JP2024063823A - 水性被覆材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、意匠性に優れた鮮明な粒模様を呈する被膜が形成できる被覆材を提供する。【解決手段】本発明水性被覆材は、液状またはゲル状の色粒が水性媒体に分散してなる水性被覆材であって、上記色粒は、着色顔料を含有する透光性色粒、及び、着色顔料を含有し、当該透光性色粒とは異色の遮光性色粒を含み、上記透光性色粒の平均粒径は、上記遮光性色粒の平均粒径よりも小であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な水性被覆材に関するものである。
従来、建築物、土木構造物等の意匠性を高めるため、その表面に、粒が散在した模様(以下単に「粒模様」ともいう)を付する手法等が採用されている。例えば特許文献1には、特定粘度に調製した着色塗材を用い、塗装時のパターンや吐出量等を制御しながらスプレー塗装して粒模様を形成する方法が記載されている。また特許文献2には、ベース塗材を塗装した後、ベース塗材とは異色の着色塗材を不均一に塗装する方法が記載されている。
しかし、これらの手法は、いずれも工場内での塗装方法に関するものであり、着色塗材を機械的に制御しながらスパッタ塗装することにより粒模様を付しているものである。実在する建築物や土木構造物等の現場での塗装において上記特許文献の手法を適用しようとしても、所望の粒模様をムラなく安定して得ることは難しく、実用性に欠くのが現状である。
一方、建築物の壁面等に対し、多彩模様塗料を塗装することによって、粒模様を付する方法も知られている。このような方法によれば、建築物や土木構造物等の現場での塗装においても、比較的均質な粒模様を形成することができる。例えば、特許文献3には、平均粒径0.15~5mmの着色ゲルと、当該着色ゲルよりも平均粒径が小さい水不溶性着色粒子等を含む水性多彩模様塗料組成物が記載されており、水不溶性着色粒子による背景色と、着色ゲルによる粒模様とを表出する被膜が形成できることについて記載されている。
特開平3-186381号公報 実開平4-77440号公報 特開2018-203908号公報
しかしながら、特許文献3のような組成物では、その形成被膜において、着色ゲルどうしの間隙だけでなく、着色ゲル表面にも水不溶性着色粒子が存在することとなるため、着色ゲルによる粒模様に濁り等が生じ、粒模様の意匠性が損なわれるおそれがある。
本発明は、上述の課題に鑑みなされたものであり、意匠性に優れた鮮明な粒模様を呈する被膜が形成できる被覆材を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、特定の色粒が水性媒体に分散してなる水性被覆材に想到し、本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.液状またはゲル状の色粒が水性媒体に分散してなる水性被覆材であって、
上記色粒は、着色顔料を含有する透光性色粒、及び、着色顔料を含有し、当該透光性色粒とは異色の遮光性色粒を含み、
上記透光性色粒の平均粒径は、上記遮光性色粒の平均粒径よりも小である
ことを特徴とする水性被覆材。
2.液状またはゲル状の色粒が水性媒体に分散してなる水性被覆材であって、
上記色粒は、着色顔料を含有する透光性色粒、及び、着色顔料を含有し、当該透光性色粒とは異色の遮光性色粒を含み、
上記透光性色粒の平均粒径は0.05~5mmであり、
上記遮光性色粒の平均粒径は1~20mmであり、
上記透光性色粒の平均粒径は、上記遮光性色粒の平均粒径よりも小である
ことを特徴とする水性被覆材。
本発明の水性被覆材によれば、意匠性に優れた鮮明な粒模様を呈する被膜を形成することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の水性被覆材は、液状またはゲル状の色粒が水性媒体に分散してなるものである。このような水性被覆材は、水性被覆材を構成する色粒と水性媒体との組み合わせ(色粒/水性媒体)によって、水中油型(O/W型)、または水中水型(W/W型)に分類される。本発明では、水中水型(W/W型)の水性被覆材が好適である。色粒と水性媒体との重量比率(色粒:水性媒体)は、好ましくは1:99~80:20(より好ましくは10:90~75:25、さらに好ましくは30:70~70:30)である。
