JP2020026102A - 防汚性フィルム、防汚性フィルムの製造方法、防汚性積層体及び表示装置 - Google Patents

防汚性フィルム、防汚性フィルムの製造方法、防汚性積層体及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】安定した防汚性を付与できる防汚性フィルムを提供する。【解決手段】基材上に防汚層を有してなり、前記防汚層は、バインダー成分(a)、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)、及び、リン酸エステル基を有する化合物(c)を含む、防汚性フィルム。前記防汚性フィルムは、その平面方向において第1領域及び第2領域を有し、前記第1領域の表面形状と前記第2領域の表面形状とが異なることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、防汚性フィルム、防汚性フィルムの製造方法、防汚性積層体及び表示装置に関する。
任意の被着体の表面に防汚性を付与することが求められる場合がある。
被着体の表面に防汚性を付与する手段としては、被着体の表面に防汚性塗料をスプレー等で直接塗装する手段が挙げられる。しかし、被着体の表面に直接塗装する場合、塗装ムラにより機能にムラが生じる問題がある。特に、被着体が表面に凹凸形状を有する場合、塗装ムラの問題は顕著になりやすい。
塗装とは別の手段として、インサート成形が挙げられる。具体的には、基材上に防汚層を有する防汚性フィルムを射出成形の金型内に配置し、基材側に射出樹脂を流し込み、防汚性フィルムの基材側と、被着体である射出樹脂とを一体化することにより、被着体に防汚性を付与した成形体を得ることができる。
インサート成形に用いられる防汚性フィルムとしては、例えば、特許文献1〜3が提案されている。
特開2001−329136号公報 特開2015−147369号公報 特開2016−20049号公報
しかし、特許文献1〜3に代表される従来の防汚性フィルムは、防汚性に優れる防汚剤を適切な量で用いても、期待したレベルの防汚性を発現できない場合があった。
本発明は、安定した防汚性を付与できる防汚性フィルム、該防汚性フィルムを用いた積層体及び表示装置、並びに該防汚性フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく本発明者らは鋭意研究した結果、防汚層を形成する過程で防汚層に金属ロールが押し当てられる工程を含む場合に、防汚性フィルムの防汚性が期待したレベルを下回るケースが頻発することを見出した。そして、さらに研究を重ねた結果、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)と、リン酸エステル基を有する化合物(c)とを併用することにより、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)の防汚性を安定して発現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の[1]〜[4]を提供する。
[1]基材上に防汚層を有してなり、前記防汚層は、バインダー成分(a)、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)、及び、リン酸エステル基を有する化合物(c)を含む、防汚性フィルム。
[2]下記(1)及び(2)の工程を有する、防汚性フィルムの製造方法。
(1)基材上に、バインダー成分(a)、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)、及び、リン酸エステル基を有する化合物(c)を含む防汚層形成用塗布液を塗布し、塗膜を形成する工程。
(2)塗膜に金属ロールを押し当て防汚層を形成する工程。
[3]上記[1]に記載の防汚性フィルムの基材側と、被着体とを一体化してなる、防汚性積層体。
[4]表示素子上に、上記[1]に記載の防汚性フィルム又は上記[3]に記載の防汚性積層体を有する、表示装置。
本発明の防汚性フィルム、防汚性積層体及び表示装置によれば、安定した防汚性を付与することができる。また、本発明の防汚性フィルムの製造方法によれば、安定した防汚性を有する防汚性フィルムを簡易に製造することができる。
本発明の防汚性フィルムの一実施形態を示す断面図である。 本発明の防汚性フィルムの一実施形態を示す平面図である。 従来の防汚性フィルムと、本発明の防汚性フィルムとの違いを示すイメージ図である。 本発明の防汚性フィルムの製造工程の一実施形態を示す概略図である。 本発明の防汚性積層体の一実施形態を示す断面図である。
[防汚性フィルム]
本発明の防汚性フィルムは、基材上に防汚層を有してなり、前記防汚層は、バインダー成分(a)、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)、及び、リン酸エステル基を有する化合物(c)を含むものである。
以下、本明細書において、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)のことを「防汚剤(b)」、リン酸エステル基を有する化合物(c)のことを「化合物(c)」と称する場合がある。
また、本明細書において「AA〜BB」とは、「AA以上BB以下」のことをいう。以下、同様である。
