JP7226957B2 - 外用医薬組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ロキソプロフェン及び/又はその塩とメントールとを水性製剤中に含みながらも、白濁が抑制されている外用医薬組成物に関する。
ロキソプロフェンナトリウムに代表されるロキソプロフェン類(ロキソプロフェン及び/又はその塩)は、優れた鎮痛・消炎作用を有する薬剤として知られており、外用医薬組成物としても使用されている。また、ロキソプロフェン類は水及びエタノールに溶けることが知られている。
メントールは、清涼化剤として、外用組成物をはじめとする多くの製剤に用いられている。メントールは水に極めて溶けにくく、エタノールに容易に溶けることが知られている。このため、メントールを配合した水性製剤の製剤化においては、溶媒としてエタノールが汎用されている。
メントールを含む外用組成物の製造においては、まず、メントールをアルコールに溶解させてメントールのアルコール溶液として調製し、その後、アルコール溶液に水を徐々に加えていくというのが技術常識となっている。
例えば、特許文献1では、メントールが媒体成分に溶解された状態の清涼感付与外用組成物を製造する方法が、(I)メントールを溶解可能な液状媒体成分にメントールを溶解して、メントール溶液を調製するメントール溶解工程と、(II)少なくとも、メントールを溶解不可能な水、メントールを溶解可能なメントール溶解性界面活性剤、及び、前記アルコール類と前記水との混合媒体中における前記メントールの析出を防止する作用を奏する析出防止性界面活性剤のうちの少なくとも一つの媒体成分と、前記メントール溶液とを、前記メントールが前記媒体成分に溶解された状態になるような割合で混合して、前記メントールが前記媒体成分に溶解された状態のメントール混合組成物を調製する工程と、を有することを開示している。特許文献1では、媒体成分には少なくとも、前記メントールを溶解可能なエタノールとイソプロピルアルコールのうちの少なくとも一つと、前記メントールを溶解可能なグリコールとグリセリンのうちの少なくとも一つを含有し、前記メントールが前記媒体成分に溶解された状態で含有され、前記媒体成分は水を含有しないことも記載されている。
特開2014-152172号公報
本発明者は、ロキソプロフェン類とメントールとを含む水性の外用医薬組成物の調製を試みた。しかしながら、これまで常識となっている製法に基づいて予めメントールを含むエタノール溶液を調製した後に水を加えても、得られる外用医薬組成物が白濁してしまう課題に直面した。この白濁を解消するために、様々な溶解補助剤を配合することも考えられたが、ロキソプロフェン類とメントールとを含み且つ白濁が抑制された外用医薬組成物として必要な構成成分が多くなるほど処方に制約がかかり、近年の多様化する外用医薬組成物の処方に対応できないケースが増える。
そこで本発明は、ロキソプロフェン及び/又はその塩とメントールとを含む水性の外用医薬組成物において、白濁を抑制することが可能な製剤技術を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討の結果、驚くべきことに、エタノールに、メントールを溶解しない水を予め加えてエタノール水溶液を調製し、その後、当該エタノール溶液にロキソプロフェン及び/又はその塩とメントールとを溶解させることで、エタノール以外の溶解補助剤を用いなくとも白濁が抑制された外用医薬組成物が得られることを見出した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)ロキソプロフェン及び/又はその塩、(B)メントール、(C)エタノール、並びに(D)水を含み、白濁が抑制されている、外用医薬組成物。
項2. (E)カプサイシノイドをさらに含む、項1に記載の外用医薬組成物。
項3. (C)エタノールと(D)水とを混合してエタノール水溶液を得る工程1と、
前記エタノール水溶液に、(A)ロキソプロフェン及び/又はその塩、並びに(B)メントールを溶解させる工程2と、
を含む、外用医薬組成物の白濁を抑制する方法。
本発明によれば、ロキソプロフェン及び/又はその塩とメントールとを含む水性の外用医薬組成物において、白濁を抑制することが可能な製剤技術が提供される。
1.外用医薬組成物
本発明の外用医薬組成物は、(A)ロキソプロフェン及び/又はその塩(以下、「(A)成分」と表記することある)、(B)メントール(以下、「(B)成分」と表記することある)、(C)エタノール(以下、「(C)成分」と表記することある)、並びに(D)水(以下、「(D)成分」と表記することある)を含有し、白濁が抑制されていることを特徴とする。以下、本発明の外用医薬組成物について詳述する。
(A)ロキソプロフェン及び/又はその塩
