JP2020016564A - 処理装置、測定装置、検査装置および処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定効率を向上させる。【解決手段】測定対象に対して測定用信号の供給を開始した供給開始時点から予め指定された経過時間が経過した経過時点において測定されるべき電流値Iを、経過時間の代入によって算出可能な算出式を特定する特定処理を実行する処理部6を備え、処理部6は、特定処理において、少なくとも1つのCPE(constant phase element)を含む等価回路に測定用信号を供給したときの電流値Iと経過時間との関係を示す関係式に含まれる未知数としてのCPE定数およびCPE指数を、供給開始時点と経過時点よりも前の時点との間における複数の時点で測定された電流値Iの各実測値Imに基づいて求め、求めたCPE定数およびCPE指数を含む関係式を算出式として特定する。【選択図】図1
Description
本発明は、指定された経過時間が経過した経過時点において測定されるべき物理量を算出可能な算出式を特定する特定処理を実行する処理装置、その処理装置を備えた測定装置、その測定装置を備えた検査装置、および指定された経過時間が経過した経過時点において測定されるべき物理量を算出可能な算出式を特定する特定処理を実行する処理方法に関するものである。
この種の測定装置として、下記特許文献1に開示された2端子回路素子測定装置(以下、単に「測定装置」ともいう)が知られている。この測定装置は、電流計、直流電圧発生回路、およびCPU等を備え、測定対象(DUT)に直流電圧を供給している状態で測定対象に流れる電流値を測定し、測定した電流値に基づいて測定対象の抵抗値を測定可能に構成されている。この場合、絶縁体に直流電圧を供給したときに絶縁体に流れる電流値は、一般的に、時間経過と共に徐々に低下して、ある値に収束する。このため、絶縁性を有する測定対象の抵抗値をこの種の測定装置を用いて測定する際には、直流電圧の供給開始時点から予め指定された指定時間(例えば、ASTM−D257で規定されている60秒)が経過した時点における電流値に基づいて算出した抵抗値を測定対象の抵抗値とする測定方法が採用されている。
ところが、上記の測定装置を用いた従来の測定方法には、解決すべき以下の課題がある。具体的には、上記の測定装置を用いる従来の測定方法では、測定対象に対する直流電圧の供給開始時点から指定時間が経過した時点における電流値に基づいて算出した抵抗値を測定対象の抵抗値としているため、指定時間が長いときには測定に長い時間が必要となる。したがって、上記の測定装置を用いた従来の測定方法には、測定効率の向上が困難であるという課題が存在し、この点の解決が望まれている。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、測定効率を向上し得る処理装置、測定装置、検査装置および処理方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の処理装置は、測定対象に対して測定用信号の供給を開始した供給開始時点から予め指定された経過時間が経過した経過時点において測定されるべき物理量を、当該経過時間の代入によって算出可能な算出式を特定する特定処理を実行する処理部を備え、前記処理部は、前記特定処理において、少なくとも1つのCPE(constant phase element)を含む等価回路に前記測定用信号を供給したときの前記物理量と前記経過時間との関係を示す関係式に含まれる未知数としてのCPE定数およびCPE指数を、前記供給開始時点と前記経過時点よりも前の時点との間における複数の時点で測定された前記物理量の各測定値に基づいて求め、当該求めたCPE定数およびCPE指数を含む前記関係式を前記算出式として特定する。
また、請求項2記載の処理装置は、請求項1記載の処理装置において、前記処理部は、1つの前記CPEだけで構成された前記等価回路についての前記関係式を用いて前記特定処理を実行する。
また、請求項3記載の処理装置は、請求項1記載の処理装置において、前記処理部は、1つの前記CPEと当該CPEに並列に接続された1つの抵抗で構成された前記等価回路についての前記関係式を用いて前記特定処理を実行する。
