JP2020037248A - 積層体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕 基材層、プライマー層、及び防汚層がこの順に積層された積層体であって、
前記防汚層における前記プライマー層側とは反対側の表面の算術平均粗さRa3は、8nm以下であり、
前記防汚層における前記プライマー層側とは反対側の表面の水接触角は、105°以上である、積層体。
前記プライマー層における前記防汚層側の表面の算術平均粗さRa1は、6nm以下である、積層体。
前記基材層上に、前記プライマー層を形成するためのプライマー層形成用組成物を塗布する工程と、
前記プライマー層上に、前記防汚層を形成するための防汚層形成用組成物を塗布する工程と、を含み、
前記プライマー層形成用組成物は、少なくとも1種の有機溶剤を含む溶媒を含み、
前記溶媒の温度25℃における蒸気圧は、2.0kPa以上4.0kPa以下である、積層体の製造方法。
(積層体)
図1〜図3は、それぞれ本実施形態の積層体の一例を示す概略断面図である。図5(a)及び(b)は、従来の積層体の防汚層表面の一例を示す顕微鏡写真を示す図である。本実施形態の積層体1は、基材層11、プライマー層21、及び防汚層31がこの順に積層されたものであり、プライマー層21における防汚層31側の表面の算術平均粗さRa1は、6nm以下である。算術平均粗さRa1は、5.5nm以下であることが好ましく、5.0nm以下であることがより好ましく、4.5nm以下であることがさらに好ましく、4.0nm以下であることがよりさらに好ましい。算術平均粗さRa1は、0nm以上であってもよいし、0.5nm以上であってもよいし、1.0nm以上であってもよい。算術平均粗さRa1は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
本実施形態において、上記実施形態で説明した部材と同じ部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
(積層体の変形例)
積層体1は、図1に示す構造を有するものに限定されず、例えば、図2に示す構造を有する積層体2であってもよく、図3に示す構造を有する積層体3であってもよい。図2に示す積層体2は、基材層11に代えて基材層12を有する点において、図1に示す積層体1と異なっている、積層体2の基材層12は、図2に示すように、樹脂層12aと、樹脂層12aのプライマー層21側にハードコート層12bとを有している。樹脂層12aとハードコート層12bとは、図2に示すように直接接するように設けられていてもよいが、樹脂層12aとハードコート層12bとの間に、ハードコート層形成用のプライマー層を有していてもよい。また、樹脂層12aのハードコート層12bとは反対側にもハードコート層を有していてもよく、この場合、樹脂層12aとハードコート層12bとの間に、ハードコート層形成用のプライマー層を有していてもよい。
積層体1〜3を適用する物品としては、防汚性が要求される物品であれば特に限定されない。例えば、画像表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、ナノインプリント技術、太陽電池、自動車や建物の窓ガラス、調理器具等の金属製品、食器等のセラミック製品、プラスチック製の自動車部品のほか、台所、浴室、洗面台、鏡、トイレ周りの各部材、ゴーグル、メガネ等に用いることができる。特に、基材層11,12を透明基材とすることにより、光学用途に好適に用いることができる。光学用途としては、例えば、タッチパネルディスプレイ;スマートフォンやタブレット端末、音楽プレーヤー、ノートパソコン等の携帯用電子機器;液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の画像表示装置;CDやDVD、ブルーレイディスク等の光記録媒体等を挙げることができる。基材層11として樹脂材料を用いる場合や、図2に示すように樹脂層12aとハードコート層12bとを有する基材層12を用いる場合には、積層体1〜3を折り曲げたり巻物形状としたりすることを可能とすることができるため、積層体1〜3を、曲面形状を有する部材や、フレキシブルディスプレイ等の屈曲可能な部材に好適に用いることができる。例えば、積層体1〜3は、フレキシブルディスプレイ等の画像表示装置の最表面をなす部材(例えば、前面板)として用いることができる。
図4(a)及び(b)は、実施形態の積層体の製造工程の一例を示す概略断面図である。本実施形態の積層体1の製造方法は、
基材層11上に、プライマー層21を形成するためのプライマー層形成用組成物22を塗布する工程と、
プライマー層21上に、防汚層31を形成するための防汚層形成用組成物32を塗布する工程とを含み、
プライマー層形成用組成物22は、少なくとも1種の有機溶剤を含む溶媒を含み、
前記溶媒の温度25℃における蒸気圧は、2.0kPa以上4.0kPa以下である。
混合溶剤の蒸気圧[kPa]
=(有機溶剤Aのモル分率×有機溶剤Aの温度25℃における蒸気圧)
+(有機溶剤Bのモル分率×有機溶剤Aの温度25℃における蒸気圧)
によって算出することができる。
(基材層)