本発明の外用医薬組成物は、(A)成分としてロキソプロフェン及び/又はその塩を含有する。ロキソプロフェン及び/又はその塩は、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)の一種として公知の成分である。ロキソプロフェンは、2-[パラ-(2-オキソシクロペンチルメチル)フェニル]プロピオン酸である。ロキソプロフェンの塩としては、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩であれば特に制限されず、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、ロキソプロフェンの塩は、水和物であってもよい。
本発明の外用医薬組成物において、(A)成分として、ロキソプロフェン及び/又はその塩の中から1種を選択して単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。(A)成分の中でも、好ましくはロキソプロフェンの塩、より好ましくはロキソプロフェンナトリウム、さらに好ましくはロキソプロフェンナトリウム水和物が挙げられる。
本発明の外用医薬組成物における(A)成分の含有量は、外用医薬組成物に備えさせるべき薬効等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.1~10重量%、好ましくは0.5~3重量%が挙げられる。
(B)メントール
本発明の外用医薬組成物は、(B)成分としてメントールを含有する。メントールを含有させることによって、適用した皮膚に清涼感を付与し、使用感を良好にすることができる。メントールをロキソプロフェンとともに水性の外用医薬組成物として通常の方法で調製すると、白濁した外用医薬組成物しか得ることができない。しかしながら、本発明の外用医薬組成物は白濁が抑制されたものとして提供される。本発明の外用医薬組成物は白濁が抑制されているため、配合されているメントールによる清涼感による使用感の向上効果を最大化することができ、(A)成分による消炎鎮痛効果と相まって、高い効能を発揮することができる。
メントールは、d体、l体、dl体のいずれであってもよいが、好ましくはl体が挙げられる。また、本発明の外用医薬組成物は、(B)成分として、メントールを含む精油を使用してもよい。メントールを含む精油は、公知のものから適宜選択して使用することができるが、例えば、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油等が挙げられる。
(B)成分の中でも、白濁をより良好に抑制するという観点から、好ましくはメントール、及びこれを含む精油、更に好ましくはl-メントール及びこれを含む精油が挙げられる。
本発明の外用医薬組成物における(B)成分の含有量については、外用医薬組成物に備えさせるべき薬効等に応じて適宜設定すればよいが、例えば1重量%以上、好ましくは2重量%以上が挙げられる。さらに、本発明の外用医薬組成物の白濁をより好ましく抑制する点で、(B)成分の含有量としては、好ましくは2~15重量%、更に好ましくは2~10重量%、特に好ましくは2~7重量%が挙げられる。
本発明の外用医薬組成物において、(A)成分と(B)成分との比率については、各成分の前記含有量の範囲に基づいて定まるが、本発明の外用医薬組成物の白濁をより好ましく抑制するという観点から、(A)成分1重量部当たり(B)成分が2~15重量部、好ましくは2~10重量部、より好ましくは2~7重量部が挙げられる。
なお、ここで示す(B)成分の配合比率は、(B)成分としてメントールを含む精油を使用する場合には、メントール量に換算した値である。
(C)エタノール
本発明の外用医薬組成物は、(C)成分としてエタノールを含む。エタノールは溶剤として使用される。本発明の外用医薬組成物において、(C)成分の含有量については特に制限されないが、例えば30~80重量%が挙げられる。
(D)水
本発明の外用医薬組成物は、(D)成分として水を含む。水としては特に制限されず、精製水、蒸留水、イオン交換水、超純水、滅菌水などが挙げられ、好ましくは精製水が挙げられる。本発明の外用医薬組成物における水の含有量については、その製剤形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、15~60重量%が挙げられる。
(E)カプサイシノイド
本発明の外用医薬組成物は、(E)成分としてカプサイシノイドを含有する。カプサイシノイドとは、N-アシルワニリルアミドをいう。カプサイシノイドを配合することによって、外用医薬組成物に血行促進作用等が付与され、(A)成分よる消炎鎮痛効果及び最大化された(B)成分による使用感の向上効果を相まって、さらに高い効能を発揮することができる。
カプサイシノイドにおけるアシル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。また、カプサイシノイドにおけるアシル基の炭素数については、特に制限されないが、例えば5~15、好ましくは6~11が挙げられる。
