JP2020023728A - 冷間加工性および耐結晶粒粗大化特性に優れた機械構造用鋼 - Google Patents

冷間加工性および耐結晶粒粗大化特性に優れた機械構造用鋼 Download PDF

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Abstract

【課題】冷間加工時の割れが生じにくく、浸炭処理による結晶粒粗大化が生じにくい機械構造用鋼の提供。【解決手段】質量%でC:0.15〜0.26%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.1〜0.6%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:1.80〜2.50%、Al:0.005〜0.050%、N:0.030%以下を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の面積率が組織全体中の90%以上であることを特徴とする冷間加工性および耐結晶粒粗大化特性に優れた機械構造用鋼。【選択図】 図2

Description

本発明は冷間加工性および耐結晶粒粗大化特性に優れた機械構造用鋼、とりわけ自動車等の動力伝達に好適な耐結晶粒粗大化特性に優れた浸炭部品用の機械構造用鋼に関する。
ギヤ、シャフト等の駆動系部品には、製造コスト削減の観点から冷間加工が選択されることがある。冷間鍛造において要求される材料特性には、工具への負荷や形状を確保するために変形抵抗を下げること、冷間加工割れを抑制することがある。
変形抵抗の低減のためには、球状化焼なまし処理が実施されることが一般的である。しかし球状化焼なまし組織中の炭化物分布が不均一であると、変形抵抗が十分に低減できたとしても、冷間割れを抑制できない場合がある。
また、機械構造用鋼からなる部品に要求される特性としては、耐摩耗性、耐疲労特性があり、これらを確保するため、冷間加工後に適宜浸炭処理が施されている。もっとも、冷間鍛造後に直接浸炭処理を施す場合には、冷間加工の影響によって浸炭昇温時にフェライトが一旦微細に再結晶する段階を経て微細なオーステナイト粒が形成されるので結晶粒の粗大化を引き起こす問題がある。結晶粒粗大化は部品強度の低下や焼曲り発生の原因となるために、粗大化の抑制は重要である。
従来、優れた冷間加工性および結晶粒の粗大化抑制を志向して、種々の提案がなされてきた。たとえば、冷間加工割れ抑制を志向して、球状化焼なまし前組織をフェライトとパーライトの合計面積率90%以上とし、かつフェライト粒径を25μm以下とすることを、また結晶粒粗大化抑制を志向して、AlNの第2相粒子を微細分散させることが提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
また、化学成分の限定および熱処理方法の限定により、球状化焼なまし組織中のラメラーパーライトの面積率を3%以下とすることにより、結晶粒の粗大化を抑制することが提案されている(たとえば、特許文献2参照。)。
特開2013−082988号公報 特開2010−242209号公報
しかし、これらの提案の方法では球状化焼なまし組織中の炭化物分布の影響を考慮できていなかった。その結果、炭化物分布の不均一を抑制することができないので、冷間加工割れ、結晶粒粗大化を十分に抑制できない問題が残っていた。
球状化焼なまし組織中の炭化物分布が不均一であると、冷間加工時に不均一な歪みが生じ、フェライトの微細な再結晶の原因となる。また、浸炭昇温時には炭化物を核としてオーステナイトが不均一に生成するため、結晶粒粗大化を起こしやすい。そこで、炭化物分布を均一とすることができれば、冷間加工割れ抑制、耐結晶粒粗大化特性の有効な方策となる。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、適切な化学成分を選択し、球状化焼なまし組織中の炭化物分布を均一とすることで、冷間加工時の割れが生じにくく、また、その後の浸炭処理による結晶粒粗大化が生じにくい機械構造用鋼を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するための第1の手段は、質量%でC:0.15〜0.26%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.1〜0.6%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:1.80〜2.5%、Al:0.005〜0.050%、N:0.030%以下を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の面積率が組織全体中の90%以上であることを特徴とする冷間加工性および耐結晶粒粗大化特性に優れた機械構造用鋼である。
