JP2022167302A - スパンボンド不織布の製造方法 - Google Patents

スパンボンド不織布の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた親水性および柔軟性を有するスパンボンド不織布を安定して製造するための製造方法を提供する。【解決手段】 共重合ポリエステルを溶融させ、口金の吐出孔から吐出させ、牽引して形成した繊維ウェブをネットコンベア上に捕集し、該繊維ウェブを熱接着するスパンボンド不織布の製造方法であって、前記共重合ポリエステルが、数平均分子量が4000以上30000以下のポリアルキレングリコールを3質量%以上40質量%以下共重合してなる共重合ポリエステルであって、前記共重合ポリエステルを前記口金の吐出孔から吐出させる際の口金通過時の剪断速度が3500sec-1以上10000sec-1未満であり、前記牽引において、共重合ポリエステルの紡糸ドラフトが200以上550以下である、スパンボンド不織布の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた親水性および柔軟性を有するスパンボンド不織布の製造方法に関するものである。
スパンボンド不織布は、生産性や加工性に優れることから、衛生材料、医療材料、建築資材、寝装寝具、生活資材、産業資材など、多岐に渡る分野に展開されている。スパンボンド不織布の原料としては、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステルなどが一般的に用いられており、目的用途に応じて原料が選定されている。
これら用途の内、紙おむつや生理用ナプキン、ウェットシートなどの親水性が要求される用途において、不織布に親水性を付与する方法が検討されている。不織布に親水性を付与する方法としては、親水剤を不織布に塗布する手法が一般的に用いられているが、該手法では塗布した親水剤の流出による性能低下や、塗布斑によって性能斑が発現するなどの課題がある。
上記の課題を解決する方法として、親水性樹脂を原料に用いた不織布が検討されている。例えば、ポリエステル系樹脂などの熱可塑性樹脂にポリアルキレングリコールを共重合した親水性樹脂からなる繊維で構成された不織布や(特許文献1、2参照)、ポリエチレングリコールを共重合したポリエステル系樹脂からなる繊維で構成されるスパンボンド不織布層が表層に積層されてなる積層不織布が提案されている(特許文献3参照)。
また別に、親水性成分を有する繊維の製造方法に関わる技術として、疎水性高分子と親水性高分子の共重合体が紡糸口金を通過する際の剪断速度が特定の範囲となるよう紡糸することを特徴とする繊維の製造方法が提案されている(特許文献4参照)
国際公開2019/146660号 特開2006-299424号公報 特開2020-16000号公報 国際公開2015/146790号
特許文献1~3の技術では、ポリアルキレングリコールを共重合することにより、性能低下や親水性の斑がなく、耐久親水性や柔軟性をある程度有する不織布が得られる。しかしながら、特許文献1や特許文献3などに記載の方法で不織布を製造した場合、口金通過時の剪断速度が小さいため口金からの吐出が安定せず、かつ、紡糸ドラフトが大きいため糸切れが生じやすくなることから、紡糸工程の安定性に劣ることとなり、安定して不織布を得ることが困難である。また、特許文献2は不織布を安定して製造するための具体的な提案がない。
一方、特許文献4の技術では、紡糸口金を通過する際の剪断速度を10000~40000sec-1とすることで、ある程度繊度斑が小さく、かつ、染め斑や毛羽の発生が抑制された繊維が得られる。しかしながら、本技術は実質的に紡糸口金の孔径を小さくする必要があるため、孔詰まりなどが発生しやすいことに加え口金の管理が難しく、多数の口金孔を有するスパンボンド法に適用することは困難である。
そこで、本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであって、その目的は、紡糸工程や熱接着工程での安定性を飛躍的に向上させ、さらに孔詰まりなどの紡糸トラブルを減少させ、その結果、優れた親水性および柔軟性を有するスパンボンド不織布を安定して製造する方法を提供することにある。
本発明者らが検討を進めたところ、特定の分子量を有したポリエチレングリコールを共重合した共重合ポリエステルからなるスパンボンド不織布は優れた吸水性および柔軟性を有しているものの、一般的なスパンボンド不織布の製造条件を採用した場合、紡糸時の糸切れや熱接着時のシート切れが多発するために紡糸工程や熱接着工程の安定性を向上させる必要があるといった課題が生じることを確認した。
そこで、本発明者らは、上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の数平均分子量を有したポリエチレングリコールを共重合した共重合ポリエステルを、口金の吐出孔から吐出させる際の口金通過時の剪断速度および紡糸ドラフトが特定の範囲となる条件で空気牽引した繊維ウェブを捕集し、次いで熱接着によりシート化することで、紡糸工程での糸切れや熱接着工程でのシート切れが抑制されるために各工程での安定性が飛躍的に向上すること、さらに多数の口金孔を有するスパンボンド口金の管理が容易となり孔詰まりなどの紡糸トラブルが減少することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法は、共重合ポリエステルを溶融させ、口金の吐出孔から吐出させ、牽引して形成した繊維ウェブをネットコンベア上に捕集し、該繊維ウェブを熱接着するスパンボンド不織布の製造方法であって、前記の共重合ポリエステルが、数平均分子量が4000以上30000以下のポリアルキレングリコールを3質量%以上40質量%以下共重合してなる共重合ポリエステルであって、前記の共重合ポリエステルを前記の口金の吐出孔から吐出させる際の口金通過時の剪断速度が3500sec-1以上10000sec-1未満であり、前記の牽引において、共重合ポリエステルの紡糸ドラフトが200以上550以下である。