JP2019509020A - 感染性因子を使用する微生物の迅速検出のための方法およびシステム - Google Patents

感染性因子を使用する微生物の迅速検出のための方法およびシステム Download PDF

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Abstract

サンプル中の微生物の迅速検出のための方法およびシステムが本明細書に開示される。後期遺伝子領域にインジケーター遺伝子を含む遺伝的に改変されたバクテリオファージも、開示される。CBA120などのバクテリオファージの特異性は、E.coli O157:H7などの特異的微生物の検出を可能にし、アッセイ感度を最適化するためにインジケーターシグナルを増幅することができる。バクテリオファージCBA120ゲノムの後期遺伝子領域に挿入されたインジケーター遺伝子を含む、組換えバクテリオファージ。

Description

(関連出願)
本願は、2016年1月18日に出願した米国仮特許出願第62/280,043号および2016年1月19日に出願した米国仮特許出願第62/280,465号に対する優先権を主張する。この出願はまた、2016年9月13日に出願した米国出願第15/263,619号に対する優先権を主張する。
(EFS−ウェブを介してテキストファイルとして提出された配列表への参照)
配列表の公式のコピーは、2017年1月17日に作成されたサイズが7キロバイトの、本明細書と並行して出願された、1035526_ST25.txtという名前のファイルと一緒にアスキーフォーマットの配列表として、EFS−ウェブを介して電子的に提出される。このアスキーフォーマット文書に含まれる配列表は本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
(発明の分野)
本発明は、感染性因子を使用する、微生物の検出のための方法およびシステムに関する。
(背景)
生物学的サンプル、食品サンプル、水サンプル、および臨床サンプル中の細菌、ウイルス、および他の微生物の検出のための速度および感度を改善することには、強い重要性がある。微生物病原体は、ヒトおよび飼いならされた動物において実質的な病的状態、ならびに莫大な経済的損失を引き起こし得る。また、微生物の検出は、ある種の微生物(例えば、Escherichia coliもしくはSalmonella spp.)で汚染された食品の摂取によって引き起こされる生命を脅かすもしくは致命的な病気の大流行を考慮すると、食品医薬品局(FDA)および疾病対策センター(CDC)にとっての優先順位は高い。
細菌を検出するための旧来からの微生物学的試験は、非選択的および選択的な富化培養、続いて、選択培地にプレートし、さらに試験して、疑わしいコロニーを確認することに依拠する。このような手順には、数日を要し得る。種々の迅速な方法が研究されてきており、時間要件を低減するために、実務に導入されてきた。しかし、これらの方法には欠点がある。例えば、直接的イムノアッセイもしくは遺伝子プローブを伴う技法は、一般に、適切な感度を得るために、一晩の富化工程を要する。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験はまた、増幅工程を包含し、従って、非常に高い感度および選択性の両方の能力がある;しかし、経済的に、PCR試験に供され得るサンプルサイズは、制限される。薄い細菌懸濁物を用いると、大部分の小さな副次サンプルには、細胞がなく、従って、精製および/もしくは長々とした富化工程がなお必要とされる。
旧来の生物学的富化のために必要とされる時間は、上記サンプルの標的細菌集団の増殖速度によって、上記サンプルマトリクスの効果によって、および必要とされる感度によって、規定される。実際には、大部分の高感度法は、一晩のインキュベーションを使用し、全体的には約24時間かかる。培養のために必要とされる時間に起因して、これらの方法は、同定される予定の生物および上記サンプルの供給源に依存して、最大で3日間かかり得る。この遅延時間(lag time)は、一般に、汚染された食品、水(もしくは他の生成物)は既に、家畜もしくはヒトの中へと入り込んでしまっている可能性があるので、不適切である。さらに、抗生物質耐性細菌および生体防御の懸念事項の増加により、水サンプル、食品サンプルおよび臨床サンプル中の細菌病原体の迅速同定が、世界的に欠くことのできない優先事項になっている。
従って、微生物(例えば、細菌および他の潜在的に病原性の微生物)のより迅速で簡単かつ感度の高い検出および同定が必要である。
(要旨)
本発明の実施形態は、微生物の検出のための組成物、方法、システムおよびキットを含む。本発明は、種々の方法で具現化され得る。
いくつかの局面において、本発明は、バクテリオファージゲノムの後期遺伝子領域に挿入されたインジケーター遺伝子を含む組換えバクテリオファージを含む。いくつかの実施形態において、上記組換えバクテリオファージは、遺伝的に改変されたCBA120ゲノムである。いくつかの実施形態において、上記組換えバクテリオファージは、遺伝的に改変されたT4様またはViI様バクテリオファージゲノムである。いくつかの実施形態において、上記組換えバクテリオファージは、E.coli O157:H7に特異的に感染する。一実施形態において、上記組換えバクテリオファージは、100を超える他のタイプの細菌の存在下で、E.coli O157:H7を区別することができる。
組換えインジケーターバクテリオファージのいくつかの実施形態では、上記インジケーター遺伝子はコドン最適化され得、内因性シグナルを生成する可溶性タンパク質生成物または基質との反応の際にシグナルを生成する可溶性酵素をコードし得る。いくつかの組換えバクテリオファージは、上記コドン最適化インジケーター遺伝子の上流に非翻訳領域をさらに含み、上記非翻訳領域が、バクテリオファージ後期遺伝子プロモーターおよびリボソーム進入部位を含む。いくつかの実施形態において、インジケーター遺伝子は、ルシフェラーゼ遺伝子である。上記ルシフェラーゼ遺伝子は天然に存在する遺伝子、例えばOplophorusルシフェラーゼ遺伝子、ホタルルシフェラーゼ遺伝子、Luciaルシフェラーゼ遺伝子もしくはRenillaルシフェラーゼ遺伝子であってもよく、または、上記ルシフェラーゼ遺伝子は遺伝子操作された遺伝子であってもよい。
本明細書においてまた開示されるのは、組換えインジケーターバクテリオファージを調製する方法である。いくつかの実施形態は、標的病原性細菌に特異的に感染する野生型バクテリオファージを選択する工程、インジケーター遺伝子を含む相同組換えプラスミド/ベクターを調製する工程、上記相同組換えプラスミド/ベクターを標的病原性細菌に形質転換する工程、形質転換された上記標的病原性細菌に、選択された上記野生型バクテリオファージを感染させ、それによって、上記プラスミド/ベクターと上記バクテリオファージのゲノムとの間で相同組換えを起こさせる工程、および組換えバクテリオファージの特定のクローンを単離する工程を含む。いくつかの実施形態において、選択された上記野生型バクテリオファージは、CBA120である。いくつかの実施形態において、選択された上記野生型バクテリオファージは、T4様またはViI様である。
いくつかの実施形態では。相同組換えプラスミド/ベクターを調製する工程が、選択された上記バクテリオファージのゲノムの後期領域中の天然のヌクレオチド配列を決定する工程、上記ゲノムを注釈し、選択された上記バクテリオファージの主要カプシドタンパク質遺伝子を同定する工程、上記主要カプシドタンパク質遺伝子の下流に相同組換えのための配列を設計する工程であって、上記配列がコドン最適化インジケーター遺伝子を含む工程、および相同組換えのために設計された上記配列をプラスミド/ベクターに組み込む工程を含む。上記配列を設計する工程は、ファージ後期遺伝子プロモーターおよびリボソーム進入部位を含む非翻訳領域を、上記コドン最適化インジケーター遺伝子の上流に挿入することをさらに含み得る。従って、いくつかの方法において、上記相同組換えプラスミドは、バクテリオファージ後期遺伝子プロモーターおよびリボソーム進入部位を含む非翻訳領域を上記コドン最適化インジケーター遺伝子の上流に含む。
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載される組換えインジケーターバクテリオファージを含む組成物である。例えば、組成物は、1種または複数種の野生型または遺伝的に改変された感染性因子(例えば、バクテリオファージ)および1種または複数種のインジケーター遺伝子を含み得る。いくつかの実施形態において、組成物は、同じまたは異なるインジケータータンパク質をコードおよび発現し得る、異なるインジケーターファージのカクテルを含み得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、サンプル中の目的の微生物を検出するための方法を包含し、上記方法は、上記サンプルを、上記目的の微生物に感染する組換えバクテリオファージとともにインキュベートする工程であって、ここで上記組換えバクテリオファージは上記バクテリオファージの後期遺伝子領域へと挿入されたインジケーター遺伝子を含み、その結果、宿主細菌の感染後のバクテリオファージ複製の間の上記インジケーター遺伝子の発現は可溶性インジケータータンパク質生成物を生じる工程、および上記インジケータータンパク質生成物を検出する工程であって、ここで上記インジケータータンパク質生成物の陽性検出は、上記目的の微生物が上記サンプルに存在することを示す工程を包含する。
組換えインジケーターバクテリオファージを調製する方法のいくつかの実施形態では、上記野生型バクテリオファージはCBA120であり、上記標的病原性細菌はE.coli O157:H7である。いくつかの実施形態では、組換えバクテリオファージの特定のクローンを単離する工程は、上記インジケーター遺伝子の発現を示すクローンを単離するための限界希釈アッセイを含む。
本発明の他の態様は、サンプル中の細菌(例えば、E.coli O157:H7)を検出するための方法であって、上記サンプルをCBA120に由来する組換えバクテリオファージとともにインキュベートする工程、および上記組換えバクテリオファージによって生成されるインジケータータンパク質生成物を検出する工程であって、ここで上記インジケータータンパク質生成物の陽性検出はE.coli O157:H7が上記サンプルに存在することを示す工程を含む、方法を含む。上記サンプルは、食品サンプル、環境サンプル、水サンプル、商業サンプル、または臨床サンプルであり得る。いくつかの実施形態において、上記サンプルは牛肉または野菜を含む。
細菌を検出するための方法のいくつかの実施形態では、上記サンプルは、9時間またはそれ未満、8時間またはそれ未満、7時間またはそれ未満、6時間またはそれ未満、5時間またはそれ未満、4時間またはそれ未満、3時間またはそれ未満、または2時間またはそれ未満の富化時間の間、成長を有利にする条件で最初にインキュベートされる。いくつかの実施形態では、結果までの合計時間が、12時間未満、11時間未満、10時間未満、9時間未満、8時間未満、7時間未満、または6時間未満である。いくつかの実施形態では、上記インジケーターを検出する工程によって生成されるシグナル対バックグラウンドの比は、少なくとも2.0または少なくとも2.5である。いくつかの実施形態において、本方法は、食品安全産業にとって標準サイズのサンプル中の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個程度の少なさの特異的細菌を検出する。
さらなる実施形態は、E.coli O157:H7を検出するためのシステムおよびキットを含み、上記システムまたはキットはCBA120に由来する組換えバクテリオファージを含む。いくつかの実施形態は、上記組換えバクテリオファージによって発現される可溶性タンパク質生成物を検出するための、インジケーターと反応させるための基質をさらに含む。これらのシステムまたはキットは、本発明のバクテリオファージ、組成物および方法に関して記載される特徴を含み得る。さらに他の実施形態において、本発明は、本発明による方法またはシステムと使用するための非一時的なコンピューター可読媒体を含む。
本発明は、非限定的な図面を参照することによってよりよく理解され得る。
図1は、野生型CBA120バクテリオファージのゲノムの一部、および注釈つきの後期遺伝子領域を特に示す。 図2は、CBA120バクテリオファージゲノムとの相同組換えのために設計されたプラスミドの一実施形態を示す。カプシドタンパク質gp23(ORF187)は、主要カプシドタンパク質を表すと考えられている。このビリオンタンパク質は非常に高レベルで発現されるので、この領域に挿入された任意の遺伝子は、後期遺伝子プロモーターおよび/または他の類似の制御エレメントが使用される限りにおいて、類似の発現レベルを有すると予測され得る。 図3は、図2に図示するプラスミドとの、図1の野生型CBA120ゲノムの相同組換えの実施形態を示す。 図4は、野生型バクテリオファージと、天然のバクテリオファージゲノムと相同的様式で組み換えるように設計された配列を有するプラスミドで標的細菌を形質転換し、その後、形質転換細菌に野生型バクテリオファージを感染させて相同組換えを可能にすることで得られた組換えバクテリオファージとの混合物からの、組換えバクテリオファージの単離を示す。逐次的な感染および希釈の一連の工程は、インジケーター/レポーター遺伝子を発現する組換えファージの同定および単離を可能にする。 図5は、組換えインジケーターバクテリオファージであるCBA120NanoLucバクテリオファージの一実施形態の電子顕微鏡写真である。 図6は、本発明の実施形態による、細菌細胞の感染の間におけるインジケーターバクテリオファージの複製から生成されるルシフェラーゼの検出を介して細菌細胞を検出するための、可溶性レポーター(例えば、ルシフェラーゼ)をコードするインジケーターバクテリオファージの使用を示す。 図7は、既知数の細胞を有するサンプルを感染させるための、CBA120NanoLucの異なるファージ濃度を使用する病原性細菌の検出において、10ファージ/mLを用いて最も高いシグナル対バックグラウンド比が得られることを実証する。 図8は、既知数の細胞を有するサンプルを感染させるための10ファージ/mLのCBA120NanoLucを使用した実験の反復が、単一細胞からのシグナルと0個の細胞、2個またはそれより多くの細胞からのシグナルの間で有意差を示すことを実証する。 図9は、図8に示す実験のシグナル対バックグラウンド比が2.0を超えることを実証する。 図10は、富化の5時間、6時間および7時間後にアッセイを行うときの、25gの牛挽肉からの1mL濃度サンプル中のE.coli O157:H7の検出の場合の相対発光量(RLU)およびシグナル対バックグラウンド比を示す。 図11は、図10に示すとおりの25gの牛挽肉からの1mL濃度サンプルにおけるE.coli O157:H7の検出を要約し、ここで、二次的方法を使用してその結果を確認している。 図12は、富化の5時間後にアッセイを行うときの、25gの牛挽肉からの10mL濃度サンプル中のE.coli O157:H7の検出の場合のRLUおよびシグナル対バックグラウンド比を示し、ここで、二次的方法を使用してその結果を確認している。 図13は、富化の7時間、8時間および9時間後にアッセイを行うときの、125gの牛切落し肉(beef trim)からの1mL濃度サンプル中のE.coli O157:H7の検出の場合のRLUおよびシグナル対バックグラウンド比を示す。 図14は、富化の7時間、8時間および9時間後にアッセイを行うときの、125gの牛切落し肉からの10mL濃度サンプル中のE.coli O157:H7の検出の場合のRLUおよびシグナル対バックグラウンド比を示す。 図15は、図13に示すとおりの125gの牛切落し肉からの1mL濃度サンプルにおけるE.coli O157:H7の検出を要約し、ここで、二次的方法を使用してその結果を確認している。 図16は、図14に示すとおりの125gの牛切落し肉からの10mL濃度サンプルにおけるE.coli O157:H7の検出を要約し、ここで、二次的方法を使用してその結果を確認している。 図17は、ろ過してフィルターアッセイフォーマットに供した100mLホウレンソウ洗浄液におけるE.coli O157:H7の検出の場合のRLUおよびシグナル対バックグラウンド比を示し、ここで、二次的方法を使用してその結果を確認している。
(発明の詳細な説明)
試験サンプル(例えば、生物学的サンプル、食品サンプル、水サンプル、および臨床サンプル)中の目的の微生物の検出に関して驚くべき感度を示す、組成物、方法およびシステムが本明細書で開示される。検出は、富化のための培養もなしに、もしくはいくつかの実施形態では最小限のインキュベーション時間(その間に、微生物が潜在的に増殖し得る)を伴って行われるアッセイにおいて、遺伝的に改変された感染性因子を使用して、以前に可能と考えられた時間枠より短い時間枠で達成され得る。また、試験サンプルとともにインキュベートするために、潜在的に高い感染多重度(MOI)、もしくは高濃度のプラーク形成単位(PFU)を使用することの成功は驚くべきである。このような高いファージ濃度(PFU/mL)は、細菌検出アッセイにおいて有害であると以前に主張された。なぜならそれらは、「非感染溶菌(lysis from without)」を引き起こすと主張されたからである。しかし、高濃度のファージは、少数の標的細胞の発見、結合および感染を容易にし得る。
本発明の組成物、方法、システムおよびキットは、このような微生物の検出において使用するための感染性因子を含み得る。ある種の実施形態において、本発明は、組換えバクテリオファージの後期遺伝子領域に挿入されたインジケーター遺伝子を有する該バクテリオファージを含む組成物を包含し得る。ある種の実施形態において、宿主細菌の感染後のバクテリオファージ複製の間の上記インジケーター遺伝子の発現は、可溶性インジケータータンパク質生成物の産生を生じる。ある種の実施形態において、上記インジケーター遺伝子は、上記バクテリオファージの後期遺伝子(すなわち、クラスIII)領域に挿入され得る。上記バクテリオファージは、T7、T4、T4様、ViI、ViI様(またはGenBank/NCBIによればVi1ウイルス)、CBA120、または別の野生型の、もしくは工学技術で作製されたバクテリオファージに由来し得る。