また、請求項4記載の処理装置は、請求項1または2記載の処理装置において、前記処理部は、前記特定処理において、前記供給開始時点から予め規定された規定時間が経過した時点と前記経過時点よりも前の時点との間における複数の時点で測定された前記各測定値に基づいて前記CPE定数およびCPE指数を求める。
また、請求項5記載の測定装置は、請求項1から4のいずれかに記載の処理装置と、前記物理量を測定する測定部と、前記特定処理によって特定された前記算出式を用いて前記経過時点における前記物理量を算出すると共に当該物理量に基づいて前記測定対象の抵抗値を算出する算出部とを備えている。
また、請求項6記載の検査装置は、請求項5記載の測定装置と、前記算出部によって算出された前記抵抗値および当該抵抗値の基準値に基づいて前記測定対象の良否を検査する検査部とを備えている。
また、請求項7記載の処理方法は、測定対象に対して測定用信号の供給を開始した供給開始時点から予め指定された経過時間が経過した経過時点において測定されるべき物理量を、当該経過時間の代入によって算出可能な算出式を特定する特定処理を実行する処理方法であって、前記特定処理において、少なくとも1つのCPE(constant phase element)を含む等価回路に前記測定用信号を供給したときの前記物理量と前記経過時間との関係を示す関係式に含まれる未知数としてのCPE定数およびCPE指数を、前記供給開始時点と前記経過時点よりも前の時点との間における複数の時点で測定された前記物理量の各測定値に基づいて求め、当該求めたCPE定数およびCPE指数を含む前記関係式を前記算出式として特定する。
請求項1記載の処理装置、請求項5記載の測定装置、請求項6記載の検査装置および請求項7記載の処理方法では、CPEを含む等価回路に測定用信号を供給したときの物理量と経過時間との関係を示す関係式に含まれるCPE定数およびCPE指数を、測定用信号の供給開始時点と指定された経過時間が経過する経過時点よりも前の時点との間における複数の時点で測定された物理量の各測定値に基づいて求め、求めたCPE定数およびCPE指数を含む関係式を、経過時点における物理量を算出可能な算出値として特定する特定処理を実行する。このため、この処理装置、測定装置、検査装置および処理方法によれば、経過時点における物理量を、経過時点よりも前に算出式を用いて算出することができ、その物理量に基づいて測定対象の抵抗値を算出することができる。したがって、この処理装置、測定装置、検査装置および処理方法によれば、指定された経過時間が長い場合であっても、測定用信号の供給開始時点から抵抗値を算出するまでに要する時間を十分に短縮して、抵抗値の測定効率を十分に向上させることができる。
また、請求項2記載の処理装置、請求項5記載の測定装置、および請求項6記載の検査装置では、1つのCPEだけで構成された等価回路についての関係式を用いて特定処理を実行する。この場合、例えば、複数のCPEを有する等価回路についての関係式は、関係式に含まれる未知数の数(種類)が多くなるため、数多くの未知数を求めるために数多くの測定値が必要となる。これに対して、この処理装置、測定装置、検査装置および処理方法では、関係式に含まれる未知数が少ないため(例えば、2つ)、少ない数(例えば、2つ)の測定値で未知数を求めることができる。この結果、この処理装置、測定装置、検査装置および処理方法によれば、算出式を特定する特定処理の処理効率を十分に向上させることができる。
また、請求項3記載の処理装置、請求項5記載の測定装置、および請求項6記載の検査装置では、1つのCPEとCPEに並列に接続された1つの抵抗で構成された等価回路についての関係式を用いて特定処理を実行する。この場合、この関係式には、測定対象についての漏れ電流に対応する抵抗のパラメータが関係式に含まれている。このため、この処理装置、測定装置、検査装置および処理方法によれば、漏れ電流の影響が無視できない測定対象についての経過時点における物理量を正確に算出可能な算出式を特定することができる。
また、請求項4記載の処理装置、請求項5記載の測定装置、および請求項6記載の検査装置では、測定用信号の供給開始時点から予め規定された規定時間が経過した時点と指定された経過時間が経過する経過時点よりも前の時点との間における複数の時点で測定された物理量の各測定値に基づいてCPE定数およびCPE指数を求める。この場合、測定用信号の供給開始直後には、変位電流や吸収電流が発生してこれらの影響によって物理量を正確に算出可能な算出式の特定が困難となるおそれがある。これに対して、この処理装置、測定装置、検査装置および処理方法によれば、供給開始時点から予め規定された規定時間が経過した時点以後の時点で測定された各測定値に基づいてCPE定数およびCPE指数を求めることにより、測定用信号の供給開始直後に発生する変位電流や吸収電流の影響を低く抑えることができるため、物理量を正確に算出可能な算出式を特定することができる。
