JP7240586B2 - 樹脂組成物、樹脂シート、多層プリント配線板及び半導体装置 - Google Patents
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Description
たとえば、特許文献1には、ビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させた後、酸無水物を反応させて得られるカルボキシル変性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂と、ビフェニル型エポキシ樹脂と、光硬化開始剤と、希釈剤とを含む感光性熱硬化型樹脂組成物が記載されている。
[3]前記光硬化開始剤(B)が、下記一般式(2)で表される化合物である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[5]前記樹脂層の厚さが1~50μmである、[4]に記載の樹脂シート。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物を有する、多層プリント配線板。
[7][1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物を有する、半導体装置。
本実施形態に係るマレイミド化合物(A)(成分(A)とも称す)は、前記一般式(1)の構造を有する。
通常、マレイミド化合物は光透過性が悪いため、樹脂組成物がマレイミド化合物を含むと、樹脂組成物中に分散している光硬化開始剤まで十分に光が届かず、光硬化開始剤がラジカルを発生し難い。そのため、一般的にマレイミドの光ラジカル反応は進行し難く、仮にマレイミド単体のラジカル重合や二量化反応が進行しても、その反応性は非常に低い。しかし、本実施形態に係るマレイミド化合物(A)は、マレイミド化合物(A)が0.01質量%で含まれるクロロホルム溶液を調製し、波長405nm(h線)の光線を用いてこのクロロホルム溶液の光線透過率を測定した場合に、透過率が1%以上と、非常に優れた光透過性を示すので、マレイミドの光ラジカル反応が効率的に起こる傾向にある。
光透過率は、光硬化性、耐熱性及び熱安定性により優れる樹脂組成物を得ることができることから、2%以上であることが好ましく、4%以上であることがより好ましい。
そして、本実施形態の樹脂組成物を含んで得られる硬化物は、光硬化性、耐熱性及び熱安定性に優れるため、保護膜、及び絶縁層を好適に形成することができる。
これらは、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
本実施形態に用いる光硬化開始剤(B)(成分(B)とも称す)は、波長405nm(h線)の吸光度が0.1以上であれば特に限定されず、一般に光硬化性樹脂組成物で用いられる分野で公知のものを使用することができる。
ここで、波長405nm(h線)の吸光度が0.1以上であるとは、成分(B)が0.01質量%で含まれるクロロホルム溶液を調製し、波長405nm(h線)の光線を用いてこのクロロホルム溶液の吸光度を測定した場合に、吸光度が0.1以上であることを意味する。
前記一般式(3)中、複数のR2は、各々独立に水素原子又はメチル基を表す。複数のR2のうち、1つ以上がメチル基であることが好ましく、全てメチル基であることがより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物においては、波長405nm(h線)を含む活性エネルギー線で露光した場合に、本実施形態の樹脂組成物が感光して、光硬化する限り、一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)以外のマレイミド化合物(C)(成分(C)とも称す)を用いることができる。以下にマレイミド化合物(C)について述べる。
本実施形態の樹脂組成物には、塗膜性や耐熱性等の諸特性を向上させるために、充填材(D)(成分(D)とも称す)を併用することも可能である。本実施形態に用いる充填材(D)は、絶縁性を有し、波長405nm(h線)に対する透過性を阻害しないものであれば、特に限定されないが、例えば、シリカ(例えば、天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ、中空シリカ等)、アルミニウム化合物(例えば、ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ等)、マグネシウム化合物(例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等)、カルシウム化合物(例えば、炭酸カルシウム等)、モリブデン化合物(例えば、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛等)、バリウム化合物(例えば、硫酸バリウム、ケイ酸バリウム等)、タルク(例えば、天然タルク、焼成タルク等)、マイカ(雲母)、ガラス(例えば、短繊維状ガラス、球状ガラス、微粉末ガラス(例えば、Eガラス、Tガラス、Dガラス等)等)、シリコーンパウダー、フッ素樹脂系充填材、ウレタン樹脂系充填材、(メタ)アクリル樹脂系充填材、ポリエチレン系充填材、スチレン・ブタジエンゴム及びシリコーンゴム等が挙げられる。
これらの充填材(D)は、後述のシランカップリング剤等で表面処理されていてもよい。
