JP2020059226A - 積層体、積層体の製造方法、及び、金属含有層付き耐熱高分子フィルム - Google Patents

積層体、積層体の製造方法、及び、金属含有層付き耐熱高分子フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】機能素子を形成するための耐熱高分子フィルムと無機基板からなり、剥離帯電が生じにくく、かつ、充分な初期接着力を有する、積層体の提供。【解決手段】無機基板と、シランカップリング剤層と、金属、金属酸化物、又は、金属窒化物を含有する金属含有層と、耐熱高分子フィルムとがこの順で積層されており、金属含有層のシランカップリング剤層側の表面の表面エネルギーの極性成分γshが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下である積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、積層体、積層体の製造方法、及び、金属含有層付き耐熱高分子フィルムに関する。
近年、半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子など機能素子の軽量化、小型・薄型化、フレキシビリティ化を目的として、高分子フィルム上にこれらの素子を形成する技術開発が活発に行われている。すなわち、情報通信機器(放送機器、移動体無線、携帯通信機器等)、レーダーや高速情報処理装置などといった電子部品の基材の材料としては、従来、耐熱性を有し且つ情報通信機器の信号帯域の高周波数化(GHz帯に達する)にも対応し得るセラミックが用いられていたが、セラミックはフレキシブルではなく薄型化もしにくいので、適用可能な分野が限定されるという欠点があったため、最近は高分子フィルムが基板として用いられている。
半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子などの機能素子を高分子フィルム表面に形成するにあたっては、高分子フィルムの特性であるフレキシビリティを利用した、いわゆるロール・ツー・ロールプロセスにて加工することが理想とされている。しかしながら、半導体産業、MEMS産業、ディスプレイ産業等の業界では、これまでウエハベースまたはガラス基板ベース等のリジッドな平面基板を対象としたプロセス技術が構築されてきた。そこで、既存インフラを利用して機能素子を高分子フィルム上に形成するために、高分子フィルムを、例えばガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属板などの無機物からなるリジッドな支持体に貼り合わせ、その上に所望の素子を形成した後に支持体から剥離するというプロセスが用いられている。
ところで、高分子フィルムと無機物からなる支持体とを貼り合わせた積層体に所望の機能素子を形成するプロセスにおいては、該積層体は高温に曝されることが多い。例えば、ポリシリコンや酸化物半導体などの機能素子の形成においては200℃〜600℃程度の温度域での工程が必要である。また、水素化アモルファスシリコン薄膜の作製においては200〜300℃程度の温度がフィルムに加わる場合あり、さらにアモルファスシリコンを加熱、脱水素化して低温ポリシリコンとするためには450℃〜600℃程度の加熱が必要になる場合がある。したがって、積層体を構成する高分子フィルムには耐熱性が求められるが、現実問題としてかかる高温域にて実用に耐える高分子フィルムは限られている。また、支持体への高分子フィルムの貼り合わせには一般に粘着剤や接着剤を用いることが考えられるが、その際の高分子フィルムと支持体との接合面(すなわち貼り合せ用の接着剤や粘着剤)にも耐熱性が求められる。しかし、通常の貼り合せ用の接着剤や粘着剤は十分な耐熱性を有していないため、機能素子の形成温度が高い場合には接着剤や粘着剤による貼り合わせは適用できない。
充分な耐熱性を有する粘着剤や接着剤が存在しないと考えられていため、従来、上述した用途においては、高分子溶液または高分子の前駆体溶液を無機基板上に塗布して無機基板上で乾燥・硬化させてフィルム化し、当該用途に使用する技術が採用されていた。しかしながら、かかる手段により得られる高分子フィルムは、脆く裂けやすいため、高分子フィルム表面に形成された機能素子は無機基板から剥離する際に破壊してしまう場合が多い。特に無機基板から大面積のフィルムを剥離するのは極めて難しく、およそ工業的に成り立つ歩留まりを得ることはできない。
このような事情に鑑み、機能素子を形成するための高分子フィルムと無機基板との積層体として、耐熱性に優れ強靭で薄膜化が可能なポリイミドフィルムを、シランカップリング剤を介して無機基板に貼り合わせた積層体が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許第5152104号公報 特許第5304490号公報 特許第5531781号公報
上述した積層体では、無機基板とポリイミドフィルムとの間にシランカップリング剤を含む層を介在させることにより、デバイス形成前や形成中に無機基板がポリイミドフィルムから剥がれてしまうことを防止するとともに、デバイス形成後には、容易に無機基板をポリイミドフィルムから剥離することを可能としている。すなわち、上述した積層体では、シランカップリング剤が、無機基板とポリイミドフィルムとの間に物理的ないし化学的に介在し、両者間の初期の接着力を高めている。また、シランカップリング剤を用いることにより、デバイス形成時の熱によって、両者間の接着力が高まることを抑制している。
上述した積層体について本発明者らは鋭意研究を行った。その結果、無機基板からポリイミドフィルムを剥離する際の帯電(剥離帯電)を抑制すれば、無機基板からポリイミドフィルムを剥離する際に、ポリイミドフィルム上に形成されているデバイスが剥離帯電により破壊される可能性を低減することができると考えた。
そこで、本発明者らは、ポリイミドフィルム上に、金属、金属酸化物、又は、金属窒化物を含有する金属含有層(例えば、ITO(酸化インジウムスズ)層)を設ければ、剥離帯電が生じにくくなることに想到した。しかしながら、ポリイミドフィルム上に金属含有層を設けると、無機基板との間の充分な接着力が得られなくなることとなる。
この点につき、本発明者らはさらに鋭意研究を行った。その結果、金属含有層の表面の表面エネルギーの極性成分γsが所定範囲内となるようにすれば、ポリイミドフィルムと無機基板との間に充分な初期接着力が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る積層体は、
無機基板と、シランカップリング剤層と、金属、金属酸化物、又は、金属窒化物を含有する金属含有層と、耐熱高分子フィルムとがこの順で積層されており、
前記金属含有層の前記シランカップリング剤層側の表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下であること特徴とする。
前記構成によれば、耐熱高分子フィルム(例えば、ポリイミドフィルム)上に金属含有層が積層されているため、剥離帯電が生じにくい。また、前記金属含有層のシランカップリング剤層側の表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下であるため、耐熱高分子フィルムと無機基板との間に充分な初期接着力が得られる。このことは、実施例からも明らかである。この点、本発明者らは、金属含有層の表面の接触角から求められる表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下であると、金属含有層の表面にOH基が多く存在していることになり、このOH基とシランカップリング剤層とが水素結合や化学反応などにより結びつく結果、耐熱高分子フィルムと無機基板とが強固に接着すると推察している。
前記構成においては、前記金属酸化物が、酸化インジウムスズ(ITO(Indium Tin Oxide))であることが好ましい。
前記金属酸化物が、酸化インジウムスズであると、前記極性成分γsを、10dyn/cm以上60dyn/cm以下とし易い。また、入手が容易である。なお、酸化インジウムスズは、酸化インジウムと酸化スズとの無機混合物である。
前記構成においては、前記耐熱高分子フィルムと前記無機基板との90°初期剥離強度が、0.05N/cm以上であることが好ましい。
前記90°初期剥離強度が0.05N/cm以上であると、デバイス形成前や形成中に耐熱高分子フィルムが無機基板から剥がれてしまうことを好適に防止することができる。
前記構成においては、温度21℃、湿度50%RHにおいて、剥離角度90度、剥離速度20mm/秒で、前記無機基板から前記耐熱高分子フィルムを剥離したときの、前記耐熱高分子フィルム側の面の剥離帯電圧が0.3kV以下であることが好ましい。
前記剥離帯電圧が0.3kV以下であると、無機基板から耐熱高分子フィルムを剥離する際に、耐熱高分子フィルム上に形成されているデバイスが剥離帯電により破壊される可能性を著しく低減することができる。
また、本発明に係る積層体の製造方法は、
無機基板に、シランカップリング剤層を形成して第1積層体を得る工程Aと、
耐熱高分子フィルムに、金属、金属酸化物、又は、金属窒化物を含有する金属含有層を形成する工程Bと、
前記金属含有層の表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下となるように、前記金属含有層の表面に酸素欠損を形成して第2積層体を得る工程Cと、
