JP2020015643A - SiCウェハの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】素材ロスを低減可能なSiCウェハの製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】修正モース硬度15未満の砥粒の存在下でSiCウェハ20を平坦化する平坦化工程S14と、Si蒸気圧下で加熱することで前記SiCウェハ20をエッチングするエッチング工程S21と、を含むことを特徴とした。このような工程でSiCウェハ20を製造することにより、素材ロスを低減することができ、1インゴットからのSiCウェハの取り枚数を増やすことができる。【選択図】図1

Description

本発明は、SiCウェハの製造方法に関する。
炭化ケイ素(SiC)ウェハは、単結晶SiCのインゴットをスライスすることにより形成される。スライスされたSiCウェハの表面には、スライス時に導入された結晶の歪みや傷等を有する表面層(以下、加工変質層という。)が存在する。デバイス製造工程にて歩留まりを低下させないためには、この加工変質層を除去する必要がある。
従来、この加工変質層の除去は、ダイヤモンド砥粒を用いた表面加工による除去が主流であった。近年では、ダイヤモンド砥粒を用いない表面加工技術についても種々提案がなされている。
例えば、非特許文献1には、炭化ホウ素(BC)砥粒を用いた遊離砥粒研磨加工の技術が開示されている。また、特許文献1には、SiCウェハをSi蒸気圧下で加熱することでエッチングを行うエッチング技術(以下、Si蒸気圧エッチングともいう。)が記載されている。
特開2011−247807号公報
2014年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集 p.605−606
ところで単結晶SiCは、ダイヤモンド等に次ぐ硬度と、(0001)面や(1−100)面で劈開しやすい特徴を有した硬脆材料であり、極めて加工が難しい材料に分類される。半導体材料の加工工程に求められることは、“高品質(高平坦度、ダメージレス)”、“低損失(素材ロス,歩留まり)”、“低コスト(高能率、安価な手段・工程)”、とされるが、高硬脆性を示す程これらはトレードオフの関係となり両立は難しい。
中でも、表面加工における単結晶SiCの除去量(素材ロス)を低減することは、SiCウェハの低コスト化に貢献する。すなわち、表面加工における素材ロスを低減することで、1インゴットからのSiCウェハの取り枚数を増やすことができ、ウェハ一枚当たりの単価が下がる。
本発明の課題は、素材ロスを低減可能なSiCウェハの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の一態様のSiCウェハの製造方法は、修正モース硬度15未満の砥粒の存在下でSiCウェハを平坦化する平坦化工程と、Si蒸気圧下で加熱することで前記SiCウェハをエッチングするエッチング工程と、を含むことを特徴とする。
このような平坦化工程とエッチング工程とを組み合わせることにより、加工変質層除去工程にて除去される素材ロス量を低減することができる。
この態様において、前記砥粒は、修正モース硬度13以上の砥粒であることを特徴とする。
このような硬度の砥粒を用いることで、加工時間を低減することができる。
この態様において、前記砥粒は、炭化ホウ素砥粒及び/又は炭化ケイ素砥粒であることを特徴とする。
このような砥粒の材料を用いることで、ダイヤモンド砥粒と比較して、材料コストを低減することができる。
この態様において、前記平坦化工程は、遊離砥粒方式であることを特徴とする。
この態様において、前記エッチング工程によって、前記SiCウェハがエッチングされる量が、片面につき10μm以下であることを特徴とする。
この態様において、前記SiCウェハの外周部を面取りする面取り工程と、前記SiCウェハの表面に刻印を形成する刻印形成工程と、をさらに含み、前記面取り工程と前記刻印形成工程は、前記エッチング工程前に行われることを特徴とする。
この態様において、前記SiCウェハの外周部を面取りする面取り工程と、前記SiCウェハの表面に刻印を形成する刻印形成工程と、をさらに含み、前記面取り工程と前記刻印形成工程は、前記平坦化工程後に行われることを特徴とする。
開示した技術によれば、素材ロスを低減可能なSiCウェハの製造方法を提供することができる。
他の課題、特徴及び利点は、図面及び特許請求の範囲とともに取り上げられる際に、以下に記載される発明を実施するための形態を読むことにより明らかになるであろう。
一実施の形態のSiCウェハの製造工程を示す概略図である。 一実施の形態のSiCウェハの製造工程におけるインゴット成形工程からスライス工程までを示す説明図である。 一実施の形態のSiCウェハの製造工程を示す説明図である。 Si蒸気圧エッチングで用いる高温真空炉を示す概略図である。 実施例1のSiCウェハの断面を透過型電子顕微鏡で観察した像である。 比較例1のSiCウェハの断面を透過型電子顕微鏡で観察した像である。 比較例2のSiCウェハの断面を透過型電子顕微鏡で観察した像である。 従来のSiCウェハの製造工程を示す概略図である。 従来のSiCウェハの製造工程を示す説明図である。
以下、図1、図2、図3及び図4を参照して、本発明のSiCウェハの製造方法についてさらに詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
なお、本発明の理解においては、従来のSiCウェハの製造工程と比較することが有用であると認められる。そのため、適宜、図8及び図9を参照し従来のSiCウェハの製造方法の各工程と比較しながら、本発明のSiCウェハの製造方法における各工程について説明する。