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法の好ましい態様によれば、前記の口金の吐出孔の孔径が0.23mm以上0.80mm以下である。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法の好ましい態様によれば、前記の空気牽引において、共重合ポリエステルの牽引速度が3500m/min以上7000m/min以下である。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法の好ましい態様によれば、口金中心部の鉛直方向におけるネットコンベア上での吸引風速が8.0m/sec以上18.0m/sec以下である。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法の好ましい態様によれば、前記の共重合ポリエステルの主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートである。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法の好ましい態様によれば、前記の共重合ポリエステルの固有粘度が、0.50dL/g以上0.80dL/g以下である。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法の好ましい態様によれば、前記の共重合ポリエステルが、ポリエステルを解重合した低分子量体に前記ポリアルキレングリコールを添加し、再重合してなるリサイクル共重合ポリエステルである。
本発明によれば、優れた親水性および柔軟性を有するスパンボンド不織布を安定して製造することが可能となる。
図1は、本発明のスパンボンド不織布の製造方法に係る口金中心部を例示・説明する、概念図である。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法は、共重合ポリエステルを溶融させ、口金の吐出孔から吐出させ、牽引して形成した繊維ウェブをネットコンベア上に捕集し、該繊維ウェブを熱接着するスパンボンド不織布の製造方法であって、前記共重合ポリエステルが、数平均分子量が4000以上30000以下のポリアルキレングリコールを3質量%以上40質量%以下共重合してなる共重合ポリエステルであって、前記共重合ポリエステルを前記口金の吐出孔から吐出させる際の口金通過時の剪断速度が3500sec-1以上10000sec-1未満であり、前記牽引において、共重合ポリエステルの紡糸ドラフトが200以上550以下である。
以下に、本発明について説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではない。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法において用いられる共重合ポリエステルは、数平均分子量が4000以上30000以下のポリアルキレングリコールを3質量%以上40質量%以下共重合してなる共重合ポリエステルである。
まず、本発明に係る共重合ポリエステルは、ポリアルキレングリコールを共重合した共重合ポリエステルである。ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどが挙げられる。中でも、好ましくはポリエチレングリコールを用いることにより、低コストであり、かつ親水性に優れたスパンボンド不織布となる。
本発明に係る共重合ポリエステルは、前記のポリアルキレングリコールの数平均分子量が、4000以上30000以下である。ポリアルキレングリコールの数平均分子量を4000以上、好ましくは5000以上とすることにより、ポリアルキレングリコール成分がポリエステル中にドメインを形成するため、優れた親水性と柔軟性を有するスパンボンド不織布となる。また、ポリアルキレングリコールの数平均分子量を30000以下、好ましくは25000以下とすることにより、低コストであり、かつ紡糸工程における糸切れを抑制することができる。
加えて、本発明に係る共重合ポリエステルは、共重合成分であるポリアルキレングリコールの共重合量が、3質量%以上40質量%以下である。ポリアルキレングリコールの共重合量を3質量%以上、好ましくは4質量%以上、より好ましくは5質量%以上とすることにより、優れた親水性と柔軟性を有するスパンボンド不織布となる。また、ポリアルキレングリコールの共重合量を40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下とすることにより、低コストであり、かつ紡糸工程における糸切れを抑制することができる。
本発明に係る共重合ポリエステルとしては、主たる繰り返し単位が、例えば、「グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、エチレンサクシネート、ブチレンサクシネート、ブチレンアジペート」などの脂肪族ポリエステル、「エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート」などの半芳香族ポリエステルであることが好ましい。中でも、主たる繰り返し単位が「エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート」などの半芳香族ポリエステルであることが好ましく、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであることがより好ましい。このようにすることで、紡糸工程における糸切れを抑制できることに加え、優れた柔軟性と機械強度を有するスパンボンド不織布となる。
