JP2020023121A - 積層フィルムおよびシリコーン樹脂成型体 - Google Patents

積層フィルムおよびシリコーン樹脂成型体 Download PDF

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Abstract

【課題】シリコーン樹脂との接着性に優れた積層フィルムの提供。【解決手段】本発明によるシリコーン樹脂と接着させるための積層フィルム10は、樹脂フィルム11と、前記樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に形成された接着層12とを備え、前記接着層は、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により形成された蒸着膜を含み、前記蒸着膜上に酸素プラズマ処理を施したプラズマ処理面が形成されてなり、前記接着層のプラズマ処理面の水の接触角が、1°以上35°以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、シリコーン樹脂と接着させるための積層フィルムに関し、より詳細には、樹脂フィルムと樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に形成された接着層とを備える積層フィルムおよびそれを用いたシリコーン樹脂成型体に関するものである。
従来、シリコーン樹脂は、耐熱性や難燃性、化学安定性、生理的安定性を有しており、医療用器材や調理用器具等に広く採用されている。しかし、その化学的安定性および耐熱性のため、異種材料のとの接着が困難であった。
そのため、従来、シリコーン樹脂と被着体との貼合には、専用接着剤の使用や溶着等が用いられてきた(特許文献1参照)。しかしながら、接着剤に含まれる有機成分の溶出により、人体への影響が懸念されていた。また、溶着の場合、融点が低い樹脂フィルム等の被着体には、適用できないという問題点が存在した。
また、特許文献2には、シリコーンゴム成形体表面に、電子線を吸収線量が100kGy以上になるように照射した後、着色層、透明層及び接着層のいずれか1層又は2層以上を設けることを特徴とするシリコーンゴム成形体の製造方法が開示されている。
しかしながら、プラスチックフィルムとの積層技術については言及されていない。
特開平11−255926号公報 特開2002−363318号公報
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、シリコーン樹脂との接着性に優れた積層フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、樹脂フィルムの表面に有機珪素化合物の蒸着膜を形成し、さらに蒸着膜上に酸素プラズマ処理を施したプラズマ処理面を形成して、プラズマ処理面の水の接触角を特定の範囲内にすることで、シリコーン樹脂との接着性に優れた積層フィルムを提供できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の一態様によれば、
シリコーン樹脂と接着させるための積層フィルムであって、
樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に形成された接着層とを備え、
前記接着層は、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により形成された蒸着膜を含み、前記蒸着膜上に酸素プラズマ処理を施したプラズマ処理面が形成されてなり、
前記接着層のプラズマ処理面の水の接触角が、1°以上35°以下である積層フィルムが提供される。
本発明の態様においては、前記樹脂フィルムが、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、およびポリイミド樹脂からなる群から選択されることが好ましい。
本発明の態様においては、前記接着層の厚みが、5nm以上200nm以下であることが好ましい。
本発明の別の態様によれば、
上記の積層フィルムとシリコーン樹脂とを備えるシリコーン樹脂成型体であって、
前記積層フィルムのプラズマ処理面が前記シリコーン樹脂と接着してなる、シリコーン樹脂成型体が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、
シリコーン樹脂と接着させるための積層フィルムの製造方法であって、
樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により蒸着膜を形成する工程と、
前記蒸着膜の表面に、酸素ガスを用いた酸素プラズマ処理により、プラズマ処理面を形成する工程と、
を含む、積層フィルムの製造方法が提供される。
本発明によれば、シリコーン樹脂との接着性に優れた積層フィルムを提供することができる。また、本発明によれば、当該積層フィルムと、シリコーン樹脂とを備えるシリコーン樹脂成型体を提供することもできる。さらに、本発明によれば、当該積層フィルムの製造方法を提供することもできる。
本発明の積層フィルムの一実施形態を示した断面概略図である。 本発明の積層フィルムの一実施形態を示した断面概略図である。 本発明のシリコーン樹脂成型体の一実施形態を示した断面概略図である。 本発明のシリコーン樹脂成型体の一実施形態を示した断面概略図である。 本発明の積層フィルムの製造におけるプラズマ処理を行うプラズマ処理装置を示す概略構成図である。
<積層フィルム>
本発明による積層フィルムは、樹脂フィルムと、樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に形成された接着層とを備えるものである。当該接着層は、シリコーン樹脂との接着性に優れるため、本発明の積層フィルムは、シリコーン樹脂と接着させるための用途に好適に使用することができる。
本発明による積層フィルムの層構成を、図面を参照しながら説明する。図1に示す積層フィルム10は、樹脂フィルム11と、該樹脂フィルム11の一方の面に形成された接着層12とを備える。また、図2に示す積層フィルム20は、樹脂フィルム21と、該樹脂フィルム21の両面に形成された接着層22とを備える。以下、本発明の積層フィルムを構成する各層について説明する。
(樹脂フィルム)
本発明による積層フィルムを構成する樹脂フィルムとしては、下記の接着層(蒸着膜)を担持できるものであれば特に限定されず、公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のフィルムを用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル・1−ペンテン、およびポリブテン等のポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ナイロン−6、ナイロン−66、およびポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体もしくはその鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アイオノマー、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。特に、樹脂フィルムは、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、およびポリイミド樹脂からなる群から選択されることが好ましい。これらの樹脂フィルムは、単層であっても、二種以上の樹脂フィルムからなる積層体であってもよい。
また、これらの樹脂フィルムは、下記の蒸着膜との接着性を改良するために、その表面を、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理、フレーム処理等の表面活性化処理を行っておいてもよい。
樹脂フィルムの膜厚は、特に限定されるものではないが、好ましくは10μm以上300μmであり、より好ましくは20μm以上200μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上200μm以下である。樹脂フィルムの膜厚が上記範囲内であれば、シリコーン樹脂成型体を製造する際の取り扱いが容易となる。
(接着層)
本発明の積層フィルムにおける接着層は、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物(以下、「原料ガス」とも記載する)を用いたプラズマ気相化学蒸着法(プラズマCVD法)により形成された蒸着膜を含み、該蒸着膜上に酸素プラズマ処理を施したプラズマ処理面が形成されてなる。このような接着層を備える積層フィルムは、接着層のプラズマ処理面とシリコーン樹脂との親和性および反応性が向上することで、接着性を向上させることができる。