これらの充填材(D)は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
本実施形態の樹脂組成物には、充填材の分散性、ポリマー及び/又は樹脂と、充填材との接着強度を向上させるために、シランカップリング剤及び/又は湿潤分散剤を併用することも可能である。
これらのシランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されているシランカップリング剤であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン系;γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系;γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン系;N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等のカチオニックシラン系;フェニルシラン系のシランカップリング剤が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
湿潤分散剤としては、塗料用に使用されている分散安定剤であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、例えば、ビッグケミー・ジャパン(株)製のDISPERBYK(登録商標)-110、111、118、180、161、BYK(登録商標)-W996、W9010、W903等の湿潤分散剤が挙げられる。これらの湿潤分散剤は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
本実施形態の樹脂組成物において、湿潤分散剤の含有量は、特に限定されないが、通常、樹脂組成物100質量部に対して、0.1~10質量部である。
本実施形態では、波長405nm(h線)を含む活性エネルギー線で露光した場合に、本実施形態の樹脂組成物が感光して、光硬化する限り、硬化した硬化物の難燃性、耐熱性及び熱膨張特性等の特性に応じて、シアン酸エステル化合物、フェノール樹脂、オキセタン樹脂、ベンゾオキサジン化合物、エポキシ樹脂及びその他の化合物等、様々な種類の化合物及び樹脂を用いることができる。例えば、耐熱性を求められる場合には、シアン酸エステル化合物、ベンゾオキサジン化合物等が挙げられ、他にフェノール樹脂、オキセタン樹脂等も用いることができる。
シアン酸エステル化合物としては、シアナト基(シアン酸エステル基)が少なくとも1個置換された芳香族部分を分子内に有する樹脂であれば特に限定されるものではない。
また、一般式(9)におけるアルキル基及びRaにおけるアリール基中の水素原子は、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシル基、又はシアノ基等で置換されていてもよい。
アリール基の具体例としては、フェニル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、フェノキシフェニル基、エチルフェニル基、o-,m-又はp-フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロフェニル基、メトキシフェニル基、及びo-,m-又はp-トリル基等が挙げられる。更にアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、及びtert-ブトキシ基等が挙げられる。
一般式(9)のXにおける窒素数1~10の2価の有機基としては、イミノ基、ポリイミド基等が挙げられる。
一般式(10)のAr2及び一般式(11)のAr3の具体例としては、一般式(10)に示す2個の炭素原子、又は一般式(11)に示す2個の酸素原子が、1,4位又は1,3位に結合するベンゼンテトライル基、前記2個の炭素原子又は2個の酸素原子が4,4'位、2,4'位、2,2'位、2,3'位、3,3'位、又は3,4'位に結合するビフェニルテトライル基、及び、前記2個の炭素原子又は2個の酸素原子が、2,6位、1,5位、1,6位、1,8位、1,3位、1,4位、又は2,7位に結合するナフタレンテトライル基が挙げられる。
一般式(10)のRb、Rc、Rd、Re、Rf及びRg、並びに一般式(11)のRi、Rjにおけるアルキル基及びアリール基は、前記一般式(9)におけるものと同義である。
フェノール樹脂としては、1分子中に2個以上のヒドロキシル基を有するフェノール樹脂であれば、一般に公知のものを使用できる。例えば、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールE型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂、ビスフェノールS型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック型フェノール樹脂、グリシジルエステル型フェノール樹脂、アラルキルノボラック型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、多官能フェノール樹脂、ナフトール樹脂、ナフトールノボラック樹脂、多官能ナフトール樹脂、アントラセン型フェノール樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、ポリオール型フェノール樹脂、リン含有フェノール樹脂、重合性不飽和炭化水素基含有フェノール樹脂及び水酸基含有シリコーン樹脂類等が挙げられるが、特に制限されるものではない。これらのフェノール樹脂は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