前記第1積層体と前記第2積層体とを貼り合わせる工程Dとを有することを特徴とする。
前記構成によれば、前記積層体を好適に得ることができる。すなわち、前記積層体の製造方法により得られる積層体は、耐熱高分子フィルム上に金属含有層が積層されているため、剥離帯電が生じにくい。また、前記積層体の製造方法により得られる積層体において、金属含有層のシランカップリング剤層側の表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下であるため、耐熱高分子フィルムと無機基板との間に充分な初期接着力が得られる。
また、本発明に係る金属含有層付き耐熱高分子フィルムは、
耐熱高分子フィルムと、
金属、金属酸化物、又は、金属窒化物を含有する金属含有層と
を有し、
前記金属含有層の表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下であること特徴とする。
前記構成によれば、耐熱高分子フィルム上に金属含有層が積層されているため、無機基板と貼り合わせた後に、剥離する際、剥離帯電が生じにくい。また、金属含有層のの表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下であるため、シランカップリング剤層が表面に形成されている無機基板に貼り合わせれば、無機基板との間に充分な初期接着力が得られる。
本発明によれば、剥離帯電が生じにくく、且つ、耐熱高分子フィルムと無機基板との間に充分な初期接着力を有する積層体を提供することができる。また、当該積層体の製造方法を提供することができる。また、当該積層体を製造するのに使用するこができる金属含有層付き耐熱高分子フィルムを提供することができる。
ガラス基板にシランカップリング剤を塗布する実験装置の模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る積層体は、
無機基板と、シランカップリング剤層と、金属、金属酸化物、又は、金属窒化物を含有する金属含有層と、耐熱高分子フィルムとがこの順で積層されており、
前記金属含有層の前記シランカップリング剤層側の表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下である。
本実施形態に係る金属含有層付き耐熱高分子フィルムは、
耐熱高分子フィルムと、
金属、金属酸化物、又は、金属窒化物を含有する金属含有層と
を有し、
前記金属含有層の表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下である。
本実施形態に係る金属含有層付き耐熱高分子フィルムは、以下に説明する積層体において、無機基板とシランカップリング剤層とを有さない状態のものを挙げることができる。従って、以下では、積層体について説明し、金属含有層付き耐熱高分子フィルムについては、その中で説明することとする。
前記積層体は、耐熱高分子フィルム上に金属含有層が積層されている。従って、剥離帯電が生じにくい。
前記積層体は、温度21℃、湿度50%RHにおいて、剥離角度90度、剥離速度20mm/秒で、前記無機基板から前記耐熱高分子フィルムを剥離したときの、前記耐熱高分子フィルム側の面の剥離帯電圧が0.3kV以下であることが好ましく、0.2kV以下であることがより好ましく、0.1kV以下であることがさらに好ましい。前記剥離帯電圧が0.3kV以下であると、無機基板から耐熱高分子フィルムを剥離する際に、耐熱高分子フィルム上に形成されているデバイスが剥離帯電により破壊される可能性を著しく低減することができる。前記剥離帯電圧の測定方法の詳細は、実施例記載の方法による。
上述の通り、前記積層体において、前記金属含有層の前記シランカップリング剤層側の表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下である。前記極性成分γsは、20dyn/cm以上55dyn/cm以下であることが好ましく、30dyn/cm以上50dyn/cm以下であることがより好ましい。前記金属含有層の前シランカップリング剤層側の表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下であるため、耐熱高分子フィルムと無機基板との間に充分な初期接着力が得られる。
前記積層体は、前記耐熱高分子フィルムと前記無機基板との90°初期剥離強度が、0.05N/cm以上であることが好ましく、0.09N/cm以上であることがより好ましく、0.1N/cm以上であることがさらに好ましい。また、前記90°初期剥離強度は、0.25N/cm以下であることが好ましく、0.2N/cm以下であることがより好ましい。前記90°初期剥離強度が0.05N/cm以上であると、デバイス形成前や形成中に耐熱高分子フィルムが無機基板から剥がれてしまうことを防止することができる。また、前記90°初期剥離強度が0.25N/cm以下であると、デバイス形成後、無機基板と耐熱高分子フィルムとを剥離しやすい。つまり、前記90°初期剥離強度が0.25N/cm以下であると、デバイス形成中に、無機基板と耐熱高分子フィルムとの間の剥離強度が多少上昇したとしても、両者を容易に剥離しやすい。
本明細書において、前記90°初期剥離強度は、前記積層体を、大気雰囲気下、200℃1時間熱処理した後の無機基板と耐熱高分子フィルムとの間の90°剥離強度をいう。
前記90°初期剥離強度の測定条件は、下記の通りである。
無機基板に対して耐熱高分子フィルムを90°の角度で引き剥がす。
5回測定を行い、平均値を測定値とする。
測定温度 ; 室温(25℃)
剥離速度 ; 100mm/min
雰囲気 ; 大気
測定サンプル幅 ; 2.5cm
より詳細には、実施例に記載の方法による。
<耐熱高分子フィルム>
本明細書において、耐熱高分子とは、融点が400℃以上、好ましくは500℃以上であり、ガラス転移温度が250℃以上、好ましくは320℃以上、さらに好ましくは380℃以上の高分子である。以下、煩雑さを避けるために単に高分子とも称する。本明細書において、融点、及び、ガラス転移温度は、示差熱分析(DSC)により求めるものである。なお、融点が500℃を越える場合には、該当温度にて加熱した際の熱変形挙動を目し観察することで融点に達しているか否かを判断して良い。
前記耐熱高分子フィルム(以下、単に高分子フィルムとも称する)としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、フッ素化ポリイミドといったポリイミド系樹脂(例えば、芳香族ポリイミド樹脂、脂環族ポリイミド樹脂);ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートといった共重合ポリエステル(例えば、全芳香族ポリエステル、半芳香族ポリエステル);ポリメチルメタクリレートに代表される共重合(メタ)アクリレート;ポリカーボネート;ポリアミド;ポリスルフォン;ポリエーテルスルフォン;ポリエーテルケトン;酢酸セルロース;硝酸セルロース;芳香族ポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリフェノール;ポリアリレート;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンオキシド;ポリスチレン等のフィルムを例示できる。
ただし、前記高分子フィルムは、450℃以上の熱処理を伴うプロセスに用いられることが前提であるため、例示された高分子フィルムの中から実際に適用できる物は限られる。前記高分子フィルムのなかでも好ましくは、所謂スーパーエンジニアリングプラスチックを用いたフィルムであり、より具体的には、芳香族ポリイミドフィルム、芳香族アミドフィルム、芳香族アミドイミドフィルム、芳香族ベンゾオキサゾールフィルム、芳香族ベンゾチアゾールフィルム、芳香族ベンゾイミダゾールフィルム等が挙げられる。
以下に前記高分子フィルムの一例であるポリイミド系樹脂フィルム(ポリイミドフィルムと称する場合もある)についての詳細を説明する。一般にポリイミド系樹脂フィルムは、溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸(ポリイミド前駆体)溶液を、ポリイミドフィルム作製用支持体に塗布、乾燥してグリーンフィルム(以下では「ポリアミド酸フィルム」ともいう)とし、さらにポリイミドフィルム作製用支持体上で、あるいは該支持体から剥がした状態でグリーンフィルムを高温熱処理して脱水閉環反応を行わせることによって得られる。
ポリアミド酸(ポリイミド前駆体)溶液の塗布は、例えば、スピンコート、ドクターブレード、アプリケーター、コンマコーター、スクリーン印刷法、スリットコート、リバースコート、ディップコート、カーテンコート、スリットダイコート等従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