以下、処理装置、測定装置、検査装置および処理方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、検査装置の一例としての図1に示す検査装置1の構成について説明する。検査装置1は、測定対象(例えば、同図に示す測定対象100)の良否を検査可能に構成されている。具体的には、検査装置1は、同図に示すように、測定部2、操作部3、表示部4、記憶部5および処理部6を備えて構成されている。この場合、操作部3、記憶部5および処理部6によって処理装置が構成される。また、測定部2、操作部3、記憶部5、および処理部6における後述する検査部としての機能を除く部分によって測定装置が構成される。
測定部2は、図1に示すように、電源部21、電圧測定部22および電流測定部23を備えて構成されている。電源部21は、測定用信号としての直流電圧を出力する。電圧測定部22は、電源部21から出力されて電極20を介して測定対象100に供給されている直流電圧の電圧値Vを測定する。電流測定部23は、直流電圧が測定対象100に供給されている状態において測定対象100に流れる電流の電流値I(物理量に相当する)を予め決められた時間間隔(例えば、1秒間隔)で測定する。
操作部3は、各種のスイッチを備えて構成され、これらが操作されたときに操作信号を出力する。表示部4は、処理部6の制御に従って各種の値や文字情報を表示する。
記憶部5は、処理部6によって実行される後述する特定処理において用いられる関係式(後述する関係式F1,F2)を記憶する。また、記憶部5は、特定処理において特定される算出式Fcを記憶する。また、記憶部5は、処理部6によって実行される測定対象100の検査の際に用いる基準値Rrを記憶する。
処理部6は、操作部3から出力される操作信号に従って各種の処理を実行する。具体的には、処理部6は、測定対象100に対して測定用信号としての直流電圧の供給を開始した時点から予め指定された経過時間tが経過した時点(以下「経過時点tp」ともいう)において測定されるべき電流値I(物理量)を算出可能な算出式Fcを特定する特定処理を実行する。また、処理部6は、算出部として機能し、特定処理によって特定した算出式Fcに予め指定された経過時間tを代入して、その経過時間tが経過した経過時点tpにおける電流値Iを算出すると共に、算出した電流値Iに基づいて測定対象100の抵抗値Rを算出する。また、処理部6は、検査部として機能し、算出した抵抗値R、および記憶部5に記憶されている基準値Rrに基づいて測定対象100の良否を検査する。
次に、検査装置1を用いて測定対象100の抵抗値Rを測定すると共に、測定対象100の良否を検査する方法、およびその際の検査装置1の動作について、図面を参照して説明する。
この場合、この検査装置1は、直流電圧の供給が開始された供給開始時点tsから予め指定された経過時間tとしての60秒が経過した経過時点tpにおける電流値Iに基づいて測定対象100の抵抗値Rを測定し、その抵抗値Rに基づいて測定対象100の良否を検査するものとする。
まず、図1に示すように、測定対象100の両面に電極20,20をそれぞれ接触させる。次いで、操作部3を操作して、検査の開始を指示する。この際に、操作部3が操作信号を出力し、これに応じて処理部6が検査処理を実行する。
この検査処理では、処理部6は、測定部2の電源部21に対して、直流電圧(測定用信号)の出力を指示する。これに応じて、電源部21が直流電圧を出力し、出力された直流電圧が電極20を介して測定対象100に供給される。また、処理部6は、測定部2の電圧測定部22および電流測定部23に対して測定開始を指示する。これに応じて、電圧測定部22が、測定対象100に供給されている電圧の電圧値Vを測定する。また、電流測定部23が、直流電圧の供給によって測定対象100に流れる電流の電流値Iを予め決められた時間間隔(1秒間隔)で測定する。
