JP2020016000A - 積層不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリエステル系樹脂および共重合ポリエステル系樹脂からなる繊維から構成され、耐水性と柔軟性に優れている積層不織布を提供する。【解決手段】ポリエステル系樹脂(A)からなる繊維で構成されるメルトブロー不織布層が内層を形成し、ポリエチレンテレフタラートにポリエチレングリコールを共重合した共重合ポリエステル系樹脂(B)からなる繊維で構成されるスパンボンド不織布層が表層に積層されてなる、積層不織布である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル系繊維からなるメルトブロー層および共重合ポリエステル系繊維からなるスパンボンド層から構成され、耐水性と柔軟性に優れる積層不織布に関するものである。
紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料用の不織布は、一般的に、透水性を有し肌に直接触れるトップシート、吸収体、サイドギャザー、ウエストギャザー、およびバックシート等から構成されている。これらの中で、ウエストギャザーは、耐水性や、直接肌に触れる部分であることから肌触り性や柔軟性が求められる素材である。ウエストギャザーに用いられる不織布は、従来からスパンボンド不織布とメルトブロー不織布を積層した積層不織布が多く使用されている。その原料としては、ポリエステル系やポリオレフィン系等様々な樹脂が用いられるが、ポリエステル系樹脂は、特に衛材用途において、硬く風合いに劣るという課題があった。そこで近年では、共重合ポリエステル系樹脂の積層不織布への利用が検討されている。
共重合ポリエステル系樹脂を不織布へ適用した発明としては、例えば、ポリアルキレングリコールを共重合した熱可塑吸水性樹脂を含む繊維から構成される不織布が提案されている(特許文献1参照)。
また、共重合ポリエステル系樹脂の積層不織布への利用としては、例えば、ポリテトラメチレンテレフタラートとポリアルキレングリコールの共重合樹脂からなるメルトブロー不織布層の両面に、熱可塑性疎水性繊維からなるスパンボンド不織布層を積層した積層不織布が提案されている(特許文献2参照)。
さらに、熱可塑性樹脂からなる不織布の両面に、より高融点の熱可塑性樹脂からなる不織布を積層して点熱圧着された積層不織布が提案されている(特許文献3参照)。
特開2006−299424号公報 特開2008−78524号公報 特開2001−303421号公報
特許文献1には、スパンボンド法において共重合ポリエステル系樹脂を用いることが開示されているが、実施例に例示された共重合ポリエステル系樹脂はポリテトラメチレンテレフタラートにポリエチレングリコールを45質量%共重合させた樹脂のみであり、該樹脂を含む繊維は吸水性が高すぎるため不織布としたときにべたつきのある触感となり、風合いに劣るという課題があった。
また、特許文献2に開示された方法では、メルトブロー不織布層の両面にスパンボンド不織布層を積層することで耐水性が付与されているものの、積層不織布の表層が熱可塑性疎水性繊維であり、実施例に例示された熱可塑性疎水性繊維はポリエチレンテレフタラートからなる繊維のみであるため、触感がごわごわと硬く柔軟性に劣るという課題があった。
さらに、特許文献3に開示された方法では、内層に低融点樹脂からなる不織布を用いているため、点熱圧着時にシート内層が過剰に熱接着され、シートの曲げ剛性が高く柔軟性に劣るという課題があった。
そこで本発明の目的は、上記の課題に鑑み、優れた耐水性と柔軟性を有する積層不織布を提供することにある。
本発明の不織布は、ポリエステル系樹脂(A)からなる繊維で構成されるメルトブロー不織布層が内層を形成し、ポリエチレンテレフタラートにポリエチレングリコールを共重合した共重合ポリエステル系樹脂(B)からなる繊維で構成されるスパンボンド不織布層が表層に積層されてなる、積層不織布である。
本発明の好ましい態様によれば、積層不織布のΔMRが0.5%以上15%以下である。
本発明の好ましい態様によれば、共重合ポリエステル系樹脂(B)のポリエチレングリコール共重合量が2質量%以上40質量%以下である。
本発明によれば、メルトブロー不織布を内層に含み、共重合ポリエステル系樹脂からなるスパンボンド不織布層を表層に積層させており、優れた耐水性と柔軟性を有する積層不織布が得られる。これらの特性から、本発明の積層不織布は、衛生材料用途、中でもウエストギャザーやバックシート用途等に好適に用いることができる。
本発明の不織布は、ポリエステル系樹脂(A)からなる繊維で構成されるメルトブロー不織布層が内層を形成し、ポリエチレンテレフタラートにポリエチレングリコールを共重合した共重合ポリエステル系樹脂(B)からなる繊維で構成されるスパンボンド不織布層が表層に積層されてなる、積層不織布である。以下に、本発明の積層不織布について詳細に説明する。
[メルトブロー層]
本発明で用いられるポリエステル系樹脂(A)としては、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリ乳酸などが挙げられるが、特にポリエチレンテレフタラートであることが好ましい態様である。ポリエチレンテレフタラートを用いることで、高い紡糸速度で延伸することができるため、配向結晶化が進みやすく機械強度を併せ持つ繊維とすることができる。
