JP2020007014A - 2液吐出容器及び2液吐出製品 - Google Patents

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誠人 吉野
信也 菅原
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信也 菅原
公雄 片岡
Kimio Kataoka
公雄 片岡
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Abstract

【課題】ガス溜まりによるピストンの変形を抑制することができる2液吐出容器を提供する。【解決手段】容器本体10内を、第1原液収容室12と、第2原液収容室13と、加圧剤収容室14とに区画するとともに、加圧剤収容室14に収容される加圧剤Pの圧力によって容器本体10内を摺動し、各原液収容室12、13を加圧するピストンユニット20を備えた2液吐出容器。ピストンユニット20が、第1原液収容室12を加圧する第1ピストン21と、第2原液収容室13と加圧剤収容室14とを隔て、第2原液収容室13を加圧する第2ピストン22と、第1ピストン21と第2ピストン22とを連結するピストンジョイント23とを有し、さらにピストンユニット20が、第2ピストン22の第2原液収容室13側への変形を抑制する変形抑制手段Rを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、2つの原液を加圧剤の圧力によって吐出するための2液吐出容器及びその2液吐出容器を用いた2液吐出製品に関する。
特許文献1には、容器本体と、容器本体内を加圧剤収容室と2つの原液収容室とに区画するピストンユニットと、原液収容室と連通するバルブを2つ備えたバルブアッセンブリとからなる2液吐出容器が開示されている。この2液吐出容器では、ピストンユニットが、上側の原液収容室を加圧する第1ピストンと、下側の原液収容室を加圧する第2ピストンと、第1ピストンと第2ピストンとを連結するピストンジョイントを備えている。このような構成の2液吐出容器では、1つのピストンユニットで2つの原液を同時に加圧しながら吐出するため、2つの原液に粘度差があっても最初から最後まで均等な比率で吐出することができる。
特開2018−012537号公報
ところで、バルブアッセンブリを介して各原液収容室に原液を充填すると、原液収容室にガス溜まりが形成されることがある。具体的に説明すると、原液充填に先立って各原液収容室内の空気を抜くが、バルブアッセンブリ内の通路や各ピストンと容器本体との間の隙間等に空気が残るため、この空気が原液収容室へと移動し、ガス溜まり(気泡)として表面化するのである。なお、下側の原液収容室は上側の原液収容室よりもバルブアッセンブリから離れており、充填通路が長いため、ガス溜まりができやすい。
気体は液体に比べて圧縮率が高いため、ガス溜まりがあると、原液を吐出していないにもかかわらず、原液を吐出したときと同じように、原液収容室の容積を小さくする方向にピストンが動こうとする。そのため、下側の原液収容室にのみガス溜まりがあったり、上側の原液収容室のガス溜まりよりも下側の原液収容室のガス溜まりの方が大であったりすると、第2ピストンに大きな力がかかって変形する虞があった。第2ピストンは、容器本体の内面と接触してシールを形成し、下側の原液収容室と加圧剤収容室とを隔てているが、ピストンが変形するとシールが破綻し、下側の原液収容室に加圧剤が侵入する虞がある。また、シールが破綻するまでに至らなくとも、変形によって、あたかも第2ピストンが摺動したような状態となるため、原液を吐出するにあたって2つのバルブを同時に開放したとしても下側の原液の吐出量が上側の原液に比べて多くなるなど、2つの原液の吐出量の比率が崩れやすい。
そこで本発明は、ガス溜まりによるピストンの変形を抑制することができ、2つの原液の吐出量の比率を一定にする2液吐出容器の提供を目的とする。
本発明の2液吐出容器は、容器本体10と、容器本体10内を、第1原液収容室12と、第2原液収容室13と、加圧剤収容室14とに区画するとともに、加圧剤収容室14に収容される加圧剤Pの圧力によって容器本体10内を摺動し、第1原液収容室12と第2原液収容室13とを加圧するピストンユニット20と、第1原液収容室12と第2原液収容室13とにそれぞれ連通するバルブアッセンブリ30とを備え、ピストンユニット20が、第1原液収容室12を加圧する第1ピストン21と、第2原液収容室13と加圧剤収容室14とを隔て、第2原液収容室13を加圧する第2ピストン22と、第1ピストン21と第2ピストン22とを連結するピストンジョイント23とを有し、さらにピストンユニット23が、第2ピストン22の第2原液収容室13側への変形を抑制する変形抑制手段Rを備えていることを特徴としている。