いくつかの局面において、本発明は、目的の微生物を検出するための方法を包含する。上記方法は、上記目的の微生物の検出のために感染性因子を使用し得る。例えば、ある種の実施形態において、上記目的の微生物は、細菌であり、上記感染性因子は、バクテリオファージである。従って、ある種の実施形態において、上記方法は、サンプルを、目的の細菌に感染する組換えバクテリオファージとともにインキュベートすることによる、サンプル中の目的の細菌の検出を包含し得る。ある種の実施形態において、上記組換えバクテリオファージは、インジケーター遺伝子を含む。上記インジケーター遺伝子は、ある種の実施形態において、上記バクテリオファージの後期遺伝子領域に挿入され得、その結果、宿主細菌の感染後のバクテリオファージ複製の間の上記インジケーター遺伝子の発現は、インジケータータンパク質生成物の産生を生じる。上記方法は、上記インジケータータンパク質生成物を検出する工程を包含し得、ここで上記インジケータータンパク質生成物の陽性検出は、上記目的の細菌が上記サンプルに存在することを示す。いくつかの実施形態では、上記インジケータータンパク質は、可溶性である。
ある種の実施形態において、本発明は、システムを包含し得る。上記システムは、本発明の組成物のうちの少なくともいくつかを含み得る。また、上記システムは、上記方法を行うために上記構成要素のうちの少なくともいくつかを含み得る。ある種の実施形態において、上記システムは、キットとして編成される(formulated)。従って、ある種の実施形態において、本発明は、サンプル中の目的の微生物の迅速検出のためのシステムを包含し得、上記システムは、上記サンプルを、上記目的の微生物に特異的な感染性因子とともにインキュベートするための構成要素であって、ここで上記感染性因子はインジケーター部分を含む構成要素;および上記インジケーター部分を検出するための構成要素を含む。さらに他の実施形態において、本発明は、上記方法もしくはシステムとともに使用するためのソフトウェアを含む。
従って、本発明のいくつかの実施形態は、細菌の存在を示す検出可能なシグナルを増幅するためのバクテリオファージベースの方法を使用することによって、要求を解決する。ある種の実施形態において、1個程度のわずかな細菌が検出される。本明細書で適用される原理は、種々の微生物の検出に適用され得る。微生物の表面上に感染性因子のための多くの結合部位、感染の間に100もしくはそれより多くの子孫因子を生成する能力、およびコードされたインジケーター部分の高レベル発現の潜在能力があるので、上記感染性因子もしくはインジケーター部分は、上記微生物自体より容易に検出可能であり得る。このようにして、本発明の実施形態は、実に単一感染細胞からの非常に大きなシグナル増幅を達成し得る。
本発明の局面は、サンプル中の特異的微生物を検出および/定量する手段として、感染性因子の結合構成要素などの、特定の微生物に結合し得る結合因子の高い特異性を利用する。いくつかの実施形態において、本発明は、感染性因子(例えば、バクテリオファージ)の高い特異性を利用する。
いくつかの実施形態において、検出は、上記目的の微生物に特異的な結合因子と関連付けられたインジケーター部分を通じて達成される。例えば、感染性因子は、インジケーター部分(例えば、可溶性インジケーターをコードする遺伝子)を含み得る。いくつかの実施形態において、上記インジケーターは、上記感染性因子(例えば、バクテリオファージ)によってコードされ得、上記バクテリオファージは、インジケーターファージと示される。
本明細書で開示および記載される本発明のいくつかの実施形態は、単一微生物が特異的認識因子(例えば、ファージ)を結合し得るという発見を利用する。上記ファージの感染および複製の後に、子孫ファージは、ファージ複製の間に発現されるインジケーター部分を介して検出され得る。この原理は、微生物表面レセプターの特異的認識に基づいて、1もしくは数個の細胞からのインジケーターシグナルの増幅を可能にする。例えば、細菌の実に単一細胞を複数のファージに曝露し、その後、上記ファージの増幅、および複製の間に、コードされたインジケーター遺伝子生成物の高レベル発現を可能にすることによって、上記インジケーターシグナルは、上記単一細菌が検出可能であるように増幅される。
本発明の方法およびシステムの実施形態は、食品サンプル、水サンプル、臨床サンプルおよび商業サンプルからの病原体の検出があげられるが、これらに限定されない種々の環境における種々の微生物(例えば、細菌、真菌、酵母)の検出および定量に適用され得る。本発明の方法は、迅速にかつ旧来の生物学的富化(例えば、富化のための培養)の必要性なしに、高い検出感度および特異性を提供する。これは、すべての利用可能な方法が培養を要するので驚くべき局面である。いくつかの実施形態において、検出は、上記バクテリオファージの単一の複製サイクル内で可能であり、このことは、予想外である。
定義
本明細書において別段の定義がない限り、本発明に関連して使用される科学用語および専門用語は、当業者が一般に理解する意味を有するべきである。さらに、他に状況によって必要とされない限り、単数の用語は、複数を含むべきであり、複数の用語は、単数を含むべきである。一般に、本明細書に記載されている細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学およびタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションとの関連で使用される命名法、ならびにこれらの技術は、当技術分野で周知であり、一般に使用されるものである。公知の方法および技術は、他に示さない限り、当技術分野で周知の通常の方法によって、および本明細書を通して考察される様々な一般のおよびより特定の参考文献において記載されているように一般に行われる。酵素反応および精製技術は、当技術分野で一般に達成されるように、または本明細書に記載のように、製造元の仕様によって行われる。本明細書に記載されている実験室の手順および技術に関連して使用される命名法は当技術分野で周知のものであり、一般に使用される。
下記の用語は、他に示さない限り、下記の意味を有すると理解すべきである:
本明細書において使用する場合、「a」、「an」、および「the」という用語は、他に特に留意しない限り、1つまたは複数を指すことができる。
「または」という用語の使用は、代替物のみを言及することが明確に示されない限り、または代替物が相互排他的でない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は、代替物のみおよび「および/または」を指す定義を支持する。本明細書において使用する場合、「別の」は、少なくとも第2またはそれ超を意味することができる。
本出願を通して、「約」という用語は、その値が、値を決定するために用いられているデバイス、方法についての固有の誤差の変動、または試料の間に存在する変動を含むことを示すために使用される。
「固体支持体」または「支持体」という用語は、その上に生体分子が結合し得る基材および/または表面を提供する構造物を意味する。例えば、固体支持体は、アッセイウェル(すなわち、例えば、マイクロタイタープレートまたはマルチウェルプレート)であり得、または固体支持体は、フィルター、アレイ、または移動性の支持体(例えば、ビーズ)または膜(例えば、フィルタープレートまたはラテラルフローストリップ)上の位置であり得る。
「結合因子」という用語は、第2の(すなわち、異なる)対象分子に特異的および選択的に結合することができる分子を指す。相互作用は、例えば、水素結合、ファンデルワールス相互作用、または静電相互作用もしくは疎水的相互作用の結果として非共有結合性であり得、あるいは相互作用は共有結合性であり得る。「可溶性結合因子」という用語は、固体支持体に会合(すなわち、共有結合または非共有結合)していない結合因子を指す。
本明細書で使用される場合、「分析物」とは、測定されている分子、化合物もしくは細胞をいう。目的の分析物は、ある種の実施形態において、結合因子と相互作用し得る。本明細書で記載される場合、用語「分析物」とは、目的のタンパク質もしくはペプチドをいい得る。分析物は、アゴニスト、アンタゴニスト、もしくはモジュレーターであり得る。あるいは、分析物は、生物学的効果を有しなくてもよい。分析物としては、低分子、糖、オリゴサッカリド、脂質、ペプチド、ペプチド模倣物、および有機化合物などが挙げられ得る。
用語「検出可能な部分」もしくは「検出可能な生体分子」もしくは「レポーター」もしくは「インジケーター」もしくは「インジケーター部分」とは、定量的アッセイにおいて測定され得る分子をいう。例えば、インジケーター部分は、基質を、測定され得る生成物に変換するために使用され得る酵素を含み得る。インジケーター部分は、生物発光の放射を生じる反応を触媒する酵素(例えば、ルシフェラーゼ)であり得る。あるいは、インジケーター部分は、定量され得る放射性同位体であり得る。あるいは、インジケーター部分は、発蛍光団であり得る。あるいは、他の検出可能な分子が使用され得る。
本明細書で使用される場合、「バクテリオファージ」もしくは「ファージ」とは、複数の細菌のウイルスのうちの1種またはそれより多くを含む。本開示において、用語「バクテリオファージ」および「ファージ」は、生きている細菌、真菌、マイコプラズマ、原生動物、酵母、および他の顕微鏡レベルの生存している生物に侵入し得るウイルスであって、そして上記生物を使用して、該ウイルス自体を複製するウイルスを指す、マイコバクテリオファージ(例えば、TBおよびパラTBに関する)、マイコファージ(mycophage)(例えば、真菌に関する)、マイコプラズマファージ、および任意の他の用語などのウイルスを含む。ここで、「顕微鏡レベルの」とは、最大寸法が1ミリメートルまたはそれ未満であることを意味する。バクテリオファージは、それらを複製する手段として、天然において細菌を使用するように進化したウイルスである。ファージは、このことを、ファージ自体を細菌に付着させ、そのDNA(もしくはRNA)をその細菌の中に注入し、上記ファージを数百倍もしくはさらには数千倍も複製するようにその細菌を誘導することによって行う。これは、ファージ増幅ともいわれる。
本明細書で使用される場合、「後期遺伝子領域」とは、ウイルス生活環において後期に転写されるウイルスゲノムの領域をいう。上記後期遺伝子領域は、代表的には、最も豊富に発現される遺伝子(例えば、上記バクテリオファージ粒子へとアセンブルされる構造タンパク質)を含む。後期遺伝子は、クラスIII遺伝子と同義であり、構造およびアセンブリ機能を有する遺伝子を含む。例えば、上記後期遺伝子(クラスIIIと同義)は、ファージT7では、例えば、感染後8分から溶解するまでに、クラスI(例えば、RNAポリメラーゼ)は、早期に4〜8分に、およびクラスIIは、6〜15分に転写されるので、IIおよびIIIのタイミングは重なり合っている。後期プロモーターは、天然に位置し、このような後期遺伝子領域において活性であるプロモーターである。
本明細書で使用される場合、「富化のための培養」とは、旧来からの培養(例えば、微生物繁殖に都合のよい培地中でのインキュベーション)をいい、語句「富化」の他の考えられる使用(例えば、サンプルの液体構成要素を取り出して、その中に含まれる上記微生物を濃縮することによる富化)、または微生物繁殖の旧来の促進を含まない富化の他の形態と混同されるべきではない。非常に短期間にわたる富化のための培養は、本明細書で記載される方法のいくつかの実施形態において使用され得るが、それが全てで使用される場合、必須ではなく、かつ富化のための旧来からの培養よりはるかに短期間にわたる。
本明細書で使用される場合、「組換え(recombinant)」とは他の方法では見いだされない遺伝的物質を一緒にするために、通常は実験室で行われる場合、遺伝的な(すなわち、核酸)改変をいう。この用語は、本明細書において用語「改変された」と交換可能に使用される。
本明細書において使用する場合、「RLU」は、ルミノメーター(例えば、GLOMAX(登録商標)96)または光を検出する類似の機器によって測定される、相対発光量を指す。例えば、ルシフェラーゼと適当な基質(例えば、NANOLUC(登録商標)とNANO−GLO(登録商標))の間の反応物の検出が、検出されるRLUでしばしば報告される。
本明細書において使用する場合、「結果までの時間」は、試料調製の開始からデータ収集までの合計時間量を指す。結果までの時間は、いかなる確認試験時間も含まない。
(サンプル)
本発明の方法およびシステムの実施形態の各々は、サンプル中の微生物の迅速検出および定量を可能にし得る。例えば、本発明に従う方法は、優れた結果を有する、短縮した期間で行われ得る。
本発明の方法およびシステムによって検出される微生物としては、天然の、商業的、医学的もしくは獣医学的に懸念される病原体が挙げられる。このような病原体としては、グラム陰性細菌、グラム陽性細菌、マイコプラズマおよびウイルスが挙げられる。上記特定の微生物に特異的な感染性因子が同定された任意の微生物は、本発明の方法によって検出され得る。当業者は、必須の特定の感染性因子/微生物の対の利用可能性以外に、本発明の方法の適用に制限はないことを認識する。
本発明によって検出可能な細菌細胞としては、食品もしくは水で伝播する病原体である細菌細胞が挙げられるが、これらに限定されない。本発明によって検出可能な細菌細胞としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Salmonellaのうちの全ての種、Escherichia coliのうちの全ての株(E. coli O157:H7が挙げられるが、これに限定されない)、Listeriaのうちの全ての種(L. monocytogenesが挙げられるが、これに限定されない)、およびCampylobacterのうちの全ての種。本発明によって検出可能な細菌細胞としては、医学的にもしくは獣医学的に重要な病原体である細菌細胞が挙げられるが、これらに限定されない。このような病原体としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Bacillus spp.、Bordetella pertussis、Camplyobacter jejuni、Chlamydia pneumoniae、Clostridium perfringens、Enterobacter spp.、Klebsiella pneumoniae、Mycoplasma pneumoniae、Salmonella typhi、Shigella sonnei、Staphylococcus aureus、およびStreptococcus spp。
上記サンプルは、環境サンプルもしくは食品サンプルもしくは水サンプルであり得る。いくつかの実施形態は、医学的サンプルもしくは獣医学的サンプルを含み得る。サンプルは、液体、固体、もしくは半固体であり得る。サンプルは、固体表面のスワブであり得る。サンプルとしては、環境材料(例えば、水サンプル)、またはサイクロンコレクターからの空気サンプルもしくはエアロゾルサンプルに由来するフィルターが挙げられ得る。サンプルは、食肉、家禽、加工食品、ミルク、チーズ、もしくは他の酪農製品のサンプルであり得る。医学的サンプルもしくは獣医学的サンプルとしては、血液サンプル、喀痰サンプル、脳脊髄液サンプル、および糞便サンプルならびに種々のタイプのスワブが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、サンプルは、調製も、濃縮も、希釈もなしに、本発明の検出法において直接使用され得る。例えば、液体サンプル(ミルクおよびジュースが挙げられるが、これらに限定されない)は、直接アッセイされ得る。サンプルは、緩衝化溶液もしくは細菌培養培地が挙げられ得るが、これらに限定されない溶液中で希釈もしくは懸濁され得る。固体もしくは半固体であるサンプルは、液体中の固体を細かく刻むか、混合するかもしくは浸軟することによって、液体中に懸濁され得る。サンプルは、上記宿主細菌細胞へのバクテリオファージ付着を促進するpH範囲内に維持されるべきである。サンプルはまた、2価カチオンおよび1価カチオン(Na、Mg2+、およびKが挙げられるが、これらに限定されない)の適切な濃度を含むべきである。好ましくは、サンプルは、上記サンプル内に含まれる任意の病原体細胞の生存性を維持する温度で維持される。
好ましくは検出アッセイ全体を通じて、上記サンプルは、上記サンプルに存在する任意の病原体細胞の生存性を維持する温度で維持される。バクテリオファージが細菌細胞に付着している工程の間に、上記サンプルを、バクテリオファージ付着を促進する温度で維持することは、好ましい。バクテリオファージが感染細菌細胞内で複製されているかもしくはこのような感染細胞を溶解する工程の間に、上記サンプルを、バクテリオファージ複製および上記宿主の溶解を促進する温度で維持することは好ましい。このような温度は、少なくとも約25摂氏度(C)、より好ましくは、約45℃以下、最も好ましくは約37℃である。上記サンプルが、バクテリオファージ付着、複製および細胞溶解の間に穏やかな混合もしくは振盪に供されることもまた好ましい。
アッセイは、種々の適切なコントロールサンプルを含み得る。例えば、バクテリオファージを含まないコントロールサンプルまたは細菌なしのバクテリオファージを含むコントロールサンプルは、バックグラウンドシグナルレベルに関するコントロールとしてアッセイされ得る。
(インジケーターバクテリオファージ)
本明細書でより詳細に記載されるように、本発明の組成物、方法、システムおよびキットは、病原性微生物の検出において使用するための感染性因子を含み得る。ある種の実施形態において、本発明は、組換えインジケーターバクテリオファージを含み、ここで、バクテリオファージゲノムはインジケーターまたはレポーター遺伝子を含むように遺伝的に改変される。いくつかの実施形態において、本発明は、バクテリオファージのゲノムに組み込まれるインジケーター遺伝子を有する組換えバクテリオファージを含む組成物を含み得る。
組換えインジケーターバクテリオファージは、レポーターまたはインジケーター遺伝子を含み得る。上記感染性因子のある種の実施形態において、上記インジケーター遺伝子は、融合タンパク質をコードしない。例えば、ある種の実施形態において、宿主細菌の感染後のバクテリオファージ複製の間の上記インジケーター遺伝子の発現は、可溶性インジケータータンパク質生成物を生じる。ある種の実施形態において、上記インジケーター遺伝子は、上記バクテリオファージの後期遺伝子領域に挿入され得る。後期遺伝子は構造タンパク質をコードするので、他のファージ遺伝子より高レベルで一般的に発現される。後期遺伝子領域はクラスIII遺伝子領域であってよく、主要カプシドタンパク質のための遺伝子を含み得る。
いくつかの実施形態は、上記主要カプシドタンパク質遺伝子の下流に相同組換えのための配列を設計する(および、任意選択で調製する)ことを含む。いくつかの実施形態において、上記配列は、非翻訳領域の後にコドン最適化レポーター遺伝子を含む。非翻訳領域は、ファージ後期遺伝子プロモーターおよびリボソーム進入部位を含み得る。