また、本発明で用いられるポリエステル系樹脂(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で、共重合成分を含有させることができる。共重合成分としては、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール等が挙げられるが、特に優れた柔軟性と触感を有する点で、ポリエチレングリコールであることが好ましい。
また、本発明で用いられるポリエステル系樹脂(A)に共重合成分を含有させるときの含有ポリエチレングリコールの共重合量は、2質量%以上40質量%以下であることが好ましい。ポリエチレングリコールの共重合量を2質量%以上、より好ましくは4質量%以上とすることにより優れた柔軟性と触感を有する不織布を得ることができる。また、ポリエチレングリコールの共重合量を40質量%以下、より好ましくは20質量%以下とすることにより、実用に耐え得る耐熱性と高い機械強度の繊維とすることができる。
なお、本発明に係るメルトブロー不織布層を構成する繊維のポリエステル樹脂に含有する共重合成分の含有量は、以下の方法で測定、算出される値を指すこととする。
(1)積層不織布の非圧着部からメルトブロー不織布層を約0.05g採取し、アンモニア水1mLを加え、120℃で5時間加熱し試料を溶解する。
(2)放冷後、精製水1ml、6mol/l塩酸1.5mlを加え、精製水で5ml定容して遠心分離後、孔径が0.45μmのフィルターにて濾過する。
(3)GPCにて濾液の分子量分布を測定し、既知の分子量の標準試料を用いて作成した分子量の検量線を用いてポリエチレングリコールの数平均分子量を算出する。
(4)ポリエチレングリコール水溶液にて作成した溶液濃度の検量線を用いてポリエチレングリコールを定量し、ポリエステル系樹脂(A)中のポリエチレングリコールの共重合量を算出する。
本発明で用いられるポリエステル系樹脂(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で、着色のための顔料、酸化防止剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、および耐熱安定剤等を添加することができる。
本発明で用いられるポリエステル系樹脂(A)の融点は、200℃以上300℃以下であることが好ましく、より好ましくは220℃以上280℃以下である。融点を好ましくは200℃以上、より好ましくは220℃以上とすることにより、実用に耐え得る耐熱性が得られやすくなる。また、融点を好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下とすることにより、口金から吐出された糸条を冷却し易くなり、安定した紡糸が行いやすくなる。
本発明におけるポリエステル系樹脂(A)の融点は、示差走査熱量計に約2mgの樹脂をセットし、窒素下、昇温速度16℃/分の条件で3回測定を行い、得られた吸熱ピークのピークトップ温度より求める値の算術平均値を指すこととする。
本発明のメルトブロー不織布層を構成するポリエステル系樹脂(A)からなる繊維の平均単繊維径は、0.1μm以上6μm以下であることが好ましい。メルトブロー不織布層を構成するポリエステル系樹脂(A)からなる繊維の平均単繊維径を、好ましくは0.1μm以上とし、より好ましくは0.5μm以上とし、さらに好ましくは1μm以上とすることにより、製造過程においてポリマーを引き伸ばして細化する際に、繊維が切れてショット(ポリマー塊状物)が発生し、手触りがざらついたものになることを防ぐことができ、また衛生材料用として十分な通気性を確保することができる。また、前記の繊維の平均単繊維径を好ましくは6μm以下とし、より好ましくは4μm以下とし、さらに好ましくは3μm以下とすることにより、積層不織布の地合を均一化するとともに、不織布の耐水性を向上させ、衛生材料用として、特にウエストギャザー用途に要求されるレベルの耐水性を付与することができる。
本発明におけるポリエステル系樹脂(A)からなる繊維の平均単繊維径(μm)は、捕集ネット上に捕集したメルトブロー繊維ウェブから、ランダムに小片サンプル10個を採取し、マイクロスコープで500〜2000倍の表面写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維の幅を測定し、その平均値を指すこととする。
[スパンボンド不織布層]
本発明で用いられる共重合ポリエステル系樹脂(B)としては、ポリエチレングリコール共重合ポリエチレンテレフタラートであることが重要である。ポリエチレングリコール共重合ポリエチレンテレフタラートを用いることで優れた柔軟性と触感を有し、また高い紡糸速度で延伸することができるため配向結晶化が進みやすく機械強度を併せ持つ繊維とすることができる。
本発明で用いられる共重合ポリエステル系樹脂(B)の含有ポリエチレングリコールの数平均分子量は、4000以上30000以下であることが好ましい。ポリエチレングリコールの数平均分子量を4000以上、より好ましくは5000以上とすることで共重合ポリエステル系樹脂に吸湿性を付与することができ、良好な触感の不織布を得ることができる。またポリエチレングリコールの数平均分子量を30000以下、より好ましくは25000以下とすることで、共重合ポリエステル系樹脂としたときに優れた製糸性を有するために欠点の少ないスパンボンド不織布層となる。