一方、処理部6は、電源部21に対する出力の指示、並びに電圧測定部22および電流測定部23に対する測定開始の指示に合わせて、測定対象100に対して直流電圧の供給を開始した供給開始時点ts(直流電圧の出力開始時点)から指定された経過時間t(例えば、60秒)が経過した経過時点tpにおいて測定されるべき電流値I(物理量)を、経過時間tの代入によって算出可能な算出式Fcを特定する特定処理を実行する。
ここで、発明者らは、絶縁体に直流電圧を供給している状態で絶縁体に流れる電流の時間変化が、少なくとも1つのCPE(constant phase element)を含む等価回路に直流電圧を供給したときの電流値Iの時間変化の態様と極めて近似することを検証実験から見いだした。具体的には、例えば、図2に示すように、1つのCPEだけで構成された等価回路に直流電圧を供給している状態で測定されるべき電流値Iと、直流電圧の供給開始時点tsからの経過時間tとの関係は、次に示す関係式F1で表される。
I(t)=VT(tp/Γ(1−p))・・・関係式F1
なお、上記の関係式F1で、I(t)は経過時間tにおいて測定されるべき電流値、Vは供給している直流電圧の電圧値、TはCPE定数、pはCPE指数、Γはガンマ関数をそれぞれ表している。
I(t)=VT(tp/Γ(1−p))・・・関係式F1
なお、上記の関係式F1で、I(t)は経過時間tにおいて測定されるべき電流値、Vは供給している直流電圧の電圧値、TはCPE定数、pはCPE指数、Γはガンマ関数をそれぞれ表している。
この場合、上記の関係式F1に含まれるCPE定数TおよびCPE指数pは、測定対象100の物性が反映されるCPEの特性に応じて変わる未知数である。このため、測定対象100に直流電圧を供給し、互いに異なる複数の経過時間tが経過した各時点における電流値Iの測定値(以下、「実測値Im」ともいう)および電圧値Vの測定値(供給している直流電圧の電圧値Vが既知の一定の電圧値Vのときには、その既知の電圧値Vでもよい)を関係式F1に代入することによって測定対象100に対応するCPE定数TおよびCPE指数pを求め、求めたCPE定数TおよびCPE指数pを含む関係式F1を算出式Fcとして特定することができる。
発明者らは、上記の関係式F1から特定した算出式Fcによって表される電流値Iの時間変化を示す曲線Cと、実測値Imとを比較する検証実験を行った。その結果、図3に示すように、実測値Im(同図に点で示す値)が曲線Cで示される値と一致またはほぼ一致することが明らかとなった。このことから、少なくとも1つのCPEを含む等価回路に電圧値Vの直流電圧を供給したときの、直流電圧の供給開始時点tsからの経過時間tと電流値Iとの関係を示す関係式F1から特定した算出式Fcに経過時間tを代入することで、供給開始時点tsからその経過時間tが経過した経過時点tpにおける電流値Iを正確(または、ほぼ正確)に算出できることが明らかとなった(以下、算出式Fcを用いて算出した電流値Iを「算出値Ic」ともいう)。
また、発明者らは、関係式F1に含まれるCPE定数TおよびCPE指数pを求める際に関係式F1に代入する実測値Imの測定時点として好ましい時間帯を特定する検証実験を行った。この検証実験では、実測値Imの測定時点が含まれる時間帯の始期および終期を変更して、25種類の時間帯を設定し、各時間帯において測定した実測値Imを関係式F1に代入して求めたCPE定数TおよびCPE指数pを含む算出式Fcをそれぞれ特定した。また、直流電圧の供給開始時点tsからの経過時間tとしての60秒を各算出式Fcに代入して算出した供給開始時点tsから60秒が経過した経過時点tpにおける電流値I(算出値Ic)をそれぞれ算出し、経過時点tpにおける実測値Imと算出値Icとの誤差を算出した。この結果を図4に示す。なお、同図では、上記した実測値Imと算出値Icとの誤差を算出する工程を時間帯毎に複数回行い、時間帯毎の各誤差のRMS(二乗平均平方根)を図示している。
図4に示す検証実験の結果から、時間帯の始期が早いほど誤差が大きいことが明らかである。この原因としては、直流電圧の供給開始直後に発生する変位電流や吸収電流などの影響が考えられる。また、同図に示す検証実験の結果から、時間帯が長いほど(時間帯の終期が遅いほど)誤差が小さいことが明らかである。この場合、時間帯が長い、つまり時間帯の終期が遅いときには、指定された経過時間tが経過する経過時点tpよりも前に算出式Fcを特定すると共に、経過時点tpよりも前に(経過時点tpに達する以前に)、経過時点tpにおける電流値Iをその算出式Fc用いて算出するという算出式Fcの利用形態における効果が低下する。