通常SiCウェハ20は、ウェハの形状を整えるウェハ形状形成工程(ステップS10)と、このウェハ形状形成工程S10にてウェハ表面に導入された加工変質層30を低減する加工変質層除去工程(ステップS20)と、ウェハ表面を鏡面化する鏡面研磨工程(ステップS30)と、を経て厚さDを有するSiCウェハ20が製造される(図8及び図9)。
本発明のSiCウェハの製造方法においても、図1、図2及び図3に示すように、ウェハ形状形成工程S10、加工変質層除去工程S20及び鏡面研磨工程S30を含む形態とすることが好ましい。
以下、図1ないし図3に示した一実施の形態の工程順序に沿って本発明のSiCウェハの製造方法について説明を加える。
なお、本明細書中の説明においては、SiCウェハ20の半導体素子を作る面(具体的にはエピタキシャル膜を堆積する面)を主面21といい、この主面21に相対する面を裏面22という。また、主面21及び裏面22を合わせて表面という。なお、主面21としては、(0001)面や(000−1)面、これらの面から数度のオフ角を設けた表面等を例示することができる。(なお、本明細書では、ミラー指数の表記において、“−”はその直後の指数につくバーを意味する)。
<1>ウェハ形状形成工程
本発明の一実施の形態において、ウェハ形状形成工程S10は、結晶成長させた単結晶SiCの塊を円柱状のインゴット10に加工するインゴット成形工程S11と、インゴット10の結晶方位を示す目印となるよう、外周の一部に切欠きを形成する結晶方位成形工程S12と、単結晶SiCのインゴット10をスライスして薄円板状のSiCウェハ20に加工するスライス工程S13と、修正モース硬度15未満の砥粒を用いてSiCウェハ20を平坦化する平坦化工程S14と、刻印25を形成する刻印形成工程S15と、外周部23を面取りする面取り工程S16と、を含む。
以下、各工程について説明を加える。
<1−1>インゴット成形工程
インゴット成形工程S11は、結晶成長させた単結晶SiCの塊を円柱状のインゴット10に加工する工程である。このインゴット10は、通常、円柱の長手方向が<0001>方向となるよう加工される。
本発明のSiCウェハの製造方法においては、後行の工程である平坦化工程S14とエッチング工程S21との組み合わせにより、このインゴット成形工程S11にて導入されたSiCウェハの歪や傷を除去することができる。
<1−2>結晶方位成形工程
結晶方位成形工程S12は、インゴット成形工程S11にて形成したインゴット10の結晶方位を示す目印となるよう、外周の一部に切欠きを形成する工程である。この切欠きとしては、<11−20>方向と平行な平面(オリエンテーションフラット(オリフラ)24)や、<11−20>方向の両端に設けられる溝(ノッチ)等を例示することができ、SiC単結晶の結晶方位を特定することができるよう形成される。
本発明のSiCウェハの製造方法においては、後行の工程である平坦化工程S14とエッチング工程S21との組み合わせにより、この結晶方位成形工程S12にて導入されたSiCウェハの歪や傷を除去することができる。
<1−3>スライス工程
スライス工程S13のスライス手段としては、複数本のワイヤーを往復運動させることでインゴット10を所定の間隔で切断するマルチワイヤーソー切断や、プラズマ放電を断続的に発生させて切断する放電加工法、インゴット10中にレーザーを照射・集光させて切断の基点となる層を形成するレーザーを用いた切断、等を例示できる。
このスライス工程S13にて切断される間隔により、SiCウェハ20の加工前厚さD1が決定される。この加工前厚さD1は、今後の工程で除去される単結晶SiC(素材ロス)を考慮した厚さに設定する。このように、加工前厚さD1は全ての加工工程を経た後の素材ロス量を考慮して設定されるため、その具体的な数値については、全ての加工工程についての説明を行った後に説明する。
<1−4>平坦化工程
平坦化工程S14は、スライス工程S13にてSiCウェハ20に導入されるうねりを除去する工程である。以下、平坦化工程S14において用いる砥粒の性質、加工方法及び加工条件について説明を加える。
(1)砥粒の性質
図8に示すように、従来法では、平坦化工程S17において修正モース硬度15のダイヤモンド砥粒を用いる。
一方、本発明のSiCウェハの製造方法は、修正モース硬度15未満の砥粒の存在下でSiCウェハ20を平坦化する平坦化工程S14(以下、ダイヤモンドレス研磨ともいう)を含むことを特徴とする。
修正モース硬度とは、タルクを1、ダイヤモンドを15としたときの、物質の硬さの尺度を示す値である。すなわち、本工程においては、ダイヤモンドの硬度未満の砥粒が用いられる。具体的な砥粒の材料としては、炭化ホウ素(BC)、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ(Al),等を例示することができる。このほかにも、修正モース硬度15未満の硬度を有する砥粒であれば当然に採用することができる。
このように、修正モース硬度15未満の硬度を有する砥粒を採用することにより、後述するエッチング工程S21(Si蒸気圧エッチング)にて除去される加工変質層30を薄く形成することができる。すなわち、加工対象であるSiCウェハ20との硬度差を小さくすることにより、SiCウェハ20表面深くに傷が導入されることを抑制し、Si蒸気圧エッチングを施すのに適した表面を形成することができる。
また、本工程において用いられる砥粒は、修正モース硬度13以上の砥粒であることが望ましい。具体的な砥粒の材料としては、炭化ホウ素(BC)、炭化ケイ素(SiC)を例示することができる。
このように、修正モース硬度13以上の砥粒を採用することにより、SiCウェハ20を効率的に削ることができる。すなわち、加工対象であるSiCウェハ20と同等若しくはそれ以上の硬度を採用することにより、効率良く加工することができる。
中でも、砥粒のコストや加工速度を考慮すると、炭化ホウ素(BC)砥粒を採用することが望ましい。すなわち、炭化ホウ素(BC)砥粒は安価で手に入れることができ、炭化ケイ素砥粒と比較して高速で効率よく加工することができる。
