JP2020033472A - 樹脂組成物、樹脂シート、多層プリント配線板及び半導体装置 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂シート、多層プリント配線板及び半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】波長405nm(h線)を含む活性エネルギー線で露光した場合に感光して、光硬化が可能であり、特に多層プリント配線板に用いた際に、光硬化性、耐熱性及び熱安定性に優れる樹脂組成物、支持体付き樹脂シート、それらを用いた多層プリント配線板、半導体装置の提供。【解決手段】本発明の樹脂組成物は、下記一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)と、波長405nm(h線)の吸光度が0.1以上である光硬化開始剤(B)と、を含有する。(式(1)中、Raは、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はアルケニル基を表し、Rbは、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はアルケニル基を表し、naの数は1以上であり、nbの数は1以上である。)【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、それを用いた樹脂シート、多層プリント配線板及び半導体装置に関する。
多層プリント配線板の小型化、高密度化により、多層プリント配線板に用いられる積層板を薄型化する検討が盛んに行なわれている。薄型化に伴い、絶縁層についても薄型化が求められ、ガラスクロスを含まない樹脂シートが求められている。絶縁層の材料となる樹脂組成物は熱硬化性樹脂が主流であり、絶縁層間で導通を得るための穴あけは一般的にレーザー加工にて行われている。
一方、レーザー加工による穴あけは、穴数が多い高密度基板になるほど加工時間が長くなるという問題がある。そのため、近年は光線等の照射により露光部が硬化(露光工程)し、未露光部は除去(現像工程)可能な樹脂組成物を用いることにより、露光、及び現像工程で一括穴あけ加工することが可能となる樹脂シートが求められている。
露光の方法としては、水銀灯を光源としてフォトマスクを介して露光する方法が用いられている。また、近年、露光方法として、パターンのデジタルデータに基づいてフォトマスクを介さずに感光性樹脂組成物層に直接描画する直接描画露光法の導入が進んでいる。この直接描画露光法はフォトマスクを介した露光法よりも位置合わせ精度が良好であり、且つ高精細なパターンが得られることから、高密度な配線形成が必要となる基板において、特に導入が進んでいる。その光源はレーザー等の単色光を用いており、中でも高精細なレジストパターンを形成可能なDMD(Digital Micro mirror Device)方式の装置においては、波長405nm(h線)の光源が用いられている。
積層板や樹脂シートに用いられる感光性の樹脂組成物には、露光工程での速やかな硬化を可能にするために(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基を有する化合物が使用されている。
たとえば、特許文献1には、ビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させた後、酸無水物を反応させて得られるカルボキシル変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂と、ビフェニル型エポキシ樹脂と、光硬化開始剤と、希釈剤とを含む感光性熱硬化型樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献2には、光硬化可能なバインダーポリマーと、エチレン性不飽和結合を有する光重合化合物と、光重合(硬化)開始剤と、増感剤と、熱硬化剤であるビスアリルナジックイミド化合物及びビスマレイミド化合物とを含む樹脂組成物が記載されている。
特許文献3には、ビスマレイミド化合物(硬化性樹脂)と、光ラジカル重合開始剤(硬化剤)とを含む樹脂組成物が記載されている。
特開2005−62450号 特開2010−204298公報 WO2018/56466A1
しかしながら、従来の(メタ)アクリレート系樹脂を用いた硬化物では十分な物性が得られず、耐熱性の高い保護膜、及び層間絶縁層の形成には限界がある。
特許文献1に記載の樹脂組成物から得られる硬化物では、ソルダーレジストとして優れた可とう性及び耐折性を有しており、耐熱性にも優れているとの記載はあるが、耐熱性について具体的な値は示されてなく、層間絶縁層として用いるには耐熱性及び熱安定性に劣るとの問題がある。
特許文献2では、ビスマレイミド化合物を用いることが記載されているが、熱硬化剤として記載されており、光重合性化合物としては(メタ)アクリレートを用いている。そのため、層間絶縁層として用いるには耐熱性及び熱安定性に劣るとの問題がある。
特許文献3では、硬化性樹脂としてビスマレイミド化合物を用いているが、マレイミド化合物は光透過性が悪いため、マレイミド化合物を含むと、光硬化開始剤まで十分に光が届かず、光硬化開始剤がラジカルを発生し難く、その反応性は非常に低い。そこで、特許文献3では、現像前に追加加熱を行うことでマレイミド化合物を硬化させている。特許文献3において、波長405nm(h線)を含む活性エネルギー線を照射可能な光源として用いることについては何ら記載されていない。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、波長405nm(h線)を含む活性エネルギー線で露光した場合に感光して、光硬化が可能であり、特に多層プリント配線板に用いた際に、光硬化性、耐熱性及び熱安定性に優れる樹脂組成物、支持体付き樹脂シート、それらを用いた多層プリント配線板、半導体装置を提供することにある。
本発明者らは、特定のマレイミド化合物(A)と、波長405nm(h線)の吸光度が0.1以上である光硬化開始剤(B)と、を含有する樹脂組成物を用いることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1]下記一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)と、波長405nm(h線)の吸光度が0.1以上である光硬化開始剤(B)と、を含有する樹脂組成物。
(式(1)中、Raは、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を表し、Rbは、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を表し、naの数は1以上であり、nbの数は1以上である。)。
[2]前記マレイミド化合物(A)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)及び前記光硬化開始剤(B)の合計100質量部に対して、50〜99.9質量部である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記光重合開始剤(B)が、下記一般式(2)で表される化合物である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
式(2)中、複数のR1は、各々独立に下記一般式(3)で表される置換基又はフェニル基を表す。
式(3)中、複数のR2は、各々独立に水素原子又はメチル基を表す。
[4]支持体と、前記支持体の片面又は両面に配された樹脂層と、を有し、前記樹脂層が、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、樹脂シート。
[5]前記樹脂層の厚さが1〜50μmである、[4]に記載の樹脂シート。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物を有する、多層プリント配線板。
[7][1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物を有する、半導体装置。
本発明によれば、波長405nm(h線)を含む活性エネルギー線で露光した場合に感光し、光硬化が可能であり、特に多層プリント配線板に用いた際に、光硬化性、耐熱性及び熱安定性に優れる樹脂組成物、支持体付き樹脂シート、それらを用いた多層プリント配線板、半導体装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその要旨の範囲内で、適宜に変形して実施できる。
なお、本明細書における「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基」及びそれに対応する「メタクリロイル基」の両方を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」の両方を意味し、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」及びそれに対応する「メタクリル酸」の両方を意味し、「(メタ)アリル基」とは「アリル基」及びそれに対応する「メタアリル基」の両方を意味する。また、本実施形態において、「樹脂固形分」又は「樹脂組成物中の樹脂固形分」とは、特に断りのない限り、樹脂組成物における、光硬化開始剤(B)、添加剤、溶剤及び充填材を除いた成分をいい、「樹脂固形分100質量部」とは、樹脂組成物における、光硬化開始剤(B)、添加剤、溶剤及び充填材を除いた成分の合計が100質量部であることをいうものとする。
本実施形態の樹脂組成物は、前記一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)と、波長405nm(h線)の吸光度が0.1以上である光硬化開始剤(B)とを含有する樹脂組成物を含有する。以下、各成分について説明する。
<一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)>
本実施形態に係るマレイミド化合物(A)(成分(A)とも称す)は、前記一般式(1)の構造を有する。