ポリアミド酸を構成するジアミン類としては、特に制限はなく、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族ジアミン類、脂肪族ジアミン類、脂環式ジアミン類等を用いることができる。耐熱性の観点からは、芳香族ジアミン類が好ましく、芳香族ジアミン類の中では、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類がより好ましい。ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類を用いると、高い耐熱性とともに、高弾性率、低熱収縮性、低線膨張係数を発現させることが可能になる。ジアミン類は、単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、特に限定はなく、例えば、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、5−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2,2’−p−フェニレンビス(5−アミノベンゾオキサゾール)、2,2’−p−フェニレンビス(6−アミノベンゾオキサゾール)、1−(5−アミノベンゾオキサゾロ)−4−(6−アミノベンゾオキサゾロ)ベンゼン、2,6−(4,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ビスオキサゾール、2,6−(4,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,4’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,3’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ビスオキサゾール、2,6−(3,3’−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ビスオキサゾール等が挙げられる。
上述したベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類以外の芳香族ジアミン類としては、例えば、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスアニリン)、1,4−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル、および前記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てが、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記脂肪族ジアミン類としては、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオタン等が挙げられる。
前記脂環式ジアミン類としては、例えば、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
芳香族ジアミン類以外のジアミン(脂肪族ジアミン類および脂環式ジアミン類)の合計量は、全ジアミン類の20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。換言すれば、芳香族ジアミン類は全ジアミン類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
ポリアミド酸を構成するテトラカルボン酸類としては、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂肪族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂環族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)を用いることができる。中でも、芳香族テトラカルボン酸無水物類、脂環族テトラカルボン酸無水物類が好ましく、耐熱性の観点からは芳香族テトラカルボン酸無水物類がより好ましく、光透過性の観点からは脂環族テトラカルボン酸類がより好ましい。これらが酸無水物である場合、分子内に無水物構造は1個であってもよいし2個であってもよいが、好ましくは2個の無水物構造を有するもの(二無水物)がよい。テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
脂環族テトラカルボン酸類としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸等の脂環族テトラカルボン酸、およびこれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも、2個の無水物構造を有する二無水物(例えば、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物等)が好適である。なお、脂環族テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
脂環式テトラカルボン酸類は、透明性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
芳香族テトラカルボン酸類としては、特に限定されないが、ピロメリット酸残基(すなわちピロメリット酸由来の構造を有するもの)であることが好ましく、その酸無水物であることがより好ましい。このような芳香族テトラカルボン酸類としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4'−オキシジフタル酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸無水物等が挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸類は、耐熱性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
前記高分子フィルムの厚さは3μm以上が好ましく、より好ましくは11μm以上であり、さらに好ましくは24μm以上であり、より一層好ましくは45μm以上である。前記高分子フィルムの厚さの上限は特に制限されないが、フレキシブル電子デバイスとして用いるためには250μm以下であることが好ましく、より好ましくは150μm以下であり、さらに好ましくは90μm以下である。
前記高分子フィルムの30℃から300℃の間の平均のCTEは、好ましくは、−5ppm/℃〜+20ppm/℃であり、より好ましくは−5ppm/℃〜+15ppm/℃であり、さらに好ましくは1ppm/℃〜+10ppm/℃である。CTEが前記範囲であると、一般的な支持体(無機基板)との線膨張係数の差を小さく保つことができ、熱を加えるプロセスに供しても高分子フィルムと無機基板とが剥がれることを回避できる。ここにCTEとは温度に対して可逆的な伸縮を表すファクターである。なお、前記高分子フィルムのCTEとは、高分子フィルムの流れ方向(MD方向)のCTE及び幅方向(TD方向)のCTEの平均値を指す。前記高分子フィルムのCTEの測定方法は、実施例に記載の方法による。
前記高分子フィルムの30℃から500℃の間の熱収縮率は、±0.9%であることが好ましく、さらに好ましくは±0.6%である。熱収縮率は温度に対して非可逆的な伸縮を表すファクターである。
前記高分子フィルムの引張破断強度は、60MPa以上が好ましく、より好ましくは120MP以上であり、さらに好ましくは240MPa以上である。引張破断強度の上限は特に制限されないが、事実上1000MPa程度未満である。前記引張破断強度が60MPa以上であると、無機基板から剥離する際に前記高分子フィルムが破断してしまうことを防止することができる。なお、前記高分子フィルムの引張破断強度とは、高分子フィルムの流れ方向(MD方向)の引張破断強度及び幅方向(TD方向)の引張破断強度の平均値を指す。前記高分子フィルムの引張破断強度の測定方法は、実施例に記載の方法による。
前記高分子フィルムの引張破断伸度は、1%以上が好ましく、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは20%以上である。前記引張破断伸度が、1%以上であると、取り扱い性に優れる。なお、前記高分子フィルムの引張破断伸度とは、高分子フィルムの流れ方向(MD方向)の引張破断伸度及び幅方向(TD方向)の引張破断伸度の平均値を指す。前記高分子フィルムの引張破断伸度の測定方法は、実施例に記載の方法による。
前記高分子フィルムの引張弾性率は、3GPa以上が好ましく、より好ましくは6GPa以上であり、さらに好ましくは8GPa以上である。前記引張弾性率が、3GPa以上であると、無機基板から剥離する際の前記高分子フィルムの伸び変形が少なく、取り扱い性に優れる。前記引張弾性率は、20GPa以下が好ましく、より好ましくは12GPa以下であり、さらに好ましくは10GPa以下である。前記引張弾性率が、20GPa以下であると、前記高分子フィルムをフレキシブルなフィルムとして使用できる。なお、前記高分子フィルムの引張弾性率とは、高分子フィルムの流れ方向(MD方向)の引張弾性率及び幅方向(TD方向)の引張弾性率の平均値を指す。前記高分子フィルムの引張弾性率の測定方法は、実施例に記載の方法による。
前記高分子フィルムの厚さ斑は、20%以下であることが好ましく、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは7%以下、特に好ましくは4%以下である。厚さ斑が20%を超えると、狭小部へ適用し難くなる傾向がある。なお、フィルムの厚さ斑は、例えば接触式の膜厚計にて被測定フィルムから無作為に10点程度の位置を抽出してフィルム厚を測定し、下記式に基づき求めることができる。