本発明のSiCウェハの製造方法においては、少なくとも平坦化工程S14の開始段階において、平均砥粒径が、好ましくは20μm以上、より好ましくは40μm以上の砥粒を用いることが好ましい。
平坦化工程S14の開始段階において、用いる砥粒の平均砥粒径の下限を上記範囲に設定することによって、大きな加工速度で迅速にSiCウェハ20の表面を加工することができる。
また、本発明のSiCウェハの製造方法においては、少なくとも平坦化工程S14の開始段階において、平均砥粒径が、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下の砥粒を用いることが好ましい。
平坦化工程S14の開始段階において、用いる砥粒の平均砥粒径の上限を上記範囲に設定することによって、平坦化工程S14によってSiCウェハ20に導入される加工変質層の深さを低減することができる。
また、本発明のSiCウェハの製造方法においては、少なくとも平坦化工程S14の終盤、すなわち終了直前から終了時にかけて、平均砥粒径が、好ましくは20μm未満、より好ましくは10μm以下の砥粒を用いることが好ましい。
平坦化工程S14の終盤において、用いる砥粒の平均砥粒径の上限を上記範囲に設定することによって、平坦化工程S14によってSiCウェハ20に導入される加工変質層の深さを低減することができる。
本発明のSiCウェハの製造方法においては、少なくとも平坦化工程S14の終盤において、平均砥粒径が、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上の砥粒を用いることが好ましい。
平坦化工程S14の開始段階において、用いる砥粒の平均砥粒径の下限を上記範囲に設定することによって、SiCウェハ20の表面を効率的に加工することができる。
なお、本明細書中の説明において、平均砥粒径というときは、日本工業規格(JIS)R6001−2:2017に準拠する平均粒子径のことである。
また、本発明においては、平坦化工程S14において破砕される程度の脆性を有する砥粒を用いることが好ましい。より具体的には、以下の脆性条件を充足する素材で構成された砥粒を用いることが好ましい。
(脆性条件)加工圧力150g/cmの条件で、平均砥粒径40μmに調整された砥粒を用いて、SiCウェハの表面を遊離砥粒方式で両面同時に平坦化したとき、加工時間20分経過後に平均砥粒径が20μm以下となる。
このような脆性条件を充足する砥粒は平坦化工程S14において破砕され、平均砥粒径が小さくなる性質を示す。
ここで、平坦化工程S14において用いる砥粒の平均砥粒径は加工速度に影響を与える。より具体的には、大きい砥粒を用いる場合には大きな加工速度を実現でき、小さい砥粒を用いた場合には加工速度が小さくなる関係にある。
そのため、上記脆性条件を充足する砥粒を用いることにより、平坦化工程S14の開始段階においては大きな加工速度で迅速にSiCウェハ20の表面を加工することができる一方、加工が進むと砥粒が破砕され、加工速度が漸次小さくなり、工程の最終段階においてはSiCウェハ20の表面への繊細な加工を実現し、加工変質層30の深さを最低限まで抑えることができる。
これにより平坦化工程S14の時短化と、後述するエッチング工程S21に供するに適したSiCウェハ20の表面状態を実現することができる。
このような脆性条件を充足する砥粒としては、上述した修正モース硬度15未満の砥粒を挙げることができる。
(2)加工方法
平坦化工程S14に適用可能な方式としては、定盤に微細な砥粒をかけ流しながら加工を行う遊離砥粒方式(ラッピング研磨等)や、砥粒をボンド材に埋め込んだ砥石で加工を行う固定砥粒方式(グラインド研削等)がある。より好ましくは、遊離砥粒方式が好適に用いられる。なお、砥粒は水や分散剤と混合された混合液(スラリー)として滴下されることが望ましい。
本工程において使用される加工装置としては、従来の固定砥粒方式及び遊離砥粒方式で使用される汎用型の加工装置を採用することができる。また、両面同時に加工する方式であっても良いし、片面を加工する方式であってもよい。
平坦化工程S14においては、砥粒を破砕しながらSiCウェハ20を加工することが望ましい。すなわち、加工前の平均砥粒径と加工後の平均砥粒径を比較したとき、加工後は破砕され、砥粒径が細かくなっていることが望ましい。
上述した通り、平坦化工程S14において用いる砥粒の平均砥粒径は加工速度に影響を与える。
そのため、砥粒を破砕しながら平坦化工程S14を行う実施の形態とすれば、平坦化工程S14の開始段階においては大きな加工速度で迅速にSiCウェハ20の表面を加工することができる。一方で、加工が進み砥粒が小さくなるにつれて加工速度が漸次小さくなり、工程の最終段階においてはSiCウェハ20の表面への繊細な加工を実現し、加工変質層30の深さを最低限まで抑えることができる。
これにより平坦化工程S14の時短化と、後述するエッチング工程S21に供するに適したSiCウェハ20の表面の表面状態を実現することができる。
なお、上で説明した修正モース硬度15未満の砥粒を用いることで、砥粒を破砕しながら平坦化工程S14を行う形態の発明の実施が可能である。
また、後述する平坦化工程S14における加工条件にて、砥粒を破砕しながら平坦化工程S14を行う形態の発明の実施が可能である。
砥粒を破砕しながら平坦化工程S14を行う形態にあっては、加工前の砥粒の平均砥粒径は、好ましくは20μm以上であり、より好ましくは40μm以上である。
加工前の状態で上記範囲の平均砥粒径を有する砥粒を用いることで、平坦化工程S14の開始段階における迅速な加工が可能となる。
一方、加工後の平均砥粒粒子が、好ましくは20μm未満、より好ましくは10μm以下となるように、砥粒を破砕しながら平坦化工程S14を行うことが好ましい。
