ところで、第1回転刃と第2回転刃とを有する切断装置によって、第1面及び第2面を有する集電箔と、集電箔の第1面上に積層された第1電極合材層と、第1電極合材層の表面上に積層された第1セパレータと、集電箔の第2面上に積層された第2電極合材層と、第2電極合材層の表面上に積層された第2セパレータと、を有する電極シートを切断する場合がある。具体的には、電極シートに対して第1セパレータ側に配置されて、第1回転軸の軸線の周りに回転する円環状の第1回転刃と、電極シートに対して第2セパレータ側に配置されて、第1回転軸と平行に配置された第2回転軸の軸線の周りに回転する円環状の第2回転刃と、を備える切断装置を用い、電極シートを、第1回転軸の軸線の周りに回転する第1回転刃と第2回転軸の軸線の周りに回転する第2回転刃とによって挟むようにして、電極シートを切断する。
上述のようにして電極シートを切断したとき、第1電極合材層及び第2電極合材層のうち切断位置に近接する部位が、集電箔から剥離することがあった。具体的には、電極シートが切断されるとき、電極シートは、第1回転刃の刃先によって第1セパレータが電極シートの内部に押し込まれると共に、第2回転刃の刃先によって第2セパレータが電極シートの内部に押し込まれるように変形する。これにより、第1セパレータと第2セパレータが突っ張るように変形すると共に、第1電極合材層のうち切断位置に近接する部位と第2電極合材層のうち切断位置に近接する部位とが、集電箔から離れる方向に隆起する(集電箔から浮き上がる)ことがあった。その結果、第1電極合材層及び第2電極合材層のうち切断位置に近接する部位が、集電箔から剥離(脱落)することがあった。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、第1電極合材層及び第2電極合材層のうち切断位置に近接する部位が集電箔から剥離(脱落)すること(第1電極合材層及び第2電極合材層の剥がれ量)を低減することができる切断装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、第1面及び第2面を有する集電箔と、前記集電箔の前記第1面上に積層された第1電極合材層と、前記第1電極合材層の表面上に積層された第1セパレータと、前記集電箔の前記第2面上に積層された第2電極合材層と、前記第2電極合材層の表面上に積層された第2セパレータと、を有する電極シートを切断する切断装置であって、前記切断装置は、前記電極シートに対して前記第1セパレータ側に配置されて、第1回転軸の軸線の周りに回転する円環状の第1回転刃と、前記電極シートに対して前記第2セパレータ側に配置されて、前記第1回転軸と平行に配置された第2回転軸の軸線の周りに回転する円環状の第2回転刃と、を備え、前記第1回転刃と第2回転刃とが、前記第1回転軸の前記軸線及び第2回転軸の前記軸線に直交する方向について、互いに重ならない位置に配置され、前記電極シートを、前記第1回転軸の前記軸線の周りに回転する前記第1回転刃と前記第2回転軸の前記軸線の周りに回転する前記第2回転刃とによって挟むようにして、前記電極シートを切断するように構成されており、前記第1回転刃は、前記第1回転軸の前記軸線方向について前記第2回転刃側に位置して前記第1回転軸に直交する円環状平面をなす第1内側面と、前記第1内側面から前記軸線方向に離れるにしたがって縮径するテーパ面をなす第1外側面と、を有し、前記第2回転刃は、前記第2回転軸の前記軸線方向について前記第1回転刃側に位置して前記第2回転軸に直交する円環状平面をなす第2内側面と、前記第2内側面から前記軸線方向に離れるにしたがって縮径するテーパ面をなす第2外側面と、を有し、前記切断装置は、さらに、前記第1回転刃の前記第1外側面を被覆する円環状の第1ゴム部材と、前記第1回転刃の前記第1内側面を被覆する円環状の第2ゴム部材と、前記第2ゴム部材に対して前記第1回転軸の前記軸線方向に隣接して設けられた円環状の第3ゴム部材と、前記第2回転刃の前記第2外側面を被覆する円環状の第4ゴム部材と、前記第2回転刃の前記第2内側面を被覆する円環状の第5ゴム部材と、前記第5ゴム部材に対して前記第2回転軸の前記軸線方向に隣接して設けられた円環状の第6ゴム部材と、を備え、前記第1ゴム部材と前記第2ゴム部材と前記第3ゴム部材とは、自然状態において前記第1回転刃の外径と同等以上で互いに等しい外径を有し、前記第1回転刃と共に前記第1回転軸に対する前記軸線方向の位置が固定されて、前記第1回転刃と共に前記第1回転軸の前記軸線の周りに回転するように構成されており、前記第4ゴム部材と前記第5ゴム部材と前記第6ゴム部材とは、自然状態において前記第2回転刃の外径と同等以上で互いに等しい外径を有し、前記第2回転刃と共に前記第2回転軸に対する前記軸線方向の位置が固定されて、前記第2回転刃と共に前記第2回転軸の前記軸線の周りに回転するように構成されており、前記第1ゴム部材と前記第5ゴム部材及び前記第6ゴム部材とが、前記電極シートを挟んで対向するように配置され、且つ、前記第4ゴム部材と前記第2ゴム部材及び前記第3ゴム部材とが、前記電極シートを挟んで対向するように配置され、前記第1ゴム部材の弾性率E1と前記第2ゴム部材の弾性率E2と前記第3ゴム部材の弾性率E3と前記第4ゴム部材の弾性率E4と前記第5ゴム部材の弾性率E5と前記第6ゴム部材の弾性率E6とは、E1=E2=E4=E5<E3=E6の関係を満たす切断装置である。