オキセタン樹脂としては、一般に公知のものを使用できる。例えば、オキセタン、2-メチルオキセタン、2,2-ジメチルオキセタン、3-メチルオキセタン、3,3-ジメチルオキセタン等のアルキルオキセタン、3-メチル-3-メトキシメチルオキセタン、3,3-ジ(トリフルオロメチル)パーフルオキセタン、2-クロロメチルオキセタン、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン、ビフェニル型オキセタン、OXT-101(東亞合成製、商品名)、OXT-121(東亞合成製、商品名)等が挙げられる、特に制限されるものではない。これらは、一種又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
ベンゾオキサジン化合物としては、1分子中に2個以上のジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物であれば、一般に公知のものを用いることができる。例えば、ビスフェノールA型ベンゾオキサジンBA-BXZ(小西化学製、商品名)ビスフェノールF型ベンゾオキサジンBF-BXZ(小西化学製、商品名)、ビスフェノールS型ベンゾオキサジンBS-BXZ(小西化学製、商品名)、フェノールフタレイン型ベンゾオキサジン等が挙げられるが、特に制限されるものではない。これらは、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
エポキシ樹脂としては、特に限定されず、一般に公知のものを使用できる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、キシレンノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性ノボラック型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、グリシジルアミン、ブタジエン等の二重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコーン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物、及びこれらのハロゲン化物が挙げられる。
その他の化合物としては、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン類、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、ビスアリルナジイミド等が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
その他の化合物の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、好ましくは0.01~40質量部である。
本実施形態の樹脂組成物には、必要に応じて溶剤を含有していてもよい。例えば、有機溶剤を用いると、樹脂組成物の調製時における粘度を調整することができる。溶剤の種類は、樹脂組成物中の樹脂の一部又は全部を溶解可能なものであれば、特に限定されない。その具体例としては、特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブ等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;プロピレングリコールモノメチルエーテル及びそのアセテートが挙げられる。
これら有機溶剤は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
本実施形態の樹脂組成物には、本実施形態の特性が損なわれない範囲において、これまでに挙げられていない熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びそのオリゴマー、エラストマー類等の種々の高分子化合物;これまでに挙げられていない難燃性の化合物;添加剤等の併用も可能である。これらは一般に使用されているものであれば、特に限定されるものではない。例えば、難燃性の化合物では、メラミンやベンゾグアナミン等の窒素含有化合物、オキサジン環含有化合物、及びリン系化合物のホスフェート化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等が挙げられる。添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、表面調整剤、光沢剤、重合禁止剤、熱硬化促進剤等が挙げられる。これらの成分は、1種単独又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
本実施形態の樹脂組成物において、その他の成分の含有量は、特に限定されないが、通常、樹脂組成物100質量部に対して、それぞれ0.1~10質量部である。
