発明の実施のための最良の形態
以下、これらを具体的に説明する。なお、本出願で開示される各説明及び実施形態はそれぞれ他の説明及び実施形態にも適用されてもよい。すなわち、本出願で開示される様々な要素のあらゆる組み合わせが本出願に含まれる。また、以下の具体的な記述に本出願が限定されるものではない。
(空白)
前記目的を達成するための本出願の一態様は、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CJLS03菌株(KCCM11905P)を提供する。
本出願におけるラクトバチルス(Lactobacillus)とは、自然界に広く分布する好気性又は通性嫌気性のグラム陽性桿菌属微生物である。ラクトバチルス属に属する微生物にはラクトバチルス・サケイなどがある。本発明者らは、ラクトバチルス・サケイに属する新規な菌株を寄託番号(KCCM11905P)として寄託して提供する。これは、プロバイオティクス菌株に該当し、人体に無害であり、副作用を引き起こすことなく用いることができる。
前記ラクトバチルス・サケイCJLS03は、配列番号1で表される16s rRNA塩基配列を有する。
一実施例によれば、前記CJLS03菌株は、短鎖脂肪酸の腸内生成を促進し、かつ/又は腸内菌叢を調節する活性を有する。
本出願における「短鎖脂肪酸(Short Chain Fatty Acid, SCFA)」とは、炭素数6以下の脂肪酸を意味し、低級脂肪酸とも呼ばれる。これは、水溶性であり、乳脂肪に最も多く含まれる。短鎖脂肪酸は、消化過程において相当部分が門脈で吸収されるという点で長鎖脂肪酸と異なる。また、短鎖脂肪酸は、ホストが摂取した食物繊維の最終代謝産物であり、エネルギー代謝に大きく関連することが知られている。短鎖脂肪酸は、腸上皮細胞のエネルギー源となり、免疫系を強化し、炎症を減少させ、エネルギー代謝を調節するなど健康に有益な影響を与える。例えば、血中の短鎖脂肪酸におけるアセテートとプロピオネートの比率(A/P)はBMIと密接な関係があり、腸内のブチレートが増加するにつれて代謝疾患の治療に優れた効果が現れる。より具体的には、アセテート又はブチレートを増加させた食餌療法は、糖尿病の発生率を低くし、エネルギー消費を増加させることができる。
前記CJLS03菌株は、短鎖脂肪酸の腸内生成を促進する活性を有する。例えば、前記短鎖脂肪酸は、アセテート、プロピオネート及びブチレートからなる群から選択される1つ以上であってもよい。より具体的には、前記CJLS03菌株は、アセテート、プロピオネート及びブチレートからなる群から選択される少なくとも1つの短鎖脂肪酸の腸内生成量を増加させることができる。すなわち、前記CJLS03菌株は、体内の短鎖脂肪酸の量を増加させることにより、体内のエネルギー消費を増加させることができ、代謝疾患の治療に有用である。例えば、前記CJLS03菌株は、アセテート、プロピオネート又は/及びブチレートの腸内生成量を1.5倍〜2倍に増加させることができる。
一実施例によれば、前記CJLS03菌株は、腸内菌叢を調節する活性を有する。
本出願における「腸内菌叢(Gut Microbiota)」とは、腸内に存在する微生物菌叢を意味し、ヒトの腸内菌叢は、その数が人体内の細胞数に匹敵するほど多く、種類も非常に多様であることが知られている。腸内菌叢は、腸内の環境にのみ影響を及ぼすのではなく、代謝物質や物理的変化により他の臓器にも影響を及ぼす。例えば、腸内微生物は、体内の免疫細胞が生成するタンパク質のサイトカインの生成変化に影響を与えることにより、免疫効果に変化を引き起こすこともあり、リーキーガットなどの物理的変化を減少させ、炎症効果を緩和することにより、免疫力を向上させることもある。代謝疾患においても、腸内微生物は、体内の脂肪吸収、脂肪細胞生成、脂肪細胞減少などに影響を与えることもあり、ホルモン分泌の調節に影響を与えることもある。
例えば、腸内微生物としては、フィルミクテス(Firmicutes)、バクテロイデス(Bacteroidetes)、プロテオバクテリア(Proteobacteria)、アクチノバクテリア(Actinobacteria)などが挙げられる。フィルミクテスはグラム陽性菌の一種であり、バクテロイデスはグラム陰性菌の一種であり、これらは腸内微生物の大部分を占める。これらの微生物は肥満又は代謝疾患に影響を及ぼすこともある。例えば、肥満グループと肥満でないグループの腸内微生物及び腸内菌叢に関する研究において、肥満グループは腸内のフィルミクテス属微生物を多く含むのに対して、肥満でないグループは腸内のバクテロイデス属微生物を多く含むことが報告されている。これは、腸内のフィルミクテスが増加するとエネルギー摂取が増加して肥満が誘導されうるのに対して、腸内のバクテロイデスが増加すると肥満が抑制されうることを示唆するものである。
前記CJLS03菌株は、腸内菌叢を調節する活性を有する。より具体的には、前記CJLS03菌株は、CJLS03菌株を含まない場合と比較して、腸内菌叢を構成する微生物において、バクテロイデスに対するフィルミクテスの比率(Firmicutes/Bacteroidetes: F/B)を下げる活性を有する。例えば、前記CJLS03菌株は、腸内のバクテロイデスに対するフィルミクテスの比率を40%〜60%のレベルに下げることができる。また、前記CJLS03菌株は、腸内の有益な菌株として知られるラクトバチルス属微生物とビフィドバクテリウム属微生物の量を増加させることができる。すなわち、前記CJLS03菌株は、腸内のバクテロイデスに対するフィルミクテスの比率を下げ、腸内有益菌を増加させることができるので、代謝疾患の予防、改善又は治療に有用である。
また、前記CJLS03菌株は、体内で副作用を引き起こすことなく、組織に脂肪が蓄積されることを抑制し、脂肪細胞のサイズ増大を抑制することができる。摂取されるCJLS03の量又は個体によって多少の差があるが、前記CJLS03菌株は、公知の抗肥満素材と同等又はより優れた抗肥満効果を示す。より具体的には、前記CJLS03菌株は、腸間膜脂肪組織又は皮下脂肪組織に脂肪が蓄積されることを抑制し、脂肪細胞のサイズ増大を抑制することができる。