水性被覆材における色粒は、着色顔料を含むものであり、具体的には、樹脂と着色顔料、及び必要に応じ各種添加剤等を含む着色材が、水性媒体中に、液状またはゲル状の状態にて粒状に分散されたものである。着色材中の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酢酸ビニル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、バイオガム、ガラクトマンナン誘導体、アルギン酸誘導体、セルロース誘導体等が挙げられる。このような樹脂が、水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂(樹脂エマルション)の形態である場合、着色材を水性媒体に分散させると水中水型(W/W型)の水性被覆材となる。着色材中の樹脂固形分比率は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは3~40重量%、さらに好ましくは5~30重量%である。
着色材における着色顔料は、色粒に色彩等を付与する成分である。着色顔料としては、例えば、酸化第二鉄(弁柄)、黄色酸化鉄、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン等の無機有彩色顔料;アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機有彩色顔料;カーボンブラック、鉄‐マンガン複合酸化物、鉄‐銅‐マンガン複合酸化物、鉄‐クロム‐コバルト複合酸化物、銅‐クロム複合酸化物、銅‐マンガン‐クロム複合酸化物、黒色酸化鉄、鉄-クロム複合酸化物、マンガン-ビスマス複合酸化物、マンガン-イットリウム複合酸化物等の黒色顔料;酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の白色顔料;その他パール顔料、アルミニウム顔料、光輝性顔料、蓄光顔料、蛍光顔料等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。着色顔料の平均粒子径は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.01~0.9μmである。なお、本発明において、顔料の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される平均値である(測定温度は25℃)。
着色材中の着色顔料比率は、好ましくは20重量%以下、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.5~9重量%、さらに好ましくは0.51~8重量%である。なお、本発明において「a~b」は「a以上b以下」と同義である。
着色材を水性媒体中に粒状に分散させる方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えばJIS K5667:2003「多彩模様塗料」に規定される材料の製造方法に準じた方法等が採用できる。具体的には、分散安定剤等を含む水性媒体に、着色材を分散させる方法等を採用することができる。分散安定剤は、着色材を粒状に安定化させる成分であり、樹脂や着色材の種類等に応じて選定することができる。分散安定剤の具体例としては、例えば、マグネシウム塩類、カルシウム塩類、バリウム塩類、アルミニウム塩類、ナトリウム塩類、カリウム塩類、ホウ酸塩類、リン酸塩類等が挙げられる。この他、分散安定剤として、例えば、水溶性高分子類、粘土類等を使用することもできる。水性媒体は、上述と同様の樹脂(水溶性樹脂、樹脂エマルション等)を含むこともできる。水性媒体中の樹脂固形分比率は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは3~45重量%、さらに好ましくは5~40重量%である。