図1は、本発明の防汚性フィルム100の一実施形態を示す断面図であり、図2は、本発明の防汚性フィルム100の一実施形態を示す平面図である。
図1の防汚性フィルム100は、基材11上に防汚層12を有している。また、図1及び図2の防汚性フィルム100は、防汚層12側の表面に第1領域R及び第2領域Rを有している。
<基材>
基材は特に限定されず、プラスチックフィルム、ガラス、セラミックス、繊維布帛及び紙等が挙げられる。これら基材の中でも、防汚性フィルムと被着体とを一体化する際の作業性の観点からプラスチックフィルムが好ましい。また、基材は防汚層との密着性を良好にするために、物理的処理又は化学的処理を施したものであってもよいし、易接着層を形成したものであってもよい。
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ナイロン6又はナイロン66等のポリアミド系樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等の樹脂、ポリイミド系樹脂の1種又は2種以上から形成したプラスチックフィルムが挙げられる。
なお、延伸倍率の高いプラスチックフィルムを用いると、縦横の延伸倍率の差を原因として、防汚性フィルムを成形しにくくなる傾向がある。このため、インサート成形等の成形性を良好にするために、プラスチックフィルムは延伸倍率の低いもの、あるいは、未延伸のものが好ましい。
上述したプラスチックフィルムの中でも、透明性が良好であるとともに、防汚層との屈折率差を小さくすることによる干渉縞を抑制しやすい、アクリル系樹脂フィルムが好ましい。
また、アクリル系樹脂フィルムは溶剤及びモノマーにより溶解又は膨潤しやすい。このため、防汚層形成用塗布液が溶剤又はモノマーを含む場合、アクリル系樹脂フィルムを用いることにより、アクリル系樹脂フィルムと防汚層との密着性を良好にしやすくでき、さらには、アクリル系樹脂フィルムの界面が荒れるため干渉縞を抑制しやすくできる。
また、アクリル系樹脂フィルムは熱で軟化しやすいため、防汚性フィルムと被着体とをインサート成形で一体化する際に、防汚性フィルムの基材(アクリル系樹脂フィルム)と、被着体である射出樹脂との密着性を良好にしやすい点で好適である。
また、アクリル系樹脂フィルムは、インサート成形等の成形時にかかる負荷のような所定の負荷がかかっても、透明性等の光学特性が変化し難い点でも好ましい。
基材の厚みは特に限定されないが、プラスチックフィルムの場合、10〜500μmであることが好ましく、20〜400μmであることがより好ましく、30〜300μmであることがさらに好ましい。
<防汚層>
防汚層は、バインダー成分(a)、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)、及び、リン酸エステル基を有する化合物(c)を含む。
通常、基材11上に、バインダー成分(a)及びパーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)を含む防汚層形成用塗布液から防汚層12を形成した場合、エネルギーの低い空気界面側(防汚層12の表面側)に防汚剤が偏在するため、防汚層は十分な防汚性を発現する。
しかし、防汚層12を形成する過程で金属ロール70が押し当てられた場合、図3(A)に示すように、エネルギーの高い金属ロール70側(防汚層12の表面側)に防汚剤Xを偏在させることができず、防汚層は防汚剤の添加量に見合った防汚性を発現できなくなる。(塗布液を塗布した時点では塗膜の空気界面側に防汚剤が集まるが、塗膜にエネルギーの高い金属ロールが押し当てられた時点で防汚剤が内部に引っ込んでしまうため、防汚性を発現できなくなる。)
本発明では、防汚層がリン酸エステル基を有する化合物(c)を含むことにより、防汚層12を形成する過程で防汚層12に金属ロール70が押し当てられても、防汚層12の表面側に防汚剤Xを偏在させることができ、防汚層12は防汚剤の添加量に見合った防汚性を発現することができる。この理由は、リン酸エステルは金属に結合しやすいため、図3(B)に示すように、リン酸エステル基を有する化合物Yが金属ロール70に引き寄せられて防汚層12の表面側のエネルギーが低下し、エネルギーが低下した防汚層12の表面にパーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤Xが偏在しやすくなるためと考えられる。
以上のように、本発明の防汚性フィルムは防汚層にリン酸エステル基を有する化合物(c)を含むことによって、防汚性フィルムの製造方法にかかわらず、安定した防汚性を付与することができる。
なお、防汚層中に防汚剤を多量に含有させれば、リン酸エステル基を有する化合物を用いなくても防汚性を向上することは可能である。しかし、その場合、多量に含む防汚剤が起因となり、防汚層の耐擦傷性が低下したり、防汚層のヘイズが上昇したりして、防汚性フィルムの性能が大幅に低下してしまう。
<<バインダー成分(a)>>
バインダー成分(a)としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物及び電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物等が挙げられる。