前記CJLS03菌株は、AST(aspartate transaminase, GOT)又はALT(alanine transaminase, GPT)数値を下げる活性を有する。高脂肪食物やアルコール飲料を継続して摂取すると、肝機能が一部損傷し、脂肪肝などの肝疾患が誘発されることがある。通常、肝検査は血液中のAST又はALTテストにより行われ、40IU/L以下であれば正常と判断し、それより高ければ肝損傷があると判断する。従来公知の抗肥満素材の一部は、脂肪組織に脂肪が蓄積されることを抑制することはできるが、AST又はALT数値を下げることはできないことが知られている。すなわち、公知の一部の抗肥満素材は、肝組織損傷を予防、改善することができないので、それらを摂取したとしても脂肪肝などの肝疾患が発症する可能性は依然として存在する。しかし、前記CJLS03菌株は、CJLS03菌株を含まない場合と比較して、体内のAST及び/又はALT数値の上昇を抑制したり、AST及び/又はALT数値を下げることができる。公知の一部の抗肥満素材とは異なり、前記CJLS03菌株は、脂肪組織に脂肪が蓄積されることを防止するだけでなく、肝組織に脂肪が蓄積されることを抑制し、肝組織の損傷を予防又は治療することができる。
本出願の他の一態様は、前記CJLS03菌株を含む組成物を提供する。前記菌株については前述した通りである。
前記組成物は、凍結保護剤又は賦形剤をさらに含んでもよい。より具体的には、前記組成物は、グリセリン、トレハロース、マルトデキストリン、脱脂粉乳及びデンプンからなる群から選択される少なくとも1つの凍結保護剤、並びに/又はグルコース、デキストリン及び脱脂牛乳からなる群から選択される少なくとも1つの賦形剤をさらに含んでもよい。本出願の凍結保護剤は、前記組成物の総重量に対して0.01重量%〜20重量%、0.01重量%〜10重量%含まれてもよく、具体的には、前記グリセリンは5重量%〜20重量%、前記トレハロースは2重量%〜10重量%、前記マルトデキストリンは2重量%〜10重量%、前記脱脂粉乳は0.5重量%〜2重量%、前記デンプンは0.1重量%〜1重量%の割合で前記組成物に含まれてもよい。また、前記賦形剤は、前記組成物の総重量に対して75重量%〜95重量%又は85重量%〜95重量%含まれてもよい。
一実施例によれば、前記組成物は、食品、機能性食品、飼料、飼料添加剤、化粧料組成物、薬学的組成物及び医薬部外品からなる群から選択されるものであってもよい。
本出願のさらに他の態様は、前記CJLS03菌株を含む、代謝疾患の予防、改善又は治療用組成物を提供する。
本出願における「代謝疾患」とは、代謝に問題があって発生する様々な疾患の総称であり、代謝性疾患、メタボリックシンドロームともいう。前記代謝疾患には、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CJLS03菌株を有効成分とすることにより治療又は予防できる疾患が全て含まれる。例えば、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症、動脈硬化、脳卒中及び心血管疾患からなる群から選択される1つ以上の疾患であってもよい。
本出願における「糖尿病」とは、インスリンの分泌量が不足したり、インスリンの作用及び機能が十分でない場合に現れる疾病を意味する。糖尿病は、グリコーゲン、タンパク質及び脂肪質の過度な分解により肝臓又は血中グルコース濃度の異常な上昇を引き起こし、糖尿やケトン尿を伴うこともある。また、糖尿病は、水分及び電解質代謝の異常による電解質喪失により誘発される血液濃縮、循環障害、腎臓障害などの代謝障害状態を引き起こすこともある。糖尿病は、インスリン依存型糖尿病(I型)とインスリン非依存型糖尿病(II型)に分けられる。インスリンは、膵臓内に存在するランゲルハンス島のβ細胞から分泌される物質であり、エネルギー源の代謝活動を調節するために、血中グルコース濃度が上昇すると分泌が促進され、血中グルコース濃度が低下すると分泌が抑制される。糖尿病の診断は、一般に血中グルコース濃度測定により行うことができる。例えば、ヒトにおいては、一般に血中グルコースが平常時で200mg/dl以上、空腹時で140mg/dl以上であれば糖尿病と診断される。よって、肝臓又は血中グルコース濃度を低下させることにより糖尿病を治療又は予防することができる。
本出願における「高血圧」とは、動脈の血圧が慢性的に高い状態であって、18才以上の成人において収縮期血圧が140mmHg以上、又は拡張期血圧が90mmHg以上の状態を意味し、肥満などにより発生することもある。
本出願における「脂質異常症」とは、中性脂肪やコレステロールなどの脂肪代謝が正常に行われず、血液中の脂肪量が多いために誘発される疾患である。具体的には、血液中の中性脂肪、LDLコレステロール、リン脂質、遊離脂肪酸などの脂質成分が増加した状態であり、発生頻度の高い高コレステロール血症や高中性脂肪血症が含まれる。
本出願における「動脈硬化」とは、コレステロール、リン脂質、カルシウムなどを含有する脂肪性物質(plaque)が血管内膜に蓄積されて動脈が硬くなり、弾力性を失い、狭くなることにより、血液供給が阻害されたり、圧力が高くなって動脈の破裂、剥離などが起こる状態を意味する。
本出願における「脳卒中」とは、部分的又は全体的に急速に発生した脳機能の障害が一定期間以上持続する疾病であり、脳血管が詰まって発生する脳梗塞(虚血性脳卒中)や、脳血管の破裂によって脳組織の内部に血液が流出して発生する脳出血(出血性脳卒中)の総称である。
本出願における「心血管疾患」とは、心臓と主要動脈に発生する疾患を意味する。心血管系疾患の主要疾患としては、高血圧、虚血性心疾患、冠状動脈疾患、狭心症、心筋梗塞症、アテローム性動脈硬化症(動脈硬化症)、脳血管疾患、脳卒中、不整脈が挙げられる。
本出願の前記菌株は、前述した肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症、動脈硬化、脳卒中、心血管疾患の治療及び予防に効果がある。
本出願における「予防」とは、本出願の組成物の投与により肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症、動脈硬化、脳卒中、心血管疾患などの代謝疾患の発症を抑制又は遅延させるあらゆる行為を意味する。本出願における「改善」又は「治療」とは、本出願の組成物の投与により前記疾患などの症状を好転又は有利に変化させるあらゆる行為を意味する。
前記代謝疾患の予防、改善又は治療用組成物は、医薬品用組成物であってもよく、それは薬学的組成物として用いられてもよい。本出願の前記組成物が薬学的組成物である場合、前記組成物は、薬学的に許容される担体を含んでもよい。