通常、マレイミド化合物は光透過性が悪いため、樹脂組成物がマレイミド化合物を含むと、樹脂組成物中に分散している光硬化開始剤まで十分に光が届かず、光硬化開始剤がラジカルを発生し難い。そのため、一般的にマレイミドの光ラジカル反応は進行し難く、仮にマレイミド単体のラジカル重合や二量化反応が進行しても、その反応性は非常に低い。しかし、本実施形態に係るマレイミド化合物(A)は、マレイミド化合物(A)が0.01質量%で含まれるクロロホルム溶液を調製し、波長405nm(h線)の光線を用いてこのクロロホルム溶液の光線透過率を測定した場合に、透過率が1%以上と、非常に優れた光透過性を示すので、マレイミドの光ラジカル反応が効率的に起こる傾向にある。
光透過率は、光硬化性、耐熱性及び熱安定性により優れる樹脂組成物を得ることができることから、2%以上であることが好ましく、4%以上であることがより好ましい。
一方、仮に光透過性を有するマレイミド化合物を用いても、光重合開始剤が、波長405nm(h線)の光を吸収してラジカルを発生しなければ、重合は進行しない。しかし、本実施形態に係る後述の光硬化開始剤は、波長405nm(h線)の吸光度が0.1以上と、波長405nm(h線)の光に対して非常に優れた吸収性を示す。
マレイミド化合物(A)は、上述したように光透過性に優れるため、波長405nmの光を用いても、光が光硬化開始剤まで十分に届き、光硬化開始剤から発生したラジカルを用いたラジカル反応が進行し、マレイミド化合物(A)が多く配合されている組成物においても光硬化が可能となる。本実施形態によれば、マレイミド化合物(A)の単独重合も可能となる。
そして、本実施形態の樹脂組成物を含んで得られる硬化物は、光硬化性、耐熱性及び熱安定性に優れるため、保護膜、及び層間絶縁層を好適に形成することができる。
前記一般式(1)中、Raは、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を表す。Raとしては、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であることが好ましく、優れた光硬化性を示すことから、直鎖状のアルキル基であることがより好ましく。
アルキル基の炭素数としては、1〜16が好ましく、優れた光硬化性を示すことから、4〜12がより好ましい。
アルケニル基の炭素数としては、1〜16が好ましく、優れた光硬化性を示すことから、4〜12がより好ましい。
アルキル基としては、本実施形態の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基などが挙げられる。これらの中でも、優れた光硬化性を示すことから、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基が好ましく、n−オクチル基がより好ましい。
アルケニル基としては、本実施形態の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、2−メチル−2−プロペニル、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、2−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、5−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、2−オクテニル基、3−オクテニル基、4−オクテニル基、5−オクテニル基、6−オクテニル基、7−オクテニル、2−ノネニル基、3−ノネニル基、4−ノネニル基、5−ノネニル基、6−ノネニル基、7−ノネニル基、8−ノネニル基、2−デセニル基、3−デセニル基、4−デセニル基、5−デセニル基、6−デセニル基、7−デセニル基、8−デセニル基、9−デセニル基、2−ドデセニル基、3−ドデセニル基、4−ドデセニル基、5−ドデセニル基、6−ドデセニル基、7−ドデセニル基、8−ドデセニル基、9−ドデセニル基、10−ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、オクタデカジエニル基、9,12,15−オクタデカトリエニル基、9,11,13−オクタデカトリエニル基、クロチルなどが挙げられる。これらの中でも、優れた光硬化性を示すことから、2−オクテニル基が好ましい。
一般式(1)中、Rbは、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を表す。Rbとしては、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基であることが好ましく、優れた光硬化性を示すことから、直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
アルキル基の炭素数としては、1〜16が好ましく、優れた光硬化性を示すことから、4〜12がより好ましい。
アルケニル基の炭素数としては、1〜16が好ましく、優れた光硬化性を示すことから、4〜12がより好ましい。
アルキル基の具体例としては、前記のRaにおけるアルキル基を参照できる。この中でも、優れた光硬化性を示すことから、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基が好ましく、n−オクチル基がより好ましい。
アルケニル基の具体例としては、前記のRaにおけるアルケニル基を参照できる。この中でも、優れた光硬化性を示すことから、2−ヘプテニル基、2−オクテニル基、2−ノネニル基が好ましく、2−オクテニル基がより好ましい。
一般式(1)中、naの数は1以上であり、好ましくは2〜16であり、より好ましくは、優れた光硬化性を示す観点から、3〜14である。
一般式(1)中、nbの数は1以上であり、好ましくは2〜16であり、より好ましくは、優れた光硬化性を示す観点から、3〜14である。
aとnbの数は同じであっても、異なっていてもよい。
本実施形態の樹脂組成物において、マレイミド化合物(A)の含有量は、特に限定されないが、マレイミド化合物を主成分とした硬化物を得ることが可能となり、光硬化性、耐熱性及び熱安定性を向上させるという観点から、マレイミド化合物(A)及び光硬化開始剤(B)の合計100質量部に対して、50〜99.9質量部であることが好ましく、70〜99.8質量部であることがより好ましく、90〜99.7質量部であることが更に好ましい。
また、本実施形態の樹脂組成物におけるマレイミド化合物(A)の含有量は、特に限定されないが、マレイミド化合物を主成分とした硬化物を得ることが可能となり、光硬化性、耐熱性及び熱安定性を向上させるという観点から、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、40〜100質量部であることが好ましく、50〜90質量部であることがより好ましく、60〜80質量部であることが更に好ましい。樹脂組成物におけるマレイミド化合物(A)の含有量が100質量部とは、樹脂分が、マレイミド化合物(A)のみであること称し、マレイミド化合物(A)の単独重合体であることを称する。
マレイミド化合物(A)は、市販品を利用することもでき、例えば、Designer Molecules Inc.製BMI−689(商品名)等が挙げられる。Designer Molecules Inc.製BMI−689(商品名)の構造については、実施例に記載のとおりである。
これらは、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
<光硬化開始剤(B)>
本実施形態に用いる光硬化開始剤(B)(成分(B)とも称す)は、波長405nm(h線)の吸光度が0.1以上であれば特に限定されず、一般に光硬化性樹脂組成物で用いられる分野で公知のものを使用することができる。
ここで、波長405nm(h線)の吸光度が0.1以上であるとは、成分(B)が0.01質量%で含まれるクロロホルム溶液を調製し、波長405nm(h線)の光線を用いてこのクロロホルム溶液の吸光度を測定した場合に、吸光度が0.1以上であることを意味する。
光硬化開始剤(B)としては、前記一般式(2)で表される化合物が好ましい。前記一般式(2)で表される化合物は、この化合物が0.01質量%で含まれるクロロホルム溶液を調製し、波長405nm(h線)の光線を用いてこのクロロホルム溶液の吸光度を測定した場合に、吸光度が0.1以上と、波長405nm(h線)の光に対して非常に優れた吸収性を示す。そのため、この化合物は、波長405nm(h線)の光に対して好適にラジカルを発生する。前記吸光度は、0.2以上であることが好ましい。上限値は特に限定されないが、例えば、2.0ある。
前記一般式(2)中、複数のR1は、各々独立に前記一般式(3)で表される置換基又はフェニル基を表す。複数のR1のうち、1つ以上が前記一般式(3)で表される置換基であることが好ましい。
前記一般式(3)中、複数のR2は、各々独立に水素原子又はメチル基を表す。複数のR2のうち、1つ以上がメチル基であることが好ましく、全てメチル基であることがより好ましい。
前記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、エトキシフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
アシルフォスフィンオキサイド類は、波長405nm(h線)を含む活性エネルギー線に対して非常に優れた吸収性を示し、マレイミド化合物(A)を好適にラジカル重合させることができる。そのため、本実施形態によれば、特に多層プリント配線板に用いた際に、光硬化性、耐熱性及び熱安定性に優れる樹脂組成物、支持体付き樹脂シート、それらを用いた多層プリント配線板、半導体装置を好適に製造することが可能となる。
本実施形態の樹脂組成物において、光硬化開始剤(B)の含有量は、特に限定されないが、波長405nm(h線)を含む活性エネルギー線を用いてマレイミド化合物(A)を十分に硬化させ、耐熱性を向上させるという観点から、マレイミド化合物(A)及び光硬化開始剤(B)の合計100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、0.2〜30質量部であることがより好ましく、0.3〜10質量部であることが更に好ましい。