加工後の平均砥粒粒子が上記範囲となるように、砥粒を破砕しながら平坦化工程S14を実行することで、SiCウェハ20に導入される加工変質層30の深さを低減することができる。これにより、後述するエッチング工程S21に供するに適したSiCウェハ20の表面状態を実現することができる。
以下に砥粒を破砕しながら平坦化工程S14を行う場合の具体例を挙げる。
平均砥粒径40μmのBC砥粒を用いて、加工圧力150g/cm、加工時間20分の条件で平坦化工程S14を実施したところ、SiCウェハ20の加工変質層30深さは約3μmとなった。このとき加工後の平均砥粒径は10μm以下であった。この工程におけるSiCウェハ20の加工深さ20μmを加工時間で除することで得られた平均加工速度は1μm/分であった。
(3)加工条件
平坦化工程S14において遊離砥粒方式を採用する場合には、加工圧力は、100〜300g/cmであり、より好ましくは150〜200g/cmである。
また、遊離砥粒方式を採用する場合、本加工における定盤の回転数は、5〜20rpmであり、より好ましくは10〜15rpmである。
一方、固定砥粒方式を採用する場合には、従来法における粗研削工程S22及び仕上げ研削工程S23と同様の加工条件で、平坦化工程S14を実施することができる。具体的には砥石回転数1000〜1500rpm、切込みピッチ1〜3μm、前後送り150〜250m/分、左右送り15〜25m/分、加工速度50〜150μm/時、という条件を例示できる。
通常、スライス工程S13にてSiCウェハ20に導入されるうねりは片面につき30〜50μmである。そのため、この平坦化工程S14では、うねりを除くためにSiCウェハ20の主面21及び裏面22から30〜50μm深さまで加工を行う。そのため、平坦化工程S14に伴うウェハ一枚当たりの素材ロス量は、両面で60〜100μmである。
なお、平坦化工程S14における素材ロス量を低減させるため、SiCウェハ20に導入されるうねりが30μm以下となるようにスライス工程S13を行うことが好ましい。
この修正モース硬度15未満の砥粒を用いた平坦化工程S14における加工時間は、遊離砥粒方式にて片面加工を施す場合、好ましくは5〜30分であり、より好ましくは5〜15分である。また、遊離砥粒方式にて両面加工を施す場合、30〜50分であり、より好ましくは15〜25分である。
一方、修正モース硬度15の砥粒を用いた平坦化工程S17における加工時間は、遊離砥粒方式にて片面加工を施す場合には一般的に30〜50分であり、両面加工を施す場合には60〜100分である。
つまり、加工の時短化の観点においても、修正モース硬度15未満の砥粒を用いる平坦化工程S14を採用することが好ましい。
平坦化工程S14によって前の工程までの加工変質層は除去される一方、SiCウェハ20の表面には新たに加工変質層30が導入される。平坦化工程S14によって導入される加工変質層30の深さは、従来法の平坦化工程S17によって導入される加工変質層30の深さよりも小さい。以下、具体的に説明する。
従来法においては平坦化工程S17において通常、平均砥粒径が10μmのダイヤモンド砥粒を使用する(図8及び図9)。従来法の平坦化工程S17においては、使用したダイヤモンド砥粒の砥粒径と同程度の深さの加工変質層30が導入されると考えられている。そのため、通常用いられる砥粒径が10μmのダイヤモンド砥粒を使用した場合には、平坦化工程S17にて導入される加工変質層30の深さは、SiCウェハ20の片面につき10μm程度となるのが定説である。
一方、本発明における平坦化工程S14によってSiCウェハ20の表面に新たに導入される加工変質層30の深さは、SiCウェハ20の片面につき3μm以下である。
この通り、本発明の平坦化工程S14において導入される加工変質層30の深さは、従来法の平坦化工程S17において導入される加工変質層30と比較して小さい。
後行の工程である加工変質層除去工程S20においては、この平坦化工程S14又は平坦化工程S17にて導入された加工変質層30を全て除去する必要がある。そのため、SiCウェハ20に導入される加工変質層30の深さが小さい、修正モース硬度15未満の砥粒を用いた平坦化工程S14を採用することにより、従来法におけるダイヤモンド砥粒を用いた平坦化工程S17を採用した場合に比べ、後行の加工変質層除去工程S20における加工量や加工時間を低減させることができる。
また、ダイヤモンド砥粒を用いる従来法の平坦化工程S17においては、深いスクラッチがランダムに生じるため、品質管理の面で問題があった。
一方、修正モース硬度15未満の砥粒を用いる本発明における平坦化工程S14では、このようなスクラッチが生じにくく、品質管理の面で非常に有利である。
さらに、本発明における平坦化工程S14において導入される加工変質層30の深さは、3μm以下と小さく、そして均一である。後行のエッチング工程S21で行われるSi蒸気圧エッチングは、このような小さく均一な加工変質層30を最低限の素材ロス量で除去することに適している。
つまり、修正モース硬度15未満の砥粒を用いる平坦化工程S14と、エッチング工程S21を組み合わせることにより、素材ロスを顕著に低減できるのである。
<1−5>刻印形成工程及び面取り工程
本発明のSiCウェハの製造方法の好ましい一実施の形態では、ウェハ形状形成工程S10として、刻印形成工程S15と面取り工程S16を含む(図1及び図3)。
刻印形成工程S15は、SiCウェハ20の裏面22(又は主面21)に対して、レーザーを照射・集光し、SiCウェハ20表面を選択的に除去して刻印25を形成する工程である。刻印形成工程S15の刻印形成手段としては、レーザー加工等を例示できる。刻印25は、SiCウェハ20を識別するための情報(具体的には、文字、記号、バーコード等)を含む。
面取り工程S16は、SiCウェハ20の外周部23に対して、機械加工等により面取りを行う工程である。面取り工程S16の面取り手段としては、研削やテープ研磨等を例示できる。この面取りは、外周部23に所定の円弧を形成する丸み面取りであっても良いし、所定の角度で斜めに切り取る面取りであっても良い。
