JP2020029419A - ジアミン化合物の製造方法、及び電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子写真感光体の感度特性の向上が可能な化合物を、収率よく製造できる製造方法の提供。【解決手段】式(30)で表される配位子と遷移金属を含有する触媒とを用いて、例えば、[(2−メチル−6−エチル)−フェニル]−[4−(4−フェニル−1,3−ブテンジエニル)−フェニル]−アミンと、4,4'−ジブロモ−ビフェニルとを反応させて、ビフェニル骨格を有すビストリフェニルアミン化合物を製造する方法。(R31〜R34は、各々独立に、C1〜C6のアルキル基;Ar35は、C6〜C14のアリーレン基)【選択図】なし
Description
本発明は、化合物(特に、ジアミン化合物)の製造方法、及び電子写真感光体の製造方法に関する。
電子写真感光体は、像担持体として電子写真方式の画像形成装置(例えば、プリンター又は複合機)において用いられる。電子写真感光体は、感光層を備える。電子写真感光体としては、例えば、単層型電子写真感光体及び積層型電子写真感光体が用いられる。単層型電子写真感光体は、電荷発生の機能と、電荷輸送の機能とを有する単層の感光層を備える。積層型電子写真感光体は、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを含む感光層を備える。
特許文献1の実施例には、電荷輸送剤であるp−ターフェニル化合物の合成方法が記載されている。このp−ターフェニル化合物の合成方法においては、例えば、無水炭酸カリウム、銅粉、及びn−ドデカンの存在下で反応が行われる。
しかし、特許文献1に記載の合成方法により製造された電荷輸送剤は、収率の点、及び電子写真感光体の感度特性を向上させる点で不十分であることが、本発明者らの検討により判明した。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、収率の向上、及び電子写真感光体の感度特性の向上が可能な化合物の製造方法を提供することである。また、本発明の別の目的は、感度特性に優れる電子写真感光体の製造方法を提供することである。
本発明の化合物の製造方法は、一般式(1)で表される化合物の製造方法である。本発明の化合物の製造方法は、一般式(30)で表される配位子と遷移金属を含有する触媒とを用いて、又は前記配位子が配位した前記触媒を用いて、一般式(A)で表される化合物と、一般式(B)で表される化合物とを反応させる工程を含む。
前記一般式(30)中、R31、R32、R33、及びR34は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、Ar35は、炭素原子数6以上14以下のアリーレン基を表す。
前記一般式(A)及び前記一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9、及びR10は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を表す。R8は、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を表す。mは0以上5以下の整数を表し、nは1又は2を表す。前記一般式(B)中、Yはハロゲン原子を表す。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、導電性基体上に直接又は中間層を介して、感光層を形成する工程を含む。前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを少なくとも含有する。前記正孔輸送剤は、上記製造方法により製造された化合物を含む。
本発明の化合物の製造方法によれば、化合物の収率の向上、及び電子写真感光体の感度特性の向上が可能となる。本発明の電子写真感光体の製造方法によれば、感度特性に優れる電子写真感光体を製造できる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。「−OMe」は、メトキシ基を示す。
まず、本明細書で用いられる置換基について説明する。ハロゲン原子(ハロゲン基)としては、例えば、フッ素原子(フルオロ基)、塩素原子(クロロ基)、臭素原子(ブロモ基)及びヨウ素原子(ヨード基)が挙げられる。
アルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、及び炭素原子数2以上4以下のアルキル基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。アルキル基としては、例えば、炭素原子数1以上8以下のアルキル基が挙げられる。炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、直鎖状及び分枝鎖状のヘキシル基、直鎖状及び分枝鎖状のヘプチル基、並びに直鎖状及び分枝鎖状のオクチル基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上6以下である基である。炭素原子数1以上4以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上4以下である基である。炭素原子数2以上4以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が2以上4以下である基である。
アルコキシ基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、及び炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。アルコキシ基としては、例えば、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基が挙げられる。炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基、直鎖状及び分枝鎖状のヘキシルオキシ基、直鎖状及び分枝鎖状のヘプチルオキシ基、並びに直鎖状及び分枝鎖状のオクチルオキシ基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上6以下である基である。炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上3以下である基である。
アリール基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、及び炭素原子数6以上10以下のアリール基は、各々、非置換である。アリール基としては、例えば、炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インダセニル基、ビフェニレニル基、アセナフチレニル基、アントリル基、及びフェナントリル基が挙げられる。炭素原子数6以上10以下のアリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基は、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリーレン基は、非置換である。炭素原子数6以上14以下のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、インダセンジイル基、ビフェニレンジイル基、アセナフチレンジイル基、アントリレンジイル基、及びフェナントリレンジイル基が挙げられる。以上、本明細書で用いられる置換基について説明した。
<第1実施形態:一般式(1)で表される化合物の製造方法>
次に、本発明の第1実施形態に係る一般式(1)で表される化合物の製造方法について説明する。以下、一般式(1)で表される化合物を、化合物(1)と記載することがある。
次に、本発明の第1実施形態に係る一般式(1)で表される化合物の製造方法について説明する。以下、一般式(1)で表される化合物を、化合物(1)と記載することがある。
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9、及びR10は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を表す。R8は、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基を表す。mは、0以上5以下の整数を表す。nは1又は2を表す。
第1実施形態の化合物(1)の製造方法は、一般式(A)で表される化合物と、一般式(B)で表される化合物とを反応させる工程を含む。以下、一般式(A)で表される化合物、及び一般式(B)で表される化合物を、各々、化合物(A)、及び化合物(B)と記載することがある。また、化合物(A)と化合物(B)とを反応させる工程を、反応工程(r1)と記載することがある。
一般式(A)中のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9、R10、R8、m、及びnは、各々、一般式(1)中のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9、R10、R8、m、及びnと同義である。一般式(B)中、Yはハロゲン原子を表す。
反応工程(r1)において、一般式(30)で表される配位子と、遷移金属を含有する触媒とを用いて、化合物(A)と化合物(B)とを反応させる。或いは、一般式(30)で表される配位子が配位した遷移金属を含有する触媒を用いて、化合物(A)と化合物(B)とを反応させる。以下、一般式(30)で表される配位子を、配位子(30)と記載することがある。
一般式(30)中、R31、R32、R33、及びR34は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。Ar35は、炭素原子数6以上14以下のアリーレン基を表す。
反応工程(r1)は、下記反応式(r1)で表される。反応工程(r1)では、2モル当量の化合物(A)と、1モル当量の化合物(B)とを反応させて、1モル当量の化合物(1)を得る。
遷移金属を含有する触媒と、配位子(30)とを用いて、反応工程(r1)を行うことで、化合物(1)の収率を向上できる。また、このように反応工程(r1)を行うことで、感光層に化合物(1)が含有された場合の電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)の感度特性を向上できる。これらの理由は、以下のように推測される。配位子(30)が、電子供与性の窒素原子を有し、且つ所定の構造を有するリン配位子であることで、配位子(30)から遷移金属を含有する触媒への電子供与性が高まる。電子供与性の高まりにより、遷移金属を含有する触媒の活性が高くなり、化合物(A)と化合物(B)との反応が促進されて、化合物(1)の収率が向上する。化合物(1)の収率が向上することで、化合物(1)の純度が高まり、感光体の感度特性が向上する。
以下、配位子(30)、遷移金属を含有する触媒、及び配位子(30)が配位した遷移金属を含有する触媒について説明する。
一般式(30)中、R31、R32、R33、及びR34が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はtert−ブチル基がより好ましい。Ar35が表わす炭素原子数6以上14以下のアリーレン基としては、ナフタレンジイル基又はフェニレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。なお、アリーレン基は、アレーンジイル基とも呼ばれる。
配位子(30)としては、化学式(L−1)で表される配位子(以下、配位子(L−1)と記載することがある)が好ましい。配位子(L−1)は、(4−ジメチルアミノフェニル)ジ゛−tert−ブチルホスフィンである。
配位子(30)の配位数は特に限定されないが、例えば、1個又は2個である。反応工程(r1)において、配位子(30)と、遷移金属を含有する触媒とを、別々に添加してもよい。配位子(30)と遷移金属を含有する触媒とを別々に添加する場合、反応工程(r1)が進行する過程において、遷移金属を含有する触媒に配位子(30)が配位した状態となっていてもよい。また、反応工程(r1)において、配位子(30)が配位した遷移金属を含有する触媒を、添加してもよい。
触媒が含有する遷移金属としては、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、及びコバルトが挙げられる。触媒が含有する遷移金属としては、パラジウム又はニッケルが好ましく、パラジウムがより好ましい。パラジウムを含有する触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、ヘキサクロルパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物、及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)が挙げられる。パラジウムを含有する触媒としては、酢酸パラジウム(より具体的には、酢酸パラジウム(II))、又は塩化パラジウム(より具体的には、塩化パラジウム(II))が好ましい。
