JP2020033479A - 水性塗料組成物及び凹凸模様塗膜 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2の技術でも、塗料塗布後、該塗料が硬化する前にパターンローラを使用して凹凸模様を形成する工程が必要であり、単純な塗装に比較して施工時間が長くなり、また施工費用も高価となる。
特許文献3の技術は、塗料及び模様形成用ローラーの両面で凹凸模様を形成するが、やはり、単純な塗装に比較して施工時間が長くなり、施工費用も高価となる。
なお、このときの乾燥は一般的な自然乾燥でよいが、温風の吹付等による強制乾燥を行ってもよい。
以上のように、本発明の水性塗料組成物は、従来の施工方法のように凹凸模様形成のための特別な工程が不要であるので、施工時間及び施工費用を大幅に削減することができる。
上記被塗装物としては、建築物の外壁や内壁、並びに塀、門扉、看板、柱、橋、及び立体アート等を例示できる。また、塗装対象物の材質としては、塗装可能な限り特に制限は無く、セメントモルタル、コンクリート、漆喰、木、樹脂、及び紙等を例示できる。
本発明の水性塗料組成物は、(A)ヒドロゲル形成物質、第1の樹脂及び水を有するヒドロゲル、(B)ゲル不溶化剤、(C)水分散性の第2の樹脂、(D)顔料、及び(E)水、を含有する、水を分散媒とした懸濁液状又はペースト状組成物である。
具体的には、水[成分(E)]中に、ヒドロゲル[成分(A)]が分散し、ゲル不溶化剤[成分(B)]が溶解し、水分散性の第2の樹脂[成分(C)]が分散し、並びに顔料[成分(D)]が分散している組成物である。所望により、(F)1種以上の繊維をさらに含有し、これらが同様に成分(E)中に分散している組成物でも良い。なお、必要に応じて成分(A)〜(F)以外の、塗料成分として汎用的に使用される成分を任意に含有してもよい。
ヒドロゲルは、塗膜に凹凸模様を付与するための成分であり、ヒドロゲル形成物質に水が保持されてゲルを形成しているものである。凹凸模様の形成機構は次の通りである。本発明の水性塗料組成物を被塗装物に塗布した場合、塗料の乾燥に伴って塗料表面の当該ヒドロゲルに含まれる水分が蒸発除去されて体積が減少し、その結果凹部が形成され、それによって塗膜に凹凸模様が付与される。
ヒドロゲル形成物質は、ゲル中の水を保持するためのネットワーク構造を形成してゲル化作用を発現する化合物であり、該ネットワーク構造の主要部となる物質と、ネットワーク構造の継ぎ手部となるゲル化剤とが反応又は結合して形成される。
無機化合物としては、水膨潤性ケイ酸塩化合物が好ましく、例えば、ヘクトライト、モンモリロナイト、ベントナイト、アタパルジャイト等の水膨潤性粘土鉱物を挙げることができる。これらの水膨潤性ケイ酸塩化合物は、天然物である鉱物以外に、合成物であってもよい。水に溶解し難い良好なヒドロゲルを形成できる点でヘクトライトが好ましく、組成が安定する点で合成ヘクトライトが好ましい。
有機化合物としては水酸基含有有機高分子が好ましく、ポリビニルアルコール、グアーガム、カラギーナン、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。樹脂等が良好に分散され、安定性に優れるヒドロゲルが得られる点で、ポリビニルアルコール、グアーガム、グアーガム誘導体(ヒドロキシプロピル化等の変性)が好ましい。ポリビニルアルコールとしては完全ケン化物でも部分ケン化物でも良く、ケン化度の範囲としては、下記含有量範囲において水に溶解する範囲であれば、特に制限はない。
リン酸塩としては、ピロリン酸ナトリウム等のリン酸ナトリウム類、ピロリン酸カリウム等のリン酸カリウム類などを例示でき、ホウ酸塩としては五ホウ酸アンモニウム等のホウ酸アンモニウム類、ホウ砂などを例示できる。
なお、ヒドロゲルについてゲル主原料とゲル化剤によるネットワーク構造で説明したが、ヒドロゲルであれば、ネットワーク構造形成とは異なる作用によるゲル形成であってもよい。