平坦化工程S14、刻印形成工程S15及び面取り工程S16の順序は図1及び図3に示したものに限定されないが、平坦化工程S14は刻印形成工程S15及び面取り工程S16よりも先んじて行うことが好ましい。
このように平坦化工程S14を先に実施することによりウェハのうねりを除去することで、刻印形成工程S15での刻印25形成や、面取り工程S16での面取り位置の決定を精度良く行うことができ、ウェハの均質性を高めることができる。
また、刻印形成工程S15と面取り工程S16の順序は特に限定されないが、図1及び図3に示すように刻印形成工程S15の後に面取り工程S16を実施しても良い。このように刻印形成工程S15を面取り工程S16の前に実施することで、主面21及び裏面22の管理を早い段階で行うことができ、製品管理上の問題が生じにくい。
また、面取り工程S16の後に刻印形成工程S15を実施してもよい。この場合には、ウェハ径のバラツキを抑制することができ、刻印24形成位置を精度良く決定することができる。
<2>加工変質層除去工程(エッチング工程)
加工変質層除去工程S20は、先行の工程でSiCウェハ20に導入された加工変質層30を除去する工程である。本発明のSiCウェハの製造方法においては、この加工変質層除去工程S20においてSi蒸気圧下で加熱することでSiCウェハ20をエッチングするエッチング工程S21を含む。
上述の通り、加工変質層除去工程S20は、先行の工程でSiCウェハ20に導入された加工変質層30を除去する工程である。そのため、図1及び図3に示すように、エッチング工程S21を含む加工変質層除去工程S20は、平坦化工程S14、刻印形成工程S15及び面取り工程S16を含むウェハ形状形成工程S10よりも後に行うことが好ましい。
本発明のSiCウェハの製造方法は、加工変質層除去工程S20における素材ロス量の低減という顕著な効果を有する。以下、詳細に説明する。
従来法における加工変質層除去工程S20は、ダイヤモンド砥粒を用いて粗く研削する粗研削工程(ステップS22)と、粗研削工程S22で用いた砥粒よりも粒径が細かいダイヤモンド砥粒を用いて細かく研削する仕上げ研削工程(ステップS23)と、を含む(図8及び図9)。
従来法における粗研削工程S22では、SiCウェハ20の主面21及び裏面22から10〜15μm深さまで加工を行う。そのため、粗研削工程S22に伴うウェハ一枚当たりの素材ロス量は、両面で20〜30μmである
また、この粗研削工程S22にかかる時間は、通常、両面で10〜15分である。
仕上げ研削工程S23の研削手段としては、粗研削工程S22と同様に、固定砥粒研磨等を例示できる。
通常、この仕上げ研削工程S23では、SiCウェハ20の主面21及び裏面22から3〜10μm深さまで加工を行う。そのため、仕上げ研削工程S23に伴うウェハ一枚当たりの素材ロス量は、両面で6〜20μmである。
また、この仕上げ研削工程S23にかかる時間は、通常、両面で6〜20分である。
この通り、従来法では、粗研削工程S22において20〜30μm、仕上げ研削工程S23において6〜20μmの素材ロスが生じる。つまり、加工変質層除去工程S20全体において合計30〜50μmの素材ロスが生じる。
一方、本発明のSiCウェハの製造方法においては、先行するウェハ形状形成工程S10における、修正モース硬度15未満の砥粒を用いる平坦化工程S14において導入される加工変質層30は、片面につき3μm以下と小さく、そして均一である。
ここで、本発明において採用するエッチング工程S21は、薄く均一な加工変質層30を除去するのに適している。具体的には、Si蒸気圧エッチングは、熱分解しやすい不安定サイトから優先的にエッチングし、除去するという特徴がある。そのため、平坦化工程S14にて導入された、上述のごとく薄く均一な加工変質層30に対してSi蒸気圧エッチングを施すことにより、加工変質層30を優先的にエッチングできるため、不必要な素材ロスの発生を抑制することができる。
つまり、片面につき3μm、両面で6μmという、従来法(合計30〜50μmの素材ロス)と比較して極めて小さい素材ロスのみをもって、先行のウェハ形状形成工程S10において導入された加工変質層30を除去できるのである。
この通り、本発明のSiCウェハの製造方法は、修正モース硬度15未満の砥粒を用いる平坦化工程S14と、エッチング工程S21との組み合わせによって、素材ロス量の顕著な低減を実現するのである。
必要十分量の加工変質層30を除去するという観点から、具体的には、エッチング工程S21においてSiCウェハ20の片面につき、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下、エッチングすることが望ましい。
また、エッチング工程S21においてSiCウェハ20の片面につき、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、エッチングすることが望ましい。
また、本発明のSiCウェハの製造方法は、加工変質層除去工程S20にて要する工程の簡易性においても優れている。以下、具体的に説明する。
従来法における粗研削工程S22では、平均砥粒径3〜10μmのダイヤモンド砥粒が採用されている。粗研削工程S22においては、使用するダイヤモンド砥粒の砥粒と同程度の深さの加工変質層30が導入される。そのため、平均砥粒径3〜10μmのダイヤモンド砥粒を使用した場合、粗研削工程S22にて導入される加工変質層30深さは、一般的に3〜10μm程度になると考えられている。
また、従来法における仕上げ研削工程S23では、平均砥粒径0.1〜3μmのダイヤモンド砥粒が採用されている。粗研削工程S22と同様に、仕上げ研削工程S23においても、使用するダイヤモンド砥粒の砥粒と同程度の深さの加工変質層30が導入される。そのため、平均砥粒径0.1〜3μmのダイヤモンド砥粒を使用した場合、この仕上げ研削工程S23にて導入される加工変質層30深さは、一般的に0.1〜3μm程度となると考えられている。