光重合開始剤(B)は、市販品を利用することもでき、例えば、IGM Resins社製Omnirad(登録商標)819、IGM Resins社製Omnirad(登録商標)TPO G、IGM Resins社製Omnirad(登録商標)TPO L G等が挙げられる。
<一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)以外のマレイミド化合物(C)>
本実施形態の樹脂組成物においては、波長405nm(h線)を含む活性エネルギー線で露光した場合に、本実施形態の樹脂組成物が感光して、光硬化する限り、一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)以外のマレイミド化合物(C)(成分(C)とも称す)を用いることができる。以下にマレイミド化合物(C)について述べる。
本実施形態に用いるマレイミド化合物(C)は、一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)以外であり、分子中に一個以上のマレイミド基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。その具体例としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−(4−カルボキシ−3−ヒドロキシフェニル)マレイミド、フルオレセイン−5−マレイミド、6−マレイミドヘキサン酸、4−マレイミド酪酸、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタン、フェニルメタンマレイミド、o−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、o−フェニレンビスシトラコンイミド、m−フェニレンビスシトラコンイミド、p−フェニレンビスシトラコンイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル)プロパン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,2−ビスマレイミドエタン、1,4−ビスマレイミドブタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、1,8−ビスマレイミド−3,6−ジオキサオクタン、1,11−ビスマレイミド−3,6,9−トリオキサウンデカン、1,3−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、4,4−ジフェニルメタンビスシトラコンイミド、2,2−ビス[4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−シトラコンイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、下記式(4)で表されるマレイミド化合物、下記式(5)で表されるマレイミド化合物、下記式(6)で表されるマレイミド化合物、下記式(7)で表されるマレイミド化合物、下記式(8)で表されるマレイミド化合物、及びこれらマレイミド化合物のプレポリマー、又はマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマー等が挙げられる。
下記式(4)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもでき、例えば、BMI−2300(大和化成工業(株)社製)が挙げられる。下記式(5)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもでき、例えば、MIR−3000(日本化薬(株)社製)が挙げられる。下記式(6)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもでき、例えば、BMI−1500(Designer Molecules Inc.(DMI)製)が挙げられる。下記式(7)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもでき、例えば、BMI−1700(Designer Molecules Inc.(DMI)製)が挙げられる。下記式(8)で表されるマレイミド化合物としては、市販品を利用することもでき、例えば、BMI−3000、BMI−5000、BMI−9000(いずれもDesigner Molecules Inc.(DMI)製)が挙げられる。
式(4)中、複数のR3は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。n1は、1以上の整数を表し、好ましくは1〜10の整数を表し、より好ましくは1〜5の整数を表す。
式(5)中、複数のR4は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。n2は、1以上の整数を表し、好ましくは1〜5の整数を表す。
式(6)中、n3は、1以上の整数を表し、好ましくは1〜10の整数を表す。
式(7)中、n4は、1以上の整数を表し、好ましくは1〜10の整数を表す。
式(8)中、n5は、1以上の整数を表し、好ましくは1〜10の整数を表す。
これらのマレイミド化合物(C)は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
マレイミド化合物(C)の含有量は、特に限定されないが、マレイミド化合物(C)を使用する場合は、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対し、0.01〜40質量部である。
<充填材(D)>
本実施形態の樹脂組成物には、塗膜性や耐熱性等の諸特性を向上させるために、充填材(D)(成分(D)とも称す)を併用することも可能である。本実施形態に用いる充填材(D)は、絶縁性を有し、波長405nm(h線)に対する透過性を阻害しないものであれば、特に限定されないが、例えば、シリカ(例えば、天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ、中空シリカ等)、アルミニウム化合物(例えば、ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ等)、マグネシウム化合物(例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等)、カルシウム化合物(例えば、炭酸カルシウム等)、モリブデン化合物(例えば、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛等)、バリウム化合物(例えば、硫酸バリウム、ケイ酸バリウム等)、タルク(例えば、天然タルク、焼成タルク等)、マイカ(雲母)、ガラス(例えば、短繊維状ガラス、球状ガラス、微粉末ガラス(例えば、Eガラス、Tガラス、Dガラス等)等)、シリコーンパウダー、フッ素樹脂系充填材、ウレタン樹脂系充填材、(メタ)アクリル樹脂系充填材、ポリエチレン系充填材、スチレン・ブタジエンゴム及びシリコーンゴム等が挙げられる。
その中でも、シリカ、ベーマイト、硫酸バリウム、シリコーンパウダー、フッ素樹脂系充填材、ウレタン樹脂系充填材、(メタ)アクリル樹脂系充填材、ポリエチレン系充填材、スチレン・ブタジエンゴム及びシリコーンゴムからなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
これらの充填材(D)は、後述のシランカップリング剤等で表面処理されていてもよい。
硬化物の耐熱性を向上させ、また良好な塗膜性が得られるという観点から、シリカが好ましく、溶融シリカがより好ましい。シリカの具体例としては、デンカ(株)製のSFP−130MC等、(株)アドマテックス製のSC2050―MB、SC1050−MLE、YA010C−MFN、YA050C−MJA等が挙げられる。
これらの充填材(D)は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
充填材の粒径は、特に限定されないが、樹脂組成物の紫外光透過性という観点から、通常0.005〜10μmであり、好ましくは0.01〜1.0μmである。
充填材(D)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物の紫外光透過性や、硬化物の耐熱性を良好にするという観点から、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、30質量部以下とすることが好ましく、20質量部以下とすることがより好ましく、10質量部以下とすることが最も好ましい。なお、充填材(D)を含有する場合、下限値は、特に限定されないが、塗膜性や耐熱性等の諸特性を向上させる効果が得られる観点から、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、通常1質量部である。
<シランカップリング剤及び湿潤分散剤>
本実施形態の樹脂組成物には、充填材の分散性、ポリマー及び/又は樹脂と、充填材との接着強度を向上させるために、シランカップリング剤及び/又は湿潤分散剤を併用することも可能である。
これらのシランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されているシランカップリング剤であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン系;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン系;N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等のカチオニックシラン系;フェニルシラン系のシランカップリング剤が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
本実施形態の樹脂組成物において、シランカップリング剤の含有量は、特に限定されないが、通常、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜10質量部である。
