JP2020002046A - 外用医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、水中にロキソプロフェン及び/又はその塩とトコフェロール酢酸エステルとを含む外用組成物において、エタノールやイソプロパノールを多量に用いずとも、不溶物の生成を抑制することが可能な製剤処方を提供することを目的とする。【解決手段】(A)ロキソプロフェン及び/又はその塩、(B)トコフェロール酢酸エステル、(C)N−メチル−2−ピロリドン、及び(D)水を含む外用医薬組成物は、不溶物の発生が抑制される。【選択図】なし

Description

本発明は、ロキソプロフェン及び/又はその塩とトコフェロール酢酸エステルとが共存しながらも、トコフェロール酢酸エステルの減量が抑制され、優れた安定性を有する外用医薬組成物に関する。
トコフェロール酢酸エステルは、血行促進成分として公知の成分であり、抗炎症成分を主薬とする消炎鎮痛用の外用医薬組成物において佐薬として配合されることが知られている。例えば特許文献1には、主薬有効成分として強い抗炎症作用をもつウフェナマートに、血行促進作用を有するトコフェロール酢酸エステルをアラントインと共に配合したウフェナマート含有皮膚外用剤が、炎症治療に有効なだけでなく、患部の治癒を早める組織修復効果をも発揮し、かつ、分離、離漿、沈殿等に対する優れた製剤安定性と優れた使用性を有することが記載されている。
ロキソプロフェンナトリウムに代表されるロキソプロフェン類(ロキソプロフェン及び/又はその塩)は、優れた鎮痛・消炎作用を有する薬剤として知られており、外用医薬組成物としても使用されている。また、ロキソプロフェン類は水及びエタノールに溶けることが知られている。
トコフェロール酢酸エステルは、血行促進作用を有する薬剤として知られており、外用医薬組成物としても使用されている。また、トコフェロール酢酸エステルは水にほとんど溶けず、エタノール(99.5)、アセトン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ヘキサン又は植物油と混和することが知られている。
ロキソプロフェン類を含む外用組成物においては、ロキソプロフェン類による鎮痛・消炎作用に血行促進作用を付与するため、トコフェロール酢酸エステルが配合される場合がある。このような場合、両方の成分を水中で溶解させるために、エタノールを基剤として含ませることが一般的である。
さらに、ロキソプロフェン類を含む外用組成物の外観でみる保存安定性を向上させるため、例えば特許文献1において、エタノールに代えてイソプロパノールを用いることも提案されている。特許文献1では、このようにイソプロパノールを含むロキソプロフェン皮膚外用剤に、トコフェロール酢酸エステルを含む処方も開示されている。
特開2017−200909号公報
エタノールを多量に含むロキソプロフェン類の製剤処方では、エタノールによる皮膚刺激が懸念される。また、エタノールに代えてイソプロパノールを含むロキソプロフェン類の製剤処方においても、イソプロパノールがエタノールに比べて刺激性が強いことから、エタノール処方以上に皮膚刺激が懸念される。
そこで本発明は、水中にロキソプロフェン及び/又はその塩とトコフェロール酢酸エステルとを含む外用組成物において、エタノールやイソプロパノールを多量に用いずとも、不溶物の生成を抑制することが可能な製剤処方を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討の結果、水中にロキソプロフェン及び/又はその塩とともにトコフェロール酢酸エステルを含む外用医薬組成物において、N−メチル−2−ピロリドンを用いることによって、不溶物の生成を抑制し得ることを見出した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)ロキソプロフェン及び/又はその塩、(B)トコフェロール酢酸エステル、(C)N−メチル−2−ピロリドン、及び(D)水を含み、多孔質部材が取り付けられた塗布部を有する塗布容器に収容されている、外用医薬組成物。
項2. 前記(C)成分が0.1〜20重量%含まれる、項1に記載の外用医薬組成物。
項3. 前記(C)成分が、前記(B)成分1重量部当たり2〜100重量部含まれる、項1又は2に記載の外用医薬組成物。
