10−12)のロッキングカーブ半値全幅(FWHM)は1000arcsec以下であってもよい。
これによれば、極性反転層を、第二次高調波を発生させる非線形光学系として利用可能な膜厚を確保することができる。
ここで、前記第1窒化物層の膜厚は200nm以下であり、前記第1窒化物層および第2窒化物層の膜厚の合計は1000nm以下であってもよい。
これによれば、結晶性を向上させたSHG素子の製造コストを低減することができる
ここで、前記窒化物半導体基板は、SHG(Second Harmonic Generation)素子を構成してもよい。
これによれば、非線形光学結晶を有する窒化物半導体デバイスとして、例えば光学的第二次高調波発生素子(SHG素子)を実現し、入射したレーザ光波長の1/2波長の出力光を効率よく得ることができる。
ここで、前記第1窒化物層および第2窒化物層からなる窒化物層を厚さh、を幅w、長さlとなる形状の導波路に形成し、前記厚さh、幅w、長さlは、l方向に入射するレーザ光の入射波長に基づき算出されてもよい。
ここで、前記入射波長をλ1とし、前記窒化物半導体基板の出力光の波長をλ2とした場合の前記窒化物層の入射波長における屈折率をn1、出射波長における屈折率をn2として、前記幅wまたは前記厚さhの値の一つを固定した後、前記幅wまたは前記厚さhの固定していない値を変化させたときに、n1=n2となるときのwまたはhの値が算出されてもよい。
本発明は、基板上極性反転層を有する窒化物半導体基板として、例えば、照明、殺菌、フォトリソグラフィ、レーザ加工機、医療機器、DNA分析器、蛍光体用光源、分光分布分析、紫外線硬化などの光源として使用される紫外光発光素子に利用することができる。また、光デバイス以外にも各種の電子部品への応用が期待できるものである。
1 窒化物半導体基板
2 基板
3 第1窒化物層
4 第2窒化物層
10 スパッタ装置
100 チェンバー
101 吸気管
102 排気管
103 バルブ
104 排気ポンプ
105 基板ホルダ
107 ターゲット
108 永久磁石
109 高圧電源
300 SHGデバイス(窒化物半導体デバイス)
301 導波路
303 −cAlN結晶層
304 +cAlN結晶層

Claims (13)

  1. 窒素ガスを含む雰囲気でアルミニウムをターゲットとしてスパッタリングすることにより、基板上に第1窒化アルミニウム層を形成する第1工程と、
    窒化アルミニウムをターゲットとしてスパッタリングすることにより、前記第1窒化アルミニウム層上に第2窒化アルミニウム層を形成する第2工程と、を有する
    窒化物半導体基板の製造方法。
  2. 前記第1窒化アルミニウム層は、窒素極性を有し、
    前記第2窒化アルミニウム層は、窒素極性からアルミニウム極性へと極性転換を有する請求項1に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  3. 前記第1窒化アルミニウム層の膜厚は50nm以上であり、
    前記第1窒化アルミニウム層の膜厚は200nm以下であり、
    前記第1および第2窒化アルミニウム層の膜厚の合計は1000nm以下である
    請求項1または2に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  4. 前記第1工程および第2工程における前記スパッタリングでは、
    前記基板の温度は約500〜650℃であり、スパッタリングで装置内に窒素を含むガスが供給されている
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  5. 前記第2工程の後に、前記第1および第2窒化アルミニウム層が形成された前記基板を1400度以上1750度以下の温度でアニールする第3工程を有する
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  6. 基板と、
    前記基板上に形成された第1窒化物層と、
    前記第1窒化物層上に形成された第2窒化物層と、を備え、
    前記第1窒化物層は前記窒素極性を有し、
    前記第2窒化物層は前記窒素極性を反転した極性を有し、
    前記第1窒化物層の膜厚は50nm以上である
    窒化物半導体基板。
  7. 前記基板は、サファイア、炭化ケイ素、シリコン、および窒化アルミニウムの少なくとも一つからなる
    請求項6に記載の窒化物半導体基板。
  8. 前記第1窒化物層は窒素極性を含む窒化アルミニウム層であり、
    前記第2窒化物層はアルミ極性を含む窒化アルミニウム層であり、
    前記第2窒化物層である窒化アルミニウム層の酸素濃度が前記第1窒化物層である窒化アルミニウム層の酸素濃度より10倍以上多い
    請求項7に記載の窒化物半導体基板。
  9. 前記第1窒化物層および第2窒化物層の少なくとも一方のX線回折(10−12)のロッキングカーブ半値全幅(FWHM)は1000arcsec以下である
    請求項8に記載の窒化物半導体基板。
  10. 前記第1窒化物層の膜厚は200nm以下であり、
    前記第1窒化物層および第2窒化物層の膜厚の合計は1000nm以下である
    請求項8に記載の窒化物半導体基板。
  11. SHG(Second Harmonic Generation)素子を構成する
    請求項6〜10のいずれか1項に記載の窒化物半導体基板。
  12. 前記第1窒化物層および第2窒化物層からなる窒化物層を厚さh、を幅w、長さlとなる形状の導波路に形成し、
    前記厚さh、幅w、長さlは、l方向に入射するレーザ光の入射波長に基づき算出される
    請求項11記載の窒化物半導体基板。
  13. 前記入射波長をλ1とし、前記窒化物半導体基板の出力光の波長をλ2とした場合の前記窒化物層の入射波長における屈折率をn1、出射波長における屈折率をn2として、前記幅wまたは前記厚さhの値の一つを固定した後、前記幅wまたは前記厚さhの固定していない値を変化させたときに、n1=n2となるときのwまたはhの値が算出される
    請求項12に記載の窒化物半導体基板。
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