本明細書に引用されている特許及び特許出願を含む(ただしそれらに限定されない)全ての刊行物は、参照によりそれらの全体が記載されているのと同様に、本明細書に援用される。
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的でのみ使用され、限定を意図するものではないと理解すべきである。特に断らない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
本明細書に記載されているものと同様又は同等の任意の方法及び材料を、本発明の試験を実施するために使用できるが、例示となる材料及び方法を本明細書に記載する。本発明を説明及び特許請求する上で以下の用語が用いられる。
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば、「細胞(a cell)」という言及には、2つ以上の細胞の組み合わせ、及びこれに類するものなどが含まれる。
「抗腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーメンバー抗体」又は「抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体」とは、TNFRスーパーファミリーメンバーに特異的に結合する抗体を指す。
「TNFRスーパーファミリーメンバー」には、TNFRの自然発生変異体をはじめとする、表1に示す受容体などのTNFRスーパーファミリーに属する受容体が含まれる。TNFRは、典型的には、I型膜貫通タンパク質として発現し、その細胞外ドメインに1〜6個のシステインリッチドメインを含有する。シグナル伝達は、TNFR三量体として生じる。各TNFRごとに1つのアイソフォームのアミノ酸配列を表1に示す。TNFRのリガンドも表1に示す。
「特異的結合」又は「特異的に結合する」又は「結合する」とは、抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体が、特定のTNFRスーパーファミリーメンバー又は当該特定のTNFRスーパーファミリーメンバー内のエピトープに対して、他の抗原に対するよりも高い親和性で結合することを指す。典型的には、抗体は、結合についての平衡解離定数(KD)が約1×10−8M以下、例えば約1×10−9M以下、約1×10−10M以下、約1×10−11M以下又は約1×10−12M以下であるときに「特異的に結合し、典型的には、非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合については、そのKDの少なくとも100分の1のKDで結合する。解離定数は標準的手法を用いて測定することができる。しかし、特定のTNFRスーパーファミリーメンバー又は当該特定のTNFRスーパーファミリーメンバー内のエピトープに特異的に結合する抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、例えば、Macaca fascicularis(カニクイザル、cyno)、Pan troglodytes(チンパンジー、chimp)、又はCallithrix jacchus(コモンマーモセット、marmoset)などの他の種由来の同じ抗原(ホモログ)に対して交差反応性を有する場合がある。単一特異性抗体は、1つの抗原又は1つのエピトープに特異的に結合するのに対し、二重特異性抗体は、2つの異なる抗原又は2つの異なるエピトープに特異的に結合する。
「抗体」は、広義の意味を有し、マウス、ヒト、ヒト化及びキメラモノクローナル抗体を含むモノクローナル抗体、抗体フラグメント、二重特異性又は多重特異性抗体、二量体、四量体又は多量体抗体、一本鎖抗体、ドメイン抗体、並びに必要とされる特異性の抗原結合部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構造を含む免疫グロブリン分子を含む。「完全長抗体分子」は、ジスルフィド結合によって相互に接続されている2本の重鎖(heavy chains、HC)及び2本の軽鎖(light chains、LC)、並びにこれらの多量体(例えば、IgM)から構成される。各重鎖は、重鎖可変領域(heavy chain variable region、VH)及び重鎖定常領域(CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3のドメインで構成される)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域(CL)から構成される。VH領域及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)が散在しており相補性決定領域(CDR)と呼称される超可変領域に更に分類され得る。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4で配置された、3つのCDR及び4つのFRセグメントで構成される。
「相補性決定領域(CDR)」は、抗体における「抗原結合部位」である。CDRは、様々な用語を用いて定義され得る:(i)VH内に3つ(HCDR1、HCDR2、HCDR3)及びVL内に3つ(LCDR1、LCDR2、LCDR3)存在する相補性決定領域(Complementarity Determining Regions、CDR)は配列多様性に基づく(Wu et al.(1970)J Exp Med132:211〜50;Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)。(ii)VH内に3つ(H1、H2、H3)及びVL内に3つ(L1、L2、L3)存在する「超可変性領域」、「HVR」又は「HV」は、Chothia及びLeskによって定義されているとおり、構造が超可変性である抗体可変ドメインの領域を指す(Chothia et al.(1987)Mol Biol 196:901〜17)。International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース(http://www_imgt_org)は、抗原結合部位についての標準化付番及び定義を提供する。CDR、HV、及びIMGTの表記間の対応関係については、(Lefranc et al.,(2003)Dev Comp Immunol 27:55〜77に記載されている。本明細書で使用されている「CDR」、「HCDR1」、「HCDR2」、「HCDR3」、「LCDR1」、「LCDR2」、及び「LCDR3」という用語は、本明細書において別途記載のない限り、上掲のKabat、Chothia、又はIMGTにより記載されている方法のいずれかにより定義されるCDRを含む。
免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられ得る。IgA及びIgGは、アイソタイプのIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4へと更に細分類される。どのような脊椎動物種の抗体軽鎖も、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明確に異なるタイプ、すなわち、カッパ(κ)及びラムダ(λ)のうちの一方に割り当てることができる。
「抗体フラグメント」とは、重鎖及び/又は軽鎖抗原結合部位、例えば、重鎖相補性決定領域(HCDR)1、2、及び3、軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、2、及び3、重鎖可変領域(VH)、又は軽鎖可変領域(VL)を保持する免疫グロブリン分子の一部を指す。抗体フラグメントとしては、周知のFab、F(ab’)2、Fd及びFvフラグメント、並びに1つのVHドメインからなるドメイン抗体(dAb)が挙げられる。合成リンカーを介してVHドメイン及びVLドメインを互いに連結して様々な種類の一本鎖抗体の設計を形成することが可能であり、その場合、VH/VLドメインは、分子内で対形成してもよく、又はVHドメイン及びVLドメインが別々の一本鎖抗体構造物によって発現される場合には分子間で対形成して、一本鎖Fv(scFv)などの一価抗原結合部位又はダイアボディを形成してもよい。これらは、例えば、国際公開第1998/44001号、同第1988/01649号、同第1994/13804号及び同第1992/01047号に記載されている。
「モノクローナル抗体」とは、抗体重鎖からC末端リシンを除去するなどの可能な周知の変化、あるいはメチオニンの酸化又はアスパラギン若しくはグルタミンの脱アミドなどのアミノ酸の翻訳後修飾による変化を除いて、各重鎖及び各軽鎖のアミノ酸組成が単一である抗体集団を指す。モノクローナル抗体は、2つの異なる抗原エピトープに結合する二重特異性のモノクローナル抗体を除き、典型的には1つの抗原エピトープに結合する。モノクローナル抗体は、抗体集団中に不均一なグリコシル化を有し得る。モノクローナル抗体は、単一特異性若しくは多重特異性、又は一価、二価、若しくは多価であり得る。二価抗体は、モノクローナル抗体という用語に含まれる。
「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体又は抗体フラグメントを指す(例えば、例えばOX−40に特異的に結合する単離された抗体は、OX−40以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。「単離された抗体」は、純度が80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の抗体など、高純度に単離された抗体を包含する。
「ヒト化抗体」とは、抗原結合部位が非ヒト種に由来し、可変領域フレームワークがヒト免疫グロブリン配列に由来する、抗体を指す。ヒト化抗体は、フレームワーク内に置換を含んでいてもよく、その結果、当該フレームワークが、発現したヒト免疫グロブリン又はヒト免疫グロブリン生殖系列遺伝子の配列の正確なコピーでない場合もある。
「ヒト抗体」とは、フレームワーク及び抗原結合部位の両方がヒト起源の配列に由来する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗体を指し、ヒト被験体に投与されたときに免疫応答が最小限に抑えられるように最適化される。抗体が定常領域又は定常領域の一部を含む場合、定常領域もヒト起源の配列に由来する。
ヒト抗体は、抗体の可変領域がヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られた場合のヒト起源の配列に「由来する」重鎖可変領域又は軽鎖可変領域を含む。そのような系の代表的なものには、ファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリー、及び本明細書に記載されるヒト免疫グロブリン遺伝子座を保有するマウス又はラットなどといったヒト以外の遺伝子導入動物を含む。「ヒト抗体」は、抗体及びヒト免疫グロブリン遺伝子座を得るために用いられる系間の違い、体細胞突然変異の導入、あるいはフレームワーク若しくは抗原結合部位又はこれら両方への意図的な置換の導入により、ヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子と比べてアミノ酸の相違を含み得る。典型的には、「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子によってコードされているアミノ酸配列に対して、アミノ酸配列が少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である。場合によっては、「ヒト抗体」は、例えば(Knappik et al.(2000)J Mol Biol 296:57〜86)に記載されているヒトフレームワーク配列解析から得られたコンセンサスフレームワーク配列、又は例えば(Shi et al.(2010)J Mol Biol 397:385〜96及び国際公開第2009/085462号に記載されている、ファージにディスプレイされたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーに組み込まれた合成HCDR3を含み得る。
ヒト免疫グロブリン配列に由来するヒト抗体は、ファージディスプレイ組み込み合成CDR及び/又は合成フレームワークなどの系を用いて作製することもでき、in vitro突然変異誘発に供して抗体特性を改善した結果、in vivoにおけるヒト抗体生殖系列レパートリーでは発現されない抗体を得ることもできる。
抗原結合部位が非ヒト種に由来する抗体は、「ヒト抗体」の定義には含まれない。
「組み換え体」とは、組み換え手段によって調製、発現、作製、又は単離された抗体及びその他のタンパク質を指す。
「エピトープ」は、抗体が特異的に結合する抗原の部分を指す。エピトープは典型的には、化学的に活性な(極性、非極性又は疎水性など)部分の表面集団、例えばアミノ酸又は多糖側鎖などの部分の表面集団からなり、特定の三次元構造特性並びに特定の電荷特性を有し得る。エピトープは、立体配座上の空間単位を形成する連続的な及び/又は不連続なアミノ酸によって構成され得る。不連続なエピトープでは、抗原の直鎖配列の異なる部分にあるアミノ酸が、タンパク質分子の折り畳みにより三次元空間でごく近接するようになる。抗体の「エピトープ」は、エピトープを同定するために使用される方法論に依存する。
「二重特異性」は、2つの異なる抗原、又は同じ抗原中の2つの異なるエピトープと特異的に結合する抗体を指す。二重特異性抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、例えばMacaca fascicularis(カニクイザル、cyno)、Pan troglodytes(チンパンジー、chimp)、又はCallithrix jacchus(コモンマーモセット、marmoset)などの他の種由来の同じ抗原(ホモログ)に対して交差反応性を有し得るか、あるいは2つ以上の異なる抗原間で共有されているエピトープに結合し得る。
「多重特異性」とは、2つ以上の異なる抗原又は同じ抗原内の2つ以上の異なるエピトープに特異的に結合する抗体を指す。
「ベクター」は、生物系内で複製可能な、又はそのような系間を移動することができる、ポリヌクレオチドを指す。ベクターポリヌクレオチドは、典型的には、ベクターを複製することができる生物学的要素を利用して、例えば、細胞、ウイルス、動物、植物などの生物系及び再構成された生物系におけるこれらポリヌクレオチドの複製又は維持を促進する機能を有する、複製起点、ポリアデニル化シグナル又は選択マーカーなどのエレメントを含有する。ベクターポリヌクレオチドは、一本鎖又は二本鎖のDNA若しくはRNA分子、又はこれらのハイブリッドであり得る。
「発現ベクター」は、発現ベクター中に存在するポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの翻訳を指令するために、生物系又は再構成された生物系において利用できるベクターを指す。
「ポリヌクレオチド」は、糖−リン酸骨格又は他の等価な共有結合化学によって共有結合したヌクレオチド鎖を含む合成分子を指す。cDNAは、合成ポリヌクレオチドの典型例である。
「ポリペプチド」又は「タンパク質」は、ペプチド結合によって連結されてポリペプチドを形成する少なくとも2つのアミノ酸残基を含む分子を指す。50個未満のアミノ酸からなる小分子ポリペプチドは、「ペプチド」と称され得る。
本明細書で使用されるとき、「癌細胞」又は「腫瘍細胞」は、in vivo、ex vivo又は組織培養のいずれかにおいて、自然発生的な又は導入された表現型の変化を有する癌性、前癌性、又は形質転換細胞を指す。これら変化は、必ずしも新たな遺伝物質の取り込みを伴うものではない。形質転換は、形質転換ウイルスの感染及び新たなゲノム核酸の組み込み、外因性核酸の取り込みにより発生させることもでき、自然発生的に又は発癌物質に曝露した後に発生し、それによって内因性の遺伝子が変異する場合もある。形質転換/癌は、in vitro、in vivo、及びex vivoにおける、形態学的変化、細胞の不死化、異常な増殖制御、病巣の形成、増殖、悪性病変、腫瘍特異的マーカーレベルの調節、浸潤性、ヌードマウスなどの好適な動物宿主における腫瘍の増殖などによって例示される(Freshney,Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique(第3版、1994年))。
「約」は、当業者によって決定される特定の値について許容される誤差範囲内であることを意味し、これは、その値が測定又は決定される方法、すなわち測定システムの制限事項にある程度依存する。特定のアッセイ、結果、又は実施形態の文脈において実施例又は明細書のその他の箇所に別途明示的に記載のない限り、「約」は、当該技術分野の実施に従う1つの標準偏差又は5%までの範囲のいずれか大きい方の範囲内であることを意味する。
「価数」は、分子中の抗原に対して特異的な結合部位が指定された数存在することを指す。そのため、「1価」、「2価」、「4価」、及び「6価」なる用語はそれぞれ、抗原に対して特異的な結合部位が分子中に1個、2個、4個、及び6個存在することを指す。
「アゴニスト」とは、TNFRスーパーファミリーメンバーの少なくとも1つの生物活性を誘導する抗体であって、TNFRスーパーファミリーメンバーの天然リガンドによって誘導されるものに結合する抗体を指す。例示的なアゴニスト活性としては、in vitroアッセイにおいてNFκB誘導性プロモーターの制御下で発現する分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)の産生の誘導、樹状細胞(dendritic cell、DC)におけるCD80、CD83、CD86及びHLA−DRの表面発現の増加によって評価されるDC分化の誘導、B細胞増殖の増加又はB細胞におけるCD23、CD80、CD83、CD86及びHLA−DRの表面発現の増加によって評価されるB細胞の活性化、抗原に既に曝露された患者から単離されたPBMCによるインターフェロン−γ(IFN−γ)の産生によって評価される抗原特異的T細胞リコール応答の誘導、並びにCD4+又はCD8+T細胞増殖の誘導が挙げられる。アゴニスト活性(例えば、アゴニズム)は、架橋依存性である場合もあり、抗体架橋に依存しない場合もある。
「強化されたアゴニスト活性」又は「強化されたアゴニズム」とは、NFκB誘導性プロモーターの制御下で発現する分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)の抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体によって誘導される産生によってアゴニスト活性が測定されるとき、親野生型抗体と比べて遺伝子操作を受けた抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体のアゴニズムが改善されたことを指す。遺伝子操作を受けた抗体は、架橋依存的又は架橋非依存的に1μg/mLの抗体濃度の野生型親抗体と比べて少なくとも20%高いレベルでSEAP産生を誘導するとき、「強化されたアゴニスト活性」を有する。
「架橋」とは、FcγR、例えば、シス型又はトランス型のFcγRIIbに結合する抗体によって誘導され、その結果、TNFRの抗体によって誘導される多量体化及びTNFRアゴニスト活性の誘導が生じる、TNFRスーパーファミリーメンバーを発現している細胞における抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体の高次多量体化を指す。架橋は、本明細書に記載されるとおり、架橋剤としての抗ヒトF(ab’)2、又はRaji細胞などのFcγRIIbを発現している細胞を使用することによってin vitroで評価することができる。
「抗体架橋に依存しないアゴニスト活性」とは、FcγR、例えば、FcγRIIBを発現しているRaji細胞の非存在下において、溶液中で本明細書の実施例3に記載のHEK−Blue(商標)リポーターアッセイにおいてSEAPの産生を抗体が誘導することを意味する。
「被験体」は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」には、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などの哺乳動物及び非哺乳動物などのすべての脊椎動物が含まれる。
本明細書全体を通して、抗体の定常領域におけるアミノ酸残基の付番は、特に明示的に指定しない限り、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991)に記載のとおりEUインデックスに従う。
表2に示すとおり、従来の1文字及び3文字アミノ酸コードが本明細書で使用される。
組成物
本発明は、抗体エフェクター機能のアイソタイプ依存性調節に加えて強化されたアゴニスト活性を示す、改善された特性を有する遺伝子操作を受けた抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体を提供する。本発明は、少なくとも部分的に、表面細胞において抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体を多量体化する置換が、架橋に依存せずに当該抗体のアゴニスト活性を強化するという知見に基づいている。
本発明は、単離された抗腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーメンバー抗体であって、E345R突然変異を含み、所望により、E430G突然変異、S440Y突然変異、又はE430G/S440Y突然変異を更に含み(残基の付番はEUインデックスに従う)、突然変異を有しない親抗体と比べて強化されたアゴニスト活性を有する、上記抗体を提供する。
また、本発明は、単離された抗腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーメンバー抗体であって、E345R突然変異、E345R/E430G突然変異、又はE345R/E430G/S440Y突然変異(残基の付番はEUインデックスに従う)を含み、突然変異を有しない親抗体と比べて強化されたアゴニスト活性を有する、上記抗体を提供する。
E345R置換は、本明細書において、抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体のアゴニスト活性を強化することが示された。
E430G置換は、本明細書において、抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体のアゴニスト活性を強化することが示された。
E345R/E430G置換は、本明細書において、抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体のアゴニスト活性を強化することが示された。