また、変形抑制手段Rが、第2ピストン22の剛性を高める補強部からなることが好ましい。具体的には、補強部がリブ22jからなることが好ましい。また、リブ22jが、第2ピストン22の加圧剤収容室14側に設けられていることが好ましい。第2ピストン22が、内筒22bと、外筒22dと、外筒22dから径外方向に向かって突出し容器本体10の内面と当接しシールを形成するシール部22eを備えており、リブ22jが板状であって、内筒22bの外周と外筒22dの内周を繋いでいることが好ましい。
変形抑制手段Rは、第2ピストン22を第2原液収容室13側から支える支持部23fからなっていても良い。
本発明の2液吐出製品は、いずれかに記載の2液吐出容器と、第1原液収容室12に充填される第1原液C1と、第2原液収容室13に充填される第2原液C2と、加圧剤収容室14に充填される加圧剤Pとを備えている。
本発明の2液吐出容器は、ピストンユニットが、第2ピストンの第2原液収容室側への変形を抑制する変形抑制手段を備えているため、ガス溜まりによる第2ピストンの変形を抑制することができ、その結果、第2ピストンのシールを維持することができたり、2つの原液の吐出量の比率を一定にすることができる。
変形抑制手段が、第2ピストンの剛性を高める補強部からなれば、第2ピストンの変形を効果的に抑制することができる。特に、補強部がリブであれば、コストを押えつつ、効率的に第2ピストンの変形を抑制することができる。リブを第2原液収容室側に設けた場合、リブ間に原液が残留し易くなり、最後まで使い切るのが困難となるが、リブが加圧剤収容室側に設けられていれば、そのような心配も無い。第2ピストンが、内筒と、外筒と、外筒から径外方向に向かって突出し容器本体の内面と当接しシールを形成するシール部を備えており、リブが板状であって、内筒の外周と外筒の内周を繋いでいる場合は、第2ピストンの変形、特に第2原液を加圧する部分の変形を抑制する効果が高く、容器本体とのシールを維持することができる。
変形抑制手段が、第2ピストンを第2原液収容室側から支える支持部であっても、ガス溜まりによる第2ピストンの変形を抑制することができる。
本発明の2液吐出製品の一実施形態を示す、図1Aが断面図、図1Bが平面図、図1Cが底面図である。 ピストンユニットの分解断面図である。 第2ピストンの底面図である。 図4Aがエアゾールバルブ、図4Bがバルブホルダー、図4Cがバルブジョイントを示す断面図である。 原液を吐出し終えた2液吐出製品を示す断面図である。 本発明の異なる実施形態に係る2液吐出製品の断面図である。 本発明のさらに異なる実施形態に係る2液吐出製品の断面図である。
次に、本発明の2液吐出容器の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明の2液吐出容器1は、図1に示すように、容器本体10と、容器本体10内を、第1原液収容室12と、第2原液収容室13と、加圧剤収容室14とに区画するピストンユニット20と、容器本体10に取り付けられ、第1原液収容室12と第2原液収容室13とにそれぞれ連通するバルブアッセンブリ30とを備えている。従って、2液吐出容器1は、2つの原液(第1原液C1、第2原液C2)と加圧剤Pとをそれぞれ別々に収容することができる。また、ピストンユニット20は、加圧剤収容室14に収容された加圧剤Pの圧力によって容器本体10内を摺動し、第1原液収容室12と第2原液収容室13とを加圧する。従って、この2液吐出容器1は、第1原液C1と第2原液C2とを終始定められた比率で吐出することができる。なお、2液吐出容器1に対して第1原液C1と、第2原液C2と、加圧剤Pとを収容したものが2液吐出製品2となる。以下、各構成部品について詳細に説明する。
容器本体10は、図1Aに示すように概略円筒状であって、高さ方向の略中央から上方に位置する上筒部10aと、下方に位置する下筒部10bと、上端の開口部10cとを備えている。上筒部10aの内径は下筒部10bの内径より小さく、また上筒部10aの外径も下筒部10bの外径より小さい。そのため、上筒部10aと下筒部10bとの間には、上筒部10aの下端と下筒部10bの上端とを繋ぐようにして拡径段部10dが形成されている。そして上筒部10aと、下筒部10bと、拡径段部10dとで胴部10eを構成している。胴部10eの上端(すなわち上筒部10aの上端)には、径内方向に縮径するテーパ状とされた肩部10fが設けられている。また、その肩部10fの上端には、円筒状の首部10gが設けられている。開口部10cは、首部10gの上端で開口している。胴部10eの下端(すなわち下筒部10bの下端)には、底蓋11が取り付けられており、これにより、底部を有する容器が形成されている。底蓋11は、加圧剤収容室14への加圧剤Pの充填を行うためのガス充填弁11aと、胴部10eの下端に内嵌される外筒11bと、ガス充填弁11aの外周を囲む内筒11cとを備えている。