化合物(1)の収率を向上させ、化合物(1)が感光層に含有された場合の感光体の感度特性を向上させるためには、配位子(30)が配位子(L−1)であり、遷移金属を含有する触媒が酢酸パラジウムであることが好ましい。つまり、配位子(L−1)と酢酸パラジウムとを用いて、反応工程(r1)を行うことが好ましい。或いは、配位子(L−1)が配位した酢酸パラジウムを用いて、反応工程(r1)を行うことが好ましい。
化合物(1)の収率を向上させ、化合物(1)が感光層に含有された場合の感光体の感度特性を向上させるためには、配位子(L−1)と塩化パラジウムとを用いて、反応工程(r1)を行うことも好ましい。或いは、配位子(L−1)が配位した塩化パラジウムを用いて、反応工程(r1)を行うことも好ましい。
化合物(1)の収率を向上させ、化合物(1)が感光層に含有された場合の感光体の感度特性を向上させるために、配位子(30)が配位した遷移金属を含有する触媒としては、配位子(L−1)が配位した塩化パラジウムが好ましい。配位子(L−1)が配位した塩化パラジウムとしては、化学式(L−2)で表される配位子が配位した触媒(以下、配位触媒(L−2)と記載することがある)が好ましい。化学式(L−2)中のPとPdとの間の結合は、配位結合を表す。
反応工程(r1)において、配位子(30)に加えて、配位子(30)以外の配位子(以下、その他の配位子と記載することがある)を更に用いてもよい。また、反応工程(r1)において、配位子(30)が配位した遷移金属を含有する触媒に加えて、その他の配位子が配位した遷移金属を含有する触媒を更に用いてもよい。その他の配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、及びメチルジフェニルホスフィンが挙げられる。
次に、反応工程(r1)の原料である化合物(A)及び化合物(B)について、説明する。
一般式(A)中のR1〜R10、m、及びnの好適な例は、後述する一般式(1)中のR1〜R10、m、及びnの好適な例と同じである。
一般式(B)中のYが表わすハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、臭素原子がより好ましい。
次に、反応工程(r1)で得られる化合物(1)について、説明する。一般式(1)中のR1〜R10が表わすアルキル基としては、炭素原子数1以上8以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。
一般式(1)中のR1〜R10が表わすアルコキシ基としては、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基が更に好ましい。
一般式(1)中のR1〜R10が表わすアリール基としては、炭素原子数6以上14以下のアリール基が好ましく、炭素原子数6以上10以下のアリール基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。
mが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR8は同一であってもよく、異なっていてもよい。一般式(1)中のmは、0又は1を表すことが好ましい。R8の結合位置は特に限定されない。しかし、R8は、アルケニル基(より具体的には、−CH=CH−基、又は−CH=CH−CH=CH−基)に対して、アルケニル基が結合しているフェニル基のメタ位又はパラ位に結合していることが好ましい。
化合物(1)の収率を特に向上させるためには、nは1を表すことが好ましい。化合物(1)が感光層に含有された場合の感光体の感度特性を特に向上させるためには、nは2を表すことが好ましい。
化合物(1)の収率を向上させ、化合物(1)が感光層に含有された場合の感光体の感度特性を向上させるために、一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9、及びR10は、各々独立に、水素原子、又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましい。R8は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表すことが好ましい。
化合物(1)の収率を向上させつつ、化合物(1)が感光層に含有された場合の感光体の感度特性を特に向上させるためには、次に示す好適な例の少なくとも1つを満たすことが好ましい。一般式(1)中、R1は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましく、エチル基を表すことがより好ましい。R5は、R1とは異なる炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。R2、R3、R4、R6、R7、R9、及びR10は、水素原子を表すことが好ましい。R8は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。R8は、アルケニル基(より具体的には、−CH=CH−基、又は−CH=CH−CH=CH−基)に対して、アルケニル基が結合しているフェニル基のパラ位に結合していることが好ましい。mは0又は1を表すことが好ましい。nは2を表すことが好ましい。
化合物(1)が感光層に含有された場合の感光体の感度特性を向上させつつ、化合物(1)の収率を特に向上させるためには、次に示す置換基の好適な例の少なくとも1つを満たすことが好ましい。一般式(1)中、R1は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましく、エチル基を表すことがより好ましい。R5は、R1と異なる炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。R2、R3、R4、R6、R7、R9、及びR10は、水素原子を表すことが好ましい。mは0を表すことが好ましい。nは1を表すことが好ましい。
化合物(1)の好適な例としては、化学式(HTM−1)、(HTM−2)、(HTM−3)、及び(HTM−4)で表される化合物が挙げられる。以下、化学式(HTM−1)、(HTM−2)、(HTM−3)、及び(HTM−4)で表される化合物を、各々、化合物(HTM−1)、(HTM−2)、(HTM−3)、及び(HTM−4)と記載することがある。
反応工程(r1)は、塩基の存在下で行われてもよい。塩基としては、例えば、ナトリウムtert−ブトキシド、リン酸三カリウム及びフッ化セシウムが挙げられる。塩基の添加量は、1モル当量の化合物(B)に対して、1モル当量以上10モル当量以下であることがより好ましい。
反応工程(r1)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、例えば、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン及びジメチルホルムアミドが挙げられる。
反応工程(r1)の反応温度は80℃以上140℃以下であることが好ましい。反応工程(r1)の反応時間は1時間以上10時間以下であることが好ましい。反応工程(r1)は、不活性ガス(例えば、窒素ガス、又はアルゴンガス)の雰囲気下で行われてもよい。以上、第1実施形態の化合物(1)の製造方法について、説明した。
<第2実施形態:感光体の製造方法>
次に、本発明の第2実施形態に係る感光体の製造方法について説明する。まず、第2実施形態の製造方法により製造される感光体の構造について説明する。
次に、本発明の第2実施形態に係る感光体の製造方法について説明する。まず、第2実施形態の製造方法により製造される感光体の構造について説明する。
感光体は、導電性基体と感光層とを備える。感光層は、導電性基体上に直接備えられる。或いは、感光層は、導電性基体上に、中間層を介して備えられる。感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを少なくとも含有する。正孔輸送剤は、第1実施形態の製造方法により製造された化合物(1)を含む。感光体は、積層型電子写真感光体(以下、積層型感光体と記載することがある)であってもよく、単層型電子写真感光体(以下、単層型感光体と記載することがある)であってもよい。
(積層型感光体)
以下、図1〜図3を参照して、感光体1が積層型感光体である場合について説明する。図1〜図3は、各々、感光体1(より具体的には、積層型感光体)の一例を示す部分断面図である。
以下、図1〜図3を参照して、感光体1が積層型感光体である場合について説明する。図1〜図3は、各々、感光体1(より具体的には、積層型感光体)の一例を示す部分断面図である。
図1に示すように、感光体1(より具体的には、積層型感光体)は、例えば、導電性基体2と、感光層3とを備える。感光層3は、電荷発生層3aと、電荷輸送層3bとを含む。つまり、積層型感光体には、感光層3として、電荷発生層3aと電荷輸送層3bとが備えられる。
積層型感光体の耐摩耗性を向上させるためには、図1に示すように、導電性基体2上に電荷発生層3aが設けられ、電荷発生層3a上に電荷輸送層3bが設けられることが好ましい。ただし、図2に示すように、積層型感光体は、導電性基体2上に電荷輸送層3bが設けられ、電荷輸送層3b上に電荷発生層3aが設けられてもよい。
図3に示すように、積層型感光体は、導電性基体2と、感光層3と、中間層4(下引き層)とを備えていてもよい。中間層4は、導電性基体2と感光層3との間に備えられる。図1及び図2に示すように、感光層3は、導電性基体2上に直接備えられてもよい。或いは、図3に示すように、感光層3は、導電性基体2上に、中間層4を介して備えられてもよい。なお、感光層3上には、保護層5(図6参照)が設けられていてもよい。
電荷発生層3aの厚さは、特に限定されないが、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましい。電荷発生層3aは、電荷発生剤を含有する。電荷発生層3aは、必要に応じて、ベース樹脂を更に含有してもよい。電荷発生層3aは、必要に応じて、添加剤を更に含有してもよい。
電荷輸送層3bの厚さは、特に限定されないが、2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。電荷輸送層3bは、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを少なくとも含有する。電荷輸送層3bは、必要に応じて、電子アクセプター化合物を更に含有してもよい。電荷輸送層3bは、必要に応じて、添加剤を更に含有してもよい。以上、図1〜図3を参照して、感光体1が積層型感光体である場合について説明した。
(単層型感光体)
以下、図4〜図6を参照して、感光体1が単層型感光体である場合について説明する。図4〜図6は、感光体1(より具体的には、単層型感光体)の一例を示す部分断面図である。
以下、図4〜図6を参照して、感光体1が単層型感光体である場合について説明する。図4〜図6は、感光体1(より具体的には、単層型感光体)の一例を示す部分断面図である。
図4に示すように、感光体1(より具体的には、単層型感光体)は、例えば、導電性基体2と、感光層3とを備える。感光層3は、単層である。以下、単層の感光層3を、単層型感光層3cと記載することがある。
図5に示すように、単層型感光体は、導電性基体2と、単層型感光層3cと、中間層4(下引き層)とを備えてもよい。中間層4は、導電性基体2と、単層型感光層3cとの間に設けられる。図4に示すように、単層型感光層3cは、導電性基体2上に直接備えられてもよい。或いは、図5に示すように、単層型感光層3cは、導電性基体2上に、中間層4を介して備えられてもよい。
図6に示すように、単層型感光体は、導電性基体2と、単層型感光層3cと、保護層5とを備えてもよい。保護層5は、単層型感光層3c上に設けられる。
単層型感光層3cの厚さは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。単層型感光層3cは、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを少なくとも含有する。単層型感光層3cは、必要に応じて、電子輸送剤を更に含有してもよい。単層型感光層3cは、必要に応じて、添加剤を更に含有してもよい。以上、図4〜図6を参照して、感光体1が単層型感光体である場合について説明した。
次に、第2実施形態の感光体の製造方法について、説明する。第2実施形態の感光体の製造方法は、導電性基体上に直接又は中間層を介して、感光層を形成する工程(感光層形成工程)を含む。