本発明で用いられる共重合ポリエステル系樹脂(B)の含有ポリエチレングリコールの共重合量は、2質量%以上40質量%以下であることが好ましい。ポリエチレングリコールの共重合量を2質量%以上、より好ましくは4質量%以上とすることにより優れた柔軟性と触感を有する不織布を得ることができる。また、ポリエチレングリコールの共重合量を40質量%以下、より好ましくは20質量%以下とすることにより、実用に耐え得る耐熱性と高い機械強度の繊維とすることができる。
本発明における共重合ポリエステル系樹脂(B)の含有ポリエチレングリコールの数平均分子量および共重合量とは、以下の方法で測定、算出される値を指すこととする。
(1)共重合ポリエステル系樹脂(B)約0.05gを採取し、アンモニア水1mLを加え、120℃で5時間加熱し試料を溶解する。
(2)放冷後、精製水1ml、6mol/l塩酸1.5mlを加え、精製水で5ml定容して遠心分離後、孔径が0.45μmのフィルターにて濾過する。
(3)GPCにて濾液の分子量分布を測定し、既知の分子量の標準試料を用いて作成した分子量の検量線を用いてポリエチレングリコールの数平均分子量を算出する。
(4)ポリエチレングリコール水溶液にて作成した溶液濃度の検量線を用いてポリエチレングリコールを定量し、共重合ポリエステル系樹脂(B)中のポリエチレングリコールの共重合量を算出する。
本発明で用いられる共重合ポリエステル系樹脂(B)には、本発明の効果を損なわない範囲で、着色のための顔料、酸化防止剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、および耐熱安定剤等を添加することができる。
本発明で用いられる共重合ポリエステル系樹脂(B)の融点は、200℃以上300℃以下であることが好ましく、より好ましくは220℃以上280℃以下である。融点を好ましくは200℃以上、より好ましくは220℃以上とすることにより、実用に耐え得る耐熱性が得られやすくなる。また、融点を好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下とすることにより、口金から吐出された糸条を冷却し易くなり、繊維同士の融着を抑制し、安定した紡糸が行いやすくなる。
本発明における共重合ポリエステル系樹脂(B)の融点は、示差走査熱量計に約2mgの樹脂をセットし、窒素下、昇温速度16℃/分の条件で測定を3回行い、得られた吸熱ピークのピークトップ温度より求める値を指すこととする。
本発明の共重合ポリエステル系樹脂(B)の製造方法は、公知のエステル交換法やエステル化法等の重合方法によって製造される。エステル交換法ではテレフタル酸のエステル形成誘導体とエチレングリコールを反応容器内に仕込み、エステル交換触媒の存在下150℃〜250℃で反応させた後、安定剤、重縮合触媒等を添加し、500Pa以下の減圧下で250℃〜300℃に加熱し、3〜5時間反応させることによって得ることができる。
また、エステル化法ではテレフタル酸、エチレングリコールを反応容器に仕込み窒素加圧下150℃〜270℃でエステル化反応を行い、エステル化反応終了後、安定剤、重縮合触媒等を添加し500Pa以下の減圧下で250℃〜300℃に加熱し、3〜5時間反応させることによって得ることができる。
本発明の共重合ポリエステル系樹脂(B)の製造方法においてポリエチレングリコールの添加時期は特に限定されず、エステル化反応やエステル交換反応前に他の原料とともに添加してもよく、また、エステル化反応やエステル交換反応が終了後、重縮合反応が始まる前までに添加すればよい。
本発明の共重合ポリエステル系樹脂(B)の製造方法ではエステル交換触媒として、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム、チタンテトラブトキシド等が挙げられ、重縮合用触媒としては、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム、チタンテトラブトキシド等が挙げられる。
本発明のスパンボンド不織布層を構成する共重合ポリエステル系樹脂(B)からなる繊維の平均単繊維径は、10μm以上16μm以下であることが好ましく、より好ましくは11μm以上15μm以下である。平均単繊維径を16μm以下にすることにより、共重合ポリエステル系繊維から得られるスパンボンド不織布層の表面に触れたときの触感が滑らかとなる。加えて、平均単繊維径が細いことによる断面2次モーメントの低下も発現することにより、柔軟性がさらに向上する。一方、平均単繊維径が10μm未満の場合には、後加工時の加工性が低下するため欠点数が多くなる。
本発明における共重合ポリエステル系樹脂(B)からなる繊維の平均単繊維径(μm)は、ネット上に捕集したスパンボンド繊維ウェブから、ランダムに小片サンプル10個を採取し、マイクロスコープで500〜1000倍の表面写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維の幅を測定し、その平均値を指すこととする。