この容器本体10は合成樹脂製である。具体的には、充填する第1原液C1や第2原液C2によって浸食されないもの、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンコポリマーなどの熱可塑性樹脂から製造されている。合成樹脂材料として透光性を有するものを用い、各原液C1、C2の残量、状態などを目視できるようにしても良い。また、各原液C1、C2のいずれか一方若しくは双方を紫外線から保護するために、前記熱可塑性樹脂に紫外線吸収材を添加して容器本体10を成形してもよく、容器本体10の内部または外面に炭素、アルミナ、シリカなどのコート材を設けても良い。
製造方法としては、耐圧性を付与するために、2軸延伸ブロー成形などのブロー成形によって製造することが好ましい。この場合、例えば射出成形、押出成形などで形成したパリソンを加熱し、軸方向に延伸させながら金型内で膨らませて所定の形状に成形する。首部10gおよび開口部10cは、通常はパリソンと共通であり、膨らませないので厚肉である。なお、ブロー成形の場合、底部が形成されるが、底部は切除し、切除により生じた開口を底蓋11によって塞ぐ。底蓋11は、例えば溶着(レーザー溶着、超音波溶着等)や接着によって胴部10eに取り付けられる。特に、容器本体10の底蓋11を除いた部分(筒状体)が無色透明で、底蓋11が筒状体と同じ材質から構成され黒色等の有色である場合、筒状体の側面から透過させたレーザーによって底蓋11を溶着することができる。
ピストンユニット20は、全体的な形状が軸対称な略凸字状(逆T字状)である。このピストンユニット20は、上筒部10a内を摺動する第1ピストン21と、下筒部10b内を摺動する第2ピストン22と、第1ピストン21と第2ピストン22とを連結するピストンジョイント23とを一体的に組み合わせることにより構成されている。そして、ピストンユニット20を容器本体10内に収容することで、バルブアッセンブリ30と第1ピストン21との間の上筒部10a内に第1原液収容室(上収納室)12が形成され、第1ピストン21と第2ピストン22との間の下筒部10b内に第2原液収容室(下収納室)13が形成され、第2ピストン22と底蓋11との間の下筒部10b内に加圧剤収容室14が形成されるようになっている。なお、ピストンユニット20に加えて、容器本体10も軸対称な形状である。また、ピストンユニット20の中心軸は、容器本体10の中心軸上に位置している。従って、第1原液収容室12、第2原液収容室13、加圧剤収容室14は互いに同心軸上に形成される。
第1ピストン21は、図2に示すように、底部21aを有する内筒21bと、内筒21bの上端から径外方向に延出された円板部21cと、円板部21cの外縁から下方に延びる外筒21dと、外筒21dの下端から径外方向に向かって突出する第1シール部21eとからなる。外筒21dの内周面には、後述するピストンジョイント23の嵌合溝23dと係合するための突起21d1が設けられている。底部21aの中心には、後述するチューブ40を挿通するための挿通孔21fが形成されている。また、挿通孔21fの外周を囲むようにして環状突起21gが設けられている。なお、この環状突起21gは、後述する保持部材60を第1ピストン21に取り付けるために使用する部位である。第1シール部21eは平面視環状であって、上筒部10aの内面の全周に亘って当接しており、第1原液収容室12と第2原液収容室13とを液密に区画する。その断面形状は、径内方向に膨出する円弧状であって、円弧の中央部分が外筒21dの下端外周と一体に連結されており、中央部分を軸として円弧の両端を上筒部10aの内面にそれぞれ弾力的に当接させることで、上筒部10aの内径のばらつきなどにより、摺動時に上筒部10aの内面との距離がある程度変化しても、液密にシールし続けることができるようになっている。