その第2の手段は、第1の手段に記載の化学成分に加え、Nb:0.02〜0.10%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の面積率が組織全体中の90%以上であることを特徴とする冷間加工性および耐結晶粒粗大化特性に優れた機械構造用鋼である。
上記本発明の手段によると、球状化焼なまし後に、短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の面積率が、組織全体中の90%以上である機械構造用鋼を得ることができる。この鋼は、限界据込み率が高く冷間加工割れが生じにくいことに加えて、結晶粒粗大化温度が高いので浸炭処理による結晶粒粗大化も生じにくい。そのため、たとえば、冷間加工により製造される自動車などの駆動系部品に用いれば、製造コストの削減が可能となる。
本発明における球状化焼なましの熱処理条件の一例を示す図である。 球状化焼なまし後の組織を示す光学顕微鏡写真画像であり、(a)は本発明の実施例、(b)は比較例である。 本発明の実施例の球状化焼きなまし後の組織を高倍率で示した光学顕微鏡写真画像である。
本発明の機械構造用鋼の化学成分の限定理由、および短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒が面積率で組織全体の90%以上であることについて、以下に説明する。
なお、化学成分については、質量%で表す。
C:0.15〜0.26%
Cは、機械構造用部品としての鋼材の浸炭後の芯部強度を確保するために必要な元素である。しかし、Cが0.15%未満ではその効果が十分に得られない。他方、Cが0.26%を超えると加工性を低下させ、かつ靱性を低下させる。そこで、Cは0.15〜0.26%とする。
Si:0.05〜1.0%
Siは、脱酸に必要な元素である。しかし、Siが0.05%未満ではその効果が十分に得られない。他方、Siが1.0%を超えると加工性を低下させる。そこで、Siは0.05〜1.0%とする。
Mn:0.1〜0.6%
Mnは、焼入れ性を確保するために必要な元素である。しかし、Mnが0.1%未満では、焼入れ性の効果が十分に得られない。他方、Mnが0.6%を超えると加工性を低下させる。そこで、Mnは0.1〜0.6%とする。
P:0.030%以下
Pは、スクラップから含有される不可避な不純物であるが、オーステナイト粒界に偏析して衝撃強度や曲げ強度などの靱性を低下させる。そこで、Pは0.030%以下とする。
S:0.030%以下
Sは、被削性を向上させる元素である。しかし、Sは非金属介在物MnSを生成して靱性および疲労強度を低下させる。そこで、Sは0.030%以下とする。
Cr:1.80〜2.50%
Crは、球状化焼なまし処理により、炭化物が粒内に均一分散した組織を得るために不可欠な元素である。この効果を得るためには、Crは1.80%以上必要である。しかし、Crが2.50%を超えると加工性を低下させる。そこで、Crは1.80〜2.50%とする。
Al:0.005〜0.050%
Alは、脱酸剤として使用される元素であり、また、Nと結合してAlNを形成し、結晶粒粗大化の抑制効果をもたらす。この効果を得るためには、Alは0.005%以上の添加を必要とする。もっとも、Alは0.050%を超えると、アルミナ系酸化物が増加し、疲労特性および加工性を低下させる。そこで、Alは0.005〜0.050%とし、望ましくは0.015〜0.050%とする。
N:0.030%以下
Nは、鋼中でAlNやNb窒化物として微細析出し、結晶粒粗大化を防止する効果もたらす。しかし、Nは0.030%を超えると窒化物が増加し、疲労強度や加工性を低下させる。そこで、Nは0.030%以下、望ましくは、0.025%以下とする。
Nb:0.02〜0.10%
