JP2019527633A - 停止装置を備える手動具、特に筆記具 - Google Patents

停止装置を備える手動具、特に筆記具 Download PDF

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Abstract

第1の部分(12)と第2の部分(14)とを備える手動具(10)であって、前記第1の部分(12)は、少なくとも部分的に前記第2の部分(14)と嵌め合わされるとともに前記第2の部分(14)に対して相対的に軸方向(X)に並進運動可能であり、前記第1の部分(12)は第1の遠位端(12A)を有し、その一方前記第2の部分(14)は前記軸方向(X)において前記第1の遠位端(12A)の反対側にある第2の遠位端(14A)を有し、前記手動具(10)は、重力方向(G)においてみたときに前記第1の遠位端(12A)が前記第2の遠位端(14A)の上方に配置されている場合にのみ、前記第1の部分(12)が前記第2の部分(14)に対して相対的に前記軸方向(X)に並進運動することを防止するよう構成された停止装置(16)を備え、前記停止装置(16)は、チャンバ(16B)と前記チャンバ(16B)に収容されたボールまたはその同等物(16A)とを備える、手動具(10)。【選択図】図5

Description

本発明は、手動具であって、1つの部分の別の部分に対する相対的な並進運動を、重力方向においてみたときの該2つの部分同士の相対的な位置に応じて防止するための停止装置を備える手動具に関する。本発明は、限定はされないが、特に筆記具に関する。
手動具として、第1の部分と第2の部分が相対的に運動可能なものが知られており、該第2の部分は、例えば、シャープペンシルの消しゴムを保持している後部であって、シャープペンシルの前部に対して相対運動可能な後部である。しかし、この第2の部分を使用しようとする場合(例えば、消しゴムを使用しようとする場合)、第2の部分が第1の部分に対して相対的に運動可能なままであるため、使用者が不注意で第2の部分を第1の部分に対して相対的に動かし、その結果、例えば、消しゴムを使用しているにも関わらずシャープペンシルの芯が延長される可能性がある。このような動作は通常望ましくない。この点について要求がある。
一実施形態によれば、第1の部分と第2の部分とを備える手動具であって、前記第1の部分は、少なくとも部分的に前記第2の部分と嵌め合わされるとともに前記第2の部分に対して相対的に軸方向に並進運動可能であり(その逆も然り)、前記第1の部分は第1の遠位端を有し、その一方前記第2の部分は前記軸方向において前記第1の遠位端の反対側にある第2の遠位端を有し、前記手動具は、重力方向においてみたときに前記第1の遠位端が前記第2の遠位端の下方に配置されている場合にのみ、前記第1の部分が前記第2の部分に対して相対的に前記軸方向に並進運動することを防止するよう構成された停止装置を備え、前記停止装置は、チャンバと前記チャンバに収容されたボールまたはその同等物とを備える、手動具が提供される。
当然ながら、第1の部分の全体または一部が第2の部分に嵌め込まれてもよく、また、その逆に、第2の部分の全体または一部が第1の部分に嵌め込まれてもよい。一例では、第1の部分が第2の部分と嵌め合わされる方向が軸方向に相当する。当然ながら、各部分は単一の部品で形成されてもよく、または互いに組み合わされた複数の部品で形成されてもよい。以下、反対のことが明記されない限り、第1の部分の第2の部分に対する「相対的な」運動(例えば、並進運動または摺動)に関する用語は、当然ながら、第1の部分と第2の部分のどちら(あるいは両方)が動いていると考えられるかに関わらず、第1の部分と第2の部分の「相対的な」運動を意味する。
「重力方向」という用語は、当然ながら、地球によって、より広く言えば手動具が使用されるところの物体または天体によって生み出されるニュートン重力加速度の方向を意味する。