この通り、従来法では、ウェハ形状形成工程S10において導入された加工変質層30を除去するために、まず粗研削工程S22を行うが、この工程においても新たに加工変質層30が導入される。この新たに導入された加工変質層30を除去するために仕上げ研削工程S23を行う。
つまり、従来法では、SiCウェハ20の加工変質層30を除去するために多段階の工程を要し、工程の簡易性の面で課題があった。
一方、本発明のSiCウェハの製造方法は、先行するウェハ形状形成工程S10において導入される加工変質層30の除去を、エッチング工程S21の一工程で実現可能としている(図1及び図3)。
これは、先行するウェハ形状形成工程S10における、修正モース硬度15未満の砥粒を用いる平坦化工程S14において導入される加工変質層30が、片面につき3μm以下という従来法に比べて極めて小さい値であることに起因する。
つまり、本発明のSiCウェハの製造方法は、修正モース硬度15未満の砥粒を用いる平坦化工程S14と、エッチング工程S21との組み合わせによって、加工変質層除去工程S20の作業効率の大幅な向上を実現するのである。
さらに、従来法では、粗研削工程S22及び仕上げ研削工程S23において片面ずつ研削加工を行うことが一般的であるが、ウェハの取付け・取り外し作業等の手間が増大することに加え、トワイマン効果によるウェハの反りが発生してしまうという不具合があった。
一方、本発明のSiCウェハの製造方法にて採用するエッチング工程S21では、両面同時にエッチングすることが可能であるため、トワイマン効果によるウェハの反りが発生しない。
また、エッチング工程S21では、主面21及び裏面22以外の箇所(外周部23や刻印25周辺)に導入された加工変質層30をも除去することができ(図3参照)、SiCウェハ20の高品質化に貢献することができる。
以下、エッチング工程S21についてさらに詳細に説明を加える。
はじめに、図4を参照して、Si蒸気圧エッチングにて使用される装置構成例について説明する。次いでSi蒸気圧エッチングのエッチング機構とエッチング条件について説明する。
(1)装置構成
本工程においては、図4に示すように、SiCウェハ20が収容される坩堝40と、この坩堝40を加熱可能な高温真空炉50と、を備える装置を用いることが好ましい。
坩堝40は、上容器41と、この上容器41に嵌合可能な下容器42と、SiCウェハ20を支持する支持台43と、を備えている。上容器41の壁面(上面,側面)及び下容器42の壁面(側面,底面)は複数の層から構成されており、外部側から内部空間側に向かって順に、タンタル層(Ta)、タンタルカーバイド層(TaC及びTaC)、及びタンタルシリサイド層(TaSi又はTaSi等)を有している。
このタンタルシリサイド層は、加熱を行うことで、内部空間にSiを供給する。また、坩堝40にはタンタル層及びタンタルカーバイド層が含まれるため、周囲のC蒸気を取り込むことができる。これにより、加熱時に内部空間内を高純度のSi雰囲気とすることができる。なお、タンタルシリサイド層を設けることに代えて、固体のSi等を内部空間に配置しても良い。この場合、加熱時に固体のSiが昇華することで、内部空間内を高純度のSi雰囲気とすることができる。
支持台43は、SiCウェハ20の主面21及び裏面22の両方を露出させるように支持することが可能である。
高温真空炉50は、本加熱室51と、予備加熱室52と、坩堝40を予備加熱室52から本加熱室51へ移動可能な移動台53と、を備えている。本加熱室51は、SiCウェハ20を1000℃以上2300℃以下の温度に加熱することができる。予備加熱室52は、SiCウェハ20を本加熱室51で加熱する前に予備加熱を行うための空間である。
本加熱室51には、真空形成用バルブ54と、不活性ガス注入用バルブ55と、真空計56と、が接続されている。真空形成用バルブ54は、本加熱室51の真空度を調整することができる。不活性ガス注入用バルブ55は、本加熱室51内に不活性ガス(例えばArガス)を導入し、この圧力を調整することができる。真空計56は、本加熱室51内の真空度を測定することができる。
本加熱室51の内部には、ヒータ57が備えられている。また、本加熱室51の側壁及び天井には熱反射金属板が固定されており(図示せず)、この熱反射金属板は、ヒータ57の熱を本加熱室51の略中央部に向けて反射させるように構成されている。
これにより、SiCウェハ20を強力かつ均等に加熱し、1000℃以上2300℃以下の温度まで昇温させることができる。なお、ヒータ57としては、例えば、抵抗加熱式のヒータ又は高周波誘導加熱式のヒータを用いることができる。
(2)エッチング機構
SiCウェハ20を坩堝40内に収容し、高純度のSi蒸気圧下で1500℃以上2200℃以下の温度範囲で高温真空炉50を用いて加熱を行う。この条件でSiCウェハ20が加熱されることで、表面がエッチングされる。このエッチングの概要を以下1)〜4)に示す。
1) SiC(s)→Si(v)I+C(s)
2) TaxSiy→Si(v)II+Tax’Siy’
3) 2C(s)+Si(v)I+II→SiC(v)
4) C(s)+2Si(v)I+II→SiC(v)
1)の説明:SiCウェハ20(SiC(s))がSi蒸気圧下で加熱されることで、熱分解によってSiCからSi原子(Si(v)I)が脱離する。
2)の説明:タンタルシリサイド層(TaxSiy)からSi蒸気(Si(v)II)が供給される。
3)及び4)の説明:熱分解によってSi原子(Si(v)I)が脱離することで残存したC(C(s))は、Si蒸気(Si(v)I及びSi(v)II)と反応することで、SiC又はSiC等となって昇華する。
上記1)〜4)の反応が持続的に行われ、結果としてエッチングが進行する。
(3)エッチング条件
Si蒸気圧エッチングにおける加熱温度は、1500〜2200℃であり、より好ましくは1800〜2000℃である。