なお、本発明に係る共重合ポリエステルは、公知のエステル交換法やエステル化法等の重合方法によって製造される。例えば、エステル交換法では、ジカルボン酸のエステル形成誘導体とジオールを反応容器内に仕込み、エステル交換触媒の存在下150℃以上250℃以下の範囲で反応させた後、安定剤、重縮合触媒等を添加し、500Pa以下の減圧下で250℃以上300℃以下の範囲で加熱し、3時間以上5時間以下反応させることによって得ることができる。また、エステル化法では、ジカルボン酸とジオールを反応容器に仕込み窒素加圧下150℃以上270℃以下でエステル化反応を行い、エステル化反応終了後、安定剤、重縮合触媒等を添加し500Pa以下の減圧下で250℃以上300℃以下の範囲で加熱し、3時間以上5時間以下反応させることによって得ることができる。
また、本発明に係る共重合ポリエステルは、上記の重合方法において前記のポリアルキレングリコールの添加時期は特に限定されず、エステル化反応やエステル交換反応前に他の原料とともに添加してもよく、また、エステル化反応やエステル交換反応が終了後、重縮合反応が始まる前までに添加してもよい。
本発明に係る共重合ポリエステルは、上記の重合方法においてエステル交換触媒や重縮合用触媒が用いられる。エステル交換触媒としては、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム、チタンテトラブトキシドなどが挙げられ、重縮合用触媒としては、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム、チタンテトラブトキシドなどが挙げられる。
また、本発明に係る共重合ポリエステルは、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化チタン、シリカ、酸化バリウム、炭酸カルシウムなどの無機物、カーボンブラック、染料や顔料などの着色剤、ポリエチレンワックスや脂肪酸アミド化合物などの滑剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、あるいは紫外線吸収剤などの各種添加剤を含有するものであってもよい。
本発明に係る共重合ポリエステルは、固有粘度が0.50dL/g以上0.80dL/g以下であることが好ましい。固有粘度を好ましくは0.50dL/g以上、より好ましくは0.55dL/g以上、さらに好ましくは0.57dL/g以上とすることにより、繊維とした際の強度が高くなるため、得られるスパンボンド不織布の取り扱い性が向上する。また、固有粘度を好ましくは0.80dL/g以下、より好ましくは0.75dL/g以下、さらに好ましくは0.73dL/g以下とすることにより、樹脂の変形が容易となるため、紡糸工程における糸切れを抑制することができる。なお、本発明における固有粘度は重合時間などにより制御することができる。上記の重合方法を採用した場合、重合時間が長いほど、固有粘度も高くなる。
本発明に係る共重合ポリエステルは、ポリエステルを解重合した低分子量体にポリアルキレングリコールを添加して再重合してなるリサイクル共重合ポリエステルであることも好ましい態様の一つである。リサイクル共重合ポリエステルを用いることにより、スパンボンド不織布を製造する際の環境負荷を低減することができる。なお、リサイクル共重合ポリエステルは、モノマー品質や異物などの影響により、バージン共重合ポリエステルと比較して製糸性が低下する傾向にあるが、本発明のスパンボンド不織布の製造方法によって紡糸工程における糸切れを抑制することができ、リサイクル共重合ポリエステルからなるスパンボンド不織布を安定して製造することが可能となる。
本発明に係る共重合ポリエステルは、融点が200℃以上300℃以下であることが好ましい。融点を好ましくは200℃以上、より好ましくは220℃以上、さらに好ましくは230℃以上とすることにより、実用に耐え得る耐熱性が得られる。また、融点を好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下とすることにより、加工温度を低下させることが可能となり、紡糸工程や熱接着工程におけるエネルギーコストを低減させることができる。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、前記の共重合ポリエステルを溶融させる前に、真空乾燥しておくことが好ましい。このようにすることで、溶融時の加水分解を抑制することができ、優れた機械強度を有するスパンボンド不織布を得ることができる。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、前記の共重合ポリエステルを240℃以上320℃以下の温度で溶融することが好ましい。溶融する温度、すなわち、紡糸温度を好ましくは240℃以上、より好ましくは250℃以上、さらに好ましくは260℃以上とすることにより、樹脂の流動性を高めることができるため、紡糸工程(共重合ポリエステルを溶融させ、口金の吐出孔から吐出させ、これを牽引するまでの工程)における糸切れを抑制することができ、スパンボンド不織布を安定して製造することが可能となる。また、紡糸温度を好ましくは320℃以下、より好ましくは310℃以下、さらに好ましくは300℃以下とすることにより、エネルギーコストを低減できることに加え、樹脂の熱分解を抑制することができる。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、続いて、溶融した共重合ポリエステルを口金の吐出孔から吐出させる。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、口金や牽引部の形状として、丸形や矩形など種々のものを採用することができる。中でも、牽引に使用する気体の使用量が比較的少なく、糸条同士の融着や擦過が起こりにくいという観点から、口金に矩形口金を用い、牽引部に矩形エジェクターを用いる組み合わせが好ましい。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、前記の共重合ポリエステルを前記口金の吐出孔から吐出させる際の口金通過時の剪断速度が3500sec-1以上10000sec-1未満である。口金通過時の剪断速度を3500sec-1以上、好ましくは4000sec-1以上、さらに好ましくは4500sec-1以上とすることにより、口金からの吐出が安定するため紡糸工程における糸切れを抑制することができ、スパンボンド不織布を安定して製造することが可能となる。また、口金通過時の剪断速度を10000sec-1未満、好ましくは9000sec-1以下、さらに好ましくは8000sec-1以下とすることにより、口金からの吐出が安定するだけでなく、実質的に口金の吐出孔の孔径を大きくすることができるため孔詰まりなどが発生しにくくなり、口金の管理も容易となる。
