JP2020033464A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】柔軟性及び機械的強度を損なうことなく、耐熱老化性に優れたポリエステル系の熱可塑性エラストマー組成物を提供すること。【解決手段】熱可塑性ポリエステル系エラストマーAと、該熱可塑性ポリエステル系エラストマーA 100質量部に対して、ピペラジン系共重合体B 0.1〜50質量部、及び酸化防止剤C 0.1〜10質量部を含有してなる熱可塑性エラストマー組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、自動車部品、電子材料、家電、電気機器、医療用具、包装資材、文具・雑貨用品等の各種成形品に使用される熱可塑性エラストマー組成物に関する。
熱可塑性ポリエステル系エラストマーは、成形性に優れ、機械的強度が高く、耐油性の高い材料であり、自動車部品、電気・電子部品、繊維及びフィルム等に広く用いられている。しかし、その一方でポリマー主鎖にエステル結合を含むことから、加水分解を受けやすいことと共に、高温雰囲気で使用した場合に酸化劣化が起きやすく、比較的短時間で強度や伸びなどの性能が低下する、「熱老化」と呼ばれる現象が起きやすいことも知られており、実用上の課題となっている。
このような問題に対して、特許文献1には、ポリエーテルエステルブロック共重合体に、ポリアミド系樹脂と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤および/またはリン系酸化防止剤を併用することにより、熱安定性と成形品の外観とに優れた組成物が得られることが開示されている。
特開平2−173059号公報
熱可塑性ポリエステル系エラストマーが熱老化しやすいという課題に対して、特許文献1のようにポリアミド系樹脂と特定の酸化防止剤を組み合わせて用いる等、様々な安定剤が試みられているがその効果は十分ではなく、より効果の高い安定剤が求められる。
本発明の課題は、柔軟性及び機械的強度を損なうことなく、耐熱老化性に優れたポリエステル系の熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
本発明者らが前記課題に対し鋭意検討した結果、ピペラジン系共重合体を用いることにより、ポリエステル系熱可塑性エラストマー組成物の耐熱老化性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、熱可塑性ポリエステル系エラストマーAと、該熱可塑性ポリエステル系エラストマーA 100質量部に対して、ピペラジン系共重合体B 0.1〜50質量部、及び酸化防止剤C 0.1〜10質量部を含有してなる熱可塑性エラストマー組成物に関する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性及び機械的強度を損なうことなく、耐熱老化性に優れるという効果を奏するものである。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性ポリエステル系エラストマーA、ピペラジン系共重合体B、及び酸化防止剤Cを含有するものである。
熱可塑性ポリエステル系エラストマーを含む熱可塑性エラストマー組成物にポリアミド樹脂と酸化防止剤を配合することにより、耐熱老化性を向上させることは従来試みられているが、本発明は、ポリアミド樹脂のなかでも、ピペラジン系共重合体が耐熱老化性の向上に対してとりわけ高い効果を奏することを見出し、完成するに到ったものである。
熱可塑性ポリエステル系エラストマーAは、柔軟性及び成形性の観点から、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するものが好ましい。
熱可塑性ポリエステル系エラストマーのハードセグメントとしては、芳香族ポリエステルブロックが好ましい。
芳香族ポリエステルブロックは、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4-又は2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、そのアルキルエステル、及び無水物の1種又は2種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の炭素数2〜6のアルキレングリコールの1種又は2種以上との重縮合体である結晶性ポリエステルブロックであることが好ましい。
熱可塑性ポリエステル系エラストマーのソフトセグメントとしては、ポリエステル型ポリマーブロック、ポリエーテル型ポリマーブロック、ポリカーボネート型ポリマーブロック等が挙げられ、これらの中では、柔軟性の観点から、ポリエーテル型ポリマーブロックが好ましい。
ポリエステル型ポリマーブロックとしては、ポリカプロラクトン、ポリエナンラクトン、ポリカプリロラクトン、脂肪族ジカルボン酸化合物と脂肪族ジオールの縮合反応等より形成されたポリアルキレンエステル等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸化合物と脂肪族ジオールの縮合反応等より形成されたポリアルキレンエステルとしては、ポリブチレンアジペート等が挙げられる。
ポリエーテル型ポリマーブロックは、脂肪族ポリエーテルブロックが好ましく、主としてポリアルキレンエーテルグリコールからなるものがより好ましい。
熱可塑性ポリエステル系エラストマーAにおけるハードセグメントとソフトセグメントの質量比(ハードセグメント/ソフトセグメント)は、耐熱老化性の観点から、好ましくは20/80〜80/20、より好ましくは30/70〜70/30である。
熱可塑性ポリエステル系エラストマーAのD硬度は、熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性の観点から、好ましくは15〜90、より好ましくは25〜80、さらに好ましくは45〜70である。
熱可塑性ポリエステル系エラストマーAの融点は、耐熱性の観点から、好ましくは130〜240℃、より好ましくは140〜230℃、さらに好ましくは150〜225℃である。