いくつかの実施形態において、インジケーターバクテリオファージは、T7、T4または別の類似のファージに由来する。インジケーターバクテリオファージは、T4様、T7様、ViI、ViI様、CBA120、または、T7、T7様、T4、T4様、CBA120、ViIもしくはViI様(または、GenBank/NCBIによるVi1ウイルス様)バクテリオファージと少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の相同性を有するゲノムを有する別のバクテリオファージにも由来し得る。いくつかの実施形態において、インジケーターファージは、特定の病原性微生物に高度に特異的なバクテリオファージに由来する。遺伝的改変は野生型遺伝子の欠失を回避することができ、したがって、改変されたファージは多くの市販のファージよりも野生型感染性因子に類似のままでいることができる。環境に由来するバクテリオファージは、環境中で見いだされる細菌に対し、より特異的であり得、このように、市販のファージとは遺伝子的に異なり得る。
さらに、非必須であると考えられるファージ遺伝子は、認識されていない機能を有し得る。例えば、見かけは非必須の遺伝子は、アセンブリにおける巧妙な切断、適合、もしくはトリミング機能など、バーストサイズを上昇させることにおいて重要な機能を有し得る。それゆえ、遺伝子を欠失させてインジケーターを挿入することは、有害であり得る。大部分のファージは、それらの天然のゲノムより数パーセント大きいDNAをパッケージし得る。この考察では、より小さなインジケーター遺伝子は、バクテリオファージ(特に、より小さなゲノムを有するバクテリオファージ)を改変するためのより適切な選択であり得る。OpLucおよびNANOLUC(登録商標)タンパク質は、わずか約20kDa(コードするのに約500〜600bp)である一方で、FLucは、約62kDa(コードするのに約1,700bp)である。比較のために、T7のゲノムは約40kbpである一方で、T4ゲノムは、約170kbpであり、CBA120のゲノムは約157kbpである。さらに、レポーター遺伝子は細菌によって内因的に発現されるべきでなく(すなわち、細菌ゲノムの一部でない)、高いシグナル対バックグラウンド比を生成するべきであり、タイムリーに容易に検出可能であるべきである。PromegaのNANOLUC(登録商標)は、改変されたOplophorus gracilirostris(深海エビ)ルシフェラーゼである。いくつかの実施形態において、PromegaのNANO−GLO(登録商標)、イミダゾピラジノン基質(フリマジン)と組み合わせたNANOLUC(登録商標)は、低いバックグラウンドで頑健なシグナルを提供し得る。
いくつかのインジケーターファージ実施形態において、上記インジケーター遺伝子は、野生型ファージ遺伝子を無傷のままにして、機能的遺伝子の破壊を回避するために非翻訳領域へと挿入され得、これは、非実験室株の細菌に感染させる場合に、より大きな適合をもたらし得る。さらに、3つ全てのリーディングフレームに終止コドンを含めることは、リードスルー(発現漏れ(leaky expression)としても公知)を低減することによって、発現を増加させる一助になり得る。このストラテジーはまた、上記ファージから分離できないバックグラウンドシグナル(例えば、ルシフェラーゼ)として現れる融合タンパク質が低レベルで作られるという可能性を排除し得る。
インジケーター遺伝子は、種々の生体分子を発現し得る。上記インジケーター遺伝子は、検出可能な生成物を発現する遺伝子もしくは検出可能な生成物を生成する酵素である。例えば、一実施形態において、上記インジケーター遺伝子は、ルシフェラーゼ酵素をコードする。種々のタイプのルシフェラーゼが使用され得る。代替の実施形態において、および本明細書でより詳細に記載されるように、ルシフェラーゼは、Oplophorusルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、Luciaルシフェラーゼ、Renillaルシフェラーゼまたは工学技術で作製された(engineered)ルシフェラーゼのうちの1種である。いくつかの実施形態において、ルシフェラーゼ遺伝子はOplophorusに由来する。いくつかの実施形態において、インジケーター遺伝子は、NANOLUC(登録商標)などの遺伝的に改変されたルシフェラーゼ遺伝子である。
従って、いくつかの実施形態において、本発明は、上記後期(クラスIII)遺伝子領域において非バクテリオファージインジケーター遺伝子を含む遺伝的に改変されたバクテリオファージを含む。いくつかの実施形態において、上記非天然のインジケーター遺伝子は、後期プロモーターの制御下にある。ウイルス後期遺伝子プロモーターを使用することは、上記レポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ)がウイルスカプシドタンパク質のように、高レベルで発現されるのみならず、内因性細菌遺伝子もしくはさらには初期ウイルス遺伝子のように停止もされないことを確実にする。
いくつかの実施形態において、上記後期プロモーターは、T4様、T7様もしくはViI様プロモーター、または選択された野生型ファージにおいて見いだされる、すなわち、遺伝的改変なしの、プロモーターに類似の別のファージプロモーターである。上記後期遺伝子領域は、クラスIII遺伝子領域であり得、上記バクテリオファージは、T7、T4、T4様、ViI、ViI様、CBA120バクテリオファージ、またはT7、T4、T4様、ViI、ViI様もしくはCBA120ファージと少なくとも70、75、80、85、90もしくは95%の相同性を有するゲノムを有する別の天然のバクテリオファージに由来し得る。好ましい実施形態において、上記インジケーター遺伝子は、融合タンパク質をコードしない。
感染性因子に対する遺伝的改変は、核酸の小さなフラグメント、遺伝子の実質的部分、もしくは遺伝子全体の挿入、欠失、もしくは置換を含み得る。いくつかの実施形態において、挿入もしくは置換された核酸は、非天然の配列を含む。非天然のインジケーター遺伝子は、バクテリオファージプロモーターの制御下にあるように、バクテリオファージゲノムへと挿入され得る。いくつかの実施形態において、上記非天然のインジケーター遺伝子は、融合タンパク質の一部ではない。すなわち、いくつかの実施形態において、遺伝的改変は、上記インジケータータンパク質生成物が上記野生型のバクテリオファージのポリペプチドを含まないように構成され得る。いくつかの実施形態において、上記インジケータータンパク質生成物は、可溶性である。いくつかの実施形態において、本発明は、目的の細菌を検出するための方法を包含し、上記方法は、試験サンプルをこのような組換えバクテリオファージとともにインキュベートする工程を包含する。
いくつかの実施形態において、宿主細菌の感染後の子孫バクテリオファージにおけるインジケーター遺伝子の発現は、遊離の可溶性タンパク質生成物をもたらす。いくつかの実施形態において、上記非天然のインジケーター遺伝子は、ファージ構造タンパク質をコードする遺伝子と連結していないので、融合タンパク質を生じない。上記カプシドタンパク質への検出部分の融合(すなわち、融合タンパク質)を使用するシステムとは異なり、本発明のいくつかの実施形態は、可溶性ルシフェラーゼを発現する。これは、上記アッセイの感度を大いに増加させ得(単一細菌に至るまで)、上記アッセイを単純化し、検出可能な融合タンパク質を生成する構築物とともに必要とされるさらなる精製工程に起因する数時間とは対照的に、いくつかの実施形態に関しては1時間未満で上記アッセイか完了することを可能にする。さらに、融合タンパク質は、例えば、酵素活性部位のコンホメーションもしくは基質へのアクセスを変化させ得るタンパク質折り畳みの制約に起因して、可溶性タンパク質より活性が低い場合がある。
さらに、定義による融合タンパク質は、上記バクテリオファージにおけるタンパク質のサブユニットに付着される部分の数を制限する。例えば、融合タンパク質のためのプラットフォームとして働くように設計された市販のシステムを使用すると、各T7バクテリオファージ粒子において遺伝子10Bカプシドタンパク質の約415コピーに相当する、融合部分の約415コピーが生じる。この制約がなければ、感染した細菌は、上記バクテリオファージに適合し得るより多くの上記検出部分(例えば、ルシフェラーゼ)のコピーを発現すると予測され得る。さらに、大きな融合タンパク質(例えば、カプシド−ルシフェラーゼ融合物)は、上記バクテリオファージ粒子のアセンブリを阻害し得、そのようにして、より少ないバクテリオファージ子孫を生じる。従って、可溶性の非融合インジケーター遺伝子生成物が好ましいものであり得る。
いくつかの実施形態において、上記インジケーターファージは、検出可能な酵素などのレポーターをコードする。上記インジケーター遺伝子産物は、光を生じ得、そして/または色の変化によって検出可能であり得る。種々の適切な酵素は、市販されている(例えば、アルカリホスファターゼ(AP)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、もしくはルシフェラーゼ(Luc))。いくつかの実施形態において、これらの酵素は、上記インジケーター部分として働き得る。いくつかの実施形態において、ホタルルシフェラーゼは、上記インジケーター部分である。いくつかの実施形態において、Oplophorusルシフェラーゼは、上記インジケーター部分である。いくつかの実施形態において、NANOLUC(登録商標)は、上記インジケーター部分である。他の工学技術で作製されたルシフェラーゼもしくは検出可能なシグナルを生成する他の酵素もまた、適切なインジケーター部分であり得る。
いくつかの実施形態では、可溶性検出部分の使用は、汚染している親ファージを、上記感染したサンプル細胞の溶解物から除去する必要性を排除する。融合タンパク質システムを用いると、サンプル細胞に感染させるために使用される任意のバクテリオファージは、付着される検出部分を有し、上記検出部分も含む娘バクテリオファージから区別できない。サンプル細菌の検出は、新たに作り出された(デノボ合成された)検出部分の検出に依拠するので、融合構築物の使用は、古い(親)部分を新たに作り出された(娘バクテリオファージ)部分から分離するためにさらなる工程を要する。これは、上記バクテリオファージの生活環の完了の前に、上記感染した細胞を複数回洗浄する工程、物理的もしくは化学的手段によって感染後に過剰な親ファージを不活性化する工程、および/または上記親バクテリオファージを結合部分(例えば、ビオチン)で化学的に改変する工程(これは、次いで、結合および分離され得る(例えば、ストレプトアビジン被覆セファロースビーズによって))によって達成され得る。しかし、除去時にすべてのこれら試みを使用したとしても、親ファージは、少ない数のサンプル細胞の感染を保証するために高濃度の親ファージが使用される場合に残存することができ、感染した細胞の子孫ファージからのシグナルの検出を不明確にし得るバックグラウンドシグナルを作り出す。
対照的に、本発明のいくつかの実施形態において発現される可溶性検出部分を用いると、最終溶解物からの上記親ファージの精製は不要である。なぜなら上記親ファージは、付着されるいかなる検出部分をも有しないからである。従って、感染後に存在する任意の検出部分は、感染した1個もしくは複数の細菌の存在を示して、新たに作り出されていなければならない。この利益を利用するために、親ファージの生成および調製は、細菌培養物中での親バクテリオファージの生成の間に生成された任意の遊離検出部分からの上記ファージの精製を含み得る。標準的なバクテリオファージ精製技術は、本発明に従うファージのいくつかの実施形態を精製するために使用され得る(例えば、スクロース密度勾配遠心分離、塩化セシウム等密度(isopycnic)密度勾配遠心分離、HPLC、サイズ排除クロマトグラフィー、および透析または派生技術(例えば、Amiconブランドの濃縮器 − Millipore, Inc.)。塩化セシウム等密度超遠心分離は、親ファージ粒子を、上記細菌宿主中のファージの増殖の際に生成される汚染するルシフェラーゼタンパク質から分離するために、本発明の組換えファージの調製の一部として用いられ得る。このようにして、本発明の親組換えバクテリオファージは、上記細菌における生成の間に生成される任意のルシフェラーゼが実質的ない。上記ファージストックに存在する残りのルシフェラーゼの除去は、上記組換えバクテリオファージが試験サンプルとともにインキュベートされる場合に観察されるバックグラウンドシグナルを実質的に低減し得る。
改変されたバクテリオファージのいくつかの実施形態において、上記後期プロモーター(クラスIIIプロモーター、例えば、T7、T4もしくはViI由来のもの)は、上記バクテリオファージ粒子へとアセンブルされる構造タンパク質の遺伝子を転写する同じバクテリオファージのRNAポリメラーゼに対して高いアフィニティーを有する。これらのタンパク質は、各バクテリオファージ粒子が、これら分子の数十個もしくは数百個ものコピーを含むので、上記ファージによって作られる最も豊富なタンパク質である。ウイルス後期プロモーターの使用は、最適には、上記ルシェラーゼ検出部分の発現の高レベルを確実にし得る。上記インジケーターファージが由来する元の野生型バクテリオファージに由来するか、これに特異的か、もしくはこれの下で活性である後期ウイルスプロモーター(例えば、T4ベースの、T7ベースの、もしくはViIベースのシステムに伴うT4もしくはT7後期プロモーター)の使用は、上記検出部分の最適な発現をさらに確実にし得る。標準的な細菌(非ウイルス/非バクテリオファージ)プロモーターの使用は、いくつかの場合では、発現に有害であり得る。なぜならこれらのプロモーターは、バクテリオファージ感染の間に(上記バクテリオファージがファージタンパク質生成のための細菌資源を優先するために)しばしばダウンレギュレートされるからである。従って、いくつかの実施形態において、上記ファージは、好ましくは、発現をファージ構造構成要素のサブユニットの数に制限しないゲノム内での配置を用いて、可溶性(遊離)インジケーター部分をコードし、高レベルで発現するように操作されている。
本発明の組成物は、1種または複数種の野生型または遺伝的に改変された感染性因子(例えば、バクテリオファージ)および1種または複数種のインジケーター遺伝子を含み得る。いくつかの実施形態において、組成物は、同じまたは異なるインジケータータンパク質をコードおよび発現し得る、異なるインジケーターファージのカクテルを含み得る。
(インジケーターバクテリオファージを調製する方法)
インジケーターバクテリオファージを作製する方法の実施形態は、遺伝的改変のための野生型バクテリオファージの選択から始める。いくつかのバクテリオファージは、標的細菌に高度に特異的である。このことは、高度に特異的な検出の機会を提供する。
従って、本発明の方法は、シグナルを増幅し、それによってサンプルに存在する低レベルの微生物(例えば、単一微生物)を検出する手段として、目的の特定の微生物を認識しかつこれに結合する、感染性因子と関連した、結合因子の高い特異度を利用する。例えば、感染性因子(例えば、バクテリオファージ)は、特定の微生物の表面レセプターを特異的に認識し、従って、それらの微生物に特異的に感染する。よって、これらの感染性因子は、目的の微生物を標的とするために適した結合因子であり得る。
種々の感染性因子が使用され得る。代替の実施形態において、バクテリオファージ、ファージ、マイコバクテリオファージ(例えば、TBおよびパラTBに関して)、マイコファージ(例えば、真菌に関して)、マイコプラズマファージ、および生きている細菌、真菌、マイコプラズマ、原生動物、酵母、および他の顕微鏡レベルの生物に侵入し得る任意の他のウイルスは、目的の微生物を標的とするために使用され得る。例えば、一実施形態において、上記目的の微生物が細菌である場合、上記感染性因子は、バクテリオファージを含み得る。例えば、E. coliの十分に研究されたファージとしては、T1、T2、T3、T4、T5、T7、およびラムダが挙げられる;ATCCコレクションの中で入手可能な他のE. coliファージとしては、例えば、phiX174、S13、Ox6、MS2、phiV1、fd、PR772、およびZIK1が挙げられる。本明細書で考察されるように、バクテリオファージは、上記細菌の内部で複製して数百もの子孫ファージを生成し得る。上記バクテリオファージゲノムに挿入されたインジケーター遺伝子の生成物の検出は、上記サンプル中の細菌の尺度として使用され得る。
本発明のいくつかの実施形態は、感染させて、目的の細菌の検出を容易にするための迅速かつ高感度の標的化のために、組換えバクテリオファージの結合の特異性および高レベルの遺伝子発現能を利用する。いくつかの実施形態において、CBA120バクテリオファージは、レポーター遺伝子を含むように遺伝的に改変される。いくつかの実施形態において、バクテリオファージの後期遺伝子領域が、レポーター遺伝子を含むように遺伝的に改変される。いくつかの実施形態において、レポーター遺伝子は、主要カプシド遺伝子の下流に配置される。他の実施形態において、レポーター遺伝子は、主要カプシド遺伝子の上流に配置される。
組換えインジケーターバクテリオファージを調製する方法のいくつかの実施形態は、標的病原性細菌に特異的に感染する野生型バクテリオファージを選択する工程、インジケーター遺伝子を含む相同組換えプラスミド/ベクターを調製する工程、相同組換えプラスミド/ベクターを標的病原性細菌に形質転換する工程、形質転換された標的病原性細菌に、選択された野生型バクテリオファージを感染させ、それによって、プラスミド/ベクターとバクテリオファージゲノムとの間で相同組換えを起こさせる工程、および組換えバクテリオファージの特定のクローンを単離する工程を含む。
相同組換えプラスミドを設計し、調製する種々の方法が公知である。熱ショック、F線毛媒介細菌接合、エレクトロポレーションおよび他の方法を含めて、プラスミドで細菌を形質転換するための種々の方法が公知である。相同組換えの後、特定のクローンを単離するための種々の方法も公知である。本明細書に記載されるいくつかの方法の実施形態は、特定の戦略を利用する。
従って、インジケーターバクテリオファージを調製する方法のいくつかの実施形態は、標的病原性細菌に特異的に感染する野生型バクテリオファージを選択する工程、選択されたバクテリオファージのゲノムの後期領域中の天然の配列を決定する工程、ゲノムを注釈し、選択されたバクテリオファージの主要カプシドタンパク質遺伝子を同定する工程、主要カプシドタンパク質遺伝子に隣接した相同組換えのための配列を設計する工程であって、配列がコドン最適化レポーター遺伝子を含む工程、相同組換えのために設計された配列をプラスミド/ベクターに組み込む工程、プラスミド/ベクターを標的病原性細菌に形質転換する工程、形質転換された細菌について選択する工程、形質転換された細菌に、選択された野生型バクテリオファージを感染させ、それによって、プラスミドとバクテリオファージゲノムとの間で相同組換えを起こさせる工程、結果として生じる組換えバクテリオファージ溶解物の力価を決定する工程、および組換えバクテリオファージを富化し、単離するために限界希釈アッセイを行う工程を含む。いくつかの実施形態は、第1の限界希釈アッセイの後に、組換えバクテリオファージが混合物の検出可能な割合を表すまで、必要に応じて限界希釈および力価工程を繰り返すことをさらに含む。例えば、いくつかの実施形態において、組換えバクテリオファージの特定のクローンを単離する前に、混合物中のバクテリオファージの少なくとも1/30が組換え型になるまで、限界希釈および力価工程が繰り返され得る。1:30の組換え型:野生型の比は、96プラーク(例えば、96ウェルプレートにおいて)あたり平均3.2形質導入単位(TU)を与えると予測される。従って、ポアソン分布により、1:30の比は、96ウェルのいずれかにおいて少なくとも1TUを観察する96%の可能性をもたらす。
