JP2020012012A - フェノール樹脂、フェノール樹脂の製造方法、熱硬化性樹脂組成物、硬化物、半導体封止材および半導体装置 - Google Patents

フェノール樹脂、フェノール樹脂の製造方法、熱硬化性樹脂組成物、硬化物、半導体封止材および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス転位温度および耐熱分解性が高い硬化物を得るために有用であるとともに、溶融粘度が低いフェノール樹脂を提供する。【解決手段】式(1)で示される2種の繰り返し単位を含み、150℃における溶融粘度が50mPa・s以上400mPa・s以下であるフェノール樹脂。(p1、p2、p3は同一または異なってもよく、0または1であり、q1、q2、q3は同一または異なってもよく、0、1または2であり、m、nは特定の数、R1、R2、R3はメチル基である。)【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物の成分として有用なフェノール樹脂、その製造方法、上記のフェノール樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物、当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物、当該熱硬化性樹脂組成物を含む半導体封止材、および上記硬化物を含む半導体装置に関する。
近年の情報通信機器の高機能化、高密度化などの性能向上に従い、プリント配線板にも、それに適応した性能が求められている。プリント配線板を形成する絶縁材料として熱硬化性樹脂組成物の硬化物が用いられており、熱硬化性樹脂組成物の中でも、価格面や接着性などの観点からエポキシ系化合物を含有するエポキシ樹脂組成物が汎用されている。
エポキシ樹脂組成物は、電気・電子部品に用いられるにあたり、用途に応じた特性の一層の向上が求められる。例えば、厳しい環境下で使用される車載用半導体や高電圧を用いる電子部品などに用いられる場合、エポキシ樹脂組成物の特性として、ガラス転移温度(Tg)が高く、耐熱分解性に優れることが求められる。ガラス転位温度および耐熱分解性の高い硬化物を得るためのエポキシ樹脂組成物の構成について種々検討されている。
例えば、特許文献1には、フェノール、レゾルシン、4,4’−ジ(クロロメチル)ビフェニルを反応させて得られたフェノールノボラック樹脂と、エピクロルヒドリンとを反応させてエポキシ樹脂を生成することが記載されている。
特許文献2には、2価のフェノール骨格を特定割合で有するエポキシ化合物およびフェノール化合物、ならびに特定の共重合物を含有する組成物が記載されている。
特開2013− 43958号公報 特開2016−160317号公報
特許文献1および特許文献2に記載の組成物は、熱分解温度が高いビフェニルアラルキル樹脂をベースにフェノールの一部をレゾルシンなどに変更することで官能基数を増やし、耐熱分解性に優れるビフェニルアラルキル樹脂の特性を維持したまま、硬化物のガラス転位温度を高くするものである。しかし、エポキシ樹脂組成物の成分として用いられるフェノール樹脂を硬化物のガラス転位温度が高くなるように設計すると、フェノール樹脂の溶融粘度が高くなるという問題がある。特許文献1および2には、硬化物のガラス転位温度が高くなるようにフェノール樹脂を設計するとその溶融粘度が高くなるという問題およびフェノール樹脂の溶融粘度を低くするための手段についての記載はない。
本発明は、ガラス転位温度および耐熱分解性が高い硬化物を得るために有用であるとともに、溶融粘度が低いフェノール樹脂、その製造方法、上記のフェノール樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物、当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物、当該熱硬化性樹脂組成物を含む半導体封止材、および上記硬化物を含む半導体装置を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために提供される本発明は次のとおりである。
[1]下記の式(A)および/または式(B)で示される単位を備える成分を含有しており、150℃における溶融粘度が50〜400mPa・sであるフェノール樹脂。

(式(A)および式(B)におけるp2、p3は同一または異なってもよく、0または1であり、q2、q3は同一または異なってもよく、0、1または2であり、R、Rはメチル基である。)
[2]重量平均分子量が700以上1300以下である[1]に記載のフェノール樹脂。
[3]水酸基当量が120g/eq以上170g/eq以下である[1]または[2]に記載のフェノール樹脂。
[4]ビスフェノールFを含有している[1]から[3]のいずれか1項に記載のフェノール樹脂。
[5]レゾルシンとホルムアルデヒドとを反応させる第1反応と、前記第1反応の生成物、1価のフェノール類、および下記一般式(2)で示されるビフェニル化合物をスルホン酸触媒存在下で反応させる第2反応と、を備えるフェノール樹脂の製造方法。

(式(2)中Xは、メトキシ基、水酸基またはハロゲンである。)
[6]前記第2反応における反応温度を140℃以上とする[5]に記載のフェノール樹脂の製造方法。
[7]前記スルホン酸触媒がトリフルオロメタンスルホン酸である[5]または[6]に記載のフェノール樹脂の製造方法。
