JP2020015451A - 車両用フェンダ構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】フェンダパネルにおける狙い通りの部位を補強することができる補強部材を備える車両用フェンダ構造を得る【解決手段】フェンダパネル12を車両幅方向内側から支持する補強部材32には、上下端部に第1係合部44及び第2係合部54が設けられており、フェンダパネルの上端部及び下端部にそれぞれ係合可能とされている。また、第1係合部44及び第2係合部54がフェンダパネル12に係合された状態では、補強部材32の車両上下方向中間部に設けられたバネ部36の弾性復元力により、第1係合部44と第2係合部54が互いに離間する車両上下方向へ付勢されている。これにより、第1係合部44と第2係合部54がフェンダパネル12の上端部と下端部に押し当てられて、フェンダパネル12に対する補強部材32の位置決めが良好に維持される。その結果、フェンダパネル12における狙い通りの部位を補強することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、車両用フェンダ構造に関する。
車両用フェンダ構造として、特許文献1には、フェンダパネルの車両幅方向内側に発泡樹脂製のブロック体を配置して、フェンダの剛性や衝撃吸収性を向上させる構造が開示されている。このブロック体は、弾性変形により縮小された状態でフェンダパネルの下端部に形成された隙間から挿入される。その後、ブロック体が弾性復帰すると、ブロック体がフェンダパネルの車両幅方向内側面とサブメンバに押し当てられた状態となり、ブロック体の位置決めがなされている。
特開2018−065501号公報
しかしながら、上記先行技術では、走行時の振動等の影響を受けてブロック体が変形すると、ブロック体の組み付け時の位置を維持することが難しいと考えられる。このため、フェンダパネルにおける狙い通りの部位を補強するという点において、改善の余地がある。
本発明は上記事実を考慮し、フェンダパネルにおける狙い通りの部位を補強することができる補強部材を備える車両用フェンダ構造を得ることを目的とする。
請求項1に記載の車両用フェンダ構造は、車体前部側面に配置されたフェンダパネルと、前記フェンダパネルよりも車両幅方向内側に配置されると共に車両上下方向及び車両幅方向に延在され、前記フェンダパネルを車両幅方向内側から支持する補強部材と、前記補強部材の上端部に設けられ、前記フェンダパネルの上端部に係合可能とされた第1係合部と、前記補強部材の下端部に設けられ、前記フェンダパネルの下端部に係合可能とされた第2係合部と、前記補強部材の車両上下方向中間部に設けられ、前記第1係合部及び前記第2係合部が前記フェンダパネルの上端部及び下端部にそれぞれ係合された状態で、弾性復元力により前記第1係合部及び前記第2係合部を互いに離間する車両上下方向へ付勢するバネ部と、を含んで構成されている。
請求項1に記載の車両用フェンダ構造では、フェンダパネルを車両幅方向内側から支持する補強部材によって、フェンダパネルが補強されている。この補強部材は、上端部に第1係合部が設けられ、下端部に第2係合部が設けられており、フェンダパネルの上端部及び下端部にそれぞれ係合可能とされている。また、第1係合部及び第2係合部がフェンダパネルに係合された状態では、補強部材の車両上下方向中間部に設けられたバネ部の弾性復元力により、第1係合部と第2係合部が互いに離間する車両上下方向へ付勢されている。これにより、第1係合部と第2係合部がフェンダパネルの上端部と下端部に押し当てられて、フェンダパネルに対する補強部材の位置決めが良好に維持される。その結果、フェンダパネルにおける狙い通りの部位を補強することができる。
請求項2に記載の車両用フェンダ構造は、請求項1に記載の車両用フェンダ構造において、前記バネ部の車両上下方向両側には車両前後方向に沿って延在された補強リブが一体に形成されている。
請求項2に記載の車両用フェンダ構造では、補強部材における前記バネ部の車両上下方向両側に車両前後方向に沿って延在された補強リブが一体に形成されている。このため、補強部材の剛性が高められ、ひいては、この補強部材によって支持されるフェンダパネルの剛性がさらに向上される。
請求項3に記載の車両用フェンダ構造は、請求項1又は請求項2に記載の車両用フェンダ構造において、前記補強部材は、前記フェンダパネルと前記フェンダパネルよりも車両幅方向内側に配置され前記フェンダパネルの取付相手となる車体側構成部材との間の隙間を埋めるように形成されている。