フィルムの厚さ斑(%)
=100×(最大フィルム厚−最小フィルム厚)÷平均フィルム厚
前記高分子フィルムは、その製造時において幅が300mm以上、長さが10m以上の長尺高分子フィルムとして巻き取られた形態で得られるものが好ましく、巻取りコアに巻き取られたロール状高分子フィルムの形態のものがより好ましい。前記高分子フィルムがロール状に巻かれていると、ロール状に巻かれた耐熱高分子フィルムという形態での輸送が容易となる。
前記高分子フィルムにおいては、ハンドリング性および生産性を確保する為、高分子フィルム中に粒子径が10〜1000nm程度の滑材(粒子)を、0.03〜3質量%程度、添加・含有させて、高分子フィルム表面に微細な凹凸を付与して滑り性を確保することが好ましい。
<金属含有層>
前記高分子フィルムには、金属、金属酸化物、又は、金属窒化物を含有する金属含有層が積層されている。前記金属含有層は、ある程度の導電性を有する層であり、前記剥離耐電圧を、0.3kV以下とすることが可能な組成とすることが好ましい。
前記金属としては、金属含有層としたときにある程度の導電性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、Au、Ag、Cu、Pb、Zn、In、Sn、Fe、Al、Mo、W、Sb、Bi、Nb、Ti等が挙げられる。
前記金属酸化物、前記金属窒化物としては、金属含有層としたときにある程度の導電性を有するものであれば、特に限定されず、酸化インジウムスズ(ITO(Indium Tin Oxide))、ケイ酸アルミニウム(Si−Al−O系の組成物)、ZnO、Ga−Zn−O系、Sb−Zn−O系、TiN系、NbN系等が挙げられる。
<金属含有層の形成方法>
前記金属含有層は、前記高分子フィルム上に、物理的気相成長法(PVD)、化学的気相成長法(CVD)などの気相法を用いて形成することができる。これにより、数nm〜数十nm程度の薄膜を均一な膜厚で形成できる。物理的気相成長法(PVD)としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザーアブレーションなどが挙げられる。化学的気相成長法(CVD)としては、熱CVD法、プラズマCVD法などが挙げられる。これらのうちでは、緻密な膜が得られる、膜厚制御が比較的容易であるなどの観点から、スパッタリング法が特に好ましい。スパッタリング法としては、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法などが挙げられる。
ただし、本発明における金属含有層の形成方法はこの例に限定されず、前記金属、金属酸化物、又は、金属窒化物の微粒子を含むペーストを塗布した後、乾燥等の処理を行なうことにより形成することもできる。
前記金属含有層は、少なくとも表面に酸素欠損が形成されている。その結果、前記金属含有層の表面の表面エネルギーの極性成分γsは、10dyn/cm以上60dyn/cm以下となっている。酸素欠損が形成される前の金属含有層に酸素欠損を形成する方法としては、例えば、UV/O照射や、大気圧プラズマ、真空プラズマ、フレーム処理、電子線処理等が挙げられる。UV/Oや、プラズマの照射量としては、金属含有層の表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下となるように適宜調整することができる。なお、通常、表面に酸素欠損が形成されていない場合、金属含有層の表面の表面エネルギーの極性成分γsは、10dyn/cm以上60dyn/cm以下の範囲内とならない。
前記金属含有層は、表面に酸素欠損を形成する処理(工程C)が行われているため、この処理(UV/O照射、大気圧プラズマ、真空プラズマ等)により、表面は洗浄されている。従って、前記積層体は、金属含有層とシランカップリング剤層との間の異物混入が抑制されている。その結果、前記金属含有層を備える積層体は、金属含有層とシランカップリング剤層との間に直径500μm以上の接着していない部分(ブリスター)の数を少なくすることができる。
また、高分子フィルムを作製する際の加熱工程では、位置に応じて加熱温度にムラが生じる場合がある。例えば、横長の加熱硬化前のポリイミドフィルムを加熱して硬化させる場合、中央部分と両端部分とでは、加熱炉の構成等の理由で、中央部分と両端部分とで、硬化度合いが異なる場合がある。そして、硬化度合いが異なることにより、中央部分と両端部分とで、無機基板に対する初期剥離強度が異なる(初期剥離強度に分布が生じる)場合がある。しかしながら、本実施形態では、高分子フィルムに、厚さが比較的均一な金属含有層を積層し、金属含有層とシランカップリング剤層との接着力により無機基板と高分子フィルムとを接着している。従って、幅方向での初期剥離強度分布を小さくすることができる。
前記金属含有層のCTEと前記高分子フィルムのCTEとの差の絶対値は、20ppm/℃以下であることが好ましく、12ppm/℃以下であることがより好ましく、7ppm/℃以下であることがさらに好ましい。前記CTE差の絶対値が前記数値範囲内にある場合には高分子フィルムの反りが小さくなりハンドリングが容易になる。
<無機基板>
前記無機基板としては無機物からなる基板として用いることのできる板状のものであればよく、例えば、ガラス板、セラミック板、半導体ウエハ、金属等を主体としているもの、および、これらガラス板、セラミック板、半導体ウエハ、金属の複合体として、これらを積層したもの、これらが分散されているもの、これらの繊維が含有されているものなどが挙げられる。
前記ガラス板としては、石英ガラス、高ケイ酸ガラス(96%シリカ)、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標))、ホウケイ酸ガラス(無アルカリ)、ホウケイ酸ガラス(マイクロシート)、アルミノケイ酸塩ガラス等が含まれる。これらの中でも、線膨張係数が5ppm/K以下のものが望ましく、市販品であれば、液晶用ガラスであるコーニング社製の「コーニング(登録商標)7059」や「コーニング(登録商標)1737」、「EAGLE」、旭硝子社製の「AN100」、日本電気硝子社製の「OA10」、SCHOTT社製の「AF32」などが望ましい。
前記半導体ウエハとしては、特に限定されないが、シリコンウエハ、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、アルミニウム−ガリウム−インジウム、窒素−リン−ヒ素−アンチモン、SiC、InP(インジウム燐)、InGaAs、GaInNAs、LT、LN、ZnO(酸化亜鉛)やCdTe(カドミウムテルル)、ZnSe(セレン化亜鉛)などのウエハが挙げられる。なかでも、好ましく用いられるウエハはシリコンウエハであり、特に好ましくは8インチ以上のサイズの鏡面研磨シリコンウエハである。
前記金属としては、W、Mo、Pt、Fe、Ni、Auといった単一元素金属や、インコネル、モネル、ニモニック、炭素銅、Fe−Ni系インバー合金、スーパーインバー合金、といった合金等が含まれる。また、これら金属に、他の金属層、セラミック層を付加してなる多層金属板も含まれる。この場合、付加層との全体の線膨張係数(CTE)が低ければ、主金属層にCu、Alなども用いられる。付加金属層として使用される金属としては、高分子フィルムとの密着性を強固にするもの、拡散がないこと、耐薬品性や耐熱性が良いこと等の特性を有するものであれば限定されるものではないが、Cr、Ni、TiN、Mo含有Cuなどが好適な例として挙げられる。
前記無機基板の平面部分は、充分に平坦である事が望ましい。具体的には、表面粗さのP−V値が50nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは5nm以下である。これより粗いと、高分子フィルム層と無機基板との剥離強度が不充分となる場合がある。
前記無機基板の厚さは特に制限されないが、取り扱い性の観点より10mm以下の厚さが好ましく、3mm以下がより好ましく、1.3mm以下がさらに好ましい。厚さの下限については特に制限されないが、好ましくは0.07mm以上、より好ましくは0.15mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上である。
<シランカップリング剤層>
前記無機基板上には、シランカプッリング剤を含有するシランカプッリング剤層が設けられている。
前記シランカップリング剤は、無機基板と金属含有層との間に物理的ないし化学的に介在し、無機基板と高分子フィルムとの間の接着力を高める作用を有する。
前記カップリング剤は、特に限定されるものではないが、アミノ基あるいはエポキシ基を持ったシランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤の好ましい具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、クロロメチルフェネチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