本発明の組成物中の熱可塑性ポリエステル系エラストマーAの含有量は、好ましくは30〜99質量%、より好ましくは40〜95質量%である。
ピペラジン系共重合体Bは、耐熱老化性及び耐油性の向上に有効である。ピペラジン系共重合体は、広義にはポリアミド樹脂の一種ではあるが、なかでもジアミンとジカルボン酸の共縮合反応による共重合樹脂の範疇であり、本発明におけるピペラジン系共重合体Bとしては、ジアミンがピペラジンのように2級アミンである複素環系ジアミンとジカルボン酸との共縮合反応により得られるピペラジン系共重合ポリアミド樹脂等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。さらに、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸が含まれていてもよい。
また、ポリアミドブロックを有するポリアミド系ブロック共重合体であっても、ポリアミドブロックが複素環系ジアミン単位を含むピペラジン系ブロック共重合体であれば、ピペラジン系共重合体Bとして用いることができる。
ポリアミド系ブロック共重合体はポリアミド系エラストマーとも呼ばれるもので、ポリアミドブロックからなるハードセグメントと、ポリオールブロック等からなるソフトセグメントとから構成されたものが好ましい。
ポリアミドブロックは、アミン類と二塩基酸類又はこれらと同等な化合物との重縮合によって得られる共重合体等のポリアミド共重合体ブロックが好ましく、アミン類のモノマー単位中、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上が、複素環系ジアミン単位であることが好ましい。
ソフトセグメントとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2-及び1,3-)プロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック又はランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとのブロック又はランダム共重合体等が挙げられる。ソフトセグメントのモノマー単位に、ビスフェノールA、ヒドロキノンなどの2価フェノールが含まれていてもよい。好ましいソフトセグメントは、柔軟性の観点から、ポリエーテルブロックであり、ポリテトラメチレンエーテルグリコールがより好ましい。
ソフトセグメントのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量は、好ましくは200〜6,000、より好ましくは250〜4,000である。
ポリアミド系ブロック共重合体におけるハードセグメント(ポリアミドブロック)とソフトセグメントの質量比(ハードセグメント/ソフトセグメント)は、好ましくは5/95〜95/5、より好ましくは20/80〜80/20、さらに好ましくは30/70〜70/30、さらに好ましくは40/60〜60/40である。
本発明におけるピペラジン系共重合体Bは、熱可塑性ポリエステル系エラストマーAが芳香族ポリエステルとポリエーテルのブロック共重合体である場合、耐熱老化性の観点から、ピペラジン系ブロック共重合体よりも前記ピペラジン系共重合ポリアミド樹脂が好ましい。ピペラジン系共重合体Bのアルコールに対する溶解性は、可溶性であっても不溶性であってもよい。
ピペラジン系共重合体Bの含有量は、熱可塑性ポリエステル系エラストマーA 100質量部に対して、耐熱老化性と機械的強度の観点から、0.1〜50質量部であり、好ましくは0.3〜30質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
本発明の組成物中のピペラジン系共重合体Bの含有量は、好ましくは0.4〜35質量%、より好ましくは0.5〜33質量%である。
本発明における酸化防止剤Cとしては、耐熱老化性の観点から、芳香族アミン系酸化防止剤が好ましい。
芳香族アミン系酸化防止剤としては、フェニルナフチルアミン、4,4’-ジメトキシジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4-イソプロポキシジフェニルアミン等が挙げられ、これらの中では、芳香族第2級アミン化合物が好ましく、ジフェニルアミン系化合物がより好ましい。
芳香族アミン系酸化防止剤以外の酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ヒドロキシメチル-2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-α-ジメチルアミノ-p-クレゾール、2,5-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、4,4’-ビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-4-メチル-6-t-ブチルフェノール、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-メチレン-ビス(6-t-ブチル-o-クレゾール)、4,4’-メチレン-ビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルベンジル)スルフィド、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-o-クレゾール)、2,2’-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,6-ビス(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸ジエチルエステル、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチル-ジフェニルメタン、α-オクタデシル-3(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6-(ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビス-オクチル-チオ-1,3,5-トリアジン、ヘキサメチレングリコール-ビス[β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレン-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロ桂皮酸アミド)、2,2-チオ[ジエチル-ビス-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンホスホン酸ジオクタデシルエステル、テトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-ジ-t-ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス[β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル-オキシエチル]イソシアヌレート等が挙げられ、これらの中では、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンのような分子量が500以上のものが好ましい。
イオウ系酸化防止剤としては、チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオンエステル系等のイオウを含む化合物が挙げられ、これらの中では、チオエーテル系が好ましい。チオエーテル系酸化防止剤は、分子構造中に少なくとも1個のチオエーテル結合を有する化合物である。具体的に、チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、ジ長鎖アルキルチオジプロピオネート(ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート等)、テトラキス[メチレン-3-(長鎖アルキルチオ)プロピオネート]アルカン(例えば、テトラキス[メチレン-3-(ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等)等が挙げられる。なお、長鎖アルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状の、炭素数8〜20のアルキル基等が挙げられる。これらのチオエーテル系酸化防止剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
リン系酸化防止剤としては、ホスファイト系化合物、ホスフェート系化合物等が挙げられ、これらの中では、ホスファイト系化合物が好ましい。
ホスファイト系化合物としては、テトラキス[2-t-ブチル-4-チオ(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-5-メチルフェニル]-1,6-ヘキサメチレン-ビス(N-ヒドロキシエチル-N-メチルセミカルバジド)-ジホスファイト、テトラキス[2-t-ブチル-4-チオ(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-5-メチルフェニル]-1,10-デカメチレン-ジ-カルボキシリックアシッド-ジ-ヒドロキシエチルカルボニルヒドラジド-ジホスファイト、テトラキス[2-t-ブチル-4-チオ(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-5-メチルフェニル]-1,10-デカメチレン-ジ-カルボキシリックアシッド-ジ-サリシロイルヒドラジド-ジホスファイト、テトラキス[2-t-ブチル-4-チオ(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-5-メチルフェニル]-ジ(ヒドロキシエチルカルボニル)ヒドラジド-ジホスァイト、テトラキス[2-t-ブチル-4-チオ(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-5-メチルフェニル]-N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド-ジホスファイト等が挙げられるが、本発明では、少なくとも1つのP−O結合又はP=O結合が芳香族基に結合しているホスファイト系化合物が好ましい。かかるホスファイト系化合物としては、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)4,4’-ビフェニレンホスフォナイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-ホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシル)ホスファイト、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ジトリデシルホスファイト-5-t-ブチル-フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノ及びジ-ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’-イソプロピリデンビス(フェニル-ジアルキルホスファイト)、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、及びリン系酸化防止剤のなかでは、イオウ系酸化防止剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、耐熱老化性の観点から、芳香族アミン系酸化防止剤とこれらの酸化防止剤とを併用することが好ましい。即ち、酸化防止剤Cは、芳香族アミン系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤及びヒンダードアミン系酸化防止剤の少なくともいずれかとを含有することが好ましい。