ここで言う、口金通過時の剪断速度(sec-1)とは、以下の式で算出する値を指す
剪断速度(sec-1)=4×(Q/ρ/60)/(π×((d/10)/8))
(式中、Qは単孔吐出量(g/min)を表し、ρは溶融密度(g/cm)を表し、dは口金孔径(mm)を表す。本発明に用いる共重合ポリエステル樹脂においては、溶融密度ρの値は1.18を用いる。)。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、口金の吐出孔から吐出される樹脂の吐出線速度が3.0m/min以上20.0m/min以下であることが好ましい。吐出線速度を好ましくは3.0m/min以上、より好ましくは5.0m/min以上、さらに好ましくは8.0m/min以上とすることにより、口金からの吐出が安定するため紡糸工程における糸切れを抑制することができ、スパンボンド不織布を安定して製造することが可能となる。また、吐出線速度を好ましくは20.0m/min以下、より好ましくは18.0m/min以下、さらに好ましくは17.0m/min以下とすることにより、口金からの吐出が安定するだけでなく、実質的に口金孔径を大きくすることができるため孔詰まりなどが発生しにくくなり、口金の管理も容易となる。
ここで言う、口金の吐出孔から吐出される樹脂の吐出線速度(m/min)とは、以下の式で算出する値を指す
吐出線速度(m/min)=(Q/ρ)/(π×(d/2)
(式中、Qは単孔吐出量(g/min)を表し、ρは溶融密度(g/cm)を表し、dは口金孔径(mm)を表す。本発明に用いる共重合ポリエステル樹脂においては、溶融密度ρの値は1.18を用いる。)。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、前記の口金の吐出孔の孔径が0.23mm以上0.80mm以下であることが好ましい。前記の孔径を好ましくは0.23mm以上、より好ましくは0.25mm以上、さらに好ましくは0.28mm以上とすることにより、孔詰まりなどが発生しにくくなり、口金の管理も容易となる。また、口金の孔径を好ましくは0.80mm以下、より好ましくは0.70mm以下、さらに好ましくは0.60mm以下とすることにより、口金の背面圧が不足することなく、口金の吐出孔間における吐出斑が抑制されるため好ましい。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、単成分口金はもとより、複合口金を使用してもよい。複合口金を使用する場合、その形状は本発明の効果を損ねない限り特に限定されるものではなく、芯鞘型や海島型、サイドバイサイド型、偏心芯鞘型、ブレンド型などから適宜選択することができる。なお、複合口金を使用する場合において、前記の共重合ポリエステルと共に使用される樹脂は、製造工程における工程安定性や柔軟性の観点から、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルや、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンが好適に用いられる。例えば、芯鞘型複合繊維とする場合において、芯成分にポリエステルやポリオレフィン、鞘成分に上記の共重合ポリエステルを配置することや、サイドバイサイド型複合繊維とする場合において、上記の共重合ポリエステルとポリエステルを隣り合うように配置することができる。中でも、芯成分にポリエチレンテレフタレートを用い、鞘成分に上記の共重合ポリエステルを用いた芯鞘型複合繊維とすることにより、優れた親水性に加え、高い機械強度を有したスパンボンド不織布となる。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、丸孔口金はもとより、三角や扁平、六角形、中空などの吐出孔を有した異形断面口金を使用しても良い。中でも、生産性が高く、かつ柔軟性に優れるスパンボンド不織布となることから、丸孔口金を使用することが好ましい。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、口金から吐出した溶融樹脂を固化させて繊維とする。繊維とする方法としては、例えば、冷風を強制的に糸条に吹き付ける方法、糸条周りの雰囲気温度で自然冷却する方法、および口金と牽引に用いるエジェクターとの間の距離を調整する方法等が挙げられ、さらに、これらの方法を組み合わせる方法を採用することができる。また、繊維化の条件は、口金の単孔あたりの吐出量、溶融された共重合ポリエステルの温度および雰囲気温度等を考慮して、適宜調整して採用することができる。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、口金の吐出孔から吐出させた樹脂を、牽引する。この牽引には、エジェクター等から噴射される気体を用いることができ、該気体としては、0.05MPa~0.25MPa程度に圧縮された空気、窒素、湿度100%RH以下の水蒸気などを用いることができる。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、前記の牽引において、共重合ポリエステルの牽引速度が3500m/min以上7000m/min以下であることが好ましい。