蒸着膜は、プラズマ化した蒸着用ガス組成物の化学反応物を薄膜状に形成してなるものであり、主に炭素、珪素、および酸素を含む緻密で可撓性に富む連続蒸着薄膜である。このような蒸着膜は、蒸着材料としてSi原子に直接結合したメチル基を含む有機珪素化合物モノマーを使用し、これよりなる蒸着用モノマーガス、および場合により酸素供給ガス、を含む蒸着用ガス組成物を用いて、CVD法により成膜することができる。また、CVD法には、熱CVD法や光CVD等のいくつかの方法があるが、低温成膜が可能で、樹脂フィルムの着色を生じにくいプラズマCVD法を採用することが好ましい。プラズマCVD法による蒸着によれば、接着層を効率よく短時間で形成することができるため、本発明の積層フィルムは生産性に優れるという利点も有する。プラズマCVD法における成膜条件については後述する。
接着層の表面に存在するCH基およびC基の量は、成膜時の蒸着用ガス組成物中の蒸着用モノマーガスと酸素供給ガスとの比を変化させることにより調製することができる。
接着層の膜厚は、好ましくは5nm以上200nmであり、より好ましくは10nm以上100nm以下であり、さらに好ましくは20nm以上60nm以下であり、最も好ましくは30nm以上50nm以下である。接着層の膜厚が上記範囲内であれば、接着層が連続膜として存在し易く、また、接着層の柔軟性が保たれて、接着層にクラック等が発生し難くなる。なお、接着層の厚みは、例えば、(株)リガク社製蛍光X線分析装置(機種名:RIX2000型)を用いて測定することができる。
本発明の接着層となる蒸着膜を成膜するためには、例えば、被蒸着フィルム(樹脂フィルム)を真空槽内に導入する。そして、真空槽内に、有機珪素化合物からなる蒸着用モノマーガスと、場合により酸素供給ガスとを含む蒸着用ガス組成物を一定割合で導入し、プラズマCVD法により表面上に接着層を形成する。
接着層の形成に用いられる有機珪素化合物としては、シリコン(Si)原子に直接結合したCHを含む有機珪素化合物、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、オクタメチリシクロテトラシロキサン、メチルシラン、ジメチルシラン、トエリメチルシラン、テトラメチルシラン、エチルシラン等が好ましく用いられる。
他の有機珪素化合物としては、有機化合物であって常温で適当な蒸気圧を持ち、プラズマCVD法を実施することが可能な材料であればどのような材料でもよい。したがって、例えばC基等の炭素数が3以上の官能基をもつ材料を用いてCH基およびCのいずれかを少なくとも含む有機珪素膜(接着層)をプラズマCVD法により製造することも理論的には可能と考えられる。
本実施形態に係る接着層を形成する場合には、有機珪素化合物のうちでも特に、HMDSO、TMDSO、オクタメチルシクロテトラシロキサンを用いることが好ましい。これらのシロキサン材料は、接着性を発現するCH基が、結合が切れやすいSi−O結合やO−C結合を介してではなく、直接Si原子と結合しているため、蒸着膜中に安定して取り込まれやすくなるからである。
本発明において、酸素供給ガスとしては、例えば酸素ガスが用いられる。酸素ガスの代わりに、オゾンガスや笑気ガス(NOガス)等を使用することも可能であるが、成膜効率やコストの面から、酸素ガスを用いるのが最も好ましい。
また、蒸着用ガス組成物中に、蒸着用モノマーガスを効率よく真空槽中に導入するためのガス(キャリアガス)や、プラズマを発生させたりプラズマを増強させたりする目的のガスを増強して導入することも、必要に応じて行ってもよい。
プラズマCVD法として最も一般的な方法は、平行平板電極間に13.56MHzの電界を印加する方式である。すなわち、真空槽内に蒸着用ガス組成物を導入することで一定圧力に維持し、真空槽内に設置した平板電極と該平板電極と平行に対向して設置したアース電極との間に13.56MHzのRF交流電圧を印加する。
例えば、300Wの電力を投入することで、グロー放電プラズマを発生させ、そのプラズマ流を利用することで蒸着用ガス組成物を化学的に反応させることにより、有機珪素膜からなる蒸着膜が形成可能である。蒸着膜を形成させるための被蒸着フィルム(樹脂フィルム)は、通常、アース電極の表面に設置するが、RF電圧を印加する平板電極側に設置してもよい。
