JP2020007627A - スパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】異常放電の発生を抑制することができるとともに、比抵抗値が十分に低く安定してDCスパッタが可能なスパッタリングターゲットを製造可能なスパッタリングターゲットの製造方法を提供する。【解決手段】ZnとSnとOを主成分とし、ZnとSnを原子比でZn/(Zn+Sn)が0.1以上0.6以下の範囲内となるように含有し、酸化錫相と錫亜鉛複合酸化物相とを主相とするとともに、金属錫相を有するスパッタリングターゲットの製造方法であって、酸化亜鉛(ZnO)粉と酸化第二錫(SnO2)粉と酸化第一錫(SnO)粉を混合して原料粉を得る原料粉形成工程S01と、得られた前記原料粉を加圧しながら加熱して焼結し、焼結体を得る焼結工程S02と、を有し、焼結工程S02において、酸化第一錫(SnO)を酸化第二錫(SnO2)とするとともに、前記金属錫相を生成させることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、ZnとSnとOを主成分とする酸化物膜を成膜する際に用いられるスパッタリングターゲットの製造方法に関するものである。
上述のZnとSnとOを主成分とする酸化物膜は、可視光領域での透過率に優れ、かつ、赤外線反射特性に優れていることから、窓ガラス等の遮熱膜や赤外線フィルター等に使用されている。
ここで、上述の酸化物膜は、例えば、下記の特許文献1−5に示すように、酸化物からなるスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより成膜される。なお、上述のスパッタリングターゲットとしては、例えば平板形状又は円筒形状をなすものが提供されている。
特許文献1には、主として錫亜鉛複合酸化物相と金属錫相とで構成された酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲットが提案されている。この特許文献1においては、酸化第一錫(SnO)と酸化亜鉛(ZnO)を原料として使用し、酸化第一錫(SnO)を還元することで金属錫相を形成している。
また、特許文献2、3には、ZnとSnの酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲットが提案されている。これら特許文献2,3においては、酸化亜鉛(ZnO)と酸化第二錫(SnO)を原料として使用している。
さらに、特許文献4には、実質的に錫、亜鉛および酸素からなる酸化物焼結体であって、主として錫亜鉛複合酸化物相と酸化錫相とから構成されているスパッタリングターゲットが提案されている。この特許文献4においては、酸化亜鉛(ZnO)と酸化第二錫(SnO)を原料として使用している。
また、特許文献5には、酸化亜鉛と酸化錫のうち少なくとも一方の金属酸化物と、金属粉末とが焼結されたスパッタリングターゲットが提案されている。
特開2013−177260号公報 特開2010−037161号公報 特開2010−031364号公報 特開2007−314364号公報 特開2014−167162号公報
ところで、特許文献1に記載されたスパッタリングターゲットにおいては、相対密度は91.1〜93.6%程度であって、密度が十分に高いものは得られていない。
また、錫亜鉛複合酸化物相と金属錫相が主相とされており、ターゲットスパッタ面において、錫亜鉛複合酸化物相の領域と金属錫相の領域とで比抵抗値が大きく異なるため、スパッタ時における異常放電の発生回数が多くなるおそれがあった。さらに、錫亜鉛複合酸化物相と金属錫相との熱膨張係数が大きく異なることから、スパッタ時に温度が上昇した際に、熱膨張によってターゲット表面に割れが生じてしまい、安定してスパッタを行うことができないおそれがあった。
また、特許文献2、3に記載されたスパッタリングターゲットにおいては、ターゲット自体の抵抗が非常に高く、DC(直流)スパッタが困難であることから、RF(高周波)スパッタを行うことを前提としている。このRF(高周波)スパッタにおいては、成膜速度が遅く、生産性が低下するといった問題があった。