E345R/E430G/S440Y置換は、本明細書において、抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体のアゴニスト活性を強化することが示された。
また、本発明は、単離された抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体であって、E345R突然変異(残基の付番はEUインデックスに従う)を含み、E345R突然変異を有しない親抗体と比べて強化されたアゴニスト活性を有する、上記抗体を提供する。
また、本発明は、単離された抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体であって、E430G突然変異(残基の付番はEUインデックスに従う)を含み、E430G突然変異を有しない親抗体と比べて強化されたアゴニスト活性を有する、上記抗体を提供する。
また、本発明は、単離された抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体であって、E345R/E430G突然変異(残基の付番はEUインデックスに従う)を含み、E345R/E430G突然変異を有しない親抗体と比べて強化されたアゴニスト活性を有する、上記抗体を提供する。
また、本発明は、単離された抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体であって、E345R/E430G/S440Y突然変異(残基の付番はEUインデックスに従う)を含み、E345R/E430G/S440Y突然変異を有しない親抗体と比べて強化されたアゴニスト活性を有する、上記抗体を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明の抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体は、FcγR抗体架橋に依存しないアゴニスト活性を有する。したがって、FcγR架橋に依存しないアゴニスト活性を有する本発明の抗体は、そのアゴニスト活性について、腫瘍微小環境においてFcγRを発現している細胞のバイオアベイラビリティ及び密度に依存せず、十分なFcγR細胞浸潤を欠く環境においてTNFRシグナル伝達を誘導することができる。
本発明の抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体は、天然リガンドよりも低いアゴニズムのレベルを示し得るので、改善された安全性プロファイルを提供することができる。
「親抗体」とは、本発明の遺伝子操作を受けた抗体を産生するために使用される抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体を指す。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、抗体依存性細胞傷害(antibody-dependent cellular cytotoxicity、ADCC)を媒介する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、抗体依存性細胞貪食(antibody-dependent cell phagocytosis、ADCP)を媒介する。
いくつかの実施形態では、抗体は、CDCを媒介する。
いくつかの実施形態では、E345R突然変異を含む本発明の抗体は、抗体Fc媒介性エフェクター機能を低減又は消失させる第2の突然変異を更に含み得る。したがって、E435R突然変異及び抗体Fc媒介性エフェクター機能を低減又は消失させる第2の突然変異を含む本発明の抗体は、TNFR発現細胞の枯渇が望ましくない場合に使用することができる。例示的なこのような場合は、抗CD40又は抗CD27抗体による治療的処置である。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、所望により、野生型IgG1と比べてL234A/L235A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、所望により、野生型IgG1と比べてL234F/L235E/D265A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、所望により、野生型IgG1と比べてK214T/E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/D365E/L358M突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、所望により、野生型IgG1と比べてL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、野生型IgG1と比べてL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、IgG2アイソタイプであり、所望により、野生型IgG2と比べてV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、IgG2アイソタイプであり、野生型IgG2と比べてV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、IgG2アイソタイプであり、所望により、野生型IgG2と比べてV234A/G237A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、IgG2アイソタイプであり、所望により、野生型IgG2と比べてH268Q/V309L/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、IgG3アイソタイプである。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、所望により、野生型IgG4と比べてF234A/L235A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、所望により、野生型IgG4と比べてS228P/F234A/L235A/G237A/P238S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、所望により、野生型IgG4と比べてS228P/F234A/L235A/G236欠失/G237A/P238S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、所望により、野生型IgG4と比べてS228P/F234A/L235A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、野生型IgG4と比べてS228P/F234A/L235A突然変異を含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、抗体架橋に依存しないアゴニスト活性を有し、当該アゴニスト活性は、Hek−293細胞由来のNFκB誘導性プロモーターの制御下で発現する分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)の抗体によって誘導される産生を測定することによって測定される。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバー腫瘍壊死因子受容体1(配列番号1)、腫瘍壊死因子受容体2(配列番号2)、リンホトキシンベータ受容体(配列番号3)、OX40(配列番号4)、CD40(配列番号5)、Fas受容体(配列番号6)、デコイ受容体3(配列番号7)、CD27(配列番号8)、CD30(配列番号9)、CD137(配列番号10)、デス受容体4(配列番号11)、デス受容体5(配列番号12)、デコイ受容体1(配列番号13)、デコイ受容体2(配列番号14)、RANK(配列番号15)、オステオプロテゲリン(配列番号16)、TWEAK受容体(配列番号17)、TACI(配列番号18)、BAFF受容体(配列番号19)、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(配列番号20)、神経成長因子受容体(配列番号21)、B細胞成熟抗原(配列番号22)、GITR(配列番号23)、TROY(配列番号24)、デス受容体6(配列番号25)、デス受容体3(配列番号26)、又はエクトジスプラシンA2受容体(配列番号27)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーOX40(配列番号4)、CD27(配列番号8)、CD40(配列番号5)、CD137(配列番号10)、又はGITR(配列番号23)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーOX40(配列番号4)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーCD27(配列番号8)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーCD40(配列番号5)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーCD137(配列番号10)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーGITR(配列番号23)に結合する。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、固形腫瘍の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、黒色腫の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、肺癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、非扁平上皮NSCLCの治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、肺腺癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、腎細胞癌腫(renal cell carcinoma、RCC)(例えば、腎明細胞癌腫又は腎乳頭状細胞癌腫)、又はその転移巣の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、中皮腫の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、上咽頭癌(nasopharyngeal carcinoma、NPC)の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、結腸直腸癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、前立腺癌又は去勢抵抗性前立腺癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、胃癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、卵巣癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、胃癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、肝臓癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、膵臓癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、甲状腺癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、頭頸部の扁平上皮癌腫の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、食道又は胃腸管の癌腫の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、乳癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、卵管癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、脳癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、尿道癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、尿生殖器癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、子宮内膜症の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、子宮頸癌の治療において使用するのに好適である。
E345R突然変異を含む抗体は、治療、例えば、当該癌の転移巣の治療において使用するのに好適である。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、抗体依存性細胞貪食(ADCP)を媒介する。
いくつかの実施形態では、抗体は、CDCを媒介する。
いくつかの実施形態では、E430G突然変異を含む本発明の抗体は、抗体Fc媒介性エフェクター機能を低減又は消失させる第2の突然変異を更に含み得る。したがって、E430G突然変異及び抗体Fc媒介性エフェクター機能を低減又は消失させる第2の突然変異を含む本発明の抗体は、TNFR発現細胞の枯渇が望ましくない場合に使用することができる。例示的なこのような場合は、抗CD40又は抗CD27抗体による治療的処置である。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、所望により、野生型IgG1と比べてL234A/L235A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、所望により、野生型IgG1と比べてL234F/L235E/D265A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、所望により、野生型IgG1と比べてK214T/E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/D365E/L358M突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、所望により、野生型IgG1と比べてL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、野生型IgG1と比べてL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、IgG2アイソタイプであり、所望により、野生型IgG2と比べてV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、IgG2アイソタイプであり、野生型IgG2と比べてV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、IgG2アイソタイプであり、所望により、野生型IgG2と比べてV234A/G237A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、IgG2アイソタイプであり、所望により、野生型IgG2と比べてH268Q/V309L/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、IgG3アイソタイプである。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、所望により、野生型IgG4と比べてF234A/L235A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、所望により、野生型IgG4と比べてS228P/F234A/L235A/G237A/P238S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、所望により、野生型IgG4と比べてS228P/F234A/L235A/G236欠失/G237A/P238S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、所望により、野生型IgG4と比べてS228P/F234A/L235A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、野生型IgG4と比べてS228P/F234A/L235A突然変異を含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、抗体架橋に依存しないアゴニスト活性を有し、当該アゴニスト活性は、Hek−293細胞由来のNFκB誘導性プロモーターの制御下で発現する分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)の抗体によって誘導される産生を測定することによって測定される。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバー腫瘍壊死因子受容体1(配列番号1)、腫瘍壊死因子受容体2(配列番号2)、リンホトキシンベータ受容体(配列番号3)、OX40(配列番号4)、CD40(配列番号5)、Fas受容体(配列番号6)、デコイ受容体3(配列番号7)、CD27(配列番号8)、CD30(配列番号9)、CD137(配列番号10)、デス受容体4(配列番号11)、デス受容体5(配列番号12)、デコイ受容体1(配列番号13)、デコイ受容体2(配列番号14)、RANK(配列番号15)、オステオプロテゲリン(配列番号16)、TWEAK受容体(配列番号17)、TACI(配列番号18)、BAFF受容体(配列番号19)、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(配列番号20)、神経成長因子受容体(配列番号21)、B細胞成熟抗原(配列番号22)、GITR(配列番号23)、TROY(配列番号24)、デス受容体6(配列番号25)、デス受容体3(配列番号26)、又はエクトジスプラシンA2受容体(配列番号27)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーOX40(配列番号4)、CD27(配列番号8)、CD40(配列番号5)、CD137(配列番号10)、又はGITR(配列番号23)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーOX40(配列番号4)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーCD27(配列番号8)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーCD40(配列番号5)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーCD137(配列番号10)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E430G突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーGITR(配列番号23)に結合する。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、固形腫瘍の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、黒色腫の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、肺癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、非扁平上皮NSCLCの治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、肺腺癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、腎細胞癌腫(RCC)(例えば、腎明細胞癌腫又は腎乳頭状細胞癌腫)、又はその転移巣の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、中皮腫の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、上咽頭癌(NPC)の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、結腸直腸癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、前立腺癌又は去勢抵抗性前立腺癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、胃癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、卵巣癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、胃癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、肝臓癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、膵臓癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、甲状腺癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、頭頸部の扁平上皮癌腫の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、食道又は胃腸管の癌腫の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、乳癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、卵管癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、脳癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、尿道癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、尿生殖器癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、子宮内膜症の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、子宮頸癌の治療において使用するのに好適である。