湿潤分散剤としては、塗料用に使用されている分散安定剤であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、例えば、ビッグケミー・ジャパン(株)製のDISPERBYK(登録商標)−110、111、118、180、161、BYK(登録商標)−W996、W9010、W903等の湿潤分散剤が挙げられる。これらの湿潤分散剤は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
本実施形態の樹脂組成物において、湿潤分散剤の含有量は、特に限定されないが、通常、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜10質量部である。
<シアン酸エステル化合物、フェノール樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、エポキシ樹脂及びその他の化合物>
本実施形態では、波長405nm(h線)を含む活性エネルギー線で露光した場合に、本実施形態の樹脂組成物が感光して、光硬化する限り、硬化した硬化物の難燃性、耐熱性及び熱膨張特性等の特性に応じて、シアン酸エステル化合物、フェノール樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、エポキシ樹脂及びその他の化合物等、様々な種類の化合物及び樹脂を用いることができる。例えば、耐熱性を求められる場合には、シアン酸エステル化合物、ベンゾオキサジン化合物等が挙げられ、他にフェノール樹脂、オキセタン樹脂等も用いることができる。
これらは、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
<シアン酸エステル化合物>
シアン酸エステル化合物としては、シアナト基(シアン酸エステル基)が少なくとも1個置換された芳香族部分を分子内に有する樹脂であれば特に限定されるものではない。
例えば一般式(9)で表されるものが挙げられる。
式(9)中、Ar1は、ベンゼン環、ナフタレン環又は2つのベンゼン環が単結合したものを表す。複数ある場合は互いに同一であっても異なっていても良い。Raは各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシル基、炭素数1〜6のアルキル基と炭素数6〜12のアリール基とが結合された基を示す。Raにおける芳香環は置換基を有していてもよく、Ar1及びRaにおける置換基は任意の位置を選択できる。pはAr1に結合するシアナト基の数を示し、各々独立に1〜3の整数である。qはAr1に結合するRaの数を示し、Ar1がベンゼン環の時は4−p、ナフタレン環の時は6−p、2つのベンゼン環が単結合したものの時は8−pである。tは平均繰り返し数を示し、0〜50の整数であり、シアン酸エステル化合物は、tが異なる化合物の混合物であってもよい。Xは、複数ある場合は各々独立に、単結合、炭素数1〜50の2価の有機基(水素原子がヘテロ原子に置換されていてもよい。)、窒素数1〜10の2価の有機基(例えば−N−R−N−(ここでRは有機基を示す。))、カルボニル基(−CO−)、カルボキシ基(−C(=O)O−)、カルボニルジオキサイド基(−OC(=O)O−)、スルホニル基(−SO2−)、2価の硫黄原子又は2価の酸素原子のいずれかを示す。
一般式(9)のRaにおけるアルキル基は、直鎖もしくは分枝の鎖状構造、及び、環状構造(例えばシクロアルキル基等)いずれを有していてもよい。
また、一般式(9)におけるアルキル基及びRaにおけるアリール基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシル基、又はシアノ基等で置換されていてもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、及びトリフルオロメチル基等が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、フェノキシフェニル基、エチルフェニル基、o−,m−又はp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、及びo−,m−又はp−トリル基等が挙げられる。更にアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、及びtert−ブトキシ基等が挙げられる。
一般式(9)のXにおける炭素数1〜50の2価の有機基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、トリメチルシクロヘキシレン基、ビフェニルイルメチレン基、ジメチルメチレン−フェニレン−ジメチルメチレン基、フルオレンジイル基、及びフタリドジイル基等が挙げられる。前記2価の有機基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシル基、シアノ基等で置換されていてもよい。
一般式(9)のXにおける窒素数1〜10の2価の有機基としては、イミノ基、ポリイミド基等が挙げられる。
また、一般式(9)中のXの有機基として、例えば、下記一般式(10)又は下記一般式(11)で表される構造であるものが挙げられる。
式(10)中、Ar2はベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基又はビフェニルテトライル基を示し、uが2以上の場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。Rb、Rc、Rf、及びRgは各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、トリフルオロメチル基、又はフェノール性ヒドロキシ基を少なくとも1個有するアリール基を示す。Rd及び、Reは各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシル基、又はヒドロキシ基のいずれか一種から選択される。uは0〜5の整数を示す。
式(11)中、Ar3はベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基又はビフェニルテトライル基を示し、vが2以上の場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。Ri、及びRjは各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ベンジル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、又はシアナト基が少なくとも1個置換されたアリール基を示す。vは0〜5の整数を示すが、vが異なる化合物の混合物であってもよい。
さらに、一般式(9)中のXとしては、下記式で表される2価の基が挙げられる。
ここで式中、zは4〜7の整数を示す。Rkは各々独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。
一般式(10)のAr2及び一般式(11)のAr3の具体例としては、一般式(10)に示す2個の炭素原子、又は一般式(11)に示す2個の酸素原子が、1,4位又は1,3位に結合するベンゼンテトライル基、前記2個の炭素原子又は2個の酸素原子が4,4'位、2,4'位、2,2'位、2,3'位、3,3'位、又は3,4'位に結合するビフェニルテトライル基、及び、前記2個の炭素原子又は2個の酸素原子が、2,6位、1,5位、1,6位、1,8位、1,3位、1,4位、又は2,7位に結合するナフタレンテトライル基が挙げられる。
一般式(10)のRb、Rc、Rd、Re、Rf及びRg、並びに一般式(11)のRi、Rjにおけるアルキル基及びアリール基は、前記一般式(9)におけるものと同義である。
前記一般式(9)で表されるシアナト置換芳香族化合物の具体例としては、シアナトベンゼン、1−シアナト−2−,1−シアナト−3−,又は1−シアナト−4−メチルベンゼン、1−シアナト−2−,1−シアナト−3−,又は1−シアナト−4−メトキシベンゼン、1−シアナト−2,3−,1−シアナト−2,4−,1−シアナト−2,5−,1−シアナト−2,6−,1−シアナト−3,4−又は1−シアナト−3,5−ジメチルベンゼン、シアナトエチルベンゼン、シアナトブチルベンゼン、シアナトオクチルベンゼン、シアナトノニルベンゼン、2−(4−シアナフェニル)−2−フェニルプロパン(4−α−クミルフェノールのシアネート)、1−シアナト−4−シクロヘキシルベンゼン、1−シアナト−4−ビニルベンゼン、1−シアナト−2−又は1−シアナト−3−クロロベンゼン、1−シアナト−2,6−ジクロロベンゼン、1−シアナト−2−メチル−3−クロロベンゼン、シアナトニトロベンゼン、1−シアナト−4−ニトロ−2−エチルベンゼン、1−シアナト−2−メトキシ−4−アリルベンゼン(オイゲノールのシアネート)、メチル(4−シアナトフェニル)スルフィド、1−シアナト−3−トリフルオロメチルベンゼン、4−シアナトビフェニル、1−シアナト−2−又は1−シアナト−4−アセチルベンゼン、4−シアナトベンズアルデヒド、4−シアナト安息香酸メチルエステル、4−シアナト安息香酸フェニルエステル、1−シアナト−4−アセトアミノベンゼン、4−シアナトベンゾフェノン、1−シアナト−2,6−ジ−tert−ブチルベンゼン、1,2−ジシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナト−2−tert−ブチルベンゼン、1,4−ジシアナト−2,4−ジメチルベンゼン、1,4−ジシアナト−2,3,4−ジメチルベンゼン、1,3−ジシアナト−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3−ジシアナト−5−メチルベンゼン、1−シアナト又は2−シアナトナフタレン、1−シアナト4−メトキシナフタレン、2−シアナト−6−メチルナフタレン、2−シアナト−7−メトキシナフタレン、2,2'−ジシアナト−1,1'−ビナフチル、1,3−,1,4−,1,5−,1,6−,1,7−,2,3−,2,6−又は2,7−ジシアナトシナフタレン、2,2'−又は4,4'−ジシアナトビフェニル、4,4'−ジシアナトオクタフルオロビフェニル、2,4'−又は4,4'−ジシアナトジフェニルメタン、ビス(