第2ピストン22は、上底22aを有する内筒22bと、内筒22bの上底22aの外縁から径外方向に延出された円板部22cと、円板部22cの外縁から下方に延びる外筒22dと、外筒22dの下端から径外方向に向かって突出する第2シール部22eとを備えている。第2シール部22eは、第1シール部21eと同様の構成であって、定常時は勿論のこと、摺動時においても第2原液収容室13と加圧剤収容室14とを気密に区画(シール)し続ける。また、内筒22bの上底22aの中心から上筒22fが延出され、さらに円板部22cの上面から嵌合筒22gが立ち上がっている。なお、内筒22bは、第2ピストン22の強度を高めるため、底蓋11の内筒11cと当接して加圧剤収容室14の上下方向の高さを確保するため、第2シール部22eの底蓋11の外筒11bへの接触を防ぎ、底蓋11を溶着する際に底蓋11からの熱伝導により変形しないようにするための部位である。また、嵌合筒22gは、第2ピストン22の強度を高くするため、ピストンジョイント23との嵌合に用いるための部位である。なお、上筒22fも第2ピストン22の強度を高くするための部位である。嵌合筒22gの内周面には、ピストンジョイント23の嵌合溝23dと係合するための突起22g1が設けられている。
ところで、ピストンジョイント23に外嵌する部分(嵌合筒22g)よりも径外方向に張り出している部位、すなわち、図3に示すように、底面から見て(平面視でも良い)ピストンジョイント23の外形から張り出している部位(以下、張り出し部22hという)については、加圧剤Pの加力方向(上向きの方向)においてピストンジョイント23に支えられておらず、変形が生じやすい。そこで張り出し部22hと、張り出し部22hよりも内側の部位(ピストンジョイント23に支えられている部位)22iとを繋ぐようにして補強部(リブ)22jを設けている。具体的には、内筒22bの外周面と外筒22dの内周面を繋ぐリブ22jを設けている。これにより、加圧剤Pの加圧方向に対する張り出し部22hの剛性が高まり、加圧剤Pの圧力による張り出し部22hの第2原液収容室13側への変形が抑制される。すなわち、リブ22jが変形抑制手段Rとして機能する。リブ22jは、図3に示すように、周方向に対して略等間隔に複数設けられている。
上記構成の第2ピストン22には、加圧剤Pの第2原液収容室13への透過を抑制するため、上面および/または下面に炭素やシリカなどのコート剤を設けてガスバリア性を高くすることが好ましい。特に、第2シール部22eにもコート剤を設けることで、容器本体10内での摺動性が高くなる。なお、第1ピストン21については、ガス透過性であるかガス不透過性であるかを特に問わない。従って、第2ピストン22と同材質でも良いし、異なる材質であっても良い。また、摺動性を高くするために炭素やシリカなどのコート剤を設けてもよい。
ピストンジョイント23は、その最外径が上筒部10aの内径と略等しくなるように成形された略円柱状の部品であり、上端の中心には、凹み部23bが設けられている。この凹み部23bは、第1ピストン21の内筒21bと嵌合するためのものである。また、外周面には、周方向に連続する環状の嵌合溝23dが設けられている。凹み部23bに第1ピストン21の内筒21bを挿入すると、突起21d1が嵌合溝23dに係合し、第1ピストン21の円板部21cと外筒21dがピストンジョイント23により支持される。その結果、ピストンユニット20が摺動する際の、第1ピストン21の変形を抑えることができ、第1原液を均等に加圧することができる。なお、凹み部23bや嵌合溝23dは、下端側にも設けられている。ピストンジョイント23の下端に第2ピストン22を取り付けると、第2ピストン22の上筒22fが凹み部23bに収容され、突起22g1が嵌合溝23dと係合する。
ピストンジョイント23の軸方向の中心(中心軸上)には、上端側の凹み部23bから下端側の凹み部23bにかけて貫通する貫通孔23aが形成されている。この貫通孔23aは、下筒部10bに収容される第2原液C2をバルブアッセンブリ30まで供給するための通路であるとともに、同じく第2原液C2の通路として機能するチューブ40を収容するための収納部でもある。この貫通孔23aは、下側の凹み部23bから下面にかけて設けられた溝部23cを介してピストンジョイント23の外周側に繋がっている。そのため、ピストンジョイント23の下端に第2ピストン22を取り付けると、ピストンジョイント23の下面と第2ピストン22の上面との間に、第2原液収容室13と貫通孔23aとを連通する通路が形成される。溝部23cは、ピストンジョイント23の中心軸から放射状(例えばY字状やX字状、*状)に複数設けられるが、ピストンユニット20を平面視した状態において、ピストンユニット20の重心が中心軸からずれないように、互いに等間隔(等角度)となるように設けられる。