JP2020029346A - エレベータのドア制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドアの開閉動作中に人や物の挟まりなどに起因した過負荷状態を高精度に検出する。【解決手段】一実施形態に係るエレベータのドア制御装置100は、速度偏差算出部140、過負荷検出部130、モータ制御部110を備える。速度偏差算出部140は、乗りかご1のドア2の開閉動作時に目標速度と実速度との速度偏差を算出する。過負荷検出部130は、速度偏差の単位時間当たりの変化量に基づいてドア2の過負荷状態を検出する。モータ制御部110は、ドア2の過負荷状態が検出された場合にドア2の開閉動作を停止制御する。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、エレベータのドア制御装置に関する。
エレベータの乗りかごが各階の乗場に着床すると、かごドアが乗場ドアに係合して開閉動作する。駆動源であるドアモータは乗りかごに設置されている。このドアモータの駆動によりかごドアが開閉方向に移動し、乗場ドアはそのかごドアに追従して移動する。以下では、かごドアの動きに着目して、かごドアのことを単に「ドア」と呼ぶ。
ここで、戸開動作中にドアに人や物が挟まると、ドアの走行抵抗が増加する。通常、この走行抵抗が所定値を超えたときに、ドアが過負荷状態にあると判断して戸開動作を停止している。
特開2014−231421号公報
しかしながら、エレベータのドアは、据付時の調整によって局所的な走行抵抗の変化が生じやすい。このため、各階において、走行抵抗の値から人や物の挟まりなどに起因した過負荷状態を検出することは難しい。これは、戸閉動作中についても同様である。
本発明が解決しようとする課題は、ドアの開閉動作中に人や物の挟まりなどに起因した過負荷状態を高精度に検出することのできるエレベータのドア制御装置を提供することである。
一実施形態に係るエレベータのドア制御装置は、速度偏差算出手段と、過負荷検出手段と、制御手段とを備える。上記速度偏差算出手段は、乗りかごのドアの開閉動作時に目標速度と実速度との速度偏差を算出する。上記過負荷検出手段は、上記速度偏差算出手段によって算出された速度偏差の単位時間当たりの変化量に基づいて、上記ドアの過負荷状態を検出する。上記制御手段は、上記過負荷検出手段によって上記ドアの過負荷状態が検出された場合に上記ドアの開閉動作を停止制御する。
図1は第1の実施形態に係るエレベータのドア機構を示す概略構成図である。 図2は同実施形態における戸開動作時のドアの速度パターンを示す図である。 図3は同実施形態におけるドア制御装置に備えられた速度偏差算出部の構成を示すブロック図である。 図4は同実施形態におけるドア制御装置に備えられた過負荷検出部の構成を示すブロック図である。 図5は上記過負荷検出部に備えられた挟まれ力計算部の構成を示すブロック図である。 図6は同実施形態における通常時の速度パターンとモータ出力との関係を示す図である。 図7は同実施形態における外的要因によりドアに負荷力が発生している場合の速度パターンとモータ出力との関係を示す図である。 図8は同実施形態におけるモータ出、ドア走行抵抗、ドア動作力、挟まれ力の関係を示す図である。 図9は同実施形態におけるドア制御装置の過負荷検出処理を示すフローチャートである。 図10は同実施形態における力積値の計算タイミングを説明するための図である。 図11は第2の実施形態に係るエレベータのドア機構を示す概略構成図である。 図12は同実施形態におけるドア制御装置に備えられた過負荷検出部の構成を示すブロック図である。
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るエレベータのドア機構を示す概略構成図である。
ドア機構は、ドア2、ドア開閉機構20、モータ10、速度センサ11およびドア制御装置100から構成される。
ドア2は、例えばスライド式の1枚のドアパネルからなり、エレベータの乗りかご1の乗降口に開閉自在に設けられている。ドア2は、ドア開閉機構20に連結されている。ドア開閉機構20は、例えば複数の滑車やこれらの滑車に巻回されるベルトなどを備え、モータ10の回転力をドア2の開閉力に変換する。