[8][1]から[4]のいずれか一項に記載のフェノール樹脂、エポキシ樹脂および硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂組成物。
[9][8]の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物。
[10]前記熱硬化性樹脂組成物を硬化させる温度が160℃以上250℃以下である[9]に記載の硬化物。
[11][8]に記載の熱硬化性樹脂組成物を含む半導体封止材。
[12][9]または[10]に記載の硬化物を含む半導体装置。
本発明によれば、ガラス転位温度および耐熱分解性の高い硬化物を得るために有用であるとともに、その溶融粘度が低く取扱い性がよいフェノール樹脂およびその製造方法、上記のフェノール樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物、当該熱硬化性樹脂組成物の硬化物、当該熱硬化性樹脂組成物を含む半導体封止材、および上記硬化物を含む半導体装置が提供される。
実施例1において、130℃で2時間反応させBMMBが消失したことを確認した時点のフェノール樹脂のGPCチャートである。 実施例1において、BMMBが消失したことを確認した後、150℃に昇温して7時間反応させて中和し、未反応の化合物を留去して得られたフェノール樹脂(a−1)のGPCチャートである。 実施例1により得られたフェノール樹脂(a−1)のFD−MSチャートである。 実施例2において、130℃で2時間反応させてBMMBが消失したことを確認した時点のフェノール樹脂のGPCチャートである。 実施例2において、BMMBが消失したことを確認した後、150℃に昇温して7時間反応させて中和し、未反応の化合物を留去して得られたフェノール樹脂(a−2)のGPCチャートである。 実施例3において、130℃で2時間反応させBMMBが消失したことを確認した時点のフェノール樹脂のGPCチャートである。 実施例3において、BMMBが消失したことを確認した後、150℃に昇温して7時間反応させて中和し、未反応の化合物を留去して得られたフェノール樹脂(a−3)のGPCチャートである。 比較例1により得られたフェノール樹脂(a−4)のGPCチャートである。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の一実施形態に係るフェノール樹脂(a)は、下記の式(A)および/または式(B)で示される単位すなわち式(A)および/または式(B)で示される構造の部位を備える成分を含有しており、150℃における溶融粘度が50mPa・s以上400mPa・s以下である。
(式(A)および式(B)におけるp2、p3は同一または異なってもよく、0または1であり、q2、q3は同一または異なってもよく、0、1または2であり、R、Rはメチル基である。)
フェノール樹脂(a)は、下記一般式(1)で示すことができる。

(一般式(1)のn、mは、フェノール樹脂の成分が備える[]で囲まれた繰り返し単位の平均値であり、nは0.10以上4.0以下であり、mは0.10以上2.0以下であり、n+mは1以上であり、p1、p2、p3は同一または異なってもよく、0または1であり、q1、q2、q3は同一または異なってもよく、0、1または2であり、R、R、Rはメチル基である。)
一般式(1)は、フェノール樹脂の成分が[]で囲まれた単位(A)および/または単位(B)を備えることを示しており、フェノール樹脂の成分における単位(A)と単位(B)との位置関係を特定していない。
フェノール樹脂(a)の溶融粘度を低くする観点から、フェノール樹脂の成分が備える単位(A)の数の平均値nは0.10以上4.0以下が好ましく、0.50以上3.0以下がより好ましく、1.0以上2.0以下がさらに好ましい。同様の観点から、フェノール樹脂の成分が備える単位(B)の数の平均値mは0.10以上2.0以下が好ましく、0.15以上1.0以下がより好ましく、0.20以上0.50以下がさらに好ましい。
単位(A)の平均値nと単位(B)の平均値mとの合計n+mの上限は、溶融粘度が低いフェノール樹脂(a)とする観点から、2以下が好ましく、1.8以下がさらに好ましい。その下限は1以上であり、好ましくは1.5以上である。
また、同様の観点から、一般式(1)のp1、p2およびp3の合計(p1+p2+p3)は、0.10以上1.0以下が好ましく、0.20以上0.80以下がより好ましく、0.25以上0.60以下がさらに好ましい。
本実施形態のフェノール樹脂(a)を構成する成分が備える単位(A)の平均値n、単位(B)の平均値m、およびp1+p2+p3は、各原料の反応率によって得られた値をいう。1価のフェノール類および2価のフェノール類の反応率は、未反応分を分析および樹脂の取得量により求めて算出し、ホルマリン(ホルムアルデヒド)および後述する一般式(2)で示されるビフェニル化合物の反応率は、仕込み量を用いて算出する。
上記の本発明の一実施形態に係るフェノール樹脂は、次に説明する製造方法により製造することができる。
本実施形態に係るフェノール樹脂の製造方法は、レゾルシンとホルムアルデヒドとを反応させる第1反応と、第1反応の生成物、1価のフェノール類、および下記一般式(2)で示されるビフェニル化合物をスルホン酸触媒存在下で反応させる第2反応と、を備えている。