これにより、第2原液収容室13内の第2原液C2は均等に導出され、第2ピストン22の傾きが防止され、ピストンジョイント23から外れにくくなる。上記構成のピストンジョイント23は、例えばポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂を用いて射出成形したもの、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタンなどを発泡させて成形した硬質発泡樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニルコポリマーなどの粉体を焼結して成形した焼結体などから製造される。
バルブアッセンブリ30は、容器本体10の開口部10cを閉塞しつつ、第1原液収容室12と外気、第2原液収容室13と外気とをそれぞれ独立した状態で連通するものであって、図1A及び図1Bに示すように、2つのエアゾールバルブ31、32と、これらエアゾールバルブ31、32を保持するバルブホルダー33と、2つのエアゾールバルブ31、32とバルブホルダー33とを容器本体10に固着するカバーキャップ34とを備えている。
2つのエアゾールバルブは、第1バルブ31と第2バルブ32とから構成されている。これら第1、第2バルブ31、32は、図4Aに示すように、有底筒状のハウジング31aと、そのハウジング31aの内部に上下移動自在に収容されたステム31bと、ステム31bのステム孔31cをシールするステムラバー31dと、ステム31bを上向きに付勢するバネ31eと、ステム31b及びバネ31eをハウジング31aに固定するカバー部材31fとからなり、ステム31bを押し下げることで開放する従来公知のものである。
バルブホルダー33は、図4Bに示すように、第1、第2バルブ31、32を保持する保持部33aと、容器本体10の開口部10cに挿入され、開口部10cを塞ぐ栓部33bとから構成されている。保持部33aには、上下方向に貫通するホルダー部33cが2つ設けられており、第1、第2バルブ31、32はホルダー部33cに嵌入されることで、バルブホルダー33に保持される(図1A参照)。なお、第1、第2バルブ31、32のハウジング31aの外周にはOリング51が設けられており、ホルダー部33cに嵌入されることで、ホルダー部33cの内面とハウジング31aの外面との間にシールが形成されるようになっている。また、栓部33bの外周にもOリング52が設けられている。そのため、栓部33bを開口部10cに挿入すれば、栓部33bの外面と開口部10cの内面との間にシールが形成されることになる。
カバーキャップ34は、図1A及び図1Bに示すように、アルミニウムなどの金属薄板をカップ状にプレス加工したものであり、第1バルブ31と第2バルブ32とをバルブホルダー33に押し付けつつ、バルブホルダー33を容器本体10の開口部10cに押し付けた状態で、下端の外周を首部10gにカシメ付けて(塑性変形させて)固着している。
上記構成のバルブアッセンブリ30には、図1Aに示すようにチューブ40が接続されている。なお、チューブ40は、後述するバルブジョイント70を介してバルブアッセンブリ30の第2バルブ32と連通している。チューブ40は、例えばステンレス等の金属製の真っ直ぐなパイプからなる。ただ、剛性を確保できるのであれば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂製であっても良い。このチューブ40の上端は、バルブジョイント70に嵌入、固定されている。下端は、第1ピストン21の挿通孔21fを介してピストンジョイント23の貫通孔23aと連通している(図1A、図2参照)。チューブ40と挿通孔21fとの間は、チューブ40の外周に取り付けられるOリング50によってシールされている。このOリング50は、ピストンユニット20の摺動に合わせてチューブ40上を摺動できるように、保持部材60によって保持されている。
保持部材60は円筒状であって、下端側のみが二重筒状となっている。そして、外側の一端60aが第1ピストン21の内筒21bと環状突起21gとの間に嵌合されて、第1ピストン21に固定されている。そして内側の一端60bが、内筒21bの上面との間でOリング50を保持している。