モータ10は、乗りかご1の上部に設けられており、ドア制御装置100の指示に従って回転する。速度センサ11は、例えばロータリーエンコーダからなり、モータ10の回転数を検出してドア制御装置100へ出力する。
ドア制御装置100は、モータ制御部110、モータ駆動部120、過負荷検出部130、速度偏差算出部140を備える。
乗りかご1が任意の階の乗場に着床すると、モータ制御部110は、モータ駆動部120を介してモータ10を回転駆動して、ドア2を開閉動作させる。なお、乗りかご1の着床は、各階の乗場に設置された図示せぬ着床検出センサを介して検出される。
ドア制御装置100は、モータ10を正転駆動し、速度センサ11の出力信号に基づいてドア2を所定の速度(目標速度)で戸開方向に移動させる。また、ドア2を閉めるときには、ドア制御装置100は、モータ10を逆転駆動し、速度センサ11からの出力に基づいてドア2を戸閉方向に移動させる。
図2に戸開動作時のドア2の速度パターンを示す。縦軸はドア2の移動速度(m/s)、横軸は時間を示している。ドア2の速度パターンは、加速、定速、減速の3つに分けられる。乗りかご1の着床が検知されると、ドア2はこの速度パターンに従って所定速度(予め設定された目標速度)で戸開方向へ移動する。
過負荷検出部130は、戸開動作時にドア2に所定値以上の負荷がかかっている過負荷状態を検出する。本実施形態において、過負荷検出部130は、後述する速度偏差算出部140によって算出された速度偏差の単位時間当たりの変化量に基づいて、ドア2の過負荷状態を検出することが特徴である。
ドア制御装置100に備えられた過負荷検出部130と速度偏差算出部140の構成について、詳しく説明する。
図3はドア制御装置100に備えられた速度偏差算出部140の構成を示すブロック図である。
速度偏差算出部140は、速度指令部141、速度算出部142、比較部143、速度偏差出力部144、微分計算部145を備える。
速度指令部141は、乗りかご1の着床時に、図2に示したようなドア2の速度パターンに従った目標速度を指令値として出力する。速度算出部142は、速度センサ11によって検出されるモータ10の回転速度からドア2の実際の移動速度(実速度)を計算する。比較部143は、速度指令部141から出力される目標速度と速度算出部142から出力される移動速度とを比較して速度偏差Δvを計算する。
速度偏差出力部144は、乗りかご1の着床が検出されると、予め設定された時間T(積分時間T)内における速度偏差Δvの計算を開始するタイミングを所定時間Δtの間隔でシフトして、複数の開始タイミングを設定する。そして、速度偏差出力部144は、それぞれの開始タイミングから時間T(積分時間Tとも言う)が経過するまでの間に算出された複数の速度偏差Δvを平均化して平均速度偏差ΔVを求める。
平均速度偏差ΔVは、(1)式のように表せる。tsは積分開始時刻である。Nは測定回数であり、N=T/Δtである。
Figure 2020029346

微分計算部145は、平均速度偏差ΔVの変化量αを(2)式に従って計算する。
α=ΔV/T ……(2)
図4はドア制御装置100に備えられた過負荷検出部130の構成を示すブロック図である。
過負荷検出部130は、挟まれ力計算部131、力積計算部132、比較部133、停止信号発生部134を備える。
挟まれ力計算部131は、ドア2に挟まった人や物に加えられる挟まれ力を計算する。この挟まれ力は、何らかの外的要因によってドア2に発生する負荷力に相当する。挟まれ力計算部131は、図5に示すように、モータ出力計算部131a、ドア走行抵抗計算部131b、ドア動作力計算部131cを有し、以下のようにして挟まれ力(負荷力)を算出する。
モータ出力計算部131aは、モータ出力P1を計算する。モータ出力P1は、モータ10の回転速度とトルクによって決まる。ここでは、理解を容易にするため、モータ出力P1の全てがドア2に伝達されることにする。モータ出力P1は設計値であり、(3)式で表すことができる。
P1=P2+P3
