JP2016188338A - 水性塗料用添加剤および水性塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】水性塗料に優れた塗工性、耐ひび割れ性、耐水性などを付与するための水性塗料用添加剤、および該添加剤を用いた水性塗料組成物の提供。【解決手段】繊維長が0.05mm〜2.0mmの分岐状のミクロフィブリル繊維からなる合成パルプを含む水性塗料用添加剤、前記添加剤を含み、顔料分が20質量%〜40質量%である水性塗料組成物、ならびに水性塗料用のレオロジーコントロール剤を更に含む、水性塗料組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、分岐状のミクロフィブリル繊維からなる合成パルプを含む水性塗料用添加剤および、該添加物を用いた水性塗料組成物に関する。
近年、取扱いの容易さや環境への負担の少なさから、水性塗料の需要が高まっている。しかしながら、水性塗料は水系であるが故に、塗膜の耐水性、強度、密着性等が油性塗料よりも劣るという問題があった。
水性塗料用の様々な添加剤が研究されている。例えば、カルボキシルメチルセルロースやヒドロキシルエチルセルロースなどの水溶性高分子が天然系のレオロジーコントロール剤として用いられてきた。しかし、これらは、粘度の温度変化率が高く、高温保存時での成分の分離や、焼付け時のタレなどの問題があった。
粘度の温度変化率の低い添加剤としてセルロースが知られている。例えば、特許文献1には、平均粒子径が300μm以下の球状セルロースを含む塗料配合剤が記載されている。この配合剤は、塗料の粘度を上昇させずに、流動性を改善する目的で使用されるものである。
特許文献2には、微細繊維状セルロースを含む水性塗料用添加剤が記載されている。ここで使用するセルロースは、植物細胞壁を起源としたセルロース性物質を高度に微細繊維状にしたものであり、ミクロフィブリル繊維からなる合成パルプではない。また、添加剤の目的は、塗料の塗工性、保存安定性、防食性の向上であり、顔料含有量の高い水性塗料の塗膜たれ性の改善などではない。
特開平3−162465号公報 特開2009−67910号公報
顔料濃度の高い水性塗料は、塗膜の厚みが比較的厚くなるため、塗膜のたれが起きやすく、外観の低下も問題となる。更に、耐水性や強度等の高い水性塗料が求められている。しかしながら、上述したような球状や繊維状のセルロースを含む水性塗料用の添加剤には、水性塗料の塗膜たれ性の改善や、塗膜の耐水性、強度などの向上を目的としたものは知られていない。
上記課題に鑑み、本発明者らが鋭意検討を行った結果、特定の繊維長の分岐状ミクロフィブリル繊維からなる合成パルプは、顔料濃度の高い水性塗料に添加しても、塗料の分散性を損なうことなく、塗膜のたれを防止した。更に、乾燥した塗膜は、優れた耐水性と強度を有することも見出した。本発明はこのような知見に基づくものである。
よって、本発明の第一は、以下に示す水性塗料用添加剤に関する。
[1] 繊維長が0.05mm〜2.0mmの分岐状のミクロフィブリル繊維からなる合成パルプを含む水性塗料用添加剤。
本発明の第二は、以下に示す水性塗料組成物に関する。
[2] [1]の水性塗料用添加剤を含み、顔料分が20質量%〜40質量%である水性塗料組成物。
[3] 水性塗料用のレオロジーコントロール剤を更に含む、[2]の水性塗料組成物。
本発明の水性塗料添加剤を含む水性塗料は、顔料の含有量が高くとも、液だれの心配がない。また、乾燥した塗膜は外観が優れているだけでなく、高い耐水性と強度を有している。
水性塗料用添加剤として使用する合成パルプの一例を示す顕微鏡写真である。
1.水性塗料用添加剤
(合成パルプ)
本発明の水性塗料添加剤は、繊維長が0.05mm〜2.0mmの、分岐状のミクロフィブリル繊維から構成される合成パルプを含む。本発明において合成パルプとは、ミクロフィブリル形状を有する、合成材料からなる繊維を意味する。ミクロフィブリル形状とは、図1に示したような複数の微小繊維が絡まり合って太い繊維を形成するような構造である。