上記の樹脂成分の中でも、緻密に架橋することにより、防汚層の耐擦傷性を良好にしやすくするとともに、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)のブリードアウトを抑制しやすい、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。当該効果を発揮しやすくするため、防汚層を構成する全バインダー成分のうち、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物の含有割合は70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることがよりさらに好ましい。
バインダー成分(a)はフッ素を含有しないことが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ナイロン、ポリスチレン及びABS樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、尿素メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
本明細書において、(メタ)アクリロイル基はアクリル基又はメタクリル基を示し、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを示す。
電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましい。また、転写シートを製造する過程で樹脂層が傷つくことを抑制する観点からは、電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、防汚層形成用塗布液は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
<<防汚剤(b)>>
防汚層は、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)を含む。
防汚層は、防汚性フィルムの最表面に位置することが好ましい。
パーフルオロポリエーテル基としては、例えば、−CFO−、−CFCFO−、−CFCFCFO−、−CF(CF)CFO−、−OCFOCFCF−、−CFCFCFCFO−、−CFCF(CF)CFO−、−CFCFCFCFCFCFO−、−C(CFO−等から選ばれる構造を繰り返し有するものが挙げられる。これらは、1種類のみでも2種類以上を含んでもよい。
防汚剤(b)は、その少なくとも一部がバインダー成分(a)と結合してなることが好ましい。防汚剤(b)がバインダー成分(a)と結合していることにより、防汚層から防汚剤(b)がブリードアウトすることを抑制でき、防汚性を長期に渡って持続することができる。
バインダー成分(a)に対して防汚剤(b)を結合しやすくするために、防汚剤(b)は電離放射線硬化性官能基を有するものが好ましい。
電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
防汚剤(b)の分子内の電離放射線硬化性官能基の数の平均は特に限定されないが、1〜2個であることが好ましい。防汚剤(b)の分子内の電離放射線硬化性官能基の数を少なくすることにより、防汚剤同士で自己架橋して防汚剤(b)が局所的に集合することを抑制し、局所的な物性の低下(例えば塗膜強度の低下)を抑制できる。
防汚剤(b)は、シロキサン結合を有する構造を基本骨格として、該シロキサン結合の側鎖に有機基を有するオルガノポリシロキサン構造を有し、該有機基として、パーフルオロポリエーテル基及び電離放射線硬化性官能基を有することが好ましい。当該構造を備えた防汚剤(b)は、例えば、下記一般式(I)で示される化合物が挙げられる。
式(I)中、aは1〜4の整数、bは0〜3の整数、cは1〜4の整数である。但し、a+b+cは3〜5の整数である。eは2〜8の整数である。aは好ましくは1であり、bは好ましくは1または2であり、cは好ましくは1または2である。eは好ましくは2〜4の整数である。
また、式(I)中、Rは、下記式(II)で示される基である。
−(CO)(CO)(CO)(CHO) (II)
式(II)中、f、g、h、及びiはRの分子量が30〜3000となる範囲において、それぞれ独立に、0〜100の整数であり、各繰り返し単位の配列はランダムであってよく、Rは炭素数1〜10の飽和もしくは不飽和炭化水素基である。
の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられ、メチル基及びエチル基が好ましい。
式(I)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基である。Rは水素原子が好ましい。
式(I)中、Rは、下記式(III)で示されるパーフルオロポリエーテル残基である。
式(III)中、j、k、l及びmはRfの分子量が200〜6000となる範囲において、それぞれ独立に0〜50の整数であり、Xはフッ素原子もしくはトリフルオロメチル基であり、各繰り返し単位の配列はランダムであってよい。
式(I)中、Zは2価の有機基であり、dは0または1である。
Zは、Rfをエチレン基に連結できる有機基であればよく、アクリル基の重合を阻害するようなものでなければ、その構造は特に制限されない。Zの具体例としては、以下の基が挙げられる。