本実施形態においては、13.56MHzのRF交流電圧を印加する代わりに、より低い周波数(40kHzや50kHz等)を印加したり、より高い周波数(2.45GHz等)を印加したりすることも可能である。また、直流電圧を印加してもよい。平板電極の代わりに、ガスの吹き出しによりプラズマ流を発生させるようなホローカソード電極を利用したり、外部コイルから誘導プラズマを発生させたりすることも可能である。磁界を用いたり、ECR共鳴現象(電場と磁場とを適切に調節することで、プラズマ中の電子をサイクロトロン共鳴させる現象)を用いたりして、プラズマ密度を高めたりすることも可能である。
プラズマCVD法の成膜条件には、投入電力、ガス流量、成膜圧力、電極間距離、成膜時間等の様々なパラメータがあり、所望の接触角を示す蒸着膜が得られるように、これらのパラメータを適宜に調製することができる。
本発明においては、20〜500W、より好適には50〜300Wの投入電力で、成膜を行うことが好ましい。投入電力が上記範囲内であれば、樹脂フィルムとの反応が起こりやすくなるため、表面改質の効果が大きくなり、シリコーン樹脂との接着性をより向上させることができる。
本発明において、蒸着用モノマーガスと酸素供給ガスとの流量比を一定範囲に制御しながら、樹脂フィルムの表面上に接着層をプラズマCVD法により形成する。
なお、本発明の製造方法で使用するプラズマCVD法による成膜装置は、上述のバッチ式の平行平板型プラズマCVD装置に限定されるものではなく、図5に示されたような、チャンバー内で樹脂フィルムの原反をコーティングドラム上に搬送させながら蒸着膜を形成するロール成膜機等であることが好ましい。
接着層のプラズマ処理としては、電子ビームによる処理、コロナ処理、大気圧プラズマ処理、低圧プラズマ処理等があげられる。生産性の観点からコロナ処理、大気圧プラズマ処理、低圧プラズマ処理等が好ましく、特に、プラズマ雰囲気の制御のしやすさから、低圧下での酸素プラズマ処理が好ましい。
低圧プラズマ処理としては、ICP型のプラズマ処理装置、並行平板型のプラズマ処理装置、ロールツーロール型のプラズマ処理装置等を用いることができる。低圧プラズマ処理条件には、投入電力、ガス流量、成膜圧力、電極間距離、処理時間等の様々なパラメータがあり、所望の接触角を示す蒸着膜が得られるように、これらのパラメータを適宜に調製することができる。
プラズマ処理面の形成は、蒸着膜の形成と連続して、外気に曝さずに行うことが好ましい。具体的には、図5に示すプラズマ処理装置において、樹脂フィルムが、フィルム収納ロールa1から搬送されて、蒸着膜が形成されて、フィルム収納ロールa2に収納される。その後、ガス種を切り替えて、搬送を逆回転して、蒸着膜形成済みの樹脂フィルムが、フィルム収納ロールa2から搬送されて、プラズマ処理面が形成されて、フィルム収納ロールa1に収納されるようにする方法が挙げられる。
また、蒸着膜の形成とプラズマ処理面の形成とを、外気に曝されることなく、個別の処理ラインで実施してもよい。例えば、同一槽内で個別の処理ラインを設置したり、別個の槽内に各処理ラインを設置して、外気に触れないように連結して処理可能なようにすることも挙げられる。
蒸着膜の表層部を低圧プラズマ処理等により活性化すると、表層部に存在するCH基およびC基から、水素原子が離脱して、炭素ラジカルが生成するようになる。また、有機珪素化合物由来のメチル基およびエチル基のメチル基あるいはエチル基が離脱して、珪素ラジカルが生成するようになる。その後、これらのラジカルを基に雰囲気中の酸素と結合し、さらに雰囲気中や樹脂フィルム等から供給される水素原子により、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基等の酸素含有官能基が形成されている。
もしくは、低圧酸素プラズマ処理により雰囲気中に発生した酸素ラジカルにより、蒸着接着層の蒸着膜のCH基およびC基から水素原子の引き抜きや、酸素の付加反応が起こり、さらに樹脂フィルムから供給される水素原子により、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基等の酸素含有官能基が形成される。これらの官能基が存在するようになった接着層の表面は、シリコーン樹脂との親和性と反応性が著しく向上することで、接着性を向上させることができる。
これらの官能基が存在するようになった表層は、シリコーン樹脂との親和性と反応性が著しく向上することで、接着性の向上が発現するものと考えられる。これらの官能基の存在量の大小によるシリコーン樹脂との親和性は、該接着層表層の、水の接触角によって表現が可能である。水の接触角は、1°以上35°以下であり、好ましくは1°以上30°以下であり、より好ましくは1°以上25°以下であり、さらに好ましくは1°以上20°以下である。水の接触角が上記の範囲であれば、シリコーン樹脂との親和性が高く、接着性を向上させることができる。