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−シアナト−5−ビフェニルイル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジメチルプロパン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−3,3−ジメチルブタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)ヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)ヘプタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)オクタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルペンタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジメチルペンタン、4,4−ビス(4−シアナトフェニル)−3−メチルヘプタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−メチルヘプタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジメチルヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,4−ジメチルヘキサン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2,2,4−トリメチルペンタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−シアナトフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−シアナトフェニル)ビフェニルメタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−シアナト−3−イソプロピルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−シアナトフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−シアナトフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−ジクロロエチレン、1,3−ビス[2−(4−シアナトフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−シアナトフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4−[ビス(4−シアナトフェニル)メチル]ビフェニル、4,4−ジシアナトベンゾフェノン、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)−2−プロペン−1−オン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルフィド、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、4−シアナト安息香酸−4−シアナトフェニルエステル(4−シアナトフェニル−4−シアナトベンゾエート)、ビス−(4−シアナトフェニル)カーボネート、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−シアナトフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、3,3−ビス(4−シアナトフェニル)イソベンゾフラン−1(3H)−オン(フェノールフタレインのシアネート)、3,3−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)イソベンゾフラン−1(3H)−オン(o−クレゾールフタレインのシアネート)、9,9'−ビス(4−シアナトフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−シアナト−5−ビフェニルイル)フルオレン、トリス(4−シアナトフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−シアナトフェニル)エタン、1,1,3−トリス(4−シアナトフェニル)プロパン、α,α,α'−トリス(4−シアナトフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、1,1,2,2−テトラキス(4−シアナトフェニル)エタン、テトラキス(4−シアナトフェニル)メタン、2,4,6−トリス(N−メチル−4−シアナトアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(N−メチル−4−シアナトアニリノ)−6−(N−メチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ビス(N−4−シアナト−2−メチルフェニル)−4,4'−オキシジフタルイミド、ビス(N−3−シアナト−4−メチルフェニル)−4,4'−オキシジフタルイミド、ビス(N−4−シアナトフェニル)−4,4'−オキシジフタルイミド、ビス(N−4−シアナト−2−メチルフェニル)−4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタルイミド、トリス(3,5−ジメチル−4−シアナトベンジル)イソシアヌレート、2−フェニル−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)フタルイミジン、2−(4−メチルフェニル)−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)フタルイミジン、2−フェニル−3,3−ビス(4−シアナト−3−メチルフェニル)フタルイミジン、1−メチル−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)インドリン−2−オン、及び、2−フェニル−3,3−ビス(4−シアナトフェニル)インドリン−2−オンが挙げられる。
これらのシアン酸エステル化合物は、1種単独又は2種以上混合して用いることができる。
また、前記一般式(9)で表されるシアン酸エステル化合物の別の具体例としては、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂(公知の方法により、フェノール、アルキル置換フェノール又はハロゲン置換フェノールと、ホルマリンやパラホルムアルデヒド等のホルムアルデヒド化合物とを、酸性溶液中で反応させたもの)、トリスフェノールノボラック樹脂(ヒドロキシベンズアルデヒドとフェノールとを酸性触媒の存在下に反応させたもの)、フルオレンノボラック樹脂(フルオレノン化合物と9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類とを酸性触媒の存在下に反応させたもの)、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂及びビフェニルアラルキル樹脂(公知の方法により、Ar4−(CH2Y)2(Ar4はフェニル基を示し、Yはハロゲン原子を示す。以下、この段落において同様。)で表されるようなビスハロゲノメチル化合物とフェノール化合物とを酸性触媒若しくは無触媒で反応させたもの、Ar4−(CH2OR)2(Rはアルキル基を示す。)で表されるようなビス(アルコキシメチル)化合物とフェノール化合物とを酸性触媒の存在下に反応させたもの、又は、Ar4−(CH2OH)2で表されるようなビス(ヒドロキシメチル)化合物とフェノール化合物を酸性触媒の存在下に反応させたもの、あるいは、芳香族アルデヒド化合物とアラルキル化合物とフェノール化合物とを重縮合させたもの)、フェノール変性キシレンホルムアルデヒド樹脂(公知の方法により、キシレンホルムアルデヒド樹脂とフェノール化合物とを酸性触媒の存在下に反応させたもの)、変性ナフタレンホルムアルデヒド樹脂(公知の方法により、ナフタレンホルムアルデヒド樹脂とヒドロキシ置換芳香族化合物を酸性触媒の存在下に反応させたもの)、フェノール変性ジシクロペンタジエン樹脂、ポリナフチレンエーテル構造を有するフェノール樹脂(公知の方法により、フェノール性ヒドロキシ基を1分子中に2つ以上有する多価ヒドロキシナフタレン化合物を、塩基性触媒の存在下に脱水縮合させたもの)等のフェノール樹脂を、前記と同様の方法によりシアネート化したもの等、並びにこれらのプレポリマー等が挙げられる。これらは、特に制限されるものではない。これらのシアン酸エステル化合物は、1種単独又は2種以上混合して用いることができる。
これらのシアン酸エステル化合物の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。かかる製法の例としては、所望の骨格を有するヒドロキシ基含有化合物を入手又は合成し、ヒドロキシ基を公知の手法により修飾してシアネート化する方法が挙げられる。ヒドロキシ基をシアネート化する手法としては、例えば、Ian Hamerton,"Chemistry and Technology of Cyanate Ester Resins,"Blackie Academic & Professionalに記載の手法が挙げられる。
これらのシアン酸エステル化合物を用いた樹脂硬化物は、ガラス転移温度、低熱膨張性、めっき密着性等に優れた特性を有する。
シアン酸エステル化合物の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.01〜40質量部である。
<フェノール樹脂>