バルブジョイント70は、図4Cに示すように略円板状であって、上面には、第1バルブ31のハウジング31aの下部と連結する筒状の第1バルブ連結部70aと、第2バルブ32のハウジング31aの下部と連結する筒状の第2バルブ連結部70bとが形成されている。また、下面の中心には、筒状のチューブ連結部70cが形成されている。そしてバルブジョイント70の内部には、第2バルブ連結部70bとチューブ連結部70cとを連通する通路70dが形成されている。なお、第1バルブ連結部70aの下方は切り欠かれており、第1原液収容室12と直接、連通している。また、通路70dには、第1バルブ連結部70a側の開口を塞ぐための栓部材70eが挿入されている。
続いて、容器本体10に収容される原液Cおよび加圧剤Pについて説明する。原液Cは、第1原液収容室12に充填される第1原液C1と第2原液収容室13に充填される第2原液C2とに分かれる。第1原液C1と第2原液C2とは、互いに分離した状態で保管しておき、使用時に混合するものであることが好ましい。具体的には、酸化により発色する染料(パラフェニレンジアミンなど)を含有する第1剤と、染料を酸化させる酸化剤(過酸化水素)を含有する第2剤とからなる2液式染毛剤が挙げられる。
加圧剤Pとしては、窒素、二酸化炭素、空気などの圧縮ガス、液化石油ガス、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロオレフィンなどの液化ガスがあげられるが、圧縮ガスとするのが好ましく、特に水への溶解度が小さく第2ピストン22を透過しにくい窒素を用いることが好ましい。
第1原液C1、第2原液C2、加圧剤Pを容器本体10内に充填する方法としては、先ず、容器本体10の開口部10cにバルブアッセンブリ30を固着し、容器本体10内にピストンユニット20を挿入して底蓋11を固着し、2液吐出容器1を形成する。次いで、第1バルブ31と第2バルブ32のステム31bを押し下げて、第1原液収容室12と第2原液収容室13内の空気を同時に吸引するとともに、ピストンユニット20を上昇させる。
次に、第1バルブ31のステム31bから第1原液C1として2液式染毛剤の第1剤を第1原液収容室12に充填し、第2バルブ32のステム31bから第2原液C2として2液式染毛剤の第2剤を第2原液収容室13に充填する。第1原液C1と第2原液C2とは同時に充填し、ピストンユニット20を下方に移動させる。このとき、第1原液C1が中心軸からずれた位置から充填されるが、ピストンユニット20が軸対称に形成されているため、不規則に変形することがなく、さらにピストンユニット20はその貫通孔23aが中心軸上に設けられたチューブ(ガイド部材)40により案内されるため、傾くことなく下方に摺動する。
その後、加圧剤収容室14に、底蓋11のガス充填弁11aから加圧剤Pを充填する。なお、2液吐出容器1を組み立てた後、加圧剤Pを加圧剤収容室14に充填してから、第1原液収容室12と第2原液収容室13内の空気を排出し、第1原液C1と第2原液C2を充填してもよい。この場合は、加圧剤Pを充填した2液吐出容器(加圧容器)を別の工場に移送し、第1原液C1と第2原液C2を充填することもできる。
加圧剤収容室14に加圧剤Pが収容されると、第1ピストン21は第1原液収容室12を加圧し、第2ピストン22は第2原液収容室13を加圧する。従って、第1原液C1と第2原液C2とはそれぞれ加圧剤Pの充填圧力と略同程度の圧力で圧縮された状態となる。
ところで、原液Cを2液吐出容器1に充填すると、第2原液収容室13内にガス溜まり(気泡)Gが生じることがある(図1A参照)。これは、第2バルブ32から第2原液収容室13に至るまでの充填経路が長く、充填経路の空気が、第2原液C2を充填する際に第2原液収容室13内に入り込んでしまうためである。加圧剤Pによる加圧がなされていない状態で形成されるこのガス溜まりGは、加圧剤Pからの圧力を受けると体積を小さくする。そのため、第2ピストン22は、上方に摺動しようとするが、一方で第1ピストン21やピストンジョイント23は、第1原液C1を吐出しない限り、上方には摺動しない。そのため、第2ピストン22(特に張り出し部22h)を第2原液収容室14側に変形させようとする力が働く。しかし、第2ピストン22がリブ22jを備えており、このリブ22jがその変形を抑制する変形抑制手段Rとして機能するため、張り出し部22hの変形が抑制され、変形によるシール破綻を未然に防止することができる。