ヒドロゲル中のゲル主原料の含有量は、無機化合物、有機化合物いずれの場合も0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜4.0質量%がより好ましい。この範囲であれば良好なヒドロゲルを形成できるからである。無機化合物と有機化合物を併用する場合は、その合計量が当該範囲内となる限り、任意の割合で配合すればよい。
水は、ヒドロゲル製造時に水として添加するもの以外に、ヒドロゲル調製のための原料が水を含む場合、当該水も含む。以下に述べる第1〜第3ヒドロゲルにおいても同じである。
しかし、凹部のへこみが小さい凹凸模様の塗膜を所望する場合、(A1)の水分量を少なくする必要があり、そのために(A1)は体質顔料を含有してもよい。体質顔料を含有させる場合、(A1)全量基準で10〜55%が好ましい。10%未満では、体質顔料未含有の場合との差が明確ではなく、55%超では、良好な凹凸模様が得られ難いからである。なお、体質顔料を含有する場合、(A1)は白色であり、塗膜の凹部となった時点において、体質顔料未含有の場合と異なり上記他成分の色は透けて見えることはない。
ヒドロゲルとして(A3)を用いることにより、凹凸に加えて鮮やかで多彩な模様を有する高級感のある凹凸状多彩模様塗膜を得ることができる。より高級感のある凹凸状多彩模様塗膜が得られる点で、(A1)及び/又は(A2)と、(A3)とを配合することが好ましい。
ある色の第3ヒドロゲルに含まれる着色顔料は1種類であっても、2種類以上の混合物であってもよい。すなわち、第3ヒドロゲルの色は1種類の顔料による色であっても、複数種類の顔料による調色された色であってもよい。
着色顔料の粒径は、その色、種類にかかわらず、平均粒径として0.05〜1.0μmの範囲が好ましい。分散性が良好だからである。平均粒径は動的光散乱法等で測定できるが、市販の顔料に開示されている平均粒径で判断して良い。
また、第3ヒドロゲル中の着色顔料の含有量は、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。下限値未満では、第3ヒドロゲルの色が薄く意匠性に乏しくなる可能性があるからである。上限値超では、第3ヒドロゲルの安定性が低下する可能性があるからである。
第3ヒドロゲル中の体質顔料の含有量は30質量%以下が好ましい。30質量%を超えると形成される多彩模様塗膜の意匠性が低下するおそれがある。また、第3ヒドロゲルによる多彩模様部分のボリューム感を創出できる点で10質量%以上配合することが好ましい。
当該樹脂としては、水不溶性のアクリル系樹脂、酢ビ系樹脂、塩ビ系樹脂、エチレン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等を例示できる。これらの樹脂としては、通常塗料原料として使用される、樹脂の微粒子が水中に分散した「エマルジョン樹脂」と通称されるものを使用することができる。これらの内、本発明の凹凸模様塗膜の意匠性、耐候性及び耐久性が良好となる点で、アクリルシリコーン樹脂、フッ素系樹脂等が好ましく、例えば、アクリルシリコーンエマルジョン樹脂を例示できる。ヒドロゲル製造のための配合のし易さの点で、エマルジョン形態の樹脂が好ましい。エマルジョン樹脂の樹脂濃度としては、10〜70質量%がヒドロゲル形成の点で好ましく、塗料分野で好適に使用される30〜60質量%濃度のエマルジョン樹脂がより好ましい。
エマルジョン樹脂の主分散媒は水であり、上記した通り、当該水もヒドロゲル調製時のヒドロゲル原料となる。
ヒドロゲル中の樹脂の含有量は、樹脂固形分として、0.5〜50質量%の範囲が好ましく、1.5〜30質量%がより好ましい。下限値未満では、良好な凹凸模様塗膜が得られない可能性があり、上限値超では樹脂分が多すぎてヒドロゲルの製造が困難となる可能性があるからである。