さらに、特許文献4に記載されたスパッタリングターゲットにおいては、DCスパッタが可能であると記載されているが、その比抵抗値が例えば数10Ω・cmと比較的高いため、DC(直流)スパッタを安定して実施することが困難であった。
また、特許文献5に記載されたスパッタリングターゲットにおいては、金属粉末と酸化物とを焼結していることから、金属粉末が分散して金属相として存在することでターゲットの導電性が向上し、DCスパッタ可能であると記載されている。しかしながら、特許文献5においては、金属粉末と酸化物とを単に焼結していることから、焼結温度を金属粉末の融点以上に設定すると金属粉末が溶け出してしまうため、焼結温度を高く設定することができず、密度を十分に向上することが困難であった。さらに、焼結時に用いた金属粉末によって金属相が構成されていることから、金属相の大きさは金属粉末の粒径に依存することになるため、微細な金属相を、偏析なく、且つ、均一に分散させることは困難であった。
以上のように、特許文献5に記載されたスパッタリングターゲットにおいては、空隙が多く存在し、かつ、金属相が不均一に存在することから、スパッタ時における異常放電の発生回数が多くなるおそれがあった。また、スパッタ時に割れが生じてしまい、安定してスパッタを行うことができないおそれがあった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、異常放電の発生を抑制することができるとともに、比抵抗値が十分に低く安定してDCスパッタが可能なスパッタリングターゲットの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、酸化錫相と錫亜鉛複合酸化物相とを主相とするとともに、偏析なく均一に分散した金属錫相を有するスパッタリングターゲットにおいては、スパッタ時における異常放電の発生を抑制することができるとともに、母相となる酸化物相同士の粒子間を埋めるように金属錫相が分散することにより、相対密度を向上させることができるとの知見を得た。
本発明は、上述の知見に基づいてなされたものであって、本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、ZnとSnとOを主成分とし、ZnとSnを原子比でZn/(Zn+Sn)が0.1以上0.6以下の範囲内となるように含有し、酸化錫相と錫亜鉛複合酸化物相とを主相とするとともに、金属錫相を有するスパッタリングターゲットの製造方法であって、酸化亜鉛(ZnO)粉と酸化第二錫(SnO)粉と酸化第一錫(SnO)粉を混合して原料粉を得る原料粉形成工程と、得られた前記原料粉を加圧しながら加熱して焼結し、焼結体を得る焼結工程と、を有し、前記焼結工程において、酸化第一錫(SnO)を反応させて、前記金属錫相を生成させることを特徴としている。
本発明のスパッタリングターゲットの製造方法によれば、酸化亜鉛(ZnO)粉と酸化第二錫(SnO)粉と酸化第一錫(SnO)粉を混合して原料粉を得る原料粉形成工程と、得られた前記原料粉を加圧しながら加熱して焼結し、焼結体を得る焼結工程と、を有しているので、焼結工程において、均一に混合された酸化第一錫(SnO)粉が、以下の反応式のように反応し、金属錫相が生成することになる。
2SnO → Sn + SnO
よって、酸化錫相と錫亜鉛複合酸化物相とを主相とするとともに、偏析なく均一に分散した金属錫相を有し、異常放電の発生を抑制することができるとともに、比抵抗値が十分に低く安定してDCスパッタが可能なスパッタリングターゲットを製造することが可能となる。
ここで、本発明のスパッタリングターゲットの製造方法においては、前記原料粉形成工程において、前記原料粉における酸化第一錫(SnO)粉の含有量が1mol%以上20mol%以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、前記原料粉における酸化第一錫(SnO)粉の含有量が1mol%以上とされているので、酸化第一錫(SnO)粉の割合が確保され、上述の反応式によって金属錫相を確実に生成することが可能となる。一方、前記原料粉における酸化第一錫(SnO)粉の含有量が20mol%以下とされているので、金属錫相が必要以上に形成されることがなく、金属の溶け出しを確実に抑制することができる。