(積層型感光体の製造方法)
以下、感光体が積層型感光体である場合の製造方法について説明する。感光体が積層型感光体である場合、感光層形成工程は、電荷発生層形成工程と、電荷輸送層形成工程とを含む。
以下、感光体が積層型感光体である場合の製造方法について説明する。感光体が積層型感光体である場合、感光層形成工程は、電荷発生層形成工程と、電荷輸送層形成工程とを含む。
電荷発生層形成工程において、導電性基体上に直接又は中間層を介して、電荷発生剤を含有する電荷発生層を形成する。詳しくは、電荷発生層を形成するための塗布液(以下、電荷発生層用塗布液と記載することがある)を調製する。電荷発生層用塗布液を、導電性基体上に塗布する。或いは、電荷発生層用塗布液を、導電性基体上に備えられた中間層上に塗布する。次いで、塗布した電荷発生層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して、電荷発生層を形成する。電荷発生層用塗布液は、例えば、電荷発生剤と、溶剤とを含有する。このような電荷発生層用塗布液は、電荷発生剤を溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。電荷発生層用塗布液は、必要に応じて、ベース樹脂及び添加剤を、更に含有してもよい。
電荷輸送層形成工程において、電荷発生層上に、正孔輸送剤及びバインダー樹脂を含有する電荷輸送層を形成する。詳しくは、電荷輸送層を形成するための塗布液(以下、電荷輸送層用塗布液と記載することがある)を調製する。電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上に塗布する。次いで、塗布した電荷輸送層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して、電荷輸送層を形成する。電荷輸送層用塗布液は、正孔輸送剤と、バインダー樹脂と、溶剤とを含む。正孔輸送剤は、第1実施形態の製造方法により製造された化合物(1)を含む。電荷輸送層用塗布液は、正孔輸送剤及びバインダー樹脂を溶剤に溶解又は分散させることにより調製できる。電荷輸送層用塗布液は、必要に応じて、電子アクセプター化合物及び添加剤を更に含有してもよい。
(単層型感光体の製造方法)
以下、感光体が単層型感光体である場合の製造方法について説明する。感光体が単層型感光体である場合、感光層形成工程は、単層型感光層形成工程を含む。
以下、感光体が単層型感光体である場合の製造方法について説明する。感光体が単層型感光体である場合、感光層形成工程は、単層型感光層形成工程を含む。
単層型感光層形成工程において、導電性基体上に直接又は中間層を介して、電荷発生剤、正孔輸送剤、及びバインダー樹脂を含有する単層型感光層を形成する。詳しくは、単層型感光層形成工程では、単層型感光層を形成するための塗布液(以下、単層型感光層用塗布液と記載することがある)を調製する。単層型感光層用塗布液を、導電性基体上に塗布する。或いは、単層型感光層用塗布液を、導電性基体上に備えられた中間層上に塗布する。次いで、塗布した単層型感光層用塗布液に含有される溶剤の少なくとも一部を除去して、単層型感光層を形成する。単層型感光層用塗布液は、例えば、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂と、溶剤とを含む。正孔輸送剤は、第1実施形態の製造方法により製造された化合物(1)を含む。このような単層型感光層用塗布液は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを、溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。単層型感光層用塗布液は、必要に応じて、電子輸送剤、及び添加剤を更に含有してもよい。
電荷発生層用塗布液、電荷輸送層用塗布液、及び単層型感光層用塗布液(以下、包括的に「塗布液」と記載することがある)に含有される溶剤は、塗布液に含有される各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。塗布液に含有される溶剤としては、例えば、アルコール(より具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール等)、脂肪族炭化水素(より具体的には、n−ヘキサン、オクタン又はシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、トルエン又はキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン等)、エーテル(より具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル又はジエチレングリコールジメチルエーテル等)、ケトン(より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン等)、エステル(より具体的には、酢酸エチル又は酢酸メチル等)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、及びジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤を、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの溶剤のうち、非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
電荷輸送層用塗布液に含有される溶剤は、電荷発生層用塗布液に含有される溶剤と、異なることが好ましい。電荷発生層上に電荷輸送層用塗布液を塗布する場合に、電荷発生層が電荷輸送層用塗布液の溶剤に溶解しないことが好ましいからである。
塗布液は、それぞれ各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー、又は超音波分散器を用いることができる。
各成分の分散性又は形成される各々の層の表面平滑性を向上させるために、塗布液は、例えば、界面活性剤又はレベリング剤を含有してもよい。
塗布液を塗布する方法としては、塗布液を均一に塗布できる方法であれば、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、及びバーコート法が挙げられる。
塗布液に含有される溶剤の少なくとも一部を除去する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る方法であれば、特に限定されない。除去する方法としては、例えば、加熱、減圧、及び加熱と減圧との併用が挙げられる。より具体的には、高温乾燥機、又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理の温度は、例えば、40℃以上150℃以下である。熱処理の時間は、例えば、3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて中間層を形成する工程、及び表面層を形成する工程を更に有してもよい。中間層を形成する工程、及び表面層を形成する工程としては、公知の方法が適宜選択される。
次に、感光層に含有される電荷発生剤、正孔輸送剤、及びバインダー樹脂について説明する。また、感光層に必要に応じて含有される電子輸送剤、電子アクセプター化合物、ベース樹脂、及び添加剤についても説明する。
(電荷発生剤)
電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、及びキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生層及び単層型感光層は、1種の電荷発生剤のみを含有してもよく、2種以上の電荷発生剤を含有してもよい。
電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、及びキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生層及び単層型感光層は、1種の電荷発生剤のみを含有してもよく、2種以上の電荷発生剤を含有してもよい。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、無金属フタロシアニン、及び金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、及びクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。無金属フタロシアニンは、化学式(CGM−1)で表される。チタニルフタロシアニンは、化学式(CGM−2)で表される。
フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型及びY型結晶(以下、それぞれをα型、β型及びY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましく、Y型チタニルフタロシアニンが特に好ましい。
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生剤の含有量は、ベース樹脂100質量部に対して、10質量部以上300質量部以下であることが好ましく、100質量部以上200質量部以下であることがより好ましい。感光体が単層型感光体である場合、電荷発生剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、2質量部以上3質量部以下であることが特に好ましい。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤は、第1実施形態の製造方法により製造された化合物(1)を含む。電荷輸送層及び単層型感光層は、正孔輸送剤として、第1実施形態の製造方法により製造された化合物(1)を含有する。第1実施形態の製造方法により製造された化合物(1)が含有されることで、感光体の感度特性を向上できる。電荷輸送層及び単層型感光層は、1種の化合物(1)のみを含有してもよいし、2種以上の化合物(1)を含有してもよい。
正孔輸送剤は、第1実施形態の製造方法により製造された化合物(1)を含む。電荷輸送層及び単層型感光層は、正孔輸送剤として、第1実施形態の製造方法により製造された化合物(1)を含有する。第1実施形態の製造方法により製造された化合物(1)が含有されることで、感光体の感度特性を向上できる。電荷輸送層及び単層型感光層は、1種の化合物(1)のみを含有してもよいし、2種以上の化合物(1)を含有してもよい。
電荷輸送層及び単層型感光層は、正孔輸送剤として、化合物(1)のみを含有してもよい。また、電荷輸送層及び単層型感光層は、化合物(1)に加えて、化合物(1)以外の正孔輸送剤(以下、その他の正孔輸送剤と記載することがある)を更に含有してもよい。
その他の正孔輸送剤としては、例えば、化合物(1)以外の含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物を使用することができる。化合物(1)以外の含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン化合物(例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体)、オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、スチリル化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン)、カルバゾール化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン)、ヒドラゾン化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、及びトリアゾール系化合物が挙げられる。
感光体が積層型感光体である場合、正孔輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、50質量部以上200質量部以下であることが好ましく、90質量部以上110質量部以下であることがより好ましい。感光体が単層型感光体である場合、正孔輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、50質量部以上200質量部以下であることが好ましく、50質量部以上70質量部以下であることがより好ましい。
(バインダー樹脂)
電荷輸送層及び単層型感光層に含有されるバインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、及びポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、及びメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物のアクリル酸付加物、及びウレタン化合物のアクリル酸付加物が挙げられる。電荷輸送層及び単層型感光層は、1種のバインダー樹脂のみを含有してもよく、2種以上のバインダー樹脂を含有してもよい。