ゲル平均粒径は、直径60mmシャーレにヒドロゲルを入れ、簡易デジタル顕微鏡観察において、ゲル粒子をランダムに3個選定し、視野中のゲル粒子を円と仮定した場合(例えば、視野中のゲル粒子を包囲する最小の円)の直径を粒径(粒子径)として測定し、該3個の平均値とする。
まず、第1ヒドロゲル(A1)の場合は、水、樹脂、ゲル主原料、ゲル化剤及び所望により体質顔料や任意成分を混合し、撹拌することによりヒドロゲルを製造する。樹脂は、上記した通りエマルジョン樹脂を使用することが好ましい。撹拌温度は10〜50℃が好ましく、室温で撹拌すればよい。撹拌時間は、均一に溶解又は分散すれば特に制限は無く、5分間〜2時間程度でよい。撹拌機としては、パドル翼、アンカー翼等の撹拌翼を用いる撹拌機、プラネタリーミキサー等を使用できる。
上記製造方法によって、ネットワーク構造等を有するゲル形成物質が形成され、樹脂等が分散された水が、当該ネットワーク構造等に保持されて第1ヒドロゲルが形成される。
つづいて、着色顔料分散液に、樹脂、ゲル主原料及びゲル化剤を添加して撹拌することにより第2ヒドロゲルを製造する。撹拌温度は10〜50℃が好ましく、室温で撹拌すればよい。撹拌時間は、ヒドロゲルが形成され、ヒドロゲル中に着色顔料が均一に分散した第2ヒドロゲルが得られれば特に制限は無く、5分間〜2時間程度でよい。撹拌機としては、パドル翼、アンカー翼等の撹拌翼を用いる撹拌機、プラネタリーミキサー等を使用できる。
上記製造方法によって、ネットワーク構造等を有するゲル形成物質が形成されると共に、着色顔料及び樹脂等が分散された水が、当該ネットワーク構造等に保持されて第2ヒドロゲルが形成される。
以上のようにして、ある所望の色を有する第2ヒドロゲルを製造することができる。さらに、同様の製造方法により異なる色の第2ヒドロゲルを複数種類準備して、成分(A2)とすることができる。
つづいて、着色顔料/体質顔料分散液に、樹脂、ゲル主原料及びゲル化剤を添加して撹拌することによりヒドロゲルを製造する。撹拌温度は10〜50℃が好ましく、室温で撹拌すればよい。撹拌時間は、ヒドロゲルが形成され、ヒドロゲル中に着色顔料/体質顔料が均一に分散したヒドロゲルが得られれば特に制限は無く、5分間〜2時間程度でよい。撹拌機としては、パドル翼、アンカー翼等の撹拌翼を用いる撹拌機、プラネタリーミキサー等を使用できる。
上記製造方法によって、ネットワーク構造等を有するゲル形成物質が形成されると共に、着色顔料/体質顔料及び樹脂等が分散された水が、当該ネットワーク構造等に保持されて第3ヒドロゲルが形成される。
以上のようにして、ある所望の色を有する第3ヒドロゲルを製造することができる。さらに、同様の製造方法により異なる色の第3ヒドロゲルを複数種類準備して、成分(A3)とすることができる。
本発明の水性塗料組成物中の成分(A)の含有量としては、(A1)、(A2)及び(A3)の合計量として5〜30質量%の範囲が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。すなわち、成分(A)として1種類を使用する場合も、2種類以上を使用する場合も、成分(A)全量として当該範囲が好ましい。この範囲であれば良好な凹凸模様塗膜又は高級感のある凹凸状多彩模様塗膜が得られるからである。
ゲル不溶化剤は、本発明の水性塗料組成物中において、ヒドロゲルが経時により徐々に水に溶解することを防止する役割を持つものである。
ゲル不溶化剤としては、ヒドロゲルの製造に使用するゲル化剤と同じものを使用することができ、リン酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩等を挙げることができる。ゲル主原料としてヘクトライト等の水膨潤性ケイ酸塩化合物を用いた場合は、リン酸塩を使用することが好ましく、ポリビニルアルコール、グアーガム等の水酸基含有有機高分子を用いた場合は、ホウ酸塩を使用することが好ましい。両者を用いた場合は、リン酸塩とホウ酸塩を併用することが好ましい。水に溶解し難い良好なヒドロゲルを形成できるからである。