「ボールまたはその同等物」という用語は、チャンバ内を移動可能であって、重力の影響下でチャンバのキャビティを画定している壁に対して相対的に移動するのに適した、任意の形状の任意の固体の部材を意味する。以下、反対のことが明記されない限り、「ボール」という用語は、「ボールまたはその同等物」を意味する。当然ながら、チャンバは任意の形状であってよく、該形状は単純であっても複雑であってもよい。
そこで、重力方向に関し、ボールがチャンバ内を移動することによって、第1の遠位端が第2の遠位端の下方にある場合には停止装置が第1の部分の第2の部分に対する相対的な軸方向の並進運動を可能にし、一方、第1の遠位端が第2の遠位端の上方にある場合には停止装置が第1の部分の第2の部分に対する相対的な軸方向の並進運動を阻止する。以下、反対のことが明記されない限り、第1の遠位端および第2の遠位端の「上方」または「下方」といった相対的な位置は、重力方向において考えるものとする。
したがって、停止装置は重力を利用して停止する装置であることが理解されるはずである。そこで、重力方向においてみたときに第1の遠位端が第2の遠位端の上方に配置されている第1の状態では、停止装置は、第1の部分の第2の部分に対する相対的な軸方向の並進運動を重力の作用のみを利用して自動的に防止し、一方、重力方向においてみたときに第1の遠位端が第2の遠位端の下方に配置されている第2の状態では、停止装置は、第1の部分の第2の部分に対する相対的な軸方向の並進運動を重力の作用のみを利用して自動的に可能にする。
したがって、手動具は、必ずしも限定されないが、例えば第1の遠位端および第2の遠位端から選択される遠位端の内部への先端部の格納および該遠位端の外部への先端部の突出のための機構などの何らかの機構を作動させるために、第1の部分が第2の部分に対して相対的に軸方向に運動可能な第1の配置状態をとり、この第1の配置状態は、第1の遠位端が第2の遠位端の下方にある配置状態に相当する。また、手動具は、必ずしも限定されないが、例えば先端部の格納および突出のための上記機構を停止させるために、停止装置によって第1の部分が第2の部分に対して相対的に軸方向に運動できないようになる第2の配置状態をとり、この第2の配置状態は第1の遠位端が第2の遠位端の上方にある配置状態に相当する。当然ながら、停止装置によって行われる停止は、第1の部分と第2の部分の間に軸方向の遊びがない厳密な停止であってもよく、または、第1の部分と第2の部分の間にいくらか軸方向の遊びがある停止であってもよく、さらには、第1の部分と第2の部分の軸方向の相対的なストロークを制限すること(すなわち、比較的大きな遊びのある停止)であってもよい。
当然ながら、第2の配置状態では、停止装置のボールが、第1の部分と第2の部分の軸方向の相対的な並進運動を停止させるように第1の部分および第2の部分と協働し、一方、第1の配置状態では、ボールは、第1の部分と第2の部分の軸方向の相対的な並進運動を停止させるようには第1の部分および第2の部分と協働しないことが理解されるはずである。すなわち、第1の配置状態では、ボールは「解放」位置(すなわち、停止装置が、第1の部分を、第2の部分に対して相対的に軸方向に自由に並進運動できるようにしている位置)にあり、一方、第2の配置状態では、ボールは「停止」位置(すなわち、停止装置によって、第1の部分が第2の部分に対して相対的に軸方向に並進運動するのを停止している位置)にある。
停止装置の上記構造を用いることで、すなわち、ボール、詳細にはチャンバに収容されたボールを用いることで、手動具の他の何らかの部材または機構がどのように構成されているかに関わらず、第2の配置状態において停止が行われることが理解されるはずである。そこで、例えば、第1の遠位端および第2の遠位端から選択される遠位端の外部への先端部の突出および該遠位端の内部への先端部の格納のための機構を手動具が有する場合、停止装置は、該先端部の位置に関わらず、すなわち、先端部が格納位置にあるか突出位置にあるかに関わらず、第1の部分が第2の部分に対して相対的に並進運動することを防止する(当然ながら、第1の遠位端が第2の遠位端の上方にある場合のみである)。