フェノール樹脂としては、1分子中に2個以上のヒドロキシル基を有するフェノール樹脂であれば、一般に公知のものを使用できる。例えば、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールE型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂、ビスフェノールS型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、グリシジルエステル型フェノール樹脂、アラルキルノボラック型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、多官能フェノール樹脂、ナフトール樹脂、ナフトールノボラック樹脂、多官能ナフトール樹脂、アントラセン型フェノール樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、ポリオール型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、重合性不飽和炭化水素基含有フェノール樹脂及び水酸基含有シリコーン樹脂類等が挙げられるが、特に制限されるものではない。これらのフェノール樹脂は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
フェノール樹脂の含有量は、特に制限されず、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.01〜40質量部である。
<オキセタン樹脂>
オキセタン樹脂としては、一般に公知のものを使用できる。例えば、オキセタン、2−メチルオキセタン、2,2−ジメチルオキセタン、3−メチルオキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等のアルキルオキセタン、3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン、3,3−ジ(トリフルオロメチル)パーフルオキセタン、2−クロロメチルオキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、ビフェニル型オキセタン、OXT−101(東亞合成製、商品名)、OXT−121(東亞合成製、商品名)等が挙げられる、特に制限されるものではない。これらは、一種又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
オキセタン樹脂の含有量は、特に制限されず、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.01〜40質量部である。
<ベンゾオキサジン化合物>
ベンゾオキサジン化合物としては、1分子中に2個以上のジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物であれば、一般に公知のものを用いることができる。例えば、ビスフェノールA型ベンゾオキサジンBA−BXZ(小西化学製、商品名)ビスフェノールF型ベンゾオキサジンBF−BXZ(小西化学製、商品名)、ビスフェノールS型ベンゾオキサジンBS−BXZ(小西化学製、商品名)、フェノールフタレイン型ベンゾオキサジン等が挙げられるが、特に制限されるものではない。これらは、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
ベンゾオキサジン化合物の含有量は、特に制限されず、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.01〜40質量部である。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂としては、特に限定されず、一般に公知のものを使用できる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、キシレンノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、グリシジルアミン、ブタジエン等の二重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコーン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物、及びこれらのハロゲン化物が挙げられる。
ナフタレン型エポキシ樹脂としては、下記式(12)で表される樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、市販品を利用することができ、DIC(株)社製HP−4710(商品名)が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
エポキシ樹脂の含有量は、特に制限されないが、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.01〜40質量部である。
<その他の化合物>
その他の化合物としては、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン類、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、ビスアリルナジイミド等が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
その他の化合物の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.01〜40質量部である。
<有機溶剤>
本実施形態の樹脂組成物には、必要に応じて溶剤を含有していてもよい。例えば、有機溶剤を用いると、樹脂組成物の調製時における粘度を調整することができる。溶剤の種類は、樹脂組成物中の樹脂の一部又は全部を溶解可能なものであれば、特に限定されない。その具体例としては、特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブ等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;プロピレングリコールモノメチルエーテル及びそのアセテートが挙げられる。
これら有機溶剤は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
<その他の成分>
本実施形態の樹脂組成物には、本実施形態の特性が損なわれない範囲において、これまでに挙げられていない熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びそのオリゴマー、エラストマー類等の種々の高分子化合物;これまでに挙げられていない難燃性の化合物;添加剤等の併用も可能である。これらは一般に使用されているものであれば、特に限定されるものではない。例えば、難燃性の化合物では、メラミンやベンゾグアナミン等の窒素含有化合物、オキサジン環含有化合物、及びリン系化合物のホスフェート化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等が挙げられる。添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、表面調整剤、光沢剤、重合禁止剤、熱硬化促進剤等が挙げられる。これらの成分は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
本実施形態の樹脂組成物において、その他の成分の含有量は、特に限定されないが、通常、樹脂組成物100質量部に対して、それぞれ0.1〜10質量部である。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物は、前記一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)、前記光硬化開始剤(B)と、必要に応じて、一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)以外のマレイミド化合物(C)、充填材(D)及びその他の樹脂、その他の化合物、添加剤等を適宜混合することにより調製される。本実施形態の樹脂組成物は、後述する本実施形態の樹脂シートを作製する際のワニスとして、好適に使用することができる。
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、前記した各成分を順次溶剤に配合し、十分に攪拌する方法が挙げられる。
樹脂組成物の製造時には、必要に応じて各成分を均一に溶解又は分散させるための公知の処理(攪拌、混合、混練処理等)を行うことができる。具体的には、適切な攪拌能力を有する攪拌機を付設した攪拌槽を用いて攪拌分散処理を行うことにより、樹脂組成物に対する充填材の分散性を向上させることができる。前記の攪拌、混合、混練処理は、例えば、超音波ホモジナイザー等の分散を目的とした攪拌装置、三本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等の混合を目的とした装置、又は、公転又は自転型の混合装置等の公知の装置を用いて適宜行うことができる。また、本実施形態の樹脂組成物の調製時においては、必要に応じて有機溶剤を使用することができる。有機溶剤の種類は、樹脂組成物中の樹脂を溶解可能なものであれば、特に限定されず、その具体例は、前記したとおりである。
<用途>
本実施形態の樹脂組成物は、絶縁性の樹脂組成物が必要とされる用途に使用することができ、特に限定されないが、感光性フィルム、支持体付き感光性フィルム、プリプレグ等の絶縁樹脂シート、回路基板(積層板用途、多層プリント配線板用途等)、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等の用途に使用することができる。なかでも、多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物やソルダーレジストとして好適に使用することができる。
<樹脂シート>
本実施形態の樹脂シートは、支持体と、前記支持体の表面に配され、本実施形態の樹脂組成物を含む樹脂層とを備える、樹脂組成物を支持体の片面又は両面に塗布した支持体付き樹脂シートである。樹脂シートは、樹脂組成物を支持体上に塗布、及び乾燥して製造することができる。