上述の切断装置は、第1面及び第2面を有する集電箔と、集電箔の第1面上に積層された第1電極合材層と、第1電極合材層の表面上に積層された第1セパレータと、集電箔の第2面上に積層された第2電極合材層と、第2電極合材層の表面上に積層された第2セパレータと、を有する電極シートを切断する切断装置である。なお、第1電極合材層及び第2電極合材層は、例えば、電極活物質及びバインダを含む電極合材層であり、バインダによって集電箔に接着している。
この切断装置は、電極シートに対して第1セパレータ側(集電箔の第1面側)に配置されて、第1回転軸の軸線の周りに回転する円環状の第1回転刃と、電極シートに対して第2セパレータ側(集電箔の第2面側、すなわち第1回転刃とは反対側)に配置されて、第1回転軸と平行に配置された第2回転軸の軸線の周りに回転する円環状の第2回転刃とを備える。第1回転刃と第2回転刃とは、第1回転軸の軸線及び第2回転軸の軸線に直交する方向について、互いに重ならない位置に配置されている。例えば、第1回転刃と第2回転刃とは、第1回転軸及び第2回転軸の軸線方向について離間して(微小な隙間を空けて)配置されている。
この切断装置は、電極シートを、第1回転軸の軸線の周りに回転する第1回転刃と第2回転軸の軸線の周りに回転する第2回転刃とによって挟むようにして、電極シートを切断する。詳細には、第1回転刃の外周部に位置する刃先と第2回転刃の外周部に位置する刃先とが、第1回転軸と第2回転軸との中間の位置で、第1回転軸及び第2回転軸の軸線方向に重なるようにした状態で、電極シートを、第1回転軸の軸線の周りに回転する第1回転刃(刃先)と第2回転軸の軸線の周りに回転する第2回転刃(刃先)とによって挟むようにして、電極シートを切断する。
第1回転刃は、第1回転軸の軸線方向について第2回転刃側に位置して第1回転軸に直交する円環状平面をなす第1内側面と、第1内側面から軸線方向(第2回転刃から遠ざかる側)に離れるにしたがって縮径するテーパ面をなす第1外側面とを有する。また、第2回転刃は、第2回転軸の軸線方向について第1回転刃側に位置して第2回転軸に直交する円環状平面をなす第2内側面と、第2内側面から軸線方向(第1回転刃から遠ざかる側)に離れるにしたがって縮径するテーパ面をなす第2外側面とを有する。
さらに、上述の切断装置は、第1回転刃の第1外側面(テーパ面)を被覆する円環状の第1ゴム部材と、第1回転刃の第1内側面を被覆する(第1内側面に対し軸線方向に隣接して配置される)円環状の第2ゴム部材と、第2ゴム部材に対して第1回転軸の軸線方向に隣接して設けられた円環状の第3ゴム部材とを備える。従って、第1ゴム部材と第2ゴム部材と第3ゴム部材とは、この順で、第1回転軸の軸線方向に並んでいる。
第1ゴム部材と第2ゴム部材と第3ゴム部材とは、自然状態において第1回転刃の外径と同等以上で互いに等しい外径を有する。さらに、第1ゴム部材と第2ゴム部材と第3ゴム部材は、第1回転刃と共に第1回転軸に対する軸線方向の位置が固定されて、第1回転刃と共に第1回転軸の軸線の周りに回転するように構成されている。
なお、第1ゴム部材の自然状態とは、第1ゴム部材に対して外力が加えられていない状態であり、具体的には、上述の切断装置において、切断対象である電極シートに第1ゴム部材が圧接していない状態(詳細には、圧接により弾性的に圧縮変形していない状態)をいう。第2ゴム部材、第3ゴム部材、第4ゴム部材、第5ゴム部材、及び、第6ゴム部材の自然状態についても、これと同様である。
従って、上述の切断装置では、第1ゴム部材と第2ゴム部材が自然状態であるときは、第1回転刃の刃先は、第1ゴム部材及び第2ゴム部材の外周面から径方向外側に突出していない。このため、電極シートを切断するために、第1回転刃の刃先を電極シートの内部に進入させるときは、第1ゴム部材と第2ゴム部材は、電極シートに圧接して径方向内側に弾性的に圧縮変形した状態になる。換言すれば、第1ゴム部材と第2ゴム部材が、電極シートに圧接して径方向内側に弾性的に圧縮変形することで、第1回転刃の刃先が、第1ゴム部材及び第2ゴム部材の外周面から径方向外側に突出した状態になり、この状態で電極シートを切断することになる。
さらに、上述の切断装置は、第2回転刃の第2外側面(テーパ面)を被覆する円環状の第4ゴム部材と、第2回転刃の第2内側面を被覆する(第2内側面に対し軸線方向に隣接して配置される)円環状の第5ゴム部材と、第5ゴム部材に対して第2回転軸の軸線方向に隣接して設けられた円環状の第6ゴム部材とを備える。従って、第4ゴム部材と第5ゴム部材と第6ゴム部材とは、この順で、第2回転軸の軸線方向に並んでいる。
第4ゴム部材と第5ゴム部材と第6ゴム部材は、自然状態において、第2回転刃の外径と同等以上で互いに等しい外径を有する。さらに、第4ゴム部材と第5ゴム部材と第6ゴム部材は、第2回転刃と共に第2回転軸に対する軸線方向の位置が固定されて、第2回転刃と共に第2回転軸の軸線の周りに回転するように構成されている。
