JP2020023857A - 隠し框外動片引き窓の排水構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】外障子の戸先框周辺で発生した結露水が開口部アタッチの上に溜まった場合でも、室内仕上げを汚すことなく結露水を室外へ排出する。【解決手段】下枠3の内障子設置面36における開口部側には、内障子設置面36の室外側に立設した開口部アタッチ取付片36aと下枠3の室内側起立片32との間に縦枠4内側面近傍まで端部が延び、かつ、当該端部と縦枠4内側面との間に空間を形成するように開口部アタッチ7を装着する一方、その空間に端部フサギ部材8を装着し、開口部アタッチ7の上側面には、下枠3の室内側起立片32上端よりも低く、当該室内側起立片32との間で結露水を溜めるための水溜め空間7cを形成し、水溜め空間7cに溜めた結露水は端部フサギ部材8の方へ流れるように構成する一方、下枠3の内障子設置面36には排水孔を設ける。【選択図】図14

Description

本発明は、上枠と下枠及び左右の縦枠とにより四周枠組みしたサッシ枠の中に内障子を固定する一方、外障子がレールに沿って内障子側と開口部側との間を動くように構成すると共に、外障子を開口部側に移動し閉めた際に当該外障子の戸先框が縦枠の室内側面によって隠れるように構成した隠し框外動片引き窓の排水構造に関する。
近年、引き違いサッシの意匠性向上のため、サッシを構成する外障子の戸先框をサッシの縦枠で隠した隠し框構造のサッシが普及している。例えば、特許文献1の引き違いサッシでは、サッシ縦枠の室内側面を見付方向内側に延出し、縦枠と外障子の戸先框の見付方向内側端部が略同位置となるように構成し、室内側から見たときに、縦枠によって外障子の戸先框が隠れ、引き違いサッシの意匠性を向上させている。
特開2012−87453号公報
しかし、上述の特許文献1の隠し框構造の引き違いサッシを外動片引き窓に転用した場合、下框の室内側面を隠すため外障子の室内側に開口部アタッチを取り付けるが、外障子の戸先框の室内側に結露水が発生した場合、開口部アタッチの上に溜まる。
そのため、隠し框構造の引き違いサッシでは、外障子の戸先框周辺で発生した結露水が窓台や額縁や室内クロス等の室内仕上げの内側面が、サッシ枠の室内側起立片とほぼ面一の納まり(特許文献1の〔0027〕や〔0034〕、図1や図2等参照。)となるので、結露水が開口部アタッチから室内側に流れ出すと、額縁や室内クロス等の室内仕上げを汚す等の不具合が発生するおそれがあった。
そこで、本発明はこのような問題に着目してなされたもので、外障子の戸先框周辺で発生した結露水が開口部アタッチの上に溜まった場合でも、室内仕上げを汚すことなく結露水を室外へ排出できる隠し框外動片引き窓の排水構造を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る隠し框外動片引き窓の排水構造は、上枠と下枠及び左右の縦枠とにより四周枠組みしたサッシ枠の中に内障子を固定する一方、外障子がレールに沿って内障子側と開口部側との間を動くように構成すると共に、外障子を開口部側に移動し閉めた際に当該外障子の戸先框が縦枠の室内側面によって隠れるように構成した隠し框外動片引き窓の排水構造であって、前記下枠において前記内障子を固定する内障子設置面の開口部側には、当該内障子設置面の室外側に立設した開口部アタッチ取付片と前記下枠の室内側起立片との間に開口部側の縦枠内側面近傍まで端部が延び、かつ、当該端部と開口部側の縦枠内側面との間に空間を形成するように開口部アタッチを装着する一方、その空間に端部フサギ部材を装着し、前記開口部アタッチの上側面には、結露水を溜めるため前記下枠の室内側起立片上端よりも低い水溜め空間を形成し、当該水溜め空間に溜めた結露水を前記端部フサギ部材の方へ流すように構成する一方、前記下枠の内障子設置面には排水孔を設けたことを特徴とする。