本加工における加工速度(エッチング速度)は、0.1〜10μm/minである。
本加工における本加熱室51の真空度は、10−5〜10Paであり、より好ましくは10−3〜1Paである。
本加工における不活性ガスはArであり、この不活性ガスを導入することによって真空度を調整する。
本加工における加工時間は、加工速度に対して所望のエッチング量となるよう任意の時間を設定することができる。例えば、加工速度が1μm/minの時に、エッチング量を3μmとしたい場合には、加工時間は3分となる。
なお、このエッチング工程S21の前に仕上げ研削工程S23や仕上げ研磨工程を含んでも良い。このように仕上げ研削工程S23や仕上げ研磨工程をエッチング工程S21前に行うことにより、エッチング後のSiCウェハ20の平坦度を向上させることができる。
<3>鏡面研磨工程
本発明のSiCウェハの製造方法の一実施の形態は鏡面研磨工程S30を含む。
鏡面研磨工程S30は、研磨パッドの機械的な作用とスラリーの化学的な作用を併用して研磨を行う化学機械研磨(CMP)工程(ステップS31)を含んでいる。
この化学機械研磨工程S31は、後のデバイス製造工程に好ましい表面状態である鏡面に加工する工程である。なお、図3ではSiCウェハ20の主面21を鏡面化する様子を示しているが(二点鎖線部分)、主面21及び裏面22の両面を鏡面化しても良い。
通常、化学機械研磨工程S31では、SiCウェハ20の表面から0.5〜1.5μm深さまで加工を行う。そのため、化学機械研磨工程S31に伴うウェハ一枚当たりの素材ロス量は、片面加工の場合0.5〜1.5μmであり、両面加工の場合1〜3μmである。
また、この化学機械研磨工程S31にかかる時間は、通常、片面の研磨で15〜45分、両面の研磨で30〜90分である。
なお、従来法における化学機械研磨工程S31は、加工変質層除去工程S20における仕上げ研削工程S23にて新たに導入された加工変質層30を除去する技術的意義を有する(図8及び図9)。一方、本発明のSiCウェハの製造方法においては、先行のエッチング工程S21において加工変質層30を全て除去することが可能である。そのため、本発明のSiCウェハの製造方法における化学機械研磨工程S31においては、加工変質層30を除去するという技術的な意義は従来法に比べて薄い。
<4>まとめ
表1に従来法と本発明のSiCウェハの製造方法の各工程における素材ロス量、導入される加工変質層30の深さについてまとめる。
表1に示すように、従来法においては合計で87〜152μmの素材ロスが生じる。特に従来法では各工程で導入される加工変質層30を確実に除去するため、SiCウェハ20一枚当たり100μm以上を除去するのが一般的である。
一方、本発明のSiCウェハの製造方法における素材ロス量は61〜108μmである。この通り、本発明によれば、SiCウェハの製造における素材ロス量を大幅に低減することが可能である。
また、スライス工程S13においてインゴット10から切り出すSiCウェハ20の加工前厚さD1は、この素材ロス量を指標に設定される。つまり最終的に得たいSiCウェハ20の厚さD(表面加工終了時おけるSiCウェハ20の厚さ)に素材ロス量を加算した厚みを加工前厚さD1に設定する。
この通り、表面加工の終了後におけるSiCウェハの厚みに素材ロス量を加算して、加工前厚さD1を決定する。ここでいう「表面加工」とは、平坦化工程S14、エッチング工程S21及び化学機械研磨工程S31のように、SiCウェハ20の厚さを減少させる加工のことをいう。
つまり、後行の工程により厚さがそれ以上減少しない時点にまで至ったSiCウェハ20の厚さに対して、素材ロス量を加算して、加工前厚さD1を設定する。
したがって、SiCウェハ20の厚みDに、下限として61μm以上、より好ましくは62μm以上、さらに好ましくは63μm以上の厚みを加算したものを加工前厚さD1に設定することが好ましい。
また、SiCウェハ20の厚みDに、上限として108μm以下、より好ましくは106μm以下、さらに好ましくは96μm以下の厚みを加算したものを加工前厚さD1に設定することで、一つのインゴット10からより多くのSiCウェハ20を製造することができる。
また、上述の通り、従来法ではSiCウェハ20一枚当たり100μm以上を除去するのが一般的である。そのため、SiCウェハ20の厚みDに、上限として100μm以下、より好ましくは100μm未満の厚みを加算したものを加工前厚さD1に設定することが好ましい。これにより、一般的に行われる従来法を使用したときに比べて、多くのSiCウェハ20を製造することができる。
さらに、表1に示すように、従来法では素材ロス量の下限が87μmである。そのため、SiCウェハ20の厚みDに、上限として87μm以下、より好ましくは87μm未満、より好ましくは80μm以下の厚みを加算したものを加工前厚さD1に設定することが好ましい。これにより、従来法では実現困難な高い取り量でSiCウェハ20を製造することができる。
なお、スライス工程S13から鏡面研磨工程S30までを経たSiCウェハ20の厚みDは、典型的には100〜600μm、より典型的には150〜550μm、さらに典型的には200〜500μm、さらに典型的には250〜450μm、さらに典型的には300〜400μmを例示することができる。
つまり、これら典型的なSiCウェハ20の厚みに、本発明のSiCウェハの製造方法による素材ロス量を加算して、加工前厚さD1を設定することが好ましい。
具体的には、本発明のSiCウェハの製造方法によって厚さDが350μmであるSiCウェハ20を最終生産物として得たい場合には、加工前厚さD1が下限として411μm以上、より好ましくは412μm以上、さらに好ましくは413μm以上であるSiCウェハ20をスライス工程S13において得ることが好ましい。