基材層は、防汚層を形成することができれば特に限定されないが、透明基材であることが好ましい。透明基材とは、光、特に可視光を透過し得る程度の透明性を有する基材である。ここで、透明性とは、波長380〜780nmに渡る光線に対しての透過率が80%以上となる特性をいう。基材層としては、ガラス基材、樹脂基材のいずれであってもよいが、樹脂基材であることが好ましい。樹脂基材としては、特に制限なく用いることができるが、例えば、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリル、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等の高分子で形成されたフィルムが挙げられる。これらの高分子は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。基材層の厚みは、例えば10μm〜300μmとすることができ、30μm〜100μmであることが好ましい。
積層体1〜3をなすプライマー層21を形成するためのプライマー成分としては、エポキシ系化合物、ポリアミック酸、有機ケイ素化合物等を挙げることができ、このうち、有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。有機ケイ素化合物としては、例えば、下記式(c1)で表される化合物を用いることが好ましい。
Rx1、Rx2、Rx3、及びRx4は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基であり、Rx1が複数存在する場合は複数のRx1がそれぞれ異なっていてもよく、Rx2が複数存在する場合は複数のRx2がそれぞれ異なっていてもよく、Rx3が複数存在する場合は複数のRx3がそれぞれ異なっていてもよく、Rx4が複数存在する場合は複数のRx4がそれぞれ異なっていてもよく、
Rfx1、Rfx2、Rfx3、及びRfx4は、それぞれ独立して、1個以上の水素原子がフッ素原子に置換された炭素数1〜20のアルキル基又はフッ素原子であり、Rfx1が複数存在する場合は複数のRfx1がそれぞれ異なっていてもよく、Rfx2が複数存在する場合は複数のRfx2がそれぞれ異なっていてもよく、Rfx3が複数存在する場合は複数のRfx3がそれぞれ異なっていてもよく、Rfx4が複数存在する場合は複数のRfx4がそれぞれ異なっていてもよく、
Rx5は、炭素数が1〜20のアルキル基であり、Rx5が複数存在する場合は複数のRx5がそれぞれ異なっていてもよく、
Xは、加水分解性基であり、Xが複数存在する場合は複数のXがそれぞれ異なっていてもよく、
Yは、−NH−、又は−S−であり、Yが複数存在する場合は複数のYがそれぞれ異なっていてもよく、
Zは、ビニル基、α−メチルビニル基、スチリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、アミノ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、エポキシ基、ウレイド基、又はメルカプト基であり、
p1は、1〜20の整数であり、p2、p3、及びp4は、それぞれ独立して0〜10の整数であり、p5は、1〜10の整数であり、
p6は、1〜3の整数であり、
Z−、−Si(X)p6(Rx5)3−p6、p1個の−{C(Rx1)(Rx2)}−、p2個の−{C(Rfx1)(Rfx2)}−、p3個の−{Si(Rx3)(Rx4)}−、p4個の−{C(Rfx3)(Rfx4)}−、及びp5個の−Y−は、Z−及び−Si(X)p6(Rx5)3−p6が末端となり、−O−が−O−と連結しない限り、任意の順に並んで結合する。
X1は、加水分解性基であり、X1が複数存在する場合は複数のX1がそれぞれ異なっていてもよく、
Y1は、−NH−であり、
Z1は、アミノ基、又はメルカプト基であり、
Rx51は、炭素数が1〜20のアルキル基であり、Rx51が複数存在する場合は複数のRx51がそれぞれ異なっていてもよく、
p61は、1〜3の整数であり、qは2〜5の整数であり、rは0〜5の整数である。
プライマー層21の厚みは、例えば1nm〜1μmとすることができる。
積層体1〜3をなす防汚層31を形成するための材料としては、フッ素化合物由来の構造を有することが好ましい。フッ素化合物由来の構造を有する材料としては、例えば、[i]パーフルオロポリエーテル構造を有する1価の基と加水分解性基とがケイ素原子に結合している第1のフッ素化合物に由来する化合物であってもよく、[ii]第1のフッ素化合物に由来する構造と、第1のフッ素化合物とは異なる第2のフッ素化合物に由来する構造とを含む化合物であってもよい。
粘着剤層を形成するために用いる粘着剤としては、例えば(メタ)アクリル系粘着剤、スチレン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、エポキシ系共重合体粘着剤等を用いることができる。
対象となるサンプルの測定表面のJIS B0601:2013に準拠する算術平均粗さ(Ra)を、干渉計顕微鏡(Bruker社製、Contour GT)を用いて測定した。
対象となるサンプルの測定表面に、1.7μLの水滴を滴下し、接触角測定装置(協和界面科学株式会社製、portable contact angle meter PCA-1)を用い、液滴法(解析方法:θ/2法により水滴滴下1000ms後に測定)により、温度23℃、相対湿度50%における水接触角を測定した。なお、水接触角の測定は、基材層上に形成した防汚層表面のうち、後述する耐摩耗性試験や耐薬品試験を行った範囲について、これらの試験を行う前後に行った。
実施例・比較例において得られた、積層体の防汚層側の表面(防汚層のプライマー層とは反対側の表面)に、消しゴム(minoan社製、Rubbing test stick(引張り強度:11.91kgf/cm2、硬度(Durometer A Type):81))を治具に取付けて、サンプルの表面に接する側が平滑になるようにカッターを用いて切断したもの)を具備した摩耗試験機(Daesung社製、5連耐摩耗試験機)を用い、消しゴムが防汚層表面に接した状態で荷重1000gをかけた。その後、消しゴムを速度40rpm、移動距離20mmで防汚層表面を3000回往復させた。