また、本発明に係る隠し框外動片引き窓の排水構造では、前記端部フサギ部材の上面は、前記開口部アタッチの上側面以下の高さを有し、室外方向へ向かって延びる凸部と、その凸部よりも高さが低く、当該凸部と平行に延びる凹部とが交互に複数設けられ、前記凸部と前記凹部とが当該端部フサギ部材の室外側端部まで延びて形成されていることも特徴とする。
また、本発明に係る隠し框外動片引き窓の排水構造では、前記下枠の開口部アタッチ取付片における縦枠側端部には、結露水を前記端部フサギ部材下方の前記内障子設置面へ導くアタッチ取付片用排水部を設けると共に、前記端部フサギ部材における前記アタッチ取付片用排水部に対向する箇所にも結露水を当該端部フサギ部材下方の前記内障子設置面へ導くフサギ部材用排水部を設けたことも特徴とする。
また、本発明に係る隠し框外動片引き窓の排水構造では、前記開口部アタッチの室外側面には、前記外障子の下框の室内側面との間の隙間を塞ぐ目隠し部材が取付けられていることも特徴とする。
本発明に係る隠し框外動片引き窓の排水構造では、下枠の内障子設置面の開口部側には開口部アタッチと端部フサギ部材を装着すると共に、開口部アタッチの上側面には下枠の室内側起立片上端よりも低い水溜め空間を形成し、結露水が開口部アタッチの上側面に落下した場合、当該水溜め空間に溜めた後、端部フサギ部材の方へ流すように構成する一方、下枠の内障子設置面には排水孔を設けている。
そのため、結露水が開口部アタッチの上に落ちた場合でも、結露水は水溜め空間に溜めて端部フサギ部材の方へ流し、下枠の内障子設置面に設けた排水孔等から排出するので、室内仕上げを汚すことなく結露水を室外へ排出できる。
実施形態の隠し框外動片引き窓の室内側(内観)を示す正面図である。 実施形態の隠し框外動片引き窓であって外障子が閉められた状態の水平方向(横方向)断面図である。 図2における内観左側の縦枠近傍の水平方向(横方向)拡大断面図である。 実施形態の隠し框外動片引き窓であって外障子が若干開けられ、端部フサギ部材の上面が露出した内観左側の縦枠近傍の水平方向(横方向)拡大断面図である。 実施形態の隠し框外動片引き窓の鉛直方向(縦方向)断面図である。 図5における下側部分の鉛直方向(縦方向)拡大断面図である。 実施形態の隠し框外動片引き窓を構成する下枠における排水構造を示す鉛直方向(縦方向)断面図である。 実施形態の隠し框外動片引き窓を構成する下枠における排水構造を示す平面図である。 図8におけるA部分の拡大平面図である。 実施形態の隠し框外動片引き窓を構成する端部フサギ部材の斜視図である。 (a),(b)それぞれ実施形態の隠し框外動片引き窓を構成する端部フサギ部材の平面図、正面図である。 (a),(b)それぞれ実施形態の隠し框外動片引き窓を構成する端部フサギ部材の右側面図、図11(b)におけるA−A線断面図である。 実施形態の隠し框外動片引き窓を構成する目隠し部材の斜視図である。 実施形態の隠し框外動片引き窓における結露水が室外へ排出される際の主な経路を示す要部鉛直方向(縦方向)断面拡大図である。
以下、本発明に係る実施形態の隠し框外動片引き窓1の排水構造について、図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態はあくまで本発明の一例であり、本発明が下記に説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で適宜変更可能である。
<実施形態の隠し框外動片引き窓1の構造>
実施形態の排水構造が適用される隠し框外動片引き窓1は、例えば、図1に示すように、上枠2、下枠3および左右の縦枠4,4’により四周枠組みしたサッシ枠の中に、内障子5は嵌め殺し窓(FIX部)としてサッシ枠に固定する一方、外障子6は室外側に露出した下枠3上に設けられたレール35a(図5参照。)に沿って内障子5側と開口部側との間を動くように構成すると共に、外障子6を縦枠4側に移動させて閉めた際に当該外障子6の戸先框63が縦枠4の室内側面によって隠れるように構成している。
(内障子5)
内障子5は、上述したように嵌め殺し窓(FIX部)としてサッシ枠に固定されるため、図2や図5等に示すように、隠し框外動片引き窓1を構成する上枠2や下枠3、内観右側の縦枠4’および召合せ方立51で囲まれた開口部に2枚のガラス55,56を所定間隔離した複層ガラスを固定して設けられている。