薬学的に許容される担体を含む前記組成物は、経口又は非経口の様々な剤形であってもよい。製剤化する場合は、通常用いる充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を用いて調製される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、これらの固形製剤は、少なくとも1つの化合物に少なくとも1つの賦形剤、例えばデンプン、炭酸カルシウム、スクロース(sucrose)又はラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混合して調製される。また、通常の賦形剤以外に、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤も用いられる。経口用液体製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが挙げられ、通常用いられる通常の希釈剤である水、液体パラフィン以外にも種々の賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが用いられてもよい。非経口用製剤としては、滅菌水溶液剤、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤、坐剤が挙げられる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物性油、オレイン酸エチルなどの注射可能なエステルなどが用いられてもよい。
前記薬学的組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤、滅菌水溶液剤、非水性溶剤、凍結保護剤及び坐剤からなる群から選択されるいずれか1つの剤形を有してもよい。
一実施例によれば、前記組成物は、凍結保護剤又は賦形剤をさらに含んでもよい。より具体的には、前記組成物は、グリセリン、トレハロース、マルトデキストリン、脱脂粉乳及びデンプンからなる群から選択される少なくとも1つの凍結保護剤をさらに含んでもよい。本出願の凍結保護剤は、前記組成物の総重量に対して0.01重量%〜20重量%、0.01重量%〜10重量%含まれてもよく、具体的には、前記グリセリンは5重量%〜20重量%、前記トレハロースは2重量%〜10重量%、前記マルトデキストリンは2重量%〜10重量%、前記脱脂粉乳は0.5重量%〜2重量%、前記デンプンは0.1重量%〜1重量%の割合で前記組成物に含まれてもよい。また、前記賦形剤は、グルコース、デキストリン及び脱脂牛乳からなる群から選択される1つ以上であってもよい。より具体的には、前記賦形剤は、前記組成物の総重量に対して75重量%〜95重量%又は85重量%〜95重量%含まれてもよい。
(空白)
本出願の前記組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本出願における「薬学的に有効な量」とは、医学的治療に適用できる合理的な利益/リスク比で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量レベルは、個体の種類及び重症度、年齢、性別、薬物の活性、薬物に対する感受性、投与時間、投与経路及び排出率、治療期間、同時に用いられる薬物が含まれる要素、並びにその他医学分野で公知の要素により決定される。
本出願の肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症、動脈硬化、脳卒中、心血管疾患などの代謝疾患の予防剤又は治療剤は、毎日又は間欠的に投与してもよく、1日の投与回数は1回であってもよく、2〜3回に分けて投与してもよい。2つの有効成分がそれぞれ単剤の場合の投与回数は、同じ回数であってもよく、異なる回数であってもよい。また、本出願の組成物は、肝疾患の予防又は治療のために、単独で又は他の治療剤と併用して用いることができる。前記要素を全て考慮して副作用なく最小限の量で最大の効果が得られる量を投与することが重要であり、これは当業者により容易に決定される。
本出願のさらに他の態様は、前記組成物を、それを必要とする個体に投与するステップを含む、代謝疾患の予防、改善又は治療方法を提供する。
本出願における「個体」とは、代謝疾患が既に発症したか、発症するリスクのある、ヒトを含むあらゆる動物を意味する。本出願のラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CJLS03菌株(KCCM11905P)を有効成分として含む組成物を前記個体に投与することにより、前記疾患を効果的に予防及び治療することができる。前記個体とは、イヌ、ウシ、ウマ、ウサギ、マウス、ラット、ニワトリ又はヒトを含む哺乳類全体を意味するが、前記例により本出願の哺乳類が限定されるものではない。
本出願の組成物の個々の投薬の最適量及び間隔は、治療される疾患の性質及び程度、投与剤形、経路及び部位、並びに治療される特定患者の年齢及び健康状態により決定され、医師により最終的に用いられる適切な投薬が決定されることは、当業者にとって明らかなことである。このような投薬は適宜頻繁に繰り返してもよい。副作用が生じた場合は、通常の臨床診療に従って投与量及び頻度を変更してもよく、減少させてもよい。
(空白)
前記組成物の投与経路は、標的組織に送達できるものであれば、いかなる一般的な経路で投与してもよい。本出願の組成物は、目的に応じて腹腔内投与、静脈内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与してもよいが、これらに限定されるものではない。また、前記組成物は、活性物質を標的細胞に送達できるものであれば、いかなる装置により投与してもよい。
本出願のさらに他の態様は、前記菌株を含む食品組成物を提供する。
具体的には、本出願の組成物は、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症、動脈硬化、脳卒中、心血管疾患などの代謝疾患の予防又は改善を目的として食品組成物に添加してもよい。ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CJLS03菌株(KCCM11905P)については前述した通りである。食品組成物は、食品学的に許容される担体を含んでもよい。
本出願の食品組成物には、機能性食品(functional food)、栄養補助剤(nutritional supplement)、健康食品(health food)、食品添加剤(food additives)などのあらゆる形態が含まれ、前記タイプの食品組成物は、当該技術分野で公知の通常の方法により様々な形態に製造することができる。
ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CJLS03菌株を食品添加物として用いる場合は、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CJLS03菌株をそのまま添加してもよく、他の食品又は食品成分と共に用いてもよく、通常の方法で適宜用いられてもよい。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康又は治療的処置)に応じて適宜決定されてもよい。一般に、食品又は飲料の製造時に、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CJLS03菌株を含む原料組成物中に0.0001〜1重量%、具体的には0.001〜0.1重量%の量で添加される。しかし、健康及び衛生を目的とするか、又は健康調節を目的とする長期間の摂取においては、前記量は前記範囲以下であってもよい。