一般式(I)の化合物は、側鎖量が異なるものの混合物を調製することができる。例えば、a=b=c=1のものが50モル%で、a=1、b=c=2のものが50モル%の混合物を調製し、全体として、a=1、b=c=1.5とすることができる。
一般式(I)の化合物は、例えば、特開2010−53114号に記載の方法で合成することができる。
防汚剤(b)の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)が500〜50,000であることが好ましく、500〜20,000であることがより好ましい。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)としては、例えば、ダイキンエ業社製の「オプツールDAC」及び「オプツールDAC-HP」、信越化学工業社製の「KY-1 203」及び「KNS 5300」、DIC社製の「メガファックR S-75」、「メガファックRS-72-K」、「メガファックRS-76-EJ、「メガファックRS-76-NS」、「メガフアックRS-90」、「ディフェンサTF3028」、「ディフェンサTF3001」及び「ディフェンサTF3000」、新中村化学工業社製の「SUA1900L10」及び「SUA1900L6」、ソルベイ社製の「フルオロリンクP56」、「フルオロリンクP54」、「フルオロリンクF10」、「フルオロリンクA10P」、「フルオロリンクAD1 700」、「フルオロリンクMD700」及び「フルオロリンクE10H」等が挙げられる。
防汚剤(b)の含有量は、防汚層の全固形分の0.05〜3.00質量%であることが好ましく、0.10〜1.00質量%であることがより好ましく、0.15〜0.75質量%であることがさらに好ましい。
防汚剤(b)の含有量を0.05質量%以上とすることにより、指紋等の付着を抑制して防汚性を良好にしやすくできる。また、防汚剤(b)の含有量を3.00質量%以下とすることにより、ヘイズの上昇及び耐擦傷性の低下を抑制しやすくできる。
<<化合物(c)>>
防汚層は、リン酸エステル基を有する化合物(c)を含む。
リン酸エステル基は、リン酸 「O=P(OH)」 が持つ3個の水素の全てまたは一部が有機基で置き換わった基である。
上述したように、防汚層がリン酸エステル基を有する化合物(c)を含むことにより、防汚層を形成する過程で防汚層に金属ロールが押し当てられても、防汚層の表面側に防汚剤(b)を偏在させることができ、防汚層は防汚剤の添加量に見合った防汚性を発現しやすくすることができる。
また、リン酸エステル基を有する化合物(c)は、防汚性フィルムをインサート成形する際の離型剤としての作用も奏する。
化合物(c)は、リン酸エステル基を有するものであれば特に限定されないが、フッ素を含むものが好ましく、パーフルオロアルキル基を含むものがより好ましい。
化合物(c)がフッ素を含むことにより、金属ロールに引き寄せられた化合物(c)が防汚層の表面エネルギーをさらに低下し、防汚剤(b)が防汚層の表面側に引き寄せられやすくなるため、防汚性をより良好なものとすることができる。また、化合物(c)がフッ素を含むことで、防汚剤(b)及び化合物(c)がともにフッ素を含有することになるため、防汚剤(b)が防汚層の表面側に引き寄せられやすくなると考えられる。
フッ素を含む化合物(c)としては、下記一般式(C1)〜(C4)に示すものが挙げられる。なお、下記一般式(C1)〜(C4)に示す化合物のうち、(C1)〜(C3)に示す化合物はパーフルオロアルキル基を含むものである。


式(C1)及び(C2)中、m1は1〜9の整数、n1は1〜3の整数を示す。

式(C3)中、Rfはそれぞれ独立して炭素原子数が6以下のパーフルオロアルキル基を示し、n2はそれぞれ独立して4〜12の整数を示す。また、パーフルオロアルキル基の炭素原子数は4〜6が好ましい。また、n2は4〜10の整数であることが好ましく、8〜10の整数であることがより好ましい。

式(C4)中、Rはアルキル基、m3は1〜20の整数、n3は1〜3の整数を示す。また、Rは炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数3〜18のアルキル基がより好ましい。m3は1〜10の整数が好ましい。
リン酸エステル基を有する化合物(c)の含有量は、防汚層の全固形分の0.01〜0.75質量%であることが好ましく、0.03〜0.50質量%であることがより好ましく、0.07〜0.20質量%であることがさらに好ましい。
化合物(c)の含有量を0.01質量%以上とすることにより、防汚剤(b)を防汚層の表面側に引き寄せやすくすることができ、安定した防汚性を付与しやすくできる。また、化合物(c)を必要以上に添加しても、添加量に見合った効果の上昇が期待しにくいため、化合物(c)の含有量は0.75質量%以下であることが好ましい。
[リン酸エステル基を有する化合物(c)の含有量/パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)の含有量]は、0.01〜0.75であることが好ましく、0.03〜0.50であることがより好ましく、0.05〜0.30であることがさらに好ましい。
上記の比を0.01以上とすることにより、化合物(c)によって防汚剤(b)を防汚層の表面側に引き寄せやすくすることができ、安定した防汚性を付与しやすくできる。また、上記比を0.75以下とすることにより、化合物(c)の添加量を適正な範囲に押さえ、防汚性シートの性能のバランスが低下することを抑制しやすくできる。