牽引速度を好ましくは3500m/min以上、より好ましくは4000m/min以上、さらに好ましくは4500m/min以上とすることにより、繊維化した際に配向結晶化が進むため熱接着工程における収縮を抑制することができ、熱接着工程における工程安定性が向上する。また、牽引速度を好ましくは7000m/min以下、より好ましくは6500m/min以下、さらに好ましくは6000m/min以下とすることにより、紡糸工程における糸切れを抑制することができ、スパンボンド不織布を安定して製造することが可能となる。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、共重合ポリエステルの紡糸ドラフトが200以上550以下である。紡糸ドラフトを200以上、好ましくは250以上、より好ましくは300以上とすることにより、実質的に口金孔径の大きな口金が採用できるため、口金の管理がより容易なものとなることに加え、この口金を用いて繊維を形成した際には、配向結晶化が進むため、熱接着する際に繊維ウェブの収縮を抑制することができ、熱接着する工程の安定性が向上する。また、紡糸ドラフトを好ましくは550以下、より好ましくは530以下とすることにより、紡糸線における急激な変形を抑制できるため紡糸工程における糸切れを抑制することができ、スパンボンド不織布を安定して製造することが可能となる。なお、ここで言う紡糸ドラフトとは、前記の吐出線速度(m/min)に対する牽引速度(m/min)の比を指す。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、前記の口金通過時の剪断速度と前記の紡糸ドラフトとを上記の範囲とすることが極めて重要である。剪断速度が3500sec-1以上10000sec-1未満であっても、紡糸ドラフトを200以上550以下とすることにより、紡糸工程や熱接着工程における工程安定性、並びに口金管理容易性を飛躍的に高めることができる。そして、紡糸工程や熱接着する工程における工程安定性、並びに口金管理容易性に優れるため、優れた親水性および柔軟性を有するスパンボンド不織布を安定して製造することが可能となるのである。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、前記の牽引をして形成した繊維ウェブをネットコンベア上に捕集する。ネットコンベアの搬送速度は、所望のスパンボンド不織布の目付を考慮して、適宜調整して採用することができる。
本発明に係る共重合ポリエステルは、ポリアルキレングリコールが共重合されているため、通常のポリエステルやポリオレフィンよりも摩擦係数が低く、ネットコンベア上で滑りが生じやすい性質を有する。そのため、本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、口金中心部の鉛直方向におけるネットコンベア上での吸引風速が8.0m/sec以上18.0m/sec以下であることが好ましい。前記の吸引風速を好ましくは8.0m/sec以上、より好ましくは8.5m/sec以上、さらに好ましくは9.0m/sec以上とすることにより、ネットコンベア上に捕集された繊維ウェブがコンベア上で滑ることなく定着するため、目付均一性の高いスパンボンド不織布となる。また、吸引風速を好ましくは18.0m/sec以下、より好ましくは16.0m/sec以下、さらに好ましくは15.0m/sec以下とすることにより、コンプレッサーの電力を抑えることができ、エネルギーコストを低減させることができる。
ここで言う、「口金中心部」とは、以下に説明する口金吐出内の場所であり、これについて、図1を用いて説明する。
図1には、矩形口金(図1(a))および丸形口金(図1(b))の口金吐出面における口金中心部の一例を示している。口金吐出面(1)において、すべての吐出孔(2)を含むような最も面積の小さい四角形(3)(長方形もしくは正方形)を仮定し、この四角形(3)の対角線の交点を口金中心部(4)と定義する。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、前記のネットコンベア上に捕集した繊維ウェブを熱接着する。繊維ウェブを熱接着することにより、繊維ウェブがシート化される。熱接着の方法としては、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロール、および上下一対のフラット(平滑)ロールの組み合わせからなる熱カレンダーロールなど、各種ロールにより熱接着する方法や、ホーンの超音波振動により熱溶着させる超音波接着などを用いて熱接着する方法を採用することができる。このような熱接着する方法を用いることで、機械強度に優れたスパンボンド不織布を得ることができる。一方で、繊維ウェブに熱風を吹き付ける手法である、いわゆるエアスルー法も、繊維ウェブを熱接着する方法として挙げることができる。このエアスルー法を採用した場合には、嵩高く、風合いに優れたスパンボンド不織布となる。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、熱接着にエンボスロールを用いた場合、エンボス接着面積率は5%以上30%以下であることが好ましい。接着面積率を好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上とすることにより、スパンボンド不織布として実用に供し得る機械強度を得ることができる。一方、接着面積率を好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下とすることにより、優れた柔軟性を有したスパンボンド不織布を得ることができる。