前記食品の種類は特に限定されるものではない。前記物質を添加する食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類をはじめとする乳製品、各種スープ、清涼飲料水、茶、ドリンク剤、アルコール飲料、ビタミン複合剤などが挙げられ、通常の意味における健康食品が全て含まれる。
本出願の健康飲料組成物は、通常の飲料のように、様々な香味剤や天然炭水化物などを追加成分として含有してもよい。前述した天然炭水化物は、グルコース、フルクトースなどの単糖類、マルトース、スクロースなどの二糖類、デキストリン、シクロデキストリンなどの多糖類、キシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールである。甘味剤としては、ソーマチン、ステビア抽出物などの天然甘味剤や、サッカリン、アスパルテームなどの合成甘味剤などを用いることができる。前記追加成分の割合は、本出願の組成物100重量部当たり0.01〜0.04重量部、具体的には0.02〜0.03重量部であってもよい。
前記以外に、本出願の組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護コロイド、増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを含有してもよい。これらの添加剤の割合はそれほど重要でないが、本出願の組成物100重量部当たり0.01〜0.1重量部の範囲で選択されるのが一般的である。その他に、本出願の組成物は、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含有してもよい。これらの果肉の割合はそれほど重要でないが、本出願の組成物100重量部当たり0.01〜10重量部の範囲で選択されるのが一般的である。これらの成分は独立して又は組み合わせて用いることができる。
本出願のさらに他の態様は、前記菌株を含む飼料又は飼料添加剤組成物を提供する。
ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CJLS03菌株(KCCM11905P)については前述した通りである。具体的には、代謝疾患の予防又は改善を目的として、本出願のラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CJLS03菌株を飼料添加剤又は前記飼料添加剤を含む飼料組成物に添加してもよい。
本出願における「飼料添加剤」とは、栄養素補充及び体重減少予防、飼料中の繊維素の消化利用性向上、脂質改善、繁殖障害予防及び受胎率向上、夏季高温ストレス予防など様々な効果を目的として飼料に添加する物質を含む。本出願の飼料添加剤は、飼料管理法上の補助詞料に該当し、炭酸水素ナトリウム、ベントナイト(bentonite)、酸化マグネシウム、複合鉱物質などの鉱物質製剤、亜鉛、銅、コバルト、セレンなどの微量鉱物質であるミネラル製剤、カロテン、ビタミンE、ビタミンA、D、E、ニコチン酸、ビタミンB複合体などのビタミン剤、メチオニン、リシンなどの保護アミノ酸剤、脂肪酸カルシウム塩などの保護脂肪酸剤、生菌剤(乳酸菌剤)、酵母培養物、カビ発酵物などの生菌、酵母剤などがさらに含まれてもよい。
本出願における「飼料」とは、動物が食べて摂取し、消化させるための、又はそれに適した任意の天然又は人工の規定食、一食など、又は前記一食の成分を意味し、本出願による代謝疾患の予防又は治療用組成物を有効成分として含む飼料は、当該技術分野で公知の様々な形態の飼料に製造することができ、具体的には濃厚飼料、粗飼料及び/又は特殊飼料に製造することができる。
濃厚飼料としては、小麦、燕麦、トウモロコシなどの穀類及び種実類、穀物精製の副産物としての米ヌカ、フスマ、麦ヌカなどが含まれるヌカ類、大豆、菜種、胡麻、アマニ、ココナッツなどの採油の副産物である油粕類、サツマイモ、ジャガイモなどから澱粉を採った後の澱粉粕の主成分である残存澱粉質類などの粕類、魚粉、魚粕、魚類から得られた新鮮な液状物を濃縮したものであるフィッシュソリュブル(fish soluble)、肉粉、血粉、羽毛粉、脱脂粉乳、牛乳からチーズ、脱脂乳からカゼインを製造した後の残液である乳清(whey)を乾燥させた乾燥乳清などの動物質飼料、酵母、クロレラ、海草類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
粗飼料としては、野草、牧草、青刈などの生草飼料、飼料用カブ、飼料用ビート、カブの一種であるルタバガなどの根菜類、生草、青刈作物、穀実などをサイロに詰めて乳酸発酵させた保存飼料であるサイレージ(silage)、野草、牧草を刈って乾燥させた乾草、種実用作物のわら、大豆や植物の葉が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特殊飼料としては、牡蠣殻、岩塩などのミネラル飼料、尿素やその誘導体であるジウレイドイソブタンなどの尿素飼料、天然飼料原料のみを配合した場合に不足しやすい成分を補充したり、飼料の保存性を向上させるために配合飼料に微量添加する物質である飼料添加物、食餌補助剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本出願による前記代謝疾患の予防又は改善のための飼料組成物は、当該技術分野で公知の様々な飼料製造方法により適切な有効濃度範囲でラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)CJLS03菌株を添加することにより製造することができる。
本出願による飼料組成物は、代謝疾患の予防、改善又は治療を目的とする個体であれば、特に限定されるものではなく、いかなる個体にも適用することができる。例えば、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ラット、マウス、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギなどの非ヒト動物、鳥類、魚類などいかなる個体にも適用することができる。
本出願のさらに他の態様は、前記菌株を含む化粧料組成物を提供する。