着色材、水性媒体は、それぞれ各種添加剤を含むことができる。このような添加剤としては、例えば、体質顔料、骨材、充填剤、艶消し剤、繊維類、ゲル形成剤、顔料分散剤、乳化剤、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、カップリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、乾燥調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、消泡剤、吸着剤、脱臭剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒、架橋剤等が挙げられる。
着色材及び/または水性媒体が体質顔料等を含むことにより、水性被覆材被膜を艶消しにすることができる。体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、寒水石、軽微性炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、珪砂、珪石粉、石英粉、樹脂ビーズ等が挙げられ、これらは1種または2種以上で使用することができる。体質顔料の屈折率は、好ましくは1.4~1.7である。体質顔料の平均粒子径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは0.1~30μm、さらに好ましくは0.5~20μmである。
着色材中の体質顔料比率は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5~40重量%である。水性媒体中の体質顔料比率は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5~40重量%である。
色粒の粒径や形状は、適宜設定することができる。具体的には、製造時における攪拌羽根の形状、攪拌槽に対する攪拌羽根の大きさや位置、攪拌羽根の回転速度、撹拌時間、着色材の粘性、分散安定剤の添加方法や濃度、水性媒体の粘性等を適宜選択・調整すればよい。色粒の平均粒径は、好ましくは0.05~20mm(より好ましくは0.1~18mm)である。なお、本発明において、色粒の平均粒径は、標準白紙上で色粒を48時間、標準状態(気温23℃、相対湿度50%。以下同様。)にて乾燥させ、その長径の平均値(色粒50個の平均値)を算出することによって得られる値である。
2種(2色)以上の色粒を含む水性被覆材を得るためには、例えば、
単色の着色材が分散した色粒分散液(単色の色粒を含む色粒分散液)をそれぞれ製造した後、これらを混合する方法、あるいは、
色調が異なる2種以上の着色材を、同時ないし順に水性媒体に添加し分散させる方法、
等の方法を採用することができる。
本発明の水性被覆材では、色粒として、透光性色粒、及び当該透光性色粒とは異色の遮光性色粒を含む。そして、透光性色粒の平均粒径は、遮光性色粒の平均粒径よりも小である。本発明の水性被覆材は、このような特定の色粒を含むことにより、意匠性に優れた鮮明な粒模様を呈する被膜を形成することができる。なお、本発明において、透光性色粒とは、遮光性色粒よりも相対的に透光性が高いものである。
本発明の水性被覆材は、一つの材料中に、透光性が相対的に異なる2種の色粒、すなわち透光性色粒と遮光性色粒とが含まれるものである。そのため、このような水性被覆材を塗装すると、透光性色粒と遮光性色粒の比率に応じた鮮明な粒模様を形成することができる。ここで、透光性色粒と遮光性色粒では、遮光性色粒のほうが明確に視認されやすいため、透光性色粒が背景を形成し、遮光性色粒が粒を形成する役割を担うこととなる。透光性色粒は、遮光性色粒による粒模様の間隙を埋めるように被膜を形成し、被塗面(下地)を覆う。そして、遮光性色粒の表面に透光性色粒が存在しても透光性色粒はあまり目立たず、遮光性色粒の色調が大きく損われることなく、濁り等が抑制され、遮光性色粒による粒模様が形成される。本発明では、このような作用により、意匠性に優れた鮮明な粒模様を呈する被膜が形成できるものと考えられる。