=P2+(M×a1) ……(3)
P2はドア走行抵抗(摩擦力等のドア2の戸開動作を妨げる力)である。P3はドア動作力(ドア2の戸開動作に必要な力)である。Mはドア重量である。ドア重量Mは、ドア据付け時に測定され、図示せぬ記憶部に記憶されている。a1はドア2の加速度である。
ドア2に人や物などが挟まっていない通常の状態では、ドア2が図2に示した速度パターンに従って所定の速度で移動する。このときのモータ出力P1、ドア走行抵抗P2、ドア動作力P3の力関係を図1に矢印で示す。
ドア走行抵抗計算部131bは、定速度時のモータ出力P1からドア走行抵抗P2を求める。ここで、ドア2が一定速度で移動しているときには、ドア動作力P3=0のため、(4)式に示すように、モータ出力P1とドア走行抵抗P2は同じ値になる。なお、ドア走行抵抗P2をドア2の据え付け時に予め測定しておくことでも良い。
P2=P1 ……(4)
ドア動作力計算部131cは、(5)式によりドア動作力P3を計算する。
P3=M×a1 ……(5)
一方、外的要因によってドア2に負荷力が発生している場合には、ドア2の加速度が通常時よりも下がる。ここで言う「外的要因」とは、ドア2の開閉動作を妨げる要因のことであり、ドア2に手や物が挟まった場合などが含まれる。
この様子を図6及び図7に示す。図6は通常時の速度パターンとモータ出力との関係を示す図である。図7はドア2に人や物が挟まっている場合(外的要因によってドア2に負荷力が発生している場合)の速度パターンとモータ出力との関係を示す図である。
外的要因によってドア2に負荷力が発生している場合には、ドア2の加速度がa1からa2に低下するため、ドア動作力P3が下がる。このときのドア動作力P3は、(6)式で表される。一方、速度フィードバック制御を行っているため、モータ出力P1は上昇して、図7のような外的要因を含んだ力になる。
P3=M×a2
=M×(a1−α) ……(6)
Mはドア重量、a2はドア2に人や物が挟まっている場合の加速度である。上記(2)式に示した平均速度偏差ΔVの変化量αを用いて加速度a2を表すと、a2=(a1−α)となる。
挟まれ力計算部131は、モータ出力P1、ドア走行抵抗P2、ドア動作力P3を用いて挟まれ力P4を求める。このときのモータ出力P1、ドア走行抵抗P2、ドア動作力P3、挟まれ力P4の力関係を図8に矢印で示す。
一般的に、ドア動作力P3を戸開力として計算するが、本実施形態では、戸開力をドア動作力P3と挟まれ力P4を分けて計算する。
P1=P2+P3+P4である。したがって、挟まれ力P4は、(7)式のように表される。
P4=P1−(P2+P3) ……(7)
上記(7)式において、ドア2が戸開動作しているときにモータ出力P1とドア走行抵抗P2の値は分かっている。上記(6)式によりドア動作力P3を求めれば、挟まれ力P4を得ることができる。
ここで、人が圧力に対して感じる痛みは、瞬間的に与えられる力よりも、一定の時間の間に継続的に与えられる力の積分(挟まれ力P4の積分)の方が大きな相関を有する場合が多い。したがって、本実施形態では、一定時間内における挟まれ力P4の力積値を用いてドア2の過負荷状態を検出する構成としている。
図4において、力積計算部132は、乗りかご1の着床が検出されると、予め設定された時間T(積分時間T)内における挟まれ力P4の計算を開始するためのタイミングを所定時間Δtの間隔でシフトして、複数の開始タイミングを設定する。なお、このときのT,Δtの間隔は、上述した速度偏差算出部140で複数の開始タイミングを設定したときと同じである。
力積計算部132は、それぞれの開始タイミングから時間Tが経過するまでに算出された複数の挟まれ力P4の合計値を力積値PT(K)として求める。
力積値PT(K)は、(8)式で表される。この場合、時刻t1から時刻(t1+T)までの挟まれ力P4の合計値は力積値PT(1)、時刻t2から時刻(t2+T)までの挟まれ力の合計値は力積値PT(2)、時刻t3から時刻(t3+T)までの挟まれ力の合計値は力積値PT(3)として算出される。
Figure 2020029346