また、原液を吐出する際も、第2原液収容室13内にガス溜まり(気泡)Gがあると第2ピストン22(特に張り出し部22h)が第2原液収容室14側に変形しやすく、ピストンジョイント23がバルブ31、32側に摺動する前に第2原液C2を加圧して2つの原液C1、C2の吐出量の比率が崩れやすくなる。しかし第2ピストン22がリブ22jを備えており、このリブ22jがその変形を抑制する変形抑制手段Rとして機能するため、張り出し部22hの変形が抑制され、変形による吐出量の比率の乱れを未然に防止することができる。なお、リブ22jが第2ピストン22の第2原液収容室13側ではなく、加圧剤収容室14側に設けられている、換言すれば、リブ22jが第2原液収容室13に突出していないため、リブ22jを設けたことによる第2原液C2の残留を心配する必要も無い。
上記構成の2液吐出製品2は、各原液C1、C2を吐出させるにあたって、2つのステム31b、31bを同時に押し下げる。第1バルブ31と第2バルブ32とを同時に開放することにより、第1原液C1および第2原液C2を同時に吐出させることができる。つまり、第1バルブ31と第2バルブ32とを開放することにより、加圧剤収容室14内の加圧剤Pがピストンユニット20を上方に付勢し、ピストンユニット20が上方に向かって容器本体10内を摺動することにより、第1原液収容室12および第2原液収容室13が収縮させられ、各原液C1、C2が吐出される。
この際、第1原液C1は、バルブジョイント70の第1バルブ連結部70a(第1吐出通路)を介して第1バルブ31へと供給され、第2原液C2が、ピストンジョイント23と第2ピストン22との間の通路、貫通孔23a、チューブ40内、バルブジョイント70の第2バルブ連結部70b(第2吐出通路)を介して第2バルブ32へと供給され、それぞれのステム31bから外部へと吐出される。
吐出中、ピストンユニット20はその外周にある第1シール部21eと第2シール部22eが容器本体10内を摺動しつつ、その内周がチューブ40の外周とも摺動するが、チューブ40がピストンユニット20(容器本体10)の中心軸上に設けられているため、ピストンユニット20の上下方向の摺動をガイドするガイド部材としての機能を発揮することとなり、ピストンユニット20の傾きが抑制され、安定した摺動を実現することができる。吐出が完了すると、図5に示すように、ピストンユニット20の略全体が上筒部10a側に移動した状態となる。
なお、本発明の2液吐出容器1は、2つのステム31bを有しているが、第1原液収容室12と第2原液収容室13の収縮はピストンユニット20で連動しているため、どちらか一方のステム31bだけを操作しても作動しない。そのため、誤った方法で操作されても片方の原液だけが吐出されることがなく、所定の比率(原液Cを加圧するピストンの面積比率)で2つの原液C1、C2を確実に吐出することができる。なお、2つのステム31bを同時に押すために、2つのステム31bに跨る押ボタンを取り付けることが好ましい。押ボタンとしては、2つのステム31bから吐出される原液同士を内部で混合して吐出できるものを採用しても良い。
図6は、本発明の別の実施形態に係る2液吐出容器1Aを示している。図に示すように、変形抑制手段Rとして、第2ピストン22を第2原液収容室13側から支える支持部23fを備えている。支持部23fは、ピストンジョイント23Aの下方外周から径外方向に延出されており、ピストンジョイント23Aの最外径を、第2ピストン22の外径と略等しいまでに拡大している。このような構成であれば、支持部23fも第2原液C2(第2原液収容室13)を加圧するようになる、すなわち加圧部として機能するため、第2ピストン22に加わる力を軽減することができ、さらに変形し易い張り出し部がほとんど形成されないため、第2ピストン22の第2原液収容室13側への変形を抑制することができる。この支持部23fは、ピストンジョイント23Aの溝部23cを延長し、第2原液C2の流路を確保するための溝部23f1を備えている。支持部23fの上面側の形状は、拡径段部10dの内面と略同形状とすることが好ましい。ピストンユニット20が摺動しきったときの第2原液C2の残留を抑制できるためである。リブ22jは設けても良いし、設けなくてもよい。その他の構成は、図1に示す2液吐出容器1と同様であるから、同符号を付し、説明は省略する。
図7は、本発明のさらに別の実施形態に係る2液吐出容器1Bを示している。この2液吐出容器1Bは、図6の2液吐出容器1Aの嵌合筒22gを支持部23fの外側に設けたものである。この状態は、外筒22dの上端から嵌合筒22gを延出している、もしくは外筒22dを上方に延長したともいえる。また、嵌合筒22gに、溝部23cと対応する位置に切れ込み部22g2を設けている。このように構成することで、溝部23cによって形成される第2原液C2の通路の直線部分が多くなり、第2原液C2をスムーズに流すことができるようになる。嵌合筒22gの内周面からは突起22g1が突出しており、支持部23fの外周面には係合溝23f2が設けられている。そして、係合溝23f2に突起22g1を係合させることで、第2ピストン22Aとピストンジョイント23Bとの連結を強固なものとし、第2ピストン22Aが第2原液C2充填時における下向きの力を受けても、ピストンジョイント23Bから外れないようにしている。なお、リブ22jは設けても良いし、設けなくてもよい。その他の構成は、図1及び図6に示す2液吐出容器1、1Aと同様であるから、同符号を付し、説明は省略する。