請求項3に記載の車両用フェンダ構造では、補強部材がフェンダパネルと車体側構成部材との間の隙間を埋めるように形成されている。このため、走行時に車体前部のグリル等から導入された走行風が、フェンダパネルと車体側構成部材との間を抜ける際に補強部材に当たって折り返され、車両前部側に流れやすくなる。これにより、走行風が車両前部を通って車両下方側へ流れやすくなり、車両前部に設けられたパワーユニット室の冷却性能が高められている。
請求項4に記載の車両用フェンダ構造は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用フェンダ構造において、前記バネ部は、車両幅方向から見て蛇行するように湾曲された板状をなし、車両上下方向に沿って弾性変形可能とされている。
請求項4に記載の車両用フェンダ構造では、バネ部は、車両幅方向から見て蛇行するように湾曲された板状とされている。このため、例えば、車両前後方向から見て蛇行するように湾曲されたバネ部を設ける場合に比べて、車両幅方向に沿った荷重の入力に対し、補強部材がバネ部を起点に曲げ変形されることが抑制される。これにより、車両の側突時に、フェンダパネルが補強部材から効果的に反力を得ることができ、フェンダパネルの変形を抑制することができる。
請求項5に記載の車両用フェンダ構造は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用フェンダ構造において、前記バネ部は、車両幅方向から見て四角形状の閉断面部を有し、該閉断面部は前記補強部材の車両上下方向に沿った中心線に対して左右対称に形成されると共に、該中心線に沿って対角線が配置され、車両上下方向に沿って弾性変形可能とされている。
請求項5に記載の車両用フェンダ構造のバネ部では、車両幅方向から見て四角形状の閉断面部が車両上下方向に沿って弾性変形可能とされている。この閉断面部は、補強部材の車両上下方向に沿った中心線に対して左右対称に形成されると共に、該中心線に沿って対角線が配置されている。このため、該中心線の車両幅方向両側を均等に弾性変形させることができる。これにより、補強部材を車両上下方向に沿って弾性変形させてフェンダパネルへ組み付けた際の安定性が向上される。
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る車両用フェンダ構造によれば、フェンダパネルに対する補強部材の位置決めが良好に維持されて、フェンダパネルにおける狙い通りの部位を補強することができるという優れた効果を奏する。
請求項2に記載の本発明に係る車両用フェンダ構造によれば、補強部材によって支持されるフェンダパネルの剛性が向上されるという優れた効果を奏する。
請求項3に記載の本発明に係る車両用フェンダ構造によれば、車両前部に設けられたパワーユニット室の冷却性能が高められるという優れた効果を奏する。
請求項4に記載の本発明に係る車両用フェンダ構造によれば、車両の側突時に、フェンダパネルが補強部材から効果的に反力を得ることができ、フェンダパネルの変形を抑制することができるという優れた効果を奏する。
請求項5に記載の本発明に係る車両用フェンダ構造によれば、補強部材を車両上下方向に沿って弾性変形させてフェンダパネルへ組み付けた際の安定性を向上することができるという優れた効果を奏する。
第1実施形態に係る車両用フェンダ構造の全体構成を示す組み付け状態の縦断面図である(図3の1−1線断面図)。 第1実施形態に係る車両用フェンダ構造が適用された車両の一部を示す斜視図である。 図2に示されるフェンダパネルの側面図である。 図1に示される車両用フェンダ構造の組み付け状態をフェンダパネルの車両幅方向内側から見た部分斜視図である。 図1に示される車両用フェンダ構造の組み付け状態をフェンダパネルの車両幅方向内側から見た部分側面図である。 図1に示される補強部材の斜視図である。 (A)〜(C)は、第1実施形態に係る補強部材の変形例を示す図6に対応する斜視図である。 第2実施形態に係る補強部材を示す図6に対応する斜視図である。 第2実施形態に係る車両用フェンダ構造の組み付け状態を示す図5に対応する側面図である。
[第1実施形態]
以下、図1〜図7を用いて、本発明に係る車両用フェンダ構造の第1実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、進行方向を向いた場合の左右を示すものとする。
図2には、本実施形態に係る車両用フェンダ構造が適用された車両10の一部を車両左前方から見た斜視図が示されている。また、図3には、図2に示されるフロントフェンダパネル12を車両左側から見た側面図が示されている。