tsは、積分開始時刻である。teは、積分終了時刻である。te−ts=Δt×N=Tである。時間Tは、人が痛みに反応する時間や、ドア2の移動速度等を考慮して設定される。例えば、時間Tは10ms〜1sの間で設定される。ここでは、T=100ms、Δt=10msとした場合について説明する。
比較部133は、力積計算部132によって算出された挟まれ力P4の力積値PT(K)と予め設定された閾値THとを比較する。閾値THは、ドア2の重量、移動速度等に基づいて設定され、予め図示せぬ記憶部に記憶されている。
例えば、人に与える力の許容値を250N、積分時間T=100msとした場合、閾値THは「25N・s」として設定される。比較部133は、挟まれ力P4の力積値PT(K)が閾値TH以上であった場合に、ドア2が過負荷状態であると判断して、過負荷状態であることを示す信号(以下、過負荷状態信号と称す)を停止信号発生部134に出力する。
停止信号発生部134は、比較部133から過負荷状態信号を受信すると、モータ10の駆動を停止させるための停止信号をモータ駆動部120に対して発生する。モータ駆動部120は、この停止信号を受けてモータ10の駆動を停止する。
次に、本実施形態の動作について説明する。
図9はドア制御装置100の過負荷検出処理を示すフローチャートである。
ドア制御装置100は、図示せぬ着床検知センサを介して乗りかご1が呼び(乗場呼び/かご呼び)の登録階に着床したことを検知すると(ステップS11のYes)、以下のような処理を実行する。
すなわち、ドア制御装置100(モータ制御部110)は、モータ駆動部120を介してモータ10を駆動して、乗りかご1のドア2を戸開方向へ移動させる(ステップS12)。このとき、図示せぬ乗場ドアがドア2に係合して一緒に戸開方向へ移動する。また、モータ10の駆動によりドア2が移動すると、そのときの移動速度が速度センサ11によって検出されドア制御装置100に与えられる(ステップS13)。
ここで、ドア制御装置100は、初期設定として、カウンタK=0に設定する(ステップS14)。
次に、ドア制御装置100は、一定時間Tにおける挟まれ力P4の力積値を計算するために、積分開始時刻tsと積分終了時刻teを設定する(ステップS15)。積分開始時刻tsは、ts=Δt×K−Tで表される。積分終了時刻teは、te=t0+Δt×Kで表せる。
図10に示すように、1回目はK=0である。したがって、着床検知時刻であるt0をteに設定し、ts=t0−T,te=t0となる。2回目はK=1であり、ts=t1−T,te=t1=t0+Δtとなる。3回目はK=2であり、ts=t2−T,te=t2=t0+Δt×2となる。以下、同様である。
モータ10の駆動に伴い、ドア制御装置100の速度偏差算出部140は、上記(1)式と(2)式を用いて、ts−teの区間における平均速度偏差ΔVを算出すると共に、その平均速度偏差ΔVの変化量αを算出する(ステップS16,S17)。
ドア制御装置100の過負荷検出部130は、この速度偏差算出部140によって算出された平均速度偏差ΔVの変化量αに基づいて、当該区間における挟まれ力P4を算出する(ステップS18)。詳しくは、過負荷検出部130は、図4に示した挟まれ力計算部131において、モータ出力P1、ドア走行抵抗P2、ドア動作力P3を用いて挟まれ力P4を求める。
次に、力積計算部132において、上記(8)式に従って挟まれ力P4の力積値PT(K)を計算する(ステップS19)。この場合、1回目はK=0であり、ts=t0−T,te=t0の区間における挟まれ力P4の力積値PT(0)を計算する。2回目はK=1となるので、ts=t1−T,te=t1=t0+Δtの区間における挟まれ力P4の力積値PT(1)を計算する。3回目はK=2となるので、ts=t2−T,te=t2=t0+Δt×2の区間における挟まれ力P4の力積値PT(2)を計算する。
このようして、一定時間T内における挟まれ力P4の力積値PT(K)がΔtの間隔で順次計算される。
次に、比較部133において、挟まれ力P4の力積値PT(K)と予め設定された閾値THとを比較する(ステップS20)。上述したように、例えば、人に与える力の許容値を250N、積分時間T=100msとした場合、閾値TH=25N・sである。