(一般式(2)中Xは、メトキシ基、水酸基またはハロゲンである。)
第1反応は、レゾルシンとホルムアルデヒド(ホルマリン)とを反応させて、第2反応において用いられる生成物を得るための工程であり、以下の反応式により示される。

(oは1以上の整数)
原料として用いられるレゾルシンとホルムアルデヒドとの仕込み量や反応条件は、第1反応が適切に進行するように適宜設定される。レゾルシン(C)の仕込み量に対するホルムアルデヒド(D)のモル比率(C/D)は、1.0以上3.0以下が好ましく、1.5以上2.5以下がより好ましい。
第1反応は、水の発生を伴うため、水分を適切に系外に排出することなどを考慮して、反応温度などの反応条件を設定することが好ましい。当該考慮事項を踏まえた第1反応の反応温度として、例えば、70℃以上110℃以下が挙げられる。
第1反応の反応溶媒としては、一般式(2)で示されるビフェニル化合物、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。溶媒の除去に必要な工程を少なくして製造効率を向上させる観点から、第2反応の原料として用いられる一般式(2)で示されるビフェニル化合物を溶融して第1反応の溶媒として用いることが好ましい。
第2反応は、上述した第1反応の生成物、1価のフェノール類、および上述した一般式(2)で示されるビフェニル化合物をスルホン酸触媒存在下で反応させて、フェノール樹脂を生成する工程である。
第2反応の反応温度は、上記反応が適切に進行する温度とすればよいが、溶融粘度が低いフェノール樹脂を製造する観点から、高い温度とすることが好ましい。第2反応の反応温度を高くすることにより、第2反応により生成したフェノール樹脂の分解反応が生じる。この分解反応によって、第2反応で生成したフェノール樹脂の平均分子量が小さく、分子量分布が狭くなり、製造されるフェノール樹脂の溶融粘度を低くすることができる。第2反応の反応温度は、溶融粘度の低いフェノール樹脂を生成する観点から、140℃以上が好ましく、145℃以上がより好ましく、150℃以上がさらに好ましい。
第2反応を140℃以上の高温条件下で行うことにより、例えば、数平均分子量(Mn)が500以上700以下であり、重量平均分子量(Mw)が700以上1300以下であり、Mw/Mnが1.6以上1.9以下であるフェノール樹脂が生成される。本発明において、フェノール樹脂のMnおよびMwは、後述する実施例に示す方法を用いてGPCにより測定した値をいう。
取扱い性の観点から、樹脂の150℃における溶融粘度は、一般に、50mPa・s以上400mPa・s以下が好ましく、100mPa・s以上300mPa・s以下がより好ましい。第2反応を高温条件下で行うことにより、上記範囲の粘度を備えた取扱い性のよいフェノール樹脂を生成することができる。
第2反応では、フェノール樹脂の分解反応によってホルムアルデヒドが生成する。ホルムアルデヒドが第2反応の原料として用いられる1価のフェノールと反応することにより、ビスフェノールFが生成する。このため、本実施形態の製造方法によって製造されたフェノール樹脂はビスフェノールFを含有している。
第2反応によって生成されるフェノール樹脂の分子量分布を制御して、溶融粘度が低いフェノール樹脂とする観点から、フェノール樹脂中のビスフェノールFの含有量は1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。本発明において、フェノール樹脂中のビスフェノールFの含有量は、示差屈折検出器を用いてGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定したときのビスフェノールFに基づくピークの面積百分率をいう。
第2反応の反応速度が大きくなりすぎると、メタノールなどビフェニル化合物に基づく物質が一気に生成して反応溶液が噴き出すおそれがある。そこで、第2反応の反応速度を制御するために、反応条件を段階的または連続的に変化させてもよい。例えば、スルホン酸触媒を複数回に分割して添加して反応溶液内の触媒濃度を段階的に変化させたり、反応温度を段階的または連続的に変化させたりしてもよい。第2反応における触媒濃度と反応温度とを変化させる場合、これらの一方のみを変化させても、両方を同時に変化させてもよい。
例えば、第2反応においてスルホン酸触媒を二回に分けて添加するとともに、触媒濃度に応じて反応温度を変化させてもよい。この場合、スルホン酸触媒の濃度が低い条件の下で反応温度を120℃以上140℃未満程度とすることで、主にフェノール樹脂が生成される。その後、スルホン酸触媒の濃度を高くするとともに反応温度を140℃以上160℃未満程度とすることで、生成されたフェノール樹脂の分解反応を生じさせて、フェノール樹脂の分子量分布を制御することができる。
第2反応においてフェノール樹脂を生成する反応と、生成されたフェノール樹脂の分子量分布を制御する反応とを調整する観点から、スルホン酸触媒を二回に分けて添加する場合、最初に添加したスルホン酸触媒よりも二回目に追加されるスルホン酸触媒を多くすることが好ましい。
第2反応における反応速度を調整する観点から、一般式(2)で示されるビフェニル化合物中のXはメトキシ基が好ましい。