前記シランカップリング剤としては、前記のほかに、n−プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ドデシルリクロロシラン、ドデシルトリメトキシラン、エチルトリクロロシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、トリエトキシエチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシフェニルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、トリアセトキシメチルシラン、トリクロロヘキシルシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロオクタデシルシラン、トリクロロプロピルシラン、トリクロロテトラデシルシラン、トリメトキシプロピルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、トリクロロ−2−シアノエチルシラン、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランなどを使用することもできる。
前記シランカップリング剤のなかでも、1つの分子中に1個のケイ素原子を有するシランカップリング剤が特に好ましく、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。プロセスで特に高い耐熱性が要求される場合、Siとアミノ基の間を芳香族基でつないだものが望ましい。
前記カップリング剤としては、前記のほかに、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプト−2−ブタノール、3−メルカプトプロピオン酸ブチル、3−(ジメトキシメチルシリル)−1−プロパンチオール、4−(6−メルカプトヘキサロイル)ベンジルアルコール、11−アミノ−1−ウンデセンチオール、11−メルカプトウンデシルホスホン酸、11−メルカプトウンデシルトリフルオロ酢酸、2,2’−(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、11−メルカプトウンデシトリ(エチレングリコール)、(1−メルカプトウンデイック−11−イル)テトラ(エチレングリコール)、1−(メチルカルボキシ)ウンデック−11−イル)ヘキサ(エチレングリコール)、ヒドロキシウンデシルジスルフィド、カルボキシウンデシルジスルフィド、ヒドロキシヘキサドデシルジスルフィド、カルボキシヘキサデシルジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、2,3−ブタンジチオール、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、シクロヘキサンチオール、シクロペンタンチオール、1−デカンチオール、1−ドデカンチオール、3−メルカプトプロピオン酸−2−エチルヘキシル、3−メルカプトプロピオン酸エチル、1−ヘプタンチオール、1−ヘキサデカンチオール、ヘキシルメルカプタン、イソアミルメルカプタン、イソブチルメルカプタン、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸−3−メトキシブチル、2−メチル−1−ブタンチオール、1−オクタデカンチオール、1−オクタンチオール、1−ペンタデカンチオール、1−ペンタンチオール、1−プロパンチオール、1−テトラデカンチオール、1−ウンデカンチオール、1−(12−メルカプトドデシル)イミダゾール、1−(11−メルカプトウンデシル)イミダゾール、1−(10−メルカプトデシル)イミダゾール、1−(16−メルカプトヘキサデシル)イミダゾール、1−(17−メルカプトヘプタデシル)イミダゾール、1−(15−メルカプト)ドデカン酸、1−(11−メルカプト)ウンデカン酸、1−(10−メルカプト)デカン酸などを使用することもできる。
<シランカップリング剤層の形成方法>
シランカップリング剤層の形成方法としては、シランカップリング剤溶液を前記無機基板に塗布する方法や蒸着法などを用いることができる。なお、シランカップリング剤層の形成は、前記金属含有層の表面に行ってもよい。
シランカップリング剤溶液を塗布する方法としては、シランカップリング剤をアルコールなどの溶媒で希釈した溶液を用いて、スピンコート法、カーテンコート法、ディップコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、バーコート法、コンマコート法、アプリケーター法、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
また、シランカップリング剤層を蒸着法によって形成することもでき、具体的には、前記無機基板をシランカップリング剤の蒸気、すなわち実質的に気体状態のシランカップリング剤に暴露して形成する。シランカップリング剤の蒸気は、液体状態のシランカップリング剤を40℃〜シランカップリング剤の沸点程度までの温度に加温することによって得ることができる。シランカップリング剤の沸点は、化学構造によって異なるが、概ね100〜250℃の範囲である。ただし200℃以上の加熱は、シランカップリング剤の有機基側の副反応を招く恐れがあるため好ましくない。
シランカップリング剤を加温する環境は、加圧下、常圧下、減圧下のいずれでも構わないが、シランカップリング剤の気化を促進する場合には常圧下ないし減圧下が好ましい。多くのシランカップリング剤は可燃性液体であるため、密閉容器内にて、好ましくは容器内を不活性ガスで置換した後に気化作業を行うことが好ましい。
前記無機基板をシランカップリング剤に暴露する時間は特に制限されないが、20時間以内が好ましく、より好ましくは60分以内、さらに好ましくは15分以内、最も好ましくは1分以内である。
前記無機基板をシランカップリング剤に暴露する間の前記無機基板の温度は、シランカップリング剤の種類と、求めるシランカップリング剤層の厚さにより−50℃から200℃の間の適正な温度に制御することが好ましい。
シランカップリング剤層の膜厚は、無機基板、高分子フィルム等と比較しても極めて薄く、機械設計的な観点からは無視される程度の厚さであり、原理的には最低限、単分子層オーダーの厚さがあれば十分である。一般には400nm未満であり、200nm以下が好ましく、さらに実用上は100nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは10nm以下である。ただし、計算上5nm以下の領域になるとシランカップリング剤層が均一な塗膜としてではなく、クラスター状に存在するおそれがある。なお、シランカップリング剤層の膜厚は、エリプソメトリー法または塗布時のシランカップリング剤溶液の濃度と塗布量から計算して求めることができる。
<積層体の製造方法>
以下、本実施形態に係る積層体の製造方法について説明する。
本実施形態に係る積層体の製造方法は、
無機基板に、シランカップリング剤層を形成して第1積層体を得る工程Aと、
耐熱高分子フィルムに、金属、金属酸化物、又は、金属窒化物を含有する金属含有層を形成する工程Bと、
前記金属含有層の表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下となるように、前記金属含有層の表面に、酸素欠損を形成して第2積層体を得る工程Cと、
前記第1積層体と前記第2積層体とを貼り合わせる工程Dとを少なくとも有する。
<工程A>
工程Aにおいては、無機基板に、シランカップリング剤層を形成して第1積層体を得る。無機基板に、シランカップリング剤層を形成する方法の詳細についてはすでに説明したのでここでの説明は省略する。
<工程B>
工程Bにおいては、高分子フィルムに、金属含有層を形成する。高分子フィルムに、金属含有層を形成する方法の詳細についてはすでに説明したのでここでの説明は省略する。
<工程C>
工程Cにおいては、工程Bで形成した金属含有層の表面に酸素欠損を形成して第2積層体を得る。酸素欠損の形成は、金属含有層の表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下となるように行う。金属含有層の表面に酸素欠損を形成する方法の詳細についてはすでに説明したのでここでの説明は省略する。
<工程D>
工程Dにおいては、前記第1積層体と前記第2積層体とを貼り合わせる。具体的には、前記無機基板上に形成された前記シランカップリング剤層と、前記高分子フィルム上に形成された前記金属含有層とを貼り合わせ面として、加圧加熱して、貼り合わせる。
加圧加熱処理は、例えば、大気圧雰囲気下あるいは真空中で、プレス、ラミネート、ロールラミネート等を、加熱しながら行えばよい。またフレキシブルなバッグに入れた状態で加圧加熱する方法も応用できる。生産性の向上や、高い生産性によりもたらされる低加工コスト化の観点からは、大気雰囲気下でのプレスまたはロールラミネートが好ましく、特にロールを用いて行う方法(ロールラミネート等)が好ましい。
加圧加熱処理の際の圧力としては、1MPa〜20MPaが好ましく、さらに好ましくは3MPa〜10MPaである。20MPa以下であると、無機基板を破損することを抑制できる。また、1MPa以上であると、密着しない部分が生じることや、接着が不充分になることを防止できる。加圧加熱処理の際の温度としては、好ましくは150℃〜400℃、より好ましくは250℃〜350℃である。高分子フィルムがポリイミドフィルムである場合には、温度が高すぎると、ポリイミドフィルムにダメージを与える虞があり、温度が低すぎると、密着力が弱くなる傾向がある。