E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、当該癌の転移巣の治療において使用するのに好適である。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、抗体依存性細胞貪食(ADCP)を媒介する。
いくつかの実施形態では、抗体は、CDCを媒介する。
いくつかの実施形態では、E345R/E430G突然変異を含む本発明の抗体は、抗体Fc媒介性エフェクター機能を低減又は消失させる第2の突然変異を更に含み得る。したがって、E345R/E430G突然変異及び抗体Fc媒介性エフェクター機能を低減又は消失させる第2の突然変異を含む本発明の抗体は、TNFR発現細胞の枯渇が望ましくない場合に使用することができる。例示的なこのような場合は、抗CD40又は抗CD27抗体による治療的処置である。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、所望により、野生型IgG1と比べてL234A/L235A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、所望により、野生型IgG1と比べてL234F/L235E/D265A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、所望により、野生型IgG1と比べてK214T/E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/D365E/L358M突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、所望により、野生型IgG1と比べてL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、野生型IgG1と比べてL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、IgG2アイソタイプであり、所望により、野生型IgG2と比べてV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、IgG2アイソタイプであり、野生型IgG2と比べてV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、IgG2アイソタイプであり、所望により、野生型IgG2と比べてV234A/G237A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、IgG2アイソタイプであり、所望により、野生型IgG2と比べてH268Q/V309L/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、IgG3アイソタイプである。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、所望により、野生型IgG4と比べてF234A/L235A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、所望により、野生型IgG4と比べてS228P/F234A/L235A/G237A/P238S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、所望により、野生型IgG4と比べてS228P/F234A/L235A/G236欠失/G237A/P238S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、所望により、野生型IgG4と比べてS228P/F234A/L235A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、野生型IgG4と比べてS228P/F234A/L235A突然変異を含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、抗体架橋に依存しないアゴニスト活性を有し、当該アゴニスト活性は、Hek−293細胞由来のNFκB誘導性プロモーターの制御下で発現する分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)の抗体によって誘導される産生を測定することによって測定される。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバー腫瘍壊死因子受容体1(配列番号1)、腫瘍壊死因子受容体2(配列番号2)、リンホトキシンベータ受容体(配列番号3)、OX40(配列番号4)、CD40(配列番号5)、Fas受容体(配列番号6)、デコイ受容体3(配列番号7)、CD27(配列番号8)、CD30(配列番号9)、CD137(配列番号10)、デス受容体4(配列番号11)、デス受容体5(配列番号12)、デコイ受容体1(配列番号13)、デコイ受容体2(配列番号14)、RANK(配列番号15)、オステオプロテゲリン(配列番号16)、TWEAK受容体(配列番号17)、TACI(配列番号18)、BAFF受容体(配列番号19)、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(配列番号20)、神経成長因子受容体(配列番号21)、B細胞成熟抗原(配列番号22)、GITR(配列番号23)、TROY(配列番号24)、デス受容体6(配列番号25)、デス受容体3(配列番号26)、又はエクトジスプラシンA2受容体(配列番号27)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーOX40(配列番号4)、CD27(配列番号8)、CD40(配列番号5)、CD137(配列番号10)、又はGITR(配列番号23)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーOX40(配列番号4)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーCD27(配列番号8)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーCD40(配列番号5)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーCD137(配列番号10)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーGITR(配列番号23)に結合する。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、固形腫瘍の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、黒色腫の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、肺癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、非扁平上皮NSCLCの治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、肺腺癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、腎細胞癌(RCC)(例えば、腎明細胞癌又は腎乳頭状細胞癌)、又はその転移巣の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、中皮腫の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、上咽頭癌(NPC)の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、結腸直腸癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、前立腺癌又は去勢抵抗性前立腺癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、胃癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、卵巣癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、胃癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、肝臓癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、膵臓癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、甲状腺癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、頭頸部の扁平上皮癌腫の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、食道又は胃腸管の癌腫の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、乳癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、卵管癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、脳癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、尿道癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、尿生殖器癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、子宮内膜症の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、子宮頸癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G突然変異を含む抗体は、治療、例えば、当該癌の転移巣の治療において使用するのに好適である。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、抗体依存性細胞貪食(ADCP)を媒介する。
いくつかの実施形態では、抗体は、CDCを媒介する。
いくつかの実施形態では、E345R/E430G/S440Y突然変異を含む本発明の抗体は、抗体Fc媒介性エフェクター機能を低減又は消失させる第2の突然変異を更に含み得る。したがって、E345R/E430G/S440Y突然変異及び抗体Fc媒介性エフェクター機能を低減又は消失させる第2の突然変異を含む本発明の抗体は、TNFR発現細胞の枯渇が望ましくない場合に使用することができる。例示的なこのような場合は、抗CD40又は抗CD27抗体による治療的処置である。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、所望により、野生型IgG1と比べてL234A/L235A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、所望により、野生型IgG1と比べてL234F/L235E/D265A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、所望により、野生型IgG1と比べてK214T/E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/D365E/L358M突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、所望により、野生型IgG1と比べてL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、IgG1アイソタイプであり、野生型IgG1と比べてL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、IgG2アイソタイプであり、所望により、野生型IgG2と比べてV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、IgG2アイソタイプであり、野生型IgG2と比べてV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、IgG2アイソタイプであり、所望により、野生型IgG2と比べてV234A/G237A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、IgG2アイソタイプであり、所望により、野生型IgG2と比べてH268Q/V309L/A330S/P331S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、IgG3アイソタイプである。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、所望により、野生型IgG4と比べてF234A/L235A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、所望により、野生型IgG4と比べてS228P/F234A/L235A/G237A/P238S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、所望により、野生型IgG4と比べてS228P/F234A/L235A/G236欠失/G237A/P238S突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、所望により、野生型IgG4と比べてS228P/F234A/L235A突然変異を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、IgG4アイソタイプであり、野生型IgG4と比べてS228P/F234A/L235A突然変異を含む。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、抗体架橋に依存しないアゴニスト活性を有し、当該アゴニスト活性は、Hek−293細胞由来のNFκB誘導性プロモーターの制御下で発現する分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)の抗体によって誘導される産生を測定することによって測定される。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバー腫瘍壊死因子受容体1(配列番号1)、腫瘍壊死因子受容体2(配列番号2)、リンホトキシンベータ受容体(配列番号3)、OX40(配列番号4)、CD40(配列番号5)、Fas受容体(配列番号6)、デコイ受容体3(配列番号7)、CD27(配列番号8)、CD30(配列番号9)、CD137(配列番号10)、デス受容体4(配列番号11)、デス受容体5(配列番号12)、デコイ受容体1(配列番号13)、デコイ受容体2(配列番号14)、RANK(配列番号15)、オステオプロテゲリン(配列番号16)、TWEAK受容体(配列番号17)、TACI(配列番号18)、BAFF受容体(配列番号19)、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(配列番号20)、神経成長因子受容体(配列番号21)、B細胞成熟抗原(配列番号22)、GITR(配列番号23)、TROY(配列番号24)、デス受容体6(配列番号25)、デス受容体3(配列番号26)、又はエクトジスプラシンA2受容体(配列番号27)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーOX40(配列番号4)、CD27(配列番号8)、CD40(配列番号5)、CD137(配列番号10)、又はGITR(配列番号23)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーOX40(配列番号4)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーCD27(配列番号8)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーCD40(配列番号5)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーCD137(配列番号10)に結合する。
いくつかの実施形態では、当該抗体は、E345R/E430G/S440Y突然変異を含み、TNFRスーパーファミリーメンバーGITR(配列番号23)に結合する。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、固形腫瘍の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、黒色腫の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、肺癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、非扁平上皮NSCLCの治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、肺腺癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、腎細胞癌(RCC)(例えば、腎明細胞癌又は腎乳頭状細胞癌)、又はその転移巣の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、中皮腫の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、上咽頭癌(NPC)の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、結腸直腸癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、前立腺癌又は去勢抵抗性前立腺癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、胃癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、卵巣癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、胃癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、肝臓癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、膵臓癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、甲状腺癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、頭頸部の扁平上皮癌腫の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、食道又は胃腸管の癌腫の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、乳癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、卵管癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、脳癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、尿道癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、尿生殖器癌の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、子宮内膜症の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、子宮頸の治療において使用するのに好適である。
E345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗体は、治療、例えば、当該癌の転移巣の治療において使用するのに好適である。
「抗体依存性細胞傷害」、「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」又は「ADCC」は、エフェクター細胞で発現するFcガンマ受容体(FcγR)を介した、抗体被膜標的細胞と、ナチュラルキラー細胞、単球、マクロファージ及び好中球などの溶解活性を有するエフェクター細胞との相互作用に依存して、細胞死を誘導する機序である。例えば、NK細胞はFcγRIIIAを発現し、一方、単球はFcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIAを発現する。TNFR発現細胞などの抗体被膜標的細胞の死滅は、膜孔形成タンパク質及びプロテアーゼの分泌を通じたエフェクター細胞の活性により生じる。本発明の抗体のADCC活性を評価するために、抗体を免疫エフェクター細胞と組み合わせてTNFR発現細胞に添加してよく、当該免疫エフェクター細胞は抗原抗体複合体によって活性化され、その結果、標的細胞の細胞溶解が生じ得る。細胞溶解は、溶解した細胞からの標識(例えば、放射性基質、蛍光染料又は天然細胞内タンパク質)の放出によって検出することができる。そのようなアッセイの代表的なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びNK細胞が挙げられる。例示的な標的細胞としては、Tregなどの内因的に又は組み換えでTNFRを発現する細胞が挙げられる。例示的なアッセイでは、標的細胞は、1標的細胞に対して50エフェクター細胞の比で使用される。標的細胞を、37℃で20分間BATDA(PerkinElmer)で予標識し、2回洗浄し、DMEM、10%熱不活性化FBS、2mM L−グルタミン(全てInvitrogen製)に再懸濁させる。標的(1×104細胞)及びエフェクター細胞(0.5×106細胞)を合わせ、100μLの細胞を96ウェルU底プレートのウェルに添加する。試験抗体を含むか又は含まない、更なる100μLを添加する。プレートを200gで3分間遠心分離し、37℃で2時間インキュベートし、次いで、200gで3分間再び遠心分離する。1ウェル当たり合計20μLの上清を除去し、200μLのDELPHIA Europium系試薬(PerkinElmer)の添加によって細胞溶解を測定する。0.67%Triton X−100(Sigma Aldrich)による最大の細胞傷害に対してデータを正規化し、また任意の抗体の非存在下における標的細胞からのBATDAの自然放出によって最小対照を求める。あるいは、受容体の活性化が本明細書に記載されるルシフェラーゼリポーターの発現を引き起こすリポーター遺伝子アッセイにおいてFcγRIIIAの活性化を評価することによってADCC活性を評価することができる。