防汚層中には、バインダー成分(a)、防汚剤(b)及び化合物(c)以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、粒子、紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤等が挙げられる。
防汚層は、純水に対する接触角が90度以上であることが好ましく、100度以上であることがより好ましい。接触角が前述の条件であると、指紋等の汚れの付着が抑制され、防汚性を良好にしやすくできる。
本明細書において、接触角は、被測定面に1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測するものとする。また、接触角の測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、相対湿度40〜65%とする。また、被測定物を前記雰囲気に10分以上放置してから測定するものとする。
防汚層の厚みは、特に限定されないが、1〜15μmであることが好ましく、2〜12μmであることがより好ましく、3〜10μmであることがさらに好ましい。
なお、上述した防汚剤の偏在の問題は、防汚層の厚みが増すほど生じやすい。すなわち、本発明の効果は、防汚層の厚みがミクロンオーダーの場合により顕著に発揮することができる。
<接着剤層>
防汚性フィルムは、基材の防汚層とは反対側の面に接着剤層を有していてもよい。
接着剤層は、例えば、被着体と防汚性フィルムとの接着性を良好にする役割を有する。
接着剤層は、被着体の素材に適した感熱性又は感圧性の樹脂を使用することが好ましい。例えば、被着体の材質がアクリル系樹脂の場合は、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。また、被着体の材質がポリフェニレンオキサイド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用することが好ましい。さらに、被着体の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂を使用することが好ましい。
接着剤層には、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等の添加剤を配合してもよい。
接着剤層の厚みは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。
<その他の層>
防汚性フィルムは、さらに他の層を有していてもよい。他の層としては、ハードコート層、帯電防止層及び紫外線吸収層、着色層等が挙げられる。
なお、層の数が増えると、各層の屈折率の違いを原因とする干渉縞が生じやすくなる。このため、層の数は必要以上に増やさないことが好ましい。例えば、基材上にハードコート層を形成し、ハードコート層上に薄膜の防汚層を形成してなる構成よりも、基材上にハードコート性を備えた防汚層を形成する構成が好ましい。
<領域>
防汚性フィルムの、防汚層の表面は単一の領域であってもよいが、複数の領域を有していてもよい。また、防汚層の表面に複数の領域を有する場合、意匠性の観点から、各領域の表面形状が異なることが好ましい。すなわち、防汚性フィルムは、防汚層の表面に表面形状の異なる複数の領域を有することが好ましい。
例えば、防汚性フィルムは、防汚層の表面に第1領域R及び第2領域Rを有し、第1領域の表面形状と第2領域の表面形状とが異なることが好ましい(図1)。防汚層の表面に異なる領域を有することにより、防汚性フィルムの意匠性を良好にすることができる。
第1領域及び第2領域の配置は任意である。例えば、防汚層の表面の中央部に第1領域、周辺部に第2領域を配置する構成;防汚層の表面の中央部に第2領域、周辺部に第1領域を配置する構成;第1領域と第2領域とを並列して配置する構成;防汚層の表面の中央付近に独立した複数の第1領域を配置し、該複数の第1領域の周囲に第2領域を配置する構成;防汚層の表面の中央付近に独立した複数の第2領域を配置し、該複数の第2領域の周囲に第1領域を配置する構成;等が挙げられる。
本明細書において、表面形状が異なるとは、JIS B0601:1994に準じて測定されるカットオフ値0.8mmでの算術平均粗さRaが異なることをいう。
防汚層が表面形状の異なる複数の領域を有する場合、防汚層の表面形状と相補的な形状を有する金属ロールを用い、該金属ロールを硬化前の塗膜に押し当てて防汚層を形成する手法が効率的である。すなわち、防汚層が表面形状の異なる複数の領域を有する場合には、上述の偏在の問題が生じやすいため、リン酸エステル基を有する化合物(c)による効果をより顕著に発揮することができる。
防汚性フィルムの防汚層の表面形状に関して、JIS B0601:1994に準じて測定される第1領域のカットオフ値0.8mmでの算術平均粗さを「Ra」、JIS B0601:1994に準じて測定される第2領域のカットオフ値0.8mmでの算術平均粗さを「Ra」とした際に、|Ra−Ra|等が以下の範囲であることが好ましい。
なお、本明細書において、Ra及びRaは、10箇所の測定値の平均値とする。
|Ra−Ra|は、0.05〜1.00μmであることが好ましく、0.07〜0.80μmであることがより好ましく、0.12〜0.30μmであることがさらに好ましい。