本実施形態の樹脂組成物は、前記一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)、前記光硬化開始剤(B)と、必要に応じて、一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)以外のマレイミド化合物(C)、充填材(D)及びその他の樹脂、その他の化合物、添加剤等を適宜混合することにより調製される。本実施形態の樹脂組成物は、後述する本実施形態の樹脂シートを作製する際のワニスとして、好適に使用することができる。
本実施形態の樹脂組成物は、絶縁性の樹脂組成物が必要とされる用途に使用することができ、特に限定されないが、感光性フィルム、支持体付き感光性フィルム、プリプレグ等の絶縁樹脂シート、回路基板(積層板用途、多層プリント配線板用途等)、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等の用途に使用することができる。なかでも、多層プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物やソルダーレジストとして好適に使用することができる。
本実施形態の樹脂シートは、支持体と、前記支持体の表面に配され、本実施形態の樹脂組成物を含む樹脂層とを備える、樹脂組成物を支持体の片面又は両面に塗布した支持体付き樹脂シートである。樹脂シートは、樹脂組成物を支持体上に塗布、及び乾燥して製造することができる。
樹脂層側を保護フィルムで保護することにより、樹脂層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。保護フィルムとしては前記の樹脂フィルムと同様の材料により構成されたフィルムを用いることができる。保護フィルムの厚さは特に限定されないが、1~50μmの範囲であることが好ましく、5~40μmの範囲であることがより好ましい。厚さが1μm未満では、保護フィルムの取り扱い性が低下する傾向があり、50μmを超えると廉価性に劣る傾向がある。なお、保護フィルムは、樹脂層と支持体との接着力に対して、樹脂層と保護フィルムとの接着力の方が小さいものが好ましい。
前記塗布は、例えば、ロールコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ダイコーター、バーコーター、リップコーター、ナイフコーター、スクイズコーター等を用いた公知の方法で行うことができる。前記乾燥は、例えば、60~200℃の乾燥機中で、1~60分加熱させる方法等により行うことができる。
本実施形態の多層プリント配線板は、本実施形態の樹脂組成物を含む絶縁層を備え、例えば、前記の樹脂シートを1枚以上重ねて硬化して得ることもできる。具体的には以下の方法により製造することができる。
本実施形態の樹脂シートの樹脂層側を、真空ラミネーターを用いて回路基板の片面又は両面にラミネートする。回路基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、セラミック基板、シリコン基板、半導体封止樹脂基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板とは、前記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された基板をいう。また、導体層と絶縁層とを交互に積層してなる多層プリント配線板において、プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっている基板も、ここでいう回路基板に含まれる。なお、導体層表面には、黒化処理、銅エッチング等により予め粗化処理が施されていてもよい。ラミネート工程において、樹脂シートが保護フィルムを有している場合には前記保護フィルムを剥離除去した後、必要に応じて樹脂シート及び回路基板をプレヒートし、樹脂層を加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。本実施形態の樹脂シートにおいては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。
ラミネート工程により、回路基板上に樹脂シートが設けられた後、樹脂層の所定部分に光源として波長405nm(h線)を含む活性エネルギー線を照射し、照射部の樹脂層を硬化させる露光工程を行う。照射は、マスクパターンを通してもよいし、直接照射する直接描画法を用いてもよい。
露光工程後、樹脂層上に支持体が存在している場合にはその支持体を除去した後、ウエット現像で、光硬化されていない部分(未露光部)を除去して現像することにより、絶縁層のパターンを形成することができる。
前記現像工程終了後、ポストベーク工程を行い、絶縁層(硬化物)を形成する。ポストベーク工程としては、高圧水銀ランプによる紫外線照射工程やクリーンオーブンを用いた加熱工程等が挙げられ、これらを併用することも可能である。紫外線を照射させる場合は必要に応じてその照射量を調整することができ、例えば0.05~10J/cm2程度の照射量で照射を行うことができる。また加熱の条件は、必要に応じて適宜選択できるが、好ましくは150~220℃で20~180分間の範囲、より好ましくは160~200℃で30~150分間の範囲で選択される。
次に、乾式めっきにより絶縁層表面に導体層を形成する。乾式めっきとしては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法を使用することができる。蒸着法(真空蒸着法)は、例えば、支持体を真空容器内に入れ、金属を加熱蒸発させることにより絶縁層上に金属膜形成を行うことができる。スパッタリング法も、例えば、支持体を真空容器内に入れ、アルゴン等の不活性ガスを導入し、直流電圧を印加して、イオン化した不活性ガスをターゲット金属に衝突させ、叩き出された金属により絶縁層上に金属膜形成を行うことができる。