「抗体依存性細胞貪食」(「ADCP」)とは、例えばマクロファージ又は樹状細胞などの貪食細胞による取り込みにより、抗体被覆標的細胞を排除する機序を指す。ADCPは、エフェクター細胞として単球由来マクロファージを用い、GFP又は別の標識分子を発現するように遺伝子操作された標的細胞として、Daudi細胞(ATCC(登録商標)CCL−213(商標))、又はTNFRを発現しているB細胞性白血病若しくはリンパ腫若しくは腫瘍の細胞を用いて評価され得る。エフェクター:標的細胞比は、例えば4:1とすることができる。エフェクター細胞は、本発明の抗体を添加し又は添加せずに、標的細胞と共に4時間インキュベートしてよい。インキュベーション後、細胞は、アクターゼを用いて剥離できる。マクロファージは、蛍光標識に結合した抗CD11b抗体及び抗CD14抗体を用いて同定され得、貪食の割合は、標準的な方法を用いて、CD11+CD14+マクロファージにおけるGFP蛍光の割合(%)に基づいて決定され得る。
本発明の抗体のエフェクター機能、例えば、ADCC、ADCP及び/又はCDCは、活性化Fcγ受容体(FcγR)、又は補体への当該抗体の結合を強化する抗体Fcに更なる突然変異を導入することによって更に強化され得る。
活性化Fcγに対する本発明の抗体の結合を増加させるため及び/又は抗体のエフェクター機能を強化するために変異させることができるFcの位置は、例えば米国特許第6,737,056号、米国特許公開第2015/0259434号、Shields et al.(2001)J Biol Chem 276:6591〜604、Lazar et al.(2006)Proc Natl Acad Sci U S A 103:4005〜10、Stavenhagen et al.(2007)Cancer Res 67:8882〜90、Richards et al.(2008)Mol Cancer Ther 7:2517〜27及びDiebolder et al.(2014)Science 343:1260〜3に記載されているものであり、236、239、243、256、290、292、298、300、305、312、326、330、332、333、334、360、339、378、396、又は430位を含む(残基の付番はEUインデックスに従う)。単独で又は組み合わせて行うことができる代表的な突然変異は、G236A、S239D、F243L、T256A、K290A、R292P、S298A、Y300L、V305L、K326A、A330K、I332E、E333A、K334A、A339T及びP396L突然変異である。ADCC又はADCPが増加した抗体が生じる例示的な突然変異の組み合わせは、IgG1におけるS239D/I332E、S298A/E333A/K334A、F243L/R292P/Y300L、F243L/R292P/Y300L/P396L、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L及びG236A/S239D/I332E突然変異である。
本発明の抗体のCDCを強化するために突然変異させることができるFcの位置は、例えば国際公開第2014/108198号、Idusogie et al.(2001)J Immunol 166:2571〜5及びMoore et al.(2010)MAbs 2:181〜9に記載されているものであり、267、268、324、326、333、345及び430位を含む。単独で又は組み合わせて行うことができる代表的な突然変異は、S267E、H268F、S324T、K326A、K326W、E333A、E430S、E430F及びE430T突然変異である。CDCが増加した抗体が生じる例示的な突然変異の組み合わせは、IgG1におけるK326A/E333A、K326W/E333A、H268F/S324T、S267E/H268F、S267E/S324T及びS267E/H268F/S324T突然変異である。
「補体依存性細胞傷害」又は「CDC」は、標的に結合した抗体のFcエフェクタードメインが補体成分C1qに結合して活性化し、次に、当該補体成分が補体カスケードを活性化して標的細胞を死に至らしめる、細胞死を誘導する機序を指す。補体の活性化はまた、標的細胞表面に対する補体成分の沈着を生じさせて、白血球への補体受容体(例えば、CR3)の結合によって、ADCCを容易にする。TNFR発現細胞のCDCは、例えば、RPMI−B(1% BSAを補給したRPMI)に1×105細胞/ウェル(50μL/ウェル)でDaudi細胞をプレーティングし、0〜100μg/mLの最終的な濃度になるように50μLの試験抗体をウェルに添加し、反応物を室温で15分間インキュベートし、11μLのプールしたヒト血清をウェルに添加し、反応物を37℃で45分間インキュベートすることによって測定できる。溶解した細胞の割合(%)は、標準の方法を使用して、FACSアッセイ内のヨウ化プロピジウム染色細胞の%として検出され得る。
本発明の抗体のADCCを誘導する能力は、当該抗体のオリゴ糖成分を遺伝子操作することによっても強化することができる。ヒトIgG1又はIgG3は、Asn297においてN−グリコシル化され、グリカンの大部分は、周知の二分岐G0、G0F、G1、G1F、G2、又はG2Fの形態である。遺伝子操作されていないCHO細胞により産生される抗体は、典型的には、少なくとも約85%のグリカンフコース含量を有する。Fc領域に結合した二分岐の複合体型オリゴ糖からのコアフコースの除去は、抗原結合又はCDC活性を変更することなく、改善されたFcγRIIIa結合によって抗体のADCCを増強する。このようなmAbは、二分岐の複雑なタイプのFcオリゴ糖を有する、比較的高度に脱フコシル化された抗体の発現を成功させることが報告されている様々な方法、例えば、培養浸透圧の制御(Konno et al.(2012)Cytotechnology 64:249〜65)、宿主細胞株としての変異体CHO株Lec13の適用(Shields et al.2002)J Biol Chem 277:26733〜40)、宿主細胞株としての変異体CHO株EB66の適用(Olivier et al.(2010)MAbs 2:405〜15)、宿主細胞株としてのラットハイブリドーマ細胞株YB2/0の適用(Shinkawa et al.(2003)J Biol Chem 278:3466〜73)、α1,6−フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)遺伝子に対して特異的な低分子干渉RNAの導入(Mori et al.(2004)Biotechnol Bioeng 88:901〜8)、又はβ−1,4−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIIIとゴルジα−マンノシダーゼII若しくは強力なアルファ−マンノシダーゼI阻害剤であるキフネンシンとの共発現(Ferrara et al.(2006)J Biol Chem 281:5032〜6;Ferrara et al.(2006)Biotechnol Bioeng 93:851〜61;Zhou et al.(2008)Biotechnol Bioeng 99:652〜65)などを使用して実現され得る。
いくつかの実施形態では、本発明の抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体は、抗体のADCC、ADCP及び/又はCDCを強化する第2の突然変異を含む。
いくつかの実施形態では、本発明の抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体は、G236A突然変異、S239D突然変異、F243L突然変異、T256A突然変異、K290A突然変異、R292P突然変異、S298A突然変異、Y300L突然変異、V305L突然変異、K326A突然変異、A330K突然変異、I332E突然変異、E333A突然変異、K334A突然変異、A339T突然変異、P396L突然変異、S267E突然変異、H268F突然変異、S324T突然変異、K326A突然変異、K326W突然変異、E333A突然変異、E430S突然変異、E430F突然変異及びE430T突然変異からなる群から選択される、抗体のADCC、ADCP及び/又はCDCを強化する第2の突然変異を含む。
いくつかの実施形態では、本発明の抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体は、S239D/I332E突然変異、S298A/E333A/K334A突然変異、F243L/R292P/Y300L突然変異、F243L/R292P/Y300L/P396L突然変異、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L突然変異、G236A/S239D/I332E突然変異、K326A/E333A突然変異、K326W/E333A突然変異、H268F/S324T突然変異、S267E/H268F突然変異、S267E/S324T突然変異及びS267E/H268F/S324T突然変異からなる群から選択される、抗体のADCC、ADCP及び/又はCDCを強化する第2の突然変異を含む。
本発明の抗体のADCCを誘導する能力は、当該抗体のオリゴ糖成分を遺伝子操作することによって強化することができる。ヒトIgG1又はIgG3は、Asn297においてN−グリコシル化され、大部分のグリカンは、周知の二分岐G0、G0F、G1、G1F、G2、又はG2Fの形態である。遺伝子操作されていないCHO細胞により産生される抗体は、典型的には、少なくとも約85%のグリカンフコース含量を有する。Fc領域に結合した二分岐の複合体型オリゴ糖からのコアフコースの除去は、抗原結合又はCDC活性を変更することなく、改善されたFcγRIIIa結合によって抗体のADCCを増強する。
いくつかの実施形態では、本発明の抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体は、約0%〜約15%、例えば、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%又は0%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を有する。
いくつかの実施形態では、本発明の抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体は、約50%、40%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%又は0%のフコース含量を有する二分岐グリカン構造を有する。
「フコース含量」とは、Asn297における糖鎖内のフコース単糖類の量を意味する。フコースの相対量は、全糖構造に関するフコース含有構造の割合である。これらは、複数の方法、例えば、1)国際公開第2008/077546号に記載されているとおり、N−グリコシダーゼFで処理されたサンプル(例えば、複合体、ハイブリッド、並びにオリゴ構造及び高マンノース構造)のMALDI−TOFの使用、2)Asn297グリカンの酵素放出、その後の誘導体化、並びに蛍光検出を備えたHPLC(UPLC)及び/又はHPLC−MS(UPLC−MS)による検出/定量化、3)第1のGlcNAc単糖類と第2のGlcNAc単糖類との間を切断し、フコースを第1のGlcNAcに結合したままにさせる、Endo S又は他の酵素によるAsn297グリカンの処理を伴うか又はこの処理なしでの、天然又は還元mAbのインタクトプロテイン分析、4)酵素を用いた消化(例えば、トリプシン又はエンドペプチダーゼLys−C)による、mAbの成分ペプチドへの消化、並びにそれに続くHPLC−MS(UPLC−MC)による分離、検出、及び定量化、あるいは5)Asn297でPNGase Fを用いた酵素による特異的脱グリコシル化による、mAbオリゴ糖のmAbタンパク質からの分離、により特徴付けられ、定量化され得る。放出されるオリゴ糖は、フルオロフォアで標識し、実験的質量を理論的質量と比較することによるマトリックス支援レーザ脱離イオン化(matrix-assisted laser desorption ionization、MALDI)質量分析、イオン交換HPLC(GlycoSep C)によるシアル化度の決定、順相HPLC(GlycoSep N)による親水性基準に準拠するオリゴ糖型の分離及び定量化、並びに高性能キャピラリー電気泳動−レーザ誘起蛍光(high performance capillary electrophoresis-laser induced fluorescence、HPCE−LIF)によるオリゴ糖の分離及び定量化によって、グリカン構造の精密な特性評価を可能にする様々な補助的技術によって分離及び同定することができる。
「低フコース」又は「低フコース含量」とは、抗体が約0%〜15%のフコース含量を有することを指す。
「正常なフコース」又は「正常なフコース含量」とは、抗体が約50%を超える、典型的には、約60%、70%、80%を超える、又は85%を超えるフコース含量を有することを指す。
エフェクター機能が望ましくない場合、本発明の抗体を更に遺伝子操作して、活性化Fcγ受容体(FcγR)に対する当該抗体の結合を減少させる及び/又はC1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)若しくは抗体依存性細胞媒介性細胞貪食(ADCP)などのFcエフェクター機能を低下させる少なくとも1つの突然変異を当該抗体Fcに導入してもよい。
活性化FcγRに対する抗体の結合を減少させ、続いて、エフェクター機能を低下させるために突然変異させることができるFcの位置は、例えば、Shields et al.(2001)J Biol Chem 276:6591〜604、国際公開第2011/066501号、米国特許第6,737,056号及び同第5,624,821号、Xu et al.(2000)Cell Immunol,200:16〜26、Alegre et al.(1994)Transplantation 57:1537〜43、Bolt et al.(1993)Eur J Immunol 23:403〜11、Cole et al.(1999)Transplantation,68:563〜71、Rother et al.(2007)Nat Biotechnol 25:1256〜64、Ghevaert et al.(2008)J Clin Invest 118:2929〜38、An et al.(2009)MAbs,1:572〜9に記載されているものであり、214、233、234、235、236、237、238、265、267、268、270、295、297、309、327、328、329、330、331及び365位を含む。単独で又は組み合わせて行うことができる例示的な突然変異は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4におけるK214T、E233P、L234V、L234A、G236の欠失、V234A、F234A、L235A、G237A、P238A、P238S、D265A、S267E、H268A、H268Q、Q268A、N297A、A327Q、P329A、D270A、Q295A、V309L、A327S、L328F、A330S及びP331S突然変異である。ADCCを低減するために行うことができる例示的な組み合わせ突然変異は、IgG1におけるL234A/L235A、IgG2におけるV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S、IgG4におけるF234A/L235A、IgG4におけるS228P/F234A/L235A、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4におけるN297A、IgG2におけるV234A/G237A、IgG1におけるK214T/E233P/L234V/L235A/G236−欠失/A327G/P331A/D365E/L358M、IgG2におけるH268Q/V309L/A330S/P331S、IgG1におけるS267E/L328F、IgG1におけるL234F/L235E/D265A、IgG1におけるL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S、IgG4におけるS228P/F234A/L235A/G237A/P238S及びIgG4におけるS228P/F234A/L235A/G236−欠失/G237A/P238Sである。IgG2由来の残基117〜260及びIgG4由来の残基261〜447を有するFcなどのハイブリッドIgG2/4 Fcドメインを使用してもよい。
IgG4の安定性を強化するために、IgG4抗体にS228P突然変異を施してよい。
いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、K214T突然変異、E233P突然変異、L234V突然変異、L234A突然変異、G236の欠失、V234A突然変異、F234A突然変異、L235A突然変異、G237A突然変異、P238A突然変異、P238S突然変異、D265A突然変異、S267E突然変異、H268A突然変異、H268Q突然変異、Q268A突然変異、N297A突然変異、A327Q突然変異、P329A突然変異、D270A突然変異、Q295A突然変異、V309L突然変異、A327S突然変異、L328F突然変異、A330S突然変異及びP331S突然変異からなる群から選択される第2の突然変異を含み、残基の付番はEUインデックスに従う。
更なるFc突然変異、例えば、Dall’Acqua et al.(2006)J Biol Chem 281:23514〜24,Zalevsky et al.(2010)Nat Biotechnol 28:157〜9,Hinton et al.(2004)J Biol Chem 279:6213〜6,Hinton et al.(2006)J Immunol 176:346〜56,Shields et al.(2001)J Biol Chem 276:6591〜604,Petkova et al.(2006)Int Immunol 18:1759〜69,Datta−Mannan et al.(2007)Drug Metab Dispos 35:86〜94,Vaccaro et al.(2005)Nat Biotechnol 23:1283〜8,Yeung et al.(2010)Cancer Res 70:3269〜77 and Kim et al.(1999)Eur J Immunol 29:2819〜25に記載されており、250、252、253、254、256、257、307、376、380、428、434、及び435位を含むものを導入することによって、本発明の抗体を更に遺伝子操作して抗体の半減期を調節することもできる。単独で又は組み合わせて行うことができる代表的な突然変異は、T250Q、M252Y、I253A、S254T、T256E、P257I、T307A、D376V、E380A、M428L、H433K、N434S、N434A、N434H、N434F、H435A及びH435R突然変異である。抗体の半減期を延長するために行うことができる例示的な単独又は組み合わせの突然変異は、M428L/N434S、M252Y/S254T/T256E、T250Q/M428L、N434A及びT307A/E380A/N434A突然変異である。抗体の半減期を短縮するために行うことができる例示的な単独又は組み合わせの突然変異は、H435A、P257I/N434H、D376V/N434H、M252Y/S254T/T256E/H433K/N434F、T308P/N434A及びH435R突然変異である。
保存的修飾を更に含む本発明の抗体も本発明の範囲内である。
「保存的修飾」とは、アミノ酸配列を含有する抗体の結合特性に大きく影響する又はこれを変えることのないアミノ酸の修飾のことを指す。保存的修飾は、アミノ酸の置換、付加、及び欠失を含む。保存的置換は、アミノ酸が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えられる置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、明確に定義されており、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン、トリプトファン)、芳香族側鎖(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシン)、脂肪族側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン)、アミド(例えば、アスパラギン、グルタミン)、β分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び含硫黄側鎖(システイン、メチオニン)を有するアミノ酸を含む。更に、アラニンスキャニング突然変異誘発について既に記載されているように(MacLennan et al.(1998)Acta Physiol Scand Suppl 643:55〜67;Sasaki et al.(1998)Adv Biophys 35:1〜24)、ポリペプチド中の任意の天然残基をアラニンで置換することもできる。本発明の抗体に対するアミノ酸置換は、例えばPCR突然変異誘発(米国特許第4,683,195号)などの既知の方法によって行うことができる。あるいは、変異体のライブラリーは、例えば、ランダムコドン(NNK)、又は非ランダムコドン(例えば11個のアミノ酸(Ala、Cys、Asp、Glu、Gly、Lys、Asn、Arg、Ser、Tyr、Trp)をコード化するDVKコドン)を用いて生成することもできる。結果として生じる抗体変異体は、それらの特性に関して、本明細書に記載のアッセイを用いて試験することができる。
本発明の抗体を、グリコシル化、異性化、脱グリコシル化、又はポリエチレングリコール部分の付加(ペグ化)及び脂質化などの非自然発生的な共有結合修飾などのプロセスによって翻訳後修飾され得る。こうした修飾はin vivoあるいはin vitroで行われ得る。例えば、本発明の抗体にポリエチレングリコールを融合させる(PEG化)することによって薬物動態のプロファイルを向上させることができる。融合は当業者に既知の技術によって行われ得る。治療用抗体をPEGと接合させると、機能に干渉することなく薬力学的動態が強化されることが示されている(Leong et al.(2001)Cytokine 16:106〜19;Yang et al.(2003)Protein Eng 16:761〜70;Knight et al.(2004)Platelets 15:409〜18)。