また、本発明のスパッタリングターゲットの製造方法においては、酸化第二錫(SnO)粉の平均粒径が30μm以下とされ、酸化第一錫(SnO)粉の平均粒径が30μm以下とされていることが好ましい。
この場合、酸化第一錫(SnO)粉の平均粒径が30μm以下とされているので、微細な金属錫相を形成することが可能となる。また、酸化第二錫(SnO)粉の平均粒径が30μm以下とされているので、酸化第一錫(SnO)粉を包囲し、金属錫相の凝集や金属の溶け出しを抑制することができる。
また、本発明のスパッタリングターゲットの製造方法においては、前記焼結工程においては、非酸化雰囲気で、焼結温度を950℃以上1200℃以下の範囲内、前記焼結温度での保持時間を180分以上300分以下の範囲内、加圧圧力を40MPa以下とすることが好ましい。
この場合、前記焼結工程の条件を上述のように規定しているので、相対密度の高い焼結体を確実に成形することが可能となる。また、上述の反応式によって金属錫相を確実に生成することが可能となる。
本発明によれば、異常放電の発生を抑制することができるとともに、比抵抗値が十分に低く安定してDCスパッタが可能なスパッタリングターゲットの製造方法を提供することが可能となる。
本発明の実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法によって製造されるスパッタリングターゲットの組織観察写真(EPMA像)である。 本発明の実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法を示すフロー図である。 実施例において、XRD分析によって、金属錫相の有無を確認した結果を示す図である。
以下に、本発明の一実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法について、添付した図面を参照して説明する。
まず、本実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法によって製造されるスパッタリングターゲットについて説明する。
このスパッタリングターゲットは、ZnとSnとOを主成分とし、ZnとSnを原子比でZn/(Zn+Sn)が0.1以上0.6以下の範囲内となるように含有している。
また、本実施形態のスパッタリングターゲットにおいては、酸化錫相と錫亜鉛複合酸化物相を主相とするとともに、金属錫相を有している。なお、本実施形態においては、X線回折分析の結果、酸化錫相が酸化第二錫相(SnO相)であり、錫亜鉛複合酸化物相がZnSnO相であることが確認されている。
ここで、X線回折分析において、Zn、Sn,Oで構成される物質に対応する最大ピークが、その他の物質に対応するピークよりも大きい場合に、ZnとSnとOが主成分であると判断する。
本実施形態のスパッタリングターゲットにおいては、図1に示すように、母相となる酸化物相(酸化錫相及び錫亜鉛複合酸化物相)中に金属錫相が分散した組織とされており、上述の金属錫相が偏析なく、かつ、均一に分散している。ここで、図1において、白色部が金属錫相、薄い灰色部が酸化錫相(SnO)、濃い灰色部が錫亜鉛複合酸化物相(ZnSnO)である。
また、本実施形態のスパッタリングターゲットにおいては、相対密度が95%以上とされている。
さらに、本実施形態のスパッタリングターゲットにおいては、その比抵抗値が1Ω・cm以下とされている。
以下に、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおける原子比、相対密度、比抵抗値について、上述のように規定した理由について説明する。
(原子比Zn/(Zn+Sn):0.1以上0.6以下)
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、遮熱膜となる酸化物膜を成膜するものであり、可視光領域における透過率、赤外線反射特性を満足する必要がある。
ここで、ZnとSnを原子比でZn/(Zn+Sn)が0.1以上0.6以下の範囲内となるように含有することにより、上述した各種特性を満足する酸化物膜を成膜することができる。