従って、上述の切断装置では、第4ゴム部材と第5ゴム部材が自然状態であるときは、第2回転刃の刃先は、第4ゴム部材及び第5ゴム部材の外周面から径方向外側に突出していない。このため、電極シートを切断するために、第2回転刃の刃先を電極シートの内部に進入させるときは、第4ゴム部材と第5ゴム部材は、電極シートに圧接して径方向内側に弾性的に圧縮変形した状態になる。換言すれば、第4ゴム部材と第5ゴム部材が、電極シートに圧接して径方向内側に弾性的に圧縮変形することで、第2回転刃の刃先が、第4ゴム部材及び第5ゴム部材の外周面から径方向外側に突出した状態になり、この状態で電極シートを切断することになる。
さらに、上述の切断装置では、電極シートを切断するときに、第1ゴム部材と、第5ゴム部材及び第6ゴム部材とが、電極シートを挟んで対向するように配置されている。すなわち、電極シートを切断するときに、第5ゴム部材及び第6ゴム部材が、電極シートの厚み方向(積層方向)について、第1ゴム部材と対向している。さらに、電極シートを切断するときに、第4ゴム部材と、第2ゴム部材及び第3ゴム部材とが、電極シートを挟んで対向するように配置されている。すなわち、電極シートを切断するときに、第2ゴム部材及び第3ゴム部材が、電極シートの厚み方向(積層方向)について、第4ゴム部材と対向している。
従って、上述の切断装置では、電極シートの切断時(第1回転刃の刃先と第2回転刃の刃先が電極シート内に進入しようとするとき)は、電極シートのうち第1回転刃の第1内側面よりも第1外側面(テーパ面)側に位置する部位が、第1ゴム部材と第5及び第6ゴム部材との間に挟まれて厚み方向内側(集電箔側)に押圧された状態になると共に、電極シートのうち第2回転刃の第2内側面よりも第2外側面(テーパ面)側に位置する部位が、第4ゴム部材と第2及び第3ゴム部材との間に挟まれて厚み方向内側(集電箔側)に押圧された状態になる。
従って、上述の切断装置では、第1セパレータ及び第1電極合材層を集電箔側へ押圧すると共に、第2セパレータ及び第2電極合材層も集電箔側へ押圧した状態で、電極シート(第1セパレータ、第1電極合材層、集電箔、第2電極合材層、及び、第2セパレータが積層されている部位)を切断することができる。これにより、電極シートの切断時に、第1電極合材層及び第2電極合材層のうち切断位置に近接する部位が、集電箔から離れる方向に隆起する(集電箔から浮き上がる)ことを抑制することができる。従って、上述の切断装置によれば、第1電極合材層及び第2電極合材層のうち切断位置に近接する部位が集電箔から剥離(脱落)すること(第1電極合材層及び第2電極合材層の剥がれ量)を低減することができる。
さらに、上述の切断装置では、第1ゴム部材の弾性率E1と第2ゴム部材の弾性率E2と第3ゴム部材の弾性率E3と第4ゴム部材の弾性率E4と第5ゴム部材の弾性率E5と第6ゴム部材の弾性率E6とが、E1=E2=E4=E5<E3=E6の関係を満たしている。すなわち、第1ゴム部材と第2ゴム部材と第4ゴム部材と第5ゴム部材とは同等の硬さを有し、第3ゴム部材と第6ゴム部材とは、同等の硬さで且つ第1ゴム部材及び第4ゴム部材よりも硬い。
従って、電極シートを切断するために、第1回転刃の刃先を電極シートの内部に進入させると共に、第2回転刃の刃先を電極シートの内部に進入させたとき、第4ゴム部材よりも弾性率の高い第3ゴム部材は、第4ゴム部材のうち電極シートを挟んで第3ゴム部材と対向する部位よりも変形量(径方向内側への圧縮量)が小さくなる。従って、第4ゴム部材では、第3ゴム部材と対向する部位が、第2ゴム部材(第4ゴム部材と弾性率が同等)と対向する部位に比べて、径方向内側に大きく圧縮変形することになる。
さらには、このとき、第1ゴム部材よりも弾性率の高い第6ゴム部材は、第1ゴム部材のうち電極シートを挟んで第6ゴム部材と対向する部位よりも変形量(径方向内側への圧縮量)が小さくなる。従って、第1ゴム部材では、第6ゴム部材と対向する部位が、第5ゴム部材(第1ゴム部材と弾性率が同等)と対向する部位に比べて、径方向内側に大きく圧縮変形することになる。
このため、電極シートのうち、第3ゴム部材と第4ゴム部材との間に挟まれた部位(第2ゴム部材と第4ゴム部材との間に挟まれた部位に対し、軸線方向について第1回転刃の刃先から離れる側に隣接する部位)が、第1回転刃及び第2回転刃の刃先から遠ざかる方向(第2回転軸に近づく方向)に移動し、これによって、第2回転刃側に位置する電極シートの切断部も、当該切断部が形成された直後(第1回転刃と第2回転刃とに挟まれた直後)に、第1回転刃及び第2回転刃の刃先から遠ざかる方向に移動させることができる。
さらには、電極シートのうち、第6ゴム部材と第1ゴム部材との間に挟まれた部位(第5ゴム部材と第1ゴム部材との間に挟まれた部位に対し、軸線方向について第2回転刃の刃先から離れる側に隣接する部位)が、第1回転刃及び第2回転刃の刃先から遠ざかる方向(第1回転軸に近づく方向)に移動し、これによって、第1回転刃側に位置する電極シートの切断部も、当該切断部が形成された直後(第1回転刃と第2回転刃とに挟まれた直後)に、第1回転刃及び第2回転刃の刃先から遠ざかる方向に移動させることができる。