芳香族アミン系酸化防止剤の含有量は、酸化防止剤C中、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜80質量%である。
芳香族アミン系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤及び/又はヒンダードフェノール系酸化防止剤の質量比(芳香族アミン系酸化防止剤/(イオウ系酸化防止剤及び/又はヒンダードフェノール系酸化防止剤))は、好ましくは9/1〜1/9、より好ましくは8/2〜2/8である。
酸化防止剤Cの含有量は、熱可塑性ポリエステル系エラストマーA 100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.5〜8質量部、より好ましくは0.7〜3質量部である。
本発明の組成物中の酸化防止剤Cの含有量は、好ましくは0.1〜9質量%、より好ましくは0.2〜8質量%である。
本発明の組成物は、機械的強度及び耐熱老化性の観点から、カルボジイミド化合物Dを含有することが好ましい。
カルボジイミド化合物Dは、式(I):
Figure 2020033464
(式中、n個のRはそれぞれ異なっていてもよく、炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の2価の複素環基、炭素数6〜14の2価の芳香族炭化水素基、炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基、又は末端水酸基であり、nは1〜15の整数である)
で表される構造を有し、カルボン酸と反応して架橋反応することができる。
式(I)において、nが1のものとしては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩の他、BEC(1-t-ブチル-3-エチルカルボジイミド)、CMC(1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミドメト-p-トルエンスルホナート)等の略称で知られるものが挙げられる。
式(I)において、nが2以上のものとしては、ポリカルボジイミドと呼ばれる線状ポリマーが知られており、Rが脂肪族基である脂肪族ポリカルボジイミドと、Rに芳香族基を有する芳香族ポリカルボジイミドとに大別される。脂肪族ポリカルボジイミドの方が芳香族よりも反応性が高いので好ましく、また分枝状よりも線状の方が反応性が高いので好ましい。ポリカルボジイミドの重量平均分子量は、安全性や扱いやすさの観点から、好ましくは100〜100,000、より好ましくは500〜10,000である。
カルボジイミド化合物Eは、例えば、適当な触媒の存在下に、有機イソシアネートを加熱して脱炭酸反応させて、カルボジイミド結合基を形成することにより製造することができ、カルボジイミド結合基の生成は、2260cm-1のイソシアネ−ト基の吸収ピ−クの消失、及びカルボジイミド結合基の吸収ピ−クの生成によって確認することができる。また、カルボジイミド化合物Eは、上記の基本的な製造方法の他、例えば、米国特許第2,941,956号、特公昭47−33279号公報、特開平5−178954号公報、特開平7−330849号公報等に開示されている方法や、J.Org.Chem.,28,2069(1963)、Chem.,Review81,619(1981)に記載されている方法等でも製造することができる。さらに、特開平5−178954号公報、特開平6−56950号公報等に開示されている様に無溶媒下でも行うことができる。
カルボジイミド化合物Eの市販品としては、日清紡ケミカル社製のカルボジライトシリーズが知られており、中でもカルボジライトHMV-15CAは、脂肪族カルボジイミドの線状ポリマーで、末端のイソシアネート基を封止したものであり、本発明には好適である。一方、芳香族ポリカルボジイミド化合物の市販品としては、スタバクゾールPや、スタバクゾールP-400、スタバクゾールI(以上、ラインケミー(株)製)等が知られている。
カルボジイミド化合物Dの含有量は、熱可塑性ポリエステル系エラストマーA 100質量部に対して、成形性の観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは0.05〜8質量部、さらに好ましくは0.1〜6質量部である。
本発明の組成物中のカルボジイミド化合物Dの含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは0.05〜5質量%である。
本発明の組成物は、耐熱老化性及び柔軟性の観点から、さらに、スチレン系エラストマーEを含有することが好ましい。
スチレン系エラストマーEとしては、スチレン系単量体からなる重合体のスチレンブロックと、共役ジエンからなる重合体の共役ジエンブロックとからなるブロック共重合体及びその水素添加物が好ましい。
スチレンブロックを構成するスチレン系単量体としては、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、1,3-ジメチルスチレン、α-メチルスチレン等が挙げられる。
共役ジエンブロックを構成する共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン等が挙げられる。
ブロック共重合体は、スチレンブロック単位からなるハードセグメントと、共役ジエンブロック単位とからなるソフトセグメントとからなり、全体の物性を決定する観点から、ブロック共重合体におけるスチレン系単量体単位の含有量は、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは20〜50質量%である。
ブロック共重合体の水素添加は、一部であっても、全部であってもよいが、水素添加することにより不飽和結合が減少し、耐熱性、耐候性及び機械的強度が得られる。それらの観点から、水素添加率は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。水素添加率は、ブロック共重合体中の共役ジエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合の含有量を、水素添加の前後において、1H-NMRスペクトルによって測定し、該測定値から求めることができる。