このような透光性色粒、遮光性色粒としては、目視にて互いに異色と視認できるものが含まれていればよい。好適な態様としては、各色粒を構成する着色材どうしの色差(△E)が好ましくは10以上(より好ましくは15以上、さらに好ましくは20以上)であるものが含まれていればよく、特に、明度差|△L|{下記(L*1-L*2)の絶対値}が10超(より好ましくは11以上、さらに好ましくは14、特に好ましくは18以上)であるものが含まれているとより好適である。
なお、色差(△E)は、色彩色差計を用いて測定される値である。具体的には、それぞれの色粒を構成する着色材を標準白紙に500μmの厚みで塗付け、標準状態にて48時間乾燥したときの被膜のL値、a値、b値(測定点3箇所以上の平均値)より下記式にて算出することができる。
<式>△E={(L*1-L*2+(a*1-a*2+(b*1-b*20.5
(式中、L*1、a*1、b*1はそれぞれ透光性色粒を構成する着色材のL、a、b。L*2、a*2、b*2はそれぞれ遮光性色粒を構成する着色材のL、a、b
本発明の水性被覆材において、透光性色粒は、色粒を構成する着色材として透光性着色材を用いることによって得られ、遮光性色粒は、色粒を構成する着色材として遮光性着色材を用いることによって得られる。
透光性着色材としては、遮光性着色材よりも相対的に隠ぺい率が低いものを用いることができる。遮光性着色材と透光性着色材の隠ぺい率の差{(遮光性着色材の隠ぺい率)-(透光性着色材の隠ぺい率)}は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上である。なお、隠ぺい率は、JIS K5663:2003「合成樹脂エマルションペイント及びシーラー」の7.9「隠ぺい率」の方法によって測定される値である。
透光性着色材の隠ぺい率は、遮光性着色材の隠ぺい率よりも相対的に低くなるように設定すればよく、例えば、隠ぺい率0~80%の範囲内で、遮光性着色材の隠ぺい率よりも相対的に低い値に設定することができる。透光性着色材の隠ぺい率は、好ましくは60%以下であり、より好ましくは6~55%、さらに好ましくは7~50%、特に好ましくは8~45%である。
透光性着色材は、着色材被膜が透光性を示すように、着色材の隠ぺい率を調整することによって得ることができる。このような透光性着色材を得るには、隠ぺい率を考慮して、例えば、樹脂、着色顔料、及び必要に応じ各種添加剤等を混合する方法、遮光性着色材と樹脂及び/または体質顔料等とを混合する方法、透光性着色材と遮光性着色材とを混合する方法、等を採用することができる。
透光性着色材における着色顔料比率は、使用する着色顔料の種類等にもよるが、好ましくは0.01~10重量%、より好ましくは0.05~5重量%、さらに好ましくは0.1~2重量%、特に好ましくは0.2~1.5重量%である。
透光性色粒の平均粒径は、遮光性色粒の平均粒径よりも小である。具体的に、透光性色粒の平均粒径は0.05~5mmであることが好ましく、より好ましくは0.1~3mm、さらに好ましくは0.2~2mm、特に好ましくは0.3~1.9mmである。このような平均粒径を有する透光性色粒は、粒模様の間隙を埋める作用を発揮することができ、下地被覆性、意匠性向上等の点で好適である。
水性被覆材における遮光性色粒は、遮光性色粒を構成する遮光性着色材の隠ぺい率を、透光性着色材の隠ぺい率よりも相対的に高く設定することにより得ることができる。遮光性着色材の隠ぺい率は、透光性着色材の隠ぺい率よりも10%以上高いことが望ましく、20%以上高いことがより望ましく、30%以上高いことがさらに望ましい。遮光性着色材の隠ぺい率は、好ましくは60%超、より好ましくは65~100%、さらに好ましくは70~99%である。
遮光性着色材における着色顔料比率は、使用する着色顔料の種類等にもよるが、好ましくは0.5~50重量%、より好ましくは1~20重量%、さらに好ましくは1.6~10重量%である。