項4. 多孔質部材が取り付けられた塗布部を有する塗布容器に収容されるべき外用医薬組成物中で、(A)ロキソプロフェン及び/又はその塩と、(B)トコフェロール酢酸エステル及び(D)水とともに、(C)N−メチル−2−ピロリドンを共存させる、外用医薬組成物において不溶物の生成を抑制する方法。
本発明によれば、水中にロキソプロフェン及び/又はその塩ととともにトコフェロール酢酸エステルを含む外用医薬組成物において、N−メチル−2−ピロリドンを用いることによって、不溶物の生成を抑制させ得る製剤処方が提供される。
1.外用医薬組成物
本発明の外用医薬組成物は、(A)ロキソプロフェン及び/又はその塩(以下、「(A)成分」と表記することもある)、(B)トコフェロール酢酸エステル(以下、「(B)成分」と表記することもある)、(C)N−メチル−2−ピロリドン(以下、「(C)成分」と表記することもある)、及び(D)水(以下、「(D)成分」と表記することもある)を含有することを特徴とする。以下、本発明の外用医薬組成物について詳述する。
(A)ロキソプロフェン及び/又はその塩
本発明の外用医薬組成物は、(A)成分としてロキソプロフェン及び/又はその塩を含有する。ロキソプロフェン及び/又はその塩は、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)の一種として公知の成分である。ロキソプロフェンは、2−[パラ−(2−オキソシクロペンチルメチル)フェニル]プロピオン酸である。ロキソプロフェンの塩としては、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩であれば特に制限されず、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、ロキソプロフェンの塩は、水和物であってもよい。
本発明の外用医薬組成物において、(A)成分として、ロキソプロフェン及び/又はその塩の中から1種を選択して単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。(A)成分の中でも、好ましくはロキソプロフェンの塩、より好ましくはロキソプロフェンナトリウム、さらに好ましくはロキソプロフェンナトリウム水和物が挙げられる。
本発明の外用医薬組成物における(A)成分の含有量は、外用医薬組成物に備えさせるべき薬効等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜3重量%が挙げられる。
(B)トコフェロール酢酸エステル
本発明の外用医薬組成物は、(B)成分としてトコフェロール酢酸エステルを含有する。トコフェロール酢酸エステルは、血行促進成分として公知の成分であり、具体的には酢酸d−α−トコフェロール、酢酸l−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロールが挙げられる。トコフェロール酢酸エステルは油溶性であるため、外用医薬組成物においてロキソプロフェン及び/又はその塩とともに水中に含まれる場合、エタノールやイソプロパノールを配合しなければ不溶物を生じるが、本発明の外用医薬組成物ではエタノールやイソプロパノールを多量に用いなくともトコフェロール酢酸エステルを溶解させることができる。
本発明の外用医薬組成物における(B)成分の含有量は、外用医薬組成物に備えさせるべき薬効等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.01〜1重量%、好ましくは0.03〜0.5重量%、更に好ましくは0.05〜0.3重量%が挙げられる。
(C)N−メチル−2−ピロリドン
本発明の外用医薬組成物は、(C)成分としてN−メチル−2−ピロリドンを含有する。水中でロキソプロフェン及び/又はその塩とともにトコフェロール酢酸エステルを含む外用組成物においては、エタノールやイソプロパノールを配合しなければ不溶物を生じるが、本発明の外用医薬組成物では、N−メチル−2−ピロリドンを含むことによって、エタノールやイソプロパノールを多量に用いなくともトコフェロール酢酸エステルを溶解させることができる。また、ロキソプロフェン及び/又はその塩とともにトコフェロール酢酸エステルを含む外用医薬組成物は本来トコフェロール酢酸エステルがその安定性悪化により減量し、血行促進作用の減弱を招来するが、本発明の外用医薬組成物ではN−メチル−2−ピロリドンを含むことによって、トコフェロール酢酸エステルの減量を抑制し、優れた安定性を備えさせることもできる。