Nbは、炭化物あるいは窒化物を形成し、結晶粒粗大化を防止する効果をもたらす。特に鋼中に微細に分散したナノオーダーのNb(C,N)は結晶粒の成長を抑制する。Nbが0.02%未満ではその効果が得られない。他方、Nbが0.10%を超えると、析出物の量が過剰となって加工性を低下させる。そこで、Nbは0.02〜0.10%、望ましくは、0.02〜0.08%とする。
Ni:0.20%以下
Mo:0.05%以下
NiとMoは、いずれも鉄スクラップに含有されることで不純物として混入する場合がある。もっとも、これら成分が混入すると、凝固段階で鋼材中に偏析することから、炭化物の不均一分布の原因となりうる。
そこで、本発明において許容するNiは0.20%以下、Moは0.05%以下としておくことが好ましい。
球状化焼なまし後の組織:短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒が球状化焼なまし後の組織全体の面積率90%以上
鋼中の炭化物分布が不均一であると、冷間加工時に不均一変形が生じ、割れの原因となる。また、冷間加工による不均一なひずみの影響で、その後の浸炭処理時に再結晶フェライト粒が微細となること、さらに炭化物を核としてオーステナイトが不均一生成することにより、結晶粒粗大化が生じやすい。この問題を抑制するためには、組織中の炭化物分布を均一とする必要がある。そこで、短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒が、球状化焼なまし後の組織全体の面積率90%以上とする。
本発明の機械構造用鋼は、たとえば以下の方法で得ることができる。(1)本発明の手段に記載の化学成分からなる鋼を溶解炉内にて溶製することで得る。(2)次に、熱間圧延工程として、この鋼を1200℃以上に加熱して熱間圧延を施し、一旦空冷した後、再加熱し、960℃以下の温度で仕上げ圧延を実施し、その後空冷する。(3)その後、A1点〜A1点+40℃に加熱して、所定の時間保持した後、(4)720〜650℃まで(5〜40℃)/hの冷却速度で冷却し、その後空冷する球状化焼なまし処理を施すことで、本発明の鋼を得ることができる。以下にこれらの方法における温度条件等の理由を記載する。
鋼片の圧延温度:1200℃以上
本発明では、AlやNbによる結晶粒度粗大化抑制の効果を十分に得るために、凝固段階で生じたAl窒化物やNb酸化物やNb窒化物を一旦鋼材中に溶かし込む必要がある。そこで、本発明の機械構造用鋼を得るために、鋼片の圧延温度を1200℃以上、望ましくは1250℃以上とする。
鋼片の仕上げ圧延温度:960℃以下
第1の手段または第2の手段に記載の化学成分を有する鋼材は、球状化焼なまし前の組織をフェライトとパーライト組織とし、かつフェライト粒径をJIS G0551のオーステナイト粒度番号で8番以上に相当する粒度とすることで、球状化焼なまし処理を施した際に、炭化物分布が均一な組織が得ることができる。なお、このような組織を有する鋼は冷間加工による不均一変形が抑制されることで割れが生じにくく、さらにその後の浸炭処理による結晶粒度粗大化が起こりにくい。
そこで、フェライト粒度番号8番以上の組織を得るために、鋼片の仕上げ圧延温度を960℃以下とする。
球状化焼なまし条件:A1点〜A1点+40℃に加熱して所定の時間保持後、720〜650℃まで5〜40℃/hの冷却速度で冷却し、その後空冷すること
第1の手段又は第2の手段に記載の成分を含有する鋼に上記条件の球状化焼なましを実施することで、炭化物分布が均一な組織となる。このような組織を有する鋼は冷間加工による不均一変形が抑制されることで割れが生じにくく、さらにその後の浸炭処理による結晶粒度粗大化が起こりにくい。
この効果を得るために、球状化焼なましの条件を、A1点〜A1点+40℃の範囲に加熱して所定の時間保持後、720〜650℃まで8〜40℃/hの冷却速度で冷却し、その後空冷することとする。
本発明の実施例について、表および図面を適宜参照しつつ説明する。表1には、本発明の範囲内の供試材の化学成分を示す。なお、網掛け部は本発明の成分の範囲外である。供試材No.1〜10は本発明の範囲内の成分組成であり(以下、「発明鋼成分」ともいう。)、供試材No.11〜20は範囲外の成分組成で比較鋼となる供試材である(以下、「比較鋼成分」ともいう。)。
また、表2に各供試材を圧延した際の仕上げ圧延温度(焼ならし温度)とフェライト粒度番号の関係性を示す。なお、網掛け部は粒度番号が8番未満のものである。