カプサイシノイドとして、具体的には、ノナン酸バニリルアミド;及びカプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン等のカプサイシン類等が挙げられ、好ましくはノナン酸バニリルアミドが挙げられる。
また、本発明の外用医薬組成物において、カプサイシノイドは、精製品を使用してもよいが、カプサイシノイド以外に他の成分が含まれている混合物を使用してもよい。このようなカプサイシノイドを含む混合物としては、具体的には、カプサイシノイドとして、トウガラシエキス、トウガラシチンキ、トウガラシ末等のトウガラシ類が挙げられる。
本発明の外用医薬組成物において、(E)成分として、1種のカプサイシノイドを単独で使用してもよく、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の外用医薬組成物における(E)成分の含有量は、外用医薬組成物に備えさせるべき薬効等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.002~0.2重量%、好ましくは0.01~0.1重量%が挙げられる。
その他の成分
本発明の外用医薬組成物には、本発明の効果を妨げない限り、前述する成分の他に、必要に応じて、他の薬理成分を含んでいてもよい。本発明の外用医薬組成物に配合可能な他の薬理成分については、特に制限されないが、例えば、ジクロフェナク及び/又はその薬学的に許容される塩等の消炎鎮痛剤(上記(A)成分以外);グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、グリチルリチン酸ステアリル等の抗炎症剤;ジフェニルイミダゾール、ジフェンヒドラミン及びその薬学的に許容される塩、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤;リドカイン及びその薬学的に許容される塩、ジブカイン及びその薬学的に許容される塩、アミノ安息香酸エチル等の局所麻酔剤;ニコチン酸のエステル誘導体(具体的には、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、ニコチン酸メチルエステル等)、酢酸トコフェロール等の血行促進剤(上記(E)成分以外);アルニカチンキ、オウバクエキス、サンシシエキス、セイヨウトチノキエキス、ロートエキス、ベラドンナエキス、トウキエキス、シコンエキス、サンショウエキス等の生薬等が挙げられ、好ましくは、ニコチン酸のエステル誘導体及び酢酸トコフェロールが挙げられる。本発明の外用医薬組成物がニコチン酸のエステル誘導体を含む場合、その含有量としては、例えば0.001~0.1重量%、好ましくは0.003~0.05重量%、より好ましくは0.005~0.02重量%が挙げられる。本発明の外用医薬組成物が酢酸トコフェロールを含む場合、その含有量としては、例えば0.01~1重量%、好ましくは0.03~0.5重量%、更に好ましくは0.05~0.3重量%が挙げられる。
更に、本発明の外用医薬組成物は、前述する成分の他に、必要に応じて、外用医薬組成物に通常使用される他の基剤や他の添加剤が含まれていてもよい。
他の基剤としては、水性基剤及び油性基剤が挙げられる。水性基剤としては、(C)成分及び(D)以外の水性基剤であればよく、例えば、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の2価アルコール;プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソプロパノール等の、炭素数3以上、好ましくは炭素数3~6の1価アルコールが挙げられる。これらの水性基剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
油性基剤としては、非極性油及び極性油等が挙げられる。非極性油としては、具体的には、パラフィン、イソパラフィン等の炭化水素類;スクワラン、ワックス等が挙げられる。また、極性油としては、具体的には、脂肪族モノカルボン酸エステル、トリグリセライド、脂肪族ジカルボン酸ジエステル、脂肪族ジカルボン酸アルキレングリコールエステル、高級脂肪酸等が挙げられる。
