JP2020029612A - 光沢を有するめっき膜 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の他の目的は、高い光沢度を有するめっき膜を備えた電子部品を提供することにある。
本発明の他の目的は、めっき膜に高い光沢を付与する新規の光沢剤を提供することにある。
その他、本発明のめっき膜は表面が平滑であるため摩擦係数が低い。そのため、接触抵抗値が低く、導電性に優れ、電気・電子機器に用いられる低電流(信号系)スイッチやコネクタなどの接続部品(若しくは、電気接点)のうち低い接触荷重で繰り返し使用される接続部品に好適に用いられる。
本発明のめっき膜は、貴金属マトリックスと、前記貴金属マトリックス中に分散するナノダイヤモンド粒子(以後、「ND粒子」と称する場合がある)を含むめっき膜である。本発明のめっき膜において、めっき処理のみを施して得られためっき膜であって、表面平坦化処理等は施していないめっき膜の、入射角60°における光沢度が250GU以上であることを特徴とする。
HO−(C3H6O2)n−H (1)
−CH2−CHOH−CH2O− (2)
−CH(CH2OH)CH2O− (3)
本発明のめっき膜は、周知慣用の電解めっき法(好ましくは、電解複合めっき法)により製造することができる。より詳細には、貴金属イオンとND粒子を含むめっき浴に、めっき膜形成対象部材(例えば、銅基板等の導電性基板)を浸漬して電解を行なうことにより貴金属イオンをND粒子と共に前記部材表面に析出させ、貴金属の皮膜中にND粒子を取り込ませることができ、これを所望の厚みとなるまで継続することによって、貴金属マトリックス中にND粒子が分散する構成を有するめっき膜(若しくは、貴金属−ND粒子複合材料からなるめっき膜)を製造することができる。
本発明におけるめっき浴はめっき液とND粒子とを含む。前記めっき浴中におけるND粒子の含有量は、例えば0.001〜1.0g/L(下限は、好ましくは0.003g/L、より好ましくは0.006g/L、更に好ましくは0.01g/L、特に好ましくは0.03g/L、最も好ましくは0.06g/Lである。上限は、好ましくは0.5g/L、特に好ましくは0.3g/Lである)の範囲である。ND粒子含有量が上記範囲を下回ると、得られるめっき膜の光沢度が低下する傾向がある。一方、ND粒子含有量が上記範囲を上回っても、得られるめっき膜の光沢度が更に向上する効果は得られず、かえってめっき膜と下地との密着性が悪化して、剥離し易くなる傾向がある。
本発明におけるめっき液はめっき膜の調製に必須の成分を含み、且つ上述のND粒子は含まないものである。前記めっき液は、貴金属イオン(例えば、金イオン、銀イオン、白金イオン、パラジウムイオン、ロジウムイオン、イリジウムイオン、ルテニウムイオン、及びオスミウムイオンから選択される少なくとも1種)を少なくとも含む。
前記ND粒子分散液は、ND粒子が分散媒(好ましくは、水)中に分散されてなる。ND粒子分散液中のND粒子濃度は、例えば1〜100g/L程度である。
親水性ND粒子は、例えば、OH基、COOH基、NH2基等の表面官能基を備えたND粒子を使用し、このND粒子の表面官能基に親水性高分子を直接、或いはリンカー(例えば、エステル結合、アミド結合、イミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合など)を介して結合させることによって製造することができる。尚、前記リンカーは、ND粒子の表面官能基に縮合剤を反応させる等の方法により形成できる。
まず、爆薬に電気雷管が装着されたものを爆轟用の耐圧性容器の内部に設置し、容器内において大気組成の常圧の気体と使用爆薬とが共存する状態で、容器を密閉する。容器は例えば鉄製で、容器の容積は例えば0.5〜40m3である。爆薬としては、トリニトロトルエン(TNT)とシクロトリメチレントリニトロアミンすなわちヘキソーゲン(RDX)との混合物を使用することができる。TNTとRDXの質量比(TNT/RDX)は、例えば40/60〜60/40の範囲である。