ブロック共重合体の水素添加物の具体例としては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ピリジン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリ(α-メチルスチレン)-ポリブタジエン−ポリ(α-メチルスチレン)、ポリ(α-メチルスチレン)-ポリイソプレン−ポリ(α-メチルスチレン)、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−クロロプレンゴム等が挙げられる。これらは、単独であっても、2種以上の混合物であってもよいが、原料調製及び作業性の観点から、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、及びスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)からなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
スチレン系エラストマーEの含有量は、熱可塑性ポリエステル系エラストマーA 100質量部に対して、耐油性の観点から、好ましくは200質量部以下、より好ましくは10〜180質量部、さらに好ましくは20〜150質量部である。
本発明の組成物中のスチレン系エラストマーEの含有量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは5〜70質量%である。
本発明の組成物は、耐熱老化性及び柔軟性の観点から、さらにアクリルゴムFを含有することが好ましい。
アクリルゴムは、単量体にアクリル酸エステルが含まれる重合体であり、アクリル酸エステルによりゴム弾性が付与されたものである。本発明において、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルコキシアルキルエステル等の非架橋性モノマーが好ましく、これらの2種以上が用いられていてもよいが、アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。
アクリルゴムFは、架橋点官能基を有するものを用いた場合、結晶性エラストマーの分子末端官能基とアクリルゴムのゴム架橋点官能基との反応により生成したアクリルゴムと結晶性エラストマーのグラフト体により強固な界面が形成され、耐熱性及び機械的強度がさらに向上する。これらの観点から、アクリルゴムFは、架橋構造を形成するための官能基を有していることが好ましく、かかる官能基としては、エポキシ基、カルボキシ基、活性塩素含有基等が挙げられ、これらの中では、エポキシ基及びカルボキシ基が好ましく、エポキシ基がより好ましい。
従って、アクリルゴムFには、前記アクリル酸エステルに加えて、架橋構造を形成するための官能性単量体、例えば、非共役ジエン、カルボキシ基含有単量体、エポキシ基含有単量体、活性水素原子含有単量体等が用いられていることが好ましい。
非共役ジエンとしては、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン等のアルキリデンノルボルネン等が挙げられる。
カルボキシ基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
エポキシ基含有単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
活性水素原子含有単量体としては、2-クロロエチルビニルエーテル、ビニルベンジルクロライド、ビニルクロロアセテート等が挙げられる。
アクリル酸エステル及び架橋構造を形成するための官能性単量体以外の単量体としては、例えば、アクリル酸エステルとともに共重合体にゴム弾性を付与する単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブテン等のα-オレフィン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン等が挙げられる。
その他の共重合可能な単量体としては、スチレン、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ビニル等の置換基により置換されたスチレン、アクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル、メタクリル酸メチル等のアルキル基の炭素数が1〜8程度のメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸テトラヒドロベンジル、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
好適なアクリルゴムFとしては、アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルとエポキシ基又はカルボキシ基含有単量体との共重合体(アクリル酸アルキルエステル:90〜99.95モル%、エポキシ基又はカルボキシ基含有単量体:0.05〜10モル%)、アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルとエチレンとエポキシ基又はカルボキシ基含有単量体との共重合体(アクリル酸アルキルエステル:10〜89.95モル%、エチレン:10〜80モル%、エポキシ基又はカルボキシ基含有単量体:0.05〜10モル%)等が挙げられる。
本発明におけるアクリルゴムFの、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)は、好ましくは10〜150、より好ましくは10〜120、さらに好ましくは15〜80である。ムーニー粘度は、JIS K6300により定義されており、成形性に関わる溶融流動性の指標として用いることができる。ムーニー粘度は組成や分子量等様々な要因で変化するが、粘度が小さいほど溶融流動性が良くなる一方、ある程度大きい方が組成物の強度が上がる傾向がある。