(外障子6)
外障子6は、図2〜図5等に示すように、上框61、下框62、戸先框63および召合せ框64で囲まれた開口部に2枚のガラス65,66を所定間隔離した複層ガラスを設け、下框62に設けた車輪67によって下枠3に形成されたレール35a上を移動できるように構成されている。
そして本実施形態の隠し框外動片引き窓1では、隠し框構造を採用するため、図2や図3等に示すように外障子6を開口部側に移動して閉めた際に当該外障子6の戸先框63が縦枠4の室内側面41によって隠れるよう縦枠4の室内側面41は、図2や図3等に示すように外障子6を開口部側に移動して閉めた際に当該外障子6の戸先框63を隠すよう見付け方向に突出して構成している。
また、戸先框63は、平面視、縦枠4の室内側面近傍まで突出した戸先框ホロー部63aを有している。
戸先框ホロー部63aは、図3や図4に示すように外障子6を閉めた際、縦枠4の室内側面41と対向する室内側面63a1と、召合せ方立51に対向する方立側面63a2と、縦枠4と対向する縦枠側面63a3とを有する。
(下枠3)
下枠3は、図7等に示すような断面構造に形成されており、概略説明すると、左右の縦枠4,4’まで延びる底板31の室内側端部には背が高い室内側起立片32を立設する一方、室外側端部には背が低い室外側起立片33を立設させ、その間の室内側に第1ホロー部34を設ける一方、中央に第2ホロー部35を設けて構成されている。
そして、下枠3において内障子5(本実施形態では複層ガラス)を固定する内障子設置面36の開口部側の室外側には、図7等に示すように、その内障子設置面36から立設した開口部アタッチ取付片36aおよび開口部アタッチ取付補助片36bを設け、開口部アタッチ取付片36aと室内側起立片32との間に、外障子6の下框62の室内側面を隠すため縦枠4の室内側戸先框対向面42近傍まで端部が延び、かつ、当該端部と縦枠4の室内側戸先框対向面42との間に空間を形成するように、下枠3とは別部材となる後述する開口部アタッチ7を嵌め入れ可能に構成している。
開口部アタッチ取付片36aおよび開口部アタッチ取付補助片36bにおける縦枠4側には、図8や図9等に示すように、流れてきた結露水を内障子設置面36に導くため、それぞれ、開口部アタッチ取付片36aおよび開口部アタッチ取付補助片36bの端部を切り欠いてアタッチ取付片用排水部36a1、アタッチ取付補助片用排水部36b1を設けている。
また、下枠3の内障子設置面36における開口部アタッチ取付補助片36bの室内側には、図7〜図9に示すように内障子設置面36に導かれた結露水が室外へ排水されるように内障子設置面排水孔36cを複数(本実施形態では2箇所)設けると共に、内障子設置面排水孔36cには、外気を侵入させることなく、水が溜まると弁が開く公知の排水弁36e(図6参照。)を設けている。尚、36dは、内障子(複層ガラス)から内障子設置面36に侵入した雨水等を、室外へ排出する内障子用排水孔である。
また、下枠3の内障子設置面36には、外障子6の下框62の室内側面に密接して気密を保持する公知の気密材36g(図6参照。)を装着するため気密材装着部36fを設けている。
また、下枠3の第2ホロー部35の天井となる中段面37には、図6に示すように外障子6の走行をガイドするガイド板37aが立設されており、このガイド板37aには、図7〜図9等に示すように中段面37に落ちた結露水を堰き止めず室外へ排水されるように所定間隔でガイド板排水孔37a1を複数設けている。
さらに、レール35aにおける縦枠4側には、開口部アタッチ取付片36aおよび開口部アタッチ取付補助片36bと同様、図7〜図9等に示すように、レール35aで流れてきた結露水を堰き止めないように切り欠いたレール用排水部35a1を設ける一方、室外側起立片33には、結露水を堰き止めず室外へ排水されるよう長手方向に所定間隔で室外側起立片用排水孔33aを複数設けている。
(開口部アタッチ7)