これらの図に示されるように、車両10の車両前部両側面には樹脂製のフロントフェンダパネル12(以下、単に「フェンダパネル12」ともいう。)がそれぞれ配設されている。フェンダパネル12は、前輪14の上方側に配置されて意匠面を構成する外側縦壁部12Aを備えている。この外側縦壁部12Aは、板状に形成されており、下端部12A1は前輪14に沿った円弧形状とされている。また、外側縦壁部12Aの上端部12A2は、車両10の車体前部上面を構成しパワーユニット室20の開閉を可能とするフード16の車両幅方向外側部に沿って配置されている。また、外側縦壁部12Aの後端部12A3はフロントピラー18の前部かつ車両上下方向中間部に外側から重ねられている。
図1は、図3に示されるフェンダパネル12を1−1線に沿って切断したときの組み付け状態を車両後方側から見て示した縦断面図である。この図に示されるように、フェンダパネル12の外側縦壁部12Aは、車両幅方向外側に凸となるように緩やかに湾曲されている。また、フェンダパネル12の上端部は、外側縦壁部12Aの上端部12A2から屈曲垂下された内側縦壁部12Bと、この内側縦壁部12Bの下端部からパワーユニット室20側へ水平に折り曲げられたフェンダ取付部12Cと、を含んで構成されている。さらに、上記フェンダ取付部12Cには、フェンダ取付部12Cの下面12C1から下方側に延在され、車両前後方向に間隔をあけて配置された一対の第1固定リブ26が一体に形成されている(図5参照)。この一対の第1固定リブ26の間には、後述する補強部材32の上端部に設けられた第1係合部44が挿入される。
一方、フェンダパネル12の下端部は、外側縦壁部12Aの下端部12A1から車両上方かつ若干車両幅方向内側に延在された折り返し部12Dを含んでいる。この折り返し部12Dの車両幅方向外側面には車両幅方向外側に立設され、車両前後方向に間隔をあけて配置された一対の第2固定リブ28が一体に形成されている(図5参照)。この一対の第2固定リブ28の間には、後述する補強部材32の第2係合部54が挿入される。
また、図1に示されるように、折り返し部12Dの車両幅方向内側面には、フェンダライナー30の車両幅方向外端部が接合されている。フェンダライナー30は、一例として樹脂製とされており、前輪14が収容されるホイールハウス(符号省略)の上部を覆うように湾曲された板体として構成されている。これにより、走行時、前輪14から飛散する雨水や路面の砂等がフェンダライナー30で跳ね返され、砂等がフェンダパネル12と車体との間に侵入するのを防いでいる。
上記フェンダパネル12における外側縦壁部12Aの上端部12A2の下方側には、エプロンアッパメンバ24が配設されている。エプロンアッパメンバ24は、車両前後方向に沿って延在された中空長尺状の車体骨格部材である。エプロンアッパメンバ24は、車両10の車両幅方向両側で車両前後方向に沿って延在された左右一対のフロントサイドメンバ(図示省略)の車両幅方向外側かつ上方側に配置されている。エプロンアッパメンバ24の前端部は連結部材(図示省略)を介してフロントサイドメンバに連結されており、エプロンアッパメンバ24の後端部はフロントピラー18の前部かつ車両上下方向中間部に連結されている。なお、エプロンアッパメンバ24及びフェンダライナー30が本発明における「車体側構成部材」に相当する。
本実施形態の車両用フェンダ構造では、フェンダパネル12のフェンダ取付部12Cとエプロンアッパメンバ24の上面24Aとの間に車両前後方向(エプロンアッパメンバ24の長手方向)に所定の間隔で配置された複数のブラケット(図示省略)が架け渡されている。これにより、当該ブラケットを介してフェンダパネル12の上端部が車体側構成部材としてのエプロンアッパメンバ24に支持されている。
次に、本実施形態の要部である補強部材32について詳細に説明する。
図1〜図6に示されるように、補強部材32は、フェンダパネル12よりも車両幅方向内側に配置され、車両上下方向及び車両幅方向に延在されている。また、本実施形態の補強部材32は樹脂製として構成されている。なお、図4では、説明の便宜上、フェンダライナー30の図示を省略している。
構造的には、補強部材32は、組付け状態において補強部材32の上部を構成する第1本体部34と、補強部材の中間部を構成するバネ部36と、補強部材の下部を構成する第2本体部38と、を主要部として構成されている。
(第1本体部34)