このように、電極シートの切断部を、当該切断部が形成された直後に、第1回転刃及び第2回転刃の刃先から遠ざけることによって、当該切断部に位置する電極材料(第1電極合材層及び第2電極合材層を構成する材料、具体的には電極活物質など)に、第1回転刃及び第2回転刃が接触するのを防止することができる。これにより、電極活物質などの電極材料の損傷や、第1電極合材層及び第2電極合材層の更なる剥離を低減することができる。
(実施形態)
まず、本実施形態にかかる切断装置10について説明する前に、切断装置10によって切断される電極シート100ついて説明する。電極シート100は、図1に示すように、長さ方向DAに延びる帯状をなすシート状部材である。この電極シート100は、図2に示すように、第1面101b及び第2面101cを有する集電箔101と、集電箔101の第1面101b上に積層された第1電極合材層102と、第1電極合材層102の表面102c上に積層された第1セパレータ103と、集電箔101の第2面101c上に積層された第2電極合材層104と、第2電極合材層104の表面104c上に積層された第2セパレータ105とを有する。
本実施形態では、集電箔101として、厚み10μmの銅箔を用いている。また、第1電極合材層102と第2電極合材層104は、同等の電極合材層である。本実施形態では、第1電極合材層102及び第2電極合材層104は、それぞれ、電極活物質(例えば、黒鉛粒子)とバインダ(例えば、SBRとCMC)とを含んでいる。なお、第1電極合材層102及び第2電極合材層104は、バインダによって集電箔101に接着している。本実施形態では、第1電極合材層102及び第2電極合材層104の厚み(厚み方向DCにかかる寸法)を、それぞれ、120μmとしている。
なお、本実施形態では、図2に示すように、第1電極合材層102及び第2電極合材層104の幅(幅方向DBにかかる寸法)を、集電箔101の幅よりも小さくしている。詳細には、第1電極合材層102及び第2電極合材層104は、その幅方向DBの一方端(図2において右端)が、集電箔101の幅方向DBの一方端(図2において右端)よりも、幅方向DBについて内側(図2において左側)に位置するように設けられている。
第1セパレータ103と第2セパレータ105は、同等のセパレータであり、電気絶縁性を有する樹脂フィルムからなる。なお、本実施形態では、第1セパレータ103及び第2セパレータ105として、厚み20μmのポリエチレン製多孔質フィルムを用いている。
なお、本実施形態では、図2に示すように、第1セパレータ103及び第2セパレータ105の幅(幅方向DBにかかる寸法)を、第1電極合材層102及び第2電極合材層104の幅よりも大きくしている。詳細には、第1セパレータ103及び第2セパレータ105は、その幅方向DBの両端部が、第1電極合材層102及び第2電極合材層104の幅方向DBの両端から幅方向DBに突出するように設けられている。なお、第1セパレータ103及び第2セパレータ105は、図示しない接着剤(具体的には、アクリルバインダ)を介して、第1電極合材層102及び第2電極合材層104に接着されている。
次に、実施形態にかかる電極シート100を切断する方法について説明する。本実施形態では、後述する切断装置10によって、電極シート100を、その幅方向DBに切断する。具体的には、図3及び図4に示すように、長さ方向DAに延びる帯状の電極シート100を、長さ方向DAについて一定の間隔で並ぶ切断位置Cで切断して、短冊状(枚葉型)の電極シート100を複数作製する。
ここで、本実施形態の切断装置10について、詳細に説明する。図5は、切断装置10の正面視断面図である。但し、図5は、電極シート100を切断するときの状態ではなく、電極シート100を切断するときの状態に比べて、第1回転軸11と第2回転軸15との距離が大きくされて、第1切断ユニット50と第2切断ユニット60とが離間している状態を示している。図6は、切断装置10の側面視概略図である。なお、図6は、電極シート100を切断するときの状態を示している。但し、図6では、切断装置10を構成する部材のうち、第1回転軸11と、第2回転軸15と、第1回転刃25を有する第1切断部材24と、第2回転刃35を有する第2切断部材34のみを示しており、その他の部材は図示を省略している。また、図7は、電極シート100を切断しているときの切断装置10を示す図であり、切断装置10の正面視断面図である。図8は、図7のF部拡大図である。
本実施形態の切断装置10は、図5に示すように、第1回転軸11と、第1回転軸11と平行に配置された第2回転軸15と、第1回転軸11に固定された第1切断部材24と、第2回転軸15に固定された第2切断部材34と、第1回転軸11及び第2回転軸15を回転させる回転駆動装置40とを備える。このうち、第1切断部材24は、円環板状をなす超硬合金からなり、その外周部に円環状の第1回転刃25を備える。第2切断部材34は、円環板状をなす超硬合金からなり、その外周部に円環状の第2回転刃35を備える。
第1回転軸11は、第1軸線方向DX1(第1回転軸11の軸線である第1軸線AX1が延びる方向、図5において左右方向)に延びる円柱形状をなしている。この第1回転軸11は、回転駆動装置40の駆動により、第1軸線AX1の周りに第1回転方向DR1(図6において時計回り)に回転する。