前記脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、イソステアリン酸ヘキサデシル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル等が挙げられる。これらの脂肪族モノカルボン酸エステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記トリグリセライドとしては、例えば、トリアシルグリセロール、トリパルミチン、トリパルミチン酸グリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、1-パルミトイル-2,3-ジオレオイルグリセロール、1,3-ジオレオイル-2-パルミトイルグリセロール、1-パルミトオレオイル-2-ステアロイル-3-リノレオイルグリセロール、1-リノレオイル-2-パルミトオレオイル-3-ステアロイルグリセロール等が挙げられる。これらのトリグリセライドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記脂肪族ジカルボン酸ジエステルとしては、例えば、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記脂肪族ジカルボン酸アルキレングリコールエステルとしては、例えば、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸アルキレングリコールエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記高級脂肪酸としては、例えば、炭素数12~26の脂肪酸が挙げられる。このような高級脂肪酸としては、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等が挙げられる。これらの高級脂肪酸は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
更に、本発明の外用医薬組成物は、前述する成分の他に、必要に応じて、外用医薬組成物に通常使用される他の添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、pH調節剤(例えば、塩酸、酢酸、乳酸、クエン酸等の薬学的に許容される酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の薬学的に許容されるアルカリ)、界面活性剤、乳化剤、可溶化剤、防腐剤、保存剤、酸化防止剤、安定化剤、キレート剤、増粘剤、香料、着色料等が挙げられる。
製剤形態
本発明の外用医薬組成物の製剤形態については、経皮適用可能であることを限度として特に制限されず、例えば、液剤(ローション剤、スプレー剤、エアゾール剤、及び乳液剤を含む)、フォーム剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは液剤又はゲル剤が挙げられ、特に好ましくは液剤が挙げられる。これらの製剤形態への調製は、第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法に従って、製剤形態に応じた添加剤を用いて製剤化することにより行うことができる。
濁度
本発明の外用医薬組成物は白濁が抑制されているため、透明度が高い。白濁が抑制されているとは、外用医薬組成物の外観が、(C)成分に(A)成分及び(B)成分を加え、その後に(D)成分を加えて調製された外用医薬組成物に比べて白濁の程度が低減していることをいい、具体的には透明(澄明)又は半透明、より好ましくは透明(澄明)であることをいう。本発明の外用医薬組成物の濁度は、例えば1.000以下、好ましくは0.500以下、より好ましくは0.300以下、さらに好ましくは0.100以下、一層好ましくは0.095以下である。濁度は、JIS K 0101(1998)における透過光濁度に基づいて得られる値であり、具体的には、実施例に記載された条件により測定された測定波長660nmにおける吸光度(Abs)である。
使用態様
本発明の外用医薬組成物は、消炎鎮痛が求められる局所(皮膚)に外用投与することにより使用される。本発明の外用医薬組成物は、外用消炎鎮痛剤として、肩こりに伴う肩の痛み、関節痛、腰痛、筋肉痛、腱鞘炎(手・手首の痛み)、肘の痛み(テニス肘等)、打撲痛、ねんざ痛、骨折痛、神経痛、変形性関節症、関節炎等に対する治療目的で使用することができる。
製造方法
本発明の外用医薬組成物は、(C)エタノールと(D)水とを混合してエタノール水溶液を得る工程1と;前記エタノール水溶液に、(A)ロキソプロフェン及び/又はその塩、並びに(B)メントールを溶解させる工程2と、を含む。
(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含む外用医薬組成物であっても、まず(C)成分に(A)成分及び(B)成分を加え、その後に(D)成分を加えて調製された外用医薬組成物は白濁する。本発明の外用医薬組成物は、工程1で、エタノールに、予め水を加えてエタノール水溶液を調製し、その後、工程2で、当該エタノール溶液にロキソプロフェン及び/又はその塩とメントールとを溶解させることで、白濁が抑制された態様で得ることができる。
なお、(E)成分をさらに含む外用医薬組成物を製造する場合は、(E)成分は、工程