電荷輸送層及び単層型感光層に含有されるバインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、及びポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、及びメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物のアクリル酸付加物、及びウレタン化合物のアクリル酸付加物が挙げられる。電荷輸送層及び単層型感光層は、1種のバインダー樹脂のみを含有してもよく、2種以上のバインダー樹脂を含有してもよい。
バインダー樹脂の粘度平均分子量は、10,000以上であることが好ましく、20,000以上であることがより好ましく、30,000以上であることが更に好ましく、40,000以上であることが特に好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が10,000以上であると、バインダー樹脂の耐摩耗性が高まり、電荷輸送層及び単層型感光層の摩耗を抑制できる。一方、バインダー樹脂の粘度平均分子量は、80,000以下であることが好ましく、70,000以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が80,000以下であると、バインダー樹脂が電荷輸送層形成用の溶剤及び単層型感光層形成用の溶剤に溶解し易くなり、電荷輸送層及び単層型感光層の形成が容易となる。
バインダー樹脂としては、ポリアリレート樹脂、又はポリカーボネート樹脂が好ましい。まず、ポリアリレート樹脂の好適な例について説明する。ポリアリレート樹脂の好適な例としては、少なくとも1種の一般式(10)で表される繰り返し単位と、少なくとも1種の一般式(11)で表される繰り返し単位とを含むポリアリレート樹脂が挙げられる。以下、少なくとも1種の一般式(10)で表される繰り返し単位と、少なくとも1種の一般式(11)で表される繰り返し単位とを含むポリアリレート樹脂を、ポリアリレート樹脂(PA)と記載することがある。また、一般式(10)及び(11)で表される繰り返し単位を、各々、繰り返し単位(10)及び(11)と記載することがある。
一般式(10)中、R11及びR12は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。一般式(10)中、Wは、一般式(W1)、(W2)、又は(W3)で表される二価の基を表す。
一般式(W1)中、R13は、水素原子、又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、R14は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。一般式(W2)中、tは、1以上3以下の整数を表す。
一般式(11)中、Xは、化学式(X1)、(X2)、(X3)、(X4)、(X5)、又は(X6)で表される二価の基を表す。
一般式(W1)中のR13が表わす炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基が好ましい。一般式(W1)中のR14が表わす炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、炭素原子数2以上4以下のアルキル基が好ましく、エチル基がより好ましい。一般式(W2)中のtは、2を表すことが好ましい。
繰り返し単位(10)の好適な例としては、化学式(10−1)、(10−2)、及び(10−3)で表される繰り返し単位が挙げられる。以下、化学式(10−1)、(10−2)、及び(10−3)で表される繰り返し単位を、各々、繰り返し単位(10−1)、(10−2)、及び(10−3)と記載することがある。
繰り返し単位(11)の好適な例としては、化学式(11−X1)、(11−X2)、(11−X3)、(11−X4)、(11−X5)、及び(11−X6)で表される繰り返し単位(以下、それぞれを繰り返し単位(11−X1)、(11−X2)、(11−X3)、(11−X4)、(11−X5)、及び(11−X6)と記載することがある)が挙げられる。繰り返し単位(11)のより好適な例としては、繰り返し単位(11−X1)、(11−X2)、及び(11−X3)が挙げられる。
ポリアリレート樹脂(PA)の好適な態様としては、第1態様、及び第2態様が挙げられる。以下、第1態様、及び第2態様のポリアリレート樹脂(PA)について説明する。
ポリアリレート樹脂(PA)の第1態様は、少なくとも2種の繰り返し単位(11)を含む。第1態様のポリアリレート樹脂(PA)としては、少なくとも1種の繰り返し単位(10)と少なくとも2種の繰り返し単位(11)とを含むポリアリレート樹脂が好ましく、1種の繰り返し単位(10)と2種の繰り返し単位(11)とを含むポリアリレート樹脂がより好ましい。
第1態様のポリアリレート樹脂(PA)が含む少なくとも2種の繰り返し単位(11)のうち、1種の繰り返し単位(11)は、繰返し単位(11−X1)であることが好ましい。第1態様のポリアリレート樹脂(PA)が含む少なくとも2種の繰り返し単位(11)のうち、残りの種の繰り返し単位(11)は、繰返し単位(11−X2)、(11−X3)、(11−X4)、(11−X5)、又は(11−X6)であることが好ましく、繰返し単位(11−X2)、又は(11−X3)であることがより好ましい。
第1態様のポリアリレート樹脂(PA)が含む少なくとも2種の繰り返し単位(11)が、繰返し単位(11−X1)と、繰返し単位(11−X1)以外の繰り返し単位(11)である場合、繰返し単位(11)の総数に対する、繰り返し単位(11−X1)の数の比率(以下、比率pと記載することがある)は、0.10以上0.90以下であることが好ましく、0.20以上0.80以下であることがより好ましく、0.30以上0.70以下であることが更に好ましく、0.40以上0.60以下であることが一層好ましく、0.50であることが特に好ましい。
第1態様のポリアリレート樹脂(PA)の好適な例としては、第1ポリアリレート樹脂、第2ポリアリレート樹脂、及び第3ポリアリレート樹脂が挙げられる。第1ポリアリレート樹脂は、下記化学式で示すように、繰返し単位(10−1)、繰返し単位(11−X1)、及び繰返し単位(11−X3)を含む。
第2ポリアリレート樹脂は、下記化学式で示すように、繰返し単位(10−2)、繰返し単位(11−X1)、及び繰り返し単位(11−X3)を含む。
第3ポリアリレート樹脂は、下記化学式で示すように、繰返し単位(10−2)、繰返し単位(11−X1)、及び繰返し単位(11−X2)を含む。
以上、ポリアリレート樹脂(PA)の第1態様について説明した。次に、ポリアリレート樹脂(PA)の第2態様について説明する。ポリアリレート樹脂(PA)の第2態様は、少なくとも2種の繰り返し単位(10)を含む。第2態様のポリアリレート樹脂(PA)としては、少なくとも2種の繰り返し単位(10)と少なくとも1種の繰り返し単位(11)とを含むポリアリレート樹脂が好ましく、2種の繰り返し単位(10)と1種の繰り返し単位(11)とを含むポリアリレート樹脂がより好ましい。
第2態様のポリアリレート樹脂(PA)が含む少なくとも2種の繰り返し単位(10)のうち、1種の繰り返し単位(10)は、繰返し単位(10−1)であることが好ましい。第2態様のポリアリレート樹脂(PA)が含む少なくとも2種の繰り返し単位(10)のうち、残りの種の繰り返し単位(10)は、繰返し単位(10−2)、又は(10−3)であることが好ましく、繰返し単位(10−3)であることがより好ましい。
第2態様のポリアリレート樹脂(PA)が含む少なくとも2種の繰り返し単位(10)が、繰返し単位(10−1)と、繰返し単位(10−1)以外の繰り返し単位(10)である場合、繰返し単位(10)の総数に対する、繰り返し単位(10−1)の数の比率(以下、比率qと記載することがある)は、0.10以上1.00未満であることが好ましく、0.50以上0.95以下であることがより好ましく、0.60以上0.95以下であることが更に好ましく、0.70以上0.90以下であることが一層好ましく、0.80であることが特に好ましい。
なお、比率p及びqは、各々、1本の分子鎖から得られる値ではなく、電荷輸送層及び単層型感光層に含有されるポリアリレート樹脂(PA)の全体(複数の分子鎖)から得られる値である。比率p及びqは、プロトン核磁気共鳴分光計を用いてポリアリレート樹脂(PA)の1H−NMRスペクトルを測定することにより算出できる。
第2態様のポリアリレート樹脂(PA)の好適な例としては、第4ポリアリレート樹脂が挙げられる。第4ポリアリレート樹脂は、下記化学式で示すように、繰返し単位(10−1)、繰返し単位(10−3)、及び繰返し単位(11−X3)を含む。
以上、ポリアリレート樹脂(PA)の第2態様について説明した。ポリアリレート樹脂(PA)において、芳香族ジオール由来の繰り返し単位(10)と、芳香族ジカルボン酸由来の繰り返し単位(11)とは、隣接して互いに結合している。ポリアリレート樹脂(PA)が共重合体である場合、ポリアリレート樹脂(PA)は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、及びブロック共重合体の何れであってもよい。
ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(10)及び(11)のみを含んでいてもよい。また、ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位(10)及び(11)に加えて、繰り返し単位(10)及び(11)以外の繰り返し単位を更に含んでいてもよい。
電荷輸送層及び単層型感光層は、バインダー樹脂として、1種のポリアリレート樹脂(PA)のみを含有してもよく、2種以上のポリアリレート樹脂(PA)を含有してもよい。また、電荷輸送層及び単層型感光層は、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(PA)のみを含有してもよく、ポリアリレート樹脂(PA)に加えてそれ以外のバインダー樹脂を更に含有してもよい。
ポリアリレート樹脂(PA)の製造方法は、特に限定されない。ポリアリレート樹脂(PA)の製造方法として、例えば、繰返し単位(10)を形成するための芳香族ジオールと、繰り返し単位(11)を形成するための芳香族ジカルボン酸とを、縮重合させる方法が挙げられる。縮重合させる方法としては、公知の合成方法(より具体的には、溶液重合、溶融重合又は界面重合等)を採用することができる。
繰返し単位(10)を形成するための芳香族ジオールは、一般式(BP−10)で表される化合物(以下、化合物(BP−10)と記載することがある)である。繰返し単位(11)を形成するための芳香族ジカルボン酸は、一般式(DC−11)で表される化合物(以下、化合物(DC−11)と記載することがある)である。一般式(BP−10)及び(DC−11)中のR11、R12、W、及びXは、各々、一般式(10)及び(11)中のR11、R12、W、及びXと同義である。
化合物(BP−10)の好適な例としては、化学式(BP−10−1)〜(BP−10−3)で表される化合物(以下、それぞれを化合物(BP−10−1)〜(BP−10−3)と記載することがある)が挙げられる。
化合物(DC−11)の好適な例としては、化学式(DC−11−X1)〜(DC−11−X6)(以下、それぞれを化合物(DC−11−X1)〜(DC−11−X6)と記載することがある)が挙げられる。
芳香族ジオール(例えば、化合物(BP−10))を、芳香族ジアセテートに変形して使用してもよい。芳香族ジカルボン酸(例えば、化合物(DC−11))を、誘導体化して使用してもよい。芳香族ジカルボン酸の誘導体の例としては、芳香族ジカルボン酸ジクロライド、芳香族ジカルボン酸ジメチルエステル、芳香族ジカルボン酸ジエチルエステル、及び芳香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。芳香族ジカルボン酸ジクロライドは、芳香族ジカルボン酸の2個の「−C(=O)−OH」基が各々「−C(=O)−Cl」基で置換された化合物である。
芳香族ジオールと芳香族ジカルボン酸との縮重合において、塩基及び触媒の一方又は両方を添加してもよい。塩基及び触媒は、公知の塩基及び触媒から適宜選択することができる。塩基の例としては、水酸化ナトリウムが挙げられる。触媒の例としては、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、アンモニウムクロライド、アンモニウムブロマイド、4級アンモニウム塩、トリエチルアミン及びトリメチルアミンが挙げられる。以上、ポリアリレート樹脂の好適な例について説明した。