安定性、選択性、交差反応性、親和性、免疫原性、又は他の望ましい生物学的若しくは生物物理学的特性を改善するために修飾され得る本発明の抗体は、本発明の範囲内である。抗体の安定性は、分子内力及び分子間力の中でも特に、(1)固有の安定性に影響を及ぼす個々のドメインのコアパッキング、(2)HCとLCとの対合に影響するタンパク質/タンパク質界面相互作用、(3)極性残基及び帯電残基の埋没、(4)極性残基及び帯電残基のH結合ネットワーク、並びに(5)表面電荷及び極性残基の分布を含む多くの要因によって影響を受ける(Worn et al.(2001)J Mol Biol 305:989〜1010)。構造を不安定化させる可能性のある残基は、抗体の結晶構造に基づいて、又は場合によっては分子モデリングによって同定することができ、また、抗体の安定性に対する該残基の効果は、同定された残基において変異を保有する変異体を作製及び評価することによって試験することができる。抗体の安定性を高める方法の1つには、示差走査熱量計法(DSC)によって測定したときの熱転移中点温度(Tm)を高くするというものがある。一般に、タンパク質のTmはその安定性と相関しており、溶液中でのアンフォールディング及び変性のし易さ、並びに当該タンパク質がアンフォールディングする傾向に依存する分解プロセスとは逆相関している(Remmele et al.(2000)Biopharm.13:36〜46)。多数の研究で、DSCによって熱安定性として測定された処方の物理的安定性のランク付けと他の方法によって測定された物理的安定性との間に相関が見出されている(Maa et al.(1996)Int.J.Pharm.140:155〜68;Remmele et al.(1997)Pharm.Res.15:200〜8;Gupta et al.(2003)AAPS PharmSci.5E8:2003;Bedu−Addo et al.(2004)Pharm.Res.21:1353〜61;Zhang et al.(2004)J.Pharm.Sci.93:3076〜89)。配合物の研究により、FabのTmは、対応するmAbの長期物理的安定性と密接な関係があることが示唆されている。
C末端リシン(C-terminal lysine、CTL)は、血流中の内因性循環カルボキシペプチダーゼによって注入された抗体から除去され得る(Cai et al.(2011)Biotechnol Bioeng 108:404〜12)。製造中、米国特許出願公開第20140273092号に記載のとおり、細胞外Zn2+、EDTA、又はEDTA−Fe3+の濃度を制御することによって、CTLの除去を最高レベル未満に制御することができる。抗体のCTL含量は、公知の方法を用いて測定することができる。
いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、約10%〜約90%、約20%〜約80%、約40%〜約70%、約55%〜約70%又は約60%のC末端リシン含量を有する。
いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、約0%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%のC末端リシン含量を有する。
本発明の抗体を生成する方法
Fcドメインが遺伝子操作を受けた本発明の抗体は、テンプレートとして野生型のIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4配列を使用し、標準的なクローニング及び発現技術を用いて生成することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発又はPCR媒介突然変異誘発を実施して、抗体Fcに突然変異を導入することができ、本明細書に記載される方法を用いてFcγRへの抗体結合、アゴニスト活性、又は他の所望の特性に対する効果を評価することができる。
抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体のVHドメイン及びVLドメインは、de novo生成することができる。
例えば、Kohler and Milstein,Nature 256:495,1975のハイブリドーマ法を使用してモノクローナル抗体を作製することができる。ハイブリドーマ法では、マウス又は他の宿主動物、例えばハムスター、ラット又はサルなどを、ヒトTNFR又はTNFRの細胞外ドメインで免疫し、続いて、標準的な方法を使用して、免疫した動物由来の脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59〜103,Academic Press,1986)。1個の不死化したハイブリドーマ細胞から発生したコロニーを、結合特異性、交差反応性又はその欠如、及び抗原の親和性などの所望の特性を有する抗体の生成についてスクリーニングする。
様々な宿主動物を使用して、本発明の抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体を産生することができる。例えば、Balb/cマウスを使用して、抗ヒトTNFRスーパーファミリーメンバー抗体を生成することができる。Balb/cマウス及び他のヒト以外の動物において作製された抗体を、様々な技術を使用してヒト化して、よりヒトに近い配列を生成することもできる。
ヒトアクセプターフレームワークの選別を含む例示的なヒト化技術は公知であり、CDRグラフト化(米国特許第5,225,539号)、SDRグラフト化(米国特許第6,818,749号)、リサーフェシング(Padlan(1991)Mol Immunol 28:489〜98)、特異性決定残基のリサーフェシング(米国特許出願公開第2010/0261620号)、ヒトフレームワーク適応(米国特許第8,748,356)、又は超ヒト化(米国特許第7,709,226号)を含む。これらの方法では、CDRの長さの類似性若しくは標準構造の同一性、又はこれらの組み合わせに基づいて、親フレームワークに対する全体的な相同性に基づいて選択され得るヒトフレームワークに親抗体のCDRを移植する。
ヒト化抗体は、国際公開第1090/007861号及び同第1992/22653号に記載されているものなどの技術によって、結合親和性を保存するように変化させたフレームワーク支持残基を組み込むことによって(復帰突然変異)、又は任意のCDRに変異を導入して、例えば抗体の親和性を改善することによって、所望の抗原に対するその選択性又は親和性を改善するように更に最適化させてもよい。
ゲノム中にヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子座を保有する遺伝子導入動物、例えば、マウス又はラットは、標的タンパク質に対するヒト抗体を生成するために使用することができ、例えば、米国特許第6,150,584号、国際公開第99/45962号、同第2002/066630号、同第2002/43478号、同第2002/043478号、及び同第1990/04036号、Lonberg et al.(1994)Nature 368:856〜9;Green et al.(1994)Nat Genet 7:13〜21;Green et al.(1998)J Exp Med 188:483〜95;Lonberg et al.(1995)Int Rev Immunol 13:65〜93;Bruggemann et al.(1991)Eur J Immunol 21:1323〜6;Fishwild et al.(1996)Nat Biotechnol 14:845〜51;Mendez et al.(1997)Nat Genet 15:146〜56;Green(1999)J Immunol Methods 231:11〜23;Yang et al.(1999)Cancer Res 59:1236〜43;Bruggemann et al.(1997)Curr Opin Biotechnol 8:455〜8に記載されている。このような動物の内因性免疫グロブリン遺伝子座を破壊又は欠失させてもよく、相同又は非相同組み換えを用いて、導入染色体(transchromosome)を用いて、又はミニ遺伝子を用いて、少なくとも1つの完全な又は部分的なヒト免疫グロブリン遺伝子座を該動物のゲノムに挿入してもよい。Regeneron(http://_www_regeneron_com)、Harbour Antibodies(http://_www_harbourantibodies_com)、Open Monoclonal Technology,Inc.(OMT)(http://_www_omtinc_net)、KyMab(http://_www_kymab_com)、Trianni(http://_www.trianni_com)、及びAblexis(http://_www_ablexis_com)などの企業は、上記の技術を使用して、選択された抗原に対するヒト抗体を提供するべく取り組んでいる可能性がある。
ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン又はその一部、例えばFab、一本鎖抗体(scFv)、又は対合していない若しくは対合している抗体可変領域などを発現するようにファージが遺伝子操作されたファージディスプレイライブラリーから選択され得る(Knappik et al.(2000)J Mol Biol 296:57〜86;Krebs et al.(2001)J Immunol Methods 254:67〜84;Vaughan et al.(1996)Nat Biotechnol 14:309〜14;Sheets et al.(1998)Proc Natl Acad Sci U S A 95:6157〜62;Clackson et al.(1991)Nature 352:624〜8;Marks et al.(1991)J Mol Biol 222:581〜97)。本発明の抗体は、例えば、Shi et al.(2010)J Mol Biol 397:385〜96及び国際公開第09/085462号)に記載されているバクテリオファージpIXコートタンパク質との融合タンパク質として抗体の重鎖及び軽鎖可変領域を発現するファージディスプレイライブラリーから単離され得る。当該ライブラリーを、ヒト及び/又はカニクイザルTNFRに対するファージの結合についてスクリーニングし、得られた陽性クローンの特性評価を更に行い、Fabをクローンの溶解物から単離し、完全長IgGとして発現させることができる。ヒト抗体を単離するためのこのようなファージディスプレイ法は、例えば、米国特許第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,580,717号、同第5,969,108号、同第6,172,197号、同第5,885,793号、同第6,521,404号、同第6,544,731号、同第6,555,313号、同第6,582,915号及び同第6,593,081号に記載されている。
免疫原性抗原の調製及びモノクローナル抗体の生成は、組み換えタンパク質生成などの任意の好適な技術を用いて実施することができる。免疫原性抗原は、精製タンパク質、あるいは細胞全体又は細胞若しくは組織抽出物を含むタンパク質混合物の形態で動物に投与されてもよく、抗原は、該抗原又はその一部をコードしている核酸から動物の体内でde novo形成されてもよい。
本発明の抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体のVH/VL領域は、既存の抗TNFRスーパーファミリー受容体抗体から得ることもできる。
米国特許第8133983号、同第7960515号、米国特許出願公開第2013/0280275号、国際公開第2013/028231号及び米国特許出願公開第2014/0377284号に記載されている抗OX40抗体のVH及びVLの領域を使用して本発明の抗体を遺伝子操作することができる。更に、抗OX40抗体のVH/VL領域MEDI−6469、BMS−986178、MOXR−0916、MEDI−6383、MEDI−0562、PF−04518600又はGSK−3174998を使用してもよい。本発明の遺伝子操作を受けた抗OX40抗体を生成するために使用することができる更なる例示的なVH及びVLの領域は、以下のとおりである:
配列番号51(米国特許出願公開第2014/0377284号に記載されている抗体SF2のVH)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFKDYTMHWVRQAPGQGLEWIGGIYPNNGGSTYNQNFKDRVTLTADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARMGYHGPHLDFDVWGQGTTVTVSS
配列番号52(米国特許出願公開第2014/0377284号に記載されている抗体SF2のVL)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVGAAVAWYQQKPGKAPKLLIYWASTRHTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYINYPLTFGGGTKVEIK
配列番号53(米国特許出願公開第2014/0377284号に記載されている12H3VH1VL1のVH)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFKDYTMHWVRQAPGQGLEWMGGIYPNNGGSTYNQNFKDRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARMGYHGPHLDFDVWGQGTTVTVSS
配列番号54(米国特許出願公開第2014/0377284号に記載されている12H3VH1VL1のVL)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVGAAVAWYQQKPGKAPKLLIYWASTRHTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYINYPLTFGGGTKVEIK
配列番号55(米国特許出願公開第2014/0377284号に記載されている20E5VH3VL2のVH)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYVMHWVRQAPGQRLEWIGYINPYNDGTKYNEKFKGRATLTSDKSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCANYYGSSLSMDYWGQGTLVTVSS
配列番号56(米国特許出願公開第2014/0377284号に記載されている20E5VH3VL2のVL)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNYLNWYQQKPGKAVKLLIYYTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQGNTLPWTFGQGTKVEIK
本発明の抗体を遺伝子操作するために使用することができる抗CD40抗体のVH及びVLの領域は、それぞれ、米国特許第7,288,251号(抗体21.4.1)及び米国特許第8,303,955号に記載されているCP−870,893及びヒト化S2C6、並びに国際公開第2001/056603号、同第2001/083755号、同第2013/034904号及び同第2014/070934号に記載されている抗CD40抗体のものである。本発明の遺伝子操作を受けた抗CD40抗体を生成するために使用することができる更なる例示的なVH及びVLの領域は、以下である:
配列番号57(M9抗体のVH)
QLQLQESGPGLVKPSEILSLTCTVSGGSISSSSYYWGWIRQPPGKGLEWIGNIYYRGDTYYSPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLNSVTAADTAVYYCAKGFRFDYWGQGTLVTVSS
配列番号58(M9抗体のVL)
QSALTQPPSASGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYEVSKRPSGVPDRFSGSKSGNTASLTVSGLQAEDEADYYCSSYAGSNNLVFGGGTKLTVL
本発明の抗体を遺伝子操作するために使用することができる抗GITR抗体のVH及びVLの領域は、米国特許第7,812,135号、同第8,591,886号、及び同第7,618,632号、又は国際公開第2011/028683号、同第2013/039954号、同第2005/007190号及び同第2007/133822号に記載されているものである。
本発明の抗体を遺伝子操作するために使用することができる抗CD27抗体のVH及びVLの領域は、米国特許第9169325号及び米国特許出願公開第20130183316号に記載されているものである。
本発明の抗体を遺伝子操作するために使用することができる抗CD137抗体のVH及びVLの領域は、米国特許第7288638号、同第8716452号及び同第8821867号に記載されているものである。
完全長二重特異性抗体に遺伝子操作された本発明の抗体も本発明の範囲内である。
「完全長抗体」とは、2本の完全長抗体重鎖と2本の完全長抗体軽鎖とを有する抗体を指す。完全長抗体重鎖(HC)は、周知の重鎖可変ドメイン及び定常ドメイン、VH、CH1、ヒンジ、CH2及びCH3からなる。完全長抗体重鎖(LC)は、周知の軽鎖可変ドメイン及び定常ドメイン、VL及びCLからなる。完全長抗体は、一方又は両方の重鎖のいずれかにC末端リシン(K)を欠いていてもよい。
完全長二重特異性抗体は、例えば、in vitroでの無細胞環境において又は共発現を使用して、異なる特異性を有する2つの抗体半分子のヘテロ二量体形成に好都合になるように各半分子における重鎖CH3界面に置換を導入することによって、2つの一特異性二価抗体間でのFabアーム交換(又は半分子交換)を使用して生成され得る。「Fabアーム」又は「半分子」とは、抗原に特異的に結合する一対の重鎖−軽鎖を意味する。
Fabアーム交換反応は、ジスルフィド結合異性化反応及びCH3ドメインの解離−会合の結果である。親単一特異性抗体のヒンジ領域における重鎖ジスルフィド結合は減少する。親単一特異性抗体のうちの1つの得られた遊離システインは、第2の親単一特異性抗体分子のシステイン残基と重鎖内ジスルフィド結合を形成し、同時に、親抗体のCH3ドメインは、解離−会合により解放及び再形成する。FabアームのCH3ドメインは、ホモ二量体化より好ましいヘテロ二量体化に操作されてもよい。得られる生成物は、それぞれ異なるエピトープ、すなわち、TNFRにおけるエピトープ及び第2の抗原におけるエピトープに結合する、2つのFabアーム又は半分子を有する二重特異性抗体である。
「ホモ二量体化」とは、同一のCH3アミノ酸配列を有する2本の重鎖の相互作用を指す。「ホモ二量体」とは、同一のCH3アミノ酸配列を有する2本の重鎖を有する抗体を指す。
「ヘテロ二量体化」とは、同一でないCH3アミノ酸配列を有する2本の重鎖の相互作用を意味する。「ヘテロ二量体」は、同一でないCH3アミノ酸配列を有する2本の重鎖を有する抗体を指す。
本発明の抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体は、Knob−in−Hole(Genentech)、CrossMAb(Roche)及び静電的適合(electrostatically-matched)(Chugai,Amgen,NovoNordisk,Oncomed)、LUZ−Y(Genentech)、Strand Exchange Engineered Domain body(SEEDbody)(EMD Serono)、Biclonic(Merus)を使用して二重特異性フォーマットに遺伝子操作することができる。
Knob−in−Holeストラテジ(例えば、国際公開第2006/028936号を参照)では、ヒトIgGにおけるCH3ドメインの界面を形成する選択されたアミノ酸をCH3ドメイン相互作用に影響を及ぼす位置において突然変異させて、ヘテロ二量体形成を促進することができる。小さな側鎖を有するアミノ酸(ホール)が、第1の抗原に特異的に結合する抗体の重鎖内に導入され、大きな側鎖を有するアミノ酸(ノブ)が、第2の抗原に特異的に結合する抗体の重鎖内に導入される。2つの抗体の共発現後に、「ホール」を有する重鎖と「ノブ」を有する重鎖との優先的な相互作用によりヘテロ二量体が形成される。ノブ及びホールを形成する例示的なCH3置換ペアは、T366Y/F405A、T366W/F405W、F405W/Y407A、T394W/Y407T、T394S/Y407A、T366W/T394S、F405W/T394S、及びT366W/T366S_L368A_Y407Vである(第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける修飾位置/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける修飾位置として表現)。
CrossMAb技術では、「knob−in−hole」ストラテジを利用してFabアーム交換を促進することに加えて、半アームのうちの1つが、得られる二重特異性抗体の軽鎖を確実に正しく対合させるために交換されたCH1及びCLドメインを有する(例えば、米国特許第8,242,247号を参照)。
他のクロスオーバーストラテジを使用して、一方のアーム又は両方のアームのいずれかにおいて、二重特異性抗体の重鎖と軽鎖との間若しくは重鎖内で可変ドメイン若しくは定常ドメイン、又は両方のドメインを交換することによって、完全長二重特異性抗体を生成することができる。これらの交換としては、例えば、国際特許公開第2009/080254号、同第2009/080251号、同第2009/018386号、及び同第2009/080252号に記載されるVH−CH1とVL−CL、VHとVL、CH3とCL、及びCH3とCH1が挙げられる。
他のストラテジ、例えば、あるCH3表面における正に帯電した残基及び第2のCH3表面における負に帯電した残基を置換することによる静電的相互作用を使用する重鎖ヘテロ二量体化の促進を使用して二重特異性抗体を生成することができ、これは、米国特許出願公開第2010/0015133号、米国特許出願公開第2009/0182127号、米国特許出願公開第2010/028637号、又は米国特許出願公開第2011/0123532号に記載されるように使用されてもよい。他の戦略では、ヘテロ二量体化は、米国特許出願公開第2012/0149876号又は米国特許出願公開第2013/0195849号に記載されるように、下記置換:L351Y_F405A Y407V/T394W、T366I_K392M_T394W/F405A_Y407V、T366L_K392M_T394W/F405A_Y407V、L351Y_Y407A/T366A_K409F、L351Y_Y407A/T366V_K409F、Y407A/T366A_K409F、又はT350V_L351Y_F405A_Y407V/T350V_T366L_K392L_T394W(第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける修飾位置/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける修飾位置として表現)により促進されてもよい。