アクリルゴムFのガラス転移温度は、好ましくは-100〜10℃、より好ましくは-90〜0℃、さらに好ましくは-40〜-10℃である。
アクリルゴムFの含有量は、熱可塑性ポリエステル系エラストマーA 100質量部に対して、耐熱変形性の観点から、好ましくは200質量部以下、より好ましくは10〜180質量部、さらに好ましくは20〜150質量部である。
本発明の組成物中のアクリルゴムFの含有量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは5〜70質量%である。
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー、例えばNBR(ニトリルゴム)、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系熱可塑性エラストマー等を含有していてもよい。
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、軟化剤、各種難燃剤、架橋剤、特にはエポキシ系架橋剤、カーボンブラック、シリカ、炭素繊維、ガラス繊維等の補強剤、無機充填剤、絶縁性熱伝導性フィラー、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の外滑剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、粘着付与剤、架橋助剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、離型剤、着色剤、香料等の各種添加剤を含有していてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性ポリエステル系エラストマーA、ピペラジン系共重合体B、及び酸化防止剤Cと、さらに必要に応じてカルボジイミド化合物D、スチレン系エラストマーE、アクリルゴムF等を含む原料を混合し、冷却により固化させて得られる。
本発明でいう「混合」とは、各種成分が良好に混合される方法であれば特に限定されず、各種成分を溶解可能な有機溶媒中に溶解させて混合してもよいし、溶融混練によって混合してもよい。
熱可塑性エラストマー組成物は、溶融混合して得たものを直接成形体に成形して利用する他に、用途に応じて、最終製品として利用される成形体にする前に、いったんペレット、粉体、シート等の中間製品とすることができる。例えば、押出機によって溶融混合してストランドに押出し、冷水中で冷却しつつカッターによって円柱状や米粒状等のペレットに切断される。得られたペレットは、通常、射出成形、押出成形、プレス成形等の成形方法によって所定のシート状成形品や金型成形品とすることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物のD硬度は、柔軟性の観点から、好ましくは90以下、より好ましくは85以下、さらに好ましくは80以下であり、また、耐熱老化性の観点から、好ましくは5以上、より好ましくは7以上、さらに好ましく10以上である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を、常法に従って、適宜加熱成形することにより、成形体が得られる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物を加熱成形して得られる成形体の用途は、特に限定されるものではなく一般的なポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー等が用いられる分野に用いることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用いた成形体の製造に用いられる装置は、成形材料を溶融できる任意の成形機を用いることができる。例えば、ニーダー、押出成形機、射出成形機、プレス成形機、ブロー成形機、ミキシングロール等が挙げられる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。実施例及び比較例で使用した原料の各種物性は、以下の方法により測定した。
<成分A:熱可塑性ポリエステル系エラストマー>
〔ハードセグメント(HS)/ソフトセグメント(SS)〕
ハードセグメントとソフトセグメントの質量比(HS/SS)は、核磁気共鳴装置(ドイツ国BRUKER社製、DPX-400)を用いて、重クロロホルム溶媒中、3〜5vol%濃度、25℃でプロトンNMR測定を行い、分子構造中の各種酸素に隣接するメチレンピークのシグナル強度比から算出する。
〔D硬度〕
JIS K 6253 タイプDにて測定する。
〔融点〕
示差走査熱量測定(DSC)装置を用い、JIS K 7121で規定される方法に準拠して10℃/minで昇温して得られる融解ピークの温度を融点とする。融解ピークが複数表れる場合は、より低い温度で表れる融解ピークを融点とする。
<成分B:ピペラジン系共重合体等>
〔組成〕
塩酸を用いた加圧酸分解法で樹脂を水溶化し、乾固した後、重メタノールに溶解してbruker社製AVANCE III NMR装置によりプロトンNMR測定をしてピペラジン成分の含有量を測定する。また、メタノールに溶解したものをWATERS社製AcQuity 液体クロマトグラフィー装置にかけ、質量分析法によりポリアミド系樹脂を構成するモノマー成分の同定、定量を行う。
〔D硬度〕
JIS K 6253-3タイプDに準拠して測定する。
〔融点〕
試料約10mgをアルミパンに入れてアルミ蓋を圧着する。アルミパンを示差走査熱量分析計(パーキンエルマー社DSC8000)の装置測定部に設置し、JIS K 7121で規定される方法に準拠して空気中・昇温速度20℃/分の条件で測定する。
<成分D:ポリカルボジイミド>
〔重量平均分子量〕