前記化粧料組成物は、溶液、外用軟膏、クリーム、フォーム、栄養化粧水、柔軟化粧水、パック、柔軟水、乳液、メイクアップベース、エッセンス、リップバーム、石鹸、液体洗浄料、入浴剤、サンスクリーンクリーム、サンオイル、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、ローション、パウダー、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、パッチ及びスプレーからなる群から選択される剤形に製造することができるが、これらに限定されるものではない。本出願の化粧料組成物は、皮膚に適用すると優れた触感を提供できるので、外用軟膏、クリーム、乳液、メイクアップベース、石鹸、紫外線遮断クリーム、ペースト、ゲル、ローション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、リップバームなどのように皮膚に直接適用する製品として剤形化してもよいが、これらに限定されるものではない。
また、本出願の化粧料組成物は、一般の皮膚化粧料に配合される化粧品学的に許容される担体を1種以上さらに含んでもよく、通常の成分として、例えば油分、水、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、増粘剤、キレート剤、色素、防腐剤、香料などを適宜配合してもよいが、これらに限定されるものではない。本出願の化粧料組成物に含まれる化粧品学的に許容される担体は、剤形によって様々に選択することができる。例えば、前記剤形が軟膏、ペースト、クリーム又はゲルの場合は、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛又はそれらの混合物を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
あるいは、本出願の化粧料組成物に抗酸化効果、シワ改善効果、老化防止効果及び/又は紫外線遮断効果を有する成分をさらに含むことにより、機能性化粧品に剤形化することができる。前記抗酸化効果、シワ改善効果、老化防止効果及び/又は紫外線遮断効果を有する成分としては、当該技術分野で公知の機能性化粧品に用いられる有効成分を制限なく用いることができる。
本出願のさらに他の態様は、前記菌株を含む医薬部外品組成物を提供する。
本出願における「医薬部外品」とは、ヒトや動物の疾病を診断、治療、改善、軽減、処置又は予防する目的で用いる物品のうち医薬品より作用が軽微な物品を意味し、例えば薬事法によれば、医薬部外品とは、医薬品の用途に用いる物品を除くものを意味し、ヒト・動物の疾病治療や予防に用いる製品、人体に対する作用が軽微であるか、又は直接作用しない製品などが挙げられる。
本出願の前記医薬部外品組成物は、ボディクレンザー、フォーム、石鹸、マスク、軟膏剤、クリーム、ローション、エッセンス及びスプレーからなる群から選択される剤形に製造することができるが、これらに限定されるものではない。
本出願による組成物を医薬部外品添加物として用いる場合は、前記組成物をそのまま添加してもよく、他の医薬部外品又は医薬部外品成分と共に用いてもよく、通常の方法で適宜用いてもよい。有効成分の混合量は、使用目的に応じて適宜決定されてもよい。
発明を実施するための形態
以下、実施例を挙げて本出願をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本出願を例示的に説明するためのものであり、本出願がこれらの実施例に限定されるものではない。
(空白)
実施例1:微生物ラクトバチルス・サケイCJLS03菌株の分離及び同定
(空白)
新規なラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)菌株である本出願のCJLS03は、韓国の伝統食品であるキムチから分離し、基本特性検査と安全性検査によりプロバイオティクス候補菌株として選抜した。ラクトバチルス・サケイCJLS03は、20%グリセリンと混合して−80℃の急速冷凍庫に保管し、試験に用いる際はMRS固体又は液体培地で18時間〜48時間培養して用いた。
本出願のラクトバチルス・サケイCJLS03は、微生物の同定及び分類のための16S rRNA塩基配列解析の結果、ラクトバチルス・サケイ標準菌株(Lactobacillus sakei gene for 16S ribosomal RNA, partial sequence, strain: qz1215)と最も高い相同性(99.9%)を示し、最も高い分子系統学的類縁関係を示すことが確認された。
その結果、前記過程で選択した新規な微生物をラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)と同定し、ラクトバチルス・サケイCJLS03と命名し、ブダペスト条約上の国際寄託機関である韓国微生物保存センター(KCCM)に2016年9月26日付けで寄託番号(KCCM11905P)として寄託した。ラクトバチルス・サケイCJLS03の16S rRNA遺伝子の塩基配列は、本明細書に添付の配列表の配列番号:1の通りである。
(空白)
本出願のラクトバチルス・サケイCJLS03は、グラム陽性菌であり、好気的条件と嫌気的条件の両方で成長が可能な通性嫌気性(facultative anaerobe)であり、胞子を形成せず、運動性がなく、細胞の形態は桿菌である。ラクトバチルス・サケイCJLS03のより具体的な形態及び生理学的特性は、公知の方法で分析した結果、表1の通りであった。当該菌株の糖利用能は、API50CH及びAPI50CHLキット(ビオメリュー社製)を用いて判定した。結果として確認されたCJLS03菌株の形態及び生理学的特性を共に表1に示す。
(空白)
+:陽性反応
−:陰性反応
(空白)
実施例2:In vitro発酵による短鎖脂肪酸の確認実験
(空白)
In vitro発酵は、一般食餌を与えたマウス糞便/盲腸サンプルをそれぞれ乳酸菌株と共培養(co-culture)して短鎖脂肪酸の変化量を測定することにより菌株の腸内短鎖脂肪酸生成能を調査できる比較的簡単な試験方法であり、糞便サンプルを用いたin vitro発酵は既に公知の方法である(Yang et al., 2013, Salazar et al., 2009, Hughes et al 2008)。しかし、前記in vitro発酵方法は、腸内で吸収された後の糞便が基質として用いられるので、乳酸菌による発酵を試みる際に基質の量が十分でなく、発酵が適切に行われないという問題がある。よって、本試験においては、ブタの盲腸内容物により腸内代謝物質を研究する公知の方法(Labib et al., 2004)で、糞便より基質が豊富な盲腸内容物を用いたIn vitro発酵により実験を行った。