本発明に係る繊維は、種々の化合物からなってもよいが、水性塗料に添加した際に塗料中で溶解しない成分、例えば非水溶性の熱可塑性樹脂からなるものが好ましい。熱可塑性樹脂の中でも、ポリオレフィンからなるものがより好ましく、ポリオレフィンとしては、炭素数2〜6のα−オレフィンの単独重合体、あるいは相互の共重合体、さらにはこれらと他の共重合性のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル等との共重合体、さらにはこれら単独重合体や共重合体に不飽和カルボン酸モノマーを過酸化物でグラフト反応させて得られるポリマーが好ましく例示される。特に、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテンまたは4−メチル−1−ブテンの結晶性の重合体および共重合体が好ましく例示される。具体的には、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンやエラストマー(エチレン−α−オレフィン共重合体)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−メタクリル酸共重合体、マレイン酸やアクリル酸による酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ3−メチルブテン、ポリ4−メチルブテンおよびこれらの混合物が挙げられる。これらのポリオレフィンの製造方法に特に限定はない。本発明に係る合成パルプは、ポリエチレンからなるものが好ましい。
本発明に係る合成パルプを構成するミクロフィブリル繊維の、1本の繊維の最長部分の平均値(以下、「平均繊維長」という。)は、0.05〜2.0mmである。平均繊維長がこの範囲にあれば、当該合成パルプとしたときに適度な嵩高性を有するともに、後述する顔料を高濃度で含有する塗料に添加した際にも、塗料の分散性と塗膜たれ性が保たれるので好ましい。
ミクロフィブリル繊維の平均繊維長は以下の手順で求める。
濃度0.02質量%になるように合成パルプを水に分散し、フィンランド国、メッツォオートメーション社製の自動繊維測定機(製品名:FiberLab−3.5)で合成パルプを構成する繊維の一本一本の繊維長さを測定する。当該測定機では、キャピラリー中を流れる繊維にキセノンランプ光を照射してCCD(電荷結合素子)センサーで映像信号を採取し、画像解析する。繊維の長さは0.05mm刻み(級)で測定し、同時に各繊維長さの繊維の存在率(%)も測定する。これら測定値をもとに、以下の式により、平均繊維長を得る。測定は、12000〜13000本の繊維について行う。
各級の平均繊維長Lnを下記式(1)で求める。
Ln=ΣL/N (1)
L:1つの級における一本一本の実測繊維長
N:1つの級における繊維本数
次に上記Lnを元に、下記式(2)でパルプ全体の平均繊維長を求める。
平均繊維長(mm)=Σ(Nn×Ln)/Σ(Nn×Ln) (2)
Nn:各級の繊維本数
Ln:各級の数平均繊維長(mm)
本発明に係る合成パルプを構成する繊維は、直径(以下、「繊維径」という。)の最小値が0.5μm程度であることが好ましく、その最大値は50μm程度であることが好ましく、15μm〜35μmであるものが特に好ましい。繊維径がこの範囲にあれば、当該繊維を集合体としたときに、適度な嵩高性を有するので好ましい。繊維径は、1本、1本の繊維を光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡で観察することで測定する。具体的には、繊維径の最大値および最小値は、次のようにして測定する。
繊維径の最大値は光学顕微鏡による観察で求める。キーエンス社製デジタルHFマイクロスコープVH8000にて倍率100倍で繊維を観察し、繊維径が10μm以上の部分を無作為に100箇所選択し、選択した部分の繊維径を測定する。測定値の中で最大の値を「繊維径の最大値」とする。
一方、繊維径の最小値は電子顕微鏡による観察で求める。日本電子社製走査型電子顕微鏡JSM6480にて倍率3000倍で繊維を観察し、10μm未満の部分を無作為に100箇所選択し、選択した部分の繊維径を測定する。測定値の最小の値を「繊維径の最小値」とする。
本発明に係る合成パルプを構成する繊維は、1本の繊維が多数に枝分かれた分岐構造を有している。分岐構造とは、例えば図1に示すような形態が例示される。分岐構造は光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察することによって確認することができる。なお、図1は、合成パルプを、キーエンス社製デジタルHFマイクロスコープVH8000にて100倍で観察した写真である。合成パルプを構成する繊維は、多数集合した場合には、構造繊維同士が特定方向に整列せず、分岐した繊維同士が互いに絡み合ったり、分岐部分が交差したりして入り込んだ状態となる。この状態では、絡み合ったり交叉した繊維により、多数の空孔が形成される。
本発明に係る合成パルプを構成する繊維は、カナディアンフリーネスが660〜740mlであるのが望ましい。カナディアンフリーネス(CSF)は、JISP 8121に準じて測定されるものである。具体的には、絶乾重量24gの合成パルプを量り取り、2000mlの水を加えて濃度1.2%程度とし、JISP8209に規定する離解機にかけて30000回転(10分間)で離解する。完全に離解した後、合成パルプを0.3%濃度程度に希釈し、水温を20.0±0.5℃とする。離解したパルプスラリーを1000ml量り取り、カナダ標準ろ水度試験器を用いて、側管から出た排水量を読み取る。