|Ra−Ra|を0.05μm以上とすることにより、第1領域と第2領域とのコントラスト(例えば、防眩性や光沢度等のコントラスト)が明確となり、意匠性を良好にすることができる。また、|Ra−Ra|を1.00μm以下とすることにより、Raが大きい領域の粗さが過度になり白化が生じることを抑制できる。
Ra及びRaのうちRaが大きいものは、0.06〜1.20μmであることが好ましく、0.10〜0.75μmであることがより好ましく、0.15〜0.50μmであることがさらに好ましい。大きなRaを前記範囲とすることにより、防眩性及び白化抑制のバランスを良好にしやすくできる。
防汚層が第1領域及び第2領域を有する場合、正確にかつ精密な形状を形成する観点から、第1領域及び第2領域と相補的な形状を有する金属ロールを用いた印刷により形成することが好ましい。防汚層がその他の領域を有する場合、該金属ロールは、さらに、その他の領域と相補的な形状を有することが好ましい。
<諸物性>
防汚性フィルムの少なくとも一部の領域は、被着体の視認性を良好にするため、JIS K7361−1:1997に準拠した全光線透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
また、防汚性フィルムは、JIS K7136:2000に準拠したヘイズが所定の範囲であることが好ましい。該所定の範囲は、防汚性フィルムの構成によって範囲が異なる。
例えば、防汚性フィルムの防汚層が凹凸形状を有さず全面が平滑である場合、防汚性フィルムの少なくとも一部の領域は、ヘイズが5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。
また、防汚性フィルムが防汚層の表面に第1領域及び第2領域を有する場合、Raが大きい方の領域の少なくとも一部は、ヘイズが1〜40%であることが好ましく、5〜35%であることがより好ましく、10〜30%であることがさらに好ましい。
全光線透過率及びヘイズを測定する際は、光入射面を基材側とする。また、全光線透過率及びヘイズは、10箇所の測定値の平均値とする。
防汚性フィルムの防汚層側の表面は、耐擦傷性を良好にするために、JIS K5600−5−4:1999で規定される鉛筆硬度がH以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましい。なお、鉛筆硬度が高すぎると、防汚性フィルムをインサート成形する際に防汚層にクラックが生じやすくなる。このため、防汚性フィルムの防汚層側の表面の鉛筆硬度は4H以下であることが好ましく、3H以下であることがより好ましい。
[防汚性フィルムの製造方法]
本発明の防汚性フィルムの製造方法は、下記(1)及び(2)の工程を有するものである。
(1)基材上に、バインダー成分(a)、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)、及び、リン酸エステル基を有する化合物(c)を含む防汚層形成用塗布液を塗布し、塗膜を形成する工程。
(2)塗膜に金属ロールを押し当て防汚層を形成する工程。
<工程(1)>
工程(1)は、基材上に、バインダー成分(a)、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)、及び、リン酸エステル基を有する化合物(c)を含む防汚層形成用塗布液を塗布し、塗膜を形成する工程である。
防汚層形成用塗布液を塗布する手段は、グラビアコーティング、コンマコーティング、ダイコーティング及びバーコーティング等から選ばれる汎用の塗布手段を採用すればよい。
防汚層形成用塗布液は、溶剤を含有していてもよい。溶剤は、汎用の溶剤の1種又は2種以上を用いることができる。
防汚層形成用塗布液が溶剤を含有する場合、工程(1)では乾燥工程を含むことが好ましい。
バインダー成分(a)が電離放射線硬化性化合物を含む場合、金属ロールによって防汚層の表面形状を調整しやすくする観点から、工程(2)の開始までに電離放射線を照射しないことが好ましい。すなわち、バインダー成分(a)が電離放射線硬化性化合物を含む場合、工程(1)では電離放射線を照射しないことが好ましい。
<工程(2)>
工程(2)は、塗膜に金属ロールを押し当て防汚層を形成する工程である。
例えば、表面が平滑な金属ロールを用いれば、工程(2)によって防汚層の表面を平滑化することができる。また、表面が凹凸な金属ロールを用いれば、工程(2)によって防汚層の表面を凹凸化することができる。
さらに、表面形状の異なる複数の領域を有する金属ロールを用いれば、工程(2)によって、防汚層の表面に表面形状の異なる複数の領域を形成することができる。例えば、図4に示すように、表面に第1領域及び第2領域を有し、第1領域の表面形状と第2領域の表面形状とが異なる金属ロール70を塗膜12aに押し当てることにより、該金属ロールの表面形状を反転した防汚層(表面に第1領域及び第2領域を有し、第1領域の表面形状と第2領域の表面形状とが異なる防汚層)12を形成することができる。
バインダー成分(a)が電離放射線硬化性化合物を含む場合、工程(2)の後(金属ロールが塗膜表面から離れた後)に電離放射線放射線を照射してもよいが、金属ロールの表面形状を防汚層の表面に正確に賦型する観点から、工程(2)と同時に電離放射線放射線を照射することが好ましい。
なお、工程(2)と同時に電離放射線放射線を照射する場合、基材11側から照射することが好ましい。