具体的には、抗生剤及びプロバイオティクス処理を行っていない正常食餌投与マウスの盲腸内容物を回収し、直ちに嫌気パック(anaerobic pack, MGC)の入ったジッパーバックに入れ、実験を行うまで−80℃で保管した(Yang et al., 2013)。実験時に前述したように保管したサンプルを嫌気チャンバ(Coy laboratory)で溶解し、滅菌したPBSを1:2(w/v)で入れて2分間均質化した。実験に用いた試験群と対照群を表2に示す。
(空白)
短鎖脂肪酸を分析するために、公知のSCFA分析方法を用いた。具体的な方法は次の通りである。シグマ(Sigma(Supelco))社の揮発性脂肪酸混合物(volatile fatty acid mixture(ultrapure))を用いて、標準曲線(standard curve)とピーク検出の保持時間(retention time)を分析し、その後糞便と血液から短鎖脂肪酸を抽出し、標準曲線と対照して分析を行った。短鎖脂肪酸の抽出は公知の方法により行った(Schwiertz et al., 2010)。シュウ酸0.1mole/Lとアジ化ナトリウム(sodium azide)40mmole/Lが入った抽出液をサンプル(最大80mg)に混ぜ、次いで常温で1時間振盪培養(shaking incubation)し、その後遠心分離により上清を分離した。その後、遠心分離により得られた上清をGC(Shimadzu GC2010)とFID(flame ionized detector)により分析した。用いられたカラムはHP INNO−WAS 30m×32mmであり、splitter温度260℃、FID 260℃、カラム温度100℃から180℃まで25℃/mの速度、27.1psiの圧力で分析を行った。
本実施例においては、表2に示す菌株を均質化した各盲腸サンプルに5×108CFU接種し、その後37℃の嫌気環境で最大24時間振盪培養(shaking incubation)した。培養中、各グループから3時間後、6時間後に培養物をサンプリングし、前記SCFA分析方法により各グループ内のSCFAを分析した。
図1は各グループを盲腸サンプルで3時間培養し、その後測定したブチレート、アセテート及びプロピオネート量を示すグラフであり、図2は各グループを盲腸サンプルで6時間培養し、その後測定したブチレート、アセテート及びプロピオネート量を示すグラフである。
図1及び図2に示すように、本出願によるラクトバチルス・サケイCJLS03を培養することにより生成された短鎖脂肪酸(アセテート、プロピオネート及びブチレート)の量は、従来周知のラクトバチルス菌株であるOK101又はLGGを培養することにより生成された短鎖脂肪酸の量より多かった。また、図1と図2を比較すると、短鎖脂肪酸の量的な差は、3時間培養したものより6時間培養したもののほうが大きかった。
すなわち、本出願によるラクトバチルス・サケイCJLS03は、盲腸などの腸内で短鎖脂肪酸の生成を促進し、短鎖脂肪酸の量を増加させることが確認された。
(空白)
実施例3:In vitro発酵による菌叢変化の確認実験
(空白)
代謝性疾患と腸内菌叢の相関関係に関する研究によれば、バクテロイデス(Bacteroidetes)とフィルミクテス(Firmicutes)の相対量は代謝性疾患と関連性が高い。特に、腸内菌叢内のフィルミクテスの相対量は肥満又は代謝性疾患の発症率に比例することが報告されている。
本実施例においては、乳酸菌が適用された盲腸サンプル内に形成される微生物を分析した。
具体的には、抗生剤及びプロバイオティクス処理を行っていない正常食餌投与マウスの盲腸内容物を回収し、直ちに嫌気パック(anaerobic pack, MGC)の入ったジッパーバックに入れ、実験を行うまで−80℃で保管した(Yang et al., 2013)。実験時に保管したサンプルを嫌気チャンバ(Coy laboratory)で溶解し、滅菌したPBSを1:2(w/v)で入れて2分間均質化した。実験に用いた試験群と対照群を表3に示す。
(空白)
表3に示す準備した各菌株を均質化した盲腸サンプルに5×108CFU接種した。陰性対照群としては、滅菌したPBSを用いた。盲腸サンプルに接種した菌株は、37℃の嫌気環境で最大24時間振盪培養(shaking incubation)した。培養6時間後に各グループから培養物をサンプリングした。サンプリングしたマウスの盲腸内容物を、溶解バッファ(Promega ReliaPrep lysis buffer)600ulと0.3gの0.1mmジルコニウム/シリカ(zirconium/silica)ビーズ(bead)を用いてビーズビーティング(bead beating(Biospec, 607))した。ビーズビーティングが完了したサンプルを遠心分離し、その後その上清を採取して当該キットのマニュアルに従ってRNAを抽出した。
最終20ulのelute bufferに抽出されたRNAをPromega GoScript逆転写システムでcDNAに逆転写し、その後タカラ(takara)RR820 SYBR Master Mixを用いてABI stepone plus又はABI7500 quantitative real time PCR機器によりサンプル内の菌叢を分析した。公知の方法(Bergstrom et al., 2012)であるGULDA(Gut Low-Density Array)を用いて、逆転写したDNA試料においてreal−time PCRにより菌叢を分析した。
また、GULDA方法で標準化したprimerを用いて当該taxaのバクテリアを定量し、全バクテリア(universal bacteria)定量値及び各バクテリアの対照群の定量値を基準に、Delta delta Ct分析法で相対定量を行って分析した。
図3は各グループを盲腸サンプルで6時間培養し、その後測定したフィルミクテスの相対量を示すグラフであり、図4は各グループを盲腸サンプルで6時間培養し、その後測定したバクテロイデスの相対量を示すグラフである。
図3及び図4に示すように、本出願のラクトバチルス・サケイCJLS03を盲腸サンプルで6時間培養したものにおいて、菌叢内のフィルミクテス属微生物の量は減少したのに対して、バクテロイデス属微生物の量は増加することが確認された。しかし、従来周知のラクトバチルス菌株であるOK101又はLGGを培養したものにおいて、菌叢内のフィルミクテス属微生物の量は減少しなかったか、減少したとしても減少量は少なく、バクテロイデス属微生物の量は増加しなかった。
また、図5は各グループを盲腸サンプルで6時間培養し、その後測定したフィルミクテスとバクテロイデスの相対比率を示すグラフである。