表3、表4に短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の面積率、限界据込み率、結晶粒粗大化温度を示す。なお、網掛け部は本発明の範囲外である。
また、表3、表4に示す仕上げ圧延温度は表3、表4の下記に記載するように、それぞれ(a)が925℃、(b)が950℃、(c)が1000℃、(d)が1050℃である。
なお、表3、表4における供試材のNo.と温度条件の組合せについての表記法を説明する。供試材と温度条件がいずれであるかを直感的に理解しやすくするため、これらの要素を記号的に組合せて表記している。たとえば供試材No.4(発明鋼成分)を仕上げ圧延温度を(c)1000℃で処理した場合であれば、「供試材4(c)」といった形で表記している。
さて、表3は、化学成分としては本発明の範囲内(発明鋼成分)である場合でも、仕上圧延温度が相違することで、熱処理後に得られる鋼の特性が異なっていることを示している。
すなわち、表3の供試材4(c)、供試材5(c)、供試材6(c)、供試材6(d)、供試材7(c)、供試材7(d)は、発明鋼成分でありながら、短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の面積率が90%を下回っており、本発明の機械構造用鋼の範囲から外れるものであるから、比較例となっている。
表4は、供試材の化学成分が本発明の範囲外(比較鋼成分)であり、これらも比較例である。
表1〜表4の試験では、まず、表1の供試材No.1〜10(発明鋼成分)および供試材No.11〜20(比較鋼成分)の化学成分の素材を真空溶解炉にて溶製し、100kgの鋼塊を得た。そして、溶製した鋼塊を1250℃で10.8ks加熱後に直径65mmの棒鋼に鍛伸し、空冷した。
次いで、圧延を想定して、これに相当する(a)925℃、(b)950℃、(c)1000℃、(d)1050℃の条件で3.6ks加熱後に空冷する焼ならし処理を実施した。この焼ならし材を鏡面研磨し、5%ナイタールで腐食した後、フェライト粒度を測定した。
表2に本発明の化学成分の範囲内の供試材No.1〜10(発明鋼成分)と化学成分の範囲外の供試材No.11〜20(比較鋼成分)の各供試材における、仕上げ圧延温度(焼ならし温度)およびフェライト粒度番号の関係性を示す。
フェライト粒の粒度番号は、仕上げ圧延温度1000℃以上で7.5番以下となるのに対し、950℃以下で8番以上となった。
焼ならし後の供試材に対し、図1に示す熱処理条件で球状化焼なましを実施した。その後、これらの試験片に対し、鏡面研磨、ピクラール腐食を行った後、それらのミクロ組織を観察して、短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の面積を測定して求め、組織全体における面積率を算出した。
図2に、球状化焼なまし後の組織を示す光学顕微鏡写真画像を示す。(a)は本発明の実施例であり、(b)は比較例である。本発明の実施例(a)では組織中の炭化物分布が均一となっている。他方、比較例の(b)では、炭化物分布が不均一となっている。図3に、本発明の実施例の球状化焼きなまし後の組織をさらに高倍率で示した光学顕微鏡写真画像を示す。本発明における粒内に析出している炭化物の分布の様子が確認できる。
表3、表4には、熱処理後の各鋼について、短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の組織全体に対する面積率を示している。
表3で示すように、発明鋼成分の供試材を用いた場合、仕上げ圧延温度1000℃以上でフェライト粒度番号8未満となった場合には、球状化焼なまし後の短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の面積率が組織全体中の90%を下回りとなり、本発明の範囲外となった。
発明鋼成分の供試材No.1〜10では、仕上げ圧延温度が900℃もしくは950℃のものは、表2に示すようにフェライト粒度番号が8以上であって、表3に示すように球状化焼なまし後の短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の面積率が組織全体中の90%以上となった。これらは本発明の範囲内の実施例であるところ、限界据込み率が高く、結晶粒粗大化温度も高いことから、冷間加工性および耐結晶粒粗大化特性に優れた機械構造用鋼といえる。