この検査装置1では、この検証実験の結果から、実測値Imと算出値Icとの誤差の許容範囲を例えば5%と想定して、直流電圧の供給開始時点tsから5秒が経過した時点を始期とし、供給開始時点tsから20秒が経過した時点を終期とする時間帯で測定した実測値Imを用いている。この時間帯で測定した実測値Imを用いることで、例えば、直流電圧の供給開始時点tsから指定された経過時間tとしての60秒が経過する経過時点tpにおける電流値Iに基づいて測定した抵抗値を測定対象100の抵抗値とすることが規定されている測定規格に準じた測定を行う際に、経過時点tpよりも十分に前の時点で算出式Fcを特定し、その算出式Fcを用いて誤差が許容範囲内の算出値Icを経過時点tpよりも前に算出することが可能となる。
この検査装置1では、このような実証実験から見いだされた事象に基づき、処理部6が上記した特定処理を実行する。具体的には、処理部6は、まず、記憶部5に予め記憶されている上記した関係式F1を記憶部5から読み出す。続いて、処理部6は、直流電圧の供給開始時点tsから5秒(予め規定された規定時間の一例)が経過した時点を始期とし、供給開始時点tsから20秒を経過した時点(供給開始時点tsから60秒(指定された経過時間t)が経過する経過時点tpよりも前の時点の一例)を終期とする時間帯において測定部2によって測定された複数の実測値Imおよび電圧値Vの測定値を関係式F1に代入して、関係式F1に含まれるCPE定数TおよびCPE指数pを求める。この場合、関係式F1に含まれる未知数としてのCPE定数TおよびCPE指数pが2つだけであるため、この時間帯における2つの時点(一例として、この時間帯の始期の時点および終期の時点)において測定された実測値Imおよび電圧値Vの測定値を関係式F1に代入してCPE定数TおよびCPE指数pを求めることができる。なお、3つ以上の時点において測定された実測値Imおよび電圧値Vの測定値を関係式F1に代入して求めた複数のCPE定数Tおよび複数のCPE指数pをそれぞれ数値処理して得た値(例えば、平均値)をCPE定数TおよびCPE指数pとすることもできる。
次いで、処理部6は、求めたCPE定数TおよびCPE指数pを含む関係式F1を算出式Fcとして特定し、その算出式Fcを記憶部5に記憶させる。以上により、特定処理が終了する。続いて、処理部6は、予め指定された経過時間tとしての60秒を算出式Fcに代入して供給開始時点tsから60秒が経過した経過時点tpにおける電流値I(算出値Ic)を算出する。
次いで、処理部6は、算出した算出値Icと測定部2の電圧測定部22によって測定された電圧値Vとに基づいて抵抗値Rを算出する。この場合、この検査装置1では、経過時点tpよりも前の時点で測定された実測値Imに基づいて算出式Fcが特定されるため、算出式Fcを用いて経過時点tpよりも前に経過時点tpにおける算出値Icを算出することができ、その算出値Icに基づいて経過時点tpよりも前に測定対象100の抵抗値Rを算出することができる。このため、この検査装置1では、予め指定された経過時間tが長い場合であっても、直流電圧の供給開始時点tsから抵抗値Rを算出するまでに要する時間を十分に短縮して、抵抗値Rの測定効率を十分に向上させることが可能となっている。
続いて、処理部6は、記憶部5に予め記憶されている抵抗値Rについての基準値Rrを記憶部5から読み出し、抵抗値Rと基準値Rrとを比較して測定対象100の良否(絶縁性の良否)を検査する。この場合、処理部6は、抵抗値Rが基準値Rr以上のときには、測定対象100の絶縁性を良好と判定し、抵抗値Rが基準値Rr未満のときには、測定対象100の絶縁性を不良と判定する。
次いで、処理部6は、算出値Ic、抵抗値Rおよび測定対象100の検査結果(測定対象100についての絶縁性の良否判定の結果)を表示部4に表示させる。以上により、測定対象100の検査が終了する。この場合、この検査装置1では、上記したように、直流電圧の供給開始時点tsから抵抗値Rを算出するまでに要する時間を十分に短縮することが可能となっている。このため、この検査装置1によれば、抵抗値Rに基づく測定対象100の検査に要する時間を十分に短縮して、検査の効率を十分に向上させることが可能となっている。続いて、他の測定対象100を検査するときには、上記した各工程を繰り返して実行する。