本発明に係る合成パルプを構成する繊維の材質となる樹脂は、その分子量分布(Mw/Mn)(GPC法による)が1.5〜3.5であり、メルトフローレート(MFR:ASTMD1238、190℃)が10〜1000g/10分であることが好ましい。特に好ましい材質は、MFRが10〜1000g/10分であるポリエチレンである。
(その他の成分)
本発明の水性塗料用添加剤は、合成パルプの他に、本発明の目的を損なわない範囲において、他の種々の化合物を含有していても良い。例えば、従来公知の抗菌剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、各種安定剤、酸化防止剤、分散剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填剤等が挙げられる。これらは複数の化合物を含有していても良く、その含有量は目的に応じて適宜選択できる。
(合成パルプの製造方法)
本発明に係る合成パルプは、種々の方法により得られるが、通常はフラッシュ法で製造することが可能である。フラッシュ法とは、高圧で溶媒に溶解した樹脂を減圧することで溶媒を揮散させ、さらに必要に応じ、ワーリング・ブレンダー、ディスクリファイナー等にて繊維を切断および叩解する方法である。特に、特開昭48−44523号公報に記載されているような方法により、ポリオレフィン溶液を懸濁剤の存在下、水媒体に分散させたものをフラッシュさせると、繊維状物質が乱雑に分岐した形状を有する合成パルプが得られる。
水と懸濁剤の存在下に熱可塑性樹脂溶液をフラッシュする方法について具体的に説明する。最初に、原料樹脂を、その樹脂を溶解可能な溶剤に溶解し、懸濁剤および水を加えてエマルジョンとする。
溶剤としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素系、ベンゼン、トルエン等の芳香族系、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭素類等の中から、原料樹脂を溶解せしめ、且つ、フラッシュ時に揮発し得られた繊維の集合体に残存しにくいものを適宜選択する。
懸濁剤としては、界面活性剤を使用することができる。例えば、非イオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ゼラチン等の一般的な界面活性剤の中から、原料樹脂や溶剤の種類や量関係により適宜選択する。
懸濁剤の添加量は、繊維中、懸濁剤が0.1〜5質量%となる量とするのが好ましい。製造過程において、添加した懸濁剤の一部が抜けるような操作をする場合は多めに添加する等、適宜調整し添加する。添加量の目安としては、原料樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部である。懸濁剤を添加することにより、エマルションを安定化することができるとともに、フラッシュ後の繊維切断を水中で安定的に行うことができる。
次に、得られたエマルジョンを、100〜200℃、好ましくは130〜150℃に加熱し、圧力(絶対圧力)0.1〜5MPa、好ましくは圧力0.5〜1.5MPaの加圧状態にし、ノズルより減圧下へ噴出(フラッシュ)すると同時に、溶剤を気化させる。減圧の条件は、圧力1kPa〜95kPaとすることが好ましく、噴出先は窒素雰囲気等の不活性雰囲気であることが好ましい。本発明において、「圧力」とは絶対圧力のことを示す。
上記のようにしてフラッシュすることにより、分岐構造を有する不定長の繊維が得られるが、この繊維は、さらにワーリング・ブレンダー、ディスクリファイナー等にて切断および叩解して、0.05mm〜2.0mmの範囲内の所望の長さにすることが好ましい。そのとき、繊維を0.5〜5g/リットル濃度の水スラリーとして上記切断・叩解処理を行うことが好ましい。
この時、例えば、ディスクリファイナーの刃や、回転数、固定刃と回転刃のクリアランス、スクリーンの径を所定の条件に沿って選択することで、所望の線維長、カナディアンフリーネスの合成パルプを得ることができる。
さらに、合成パルプの親水性を増大させるために、ノニオン性界面活性剤またはポリプロピレングリコールによる表面処理を行うとよい。親水化処理された合成繊維パルプとしては、例えば、特開昭63−235575号公報または特開昭63−66380号公報に示されたものが好適に使用できる。
上述のようにして合成したパルプは、乾燥後、ミキサー等によって開綿し、最終的な合成パルプを得る。このようにして得られた合成パルプは、分岐構造を有するミクロフィブリル繊維からなるものである。