本発明の外用医薬組成物における(C)成分の含有量については、使用する(B)成分の含有量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.01〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%、より好ましくは0.5〜6重量%が挙げられる。本発明においては、(C)成分が、水中でロキソプロフェン及び/又はその塩とともに配合されたトコフェロール酢酸エステルに対してエタノールやイソプロパノールよりもはるかに溶解力に優れているため、エタノールやイソプロパノールでは可溶化できないような少量であっても、不溶物の発生を効果的に抑制することができる。従って、本発明の外用医薬組成物では、エタノールやイソプロパノール等により懸念される皮膚刺激を抑制することもできる。
また、本発明の医薬組成物において、(B)成分と(C)成分との比率については、前述する各含有量に応じて定まるが、不溶物の発生をより効果的に抑制する観点から、(B)成分1重量部当たりの(C)成分の含有量として、2〜100重量部、好ましくは9〜60重量部が挙げられる。
(D)水
本発明の外用医薬組成物は、(D)成分として水を含有する。水としては特に制限されず、精製水、蒸留水、イオン交換水、超純水、滅菌水などが挙げられ、好ましくは精製水が挙げられる。本発明の外用医薬組成物における(D)成分の含有量については、液剤として調製する限りにおいて適宜設定すればよい。本発明では、水中にロキソプロフェン及び/又はその塩とともにトコフェロール酢酸エステルを含む外用医薬組成物における不溶物の発生を抑制することができるため、水の量が多くても不溶物の発生を効果的に抑制することができる。このような観点から、本発明の外用医薬組成物における(D)成分の量としては、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、一層好ましくは80重量%以上が挙げられる。(D)成分の量の範囲の上限としては特に限定されないが、例えば99重量%以下、好ましくは98重量%以下が挙げられる。このように、本発明の外用医薬組成物では、水の含有量を多くすることができるため、エタノールやイソプロパノール等により懸念される皮膚刺激を抑制することもできる。
また、本発明の医薬組成物において、(B)成分と(D)成分との比率については、前述する各含有量に応じて定まる。本発明では、水中にロキソプロフェン及び/又はその塩とともにトコフェロール酢酸エステルを含む外用医薬組成物における不溶物の発生を抑制することができるため、(B)成分に対する水の量が多くても不溶物の発生を効果的に抑制することができる。このような観点から、(B)成分1重量部当たりの(D)成分の含有量として、好ましくは100重量部以上、より好ましくは300重量部以上、さらに好ましくは600重量部以上、一層好ましくは800重量部以上が挙げられる。(B)成分1重量部当たりの(D)成分の量の範囲の上限としては特に限定されないが、例えば990重量部以下、好ましくは980重量部以下が挙げられる。このように、本発明の外用医薬組成物では、水の含有量を多くすることができるため、エタノールやイソプロパノール等により懸念される皮膚刺激を抑制することもできる。
その他の成分