リン酸塩としては、ピロリン酸ナトリウム等のリン酸ナトリウム類、ピロリン酸カリウム等のリン酸カリウム類などを例示でき、ホウ酸塩としては五ホウ酸アンモニウム等のホウ酸アンモニウム類、ホウ砂などを例示できる。
本発明の水性塗料組成物中の水分散性の第2の樹脂は、ヒドロゲル中の第1の樹脂と同じく塗膜の主要素材であり、被塗装物に本発明の水性塗料組成物を塗布して乾燥することによって、被塗装物に接着した膜を形成する役割を果たす。
本発明の水性塗料組成物製造のための配合のし易さの点で、エマルジョン樹脂が好ましい。エマルジョン樹脂の樹脂濃度としては、15〜65質量%が、凹凸模様塗膜の意匠性の点で好ましく、塗料分野で好適に使用される30〜60質量%濃度のエマルジョン樹脂がより好ましい。
本発明の水性塗料組成物中の成分(C)である水分散性の第2の樹脂の含有量は、樹脂固形分として、2〜50質量%の範囲が好ましく、10〜40質量%の範囲がより好ましい。下限値未満では、良好な凹凸模様塗膜が得られない可能性があり、上限値超では樹脂分が多すぎて本発明の水性塗料組成物の製造が困難となる可能性があるからである。
本発明の水性塗料組成物中の顔料は、塗膜のボリューム付与の役割を果たす成分である。
顔料としては、体質顔料である、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、硅酸アルミニウム、及び硅酸マグネシウム(タルク)等を挙げることができる。また、塗料の軽量化と塗膜のボリューム付与の両立に寄与する顔料として、中空セラミックバルーン、フライアッシュバルーン、ガラス発砲体などと称される無機系中空粒子、有機系中空粒子(樹脂中空粒子等)、及び有機・無機ハイブリッド中空粒子(有機・無機ハイブリッドフィラー)等を、1種以上含むことが好ましい(以後、これらを中空顔料と総称する)。
成分(D)である顔料としては、体質顔料と中空顔料の両者を含むことが好ましい。両者を含むことにより、塗料の軽量化を図りつつ塗膜のボリュームが得られるからである。
成分(E)としての水は、成分(A)のヒドロゲルを形成する水以外であって、本発明の水性塗料組成物の分散媒となる水である。なお、成分(C)の水分散性の第2の樹脂の含有量範囲は、樹脂固形分の範囲を表しているので、成分(C)原料として例えばエマルジョン樹脂を使用した場合、エマルジョン樹脂の分散媒である水は、成分(E)に算入する。同様に、成分(B)及び(D)原料として水を含有する物を使用する場合は、当該水は成分(E)に算入する。
成分(B)〜(D)原料に含まれ得る水以外に、水として添加する水としては、上水、イオン交換水、精製水、純水等を使用でき、上水が好ましい。
所望により本発明の水性塗料組成物に配合する繊維は、乾燥時にヒドロゲルと顔料分散液の乾燥収縮の違いによる塗膜のひび割れを防止できるので、塗料組成物中に配合させることが好ましい。繊維としては、木綿、パルプ繊維等の天然繊維、レーヨン、ナイロン、アクリル等の化学繊維を挙げることができる。これらの繊維は単独で配合しても、複数種を混合配合してもよい。
繊維を配合使用する場合、繊維の繊維長は0.02〜10mmである。この範囲であれば、乾燥収縮の違いによる塗膜のひび割れ防止効果が良好となるからである。
本発明の水性塗料組成物は、成分(A)〜(E)、並びに所望により上記成分(F)及び任意成分を任意の順に、又は一括して撹拌(混合)装置に投入して、撹拌混合することにより製造することができる。好ましくは、成分(A)、(B)及び(E)の一部をまず撹拌装置に入れ、撹拌することにより成分(A)であるヒドロゲルを粒子状に細粒化する。全成分を投入してから撹拌するよりも細粒化し易いからである。また、このとき加える成分(E)の水の量は、成分(A)100質量部に対して10〜60質量部が好ましい。細粒化し易いからである。
ヒドロゲルを細粒化するための撹拌装置としては特に制限はないが、細粒化のし易さの点でアンカー翼の撹拌機及びプラネタリーミキサーが好ましい。回転数、撹拌時間等は、撹拌機の容量、仕込み量等により適宜好適な範囲を選択すればよく、例えば、数十rpmで数分間〜2時間程度撹拌すればよい。