ここでいう接着面積率(%)とは、一対の凹凸を有するロールにより熱接着する場合は、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とが重なって不織繊維ウェブに当接する部分の不織布全体に占める割合を指す。また、凹凸を有するロールとフラットロールにより熱接着する場合は、凹凸を有するロールの凸部が不織繊維ウェブに当接する部分の不織布全体に占める割合を指す。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、上記の熱エンボスロールに施される彫刻の形状として、円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、正六角形および正八角形などを用いることができる。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、熱接着時の熱エンボスロールの線圧が5N/cm以上70N/cm以下であることが好ましい。ロールの線圧を好ましくは5N/cm以上、より好ましくは10N/cm以上、さらに好ましくは20N/cm以上とすることにより、接着が十分となりスパンボンド不織布として実用に供しうる機械強度を得ることができる。一方、ロールの線圧を好ましくは70N/cm以下、より好ましくは60N/cm以下、さらに好ましくは50N/cm以下とすることにより、優れた柔軟性を有したスパンボンド不織布を得ることができる。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法では、上記のようにして得られたスパンボンド不織布に対し、さらに、巻取り前に親水化剤などの機能剤を付与することができる。スパンボンド不織布への機能剤の付与方法としては、キスロールやスプレーによる塗布やディップコーティングなどが挙げられる。
本発明のスパンボンドの製造方法で得られるスパンボンド不織布は、このスパンボンド不織布を構成する共重合ポリエステルからなる繊維の平均単繊維径が10μm以上20μm以下であることが好ましい。平均単繊維径を好ましくは10μm以上、より好ましくは11μm以上、さらに好ましくは12μm以上とすることにより、紡糸工程における糸切れを抑制することができ、スパンボンド不織布を安定して製造することが可能となる。また、平均単繊維径を好ましくは20μm以下、より好ましくは18μm以下、さらに好ましくは16μm以下とすることにより、スパンボンド不織布の柔軟性がさらに向上する。
ここで言う平均単繊維径(μm)とは、以下の方法で測定、算出される値を指す。
(1)牽引後の繊維ウェブの横断面を、走査型電子顕微鏡で1本の繊維が観察できる倍率として画像を撮影する。
(2)撮影した画像を用い、画像解析ソフトを用いて、単繊維の断面輪郭が形成する面積(μm)を計測し、この面積と同一の面積となる真円の直径を算出する。
(3)これを任意に抽出した同じ表面を構成する繊維20本について測定し、単純な数平均値を求めて平均単繊維径を算出し、小数点第2位を四捨五入する。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法で得られるスパンボンド不織布は、目付が5g/m以上200g/m以下とすることが好ましい。目付を好ましくは5g/m以上、より好ましくは8g/m以上、さらに好ましくは10g/m以上とすることにより、シート搬送時の糸切れを抑制できることに加え、製品としての取り扱い性に優れたスパンボンド不織布となる。また、目付を好ましく200g/m以下、より好ましくは150g/m以下、さらに好ましくは100g/m以上とすることにより、優れた柔軟性を有したスパンボンド不織布となる。
ここで言う目付(g/m)とは、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.2 単位面積当たりの質量」に基づき、20cm×25cmの試験片を3枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、その単純な数平均値を求めて1m当たりの質量を算出し、小数点第1位で四捨五入した値を指す。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法で得られるスパンボンド不織布は、剛軟度が1.0mN・cm以下であることが好ましい。剛軟度を好ましくは1.0mN・cm以下、より好ましくは0.8mN・cm以下、さらに好ましくは0.6mN・cm以下とすることにより、優れた柔軟性を有したスパンボンド不織布を得ることができる。また、剛軟度の下限については、あまりに低い剛軟度とすると不織布の取り扱い性に劣る場合があるため、0.1mN・cm以上であることが好ましい。
ここで言う剛軟度(mm)とは、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.7 剛軟度」の「6.7.3 41.5°カンチレバー法」に準拠して、以下の方法で測定、算出される値を指す。
(1)幅25mm×150mmの試験片を5枚採取し、45°の斜面をもつ水平台の上に試験片の短辺をスケール基線に合わせて置く。
(2)手動により試験片を斜面の方向に滑らせて、試験片の一端の中央点が斜面と接したとき、他端の位置の移動長さをスケールによって読む。
(3)試験片5枚の裏表について測定して移動長さの単純な数平均値を求めた後、移動長さに1/2をかけた曲げ長さCおよび目付Mより下式を用いて剛軟度を算出し、小数点第1位を四捨五入する
剛軟度(mN・cm)=M×C×0.001
(式中、Mは目付(g/m)を表し、Cは曲げ長さ(cm)を表す。)。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法で得られるスパンボンド不織布は、ΔMRが0.5%以上15.0%以下であることが好ましい。ΔMRを好ましくは0.5%以上、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは2.0%以上とすることで、スパンボンド不織布の表面が適度に吸湿した状態となり、表面に触れた時のしっとり感を持つ良好な触感となる。また、ΔMRを15%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは7%以下とすることで、べたつきのない触感となる。