開口部アタッチ7の上側面7aは、図5や図6等に示すように下枠3の室内側起立片32(図7参照。)上端部よりも低い一方、開口部アタッチ7の起立部7bの上端部を室内側起立片32上端部とほぼ同じ高さまで起立させ、下枠3の室内側起立片32と開口部アタッチ7の上側面7a室外側から起立した起立部7bとの間の上側面7aで結露水を溜めるための水溜め空間7cを形成している。尚、開口部アタッチ7は、上枠2、下枠3および左右の縦枠4,4’等と同様に、例えば、アルミニウム合金等で形成されている。
また、開口部アタッチ7の起立部7bには、図6等に示すように外障子6の下框62の室内側面との間の隙間を塞ぐ後述する目隠し部材9を取付けるための目隠し部材装着部7b1を形成すると共に、その目隠し部材装着部7b1の下方に、図示しない加熱膨張材を取付けるための加熱膨張材装着部7b2を形成している。
また、開口部アタッチ7の縦枠4側端部と縦枠4との間の空間には、図2〜図4に示すように端部フサギ部材8が装着されている。
端部フサギ部材8は、見付け方向は開口部アタッチ7の縦枠4側端部と縦枠4とに挟まれる一方、見込み方向は下枠3の室内側起立片32(図7参照。)と開口部アタッチ取付片36a(図7参照。)との間に挟み、かつ、室内側戸先框対向面42における室内側面41とは反対側の端部から見付け方向に室内側面41よりも小さく突出するフサギ部材抜止め防止片43(図4参照。)によって上方に抜けないように装着されている。
尚、開口部アタッチ7の縦枠4側端部と縦枠4との間の空間に端部フサギ部材8が装着された場合、端部フサギ部材8の上面8aとフサギ部材抜止め防止片43下端部との間には、端部フサギ部材8の装着容易性や、フサギ部材抜止め防止片43が結露水を堰止めないように隙間が形成されている。また、端部フサギ部材8の上面8aは次に説明するように結露水を室外側へ排出する機能が重要であるため、フサギ部材抜止め防止片43はその下端部で結露水を堰き止めないよう、図2〜図4等に示すように先端に向かう程、若干、室外側に傾斜させている。
(端部フサギ部材8)
端部フサギ部材8は、開口部アタッチ7とは異なり合成樹脂で形成されたもので、図10〜図12に示すように、上面8aと、下枠3の室内側起立片32と対向する室内側面8bと、開口部アタッチ7の起立部7bと略面一となる室外側面8cと、室内側面8bと室外側面8cとの間を連結する連結側面8dとを有する。
端部フサギ部材8の上面8aは、開口部アタッチ7の上側面7aに設けた水溜め空間7cに溜まった結露水が端部フサギ部材8側に流れ、かつ、端部フサギ部材8の上面8aに集まった結露水の表面張力を消滅(分解)できるように、開口部アタッチ7の上側面7a以下の高さを有し、例えば2mm幅程度で室外方向へ向かって延びる凸部8a1と、その凸部8a1よりも高さが低く、同様に2mm幅程度で当該凸部8a1と平行に延びる凹部8a2とが交互に複数設けられて凸凹形状に形成され、凸部8a1と凹部8a2とが当該端部フサギ部材8の室外側端部まで延びて形成されている。
また、端部フサギ部材8を開口部アタッチ7と並べて下枠3に装着した際、図12(b)に示すように室外側面8cにおけるアタッチ取付片用排水部36a1(図6〜図9参照。)に対向する箇所にフサギ部材用排水部8eを設けている。
フサギ部材用排水部8eは、端部フサギ部材8の室外側面8cの下端部を開口部アタッチ取付片36aの上端部に当接する高さにすることによって形成している。尚、後述する室外側面8cの室内側に設けられた第2係合部8c1は、その縦枠4側の端部がアタッチ取付片用排水部36a1を塞がない位置まで設けられている。
また、端部フサギ部材8の上面8aにおける開口部アタッチ7側の凸部8a1および連結側面8d上であって室外側には、開口部アタッチ7の起立部7bの上端部以上の高さ(ここでは、同じ高さとしている。)となる突出部8a3を設け、突出部8a3が目隠し部材装着部7b1の縦枠4側面と対向するように構成している。
これにより、端部フサギ部材8を装着した場合には、開口部アタッチ7における端部フサギ部材8側の切断面が露出せず、その切断面を端部フサギ部材8によって隠すことができる。尚、端部フサギ部材8の連結側面8dには水密材等を設けていないため、開口部アタッチ7と端部フサギ部材8との間に隙間が形成されている。
