JP2020023121A - 積層フィルムおよびシリコーン樹脂成型体 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2には、シリコーンゴム成形体表面に、電子線を吸収線量が100kGy以上になるように照射した後、着色層、透明層及び接着層のいずれか1層又は2層以上を設けることを特徴とするシリコーンゴム成形体の製造方法が開示されている。
しかしながら、プラスチックフィルムとの積層技術については言及されていない。
シリコーン樹脂と接着させるための積層フィルムであって、
樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に形成された接着層とを備え、
前記接着層は、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により形成された蒸着膜を含み、前記蒸着膜上に酸素プラズマ処理を施したプラズマ処理面が形成されてなり、
前記接着層のプラズマ処理面の水の接触角が、1°以上35°以下である積層フィルムが提供される。
上記の積層フィルムとシリコーン樹脂とを備えるシリコーン樹脂成型体であって、
前記積層フィルムのプラズマ処理面が前記シリコーン樹脂と接着してなる、シリコーン樹脂成型体が提供される。
シリコーン樹脂と接着させるための積層フィルムの製造方法であって、
樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により蒸着膜を形成する工程と、
前記蒸着膜の表面に、酸素ガスを用いた酸素プラズマ処理により、プラズマ処理面を形成する工程と、
を含む、積層フィルムの製造方法が提供される。
本発明による積層フィルムは、樹脂フィルムと、樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に形成された接着層とを備えるものである。当該接着層は、シリコーン樹脂との接着性に優れるため、本発明の積層フィルムは、シリコーン樹脂と接着させるための用途に好適に使用することができる。
本発明による積層フィルムを構成する樹脂フィルムとしては、下記の接着層(蒸着膜)を担持できるものであれば特に限定されず、公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のフィルムを用いることができる。
本発明の積層フィルムにおける接着層は、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物(以下、「原料ガス」とも記載する)を用いたプラズマ気相化学蒸着法(プラズマCVD法)により形成された蒸着膜を含み、該蒸着膜上に酸素プラズマ処理を施したプラズマ処理面が形成されてなる。このような接着層を備える積層フィルムは、接着層のプラズマ処理面とシリコーン樹脂との親和性および反応性が向上することで、接着性を向上させることができる。
本発明によるシリコーン樹脂成型体は、積層フィルムとシリコーン樹脂とを備えるものであり、積層フィルムのプラズマ処理面が前記シリコーン樹脂と接着してなる。本発明の積層フィルムをシリコーン樹脂と接着することにより、樹脂フィルムの特性を付与したシリコーン樹脂成形体を得ることができる。なお、本発明において、シリコーン樹脂とは、珪素と酸素からなるシロキサン結合(−Si−O−Si−)を主鎖とする重合体の総称であり、従来公知のシリコーンエラストマーやシリコーンゴムを用いることができる。
[実施例1]
(樹脂フィルムへの蒸着膜の形成)
厚さ100μmのPETフィルム(A4100、東洋紡(株)製、表面無処理)を使用し、これをロールツーロール型CVD装置(図5)のチャンバーb内のフィルム収納ロールa1に収納し、搬送ロールcおよびメインロールdを介して、フィルム収納ロールa2へと接続した。次に、プラズマ処理装置のチャンバー内を排気ポンプjによって0.001Paに減圧した。次いで、有機珪素化合物としてHMDSOを準備し、これを流量制御しながら40℃に加熱した気化器eによって気化して蒸着用モノマーガスとし、100sccm(気体状態)の流量で材料ノズルhによってチャンバーに供給した。また、酸素ガスfを1500sccmの流量で同じく材料ノズルhでチャンバーに供給した。次に、メインドラムdとマグネット電極(マグネットを備えた電極)g間の距離は50mmで、放電電源iによって700W、13.56MHzの電力をメインドラムdとマグネット電極gの間に投入することによりプラズマを生成し、成膜時のチャンバー内の圧力を3Paに保って、フィルム搬送速度2.0m/分で搬送しながら成膜して、フィルム収納ロールa2に収納した。尚、処理時の樹脂フィルムは水冷して室温に保持した。