酸処理工程は、原料であるND粒子粗生成物に例えば水溶媒中で強酸を作用させて金属酸化物を除去する工程である。爆轟法で得られるND粒子粗生成物には金属酸化物が含まれやすく、この金属酸化物は爆轟法に使用される容器等に由来するFe、Co、Ni等の酸化物である。例えば水溶媒中で所定の強酸を作用させることにより、ND粒子粗生成物から金属酸化物を溶解・除去することができる。この酸処理に用いる強酸としては鉱酸が好ましく、例えば、塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、及びこれらの混合物等が挙げられる。酸処理で使用する強酸の濃度は例えば1〜50質量%である。酸処理温度は例えば70〜150℃である。酸処理時間は例えば0.1〜24時間である。また、酸処理は、減圧下、常圧下、または加圧下で行うことが可能である。このような酸処理の後は、例えばデカンテーションにより、沈殿液のpHが例えば2〜3に至るまで、固形分(ND凝着体を含む)の水洗を行うことが好ましい。爆轟法で得られるND粒子粗生成物における金属酸化物の含有量が少ない場合には、以上のような酸処理は省略してもよい。
酸化処理工程は、酸化剤を用いてND粒子粗生成物からグラファイトを除去する工程である。爆轟法で得られるND粒子粗生成物にはグラファイト(黒鉛)が含まれるが、このグラファイトは、使用爆薬が部分的に不完全燃焼を起こして遊離した炭素のうちND結晶を形成しなかった炭素に由来する。例えば上記の酸処理を経た後に、水溶媒中で所定の酸化剤を作用させることにより、ND粒子粗生成物からグラファイトを除去することができる。また、酸化剤を作用させることにより、ND表面にカルボキシル基や水酸基などの酸素含有基を導入することができる。
本方法では、次に、乾燥工程を設けることが好ましく、例えば、上記工程を経て得られたND粒子含有溶液から噴霧乾燥装置やエバポレーター等を使用して液分を蒸発させた後、これによって生じる残留固形分を乾燥用オーブン内での加熱乾燥によって乾燥させる。加熱乾燥温度は、例えば40〜150℃である。このような乾燥工程を経ることにより、ND粉体が得られる。
酸素酸化工程では、ガス雰囲気炉を使用してND粉体を酸素を含有する所定組成のガス雰囲気下にて加熱する。具体的には、ガス雰囲気炉内にND粉体が配され、当該炉に対して酸素含有ガスが供給ないし通流され、加熱温度として設定された温度条件まで当該炉内が昇温されて酸素酸化処理が実施される。
また、ポジティブのゼータ電位を有するND粒子を所望する場合には、上述の酸素酸化工程の後に水素化工程を行う。水素化工程では、酸素酸化工程を経たND粉体について、ガス雰囲気炉を使用して、水素を含有する所定組成のガス雰囲気下にて加熱する。具体的には、ND粉体が内部に配されているガス雰囲気炉に対して水素含有ガスが供給ないし通流され、加熱温度として設定された温度条件まで当該炉内が昇温されて水素化処理が実施される。この水素化処理の温度条件は、例えば400〜800℃である。また、前記水素含有ガスとしては、水素に加えて不活性ガスを含有する混合ガスが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素、およびヘリウムが挙げられる。当該混合ガスの水素濃度は、例えば1〜50体積%である。
以上のような一連の過程を経て精製された後であっても、ND粒子は、一次粒子間が非常に強く相互作用して集成している凝着体(二次粒子)の形態をとる場合が多い。そのため、解砕工程を行い凝着体から一次粒子を分離させることが好ましい。具体的には、まず、酸素酸化工程またはその後の水素化工程を経たND粉体を純水に懸濁し、ND粒子を含有するスラリーを調製する。スラリーの調製にあたっては、比較的に大きな集成体をND粒子懸濁液から除去するために遠心分離処理を行ってもよいし、ND粒子懸濁液に超音波処理を施してもよい。そして、当該スラリーを湿式の解砕処理に付す。解砕処理は、例えば、高剪断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、またはコロイドミルを使用して行うことができる。これらを組み合わせて解砕処理を実施してもよい。効率性の観点からはビーズミルを使用するのが好ましい。
本方法では、次に、乾燥工程を設けることが好ましく、例えば、上記工程を経て得られたND粒子水分散液から噴霧乾燥装置やエバポレーター等を使用して液分を蒸発させた後、これによって生じる残留固形分を乾燥用オーブン内での加熱乾燥によって乾燥させる。加熱乾燥温度は、例えば40〜150℃である。このような乾燥工程を経ることにより、ND粒子が粉体として得られる。
ポリグリセリン鎖を含む表面修飾基を備えたND粒子は、例えば、上記工程を経て得られたND粒子に直接グリシドールを開環重合させることにより得ることができる。ND粒子はその表面に製造過程で生じるカルボキシル基や水酸基を有しており、これらの官能基とグリシドールを反応させることにより、NDの表面をポリグリセリン鎖によって修飾できる。