本実施形態の樹脂シートにおいて使用される支持体は、特に限定されないが、公知のものを使用することができ、樹脂フィルムであることが好ましい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、トリアセチルアセテートフィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。その中でもPETフィルムが好ましい。
前記樹脂フィルムは、樹脂層からの剥離を容易にするため、剥離剤を表面に塗布してあるものが好適に使用できる。樹脂フィルムの厚さは、5〜100μmの範囲であることが好ましく、10〜50μmの範囲であることがより好ましい。この厚さが5μm未満では、現像前に行う支持体剥離の際に支持体が破れやすくなる傾向があり、厚さが100μmを超えると、支持体上から露光する際の解像度が低下する傾向がある。
また、露光時の光の散乱を低減するため、樹脂フィルムは透明性に優れるものが好ましい。
さらに、本実施形態における樹脂シートにおいて、その樹脂層は、保護フィルムで保護されていてもよい。
樹脂層側を保護フィルムで保護することにより、樹脂層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。保護フィルムとしては前記の樹脂フィルムと同様の材料により構成されたフィルムを用いることができる。保護フィルムの厚さは特に限定されないが、1〜50μmの範囲であることが好ましく、5〜40μmの範囲であることがより好ましい。厚さが1μm未満では、保護フィルムの取り扱い性が低下する傾向があり、50μmを超えると廉価性に劣る傾向がある。なお、保護フィルムは、樹脂層と支持体との接着力に対して、樹脂層と保護フィルムとの接着力の方が小さいものが好ましい。
本実施形態の樹脂シートの製造方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態の樹脂組成物をPETフィルム等の支持体に塗布して有機溶剤を乾燥により除去することにより、樹脂シートを製造する方法等が挙げられる。
前記塗布は、例えば、ロールコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ダイコーター、バーコーター、リップコーター、ナイフコーター、スクイズコーター等を用いた公知の方法で行うことができる。前記乾燥は、例えば、60〜200℃の乾燥機中で、1〜60分加熱させる方法等により行うことができる。
樹脂層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する観点から、樹脂層の総質量に対して5質量%以下とすることが好ましい。樹脂層の厚さは、取り扱い性を向上させるという観点から、1〜50μmとすることが好ましい。
本実施形態の樹脂シートは、多層プリント配線板の絶縁層として使用することができる。
<多層プリント配線板>
本実施形態の多層プリント配線板は、本実施形態の樹脂組成物を含む絶縁層を備え、例えば、前記の樹脂シートを1枚以上重ねて硬化して得ることもできる。具体的には以下の方法により製造することができる。
(ラミネート工程)
本実施形態の樹脂シートの樹脂層側を、真空ラミネーターを用いて回路基板の片面又は両面にラミネートする。回路基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、セラミック基板、シリコン基板、半導体封止樹脂基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板とは、前記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された基板をいう。また、導体層と絶縁層とを交互に積層してなる多層プリント配線板において、プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっている基板も、ここでいう回路基板に含まれる。なお、導体層表面には、黒化処理、銅エッチング等により予め粗化処理が施されていてもよい。ラミネート工程において、樹脂シートが保護フィルムを有している場合には前記保護フィルムを剥離除去した後、必要に応じて樹脂シート及び回路基板をプレヒートし、樹脂層を加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。本実施形態の樹脂シートにおいては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。
ラミネート工程の条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは50〜140℃とし、圧着圧力を好ましくは1〜15kgf/cm2、圧着時間を好ましくは5〜300秒間とし、空気圧を20mmHg以下とする減圧下でラミネートするのが好ましい。また、ラミネート工程は、バッチ式であってもロールを用いる連続式であってもよい。真空ラミネート法は、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニッコー・マテリアルズ(株)製2ステージビルドアップラミネーター等を挙げることができる。
(露光工程)
ラミネート工程により、回路基板上に樹脂シートが設けられた後、樹脂層の所定部分に光源として波長405nm(h線)を含む活性エネルギー線を照射し、照射部の樹脂層を硬化させる露光工程を行う。照射は、マスクパターンを通してもよいし、直接照射する直接描画法を用いてもよい。
波長405nm(h線)を含む活性エネルギー線の照射量はおおむね10〜10,000mJ/cm2である。マスクパターンを通す露光方法にはマスクパターンを多層プリント配線板に密着させて行う接触露光法と、密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法とがあるが、どちらを用いてもかまわない。また、樹脂層上に支持体が存在している場合は、支持体上から露光してもよいし、支持体を剥離後に露光してもよい。
(現像工程)
露光工程後、樹脂層上に支持体が存在している場合にはその支持体を除去した後、ウエット現像で、光硬化されていない部分(未露光部)を除去して現像することにより、絶縁層のパターンを形成することができる。
前記ウエット現像の場合、現像液としては、未露光部分を選択的に溶出するものであれば、特に限定されるものではないが、有機溶剤等の現像液が用いられる。本実施形態においては、特に有機溶剤による現像工程が好ましい。これらの現像液は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、現像方法としては、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法で行うことができる。
本実施形態のパターン形成においては、必要に応じて、前記した2種類以上の現像方法を併用して用いてもよい。現像の方式には、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、高圧スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等があり、高圧スプレー方式が解像度向上のためには好適である。スプレー方式を採用する場合のスプレー圧としては、0.02〜0.5MPaが好ましい。
(ポストベーク工程)
前記現像工程終了後、ポストベーク工程を行い、絶縁層(硬化物)を形成する。ポストベーク工程としては、高圧水銀ランプによる紫外線照射工程やクリーンオーブンを用いた加熱工程等が挙げられ、これらを併用することも可能である。紫外線を照射させる場合は必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば0.05〜10J/cm2程度の照射量で照射を行うことができる。また加熱の条件は、必要に応じて適宜選択できるが、好ましくは150〜220℃で20〜180分間の範囲、より好ましくは160〜200℃で30〜150分間の範囲で選択される。
(導体層形成工程)
次に、乾式めっきにより絶縁層表面に導体層を形成する。乾式めっきとしては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法を使用することができる。蒸着法(真空蒸着法)は、例えば、支持体を真空容器内に入れ、金属を加熱蒸発させることにより絶縁層上に金属膜形成を行うことができる。スパッタリング法も、例えば、支持体を真空容器内に入れ、アルゴン等の不活性ガスを導入し、直流電圧を印加して、イオン化した不活性ガスをターゲット金属に衝突させ、叩き出された金属により絶縁層上に金属膜形成を行うことができる。
次いで、無電解めっきや電解めっきなどによって導体層を形成する。その後のパターン形成の方法として、例えば、サブトラクティブ法、セミアディティブ法等を用いることができる。
<半導体装置>
本実施形態の半導体装置は、本実施形態の樹脂組成物を含む絶縁層を備え、具体的には以下の方法により製造することができる。本実施形態の多層プリント配線板の導通箇所に、半導体チップを実装することにより半導体装置を製造することができる。ここで、導通箇所とは、多層プリント配線板における電気信号を伝える箇所のことであって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
本実施形態の半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえずれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、等が挙げられる。
また、半導体チップや半導体チップを搭載してある基板に本実施形態の樹脂組成物を含む絶縁層を形成することによっても、半導体装置を製造することができる。半導体チップを搭載してある基板の形状はウェハ状でもパネル状でも良い。形成後は前述の多層プリント配線板と同様の方法を用いて製造することができる。
〔波長405nm(h線)におけるマレイミド化合物の透過率及び光硬化開始剤の吸光度〕
一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)としてDesigner Molecules Inc.製製BMI−689(商品名)を用いて、このBMI−689(商品名、官能基当量:346g/eq.)が0.01質量%で含まれるクロロホルム溶液を調製し、UV-vis測定装置(日立ハイテクノロジーズ製日立分光光度計 U−4100)を用いて、波長405nmにおける透過率の測定を行った。なお、Designer Molecules Inc.製BMI−689(商品名)は、下記式(13)で表される。