遮光性色粒の平均粒径は、透光性色粒の平均粒径よりも大である。具体的に、遮光性色粒の平均粒径は1~20mmであることが好ましく、より好ましくは2~18mm、さらに好ましくは2.5~15mm、特に好ましくは3~12mmである。このような平均粒径を有する遮光性色粒は、大柄の粒模様が形成でき、意匠性向上の点で好適である。
水性被覆材における、透光性色粒と遮光性色粒との重量比は、好ましくは99:1~5:95であり、より好ましくは98:2~10:90、さらに好ましくは97:3~20:80である。このような重量比であれば、よりいっそう意匠性に優れた鮮明な粒模様が形成できる。
透光性色粒、遮光性色粒としては、それぞれ1種(1色)以上の色粒を含むことができ、2種(2色)以上の色粒を含むこともできる。本発明の水性被覆材では、粒模様が形成できるように、互いに異色である透光性色粒と遮光性色粒とが含まれていればよく、少なくとも1種の透光性色粒と、少なくとも1種の遮光性色粒が上記条件を満たせばよい。本発明では、少なくとも1種の透光性色粒と、各遮光性色粒とがいずれも異色であって、上記条件を満たすことがより好ましい。なお、本発明の効果が奏される限り、透光性色粒と同色の遮光性色粒が含まれていてもよい。
本発明の水性被覆材は、例えば、建築物、土木構造物等の壁面等に適用することができる。このような壁面を構成する基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、金属、木材、ガラス等、あるいは各種板状壁材等が挙げられる。このうち板状壁材としては、例えばセメント、珪酸カルシウム、石灰、石膏等のいずれかを主成分する無機質硬化体が挙げられる。このような板状壁材の具体例としては、例えば、セメントボード、押出成形板、スレート板、PC板、ALC板、繊維強化セメント板、サイディングボード、セラミック板、珪酸カルシウム板、石膏ボード、硬質木片セメント板等が挙げられる。
水性被覆材の塗装前には、必要に応じ、基材の表面処理を行うことができる。表面処理としては、例えば、洗浄処理、ケレン処理、フィラー処理、パテ処理、サーフェーサー処理、シーラー処理等が挙げられる。このような表面処理は、例えば、既存被膜の種類や状態等を考慮して適宜行うことができる。
水性被覆材の塗装前には、1種または2種以上の着色下塗材を塗付する工程を行うことができる。着色下塗材としては、例えば、樹脂、及び着色顔料を含み、その発色によって均一な単色被膜が形成できるもの等が使用できる。着色下塗材の色調は、水性被覆材の色調を考慮して設定することができ、例えば、水性被覆材の近似色に設定することができる。
着色下塗材の塗装方法としては、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、こて塗り、刷毛塗り等を採用することができる。着色下塗材の塗付け量は、好ましくは0.05~1kg/m、より好ましくは0.1~0.8kg/mである。着色下塗材は、塗装対象となる基材全体に均一に塗装することが望ましい。着色下塗材の塗装ないし乾燥は、好ましくは常温(0~40℃)で行えばよい。
本発明では、必要に応じ上記表面処理、着色下塗材の塗装等を行った後、水性被覆材を塗装する。着色下塗材の塗装を行った場合、水性被覆材は、着色下塗材の被膜が乾燥した後に塗付することが望ましい。
水性被覆材の塗装方法としては、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等を採用することができる。水性被覆材の塗付け量は、例えば1.5kg/m以下とすることができ、好ましくは0.1~1kg/m、より好ましくは0.2~0.7kg/mである。本発明の水性被覆材は、塗付け量が少ない場合であっても、意匠性に優れた被膜が形成可能であり、塗付け量の上限を0.5kg/m以下(さらには0.48kg/m以下)とすることもでき、塗付け量が比較的少ない場合であっても下地隠蔽性等を発揮することができる。水性被覆材の塗装ないし乾燥は、好ましくは常温で行えばよい。