(シリコーン樹脂成型体)
本発明によるシリコーン樹脂成型体は、積層フィルムとシリコーン樹脂とを備えるものであり、積層フィルムのプラズマ処理面が前記シリコーン樹脂と接着してなる。本発明の積層フィルムをシリコーン樹脂と接着することにより、樹脂フィルムの特性を付与したシリコーン樹脂成形体を得ることができる。なお、本発明において、シリコーン樹脂とは、珪素と酸素からなるシロキサン結合(−Si−O−Si−)を主鎖とする重合体の総称であり、従来公知のシリコーンエラストマーやシリコーンゴムを用いることができる。
本発明によるシリコーン樹脂成型体の層構成を、図面を参照しながら説明する。図3に示すシリコーン樹脂成型体30は、樹脂フィルム31と、該樹脂フィルム31の一方の面に形成された接着層32とを備える積層フィルムと、シリコーン樹脂33と備えてなる。また、図4に示すシリコーン樹脂成型体40は、シリコーン樹脂43の両面に接着層42を介して樹脂フィルム41を備えてなる。
本発明によるシリコーン樹脂成型体は、例えば、本発明の積層フィルムの接着層のプラズマ処理面をシリコーン樹脂と対向するように重ね合わせ、加熱圧着や加熱成形することにより、積層フィルムとシリコーン樹脂との極めて強固な接着が達成される。積層フィルムとシリコーン樹脂とが強固に接着しているため、シリコーン樹脂上から積層フィルムが剥離したり、白化したりするのを防止することができる。
本発明の積層フィルムとシリコーン樹脂とを備えるシリコーン樹脂成型体は、シリコーン樹脂が未加硫または半加硫状態の場合に特に優れた接着性を発現する。これは、未加硫または半加硫状態のシリコーン樹脂には、積層フィルム側のプラズマ処理面の各種官能基との、親和性または反応性の高い官能基が多く存在しているからだと推察される。
本発明において、積層フィルムとシリコーン樹脂との加熱圧着、加熱成形、および後硬化処理は、従来公知の方法によって行うことができる。また、その際の諸条件は、使用するシリコーン樹脂組成物の配合組成や硬化進行状態、樹脂フィルムの融点、厚さ等に応じて、当業者が適宜に設定することができる。例えば、未加硫または半加硫シリコーン樹脂と本発明の積層フィルムとを接着する場合は、温度150〜250℃、圧力0.1〜20Pa、時間10〜600秒で加熱成形および加熱圧着することが好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<積層フィルムの製造>
[実施例1]
(樹脂フィルムへの蒸着膜の形成)
厚さ100μmのPETフィルム(A4100、東洋紡(株)製、表面無処理)を使用し、これをロールツーロール型CVD装置(図5)のチャンバーb内のフィルム収納ロールa1に収納し、搬送ロールcおよびメインロールdを介して、フィルム収納ロールa2へと接続した。次に、プラズマ処理装置のチャンバー内を排気ポンプjによって0.001Paに減圧した。次いで、有機珪素化合物としてHMDSOを準備し、これを流量制御しながら40℃に加熱した気化器eによって気化して蒸着用モノマーガスとし、100sccm(気体状態)の流量で材料ノズルhによってチャンバーに供給した。また、酸素ガスfを1500sccmの流量で同じく材料ノズルhでチャンバーに供給した。次に、メインドラムdとマグネット電極(マグネットを備えた電極)g間の距離は50mmで、放電電源iによって700W、13.56MHzの電力をメインドラムdとマグネット電極gの間に投入することによりプラズマを生成し、成膜時のチャンバー内の圧力を3Paに保って、フィルム搬送速度2.0m/分で搬送しながら成膜して、フィルム収納ロールa2に収納した。尚、処理時の樹脂フィルムは水冷して室温に保持した。
(蒸着膜へのプラズマ処理面の形成)
続いて、プラズマ処理装置のチャンバー内を排気ポンプjによって0.001Paに減圧し、蒸着用モノマーガスは供給せずに0sccmとし、次いで、酸素ガスfを1500sccmの流量で材料ノズルhからチャンバーに供給した。そして、メインドラムdとマグネット電極g間の距離は50mmで、放電電源iによって700W、13.56MHzの電力をメインドラムとマグネット電極の間に投入することによりプラズマを生成し、成膜時のチャンバー内の圧力を8Paに保った。そして、フィルム収納ロールa2に収納されている蒸着膜形成済の樹脂フィルムを、フィルム収納ロールa1に向けて、搬送ロールcおよびメインロールdを介して、フィルム搬送速度4.2m/分で搬送しながらプラズマ処理し、プラズマ処理面を形成して、接着層を完成させて、積層フィルムを製造した。