なお、各種特性に優れた酸化物膜を確実に成膜するためには、原子比Zn/(Zn+Sn)の下限を0.2以上とすることが好ましく、0.25以上とすることがさらに好ましい。また、原子比Zn/(Zn+Sn)の上限を0.5以下とすることが好ましく、0.4以下とすることがさらに好ましい。
(相対密度:95%以上)
相対密度は、測定密度を理論密度で除したものである。本実施形態においては、理論密度は、リートベルト法によって金属錫相の含有量を算出し、残りのSn及びZnが、それぞれSnO、ZnOであると仮定して、以下の式で算出した。
理論密度=100/{(Wa/Da)+(Wb/Db)+(Wc/Dc)}
Wa:SnOの含有量(質量%)
Da:SnOの理論密度(6.95g/cm
Wb:ZnOの含有量(質量%)
Db:ZnOの理論密度(5.61g/cm
Wc:金属Snの含有量(質量%)
Dc:金属Snの理論密度(7.30g/cm
上記式で算出されるスパッタリングターゲットの相対密度が95%未満であると、空隙が多く存在することになり、スパッタ時に異常放電が発生しやすくなるおそれがある。また、スパッタ後に、スパッタリングターゲットに割れが生じるおそれがある。そこで、本実施形態においては、相対密度を95%以上に規定している。ここで、スパッタリングターゲットの密度が、原料粉の反応等によって上記式により算出する理論密度を超える場合があり、そのときは相対密度が100%を超えることになる。
なお、異常放電の発生やスパッタ時の割れの発生をさらに抑制するためには、スパッタリングターゲットの相対密度を96%以上とすることが好ましく、98%以上とすることがさらに好ましい。また、相対密度の上限に特に制限はないが、相対密度105%以上の焼結体については作製が困難である。
(比抵抗値:1Ω・cm以下)
DCスパッタを安定して行うために、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、比抵抗値を1Ω・cm以下とすることが好ましく、0.1Ω・cm以下とすることがさらに好ましい。なお、比抵抗値の下限は特に制限されないが、例えば0.001Ω・cm以上である。
次に、本実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法について、図2のフロー図を参照して説明する。
(原料粉形成工程S01)
まず、酸化亜鉛(ZnO)粉と酸化第二錫(SnO)粉と酸化第一錫(SnO)粉とを準備し、これらを混合して、原料粉を得る。このとき、ZnとSnを原子比でZn/(Zn+Sn)が0.1以上0.6以下の範囲内となるように、酸化亜鉛(ZnO)粉と、酸化第二錫(SnO)粉と酸化第一錫(SnO)粉とを秤量する。
秤量した酸化亜鉛(ZnO)粉と酸化第二錫(SnO)粉と酸化第一錫(SnO)粉を、ボールミル等の混合装置を用いて混合する。なお、これらの粉を混合する際には、不活性ガス雰囲気等の非酸化雰囲気で実施することが好ましい。
ここで、本実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法においては、原料粉として酸化第一錫(SnO)粉を用いており、後述する焼結工程S02において、酸化第一錫(SnO)が、以下の反応式に示す反応によって、金属錫相が生成することになる。
2SnO → Sn + SnO
ここで、本実施形態においては、原料粉における酸化第一錫(SnO)粉の含有量が1mol%以上20mol%以下の範囲内とすることが好ましい。
原料粉における酸化第一錫(SnO)粉の含有量が1mol%以上であれば、金属錫相を確実に生成することが可能となる。一方、原料粉における酸化第一錫(SnO)粉の含有量が20mol%以下であれば、金属錫相が必要以上に生成せず、金属の溶け出しを確実に抑制することが可能となる。
なお、原料粉における酸化第一錫(SnO)粉の含有量の下限は、3mol%以上とすることがさらに好ましく、5mol%以上とすることがより好ましい。一方、原料粉における酸化第一錫(SnO)粉の含有量の上限は、18mol%以下とすることがさらに好ましく、15mol%以下とすることがより好ましい。
微細な金属錫相を形成するためには、酸化第一錫(SnO)粉の平均粒径を30μm以下とすることが好ましく、25μm以下とすることがさらに好ましい。なお、酸化第一錫(SnO)粉の平均粒径の下限は、特に制限はないが、例えば、0.1μm以上とすることが好ましい。