図5に示すように、本出願のラクトバチルス・サケイCJLS03を培養した盲腸サンプル内のバクテロイデスに対するフィルミクテスの比率は、他のラクトバチルス・サケイを用いたものに比べて非常に低いレベルであった。すなわち、本出願のラクトバチルス・サケイCJLS03は、腸内のバクテロイデスに対するフィルミクテスの比率を下げることができるので、肥満抑制効果と代謝疾患の予防又は治療効果を有することが確認された。
また、図6は各グループを盲腸サンプルで6時間培養し、その後測定したビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の相対量を示すグラフである。ビフィドバクテリウムは、ラクトバチルスと共に代表的な腸内有益菌である。
図6に示すように、本出願のラクトバチルス・サケイCJLS03を培養したものにおいて、ビフィドバクテリウムの量が大きく増加することが確認された。すなわち、本出願のラクトバチルス・サケイCJLS03は、従来公知の菌株に比べて、抗肥満効果、代謝疾患の予防及び治療効果を発揮すると共に腸内有益菌を増加させることができる。
(空白)
実施例4:ラクトバチルス・サケイCJLS03菌株の抗肥満効果に関する高脂肪食餌肥満誘導マウス動物実験
(空白)
1)投与方法及び試験期間
全ての動物は入庫時から1週間の馴化過程を含む6週間の肥満誘導期間を経て、その後群分離当日(day 0)から6週間、グループ別に一般食餌(陰性対照群)と高脂肪食餌(陽性対照群及び試験群)に食餌を分けて給餌するが、食餌と飲料水は自由に摂取(ad libitum)させた。本出願によるCJLS03は濃度別に群を構成し(低:108CFU,中:109CFU,高:1010CFU)、一般食餌対照群と高脂肪食餌対照群以外にも、正確な効果確認のために、市販薬物であるFDA承認抗肥満医薬品オルリスタット(製品名:ゼニカル)と機能性食品ガルシニアカンボジアを実験群に加えて乳酸菌の抗肥満機能と比較した。詳細な群構成を表4に示す。
(空白)
投与の際に、乳酸菌をPBSに均質に懸濁し、10ml/kgの投与ボリュームで1日2回、所定時間帯(午前10:00〜11:00,午後17:00〜18:00)に7週間経口投与し、対照群は同量の溶媒ビヒクル(PBS)のみ1日2回、7週間経口投与した。午前と午後の投薬菌株は、実験物質を新しく調製して投与した。全ての菌株は活性状態を保持するために冷蔵条件下で保管し、菌株試料洗浄及び溶液作製用PBSは冷蔵保管したものを用いた。各群の実験動物は、試験終了日(day 49)に16時間絶食させて屠殺し、血液生化学検査と組織学的評価分析に用いた。
(空白)
2)体重測定及び飼料摂取量測定
試験個体の経時的体重変化を確認するために、肥満誘導期間(6週)は毎週1回、試験物質投与期間(7週)は毎週2回、一定時刻に測定した。1日飼料摂取量は、試験期間中に毎週1回(体重測定時)、一定時刻に給与量を測定し、24時間経過後に残量を測定し、給与量から残量を引いて計算した。
図7は前記実施例により測定された各グループの体重変化を示すグラフである。
図7に示すように、体重増加抑制効果の発現時期と抑制の程度を総合的に分析すると、投与された本出願のラクトバチルス・サケイCJLS03の濃度が高いほど、体重増加抑制効果が優れることが確認された。特に、ラクトバチルス・サケイCJLS03の体重増加抑制効果は、抗肥満機能性食品素材であるガルシニアより高いレベルであっただけでなく、FDA承認抗肥満薬品であるオルリスタットと同等のレベルであった。
図8は前記実施例により測定された各グループの飼料摂取量を示すグラフであり、7週間にわたって週1回測定した1日飼料摂取量(daily food intake)を示すグラフである。
図8に示すように、OLS群を除く全てのグループの飼料摂取量は、ND群と比較して全般的に低いか同等であり、7週間にわたって大きな増加、減少はなく、全般的に一定レベルを維持している。これは、オルリスタットを除く飼料添加剤が動物の飼料摂取量には大きな影響を及ぼさないことを示すものである。
これらの結果をまとめると、本出願のラクトバチルス・サケイCJLS03が投与されたグループは、他のグループと同等の飼料摂取量を示すにもかかわらず、他のグループに比べて体重増加の幅が大きくなかった。すなわち、本出願のラクトバチルス・サケイCJLS03は、公知の抗肥満素材より優れた抗肥満効果を有し、その濃度が高いほど抗肥満効果がさらに向上することが確認された。
(空白)
3)剖検及び血液生化学検査
実施例4−1の実験終了日(day 49)に実験動物を16時間絶食させて屠殺し、剖検を行った。全ての実験動物個体は、エーテル吸入麻酔下で、眼窩静脈叢からヘパリン未処理の毛細管(capillary tube)を用いて約500〜700ulずつ全採血した。採取した血液は、SST tubeに入れて室温下で30分〜1時間程度の凝固過程を経て4℃、4000rpmで10分間遠心分離して血清を分離し、その後分析時まで−80℃で保管した。分離された血清中のGLU(glucose)、TG(triglyceride)、TC(total cholesterol)、LDL(low-density lipoprotein cholesterol)、HDL(high-density lipoprotein cholesterol)、AST(GOT, Glutamate Oxaloacetate Transaminase)、ALT(GPT, Glutamate Pyruvate Transaminase)、CREA(creatinine)及びLDH(lactate dehydrogenase)の量をそれぞれ自動血液生化学分析装置(Accute TBA-40FR, Toshiba Medical System Co., Japan)で測定した。
図9は前記実施例により測定された実験個体の血液成分を示す表である。
図9に示すように、高脂肪飼料を与えたグループにおいて測定された血中グルコース、TC、LDL及びHDLの濃度は、一般飼料を与えたNDグループにおいて測定されたものより全般的に高いレベルであった。しかし、高脂肪飼料と共にオルリスタット又はCJLS03を与えたOLSグループ又はCJLS03グループにおいて測定された血中グルコース、TC、LDL及びHDLの濃度は、HFDグループ又はGCグループにおいて測定されたものより大きく減少することが確認された。また、CJLS03グループにおいて測定された肝臓、心臓、骨格筋又は腎臓疾患に対する指標である血中LDH濃度、ALT濃度及びクレアチン濃度は、全てNDグループにおいて測定されたものと同等であった。すなわち、CJLS03を摂取しても、腎臓、肝臓、心臓、及び骨格筋の機能には副作用がないことが確認された。特に、肝疾患の指標として知られるALT濃度は通常40u/l以下が正常であるが、オルリスタット又はガルシニアを与えたOLSグループ又はGCグループにおいて測定されたALTの濃度は40u/l以上であった。これは、添加剤を加えずに高脂肪飼料のみ与えたHFDグループにおいて測定されたALT濃度と同等のレベルであった。しかし、CJLS03を与えたグループにおいて測定されたALT濃度は、一般飼料を与えたNDグループにおいて測定されたものと同等のレベルであった。すなわち、従来から抗肥満効果を有することが知られている素材は肝損傷又は肝疾患をもたらすリスクがあるのに対して、CJLS03は優れた抗肥満効果を有するだけでなく、肝損傷を予防又は治療できることが確認された。