本発明のスパンボンド不織布層を構成する繊維は、共重合ポリエステル系樹脂(B)を少なくとも一成分に使用した複合型繊維とすることもできる。複合型繊維の複合形態としては、例えば、同心芯鞘型、偏心芯鞘型および海島型などの複合形態を挙げることができる。
[積層不織布]
本発明の積層不織布は、スパンボンド層とメルトブロー層とを積層させてなることが重要である。このような構成とすることにより、衛生材料用の積層不織布として、特にウエストギャザー用途に要求されるレベルの耐水性を付与することができる。
本発明の積層不織布の目付は、10g/m以上100g/m以下とすることが好ましい。目付を好ましくは10g/m以上、より好ましくは13g/m以上、さらに好ましくは15g/m以上とすることにより、実用に供し得る機械的強度の積層不織布を得ることができる。一方、目付を好ましくは100g/m以下、より好ましくは50g/m以下、さらに好ましくは35g/m以下とすることにより、衛生材料用の不織布としての使用に適した適度な柔軟性を有する積層不織布とすることができる。
本発明における積層不織布の目付(g/m)とは、JIS L1913:2010の6.2「単位面積当たりの質量」に基づき、20cm×25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、その平均値から算出する1m当たりの質量を指すこととする。
本発明の積層不織布のΔMRは、0.5%以上15%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以上7%以下である。共重合ポリエステル系樹脂を用いた積層不織布の柔軟性を向上させるため、本発明者らは鋭意検討の結果、従来は繊維の吸放湿性の指標として用いられるパラメータであるΔMRと、積層不織布の触感に高い相関があることを見出した。ΔMRを0.5%以上、より好ましくは2%以上とすることにより、そのメカニズムは明らかでないものの、積層不織布の表面が適度に吸湿した状態となり、表面に触れたときに滑らかさとしっとり感を併せ持つ良好な触感となる。また、ΔMRを15%以下、より好ましくは7%以下とすることで、積層不織布の柔軟性を向上させながら表面がべたつくことなく良好な触感とすることができる。また、ΔMRを前記範囲とした場合、積層不織布の高速生産に適した滑り性と柔軟性を有することができ、優れた高次加工性を有する積層不織布となる。ΔMRは、ポリエステル成分の種類や、含有ポリエチレングリコールの数平均分子量、および共重合量によって調整することができる。
本発明における積層不織布のΔMR(%)とは、以下の方法で測定、算出される値を指すこととする。
(1)測定試料3gを凍結粉砕し、乾燥温度110℃で24時間、真空乾燥してその絶乾質量(W)を測定する。
(2)上記試料を20℃×65%R.H.の状態に調湿された恒温恒湿機中に24時間放置し、平衡状態となった試料の質量(W20)を測定する。
(3)次いで、恒温恒湿機の設定を30℃×90%R.H.に変更し、更に24時間放置後の質量(W30)測定し、次の式に基づき算出する。
・ΔMR=(W30−W20)/W(%)。
本発明の積層不織布の単位目付当たりの剛軟度は、3.0mm/(g/m)以下であることが好ましい。単位目付当たりの剛軟度が、好ましくは3.0mm/(g/m)以下、より好ましくは2.8mm/(g/m)以下、さらに好ましくは2.4mm/(g/m)以下であることにより、特に衛生材料用の不織布として用いる場合に、優れた柔軟性を得ることができる。単位目付当たりの剛軟度の下限については、あまりに低い単位目付当たりの剛軟度になると不織布の取り扱い性に劣る場合があるため、1.0mm/(g/m)以上であることが好ましい。
本発明における単位目付当たりの剛軟度は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の6.7.3「41.5°カンチレバー法」に準拠して、以下の方法で測定、算出される値を指すこととする。
(1)幅25mm×150mmの試験片を5枚採取し、45°の斜面をもつ水平台の上に試験片の短辺をスケール基線に合わせて置く。
(2)手動により試験片を斜面の方向に滑らせて、試験片の一端の中央点が斜面と接したとき、他端の位置の移動長さをスケールによって読み、その値を剛軟度とする。
(3)たて方向及びよこ方向それぞれ5枚の試験片の裏表について測定し、たて方向及びよこ方向それぞれの剛軟度の平均値を算出して、次の式に基づき、上記積層不織布の目付(g/m)を用いて算出する。
Figure 2020016000
本発明の積層不織布は、単位目付当たりの耐水圧が10mmHO/(g/m)以上であることが好ましい。単位目付当たりの耐水圧を10mmHO/(g/m)以上、より好ましくは12mmHO/(g/m)以上とすることにより、実用に耐えうる耐水性を維持しつつ、柔軟性に優れる積層不織布とすることができる。耐水圧の上限について特に制限はないが、不織布構造を維持したまま達成できる上限は、せいぜい30mmHO/(g/m)である。
本発明の積層不織布の耐水圧は、JIS L1092:2009「繊維製品の防水性試験方法」の7.1.1「A法(低水圧法)」に準じ、以下の方法で測定する値を指すこととする。
(1)積層不織布から幅150mm×150mmの試験片を、積層不織布の幅方向等間隔に5枚採取する。