挟まれ力P4の力積値PT(K)が閾値TH未満であれば(ステップS20のNo)、過負荷検出部130は、カウンタKを+1更新しながら(ステップS21)、上記ステップS15からの処理を繰り返す。そして、戸開動作が完了したことを図示せぬセンサによって検知されると(ステップS22のYes)、ここでの処理を終える。
一方、戸開動作が完了するまでの間に、挟まれ力P4の力積値PT(K)が閾値TH以上になった場合(ステップS20のYes)、過負荷検出部130は、外的要因によりドア2が過負荷状態にあると判断する(ステップS23)。
ドア2の過負荷状態が検出されると、ドア制御装置100は、モータ制御部110を通じてモータ10の駆動を停止する(ステップS24)。なお、モータ10の駆動を停止した後、モータ10を逆回転させてドア2を戸閉方向に移動させることでも良い。
このように第1の実施形態によれば、モータ10の駆動によって与えられるドア2の戸開力をドア動作力P3と挟まれ力P4に分け、ドア動作力P3については平均速度偏差ΔVの変化量αから求めることで、ドア2に人や物が挟まった場合に発生する挟まれ力P4だけを正しく算出して過負荷状態を検出することができる。
この場合、挟まれ力P4の瞬間的な値でなく、一定時間内における力積値PT(K)を用いて過負荷状態を検出することで、不用意に過負荷状態と判断して戸開動作を止める頻度を低減し、ドア2に人や物が挟まって危険な状態のときに戸開動作を確実に止めることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
例えば成人と幼児とではドア2から受けるダメージが異なる。第2の実施形態では、ドア2に挟まった人の特性に応じて閾値THを変更する構成としたものである。
図11は第2の実施形態に係るエレベータのドア機構を示す概略構成図である。なお、上記第1の実施形態における図1の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
乗りかご1内に小型のカメラ12がドア2に向けて設置されている。このカメラ12は、ドア2に挟まった人を撮影し、その撮影画像をドア制御装置100に送る。なお、カメラ12の設置場所は、ドア2に挟まった人を撮影可能な場所であれば、どこでも良い。
ドア制御装置100には、モータ制御部110、モータ駆動部120、過負荷検出部130、速度偏差算出部140に加え、画像認識部150が備えられている。
画像認識部150は、カメラ12によって撮影された画像からドア2に挟まった人の特性を認識する機能を有する。「人の特性」には、例えば幼児、子供、老人、成人といったように年齢的な要素を含む。幼児、子供、老人、成人の分類は、例えば福祉法などで一般的に定められている年齢に準じる。
なお、画像から人を認識すると共にし、その人の体型や顔立ちなどから、年齢的な特性などを認識する方法は公知であり、ここではその詳しい説明を省略する。
図12はドア制御装置100に備えられた過負荷検出部130の構成を示すブロック図である。なお、上記第1の実施形態における図4の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
過負荷検出部130には、挟まれ力計算部131、力積計算部132、比較部133、停止信号発生部134に加え、閾値設定部135と記憶部136が備えられている。
閾値設定部135は、画像認識部150によって認識された人の特性に基づいて記憶部136から適切な閾値を読み出して比較部133に設定する。
記憶部136には、予め人の特性に応じて設定された複数の閾値が記憶されている。具体的には、幼児を対象として設定された第1の閾値TH1、子供を対象として設定された第2の閾値TH2、老人を対象として設定された第3の閾値TH3、成人を対象として設定された第4の閾値TH4が記憶部136に記憶されている。
これらの閾値TH1〜4は、予め実験によって幼児、子供、老人、成人ごとに許容できる力の値に設定されている。この場合、幼児用の第1の閾値TH1が最も低く、成人用の第4の閾値TH4が最も高く設定されている(TH1<TH2<TH3<TH4)。例えば、第1の閾値TH1=10N・s、第2の閾値TH2=15N・s、第3の閾値TH3=20N・s、第4の閾値TH4=25N・sである。