次に、ポリカーボネート樹脂の好適な例について説明する。ポリカーボネート樹脂の好適な例としては、ビスフェノールZC型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂、及びビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂が挙げられる。ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂は、下記化学式(PC−Z)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂である。以下、化学式(PC−Z)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂を、ポリカーボネート樹脂(PC−Z)と記載することがある。以上、ポリカーボネート樹脂の好適な例について説明した。
(ベース樹脂)
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生層は、ベース樹脂を含有してもよい。ベース樹脂の例としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、及びメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物のアクリル酸付加物、及びウレタン化合物のアクリル酸付加物が挙げられる。電荷発生層は、これらのベース樹脂の1種のみを含有してもよく、2種以上を含有してもよい。電荷発生層及び電荷輸送層を良好に形成するためには、電荷発生層に含有されるベース樹脂は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂と異なることが好ましい。
感光体が積層型感光体である場合、電荷発生層は、ベース樹脂を含有してもよい。ベース樹脂の例としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、及びメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物のアクリル酸付加物、及びウレタン化合物のアクリル酸付加物が挙げられる。電荷発生層は、これらのベース樹脂の1種のみを含有してもよく、2種以上を含有してもよい。電荷発生層及び電荷輸送層を良好に形成するためには、電荷発生層に含有されるベース樹脂は、電荷輸送層に含有されるバインダー樹脂と異なることが好ましい。
(電子アクセプター化合物及び電子輸送剤)
感光体が積層型感光体である場合、電荷輸送層は、電子アクセプター化合物を含有することが好ましい。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、電子輸送剤を含有することが好ましい。
感光体が積層型感光体である場合、電荷輸送層は、電子アクセプター化合物を含有することが好ましい。感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、電子輸送剤を含有することが好ましい。
電子アクセプター化合物及び電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸、及びジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物、及びジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。
電子アクセプター化合物及び電子輸送剤の好適な例としては、一般式(20)、及び(21)で表される化合物(以下、それぞれを、化合物(20)、及び(21)と記載することがある)が挙げられる。
一般式(20)中、Q1、Q2、Q3及びQ4は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。一般式(21)中、Q11及びQ12は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。
一般式(20)中のQ1、Q2、Q3及びQ4、並びに一般式(21)中のQ11及びQ12が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基又はヘキシル基が好ましく、メチル基、tert−ブチル基又は1−エチル−1−メチルプロピル基がより好ましい。
一般式(20)中のQ1、Q2、Q3及びQ4、並びに一般式(21)中のQ11及びQ12が表わす炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が好ましい。
一般式(20)中のQ1、Q2、Q3及びQ4、並びに一般式(21)中のQ11及びQ12が表わす炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が好ましい。
一般式(20)中のQ1、Q2、Q3及びQ4、並びに一般式(21)中のQ11及びQ12が表わす炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、炭素原子数6以上10以下のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
一般式(20)中、Q1、Q2、Q3及びQ4は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましい。一般式(21)中、Q11及びQ12は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましい。
電子アクセプター化合物及び電子輸送剤として好ましくは、化学式(E−1)、及び(E−2)で表される化合物(以下、それぞれを、化合物(E−1)、及び(E−2)と記載することがある)が挙げられる。化合物(20)の好適な例として、化合物(E−1)が挙げられる。化合物(21)の好適な例として、化合物(E−2)が挙げられる。
電子アクセプター化合物として、化合物(20)及び(21)のうちの1種のみを感光層が含有してもよく、化合物(20)及び(21)のうちの2種以上を感光層が含有してもよい。化合物(20)及び(21)に加えて、化合物(20)及び(21)以外の電子アクセプター化合物を感光層が更に含有してもよい。
感光体が積層型感光体である場合、電荷輸送層は、1種の電子アクセプター化合物のみを含有してもよく、2種以上の電子アクセプター化合物を含有してもよい。感光体が積層型感光体である場合、電子アクセプター化合物の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層は、1種の電子輸送剤のみを含有してもよく、2種以上の電子輸送剤を含有してもよい。感光体が単層型感光体である場合、電子輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下であることが好ましく、20質量部以上40質量部以下であることがより好ましい。
(添加剤)
添加剤としては、例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、1重項消光剤又は紫外線吸収剤)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤及びレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(例えば、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール)が挙げられる。レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイルが挙げられる。
添加剤としては、例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、1重項消光剤又は紫外線吸収剤)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤及びレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(例えば、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール)が挙げられる。レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイルが挙げられる。
(材料の組み合わせ)
感光体が積層型感光体である場合、電荷輸送層に含有される材料が次に示す組み合わせの何れかであることが好ましい。電荷輸送層が含有する正孔輸送剤が第1実施形態の製造方法により製造された化合物(HTM−1)、(HTM−2)、(HTM−3)、又は(HTM−4)であり、バインダー樹脂がポリカーボネート樹脂(PC−Z)であることが好ましい。電荷輸送層が含有する正孔輸送剤が第1実施形態の製造方法により製造された化合物(HTM−1)、(HTM−2)、(HTM−3)、又は(HTM−4)であり、電子アクセプター化合物が化合物(E−1)であることが好ましい。電荷輸送層が含有する正孔輸送剤が第1実施形態の製造方法により製造された化合物(HTM−1)、(HTM−2)、(HTM−3)、又は(HTM−4)であり、バインダー樹脂がポリカーボネート樹脂(PC−Z)であり、電子アクセプター化合物が化合物(E−1)であることが好ましい。電荷輸送層に含有される材料が上記示す組み合わせの何れかであり、電荷発生層に含有される電荷発生剤がY型チタニルフタロシアニンであることが好ましい。電荷輸送層に含有される材料が上記示す組み合わせの何れかであり、電荷発生層に含有される電荷発生剤がY型チタニルフタロシアニンであり、電荷発生層に含有される添加剤がヒンダードフェノール酸化防止剤及びジメチルシリコーンオイルであることが好ましい。
感光体が積層型感光体である場合、電荷輸送層に含有される材料が次に示す組み合わせの何れかであることが好ましい。電荷輸送層が含有する正孔輸送剤が第1実施形態の製造方法により製造された化合物(HTM−1)、(HTM−2)、(HTM−3)、又は(HTM−4)であり、バインダー樹脂がポリカーボネート樹脂(PC−Z)であることが好ましい。電荷輸送層が含有する正孔輸送剤が第1実施形態の製造方法により製造された化合物(HTM−1)、(HTM−2)、(HTM−3)、又は(HTM−4)であり、電子アクセプター化合物が化合物(E−1)であることが好ましい。電荷輸送層が含有する正孔輸送剤が第1実施形態の製造方法により製造された化合物(HTM−1)、(HTM−2)、(HTM−3)、又は(HTM−4)であり、バインダー樹脂がポリカーボネート樹脂(PC−Z)であり、電子アクセプター化合物が化合物(E−1)であることが好ましい。電荷輸送層に含有される材料が上記示す組み合わせの何れかであり、電荷発生層に含有される電荷発生剤がY型チタニルフタロシアニンであることが好ましい。電荷輸送層に含有される材料が上記示す組み合わせの何れかであり、電荷発生層に含有される電荷発生剤がY型チタニルフタロシアニンであり、電荷発生層に含有される添加剤がヒンダードフェノール酸化防止剤及びジメチルシリコーンオイルであることが好ましい。
感光体が単層型感光体である場合、単層型感光層に含有される材料が次に示す組み合わせ例No.1〜No.36の何れかであることが好ましい。
表1〜表3中の用語の意味は次のとおりである。CGM、HTM、Resin、及びETMは、各々、電荷発生剤、正孔輸送剤、バインダー樹脂、及び電子輸送剤を示す。H2Pc、及びTiOPcは、各々、X型無金属フタロシアニン、及びY型チタニルフタロシアニンを示す。HTM−1〜HTM−4は、各々、第1実施形態の製造方法により製造された化合物(HTM−1)〜(HTM−4)を示す。PC−Z、第1PA、第2PA、第3PA、及び第4PAは、各々、ポリカーボネート樹脂(PC−Z)、第1ポリアリレート樹脂、第2ポリアリレート樹脂、第3ポリアリレート樹脂、及び第4ポリアリレート樹脂を示す。
(導電性基体)
第2実施形態の製造方法により製造される感光体は、導電性基体を備える。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で構成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で構成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。
第2実施形態の製造方法により製造される感光体は、導電性基体を備える。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で構成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で構成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状及びドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