また、酸化第一錫(SnO)粉を包囲して金属の溶け出しを抑制するためには、酸化第二錫(SnO)粉の平均粒径は30μm以下とすることが好ましく、25μm以下することがさらに好ましい。なお、酸化第二錫(SnO)粉の平均粒径の下限は、特に制限はないが、例えば、0.1μm以上とすることが好ましい。
さらに、酸化亜鉛(ZnO)粉の平均粒径は0.1μm以上100μm以下の範囲内とすることが好ましい。
(焼結工程S02)
次に、混合して得られた原料粉を、成形型に充填し、加圧しながら加熱して焼結し、焼結体を得る。
この焼結工程S02において、均一に混合された酸化第一錫(SnO)粉が上述の反応式のように反応することにより、金属錫相が、偏析なく、且つ、均一に形成されることになる。すなわち、本実施形態では、反応焼結することよって、金属錫相を形成しているのである。
ここで、本実施形態では、焼結工程S02における焼結温度を950℃以上1200℃以下の範囲内、前記焼結温度での保持時間を180分以上300分以下の範囲内、加圧圧力を40MPa以下とすることが好ましい。また、雰囲気は、非酸化雰囲気とすることが好ましく、本実施形態では、20Pa以下の真空雰囲気とする。
焼結温度が950℃以上であれば、焼結体の密度を十分に向上させることが可能となる。一方、焼結温度が1200℃以下であれば、金属の溶け出しを確実に抑制することが可能となる。なお、焼結温度の上限は、1100℃以下とすることがさらに好ましい。
前記焼結温度での保持時間が180分以上であれば、焼結体の密度を十分に向上させることが可能となる。一方、前記焼結温度での保持時間が300分以下であれば、金属の溶け出しを確実に抑制することが可能となる。なお、前記焼結温度での保持時間の下限は、200分以上とすることがさらに好ましい。また、前記焼結温度での保持時間の上限は、280分以下とすることがさらに好ましい。
また、加圧圧力を40MPa以下とすることにより、金属の溶け出しを確実に抑制することが可能となる。加圧圧力の上限は、35MPa以下とすることがさらに好ましい。なお、加圧圧力の下限は、0でもよいが、20MPa以上とすることで、焼結体の高密度化を図ることが可能となる。
さらに、非酸化雰囲気で焼結することにより、金属錫の酸化を抑制でき、金属錫相を確実に形成することが可能となる。
(機械加工工程S03)
次に、得られた焼結体に対して、所定サイズとなるように、機械加工を行う。これにより、本実施形態であるスパッタリングターゲットが製造される。
以上のような構成とされた本実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法によれば、酸化亜鉛(ZnO)粉と酸化第二錫(SnO)粉と酸化第一錫(SnO)粉を混合して原料粉を得る原料粉形成工程S01と、得られた原料粉を加圧しながら加熱して焼結し、焼結体を得る焼結工程S02と、を有しているので、焼結工程S02において、均一に混合された酸化第一錫(SnO)粉が、上述の反応式に示す反応によって、金属錫相が生成することになる。
よって、酸化錫相と錫亜鉛複合酸化物相とを主相とするとともに、偏析なく均一に分散した金属錫相を有し、異常放電の発生を抑制することができるとともに、比抵抗値が十分に低く安定してDCスパッタが可能なスパッタリングターゲットを製造することが可能となる。
また、本実施形態では、原料粉形成工程S01において、原料粉における酸化第一錫(SnO)粉の含有量が1mol%以上とされているので、酸化第一錫(SnO)粉の割合が確保され、上述の反応式によって金属錫相を確実に生成することが可能となる。一方、原料粉における酸化第一錫(SnO)粉の含有量が20mol%以下とされているので、金属錫相が必要以上に形成されることがなく、金属の溶け出しを確実に抑制することが可能となる。
さらに、本実施形態では、原料粉形成工程S01において、酸化第一錫(SnO)粉の平均粒径が30μm以下とされているので、微細な金属錫相を形成することが可能となる。また、酸化第二錫(SnO)粉の平均粒径が30μm以下とされているので、酸化第一錫(SnO)粉を包囲し、金属錫相の凝集や金属の溶け出しを抑制することができる。