同様に、マレイミド化合物(大和化成工業(株)社製BMI2300(商品名))を用いて、波長405nmにおける透過率の測定を行った。
また、同様に、光硬化開始剤(B)として2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(IGM Resins社製Omnirad(登録商標)819)が0.01質量%で含まれるクロロホルム溶液について、波長405nmにおける吸光度の測定を行った。
同様に、光硬化開始剤として、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(IGM Resins社製Omnirad(登録商標)369)及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(IGM Resins社製Omnirad(登録商標)907)を用いて、波長405nmにおける吸光度の測定を行った。
結果を表1に示す。
〔実施例1〕
(樹脂組成物及び樹脂シートの作成)
一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)(BMI−689(商品名))を90質量部と、光硬化開始剤(B)として2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(Omnirad(登録商標)819)を10質量部とを混合し、超音波ホモジナイザーで攪拌してワニス(樹脂組成物の溶液)を得た。このワニスを厚さ38μmのPETフィルム(ユニピール(登録商標)TR1−38、ユニチカ(株)製、商品名)上に自動塗工装置(PI−1210、テスター産業(株)製)を用いて塗布し、80℃で7分間加熱乾燥して、PETフィルムを支持体とし樹脂層の厚さが30μmである樹脂シートを得た。
(内層回路基板の作成)
内層回路を形成したガラス布基材BT樹脂両面銅張積層板(銅箔厚さ18μm、厚み0.2mm、三菱ガス化学(株)製CCL(登録商標)−HL832NS)の両面をメック(株)製CZ8100にて銅表面の粗化処理を行い、内層回路基板を得た。
(評価用積層体の作製)
前記樹脂シートの樹脂面を内層回路基板上に配置し、真空ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製)を用いて、30秒間真空引き(5.0MPa以下)を行った後、圧力10kgf/cm2、温度70℃で30秒間の積層成形を行った。さらに圧力10kgf/cm2、温度70℃で60秒間の積層成形を行うことで内層回路基板と樹脂層と支持体が積層された積層体を得た。
〔実施例2〕
マレイミド化合物(A)(BMI−689(商品名))の配合量を90質量部の代わりに70質量部として、光硬化開始剤(B)(Irgacure(登録商標)819)の配合量を10質量部の代わりに30質量部とした以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート得た。これを用いて、実施例1と同様にして、評価用積層体及び評価用硬化物を得た。
〔比較例1〕
マレイミド化合物(A)(BMI−689(商品名))の代わりに、マレイミド化合物(BMI2300(商品名))を90質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート得た。これを用いて、実施例1と同様にして、評価用積層体を得た。
〔比較例2〕
光硬化開始剤として、Omnirad(登録商標)819の代わりに、Omnirad(登録商標)369を10質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート得た。これを用いて、実施例1と同様にして、評価用積層体を得た。
〔比較例3〕
光硬化開始剤として、Omnirad(登録商標)819の代わりに、Omnirad(登録商標)907を10質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート得た。これを用いて、実施例1と同様にして、評価用積層体を得た。
〔比較例4〕
TrisP−PA(エポキシアクリレート化合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)溶液(日本化薬(株)社製KAYARAD(登録商標)ZCR−6007H、不揮発分65質量%、酸価:70mgKOH/g)を116.9質量部(不揮発分換算で76質量部)と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)社製KAYARAD(登録商標)DPHA)16質量部と、光硬化開始剤(B)としてOmnirad(登録商標)819を8質量部とを混合し、超音波ホモジナイザーで攪拌してワニス(樹脂組成物の溶液)を得た。このワニスを厚さ38μmのPETフィルム(ユニチカ(株)製ユニピール(登録商標)TR1−38(商品名))上に自動塗工装置(PI−1210、テスター産業(株)製)を用いて塗布し、80℃で7分間加熱乾燥して、PETフィルムを支持体とし樹脂層の厚さが30μmである樹脂シートを得た。これを用いて、実施例1と同様にして、評価用積層体及び評価用硬化物を得た。
〔比較例5〕
ビスフェノールF型エポキシアクリレート(日本化薬(株)社製KAYARAD(登録商標)ZFR−1553H、不揮発分68質量%、酸価:70mgKOH/g)を105.9質量部(不揮発分換算で72質量部)と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)社製KAYARAD(登録商標)DPHA)19質量部と、光硬化開始剤(B)としてOmnirad(登録商標)819を9質量部とを混合し、超音波ホモジナイザーで攪拌してワニス(樹脂組成物の溶液)を得た。このワニスを厚さ38μmのPETフィルム(ユニチカ(株)製ユニピール(登録商標)TR1−38(商品名))上に自動塗工装置(PI−1210、テスター産業(株)製)を用いて塗布し、80℃で7分間加熱乾燥して、PETフィルムを支持体とし樹脂層の厚さが30μmである樹脂シートを得た。これを用いて、実施例1と同様にして、評価用積層体及び評価用硬化物を得た。
〔物性測定評価〕
評価用積層体及び評価用硬化物を、以下の方法により測定し、評価した。それらの結果を表1に示す。
<光硬化性>
波長405nm(h線)を含む活性エネルギー線を照射可能な光源(ユーヴィックス株式会社製Omnicure(登録商標) S2000(商品名))を付属したフォトDSC(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製DSC−2500(商標名))を用い、得られた評価用積層体に照度30mW、露光時間3.5分間照射して、横軸が時間(sec)、縦軸がヒートフロー(mW)のグラフを得た。このグラフの終点から、水平に線を引いた際のピーク面積をエンタルピー(J/g)とした。硬化性は、エンタルピーで評価し、1(J/g)以上を「〇」、1(J/g)未満を「×」とした。
<耐熱性(ガラス転移温度)>
光硬化性試験にて硬化した樹脂シートに対して、更に、180℃、120分間加熱処理するポストベーク工程を施した後、支持体をはがし取って評価用硬化物とした。
この評価用硬化物をDMA装置(TAインスツルメント社製動的粘弾性測定装置DMAQ800(商品名))を用いて10℃/分で昇温し、LossModulusのピーク位置をガラス転移温度(Tg、℃)とした。
<熱安定性>
示差熱重量同時測定装置(TG−DTA6200(商品名))にて、測定開始温度(20℃)、昇温速度(10℃/min)、目標温度(500℃)にて、光硬化性試験にて硬化した樹脂を測定し、その結果、評価用硬化物の重量減少率が5%となった温度を熱安定性(℃)とした。
表2から明らかなように、本実施形態の樹脂組成物は、波長405nm(h線)を含む活性エネルギー線で露光した場合に感光し、光硬化が可能である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)と、
    波長405nm(h線)の吸光度が0.1以上である光硬化開始剤(B)と、
    を含有する樹脂組成物。
    (式(1)中、Raは、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を表し、Rbは、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基を表し、naの数は1以上であり、nbの数は1以上である。)。
  2. 前記マレイミド化合物(A)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)及び前記光硬化開始剤(B)の合計100質量部に対して、50〜99.9質量部である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記光重合開始剤(B)が、下記一般式(2)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
    (式(2)中、複数のR1は、各々独立に下記一般式(3)で表される置換基又はフェニル基を表す。)。
    (式(3)中、複数のR2は、各々独立に水素原子又はメチル基を表す。)。
  4. 支持体と、
    前記支持体の片面又は両面に配された樹脂層と、を有し、
    前記樹脂層が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、
    樹脂シート。
  5. 前記樹脂層の厚さが1〜50μmである、請求項4に記載の樹脂シート。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物を有する、多層プリント配線板。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物を有する、半導体装置。
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