第1本体部34は、平板状の基部40と、基部40の周縁部から立設する周壁部42と、基部40の車両幅方向内端部に設けられた第1係合部44と、を含んで構成されている。また、第1本体部34は、基部40の平面部から車両前後方向に立設する補強リブ46を備えている。基部40は、平板状に形成され、車両前後方向を厚み方向として車両上下方向に延在している。この基部40は、車両前後方向から見て三角形状をなしており、上方側へ向かうにつれて先細りしている。そして、補強部材の組み付け状態では、基部40の上端部40Aが、フェンダパネル12の上端部を構成する外側縦壁部12Aと内側縦壁部12Bとの間に挿入されている。これにより、フェンダパネル12に対する第1本体部34の車両幅方向の位置決めがされている。
また、基部40の車両幅方向外側部は、組み付け状態でフェンダパネル12における外側縦壁部12Aの上部に沿う形状とされており、車両幅方向外側に凸をなすように緩やかな曲線状をなしている。また、基部40の車両幅方向外側部には、車両上下方向に沿って車両幅方向外側に凸をなす複数(本実施形態では2つ)の当接部48が形成されている。この当接部48は、組み付け状態において外側縦壁部12Aの車両幅方向内側面に当接している。これにより、フェンダパネル12の上部が第1本体部34によって車両幅方向内側から支持され、フェンダパネル12の面剛性(張り剛性)が高められている。
一方、基部40の車両幅方向内側部の上部は、基部40の上端部40Aから屈曲垂下されている。また、基部40の車両幅方向内側部の下部は、この第1本体部34の車両幅方向内側かつ下方に配置されたエプロンアッパメンバ24の外形に沿う形状とされている。
また、基部40における上端部40Aの車両幅方向内側部には、第1係合部44が形成されている。第1係合部44は、基部40から車両幅方向内側へ立設されており、車両上下方向に長尺な板体状とされている。図4に示されるように、補強部材32の組み付け状態では、この第1係合部44がフェンダパネル12の上端部に形成された一対の第1固定リブ26の間に挿入される。これにより、フェンダパネル12に対する第1本体部34の車両前後方向の位置決めがされている。また、後述するバネ部36の弾性復元力により、第1係合部44の上端部がフェンダ取付部12Cの下面に押し当てられている。このため、フェンダパネル12に対する第1本体部34の車両上下方向の位置決めがされている。
図6に示されるように、基部40の周縁部には、この周縁部を囲むように車両前後方向両側に立設された周壁部42が一体に形成され、第1本体部34とフェンダパネル12との接触面を安定させている。この周壁部42は、車両前後方向から見て三角形状の閉断面部を構成している。
補強リブ46は、基部40の車両前後方向両面における平面部に一体に形成されており、基部40の前後方向両側から、車両前後方向に沿ってそれぞれ立設されている。これにより、基部40の面剛性が高められている。また、補強リブ46は、上記周壁部42によって形成された閉断面部の内部を車両幅方向に沿って架け渡されるように配置されており、車両上下方向に間隔を空けて複数(本実施形態では2つ)設けられている。さらに、この補強リブ46は、基部40の車両幅方向外側部に形成された当接部48と重なり合う部位に配置されている。これにより、フェンダパネル12から当接部48を介して補強部材32に伝達された荷重は、当該補強リブ46に効率的に伝達される構成とされている。
(バネ部36)
図5には、本実施形態に係る補強部材32を車両幅方向内側から見た側面図が示されている。また、図5には、補強部材の長手方向(車両上下方向)に沿った中心線Cが示されている。
この図に示されるように、補強部材32の中間部には、板状のバネ部36が設けられており、バネ部36の上下方向両側にそれぞれ配置された第1本体部34、及び、第2本体部38と一体に形成されている。バネ部36は、基部40の下端部から補強部材の中心線Cに沿って蛇行しながら下方側へ延在している。具体的には、基部40の下端部から中心線Cに沿って延出され、その後、車両前方へ所定の長さL1分延出され、第1屈曲部36Aで車両後方へ折り返される。そして、中心線Cに対して車両後方へ所定の長さL1分延出された後、第2屈曲部36Bで折り返されて、再度車両前方へ延出された後、中心線Cに沿って下方側へ延出されている。また、バネ部36は、車両前後方向から見て略矩形状に形成され、車両幅方向外側部がフェンダパネル12の中間部に沿った形状とされ、車両幅方向内側部がエプロンアッパメンバ24の外形に沿った形状とされている。
上記構成のバネ部36は、バネ部36に対して中心線Cに沿った外力を加えると、中心線Cの車両前後方向両側に配置された第1屈曲部36A及び第2屈曲部36Bを起点に曲げ変形し、車両上下方向に沿って縮小又は伸長するように弾性変形する。
(第2本体部38)