室内側面8bには、図10や図11(a)〜(c)に示すように下枠3の室内側起立片32から室外方向に向かって突出した係合部32a(図7参照。)に係合して端部フサギ部材8を下枠3に装着するための第1係合部8b1が形成されている。
その一方、室外側面8cには、下枠3の開口部アタッチ取付片36a(図7参照。)に係合して端部フサギ部材8を下枠3に取付けるための第2係合部8c1を設けている。
(目隠し部材9)
目隠し部材9は、合成樹脂やゴム等から形成されたもので、図5や図6等に示すように開口部アタッチ7の室外側面に、外障子6の下框62の室内側面との間の隙間を、上下方向に間隔を開けた突出片91,92先端を外障子6の下框62に近接させることによって塞ぐもので、図6に示すように、開口部アタッチ7の起立部7b上部の目隠し部材装着部7b1に嵌めて設けられる。
そのため、図13に示すように、突出片91,92の反対側には、開口部アタッチ7の目隠し部材装着部7b1に装着される被装着部93が設けられている。
<実施形態の隠し框外動片引き窓1の作用>
次に、以上のように構成された実施形態の隠し框外動片引き窓1における作用について、特に外障子6を閉めた際に発生した結露水の排出経路等を中心に説明する。
図2や図3等に示すように、外障子6を縦枠4側に移動させて閉めると、隠し框外動片引き窓1によって室内がほぼ密閉状態となるので、冬季において、室内と室外の温度差によって内障子5および外障子6に結露が発生する。
隠し框外動片引き窓1において結露が発生し易い箇所は、アルミ等の金属性で熱伝導率が高く室外および室外まで延び、冬季においては外の冷気と室内の暖気に接触する外障子6戸先框63およびその周辺であり、特に、室内の暖気に接触する戸先框ホロー部63aおよびその周辺に結露水が多く発生し易い。
図14は、実施形態の隠し框外動片引き窓1における結露水が室外へ排出される際の主な経路I〜IIIを示している。以下、経路I〜III毎に分けて説明する。
(排水経路I)
排水経路Iは、図14に示すように、主に戸先框63周辺のガラス66の室内側で発生した結露水や、外障子6を閉めた際、開口部アタッチ7と端部フサギ部材8との間の隙間の上方に位置する戸先框ホロー部63aの方立側面63a2(図3等参照。)等で発生した結露水が開口部アタッチ7の上側面7aに落ち、開口部アタッチ7と端部フサギ部材8との間の隙間から排出される場合の経路を示している。
この場合、開口部アタッチ7の上側面7aには、下枠3の室内側起立片32と開口部アタッチ7の室外側の起立部7bとの間の水溜め空間7cが形成されているため、開口部アタッチ7の上側面7aに落ちた結露水は水溜め空間7cに溜められ、開口部アタッチ7から室内側に流入することを防止して、額縁や室内クロス等の室内仕上げを汚すことを防止する。
開口部アタッチ7の上側面7aの水溜め空間7cに溜まった結露水は、図14に示す排水径路Iのように、まず、開口部アタッチ7と端部フサギ部材8との間の隙間から下枠3の内障子設置面36に落ちる。
下枠3の内障子設置面36には、図7や図8に示すように内障子設置面排水孔36cが形成されており、開口部アタッチ7と端部フサギ部材8との間の隙間に近い縦枠4側の内障子設置面小排水孔36cには、図14に示すように排水弁36eが設けられているため、排水弁36eおよび内障子設置面小排水孔36cを通って、下枠3の中段面37に落ちる。
下枠3の中段面37に落ちた結露水は、中段面37の傾斜等によってガイド板37aのガイド板排水孔37a1やレール35aのレール用排水部35a1を通り、最終的には室外側起立片33の室外側起立片用排水孔33aを通って室外へ排出される。
(排水経路II)
排水経路IIは、図14に示すように、主に、開口部アタッチ7の上側面7aから端部フサギ部材8の上面8aに落ちた結露水や、外障子6を閉めた際、端部フサギ部材8の上方に位置する戸先框ホロー部63aの室内側面63a1や縦枠側面63a3(図3等参照。)等で発生した結露水が端部フサギ部材8の上面8aに落ちた場合の経路を示している。