本発明の電子部品は、上記めっき膜を備えることを特徴とする。本発明の電子部品は、上記めっき膜以外にも他のめっき膜を有していてもよく、例えば、下地めっき膜としてNi/Auめっき膜等を1層又は2層以上有していてもよい。本発明の電子部品には例えば、携帯情報端末(PDA)や携帯電話等の電子機器用接続部品(例えば、コネクタ等)が含まれる。
本発明のめっき膜の光沢剤は、上記ポリグリセリン鎖を含む表面修飾基を備えたナノダイヤモンド粒子を含むことを特徴とする。
ND粒子水分散液のND粒子濃度は、秤量した分散液3〜5gの当該秤量値と、当該秤量分散液から加熱によって水分を蒸発させた後に残留する乾燥物(粉体)について精密天秤によって秤量した値とに基づき、算出した。
ND粒子水分散液やめっき浴中に含まれるND粒子の粒径(メディアン径、D10、D50、及びD90)は、Malvern社製の装置(商品名「ゼータサイザー ナノZS」)を使用して、動的光散乱法(非接触後方散乱法)によって測定した。
ND粒子水分散液に含まれるND粒子のゼータ電位は、Malvern社製の装置(商品名「ゼータサイザー ナノZS」)を使用して、レーザードップラー式電気泳動法によって測定した。測定に付されたND粒子水分散液は、ND粒子濃度が0.2質量%となるように超純水で希釈された後に超音波洗浄機による超音波照射を経たものであり、ゼータ電位測定温度は25℃である。
以下工程を経て、ND粒子水分散液を作製した。
(生成工程)
まず、成形された爆薬に電気雷管が装着されたものを爆轟用の耐圧性容器(鉄製、容積:15m3)の内部に設置して容器を密閉した。爆薬としては、TNTとRDXとの混合物(TNT/RDX(質量比)=50/50)0.50kgを使用した。次に、電気雷管を起爆させ、容器内で爆薬を爆轟させた。次に、室温で24時間放置して、容器およびその内部を降温させた。この放冷の後、容器の内壁に付着しているND粒子粗生成物(上記爆轟法で生成したND粒子の凝着体と煤を含む)を回収してND粒子粗生成物を得た。
次に、上記工程で得たND粒子粗生成物に対して酸処理を行った。具体的には、当該ND粒子粗生成物200gに6Lの10質量%塩酸を加えて得られたスラリーに対し、常圧条件での還流下で1時間の加熱処理(加熱温度:85〜100℃)を行った。次に、冷却後、デカンテーションにより、固形分(ND凝着体と煤を含む)の水洗を行った。沈殿液のpHが低pH側から2に至るまで、デカンテーションによる当該固形分の水洗を反復して行った。
次に、混酸処理を行った。具体的には、酸処理後のデカンテーションを経て得た沈殿液(ND凝着体を含む)に、6Lの98質量%硫酸水溶液と1Lの69質量%硝酸水溶液とを加えてスラリーとした後、このスラリーに対し、常圧条件及び還流下において48時間の加熱処理(加熱温度:140〜160℃)を行った。次に、冷却後、デカンテーションにより、固形分(ND凝着体を含む)の水洗を行った。水洗当初の上澄み液は着色していたが、上澄み液が目視で透明になるまで、デカンテーションによる当該固形分の水洗を反復して行った。
次に、上述の水洗処理を経て得られたND粒子含有液1000mLを、噴霧乾燥装置(商品名「スプレードライヤー B−290」、日本ビュッヒ(株)製)を使用して噴霧乾燥に付した。これにより、50gのND粉体を得た。
次に、上述のようにして得られたND粉体4.5gをガス雰囲気炉(商品名「ガス雰囲気チューブ炉 KTF045N1」、光洋サーモシステム(株)製)の炉心管内に静置し、炉心管に窒素ガスを流速1L/分で30分間通流させ続けた後、通流ガスを窒素から酸素と窒素との混合ガスへと切り替えて当該混合ガスを流速1L/分で炉心管に通流させ続けた。混合ガス中の酸素濃度は4体積%である。混合ガスへの切り替えの後、炉内を加熱設定温度たる400℃まで昇温させた。昇温速度については、加熱設定温度より20℃低い380℃までは10℃/分とし、その後の380℃から400℃までは1℃/分とした。そして、炉内の温度条件を400℃に維持しつつ、炉内のND粉体について酸素酸化処理を行った。処理時間は3時間とした。
<FT−IR分析条件>