バネ部36の下方側には、第2本体部38設けられている。なお、この第2本体部38の基本的な要素は上述した第1本体部34と同様であり、平板状の基部50と、基部50の周縁部から立設する周壁部52を含んで構成されている。また、基部50の下端部50Aに設けられた第2係合部54と、基部50の平面部から車両前後方向に立設する補強リブ56を備えている。
基部50は、平板状に形成され、車両前後方向を厚み方向として車両上下方向に延在している。この基部50は、車両前後方向から見て逆三角形状をなしており、下方側へ向かうにつれて先細りしている。
また、基部50の車両幅方向外側部は、組み付け状態でフェンダパネル12における外側縦壁部12Aの下部に沿うように形成されており、車両幅方向外側に凸をなすように緩やかな曲線状をなしている。また、基部50の車両幅方向外側部には、上述した第1本体部34と同様の当接部48が、車両上下方向に沿って複数(本実施形態では2つ)設けられている。これにより、フェンダパネル12の下部が第2本体部38によって車両幅方向内側から支持されている。一方、基部50の車両幅方向内側部の上部は、第2本体部38の車両幅方向内側に配置されたエプロンアッパメンバ24の外径に沿う形状とされている。また、基部50の車両幅方向内側部の下部は、第2本体部38の車両幅方向内側かつ下方側に配置されたフェンダライナー30の外形に沿うように車両幅方向外側に凸をなす曲線状をなしている(図1参照)。
図5及び図6に示されるように、基部50の下端部50Aには第2係合部54が形成されている。第2係合部54は、基部50の下端部50Aから下方側へ立設されており、車両上下方向に長尺な板体状とされている。図4に示されるように、補強部材32の組み付け状態では、この第2係合部54がフェンダパネル12の外側縦壁部12Aの下端部12A1と折り返し部12Dとの間に形成された一対の第2固定リブ28の間に挿入されている。これにより、フェンダパネル12に対する第2本体部38の車両幅方向及び車両前後方向の位置決めがなされている。さらに、バネ部36の弾性復元力により、第2本体部38の下端部(下端部50A)が、一対の第2固定リブ28の上端部に押し当てられている。このため、フェンダパネル12に対する第2本体部38の車両上下方向の位置決めがされている。なお、上記第1固定リブ26と当該第2固定リブ28は、補強部材32の中心線Cに沿って配置されている。
さらに、基部50の周縁部には、この周縁部を囲むように車両前後方向両側に立設された周壁部52が一体に形成されている。この周壁部52は、車両前後方向から見て逆三角形状の閉断面部を構成している。また、基部50の平面部には、この平面部から車両前後方向両側に延在された補強リブ56が形成されている。この周壁部52と補強リブは、上記周壁部42及び補強リブ46と同様の構成であるため説明を割愛する。
図1に示されるように、上記構成の補強部材32は、車両前後方向から見て、フェンダパネル12とエプロンアッパメンバ24との間の隙間を埋めるように形成されている。このため、車両の衝突時にフェンダパネル12に車両側方から荷重が入力され、フェンダパネル12が車両幅方向内側へ変形された場合には、補強部材32を介してエプロンアッパメンバ24から迅速に反力を得ることができる。さらに、補強部材32に形成された基部40、50及び補強リブ46、56を圧壊させて衝撃エネルギーを吸収する構成とされている。
また、本実施形態の補強部材32は、フェンダパネル12とエプロンアッパメンバ24及びフェンダライナー30等の車体側構成部材との間に形成される隙間をシールするシール部材としての機能を有する。これにより、走行時、車体前部から導入される走行風によるパワーユニット室20の冷却性能を向上させている。
補足説明すると、図2に示されるように、走行時に車両10の車体前部に設けられたグリル22から導入された走行風(図2に示す白抜き矢印参照。)はその一部がフェンダパネル12とエプロンアッパメンバ24及びフェンダライナー30との間を通り抜けようとする。本実施形態では、このような走行風が補強部材32に当たって折り返されてパワーユニット室20側に導入される。これにより、グリル22から導入され、パワーユニット室20を通って車両下方側へ通り抜ける風量が増加するため、パワーユニット室20の冷却性能が向上する構成とされている。