図1は、野生型CBA120バクテリオファージゲノムの概略図を示す。後期遺伝子クラスター110が同定され、後期遺伝子領域中のオープンリーディングフレーム120(ORF)が注釈された。主要カプシドタンパク質130(MCP)のためのORF187/gp23推定遺伝子が同定され、その配列は、後期遺伝子クラスター中の下流配列とともに、所望のレポーター遺伝子を有する組換えプラスミドを調製するために使用された。
組換えインジケーターバクテリオファージを調製する方法のいくつかの実施形態は、組換えゲノムを生成するために野生型バクテリオファージゲノムで容易に組み換え得るプラスミドを設計することを含む。プラスミドの設計において、いくつかの実施形態は、ルシフェラーゼ遺伝子などのコドン最適化レポーター遺伝子の付加を含む。いくつかの実施形態は、上流の非翻訳領域へのエレメントへの付加をさらに含む。例えば、CBA120ゲノムで組み換えるためのプラスミドの設計では、gp23/主要カプシドタンパク質のC末端をコードする配列とNANOLUC(登録商標)レポーター遺伝子の開始コドンとの間に上流非翻訳領域を付加し得る。非翻訳領域は、プロモーター、例えばT4、T4様、T7、T7様、CBA120、ViIまたはViI様プロモーターを含み得る。非翻訳領域は、細菌システムで「シャインダルガルノ配列」としても公知である、リボソーム進入/結合部位(RBS)を含むこともできる。これらのエレメントのいずれかまたは両方、または他の非翻訳エレメントは、ファージゲノムの残りとほぼ同じGC含量を含むランダム配列でできている短い上流非翻訳領域の中に埋め込まれ得る。ランダム領域はATG配列を含むべきでないが、その理由は、それが開始コドンとして作用するからである。
プラスミドを調製するために、多数の公知の方法および商品がある。例えば、プラスミドを調製するために、PCR、部位特異的変異誘発、制限消化、ライゲーション、クローニングおよび他の技法が組み合わせて使用され得る。合成プラスミドを商業的に注文することもできる(例えば、GeneWiz)。バクテリオファージゲノムを選択的に編集するために、コスミドを用いることもでき、または、CRISPR/CAS9システムも使用され得る。
図2は、組換えバクテリオファージを生成するために、CBA120バクテリオファージゲノムで組み換えるように設計されたプラスミドの実施形態を示す。この特定のプラスミドは、pUC57.HR.CBA120.NanoLucと称される。検出/インジケーター部分は、NANOLUC(登録商標)レポーター遺伝子941〜1540によってコードされる。挿入断片(396〜1883)は、pUC57の標準のAmpRバージョンにある。主要カプシドタンパク質C末端断片は、396〜895、ORF187/gp23によって表される。5’非翻訳領域の中のT4様ファージ後期プロモーターコンセンサス配列(902〜912)とシャインダルガルノのリボソーム進入/結合部位(927〜934)は、896〜940で表される。コドン最適化NANOLUC(登録商標)レポーター遺伝子は、941〜1540で表される。非翻訳領域(UTR)およびORF185の仮定のタンパク質N末端断片は、1541〜1838で表される。転写ターミネーター(1839〜1883)は、プラスミドだけにあり、組換えの結果としてファージゲノムの一部にならない。
ORF187/gp23断片396−895は、ビリオンタンパク質をコードする構造遺伝子の一部である。これらのビリオンタンパク質が非常に高レベルで発現されるので、この領域に挿入される任意の遺伝子は、後期遺伝子プロモーターおよび/もしくは他の類似の制御エレメントが使用される限りにおいて、類似の発現レベルを有すると予測され得る。
図3は、図2のプラスミドと図1のバクテリオファージゲノムとの間で、ルシフェラーゼ遺伝子を発現する組換えバクテリオファージを生み出すと予測される相同組換えの概略図を示す。組換えバクテリオファージを生成するための相同組換えのこの実施形態において、CBA120ファージゲノムは157,304塩基対であるが、合成されるプラスミドは4,117塩基対である。組換えからもたらされる最終組換えゲノムは、157,949塩基対である。
いくつかの実施形態において、本発明によるインジケーターファージは、ルシフェラーゼ遺伝子などのレポーター遺伝子を含むように遺伝子操作されるCBA120バクテリオファージを含む。例えば、インジケーターファージは、ゲノムがNANOLUC(登録商標)遺伝子の配列を含む、CBA120バクテリオファージであってもよい。組換えCBA120バクテリオファージゲノムは、T4、T7、CBA120、ViIまたは別の後期プロモーターをさらに含み得る。
従って、図3に図示される組換えの結果として生成される組換えファージの実施形態において、インジケーター遺伝子(すなわち、NANOLUC(登録商標))は主要カプシドタンパク質をコードする遺伝子の直ぐ下流の後期遺伝子領域の中に挿入され、従って、NANOLUC(登録商標)遺伝子を含む組換えバクテリオファージゲノムを生み出す。構築物は、コンセンサスT4、T7、CBA120、ViIまたは別の後期プロモーター、またはルシフェラーゼ遺伝子の転写および発現を駆動する別の適するプロモーターをさらに含み得る。構築物は、いくつかのUTRから合成された複合非翻訳領域も含み得る。この構築物は、発現がファージディスプレイシステムに固有のカプシドタンパク質の数に制限されないように可溶性ルシフェラーゼが産生されることを確実にする。
図4は、図2に示すプラスミド構築物を使用した、野生型バクテリオファージおよび、図3に図示される相同組換えからもたらされる組換えバクテリオファージの混合物からの組換えファージの単離を示す。
第1の工程402では、相同組換えプラスミドで形質転換された細菌は、バクテリオファージで感染させられ、約120 野生型432:1 組換えファージ434の比を有する親ファージおよび組換えファージの混合物を伴って、子孫ファージを生じる。上記得られる組換えファージミックスは、平均3の組換え形質導入単位(TU)/プレート(これは、1ウェルあたり主に野生型ファージの約3.8の感染単位(IU)に相当する)を与えるために、96ウェルプレート406へと希釈される404。上記96ウェルプレートは、野生型バクテリオファージを含むウェル440と比較して、組換えファージを含むウェル436を同定するためにルシフェラーゼ活性についてアッセイされる。細菌438が添加される408;例えば、各ウェルは、濁ったE. coli O157:H7培養物の約50μLを含み得る。これは、上記ファージが複製してルシフェラーゼ酵素442を生成することを可能にする。410に示される37℃で2時間インキュベートした後、ウェルは、ルシフェラーゼ442の存在についてスクリーニングされ得る。任意の陽性ウェルは、単一組換えファージを播種された可能性があり、この段階において、上記混合物は、元の120:1比を超える富化である、約3.8 野生型ファージ:1 組換えファージの比を含み得る。一実施形態において、可溶性ルシフェラーゼおよびファージは、16 野生型:1 組換えファージというおよその比で存在した。必要な場合(すなわち、組換えファージ:野生型ファージの比が1:30より低い場合)、この富化した培養物412からの子孫は、その比を増大させ、組換えファージ形質導入単位の実際の濃度を決定するために、さらなる限界希釈アッセイ414(複数可)に供され得る。例えば、96ウェルプレート416あたり約3の組換えTUは、第1の精製ストックからアリコートし得414、第2の希釈アッセイプレート420のウェルあたり約20の主に野生型ファージのおよその播種をもたらす。任意の陽性ルシフェラーゼウェルは、約20 野生型ファージとともに、単一組換えファージを播種した可能性がある。これらのウェルは、ルシフェラーゼ442の存在について分析され得る。
細菌の添加およびインキュベーション(例えば、37℃で2時間)418の後に、可溶性ルシフェラーゼおよびファージは、約20 野生型ファージ:1 組換えファージで存在する420。最後に、プラークアッセイは、ルシフェラーゼ446を発現する組換えファージについてスクリーニングするために行われ得る422。個々の(例えば、n=48)プラークの少数を、個々に拾い上げ得、ルシフェラーゼ活性436に関して、第3のマルチウェルプレートにおいてスクリーニングし得る426。一実施形態において、このアプローチは、約3 組換えファージが、スクリーニングされるプラークのミックス中にあることを確実にするはずである。1個のプラークを、上記プレートから96ウェルプレート424の各ウェルへと取り出し得、ルシフェラーゼアッセイを、どのウェルがルシフェラーゼ活性442を示すファージを含んだかを決定するために行い得る426。ルシフェラーゼ活性を示すウェル428は、純粋な組換えファージ434を表す一方で、ルシフェラーゼ活性なしのウェル430は、純粋な野生型ファージ432を表す。
次いで、個々のプラークは、緩衝液(例えば、100μL TMS)もしくは培地中に懸濁され得、アリコート(例えば、約5μL)が濁ったE. coli O157:H7培養物を含むウェルに添加され得、インキュベーション(例えば、37℃で約45分〜1時間)後にアッセイされ得る。陽性ウェルは、組換えファージの純粋培養物を含むと予測される。ある種の実施形態は、プラーク精製のさらなるラウンドを含み得る。
従って、図4に図示されるように、野生型ファージゲノムでの組換えのために設計されたプラスミドの相同組換えによって生成される組換えファージは、全ファージゲノムのうちのわずか0.005%を含む混合物から単離され得る。単離後に、大規模生産を、E.coli O157:H7検出アッセイにおいて使用するために適した高力価組換えインジケーターファージストックを得るために行い得る。さらに、塩化セシウム等密度密度勾配遠心分離は、ファージ粒子を、汚染するルシフェラーゼタンパク質から分離して、バックグラウンドを低減するために使用され得る。
図5は、図3に図示するように、図2に示すプラスミドによる図1に示す野生型CBA120バクテリオファージゲノムの組換えによって生成される、組換えインジケーターバクテリオファージの一実施形態の電子顕微鏡写真を示す。画像を捕捉するために、5〜20%スクロース密度勾配で精製されたバクテリオファージをグロー放電処理炭素フィルムに吸着させ、2%酢酸ウラニルで染色した。サンプルはFEI Tecnai G Spirit BioTwin透過型電子顕微鏡で観察し、顕微鏡写真はEagle(商標)2K CCDでとった。このインジケーターバクテリオファージは「CBA120NanoLuc」(または、「CBA120NanoLucインジケーターファージ」)と称し、本明細書に記載されるアッセイで利用された。本明細書の実施例および図に提供されるデータは、試験されるサンプル中の細菌の感染のためにこのインジケーターファージを使用して得られた。
このようにして、および以下の実施例においてより詳細に記載されるように、野生型バクテリオファージに挿入された目的のレポーター遺伝子(例えば、ホタル、Oplophorusなどのルシフェラーゼ遺伝子またはNANOLUC(登録商標)などの工学技術で作製されたルシフェラーゼ)を有する組換えバクテリオファージを生成することができる。
(微生物を検出するために感染性因子を使用する方法)
本明細書で注記されるように、ある種の実施形態において、本発明は、微生物を検出するための感染性粒子を使用するための方法を包含し得る。本発明の方法は、種々の方法で具現化され得る。
一実施形態において、本発明は、サンプル中の目的の細菌を検出するための方法であって、サンプルを目的の細菌に感染するバクテリオファージとともにインキュベートする工程であって、ここで、バクテリオファージは、インジケーター遺伝子を含み、その結果、目的の細菌の感染後のバクテリオファージ複製の間のインジケーター遺伝子の発現は可溶性インジケータータンパク質生成物を生じる工程、およびインジケータータンパク質生成物を検出する工程であって、ここでインジケータータンパク質生成物の陽性検出は目的の細菌がサンプル中に存在することを示す工程を含む、方法を含み得る。
ある種の実施形態において、異なるサンプルタイプまたはサイズおよびアッセイフォーマットに適合するように改変し得る一般的な概念を利用して、アッセイが行われ得る。本発明の組換えバクテリオファージ(すなわち、インジケーターバクテリオファージ)を用いる実施形態は、サンプルタイプ、サンプルサイズおよびアッセイフォーマットに応じて、1.5時間、2.0時間、2.5時間、3.0時間、3.5時間、4.0時間、4.5時間、5.0時間、5.5時間、6.0時間、6.5時間、7.0時間、7.5時間、8.0時間、8.5時間、9.0時間、9.5時間、10.0時間、10.5時間、11.0時間、11.5時間または12時間未満の合計アッセイ時間で、特異的細菌株の迅速検出を可能にし得る。例えば、必要とされる時間量は、バクテリオファージの株およびこのアッセイで検出される細菌の株、試験されるサンプルのタイプおよびサイズ、標的の生存性のために必要とされる条件、物理的/化学的環境の複雑性、ならびに「内因性」の非標的混在細菌の濃度に応じて、若干より短いかまたは長くてもよい。
図6は、本発明の実施形態による改変されたバクテリオファージを使用した目的の細菌を検出するためのアッセイの実施形態を図示する。インジケーターファージ614のアリコートは、マルチウェルプレート604の個々のウェル602に分配され、次に、細菌612を含む試験サンプルアリコートが添加され、ファージが複製して可溶性インジケーター616(例えば、ルシフェラーゼ)を生成するために十分な期間にわたって(例えば、37℃で45分)インキュベートされる606。プレート618の上でインジケーター活性を測定するために、可溶性インジケーターおよびファージを含むプレートウェル608を次にアッセイすることができる610(例えば、ルシフェラーゼアッセイ)。この方法を利用する実験は、本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、試験サンプルは濃縮されない(例えば、遠心分離によって)が、ある期間にわたってインジケーターファージとともに直接インキュベートされ、その後ルシフェラーゼ活性についてアッセイされる。他の実施形態において、富化の前または試験の前にサンプルを濃縮するために、種々のツール(例えば、遠心機またはフィルター)が使用され得る。例えば、調製されたサンプルの10mLアリコートを抽出し、遠心分離して細胞および大きなデブリをペレットにすることができる。富化のためにまたは試験のために(すなわち、サンプルにインジケーターバクテリオファージを感染させる前に)、ペレットは、より少ない容量に再懸濁され得る。
いくつかの実施形態において、上記サンプルは、成長を助長する条件でのインキュベーションによる試験の前に富化することができる。このような実施形態では、富化期間は、サンプルのタイプおよびサイズに応じて、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間または最高8時間またはそれより長くてもよい。
従って、いくつかの実施形態において、インジケーターバクテリオファージは検出可能なインジケーター部分を含み、単一の病原細胞(例えば、細菌)の感染は、インジケーター部分を介して生成される増幅されたシグナルによって検出され得る。従って、本方法は、ファージ複製の間に生成されるインジケーター部分を検出することを含み得、ここで、インジケーターの検出は、目的の細菌がサンプル中に存在することを示す。
一実施形態において、本発明は、サンプル中の目的の細菌を検出するための方法であって、上記サンプルを、目的の細菌に感染する組換えバクテリオファージとともにインキュベートする工程であって、ここで、上記組換えバクテリオファージは上記バクテリオファージの後期遺伝子領域に挿入されたインジケーター遺伝子を含み、その結果、宿主細菌の感染後のバクテリオファージ複製の間の上記インジケーター遺伝子の発現は可溶性インジケータータンパク質生成物を生じる工程、および上記インジケータータンパク質生成物を検出する工程であって、ここで上記インジケータータンパク質生成物の陽性検出は上記目的の細菌が上記サンプル中に存在することを示す工程を含む、方法を含み得る。いくつかの実施形態において、検出されるインジケーター部分の量は、上記サンプル中に存在する目的の細菌の量に相当する。
本明細書により詳細に記載されるように、本発明の方法およびシステムは、サンプルに存在する細菌に感染させるために、一連の濃度の親のインジケーターバクテリオファージを利用することができる。いくつかの実施形態において、上記インジケーターバクテリオファージは、単一細胞などの上記サンプル中に非常に少ない数で存在する標的細菌を迅速に見いだし、標的細菌に結合し、感染するのに十分な濃度で上記サンプルに加えられる。いくつかの実施形態において、ファージ濃度は、1時間未満で標的細菌を見いだし、標的細菌に結合し、感染するのに十分であり得る。他の実施形態において、これらの事象は、上記サンプルへのインジケーターファージの添加の後、2時間未満、または3時間未満に起こることができる。例えば、ある種の実施形態において、上記インキュベートする工程のためのバクテリオファージ濃度は、1×10PFU/mLより高いか、1×10PFU/mLより高いか、または1×10PFU/mLより高い。
ある種の実施形態において、上記組換え感染性因子は、上記感染性因子ストックの生産の際に生成され得るいかなる残留インジケータータンパク質も含まないように、精製され得る。従って、ある種の実施形態において、上記組換えバクテリオファージは、上記サンプルとともにインキュベートする前に、塩化セシウム等密度密度勾配遠心分離を使用して精製され得る。上記感染性因子がバクテリオファージである場合、この精製は、DNAを有しないバクテリオファージ(すなわち、空のファージまたは「ゴースト」)を除去するという、追加の利点を有し得る。
本発明の方法のいくつかの実施形態において、上記微生物はサンプルからの上記微生物のいかなる単離または精製もなしに、検出され得る。例えば、ある種の実施形態において、1または数個の目的の微生物を含むサンプルは、アッセイ容器(例えば、スピンカラム、マイクロタイターウェル、またはフィルター)に直接適用され得、上記アッセイはそのアッセイ容器の中で行われる。このようなアッセイの種々の実施形態は、本明細書に開示される。