FT−IR装置(商品名「Spectrum400型FT−IR」、(株)パーキンエルマージャパン製)を使用して、フーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)を行った。本測定においては、試料を真空雰囲気下で150℃に加熱しつつ赤外吸収スペクトルを測定した。真空雰囲気下の加熱には、エス・ティ・ジャパン社製のModel−HC900型Heat ChamberとTC−100WA型Thermo Controllerとを併用した。
まず、酸素酸化工程を経たND粉体0.3gと純水29.7mLとを50mLのサンプル瓶内で混合し、スラリー約30mLを得た。次に、当該スラリーについて、1Nの水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpHを調整した後、超音波照射器(商品名「超音波洗浄機 AS−3」、アズワン(AS ONE)社製)を使用して2時間の超音波照射を行った。この後、ビーズミリング装置(商品名「並列四筒式サンドグラインダー LSG−4U−2L型」、アイメックス(株)製)を使用してビーズミリングを行った。具体的には、100mLのミル容器であるベッセル(アイメックス(株)製)に超音波照射後のスラリー30mLと直径30μmのジルコニアビーズとを封入し、装置を駆動させてビーズミリングを実行した。このビーズミリングにおいて、ジルコニアビーズの投入量は、ミル容器の容積に対して約33%であり、ミル容器の回転速度は2570rpmであり、ミリング時間は2時間である。
上記で得られたND粒子水分散液を、エバポレーターを使用して乾燥させ、黒色の乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体(100mg)を、ガラス製反応器に入れた12mLのグリシドール中に添加し、超音波洗浄器(商品名「BRANSON2510」、マーシャルサイエンティフィック社製)にて、室温で2時間、超音波処理して溶解させた。これを窒素雰囲気下で撹拌しつつ、140℃で20時間反応させた。反応混合液を冷却後、120mLのメタノールを加え、超音波処理した後、50400Gで2時間遠心分離し、沈殿物を得た。この沈殿物に対して、120mLのメタノールを加え、同様に洗浄−遠心分離工程を5回繰り返し、最後に沈殿物に対して透析膜(Spectra/Prodialysis membrane, MWCO: 12-14 kDa)を用いて純水透析を行い、残留メタノールを水に置換して凍結乾燥し、ポリグリセリンで修飾されたND粒子(PG−ND粒子)の灰色粉体を得た。
TG−DTA熱分析により、ND粒子と表面修飾基の比率を測定した結果、ND粒子:表面修飾基=1:0.7であった。
PG−ND灰色粉体と水を加え、ND粒子の質量を基準として、10g/Lになるように濃度調整してPG−ND粒子水分散液を得た。
調製例1で得られたPG−ND粒子水分散液を、ロジウム濃度5g/Lのめっき液(商品名「ローデックス」、日本エレクトロプレイテイング・エンジニヤース(株)製)に添加してめっき浴(1)(めっき浴中のPG−ND粒子濃度:0.1g/L)を得た。
めっき浴(1)中のPG−ND粒子の粒径を測定したところ、粒径(D10)は30nm、粒径(D50)は44nm、粒径(D90)は76nmであった。
めっき浴(1)は透明(光路長1cmの石英ガラスセルに入れて測定した際の波長600nmの光の光線透過率は95%以上)であり、濁りは全くなかった(ヘーズ値=0)。
この下地めっき膜付き銅板を、めっき浴(1)を用いて、pH1、液温50℃、電流密度1.3A/dm2の条件下で、撹拌しながら15分間めっきして、下地めっき膜上に金属ロジウム−ND粒子複合材料からなるめっき膜(ND粒子含有量:12面積%、膜厚:5μm、図2参照)を形成させた。得られためっき膜は、ND粒子が均一に高分散しており、表面が平滑であった。
調製例1で得られたPG−ND粒子水分散液の添加量を変更した以外は実施例1と同様にしてめっき浴(2)(めっき浴中のPG−ND粒子濃度:0.05g/L)を得、得られためっき浴(2)を使用した以外は実施例1と同様にしてめっき膜を得た。
調製例1で得られたPG−ND粒子水分散液の添加量を変更した以外は実施例1と同様にしてめっき浴(3)(めっき浴中のPG−ND粒子濃度:0.02g/L)を得、得られためっき浴(3)を使用した以外は実施例1と同様にしてめっき膜を得た。
調製例1で得られたPG−ND粒子水分散液の添加量を変更した以外は実施例1と同様にしてめっき浴(4)(めっき浴中のPG−ND粒子濃度:0.01g/L)を得、得られためっき浴(4)を使用した以外は実施例1と同様にしてめっき膜を得た。