(中間層)
第2実施形態の製造方法により製造される感光体は、必要に応じて、中間層(下引き層)を備えてもよい。中間層は、例えば、無機粒子、及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられる。
第2実施形態の製造方法により製造される感光体は、必要に応じて、中間層(下引き層)を備えてもよい。中間層は、例えば、無機粒子、及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄又は銅)の粒子、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ又は酸化亜鉛)の粒子、及び非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂の例は、上記バインダー樹脂の例と同じである。中間層及び感光層を良好に形成するためには、中間層用樹脂は、感光層に含有されるバインダー樹脂と異なることが好ましい。中間層は、添加剤を含有してもよい。中間層に含有される添加剤の例は、感光層に含有される添加剤の例と同じである。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<化合物(1)の製造方法>
実施例及び比較例に係る製造方法(D1)〜(D5)及び(E1)〜(E4)を、表4に示す。
実施例及び比較例に係る製造方法(D1)〜(D5)及び(E1)〜(E4)を、表4に示す。
表4中の「酢酸Pd」は、酢酸パラジウム(II)を示す。表4中の「L−1」、「L−2」、及び「HTM−1」〜「HTM−4」は、各々、第1実施形態で述べた配位子(L−1)、配位触媒(L−2)、及び化合物(HTM−1)〜(HTM−4)を示す。表4中の「収率」は、モル収率を示す。
表4の「L−3」〜「L−6」は、各々、比較例に係る製造方法で使用した配位子(L−3)〜(L−6)を示す。配位子(L−3)〜(L−6)は、各々、下記化学式(L−3)〜(L−6)で表される配位子である。なお、配位子(L−4)は、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンである。化学式(L−4)中の「Ph」は、フェニル基を表す。
表4の「化合物(A)」欄の「A−1」〜「A−4」は、各々、化合物(A−1)〜(A−4)を示す。化合物(A−1)〜(A−4)は、各々、下記化学式(A−1)〜(A−4)で表される化合物である。表4の「化合物(B)」欄の「B−1」は、化合物(B−1)を示す。化合物(B−1)は、下記化学式(B−1)で表される化合物である。
以下、表4に示す製造方法(D1)〜(D5)及び(E1)〜(E4)について説明する。
(製造方法(D1))
容量500mLの三口フラスコに、4,4’−ジブロモ−ビフェニル(化合物(B−1)、6.43g、20.6mmol)と、触媒である酢酸パラジウム(II)(0.056g、0.25mmol)と、(4−ジメチルアミノフェニル)ジ−tertブチルホスフィン(配位子(L−1)、0.13g、0.49mmol)と、ナトリウムtert−ブトキシド(4.16g、43.3mmol)と、化合物(A−1)(14.34g、42.3mmol)とを入れた。フラスコ内の脱気及び窒素ガス置換を2回繰り返すことにより、フラスコ内の空気を窒素ガスに置換した。フラスコ内に、キシレン(100mL)を加えた。フラスコ内の液が還流するまで、液を昇温させた。液を還流させながら、液を130℃で5時間攪拌した。フラスコ内の液を冷却することなく、液を濾過して液中の不溶分を除去し、濾液を得た。次いで、濾液に活性白土処理を行った。詳しくは、濾液にキシレン100gと、活性白土(日本活性白土株式会社製「SA−1」、6g)とを入れて、80℃で10分間攪拌した後、濾過して濾液を得た。このような活性白土処理を、合計3回行った。3回目の活性白土処理後に、濾液を減圧濃縮して、濃縮液を得た。濃縮液にシクロヘキサンを添加した。濃縮液を5℃まで冷却し、析出した結晶を濾過により取り出した。得られた結晶を乾燥させて、化合物(HTM−1)を得た。化合物(HTM−1)の収量は12.8gであった。化合物(B−1)に対する化合物(HTM−1)の収率は、上記表4に示す通りであった。
容量500mLの三口フラスコに、4,4’−ジブロモ−ビフェニル(化合物(B−1)、6.43g、20.6mmol)と、触媒である酢酸パラジウム(II)(0.056g、0.25mmol)と、(4−ジメチルアミノフェニル)ジ−tertブチルホスフィン(配位子(L−1)、0.13g、0.49mmol)と、ナトリウムtert−ブトキシド(4.16g、43.3mmol)と、化合物(A−1)(14.34g、42.3mmol)とを入れた。フラスコ内の脱気及び窒素ガス置換を2回繰り返すことにより、フラスコ内の空気を窒素ガスに置換した。フラスコ内に、キシレン(100mL)を加えた。フラスコ内の液が還流するまで、液を昇温させた。液を還流させながら、液を130℃で5時間攪拌した。フラスコ内の液を冷却することなく、液を濾過して液中の不溶分を除去し、濾液を得た。次いで、濾液に活性白土処理を行った。詳しくは、濾液にキシレン100gと、活性白土(日本活性白土株式会社製「SA−1」、6g)とを入れて、80℃で10分間攪拌した後、濾過して濾液を得た。このような活性白土処理を、合計3回行った。3回目の活性白土処理後に、濾液を減圧濃縮して、濃縮液を得た。濃縮液にシクロヘキサンを添加した。濃縮液を5℃まで冷却し、析出した結晶を濾過により取り出した。得られた結晶を乾燥させて、化合物(HTM−1)を得た。化合物(HTM−1)の収量は12.8gであった。化合物(B−1)に対する化合物(HTM−1)の収率は、上記表4に示す通りであった。
(製造方法(D2))
化合物(A−1)42.3mmolを、化合物(A−2)42.3mmolに変更したこと以外は、製造方法(D1)と同じ方法で、化合物(HTM−2)を得た。
化合物(A−1)42.3mmolを、化合物(A−2)42.3mmolに変更したこと以外は、製造方法(D1)と同じ方法で、化合物(HTM−2)を得た。
(製造方法(D3))
化合物(A−1)42.3mmolを、化合物(A−3)42.3mmolに変更したこと以外は、製造方法(D1)と同じ方法で、化合物(HTM−3)を得た。
化合物(A−1)42.3mmolを、化合物(A−3)42.3mmolに変更したこと以外は、製造方法(D1)と同じ方法で、化合物(HTM−3)を得た。
(製造方法(D4))
化合物(A−1)42.3mmolを、化合物(A−4)42.3mmolに変更したこと以外は、製造方法(D1)と同じ方法で、化合物(HTM−4)を得た。
化合物(A−1)42.3mmolを、化合物(A−4)42.3mmolに変更したこと以外は、製造方法(D1)と同じ方法で、化合物(HTM−4)を得た。
(製造方法(D5))
酢酸パラジウム(II)0.25mmol及び配位子(L−1)0.49mmolを、配位触媒(L−2)0.25mmolに変更したこと以外は、製造方法(D1)と同じ方法で、化合物(HTM−1)を得た。
酢酸パラジウム(II)0.25mmol及び配位子(L−1)0.49mmolを、配位触媒(L−2)0.25mmolに変更したこと以外は、製造方法(D1)と同じ方法で、化合物(HTM−1)を得た。
(製造方法(E1))
配位子(L−1)0.49mmolを、配位子(L−3)0.49mmolに変更したこと以外は、製造方法(D1)と同じ方法で、化合物(HTM−1)を得た。
配位子(L−1)0.49mmolを、配位子(L−3)0.49mmolに変更したこと以外は、製造方法(D1)と同じ方法で、化合物(HTM−1)を得た。
(製造方法(E2))
配位子(L−1)0.49mmolを、配位子(L−4)0.49mmolに変更したこと以外は、製造方法(D1)と同じ方法で、化合物(HTM−1)を得た。
配位子(L−1)0.49mmolを、配位子(L−4)0.49mmolに変更したこと以外は、製造方法(D1)と同じ方法で、化合物(HTM−1)を得た。
(製造方法(E3))
配位子(L−1)0.49mmolを、配位子(L−5)0.49mmolに変更したこと以外は、製造方法(D1)と同じ方法で、化合物(HTM−1)を得た。
配位子(L−1)0.49mmolを、配位子(L−5)0.49mmolに変更したこと以外は、製造方法(D1)と同じ方法で、化合物(HTM−1)を得た。
(製造方法(E4))
配位子(L−1)0.49mmolを、配位子(L−6)0.49mmolに変更したこと以外は、製造方法(D1)と同じ方法で、化合物(HTM−1)を得た。
配位子(L−1)0.49mmolを、配位子(L−6)0.49mmolに変更したこと以外は、製造方法(D1)と同じ方法で、化合物(HTM−1)を得た。
製造方法(D2)〜(D5)及び(E1)〜(E4)の各々における化合物(B−1)に対する反応生成物(より具体的には、化合物(HTM−1)〜(HTM−4))の収率は、上記表4に示す通りであった。
<バインダー樹脂の合成>
以下の方法により、ポリアリレート樹脂(R−1)〜(R−4)を合成した。これらのポリアリレート樹脂を、単層型感光体の製造に用いた。
以下の方法により、ポリアリレート樹脂(R−1)〜(R−4)を合成した。これらのポリアリレート樹脂を、単層型感光体の製造に用いた。
(ポリアリレート樹脂(R−1))
ポリアリレート樹脂(R−1)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(10−1)、(11−X1)及び(11−X3)のみを有するポリアリレート樹脂であった。ポリアリレート樹脂(R−1)は、繰り返し単位(11)として繰り返し単位(11−X1)及び(11−X3)の2種を有しており、比率pは0.50であった。ポリアリレート樹脂(R−1)の粘度平均分子量は、50,500であった。
ポリアリレート樹脂(R−1)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(10−1)、(11−X1)及び(11−X3)のみを有するポリアリレート樹脂であった。ポリアリレート樹脂(R−1)は、繰り返し単位(11)として繰り返し単位(11−X1)及び(11−X3)の2種を有しており、比率pは0.50であった。ポリアリレート樹脂(R−1)の粘度平均分子量は、50,500であった。
反応容器として、温度計、三方コック、及び容量200mLの滴下ロートを備えた容量1Lの三口フラスコを用いた。反応容器に、化合物(BP−10−1)10g(41.28ミリモル)と、tert−ブチルフェノール0.062g(0.413ミリモル)と、水酸化ナトリウム3.92g(98ミリモル)と、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド0.120g(0.384ミリモル)とを入れた。反応容器内の空気をアルゴンガスで置換した。反応容器の内容物に水300mLを加えた。反応容器の内容物を50℃で1時間攪拌した。次いで、反応容器の内容物の温度が10℃になるまで反応容器の内容物を冷却して、アルカリ性水溶液Aを得た。
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジクロライド(化合物(DC−11−X1)のジクロライド)4.10g(16.2ミリモル)と、4,4’−オキシビス安息香酸ジクロライド(化合物(DC−11−X3)のジクロライド)4.78g(16.2ミリモル)とを、クロロホルム150mLに溶解させた。このようにして、クロロホルム溶液Bを得た。
滴下ロートからクロロホルム溶液Bを、アルカリ性水溶液Aに110分間かけてゆっくりと滴下した。反応容器の内容物の温度(液温)を15±5℃に調節しながら、反応容器の内容物を4時間攪拌して重合反応を進行させた。次いで、デカントを用いて反応容器の内容物における上層(水層)を除去し、有機層を得た。次いで、容量1Lの三角フラスコに、イオン交換水400mLを入れた。フラスコ内容物に、得られた有機層を加えた。フラスコ内容物に、クロロホルム400mL及び酢酸2mLを更に加えた。次いで、フラスコ内容物を、室温(25℃)で30分間攪拌した。その後、デカントを用いてフラスコ内容物における上層(水層)を除去し、有機層を得た。分液ロートを用いて、得られた有機層をイオン交換水1Lで洗浄した。イオン交換水による洗浄を5回繰り返し、水洗した有機層を得た。
次に、水洗した有機層をろ過し、ろ液を得た。容量1Lのビーカーに1Lのメタノールを入れた。ビーカー内のメタノールに得られたろ液をゆっくりと滴下し、沈殿物を得た。沈殿物をろ過により取り出した。取り出した沈殿物を温度70℃で12時間真空乾燥させた。その結果、ポリアリレート樹脂(R−1)が得られた。
(ポリアリレート樹脂(R−2))