2において、成分(A)成分及び(B)成分とともにエタノール水溶液に溶解させることができる。
2.白濁を抑制する方法
前述するように、(C)エタノールと(D)水とを混合してエタノール水溶液を得る工程1と;前記エタノール水溶液に、(A)ロキソプロフェン及び/又はその塩、並びに(B)メントールを溶解させる工程2と、をこの順番で行うことで、外用医薬組成物を、白濁が抑制された態様で得ることができる。つまり、工程1で、メントールを溶解しない水を予め加えることで技術常識的には油溶性化合物の溶解性が下がっているはずにも関わらず、外用医薬組成物の白濁を抑制することができる。しかも、白濁の抑制は、エタノール以外の溶解補助剤を用いなくとも可能となる。従って、本発明は、更に、上記の工程1と工程2とを含む、外用医薬組成物の白濁を抑制する方法を提供する。
なお、本発明において、白濁を抑制するとは、外用医薬組成物の外観において、(C)成分に(A)成分及び(B)成分を加え、その後に(D)成分を加えて調製された外用医薬組成物に比べて白濁の程度を低減することをいい、具体的には透明(澄明)又は半透明、より好ましくは透明(澄明)にすることをいう。
前記白濁を抑制する方法において、各工程の操作、使用する成分の種類や使用量、外用医薬組成物の形態等については、前記「1.外用医薬組成物」の欄に示す通りである。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例1
[外用医薬組成物の調製]
表1に示す組成の外用医薬組成物を調製した。具体的には、以下の手順で調製した。
実施例1及び実施例3:エタノールと水とを混合してエタノール水溶液を得て、当該エタノール水溶液に、ロキソプロフェンナトリウムとl-メントールとを加えた。
実施例2及び実施例4:エタノールと水とを混合してエタノール水溶液を得て、当該エタノール水溶液に、ロキソプロフェンナトリウムとl-メントールとノナン酸バニリルアミドとを加えた。
比較例1:ロキソプロフェンナトリウムとl-メントールをエタノールに溶解させてエタノール溶液を得て、当該エタノール溶液に精製水を加えた。
比較例2:ロキソプロフェンナトリウムとl-メントールとノナン酸バニリルアミドとをエタノールに溶解させてエタノール溶液を得て、当該エタノール溶液に精製水を加えた。
[白濁抑制の評価]
1.濁度の測定
調製した外用医薬組成物をよく振り混ぜてセル(50mm)に入れ、JIS K 0101(1998)に基づき、紫外-可視分光光度計(日本分光(株)製、Ubest-35型)を用いて660nmにおける吸光度(透過光濁度)を測定した。
2.目視による評価
調製した外用医薬組成物を、No.6号無色透明スクリュー管に、液面高さが40mmとなるように入れ、透明スクリュー管上部から底面方向を目視し、以下の基準で白濁抑制の程度を評価した。
◎:液色は無色透明(澄明)であり、底面辺縁を明瞭に視認できる。
(白濁が完全に抑制されている)
○:液色はやや白みがかっているが透明性があり(半透明)、底面辺縁を視認できる。
(白濁が抑制されている)
×:液色は白色不透明であり、底面辺縁を視認できない。
(白濁が生じている)
得られた結果を表1に示す。ロキソプロフェンナトリウム及びl-メントールを先にエタノールに溶解させた後に水を加えて調製した外用医薬組成物(比較例1、2)は白濁が生じたが、同じ成分及び同じ配合量でも、予め水を加えて調製したエタノール水溶液にロキソプロフェンナトリウム及びl-メントールを加えて調製した外用医薬組成物(実施例1、2)では、白濁が完全に抑制され、澄明な外観を呈した。メントールをさらに増やした外用医薬組成物(実施例3、4)も、予め水を加えて調製したエタノール水溶液にロキソプロフェンナトリウム及びl-メントールを加えて調製することで、やはり白濁は完全に抑制され、澄明な外観を呈した。
Figure 0007226957000001
試験例2
表2に示す組成の外用医薬組成物を、試験例1の手順に準じて調製した。具体的には、まず、エタノールと水とを混合してエタノール水溶液を得て、当該エタノール水溶液に、その他の成分を全て加え、撹拌した。得られた外用医薬組成物について、試験例1と同様に白濁抑制の程度を目視で評価した。いずれの外用医薬組成物も、白濁が完全に抑制(白濁抑制の程度:◎)されていた。
Figure 0007226957000002

Claims (2)

  1. (C)エタノールと(D)水とを混合してエタノール水溶液を得る工程1と、
    前記エタノール水溶液に、(A)ロキソプロフェン及び/又はその塩、並びに(B)メントールを溶解させる工程2と、
    を含む、外用医薬組成物の白濁を抑制する方法。
  2. 前記工程2において、前記(A)成分及び前記(B)成分とともに、さらに(E)カプサイシノイドを溶解させる、請求項1に記載の方法。
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