LUZ−Y技術を利用して、二重特異性抗体を生成することができる。この技術では、(Wranik et al.(2012)J Biol Chem 287:43331〜9)に記載されているように、ロイシンジッパーをCH3ドメインのC末端に付加して、精製後に除去される親mAbからヘテロ二量体アセンブリを駆動する。
SEEDbody技術を利用して、二重特異性抗体を生成することができる。SEEDbodyは、それらの定常ドメインにおいて、米国特許第2007/0287170号に記載されるように、ヘテロ二量体化を促進するためにIgA残基で置換された選択IgG残基を有する。
二重特異性抗体は、国際特許出願公開第2011/131746号に記載の方法(DuoBody技術)に従って、2つの一特異性ホモ二量体抗体のCH3領域に非対称な突然変異を導入し、ジスルフィド結合を異性化させる還元条件下で2つの親一特異性ホモ二量体抗体から二重特異性ヘテロ二量体抗体を形成することによって、無細胞環境においてin vitroで生成されてもよい。この方法においては、第1の単一特異性二価抗体及び第2の単一特異性二価抗体は、ヘテロ二量体の安定性を促進するCH3ドメインにおける特定の置換を有するように操作されるが、これらの抗体は、ヒンジ領域におけるシステインがジスルフィド結合の異性化を受けるのに十分な還元条件下においてともにインキュベートされ、それにより、Fabアーム交換によって二重特異性抗体が生成される。インキュベート条件は、最適には、非還元条件に戻され得る。使用され得る例示的な還元剤は、2−メルカプトエチルアミン(2−MEA)、ジチオトレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、グルタチオン、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、L−システイン及びベータ−メルカプトエタノールである。例えば、少なくとも20℃の温度で、少なくとも25mMの2−MEAの存在下又は少なくとも0.5mMのジチオスレイトールの存在下で、pH5〜8、例えばpH7.0又はpH7.4で、少なくとも90分間のインキュベートを用いることができる。
抗体のドメイン及び付番は周知である。「非対称」とは、抗体の2本の別個の重鎖の2つのCH3ドメインにおける非同一の置換を指す。IgG1 CH3領域は、典型的には、IgG1における残基341〜446からなる(残基の付番はEUインデックスに従う)。
本発明の抗体は、様々な周知の抗体形態に設計されてもよい。
医薬組成物/投与
本発明は、本発明の抗体と、薬学的に許容できる担体とを含む、医薬組成物を提供する。治療用途では、本発明の抗体は、薬学的に許容できる担体中に活性成分として有効量の抗体を含有する医薬組成物として調製することができる。「担体」は、本発明の抗体と一緒に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、又はビヒクルを指す。このようなビヒクルは、水、及び石油、動物、植物、又は合成物由来のものを含む油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの液体であってよい。例えば、0.4%生理食塩水及び0.3%グリシンを用いてよい。これらの溶液は滅菌されており、一般には粒子状物質を含まない。これらは、従来の周知の滅菌法(例えば、濾過)によって滅菌することができる。組成物は、生理学的条件に近づけるために必要とされる薬学的に許容できる補助物質、例えば、pH調整剤及び緩衝剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤及び着色剤などを含有し得る。このような医薬製剤中の本発明の抗体の濃度は、約0.5重量%未満から通常少なくとも約1重量%まで、最大で15又は20重量%まで変動し得、また、選択される具体的な投与方法に従って、必要とされる用量、流体体積、粘度などに主に基づいて選択され得る。好適なビヒクル及び製剤(他のヒトタンパク質、例えばヒト血清アルブミンを含む)は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,Troy,D.B.ed.,Lipincott Williams and Wilkins,Philadelphia,PA 2006,Part 5,Pharmaceutical Manufacturing pp691〜1092に記載されており、特にpp.958〜989を参照されたい。
本発明の抗体を治療的に使用するための投与方法は、例えば、錠剤、カプセル剤、液剤、粉剤、ゲル、粒子の、注射器、埋め込み式装置、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプに入れられた製剤を使用する非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、又は皮下、肺内、経粘膜(経口、鼻腔内、膣内、直腸)投与;又は当該技術分野において周知の、当業者が理解する他の手段など、薬剤を宿主に送達する任意の好適な経路であってよい。部位特異的投与は、例えば、腫瘍内、関節内、気管支内、腹内、関節包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、血管内、膀胱内、病巣内、膣内、直腸内、口腔内、舌下、鼻腔内、又は経皮送達によって達成され得る。
本発明の抗体は、例えば、静脈内(i.v.)注入又はボーラス注射により非経口的に、筋肉内又は皮下又は腹腔内になどの任意の好適な経路によって被験体に投与することができる。静脈内注入は、例えば、15、30、60、90、120、180、若しくは240分間にわたって、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、若しくは12時間にわたって行ってよい。
被験体に投与される用量は、治療されている疾患を軽減するか又は少なくとも部分的に抑止するのに十分(「治療的に有効な量」)であり、時に、0.005mg〜約100mg/kg、例えば、約0.05mg〜約30mg/kg、若しくは約5mg〜約25mg/kg、又は約4mg/kg、約8mg/kg、約16mg/kg、若しくは約24mg/kg、又は例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10mg/kgであり得るが、更に多量、例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、40、50、60、70、80、90若しくは100mg/kgであってもよい。
例えば、50、100、200、500、若しくは1000mgの固定単位用量を与えてもよく、又は患者の表面積に基づいて、例えば、500、400、300、250、200、若しくは100mg/m2の用量を与えてもよい。通常、1〜8用量(例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8)が患者を治療するために投与されるが、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれよりも多い用量を与えてもよい。
本発明の抗体の投与は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、5週間、6週間、7週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月後に、又はそれ以上後に繰り返すことができる。治療コースの繰り返しも可能であり、長期にわたる投与も同様に可能である。繰り返し投与は、同一用量であってもよいし、又は異なる用量であってもよい。例えば、本明細書に記載される本発明の抗体は、静脈内注入によって、8週間にわたって1週間間隔で8mg/kg又は16mg/kgで投与し、続いて、更に16週間にわたって2週間ごとに8mg/kg又は16mg/kgで投与し、続いて、4週間ごとに8mg/kg又は16mg/kgで投与してよい。
例えば、本発明の方法における抗体は、単回投与、又は24、12、8、6、4若しくは2時間ごとの分割投与、又はこれらの任意の組み合わせを使用して、約0.1〜100mg/kg、例えば、1日当たり0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90又は100mg/kgの量の1日投薬量として、治療開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40日目のうちの少なくとも1日に、あるいは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20週目のうちの少なくとも1週に、あるいはこれらの任意の組み合わせで提供され得る。
また、本発明の方法における抗体は、癌の発現リスクを低下させる、癌の進行における事象の発生の開始を遅延させる、及び/又は癌が寛解したときの再発リスクを低下させるために予防的に投与されてもよい。
本発明の抗体を、保管のために凍結乾燥し、使用前に好適な担体に溶解させてもよい。この技術は、従来のタンパク質調製物に関して有効であることが示されており、周知の凍結乾燥及び再構成技術を用いることができる。
方法及び使用
本発明の抗体は、in vitro及びin vivoにおいて、診断上の有用性、並びに治療及び予防上の有用性を有する。例えば、本発明の抗体は、in vitro若しくはex vivoにおいて培養中の細胞に、又はがん及び感染性疾患などの様々な障害を治療、予防及び/若しくは診断するために被験体に投与してよい。
また、本発明は、被験体における抗TNFRスーパーファミリーメンバーのアゴニスト活性を強化する方法であって、E345R突然変異、E430G突然変異、E345R/E430G突然変異、又はE345R/E430G/S440Y突然変異を抗体に導入して、TNFRファミリーの受容体に特異的に結合する遺伝子操作を受けた抗体を生成することと、当該アゴニスト活性を強化するのに十分な時間、当該遺伝子操作を受けた抗体を当該被験体に投与することとを含む、上記方法を提供する。
また、本発明は、被験体における抗TNFRスーパーファミリーメンバーのアゴニスト活性を強化する方法であって、E345R突然変異、E430G突然変異、E345R/E430G突然変異、又はE345R/E430G/S440Y突然変異を抗体に導入して、TNFRファミリーの受容体に特異的に結合する遺伝子操作を受けた抗体を生成することと、当該遺伝子操作を受けた抗体を当該被験体に投与することとを含む、上記方法を提供する。
また、本発明は、被験体における癌を治療する方法であって、当該癌を治療するのに十分な時間、E345R突然変異、E430G突然変異、E345R/E430G突然変異、又はE345R/E430G/S440Y突然変異を含むTNFRファミリーの受容体に特異的に結合する抗体を当該被験体に投与することを含む、上記方法を提供する。
また、本発明は、被験体における癌を治療する方法であって、当該癌を治療するのに十分な時間、E345R突然変異、E345R/E430G突然変異、又はE345R/E430G/S440Y突然変異を含む抗TNFRスーパーファミリー抗体を当該被験体に投与することを含む、上記方法を提供する。
本発明の方法では、当該抗体はADCCを媒介する。
本発明の方法では、当該抗体はADCPを媒介する。
本発明の方法では、当該抗体は、抗体架橋に依存しない抗TNFRスーパーファミリーメンバーのアゴニスト活性を強化する。
本発明の方法では、当該抗体は、所望により、ADCCを低減する第2の突然変異を更に含む。
本発明の方法では、当該被験体はウイルス感染を有する。
本発明の方法では、当該被験体は癌を有する。
本発明の方法では、当該癌は固形腫瘍である。
本発明の方法では、当該固形腫瘍は、黒色腫、肺癌、扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)、非扁平上皮NSCLC、結腸直腸癌、前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、胃癌、卵巣癌、胃癌、肝臓癌、膵臓癌、甲状腺癌、頭頸部の扁平上皮癌腫、食道又は胃腸管の癌腫、乳癌、卵管癌、脳癌、尿道癌、尿生殖器癌、子宮内膜症、子宮頸癌又は癌の転移巣である。
本発明の方法では、当該TNFRは、腫瘍壊死因子受容体1(配列番号1)、腫瘍壊死因子受容体2(配列番号2)、リンホトキシンベータ受容体(配列番号3)、OX40(配列番号4)、CD40(配列番号5)、Fas受容体(配列番号6)、デコイ受容体3(配列番号7)、CD27(配列番号8)、CD30(配列番号9)、CD137(配列番号10)、デス受容体4(配列番号11)、デス受容体5(配列番号12)、デコイ受容体1(配列番号13)、デコイ受容体2(配列番号14)、RANK(配列番号15)、オステオプロテゲリン(配列番号16)、TWEAK受容体(配列番号17)、TACI(配列番号18)、BAFF受容体(配列番号19)、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(配列番号20)、神経成長因子受容体(配列番号21)、B細胞成熟抗原(配列番号22)、GITR(配列番号23)、TROY(配列番号24)、デス受容体6(配列番号25)、デス受容体3(配列番号26)、又はエクトジスプラシンA2受容体(配列番号27)である。
本発明の方法では、当該TNFRは、OX40(配列番号4)、CD27(配列番号8)、CD40(配列番号5)、CD137(配列番号10)、又はGITR(配列番号23)である。
本発明の方法では、当該TNFRはOX40(配列番号4)である。
本発明の方法では、当該TNFRはCD27(配列番号8)である。
本発明の方法では、当該TNFRはCD40(配列番号5)である。
本発明の方法では、当該TNFRはCD137(配列番号10)である。
本発明の方法では、当該TNFRはGITR(配列番号23)である。
TNFR1/2/TNF−α、CD70/CD27/CD27、CD137/4−1BB、OX40/OX40L、CD40/CD40L、GITR/GITRLを含むTNFRスーパーファミリーメンバー及びそのリガンドの多くは、癌治療の標的として示されており(Bremer,Hindawi Publishin Corporation ISRN oncology Volume 2013,Article ID 371854,25 pages;Sanmamed et al)、TNFRスーパーファミリーメンバーを標的とするいくつかのアゴニスト抗体、例えば、抗CD40、抗OX−40、抗GITR、抗CD27、抗CD137抗体が、様々な固形腫瘍並びに非ホジキンリンパ腫及びB細胞悪性腫瘍などのヘム悪性腫瘍のために臨床開発されている。所望によりエフェクター機能と合わせて、強化されたアゴニスト活性の観点で改善された特性を有する抗CD40、抗OX40、抗GITR、抗CD27、抗CD137及び他の本発明の抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体は、固形腫瘍を含む様々な癌の治療において治療的に有効であろう。
以上、本発明を一般論として説明したが、本発明の各実施形態を、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない以下の実施例において更に開示する。
実施例1:抗TNFRスーパーファミリーメンバー抗体のアゴニスト活性を改善するためのFc遺伝子操作アプローチ
腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーに属する免疫賦活性受容体に対するアゴニスト抗体は、癌の免疫療法の有望な薬剤候補として台頭しつつある。アゴニスト活性及び/又はエフェクター機能を強化することによって抗TNFR抗体の抗腫瘍活性を増強できるいくつかのFc遺伝子操作アプローチが最近見出された。
抗腫瘍免疫を賦活するモノクローナル抗体は、癌治療法の重要な分類として台頭しつつある(Mellman et al.(2011)Nature 480:480〜9;Chen et al.(2013)Nat Rev Immunol 13:227〜42)。免疫チェックポイント受容体を標的とする抗体であるCTLA−4及びPD−1は、進行黒色腫、肺癌の単剤療法として承認されており、他の種類のヒト癌の治療について評価されている。阻害経路を標的とすることに加えて、T細胞及び抗原提示細胞上の免疫賦活性受容体に対するアゴニスト抗体も抗腫瘍免疫を賦活することができ、癌免疫療法の臨床開発の有望な領域として台頭しつつある(Schaer et al.(2014)J Immunother Cancer 2:7)。
多くの免疫賦活性受容体は、腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリーに属している。これらのうち、OX40、CD27、4−1BB及びGITRは、エフェクターT細胞及びそのリガンドで発現し、アゴニスト抗体はこれら受容体を活性化してT細胞の増殖及び活性化を刺激することができる(Kanamaru et al.(2004)J Immunol 172:7306〜14;Gramaglia et al.(1998)J Immunol 161:6510〜7;Pollok et al.(1993)J Immunol 150:771〜81;Ramakrishna et al.(2015)J Immunother Cancer 3:37)。CD40は抗原提示細胞で発現し、この受容体の活性化が、活性化T細胞に対する腫瘍抗原のより効果的な提示を促進する(Mangsbo et al.(2015)Clin Cancer Res 21:1115〜26)。これらTNF受容体に対する治療用抗体のアゴニスト活性がその抗腫瘍活性にとって重要であることを多くのエビデンスが示している(Mangsbo et al.(2015)Clin Cancer Res 21:1115〜26;He et al.(2013)J Immunol 191:4174〜83;Wilson et al.(2011)Cancer Cell 19:101〜13)。他方、いくつかのTNFRスーパーファミリーメンバー、例えば、OX40及びGITRは、腫瘍免疫を負に調節する制御性T細胞(Treg)において発現が増加した。いくつかの研究で、抗OX40及び抗GITR抗体が、抗体のエフェクター機能によって腫瘍微小環境における制御性T細胞の選択的除去を促進し得ることが明らかになっている(Bulliard et al.(2013)J Exp Med 210:1685〜93;Bulliard et al.(2014)Immunol Cell Biol 92:475〜80)。制御性T細胞のこのような抗体媒介性死滅は、治療用抗OX40及び抗GITR抗体の抗腫瘍活性について、抗体媒介性エフェクターT細胞の活性化よりも重要であり得る。
蓄積されつつあるエビデンスでは、免疫調節性抗体は、そのアゴニスト活性及びエフェクター機能のために様々な種類のFc受容体と会合することが示された。下流のシグナル伝達経路を活性化するためには、TNFRの三量化が必要である。しかし、1つの抗体分子は、一般的に、十分なTNF受容体をクラスタリングするのに十分ではなく、その代わり、in vitroアッセイにおける受容体活性化には抗体の架橋が必要である(Morris et al.(2007)Mol Immunol 44:3112〜21.Recent studies in mice indicated that the engagement to the inhibitory FcγRIIB receptor is critical for the agonistic activity of antibodies to a number of TNFR targets,including CD40(Li et al.(2011)Science 333:1030〜4;White et al.(2013)Cancer Immunol Immunother 62:941〜8),death receptor 5(DR5)(Wilson et al.(2011)Cancer Cell 19:101〜13;Li et al.(2012)Proc Natl Acad Sci U S A 109:10966〜71)and CD95(Xu et al.(2003)J Immunol 171:562〜8)。IgG FcのFcγRIIB受容体への架橋によって、1よりも多くの抗体分子を多量体化することができ、続いて、シグナル伝達経路を活性化するために十分なTNFRのクラスタリングを促進することができる。他方、抗体のエフェクター機能、例えば、ADCC及びADCPは、様々な活性化Fcγ受容体との相互作用に依存している。腫瘍内制御性T細胞を選択的に除去することによって活性化Fcγ受容体が免疫調節性抗OX40及び抗GITR抗体の抗腫瘍活性に寄与することが、マウスにおける研究によって明らかになった(Bulliard et al.(2013)J Exp Med 210:1685〜93;(Bulliard et al.(2014)Immunol Cell Biol 92:475〜80).Human IgG antibodies have poor binding affinities to the majority of human Fc receptors except FcγRI(Guilliams et al.(2014)Nat Rev Immunol 14:94〜108)。
免疫賦活性TNF受容体に対するアゴニスト抗体の抗腫瘍活性を最適化するために、1つのアプローチは、IgG抗体のFc領域を遺伝子操作してそのFcγ受容体の会合、特に、TNF受容体抗体のアゴニズムを媒介するFcγRIIB受容体との会合を改善することである。これに関して、Chuらは、FcγRIIB結合親和性が強化されたIgG1 FcにおけるS267E/L328F突然変異について記載している(Chu et al.(2008)Mol Immunol 45:3926〜33。このような突然変異を有するように遺伝子操作を受けた抗CD19抗体は、初代ヒトB細胞のB細胞受容体媒介性活性化の阻害を改善することが示された。しかし、更なる研究によって、このようなFc変異体が活性化FcγRIIA受容体のR131アロタイプへの結合も強化することが明らかになった(Mimoto et al.(2013)Protein Eng Des Sel 26:589〜98。近年、Mimotoらは、FcγRIIA受容体のH131アロタイプ又はR131アロタイプへの結合増加を伴わずにFcγRIIB会合が選択的に強化された、V12突然変異と総称されるIgG1 Fcにおける6つの突然変異のセットを報告した(Mimoto et al.(2013)Protein Eng Des Sel 26:589〜98。遺伝子操作を受けたV12突然変異を有する抗CD137アゴニスト抗体は、FcγRIIB会合に依存してはるかに強化されたアゴニスト活性を示した。