試験サンプルアリコートは、マルチウェルプレートのウェルへと直接分配され得、インジケーターファージが添加され得、そして感染のための十分な期間の後、溶解緩衝液は、インジケーター部分のための基質(例えば、ルシフェラーゼインジケーターのためのルシフェラーゼ基質)と同様に添加され得、インジケーターシグナルの検出のためにアッセイされ得る。本方法のいくつかの実施形態は、フィルタープレートの上で行うことができる。本方法のいくつかの実施形態は、インジケーターファージによる感染の前のサンプルの濃縮の有りまたはなしで行われ得る。
例えば、多くの実施形態において、マルチウェルプレートは、上記アッセイを行うために使用される。プレート(もしくは検出する工程が行われ得る任意の他の容器)の選択は、上記検出する工程に影響を及ぼし得る。例えば、いくつかのプレートは、光の放射の検出に影響を及ぼし得る、着色したもしくは白色のバックグラウンドを含み得る。概して、白色のプレートは、より高い感度を有するが、より高いバックグラウンドシグナルをも生じる。プレートの他の色は、より低いバックグラウンドシグナルを生成し得るが、わずかにより低い感度を有し得る。さらに、バックグラウンドシグナルに関する1つの理由は、1つのウェルから別の隣接するウェルへの光の漏れである。白色のウェルを有するいくつかのプレートがあるが、上記プレートの残りは黒色である。これは、上記ウェルの内部での高いシグナルを可能にするが、ウェルからウェルへの光の漏れを防止し、従って、バックグラウンドを低減し得る。従って、プレートもしくは他のアッセイ容器の選択は、上記アッセイのための感度およびバックグラウンドシグナルに影響を与え得る。
本発明の方法は、感度を増加させるための種々の他の工程を包含し得る。例えば、本明細書でより詳細に考察されるように、上記方法は、過剰な親バクテリオファージおよび/または上記バクテリオファージ調製物を汚染するルシフェラーゼもしくは他のレポータータンパク質を除去するために、上記バクテリオファージを添加した後であるが、インキュベートする前に、上記捕捉されかつ感染した細菌を洗浄する工程を包含し得る。
いくつかの実施形態において、上記目的の微生物の検出は、上記微生物の集団を増加させる方法としての、上記サンプルを培養する必要性なしに、完了し得る。例えば、ある種の実施形態において、検出に必要とされる合計時間は、12.0時間未満、11.0時間、10.0時間、9.0時間、8.0時間、7.0時間、6.0時間、5.0時間、4.0時間、3.0時間、2.5時間、2.0時間、1.5時間、1.0時間、45分または30分未満である。結果までの時間を最小にすることは、病原体に対する食品および環境の試験において重大である。
当該分野で公知のアッセイと対照的に、本発明の方法は、個々の微生物を検出し得る。従って、ある種の実施形態において、上記方法は、サンプルに存在する上記微生物の≦10個の細胞(すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個の微生物)を検出し得る。例えば、ある種の実施形態において、組換えバクテリオファージは、E.coli O157:H7に高度に特異的である。一実施形態において、組換えバクテリオファージは、100を超える他のタイプの細菌の存在下で、E.coli O157:H7を区別し得る。ある種の実施形態において、組換えバクテリオファージは、サンプル中の特異的タイプの単一細菌を検出するために使用することができる。ある種の実施形態において、組換えバクテリオファージは、サンプル中の2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個程度の少なさの特異的細菌を検出する。
従って、本発明の局面は、インジケーター部分を介して試験サンプル中の微生物の検出のための方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記目的の微生物が細菌である場合、上記インジケーター部分は、感染性因子(例えば、インジケーターバクテリオファージ)と関連づけられ得る。上記インジケーター部分は、基質と反応して、検出可能なシグナルを放射してもよいし、内因性のシグナル(例えば、蛍光タンパク質)を放射してもよい。いくつかの実施形態において、上記検出感度は、試験サンプル中の上記目的の微生物の50個、20個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、もしくは2個程度の少なさの細胞の存在を明らかにし得る。いくつかの実施形態において、上記目的の微生物の実に1個の細胞が、検出可能なシグナルを生じ得る。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、T4様またはViI様バクテリオファージである。いくつかの実施形態において、組換えバクテリオファージは、CBA120に由来する。ある種の実施形態において、CBA120組換えバクテリオファージは、E.coli O157:H7に高度に特異的である。
いくつかの実施形態において、上記感染性因子によってコードされる上記インジケーター部分は、上記感染性因子の複製の間もしくは後に検出可能であり得る。インジケーター部分としての使用に適した検出可能な生体分子の多くの異なるタイプが、当該分野で公知であり、多くは市販されている。いくつかの実施形態において、上記インジケーターファージは、酵素を含み、これは上記インジケーター部分として働く。いくつかの実施形態において、上記インジケーターファージのゲノムは、可溶性タンパク質をコードするように改変される。いくつかの実施形態において、上記インジケーターファージは、検出可能な酵素をコードする。上記インジケーターは、光を放射し得る、および/または色の変化によって検出可能であり得る。種々の適切な酵素は、市販されている(例えば、アルカリホスファターゼ(AP)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、もしくはルシフェラーゼ(Luc))。いくつかの実施形態において、これらの酵素は、上記インジケーター部分として働き得る。いくつかの実施形態において、ホタルルシフェラーゼは、上記インジケーター部分である。いくつかの実施形態において、Oplophorusルシフェラーゼは、上記インジケーター部分である。いくつかの実施形態において、NANOLUC(登録商標)は、上記インジケーター部分である。他の工学技術で作製されたルシフェラーゼもしくは検出可能なシグナルを生成する他の酵素はまた、適切なインジケーター部分であり得る。
従って、いくつかの実施形態において、本方法、システムまたはキットの組換えバクテリオファージは、野生型バクテリオファージCBA120から調製される。いくつかの実施形態において、インジケーター遺伝子は、内因性シグナルを放射するタンパク質、例えば、蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質など)をコードする。上記インジケーターは光を放射し得る、および/または色の変化によって検出可能であり得る。いくつかの実施形態において、上記インジケーター遺伝子は、基質と相互作用してシグナルを発生する酵素(例えば、ルシフェラーゼ)をコードする。いくつかの実施形態において、上記インジケーター遺伝子は、ルシフェラーゼ遺伝子である。いくつかの実施形態において、上記ルシフェラーゼ遺伝子は、Oplophorusルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、Renillaルシフェラーゼ、External Gaussiaルシフェラーゼ、Luciaルシフェラーゼまたは工学技術で作製されたルシフェラーゼ、例えばNANOLUC(登録商標)、Rluc8.6−535またはオレンジナノ−ランタンのうちの1つである。
上記インジケーターを検出する工程は、光の放射を検出する工程を包含し得る。いくつかの実施形態において、ルミノメーターは、基質とのインジケーター(例えば、ルシフェラーゼ)の反応を検出するために使用され得る。RLUの検出はルミノメーターで達成することができ、または、他の機械もしくはデバイスもまた、使用され得る。例えば、分光光度計、CCDカメラ、またはCMOSカメラが、色の変化および他の光の放射を検出し得る。検出にとって絶対RLUが重要であるが、単一細胞または少数の細胞が確実に検出されるためにはシグナル対バックグラウンド比も高い(例えば、>2.0、>2.5または>3.0)ことが必要である。
いくつかの実施形態において、上記インジケーターファージは、上記ファージが特異的に認識しかつ感染する細菌の感染の際にのみ生成される酵素(例えば、ルシフェラーゼ)の遺伝子を含むように遺伝子操作される。いくつかの実施形態において、上記インジケーター部分は、ウイルス生活環において後期に発現される。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される場合、上記インジケーターは、可溶性タンパク質(例えば、可溶性ルシフェラーゼ)であり、そのコピー数を制限するファージ構造タンパク質と融合されない。
従って、インジケーターファージを利用するいくつかの実施形態において、本発明は、目的の微生物を検出するための方法を包含し、上記方法は、少なくとも1個のサンプル細菌を捕捉する工程;該少なくとも1個の細菌を、複数のインジケーターファージとともにインキュベートする工程;子孫ファージを生成し、可溶性インジケーター部分を発現するための、感染および複製の時間を与える工程;ならびに上記子孫ファージ、好ましくは上記インジケーターを検出する工程であって、ここで上記インジケーターの検出は、上記細菌が上記サンプルに存在することを示す工程を包含する。
例えば、いくつかの実施形態において、試験サンプル細菌は、プレートの表面に結合することによって、または上記サンプルを細菌学的フィルター(例えば、0.45μm孔サイズのスピンフィルターまたはプレートフィルター)を介してろ過することによって、捕捉され得る。一実施形態において、上記感染性因子(例えば、インジケーターファージ)は、最小限の体積で、上記フィルター上に直接捕捉されたサンプルに添加される。一実施形態において、上記フィルターまたはプレート表面上に捕捉された微生物は、その後、過剰な結合されていない感染性因子を除去するために、1回または複数回洗浄される。一実施形態において、培地(例えば、本明細書でLBとも呼ばれるLuria−Bertaniブロスまたは本明細書でTSBとも呼ばれるTryptic SoyブロスもしくはTryptone Soyブロス)は、細菌細胞およびファージの複製ならびに上記インジケーター部分をコードする遺伝子の高レベル発現を可能にするために、さらなるインキュベーション時間にわたり添加され得る。しかし、試験アッセイのいくつかの実施形態の驚くべき局面は、インジケーターファージによる上記インキュベーション工程が単一のファージ生活環にとって十分長いことのみが必要であるということである。バクテリオファージを使用することの増幅力は、上記ファージが数サイクルにわたって複製するように、より時間を要すると以前は考えられていた。インジケーターファージの単一の複製サイクルが、本発明のいくつかの実施形態に従って高感度かつ迅速検出を容易にするために十分であり得る。
いくつかの実施形態において、細菌を含む試験サンプルのアリコートをスピンカラムに適用し得、組換えバクテリオファージでの感染および任意の過剰なバクテリオファージを除去するための任意選択の洗浄後に、検出される可溶性インジケーターの量は、感染した細菌によって生成されるバクテリオファージの量に比例する。
上記細菌の溶解の際に周囲の液体へと放出された可溶性インジケーター(例えば、ルシフェラーゼ)は、次いで、測定および定量され得る。一実施形態において、上記溶液は、フィルターを通して遠心され、その濾液はアッセイ(例えば、ルミノメーターでの)のために新しい容器に収集され、その後、上記インジケーター酵素のための基質(例えば、ルシフェラーゼ基質)が添加される。あるいは、インジケーターシグナルは、フィルター上で直接測定され得る。
種々の実施形態において、上記精製された親インジケーターファージは、上記検出可能なインジケーター自体を含まない。なぜなら上記親ファージは、これが試験サンプルとともにインキュベーションするために使用される前に精製され得るからである。後期(クラスIII)遺伝子の発現は、ウイルス生活環において後期に起こる。本発明のいくつかの実施形態において、親ファージは、いかなる存在するインジケータータンパク質(例えば、ルシフェラーゼ)をも排除するために精製され得る。いくつかの実施形態において、宿主細菌の感染後のバクテリオファージ複製の間の上記インジケーター遺伝子の発現は、可溶性インジケータータンパク質生成物を生じる。従って、多くの実施形態において、上記検出工程の前に親ファージを子孫ファージから分離することは必須ではない。一実施形態において、上記微生物は、細菌であり、上記インジケーターファージは、バクテリオファージである。一実施形態において、上記インジケーター部分は、可溶性ルシフェラーゼであり、これは、上記宿主微生物の溶解の際に放出される。
従って、代替の一実施形態において、上記インジケーター基質(例えば、ルシフェラーゼ基質)は、フィルター上にあるままであるかまたはプレート表面に結合したままである上記サンプルの一部とともにインキュベートされ得る。よって、 いくつかの実施形態において、上記固体支持体は、96ウェルフィルタープレート(もしくは通常の96ウェルプレート)であり、上記基質反応は、上記プレートを上記ルミノメーターの中に直接置くことによって検出され得る。
例えば、一実施形態において、本発明は、E. coli O157:H7を検出するための方法を包含し得、上記方法は、96ウェルフィルタープレート上に捕捉された細胞に、感染の際にルシフェラーゼを発現し得る複数の親インジケーターファージを感染させる工程;過剰なファージを洗い流す工程;LBブロスを添加し、ファージが複製しかつ上記特定のE. coli標的を溶解する時間を与える工程(例えば、30〜90分);およびルシフェラーゼ基質を添加し、上記96ウェルプレートにおいて直接、ルシフェラーゼ活性を測定することによって上記インジケータールシフェラーゼを検出する工程であって、ここでルシフェラーゼ活性の検出は、上記E. coli O157:H7が上記サンプルに存在することを示す工程を包含する。
別の実施形態において、本発明は、E. coli O157:H7を検出するための方法を包含し得、上記方法は、96ウェルプレート中の液体溶液もしくは懸濁物中の細胞に、感染の際にルシフェラーゼを発現し得る複数の親インジケーターファージを感染させる工程;ファージが複製しかつ上記特定のE. coli標的を溶解する時間(例えば、30〜120分)を与える工程;およびルシフェラーゼ基質を添加し、上記96ウェルプレートにおいて直接、ルシフェラーゼ活性を測定することによって、上記インジケータールシフェラーゼを検出する工程であって、ここでルシフェラーゼ活性の検出は、上記E. coli O157:H7が上記サンプルに存在することを示す工程を包含する。このような実施形態において、捕捉する工程は、必須ではない。いくつかの実施形態において、上記液体溶液もしくは懸濁物は、消費可能な試験サンプル(例えば、野菜洗浄液)であり得る。いくつかの実施形態において、上記液体溶液もしくは懸濁物は、濃縮されたLB Broth、Tryptic/Tryptone Soy Broth、Peptone WaterもしくはNutrient Brothで強化された野菜洗浄液であり得る。いくつかの実施形態において、上記液体溶液もしくは懸濁物は、LBブロス中で希釈された細菌であり得る。
いくつかの実施形態において、上記細菌の溶解は、上記検出工程の前、その間、もしくはその後に起こり得る。実験は、感染した溶解されていない細胞が、いくつかの実施形態において、ルシフェラーゼ基質の添加の際に検出可能であり得ることを示唆する。おそらくは、ルシフェラーゼは、完全な細胞溶解なしに、細胞から出ていき得る、および/またはルシフェラーゼ基質が細胞に入り得る。従って、スピンフィルターシステムを利用する実施形態のために、上記溶解物へと放出されルシフェラーゼのみ(かつルシフェラーゼはさらに無傷の細菌の中にない)が、上記ルミノメーターにおいて分析される場合、溶解は、検出のために必要とされる。しかし、溶液もしくは懸濁物のサンプルとともにフィルタープレートもしくは96ウェルプレートを利用する実施形態のために、無傷の細胞および溶解した細胞で満ちている元のプレートが上記ルミノメーターにおいて直接アッセイされる場合、溶解は、検出に必須ではない。
いくつかの実施形態において、インジケーター部分(例えば、ルシフェラーゼ)と基質との反応は、30分またはそれより長くにわたって続き得、種々の時点での検出は、感度を最適化するために望ましいことであり得る。例えば、上記固体支持体として96ウェルフィルタープレートを、および上記インジケーターとしてルシフェラーゼを使用する実施形態において、ルミノメーター読み取りは、最初に、および10分もしくは15分の間隔で、上記反応が完了するまで行われ得る。
驚くべきことに、試験サンプルに感染させるために利用される高濃度のファージは、非常に短い時間枠で、標的微生物の非常に少数の検出を成功裏に達成した。ファージを試験サンプルとともにインキュベートすることは、いくつかの実施形態において、単一のファージ生活環にとって十分長いことのみを必要とする。いくつかの実施形態において、このインキュベートする工程のためのバクテリオファージの濃度は、7×10、8×10、9×10、1.0×10、1.1×10、1.2×10、1.3×10、1.4×10、1.5×10、1.6×10、1.7×10、1.8×10、1.9×10、2.0×10、3.0×10、4.0×10、5.0×10、6.0×10、7.0×10、8.0×10、9.0×10、もしくは1.0×10 PFU/mLより高い。
ファージのこのような高濃度での成功は驚くべきことである。なぜならファージの多数が、「非感染溶菌」と以前に関連しており、これは、標的細胞を死滅させ、それによって、より早期のファージアッセイからの有用なシグナルの生成を妨げたからである。本明細書で記載される調製されたファージストックの浄化(clean−up)は、この問題を軽減する助けとなると考えられる(例えば、塩化セシウム等密度密度勾配超遠心分離による浄化)。なぜなら上記ファージと関連付けられたいかなる汚染するルシフェラーゼをも除去する工程に加えて、この浄化はまた、ゴースト粒子(ghost particle)(DNAを失った粒子)を除去し得るからである。上記ゴースト粒子は、「非感染溶菌」を介して細菌細胞を溶解し得、上記細胞を早期に死滅させ、それによってインジケーターシグナルの生成を防止することができる。電子顕微鏡法は、粗製のファージ溶解物(すなわち、塩化セシウム浄化前)が50%より多いゴーストを有し得ることを明らかに示す。これらのゴースト粒子は、細胞膜に穴をあける多くのファージ粒子の作用を通じて、上記微生物の早期の死滅に寄与し得る。従って、ゴースト粒子は、高いPFU濃度が有害であると報告された以前の問題の一因であった可能性がある。さらに、非常にきれいなファージ調製物は、上記アッセイが洗浄工程なしで行われることを可能にし、このことは、初期濃縮工程なしで上記アッセイが行われることを可能にする。いくつかの実施形態は初期濃縮工程を含み、いくつかの実施形態において、この濃縮工程はより短い富化インキュベーション時間を可能にする。