(空白)
4)臓器脂肪の重量測定
血液採取後に目視検査により内部臓器の異常の有無を確認し、脂肪組織(副睾丸周囲脂肪,皮下脂肪,腸間膜脂肪)を摘出した。各脂肪組織は、生理食塩水で洗浄し、濾紙で水分を除去し、その後電子天秤で各脂肪組織の重量を測定した。また、体重100g当たりの臓器重量として、剖検前の絶食した体重に対するそれぞれの相対重量を算出した(計算式:相対臓器重量(%)=臓器重量(g)/剖検前絶食体重(g)×100)。前記絶食体重は、16時間絶食させて測定した重量であり、実験群を屠殺する前に測定した。
図10は各グループの体重及び脂肪組織の重量を示すグラフであり、図11は各グループの体重に対する脂肪組織の相対重量を示す表である。
図10及び図11に示すように、OLSグループ及びCJLS03グループの絶食体重及び脂肪組織の重量は、HFDグループの絶食体重及び脂肪組織の重量より減少した。特に、HFDグループと比較して、CJLS03グループの皮下脂肪及び腸間膜脂肪の重量は大きく減少し、それらはOLSグループと同等か、より大きな減少幅を示した。すなわち、本出願のラクトバチルス・サケイCJLS03は、体重及び脂肪増加を抑制する効果を有し、CJLS03の抗肥満効果は、抗肥満薬物として知られるオルリスタットと同等か、より優れたレベルであることが確認された。
(空白)
5)組織学的評価
NDグループ、HFDグループ、OLSグループ、GCグループ及びCJLS03高濃度グループの肝組織について組織学的分析を行った。各グループの肝組織をパラフィン包埋し、その後ミクロトーム(microtome)でパラフィンブロックを4μmの厚さに薄切した。その後、キシレン(xylene)を用いてパラフィンを除去し、100、95、90、80、70%アルコールで親水化処理し、次いでhematoxylin & eosin(H & E)で染色し、再度系列アルコールで脱水過程を経て封入し、光学顕微鏡((Olympus MVX10 microscope, equipped with a DC71 camera, Center Valley, PA) Olympus, Japan)を用いて組織学的評価を行った。
図12はNDグループ、HFDグループ、OLSグループ、GCグループ及びCJLS03高濃度グループの肝組織に対する組織学的分析写真である。
図12に示すように、一般飼料を与えたNDグループの肝組織においては白色の脂肪粒子が認められなかったが、高脂肪飼料を与えたHFDグループの肝組織は白色の脂肪粒子を多数含んでいた。GCグループの肝組織も多数の脂肪粒子を含んでおり、HFDグループの肝組織と同等であった。しかし、OLSグループとCJLS03グループの肝組織においては脂肪粒子がほとんど認められず、一般飼料を与えたNDグループと同等であった。すなわち、本出願のラクトバチルス・サケイCJLS03は、肝組織の脂肪蓄積を抑制し、脂肪肝を改善することが確認された。
(空白)
6)脂肪細胞の大きさの測定
脂肪細胞の大きさの測定は、抗肥満効果を立証する効果的な方法としてよく知られている。各実験グループ(CJLS03は高濃度グループ)から選択した5個体の組織スライドから脂肪細胞の写真を得た。図14は各グループの脂肪細胞を示す写真である。脂肪細胞の写真はScion image program(derived from NIH Image)を用いて分析し、1個体当たり2つの脂肪細胞の大きさの平均値を算出した。
図13は各グループの脂肪細胞の大きさを示すグラフである。図13において、各グループの脂肪細胞の大きさは、HFDグループの脂肪細胞に対する相対的割合で示す。
図13に示すように、OLSグループ及びCJLS03グループの脂肪細胞の大きさは、HFDグループ及びGCグループの脂肪細胞に比べて大きく減少することが確認された。脂肪細胞の由来組織によって多少差はあるが、CJLS03グループの脂肪細胞の大きさは、HFDグループの脂肪細胞の40〜70%のレベルに減少した。
すなわち、本出願のラクトバチルス・サケイCJLS03は、脂肪重量を減少させるだけでなく、脂肪細胞の大きさも減少させることができる。
(空白)
実施例5:ラクトバチルス・サケイCJLS03(Lactobacillus sakei CJLS03)を含む生菌剤の製造
(空白)
実施例1で同定されたプロバイオティクス、ラクトバチルス・サケイCJLS03(Lactobacillus sakei CJLS03)を医薬品、食品、飼料、飼料添加剤又は化粧品の原料として適用するために大量生産し、それを凍結乾燥させて生菌剤にした。
菌の生産のために、MRS液体培地(Difco)において25%NaOH溶液を用いてpHを6.0に調節し、37℃で約18時間培養し、遠心分離を行って菌体を回収した。回収した菌体は、デキストリン5%と脱脂牛乳10%を凍結保護剤として用いて、−40℃で凍結し、その後37℃で乾燥菌体をミキサーで粉砕して粉体化した。粉体化した生菌は、目標とする菌数に応じて、保管のために適量のグルコース、ラクトース、脱脂牛乳などの賦形剤と混合し、密封可能なアルミニウムパウチに入れて包装した。
このように製造された生菌剤は、飼料の原料として用いられる穀粉と混合して飼料用生菌剤としたり、担体又は添加剤などを混合して錠剤、カプセルなどの医薬品、食品用生菌剤としたり、化粧品に用いられる原料に所定量を混合することにより、医薬品、食品、飼料、化粧品など様々な分野において当該技術分野における通常の方法で活用することができる。
(空白)
以上の説明から、本出願の属する技術分野の当業者であれば、本出願がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、前記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本出願の範囲は、前記詳細な説明ではなく後述する特許請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態が含まれるものと解釈すべきである。