第2反応において用いられるスルホン酸触媒としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等が挙げられる。これらの中では、酸性が強いため少ない添加量で触媒として機能するトリフルオロメタンスルホン酸が好ましい。スルホン酸触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸を用いる場合、その添加量は、例えば反応溶液中の濃度を50ppm以上200ppm以下程度とすればよい。
第2反応において用いられる1価のフェノール類の具体例として、フェノール、ナフトール等の無置換1官能フェノール化合物、およびクレゾール、ジメチルフェノール、エチルフェノール等のアルキル置換1官能フェノール化合物が挙げられる。
第2反応において用いられる1価のフェノール類(E)の仕込み量に対するビフェニル化合物(F)のモル比率(E/F)は、2以上6以下が好ましく、3以上5以下がより好ましい。また、第1反応において用いられたレゾルシン(C)に対する1価のフェノール類(E)のモル比率(E/C)は、4以上9以下が好ましく、5以上7以下がより好ましい。レゾルシン(C)に対するビフェニル化合物(F)のモル比率(F/C)は、0.5以上2.5以下が好ましく、1.0以上2.0以下がより好ましい。
第2反応において生成されたフェノール樹脂に塩基を添加して、スルホン酸触媒を中和した後、減圧蒸留して反応溶液から未反応のフェノールを留去することにより、本実施形態のフェノール樹脂が得られる。スルホン酸触媒を中和する塩基としては、強塩基であるジアザビシクロウンデセンが好ましい。ジアザビシクロウンデセンの市販品としては、DBU:登録商標(サンアプロ(株)製)が挙げられる。
スルホン酸触媒および中和する塩基として、強酸、強塩基を用いることにより、生成されたフェノール樹脂に対する影響が小さくなるから、これらを取り除くための工程が不要となる。
(熱硬化性樹脂組成物)
本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、上述したフェノール樹脂、エポキシ樹脂および硬化促進剤を含有する。
エポキシ樹脂は公知のものを使用することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノール、ナフトールなどのキシリレン結合によるアラルキル樹脂のエポキシ化物、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などの2価以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が挙げられる。これらエポキシ樹脂は単独でも2種類以上を併用してもよい。
本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物における、フェノール樹脂とエポキシ樹脂との配合比は、フェノール樹脂に含まれる水酸基(G)と、エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基(H)の当量比(G/H)が0.7以上1.3以下の範囲にあることが好ましく、0.9以上1.1以下の範囲にあることが特に好ましい。本実施形態に係るフェノール樹脂の水酸基当量の範囲は特に限定されないが、一例として120g/eq以上170g/eq以下の範囲が挙げられる。
本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、さらに硬化促進剤を含んでいてもよい。かかる硬化促進剤の例としては、エポキシ樹脂の硬化促進剤として公知の物質を用いることができる。この様な効果促進剤としては例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどのホスフィン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレ−ト、テトラフェニルホスホニウムテトラナフトエ酸ボレ−トなどのホスホニウム塩、トリフェニルホスホニオフェノラ−ト、ベンゾキノンとトリフェニルホスフィンの反応物などのベタイン状有機リン化合物を挙げることができる。
上記の硬化促進剤の使用量は限定されない。硬化促進剤の機能に応じて適宜設定されるべきものである。
本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、さらに無機充填材を含んでいてもよい。かかる無機充填材としては、非晶性シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、ガラス、珪酸カルシウム、石膏、炭酸カルシウム、マグネサイト、クレー、タルク、マイカ、マグネシア、または硫酸バリウムなどを挙げることができる。中でも、非晶性シリカ、結晶性シリカなどが好ましい。
また優れた成形性を維持しつつ、充填材の配合量を高めるためには、細密充填を可能とするような粒度分布の広い球形の充填材を使用することが好ましい。その場合、粒径が0.1〜3μmの小粒径の球形無機充填材5〜40重量%、粒径が5〜30μmの大粒径の球形無機充填材95〜60重量%の割合で混合して使用するのが好ましい。
本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物が無機充填材を含有する場合において、無機充填材の配合量は無機充填材の種類や用途などに応じて適宜設定される。限定されない例として、無機充填材の配合量を熱硬化性樹脂組成物全体の60質量%〜95質量%とすることが挙げられる。