ポリアリレート樹脂(R−2)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(10−2)、(11−X1)及び(11−X3)のみを有するポリアリレート樹脂であった。ポリアリレート樹脂(R−2)は、繰り返し単位(11)として繰り返し単位(11−X1)及び(11−X3)の2種を有しており、比率pは0.50であった。ポリアリレート樹脂(R−2)の粘度平均分子量は、47,500であった。
ポリアリレート樹脂(R−2)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(10−2)、(11−X1)及び(11−X3)のみを有するポリアリレート樹脂であった。ポリアリレート樹脂(R−2)は、繰り返し単位(11)として繰り返し単位(11−X1)及び(11−X3)の2種を有しており、比率pは0.50であった。ポリアリレート樹脂(R−2)の粘度平均分子量は、47,500であった。
41.28ミリモルの化合物(BP−10−1)を41.28ミリモルの化合物(BP−10−2)に変更したこと以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)の合成と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−2)を得た。
(ポリアリレート樹脂(R−3))
ポリアリレート樹脂(R−3)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(10−2)、(11−X1)及び(11−X2)のみを有するポリアリレート樹脂であった。ポリアリレート樹脂(R−3)は、繰り返し単位(11)として繰り返し単位(11−X1)及び(11−X2)の2種を有しており、比率pは0.50であった。ポリアリレート樹脂(R−3)の粘度平均分子量は、50,500であった。
ポリアリレート樹脂(R−3)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(10−2)、(11−X1)及び(11−X2)のみを有するポリアリレート樹脂であった。ポリアリレート樹脂(R−3)は、繰り返し単位(11)として繰り返し単位(11−X1)及び(11−X2)の2種を有しており、比率pは0.50であった。ポリアリレート樹脂(R−3)の粘度平均分子量は、50,500であった。
41.28ミリモルの化合物(BP−10−1)を41.28ミリモルの化合物(BP−10−2)に変更したこと、及び16.2ミリモルの化合物(DC−11−X3)のジクロライドを16.2ミリモルの化合物(DC−11−X2)のジクロライドに変更したこと以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)の合成と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−3)を得た。
(ポリアリレート樹脂(R−4))
ポリアリレート樹脂(R−4)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(10−1)、(10−3)及び(11−X3)のみを有するポリアリレート樹脂であった。ポリアリレート樹脂(R−4)の比率qは0.80であった。ポリアリレート樹脂(R−4)の粘度平均分子量は、50,500であった。
ポリアリレート樹脂(R−4)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(10−1)、(10−3)及び(11−X3)のみを有するポリアリレート樹脂であった。ポリアリレート樹脂(R−4)の比率qは0.80であった。ポリアリレート樹脂(R−4)の粘度平均分子量は、50,500であった。
41.28ミリモルの化合物(BP−10−1)を33.02ミリモルの化合物(BP−10−1)及び8.26ミリモルの化合物(BP−10−3)に変更したこと、並びに16.2ミリモルの化合物(DC−11−X1)のジクロライド及び16.2ミリモルの化合物(DC−11−X3)のジクロライドを32.4ミリモルの化合物(DC−11−X3)のジクロライドに変更したこと以外は、ポリアリレート樹脂(R−1)の合成と同じ方法で、ポリアリレート樹脂(R−4)を得た。
なお、ポリカーボネート樹脂(PC−Z)も準備した。ポリカーボネート樹脂(PC−Z)の粘度平均分子量は、50,000であった。
<積層型感光体の製造>
(積層型感光体(P−F1)の製造)
まず、中間層を形成した。表面処理された酸化チタン(テイカ株式会社製「試作品SMT−A」、数平均一次粒径10nm)を準備した。SMT−Aは、アルミナとシリカとを用いて酸化チタンを表面処理し、表面処理された酸化チタンを湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて更に表面処理したものであった。次いで、SMT−Aの2質量部と、ポリアミド樹脂(東レ株式会社製「アミラン(登録商標)CM8000」、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66及びポリアミド610の四元共重合ポリアミド樹脂)1質量部と、メタノール10質量部と、ブタノール1質量部と、トルエン1質量部とを、ビーズミルを用いて5時間混合して、中間層用塗布液を得た。中間層用塗布液を、目開き5μmのフィルターを用いてろ過した。その後、ディップコート法により、導電性基体の表面に中間層用塗布液を塗布した。導電性基体としては、アルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長246mm)を用いた。続いて、塗布した中間層用塗布液を130℃で30分間乾燥させて、導電性基体上に中間層(膜厚2μm)を形成した。
(積層型感光体(P−F1)の製造)
まず、中間層を形成した。表面処理された酸化チタン(テイカ株式会社製「試作品SMT−A」、数平均一次粒径10nm)を準備した。SMT−Aは、アルミナとシリカとを用いて酸化チタンを表面処理し、表面処理された酸化チタンを湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて更に表面処理したものであった。次いで、SMT−Aの2質量部と、ポリアミド樹脂(東レ株式会社製「アミラン(登録商標)CM8000」、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66及びポリアミド610の四元共重合ポリアミド樹脂)1質量部と、メタノール10質量部と、ブタノール1質量部と、トルエン1質量部とを、ビーズミルを用いて5時間混合して、中間層用塗布液を得た。中間層用塗布液を、目開き5μmのフィルターを用いてろ過した。その後、ディップコート法により、導電性基体の表面に中間層用塗布液を塗布した。導電性基体としては、アルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長246mm)を用いた。続いて、塗布した中間層用塗布液を130℃で30分間乾燥させて、導電性基体上に中間層(膜厚2μm)を形成した。
次に、電荷発生層を形成した。詳しくは、Y型チタニルフタロシアニン1.5質量部と、ベース樹脂であるポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社製「エスレックBX−5」)1.0質量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテル40.0質量部と、テトラヒドロフラン40.0質量部とを、ビーズミルを用いて2時間混合して、電荷発生層用塗布液を得た。電荷発生層用塗布液を、目開き3μmのフィルターを用いてろ過した。ディップコート法により、得られたろ液を中間層上に塗布し、50℃で5分間乾燥させた。このようにして、中間層上に電荷発生層(膜厚0.3μm)を形成した。
次に、電荷輸送層を形成した。詳しくは、製造方法(D1)により製造された化合物(HTM−1)100.00質量部と、ポリカーボネート樹脂(PC−Z)100.00質量部と、電子アクセプター化合物である化合物(E−1)2.00質量部と、ヒンダードフェノール酸化防止剤(BASF社製「イルガノックス(登録商標)1010」)0.50質量部と、レベリング剤(ジメチルシリコーンオイル、信越化学工業株式会社製「KF96−50CS」)0.05質量部と、テトラヒドロフラン350.00質量部と、トルエン350.00質量部とを混合して、電荷輸送層用塗布液を得た。ディップコート法により、電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布し、120℃で40分間乾燥させた。このようにして、電荷発生層上に電荷輸送層(膜厚20μm)を形成した。その結果、積層型感光体(P−F1)が得られた。積層型感光体(P−F1)において、導電性基体上に中間層が、中間層上に電荷発生層が、電荷発生層上に電荷輸送層が備えられていた。
(積層型感光体(P−F2)〜(P−F4)の製造)
製造方法(D1)により製造された化合物(HTM−1)を、表5に示す製造方法により製造された表5に示す種類の正孔輸送剤に変更したこと以外は、積層型感光体(P−F1)の製造と同じ方法で、積層型感光体(P−F2)〜(P−F4)の各々を製造した。
製造方法(D1)により製造された化合物(HTM−1)を、表5に示す製造方法により製造された表5に示す種類の正孔輸送剤に変更したこと以外は、積層型感光体(P−F1)の製造と同じ方法で、積層型感光体(P−F2)〜(P−F4)の各々を製造した。
(積層型感光体(P−F5)及び(P−G1)〜(P−G4)の製造)
製造方法(D1)により製造された化合物(HTM−1)を、表5に示す製造方法により製造された化合物(HTM−1)に変更したこと以外は、積層型感光体(P−F1)の製造と同じ方法で、積層型感光体(P−F5)及び(P−G1)〜(P−G4)の各々を製造した。
製造方法(D1)により製造された化合物(HTM−1)を、表5に示す製造方法により製造された化合物(HTM−1)に変更したこと以外は、積層型感光体(P−F1)の製造と同じ方法で、積層型感光体(P−F5)及び(P−G1)〜(P−G4)の各々を製造した。
<積層型感光体の帯電特性の評価>
積層型感光体(P−F1)〜(P−F5)及び(P−G1)〜(P−G4)の各々に対して、温度10℃及び相対湿度20%RHの環境下で、帯電特性を評価した。詳しくは、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、積層型感光体の回転数31rpm及び積層型感光体への流れ込み電流−10μAの条件下で、積層型感光体を帯電させた。帯電させた積層型感光体の表面電位を測定した。測定した表面電位を、積層型感光体の帯電電位(V0、単位:−V)とした。積層型感光体の帯電電位(V0)を、表5に示す。
積層型感光体(P−F1)〜(P−F5)及び(P−G1)〜(P−G4)の各々に対して、温度10℃及び相対湿度20%RHの環境下で、帯電特性を評価した。詳しくは、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、積層型感光体の回転数31rpm及び積層型感光体への流れ込み電流−10μAの条件下で、積層型感光体を帯電させた。帯電させた積層型感光体の表面電位を測定した。測定した表面電位を、積層型感光体の帯電電位(V0、単位:−V)とした。積層型感光体の帯電電位(V0)を、表5に示す。
<積層型感光体の感度特性の評価>
積層型感光体(P−F1)〜(P−F5)及び(P−G1)〜(P−G4)の各々に対して、温度10℃及び相対湿度20%RHの環境下で、感度特性を評価した。詳しくは、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、積層型感光体の表面を−600Vに帯電させた。次いで、単色光(波長:780nm、露光量:0.8μJ/cm2)をハロゲンランプの光からバンドパスフィルターを用いて取り出し、積層型感光体の表面に照射した。単色光の照射終了から120ミリ秒が経過した時点の積層型感光体の表面電位を測定した。測定した表面電位を、積層型感光体の露光後電位(VL、単位:−V)とした。積層型感光体の露光後電位(VL)を、表5に示す。なお、露光後電位(VL)の絶対値が小さいほど、積層型感光体の感度特性が優れていることを示す。
積層型感光体(P−F1)〜(P−F5)及び(P−G1)〜(P−G4)の各々に対して、温度10℃及び相対湿度20%RHの環境下で、感度特性を評価した。詳しくは、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、積層型感光体の表面を−600Vに帯電させた。次いで、単色光(波長:780nm、露光量:0.8μJ/cm2)をハロゲンランプの光からバンドパスフィルターを用いて取り出し、積層型感光体の表面に照射した。単色光の照射終了から120ミリ秒が経過した時点の積層型感光体の表面電位を測定した。測定した表面電位を、積層型感光体の露光後電位(VL、単位:−V)とした。積層型感光体の露光後電位(VL)を、表5に示す。なお、露光後電位(VL)の絶対値が小さいほど、積層型感光体の感度特性が優れていることを示す。