また、本実施形態では、焼結工程S02において、非酸化雰囲気で、焼結温度を950℃以上1200℃以下の範囲内、前記焼結温度での保持時間を180分以上300分以下の範囲内、加圧圧力を40MPa以下としているので、相対密度の高い焼結体を確実に成形することが可能となる。また、上述の反応式によって金属錫相を確実に生成することが可能となる。
本実施形態のスパッタリングターゲットの製造方法によって製造されたスパッタリングターゲットは、酸化錫相と錫亜鉛複合酸化物相とを主相とするとともに、金属錫相を有しているので、スパッタ時における異常放電の発生を抑制することができる。また、母相となる酸化物相同士の間に金属錫相が十分に充填されることになり、相対密度を向上させることができる。さらに、スパッタ時に温度が上昇した場合であっても、熱膨張によるターゲット表面の割れの発生を抑制することができる。
また、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、さらに、相対密度が95%以上とされているので、空隙が少なく、スパッタ時の異常放電の発生を抑制することができる。また、スパッタ時における割れの発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、ZnとSnを原子比でZn/(Zn+Sn)が0.1以上0.6以下の範囲内となるように含有しているので、透過性、赤外線反射特性に優れた酸化物膜を成膜することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下に、本発明の有効性を確認するために行った確認実験の結果について説明する。
(スパッタリングターゲット)
原料粉として、酸化亜鉛粉(ZnO粉:純度99.9mass%以上、平均粒径10.0μm)、酸化第二錫粉(SnO粉:純度99.99mass%以上、平均粒径25μm)、酸化第一錫粉(SnO粉:純度99.99mass%以上,平均粒径25μm)を準備した。また、比較例に用いる原料粉として、金属亜鉛粉(金属Zn粉:純度99mass%以上,平均粒径4.0μm)、及び、金属錫粉(金属Sn粉:純度99mass%以上、平均粒径15.0μm)を準備した。
これらの原料を、表1に記載のmol比となるように秤量し、ポリエチレン製のポット内に、秤量した原料と、この原料の3倍の重量のジルコニアボール(直径:5mm)と溶剤を投入し、ボールミル装置によって16時間湿式混合した。混合、乾燥後に篩分けしてジルコニアボールと混合粉とを分離した。
得られた混合粉を、カーボン製の成形型に装入し、真空雰囲気(7Pa)で、表1に示す焼結温度、保持時間、加圧圧力で、加圧焼結を実施し、焼結体を得た。
得られた焼結体を機械加工し、評価用のスパッタリングターゲット(126mm×178mm×6mm)を製造した。そして、以下の項目について評価した。
(金属の溶け出し)
焼結後において、金属(Sn又はZn)の溶け出しの有無を目視で観察した。評価結果を表2に示す。なお、金属の溶け出しが認められた場合には、後述するスパッタ試験を実施しなかった。
(スパッタリングターゲットの組成)
得られたスパッタリングターゲットから測定試料を採取し、採取した測定試料を砕いて測定用粉末とした。この測定用粉末を用いて、粉末X線回折装置(ブルカー・エイエックスエス社製D8 ADVANCE)によって測定を行い、リートベルト法(解析ソフト:ブルカー・エイエックスエス社製TOPAS(version5))により解析を行うことで、スパッタリングターゲットの組成を算出した。測定結果を表2に示す。なお、測定条件は以下のとおりとした。
線源:Cu
管電圧:40kV
管電流:40mA
走査範囲:15〜128deg
ステップ幅:0.01deg
(金属錫相の有無)
得られたスパッタリングターゲットからX線回折パターン測定用試料を採取し、X線回折分析(XRD)を、以下の条件で行い、金属錫相の有無を確認した。測定結果を表2に示す。また、測定結果の一例を図3に示す。
装置:理学電気社製(RINT−UltimaIII)
管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:40mA
走査範囲(2θ):10°〜90°