本実施形態の半導体装置は、本実施形態の樹脂組成物を含む絶縁層を備え、具体的には以下の方法により製造することができる。本実施形態の多層プリント配線板の導通箇所に、半導体チップを実装することにより半導体装置を製造することができる。ここで、導通箇所とは、多層プリント配線板における電気信号を伝える箇所のことであって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)としてケイ・アイ化成株式会社製BMI-1000P(商品名)(式(1)中のnは13.6(平均値)、質量平均分子量(Mw)は1338)を用いて、このBMI-1000P(商品名)が0.01質量%で含まれるクロロホルム溶液を調製し、UV-vis測定装置(日立ハイテクノロジーズ製日立分光光度計 U-4100)を用いて、波長405nmにおける透過率の測定を行った。
同様に、一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)として、ケイ・アイ化成株式会社製BMI-650P(商品名)(式(1)中のnは8.8(平均値)、質量平均分子量(Mw)は1065)及びケイ・アイ化成株式会社製BMI-250P(商品名)(式(1)中のnは3~8(平均値)、質量平均分子量(Mw)は500~1500)を用いて、波長405nmにおける透過率の測定を行った。
同様に、マレイミド化合物(大和化成工業(株)社製BMI2300(商品名))を用いて、波長405nmにおける透過率の測定を行った。
同様に、光硬化開始剤として、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(IGM Resins社製Omnirad(登録商標)369)及び2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(IGM Resins社製Omnirad(登録商標)907)を用いて、波長405nmにおける吸光度の測定を行った。
結果を表1に示す。
(樹脂組成物及び樹脂シートの作成)
一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)(BMI-1000P(商品名))を90質量部と、光硬化開始剤(B)として2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(Omnirad(登録商標)819)を10質量部とを混合し、超音波ホモジナイザーで攪拌してワニス(樹脂組成物の溶液)を得た。このワニスを厚さ38μmのPETフィルム(ユニピール(登録商標)TR1-38、ユニチカ(株)製、商品名)上に自動塗工装置(PI-1210、テスター産業(株)製)を用いて塗布し、80℃で7分間加熱乾燥して、PETフィルムを支持体とし樹脂層の厚さが30μmである樹脂シートを得た。
内層回路を形成したガラス布基材BT樹脂両面銅張積層板(銅箔厚さ18μm、厚み0.2mm、三菱ガス化学(株)製CCL(登録商標)-HL832NS)の両面をメック(株)製CZ8100にて銅表面の粗化処理を行い、内層回路基板を得た。
前記樹脂シートの樹脂面を内層回路基板上に配置し、真空ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ(株)製)を用いて、30秒間真空引き(5.0MPa以下)を行った後、圧力10kgf/cm2、温度70℃で30秒間の積層成形を行った。さらに圧力10kgf/cm2、温度70℃で60秒間の積層成形を行うことで内層回路基板と樹脂層と支持体が積層された積層体を得た。
マレイミド化合物(A)(BMI-1000P(商品名))の配合量を90質量部の代わりに70質量部として、光硬化開始剤(B)(Omnirad(登録商標)819)の配合量を10質量部の代わりに30質量部とした以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート得た。これを用いて、実施例1と同様にして、評価用積層体及び評価用硬化物を得た。
マレイミド化合物(A)として、BMI-1000P(商品名)の代わりに、BMI-650P(商品名)を90質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート得た。これを用いて、実施例1と同様にして、評価用積層体及び評価用硬化物を得た。
マレイミド化合物(A)として、BMI-1000P(商品名)の代わりに、BMI-250P(商品名)を90質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート得た。これを用いて、実施例1と同様にして、評価用積層体及び評価用硬化物を得た。
マレイミド化合物(A)(BMI-1000P(商品名))の代わりに、マレイミド化合物(BMI2300(商品名))を90質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート得た。これを用いて、実施例1と同様にして、評価用積層体を得た。
光硬化開始剤として、Omnirad(登録商標)819の代わりに、Omnirad(登録商標)369を10質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート得た。これを用いて、実施例1と同様にして、評価用積層体を得た。