端部フサギ8の上面8aには、図10〜図12に示すように、横幅が2mm程度の幅で室外方向へ向かって延びる凸部8a1と凹部8a2とが交互に複数設けられて凸凹形状に形成されているため、端部フサギ部材8の上面8aに落ちた結露水の表面張力を消滅(分解)して端部フサギ8の上面8aに結露水が溜まることを防止することができる。
端部フサギ部材8は、凸部8a1の高さが開口部アタッチ7の上側面7aと同じかそれ以下であり、突出部8a3を除き、凸部8a1および凹部8a2はフラットで、室内側には凸部8a1よりも高い下枠3の室内側起立片32があるため、凸部8a1および凹部8a2に溜まった結露水は、排水経路IIに示すように室外側へ向かって流れていく。
その際、フサギ部材抜止め防止片43下端部に結露水が当たったとしても、図2〜図4等に示すように、フサギ部材抜止め防止片43は先端に向かう程、室外側に傾斜して構成されているため、その下端部で結露水を堰き止めように端部フサギ8の上面8aの室外側端部へ導く。
そして、結露水は端部フサギ8の上面8aの室外側端部に達すると、そこから下方へ流れ落ち、下枠3の気密材装着部36fの上へ落ちる。
気密材装着部36fの上には、開口部アタッチ取付片36aが立設しているものの、図8に示すように縦枠4に近い端部では、開口部アタッチ取付片36aを切欠したアタッチ取付片用排水部36a1が形成されている一方、端部フサギ部材8におけるアタッチ取付片用排水部36a1に対向する箇所にはフサギ部材用排水部8e(図11(b),図12(b)参照。)を設けているため、気密材装着部36fの上へ落ちた結露水は、排水経路IIに示すようにアタッチ取付片用排水部36a1およびフサギ部材用排水部8e、更にアタッチ取付補助片用排水部36b1を通って端部フサギ部材8下方の内障子設置面36へ流れていく。
その後は、排水経路Iの場合と同様に、排水弁36eが装着された内障子設置面排水孔36cを通って下枠3の中段面37に落ち、中段面37の傾斜等によってガイド板37aのガイド板排水孔37a1やレール35aのレール用排水部35a1を通って、最終的には室外側起立片33の室外側起立片用排水孔33aを通って室外へ排出される。
(排水経路III)
排水経路IIIは、図14に示すように、主に外障子6の室内側のガラス66で発生した結露水や下框62の室内側面で発生した結露水の排水経路を示している。
図14に示すように、目隠し部材9の突出片91,92先端は、外障子6の下框62に近接しているものの接触していないため、外障子6の室内側のガラス66で発生した結露水や下框62の室内側面で発生した結露水は、下框62の室内側面と開口部アタッチ7の室外側面との間の隙間を通って、気密材36gや下枠3の気密材装着部36fの上へ落ち、その後は、排水経路IIの場合と同様に、アタッチ取付片用排水部36a1およびフサギ部材用排水部8e、更にアタッチ取付補助片用排水部36b1を通って端部フサギ部材8下方の内障子設置面36へ流れ、内障子設置面排水孔36cを通って下枠3の中段面37に落ち、さらにガイド板37aのガイド板排水孔37a1やレール35aのレール用排水部35a1を通って、最終的には室外側起立片33の室外側起立片用排水孔33aを通って室外へ排出される。
<実施形態の隠し框外動片引き窓1の排水構造の主な効果>
従って、実施形態の隠し框外動片引き窓1の排水構造では、下枠3の内障子設置面36における開口部側には、内障子設置面36の室外側に立設した開口部アタッチ取付片36aと下枠3の室内側起立片32との間に縦枠4内側面近傍まで端部が延び、かつ、当該端部と縦枠4内側面との間に空間を形成するように開口部アタッチ7を装着する一方、その空間に端部フサギ部材8を装着し、開口部アタッチ7の上側面7aには、下枠3の室内側起立片32上端よりも低く、当該室内側起立片32との間で結露水を溜めるための水溜め空間7cを形成し、水溜め空間7cに溜めた結露水は端部フサギ部材8の方へ流れるように構成する一方、下枠3の内障子設置面36には内障子設置面排水孔36cと排水弁36eを設けている。