スリットサイズ:発散(DS)2/3度、散乱(SS)2/3度、受光(RS)0.8mm
測定ステップ幅:2θで0.04度
スキャンスピード:毎分4度
試料台回転スピード:30rpm
(相対密度)
実施形態の欄に記載した方法で「理論密度」を算出した。また、得られたスパッタリングターゲットの重量を寸法から得られた体積で割った値を「測定密度」とした。
この理論密度と、得られたスパッタリングターゲットの測定密度とを用いて、理論密度比を下記の式により算出した。測定結果を表2に示す。
相対密度(%)=(測定密度)/(理論密度)×100
(比抵抗値)
スパッタリングターゲットについて、抵抗測定装置により、比抵抗値を測定した。抵抗測定装置として、三菱化学株式会社製の低抵抗率計(Loresta−GP)を用い、四探針法で測定した。測定時の温度は23±5℃、湿度は50±20%にて測定した。測定結果を表2に示す。
原料として、酸化亜鉛(ZnO)粉と酸化第二錫(SnO)粉とを用いた比較例1においては、金属錫相が確認されなかった。そして、比抵抗値が高く、DCスパッタを行うことができなかった。
原料として、酸化亜鉛(ZnO)粉と酸化第一錫(SnO)粉とを用いた比較例2においては、金属錫相が生成したが、金属の溶け出しが確認された。また、相対密度が95%未満と低くなった。
原料として、酸化亜鉛(ZnO)粉と酸化第二錫(SnO)粉と金属亜鉛粉を用い、400℃で焼結した比較例3においては、金属錫相が確認されなかった。また、金属の溶け出しが確認された。さらに、相対密度が95%未満と低くなった。
原料として、酸化亜鉛(ZnO)粉と酸化第二錫(SnO)粉と金属亜鉛粉を用い、950℃で焼結した比較例4においては、金属錫相が生成したが、金属の溶け出しが確認された。また、相対密度が95%未満と低くなった。
原料として、酸化亜鉛(ZnO)粉と酸化第二錫(SnO)粉と金属錫粉を用い、950℃で焼結した比較例5においては、金属錫相が生成したが、金属の溶け出しが確認された。また、相対密度が95%未満と低くなった。
これに対して、原料として、酸化亜鉛(ZnO)粉と酸化第二錫(SnO)粉と酸化第一錫(SnO)粉を用いた本発明例1−5においては、焼結後の組織中には金属錫相が形成されていた。また、相対密度も95%以上と高くなった。さらに、比抵抗値が低く、安定してDCスパッタを実施可能であった。
以上のように、本発明例によれば、異常放電の発生を抑制することができるとともに、比抵抗値が低く、安定してDCスパッタが可能なスパッタリングターゲットを製造可能であることが確認された。

Claims (4)

  1. ZnとSnとOを主成分とし、ZnとSnを原子比でZn/(Zn+Sn)が0.1以上0.6以下の範囲内となるように含有し、酸化錫相と錫亜鉛複合酸化物相とを主相とするとともに、金属錫相を有するスパッタリングターゲットの製造方法であって、
    酸化亜鉛(ZnO)粉と酸化第二錫(SnO)粉と酸化第一錫(SnO)粉を混合して原料粉を得る原料粉形成工程と、得られた前記原料粉を加圧しながら加熱して焼結し、焼結体を得る焼結工程と、を有し、
    前記焼結工程において、酸化第一錫(SnO)を反応させて、前記金属錫相を生成させることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
  2. 前記原料粉形成工程において、前記原料粉における酸化第一錫(SnO)粉の含有量が1mol%以上20mol%以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
  3. 酸化第二錫(SnO)粉の平均粒径が30μm以下とされ、酸化第一錫(SnO)粉の平均粒径が30μm以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
  4. 前記焼結工程においては、非酸化雰囲気で、焼結温度を950℃以上1200℃以下の範囲内、前記焼結温度での保持時間を180分以上300分以下の範囲内、加圧圧力を40MPa以下とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
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