FcγRIIB会合の最適化は実行可能なアプローチであるが、このような遺伝子操作を受けた抗体のアゴニスト活性は、局所腫瘍微小環境におけるFcγ受容体の発現に大きく依存し、このような抗体の有効性は解剖学的作用部位に限定されることがある。Fcγ受容体の会合に依存しない免疫賦活性抗体のアゴニズムを増強する試みにおいて、ヒトIgG2が、CD40、4−1BB及びCD28受容体について、免疫賦活性抗体に超アゴニスト活性を付与し得ることがWhiteらによって最近報告された(White et al.(2015)Cancer Cell 27:138〜48)。この活性は、IgG2サブタイプのヒンジ領域におけるジスルフィド結合の独特な構造によって付与され、FcγRIIB会合には依存しない。他方、FcγRIIBに対する架橋の目的が受容体を活性化するためにアゴニスト抗体のクラスタリングを増加させることのみである場合、本発明者らは、抗体の多量体化を促進し得るこれらFc突然変異が、FcγRIIBを架橋させる必要なくTNF受容体への抗体のアゴニズムを強化し得ると仮定した。Diebolderらは、選択的Fc突然変異が、細胞表面の標的に結合した際にIgG抗体の六量体の形成を促進し得ると報告した(Diebolder et al.(2014)Science 343:1260〜3)。このようなIgG六量体は補体依存性細胞傷害(complement-dependent cytotoxicity、CDC)を大きく活性化できることが報告されているが、本発明者らは、別の出願で、TNF受容体を認識するオリゴマー化抗体が受容体のクラスタリングを促進することによってこのような受容体を活性化できると請求している。
この研究は、抗OX40抗体のアゴニズムの強化に対する様々なFc遺伝子操作アプローチの評価について説明している。更に、遺伝子操作を受けた抗体のADCC及びADCPエフェクター機能に対するFc突然変異の効果についても評価された。このような研究は、抗腫瘍活性が改善されたOX40及び他のTNF受容体に対する遺伝子操作を受けた抗体の設計の指針に役立ち得る。
実施例2:材料及び方法
抗OX40抗体のFc遺伝子操作
抗OX40抗体SF2のVH及びVLの領域(VH:配列番号51、VL:配列番号52)をヒト野生型IgG1又はIgG2にクローニングし、選択置換でFcを遺伝子操作して、抗体のアゴニスト活性及びエフェクター機能に対する当該置換の効果を評価した。生成された抗体及びそのFc置換の名称を表3に示す。
配列番号63 E345R突然変異を有するIgG1
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPRRPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号64 E430G突然変異を有するIgG1
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHGALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号65 E345R/E430G突然変異を有するIgG1
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPRRPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHGALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号66 E345R/E430G/S440Y突然変異を有するIgG1
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPRRPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHGALHNHYTQKYLSLSPGK
配列番号67 E345R突然変異を有するIgG2sigma
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPAAASSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSAEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKTKGQPRRPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
抗体の発現及び精製
抗体の重鎖(HC)及び軽鎖(LC)をコードしているプラスミドを、トランスフェクションキットの説明書(Life Technologies)に従って1:3(HC:LC)のモル比でExpi293F細胞にコトランスフェクトした。トランスフェクションの5日後に細胞をスピンダウンし、上清を0.2μmのフィルタに通した。Octet(ForteBio)を使用して、抗体発現の力価を定量した。キットの説明書(GE Healthcare Life Sciences)に従ってプレパックドプロテインAスピンカラムを使用して抗体の精製を実施した。精製された抗体を透析によってDPBS(pH7.2)にバッファ交換し、280nmにおけるUV吸光度によってタンパク質濃度を求めた。還元されたサンプル及び還元されていないサンプルの高性能サイズ排除クロマトグラフィ(high-performance size-exclusion chromatography、HP−SEC)及びSDS−PAGEによって、分子の品質及び完全性を評価した。
NanoBRETタンパク質−タンパク質相互作用アッセイ
抗OX40 SF2抗体の軽鎖のコーディング配列を、それぞれ、C末端Nanoluc及びHalotag配列とインフレームになるようにpNLF−C及びpHTC halotagベクター(Promega,Madison,WI)にクローニングした。Nanoluc又はHalotagが軽鎖のC末端に結合しているFcが遺伝子操作を受けたSF2を発現させるために、これら軽鎖をOX40SF2IgG1、OX40SF2IgG1E345R、OX40SF2IgG1E345R/E430G及びOX40SF2IgG1E345R/E430G/S440Y抗体の重鎖と対合させた。標準的なプロテインAスピンカラムを使用して、これら修飾された抗体を精製した。
NanoBRETタンパク質−タンパク質相互作用アッセイ(Promega,Madison,WI)によって細胞表面における抗体の多量体化について調べるために、96ウェルアッセイプレートの各ウェルに0.25×105個のHEK−Blue:OX40細胞を播種し、37℃で一晩培養した。次の日、50μLのアッセイ培地(Opti−MEM I還元血清培地、フェノールレッド無し+4% FBS)中、等濃度のNanolucタグ付抗体(ドナー)及びHalotagタグ付抗体(アクセプター)を細胞に適用した。50μLのアッセイ培地で1:1000希釈されたHalotag 618リガンドを実験ウェルに添加し、アッセイ培地でDMSOを1:1000希釈することによってリガンド無しの対照ウェルも設定した。37℃で30分間インキュベートした後、細胞をアッセイ培地で2回洗浄し、100μLのアッセイ培地に再懸濁した。FBSを含まないアッセイ培地で1:200希釈した25μLのNano−Glo基質を各ウェルに添加した。30秒間振盪した後、ドナーの発光(460nm)及びアクセプターの発光(618nm)をEnvisionによって測定した。ミリBRET単位(mBU)による生のNanoBRET比の値をRawBRET=618nmEm/460nmEm×1000として算出した。ドナーが寄与するバックグラウンド又は蛍光漏れ(bleed through)を計算に入れるために、ミリBRET単位による補正されたNanoBRET比の値をCorrectedBRET=RawBRET実験サンプル−RawBRETリガンド無し対照サンプルとして算出し、これは、タンパク質−タンパク質相互作用に起因する生物発光タンパク質ドナーから蛍光タンパク質アクセプターへのエネルギー転移を反映している。
フローサイトメトリー染色
ヒトFcγRI(NM_000566)(配列番号59)、FcγRIIA(NM_021642)(配列番号60)、FcγRIIB(NM_004001)(配列番号61)及びFcγRIIIA(NM_000569)(配列番号62)(Origene)をコードしているcDNAを発現するプラスミドを、Expifectmine293トランスフェクションキット(Life Technologies)によってExpi293F細胞に一過的にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後にフローサイトメトリーアッセイを実施した。トランスフェクトされたFc受容体の発現を確認するために、その特異的抗体、FcγRIについては10.1(BD Pharmingen)、FcγRIIAについてはIV.3(StemCell Technologies)、FcγRIIBについては2B6(インハウスで調製)(Veri et al.(2007)Immunology 121:392〜404、及びFcγRIIIAについては3G8(BD Pharmingen)を、陽性対照としてフローサイトメトリー染色において使用した。抗OX40抗体のFcγRIIB受容体への結合を試験するためにRaji細胞(ATCC:CCL−86)も使用した。
96ウェルプレートに1ウェル当たり2×105個の細胞を播種し、BSA染色バッファ(BD Biosciences,San Jose,USA)中において4℃で30分間ブロックした。細胞を、氷上において4℃で1.5時間、試験抗体と共にインキュベートした。BSA染色バッファで2回洗浄した後、R−PEで標識された抗ヒト又は抗マウスIgG二次抗体(Jackson Immunoresearch Laboratories)と共に細胞を4℃で45分間インキュベートした。細胞を染色バッファで2回洗浄し、次いで、1:200希釈したDRAQ7 live/dead stain(Cell Signaling Technology,Danvers,USA)を含有する150μLの染色バッファ中に再懸濁させた。それぞれB2及びB4チャネルを使用して、Miltenyi MACSQuantフローサイトメータ(Miltenyi Biotec,Auburn,USA)によって、染色された細胞のPE及びDRAQ7シグナルを検出した。生細胞をDRAQ7排除でゲートし、収集された少なくとも10,000生細胞事象について幾何平均蛍光シグナルを求めた。解析にはFlowJoソフトウェア(Tree Star)を使用した。データを、平均蛍光シグナルに対する抗体濃度の対数としてプロットした。GraphPad Prism 6(GraphPad Software,Inc.)によって非線形回帰分析を行い、EC50値を算出した。
配列番号59
MWFLTTLLLWVPVDGQVDTTKAVITLQPPWVSVFQEETVTLHCEVLHLPGSSSTQWFLNGTATQTSTPSYRITSASVNDSGEYRCQRGLSGRSDPIQLEIHRGWLLLQVSSRVFTEGEPLALRCHAWKDKLVYNVLYYRNGKAFKFFHWNSNLTILKTNISHNGTYHCSGMGKHRYTSAGISVTVKELFPAPVLNASVTSPLLEGNLVTLSCETKLLLQRPGLQLYFSFYMGSKTLRGRNTSSEYQILTARREDSGLYWCEAATEDGNVLKRSPELELQVLGLQLPTPVWFHVLFYLAVGIMFLVNTVLWVTIRKELKRKKKWDLEISLDSGHEKKVISSLQEDRHLEEELKCQEQKEEQLQEGVHRKEPQGAT
配列番号60
MTMETQMSQNVCPRNLWLLQPLTVLLLLASADSQAAPPKAVLKLEPPWINVLQEDSVTLTCQGARSPESDSIQWFHNGNLIPTHTQPSYRFKANNNDSGEYTCQTGQTSLSDPVHLTVLSEWLVLQTPHLEFQEGETIMLRCHSWKDKPLVKVTFFQNGKSQKFSHLDPTFSIPQANHSHSGDYHCTGNIGYTLFSSKPVTITVQVPSMGSSSPMGIIVAVVIATAVAAIVAAVVALIYCRKKRISANSTDPVKAAQFEPPGRQMIAIRKRQLEETNNDYETADGGYMTLNPRAPTDDDKNIYLTLPPNDHVNSNN
配列番号61
MGILSFLPVLATESDWADCKSPQPWGHMLLWTAVLFLAPVAGTPAAPPKAVLKLEPQWINVLQEDSVTLTCRGTHSPESDSIQWFHNGNLIPTHTQPSYRFKANNNDSGEYTCQTGQTSLSDPVHLTVLSEWLVLQTPHLEFQEGETIVLRCHSWKDKPLVKVTFFQNGKSKKFSRSDPNFSIPQANHSHSGDYHCTGNIGYTLYSSKPVTITVQAPSSSPMGIIVAVVTGIAVAAIVAAVVALIYCRKKRISALPGYPECREMGETLPEKPANPTNPDEADKVGAENTITYSLLMHPDALEEPDDQNRI
配列番号62
MAEGTLWQILCVSSDAQPQTFEGVKGADPPTLPPGSFLPGPVLWWGSLARLQTEKSDEVSRKGNWWVTEMGGGAGERLFTSSCLVGLVPLGLRISLVTCPLQCGIMWQLLLPTALLLLVSAGMRTEDLPKAVVFLEPQWYRVLEKDSVTLKCQGAYSPEDNSTQWFHNESLISSQASSYFIDAATVDDSGEYRCQTNLSTLSDPVQLEVHIGWLLLQAPRWVFKEEDPIHLRCHSWKNTALHKVTYLQNGKGRKYFHHNSDFYIPKATLKDSGSYFCRGLFGSKNVSSETVNITITQGLAVSTISSFFPPGYQVSFCLVMVLLFAVDTGLYFSVKTNIRSSTRDWKDHKFKWRKDPQDK
HEK−Blue NFκBリポーターアッセイ
NF−κB誘導性プロモーター(IFN−βミニマルプロモーター)の制御下で分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)受容体遺伝子を発現するように遺伝子操作を受けたHEK−Blue(商標)Null1細胞にOX40発現プラスミド(pUNO1−hOX40)をトランスフェクトすることによって、ヒトOX40を発現する安定なHEK−Blueリポーター細胞株(HEK−Blue:OX40)を樹立した。リポーターアッセイでは、200μLの培養培地に再懸濁させた1×105個のHEK−Blue:OX40細胞を96ウェルアッセイプレートの各ウェルに分注し、OX40リガンド又は抗OX40抗体を添加した。架橋の効果を試験するために、1μLのプロテインG磁気ビーズ(Pierce)、又は1×105個のRaji細胞を同じアッセイウェルに添加した。37℃で一晩インキュベートした後、Quanti−Blue検出キット(Invivogen)を使用して誘導された分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)リポーター遺伝子の発現を定量することによって、抗体のアゴニスト活性を評価した。簡潔に述べると、40μLの細胞培養上清を160μLのQuanti−Blue試薬と混合し、適切な青色を発色するまで37℃でインキュベートした。SpectraMaxマイクロプレートリーダー(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)を使用して650nmにおけるODを測定した。抗OX40抗体のアゴニスト活性を、1μg/mL OX40リガンドによって誘導されたものに対する活性パーセントとして正規化した。
ADCCアッセイ
製造業者(Promega)によって指示されているとおり、ADCCリポーターバイオアッセイによって抗OX40抗体のADCC活性を評価した。簡潔に述べると、一晩96ウェルプレートにプレーティングした1ウェルあたり25,000個のHEK−Blue:OX40細胞を、FcγRIIIA受容体の活性化によってルシフェラーゼリポーターが発現する遺伝子操作を受けたエフェクター細胞と混合した。抗OX40抗体を細胞に添加し、37℃で6時間インキュベートした。次いで、Bio−Gloルシフェラーゼ試薬を添加し、ルシフェラーゼシグナルをEnvisionによって定量した。抗OX40抗体のADCC活性を、試験抗体を添加しなかったものに対するルシフェラーゼシグナルの活性化の倍数として表した。
ADCPアッセイ
Turbo GFP形質導入粒子(Sigma Aldrich)をHEK−Blue:OX40細胞に感染させることによって、GFPを発現するOX40標的細胞株を樹立した。安定なGFP発現細胞をピューロマイシンで選抜した。CD16が枯渇していないネガティブヒト単球濃縮キット(StemCell Technologies)を使用して、PBMC(Biologics Specialty)からヒトCD14+CD16+単球を単離した。10% FBSを含有するX−VIVO−10培地(Lonza)に単離された単球をプレーティングし、7日間にわたって25ng/mLのマクロファージコロニー刺激因子(R&D Systems)を添加することによって単球からマクロファージを分化させた。分化の最後の24時間、IFNγ(50ng/mL;R&D Systems)を添加した。ADCPアッセイでは、1×105細胞/ウェルの分化したマクロファージを、96ウェルU底プレートにおける200μLの培地(DMEM+10% FBS)中0.25×105細胞/ウェルのGFP発現HEK−Blue:OX40細胞と混合した(4:1比)。試験抗体を添加し、37℃のインキュベータ内で24時間プレートをインキュベートした。次いで、Accutase(Sigma)を使用して細胞を剥離し、BSA染色バッファに再懸濁させた。Alexa Fluor 647(Invitrogen)に結合している抗CD11b及び抗CD14抗体(BD Biosciences)でマクロファージを染色した。Miltenyi MACSQuantフローサイトメータ(Miltenyi Biotec,Auburn,USA)を使用して、フローサイトメトリーによってGFP陽性HEK−Blue:OX40標的細胞及びAlexa647陽性マクロファージを同定した。FlowJoソフトウェア(Tree Star)を用いてデータを解析し、以下の式を用いてGFP蛍光の減少を測定することによって、ADCP媒介性細胞死滅を求めた:死滅した標的細胞の割合=((最低濃度の抗体によるGFP+、CD11b−、CD14−細胞の割合)−(試験濃度の抗体によるGFP+、CD11b−、CD14−細胞の割合))/(最低濃度の抗体によるGFP+、CD11b−、CD14−細胞の割合)×100。
CDCアッセイ
補体媒介性細胞死滅アッセイによって抗OX40抗体のCDC活性を評価した。簡潔に述べると、1×105個のHEK−Blue:OX40細胞を6.7%(v/v)ウサギ補体(Cedar Lane Labs,Burlington,Canada)及び試験抗体と共に1時間インキュベートした。製造業者の指示書(Roche Diagnostics,Indianapolis,IN)に従って、溶解したHEK−Blue:OX40細胞のサイトゾルから上清に放出された乳酸デヒドロゲナーゼの活性を細胞傷害検出キットによって測定した。補体媒介性細胞傷害を、0.67%(v/v)Triton X−100によって溶解したものに対する細胞傷害のパーセントとして表した。
実施例3.抗OX40抗体のアゴニズムを評価するためのNFκBリポーターアッセイの確立
TNF受容体スーパーファミリーのメンバーであるOX40は、TNF受容体関連因子(TRAF)に結合することによって核因子カッパB(NFkB)シグナル伝達経路を活性化する。OX40抗体のアゴニスト活性に対するFc遺伝子操作の寄与について調べるために、NFκB誘導性プロモーター下で安定的にヒトOX40及びSEAPを発現するHEK−Blue(商標)リポーター細胞株を樹立した。OX40リガンドは、SEAPリポーター遺伝子を発現させるトランスフェクトされたOX40受容体を用量依存的に活性化した(図1A)。次いで、このリポーターアッセイによって、OX40SF2IgG1抗体をそのアゴニスト活性について評価した。抗体は単独でわずかにアゴニスト活性を示したが、プロテインGビーズに固定化されたOX40SF2IgG1抗体は、用量依存的に、1000ng/mLではOX40リガンドよりも高いレベルまでリポーター遺伝子の発現を刺激することができ(図1A)、これは、アゴニスト活性に抗体架橋が必要であることを示す。
最近の研究では、FcγRIIBにより架橋活性がもたらされ、TNF受容体抗体のアゴニスト活性を促進できることが明らかになった(Li et al.(2012)Cell Cycle 11:3343〜4)。FcγRIIBが主に発現するヒトBリンパ芽球Raji細胞と共にHEK−Blue:OX40細胞を共培養することによって、リポーターアッセイにおいてFcγRIIBの架橋効果を評価した(Rankin et al.(2006)Blood 108:2384〜91)。しかし、Raji細胞と共培養しても天然IgG1を有するSF2抗体のアゴニスト活性を有意に強化することはできなかった(図1B)。
実施例4.S267E/L328F及びV12突然変異を有する抗OX40抗体の特性評価
抗体FcにおけるS267E/L328F突然変異及びE233D/G237D/P238D/H268D/P271G/A330R突然変異(本明細書ではV12突然変異と称する)は、FcγRIIB受容体に対する当該抗体の結合を強化することが判明している。抗OX40抗体におけるこのような突然変異の効果を評価するために、S267E/L328F二重突然変異(OX40SF2IgG1S267E/L328F)及びV12突然変異(OX40SF2IgG1V12)を有するIgG1として抗OX40抗体SF2をクローニングした。
FcγRへの結合
一過的にトランスフェクトされたExpi293F細胞において発現している様々なFcγRに対する遺伝子操作を受けた抗体の結合を、フローサイトメトリーによって評価した。FcγRIIBについて、天然IgG1を有するOX40SF2抗体の結合は少ないが、遺伝子操作を受けたFc突然変異は、FcγRIIBに対する結合親和性の増大を伴う抗OX40抗体を強く助長し、EC50(OX40SF2IgG1S267E/L328Fについては459ng/mL及びOX40SF2IgG1V12については502ng/mL)は2B6(431ng/mL)と同等であり、抗体は、OX40SF2IgG1よりもはるかに高く、FcγRIIBを優先的に認識する(図2A)。同様のフローサイトメトリーアッセイを実施して、一過的にトランスフェクトされたExpi293F細胞において発現しているFcγRIIAのR131アロタイプに対する、遺伝子操作を受けた抗OX40抗体の結合を評価した。OX40SF2IgG1V12はOX40SF2IgG1と同様にFcγRIIAに対して少ない結合を示したが、S267E/L328F突然変異は、20倍効力が高いFcγRIIAR131(EC50:216ng/mL)に対するより強力な結合を促進する(図2B)。このデータは、S267E/L328F及びV12突然変異がいずれもFcγRIIB結合の強化を促進するが、V12突然変異の効果がより特異的であるという以前の知見と一致している。