そのため、外障子6の戸先框63近傍で発生した結露水が開口部アタッチ7の上に落ちた場合でも、水溜め空間7cに溜めて端部フサギ部材8の方へ流し、下枠3の内障子設置面36へ落として内障子設置面排水孔36cと排水弁36eから下枠3の中段面37へ落とし、ガイド板排水孔37a1、レール用排水部35a1、室外側起立片用排水孔33a等を介して室外へ排出するので、額縁や室内クロス等の室内仕上げを汚すことなく結露水を室外へ排出できる。
また、実施形態の隠し框外動片引き窓1の排水構造では、端部フサギ部材8の上面8aは、開口部アタッチ7の上側面7a以下の高さを有し、室外方向へ向かって延びる凸部8a1と、その凸部8a1よりも高さが低く、当該凸部8a1と平行に延びる凹部8a2とが交互に複数設けられ、凸部8a1と凹部8a2とが当該端部フサギ部材8の室外側端部まで延びて形成されている。
そのため、端部フサギ部材8の上面8aの凸部8a1と凹部8a2とによって端部フサギ部材8の上面8aに集まった結露水の表面張力を消滅(分解)して、端部フサギ部材8の上面8aに結露水を滞留することを防止するので、端部フサギ部材8の上面8aに落ちた結露水を確実に端部フサギ部材8下側にある下枠3の内障子設置面36に効率良く落とすことが可能となり、より確実に室内仕上げを汚すことなく結露水を室外へ排出できる。
また、端部フサギ部材8の上面8aには、開口部アタッチ7の上側面7aと同様に結露水を下方へ流すための排水孔を設けていないため、排水孔から端部フサギ部材8や開口部アタッチ7を装着している下枠3の内障子設置面36の開口部側に埃やゴミ等が落ちて内障子設置面排水孔36cを塞ぐことを防止でき、この点でもより確実に結露水を室外へ排出できると共に、排水孔を省略したことにより端部フサギ部材8の上面8aの美観を向上させることもできる。
また、実施形態の隠し框外動片引き窓1の排水構造では、下枠3の開口部アタッチ取付片36aにおける縦枠4側端部には、結露水を端部フサギ部材8下方の内障子設置面36へ導くアタッチ取付片用排水部36a1を設けると共に、端部フサギ部材8におけるアタッチ取付片用排水部36a1に対向する箇所にも結露水を当該端部フサギ部材8下方の内障子設置面36へ導くフサギ部材用排水部8eを設けている。
そのため、下枠3の内障子設置面36における開口部アタッチ取付片36aよりも室外側である気密材装着部36fの上面に落ちた結露水でも、アタッチ取付片用排水部36a1およびフサギ部材用排水部8eを介し端部フサギ部材8下方の内障子設置面36へ導いて内障子設置面36の内障子設置面排水孔36cと排水弁36eから排水できるので、この点でも結露水をより確実に室外へ排出できる。
また、実施形態の隠し框外動片引き窓1の排水構造では、開口部アタッチ7の室外側面には、外障子6の下框62の室内側面との間の隙間を塞ぐ目隠し部材9を装着していることも特徴とする。
そのため、本発明に係る隠し框外動片引き窓1の排水構造によれば、開口部アタッチ7の室外側面と外障子6の下框62との間の隙間を狭くしてその隙間から下方の開口部アタッチ取付片36aよりも室外側である気密材装着部36f上面や気密材36g上にゴミや埃等が溜まることを減少させることができるので、この点でも結露水をより確実に室外へ排出できる。
尚、上記実施形態の説明では、端部フサギ部材8の上面8aを結露水の表面張力を消滅(分解)するように凸部8a1と凹部8a2を交互に複数設けた凸凹形状に形成して説明したが、本発明では、これに限らず、凸凹形状無しの平面形状でもよいし、凸凹形状の有無に関らず室外方向に向かって下りの傾斜をつけても良いし、さらには凹部8a2部分に端部フサギ部材8下方の内障子設置面36へ結露水を排出するための排水孔を設ける等しても勿論良い。
また、上記実施形態の説明では、下枠3には、室外へ雨水や結露水を排水するため、図7〜図9等に示すようにアタッチ取付片用排水部36a1やアタッチ取付補助片用排水部36b1、内障子設置面排水孔36c、ガイド板排水孔37a1、レール用排水部35a1および室外側起立片用排水孔33a等を設けて説明したが、これらの場所や大きさ、数等は一例であり、本発明では、これらに限定されるものではなく、室外へ雨水や結露水を排水可能な排水部や排水孔であれば十分である。