また、第2回転軸15は、第2軸線方向DX2(第2回転軸15の軸線である第2軸線AX2が延びる方向、図5において左右方向)に延びる円柱形状をなしている。この第2回転軸は、回転駆動装置40の駆動により、第2軸線AX2の周りに第2回転方向DR2(図6において反時計回り)に回転する。
なお、第1回転軸11と第2回転軸15は、図6に矢印で示すように、回転方向が互いに逆方向となるように回転する。すなわち、第1回転方向DR1は、第2回転方向DR2と逆向きの回転方向とされている。これにより、第1回転刃25と第2回転刃35とは、回転方向が互いに逆方向となるように回転する。
第1回転刃25は、電極シート100を切断する際、電極シート100に対して第1セパレータ103側(集電箔101の第1面101b側、図6において上側)に配置されて、第1回転軸11の第1軸線AX1の周りに回転する。一方、第2回転刃35は、電極シート100に対して第2セパレータ105側(集電箔101の第2面101c側、図6において下側)に配置されて、第2回転軸15の第2軸線AX2の周りに回転する。
第1回転刃25と第2回転刃35とは、第1軸線AX1及び第2軸線AX2に直交する方向(図5及び図7において上下方向、軸線直交方向DEとする)について、互いに重ならない位置に配置されている。詳細には、第1回転刃25と第2回転刃35とは、第1軸線方向DX1及び第2軸線方向DX2(図5及び図7において左右方向)について離間して(微小な隙間を空けて)配置されている。
この切断装置10は、電極シート100を、幅方向DBに延びる切断位置C(切断線)において、第1回転軸11の第1軸線AX1の周りに回転する第1回転刃25と第2回転軸15の第2軸線AX2の周りに回転する第2回転刃35とによって挟むようにして、電極シート100を切断する。詳細には、第1回転刃25の外周部に位置する刃先25dと第2回転刃35の外周部に位置する刃先35dとが、第1回転軸11と第2回転軸15との中間の位置で、第1軸線方向DX1及び第2軸線方向DX2(図7及び図8において左右方向)に重なるようにした状態で、電極シート100を、第1回転軸11の第1軸線AX1の周りに回転する第1回転刃25(刃先25d)と第2回転軸15の第2軸線AX2の周りに回転する第2回転刃35(刃先35d)とによって挟むようにして、電極シート100を切断する。
なお、本実施形態では、第1軸線方向DX1及び第2軸線方向DX2を、電極シート100の長さ方向に一致させた状態で(図7参照)、図6に示すように、切断装置10(後述する第1切断ユニット50と第2切断ユニット60)を、電極シート100の幅方向DBに沿う移動方向DM(図6において右方向)に移動させながら、電極シート100を、第1回転軸11の周りに回転する第1回転刃25と第2回転軸15の周りに回転する第2回転刃35とによって挟むようにして切断する。また、本実施形態では、第1回転刃25と第2回転刃35のラップ量(両者が重なり合う径方向寸法)を0.5mmとして(0.5mmに維持した状態で)、電極シート100を切断する。
第1回転刃25は、第1軸線方向DX1について第2回転刃35側(図5及び図7において右側)に位置して第1回転軸11(第1軸線AX1)に直交する円環状平面をなす第1内側面25bと、第1内側面25bから第1軸線方向DX1(第2回転刃35から遠ざかる側、図5及び図7において左側)に離れるにしたがって縮径するテーパ面をなす第1外側面25cとを有する。また、第2回転刃35は、第2軸線方向DX2について第1回転刃25側(図5及び図7において左側)に位置して第2回転軸15(第2軸線AX2)に直交する円環状平面をなす第2内側面35bと、第2内側面35bから第2軸線方向DX2(第1回転刃25から遠ざかる側、図5及び図7において右側)に離れるにしたがって縮径するテーパ面をなす第2外側面35cとを有する。
さらに、本実施形態の切断装置10は、第1回転刃25の第1外側面25c(テーパ面)を被覆する円環状の第1ゴム部材21と、第1回転刃25の第1内側面25bを被覆する(第1内側面25bに対し第1軸線方向DX1に隣接して配置される)円環状の第2ゴム部材22と、第2ゴム部材22に対して第1軸線方向DX1に隣接して設けられた円環状の第3ゴム部材23とを備える。従って、第1ゴム部材21と第2ゴム部材22と第3ゴム部材23とは、この順で、第1軸線方向DX1(図5及び図7において左右方向)に並んでいる。
第1ゴム部材21と第2ゴム部材22と第3ゴム部材23とは、自然状態において、第1回転刃25の外径と同等以上で互いに等しい外径を有する。なお、本実施形態では、第1ゴム部材21と第2ゴム部材22と第3ゴム部材23とは、自然状態において、第1回転刃25の外径よりも僅かに大きな外径を有している(図5参照)。
さらに、第1ゴム部材21と第2ゴム部材22と第3ゴム部材23は、第1回転刃25と共に第1回転軸11に対する第1軸線方向DX1の位置が固定されて、第1回転刃25と共に第1回転軸11の第1軸線AX1の周りに回転するように構成されている。本実施形態では、第1回転刃25を有する第1切断部材24と第1ゴム部材21と第2ゴム部材22と第3ゴム部材23とが、円環板状の一対の固定部材26,27によって、第1軸線方向DX1に挟まれた状態で、第1回転軸11に対する第1軸線方向DX1の位置が固定されている。なお、固定部材26,27は、その貫通孔26b、27b内に第1回転軸11が挿通された状態で、第1回転軸11に固定されている(図5参照)。本実施形態の切断装置10では、第1回転軸11と第1回転刃25を有する第1切断部材24と第1ゴム部材21と第2ゴム部材22と第3ゴム部材23と固定部材26,27とにより、第1切断ユニット50が構成されている。