以上説明した車両用フェンダ構造の組み付け作業は、先ず、補強部材32をフェンダパネル12に組み付け、次いで、フェンダパネル12を車両10へ取り付けることにより行われる。補強部材32のフェンダパネル12への組み付けは、補強部材32のバネ部36を車両上下方向に縮小するように弾性変形させながら行われる。具体的には、作業者は、先ず、補強部材32の上端部又は下端部の一方を対応するフェンダパネル12の上端部又は下端部に嵌合させた状態にし、補強部材32の他端部を把持しながらバネ部36を弾性変形させて縮小し、他端部を対応するフェンダパネル12の上端部又は下端部に嵌合させる。これにより、補強部材32のフェンダパネル12への組み付け作業が完了する。
この状態では、第1本体部34の第1係合部44がフェンダパネル12の上端部に形成された一対の第1固定リブ26に嵌合されている。また、第2本体部38の第2係合部54をフェンダパネルの下端部に形成された一対の第2固定リブ28に挿入されている。そして、補強部材32のバネ部36が弾性復帰することにより、第1係合部44と第2係合部54とが車両上下方向に沿って互いに離間する方向に付勢されている。
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
本実施形態の車両用フェンダ構造では、フェンダパネル12を車両幅方向内側から支持する補強部材32によって、フェンダパネル12が補強されている。この補強部材32は、上端部に第1係合部44が設けられ、下端部に第2係合部54が設けられており、フェンダパネル12の上端部及び下端部にそれぞれ係合可能とされている。また、第1係合部44及び第2係合部54がフェンダパネル12に係合された状態では、補強部材32の車両上下方向中間部に設けられたバネ部36の弾性復元力により、第1係合部44と第2係合部54が互いに離間する車両上下方向へ付勢されている。これにより、第1係合部44と第2係合部54がフェンダパネル12の上端部と下端部に押し当てられて、フェンダパネル12に対する補強部材の位置決めが良好に維持される。その結果、フェンダパネルにおける狙い通りの部位を補強することができる。
また、本実施形態では、補強部材32におけるバネ部36の車両上下方向両側に、車両前後方向に沿って延在された補強リブ46、56が一体に形成されている。このため、補強部材32を構成する第1本体部34及び第2本体部38の剛性が高められている。その結果、この補強部材32によって支持されるフェンダパネル12の面剛性(張り剛性)をさらに向上させることができる。
また、本実施形態では、補強部材32がフェンダパネル12とエプロンアッパメンバ24との間の隙間を埋めるように形成されている。このため、走行時に車両10の車体前部のグリル22から導入された走行風が、フェンダパネル12とエプロンアッパメンバ24との間を抜ける際に補強部材32に当たって折り返され、車両前部側に流れやすくなる。これにより、走行風が車両前部を通って車両下方側へ流れやすくなり、車両前部(に設けられたパワーユニット室20の冷却性能を高めることができる。
また、本実施形態では、補強部材32の中間部に配置されたバネ部36は、車両幅方向から見て蛇行するように湾曲された板状に形成されている。このため、例えば車両前後方向から見て蛇行するように湾曲されたバネ部を設ける場合に比べて、車両幅方向に沿った荷重の入力に対し、補強部材32がバネ部36を起点に曲げ変形されることが抑制される。これにより、車両の側突時に、フェンダパネル12が補強部材32から効果的に反力を得ることができ、フェンダパネル12の変形を抑制することができる。
また、上記バネ部36は車両上下方向に弾性変形可能であるため、フェンダライナー30に雨水や路面の砂等が当たり、フェンダパネル12の下端部に振動が伝達されても、バネ部36によって振動の増幅を抑制することができる。これにより、フェンダパネル12から車体を介して車室内に騒音、振動が伝わりにくくなるため、車室内の防音、防振効果を高めることができる。
また、本実施形態では、補強部材32とフェンダパネル12とは、補強部材32の車両幅方向外側部に設けられた複数の当接部48において当接している。このため、車両幅方向外側部全体がフェンダパネルの車両幅方向内側面に当接する補強部材を適用する場合と比べて、各部材の製造時のバラつきを吸収しながら組み付けることができる。
また、本実施形態では、第1本体部34の基部40及び第2本体部38の基部50に
形成された補強リブ46、56は、基部40、50の車両幅方向外側部に形成された当接部48と重なり合う部位に配置されている。これにより、フェンダパネル12に入力された荷重を補強部材32の基部40、50と補強リブ46、56へ効率的に伝達することができる。その結果、フェンダパネルの面剛性(張り剛性)を更に向上させることができる。