例えば、先端部は、レンチの先端具、ドライバーの先端具、ブレード、パンチ、筆記用物体(フェルトペンのペン先、ボールペンのペン先、その他のペン先、黒鉛製の芯、チョーク、または基材への書き込みを可能とする他の何らかの手段)、ブラシ、消しゴム、摩擦体、容量性スクリーン用のパッド、化粧品塗布具(メイク用ブラシ、ペンシル、マスカラブラシ、ロールオン式の塗布具、口紅、または化粧品を塗布するための他の何らかの手段)などの任意の手動具の先端具によって形成される。
したがって、停止装置を用いることで、手動具の軸方向において第1の先端部の反対側にある第2の先端部を使用しているときに、手動具の第1の先端部を操作する、または作動させる(例えば、格納または突出させる)ことを回避できる(第1の先端部は、当然ながら、第1の部分の第2の部分に対する相対的な軸方向の並進運動によって作動される)。さらに、停止装置の構造には、コンパクトであるという利点があり、これにより手動具の全体のコンパクトさが向上するため、手動具の寸法が使用者の多くにとって適した寸法となり得る。
いくつかの実施形態では、チャンバのキャビティを画定している2つの壁の間の最小距離が、ボールの直径(「ボールまたはその同等物」が球状でない場合は該ボールの最大寸法)の102%〜125%の範囲内である。
ボールを収容するよう構成されたキャビティを上記2つの壁が画定しており、これらの壁は、必ずしも限定されないが、単一の部材の一部をなすのに適していることが理解されるはずである。例えば、壁はそれぞれ2つの個別の部材の一部をなしており、互いに対向して配置された場合、ボールを収容するキャビティを画定し、該キャビティはチャンバの内部の少なくとも一部をなす。このような構成により、ボールがチャンバ内を自由に移動できるようにしながら、停止装置をよりコンパクトにできる。
いくつかの実施形態では、それぞれ第1の部分の一部および第2の部分の一部をなしてしている2つの壁の間にチャンバが形成されている。
例えば、第1の部分の第1の壁、および/または、少なくとも1つの所定の相対位置(例えば、第1の配置状態)において第1の部分に対向する第2の部分の第2の壁が凹部を形成している。この場合、チャンバは、この1つの凹部またはこれら複数の凹部を備え、ボールの全体または一部がこの1つの凹部またはこれら複数の凹部に収容される。
このようなチャンバ構造はコンパクトな構造を有するとともに、ボールが第1の部分および第2の部分と直接協働できるようにする。
いくつかの実施形態では、チャンバの体積を規定している壁が、重力方向においてみたときに第1の遠位端が第2の遠位端の上方に配置されている場合にボールの全体または一部を収容するよう構成された収容部を有する。
収容部は、チャンバの壁の部分であって、第1の遠位端が第2の遠位端の上方にある場合にボールの全体または一部が収容される部分であることが理解されるはずである。したがって、手動具の第2の配置状態、すなわちボールが停止位置にある状態では、収容部がボールを保持することにより、ボールの停止位置がより安定し、停止装置によって行われる停止がより確実になる。
いくつかの実施形態では、収容部は、チャンバから軸方向に延びる通路によって形成されており、該通路は、ボールまたはその同等物の直径よりも小さな幅を有する。
例えば、上記通路の幅は、ボールの直径(「ボールまたはその同等物」が球状でない場合は該ボールまたはその同等物の最小寸法)の50%〜90%の範囲内である。当然ながら、一変形形態では、通路はボールよりも大きな部分を有し、該部分がより狭い部分に直接通じており、このより狭い部分がボールの直径よりも小さな幅を有する。例えば、通路は軸方向溝によって形成されている。
上記構成によれば、例えば、単一の部材に2つの別々の機能を組み合わせることが可能であり、例えば、通路が別の部材を案内する機能を果たすとともに収容部を形成できるようにすることができる。上記構成によれば、例えば、通路において摺動部材を停止させることが可能である。