調製例1で得られたPG−ND粒子水分散液の添加量を変更した以外は実施例1と同様にしてめっき浴(5)(めっき浴中のPG−ND粒子濃度:0.005g/L)を得、得られためっき浴(5)を使用した以外は実施例1と同様にしてめっき膜を得た。
調製例1で得られたPG−ND粒子水分散液の添加量を変更した以外は実施例1と同様にしてめっき浴(6)(めっき浴中のPG−ND粒子濃度:0.002g/L)を得、得られためっき浴(6)を使用した以外は実施例1と同様にしてめっき膜を得た。
PG−ND粒子水分散液に代えて、調製例1の酸素酸化工程を経て得たND粒子(ND−COOH)の水分散液を使用した以外は実施例1と同様にしてめっき浴(7)を得た。めっき浴(7)中のND粒子は凝集し、大きな塊となっていた。
めっき浴(1)に代えて、ロジウム濃度5g/Lのめっき液(商品名「ローデックス」、日本エレクトロプレイテイング・エンジニヤース(株)製)を含み、ND粒子分散液を含まないめっき浴(8)を使用した以外は実施例1と同様にしてめっき膜を形成した(図4参照)。得られためっき膜は、表面が凸凹であった。
実施例及び比較例で得られためっき膜の光沢度(GU)を、測定機器(商品名「高光沢グロスチェッカ IG410」、(株)堀場製作所製)を使用して測定した。入射角60°における反射率を測定し、光沢度(GU)を算出した。結果を下記表にまとめて示す。
下記表より、ND粒子の添加量に応じてめっき膜の光沢度(GU)が上昇することがわかった。
調製例1で得られたPG−ND粒子水分散液を、金濃度2g/Lのめっき液[商品名「オーロボンドXPH20」(日本エレクトロプレイテイング・エンジニヤース(株)製)から光沢剤を除去したもの]に添加してめっき浴(9)(めっき浴中のPG−ND粒子濃度:0.1g/L)を得た。
めっき浴(9)中のPG−ND粒子の粒径を測定したところ、粒径(D10)は35nm、粒径(D50)は52nm、粒径(D90)は97nmであった。
めっき浴(9)は透明(光路長1cmの石英ガラスセルに入れて測定した際の波長600nmの光の光線透過率は95%以上)であり、濁りは全くなかった。
めっき浴(9)に代えて、金濃度2g/Lのめっき液(商品名「オーロボンドXPH20」、日本エレクトロプレイテイング・エンジニヤース(株)製)を含み、ND粒子分散液を含まないめっき浴(10)を使用した以外は実施例7と同様にしてめっき膜(膜厚:0.97μm)を形成した。得られためっき膜は、表面が凸凹であった。
2 ナノダイヤモンド粒子(部分)
3 表面修飾基
Claims (11)
- 貴金属マトリックスと、前記貴金属マトリックス中に分散するナノダイヤモンド粒子を含むめっき膜であって、入射角60°における光沢度が250GU以上であるめっき膜。
- 貴金属イオンとナノダイヤモンド粒子を含むめっき浴を使用して得られためっき膜である、請求項1に記載のめっき膜。
- ナノダイヤモンド粒子を含まない以外は同じ組成のめっき浴を使用して得られためっき膜と比較して、入射角60°における光沢度が20GU以上高い、請求項2に記載のめっき膜。
- 表面粗さ(Ra)が0.5μm以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載のめっき膜。
- 前記貴金属マトリックス中に分散するナノダイヤモンド粒子のSEM法による粒子径(D50)が4〜100nmの範囲である、請求項1〜4の何れか1項に記載のめっき膜。
- ナノダイヤモンド粒子が、立体反発性基を含む表面修飾基を備えたナノダイヤモンド粒子である、請求項1〜5の何れか1項に記載のめっき膜。
- ナノダイヤモンド粒子が、ポリグリセリン鎖を含む表面修飾基を備えたナノダイヤモンド粒子である、請求項1〜6の何れか1項に記載のめっき膜。
- ナノダイヤモンド粒子含有量がめっき膜の0.5〜25面積%である、請求項1〜7の何れか1項に記載のめっき膜。
- 貴金属イオンとナノダイヤモンド粒子を含むめっき浴であって、ナノダイヤモンド粒子の含有量が0.001〜1.0g/Lであり、波長600nmの光の光線透過率が95%以上であるめっき浴を使用して、電解めっき法により請求項1〜8の何れか1項に記載のめっき膜を製造するめっき膜の製造方法。
- 請求項1〜8の何れか1項に記載のめっき膜を備えた電子部品。
- ポリグリセリン鎖を含む表面修飾基を備えたナノダイヤモンド粒子を含む、めっき膜の光沢剤。
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