FcγRIでは、OX40SF2IgG1は高い親和性を示し、EC50は326ng/mLであった(図2C)。OX40SF2IgG1S267E/L328F抗体は、OX40SF2IgG1と同様の結合特性を示したが、V12突然変異は、FcγRIに対するOX40SF2IgG1V12抗体の結合を有意に抑制する。フローサイトメトリーアッセイによって、FcγRIIIA受容体に対する遺伝子操作を受けた抗OX40抗体の結合も評価した。OX40SF2IgG1抗体は、EC50は744ng/mLでFcγRIIIAに対する結合を示したが、OX40SF2IgG1S267E/L328F及びOX40SF2IgG1V12は、FcγRIIIAに対する結合活性を示さなかった(図2D)。
アゴニズム
S267E/L328F及びV12突然変異は、FcγRIIBに対する結合親和性の増大を伴うOX40SF2IgG1抗体を助長するので、これら強化された結合によって抗OX40抗体のアゴニズムが増加し得るかどうかをHEK−Blue NFκBリポーターアッセイによって評価した。まず、遺伝子操作を受けた抗OX40抗体のRaji細胞への結合をフローサイトメトリーアッセイによって評価した。FcγRIIB受容体でトランスフェクトされたExpi293F細胞(図2A)と比べて効力は低かったが、OX40SF2IgG1S267E/L328F及びOX40SF2IgG1V12は、Raji細胞に対して用量依存的結合を示し、OX40SF2IgG1は示さなかった(図3A)。Raji細胞に対する結合がFcγRIIBによって媒介されることを確認するために、Raji細胞を5μg/mLの2B6抗体で前処理した後、遺伝子操作を受けた抗OX40抗体のRaji細胞に対する結合を評価した。2B6抗体によるRaji細胞におけるFcγRIIBのプレブロックはOX40SF2IgG1S267E/L328F及びOX40SF2IgG1V12のRaji細胞への結合を有意に抑制することが観察された(図3B)。
HEK−Blue(商標)NFκBリポーターアッセイでは、OX40SF2IgG1S267E/L328FもOX40SF2IgG1V12も、Raji細胞の非存在下において有意なアゴニスト活性を示さなかった。しかし、Raji細胞とHEK−Blue:OX40細胞を共培養すると、これら遺伝子操作を受けた抗OX40抗体は劇的に増加したアゴニズムを示し、1000ng/mLにおける効力は同濃度のOX40リガンドと比べて2倍超高かった(図3C及び図3D)。更に、Raji細胞におけるFcγRIIBをプレブロックするために2B6抗体を添加したとき、OX40SF2IgG1S267E/L328F及びOX40SF2IgG1V12抗体については、アゴニズムのRaji細胞依存性強化が有意に抑制され(図3C及び図3D)、これは、遺伝子操作を受けた抗体のアゴニスト活性がFcγRIIB架橋によって媒介されたことを示す。
Fcのエフェクター機能
エフェクター細胞における生物発光リポーター遺伝子の発現がFcγRIIIA媒介性ADCCの活性化を反映するリポーターバイオアッセイによって、S267E/L328F及びV12突然変異を有する抗OX40抗体のADCC活性を調べた。HEK−Blue:OX40標的細胞とFcγRIIIAを発現しているエフェクター細胞とを共培養したとき、OX40SF2IgG1はリポーター遺伝子の発現を用量依存的に活性化した。しかし、OX40SF2IgG1S267E/L328FもOX40SF2IgG1V12もリポーター遺伝子の発現を誘導せず(図4A)、これは、S267E/L328F及びV12突然変異がOX40SF2IgG1抗体のADCC活性を抑制したことを示す。この結果は、遺伝子操作を受けた抗体におけるFcγRIIIAへの結合活性の喪失と一致する(図2D)。
単離された単球から分化したマクロファージによるGFPを発現しているHEK−Blue:OX40細胞の貪食を評価するアッセイにおいて、S267E/L328F及びV12突然変異を有する抗OX40抗体の抗体依存性細胞貪食(ADCP)活性についても調べた。OX40SF2IgG1抗体は、マクロファージによるHEK−Blue:OX40標的細胞の死滅を用量依存的に媒介した。S267E/L328F突然変異もV12突然変異も、OX40SF2IgG1抗体のADCP活性を有意に変化させなかった(図4B)。遺伝子操作を受けた抗OX40抗体の分化したマクロファージへの結合をフローサイトメトリーアッセイによって評価した。OX40SF2IgG1S267E/L328F抗体はOX40SF2IgG1抗体と同様のマクロファージへの結合親和性を有していたが、OX40SF2IgG1V12抗体は、ADCPアッセイでは活性があったものの、マクロファージに対する結合は有意に減少した(図4C)。
ウサギ補体の存在下におけるHEK−Blue:OX40細胞の溶解を評価するアッセイにおいて、抗体媒介性CDCについて調べた。OX40SF2IgG1抗体は、10,000ng/mL以下でHEK−Blue:OX40標的細胞に対する有意なCDC活性を引き起こさなかった。同様に、V12突然変異もS267E/L328F突然変異も、天然ヒトIgG1 Fcドメインを有する抗体よりも高いCDC活性を促進しなかった(図4D)。
実施例5.E345R、E430G及びS440Y突然変異を単独で又は組み合わせて有する抗OX40抗体の特性評価
Diebolderらは、細胞表面抗原に結合したときにIgG1抗体の六量体化を誘導し、抗体のエフェクター機能ADCC及びCDCを強化するFc突然変異のセット(E345R、E430G及びS440Y)を同定した(Diebolder et al.(2014)Science 343:1260〜3)。このような多量体化抗体が、受容体を活性化するための必要条件であるTNFRスーパーファミリーメンバーの凝集を促進することによって抗TNFRスーパーファミリー抗体のアゴニズムを強化し得ると仮定した。
仮説を検証するために、抗OX40抗体SF2のIgG1に対して単独のE345R、E430G及びS440Y突然変異、又は当該突然変異の組み合わせで遺伝子操作を行い、表3に示す得られた抗体OX40SF2IgG1E345R、OX40SF2IgG1E430G、OX40SF2IgG1 E345R/E430G及びOX40SF2IgG1 E345R/E430G/S440Yを特性評価した。
抗体の多量体化
SEC分析によって、OX40SF2IgG1E345R、OX40SF2IgG1E430G及びOX40SF2IgG1E345R/E430G抗体が、OX40SF2IgG1のように溶液中でモノマーとして存在することが明らかになった。しかし、SEC分析によって、三重変異抗体OX40SF2IgG1E345R/E430G/S440Yのピークが約900kDaであることが明らかになり、これは、その抗体の六量体の存在を示す。この所見は、E345R/E430G/S440Y突然変異が溶液相において容易に六量体の形成を促進するという報告された知見と一致する(Diebolder et al.(2014)Science 343:1260〜3。
遺伝子操作を受けた抗体が、細胞表面における抗原に結合したときに多量体化するかどうかを評価するために、NanoBRET(商標)タンパク質−タンパク質相互作用(protein-protein interaction、PPI)アッセイを実施した。このアッセイは、生物発光タンパク質ドナーから蛍光タンパク質アクセプターへのエネルギー転移を測定することによってタンパク質−タンパク質相互作用を検出する、近接度に基づくアッセイである。生成された抗体OX40SF2IgG1E345R、OX40SF2IgG1E430G、OX40SF2IgG1E345R/E430G及びOX40SF2IgG1E345R/E430G/S440Yを、それぞれ、ドナー及びアクセプターとして抗体軽鎖のC末端に結合しているNanoluc(登録商標)ルシフェラーゼ又は蛍光標識されたHaloTag(登録商標)のいずれかを有するように更に遺伝子操作した。タグ付き抗体は、HEK−Blue NFκBリポーターアッセイにおいて対応するタグの付いていない抗体と同等の機能活性を示した(データ不図示)。ドナー及びアクセプター抗体をHEK−Blue:OX40細胞に適用することによってNanoBRET PPIアッセイを実施し、算出され補正されたNanoBRET比は多量体化抗体の会合を反映する。OX40SF2IgG1抗体はバックグラウンドの補正されたNanoBRET比を示したが、IgGの六量体化を促進する突然変異を有するSF2抗体は、10〜1000ng/mLの濃度にわたってはるかに高い補正されたNanoBRET比を示した(図5)。補正されたNanoBRET比の値によって反映される細胞表面における抗体会合の程度は、以下の順序であった:OX40SF2IgG1E345R/E430G>OX40SF2IgG1E345R/E430G/S440Y>OX40SF2IgG1E345R>OX40SF2IgG1E430G>OX40SF2IgG1。この結果は、会合の程度が異なるにもかかわらず、野生型IgG1を除く全ての抗体が細胞表面で多量体化したことを示した。
遺伝子操作を受けた抗OX40抗体のアゴニズムの改善はFcγRIIB架橋に依存しない
抗体のアゴニスト活性に対するE345R、E430G及びS440Y置換の効果を評価するために、遺伝子操作を受けた抗体をHEK−Blue(商標)NFκBリポーターアッセイで特性評価した。生成された抗体は全てアゴニスト活性を示した。抗体は最も高い多量体化度を有さなかったが(図5)、OX40SF2IgG1E345Rは、OX40リガンドの活性と比べて最も改善されたアゴニスト活性を示した(図6A)。
OX40SF2IgG1E430Gは、最も低いアゴニスト活性の改善を示したが、OX40SF2IgG1 E345R/E430G及びOX40SF2IgG1E345R/E430G/S440Yは、OX40SF2IgG1E345RとOX40SF2IgG1E430Gとの間のアゴニズムの程度を示した(図6A)。
E345は、IgGサブタイプの中で保存されている残基である。また、サイレントIgG2sigmaFcを有する抗OX40抗体においてもE345R突然変異の遺伝子操作を行い、その結果、抗体OX40SF2IgG2sigmaE345Rが得られた。HEK−Blue(商標)NFκBリポーターアッセイによって、OX40SF2IgG2sigmaはわずかしかアゴニスト活性を有しないが(図6C)、OX40SF2IgG2sigmaE345Rは用量依存的にアゴニズムを示す(図6D)ことが明らかになった。これは、E345R突然変異が複数のIgGサブタイプにわたってアゴニズムの強化を促進し得ることを示した。
FcγRIIB架橋は、IgGサブタイプに依存してE345R突然変異を有する抗OX40抗体のアゴニズムを更に増強する
E345R突然変異はFcγRIIB架橋に依存せずにIgG1又はIgG2sigmaのFcを有する抗OX40抗体のアゴニズムを促進し得るが、それでもなお、Raji細胞と共培養したHEK−Blue:OX40細胞に遺伝子操作を受けた抗体を適用したHEK−Blue(商標)NFκBリポーターアッセイによって、FcγRIIB架橋の効果について調べた。Raji細胞の存在は、OX40SF2IgG1E345R抗体のアゴニズムを更に増強することができ、Raji細胞と共培養しない場合と比べて試験濃度全体にわたって活性が2倍を超えて増加する(図6B)ことが観察された。Raji細胞におけるFcγRIIB受容体をプレブロックするために2B6抗体を添加したとき、OX40SF2IgG1E345RのアゴニズムのRaji細胞媒介性増強は完全に阻害され、アゴニスト活性はRaji細胞と共培養しない場合と同様のレベルまで低下したが、これはアゴニズムの増強がFcγRIIB架橋によって駆動されることを示す。
E345R突然変異を有するか又は有しないOX40SF2IgG2sigma抗体のアゴニズムに対するFcγRIIB架橋を評価するために、同様のアッセイを設定した。Raji細胞の存在は、OX40SF2IgG2sigma又はOX40SF2IgG2sigmaE345R抗体のいずれにおいてもアゴニスト活性を増強できないことが見出された(図6C及び図6D)。このデータは、E345R突然変異を有する抗OX40抗体のアゴニズムのRaji細胞によって媒介される増強がIgGサブタイプに依存しており、IgG1 Fcに対しては効果があるが、サイレントIgG2sigma Fcに対しては効果がないことを示した。
E345R突然変異を有する遺伝子操作を受けた抗OX40抗体のエフェクター機能
FcγRIIIA媒介性ADCCリポーターバイオアッセイによって、E345R突然変異を有する抗OX40抗体のADCC活性を調べた。E345R突然変異は、抗OX40抗体のADCCを改善した。OX40SF2IgG1E345Rは、OX40SF2IgG1と比べてADCCを改善した(図7A)。対照的に、OX40SF2IgG2sigmaはADCC活性を示さず、OX40SF2IgG2sigmaへのE345R突然変異の導入はADCCに対して効果を有しなかった。
分化したマクロファージによるGFPを発現しているHEK−Blue:OX40細胞の貪食によって、E345R突然変異を有する抗OX40抗体のADCP活性についても調べた。OX40SF2IgG1抗体は、マクロファージによるHEK−Blue:OX40標的細胞の死滅を用量依存的に媒介したが、E345R突然変異の導入はOX40SF2IgG1抗体のADCP活性をわずかに強化しただけであった(図7B)。対照的に、OX40SF2IgG2sigmaはADCP活性を有していなかったが、OX40SF2IgG2sigmaへのE345R突然変異の導入はADCPを改善した(図7B)。
ウサギ補体の存在下におけるHEK−Blue:OX40細胞の溶解を評価するアッセイにおいて、抗体媒介性CDCについて調べた。OX40SF2IgG1抗体はHEK−Blue:OX40標的細胞に対する有意なCDC活性を媒介しなかったが、E345R突然変異は、CDC活性の増加を伴うOX40SF2IgG1抗体を用量依存的に助長した。対照的に、OX40SF2IgG2sigma抗体はこのアッセイにおいてCDC活性を有しておらず、OX40SF2IgG2sigma抗体におけるE345R突然変異は、そのCDC活性におけるサイレンシングを変化させなかった(図7C)。
考察
免疫賦活性TNFRスーパーファミリーメンバーに対するアゴニスト抗体は、癌治療法のための有望な薬剤として台頭しつつある。最近のFcを遺伝子操作する試みは、置換S267E/L328F及びV12をFcに導入することによって抗TNFRスーパーファミリー抗体のFcγRIIBとの会合を最適化することを介してそのアゴニスト活性を強化することによって、当該抗体をその抗腫瘍免疫について最適化することに向けられている(Chu et al.(2008)Mol Immunol 45:3926〜33;Mimoto et al.(2013)Protein Eng Des Sel 26:589〜98)。
本明細書において抗OX40抗体に適用したとき、報告されたS267E/L328F及びV12突然変異は、トランスフェクトされたExpi293F細胞又はRaji細胞のいずれかで発現したFcγRIIBに対する遺伝子操作を受けた抗OX40抗体の結合を強化し、架橋依存的にアゴニスト活性を強化した。アゴニズムの程度は、S267E/L328F及びV12突然変異のいずれについても同等であった。OX40抗体におけるS267E/L328F及びV12突然変異は、FcγRIIBへの結合を強化すると同時にFcγRIIIAへの抗体結合を阻害したが、これは、Mimotoによって報告された結果と一致している(Mimoto et al.(2013)Protein Eng Des Sel 26:589〜98。結果として、S267E/L328F及びV12突然変異は、遺伝子操作を受けた抗OX40抗体のADCCを完全に阻害したが、このADCCは、NK細胞で発現しているFcγRIIIAによって大部分が媒介される。
CD20などの腫瘍関連抗原に対する抗体の六量体化を誘導する突然変異(Diebolder et al.(2014)Science 343:1260〜3(E345R、E430G、S440Y)が抗OX40抗体のアゴニスト活性を誘導することも本明細書において見出された。しかし、S267E/L328F及びV12突然変異について報告されたものとは対照的に、改善されたアゴニスト活性はFcγRIIB架橋に依存していなかった。E345R、E430G、及びE345R/E430G二重突然変異を有する抗OX40抗体は溶液中でモノマーとして存在するが、当該抗体は細胞表面におけるOX40に結合すると多量体化した。多量体化した抗体は、FcγRIIB発現細胞の非存在下において強化されたアゴニスト活性を示したが、これは恐らく細胞上におけるOX40のクラスタリングの増加が促進されたことによるものである。二重E345R/E430G及び三重E345R/E430G/S440Y突然変異によって、単一突然変異のみと比べてより高次の抗体多量体化が生じたが、単一のE345R突然変異から最高のアゴニスト活性を有する抗体が得られた。何らかの特定の理論に束縛されるものではないが、E345R突然変異を有するオリゴマー化した抗体は、E430G突然変異を有する抗体よりもOX40受容体のクラスタリングの促進についてより好ましい構造を有すると考えられる。
E345R突然変異はFcγRIIB架橋に依存せずにアゴニズムを強化したが、FcγRIIB発現細胞の存在がE345R突然変異を有する抗体のアゴニズムを更に強化することが見出された。このアゴニズムの更なる増強は、遺伝子操作を受けた抗体とRaji細胞で発現しているFcγRIIBとの相互作用に依存していたが、その理由は、FcγRとの結合においてサイレントであるIgGsigma抗体ではアゴニズムの増強がみられず、Raji細胞で発現しているFcγRIIBをプレブロックすることによってアゴニズムが抑制されたためである。多量体化抗体はモノマーの抗体と比べてFcγ受容体に対してより高い親和性を有することが報告されている(Luo et al.(2009)MAbs 1:491〜504)。実際、本明細書に提示される結果は、溶液中で部分的に六量体形態であるOX40SF2E345R/E430G/S440Yが、溶液中でモノマーとして存在するOX40SF2IgG1及びOX40SF2IgG1E345R抗体と比べて、トランスフェクトされたExpi293F細胞で発現しているFcγRIIBに対してはるかに強力な結合を有することを示す(データ不図示)。細胞表面におけるOX40に結合しているオリゴマー化OX40SF2IgG1E345Rは、Raji細胞におけるFcγRIIBに対する結合を増加させ得、次に、抗体の多量体化を更に安定化し、アゴニズムの増強をもたらす受容体のクラスタリングを促進すると仮定する。
抗OX40抗体に導入されたE345R突然変異は、抗体のADCC活性の効力を強化した。この効果は、FcγRIIIAに結合することができるIgG1における遺伝子操作を受けた抗体に特異的であったが、FcγRIIIAに結合しないIgG2sigmaにおける抗体に対しては特異的ではなかった。これら所見は、IgG1抗体のE345R媒介性ADCC活性の強化が、細胞表面におけるOX40を認識した際のFcγRIIIAとオリゴマー化抗体との結合増加を介したものである可能性が高いことを示唆していた。
天然IgG1 Fcを有する抗OX40抗体に対して、S267E/L328FもV12突然変異もADCPに有意な影響を与えなかった。これは、貪食を媒介するマクロファージで発現している主なFc受容体であるFcγRIIAに対する結合を強化することが報告された(Mimoto et al.(2013)Protein Eng Des Sel 26:589〜98)S267E/L328F突然変異については予想外であり得る。しかし、FcγRIIAに加えて、FcγRI及びFcγRIIIAを含むいくつかのFc受容体は、標的細胞のIgG抗体によって媒介される貪食に寄与する(Indik et al.(1995)Blood 86:4389〜99)。OX40SF2IgG1S267E/L328F抗体は、OX40SF2IgG1と同様のFcγRIに対する結合効力を示したが、FcγRIIIAに対する結合は抑制した。更に、強化されたFcγRIIA結合の程度は、高親和性FcγRI受容体に対する結合と全く同等のレベルであった。その結果、OX40SF2IgG1S267E/L328F抗体は、OX40SF2IgG1と同様のマクロファージに対する結合効力を示し、OX40SF2IgG1に比べてADCP活性の強化は示さなかった。対照的に、OX40SF2IgG1V12抗体は、FcγRI及びFcγRIIIAに対する結合が減少し、FcγRIIAに対する結合効力は変化しなかったが、これによって、マクロファージに対する結合の有意な減少を説明することができる。それにもかかわらず、OX40SF2IgG1V12抗体は、OX40SF2IgG1と同様のADCP活性を示した。この矛盾の理由は未知である。同様に、E345R突然変異を有するOX40SF2IgG1抗体についてADCP活性の有意な増加は観察されなかったが、このような突然変異は、遺伝子操作を受けた抗体のADCC活性を有意に強化した。興味深いことに、OX40SF2IgG2sigmaはADCP活性を有していなかったが、E345R突然変異は、サイレントFcを有するこの抗体に対して有意なADCP活性を付与した。
本研究において評価されたいくつかのFc遺伝子操作アプローチはそれぞれ、同時に遺伝子操作を受けた抗体のアゴニスト活性を強化し、エフェクター機能を調節することにおいて独特の特性を与える。ADCCの要件に依存して、様々な遺伝子操作アプローチは、TNFRスーパーファミリーメンバーに結合する治療用抗体に対して想定され得る。例えば、CD40及びCD27に結合する抗体は、細胞枯渇のリスクを最小化するために、改善されたアゴニスト活性ではあるが最小のADCCから利点を享受し得る。したがって、IgG1におけるS267E/L328F若しくはV12、又はIgG2sigmaにおけるE345Rを使用して、改善されたCD40及びCD27抗体を生成し得る。対照的に、例えば制御性T細胞を除去するためにADCC活性が望ましいとき、IgG1におけるE345R突然変異を使用することができる。例えば、OX40又はGITRに結合する抗体は、改善されたアゴニスト活性及び強化されたADCCの利点を享受し得る。
別の検討事項は、FcγRIIB架橋に対する依存性がアゴニズムの強化にとって望ましいかどうかである。E345R突然変異は、FcγRIIB架橋に依存せずにアゴニズムの増加を促進することができ、これにより、局所微小環境におけるFcγRの発現レベルに関係なく規定の治療活性を有する抗体を備えておくことができ、特に、FcγR低発現細胞が浸潤している癌の種類について有利である。しかし、FcγRIIB架橋に依存しないことで、アゴニズムが非特異的に賦活されることがあり、これによって望ましくないオフターゲット効果が生じる場合がある。このような場合、S267E/L328F又はV12突然変異を使用され得る。異なるFc受容体に対する結合活性の変化、免疫原性、PKプロファイル、及び遺伝子操作を受けた抗体の開発可能性を含む他の要因も、最適な遺伝子操作アプローチの選択において考慮しなければならない。