また加圧加熱処理は、上述のように大気圧雰囲気中で行うこともできるが、全面の安定した剥離強度を得る為には、真空下で行うことが好ましい。このとき真空度は、通常の油回転ポンプによる真空度で充分であり、10Torr以下程度あれば充分である。
加圧加熱処理に使用することができる装置としては、真空中でのプレスを行うには、例えば井元製作所製の「11FD」等を使用でき、真空中でのロール式のフィルムラミネーターあるいは真空にした後に薄いゴム膜によりガラス全面に一度に圧力を加えるフィルムラミネーター等の真空ラミネートを行うには、例えば名機製作所製の「MVLP」等を使用できる。
前記加圧加熱処理は加圧プロセスと加熱プロセスとに分離して行うことが可能である。この場合、まず、比較的低温(例えば120℃未満、より好ましくは95℃以下の温度)で高分子フィルムと無機基板とを加圧(好ましくは0.2〜50MPa程度)して両者の密着確保し、その後、低圧(好ましくは0.2MPa未満、より好ましくは0.1MPa以下)もしくは常圧にて比較的高温(例えば120℃以上、より好ましくは120〜250℃、さらに好ましくは150〜230℃)で加熱することにより、密着界面の化学反応が促進されて高分子フィルムと無機基板とを積層できる。
以上により、無機基板と高分子フィルムとが貼り合わされた積層体を得ることができる。
ただし、本発明に係る積層体の製造方法は、この例に限定されない。他の例として、例えば、耐熱高分子フィルムに金属含有層を形成し、次に、前記金属含有層の表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下となるように、前記金属含有層の表面に、酸素欠損を形成し、次に、酸素欠損を形成した金属含有層上に、シランカップリング剤層を形成し、その後、シランカップリング剤層に、無機基板を貼り合わせることとしてもよい。
<フレキシブル電子デバイスの製造方法>
前記積層体を用いると、既存の電子デバイス製造用の設備、プロセスを用いて積層体の高分子フィルム上に電子デバイスを形成し、積層体から高分子フィルムごと剥離することで、フレキシブルな電子デバイスを作製することができる。
本明細書において電子デバイスとは、電気配線を担う片面、両面、あるいは多層構造を有する配線基板、トランジスタ、ダイオードなどの能動素子や、抵抗、キャパシタ、インダクタなどの受動デバイスを含む電子回路、他、圧力、温度、光、湿度などをセンシングするセンサー素子、バイオセンサー素子、発光素子、液晶表示、電気泳動表示、自発光表示などの画像表示素子、無線、有線による通信素子、演算素子、記憶素子、MEMS素子、太陽電池、薄膜トランジスタなどをいう。
本明細書におけるデバイス構造体の製造方法では、上述した方法で作製された積層体の高分子フィルム上にデバイスを形成した後、該高分子フィルムを前記無機基板から剥離する。
デバイス付きの高分子フィルムを無機基板から剥離する方法としては、特に制限されないが、ピンセットなどで端から捲る方法、高分子フィルムに切り込みを入れ、切り込み部分の1辺に粘着テープを貼着させた後にそのテープ部分から捲る方法、高分子フィルムの切り込み部分の1辺を真空吸着した後にその部分から捲る方法等が採用できる。なお、剥離の際に、高分子フィルムの切り込み部分に曲率が小さい曲がりが生じると、その部分のデバイスに応力が加わることになりデバイスを破壊するおそれがあるため、極力曲率の大きな状態で剥がすことが望ましい。例えば、曲率の大きなロールに巻き取りながら捲るか、あるいは曲率の大きなロールが剥離部分に位置するような構成の機械を使って捲ることが望ましい。
前記高分子フィルムに切り込みを入れる方法としては、刃物などの切削具によって高分子フィルムを切断する方法や、レーザーと積層体を相対的にスキャンさせることにより高分子フィルムを切断する方法、ウォータージェットと積層体を相対的にスキャンさせることにより高分子フィルムを切断する方法、半導体チップのダイシング装置により若干ガラス層まで切り込みつつ高分子フィルムを切断する方法などがあるが、特に方法は限定されるものではない。例えば、上述した方法を採用するにあたり、切削具に超音波を重畳させたり、往復動作や上下動作などを付け加えて切削性能を向上させる等の手法を適宜採用することもできる。
また、剥離する部分に予め別の補強基材を貼りつけて、補強基材ごと剥離する方法も有用である。剥離するフレキシブル電子デバイスが、表示デバイスのバックプレーンである場合、あらかじめ表示デバイスのフロントプレーンを貼りつけて、無機基板上で一体化した後に両者を同時に剥がし、フレキシブルな表示デバイスを得ることも可能である。
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔製造例1(ポリアミド酸溶液Aの製造)〕
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、前記反応容器内に5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)223質量部と、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部とを加えて完全に溶解させた。次に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)217質量部とともに、コロイダルシリカ(平均粒径:0.08μm)をジメチルアセトアミドに分散させたスノーテックス(DMAC−ST30、日産化学工業製)をコロイダルシリカがポリアミド酸溶液A中のポリマー固形分総量に対して0.7質量%になるように加え、25℃の反応温度で24時間攪拌して、
褐色で粘調なポリアミド酸溶液Aを得た。
〔製造例2(ポリアミド酸溶液Bの製造)〕
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、前記反応容器内に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)398質量部と、N,N−ジメチルアセトアミド4600質量部とを加えて均一になるようによく攪拌した。次に、パラジアニリン(PDA)147質量部とともに、コロイダルシリカ(平均粒径:0.08μm)をジメチルアセトアミドに分散させたスノーテックス(DMAC−ST30、日産化学工業製)をコロイダルシリカがポリアミド酸溶液B中のポリマー固形分総量に対して0.7質量%になるように加え、25℃の反応温度で24時間攪拌して、褐色で粘調なポリアミド酸溶液Bを得た。
〔製造例3(ポリアミド酸溶液Cの製造)〕
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、前記反応容器内にピロメリット酸無水物(PMDA)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を当量で入れ、N、N−ジメチルアセトアミドに溶解し、コロイダルシリカ(平均粒径:0.08μm)をジメチルアセトアミドに分散させたスノーテックス(DMAC−ST30、日産化学工業製)をコロイダルシリカがポリアミド酸溶液C中のポリマー固形分総量に対して0.7質量になるよう加え、25℃の反応温度で24時間攪拌して、褐色で粘調なポリアミド酸溶液Cが得られた。
〔製造例4(ポリイミドフィルム1の作製)〕
製造例1で得たポリアミド酸溶液Aを、ダイコーターを用いて、鏡面仕上げしたステンレススチール製の無端連続ベルト上に塗布し(塗工幅1240mm)、90〜115℃にて10分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、グリーンフィルムを得た。
得られたグリーンフィルムをピンテンターによって、最終ピンシート間隔が1140mmとなるように搬送し、1段目170℃で2分間、2段目230℃で2分間、3段目465℃で6分間として熱処理を施し、イミド化反応を進行させた。その後、2分間で室温にまで冷却し、フィルムの両端部の平面性が悪い部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈するポリイミドフィルム1を得た。
〔製造例5(ポリイミドフィルム2の作製)〕
製造例2で得たポリアミド酸溶液Bを用いたこと以外は、製造例4と同様にしてポリイミドフィルム2を得た。
〔製造例6(ポリイミドフィルム3の作製)〕
製造例3で得たポリアミド酸溶液Cを用い3段目の熱処理温度を440℃としたこと以外は、製造例4と同様にしてポリイミドフィルム3を得た。
〔製造例7(ポリイミドフィルム4の作製)〕
3段目の熱処理温度を440℃としたこと以外は、製造例4と同様にしてポリイミドフィルム4を得た。
〔製造例8(ポリイミドフィルム5の作製)〕
3段目の熱処理温度を495℃としたこと以外は、製造例4と同様にしてポリイミドフィルム5を得た。
<ポリイミドフィルムの厚さ測定>
ポリイミドフィルム1〜5の厚さを、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。結果を表1に示す。
<ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度、及び、引張破断伸度>