篩の目開きは、凹凸模様の凹部の所望の大きさや、塗膜の意匠性の嗜好により、適宜選択すればよく、異なる目開きでこしたものを配合して使用してもよい。
顔料分散液の製造において、撹拌温度は10〜50℃が好ましく、室温で撹拌すればよい。撹拌時間は、顔料、任意成分の繊維等が均一に分散すれば特に制限は無く、5分間〜2時間程度でよい。撹拌機としては、ホモディスパー、パドル翼等の撹拌翼を用いる撹拌機等を使用できる。
具体的には、例えば、両分散液を撹拌装置に入れ、混合撹拌して本発明の水性塗料組成物とすればよい。撹拌装置としては、例えば、パドル翼、アンカー翼等の撹拌翼を用いる撹拌機、プラネタリーミキサー等を使用することができる。
また、撹拌温度は10〜50℃が好ましく、室温で撹拌すればよい。撹拌時間は、均一な塗料組成物を得るのに好適な時間とすればよく、例えば、5分間〜1時間程度でよい。回転数は、撹拌機の容量、仕込み量等により適宜好適な範囲を選択すればよく、例えば、数rpm〜数十rpmとすればよい。
また、ローラー塗装することもでき、この場合は、塗装用ローラーを使用して、常法に従って塗布すればよい。ローラーとしては、砂骨ローラーを使用することが好ましい。本発明の水性塗料組成物をそのまま塗布してもよく、又は水で適宜希釈してもよい。
これらの対象物に、本発明の水性塗料組成物を上記のようにして塗装し、乾燥させることによって、意匠性の良好な本発明の凹凸模様塗膜を得ることができる。
また、成分(A)として(A2)及び/又は(A3)を配合すれば、鮮鋭性に優れ、高級感のある凹凸状多彩模様塗膜を得ることができる。
1−1.成分(A)[ヒドロゲル]用の原料
(1)ゲル主原料
a1;ヘクトライト[Na0.3(Mg,Li)3Si4O10(OH)2]
a2;PP−135(ポリビニルアルコール、株式会社イソノ化学製)
(2)ゲル化剤
a3;ピロリン酸カリウム(K4P2O7)
a4;五ホウ酸アンモニウム四水和物[NH4B5O8・4H2O]
(3)第1の樹脂
a5;ボンコート SA−6340(アクリルシリコーン系エマルジョン樹脂、樹脂固形分50質量%、DIC株式会社製)
(4)体質顔料
a6;G−100(炭酸カルシウム、三共精粉株式会社製)
(5)水(水として添加するもののみを表し、他の原料成分からの水は含まない。)
a7;上水
ヒドロゲル中の水分量としては、a7以外に、上記a5のエマルジョン樹脂中の水も算入する。
b1;ピロリン酸カリウム(K4P2O7)
b2;五ホウ酸アンモニウム四水和物[NH4B5O8・4H2O]
c1;ボンコート SA−6340
(1)体質顔料
d1;T−150(炭酸カルシウム、株式会社ニッチツ製)
(2)中空顔料
d2;グラスバブルス S−22(ガラス発砲体、スリーエムジャパン株式会社製)
d3;FINESPHERE150(N20)(セノライト、巴工業株式会社製)
e1;上水(e1は水として添加するもののみを表し、他の原料成分からの水は含まない。)
成分(E)の水としては、e1以外に、上記c1のエマルジョン樹脂中の水も算入する。よって、下記表2において、添加水とはe1のみを表し、成分(E)としての水は、e1とc1中の水の合計量をいうものとする。
f1;KCフロック W-50(セルロース、日本製紙株式会社製)
f2;DDレーヨン (ビスコースレーヨン、株式会社金原パイル工業製)
2−1.ヒドロゲル1
94.3gのa7(水)、4.0gのa5(アクリルシリコーン系エマルジョン樹脂、樹脂固形分としては2.0g)を混合容器に入れ、バッチ式卓上サンドミル(カンペ家庭塗料株式会社製)を使用し、室温下、5分撹拌して樹脂分散液を得た。該樹脂分散液をプラネタリーミキサー(万能混合攪拌機、株式会社ダルトン製)に入れ、さらに、0.8gのa1(ヘクトライト)及び0.8gのa2(ポリビニルアルコール)を加え室温下、15分撹拌した後、0.08gのa3(ピロリン酸カリウム)及び0.02gのa4(ホウ酸アンモニウム)を添加して、室温下、20分撹拌することによってヒドロゲル1の前駆体を得た。プラネタリーミキサーでの撹拌は減圧下(−0.1MPa;ゲージ圧)で実施し、泡絡みによって混入した空気の脱泡を行った。