金属ロールの表面材質は、銅、ニッケル、クロム、アルミナ等が挙げられる。
[防汚性積層体]
本発明の防汚性積層体は、上述した本発明の防汚性フィルムの基材側と、被着体とを一体化してなるものである。
図5は、本発明の防汚性積層体300の一実施形態を示す断面図である。
図5の防汚性積層体300は、被着体200上に防汚性フィルム100を有している。また、図5において、防汚性フィルムの基材11側と、被着体200とは一体化されている。
防汚性フィルムの基材側と、被着体とを一体化する手段としては、ラミネート、インサート成形等が挙げられる。
<被着体>
被着体の材質は特に限定されず、ガラス及びセラミック等の無機物、樹脂、並びに樹脂と無機物の混合物等が挙げられる。
インサート成形を行う場合には、被着体として、射出成形可能な熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂を用いることが好ましく、その中でも熱可塑性樹脂がより好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂(耐熱ABS樹脂を含む)、AS樹脂、AN樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、およびポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。
また、被着体の形状も特に限定されず、平板状のものであってもよいし、三次元形状を有するものであってもよい。また、被着体の厚みも特に限定されない。
インサート成形は、例えば、下記(y1)〜(y3)の工程で行うことができる。
(y1)防汚性フィルムをインサート成形用型内に配置する。この際、防汚性フィルムの基材側の面が、インサート成形用型を構成する一対の型(雄型及び雌型)により形成される空隙側を向くようにするとともに、防汚性フィルムの防汚層側を型に当接させる。
(y2)インサート成形用型内に樹脂を射出注入し、被着体である樹脂成形物を成形するとともに、防汚性フィルムと被着体とを一体化する。
(y3)型から、防汚性フィルムと被着体とが一体化してなる防汚性積層体を取り出す。
なお、工程(y1)の前に、必要に応じて、防汚性フィルムを真空成形等で所定の形状に成形してもよい。
[表示装置]
本発明の表示装置は、表示素子上に、上述した本発明の防汚性フィルム又は上述した本発明の防汚性積層体を有するものである。
なお、表示装置内において、防汚性フィルム又は防汚性積層体は、防眩層側の面が表示素子とは反対側を向くように配置するものとする。
表示素子としては、液晶表示素子、EL表示素子(有機EL表示素子、無機EL表示素子)、プラズマ表示素子等が挙げられ、さらには、マイクロLED表示素子等のLED表示素子が挙げられる。これら表示素子は、表示素子の内部にタッチパネル機能を有していてもよい。
液晶表示素子の液晶の表示方式としては、IPS方式、VA方式、マルチドメイン方式、OCB方式、STN方式、TSTN方式等が挙げられる。
また、表示装置は、表示素子と防汚性フィルム又は防汚性積層体との間にタッチパネルを有するタッチパネル付きの表示装置であってもよい。この場合、タッチパネル付きの表示装置の最表面に防汚性フィルム又は防汚性積層体を配置し、かつ、防汚層側の面が表示素子とは反対側を向くように配置すればよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。なお、「部」は特に断らない限り質量基準である。
1.評価、測定
実施例及び比較例で得られた防汚性フィルムについて以下の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
各測定及び評価時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度40〜65%とした。また、各測定及び評価の開始前に、防汚性フィルムを前記雰囲気に10分以上晒してから測定及び評価を行った。
1−1.水接触角
実施例及び比較例で得られた防汚性フィルムの防汚層の表面に純水を1.0μL滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測した。
1−2.指紋付着性
実施例及び比較例で得られた防汚性フィルムの防汚層の表面に指の腹を押し当て、指を放して、指紋の付着性を評価した。指紋が目立たないものを3点、どちらとも言えないものを2点、指紋が目立つものを1点として、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。
<評価基準>
AA:平均点が2.7以上
A:平均点が2.5以上2.7未満
B:平均点が2.0以上2.5未満
C:平均点が2.0未満
1−3.ヘイズ
ヘイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究所製)を用いてJISK7136:2000に準拠して、防汚性フィルムのヘイズを測定した。
2.防汚性シートの作製
[実施例1]
基材(厚み125μmのポリメタクリレートフィルム)上に、下記処方の防汚層形成用塗布液1を塗布、乾燥し、塗膜を形成した。