また、本実施形態では、樹脂製として構成されたフェンダパネル12の車両幅方向内側に補強部材32を組み付けることによりフェンダパネル12の剛性を向上させている。このため、フェンダパネルの車両幅方向内側面に補強用のリブを一体形成する構成と比べて、フェンダパネル12の意匠性及び剛性上の設計の自由度が高められている。つまり、樹脂製のフェンダパネルに補強用のリブを一体形成する場合、フェンダパネルの剛性を高めるという点では、リブの板厚を増加させることが望ましいが、反面、板厚が増加することにより、フェンダパネルの意匠面にヒケが発生する虞がある。そのため、フェンダパネルに補強用のリブを一体成型する構成では、意匠性、又は剛性の少なくとも一方の点で設計上の制約が生じる。これに対して本実施形態では、フェンダパネル12に別体として組み付けられる補強部材32によってフェンダパネル12の剛性を向上することができるため、フェンダパネル12の意匠性及び剛性上の設計の自由度が高められている。
また、本実施形態では、フェンダパネル12と補強部材32とがいずれも樹脂製とされているため、鉄製や鋼製とする場合と比べてフェンダパネル12の剛性を確保しつつ、フェンダパネル12の軽量化を図ることができる。
さらに、本実施形態では、予め、フェンダパネル12を車体側に組み付ける前に補強部材32の組み付け作業を行うことができる。このため、フェンダパネルを車体に組み付けた後に補強部材の組み付けを行う車両用フェンダ構造と比べて、補強部材32を組み付ける際の作業性が良好であり、組み付け時の補強部材の位置決めを正確に行うことができる。
[第2実施形態]
次に、図8及び図9を用いて、本発明に係る車両用フェンダ構造の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一符号を付してその説明を省略する。これらの図に示されるように、この第2実施形態に係る車両用フェンダ構造では、補強部材60のバネ部62が、車両幅方向から見て、四角形状の閉断面部64を有している点に特徴がある。
本実施形態のバネ部62は、上記した第1実施形態と同様に樹脂製とされ、補強部材60の中間部を構成している。このバネ部62は、上端部と下端部がそれぞれ第1本体部34の下端部と第2本体部38の上端部に連結されている。バネ部62は、車両前後方向から見て略矩形状に形成され、第1実施形態に係るバネ部36と同様に、フェンダパネル12の中間部とエプロンアッパメンバ24との間の隙間を埋めるように形成されている。
また、図9に示されるように、バネ部62は、車両幅方向から見て、四角形状の閉断面部64を有している。閉断面部64は、補強部材60の車両上下方向に沿った中心線Cに対して左右対称に形成されており、該中心線Cに沿って対角線D(図9参照)が配置されている。つまり、車両上下方向両端部、及び、車両前後方向両端部にそれぞれ角部64Aが配置されている。
上記構成のバネ部62では、閉断面部64に対して中心線Cに沿って外力を加えると、中心線Cの車両前後方向両側に配置された角部64Aを起点に曲げ変形し、車両上下方向に沿って縮小又は伸長するように弾性変形する。これにより、上記第1実施形態に係るバネ部36と同様に、補強部材60をフェンダパネル12に組み付ける際は、閉断面部64を車両上下方向に縮小させるように弾性変形させた状態にして組付けが行われる。そして、補強部材60がフェンダパネル12に組付行けられた状態では、閉断面部64が車両上下方向に伸長する方向に弾性復帰して、第1本体部34の第1係合部44と第2本体部38の第2嵌合部とを互いに離間する方向に付勢している。
(作用・効果)
本実施形態においても、前述した第1実施形態の構成を基本的には踏襲しているので、同様の作用・効果が得られる。
また、本実施形態の補強部材60では、バネ部62を構成する閉断面部64が車両上下方向に沿って弾性変形可能とされている。この閉断面部64は、補強部材60の車両上下方向に沿った中心線Cに対して左右対称に形成されると共に、該中心線Cに沿って対角線Dが配置されている。このため、該中心線Cの車両幅方向両側を均等に弾性変形させることができる。これにより、補強部材32を車両上下方向に沿って弾性変形させてフェンダパネル12へ組み付けた際の安定性が向上される。
〔実施形態の補足説明〕
上述した第1実施形態では、バネ部36の車両上下方向両側に補強リブ46、56、及び周壁部42、52をそれぞれ設ける構成としたが、本発明はこれに限らない。図7(A)に示される補強部材70のように、補強リブ46、56、及び周壁部42、52を設けない構成としてもよい。
又は、図7(B)に示される補強部材80のように、バネ部36の車両上下方向両側に補強リブ46、56を設けて、周壁部42、52を設けない構成としてもよい。