ここで、第1ゴム部材21の自然状態とは、第1ゴム部材21に対して外力が加えられていない状態であり、具体的には、切断装置10において、切断対象である電極シート100に第1ゴム部材21が圧接していない状態(詳細には、圧接により弾性的に圧縮変形していない状態、図5に示す状態)をいう。後述する第2ゴム部材22、第3ゴム部材23、第4ゴム部材31、第5ゴム部材32、及び、第6ゴム部材33の自然状態についても、これと同様である。
従って、本実施形態の切断装置10では、第1ゴム部材21と第2ゴム部材22が自然状態であるときは、図5に示すように、第1回転刃25の刃先25dは、第1ゴム部材21材の外周面21b及び第2ゴム部材22の外周面22bから径方向外側に突出していない。このため、電極シート100を切断するために、第1回転刃25の刃先25dを電極シート100の内部に進入させるときは、第1ゴム部材21と第2ゴム部材22は、電極シート100に圧接して径方向内側に弾性的に圧縮変形した状態になる(図7参照)。換言すれば、第1ゴム部材21と第2ゴム部材22が、電極シート100に圧接して径方向内側に弾性的に圧縮変形することで、第1回転刃25の刃先25dが、第1ゴム部材21材の外周面21b及び第2ゴム部材22の外周面22bから径方向外側に突出した状態になり、この状態で電極シート100を切断することになる。
さらに、本実施形態の切断装置10は、第2回転刃35の第2外側面35c(テーパ面)を被覆する円環状の第4ゴム部材31と、第2回転刃35の第2内側面35bを被覆する(第2内側面35bに対し第2軸線方向DX2に隣接して配置される)円環状の第5ゴム部材32と、第5ゴム部材32に対して第2軸線方向DX2に隣接して設けられた円環状の第6ゴム部材33とを備える。従って、第4ゴム部材31と第5ゴム部材32と第6ゴム部材33とは、この順で、第2回転軸15の第2軸線方向DX2に並んでいる。
第4ゴム部材31と第5ゴム部材32と第6ゴム部材33は、自然状態において、第2回転刃35の外径と同等以上で互いに等しい外径を有する。なお、本実施形態では、第4ゴム部材31と第5ゴム部材32と第6ゴム部材33とは、自然状態において、第2回転刃35の外径よりも僅かに大きな外径を有している(図5参照)。
さらに、第4ゴム部材31と第5ゴム部材32と第6ゴム部材33は、第2回転刃35と共に第2回転軸15に対する第2軸線方向DX2の位置が固定されて、第2回転刃35と共に第2回転軸15の第2軸線AX2の周りに回転するように構成されている。本実施形態では、第2回転刃35を有する第2切断部材34と第4ゴム部材31と第5ゴム部材32と第6ゴム部材33とが、円環板状の一対の固定部材36,37によって、第2軸線方向DX2に挟まれた状態で、第2回転軸15に対する第2軸線方向DX2の位置が固定されている。なお、固定部材36,37は、その貫通孔36b、37b内に第2回転軸15が挿通された状態で、第2回転軸15に固定されている(図5参照)。本実施形態の切断装置10では、第2回転軸15と第2回転刃35を有する第2切断部材34と第4ゴム部材31と第5ゴム部材32と第6ゴム部材33と固定部材36,37とにより、第2切断ユニット60が構成されている。
従って、本実施形態の切断装置10では、第4ゴム部材31と第5ゴム部材32が自然状態であるときは、第2回転刃35の刃先35dは、第4ゴム部材31の外周面31b及び第5ゴム部材32の外周面32bから径方向外側に突出していない(図5参照)。このため、電極シート100を切断するために、第2回転刃35の刃先25dを電極シート100の内部に進入させるときは、第4ゴム部材31と第5ゴム部材32は、電極シート100に圧接して径方向内側に弾性的に圧縮変形した状態になる(図7参照)。換言すれば、第4ゴム部材31と第5ゴム部材32が、電極シート100に圧接して径方向内側に弾性的に圧縮変形することで、第2回転刃35の刃先35dが、第4ゴム部材31の外周面31b及び第5ゴム部材32の外周面32bから径方向外側に突出した状態になり、この状態で電極シート100を切断することになる。
さらに、本実施形態の切断装置10では、電極シート100を切断するときに、第1ゴム部材21と、第5ゴム部材32及び第6ゴム部材33とが、電極シート100を挟んで対向するように配置されている(図7参照)。すなわち、電極シート100を切断するときに、第5ゴム部材32及び第6ゴム部材33が、電極シート100の厚み方向DC(図7において上下方向、軸線直交方向DEに一致)について、第1ゴム部材21と対向している。さらに、電極シート100を切断するときに、第4ゴム部材31と、第2ゴム部材22及び第3ゴム部材23とが、電極シート100を挟んで対向するように配置されている。すなわち、電極シート100を切断するときに、第2ゴム部材22及び第3ゴム部材23が、電極シート100の厚み方向(図7において上下方向、軸線直交方向DEに一致)について、第4ゴム部材31と対向している。