カルボジイミド化合物をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、マイクロフィルターでろ過したものを、THFを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にかけ、ポリスチレン標準物質の保持時間を基に重量平均分子量を決定する。
<成分F:アクリルゴム>
〔単量体組成〕
ガスクロマトグラフ質量分析計(アジレントテクノロジー(株)製ガスクロマトグラフ7890A、日本電子(株)製質量分析計 Jms-Q1000GC K9)を用い、550℃で試料を加熱分解し、熱分解物の質量分析を行うことで単量体組成を解析する。
〔ムーニー粘度〕
JIS K6300で規定される方法に準拠して100℃で予備加熱1分間の後、回転開始後4分経過後のムーニー粘度(ML1+4)測定する。
〔ガラス転移温度(Tg)〕
構成する単量体成分のホモポリマーのTgを組成に応じて加重平均して算出する。
実施例1〜8及び比較例1〜8
(1) 熱可塑性エラストマー組成物(ペレット)の作製
表5に示す配合(質量比)で原料成分をミキサーに投入し、ドライブレンドした。
その後、得られた混合物を下記の条件で押出機(連続式混練機)で溶融混練して、熱可塑性組成物のペレットを製造した。
〔溶融混練条件〕
押出機:KZW32TW-60MG-NH((株)テクノベル製)
シリンダー温度:180〜260℃
スクリュー回転数:200〜650r/min
実施例及び比較例で使用した表5に記載の原料の詳細は以下の通り。
Figure 2020033464
Figure 2020033464
Figure 2020033464
Figure 2020033464
(2) 熱可塑性エラストマー組成物の成形体の作製
ペレットを、下記の条件で射出成形し、厚さ2mm×幅125mm×長さ125mmのプレスシートを作製した。
〔射出成形条件〕
射出成形機:100MSIII-10E(商品名、三菱重工業(株)製)
射出成形温度:200℃
射出圧力:30%
射出時間:3sec
金型温度:40℃
実施例及び比較例で得られた組成物について、下記の評価を行った。結果を表5に示す。
〔柔軟性(D硬度)〕
プレスシートを恒温恒湿室(温度23℃、相対湿度50%)に24時間以上静置し、シートの状態を安定させた。2mm厚さのプレスシートを3枚重ね、JIS K7215「プラスチックのデュロメータ硬さ試験法」に準じて、D硬度を測定した。
〔機械的強度(引張破壊応力及び破断伸び率)〕
プレスシートから、型抜機を用いてJIS K7113に記載の3号試験片(長さ20mm)を作製し、(株)島津製作所製の引張試験機(オートグラフ AG-50kND型)を用いて、23℃の温度環境下、200mm/minの速度で試験片を引っ張った。試験片破断時の応力(MPa)を引張破壊応力として記録した。また、破断時の試験片の長さから、破断伸び率((破断時の試験片の長さ(mm)-20)/20×100,%)を算出した。
〔耐熱老化性〕
プレスシートから、型抜機を用いてJIS K7113に記載の3号試験片(長さ20mm)を作製し、東洋精機社製ギヤーオーブンA45A2型を用いて、150℃で、250時間保存後、500時間保存後の試験片を、それぞれ機械的強度の引張試験に供した。破断時の試験片の長さを測定し、保存前の試験片の破断伸び率に対する伸び保持率(%)を算出した。即ち、保存前の破断伸び率が100%である試験片の、保存後の破断伸び率が80%である場合、伸び保持率は80%(80/100×100)と算出した。「崩壊」は高温下での保存により試験片が崩壊した状態を示す。
Figure 2020033464
以上の結果より、実施例1〜8の熱可塑性エラストマー組成物は、500時間後も良好な耐熱老化性を有していることが分かる。なかでも、芳香族アミン系酸化防止剤を、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤と併用した実施例5及びカルボジイミド化合物を配合した実施例6、スチレン系エラストマーを配合した実施例7、アクリルゴムを配合した実施例8では、より一層高い耐熱老化性を発揮している。
これに対し、比較例1〜8ではピペラジン系共重合体を配合しておらず、耐熱老化性が不十分であることが分かる。比較例2〜4のように、ピペラジン系共重合体以外のポリアミド樹脂を配合することで、500時間後も崩壊しない程度に耐熱老化性は向上するが、ピペラジン系共重合体を配合したものには全く及ばない。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、電子材料、家電、電気機器、医療用具、包装資材、文具・雑貨用品等の各種成形品に用いられる。

Claims (6)

  1. 熱可塑性ポリエステル系エラストマーAと、該熱可塑性ポリエステル系エラストマーA 100質量部に対して、ピペラジン系共重合体B 0.1〜50質量部、及び酸化防止剤C 0.1〜10質量部を含有してなる熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 酸化防止剤Cが芳香族アミン系酸化防止剤を含有する、請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 酸化防止剤Cがさらに、イオウ系酸化防止剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤の少なくともいずれかを含有する、請求項2記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. さらに、カルボジイミド化合物Dを含有する、請求項1〜3いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. さらに、スチレン系エラストマーEを含有する、請求項1〜4いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. さらに、アクリルゴムFを含有する、請求項1〜5いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物。
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