又は、図7(C)示される補強部材90のように、バネ部36の車両上下方向両側に周壁部42、52を設けて、補強リブ46、56を設けない構成としてもよい。なお、上記した補強部材70、80、90において、バネ部36の替わりに第2実施形態と同様のバネ部62を適用してもよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、フェンダパネル12と補強部材32、60は、補強部材32、60の車両幅方向外側部に設けられた当接部48を介して当接する構成としたが、本発明はこれに限らない。例えば、補強部材の車両幅方向外側部全域がフェンダパネル12に当接する構成にしてもよい。又は、補強部材を構成するバネ部を除く部位において、車両幅方向外側部の全域をフェンダパネル12に当接させる構成にしてもよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、補強部材32、60の上端部及び下端部に車両上下方向に長尺な板体状に形成された第1係合部44及び第2係合部54を設け、フェンダパネル側に一対の第1固定リブ26及び第2固定リブ28を設ける構成とした。しかしながら、本発明はこれに限らず、補強部材の上端部及び下端部にそれぞれ一対のリブを設ける構成とし、当該一対のリブの間に挿入される板体をフェンダパネルの上端部及び下端部にそれぞれ設けて嵌合させる構成としてもよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、フェンダパネル12を樹脂製としたが、これに限らず、鋼、鉄、アルミニウム合金等の金属製としてもよい。同様に、補強部材32も樹脂製に限らず金属製としてもよい。
また、第1実施形態ではバネ部36の形状を車両幅方向から見て蛇行するように湾曲した形状としたが、本発明はこれに限らず、車両前後方向から見て蛇行するように湾曲した形状としてもよい。
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
10 車両
12 フロントフェンダパネル
24 エプロンアッパメンバ(車体側構成部材)
30 フェンダライナー(車体側構成部材)
32 補強部材
36 バネ部
44 第1嵌合部
46 補強リブ
54 第2嵌合部
56 補強リブ
60 補強部材
62 バネ部
64 閉断面部
70 補強部材
80 補強部材
90 補強部材
C 中心線
D 対角線

Claims (5)

  1. 車体前部側面に配置されたフェンダパネルと、
    前記フェンダパネルよりも車両幅方向内側に配置されると共に車両上下方向及び車両幅方向に延在され、前記フェンダパネルを車両幅方向内側から支持する補強部材と、
    前記補強部材の上端部に設けられ、前記フェンダパネルの上端部に係合可能とされた第1係合部と、
    前記補強部材の下端部に設けられ、前記フェンダパネルの下端部に係合可能とされた第2係合部と、
    前記補強部材の車両上下方向中間部に設けられ、前記第1係合部及び前記第2係合部が前記フェンダパネルの上端部及び下端部にそれぞれ係合された状態で、弾性復元力により前記第1係合部及び前記第2係合部を互いに離間する車両上下方向へ付勢するバネ部と、
    を含んで構成される車両用フェンダ構造。
  2. 前記バネ部の車両上下方向両側には車両前後方向に沿って延在された補強リブが一体に形成されている、
    請求項1に記載の車両用フェンダ構造。
  3. 前記補強部材は、前記フェンダパネルと前記フェンダパネルよりも車両幅方向内側に配置され前記フェンダパネルの取付相手となる車体側構成部材との間の隙間を埋めるように形成されている、
    請求項1又は請求項2に記載の車両用フェンダ構造。
  4. 前記バネ部は、車両幅方向から見て蛇行するように湾曲された板状をなし、車両上下方向に沿って弾性変形可能とされている、
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用フェンダ構造。
  5. 前記バネ部は、車両幅方向から見て四角形状の閉断面部を有し、該閉断面部は前記補強部材の車両上下方向に沿った中心線に対して左右対称に形成されると共に、該中心線に沿って対角線が配置され、車両上下方向に沿って弾性変形可能とされている、
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用フェンダ構造。
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