水性被覆材の塗装時には水等の希釈剤を混合して粘性を適宜調製することもできる。希釈割合は、好ましくは0~10重量%である。塗装に供する水性被覆材の粘度は、好ましくは1~30Pa・s(より好ましくは2~20Pa・s)であり、チクソトロピーインデックスは、好ましくは2~9(さらに好ましくは3~8)である。
本発明では、上記水性被覆材の被膜を最表面とすることができ、必要に応じ、上記水性被覆材の被膜の表面に、クリアコート材を塗付することもできる。クリアコート材は、水性被覆材の被膜が乾燥した後に塗付することができる。
クリアコート材としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、またはこれらの複合樹脂、あるいはコロイダルシリカ等を含むものが使用できる。これらは架橋反応性を有するものであってもよいし、目的に応じ、例えば、親水化剤、撥水剤等を含むものであってもよい。クリアコート材としては、水性の材料が好適である。クリアコート材としては、例えば、艶有りタイプ、艶消しタイプ等を適宜選択して使用することができる。
クリアコート材の塗装方法としては、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等を採用することができる。クリアコート材の塗付け量は、好ましくは0.03~0.5kg/m、より好ましくは0.05~0.4kg/mである。クリアコート材の塗装ないし乾燥は、好ましくは常温で行えばよい。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。なお、本発明は、ここでの実施例に制限されるものではない。
・色粒分散液1
容器内に合成樹脂エマルション1(アクリルシリコン樹脂エマルション、固形分40重量%)を75重量部仕込み、造膜助剤4重量部、水10重量部、ゲル化剤(ホウ酸アンモニウム5重量%水溶液)10重量部、消泡剤1重量部を加えて均一に混合することにより、水性媒体1を製造した。
一方、別の容器内に合成樹脂エマルション1(同上)を40重量部仕込み、造膜助剤2重量部、白色顔料液(酸化チタン60重量%分散液)0.88重量部、青色顔料液(コバルトブルー60重量%分散液)0.1重量部、体質顔料15重量部、ゲル形成物質(ガラクトマンナン3重量%水溶液)30重量部、水10.32重量部、増粘剤1.2重量部、消泡剤0.5重量部、を均一に混合することにより着色材1(透光性着色材)を製造した。この着色材1の色調は水色、着色顔料比率は0.59重量%、隠ぺい率は23%である。
上述の水性媒体1(100重量部)に対し、着色材1を100重量部加えて撹拌分散することにより、平均粒径0.6mmの水色透光性色粒が分散した色粒分散液1を得た。
・色粒分散液2
上述の色粒分散液1と同様に、水性媒体1、及び着色材1を製造した。
上述の水性媒体1(100重量部)に対し、着色材1を100重量部加えて撹拌分散することにより、平均粒径1.0mmの水色透光性色粒が分散した色粒分散液2を得た。
・色粒分散液3
上述の色粒分散液1と同様に、水性媒体1、及び着色材1を製造した。
上述の水性媒体1(100重量部)に対し、着色材1を100重量部加えて撹拌分散することにより、平均粒径1.8mmの水色透光性色粒が分散した色粒分散液3を得た。
・色粒分散液4
上述の色粒分散液1と同様に、水性媒体1を製造した。
一方、別の容器内に合成樹脂エマルション1(同上)を40重量部仕込み、造膜助剤2重量部、白色顔料液(同上)3.5重量部、黄色顔料液(黄色酸化鉄60重量%分散液)0.04重量部、赤色顔料液(弁柄60重量%分散液)0.04重量部、青色顔料液(同上)0.4重量部、体質顔料15重量部、ゲル形成物質(同上)30重量部、水7.52重量部、増粘剤1重量部、消泡剤0.5重量部、を均一に混合することにより着色材2(遮光性着色材)を製造した。この着色材2の色調は水色、着色顔料比率は2.4重量%、隠ぺい率は86%、着色材1との色差△Eは1以下、|△L|は1以下である。
上述の水性媒体1(100重量部)に対し、着色材2を100重量部加えて撹拌分散することにより、平均粒径1.0mmの水色遮光性色粒が分散した色粒分散液4を得た。
・色粒分散液5
上述の色粒分散液1と同様に水性媒体1を製造し、上述の色粒分散液4と同様に着色材2を製造した。