いくつかの実施形態では、停止装置は、重力方向においてみたときに第1の遠位端が第2の遠位端の上方に配置されている場合にボールと協働するよう構成されたアバットメント(butee)を備える。
アバットメントとチャンバの壁との間に間隙が形成され、第1の遠位端が第2の遠位端の上方に配置されている場合、このアバットメントと壁との間の間隙にボールが配置されることが理解されるはずである。このような構造は簡易でコンパクトであるため、停止装置が頑丈であり、手動具の全体のコンパクトさにほとんど、あるいは全く影響を与えない。
いくつかの実施形態では、収容部は、第1の部分および第2の部分から選択される一方の部分の一部をなしている壁に形成されているのに対し、アバットメントは、第1の部分および第2の部分のうちの他方の部分に固定されている。
このような構造は特に簡易でコンパクトであるため、停止装置が頑丈であり、手動具の全体のコンパクトさにほとんど、あるいは全く影響を与えない。
例えば、収容部は、軸方向においてアバットメントに対向して配置されている。これにより、第1の遠位端が第2の遠位端の上方にある場合、ボールが非常に容易に停止位置をとり、収容部によって該停止位置に保持されたままとなるとともに、軸方向においてアバットメントに対向して配置されるため、第1の部分と第2の部分の間の軸方向の遊びを可能な限り小さくすることができる。
いくつかの実施形態では、アバットメントは、第1の部分の第2の部分に対する相対的な並進運動時に、少なくとも部分的に通路に入り込むよう構成されている。
したがって、第1の遠位端が第2の遠位端の下方にある場合、すなわち、第1の部分が第2の部分に対して相対的に軸方向に摺動可能である場合、アバットメントと通路とは摺動に際して互いに協働するよう構成されており、アバットメントが通路に入り込むことが理解されるはずである。この構成では、通路によって、第1の部分と第2の部分の相対的な運動を導くことが可能である。第1の遠位端が第2の遠位端の上方にあると、通路への入口に形成された収容部にボールが収容され、それによってアバットメントが通路に到達するのが阻止されるため、第1の部分と第2の部分の相対的な摺動が阻止される。例えば、静止状態、すなわち、使用者によって第1の部分と第2の部分が軸方向に互いに相対的に動かされていない状態では、アバットメントと通路の入口との間の軸方向の間隙は、ボールの直径(「ボールまたはその同等物」が球状でない場合は該ボールの最大寸法)の105%〜110%の範囲内である。
いくつかの実施形態では、ボールまたはその同等物は金属製である。
金属製のボールにはある程度の慣性があり、これにより、その停止位置での保持が向上する。
いくつかの実施形態では、手動具は、軸方向に延びる筆記具を形成している。
したがって、第1の遠位端および/または第2の遠位端には、例えば、シャープペンシルの芯、黒鉛製の芯、ボールペンのペン先、フェルトペンのペン先などの格納可能なペン先または固定されたペン先である筆記用先端部が備え付けられていることが理解されるはずである。
ボールによる停止装置を備えたこのような手動具は、筆記具に特によく適している。
いくつかの実施形態では、第1の遠位端には筆記用先端部が備え付けられているのに対し、第2の遠位端には消しゴム、摩擦体、または容量性スクリーン用のパッドが備え付けられている。
摩擦体は、例えば、熱を発生させて、熱変色性のインク、すなわち受けた熱に応じてその色を変えるインク、の色を変化させるために、表面に擦りつけられるよう構成された物体であることが理解されるはずである。
容量性スクリーン用のパッドは、容量性スクリーンと相互作用するよう構成された末端具であることが理解されるはずである。該パッドは、それが作られている材料またはコーティングにより、導電性である。パッドが容量性スクリーンと相互作用できる限り、すなわち、スクリーンがパッドと接触することでパッドを検出可能である限り、パッドの形状、柔軟性/剛性、および材料(または複数の材料)は限定されない。
ボールによる停止装置を備えた上記手動具は、上記のような先端部の組み合わせを有する筆記具に特によく適している。