本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物には、さらに必要に応じて、溶剤、カップリング剤、離型剤、着色剤、難燃剤、低応力剤、増粘剤などを添加、あるいは予め反応して用いることができる。カップリング剤の例としては、ビニルシラン系、アミノシラン系、エポキシシラン系等のシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤などが挙げられる。
本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を加熱することにより、硬化物を得ることができる。かかる本発明の一実施形態に係る硬化物は、ガラス転位温度を高くすることを目的として設計されたフェノール樹脂を含有しているから、ガラス転位温度が高く耐熱分解性に優れている。
本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を硬化させる温度は、その硬化物の組成に応じて適宜設定される。限定されない例示として、160℃以上250℃以下の温度範囲で加熱することが挙げられる。
硬化のための具体的な作業も限定されない。例えば、本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を必要に応じて溶媒で希釈し、得られた希釈溶液を基材に塗工して、加熱により乾燥、硬化させる。得られた硬化塗膜を基材から剥すことにより、本発明の一実施形態に係る硬化物(硬化物フィルム)を得ることができる。本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を成形型内で硬化させることにより、成形材を得ることができる。本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物の硬化物をバインダーとしても用いてもよいし、コーティング材として用いてもよいし、硬化物を含む部材を積層材として用いてもよい。
本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物は、ガラス転位温度が高く、耐熱分解性に優れていることから、半導体装置を構成する部材として好適である。
本発明の一実施形態に係る半導体封止材は、本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を含んでいる。例えば、本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を溶剤に溶解させることにより、回路基板に塗布して絶縁層とするための半導体封止材(ワニス)とすることができる。
得られた半導体封止材を支持フィルム上に展開したのち加熱処理してフィルム状とすれば、層間絶縁材料用途の接着シートとすることができる。この接着シートは多層プリント配線基板における層間絶縁材とすることができる。本発明の一実施形態に係る層間絶縁材料を、半導体封止用に使用する場合は、熱硬化性樹脂組成物は上述したような無機充填材を含有することが好ましい。
プリプレグは、本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物の半硬化体とガラス繊維など繊維状補強部材とを備える。このプリプレグは多層プリント配線基板における層間絶縁材とすることができる。本発明の一実施形態に係るプリプレグの製造方法は限定されない。本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を、必要に応じて溶剤を加えてワニス状として、繊維状補強部材に含浸させて加熱処理を行うことにより、本発明の一実施形態に係るプリプレグを製造することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
<GPC分析条件>
(1)使用機器:東ソー株式会社製「HLC−8320 GPC」
(2)カラム:いずれも東ソー株式会社製「TSKgel superHZ4000」(1本)+「TSKgel superHZ3000」(1本)+「TSKgel superHZ2000」(2本)+「TSKgel superHZ1000」(1本)(各々6.0mm×15cmのカラムを接続)
(3)溶媒:テトラヒドロフラン
(4)流量:0.6ml/min
(5)温度:40℃
(6)検出器:示唆屈折率(RI)計(測定装置、東ソー株式会社製「HLC−8320 GPC」内蔵RI検出器)
(7)検量線用標準物質:東ソー株式会社製 ポリスチレン、分子量1.90×E5、9.64×E4、3.79×E4、1.81×E4、1.02×E4、2.63×E3、5.0×E2
<水酸基当量>
アセチル化逆滴定法により測定した。すなわち、試料をピリジンと過剰の無水酢酸でアセチル化し、試料中に存在する水酸基に消費される無水酢酸から生成する酢酸を、水酸化カリウムアルコール溶液で滴定することで求めた。
<軟化点>
自動軟化点装置(メイテック社製「ASP−MGK2」)を用いて、JIS−K2207に準拠して環球法で測定した。
<FD−MS分析条件>
(1)装置:日本電子製「JMS‐T100GCV」
(2)カソード電圧:−10kV
(3)エミッタ電流:0mA→35mA(51.2mA/min.)