以上に、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施形態では、変形抑制手段Rとして板状のリブ22jを設けていたが、加圧剤Pの加力方向に対して剛性を高められる形状であれば、板状に限らず、山形やV字形など種々の形状を採用できる。また、内筒22b内にもリブを設けてリブ同士を繋いでも良い。
1、1A、1B 2液吐出容器
2 2液吐出製品
10 容器本体
10a 上筒部
10b 下筒部
10c 開口部
10d 拡径段部
10e 胴部
10f 肩部
10g 首部
11 底蓋
11a ガス充填弁
11b 外筒
11c 内筒
12 第1原液収容室
13 第2原液収容室
14 加圧剤収容室
20 ピストンユニット
21 第1ピストン
21a 底部
21b 内筒
21c 円板部
21d 外筒
21d1 突起
21e 第1シール部
21f 挿通孔
21g 環状突起
22、22A 第2ピストン
22a 上底
22b 内筒
22c 円板部
22d 外筒
22e 第2シール部
22f 上筒
22g 嵌合筒
22g1 突起
22g2 切れ込み部
22h 張り出し部
22i ピストンジョイントに支えられている部位
22j リブ
23、23A、23B ピストンジョイント
23a 貫通孔
23b 凹み部
23c 溝部
23d 嵌合溝
23f 支持部
23f1 溝部
23f2 係合溝
30 バルブアッセンブリ
31 第1バルブ
31a ハウジング
31b ステム
31c ステム孔
31d ステムラバー
31e バネ
31f カバー部材
32 第2バルブ
33 バルブホルダー
33a 保持部
33b 栓部
33c ホルダー部
34 カバーキャップ
40 チューブ(ガイド部材)
50〜52 Oリング
60 保持部材
60a 外側の一端
60b 内側の一端
70 バルブジョイント
70a 第1バルブ連結部
70b 第2バルブ連結部
70c チューブ連結部
70d 通路
70e 栓部材
P 加圧剤
C 原液
C1 第1原液
C2 第2原液
G ガス溜まり
R 変形抑制手段

Claims (7)

  1. 容器本体と、
    容器本体内を、第1原液収容室と、第2原液収容室と、加圧剤収容室とに区画するとともに、加圧剤収容室に収容される加圧剤の圧力によって容器本体内を摺動し、第1原液収容室と第2原液収容室とを加圧するピストンユニットと、
    第1原液収容室と第2原液収容室とにそれぞれ連通するバルブアッセンブリとを備え、
    ピストンユニットが、第1原液収容室を加圧する第1ピストンと、第2原液収容室と加圧剤収容室とを隔て、第2原液収容室を加圧する第2ピストンと、第1ピストンと第2ピストンとを連結するピストンジョイントとを有し、
    さらにピストンユニットが、第2ピストンの第2原液収容室側への変形を抑制する変形抑制手段を備えている、2液吐出容器
  2. 変形抑制手段が、第2ピストンの剛性を高める補強部からなる、請求項1記載の2液吐出容器。
  3. 補強部がリブからなる、請求項2記載の2液吐出容器。
  4. リブが、第2ピストンの加圧剤収容室側に設けられている、請求項3記載の2液吐出容器。
  5. 第2ピストンが、内筒と、外筒と、外筒から径外方向に向かって突出し容器本体の内面と当接しシールを形成するシール部を備えており、
    リブが板状であって、内筒の外周と外筒の内周を繋いでいる、請求項4記載の2液吐出容器。
  6. 変形抑制手段が、第2ピストンを第2原液収容室側から支える支持部からなる、請求項1記載の2液吐出容器。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の2液吐出容器と、
    第1原液収容室に充填される第1原液と、
    第2原液収容室に充填される第2原液と、
    加圧剤収容室に充填される加圧剤とを備えた、2液吐出製品。
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