試験方法のいくつかの実施形態は、確認アッセイをさらに含み得る。初期の結果を通常後の時点で確認するために、様々なアッセイが当該分野で公知である。例えば、サンプルが培養され得(例えば、実施例4に記載されるCHROMAGAR(登録商標)/DYNABEADS(登録商標)アッセイ)、微生物DNAの存在を確認するためにPCRが利用され得、または、初期の結果を確認するために他の確認アッセイが使用され得る。
図7〜9は、CBA120NanoLucインジケーターファージを使用した、E.coli O157:H7培養物に由来するサンプルでの基本アッセイ(例えば、図6に示すように行われる)からのデータを示す。図7は、3つの異なる感染ファージ濃度、10、10および10ファージ/mLを示す。図8は、0細胞(バックグラウンド)またはより多くの数の細胞と比較して単一細胞からのシグナルの間の有意差を実証するために、示された細胞数ごとに6〜10反復を使用する。図9は、図8に示す実験のシグナル対バックグラウンド比が2.0を超えることを示す。実施例3も、これらの実験を記載する。
(牛肉アッセイ)
食品中のE.coli O157:H7の検出のための既存のプロトコールは、複雑、高価、遅く、労働集約型で偽陽性を起こしやすい。この病原体に特異的な組換えバクテリオファージによる検出は、有効で、速く、単純な代替試験を提供する。
牛肉アッセイの実施形態は、サンプル調製工程を含む。いくつかの実施形態は、富化時間を含み得る。例えば、サンプルのタイプおよびサイズに応じて、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間または8時間の富化が必要であり得る。これらのサンプル調製工程の後、レポーターまたはインジケーターを発現する組換えバクテリオファージの高濃度による感染は、図6に示すものなどの様々なアッセイフォーマットで行われ得る。
牛肉アッセイの実施形態は、産業標準に相当するサンプルサイズにおいて単一の病原性細菌を検出し得、結果までの時間は、サンプルのタイプおよびサイズに応じて20〜50%低減される。
図10〜16は、実施例4に記載されるように、CBA120NanoLucインジケーターバクテリオファージを使用した牛肉アッセイ実験からのデータを示す。
(野菜洗浄アッセイ)
野菜洗浄液を調製するために、野菜の葉(例えば、ホウレンソウもしくはレタス)は秤量され、きれいなプラスチックバッグに加えられ得る。野菜洗浄液に液体を加えることができる。例えば、いくつかの実施形態において、5mLの水が野菜の各グラム(g)あたりに添加される。他の検査液体(例えば、LB)を使用することもできる。葉および溶液を、数分間にわたって手動で混合してもよい。次いで、液体をプラスチックバッグから抜き出し、「野菜洗浄液」として使用することができる。この方法を使用して、約100万個の「内因性の」混在細菌が、1枚のホウレンソウの葉(1〜2g)に存在することが見いだされた。
上記アッセイは、検出されるシグナルが上記サンプル中の目的の細菌の量に比例するという点で定量的である。例えば、既知数のE.coli O157:H7細胞を、病原性細菌を有する野菜の汚染を模倣するために、野菜洗浄液サンプルに添加することができる。実施例5に記載される野菜洗浄液サンプルを使用する実験は、アッセイあたり0個の細胞、1個の細胞および7個の細胞に由来するシグナル間の顕著な差異を実証し、野菜洗浄液中の一桁の細胞数を検出する能力を実証する。アッセイあたりより多くの細菌細胞を使用することは、用量依存性様式でのシグナルの増加を示す。上記野菜洗浄液は、約10個の非標的細菌/mLを含み、このアッセイではサンプルあたり少なくとも10個の非標的細菌に対応する(0細胞E.coli O157:H7コントロールを含む)。1個程度の少なさの標的細菌細胞を10個の非標的細菌から識別する能力は驚くべきことであり、上記アッセイの特異性および感度を再度実証する。図17は、野菜洗浄液実験(実施例5)からのデータを示す。
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される方法のインキュベートする工程は、7×10、8×10、9×10、1.0×10、1.1×10、1.2×10、1.3×10、1.4×10、1.5×10、1.6×10、1.7×10、1.8×10、1.9×10、2.0×10、3.0×10、4.0×10、5.0×10、6.0×10、7.0×10、8.0×10、9.0×10、もしくは1.0×10 PFU/mLより高いバクテリオファージの最終濃度を含む。このような高いファージ濃度は、このようなアッセイに有害なことが以前に報告され、従って、このような高い濃度の良好な使用は予測外の結果をもたらした。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、目的の微生物の検出のために、12時間未満、11時間未満、10時間未満、9時間未満、8時間未満、7時間未満、6時間未満、5時間未満、4時間未満、3時間未満、もしくは2時間未満を要する。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記目的の細菌の100個、50個、20個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、もしくは2個程度の少なさの細胞を検出し得る。これらは、以前に可能と考えられていたより短い時間枠である。いくつかの実施形態において、上記細菌の単一細胞でさえも検出可能である。さらなる実施形態において、本発明は、本明細書で開示される方法を行う、および/もしくは本明細書で記載される改変されたバクテリオファージを使用するための構成要素を含むシステム(例えば、コンピューターシステム、自動化システムもしくはキット)を含む。
(本発明のシステムおよびキット)
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書で開示される方法を行うための構成要素を含むシステム(例えば、自動化システムもしくはキット)を含む。いくつかの実施形態において、本発明によるシステムまたはキットにはインジケーターファージが含まれる。本明細書に記載される方法は、このようなインジケーターファージシステムまたはキットも利用し得る。本明細書で記載されるいくつかの実施形態は、上記方法を行うために必要とされる試薬および材料の最小限の量を考慮すると、自動化もしくはキットに特に適している。ある種の実施形態において、上記キットの構成要素の各々は、第1の部位から第2の部位へと送達可能である自己充足式ユニットを含み得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、サンプル中の目的の微生物の迅速検出のためのシステムもしくはキットを含む。上記システムもしくはキットは、ある種の実施形態において、上記サンプルを上記目的の微生物に特異的な感染性因子とともにインキュベートするための構成要素であって、ここで上記感染性因子はインジケーター部分を含む構成要素、および上記インジケーター部分を検出するための構成要素を含み得る。本発明のシステムおよびキットの両方のいくつかの実施形態において、上記感染性因子は、上記目的の細菌に感染する組換えバクテリオファージであり、上記組換えバクテリオファージは、上記インジケーター部分として上記バクテリオファージの後期遺伝子領域に挿入されたインジケーター遺伝子を含み、その結果、宿主細菌の感染後のバクテリオファージ複製の間の上記インジケーター遺伝子の発現は可溶性インジケータータンパク質生成物を生じる。いくつかのシステムは、上記目的の微生物を固体支持体上に捕捉するための構成要素をさらに含む。
他の実施形態において、本発明は、目的の微生物に特異的な感染性因子構成要素を含む、サンプル中の目的の微生物の迅速検出のための方法、システムまたはキットを含み、ここで、上記感染性因子は、インジケーター部分および上記インジケーター部分を検出するための構成要素を含む。いくつかの実施形態において、バクテリオファージは、T4様、ViI、ViI様またはCBA120バクテリオファージである。一実施形態において、組換えバクテリオファージは、CBA120に由来する。ある種の実施形態において、上記組換えバクテリオファージは、特定の細菌に高度に特異的である。例えば、ある種の実施形態において、上記組換えバクテリオファージは、E.coli O157:H7に高度に特異的である。一実施形態において、上記組換えバクテリオファージは、100を超える他のタイプの細菌の存在下で、E.coli O157:H7を区別し得る。ある種の実施形態において、システムまたはキットは、上記サンプル中の特異的タイプの単一細菌を検出する。ある種の実施形態において、システムまたはキットは、上記サンプル中の2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個程度の少なさの特異的細菌を検出する。
ある種の実施形態において、上記システムおよび/もしくはキットは、上記捕捉された微生物サンプルを洗浄するための構成要素をさらに含み得る。さらにもしくは代わりに、上記システムおよび/もしくはキットは、上記インジケーター部分の量を決定するための構成要素をさらに含み得、ここで検出されるインジケーター部分の量は、上記サンプル中の微生物の量に相当する。例えば、ある種の実施形態において、上記システムもしくはキットは、ルシフェラーゼ酵素活性を測定するための、ルミノメーターもしくは他のデバイスを含み得る。
いくつかのシステムおよび/またはキットにおいて、同じ構成要素は、複数工程(multiple steps)のために使用され得る。いくつかのシステムおよび/またはキットにおいて、上記工程は、ユーザーによってコンピューター入力を介して自動化もしくは制御され、そして/または液体取り扱いロボットが少なくとも1つの工程を行う。
従って、ある種の実施形態において、本発明は、サンプル中の目的の微生物の迅速検出のためのシステムまたはキットを包含し得、上記システムまたはキットは、上記サンプルを上記目的の微生物に特異的な感染性因子とともにインキュベートするための構成要素であって、ここで上記感染性因子はインジケーター部分を含む構成要素;上記微生物を上記サンプルから固体支持体上に捕捉するための構成要素;上記捕捉された微生物サンプルを洗浄して、結合されていない感染性因子を除去するための構成要素;および上記インジケーター部分を検出するための構成要素を含む。いくつかの実施形態において、同じ構成要素は、捕捉する工程および/またはインキュベートする工程および/または洗浄する工程のために使用され得る(例えば、フィルター構成要素)。いくつかの実施形態は、上記サンプル中の上記目的の微生物の量を決定するための構成要素であって、ここで検出されるインジケーター部分の量は、上記サンプル中の微生物の量に相当する構成要素をさらに含む。このようなシステムは、微生物の迅速検出のための方法に関して上記に記載されるものに類似の種々の実施形態および下位実施形態を含み得る。一実施形態において、上記微生物は、細菌であり、上記感染性因子は、バクテリオファージである。コンピューター化システムにおいて、上記システムは、完全に自動化されていても、半自動化されていても、もしくはコンピューターを介してユーザーによって指示されてもよい(もしくはこれらのいくつかの組み合わせ)。
いくつかの実施形態において、上記システムは、上記サンプル中の他の構成要素から上記目的の微生物を単離するための構成要素を含み得る。
一実施形態において、本発明は、目的の微生物を検出するための構成要素を含むシステムまたはキットを包含し、上記システムは、少なくとも1種の微生物を、上記サンプル中の他の構成要素から単離するための構成要素;上記少なくとも1種の微生物に複数の親感染性因子を感染させるための構成要素;上記少なくとも1種の感染した微生物を溶解して、上記微生物に存在する子孫感染性因子を放出するための構成要素;および上記子孫感染性因子を検出するための構成要素、またはより高い感度で、上記感染性因子によってコードされて発現される可溶性タンパク質を検出するための構成要素であって、ここで該感染性因子または該感染性因子の可溶性タンパク質産物は、上記微生物が上記サンプルに存在することを示す構成要素を含む。該感染性因子はCBA120NanoLucを含み得る。
上記システムまたはキットは、子孫感染性因子の検出のために種々の構成要素を含み得る。例えば、一実施形態において、上記子孫感染性因子(例えば、バクテリオファージ)は、インジケーター部分を含み得る。一実施形態において、上記子孫感染性因子(例えば、バクテリオファージ)における上記インジケーター部分は、複製の間に発現される検出可能な部分(例えば、可溶性ルシフェラーゼタンパク質)であり得る。
他の実施形態において、本発明は、サンプル中の目的の微生物の迅速検出のためのキットを包含し得、上記システムは、上記サンプルを上記目的の微生物に特異的な感染性因子とともにインキュベートするための構成要素であって、ここで上記感染性因子はインジケーター部分を含む構成要素;上記微生物を上記サンプルから固体支持体上に捕捉するための構成要素;上記捕捉された微生物サンプルを洗浄して、結合されていない感染性因子を除去するための構成要素;および上記インジケーター部分を検出するための構成要素を含む。いくつかの実施形態において、同じ構成要素は、捕捉する工程および/もしくはインキュベートする工程および/もしくは洗浄する工程のために使用され得る。いくつかの実施形態は、上記サンプル中の上記目的の微生物の量を決定するための構成要素をさらに含み、ここで検出されるインジケーター部分の量は、上記サンプル中の微生物の量に相当する。このようなキットは、微生物の迅速検出の方法に関して上記で記載されるものに類似の種々の実施形態および下位実施形態を含み得る。一実施形態において、上記微生物は細菌であり、上記感染性因子はバクテリオファージである。
いくつかの実施形態において、キットは、上記サンプル中の他の構成要素から上記目的の微生物を単離するための構成要素を含み得る。
本発明のこれらのシステムおよびキットは、種々の構成要素を含む。本明細書で使用される場合、用語「構成要素」とは、広く定義され、記載される方法を実施するための任意の適した装置もしくは適した装置の集まりを含む。上記構成要素は、いかなる特定の方法においても互いに関して一体的に接続される必要も据え付けられる必要もない。本発明は、互いに関して上記構成要素の任意の適切な配置を含む。例えば、上記構成要素は、同じ空間の中に存在する必要はない。しかしいくつかの実施形態において、上記構成要素は、一体ユニットにおいて互いに接続される。いくつかの実施形態において、同じ構成要素は、複数機能を実行し得る。
(コンピューターシステムおよびコンピューター可読媒体)
上記システムは、現在の技術もしくはその構成要素のうちのいずれかにおいて記載されるように、コンピューターシステムの形態で具現化され得る。コンピューターシステムの代表例としては、汎用コンピューター、プログラムされたマイクロプロセッサ、マイクロコントローラー、周辺集積回路素子、および本技術の方法を構成する工程を実装し得る他のデバイスもしくはデバイスの配置が挙げられる。
コンピューターシステムは、コンピューター、入力デバイス、ディスプレイユニット、および/もしくはインターネットを含み得る。上記コンピューターは、マイクロプロセッサをさらに含み得る。上記マイクロプロセッサは、通信バスへと接続され得る。上記コンピューターはまた、メモリを含み得る。上記メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリーメモリ(ROM)を含み得る。上記コンピューターシステムは、記憶デバイスをさらに含み得る。上記記憶デバイスは、ハードディスクドライブもしくはリムーバル記憶デバイス(例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、光学ディスクドライブなど)であり得る。上記記憶デバイスはまた、コンピュータープログラムもしくは他の指示を上記コンピューターシステムへとロードするための他の類似の手段であり得る。上記コンピューターシステムはまた、通信ユニットを含み得る。上記通信ユニットは、I/Oインターフェイスを通じて、上記コンピューターが他のデータベースおよびインターネットに接続することを可能にする。上記通信ユニットは、他のデータベースへの転送、ならびに他のデータベースからのデータの受領を可能にする。上記通信ユニットは、モデム、Ethernet(登録商標)カード、もしくは上記コンピューターシステムをデータベースおよびネットワーク(例えば、LAN、MAN、WANおよびインターネット)に接続することを可能にする任意の類似のデバイスを含み得る。上記コンピューターシステムは、従って、I/Oインターフェイスを介して上記システムへとアクセス可能な入力デバイスを通じてユーザーからの入力を容易にし得る。
コンピューティングデバイスは、代表的には、そのコンピューティングデバイスの一般管理およびオペレーションのための実行可能なプログラム指示を提供するオペレーティングシステムを含み、代表的には、サーバーのプロセッサによって実行される場合に、上記コンピューティングデバイスにその意図された機能を行わせる指示を記憶するコンピューター可読記憶媒体(例えば、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリなど)を含む。上記オペレーティングシステムに適した実装および上記コンピューティングデバイスの一般的な機能性は、公知であるかもしくは市販されており、当業者によって、特に本明細書の開示に鑑みて、容易に実装される。
上記コンピューターシステムは、入力データを処理するために、1以上の記憶素子の中に記憶される一群の指示を実行する。上記記憶素子はまた、記載されるとおりのデータもしくは他の情報を保持し得る。上記記憶素子は、処理機械に存在する情報ソースもしくは物理的メモリ素子の形態にあり得る。