本発明およびその利点が、非限定的な例として示される本発明の各実施形態の詳細な説明を読むことでより一層理解される。この説明は添付の図面を参照してなされる。
図1は、手動具を示す斜視図である。 図2は、図1の手動具の第1の部分および第2の部分を示す分解図である。 図3は、第1の部分の内部の詳細図である。 図4は、第1の遠位端が第2の遠位端の下方にある場合の切り欠き図である。 図5は、第1の遠位端が第2の遠位端の上方にある場合の切り欠き図である。
図1は、この実施形態では筆記具、より詳細にはシャープペンシルである手動具10を示しており、手動具10は、第1の部分12と、第1の部分12に嵌め込まれるとともに軸方向Xに並進運動可能な第2の部分14とを備える。この例では、第1の部分12と第2の部分14の相対的な摺動の方向Xは、手動具10が延びる方向と一致する。
第1の部分12は、第1の先端部12Bが備え付けられた第1の遠位端12Aを有し、第1の遠位端12Aは、第1の先端部12Bを通すための開口を有する。この例では、第1の先端部12Bは筆記用の先端部であり、より詳細には、第1の部分12Aの内部に格納できるとともに第1の部分の外部へ延びて出ることができる黒鉛製のペンの芯である。図1において、第1の先端部12Bは延長されて第1の遠位端12Aから突き出ている。この例では、第1の部分12は、ねじ止め(図示せず)によって互いに継ぎ合わされた2つの部分12‐1,12‐2によって形成されている。当然ながら、ある変形形態では、この2つの部分12‐1,12‐2が同じ単一の部品であってもよく、また、第1の部分12が2つより多い数の部分を含んでもよい。第1の部分12は、該第1の部分12を第2の部分14に対して相対的に動かす(その逆も然り)ときに芯12Bを前進させるための芯前進機構(図示せず)を収容しており、また、このような機構は既知である。
第2の部分14は、第2の先端部14Bが備え付けられた第2の遠位端14Aを有し、第2の先端部14Bは、この例では消しゴムである。さらに、周知のように、消しゴム14Bを図1に示す矢印Iの方向に押すことによって、第1の部分12が第2の部分14に対して相対的に軸方向Xに並進運動し、これにより芯前進機構が作動して、芯12Bが第1の遠位端12Aから前方に向かって動かされる。
停止装置16を図1に破線で示しており、該装置は、当然ながら、手動具10の内部に配置されており、そのため通常は視認できない。停止装置16は、金属製のボール16Aと、ボール16Aを収容するチャンバ16Bとを備える。停止装置16のアバットメント12Dは、図3を参照して後述するが、明確化のために図1には示していない。
以下、停止装置16について、図2および図3を参照してより詳細に説明する。
チャンバ16Bは、それぞれ第1の部分12の一部および第2の部分14の一部をなしている互いに対向する2つの壁12C,14Cの間に形成されている。より詳細には、この例において、壁12Cは第1の部分12の内壁であり、一方壁14Cは第2の部分14の外壁である。これらの壁12C,14Cはそれぞれ、凹部12CA,14CAを有する。これら2つの凹部12CA,14CAにより、チャンバ16が形成されている。
第1の部分12は、軸方向に延びるリブによって形成されたアバットメント12Dを有する。第2の部分14は、第1の通路14D1と第2の通路14D2とを有し、該通路はそれぞれ軸方向溝によって形成されている。アバットメント12Dは、少なくとも部分的に通路14D1,14D2に入り込み、これら通路内を摺動するよう構成されている。
第1の通路14D1および第2の通路14D2のそれぞれは、凹部14CAに(より広く言えばチャンバ16Bに)通じており、これら通路は軸方向Xにおける凹部14CAの(より広く言えばチャンバ16Bの)両側で互いに対向して配置されている。通路14D1,14D2はそれぞれ同じ一定の幅Lを有し、該幅Lはボール16Aの直径Dよりも小さいことがわかるはずである。この例では、幅Lは直径Dの60%に相当する。