また、加工前厚さD1が上限として458μm以下、より好ましくは456μm以下、さらに好ましくは450μm以下、さらに好ましくは450μm未満、さらに好ましくは446μm以下、さらに好ましくは437μm以下、さらに好ましくは437μm未満であるSiCウェハ20をスライス工程S13において得ることが好ましい。
また、従来法においては、スライス工程S13後〜化学機械研磨工程S31後までの総加工時間は、91〜180分である。
一方、本発明においては、スライス工程S13後〜化学機械研磨工程S31後までの総加工時間は、23〜63分である。
このように、本発明のSiCウェハの製造方法は、加工時間の短縮の観点からも有効である。
<1>SiCウェハの製造
以下の方法で実施例1、比較例1及び比較例2のSiCウェハを製造した。
<実施例1>
(スライス工程)
平均砥粒径10μmのダイヤモンド砥粒を含むスラリーを用いて、単結晶SiCインゴットをスライスし、6インチ径のSiCウェハを得た。
(平坦化工程)
このSiCウェハについて、平均砥粒径40μmのBC砥粒を含むスラリーを用いた遊離砥粒方式で、加工圧力を150g/cm、定盤回転数は15rpm、ヘッド回転数は5rpm、加工時間は20分、加工速度は約1.0μm/分、の条件で平坦化した。
このとき、平坦化工程の終了時におけるBC砥粒の平均砥粒径は10μmであった。
(エッチング工程)
平坦化工程後のSiCウェハに対し、エッチング量3μm(加工時間約3min、加工速度1μm/min)の条件でSi蒸気圧エッチングを施した。
<比較例1>
(スライス工程)
実施例1と同じ条件でスライス工程を実施し6インチ径のSiCウェハを得た。
(エッチング工程)
得られたSiCウェハについて実施例1と同じ条件でSi蒸気圧エッチングを施した。
<比較例2>
(スライス工程)
実施例1と同じ条件でスライス工程を実施し6インチ径のSiCウェハを得た。
(平坦化工程)
このSiCウェハについて、平均砥粒径30μmのダイヤモンド砥粒を含む砥石(ビトリファイトボンド)を用いた固定砥粒方式で、以下の条件で平坦化を行った。
砥石回転数:1250rpm
切込みピッチ:2μm
前後送り:190m/分
左右送り:21m/分
加工速度:100um/時間
(エッチング工程)
実施例1と同じ条件でSi蒸気圧エッチングを施した。
<2>加工変質層の観察と評価
実施例1、比較例1及び比較例2のSiCウェハについて、透過型電子顕微鏡(TEM)にて断面を観察した。その結果を図5、図6及び図7に示す。なお、各図面における(a)は(0001)面側を50nm角の範囲で拡大した断面TEM像であり、(b)は(000−1)面側を50nm角の範囲で拡大した断面TEM像である。
この断面TEM像に基づき、以下の方法により変質層の有無及びその深さを評価した。
[評価方法]断面TEM像を数nmの加工変質層が確認できる倍率まで拡大し、表面側とバルク側のコントラストを比較し、コントラスト差がある場合には「加工変質層がある」と評価し、コントラスト差が無い場合には「加工変質層が無い」と評価する。
「加工変質層がある」場合には、断面TEM像に基づきその深さを計測した。
その結果、実施例1のSiCウェハには加工変質層は観察されなかった。
一方、比較例1のSiCウェハには、(0001)面側にて12nmの加工変質層が、(000−1)面側にて28nmの加工変質層が、それぞれ観察された。
また、比較例2のSiCウェハには、(0001)面側にて10nmの加工変質層が、(000−1)面側にて43nmの加工変質層が、それぞれ観察された。
これらの結果から、SiCウェハの製造において、修正モース硬度15未満の砥粒を用いてSiCウェハを平坦化する平坦化工程と、Si蒸気圧下で加熱してSiCウェハをエッチングするエッチング工程を組み合わせることで、片面につき3μmという少ない素材ロスで加工変質層が除去されたSiCウェハを製造できることが分かった。
10 インゴット
20 SiCウェハ
30 加工変質層
40 坩堝
50 高温真空炉

Claims (7)

  1. 修正モース硬度15未満の砥粒の存在下でSiCウェハを平坦化する平坦化工程と、
    Si蒸気圧下で加熱することで前記SiCウェハをエッチングするエッチング工程と、を含むことを特徴とする、SiCウェハの製造方法。
  2. 前記砥粒は、修正モース硬度13以上の砥粒であることを特徴とする、請求項1に記載のSiCウェハの製造方法。
  3. 前記砥粒は、炭化ホウ素砥粒及び/又は炭化ケイ素砥粒であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のSiCウェハの製造方法。
  4. 前記平坦化工程は、遊離砥粒方式であることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載のSiCウェハの製造方法。
  5. 前記エッチング工程によって、前記SiCウェハがエッチングされる量が、片面につき10μm以下であることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載のSiCウェハの製造方法。
  6. 前記SiCウェハの外周部を面取りする面取り工程と、
    前記SiCウェハの表面に刻印を形成する刻印形成工程と、をさらに含み、
    前記面取り工程と前記刻印形成工程は、前記エッチング工程前に行われることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載のSiCウェハの製造方法。
  7. 前記SiCウェハの外周部を面取りする面取り工程と、
    前記SiCウェハの表面に刻印を形成する刻印形成工程と、をさらに含み、
    前記面取り工程と前記刻印形成工程は、前記平坦化工程後に行われることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載のSiCウェハの製造方法。

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