(2)試験片を測定装置のクランプ(試験片の水に当たる部分が100cmの大きさのもの)にセットする。
(3)水を入れた水準装置を600mm/min±30mm/minの速さで水位を上昇させ、試験片の裏側に3か所から水が出たときの水位をmm単位で測定する。
(4)上記の測定を5枚の試験片で行い、その平均値を積層不織布の耐水圧とする。
[積層不織布の製造方法]
次に、本発明の積層不織布の製造方法について、具体例に説明する。
本発明の積層不織布に用いられるスパンボンド不織布層を製造するためのスパンボンド法は、樹脂を溶融し、紡糸口金から紡糸した後、冷却固化して得られた糸条に対し、エジェクターで牽引し延伸して、移動するネット上に捕集して不織布層を形成した後、熱接着する工程を要する製造方法である。
用いられる紡糸口金やエジェクターの形状としては、丸形や矩形等種々のものを採用することができる。なかでも、圧縮エアの使用量が比較的少なく、糸条同士の融着や擦過が起こりにくいという観点から、矩形口金と矩形エジェクターの組み合わせを用いることが好ましい態様である。
本発明において、共重合ポリエステル系樹脂(B)を真空乾燥した後、共重合ポリエステル系樹脂(B)を溶融し紡糸する際の紡糸温度は、240℃以上320℃以下であることが好ましく、より好ましくは250℃以上310℃以下であり、さらに好ましくは260℃以上300℃以下である。紡糸温度を上記範囲内とすることにより、安定した溶融状態とし、優れた紡糸安定性を得ることができる。
共重合ポリエステル系樹脂(B)を押出機において溶融し計量して、紡糸口金へと供給し、長繊維として紡出する。
紡出された長繊維の糸条は、次に冷却されるが、紡出された糸条を冷却する方法としては、例えば、冷風を強制的に糸条に吹き付ける方法、糸条周りの雰囲気温度で自然冷却する方法、および紡糸口金とエジェクター間の距離を調整する方法等が挙げられ、またはこれらの方法を組み合わせる方法を採用することができる。また、冷却条件は、紡糸口金の単孔あたりの吐出量、紡糸する温度および雰囲気温度等を考慮して適宜調整して採用することができる。
次に、冷却固化された糸条は、エジェクターから噴射される圧縮エアによって牽引され、延伸される。
紡糸速度は、2000m/分以上であることが好ましく、より好ましくは3000m/分以上であり、さらに好ましくは4000m/分以上である。紡糸速度を2000m/分以上とすることにより、高い生産性を有することになり、また繊維の配向結晶化が進み高い強度の長繊維を得ることができる。
本発明における紡糸速度(m/分)とは、以下の方法で測定、算出する値を指すこととする。
(1)前記の共重合ポリエステル系樹脂(B)からなる繊維の平均単繊維径(μm)と、共重合ポリエステル系樹脂(B)の固体密度から、長さ10000m当たりの質量を平均単繊維繊度(dtex)として、小数点以下第二位を四捨五入して算出する。
(2)平均単繊維繊度と、各条件で設定した紡糸口金単孔から吐出される樹脂の吐出量(以下、単孔吐出量と略記する。)(g/分)から、次の式に基づき算出する。
・紡糸速度(m/分)=(10000×[単孔吐出量(g/分)])/[平均単繊維繊度(dtex)]。
続いて、得られた長繊維を、移動するネット上に捕集して不織布層を形成する。本発明においては、高い紡糸速度で延伸するため、エジェクターから出た繊維は、高速の気流で制御された状態でネットに捕集されることとなり、繊維の絡みが少なく均一性の高い不織布層を得ることができる。
本発明では、得られた不織布層に対して、ネット上でその片面から熱フラットロールを当接して仮接着させることも好ましい態様である。このようにすることにより、ネット上を搬送中に不織布層の表層がめくれたり吹き流れたりして地合が悪化することを防ぎ、糸条を捕集してから熱圧着するまでの搬送性を改善することができる。
本発明の積層不織布に用いられるメルトブロー不織布層は、メルトブロー法により製造される長繊維不織布層である。メルトブロー法では、まず溶融した熱可塑性樹脂を紡糸口金から紡出し、糸状に加熱高速ガス流体等を吹き当てて繊維状に細化し、細化された繊維を移動するネット上に捕集して不織布層を形成するものである。得られた不織布層は、繊維同士が自己融着により接着しており、後工程で特別な熱接着を実施しなくてもシート形態を保持することができる。
本発明の積層不織布に用いられるメルトブロー不織布層は、ポリエステル系樹脂(A)を押出機において溶融し、計量して紡糸口金へと供給し、長繊維として紡出する。ポリエステル系樹脂(A)を溶融し紡糸する際の紡糸温度は、250℃以上340℃以下であることが好ましく、より好ましくは260℃以上330℃以下であり、さらに好ましくは280℃以上320℃以下である。紡糸温度を上記範囲内とすることにより、安定した溶融状態とし、優れた紡糸安定性を得ることができる。
また、メルトブロー法により繊維を細化する際の加熱高速ガス流体の温度は、紡糸温度以上(紡糸温度+60℃)以下であることか好ましく、より好ましくは(紡糸温度+10℃)以上(紡糸温度+50℃)以下であり、さらに好ましくは(紡糸温度+20℃)以上(紡糸温度+40℃)以下である。このようにすることにより、紡糸口金から紡出した糸状を効率よく細化することができる。