表4の供試材は比較鋼成分であり、本発明の化学成分に比してCrの含有量が少ないことが影響し、短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の面積率が少なく、いずれも組織全体中の90%を下回った。
(限界据込み率について)
上記の球状化焼なましを実施した供試材の中周部より、切削加工により直径14mmで長さ21mmの円柱型試験片を作製した。試験片の長さ方向は母材の鍛伸方向と同一とした。得られた試験片について万能試験機を用いて据込み試験を行い、試験片表面に割れが発生しない最大の据込み率である限界据込み率を測定した。評価指標の限界据込み率は、測定数4回の平均値とした。
表3に発明鋼成分における実施例と比較例についての、表4に比較鋼成分の比較例についての限界据込み率の結果を示す。
表3の実施例は、発明鋼成分であってかつ短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の面積率が組織全体中の90%以上であるところ、限界据込み率は76%以上となり、ほぼ試験機の測定限界に達してしまった。
他方、表3および表4の比較例では、粒子径50nm以上の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の面積率が組織全体中の90%を下回っており、限界据込み率も74%以下となった。
(結晶粒粗大化について)
次いで、冷間加工後の直接浸炭による結晶粒度粗大化を確認するため、以下の評価を行った。前述の円柱型試験片について試験片に高さ比で70%の冷間据込み加工を施した。据込み後の試験片を半割りとし、900℃〜1000℃で10.8ks保持後、水冷する擬似浸炭処理を実施した。
熱処理後の各試験片断面を飽和ピクリン酸溶液で腐食し、結晶粒径を光学顕微鏡観察し、結晶粒粗大化温度を検出した。なお、ここで粗大粒とは、結晶粒度番号3番以上のものをいう。
表3に発明鋼成分の実施例及び比較例について、表4に比較鋼成分の比較例についての、結晶粒粗大化温度を示す。表3に示す実施例の鋼では、粒子径50nm以上の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の面積率が90%以上であるため、結晶粒粗大化温度が980℃以上と高くなった。すなわち、浸炭処理によって、結晶粒粗大化が生じにくい特性であることを意味している。
他方、表3、表4における比較例の鋼では、短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の面積率が90%未満であって、結晶粒粗大化温度が950℃以下となったことから、実施例に比して結晶粒が粗大化しやすいことが確認された。
以上のように、表3に示した本発明の発明鋼成分の実施例の鋼は、炭化物分布が均一となった組織であって、冷間加工割れが抑制されており、浸炭処理による結晶粒粗大化が生じにくい特性も得られている。このように、本発明によると、冷間加工性および耐結晶粒粗大化特性に優れた機械構造用鋼が得られる。

Claims (2)

  1. 質量%でC:0.15〜0.26%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.1〜0.6%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:1.80〜2.50%、Al:0.005〜0.050%、N:0.030%以下を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の面積率が組織全体中の90%以上であることを特徴とする冷間加工性および耐結晶粒粗大化特性に優れた機械構造用鋼。
  2. 請求項1に記載の化学成分に加え、Nb:0.02〜0.10%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、短径50nm以上かつアスペクト比3以下の炭化物が粒内析出しているフェライト粒の面積率が組織全体中の90%以上であることを特徴とする冷間加工性および耐結晶粒粗大化特性に優れた機械構造用鋼。
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