ここで言うΔMR(%)とは、以下の方法で測定、算出される値を指す。
(1)測定試料3gを凍結粉砕し、乾燥温度110℃で24時間、真空乾燥してその絶乾質量(W)を測定する。
(2)上記試料を20℃×65%R.H.の状態に調湿された恒温恒湿機中に24時間放置し、平衡状態となった試料の質量(MR1)を測定する。
(3)次いで、恒温恒湿機の設定を30℃×90%R.H.に変更してさらに24時間放置後の質量(MR2)を測定する。
(4)1水準につき3回測定を行い、単純な数平均値を求めて下式よりΔMRを算出し、小数点第2位を四捨五入する
ΔMR(%)=(MR2-MR1)/W。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法で得られるスパンボンド不織布は、不織布表面における水との接触角が30°以下であることが好ましい。水との接触角を好ましくは30°以下、より好ましくは20°以下、さらに好ましくは10°以下とすることにより、スパンボンド不織布が親水性であるため、表面に接触した水分がスパンボンド不織布に吸水されやすく、優れた吸水性を有するスパンボンド不織布となる。また、水との接触角の下限は0°であるが、水との接触角が0°とは、後述の測定方法においてすべての水がスパンボンド不織布に吸水された状態をいう。
ここで言う、スパンボンド不織布の水との接触角(°)とは、以下のようにして求める値を指す。
(1)スパンボンド不織布を、室温20℃、相対湿度65%の室内に24時間以上放置する。
(2)上記処理を施したスパンボンド不織布を、同室に設置した接触角計のステージ上にセットする。
(3)イオン交換水からなる2μLの液滴を針先に作製し、スパンボンド不織布に着液させる。
(4)スパンボンド不織布に液滴が着液してから2秒後の画像より、液滴との接触角を求める。
(5)1水準につき測定位置を変更して5回測定を行い、単純な数平均値を求めて水との接触角を算出し、小数点第1位を四捨五入する。なお、2秒以内にすべての水がスパンボンド不織布に吸水された場合は、液滴の空気との界面がスパンボンド不織布の表面と同一面に存在すると判断し、水との接触角を0°と定義する。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法で得られるスパンボンド不織布は、表面にて測定された吸水速度が20秒以下であることが好ましい。吸水速度を好ましくは20秒以下、より好ましくは15秒以下、さらに好ましくは10秒以下とすることにより、吸水性に優れたスパンボンド不織布となる。
ここで言う吸水速度(秒)とは、JIS L1907:2010「繊維製品の吸水性試験方法」の「7.1.1 滴下法」に基づき求める値を指す。スパンボンド不織布の表面に水滴を1滴滴下し、吸収されて表面の鏡面反射が消失するまでの時間を測定し、これを異なる10箇所で測定した値の単純な数平均値を求めて吸水速度を算出し、小数点第1位を四捨五入する。
本発明のスパンボンド不織布の製造方法で得られるスパンボンド不織布は、医療衛生材料、生活資材、および工業資材等に幅広く用いることができるが、優れた親水性および柔軟性を有していることから、特に衛生材料に好適に用いることができる。なお、ここで言う衛生材料とは、医療・介護など健康に関わる目的で使用される、主に使い捨ての物品であり、紙おむつ、生理用ナプキン、ガーゼ、包帯、マスク、手袋、絆創膏等が挙げられ、その構成部材、例えば、紙おむつにおいては、そのトップシート、バックシート、サイドギャザー等も含まれる。
次に、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前述の方法に基づいて測定を行ったものである。
(1)紡糸工程安定性
紡糸工程において、20分間紡糸をした際に糸切れが生じなかったものをA、糸切れが1回以上20回未満のものをB、糸切れが20回以上のものをCとして評価した。
(2)熱接着工程安定性
熱接着工程において、幅方向の収縮がほとんど見られなかったものをA、幅方向の収縮が見られたがシート切れが無かったものをB、幅方向の収縮が著しかったものやシート切れが生じたものをCとして評価した。
(3)口金管理容易性
紡糸後の口金を取外してポリマーを除去した後に、口金孔検査にて口金構内における汚れなどの付着状態が識別可能であったものをA、口金孔が小さく識別が困難であったものをCとして評価した。
(4)平均単繊維径
空気牽引後の繊維ウェブを採取し、繊維の横断面を株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡「S-5500」で1本の繊維が観察できる倍率として画像を撮影した。その後、画像解析ソフトとして、三谷商事株式会社製「WinROOF2015」を用い、前述のとおり測定を行った。
(5)目付
熱接着後のスパンボンド不織布について、前述の通り測定を行った。
(6)剛軟度
熱接着後のスパンボンド不織布について、前述の通り測定を行った。
(7)ΔMR
熱接着後のスパンボンド不織布について、エスペック株式会社製恒温恒湿機「LHU-123」を用い、前述の通り測定を行った。
(8)水との接触角
熱接着後のスパンボンド不織布について、協和界面科学株式会社製の接触角計「DMo-501」を用い、前述のとおり測定を行った。
[実施例1]