本発明の外用医薬組成物には、本発明の効果を妨げない限り、前述する成分の他に、必要に応じて、他の薬理成分を含んでいてもよい。本発明の外用医薬組成物に配合可能な他の薬理成分については、特に制限されないが、例えば、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、グリチルリチン酸ステアリル等の抗炎症剤;ジフェニルイミダゾール、ジフェンヒドラミン及びその薬学的に許容される塩、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤;リドカイン及びその薬学的に許容される塩、ジブカイン及びその薬学的に許容される塩、アミノ安息香酸エチル等の局所麻酔剤;カプサイシノイド(具体的には、ノナン酸バニリルアミド;及びカプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン等のカプサイシン類等)、ニコチン酸のエステル誘導体(具体的には、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、ニコチン酸メチルエステル等)等の血行促進剤(上記(B)成分以外);アルニカチンキ、オウバクエキス、サンシシエキス、セイヨウトチノキエキス、ロートエキス、ベラドンナエキス、トウキエキス、シコンエキス、サンショウエキス等の生薬等が挙げられる。
更に、本発明の外用医薬組成物は、前述する成分の他に、必要に応じて、外用医薬組成物に通常使用される溶剤や他の添加剤が含まれていてもよい。このような溶剤としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール等の炭素数1〜5の一価低級アルコール;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の炭素数2〜8の二価アルコールが挙げられる。本発明では、水中にロキソプロフェン及び/又はその塩とともにトコフェロール酢酸エステルを含む外用医薬組成物における不溶物の発生を抑制することができるため、一価低級アルコールの含有量が少量であっても、あるいは含まれていなくても、不溶物の発生を効果的に抑制することができる。このような観点から、本発明の外用医薬組成物における一価低級アルコールの含有量は、0〜70重量%、好ましくは0〜55重量%、より好ましくは0〜40重量%、さらに好ましくは0〜20重量%、一層好ましくは0〜5重量%が挙げられる。これによって、皮膚刺激を良好に抑制することができる。本発明の外用医薬組成物に二価アルコールを含む場合、二価アルコールの配合量としては、例えば0.01〜20重量%、好ましくは0.3〜10重量%、より好ましくは0.5〜8重量%が挙げられる。また、添加剤としては、例えば、pH調節剤、界面活性剤、乳化剤、可溶化剤、防腐剤、保存剤、酸化防止剤、安定化剤、キレート剤、増粘剤、香料、着色料等が挙げられる。
製剤形態
本発明の外用医薬組成物の製剤形態は、液剤(ローション剤、スプレー剤、エアゾール剤、及び乳液剤を含む)である。液剤形態への調製は、第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法に従って、液剤形態に応じた添加剤を用いて製剤化することにより行うことができる。
容器
本発明の外用医薬組成物は、多孔質部材が取り付けられた塗布部を有する塗布容器に収容されている。本発明の外用医薬組成物は不溶物の発生が抑制されているため、塗布時に有効成分が多孔質部材にせき止められて容器内にとどまることで多孔質部材を介して適用される液剤が奏する効果の減弱を抑制することができ、また、多孔質部材への不溶物の詰まりも抑制することができる。
塗布容器の塗布部に取り付けられている多孔質部材としては、微細な連続孔を有することで多孔質性を呈する部材であればよい。また、多孔質部材としては、塗布を容易とする観点から、可撓性部材であることが好ましい。このような多孔質部材としては、スポンジ部材及びメッシュ部材等が挙げられ、好ましくはスポンジ部材が挙げられる。多孔質部材の材料としても特に限定されないが、ウレタン、ラバー等の合成樹脂材料、及びセルロースなどの天然材料が挙げられ、好ましくはウレタン、ラバー等の合成樹脂材料が挙げられる。特に好ましい多孔質部材の例としては、ラバースポンジ部材が挙げられる。
使用態様
発明の外用医薬組成物は、消炎鎮痛が求められる局所(皮膚)に外用投与することにより使用され、具体的には、塗布容器の塗布部における多孔質部材を皮膚に当接させて塗布することにより使用される。本発明の外用医薬組成物は、外用消炎鎮痛剤として、肩こりに伴う肩の痛み、関節痛、腰痛、筋肉痛、腱鞘炎(手・手首の痛み)、肘の痛み(テニス肘等)、打撲痛、ねんざ痛、骨折痛、神経痛、変形性関節症、関節炎等に対する治療目的で使用することができる。
2.不溶物の生成を抑制する方法