本発明の積層不織布は、スパンボンド不織布層とメルトブロー不織布層を積層することにより得られる積層不織布である。スパンボンド不織布層とメルトブロー不織布層を積層する方法としては、例えば、上記のとおり捕集ネット上にスパンボンド法による繊維を捕集して得た不織布層の上に、メルトブロー法やスパンボンド法による不織布層をインラインで連続的に捕集し、熱圧着により積層一体化する方法、別々に得たスパンボンド不織布層とメルトブロー不織布層をオフラインで重ね合わせ、熱圧着により積層一体化する方法などを採用することができる。中でも生産性に優れているということから、捕集ネット上にスパンボンド法による繊維を捕集して得た不織布層の上に、メルトブロー法やスパンボンド法による不織布層を連続的に捕集し、熱圧着により積層一体化する方法が好ましい様態である。
また、本発明の積層不織布は、表層にスパンボンド不織布層(S)が配され、かつ内層にメルトブロー不織布層(M)が配されていれば良く、その層の数や組み合わせについては、SMS、SMMS、SSMMS、およびSMSMSなどのように、目的に応じて任意の構成を採用することができる。
本発明の積層不織布を熱圧着により積層一体化する方法としては、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロール、および上下一対のフラット(平滑)ロールの組み合わせからなる熱カレンダーロールなど、各種ロールにより熱接着する方法や、ホーンの超音波振動により熱溶着させる超音波接着などの方法を採用することができる。
中でも、生産性に優れ、部分的な熱接着部で強度を付与し、かつ非接着部で不織布ならではの風合いや肌触りを保持することができることから、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、または片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロールを用いることが好ましい態様である。
熱エンボスロールの表面材質としては、十分な熱圧着効果を得て、かつ片方のエンボスロールの彫刻(凹凸部)が他方のロール表面に転写することを防ぐため、金属製ロールと金属製ロールを対にすることが好ましい態様である。
このような熱エンボスロールによるエンボス接着面積率は、5%以上30%以下であることが好ましい。接着面積を好ましくは5%以上とし、より好ましくは8%以上とし、さらに好ましくは10%以上することにより、積層不織布として実用に供し得る強度を得ることができる。一方、接着面積を好ましくは30%以下とし、より好ましくは25%以下とし、さらに好ましくは20%以下とすることにより、衛生材料用の積層不織布として、特に紙おむつ用途での使用に適した適度な柔軟性を得ることができる。超音波接着を用いる場合でも、接着面積率は上記と同様の範囲であることが好ましい。
ここでいう接着面積率とは、接着部が積層不織布全体に占める割合のことを言う。具体的には、一対の凹凸を有するロールにより熱接着する場合は、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とが重なって不織繊維ウェブに当接する部分(接着部)の積層不織布全体に占める割合のことを言う。また、凹凸を有するロールとフラットロールにより熱接着する場合は、凹凸を有するロールの凸部が不織繊維ウェブに当接する部分(接着部)の積層不織布全体に占める割合のことを言う。また、超音波接着する場合は、超音波加工により熱溶着させる部分(接着部)の積層不織布全体に占める割合のことを言う。
熱エンボスロールや超音波接着による接着部の形状としては、円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、正六角形および正八角形などを用いることができる。また、接着部は、積層不織布の長手方向(搬送方向)と幅方向にそれぞれ一定の間隔で均一に存在していることが好ましい。このようにすることにより、積層不織布の強度のばらつきを低減させることができる。
熱接着時の熱エンボスロールの表面温度は、使用している共重合ポリエステル系樹脂(B)の融点に対し−70℃以上−15℃以下とすることが好ましい態様である。熱ロールの表面温度を共重合ポリエステル系樹脂(B)の融点に対し好ましくは−70℃以上とし、より好ましくは−60℃以上とすることにより、適度に熱接着させ実用に供しうる強度の積層不織布を得ることができる。また、熱エンボスロールの表面温度を共重合ポリエステル系樹脂(B)の融点に対し好ましくは−15℃以下とし、より好ましくは−20℃以下とすることにより、過度な熱接着を抑制し、衛生材料用の積層不織布として、特に紙おむつ用途での使用に適した適度な柔軟性を得ることができる。
熱接着時の熱エンボスロールの線圧は、50N/cm以上500N/cm以下とすることが好ましい。ロールの線圧を好ましくは50N/cm以上とし、より好ましくは100N/cm以上とし、さらに好ましくは150N/cm以上とすることにより、適度に熱接着させ実用に供しうる強度の積層不織布を得ることができる。一方、熱エンボスロールの線圧を好ましくは500N/cm以下とし、より好ましくは400N/cm以下とし、さらに好ましくは300N/cm以下とすることにより、衛生材料用の積層不織布として、特に紙おむつ用途での使用に適した適度な柔軟性を得ることができる。