図4および図5を参照して、アバットメント12Dは、第1の通路14D1に常時入り込んでいる。すなわち、アバットメント12Dは、第1の部分12の第2の部分14に対する相対的な位置に関わらず第1の通路14D1に入り込んでいる。これにより、第1の部分12の第2の部分14に対する(その逆も然り)相対的な軸方向X周りの回転を阻止できるため、アバットメント12Dが常時第2の通路14D2と一直線上に並んだままとなる。さらに、静止時、すなわち使用者が第1の部分12を第2の部分14に対して相対的に軸方向Xに動かしていない場合、アバットメント12Dは第2の通路14D2に入り込まない。その結果、第2の通路14D2の入口14D21が、重力方向Gにおいてみたときに第1の遠位端12Aが第2の遠位端14Aの上方にある場合にボール16Aを部分的に収容するよう構成された収容部を形成する。換言すれば、収容部が第2の通路14D2によって形成される。
したがって、図4に示すように、重力方向Gにおいてみたときに第1の遠位端12Aが第2の遠位端14Aの下方にある場合、停止装置16は、第1の部分12と第2の部分14の軸方向Xにおける相対的な並進運動を可能にする。すなわち、ボール16Aがチャンバ16Bの内部で自在に運動できるため、この配置状態において、ボール16Aは重力の作用を受けて、重力方向においてみたときのチャンバ16Bの最下点に自動的に位置することになる。この配置状態では、チャンバ16Bの最下点は、軸方向Xにおいて第2の通路14D2の実質的に反対側にあるため、該通路の入口14D21は塞がれないままとなる。したがって、アバットメント12Dは、阻まれることなく第2の通路14D2に部分的に入り込めるため、第1の部分12が第2の部分14に対して相対的に軸方向に運動可能となる。第1の部分12と第2の部分14の相対的な軸方向の並進運動を、図4に両矢印IIで示している。図4において、ボール16Aは解放位置にあり、手動具10はその第1の配置状態にある。
図5を参照して、重力方向Gにおいてみたときに第1の遠位端12Aが第2の遠位端14Aの上方にある場合、そしてこの場合にのみ、停止装置16は第1の部分12と第2の部分14の軸方向における相対的な並進運動を阻止する。すなわち、この状態において、ボール16Aは重力の作用を受けて第2の通路14D2の入口14D21に達するまで移動するが、この入口がボール16Aの収容部を形成しており、アバットメント12Dと第2の通路14D2との間に位置している。この配置状態では、入口14D21がチャンバ16Bの最下点となる。したがって、アバットメント12Dの軸方向の並進運動がボール16Aによって阻止されるため、第1の部分12と第2の部分14の相対的な並進運動が阻止される。図5において、ボール16Aは停止位置にあり、手動具10はその第2の配置状態にある。
図4に見られるように、アバットメント12Dと入口14D21の間、より広く言えばアバットメント12Dとチャンバ16Bの壁の間の軸方向の間隙Eは、その長さがボール16Aの直径の105%に相当し、これにより、ボール16Aが停止位置にある場合の第1の部分12と第2の部分14の間の軸方向の遊びが非常に小さくなる。
停止装置16は芯前進機構(図示せず)から完全に独立しているため、当然ながら、停止は芯前進機構の構成とは関係なく行われる。このことは、第1の先端部12Bの作動機構とは関係なく概ね成立する。例えば、一変形形態では、第1の先端部がボールペンまたはフェルトペンのペン先であり、上記作動機構が第1の先端部の第1の遠位端12Aの内部への格納および外部への突出を行うためのラチェット機構である。この場合、第2の先端部は、例えば、摩擦体または容量性スクリーン用のパッドである。当然ながら、第1の先端部と第2の先端部の別の組み合わせも考えられる。
本発明を具体的な実施形態を参照して説明したが、特許請求の範囲によって定められる本発明の一般的な範囲を逸脱しない限り、上記実施形態に対して改良および変更を施し得ることは明らかである。特に、図示および/または説明した各実施形態のそれぞれの特徴をさらに別の実施形態において組み合わせ得る。したがって、明細書および図面は限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきである。