1 隠し框外動片引き窓
2 上枠
3 下枠
31 底板
32 室内側起立片
33 室外側起立片
33a 室外側起立片用排水孔
34 第1ホロー部
35 第2ホロー部
35a レール
35a1 レール用排水部
36 内障子設置面
36a 開口部アタッチ取付片
36a1 アタッチ取付片用排水部
36b 開口部アタッチ取付補助片
36b1 アタッチ取付補助片用排水部
36c 内障子設置面排水孔
36d 内障子用排水孔
36e 排水弁
36f 気密材装着部
36g 気密材
37 中段面
37a ガイド板
37a1 ガイド板排水孔
4,4’ 縦枠
41 室内側面
42 室内側戸先框対向面
43 フサギ部材抜止め防止片
5 内障子
51 召合せ方立
55,56 ガラス
6 外障子
61 上框
62 下框
63 戸先框
63a 戸先框ホロー部
63a1 室内側面
63a2 方立側面
63a3 縦枠側面
64 召合せ框
65,66 ガラス
7 開口部アタッチ
7a 上側面
7b 起立部
7b1 目隠し部材装着部
7b2 加熱膨張材装着部
7c 水溜め空間
8 端部フサギ部材
8a 上面
8a1 凸部
8a2 凹部
8a3 突出部
8b 室内側面
8b1 第1係合部
8c 室外側面
8c1 第2係合部
8d 連結側面
8e フサギ部材用排水部
9 目隠し部材
91,92 突出片
93 被装着部

Claims (4)

  1. 上枠と下枠及び左右の縦枠とにより四周枠組みしたサッシ枠の中に内障子を固定する一方、外障子がレールに沿って内障子側と開口部側との間を動くように構成すると共に、外障子を開口部側に移動し閉めた際に当該外障子の戸先框が縦枠の室内側面によって隠れるように構成した隠し框外動片引き窓の排水構造であって、
    前記下枠において前記内障子を固定する内障子設置面の開口部側には、当該内障子設置面の室外側に立設した開口部アタッチ取付片と前記下枠の室内側起立片との間に開口部側の縦枠内側面近傍まで端部が延び、かつ、当該端部と開口部側の縦枠内側面との間に空間を形成するように開口部アタッチを装着する一方、その空間に端部フサギ部材を装着し、
    前記開口部アタッチの上側面には、結露水を溜めるため前記下枠の室内側起立片上端よりも低い水溜め空間を形成し、当該水溜め空間に溜めた結露水を前記端部フサギ部材の方へ流すように構成する一方、前記下枠の内障子設置面には排水孔を設けたことを特徴とする隠し框外動片引き窓の排水構造。
  2. 請求項1記載の隠し框外動片引き窓の排水構造において、
    前記端部フサギ部材の上面は、前記開口部アタッチの上側面以下の高さを有し、室外方向へ向かって延びる凸部と、その凸部よりも高さが低く、当該凸部と平行に延びる凹部とが交互に複数設けられ、前記凸部と前記凹部とが当該端部フサギ部材の室外側端部まで延びて形成されていることを特徴とする隠し框外動片引き窓の排水構造。
  3. 請求項1または請求項2記載の隠し框外動片引き窓の排水構造において、
    前記下枠の開口部アタッチ取付片における縦枠側端部には、結露水を前記端部フサギ部材下方の前記内障子設置面へ導くアタッチ取付片用排水部を設けると共に、前記端部フサギ部材における前記アタッチ取付片用排水部に対向する箇所にも結露水を当該端部フサギ部材下方の前記内障子設置面へ導くフサギ部材用排水部を設けたことを特徴とする隠し框外動片引き窓の排水構造。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一の請求項に記載の隠し框外動片引き窓の排水構造において、
    前記開口部アタッチの室外側面には、前記外障子の下框の室内側面との間の隙間を塞ぐ目隠し部材が取付けられていることを特徴とする隠し框外動片引き窓の排水構造。
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