このように、この処理装置、測定装置、検査装置1および処理方法では、CPEを含む等価回路に直流電圧を供給したときの電流値Iと経過時間tとの関係を示す関係式F1に含まれるCPE定数TおよびCPE指数pを、直流電圧の供給開始時点tsと指定された経過時間tが経過する経過時点tpよりも前の時点との間における複数の時点で測定された電流値Iの各実測値Imに基づいて求め、求めたCPE定数TおよびCPE指数pを含む関係式F1を、経過時点tpにおける電流値Iを算出可能な算出式Fcとして特定する特定処理を実行する。このため、この処理装置、測定装置、検査装置1および処理方法によれば、経過時点tpにおける電流値Iの算出値Icを、経過時点tpよりも前に算出式Fcを用いて算出することができ、その算出値Icに基づいて測定対象100の抵抗値Rを算出することができる。したがって、この処理装置、測定装置、検査装置1および処理方法によれば、指定された経過時間tが長い場合であっても、直流電圧の供給開始時点tsから抵抗値Rを算出するまでに要する時間を十分に短縮して、抵抗値Rの測定効率を十分に向上させることができる。
また、この処理装置、測定装置、検査装置1および処理方法では、1つのCPEだけで構成された等価回路についての関係式F1を用いて特定処理を実行する。この場合、例えば、複数のCPEを有する等価回路についての関係式は、関係式に含まれる未知数の数(種類)が多くなるため、数多くの未知数を求めるために数多くの実測値Imが必要となる。これに対して、この処理装置、測定装置、検査装置1および処理方法では、関係式F1に含まれる未知数が少ないため(上記の例では2つ)、少ない数(上記の例では最低2つ)の実測値Imで未知数を求めることができる。この結果、この処理装置、測定装置、検査装置1および処理方法によれば、算出式Fcを特定する特定処理の処理効率を十分に向上させることができる。
また、この処理装置、測定装置、検査装置1および処理方法では、直流電圧の供給開始時点tsから予め規定された規定時間が経過した時点と指定された経過時間tが経過する経過時点tpよりも前の時点との間における複数の時点で測定された電流値Iの各実測値Imに基づいてCPE定数TおよびCPE指数pを求める。この場合、直流電圧の供給開始直後には、変位電流や吸収電流が発生してこれらの影響によって算出値Icを正確に算出可能な(実測値Imとの誤差が少ない算出値Icを算出可能な)算出式Fcの特定が困難となるおそれがある。これに対して、この処理装置、測定装置、検査装置1および処理方法によれば、供給開始時点tsから予め規定された規定時間が経過した時点以後の時点で測定された各実測値Imに基づいてCPE定数TおよびCPE指数pを求めることにより、直流電圧の供給開始直後に発生する変位電流や吸収電流の影響を低く抑えることができるため、算出値Icを正確に算出可能な算出式Fcを特定することができる。
なお、処理装置、測定装置、検査装置1および処理方法、上記の構成および方法に限定されない。例えば、1つのCPEだけで構成された等価回路についての電流値Iと経過時間tとの関係を示す関係式F1を用いて算出式Fcを特定する例について上記したが、図5に示すように、1つのCPEと1つの抵抗とを並列に接続した等価回路についての電流値Iと経過時間tとの関係を示す関係式(後述する関係式F2)を用いて算出式Fcを特定する構成および方法を採用することもできる。この場合、この等価回路に直流電圧を供給している状態で測定されるべき電流値Iと、直流電圧の供給開始時点tsからの経過時間tとの関係は、次に示す関係式F2で表される。
I(t)=V(T(tp/Γ(1−p))+1/R)・・・関係式F2
なお、上記の関係式F2で、I(t)は経過時間tにおいて測定されるべき電流値I、Vは供給している直流電圧の電圧値V、TはCPE定数、pはCPE指数、Γはガンマ関数、Rは等価回路における抵抗の抵抗値をそれぞれ表している。
I(t)=V(T(tp/Γ(1−p))+1/R)・・・関係式F2
なお、上記の関係式F2で、I(t)は経過時間tにおいて測定されるべき電流値I、Vは供給している直流電圧の電圧値V、TはCPE定数、pはCPE指数、Γはガンマ関数、Rは等価回路における抵抗の抵抗値をそれぞれ表している。
発明者らは、上記の関係式F2から特定した算出式Fcによって表される電流値Iの時間変化を示す曲線Cと、実測値Imとを比較する検証実験を行った。その結果、実測値Imが曲線Cで示される値と一致またはほぼ一致することが明らかとなった。このことから、1つのCPEと1つの抵抗とを並列に接続した等価回路に直流電圧を供給したときの、直流電圧の供給開始時点tsからの経過時間tと電流値Iとの関係を示す関係式F2から特定した算出式Fcに経過時間tを代入することで、その経過時間tにおける電流値I(算出値Ic)を正確(または、ほぼ正確)に算出できることが明らかとなった。