ポリイミドフィルム1〜5を、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。試験片は、幅方向中央部分から切り出した。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(R)、機種名AG−5000A)を用い、温度25℃、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度を測定した。結果を表1に示す。
<ポリイミドフィルムの線膨張係数(CTE)>
ポリイミドフィルム1〜5を、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)において、下記条件にて伸縮率を測定し、30℃〜45℃、45℃〜60℃のように15℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行い、全測定値の平均値をCTEとして算出した。結果を表1に示す。
機器名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
Figure 2020059226
<積層体の作製>
(実施例1)
まず、製造例4で得たポリイミドフィルム1上に、スパッタリング法によりITO層を形成した。本実施例では、ロール・ツー・ロール方式のスパッタ装置を使用した。つまり、本実施例では、ロールからポリイミドフィルムを繰り出し、巻き出し室、スパッタ室、予備室、巻き取り室へと移動させながら、ポリイミドフィルム上にITO層を形成し、最終的に、ロールに巻き取る方式を採用した。上記スパッタ装置では、各室の間は、スリットによって仕切られている。スパッタ室ではフィルムは、チルロールに接しており、チルロール(温度:−5℃)によって冷やされながら、ITOターゲットによって薄膜が形成される。具体的には、以下のようにして、ポリイミドフィルム1上にITO層を形成した。
まず、製造例4で得たポリイミドフィルム1を250mm幅にスリットした。次に、スリットした250mm幅のロールを真空下で、巻き出した後、再び巻き取ることにより、ガス出しを行った。次に、3×10−6Torr以下になるまで待って、以下の条件でスパッタリング工程を実施し、ポリイミドフィルム1上に厚さ15nmのITO層を形成させた。この工程は、本発明の工程Bに相当する。
<スパッタリング時の条件>
DCマグネトロンスパッタリング法
ガス圧:2×10−3Torr
Ar流量:50SCCM
流量:3SCCM
ターゲットのITOの組成:ITOターゲット全体に対して酸化スズ20wt%、(三井金属社製、製品名:ITOターゲット)
ターゲットへの投入電力密度:ITOターゲットに対して2W/cm
処理時間:フィルム送り速度0.1m/min
ITO層作成時の真空度:2×10−3Torr
次に、ITO層付きポリイミドフィルムを70mm×70mmサイズにカットした。
次に、ITO層を上にして、UV/O照射器(LANテクニカル製SKR1102N−03)を用い、UV/Oの照射を3分間行った。この時UV/Oランプとフィルムとの距離は30mmとした。この工程は、本発明の工程Cに相当する。
一方、シランカップリング剤(SCA)としての3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−903)を1.2質量%を含むようにイソプロパノールで希釈した溶液を調製した。
また、ガラス基板を準備した。前記ガラス基板は、100mm×100mmサイズに切断した、厚さ0.7mmのOA10Gガラス(NEG社製)である。前記ガラス基板は、純水洗浄、乾燥後にUV/O照射器(LANテクニカル製SKR1102N−03)で1分間照射して洗浄したものを用いた。
前記ガラス基板の洗浄面を上にして、前記ガラス基板をスピンコーター(ジャパンクリエイト社製、MSC−500S)に設置した。前記ガラス基板に前記溶液を5mL滴下し、500rpmにてガラスを回転させることでガラス基板全面に広げた後、2000rpmで回転させることで、前記溶液を前記ガラス基板に塗布し、シランカップリング剤層を形成した。この工程は、本発明の工程Aに相当する。
次に、上記で作製したITO層付きポリイミドフィルムと、シランカップリング剤層付きガラス基板とを貼り合わせ、積層体を得た。貼り合わせは、ITO層とシランカップリング剤層とが貼り合わせ面となるように行った。この工程は、本発明の工程Dに相当する。貼り合わせには、ラミネーター(MCK社製MRK−1000)を用い、貼合条件は、エアー元圧力:0.7MPa、温度:22℃、湿度:55%RH、ラミネート速度:50mm/秒とした。
(実施例2)
ガラス基板へのシランカップリング剤(SCA)の塗布方法を気相塗布に変更した以外は実施例1と同じようにして積層体を得た。具体的に、ガラス基板へのシランカップリング剤の塗布は、図1に示す実験装置を用いて行った。図1は、ガラス基板にシランカップリング剤を塗布する実験装置の模式図である。容量1Lの薬液タンクの中に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−903)を130g入れて、この外側の湯煎を42℃に温めた。そして出てくる蒸気をクリーンドライエアとともにチャンバーに送った。ガス流量は22L/min、基板温度は21℃とした。クリーンドライエアの温度は23℃、1.2%RHであった。排気は負圧の排気口に接続したため、チャンバーは10Pa程度の負圧となっていることを差圧計によって確認している。
(実施例3)
ITO層への処理方法(工程C)を、下記のように変更したこと以外は実施例2と同じようにして積層体を得た。
<ITO層への処理方法>
積水化学社製、大気圧プラズマ装置(AP−T05−S320)を用い、下記プラズマ照射条件にて、ITO層(処理前)にプラズマ照射を行った。
<プラズマ照射条件>
プラズマモード:リモートプラズマ
プラズマヘッドと基板間距離:2mm
放電電圧:240V
基板移動速度:1500mm/min
使用ガス:窒素(流量:130L/min)とクリーンエアー(0.65L/min)
処理雰囲気:通常大気雰囲気
(実施例4)
基板をガラス基板からシリコンウエハ(ダミーグレードの4インチウェーハ)に変更したこと以外は実施例3と同じようにして積層体を得た。
(実施例5)
ITO層への処理方法(工程C)を、下記のように変更したこと以外は実施例2と同じようにして積層体を得た。
<ITO層への処理方法>
真空プラズマ装置(ヤマト硝子製V1000)を用いた。真空プラズマ装置の真空チャンバー内には、電極が平行に配置されており、電極間にフィルムを入れて処理を行った。ITO層を上にして下側電極上に置き、電力700W、ガス圧力10Pa、ガス流量O:200SCCMの条件で2分間処理を行った。
(実施例6)
ポリイミドフィルム1上に、ITO層の代わりに、スパッタリング法によりSi−Al−O系層を形成したこと以外は、実施例2と同じようにして積層体を得た。具体的に、スパッタリング時の条件を下記に変更したこと以外は、実施例2と同じようにして積層体を得た。なお、スパッタリング時に、Si金属ターゲットとAl金属ターゲットとは近接していて、ポリイミドフィルム1上において、両方からの照射原子は混合されている。
<スパッタリング時の条件>
DCマグネトロンスパッタリング法
ガス圧:2×10−3Torr
Ar流量:50SCCM
流量:5SCCM
ターゲット:
Si金属ターゲット(三菱マテリアル社製)
Al金属ターゲット 住友化学社製)
ターゲットへの投入電力密度:
Si金属ターゲットに対して2.5W/cm
Al金属ターゲットに対して1.5W/cm
処理時間:フィルム送り速度0.1m/min
Si−Al−O系層作成時の真空度:2×10−3Torr
(実施例7)
Si−Al−O系層への処理方法(工程C)を、実施例3と同様に変更したこと以外は実施例6と同じようにして積層体を得た。
(実施例8)
無機基板をガラスからシリコンウエハ(ダミーグレードの4インチウェーハ)に変更し、ITO層の代わりに実施例6と同様のSi−Al−O系層へと変更したこと以外は、実施例5と同じようにして積層体を得た。
(実施例9)
シランカップリング剤(SCA)をガラス基板に塗布する代わりに、ポリイミドフィルム1に塗布したこと以外は、実施例3と同じようにして積層体を得た。つまり、実施例9では、ITO層上に、シランカップリング剤層を形成した。
(実施例10)
ポリイミドフィルム1の代わりにポリイミドフィルム2を用いたこと以外は、実施例5と同じようにして積層体を得た。
(実施例11)
ポリイミドフィルム1の代わりにポリイミドフィルム2を用いたこと以外は、実施例3と同じようにして積層体を得た。
(実施例12)
無機基板をガラスからシリコンウエハ(ダミーグレードの4インチウェーハ)に変更し、ポリイミドフィルム1の代わりにポリイミドフィルム2を用いたこと以外は、実施例9と同じようにして積層体を得た。
(実施例13)
ポリイミドフィルム1の代わりにポリイミドフィルム3を用いたこと以外は、実施例5と同じようにして積層体を得た。
(実施例14)
ポリイミドフィルム1の代わりにポリイミドフィルム3を用いたこと以外は、実施例3と同じようにして積層体を得た。
(実施例15)
ポリイミドフィルム1の代わりにポリイミドフィルム3を用いたこと以外は、実施例4と同じようにして積層体を得た。
(実施例16)
ポリイミドフィルム1の代わりにポリイミドフィルム4を用いたこと以外は、実施例3と同じようにして積層体を得た。
(実施例17)
ポリイミドフィルム1の代わりにポリイミドフィルム5を用いたこと以外は、実施例3と同じようにして積層体を得た。