次いで、表面が平滑な金属ロール(銅メッキ層を有するシリンダーの表面をクロムメッキで被覆した金属ロール)を塗膜に押し当て(塗膜への金属ロールの接触時間:約10秒)、塗膜表面を平滑化すると同時に、基材側から紫外線を照射して電離放射線硬化性化合物を硬化して、厚み4μmの防汚層を形成し、実施例1の防汚性シートを得た。
<防汚層形成用塗布液1>
・バインダー成分(a) 99.5875部
(電離放射線硬化性化合物:ウレタンアクリレートオリゴマー)
・パーフルオロポリエーテル基及び電離放射線硬化性官能基を有する防汚剤(b) 0.4部
(信越化学工業社製、商品名「X-71-1203M」)
・リン酸エステル基及びパーフルオロアルキル基を有する化合物(c) 0.0125部
(DIC社製、商品名「メガファックF510」)
・希釈溶剤 適量
[実施例2〜6]、[比較例1〜3]
バインダー成分(a)、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)及びリン酸エステル基を有する化合物(c)の配合量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6及び比較例1〜3の防汚性フィルムを得た。
表1の結果から明らかなように、実施例1〜6の防汚性フィルムは、バインダー成分(a)、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)、及び、リン酸エステル基を有する化合物(c)を含むことにより、防汚剤の含有量に見合った防汚性を安定して発現できることが確認できる。
一方、比較例1の防汚性フィルムは、リン酸エステル基を有する化合物(c)を含まないため、防汚剤の含有量に見合った防汚性を発現できないものであった。比較例2の防汚性フィルムは、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)を多量に含有するため防汚性を発現することはできたが、多量の防汚剤に起因してヘイズが上昇するなどして、防汚性フィルムの物性が損なわれてしまった。比較例3はパーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)を含まないため、防汚性を発現できないものであった。
なお、表中では評価していないが、インサート成形により、実施例1〜6の防汚性フィルムの基材側と被着体とを一体化してなる防汚性積層体を作製したところ、該防汚性積層体は、実施例と同等の防汚性を発現し得るものであった。
11:基材
12:防汚層
12a:塗膜
70:金属ロール
100:防汚性フィルム
200:被着体
300:防汚性積層体

Claims (13)

  1. 基材上に防汚層を有してなり、前記防汚層は、バインダー成分(a)、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)、及び、リン酸エステル基を有する化合物(c)を含む、防汚性フィルム。
  2. 前記パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)は、その少なくとも一部が前記バインダー成分(a)と結合してなる、請求項1に記載の防汚性フィルム。
  3. 前記パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)の含有量が、前記防汚層の全固形分の0.05〜3.00質量%である、請求項1又は2に記載の防汚性フィルム。
  4. 前記リン酸エステル基を有する化合物(c)の含有量が、前記防汚層の全固形分の0.01〜0.75質量%である、請求項1〜3の何れか1項に記載の防汚性フィルム。
  5. [前記リン酸エステル基を有する化合物(c)の含有量/前記パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)の含有量]が0.01〜0.75である、請求項1〜4の何れか1項に記載の防汚性フィルム。
  6. 前記リン酸エステル基を有する化合物(c)が、パーフルオロアルキル基を含む、請求項1〜5の何れか1項に記載の防汚性フィルム。
  7. 前記バインダー成分(a)は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む、請求項1〜6の何れか1項に記載の防汚性フィルム。
  8. 前記基材の前記防汚層とは反対側の面に接着剤層を有する、請求項1〜7の何れか1項に記載の防汚性フィルム。
  9. 前記防汚性フィルムは、防汚層の表面に表面形状の異なる複数の領域を有する、請求項1〜8の何れか1項に記載の防汚性フィルム。
  10. 下記(1)及び(2)の工程を有する、防汚性フィルムの製造方法。
    (1)基材上に、バインダー成分(a)、パーフルオロポリエーテル基を有する防汚剤(b)、及び、リン酸エステル基を有する化合物(c)を含む防汚層形成用塗布液を塗布し、塗膜を形成する工程。
    (2)塗膜に金属ロールを押し当て防汚層を形成する工程。
  11. 前記金属ロールが表面形状の異なる2以上の領域を有する、請求項10に記載の防汚性フィルムの製造方法。
  12. 請求項1〜9の何れかに記載の防汚性フィルムの基材側と、被着体とを一体化してなる、防汚性積層体。
  13. 表示素子上に、請求項1〜9の何れかに記載の防汚性フィルム又は請求項12に記載の防汚性積層体を有する、表示装置。
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