(4)測定質量範囲:m/z=10〜2000
(実施例1)
窒素ガス導入管、温度計、撹拌機を備えた四口の500mLフラスコに、レゾルシン33.0g、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル(以下「BMMB」とする)106.6g、シュウ酸0.5g、メタノール8.3gを仕込み、溶解しながら95℃に昇温した。発熱に注意しながら37%ホルマリンを12.2g滴下して投入し、95℃で5時間反応させた。なお、シュウ酸は、レゾルシンとホルマリン(ホルムアルデヒド)を反応させるために添加したものであり、BMMBはレゾルシンとホルマリンとの反応に関与しない。メタノールは、溶解補助のために添加した。
次いで、フェノール160.0gを仕込み、溶解した。さらに、10%トリフルオロメタンスルホン酸メタノール溶液を0.2g(約60ppm分)添加し、130℃に昇温して2時間反応させた。反応で生成するメタノールは系外へ排出し、BMMBが消失したことを確認した。残フェノールを除いて算出した分子量は、数平均分子量(Mn)750、重量平均分子量(Mw)1620、Mw/Mn2.16であった。この時点でのGPCチャートを図1に示す。その後、10%トリフルオロメタンスルホン酸メタノール溶液0.3g(約100ppm分)を添加して、150℃に昇温して7時間反応させ、10%DBUメタノール溶液0.5gを添加して中和した。未反応のフェノールおよびレゾルシンを減圧下で留去し、分子量がMn610、Mw1060、Mw/Mn1.74であるフェノール樹脂(a−1)172.6gを得た。150℃での溶融粘度(ICI粘度)は190mPa・s、軟化点は77℃、水酸基当量は149g/eqであった。フェノール樹脂(a−1)のGPCチャートを図2に示し、FD−MS分析チャートを図3に示す。
FD−MS分析の結果、下記一般式(3)においてj=0、k=1、s1+s3=0に相当するピーク(M+=200)、j=0、k=1、s1+s3=1に相当するピーク(M+=216)、j=1、k=0、s1+s2=0〜2に相当するピーク(M+=366、382、398)、j=1、k=1、s1+s2+s3=0〜2に相当するピーク(M+=472、488、504)、j=2、k=0、s1+s2=0〜2に相当するピーク(M+=638、654、670)、j=2、k=1、s1+s2+s3=0〜2に相当するピーク(M+=744、760、776)が検出された。
それぞれの原料の反応率から求めたフェノール樹脂は、一般式(1)におけるq1、q2およびq3が0であり、下記の一般式(3)で表されるものであった。一般式(3)において、平均j=1.3、平均k=0.4、平均s1+s2+s3=0.26であった。
(実施例2)
37%ホルマリンの滴下量を12.2gから21.9gに変更した以外は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂の合成を行った。130℃に昇温して2時間反応させて原料のBMMBが反応により消失したことを確認した時点において、残フェノールを除いたフェノール樹脂の分子量は、Mn810、Mw1930、Mw/Mn2.38であった。このときのフェノール樹脂のGPCチャートを図4に示す。その後、10%トリフルオロメタンスルホン酸メタノール溶液0.3gを添加して、150℃に昇温して7時間反応させ、10%DBUメタノール溶液0.5gで中和した。未反応のフェノールおよびレゾルシンを減圧下で留去して、分子量がMn610、Mw1090、Mw/Mn1.79であるフェノール樹脂(a−2)188.1gを得た。フェノール樹脂(a−2)の150℃でのICI粘度は200mPa・s、軟化点は79℃、水酸基当量は144g/eqであった。フェノール樹脂(a−2)のGPCチャートを図5に示す。
それぞれの原料の反応率から求めたフェノール樹脂は、一般式(3)で表されるものであった。一般式(3)において、平均j=1.1、平均k=0.6、平均s1+s2+s3=0.26であった。
(実施例3)
窒素ガス導入管、温度計、撹拌機を備えた四口の500mLフラスコに、レゾルシン44.0g、BMMB94.5g、シュウ酸0.5g、メタノール11.0gを仕込み、溶解しながら95℃に昇温した。発熱に注意しながら37%ホルマリンを12.2g滴下して投入し、95℃で5時間反応させた。次いで、フェノール160.0gを仕込み、溶解した。さらに、10%トリフルオロメタンスルホン酸メタノール溶液0.2gを添加し、130℃に昇温して2時間反応させた。反応で生成するメタノールは系外へ排出しBMMBが消失したことを確認した。残フェノールを除いたフェノール樹脂の分子量は、Mn700、Mw1420、Mw/Mn2.03であった。この時点でのフェノール樹脂のGPCチャートを図6に示す。その後、10%トリフルオロメタンスルホン酸メタノール溶液0.3gを添加して、150℃に昇温して7時間反応させ、10%DBUメタノール溶液0.5gで中和した。未反応のフェノールおよびレゾルシンを減圧下で留去し、分子量がMn590、Mw1000、Mw/Mn1.69であるフェノール樹脂(a−3)157.4gを得た。フェノール樹脂(a−3)の150℃でのICI粘度は200mPa・s、軟化点は79℃、水酸基当量は139g/eqであった。フェノール樹脂(a−3)のGPCチャートを図7に示す。