また、本発明では、積層不織布の厚みを調整することを目的に、上記の熱エンボスロールによる熱接着の前および/あるいは後に、上下一対のフラットロールからなる熱カレンダーロールにより熱圧着を施すことができる。上下一対のフラットロールとは、ロールの表面に凹凸のない金属製ロールや弾性ロールのことであり、金属製ロールと金属製ロールを対にしたり、金属製ロールと弾性ロールを対にしたりして用いることができる。
また、ここで弾性ロールとは、金属製ロールと比較して弾性を有する材質からなるロールのことである。弾性ロールとしては、ペーパー、コットンおよびアラミドペーパー等のいわゆるペーパーロールや、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂および硬質ゴム、およびこれらの混合物からなる樹脂製のロールなどが挙げられる。
次に、実施例に基づき本発明の積層不織布について具体的に説明する。各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(1)ポリエステル系樹脂(A)および共重合ポリエステル系樹脂(B)の融点
ポリエステル系樹脂(A)および共重合ポリエステル系樹脂(B)の融点は、前記の方法に従って、示差走査熱量計(TA Instruments社製「DSCQ2000」)を使用して測定した。
(2)共重合ポリエステル系樹脂中の含有ポリエチレングリコールの数平均分子量および共重合量の測定
共重合ポリエステル系樹脂の含有ポリエチレングリコールの数平均分子量および共重合量は、前記の方法に従って、以下の装置、条件で測定、算出した。
・装置:ゲル浸透クロマトグラフGPC
・検出器:示差屈折率検出器RI(東ソー製RI−8020、感度128x)
・フォトダイオードアレイ検出器(島津製作所製SPD−M20A)
・カラム:TSKgelG3000PWXL(1本)(東ソー)
・溶媒:0.1mol/l塩化ナトリウム水溶液
・流速:0.8mL/min
・カラム温度:40℃
・注入量:0.05mL
・標準試料:ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド。
(3)スパンボンド不織布層を構成する共重合ポリエステル系樹脂(B)からなる繊維の平均単繊維径(μm)
スパンボンド不織布層を構成する共重合ポリエステル系樹脂(B)からなる繊維の平均単繊維径は、前記の方法に従って、マイクロスコープ(オリンパス株式会社製光学顕微鏡「BH2」)を使用して算出した。
(4)スパンボンド不織布層を構成する共重合ポリエステル系樹脂(B)からなる繊維の紡糸速度(m/分)
前記の平均単繊維径と、使用する共重合ポリエステル系樹脂(B)の固体密度から、長さ10,000m当たりの質量を平均単繊維繊度(dtex)として、小数点以下第二位を四捨五入して算出し、平均単繊維繊度と単孔吐出量(g/分)から、次の式に基づき、紡糸速度を算出した。
・紡糸速度(m/分)=(10000×[単孔吐出量(g/分)])/[平均単繊維繊度(dtex)]。
(5)メルトブロー不織布層を構成するポリエステル系樹脂(A)からなる繊維の平均単繊維径(μm)
メルトブロー不織布層を構成するポリエステル系樹脂(A)からなる繊維の平均単繊維径は、前記の方法に従って、マイクロスコープ(オリンパス株式会社製光学顕微鏡「BH2」)を使用して算出した。
(6)積層不織布の目付(g/m
積層不織布の目付は、前記の方法に従って算出した。
(7)単位目付当たりの耐水圧(mmHO)
単位目付当たりの耐水圧は、前記の方法に従って、スイス・テクステスト社 耐水圧試験機「ハイドロテスター」(FX−3000−IV型)を使用して算出した。
(8)ΔMR(%)
ΔMRは、前記の方法に従って、恒温恒湿機(エスペック製LHU−123)を使用して算出した。
(9)単位目付当たりの剛軟度(mm)
単位目付当たりの剛軟度は、前記の方法に従って算出した。
[実施例1]
(スパンボンド不織布層)
共重合ポリエステル系樹脂(B)として、含有ポリエチレングリコールの数平均分子量が5500で、共重合量が12質量%の、共重合ポリエチレンテレフタラートを用い押出機で溶融し、紡糸温度が290℃で、孔径φが0.30mmの矩形口金から、単孔吐出量が0.60g/分で紡出した糸条を、冷却固化した後、矩形エジェクターでエジェクターの圧力を0.30MPaとした圧縮エアによって、牽引、延伸し、移動するネット上に捕集してスパンボンド繊維ウェブを得た。得られたスパンボンド繊維の特性は、平均単繊維径が11.5μmであり、これから換算した紡糸速度は4186m/分であった。
(メルトブロー不織布層)
次に、ポリエステル系樹脂(A)として上記スパンボンド繊維ウェブと同様の樹脂を用い押出機で溶融し、紡糸温度が300℃で、孔径φが0.25mmで、単孔吐出量が0.12g/分で紡出した後、エア温度が320℃で、エア圧力が0.18MPaの条件で噴射し、目付5g/mのメルトブロー繊維ウェブを得た。得られたメルトブロー繊維の特性は、平均単繊維径が1.6μmであった。
(積層不織布)