(比較例1)
ITO層を設けなかったこと、及び、ITO層への処理(工程C)を行わなかったこと以外は、実施例2と同じようにして積層体を得た。
(比較例2)
ITO層を設けなかったこと、及び、ITO層への処理(工程C)を行わなかったこと以外は、実施例16と同じようにして積層体を得た。
(比較例3)
ITO層を設けなかったこと、及び、ITO層への処理(工程C)を行わなかったこと以外は、実施例17と同じようにして積層体を得た。
(比較例4)
ITO層への処理(工程C)を行わなかったこと以外は、実施例2と同じようにして積層体を得た。
(比較例5)
ITO層への処理(工程C)を行わなかったこと以外は、実施例10と同じようにして積層体を得た。
上記実施例、比較例で得られた積層体が備えるシランカップリング剤層の厚さは、いずれも、4nm〜8nmの範囲内であった。
<金属含有層(ITO層、Al−Si−O系層)の表面の表面エネルギーの極性成分γsの測定>
本明細書において、表面エネルギー(γsv:単位、dyne/cm)は、D.K.Owens:J.Appl.Polym.Sci.,13巻,1741頁(1969)を参考に、ポリイミドフィルム上で実験的に求めた純水HOとヨウ化メチレンCHのそれぞれの接触角θH2O、θCH2I2から以下の連立方程式(a),(b)より求めたγsとγsの和で表される値(γsv=γs+γs)をいう。
(a) 1+cosθH2O=2√γs(√γH2O /γH2O )+2√γs(√γH2O /γH2O
(b) 1+cosθCH2I2=2√γs(√γCH2I2 /γCH2I2 )+2√γs(√γCH2I2 /γCH2I2
(ただし、γH2O =21.8、γH2O =51.0、γH2O =72.8、γCH2I2 =49.5、γCH2I2 =1.3、γCH2I2 =50.8とする。)
つまり、表面エネルギーの極性成分γsは、接触角θH2O、θCH2I2の測定値と、上記連立方程式(a),(b)により求めることができる。そこで、以下のようにして、接触角θH2O、θCH2I2を測定した。
<接触角の測定>
接触角の測定は、フィルムを20℃、湿度26%RHの条件下で1時間以上調湿した後、協和界面科学(株)製、自動接触角計CA−X型を用いて行なった。1.8μlの液滴をフィルム上に滴下して液滴を作り、フィルムと液体とが接する点における、液体表面に対する接線とフィルム表面がなす角で、液体を含む側の角度を接触角として測定した。接触角は1サンプル、1種類の液体につき5回測定し、5回の平均値を上述のθH2O、θCH2I2とした。
<極性成分γsの算出>
接触角測定により得られたθH2O、θCH2I2を上記連立方程式(a)、(b)に代入して、γsを求めた。結果を表2−5に示す。表にはγsも合わせて示す。
<90°初期剥離強度の測定>
上記積層体の作製で得られた積層体を、大気雰囲気下、200℃1時間熱処理した。その後、無機基板(ガラス基板、又は、シリコンウエハ)とポリイミドフィルムとの間の90°初期剥離強度を測定した。結果を表2〜表5に示す。
90°初期剥離強度の測定条件は、下記の通りである。
無機基板に対してフィルムを90°の角度で引き剥がす。
5回測定を行い、平均値を測定値とする。
測定装置 ; 島津製作所社製 オートグラフAG−IS
測定温度 ; 室温(25℃)
剥離速度 ; 100mm/min
雰囲気 ; 大気
測定サンプル幅 ; 2.5cm
<初期剥離強度位置分布>
・実施例1−8、10、11、比較例4、5について
730mm幅のポリイミドフィルムロールを用いて、実施例、比較例と同様の方法で金属含有層付き耐熱高分子フィルムを作製した。
次に、ロールの幅方向中央部分から、縦方向(MD方向)70mm、横方向(TD方向)10mmのサンプルを切り取った(以下、サンプルAともいう)。
また、ロールの幅方向中央部分から左右それぞれ横方向に300mm移動した部分から、同様のサイズのサンプルを切り取った(以下、サンプルBともいう)。
切り取ったサンプルを用いて、実施例、比較例と同様の方法にて積層体の作製した。得られた積層体を、大気雰囲気下、200℃1時間熱処理した。その後、無機基板(ガラス基板、又は、シリコンウエハ)とポリイミドフィルムとの間の90°初期剥離強度を測定した。
得られた3つのサンプル(サンプルA1つと、サンプルB2つ)のうち、90°初期剥離強度が最も大きかったものと最も小さかったものの値を用い、下記式により得られる値を初期剥離強度位置分布とした。
[((最大剥離強度)−(最小剥離強度))/(最小剥離強度)]×100
結果を表2〜5に示す。
・実施例9、12について
730mm幅のポリイミドフィルムロールを用いて、実施例、比較例と同様の方法で金属含有層付き耐熱高分子フィルムを作製した。さらに、金属含有層の上に実施例と同様の方法でシランカップリング剤層を形成した。
次に、ロールの幅方向中央部分から、縦方向(MD方向)70mm、横方向(TD方向)10mmのサンプルを切り取った(以下、サンプルAともいう)。
また、ロールの幅方向中央部分から左右それぞれ横方向に300mm移動した部分から、同様のサイズのサンプルを切り取った(以下、サンプルBともいう)。
切り取ったサンプルを用いて、実施例と同様の方法にて積層体の作製した。得られた積層体を、大気雰囲気下、200℃1時間熱処理した。その後、無機基板(ガラス基板、又は、シリコンウエハ)とポリイミドフィルムとの間の90°初期剥離強度を測定した。その後、上記と同様にして、初期剥離強度位置分布を求めた。
結果を表2〜5に示す。
・比較例1−3について
730mm幅のポリイミドフィルムロールを準備した。
次に、ロールの幅方向中央部分から、縦方向(MD方向)70mm、横方向(TD方向)10mmのサンプルを切り取った(以下、サンプルAともいう)。
また、ロールの幅方向中央部分から左右それぞれ横方向に300mm移動した部分から、同様のサイズのサンプルを切り取った(以下、サンプルBともいう)。
切り取ったサンプルを用いて、比較例と同様の方法にて積層体の作製した。得られた積層体を、大気雰囲気下、200℃1時間熱処理した。その後、無機基板(ガラス基板、又は、シリコンウエハ)とポリイミドフィルムとの間の90°初期剥離強度を測定した。その後、上記と同様にして、初期剥離強度位置分布を求めた。
結果を表2〜5に示す。
<ブリスター評価>
実施例、比較例の積層体を無機基板側から光学顕微鏡にて観察した。無機基板とポリイミドフィルムとの接着面に焦点を合わせて、直径500μm以上の接着していない部分(ブリスター)を観察した。積層体の外周部分を除いた50mm×50mmの領域を4箇所観察し、合計面積10000mmの範囲に観察されたブリスターを目視にて数えた。結果を表2〜5に示す。
<剥離帯電圧の測定>
実施例、比較例の積層体を途中まで90度剥離し、その状態で剥離帯電圧を測定した。測定にはSIMCO社製静電気測定器FMX−004を使用した。剥離条件は下記の通りとした。
測定温度 ; 21℃
測定湿度 ; 50%RH
剥離 ; 角度90度
剥離速度 ;20mm/秒
雰囲気 ; 大気
測定サンプル幅 ; 2.5cm
Figure 2020059226
Figure 2020059226
Figure 2020059226
Figure 2020059226

Claims (6)

  1. 無機基板と、シランカップリング剤層と、金属、金属酸化物、又は、金属窒化物を含有する金属含有層と、耐熱高分子フィルムとがこの順で積層されており、
    前記金属含有層の前記シランカップリング剤層側の表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下であること特徴とする積層体。
  2. 前記金属酸化物が、酸化インジウムスズであることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記耐熱高分子フィルムと前記無機基板との90°初期剥離強度が、0.05N/cm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 温度21℃、湿度50%RHにおいて、剥離角度90度、剥離速度20mm/秒で、前記無機基板から前記耐熱高分子フィルムを剥離したときの、前記耐熱高分子フィルム側の面の剥離帯電圧が0.3kV以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のに記載の積層体。
  5. 無機基板に、シランカップリング剤層を形成して第1積層体を得る工程Aと、
    耐熱高分子フィルムに、金属、金属酸化物、又は、金属窒化物を含有する金属含有層を形成する工程Bと、
    前記金属含有層の表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下となるように、前記金属含有層の表面に、酸素欠損を形成して第2積層体を得る工程Cと、
    前記第1積層体と前記第2積層体とを貼り合わせる工程Dとを有することを特徴とする積層体の製造方法。
  6. 耐熱高分子フィルムと、
    金属、金属酸化物、又は、金属窒化物を含有する金属含有層と
    を有し、
    前記金属含有層の表面の表面エネルギーの極性成分γsが、10dyn/cm以上60dyn/cm以下であること特徴とする金属含有層付き耐熱高分子フィルム。
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