続いて、プラズマ処理装置のチャンバー内を排気ポンプjによって0.001Paに減圧し、蒸着用モノマーガスは供給せずに0sccmとし、次いで、酸素ガスfを1500sccmの流量で材料ノズルhからチャンバーに供給した。そして、メインドラムdとマグネット電極g間の距離は50mmで、放電電源iによって700W、13.56MHzの電力をメインドラムとマグネット電極の間に投入することによりプラズマを生成し、成膜時のチャンバー内の圧力を8Paに保った。そして、フィルム収納ロールa2に収納されている蒸着膜形成済の樹脂フィルムを、フィルム収納ロールa1に向けて、搬送ロールcおよびメインロールdを介して、フィルム搬送速度4.2m/分で搬送しながらプラズマ処理し、プラズマ処理面を形成して、接着層を完成させて、積層フィルムを製造した。
樹脂フィルムの種類および酸素プラズマ処理時の酸素ガスfの流量を表1に示した条件に変更した以外は、実施例1と同様に操作して、蒸着膜とプラズマ処理面を形成して接着層を完成させて積層フィルムを製造した。
上記の実施例および比較例で製造した積層フィルムの接着層のプラズマ処理面と、加熱硬化型2液型シリコーンエラストマー(東レダウコーニング(株)QP1)とを重ね合せ、テスター産業社製精密プレス機によって、125℃、0.5MPaで600秒間加熱圧着および硬化を行い、複合シート(シリコーン樹脂成形体)を得た。
得られた複合シートを用いて、剥離試験を行った。結果を表1に示す。
実施例および比較例で製造した積層フィルムの接着層の厚みを(株)リガク社製蛍光X線分析装置(機種名:RIX2000型)を用いて測定した。測定結果を表1に示した。
(接触角)
実施例および比較例で製造した積層フィルムの接着層のプラズマ処理面の水の接触角を、接触角試験機(協和界面科学(株)全自動接触角計Drop Master700)を用いて、20℃、50%RHの条件下で測定した。測定結果を表1に示した。
実施例および比較例で製造した複合シートについて、JISK 6404−5に準じて、剥離試験を行って、積層フィルムとシリコーン樹脂との密着性を評価した。具体的には、各複合シートから15mm巾に切り出した試験片を用いて、これらを人の手で剥離角180°で引張り、剥離を試みた。判定基準は下記の通り。
○:引張りにより試験片が伸び、その後破断するまで積層フィルムとシリコーン樹脂とが剥離しなかった。
△:試験片が伸び、破断する前に積層フィルムとシリコーン樹脂とが剥離した。
×:試験片が伸びる前に積層フィルムとシリコーン樹脂とが剥離した。
11、21、31、41:樹脂フィルム
12、22、32、42:接着層
30、40:シリコーン樹脂成型体
33、43;シリコーン樹脂
a1、a2 フィルム収納ロール
b チャンバー
c 搬送ロール
d メインロール
e 気化器
f 酸素ガス
g マグネット電極
h 材料ガスノズル
i 放電電源
j 排気ポンプ
Claims (5)
- シリコーン樹脂と接着させるための積層フィルムであって、
樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に形成された接着層とを備え、
前記接着層は、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により形成された蒸着膜を含み、前記蒸着膜上に酸素プラズマ処理を施したプラズマ処理面が形成されてなり、
前記接着層のプラズマ処理面の水の接触角が、1°以上35°以下である、積層フィルム。 - 前記樹脂フィルムが、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、およびポリイミド樹脂からなる群から選択される、請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記接着層の厚みが、5nm以上200nm以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層フィルムとシリコーン樹脂とを備えるシリコーン樹脂成型体であって、
前記積層フィルムのプラズマ処理面が前記シリコーン樹脂と接着してなる、シリコーン樹脂成型体。 - シリコーン樹脂と接着させるための積層フィルムの製造方法であって、
樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により蒸着膜を形成する工程と、
前記蒸着膜の表面に、酸素ガスを用いた酸素プラズマ処理により、プラズマ処理面を形成する工程と、
を含む、積層フィルムの製造方法。
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