それぞれの原料の反応率から求めたフェノール樹脂は、一般式(3)で表されるものであった。一般式(3)において、平均j=1.2、平均k=0.5、平均s1+s2+s3=0.37であった。
(比較例1)
窒素ガス導入管、温度計、撹拌機を備えた四口の500mLフラスコに、レゾルシン33.0g、BMMB106.6g、シュウ酸0.5g、メタノール8.3gを仕込み、溶解しながら95℃に昇温した。発熱に注意しながら37%ホルマリンを12.2g滴下して投入し、95℃で5時間反応させた。次いで、フェノール160.0gを仕込み、溶解した。さらに、10%トリフルオロメタンスルホン酸メタノール溶液を0.2g添加し、130℃に昇温して2時間反応させた。反応で生成するメタノールは系外へ排出した。10%DBUメタノール溶液0.2g中和し、150℃に昇温して、未反応のフェノールおよびレゾルシンを減圧下で留去し、分子量がMn720、Mw1380、Mw/Mn1.92であるフェノール樹脂(a−4)167.6gを得た。フェノール樹脂(a−4)の150℃でのICI粘度は580mPa・s、軟化点は91℃、水酸基当量は145g/eqであった。フェノール樹脂(a−4)のGPCチャートを図8に示す。
比較例1と実施例1との相違点は、130℃に昇温して2時間反応させた後中和するまでの間に、10%トリフルオロメタンスルホン酸メタノール溶液0.3gをさらに添加して、150℃に昇温して反応させなかったことである。
それぞれの原料の反応率から求めたフェノール樹脂は、一般式(3)で表されるものであった。一般式(3)において、平均j=1.6、平均k=0.5、平均s1+s2+s3=0.32であった。
(比較例2)
トリフェノールメタン骨格含有フェノールノボラック樹脂(エア・ウォーター(株)製 商品名「HE910−10」をフェノール樹脂(a−5)とした。
フェノール樹脂(a−5)は、水酸基当量100g/eq、軟化点82℃、150℃でのICI粘度110mPa・sであった。
フェノール樹脂(a−1〜a−5)の樹脂性状を表1に示す。

表1に示されるように、実施例1から3のフェノール樹脂(a−1からa−3)は、当該150℃の反応を経ずに製造された比較例1のフェノール樹脂(a−4)よりも、溶融粘度が低いものであった。この結果から、スルホン酸触媒存在下での第2反応を高温条件で行うことにより、熱硬化性組成物に用いられるフェノール樹脂の溶融粘度を低くできることが分かる。
図2、図5および図7に示すフェノール樹脂a−1、a−2およびa−3のGPCチャートでは、図8に示す比較例1のフェノール樹脂a−4のGPCチャートでは非常に小さいピーク(図2および図8において9を付したピーク)が大きくなっている。このピークはビスフェノールFのピークであり、第2反応によりビスフェノールFが生成されたことが分かる。このことは、第2反応においてホルムアルデヒドが生成したことを示している。原料として添加されたホルムアルデヒドは、第1反応により一度消失しているため、ビスフェノールFの生成に用いられたホルムアルデヒドは、フェノール樹脂の分解反応によって生成したものといえる。
なお、図1、図4および図6に示す、150℃の高温条件下における反応前のフェノール樹脂のGPCチャートでも、図8同様にビスフェノールFのピークは認められない。このことも、第2反応を高温条件下で行うことによりフェノール樹脂の分解反応が生じたことを支持している。
図2、図5および図7のGPCチャートにおいて、ビスフェノールFのピークの面積百分率はそれぞれ5.6面積%、7.5面積%、6.5面積%であった。
(実施例4〜6、比較例3、4)
エポキシ樹脂、実施例1〜3または比較例1〜2のフェノール樹脂、および硬化促進剤をそれぞれ下記の表2に示す配合量(重量部)で用い、粉砕することで実施例4〜6、比較例3、4の熱硬化性樹脂組成物をそれぞれ得た。175℃2分間で熱硬化性樹脂組成物の溶融混合および成形を行い、180℃6時間でポストキュア(後処理)して硬化物を得た。得られた硬化物を評価した結果を表2に示す。