固有粘度が0.62dL/gであり、数平均分子量20000のポリエチレングリコール(以下、PEGと略す)を8質量%共重合したポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)を単軸押出機にて溶融し、紡糸温度が290℃で、口金孔径が0.30mmの矩形丸孔口金から、単孔吐出量1.1g/minで紡出した。このときの剪断速度は5861sec-1であった。紡出した糸条を、冷風にて冷却固化した後、矩形エジェクターにおいて糸状の牽引速度が5320m/min、紡糸ドラフトが403となるように空気牽引した繊維ウェブを、口金中心部の鉛直方向におけるネットコンベア上での吸引風速を10.7m/secとして捕集した。得られた繊維ウェブを、上ロールに金属製で水玉柄の彫刻がなされた接着面積率16%のエンボスロールを用い、下ロールに金属製フラットロールで構成される上下一対の熱エンボスロールを用いて、線圧が50N/cmで、熱接着温度が230℃の温度で熱接着し、目付が30g/mのスパンボンド不織布を得た。該スパンボンド不織布の製造条件および得られたスパンボンド不織布の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
共重合させたPEGの数平均分子量を20000から8300に変更した以外は、実施例1と同じ方法でスパンボンド不織布を得た。該スパンボンド不織布の製造条件および得られたスパンボンド不織布の評価結果を表1に示す。
[実施例3、4]
PEGの共重合量を8質量%から、実施例3では14質量%、実施例4では4質量%にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同じ方法でスパンボンド不織布を得た。該スパンボンド不織布の製造条件および得られたスパンボンド不織布の評価結果を表1に示す。
[実施例5、6]
PEGを共重合した共重合PETの重合時間を調整し、固有粘度を0.62から、実施例5では0.57、実施例6では0.72にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同じ方法でスパンボンド不織布を得た。該スパンボンド不織布の製造条件および得られたスパンボンド不織布の評価結果を表1に示す。
[実施例7]
固有粘度が0.62dL/gであり、数平均分子量20000のPEGを8質量%共重合したPETに換えて、PETボトルに使用されたPETを解重合して得られた低分子量体(表1ではリサイクルPETと略記した)に、数平均分子量20000のPEGを8質量%共重合したPETを用いたこと以外は、実施例1と同じ方法でスパンボンド不織布を得た。該スパンボンド不織布の製造条件および得られたスパンボンド不織布の評価結果を表1に示す。
[実施例8、9、比較例1]
単孔吐出量および牽引速度を調整して、剪断速度、吐出線速度、および紡糸ドラフトを変更した上で、捕集した繊維ウェブがコンベア上で滑らないようコンベア上の吸引速度を変更した以外は、実施例1と同じ方法でスパンボンド不織布を得た。該スパンボンド不織布の製造条件および得られたスパンボンド不織布の評価結果を表2に示す。
[比較例2]
口金孔径を0.30mmから0.20mmに変更して、剪断速度、吐出線速度、および紡糸ドラフトを変更した以外は、実施例1と同じ方法でスパンボンド不織布を得た。該スパンボンド不織布の製造条件および得られたスパンボンド不織布の評価結果を表2に示す。
[実施例10~12]
牽引速度を調整して、紡糸ドラフトを変更した以外は、実施例1と同じ方法でスパンボンド不織布を得た。該スパンボンド不織布の製造条件および得られたスパンボンド不織布の評価結果を表2に示す。
Figure 2022167302000001
Figure 2022167302000002
実施例1~11は特定のポリアルキレングリコールを共重合した共重合ポリエステルを用いており、溶融紡糸における口金通過時の剪断速度および紡糸ドラフトが適正な範囲にあることから、各工程における工程安定性や口金管理容易性に優れていることに加え、得られたスパンボンド不織布は優れた親水性および柔軟性を有することが分かる。
一方、比較例1は紡糸ドラフトが大きいため、紡糸工程安定性に劣る。また、比較例2は剪断速度が大きいため実質的に口金孔径が小さくなり、口金管理容易性に劣る。
1: 口金吐出面
2: 吐出孔
3: 全ての吐出孔を含む最も面積の小さい四角形
4: 口金中心部

Claims (7)

  1. 共重合ポリエステルを溶融させ、口金の吐出孔から吐出させ、牽引して形成した繊維ウェブをネットコンベア上に捕集し、該繊維ウェブを熱接着するスパンボンド不織布の製造方法であって、前記共重合ポリエステルが、数平均分子量が4000以上30000以下のポリアルキレングリコールを3質量%以上40質量%以下共重合してなる共重合ポリエステルであって、前記共重合ポリエステルを前記口金の吐出孔から吐出させる際の口金通過時の剪断速度が3500sec-1以上10000sec-1未満であり、前記牽引において、共重合ポリエステルの紡糸ドラフトが200以上550以下である、スパンボンド不織布の製造方法。
  2. 前記口金の吐出孔の孔径が0.23mm以上0.80mm以下である、請求項1に記載のスパンボンド不織布の製造方法。
  3. 前記牽引において、共重合ポリエステルの牽引速度が3500m/min以上7000m/min以下である、請求項1または2に記載のスパンボンド不織布の製造方法。
  4. 口金中心部の鉛直方向におけるネットコンベア上での吸引風速が8.0m/sec以上18.0m/sec以下である、請求項1~3のいずれかに記載のスパンボンド不織布の製造方法。
  5. 前記共重合ポリエステルの主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートである、請求項1~4のいずれかに記載のスパンボンド不織布の製造方法。
  6. 前記共重合ポリエステルの固有粘度が、0.50dL/g以上0.80dL/g以下である、請求項1~5のいずれかに記載のスパンボンド不織布の製造方法。
  7. 前記共重合ポリエステルが、ポリエステルを解重合した低分子量体に前記ポリアルキレングリコールを添加し、再重合してなるリサイクル共重合ポリエステルである、請求項1~6のいずれかに記載のスパンボンド不織布の製造方法。
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