このような構成において、基本的な処理の流れは図9に示したフローチャートと同様である。ただし、第2の実施形態では、ステップS20で用いられる閾値THがドア2に挟まった人の特性に応じて適宜変更される。
すなわち、ドア2に人の手が挟まり、ドア2に対する負荷が通常よりも上がった場合に、ドア制御装置100は、カメラ12によって撮影された画像からドア2に挟まっている人を年齢的な特性を認識する。詳しくは、ドア制御装置100は、カメラ12の撮影画像を画像認識部150に与え、当該撮影画像からドア2に挟まっている人の体型、顔立ちなどから幼児、子供、成人、老人の年齢的分類に分ける。
ここで、例えばドア2に挟まれた人が幼児であった場合には、図12に示した記憶部136から幼児用の第1の閾値TH1が読み出さる。閾値設定部135は、この第1の閾値H1を比較部133に設定する。
これにより、図9のステップS20では、挟まれ力P4の力積値PT(K)と第1の閾値TH1とが比較される。第1の閾値TH1は、例えば10N・sであり、成人用の第4の閾値TH4よりも低い。したがって、ドア2に成人が挟まれたときよりも早く過負荷状態になって、モータ10の駆動が停止する。
このように第2の実施形態によれば、ドア2に挟まった人の特性に応じて閾値THを変更することにより、ドア2に幼児や子供などが挟まった場合に通常よりも早くモータ10の駆動を止めて対処できる。
なお、幼児、子供、老人、成人といった年齢的な分類の他に、男性、女性といった性別の分類も加えて、それぞれに閾値THを設定しても良い。なお、性別の認識は、撮影画像の認識処理によって可能である。
また、例えば車イスや松葉杖などの歩行補助器具の有無に応じて、閾値THをさらに細かく設定しても良い。なお、歩行補助器具の認識は、撮影画像の認識処理によって可能である。
また、上記第2の実施形態では、戸開動作中にドア2に挟まった人の特性に応じて閾値THを変更したが、戸開動作の開始前に、ドア2の近くにいる人の特性を撮影画像から認識し、その人の特性に応じて閾値THを事前に変更しておくことでも良い。
その際、平均速度偏差ΔVや力積値PT(K)を算出するときの積分時間Tを人の特性に応じて変更することでも良い。例えば、幼児であれば、積分時間Tを通常よりも短く設定しておくことで、早めにモータ10の駆動を止めて対処できる。
(変形例1)
ドア2の重量Mが重いほど、ドア2の戸開動作の慣性力は高くなり、人に与えるダメージが大きくなる傾向がある。したがって、ドア2の重量に応じて過負荷状態を検出する閾値THまたは積分時間Tを変更することにより、人に大きなダメージを与える前にドア2の戸開動作を停止することができる。
(変形例2)
ドア2の移動速度が速いほど、人に与えるダメージが大きくなる傾向がある。したがって、ドア2の移動速度に応じて過負荷状態を検出する閾値THまたは積分時間Tを変更することにより、人に大きなダメージを与える前にドア2の戸開動作を停止することができる。
なお、上記第1および第2の実施形態では、乗りかご1のドア2を開く場合について説明したが、ドア2を閉じる場合(戸閉時)でも同様であり、開く動作と閉まる動作とを置き換えることにより説明することができる。
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、ドアの開閉動作中に人や物の挟まりなどに起因した過負荷状態を高精度に検出するエレベータのドア制御装置を提供することができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…乗りかご、2…ドア、10…モータ、11…速度センサ、20…ドア開閉機構、100…ドア制御装置、110…モータ制御部、120…モータ駆動部、130…過負荷検出部、131…挟まれ力計算部、131a…モータ出力計算部、131b…ドア走行抵抗計算部、131c…ドア動作力計算部、132…力積計算部、133…比較部、134…停止信号発生部、140…速度偏差算出部、141…速度指令部、142…速度算出部、143…比較部、144…速度偏差出力部、145…微分計算部、P1…モータ出力、P2…ドア走行抵抗、P3…ドア動作力、P4…挟まれ力。