環境は、上記で考察されるとおりの種々のデータストアならびに他のメモリおよび記憶媒体を含み得る。これらは、種々の位置に存在し得る(例えば、上記コンピューターのうちの1以上にローカルな(および/もしくは中に存在する)、またはネットワーク全体にわたって記コンピューターのうちのいずれかもしくはすべてから遠隔にある記憶媒体において)。実施形態の特定の一群において、情報は、当業者が精通しているストレージエリアネットワーク(「SAN」)に存在し得る。同様に、上記コンピューター、サーバー、もしくは他のネットワークデバイスに帰した機能を行うための任意の必須のファイルは、適切な場合、ローカルにおよび/もしくは遠隔に保存され得る。システムが、コンピューティングデバイスを含む場合、各々のこのようなデバイスは、バスを介して電気的に連結され得るハードウェア要素を含み得、上記要素は、例えば、少なくとも1つの中央処理装置(CPU)、少なくとも1つの入力デバイス(例えば、マウス、キーボード、コントローラー、タッチスクリーン、もしくはキーパッド)、および少なくとも1つの出力デバイス(例えば、ディスプレイデバイス、プリンター、もしくはスピーカー)を含む。このようなシステムはまた、1つ以上の記憶デバイス(例えば、ディスクドライブ、光学記憶デバイス、およびソリッドステート記憶デバイス(例えば、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)もしくはリードオンリーメモリ(「ROM」)、ならびにリムーバブルメディアデバイス、メモリカード、フラッシュカードなどを含み得る。
このようなデバイスはまた、コンピューター可読記憶媒体リーダー、通信デバイス(例えば、モデム、ネットワークカード(無線もしくは有線)、赤外線通信デバイスなど)、および上記のとおりのワーキングメモリを含み得る。上記コンピューター可読記憶媒体リーダーは、遠隔、ローカル、固定、および/もしくはリムーバブル記憶デバイスを代表するコンピューター可読記憶媒体、ならびにコンピューター可読情報を一時的におよび/もしくはより恒久的に含む、記憶する、伝達する、および検索するための記憶媒体と接続され得るかまたはこれらを受容するように構成され得る。上記システムおよび種々のデバイスはまた、代表的には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラム(例えば、クライアントアプリケーションもしくはウェブブラウザ)を含む、少なくとも1つのワーキングメモリデバイス内に位置した多くのソフトウェアアプリケーション、モジュール、サービス、もしくは他の要素を含む。代替の実施形態が、上記のものからの多くのバリエーションを有し得ることは認識されるべきである。例えば、カスタマイズされたハードウェアがまた使用され得る、および/または特定の要素が、ハードウェア、ソフトウェア(ポータブルソフトウェア(例えば、アプレット)を含む)、または両方において実装され得る。さらに、他のコンピューティングデバイス(例えば、ネットワーク入力/出力デバイス)への接続が使用され得る。
コード、もしくはコードの一部を含むための非一時的な記憶媒体およびコンピューター可読媒体としては、当該分野で公知であるかもしくは使用される任意の適切な媒体(記憶媒体および通信媒体(例えば、コンピューター可読の指示、データ構造、プログラムモジュール、もしくは他のデータなどの情報の記憶および/または伝達のための任意の方法または技術において実装される、揮発性および不揮発性、リムーバブルおよび非リムーバブルの媒体が挙げられるが、これらに限定されない)を含む)が挙げられ得、これらとしては、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多目的ディスク(DVD)もしくは他の光学記憶、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶もしくは他の磁気記憶デバイス、または所望の情報を記憶するために使用され得、上記システムデバイスによってアクセスされ得る任意の他の媒体が挙げられる。上記開示および本明細書に提供される教示に基づいて、当業者は、上記種々の実施形態を実装するための他のやり方および/または方法を認識する。
コンピューター可読媒体は、プロセッサにコンピューター可読指示を提供することができる電子式、光学式、磁気、もしくは他の記憶デバイスを含み得るが、これらに限定されない。他の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、DVD、磁気ディスク、メモリチップ、ROM、RAM、SRAM、DRAM、連想メモリ(「CAM」)、DDR、フラッシュメモリ(例えば、NANDフラッシュもしくはNORフラッシュ、ASIC、構成されたプロセッサ、光学記憶媒体、磁気テープもしくは他の磁気記憶媒体、またはコンピュータープロセッサが指示を読み得る任意の他の媒体。一実施形態において、上記コンピューティングデバイスは、コンピューター可読媒体(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))の単一タイプを含み得る。他の実施形態において、上記コンピューティングデバイスは、コンピューター可読媒体(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ディスクドライブ、およびキャッシュ)のうちの2またはそれより多くのタイプを含み得る。上記コンピューティングデバイスは、1またはそれより多くの外付けのコンピューター可読媒体(例えば、外付けハードディスクドライブ、または外付けDVDもしくはブルーレイドライブ)と通信状態にあり得る。
上記で考察されるように、上記実施形態は、コンピューター実行可能なプログラム指示を実行および/またはメモリに記憶された情報にアクセスするように構成されているプロセッサを含む。上記指示は、任意の適切なコンピュータープログラミング言語(例えば、C、C++、C#、Visual Basic、Java(登録商標)、Python、Perl、JavaScript(登録商標)、およびActionScript(Adobe Systems, Mountain View, Calif.)が挙げられる)で書かれたコードから、コンパイラおよび/もしくはインタープリターによって生成されたプロセッサ特異的指示を含み得る。一実施形態において、上記コンピューティングデバイスは、単一のプロセッサを含む。他の実施形態において、上記デバイスは、2またはそれより多くのプロセッサを含む。このようなプロセッサは、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および状態機械を含み得る。このようなプロセッサは、プログラマブル電子デバイス(例えば、PLC)、プログラマブル割り込みコントローラー(PIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電子的にプログラム可能なリードオンリーメモリ(electronically programmable read-only memory)(EPROMもしくはEEPROM)、または他の類似のデバイスをさらに含み得る。
上記コンピューティングデバイスは、ネットワークインターフェイスを含む。いくつかの実施形態において、上記ネットワークインターフェイスは、有線もしくは無線の通信リンクを介して通信するように構成されている。例えば、上記ネットワークインターフェイスは、Ethernet(登録商標)、IEEE 802.11(Wi−Fi)、802.16(Wi−Max)、Bluetooth(登録商標)、赤外線などを介して、ネットワーク上での通信を可能にし得る。別の例として、ネットワークインターフェイスは、ネットワーク(例えば、CDMA、GSM(登録商標)、UMTS、もしくは他の携帯通信ネットワーク(cellular communication network))上での通信を可能にし得る。いくつかの実施形態において、上記ネットワークインターフェイスは、別のデバイスでの、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、1394 FireWire、シリアル接続もしくはパラレル接続、または類似のインターフェイスを介したポイントツーポイント接続を可能にし得る。適切なコンピューティングデバイスのいくつかの実施形態は、1以上のネットワーク上での通信のための2以上のネットワークインターフェイスを含み得る。いくつかの実施形態において、上記コンピューティングデバイスは、ネットワークインターフェイスに加えてもしくはその代わりに、データストアを含み得る。
適切なコンピューティングデバイスのいくつかの実施形態は、多くの外付けもしくは内部デバイス(例えば、マウス、CD−ROM、DVD、キーボード、ディスプレイ、オーディースピーカー、1以上のマイクロフォン、または任意の他の入力もしくは出力デバイス)を含み得るかまたはこれらと通信状態にあり得る。例えば、上記コンピューティングデバイスは、種々のユーザーインターフェイスデバイスおよびディスプレイと通信状態にあり得る。上記ディスプレイは、任意の適切な技術(LCD、LED、CRTなどが挙げられるが、これらに限定されない)を使用し得る。
上記コンピューターシステムによる実行のための指示セットは、特定のタスク(例えば、本技術の方法を構成する工程)を行うための処理機械を指示する種々のコマンドを含み得る。上記指示セットは、ソフトウェアプログラムの形態にあり得る。さらには、上記ソフトウェアは、本技術におけるように、別個のプログラムの集まり、より大きなプログラムを有するプログラムモジュールもしくはプログラムモジュールの一部の形態にあり得る。上記ソフトウェアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態でのモジュラープログラミングを含み得る。処理機械による入力データの処理は、ユーザーコマンド、以前の処理の結果、もしくは別の処理機械によって作成されたリクエストに応じ得る。
本発明は、ある種の実施形態を参照して開示されてきた一方で、記載される実施形態に対する多くの改変、変化および変更は、添付の特許請求の範囲で定義されるように、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく可能である。よって、本発明は、上記記載される実施形態に限定されないことは意図されるが、以下の特許請求の範囲の文言およびその均等物によって定義される全範囲を有する。
本明細書で記載される技術の実施形態のうちのいくつかは、以下の番号付けされたパラグラフのうちのいずれかに従って定義され得る:
(パラグラフ1) バクテリオファージCBA120ゲノムの後期遺伝子領域に挿入されたインジケーター遺伝子を含む、組換えバクテリオファージ。
(パラグラフ2) E.coli O157:H7に特異的に感染する、パラグラフ1に記載の組換えバクテリオファージ。
(パラグラフ3) 前記インジケーター遺伝子がコドン最適化され、内因性シグナルを生成する可溶性タンパク質生成物または基質との反応の際にシグナルを生成する可溶性酵素をコードする、パラグラフ1または2に記載の組換えバクテリオファージ。
(パラグラフ4) 前記コドン最適化インジケーター遺伝子の上流に非翻訳領域をさらに含み、該非翻訳領域が、バクテリオファージ後期遺伝子プロモーターおよびリボソーム進入部位を含む、パラグラフ1から3のいずれかに記載の組換えバクテリオファージ。
(パラグラフ5) 組換えインジケーターバクテリオファージを調製する方法であって、
標的病原性細菌に特異的に感染する野生型バクテリオファージを選択する工程、
インジケーター遺伝子を含む相同組換えプラスミド/ベクターを調製する工程、
該相同組換えプラスミド/ベクターを標的病原性細菌に形質転換する工程、
形質転換された該標的病原性細菌に、選択された該野生型バクテリオファージを感染させ、それによって、該プラスミド/ベクターと該バクテリオファージのゲノムとの間で相同組換えを起こさせる工程、および
組換えバクテリオファージの特定のクローンを単離する工程
を含む、方法。
(パラグラフ6) 相同組換えプラスミド/ベクターを調製する工程が、
選択された前記バクテリオファージのゲノムの後期領域中の天然のヌクレオチド配列を決定する工程、
該ゲノムを注釈し、選択された該バクテリオファージの主要カプシドタンパク質遺伝子を同定する工程、
該主要カプシドタンパク質遺伝子の下流に相同組換えのための配列を設計する工程であって、該配列がコドン最適化インジケーター遺伝子を含む工程、および
相同組換えのために設計された該配列をプラスミド/ベクターに組み込む工程
を含む、パラグラフ5に記載の方法。
(パラグラフ7) 配列を設計する工程が、ファージ後期遺伝子プロモーターおよびリボソーム進入部位を含む非翻訳領域を、前記コドン最適化インジケーター遺伝子の上流に挿入することをさらに含む、パラグラフ5または6に記載の方法。
(パラグラフ8) 前記相同組換えプラスミドが、バクテリオファージ後期遺伝子プロモーターおよびリボソーム進入部位を含む非翻訳領域を前記コドン最適化インジケーター遺伝子の上流に含む、パラグラフ5〜7のいずれかに記載の方法。
(パラグラフ9) 前記野生型バクテリオファージがCBA120であり、前記標的病原性細菌がE.coli O157:H7である、パラグラフ5〜8のいずれかに記載の方法。
(パラグラフ10) 組換えバクテリオファージの特定のクローンを単離する工程が、前記インジケーター遺伝子の発現を示すクローンを単離するための限界希釈アッセイを含む、パラグラフ5〜9のいずれかに記載の方法。
(パラグラフ11) サンプル中のE.coli O157:H7を検出するための方法であって、
該サンプルをCBA120に由来する組換えバクテリオファージとともにインキュベートする工程、および
該組換えバクテリオファージによって生成されるインジケータータンパク質生成物を検出する工程であって、ここで該インジケータータンパク質生成物の陽性検出はE.coli O157:H7が該サンプルに存在することを示す工程
を含む、方法。
(パラグラフ12)
前記サンプルが、食品サンプル、環境サンプル、水サンプル、商業サンプル、または臨床サンプルである、パラグラフ11に記載の方法。
(パラグラフ13)
食品安全産業のための標準サイズのサンプル中の10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個程度の少なさの細菌を検出する、パラグラフ11または12に記載の方法。
(パラグラフ14)
前記サンプルが牛肉または野菜を含む、パラグラフ11〜13のいずれかに記載の方法。
(パラグラフ15)
前記サンプルが、9時間またはそれ未満、8時間またはそれ未満、7時間またはそれ未満、6時間またはそれ未満、5時間またはそれ未満、4時間またはそれ未満、3時間またはそれ未満、または2時間またはそれ未満の富化時間の間、成長を有利にする条件で最初にインキュベートされる、パラグラフ11〜14のいずれかに記載の方法。
(パラグラフ16)
結果までの合計時間が、12時間未満、11時間未満、10時間未満、9時間未満、8時間未満、7時間未満、または6時間未満である、パラグラフ11〜15のいずれかに記載の方法。
(パラグラフ17)
前記インジケーターを検出する工程によって生成されるシグナル対バックグラウンドの比が、少なくとも2.0または少なくとも2.5である、パラグラフ11〜16のいずれかに記載の方法。
(パラグラフ18)
CBA120に由来する組換えバクテリオファージを含む、E.coli O157:H7を検出するためのキット。
(パラグラフ19)
前記組換えバクテリオファージによって発現される可溶性タンパク質生成物を検出するための、インジケーターと反応させるための基質をさらに含む、パラグラフ18に記載のキット。
(パラグラフ20)
CBA120に由来する組換えバクテリオファージを含む、E.coli O157:H7を検出するためのシステム。
以下の実施例に示される結果は、結果までの時間が短縮された、少数の細胞、さらに単一細菌の検出を実証する。
(実施例1)
CBA120からのインジケーターファージの創製
図1〜3に図示される以下の詳細な手順を使用した相同組換えを通して、インジケーターファージCBA120NanoLucを創製した。
CBA120バクテリオファージのゲノム配列は、「EscherichiaファージCba120」、ID12291、の下で提出された、National Center for Biotechnology Information’s GenBankで利用可能であった。ゲノムは完全に注釈されていたが、遺伝子のほとんどは「仮定のタンパク質」と表示され、自動化オープンリーディングフレームディスカバー(automated Open Reading Frame discover)が使用されたことを意味する。DNA調節(プロモーター/エンハンサー/オペレーター等)が配列中に規定されていないので、仮定のタンパク質は、開始および終止コドンを有することのみが必要であり、発現されなくてもよい。
後期遺伝子領域は、他のファージゲノムとの比較により決定された。CBA120および全ての他のViI様ファージは、ViI様ファージ群(ViIウイルスまたはVi1ウイルス属)に属し、それはT4様ファージに関係している。バクテリオファージT4は最も研究されたバクテリオファージであり、遺伝子相同体の多くを見いだすことができ、そのように表示された。これは後期遺伝子領域を含み、それは高度に発現されるファージ構造タンパク質からなる。この領域は、NANOLUC(登録商標)レポーター遺伝子の挿入のための標的とされた。主要カプシドタンパク質が、特異的に同定された。主要カプシドタンパク質が最も高い発現を一般的に有するので、主要カプシドタンパク質の直ぐ下流にレポーターを挿入することはレポーターの発現を最大にすることができる。
主要カプシドタンパク質の下流にコドン最適化NANOLUC(登録商標)遺伝子を挿入するように、配列を設計した。図2に図示されるように、相同組換え(HR)プラスミドは、挿入点の上流および下流500bpで当初設計した。レポーターとしてホタルルシフェラーゼを用いた以前のHRプラスミドは形質転換が不良であったが、それはより短い下流領域を使用することにより緩和された。おそらく、細菌に対して、選択された500bpの全領域で毒性作用があった。このように、改変された下流領域は、わずか約300bp伸長する。
上流領域は主要カプシドタンパク質の3’末端からなり、挿入物は終止コドン(TAA)の直後に存在した:配列番号1
これにMluI制限部位が続き、その後T4後期遺伝子プロモーターコンセンサス配列が続いたが、これは、−10σ70因子コンセンサス結合配列(CTAAATAcCcc(配列番号2))からなる。このプロモーターは、公知の−10配列を合成すること(compositing)に基づいて設計された。14個のランダム塩基対後に、リボソーム進入部位であるシャインダルガルノコンセンサス配列(aaggaggt)を挿入し、続いてさらに6つのランダム塩基対を挿入した。他の上流の非翻訳領域に類似のGC含量を保つために、ランダム塩基対が選択された。配列番号3