上記の関係式F2を用いて算出式Fcを特定する構成および方法では、測定対象100についての漏れ電流に対応する抵抗のパラメータ(R)が関係式F2に含まれているため、漏れ電流の影響が無視できない測定対象100についての電流値Iを正確に算出可能な(実測値Imとの誤差が少ない算出値Icを算出可能な)算出式Fcを特定することができる。
また、複数のCPEを有する等価回路についての電流値Iと経過時間tとの関係を示す関係式を用いて算出式Fcを特定する構成および方法や、複数のCPEおよび複数の抵抗を有する等価回路についての電流値Iと経過時間tとの関係を示す関係式を用いて算出式Fcを特定する構成および方法を採用することもできる。
また、処理装置および測定装置が組み込まれた検査装置1を例に挙げて説明したが、処理装置を単独で構成したり、測定装置を単独で構成したりすることもできる。
1 検査装置
2 測定部
6 処理部
100 測定対象
F1,F2 関係式
Fc 算出式
I 電流値
Im 実測値
p CPE指数
R 抵抗値
Rr 規定値
T CPE定数
t 経過時間
tp 経過時点
ts 供給開始時点
2 測定部
6 処理部
100 測定対象
F1,F2 関係式
Fc 算出式
I 電流値
Im 実測値
p CPE指数
R 抵抗値
Rr 規定値
T CPE定数
t 経過時間
tp 経過時点
ts 供給開始時点
Claims (7)
- 測定対象に対して測定用信号の供給を開始した供給開始時点から予め指定された経過時間が経過した経過時点において測定されるべき物理量を、当該経過時間の代入によって算出可能な算出式を特定する特定処理を実行する処理部を備え、
前記処理部は、前記特定処理において、少なくとも1つのCPE(constant phase element)を含む等価回路に前記測定用信号を供給したときの前記物理量と前記経過時間との関係を示す関係式に含まれる未知数としてのCPE定数およびCPE指数を、前記供給開始時点と前記経過時点よりも前の時点との間における複数の時点で測定された前記物理量の各測定値に基づいて求め、当該求めたCPE定数およびCPE指数を含む前記関係式を前記算出式として特定する処理装置。 - 前記処理部は、1つの前記CPEだけで構成された前記等価回路についての前記関係式を用いて前記特定処理を実行する請求項1記載の処理装置。
- 前記処理部は、1つの前記CPEと当該CPEに並列に接続された1つの抵抗で構成された前記等価回路についての前記関係式を用いて前記特定処理を実行する請求項1記載の処理装置。
- 前記処理部は、前記特定処理において、前記供給開始時点から予め規定された規定時間が経過した時点と前記経過時点よりも前の時点との間における複数の時点で測定された前記各測定値に基づいて前記CPE定数およびCPE指数を求める請求項1または2記載の処理装置。
- 請求項1から4のいずれかに記載の処理装置と、前記物理量を測定する測定部と、前記特定処理によって特定された前記算出式を用いて前記経過時点における前記物理量を算出すると共に当該物理量に基づいて前記測定対象の抵抗値を算出する算出部とを備えている測定装置。
- 請求項5記載の測定装置と、前記算出部によって算出された前記抵抗値および当該抵抗値の基準値に基づいて前記測定対象の良否を検査する検査部とを備えている検査装置。
- 測定対象に対して測定用信号の供給を開始した供給開始時点から予め指定された経過時間が経過した経過時点において測定されるべき物理量を、当該経過時間の代入によって算出可能な算出式を特定する特定処理を実行する処理方法であって、
前記特定処理において、少なくとも1つのCPE(constant phase element)を含む等価回路に前記測定用信号を供給したときの前記物理量と前記経過時間との関係を示す関係式に含まれる未知数としてのCPE定数およびCPE指数を、前記供給開始時点と前記経過時点よりも前の時点との間における複数の時点で測定された前記物理量の各測定値に基づいて求め、当該求めたCPE定数およびCPE指数を含む前記関係式を前記算出式として特定する処理方法。
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