光硬化開始剤として、Omnirad(登録商標)819の代わりに、Omnirad(登録商標)907を10質量部用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート得た。これを用いて、実施例1と同様にして、評価用積層体を得た。
TrisP-PA(エポキシアクリレート化合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)溶液(日本化薬(株)社製KAYARAD(登録商標)ZCR-6007H、不揮発分65質量%、酸価:70mgKOH/g)を116.9質量部(不揮発分換算で76質量部)と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)社製KAYARAD(登録商標)DPHA)16質量部と、光硬化開始剤(B)としてOmnirad(登録商標)819を8質量部とを混合し、超音波ホモジナイザーで攪拌してワニス(樹脂組成物の溶液)を得た。このワニスを厚さ38μmのPETフィルム(ユニチカ(株)製ユニピール(登録商標)TR1-38(商品名))上に自動塗工装置(PI-1210、テスター産業(株)製)を用いて塗布し、80℃で7分間加熱乾燥して、PETフィルムを支持体とし樹脂層の厚さが30μmである樹脂シートを得た。これを用いて、実施例1と同様にして、評価用積層体及び評価用硬化物を得た。
ビスフェノールF型エポキシアクリレート(日本化薬(株)社製KAYARAD(登録商標)ZFR-1553H、不揮発分68質量%、酸価:70mgKOH/g)を105.9質量部(不揮発分換算で72質量部)と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)社製KAYARAD(登録商標)DPHA)19質量部と、光硬化開始剤(B)としてOmnirad(登録商標)819を9質量部とを混合し、超音波ホモジナイザーで攪拌してワニス(樹脂組成物の溶液)を得た。このワニスを厚さ38μmのPETフィルム(ユニチカ(株)製ユニピール(登録商標)TR1-38(商品名))上に自動塗工装置(PI-1210、テスター産業(株)製)を用いて塗布し、80℃で7分間加熱乾燥して、PETフィルムを支持体とし樹脂層の厚さが30μmである樹脂シートを得た。これを用いて、実施例1と同様にして、評価用積層体及び評価用硬化物を得た。
評価用積層体及び評価用硬化物を、以下の方法により測定し、評価した。それらの結果を表1に示す。
波長405nm(h線)を含む活性エネルギー線を照射可能な光源(ユーヴィックス株式会社製Omnicure(登録商標) S2000(商品名))を付属したフォトDSC(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製DSC-2500(商標名))を用い、得られた評価用積層体に照度30mW、露光時間3.5分間照射して、横軸が時間(sec)、縦軸がヒートフロー(mW)のグラフを得た。このグラフの終点から、水平に線を引いた際のピーク面積をエンタルピー(J/g)とした。硬化性は、エンタルピーで評価し、1(J/g)以上を「〇」、1(J/g)未満を「×」とした。
光硬化性試験にて硬化した樹脂シートに対して、更に、180℃、120分間加熱処理するポストベーク工程を施した後、支持体をはがし取って評価用硬化物とした。
この評価用硬化物をDMA装置(TAインスツルメント社製動的粘弾性測定装置DMAQ800(商品名))を用いて10℃/分で昇温し、LossModulusのピーク位置をガラス転移温度(Tg、℃)とした。
示差熱重量同時測定装置(TG-DTA6200(商品名))にて、測定開始温度(20℃)、昇温速度(10℃/min)、目標温度(500℃)にて、光硬化性試験にて硬化した樹脂を測定し、その結果、評価用硬化物の重量減少率が5%となった温度を熱安定性(℃)とした。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)と、
光硬化開始剤(B)が0.01質量%で含まれるクロロホルム溶液を調製し、波長405nm(h線)の光線を用いてこのクロロホルム溶液の吸光度を測定した場合に、吸光度が0.1以上である前記光硬化開始剤(B)と、を含有し、
前記光硬化開始剤(B)が、下記一般式(2)で表される化合物であり、
前記マレイミド化合物(A)の含有量が、樹脂組成物中の樹脂固形分100質量部に対して、40~100質量部であり、
前記マレイミド化合物(A)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)及び前記光硬化開始剤(B)の合計100質量部に対して、50~99.9質量部であり、
前記光硬化開始剤(B)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)及び前記光硬化開始剤(B)の合計100質量部に対して、0.1~50質量部である、
樹脂組成物。
- 支持体と、
前記支持体の片面又は両面に配された樹脂層と、を有し、
前記樹脂層が、請求項1に記載の樹脂組成物を含む、
樹脂シート。 - 前記樹脂層の厚さが1~50μmである、請求項2に記載の樹脂シート。
- 請求項1に記載の樹脂組成物を有する、多層プリント配線板。
- 請求項1に記載の樹脂組成物を有する、半導体装置。
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