Claims (8)

  1. 第1の部分(12)と第2の部分(14)とを備える、特には筆記具であってもよい手動具(10)であって、前記第1の部分(12)は、少なくとも部分的に前記第2の部分(14)と嵌め合わされるとともに前記第2の部分(14)に対して相対的に軸方向(X)に並進運動可能であり、前記第1の部分(12)は第1の遠位端(12A)を有し、その一方前記第2の部分(14)は前記軸方向(X)において前記第1の遠位端(12A)の反対側にある第2の遠位端(14A)を有し、前記手動具(10)は、重力方向(G)においてみたときに前記第1の遠位端(12A)が前記第2の遠位端(14A)の上方に配置されている場合にのみ、前記第1の部分(12)が前記第2の部分(14)に対して相対的に前記軸方向(X)に並進運動することを防止するよう構成された停止装置(16)を備え、前記停止装置(16)は、チャンバ(16B)と前記チャンバ(16B)に収容されたボールまたはその同等物(16A)とを備え、前記チャンバ(16)の体積を規定している壁は、前記重力方向(G)においてみたときに前記第1の遠位端(12A)が前記第2の遠位端(14A)の上方に配置されている場合に前記ボールまたはその同等物(16A)の全体または一部を収容するよう構成された収容部(14D21)を有し、前記停止装置(16)は、重力方向(G)においてみたときに前記第1の遠位端(12A)が前記第2の遠位端(14A)の上方に配置されている場合に前記ボールまたはその同等物(16A)と協働するよう構成されたアバットメント(12D)をさらに備え、前記収容部(14D21)は、前記第1の部分(12)および前記第2の部分(14)から選択される一方の部分の一部をなす壁に形成されているのに対し、前記アバットメント(12D)は、前記第1の部分(12)および前記第2の部分(14)のうちの他方の部分に固定されている、手動具(10)。
  2. それぞれ前記第1の部分(12)の一部および前記第2の部分(14)の一部をなしている2つの壁(12C,14C)の間に前記チャンバ(16B)が形成されている、請求項1に記載の手動具(10)。
  3. 前記収容部(14D21)は、前記チャンバ(16B)から前記軸方向(X)に延びる通路(14D2)によって形成されており、前記通路(14D2)は、前記ボールまたはその同等物(16A)の直径(D)よりも小さな幅(L)を有する、請求項1または2に記載の手動具(10)。
  4. 前記アバットメント(12D)は、前記第1の部分(12)の前記第2の部分(14)に対する相対的な並進運動時に、少なくとも部分的に前記通路(14D2)に入り込むよう構成されている、請求項3に記載の手動具(10)。
  5. 前記ボールまたはその同等物(16A)は、金属製である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の手動具(10)。
  6. 前記チャンバ(16B)のキャビティを画定している2つの壁の間の最小距離は、前記ボールまたはその同等物(16A)の直径(D)の102%〜125%の範囲内である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の手動具(10)。
  7. 前記軸方向(X)に延びる筆記具を形成している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の手動具(10)。
  8. 前記第1の遠位端(12A)には筆記用先端部(12B)が備え付けられているのに対し、前記第2の遠位端(14A)には消しゴム(14B)、摩擦体、または容量性スクリーン用のパッドが備え付けられている、請求項7に記載の手動具(10)。
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