上述の水性媒体1(100重量部)に対し、着色材2を100重量部加えて撹拌分散することにより、平均粒径4.5mmの水色遮光性色粒が分散した色粒分散液5を得た。
・色粒分散液6
上述の色粒分散液1と同様に、水性媒体1を製造した。
一方、別の容器内に合成樹脂エマルション1(同上)を40重量部仕込み、造膜助剤2重量部、白色顔料液(同上)7.6重量部、黒色顔料液(同上)0.4重量部、体質顔料15重量部、ゲル形成物質(同上)30重量部、水3.5重量部、増粘剤1重量部、消泡剤0.5重量部、を均一に混合することにより着色材3(遮光性着色材)を製造した。この着色材3の色調は淡灰色、着色顔料比率は4.8重量%、隠ぺい率は99%、着色材1との色差△Eは8、|△L|は6である。
上述の水性媒体1(100重量部)に対し、着色材3を100重量部加えて撹拌分散することにより、平均粒径8.0mmの淡灰色遮光性色粒が分散した色粒分散液6を得た。
・色粒分散液7
上述の色粒分散液1と同様に、水性媒体1を製造した。
一方、別の容器内に合成樹脂エマルション1(同上)を40重量部仕込み、造膜助剤2重量部、白色顔料液(同上)4.6重量部、黒色顔料液(同上)1.2重量部、黄色顔料液(同上)0.32重量部、赤色顔料液(同上)0.54重量部、体質顔料15重量部、ゲル形成物質(同上)30重量部、水4.84重量部、増粘剤1重量部、消泡剤0.5重量部、を均一に混合することにより着色材4(遮光性着色材)を製造した。この着色材4の色調は赤茶色、着色顔料比率は4.0重量%、隠ぺい率は97%、着色材1との色差△Eは19、|△L|は17である。
上述の水性媒体1(100重量部)に対し、着色材4を100重量部加えて撹拌分散することにより、平均粒径5.6mmの赤茶色遮光性色粒が分散した色粒分散液7を得た。
・色粒分散液8
上述の色粒分散液1と同様に、水性媒体1を製造した。
一方、別の容器内に合成樹脂エマルション1(同上)を40重量部仕込み、造膜助剤2重量部、黒色顔料液(同上)4.0重量部、体質顔料15重量部、ゲル形成物質(同上)30重量部、水7.5重量部、増粘剤1重量部、消泡剤0.5重量部、を均一に混合することにより着色材5(遮光性着色材)を製造した。この着色材5の色調は黒色、着色顔料比率は2.4重量%、隠ぺい率は81%、着色材1との色差△Eは49、|△L|は49である。
上述の水性媒体1(100重量部)に対し、着色材5を100重量部加えて撹拌分散することにより、平均粒径3.8mmの黒色遮光性色粒が分散した色粒分散液8を得た。
なお、上述の各色粒分散液の製造においては、水性媒体に着色材を加えた後の撹拌速度及び撹拌時間を適宜設定することにより、色粒の平均粒径を調整した。
・参考例1
色粒分散液5と色粒分散液6と色粒分散液7と色粒分散液8とを70:10:10:10の重量比にて混合することにより、水性被覆材R(水色遮光性色粒:淡灰色遮光性色粒:赤茶色遮光性色粒:黒色遮光性色粒=70:10:10:10)を得た。
下地(白系の着色下塗材が塗装されたスレート板)に対し、水性被覆材Rを塗付け量0.3kg/mにてスプレー塗装し、48時間乾燥後、被膜の外観を観察した。
得られた被膜は、水色と淡灰色と赤茶色と黒色の粒が散在しており、粒どうしの間では下地(白色)が視認された。
・実施例1
色粒分散液1と色粒分散液6と色粒分散液7と色粒分散液8とを70:10:10:10の重量比にて混合することにより、水性被覆材1(水色透光性色粒:淡灰色遮光性色粒:赤茶色遮光性色粒:黒色遮光性色粒=70:10:10:10)を得た。
参考例1と同様の下地に対し、水性被覆材1を塗付け量0.3kg/mにてスプレー塗装し、48時間乾燥後、被膜の外観を観察した。
得られた被膜は、背景色(水色)に、淡灰色、赤茶色、及び黒色の粒が散在しており、粒どうし間の下地は背景色の水色によって隠蔽されていた。また、粒模様の色調(淡灰色、赤茶色、黒色)は参考例1と比較しても同程度であり、濁りも認められなかった。総じて、水性被覆材1による被膜は、意匠性に優れた鮮明な粒模様を呈するものであった。
を呈するものであった。
・実施例2