表5中、HTM、Resin、EA、V0、及びVLは、各々、正孔輸送剤、バインダー樹脂、電子アクセプター化合物、帯電電位、及び露光後電位を示す。
<単層型感光体の製造>
(単層型感光体(P−J1)の製造)
電荷発生剤であるX型無金属フタロシアニン3質量部と、製造方法(D1)により製造された化合物(HTM−1)60質量部と、ポリカーボネート樹脂(PC−Z)100質量部と、電子輸送剤である化合物(E−1)30質量部と、溶剤であるテトラヒドロフラン800質量部とを、ボールミルを用いて50時間混合して、単層型感光層用塗布液を得た。ディップコート法により、導電性基体(アルミニウム製のドラム状支持体、直径30mm、全長238.5mm)上に、単層型感光層用塗布液を塗布した。ディップコート時の導電性基体の浸漬速度は、5mm/秒であった。塗布した単層型感光層用塗布液を、100℃で30分間熱風乾燥させた。このようにして、導電性基体上に、単層型感光層(膜厚25μm)を形成した。その結果、単層型感光体(P−J1)が得られた。単層型感光体(P−J1)において、導電性基体上に直接、単層型感光層が備えられていた。
(単層型感光体(P−J1)の製造)
電荷発生剤であるX型無金属フタロシアニン3質量部と、製造方法(D1)により製造された化合物(HTM−1)60質量部と、ポリカーボネート樹脂(PC−Z)100質量部と、電子輸送剤である化合物(E−1)30質量部と、溶剤であるテトラヒドロフラン800質量部とを、ボールミルを用いて50時間混合して、単層型感光層用塗布液を得た。ディップコート法により、導電性基体(アルミニウム製のドラム状支持体、直径30mm、全長238.5mm)上に、単層型感光層用塗布液を塗布した。ディップコート時の導電性基体の浸漬速度は、5mm/秒であった。塗布した単層型感光層用塗布液を、100℃で30分間熱風乾燥させた。このようにして、導電性基体上に、単層型感光層(膜厚25μm)を形成した。その結果、単層型感光体(P−J1)が得られた。単層型感光体(P−J1)において、導電性基体上に直接、単層型感光層が備えられていた。
(単層型感光体(P−J2)〜(P−J16)及び(P−K1)〜(P−K3)の製造)
表6に示す種類及び量の電荷発生剤を使用したこと、表6に示す製造方法により製造された表6に示す種類の正孔輸送剤を使用したこと、表6に示す種類のバインダー樹脂を使用したこと、並びに表6に示す種類の電子輸送剤を使用したこと以外は、単層型感光体(P−J1)の製造と同じ方法で、単層型感光体(P−J2)〜(P−J16)及び(P−K1)〜(P−K3)の各々を製造した。
表6に示す種類及び量の電荷発生剤を使用したこと、表6に示す製造方法により製造された表6に示す種類の正孔輸送剤を使用したこと、表6に示す種類のバインダー樹脂を使用したこと、並びに表6に示す種類の電子輸送剤を使用したこと以外は、単層型感光体(P−J1)の製造と同じ方法で、単層型感光体(P−J2)〜(P−J16)及び(P−K1)〜(P−K3)の各々を製造した。
<単層型感光体の帯電特性の評価>
単層型感光体(P−J1)〜(P−J16)及び(P−K1)〜(P−K3)の各々に対して、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で、帯電特性を評価した。詳しくは、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、単層型感光体の回転数31rpm及び単層型感光体への流れ込み電流+8μAの条件下で、単層型感光体を帯電させた。帯電させた単層型感光体の表面電位を測定した。測定した表面電位を、単層型感光体の帯電電位(V0、単位:+V)とした。単層型感光体の帯電電位(V0)を、表6に示す。
単層型感光体(P−J1)〜(P−J16)及び(P−K1)〜(P−K3)の各々に対して、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で、帯電特性を評価した。詳しくは、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、単層型感光体の回転数31rpm及び単層型感光体への流れ込み電流+8μAの条件下で、単層型感光体を帯電させた。帯電させた単層型感光体の表面電位を測定した。測定した表面電位を、単層型感光体の帯電電位(V0、単位:+V)とした。単層型感光体の帯電電位(V0)を、表6に示す。
<単層型感光体の感度特性の評価>
単層型感光体(P−J1)〜(P−J16)及び(P−K1)〜(P−K3)の各々に対して、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で、感度特性を評価した。詳しくは、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、単層型感光体の表面を+700Vに帯電させた。次いで、単色光(波長:780nm、半値幅:20nm、露光量:1.5μJ/cm2)をハロゲンランプの光からバンドパスフィルターを用いて取り出し、単層型感光体の表面に照射した。単色光の照射終了から0.5秒が経過した時点の単層型感光体の表面電位を測定した。測定した表面電位を、単層型感光体の露光後電位(VL、単位:+V)とした。単層型感光体の露光後電位(VL)を、表6に示す。なお、露光後電位(VL)の絶対値が小さいほど、単層型感光体の感度特性が優れていることを示す。
単層型感光体(P−J1)〜(P−J16)及び(P−K1)〜(P−K3)の各々に対して、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で、感度特性を評価した。詳しくは、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、単層型感光体の表面を+700Vに帯電させた。次いで、単色光(波長:780nm、半値幅:20nm、露光量:1.5μJ/cm2)をハロゲンランプの光からバンドパスフィルターを用いて取り出し、単層型感光体の表面に照射した。単色光の照射終了から0.5秒が経過した時点の単層型感光体の表面電位を測定した。測定した表面電位を、単層型感光体の露光後電位(VL、単位:+V)とした。単層型感光体の露光後電位(VL)を、表6に示す。なお、露光後電位(VL)の絶対値が小さいほど、単層型感光体の感度特性が優れていることを示す。
表6中、CGM、HTM、Resin、ETM、V0、及びVLは、各々、電荷発生剤、正孔輸送剤、バインダー樹脂、電子輸送剤、帯電電位、及び露光後電位を示す。表6中、H2Pc、及びTiOPcは、各々、X型無金属フタロシアニン、及びY型チタニルフタロシアニンを示す。
表4に示すように、製造方法(D1)〜(D4)は、配位子(30)と遷移金属を含有する触媒とを用いて(より具体的には、配位子(L−1)と酢酸パラジウム(II)とを用いて)、化合物(A)と、化合物(B)とを反応させる工程を含んでいた。製造方法(D5)は、配位子(30)が配位した遷移金属を含有する触媒を用いて(より具体的には、配位触媒(L−2)を用いて)、化合物(A)と、化合物(B)とを反応させる工程を含んでいた。一方、表4に示すように、製造方法(E1)〜(E4)では、配位子(L−3)〜(L−6)を用いていた。しかし、配位子(L−3)〜(L−6)は、一般式(30)に包含される配位子ではなかった。
表4に示すように、製造方法(D1)〜(D5)の各々により製造された化合物(1)(より具体的には、化合物(HTM−1)〜(HTM−4))の収率は、80%以上であった。一方、表4に示すように、製造方法(E1)〜(E4)の各々により製造された化合物(1)(より具体的には、化合物(HTM−1))の収率は、72%以下であった。よって、製造方法(D1)〜(D5)は、製造方法(E1)〜(E4)と比較して、高い収率で化合物(1)を製造することができた。
表5に示すように、積層型感光体(P−F1)〜(P−F5)の電荷輸送層は、製造方法(D1)〜(D5)の各々により製造された化合物(1)(より具体的には、化合物(HTM−1)〜(HTM−4))を含有していた。積層型感光体(P−F1)〜(P−F5)の露光後電位VLの絶対値は、38V以下であった。一方、表5に示すように、積層型感光体(P−G1)〜(P−G4)の電荷輸送層は、製造方法(E1)〜(E4)の各々により製造された化合物(1)(より具体的には、化合物(HTM−1))を含有していた。積層型感光体(P−G1)〜(P−G4)の露光後電位VLの絶対値は、44V以上であった。よって、製造方法(D1)〜(D5)により製造された化合物(1)は、製造方法(E1)〜(E4)により製造された化合物(1)と比較して、電荷輸送層に含有された場合に、積層型感光体の感度特性を向上できた。
表6に示すように、単層型感光体(P−J1)〜(P−J16)の単層型感光層は、製造方法(D1)〜(D4)の各々により製造された化合物(1)(より具体的には、化合物(HTM−1)〜(HTM−4))を含有していた。単層型感光体(P−J1)〜(P−J16)の露光後電位VLの絶対値は、118V以下であった。一方、表6に示すように、単層型感光体(P−K1)〜(P−K3)の単層型感光層は、製造方法(E1)により製造された化合物(1)(より具体的には、化合物(HTM−1))を含有していた。単層型感光体(P−K1)〜(P−K3)の露光後電位VLの絶対値は、120V以上であった。よって、製造方法(D1)〜(D4)により製造された化合物(1)は、製造方法(E1)により製造された化合物(1)と比較して、単層型感光層に含有された場合に、単層型感光体の感度特性を向上できた。
以上のことから、本発明に係る化合物の製造方法によれば、高い収率で化合物(1)を製造できることが示された。また、本発明に係る製造方法により製造された化合物(1)は、感光層に含有された場合に、感光体の感度特性を特に向上できることが示された。
本発明に係る製造方法により製造された化合物は、感光体に利用することができる。本発明に係る製造方法により製造された感光体は、画像形成装置に利用することがきる。
1 :感光体
2 :導電性基体
3 :感光層
3a :電荷発生層
3b :電荷輸送層
3c :単層型感光層
4 :中間層
5 :保護層
2 :導電性基体
3 :感光層
3a :電荷発生層
3b :電荷輸送層
3c :単層型感光層
4 :中間層
5 :保護層
Claims (14)
- 一般式(30)で表される配位子と遷移金属を含有する触媒とを用いて、又は前記配位子が配位した前記触媒を用いて、一般式(A)で表される化合物と、一般式(B)で表される化合物とを反応させる工程を含む、一般式(1)で表される化合物の製造方法。
前記一般式(B)中、Yはハロゲン原子を表す。) - 前記一般式(A)及び前記一般式(1)中、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9、及びR10は、各々独立に、水素原子、又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表し、
R8は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表す、請求項1〜4の何れか一項に記載の化合物の製造方法。 - 導電性基体上に直接又は中間層を介して、感光層を形成する工程を含み、
前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを少なくとも含有し、
前記正孔輸送剤は、請求項1〜6の何れか一項に記載の製造方法により製造された化合物を含む、電子写真感光体の製造方法。 - 前記バインダー樹脂は、ポリアリレート樹脂を含み、
前記ポリアリレート樹脂は、少なくとも1種の一般式(10)で表される繰り返し単位と、少なくとも1種の一般式(11)で表される繰り返し単位とを含む、請求項7に記載の電子写真感光体の製造方法。
前記一般式(11)中、Xは、化学式(X1)、(X2)、(X3)、(X4)、(X5)、又は(X6)で表される二価の基を表す。)
前記一般式(W2)中、tは、1以上3以下の整数を表す。)
- 前記感光層は、前記電荷発生剤と前記正孔輸送剤と前記バインダー樹脂とを含有する単層の感光層であり、
前記感光層は、電子輸送剤を更に含有し、
前記電子輸送剤は、一般式(20)又は(21)で表される化合物を含む、請求項7〜10の何れか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
前記一般式(21)中、Q11及びQ12は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。)
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