2.水性塗料組成物
(水性顔料)
本発明の水性塗料組成物は、合成パルプを含む本発明の水性塗料用添加剤を含有する。水性塗料用添加剤の添加量に特に制限はないが、塗料組成物の質量に対して0.1〜5.0質量%の範囲で添加することが好ましい。上記範囲内の添加量であれば、水性塗料の分散性を損なうことなく、塗膜のたれを防止し、乾燥した塗膜に優れた耐水性と強度を付与することができる。
本発明の水性塗料組成物は、本発明の水性塗料用添加剤と共に、顔料を20〜40質量%含んでいる。水性塗料組成物に含まれる顔料の量は、より好ましくは25〜35質量%である。顔料の種類に特に限定はなく、防錆塗料、白色顔料、体質顔料、着色顔料等を使用することができる。顔料の具体例としては、クロム酸亜鉛、亜鉛丹、リン酸亜鉛等の防錆塗料、酸化チタン、超微粒子酸化チタン、鉛白、塩基性硫酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、三酸化アンチモン、カルシウム複合物等の白色顔料、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリカ、ケイソウ土、カオリン、タルク、有機ベントナイト、ホワイトカーボン等の体質顔料、カーボンブラック、黄鉛、モリブデン赤、ベンガラ、黄色酸化鉄、酸化チタン、鉄黒、黄土、シェナ、アンバー、緑土、マルスバイオレット、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミボンレッド、カドミボンイエロー、群青、紺青等の着色顔料が挙げられる。特に原料が平均粒径100nm以下の超微粒子であると、塗膜や筆記部位に透明性を付与できるため、好ましい。
本発明の水性塗料組成物は、上記着色顔料の他にも、断熱・遮熱顔料(中空シリカゲル、セラミック)、潤滑性顔料(シリコン)、抗菌顔料(プラチナ、銀)、熱伝導顔料(ダイヤモンド)、脱臭顔料(脱臭ゼオライト)、高効率輻射(遠赤・放熱)顔料(アルミナ、マグネタ糸など)、耐磨耗顔料(セラミック)、高輝度顔料(アルミなど金属)等の機能性顔料を含んでいてもよい。機能性顔料と着色顔料の合計含有量が上記範囲内にあることが好ましい。
(水系樹脂)
本発明の水性塗料組成物に使用する水系樹脂としては、顔料を分散することができるものである限り、何ら制約はない。例えば、水溶性、ディスパージョン、エマルション、ミクロゲル、等の形態を有する樹脂が使用できる。
さらに具体的に上記水系樹脂を例示すると、アクリル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ブロックイソシアネート、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂、等が挙げられる。
さらに、本発明の水性塗料組成物に使用する水系樹脂には、重合または架橋により樹脂を潜在的に形成しうる化合物、いわゆる、モノマーやオリゴマーも含まれる。
(レオロジーコントロール剤)
本発明の水性塗料組成物は、本発明の合成パルプの他に、水性塗料用のレオロジーコントロール剤を含んでいてもよい。本発明で使用されうるレオロジーコントロール剤としては、アラビアガム、アラビノガラクタン、アルギン酸およびその塩、カードラン、ガッティーガム、カラギーナン、カラヤガム、寒天、キサンタンガム、グアーガム、酵素分解グアーガム、クインスシードガム、ジェランガム、ゼラチン、タマリンド種子ガム、難消化性デキストリン、トラガントガム、ファーセルラン、プルラン、ペクチン、ポリデキストロース、ガラクトマンナン、ローカストビーンガム、水溶性大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの金属塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムなどの水溶性高分子のレオロジーコントロール剤が挙げられる。これらの物質は、1種または2種以上を混合して使用することができる。好ましいレオロジーコントロール剤はヒドロキシエチルセルロースである。
本発明の水性塗料組成物に添加することのできる他のレオロジーコントロール剤としては、スメクタイト系粘土鉱物が挙げられる。スメクタイト系粘土鉱物とは、以下の一般式[Si(MgLi)O20OH4−c−XNa+X(0<a≦6、0<b≦6、4<a+b<8、0≦c<4、X=12−2a−b)で表される粘土鉱物である。この粘土鉱物は、天然にも産するが、合成品としても得られる。スメクタイト系粘土鉱物の粒子は、一般に小さいために透明性に優れている。特に、水性塗料組成物に添加する際には、透明性が優れているという観点から、粒子径が非常に小さい合成品を用いることが好ましい。スメクタイト系粘土鉱物としては、例えばモンモリロナイト、ソーコナイト、バイデライト、ヘクトライト等を挙げることができ、粒子径が小さく、合成が容易であるという観点から、ヘクトライトが好ましい。