従って、本実施形態の切断装置10では、電極シート100の切断時(第1回転刃25の刃先25dと第2回転刃35の刃先35dが電極シート100内に進入しようとするとき)は、電極シート100のうち第1回転刃25の第1内側面25bよりも第1外側面25c側(図7及び図8において左側)に位置する部位が、第1ゴム部材21と第5及び第6ゴム部材32,33との間に挟まれて、厚み方向DCの内側(集電箔101側)に押圧された状態になると共に、電極シート100のうち第2回転刃35の第2内側面35bよりも第2外側面35c側(図7及び図8において右側)に位置する部位が、第4ゴム部材31と第2及び第3ゴム部材22,23との間に挟まれて、厚み方向DCの内側(集電箔101側)に押圧された状態になる。
従って、本実施形態の切断装置10では、第1セパレータ103及び第1電極合材層102を集電箔101側(図7及び図8において下側)へ押圧すると共に、第2セパレータ105及び第2電極合材層104を集電箔101側(図7及び図8において上側)へ押圧した状態で、電極シート100(第1セパレータ103、第1電極合材層102、集電箔101、第2電極合材層104、及び、第2セパレータ105が積層されている部位)を切断することができる。
これにより、電極シート100の切断時に、第1電極合材層102のうち切断位置Cに近接する部位(切断近接部102bとする)、及び、第2電極合材層104のうち切断位置Cに近接する部位(切断近接部104bとする)が、集電箔101から離れるようにして隆起する(集電箔101から浮き上がる)ことを抑制することができる(図8参照)。従って、本実施形態の切断装置10によれば、第1電極合材層102の切断近接部102b、及び、第2電極合材層104の切断近接部104bが、集電箔101から剥離(脱落)すること(第1電極合材層102及び第2電極合材層104の剥がれ量)を低減することができる。
さらに、本実施形態の切断装置10では、第1ゴム部材21の弾性率E1と第2ゴム部材22の弾性率E2と第3ゴム部材23の弾性率E3と第4ゴム部材31の弾性率E4と第5ゴム部材32の弾性率E5と第6ゴム部材33の弾性率E6とが、E1=E2=E4=E5<E3=E6の関係を満たしている。すなわち、第1ゴム部材21と第2ゴム部材22と第4ゴム部材31と第5ゴム部材32とは同等の硬さを有し、第3ゴム部材23と第6ゴム部材33とは、同等の硬さで且つ第1ゴム部材21及び第4ゴム部材31よりも硬い。
なお、本実施形態では、第1ゴム部材21と第2ゴム部材22と第4ゴム部材31と第5ゴム部材32の材質を、硬度Hs50のシリコーンゴムとしている。また、第3ゴム部材23と第6ゴム部材33との材質を、硬度Hs80のシリコーンゴムとしている。従って、本実施形態の弾性率の大小関係は、(第1回転刃25及び第2回転刃の弾性率)>(電極シート100の弾性率)>(第3ゴム部材23及び第6ゴム部材33の弾性率)>(第1ゴム部材21、第2ゴム部材22、第4ゴム部材31、及び第5ゴム部材32の弾性率)となっている。
従って、電極シート100を切断するために、第1回転刃25の刃先25dを電極シート100の内部に進入させると共に、第2回転刃35の刃先35dを電極シート100の内部に進入させるとき、第4ゴム部材31よりも弾性率の高い第3ゴム部材23は、第4ゴム部材31のうち電極シート100を挟んで軸線直交方向DE(図8において上下方向)に第3ゴム部材23と対向する部位31cよりも変形量(径方向内側への圧縮量)が小さくなる。従って、第4ゴム部材31では、第3ゴム部材23と対向する部位31cが、第2ゴム部材22(第4ゴム部材31と弾性率が同等)と対向する部位31dに比べて、径方向内側(図8において下側)に大きく圧縮変形することになる。
さらには、このとき、第1ゴム部材21よりも弾性率の高い第6ゴム部材33は、第1ゴム部材21のうち電極シート100を挟んで軸線直交方向DE(図8において上下方向)に第6ゴム部材33と対向する部位21cよりも変形量(径方向内側への圧縮量)が小さくなる。従って、第1ゴム部材21では、第6ゴム部材33と対向する部位21cが、第5ゴム部材32(第1ゴム部材21と弾性率が同等)と対向する部位21dに比べて、径方向内側(図8において上側)に大きく圧縮変形することになる。
このため、電極シート100のうち、第3ゴム部材23と第4ゴム部材31との間に挟まれた部位100c(第2ゴム部材22と第4ゴム部材31との間に挟まれた部位100dに対し、第1軸線方向DX1について第1回転刃25の刃先25dから離れる側に隣接する部位)が、第1回転刃25の刃先25d及び第2回転刃35の刃先35dから遠ざかる方向(第2回転軸15に近づく方向、図8において下方)に移動し、これによって、第2回転刃35側に位置する電極シート100の切断部100b1も、当該切断部100b1が形成された直後(第1回転刃25と第2回転刃35とに挟まれた直後)に、第1回転刃25の刃先25d及び第2回転刃35の刃先35dから遠ざかる方向(図8において右方向)に移動させることができる。