該前駆体を室温下に12時間静置して安定なゲルであるヒドロゲル1を得た。
各ヒドロゲルの組成を表1に示した通りとし、かつ、仕上がり量がヒドロゲル1とほぼ同等量となるように調整した以外はヒドロゲル1と同様にしてヒドロゲル2〜4を調製した。
ヒドロゲル4は、a1〜a4と共にa6(炭酸カルシウム)を表1に示した量を樹脂分散液に添加した。
ヒドロゲル5の組成を表1に示した通りとし、かつ、仕上がり量がヒドロゲル1とほぼ同等量となるように調整した以外はヒドロゲル1と同様にして、成分(A)範囲外のヒドロゲル5を調製した。
ヒドロゲル5は、a1〜a4と共にa6(炭酸カルシウム)を表1に示した量を樹脂分散液に添加した。
<ヒドロゲル分散液の調製>
25.37gのe1(水)、43.3gのヒドロゲル1、並びに0.01gのb1及び0.22gのb2(ゲル不溶化剤)を混合容器に入れ、室温下、プラネタアリーミキサーにて約10分間撹拌し、ヒドロゲル1を粒子状に細粒化した。その後、31.1gのc1(アクリルシリコーン系エマルジョン樹脂、樹脂固形分としては15.55g)を混合容器にさらに加え、室温下、約10分間撹拌して細粒化されたヒドロゲル1及び水分散性の第2の樹脂を系内に均一に分散させてゲル分散液を得た。該ゲル分散液を42メッシュ(目開き0.355mm)の篩でゴムベラを用いてこし取り、42メッシュパスのヒドロゲル分散液を調製した。
27.0gのe1(水)、28.0gのd1(炭酸カルシウム)、1.9gのf1(セルロース)、及び1.9gのf2(ビスコースレーヨン)を混合容器に入れ、バッチ式卓上サンドミルを使用し、室温下、15分撹拌して混合物を得た。つづいて、該混合物に28.8gのc1(アクリルシリコーン系エマルジョン樹脂、固形分としては14.4g)を添加して撹拌した後、さらに、6.2gのd2(ガラス発砲体)及び6・2gのd3(セノライト)を添加して10分間撹拌することにより顔料分散液を得た。
20.0gのヒドロゲル分散液、及び80.0gの顔料分散液を混合容器に入れ、室温下、プラネタリーミキサーにて約5分間撹拌し、均一に混合して塗料組成物1を得た。
塗料組成物1の組成を表2に示す。
塗料組成物1中のヒドロゲルのゲル平均粒径を、簡易デジタル顕微鏡を用いて上記した通りの方法(ランダムに3個選定して平均を求める)で測定した結果、0.42mmであった。
得られた塗料組成物1をスレート板に厚み3.5mmのガイドを使いコテにて塗布し、自然乾燥によって24時間乾燥させて塗膜を形成させた。
形成された塗膜について、凹凸模様の凹部の個数及び平均直径、並びに意匠性を後述の通りに評価した。評価結果を表2に示す。また、形成させた塗膜の写真を図として図1に示す。
1.凹凸模様の凹部の個数及び平均直径
塗膜の2cm2中に存在する凹部の個数を目視でカウントした。塗膜の場所を変えて5箇所の数の平均値を算出した。結果を表2に示す。
なお、凹部の平均の大きさは、図1から判断すると、平面視で円と仮定した場合の直径で約0.39mmであった。該概略の直径を表2に示す。
塗膜の外観を目視により観察し、次の基準で判定した。結果を表2に示す。
〇:明確な凹部が観察される。
×:明確な凹部がほとんど観察されない。
各塗料組成物の組成を表2に示した通りとし、かつ、仕上がり量が塗料組成物1とほぼ同等量となるように調整した以外は実施例1と同様にして、各実施例の成分(A)〜(F)の配合、篩によるこし取り、ヒドロゲル分散液の調製、顔料分散液の調製等を行って塗料組成物2〜17を調製した。各塗料組成物の組成を表2に示す。
各塗料組成物中のヒドロゲルのゲル平均粒径を、簡易デジタル顕微鏡を用いて上記方法により測定した結果を表2に示す。