スメクタイト系粘土鉱物の層状構造における結晶構造各層は、厚さ約1μmの2次元小板状を形成している。さらに、この小板ユニットに存在するマグネシウム原子や、アルミニウム原子は、より低原子価陽イオンの原子と同型置換しており、その結果、小板ユニットは負に帯電している。乾燥状態ではこの負電荷はプレート面の格子構造外側にある置換可能陽イオン(通常ナトリウムイオン)と釣り合っており、固相ではこれらの粒子はファンデルワールス力により、互いに結合し平板の束になっている。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
[水性顔料の調製方法]
以下の材料を量りとり、ボールミルにて90rpmで16時間攪拌混合し、固形分78.0%の水性顔料を得た。
酸化チタン(石原産業製、TIPAQUE CR−90):38.2質量部、
炭酸カルシウム(日東粉化工業製、W):38.2質量部、
湿潤剤(ビックケミジャパン製、BYK−181):1.3質量部、
消泡剤(信越化学工業製、KS−530):0.3質量部、
水:22.0質量部。
[水性塗料の調製方法]
上記水性顔料と、アクリル樹脂エマルション(三井化学製、アルマテックスSE2013)、水、水性塗料用添加剤、およびレオロジーコントロール剤を、表1の配合(全成分の合計量100質量部に対する質量部)で混合した。混合にはディスパー攪拌翼を用い、1200rpmで10分間攪拌混合し、水性塗料組成物を得た。
ここで使用した水性塗料用添加剤は、特開昭56−67383に記載の方法に準じて合成した、MFRが100g/10分のポリエチレンからなる分岐状ミクロフィブリル繊維からなる合成パルプである。分岐状ミクロフィブリル繊維の平均繊維長は0.05mm、平均繊維径は1〜50μmの範囲内であった。
レオロジーコントロール剤としては、水溶性高分子である、ダイセルファインケム製、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)SP600を用いた。
水性塗料組成物中の顔料分は、約31%(即ち、40.8%×(38.2%+38.2%))であった。
[評価方法]
(分散性)
調製した塗料を栓付試験管に入れ、室温で2時間静置し、分散性を目視評価した。
(塗膜たれ性)
ボンデ鋼板上に乾燥膜厚250μmとなるように水性塗料組成物を塗工し、塗工後ただちに垂直に保持し、塗料のたれ具合を目視観察した。
(塗膜耐水性)
ガラス基板上に乾燥膜厚100μmとなるように水性塗料組成物を塗工し、室温で風乾した。その後、25℃の水中に10日間浸漬し、塗膜外観の変化を目視観察した。
(塗膜強度)
ボンデ鋼板上に乾燥膜厚250μmとなるように水性塗料組成物を塗料を塗工し、50℃で20分乾燥して試験片とした。この試験片について、JIS K 5600−5−1のマンドレル試験に準じた折曲げ試験を実施した。
水性塗料組成物の組成と評価結果を以下の表1に示した。
Figure 2016188338
表1から明らかなように、本発明の水性塗料用添加剤を含む実施例1の水性塗料組成物、および本発明の水性塗料用添加剤とレオロジーコントロール剤とを含む実施例2の水性塗料組成物は、共に優れた分散性を示した。更に本発明の塗料組成物には塗膜のたれが見られず、乾燥した塗膜は優れた耐水性と強度を有していた。
一方、本発明の水性塗料用添加剤を含まないが、レオロジーコントロール剤を含む比較例1の水性塗料組成物は、分散性と塗膜のたれ性は良好であったものの、乾燥した塗膜の耐水性は低く、ひび割れが観察された。更に塗膜の強度も低く、マンドレルの直径が10mmの時にひび割れが確認された。本発明の水性塗料用添加剤とレオロジーコントロール剤のいずれをも含んでいない比較例2の水性塗料組成物の場合、乾燥した塗膜の耐水性と強度が低いだけでなく、塗料組成物には沈殿が認められ、塗膜のたれも大きかった。
本発明の水性塗料用添加剤は、水性塗料組成物の塗工性を向上させ、耐水性や強度の優れた塗膜の形成を可能にする。

Claims (3)

  1. 繊維長が0.05mm〜2.0mmの分岐状のミクロフィブリル繊維からなる合成パルプを含む水性塗料用添加剤。
  2. 請求項1の水性塗料用添加剤を含み、顔料分が20質量%〜40質量%である水性塗料組成物。
  3. 水性塗料用のレオロジーコントロール剤を更に含む、請求項2に記載の水性塗料組成物。
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