色粒分散液2と色粒分散液6と色粒分散液7と色粒分散液8とを70:10:10:10の重量比にて混合することにより、水性被覆材2(水色透光性色粒:淡灰色遮光性色粒:赤茶色遮光性色粒:黒色遮光性色粒=70:10:10:10)を得た。
参考例1と同様の下地に対し、水性被覆材2を塗付け量0.3kg/mにてスプレー塗装し、48時間乾燥後、被膜の外観を観察した。
得られた被膜は、背景色(水色)に、淡灰色、赤茶色、及び黒色の粒が散在しており、粒どうし間の下地は背景色の水色によって隠蔽されていた。また、粒模様の色調(淡灰色、赤茶色、黒色)は参考例1と比較しても同程度であり、濁りも認められなかった。総じて、水性被覆材2による被膜は、意匠性に優れた鮮明な粒模様を呈するものであった。
を呈するものであった。
・実施例3
色粒分散液3と色粒分散液6と色粒分散液7と色粒分散液8とを70:10:10:10の重量比にて混合することにより、水性被覆材3(水色透光性色粒:淡灰色遮光性色粒:赤茶色遮光性色粒:黒色遮光性色粒=70:10:10:10)を得た。
参考例1と同様の下地に対し、水性被覆材3を塗付け量0.3kg/mにてスプレー塗装し、48時間乾燥後、被膜の外観を観察した。
得られた被膜は、背景色(水色)に、淡灰色、赤茶色、及び黒色の粒が散在しており、粒どうし間の下地は背景色の水色によって隠蔽されていた。また、粒模様の色調(淡灰色、赤茶色、黒色)は参考例1と比較しても同程度であり、濁りも認められなかった。総じて、水性被覆材3による被膜は、意匠性に優れた鮮明な粒模様を呈するものであった。
を呈するものであった。
・実施例4
色粒分散液1と色粒分散液5と色粒分散液6と色粒分散液7と色粒分散液8とを30:40:10:10:10の重量比にて混合することにより、水性被覆材4(水色透光性色粒:水色遮光性色粒:淡灰色遮光性色粒:赤茶色遮光性色粒:黒色遮光性色粒=30:40:10:10:10)を得た。
参考例1と同様の下地に対し、水性被覆材4を塗付け量0.3kg/mにてスプレー塗装し、48時間乾燥後、被膜の外観を観察した。
得られた被膜は、背景色(水色)に、淡灰色、赤茶色、及び黒色の粒が散在しており、粒どうし間の下地は背景色の水色によって隠蔽されていた。また、粒模様の色調(淡灰色、赤茶色、黒色)は参考例1と比較しても同程度であり、濁りも認められなかった。総じて、水性被覆材4による被膜は、意匠性に優れた鮮明な粒模様を呈するものであった。
を呈するものであった。
・比較例1
色粒分散液4と色粒分散液6と色粒分散液7と色粒分散液8とを70:10:10:10の重量比にて混合することにより、水性被覆材5(水色遮光性色粒:淡灰色遮光性色粒:赤茶色遮光性色粒:黒色遮光性色粒=70:10:10:10)を得た。
参考例1と同様の下地に対し、水性被覆材5を塗付け量0.3kg/mにてスプレー塗装し、48時間乾燥後、被膜の外観を観察した。
得られた被膜は、背景色(水色)に、3色の粒が散在しており、粒どうし間の下地は背景色の水色によって隠蔽されていた。しかし、粒模様の色調は、参考例1の粒模様の色調(淡灰色、赤茶色、黒色)と比較すると濁った外観であった。


Claims (2)

  1. 液状またはゲル状の色粒が水性媒体に分散してなる水性被覆材であって、
    上記色粒は、着色顔料を含有する透光性色粒、及び、着色顔料を含有し、当該透光性色粒とは異色の遮光性色粒を含み、
    上記透光性色粒の平均粒径は、上記遮光性色粒の平均粒径よりも小である
    ことを特徴とする水性被覆材。
  2. 液状またはゲル状の色粒が水性媒体に分散してなる水性被覆材であって、
    上記色粒は、着色顔料を含有する透光性色粒、及び、着色顔料を含有し、当該透光性色粒とは異色の遮光性色粒を含み、
    上記透光性色粒の平均粒径は0.05~5mmであり、
    上記遮光性色粒の平均粒径は1~20mmであり、
    上記透光性色粒の平均粒径は、上記遮光性色粒の平均粒径よりも小である
    ことを特徴とする水性被覆材。


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