エポキシ樹脂として、下記一般式(4)で示されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製 商品名「NC−3000」 エポキシ当量275g/eq)を用い、硬化促進剤として(2−(トリフェニルホスホニオ)フェノラート)を用いた。
(ガラス転移温度Tgの測定)
実施例4から6ならびに比較例3および4で得られた硬化物フィルムを所定の大きさにカット(切り出)して、ガラス転移温度測定のサンプルとした。熱機械分析(TMA)により、以下の条件で線膨張係数を測定し、線膨張係数の変曲点をガラス転位温度Tgとした。
測定機器:日立ハイテクサイエンス社製 TMA/SS7100
サンプル長:6〜7mm
雰囲気:窒素中
測定温度:25〜300℃
昇温速度10℃/分
測定モード:引張
なお、ガラス転移温度Tgの他の測定法として、動的粘弾測定(DMA)がある。DMAによるガラス転位温度Tgの測定値は、熱機械分析(TMA)の測定値よりも10〜20℃程度は高くなる。
(250℃長期耐熱性の評価)
アルミカップに熱硬化性樹脂組成物をそれぞれ約5g入れ、前述の条件で硬化させ、重量を測定した。次いで、250℃の熱風式乾燥機内に硬化物のサンプルを入れ、360時間後に取り出して重量を測定し、熱風式乾燥機に入れる前の測定値に対する重量減少率(%)を算出し、長期耐熱性を評価した。
(吸水率の測定)
前述の条件と同様に熱硬化性樹脂組成物を硬化させ、温度85℃湿度85%の恒温恒湿器の中に硬化物のサンプルを入れ、168時間後に取り出して重量を測定し、恒温恒湿器に入れる前の測定値に対する重量の増加率(%)を算出して吸水率を求めて、硬化物を半導体封止材として用いた場合の信頼性を評価した。
表2に示されるように、フェノール樹脂a−1、a−2およびa−3を用いた実施例4から6の硬化物は、フェノール樹脂a−4を用いた比較例3の硬化物よりもガラス転位温度Tgが高かった。このことから、第2反応を高温条件下で行うことにより、フェノール樹脂の溶融粘度を低下させるとともに、当該フェノール樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物の硬化物のガラス転位温度Tgが高くなることが分かった。
また、実施例4から6の硬化物は、トリフェノールメタン骨格含有フェノールノボラック樹脂を用いて得られた比較例4の硬化物と比べて、ガラス転位温度Tgが同程度以上であり、重量減少率および吸水率が低かった。この結果から、本発明に係る熱硬化性樹脂組成物は、信頼性が高く半導体封止材として好適であるといえる。

Claims (12)

  1. 下記の式(A)および/または式(B)で示される単位を備える成分を含有し、150℃における溶融粘度が50mPa・s以上400mPa・s以下であるフェノール樹脂。

    (式(A)および式(B)におけるp2、p3は同一または異なってもよく、0または1であり、q2、q3は同一または異なってもよく、0、1または2であり、R、Rはメチル基である。)
  2. 重量平均分子量が700以上1300以下である請求項1に記載のフェノール樹脂。
  3. 水酸基当量が120g/eq以上170g/eq以下である請求項1または2に記載のフェノール樹脂。
  4. ビスフェノールFを含有している請求項1から3のいずれか1項に記載のフェノール樹脂。
  5. レゾルシンとホルムアルデヒドとを反応させる第1反応と、
    前記第1反応の生成物、1価のフェノール類、および下記一般式(2)で示されるビフェニル化合物をスルホン酸触媒存在下で反応させる第2反応と、を備えるフェノール樹脂の製造方法。

    (一般式(2)中Xは、メトキシ基、水酸基またはハロゲンである。)
  6. 前記第2反応における反応温度を140℃以上とする請求項5に記載のフェノール樹脂の製造方法。
  7. 前記スルホン酸触媒がトリフルオロメタンスルホン酸である請求項5または6に記載のフェノール樹脂の製造方法。
  8. 請求項1から4のいずれか一項に記載のフェノール樹脂、エポキシ樹脂および硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項8の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物。
  10. 前記熱硬化性樹脂組成物を硬化させる温度が160℃以上250℃以下である請求項9に記載の硬化物。
  11. 請求項8に記載の熱硬化性樹脂組成物を含む半導体封止材。
  12. 請求項9または10に記載の硬化物を含む半導体装置。
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