得られた各塗料組成物について、実施例1と同様にして塗膜を形成し、実施例1と同様に凹凸模様の凹部の個数の算出、及び意匠性評価を行った。結果を表2に示す。また、凹部の平均の大きさを実施例1と同様に判断して概略の直径として表2に示した。また、実施例16の塗膜の写真を図2に示す。
成分(A)のヒドロゲルを使用せず、他の成分を実施例1の顔料分散液の調製に準じて配合撹拌し、塗料組成物18を得た。
得られた塗料組成物18について、実施例1と同様にして塗膜を形成し、実施例1と同様に意匠性評価を行った。結果を表2に示す。塗料組成物18による塗膜には凹凸模様は形成されなかった。比較例1の塗膜の写真を図3に示す。
成分(A)範囲外のヒドロゲル5を使用して、塗料組成物19の組成を表2に示した通りとし、かつ、仕上がり量が塗料組成物1とほぼ同等量となるように調整した以外は実施例1と同様にして、成分(A)対応ヒドロゲル、及び成分(B)〜(F)の配合、篩によるこし取り、ヒドロゲル分散液の調製、顔料分散液の調製等を行って塗料組成物19を調製した。塗料組成物19の組成を表2に示す。
塗料組成物19中のヒドロゲルのゲル平均粒径を、簡易デジタル顕微鏡を用いて上記方法により測定した結果を表2に示す。
得られた塗料組成物19について、実施例1と同様にして塗膜を形成し、実施例1と同様に凹凸模様の凹部の個数の算出、及び意匠性評価を行った。結果を表2に示す。また、凹部の平均の大きさを実施例1と同様に判断して概略の直径として表2に示した。
Claims (11)
- (A)ヒドロゲル形成物質、第1の樹脂及び水を有するヒドロゲル、
(B)ゲル不溶化剤、
(C)水分散性の第2の樹脂、
(D)顔料、及び
(E)水、を含有し、
該成分(E)である水に前記成分(B)が溶解し、並びに前記成分(A)、(C)及び(D)が分散しており、前記成分(A)であるヒドロゲルのゲル平均粒子径が0.25〜5.6mmであり、
前記ヒドロゲルの水分量が前記ヒドロゲル基準で25〜98質量%である、
水性塗料組成物。 - 前記成分(A)のヒドロゲルが、(A1)着色顔料を含有しない第1ヒドロゲル、(A2)着色顔料を含有し体質顔料を含有しない第2ヒドロゲル、並びに(A3)着色顔料及び体質顔料を含有する第3ヒドロゲルから選択される1種以上のヒドロゲルである、
請求項1に記載の水性塗料組成物。 - (F)1種以上の繊維をさらに含有し、該繊維の繊維長が0.02〜10mmである、
請求項1又は2に記載の水性塗料組成物。 - 前記ヒドロゲル形成物質が、ゲル主原料とゲル化剤との反応物又は結合物であり、
前記ゲル主原料が、水膨潤性ケイ酸塩化合物、及び水酸基含有有機高分子から選択される1種以上である、
請求項1〜3いずれか一項に記載の水性塗料組成物。 - 前記ゲル主原料が前記水膨潤性ケイ酸塩化合物及び前記水酸基含有有機高分子からなる、
請求項4に記載の水性塗料組成物。 - 前記ゲル化剤がリン酸塩及びホウ酸塩を含有する、
請求項5に記載の水性塗料組成物。 - 前記ゲル主原料が前記水膨潤性ケイ酸塩化合物であり、前記ゲル化剤がリン酸塩である、
請求項4に記載の水性塗料組成物。 - 前記ゲル主原料が前記水酸基含有有機高分子であり、前記ゲル化剤がホウ酸塩である、
請求項4に記載の水性多彩模様塗料組成物。 - 前記成分(A)を5〜30質量%、前記成分(B)を0.001〜1質量%、前記成分(C)を2〜50質量%、及び前記成分(D)を5〜40質量%含有する、
請求項1〜8いずれか一項に記載の水性塗料組成物。 - 前記成分(A)を5〜30質量%、前記成分(B)を0.001〜1質量%、前記成分(C)を2〜50質量%、前記成分(D)を5〜40質量%、及び前記成分(F)を1〜15質量%含有する、
請求項3に記載の水性塗料組成物。 - 請求項1〜10のいずれか一項に記載の水性塗料組成物の乾燥硬化物である、
凹凸模様塗膜。
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