前述するように、N−メチル−2−ピロリドンは、水中にロキソプロフェン及び/又はその塩をトコフェロール酢酸エステルとともに含む外用医薬組成物において、不溶物の発生を抑制することができる。従って、本発明は、更に、多孔質部材が取り付けられた塗布部を有する塗布容器に収容されるべき外用医薬組成物中で、(A)成分であるロキソプロフェン及び/又はその塩と、(B)成分であるトコフェロール酢酸エステル及び(D)成分である水とともに、(C)成分であるN−メチル−2−ピロリドンを共存させる、外用医薬組成物において不溶物の生成を抑制する方法を提供する。
なお、本発明において、不溶物の生成を抑制するとは、外用医薬組成物の外観が、透明性を有すること、具体的には透明(澄明)又は半透明、より好ましくは透明(澄明)とすることをいう。
前記不溶物の生成を抑制する方法において、使用する成分の種類や使用量、外用医薬組成物の形態等については、前記「1.外用医薬組成物」の欄に示す通りである。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例1
[外用医薬組成物の調製]
表1に示す組成の外用医薬組成物を調製した。具体的には、以下の手順で調製した。まず、精製水とロキソプロフェンNa水和物(ロキソプロフェンナトリウム水和物)とを混合し、均一になるまで撹拌した。得られた溶液に、(酢酸dl−α−トコフェロール)とN−メチル−2−ピロリドンとの混合溶液を混合し、均一になるまで攪拌した。最後に、合計量が100gとなるように精製水を添加し、均一になるまで撹拌した。
[不溶物の生成抑制の評価]
調製した外用医薬組成物100gを、胴径40mmの透明スクリュー管に入れ、外観を目視し、以下の基準で不溶物の生成抑制を評価した。
◎:透明、澄明(不溶物の生成が極めて良好に抑制されている)
○:半透明(不溶物の生成が抑制されている)
△:不溶物が分散し不透明(析出した不溶物が浮遊)
×:不溶物が分離(析出した不溶物が沈殿)
得られた結果を表1に示す。表1から明らかなように、水中にロキソプロフェンナトリウム水和物をトコフェロール酢酸エステルとともに含む外用医薬組成物(比較例1)では、不溶物の分離が生じた。また、水中にロキソプロフェンナトリウム水和物及びトコフェロール酢酸エステルと共に、グリセリン、D−ソルビトール及びポリビニルアルコールといった多価アルコールを含む外用医薬組成物(比較例2〜4)でも、不溶物の分離が生じた。このため、比較例1〜4の外用医薬組成物をラバースポンジが取り付けられた塗布部を有する塗布容器に収容して皮膚に塗布したところ、不溶物が容器内部側でラバースポンジによりせき止められ、ラバースポンジを介して所定の有効成分濃度を有する液剤を塗布することができなかった。
これに対して、水中にロキソプロフェンナトリウム水和物及びトコフェロール酢酸エステルと共に、N−メチル−2−ピロリドンを含む外用医薬組成物(実施例1、2)では、N−メチル−2−ピロリドンの配合量が僅か5重量%又は1重量%で、不溶物の生成が極めて良好に抑制された。このため、実施例1、2の外用医薬組成物をラバースポンジが取り付けられた塗布部を有する塗布容器に収容して皮膚に塗布したところ、ラバースポンジを介して所定の有効成分濃度を有する液剤を塗布することが可能であった。
Figure 2020002046

Claims (4)

  1. (A)ロキソプロフェン及び/又はその塩、(B)トコフェロール酢酸エステル、(C)N−メチル−2−ピロリドン、及び(D)水を含み、多孔質部材が取り付けられた塗布部を有する塗布容器に収容されている、外用医薬組成物。
  2. 前記(C)成分が0.1〜20重量%含まれる、請求項1に記載の外用医薬組成物。
  3. 前記(C)成分が、前記(B)成分1重量部当たり2〜100重量部含まれる、請求項1又は2に記載の外用医薬組成物。
  4. 多孔質部材が取り付けられた塗布部を有する塗布容器に収容されるべき外用医薬組成物中で、(A)ロキソプロフェン及び/又はその塩と、(B)トコフェロール酢酸エステル及び(D)水とともに、(C)N−メチル−2−ピロリドンを共存させる、外用医薬組成物において不溶物の生成を抑制する方法。
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