[実施例2〜10][比較例1〜3]
樹脂フィルムの種類および酸素プラズマ処理時の酸素ガスfの流量を表1に示した条件に変更した以外は、実施例1と同様に操作して、蒸着膜とプラズマ処理面を形成して接着層を完成させて積層フィルムを製造した。
<シリコーン樹脂成型体の製造>
上記の実施例および比較例で製造した積層フィルムの接着層のプラズマ処理面と、加熱硬化型2液型シリコーンエラストマー(東レダウコーニング(株)QP1)とを重ね合せ、テスター産業社製精密プレス機によって、125℃、0.5MPaで600秒間加熱圧着および硬化を行い、複合シート(シリコーン樹脂成形体)を得た。
得られた複合シートを用いて、剥離試験を行った。結果を表1に示す。
[接着層の厚み測定]
実施例および比較例で製造した積層フィルムの接着層の厚みを(株)リガク社製蛍光X線分析装置(機種名:RIX2000型)を用いて測定した。測定結果を表1に示した。
[接着性の評価]
(接触角)
実施例および比較例で製造した積層フィルムの接着層のプラズマ処理面の水の接触角を、接触角試験機(協和界面科学(株)全自動接触角計Drop Master700)を用いて、20℃、50%RHの条件下で測定した。測定結果を表1に示した。
(剥離試験)
実施例および比較例で製造した複合シートについて、JISK 6404−5に準じて、剥離試験を行って、積層フィルムとシリコーン樹脂との密着性を評価した。具体的には、各複合シートから15mm巾に切り出した試験片を用いて、これらを人の手で剥離角180°で引張り、剥離を試みた。判定基準は下記の通り。
○:引張りにより試験片が伸び、その後破断するまで積層フィルムとシリコーン樹脂とが剥離しなかった。
△:試験片が伸び、破断する前に積層フィルムとシリコーン樹脂とが剥離した。
×:試験片が伸びる前に積層フィルムとシリコーン樹脂とが剥離した。
Figure 2020023121
符合の説明
10、20:積層フィルム
11、21、31、41:樹脂フィルム
12、22、32、42:接着層
30、40:シリコーン樹脂成型体
33、43;シリコーン樹脂
a1、a2 フィルム収納ロール
b チャンバー
c 搬送ロール
d メインロール
e 気化器
f 酸素ガス
g マグネット電極
h 材料ガスノズル
i 放電電源
j 排気ポンプ

Claims (5)

  1. シリコーン樹脂と接着させるための積層フィルムであって、
    樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に形成された接着層とを備え、
    前記接着層は、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により形成された蒸着膜を含み、前記蒸着膜上に酸素プラズマ処理を施したプラズマ処理面が形成されてなり、
    前記接着層のプラズマ処理面の水の接触角が、1°以上35°以下である、積層フィルム。
  2. 前記樹脂フィルムが、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、およびポリイミド樹脂からなる群から選択される、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記接着層の厚みが、5nm以上200nm以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層フィルムとシリコーン樹脂とを備えるシリコーン樹脂成型体であって、
    前記積層フィルムのプラズマ処理面が前記シリコーン樹脂と接着してなる、シリコーン樹脂成型体。
  5. シリコーン樹脂と接着させるための積層フィルムの製造方法であって、
    樹脂フィルムの少なくとも一方の面上に、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により蒸着膜を形成する工程と、
    前記蒸着膜の表面に、酸素ガスを用いた酸素プラズマ処理により、プラズマ処理面を形成する工程と、
    を含む、積層フィルムの製造方法。
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