消しゴムが往復移動する防汚層表面の領域に、往復回数500回あたり1ccのエタノールを滴下したこと以外は、耐摩耗性試験と同様に行った。
基材層上にプライマー層を形成したサンプルについて、JIS K 7136:2000「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に準拠したヘーズメータ(Murakami社製、HM150)を用いてヘーズを測定した。
(プライマー層形成用組成物の調製)
溶媒として、エタノール(EtOH)15部とジエチレングリコールモノメチルエーテル(EDM)105部とを混合した混合溶剤を用い、この混合溶剤120部とプライマー原液P1(Ceko社製、WNP1(エタノールベース(エタノール濃度99.5%))30部とを混合してプライマー層形成用組成物を調製した。なお、用いた各溶剤の蒸気圧は表1に示すとおりであり、プライマー層形成用組成物に含まれる溶媒の蒸気圧は、上記した混合溶剤の蒸気圧を算出する式にしたがって算出し、その値は表2に示すとおりである。
下記式(1)で表される化合物を含むフッ素系の撥水撥油性の防汚層形成用組成物を用いた。
特開2017−21336号公報の実施例1の手順にしたがって、透明な樹脂層上にハードコート層を有する基材層を準備した。樹脂層は、ポリイミドフィルムである。用いた基材層のハードコート層表面の算術平均粗さRa2を測定した。その結果を表3に示す。
耐摩耗性試験による水接触角の低下率[%]
={(θw[°]−θi[°])/θi[°]}×100
耐薬品性試験による水接触角の低下率[%]
={(θc[°]−θi[°])/θi[°]}×100
にしたがって算出した。これらの結果を表3に示す。
プライマー形成用組成物の調製に用いた溶媒として表2に示すものを用い、ハードコート層表面の算術平均粗さRa2が表3及び表4に示す値である基材層を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
プライマー層形成用組成物の調製に用いたプライマー原液として、プライマー原液P1に代えてプライマー原液P2(Extol社製、EXP5125(エタノール濃度99.5%))を用いたこと以外は、実施例1及び3、比較例1及び2と同様にして積層体を作製した。
防汚層形成用組成物の塗布条件のうちの防汚層形成用組成物の単位面積あたりの噴射量を、表5に示すようにしたこと以外は、実施例4と同様にして積層体を作製した。
Claims (14)
- 基材層、プライマー層、及び防汚層がこの順に積層された積層体であって、
前記防汚層における前記プライマー層側とは反対側の表面の算術平均粗さRa3は、8nm以下であり、
前記防汚層における前記プライマー層側とは反対側の表面の水接触角は、105°以上である、積層体。 - 基材層、プライマー層、及び防汚層がこの順に積層された積層体であって、
前記プライマー層における前記防汚層側の表面の算術平均粗さRa1は、6nm以下である、積層体。 - 前記防汚層における前記プライマー層側とは反対側の表面の算術平均粗さRa3は、8nm以下である、請求項2に記載の積層体。
- 前記算術平均粗さRa1と、前記基材層における前記プライマー層側の表面の算術平均粗さRa2との差の絶対値は、5nm以下である、請求項2又は3に記載の積層体。
- 前記基材層は、前記プライマー層側にハードコート層を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記基材層は、透明基材である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記基材層における前記プライマー層側の表面の算術平均粗さRa2は、6nm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記防汚層の厚みは、20nm以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記基材層の前記プライマー層とは反対側の表面に粘着剤層を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体。
- 基材層、プライマー層、及び防汚層がこの順に積層された積層体の製造方法であって、
前記基材層上に、前記プライマー層を形成するためのプライマー層形成用組成物を塗布する工程と、
前記プライマー層上に、前記防汚層を形成するための防汚層形成用組成物を塗布する工程と、を含み、
前記プライマー層形成用組成物は、少なくとも1種の有機溶剤を含む溶媒を含み、
前記溶媒の温度25℃における蒸気圧は、2.0kPa以上4.0kPa以下である、積層体の製造方法。 - 前記溶媒は、2種以上の有機溶剤を含む、請求項10に記載の積層体の製造方法。
- 前記プライマー層形成用組成物を塗布する工程は、スプレー塗布により行われる、請求項10又は11に記載の積層体の製造方法。
- 前記防汚層形成用組成物を塗布する工程は、スプレー塗布により行われる、請求項10〜12のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- 前記防汚層形成用組成物を塗布する工程は、前記防汚層形成用組成物の単位面積あたりの噴射量が4.5cc/m2以上60.5cc/m2以下となるように、防汚層形成用組成物を塗布する、請求項13に記載の積層体の製造方法。
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