上記で得られたスパンボンド繊維ウェブ上にメルトブロー繊維ウェブを捕集し、さらにその上にスパンボンド繊維ウェブを捕集することにより、スパンボンド繊維ウェブ−メルトブロー繊維ウェブ−スパンボンド繊維ウェブの積層繊維ウェブを得た。このようにして得られた積層繊維ウェブを、上ロールに金属製で水玉柄の彫刻がなされた接着面積率16%のエンボスロールを用い、下ロールに金属製フラットロールで構成される上下一対の熱エンボスロールを用いて、線圧が300N/cmで、熱接着温度が220℃の温度で熱接着し、目付が35g/mの積層不織布を得た。得られた積層不織布について、ΔMR、剛軟度、および耐水圧を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
(スパンボンド不織布層)
共重合ポリエステル系樹脂(B)として、含有ポリエチレングリコールの共重合量が8質量%の樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法により、スパンボンド繊維ウェブを得た。得られたスパンボンド繊維の特性は、平均単繊維径が11.2μmであり、これから換算した紡糸速度は4413m/分であった。
(メルトブロー不織布層)
実施例1と同じ方法により、メルトブロー繊維ウェブを得た。
(積層不織布)
実施例1と同じ方法により、積層不織布を得た。得られた積層不織布について、ΔMR、剛軟度、および耐水圧を測定した。結果を表1に示す。
[実施例3]
(スパンボンド不織布層)
実施例1と同じ方法により、スパンボンド繊維ウェブを得た。
(メルトブロー不織布層)
ポリエステル系樹脂(A)としてポリエチレンテレフタラートを用いたこと以外は、実施例1と同じ方法でメルトブロー繊維ウェブを得た。得られたメルトブロー繊維の特性は、平均単繊維径が1.6μmであった。
(積層不織布)
実施例1と同じ方法により、積層不織布を得た。得られた積層不織布について、ΔMR、剛軟度、および耐水圧を測定した。結果を表1に示す。
[比較例1]
(スパンボンド不織布層)
共重合ポリエステル系樹脂(B)としてポリエチレンテレフタラートを用いたこと以外は、実施例1と同じ方法により、スパンボンド繊維ウェブを得た。得られたスパンボンド繊維の特性は、平均単繊維径が11.0μmであり、これから換算した紡糸速度は4575m/分であった。
(メルトブロー不織布層)
ポリエステル系樹脂(A)としてポリエチレンテレフタラートを用いたこと以外は、実施例1と同じ方法でメルトブロー繊維ウェブを得た。得られたメルトブロー繊維の特性は、平均単繊維径が1.6μmであった。
(積層不織布)
実施例1と同じ方法により、積層不織布を得た。得られた積層不織布について、ΔMR、剛軟度、および耐水圧を測定した。結果を表1に示す。
[比較例2]
(スパンボンド不織布層)
共重合ポリエステル系樹脂(B)としてメルトフローレート(MFR)が70g/10分のホモポリマーからなるポリプロピレン樹脂を用い、紡糸温度を235℃、単孔吐出量が0.43g/分としたこと以外は、実施例1と同じ方法により、スパンボンド繊維ウェブを得た。得られたスパンボンド繊維の特性は、平均単繊維径が11.7μmであり、これから換算した紡糸速度は4441m/分であった。
(メルトブロー不織布層)
共重合ポリエステル系樹脂(B)として上記スパンボンドウェブと同様のポリプロピレン樹脂を用い、紡糸温度が260℃で、単孔吐出量が0.10g/分、エア温度が290℃としたこと以外は、実施例1と同じ方法でメルトブロー繊維ウェブを得た。得られたメルトブロー繊維の特性は、平均単繊維径が1.7μmであった。
(積層不織布)
熱接着温度が120℃の温度で熱接着したこと以外は、実施例1と同じ方法により、積層不織布を得た。得られた積層不織布について、ΔMR、剛軟度、および耐水圧を測定した。結果を表1に示す。
[比較例3]
(スパンボンド不織布層)
実施例1と同じ方法により、スパンボンド繊維ウェブを得た。
(積層不織布)
上記で得られたスパンボンド繊維ウェブ上に、メルトブロー繊維ウェブを積層することなく、スパンボンド繊維ウェブを捕集することにより、スパンボンド繊維ウェブ−スパンボンド繊維ウェブの積層繊維ウェブを得たこと以外は、実施例1と同じ方法により、積層不織布を得た。得られた積層不織布について、ΔMR、剛軟度、および耐水圧を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2020016000
実施例1〜3は、適度なΔMRと低剛軟度でありながら高い耐水圧を達成しており、非常に優れた触感で柔軟性が高く、また高い耐水性を有する結果であった。
一方、比較例1〜3に示すように、ΔMRが低く剛軟度が高いため、不織布の風合いはごわごわと硬く触感が著しく劣るという問題が発生した。また、比較例3に示すようにメルトブロー層を含まない場合には耐水圧が著しく低い結果であった。

Claims (3)

  1. ポリエステル系樹脂(A)からなる繊維で構成されるメルトブロー不織布層が内層を形成し、ポリエチレンテレフタラートにポリエチレングリコールを共重合した共重合ポリエステル系樹脂(B)からなる繊維で構成されるスパンボンド不織布層が表層に積層されてなる、積層不織布。
  2. 積層不織布のΔMRが0.5%以上15%以下である、請求項1に記載の積層不織布。
  3. 共重合ポリエステル系樹脂(B)のポリエチレングリコール共重合量が2質量%以上40質量%以下である、請求項1または2に記載の積層不織布。
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