さらには、電極シート100のうち、第6ゴム部材33と第1ゴム部材21との間に挟まれた部位100f(第5ゴム部材32と第1ゴム部材21との間に挟まれた部位100gに対し、第2軸線方向DX2について第2回転刃35の刃先35dから離れる側に隣接する部位)が、第1回転刃25の刃先25d及び第2回転刃35の刃先35dから遠ざかる方向(第1回転軸11に近づく方向、図8において上方)に移動し、これによって、第1回転刃25側に位置する電極シート100の切断部100b2も、当該切断部100b2が形成された直後(第1回転刃25と第2回転刃35とに挟まれた直後)に、第1回転刃25の刃先25d及び第2回転刃35の刃先35dから遠ざかる方向(図8において左方向)に移動させることができる。
このように、電極シート100の切断部100b1,100b2を、当該切断部100b1,100b2が形成された直後に、第1回転刃25の刃先25d及び第2回転刃35の刃先35dから遠ざけることによって、当該切断部100b1,100b2に位置する電極材料(第1電極合材層102及び第2電極合材層104を構成する材料、具体的には電極活物質など)に、第1回転刃25及び第2回転刃35が接触するのを防止することができる。これにより、切断後(切断直後)の切断部100b1,100b2においても、電極活物質などの電極材料の損傷や、第1電極合材層102及び第2電極合材層104の剥離を低減することができる。
(切断試験)
次に、実施形態の切断装置10を用いて、電極シート100を切断する試験を行った。具体的には、電極シート100の3箇所の切断位置C(電極シート100の幅方向DBに延びる切断位置、図3参照)において、切断装置10を用いて電極シート100を切断した。その後、3箇所の切断位置Cについて、それぞれ、第1電極合材層102及び第2電極合材層104の剥がれ量(脱落量)の最大値を測定し、その平均値を求めた。
なお、「第1電極合材層102及び第2電極合材層104の剥がれ量の最大値」とは、第1電極合材層102の切断近接部102b(第1電極合材層102のうち切断位置Cに近接する部位)及び第2電極合材層104の切断近接部104b(第2電極合材層104のうち切断位置Cに近接する部位)のうち集電箔101から剥離した部分における、電極シート100の切断位置C(すなわち、切断面)から電極シート100の長さ方向DA(図9において左右方向)にかかる寸法(剥離寸法Pとする)の最大値である(図9参照)。
本試験では、次のようにして、第1電極合材層102及び第2電極合材層104の剥がれ量の最大値を測定している。具体的には、まず、電極シート100の切断後、当該切断した電極シート100から第1セパレータ103及び第2セパレータ105を剥離する。この状態で、集電箔101の第1面101b及び第2面101cのうち、第1電極合材層102の切断近接部102b及び第2電極合材層104の切断近接部104bが集電箔101から剥離したことによって露出している部位について、長さ方向DAにかかる寸法(剥離寸法P)の最大値を測定した(図9参照)。このようにして、3箇所の切断位置Cについて剥離寸法Pの最大値を測定し、これらの平均値を求めた。
また、比較形態として、実施形態の切断装置10と比較して、第1ゴム部材21と第2ゴム部材22と第3ゴム部材23と第4ゴム部材31と第5ゴム部材32と第6ゴム部材33を有していない点のみが異なる切断装置を用意した。この比較形態の切断装置を用いて、上述のような切断試験を行って、3箇所の切断位置Cについて剥離寸法Pの最大値を測定し、これらの平均値を求めた。
比較形態の切断装置では、剥離寸法Pの最大値の平均値が、0.65mmとなった。これに対し、実施形態の切断装置10では、剥離寸法Pの最大値の平均値が、0.05mm以下となり、比較形態に比べて極めて小さな値となった。この結果より、本実施形態の切断装置10によれば、第1電極合材層102の切断近接部102b、及び、第2電極合材層104の切断近接部104bが、集電箔101から剥離(脱落)すること(第1電極合材層102及び第2電極合材層104の剥がれ量)を低減することができるといえる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態では、電極シート100を、その幅方向DBに切断する例を示した。具体的には、長さ方向DAに延びる帯状の電極シート100を、長さ方向DAについて一定の間隔で並ぶ切断位置Cで切断して、短冊状(枚葉型)の電極シート100を複数作製する例を示した(図3及び図4参照)。
しかしながら、本発明の切断装置は、このように電極シートを切断するものに限定されず、例えば、電極シート100を長さ方向DAに切断するようにしても良い。具体的には、長さ方向DAに延びる帯状の電極シート100を、その幅方向DBの中央位置において長さ方向DAに延びる切断位置で切断して、2枚の帯状の電極シート100を作製するようにしても良い。このように切断する場合でも、本発明の切断装置によれば、第1電極合材層102の切断近接部102b、及び、第2電極合材層104の切断近接部104bが、集電箔101から剥離すること(第1電極合材層102及び第2電極合材層104の剥がれ量)を低減することができるといえる。