一実施形態に係るエレベータのドア制御装置は、速度偏差算出手段と、過負荷検出手段と、制御手段とを備える。上記速度偏差算出手段は、乗りかごのドアの開閉動作時に目標速度と実速度との速度偏差を算出する。上記過負荷検出手段は、上記速度偏差算出手段によって算出された速度偏差の単位時間当たりの変化量に基づいて、上記ドアの過負荷状態を検出する。上記制御手段は、上記過負荷検出手段によって上記ドアの過負荷状態が検出された場合に上記ドアの開閉動作を停止制御する。上記速度偏差算出手段は、予め設定された時間内における上記速度偏差の計算を開始するタイミングを所定時間シフトして複数の開始タイミングを設定し、それぞれの開始タイミングから上記時間が経過するまでの間に算出された複数の速度偏差の平均値の単位時間当たりの変化量を算出することを特徴とする。

Claims (10)

  1. 乗りかごのドアの開閉動作時に目標速度と実速度との速度偏差を算出する速度偏差算出手段と、
    この速度偏差算出手段によって算出された速度偏差の単位時間当たりの変化量に基づいて、上記ドアの過負荷状態を検出する過負荷検出手段と、
    この過負荷検出手段によって上記ドアの過負荷状態が検出された場合に上記ドアの開閉動作を停止制御する制御手段と
    を具備したことを特徴とするエレベータのドア制御装置。
  2. 上記速度偏差算出手段は、
    予め設定された時間内における上記速度偏差の計算を開始するタイミングを所定時間シフトして複数の開始タイミングを設定し、それぞれの開始タイミングから上記時間が経過するまでの間に算出された複数の速度偏差の平均値の単位時間当たりの変化量を算出することを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
  3. 上記過負荷検出手段は、
    上記速度偏差の単位時間当たりの変化量に基づいて上記ドアの動作力を求め、上記ドアを駆動するモータの出力と上記ドアの動作力との関係から外的要因によって上記ドアに発生する負荷力を算出することを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
  4. 上記過負荷検出手段は、
    上記負荷力が予め設定された閾値以上の場合に上記ドアが過負荷状態であると判断することを特徴とする請求項3記載のエレベータのドア制御装置。
  5. 上記過負荷検出手段は、
    予め設定された時間内における上記負荷力の計算を開始するタイミングを所定時間シフトして複数の開始タイミングを設定し、それぞれの開始タイミングから上記時間が経過するまでの間に得られる複数の負荷力を積算した力積値と上記閾値とを比較することを特徴とする請求項4記載のエレベータのドア制御装置。
  6. 上記ドアの近くに設置されたカメラの撮影画像から上記ドアに負荷を与えている人の特性を認識する画像認識手段を備え、
    上記過負荷検出手段は、
    上記画像認識手段によって認識された人の特性に応じて上記閾値を変更することを特徴とする請求項4記載のエレベータのドア制御装置。
  7. 上記過負荷検出手段は、
    上記画像認識手段によって認識された人の特性に応じて上記負荷力を積算する時間を変更することを特徴とする請求項5記載のエレベータのドア制御装置。
  8. 上記人の特性には、年齢的な要素が含まれることを特徴とする請求項6または7記載のエレベータのドア制御装置。
  9. 上記過負荷検出手段は、
    上記ドアの重量または移動速度に応じて上記閾値を変更することを特徴とする請求項4記載のエレベータのドア制御装置。
  10. 上記過負荷検出手段は、
    上記ドアの重量または移動速度に応じて上記負荷力を積算する時間を変更することを特徴とする請求項5記載のエレベータのドア制御装置。
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