pNL1.3からの、排出シグナルを有するPromegaのNANOLUC(登録商標)のコドン最適化バージョンを挿入した。配列番号4
これに下流HRセグメントの298bpが続き、これは仮定の遺伝子を含む。配列番号5
これに続いて、コンセンサス転写ターミネーターが終止コドンとともに挿入され、それは、あらゆるリードスルーおよび可能な毒性作用を低減するためにプラスミド上でのみ機能すべきである。相同組換えはHR領域だけで起こるので、転写ターミネーターは組換えファージに含まれるべきでない。配列番号6
完全配列を、プラスミド(GeneWiz)中に合成した。Bio−Rad MicroPulserエレクトロポレーション機器操作指示および適用ガイド(カタログ#165〜2100)に含まれるプロトコールを使用して、以前に調製されたE.coli O157:H7エレクトロポレーションコンピテント細胞に、プラスミドを形質転換させた。
合成されたプラスミドDNA(pUC57.CBA.HR.NanoLuc)(4μgプラスミドDNA)を加圧滅菌ろ過脱イオン水(40μL)に溶解して、100ng/μLストックを作製した。このプラスミド(1μL)を、20μLの解凍された(氷上で)E.coli O157:H7エレクトロポレーションコンピテント細胞(無毒のE.coli O157:H7細菌、ATCC43888に由来する)と混合した。細胞+DNA混合物を氷冷Bio−Rad 0.1cmエレクトロポレーションキュベットに移し、プログラムEc1を使用するMicroPulserエレクトロポレーション機器に供した。混合物を直ちに1mL回収培地(Life Technologies)に移し、42℃、220rpmで1時間インキュベートした。
遠心分離(6800gで2分間)によって濃縮し、100μLに再懸濁させた培養物の1μL、100μLのアリコート、および残りを選択培地(TeknovaからのLB+Amp寒天プレート)の上にプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。
その翌日、100μLのLB+Ampを播種して37℃で2.5時間インキュベートすることによって、23個のコロニー(+1陰性コントロール)をスクリーニングし、次にルシフェラーゼ活性についてスクリーニングした。各培養物の5μLをPromega NANO−GLO(登録商標)ルシフェラーゼアッセイに供し、Promega GLOMAX(登録商標)96ルミノメーターで読み取った。全ての23コロニーは、陽性であった。
トップ3のウェルを混合し、4mLのLB+Ampに播種して、細胞数1.8×10/mlまで成長させた。Kutterラボ(Kutterら、Virology Journal 2011年、8巻:430頁を参照)からの野生型CBA120バクテリオファージを0.1のMOIで細菌に感染させ、相同組換え感染媒体を37℃で3時間インキュベートした。
細菌濃度は、4時間モニタリングした、細菌は2時間で倍加し、その後低下し始め、良好なファージ感染を示した。
(実施例2)
CBA120NanoLucの単離
組換えバクテリオファージゲノムを生成するための相同組換えの後、NANOLUC(登録商標)を発現する特異的組換えバクテリオファージを単離するために、一連の滴定および富化工程を使用した。
プラスミド発現からバックグラウンドNANOLUC(登録商標)シグナルを低減するために、Amicon超濃縮器(Ultra Concentrator)で溶解物をTMSにより3回洗浄し、体積を4mLから500μLに濃縮するために遠心した。TMSを加えて4mLの体積にし、このシリーズを繰り返した。
組換えファージ 対 野生型ファージの最初の比を決定するために、TCID50(50%組織培養感染用量)に基づく限界希釈アッセイを使用して、ともにウイルス粒子もしくはプラーク形成単位の数に類似して、感染単位の濃度(IU/mL)を決定し、ルシフェラーゼ形質導入単位(TU/mL)の数を決定した。これらのアッセイにおいて、上記サンプルを系列希釈し、各希釈物を、E. coli O157:H7細菌を有する複製ウェルへとアリコートした。ルシフェラーゼ活性を示す任意のウェルは、少なくとも1個の組換えファージに感染したはずである。細胞溶解を示す任意のウェルは、少なくとも1個のファージが感染していた。これらの場合のうちの各々が起こった最高希釈に基づいて、元の濃度を逆算した。形質転換した細胞からのこれらの最初のファージ混合物は、代表的には、各組換えファージTUに関して20,000 野生型IUの比を生じた。次いで、上記組換えファージを単離するおよび増幅する工程を行った。
図4に図示されるように、いくつかの実験では、組換えファージを、全ファージのうちの0.83%を含む混合物から単離した。上記ファージ混合物を96ウェルプレートへと希釈して、プレートあたり平均3組換えTUをもたらし、それはウェルあたり主に野生型ファージの約3.8感染単位(IU)に相当する。各ウェルが50μLの濁ったE.coli O157:H7を含むように、細菌を加えた。37℃で2時間のインキュベーションの後、ウェルからサンプル採取し、ルシフェラーゼの存在についてスクリーニングした。任意の陽性ウェルは単一の組換えファージを播種された可能性があり、この段階で、混合物は、1の組換えファージ対3.8の野生型ファージの富化比を有し、これは、元の1:120の比を超える富化である。スクリーニングした96ウェルのうち、7つは陽性だった。この実験で、さらなる限界希釈アッセイの繰り返しは必要でなかった。
プラークアッセイを行った。ここで、プラークを個々に拾い上げ、ルシフェラーゼ形質導入能力についてスクリーニングし、約3の組換え体がスクリーニングされているプラークのミックス中に存在することを保証した。各プラークを、100μL TMSに懸濁し、5μLを濁ったE. coli O157:H7培養物を含むウェルに添加し、ウェルを、45分〜1時間、37℃でのインキュベーション後にアッセイした。
陽性ウェルは、組換えファージの純粋培養物を含むと予測されたが、プラーク精製のさらなるラウンドを行った。最後に、大規模生成を行って、E. coli O157:H7検出アッセイにおける使用に適切な高力価ストックを得た。塩化セシウム等密度密度勾配遠心分離を使用して、ファージ粒子を汚染するルシフェラーゼタンパク質から分離し、バックグラウンドを低下させた。
(実施例3)
CBA120NanoLucインジケーターファージを使用した細菌検出
CBA120NanoLucインジケーターファージを使用したE.coli O157:H7の検出は、図6に示された基本アッセイフォーマットを使用した実験で試験した。第1に、1〜10,000の範囲内の細胞数を培養物からとり、LBの同一のサンプル体積中の10、10および10ファージ/mLを2時間感染させた。溶解緩衝液およびNANO−GLO(登録商標)試薬の添加の後、GLOMAX(登録商標)96機器を使用して反応物を読み取った。図7は、サンプルを感染させるために使用された10ファージ/mLで、シグナル/バックグラウンドの最大比が達成されたことを示す。
図8は、LB中の細胞培養物からの同じ細胞数を各々使用した6〜10反復からのデータを示す。サンプルを感染させるために10ファージ/mLのファージ濃度を使用し、感染細胞は37℃で2時間インキュベートした。溶解緩衝液およびNANO−GLO(登録商標)試薬の添加の後、GLOMAX(登録商標)96機器を使用して反応物を読み取った。図8は、CBA120NanoLucが、バックグラウンドより有意に高いシグナルで単一の(1)細胞を検出できることを示す。
図9は、図8のデータから、CBA120NanoLucが>2.0のシグナル対バックグラウンド比で単一の(1)E.coli O157:H7細胞を検出できることを示す。
E.coli O157:H7を検出するCBA120NanoLucインジケーターファージの性能は、2016年8月1日にAOAC研究所によっても証明された(証明書番号081601)。
(実施例4)
CBA120NanoLucを使用した牛肉アッセイにおける細菌検出
牛肉アッセイでE.coli O157:H7を検出するために、CBA120NanoLucを使用した。牛肉実験の全てのために、50RLUをバックグラウンド値として使用し、バックグラウンド値の3倍を陽性と考えた(すなわち、>150RLUは陽性である、またはシグナル/バックグラウンド>3.0)。下に記載される二次確認方法と比較したとき、偽陽性または陰性はなかった。
25gの牛肉サンプルについて、予め温めたTSB培地(42℃)を1:3のサンプル:培地(25g:75mL)でサンプルに加えた。サンプルを低い設定/または同等条件(low setting/or equivalent)で30秒間ストマッカーとでブレンドし、続いて振盪することなく42℃でインキュベートした。上部を2〜3回折畳み、クリップで閉じることによって、バッグを密閉した。42℃での富化から5時間後(次の工程での10mLアリコートのために)または6時間後(次の工程での1mLアリコートのために)、バッグを静かに揉んで内容物を完全に混合した。
試験のために、1mLまたは10mLのアリコートをバッグから取り出した。これらは、図10〜16の全ての牛肉アッセイ実験のために提示されるデータの中の「1mL濃度」または「10mL濃度」に対応する。
10mLのアリコートを3400gで5分間遠心分離し、上清を捨て、内容物を1mLの予め温めたTSBに再懸濁させた。サンプル中のあらゆる標的細菌に感染させるために、1×10ファージ/mLの10μLを加えることによってCBA120インジケーターファージを加えた。
微量遠心管中のアリコート1mLを最高速度で1分間遠心分離し、上清を捨て、内容物を200μLの予め温めたTSBに再懸濁させた。標的細菌に感染させるために、CBA120インジケーターファージの15μLの1.2×10ファージ/mLを加えた。
CBA120インジケーターファージを有するサンプルを37℃で2時間インキュベートし、短時間ボルテックスし、5〜10秒間遠心分離してペレットデブリにし、150μLのサンプルを96ウェルプレートに移した(デブリペレットを乱さないように注意する)。溶解緩衝液(10μL)を各ウェルに加え、ピペット操作によって穏やかに混合した。新たに調製されたNANO−GLO(登録商標)試薬(50μL)を各ウェルに加え、ピペット操作によって静かに混合した(または、自動注入した)。(NANO−GLO(登録商標)試薬は、NANO−GLO(登録商標)ルシフェラーゼアッセイ緩衝液に1:50でNANO−GLO(登録商標)ルシフェラーゼアッセイ基質を希釈して調製した、例えば、1mLのNANO−GLO(登録商標)試薬を作製するために、20μLのNANO−GLO(登録商標)ルシフェラーゼアッセイ基質を、1mLのNANO−GLO(登録商標)ルシフェラーゼアッセイ緩衝液に加えた。)
基質を添加してから3分後に、プレートをGLOMAX(登録商標)96機器で読み取った。
二次確認方法:
E.coli O157:H7の確認は、O157抗体(DYNABEADS(登録商標)、Life Technologies#71004)でコーティングされた粒子による免疫磁気分離(IMS)を使用し、および選択的プレート(CHROMAGAR(登録商標)プレート、BD#214984)へプレーティングして、一晩富化した培養物で行われた。
確認のために調製するために、サンプルを42℃±1°で一晩インキュベートした(合計18〜24時間またはさらなる13〜19時間)。一晩の培養物から1mLを取り出し、DYNABEADS(登録商標)抗E.coli O157手順が続いた。簡潔には、希釈した一晩の培養物に20μLのIMS粒子を加えて、室温で10分の間インキュベートした。磁石で磁気粒子を3分間単離し、次に洗浄ごとに1mlのPBSで3回洗浄した。最終洗浄後、粒子をCHROMAGAR(登録商標)プレート(BD#214984)へプレーティングして、37℃±1°で18〜24時間インキュベートした。
血清学的確認のために、藤色のコロニー(推定的な陽性)を37℃±1°で一晩(18〜24時間)、TSB培地で培養した。O157およびH7抗原の存在は、凝集アッセイ(Remel Wellcolex E.coli O157:H7 #R30959601)を使用して決定した。一晩の培養物の40μLを使用して、製造業者の指示に従った。結果は、O157および/またはH7抗原の存在または非存在を確認し、E.coli O157:H7についての確認を提供した。
25gの牛肉サンプルからのデータを、図10〜12に示す。図10〜11は富化サンプルの1mL濃度に対応し、図12は10mL濃度に対応する。全ての陽性は、1mL濃度については6時間の富化の後に検出され、10mL濃度については5時間の富化の後に検出された。図11〜12は、DYNABEADS(登録商標)/CHROMAGAR(登録商標)プレーティングによる確認を示す。
より大きな(125g)牛肉サンプルについて、牛挽肉および牛切落し肉の両方で実験を行った。牛切落し肉サンプルが高い設定/または同等条件で少なくとも120秒間のストマッカーによる処理を必要としたことを除いて、手順は類似していた。いずれかのサンプルタイプの富化は42℃で8時間続き、残りの手順は上記の通りだった。
125gの牛肉サンプルからのデータを、図13〜16に示す。図13および15は1mL濃度に対応し、図14および16は10mL濃度に対応する。図15〜16は、DYNABEADS(登録商標)/CHROMAGAR(登録商標)プレーティングによる確認を示す。全ての陽性は、7時間の富化の後に検出された。
(実施例5)
野菜洗浄液アッセイ
ホウレンソウ洗浄液フィルターアッセイからのデータは図17に示し、それは、アッセイが3時間の富化の後に100mLのホウレンソウ洗浄液中のE.coli O157:H7の1細胞を検出することができることを示す。これらの結果は、上の「二次確認方法」に記載されるように、製造業者の指示に従い各サンプルの一晩培養物に対してDYNABEADS(登録商標)/CHROMAGAR(登録商標)検査を使用することによって確認された。
野菜洗浄液を調製するために、野菜の葉(例えば、ホウレンソウもしくはレタス)を秤量し、きれいなプラスチックバッグに加えた。5mLの水を、野菜の各グラム(g)あたりに添加した。葉および溶液を、手動で数分間混合した。次いで、液体を、上記プラスチックバッグから引き抜き、「野菜洗浄液」として使用した。この方法を使用して、約100万個の細菌が、CFUで、1枚のホウレンソウの葉(1〜2g)上に存在することを見出した。
次に、100mLの「野菜洗浄液」を、47mm 0.45μMフィルターを通して真空ろ過した。フィルターを取り出して、小さいシール可能なプラスチックバッグに置いた。予め温めた(42℃)TSB培地(600μL)をバッグに加えてフィルターを覆った。フィルターは、次に弱く撹拌しながら42℃で3時間インキュベートした。富化培地のアリコート(300μL)を確認目的のために取り出した。次に、CBA120NanoLucインジケーターバクテリオファージを1×10ファージ/mLの最終濃度までバッグ中の残りの培地に加え、バッグを静かに撹拌し、続いて37℃で2時間インキュベートした。最後に、感染反応物の100〜150μLを96ウェルプレートに移した。溶解緩衝液(10μL)および調製したNANO−GLO(登録商標)試薬(50μL)を加え、ルミノメーター(GLOMAX(登録商標)96)でサンプルを読み取った。
図17は、DYNABEADS(登録商標)/CHROMAGAR(登録商標)プレーティングからの確認結果を含む、ホウレンソウ洗浄液アッセイからのデータを示す。野菜洗浄液中の10個の非標的細菌から1つの標的細菌細胞を識別する能力は驚くべきであり、アッセイの特異性および感度を再度実証する。

Claims (20)

  1. バクテリオファージCBA120ゲノムの後期遺伝子領域に挿入されたインジケーター遺伝子を含む、組換えバクテリオファージ。
  2. E.coli O157:H7に特異的に感染する、請求項1に記載の組換えバクテリオファージ。
  3. 前記インジケーター遺伝子がコドン最適化され、内因性シグナルを生成する可溶性タンパク質生成物または基質との反応の際にシグナルを生成する可溶性酵素をコードする、請求項1に記載の組換えバクテリオファージ。
  4. 前記コドン最適化インジケーター遺伝子の上流に非翻訳領域をさらに含み、該非翻訳領域が、バクテリオファージ後期遺伝子プロモーターおよびリボソーム進入部位を含む、請求項3に記載の組換えバクテリオファージ。
  5. 組換えインジケーターバクテリオファージを調製する方法であって、
    標的病原性細菌に特異的に感染する野生型バクテリオファージを選択する工程、
    インジケーター遺伝子を含む相同組換えプラスミド/ベクターを調製する工程、
    該相同組換えプラスミド/ベクターを標的病原性細菌に形質転換する工程、
    形質転換された該標的病原性細菌に、選択された該野生型バクテリオファージを感染させ、それによって、該プラスミド/ベクターと該バクテリオファージのゲノムとの間で相同組換えを起こさせる工程、および
    組換えバクテリオファージの特定のクローンを単離する工程
    を含む、方法。
  6. 相同組換えプラスミド/ベクターを調製する工程が、
    選択された前記バクテリオファージのゲノムの後期領域中の天然のヌクレオチド配列を決定する工程、
    該ゲノムを注釈し、選択された該バクテリオファージの主要カプシドタンパク質遺伝子を同定する工程、
    該主要カプシドタンパク質遺伝子の下流に相同組換えのための配列を設計する工程であって、該配列がコドン最適化インジケーター遺伝子を含む工程、および
    相同組換えのために設計された該配列をプラスミド/ベクターに組み込む工程
    を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 配列を設計する工程が、ファージ後期遺伝子プロモーターおよびリボソーム進入部位を含む非翻訳領域を、前記コドン最適化インジケーター遺伝子の上流に挿入することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記相同組換えプラスミドが、バクテリオファージ後期遺伝子プロモーターおよびリボソーム進入部位を含む非翻訳領域を前記コドン最適化インジケーター遺伝子の上流に含む、請求項5に記載の方法。
  9. 前記野生型バクテリオファージがCBA120であり、前記標的病原性細菌がE.coli O157:H7である、請求項5に記載の方法。
  10. 組換えバクテリオファージの特定のクローンを単離する工程が、前記インジケーター遺伝子の発現を示すクローンを単離するための限界希釈アッセイを含む、請求項5に記載の方法。
  11. サンプル中のE.coli O157:H7を検出するための方法であって、
    該サンプルをCBA120に由来する組換えバクテリオファージとともにインキュベートする工程、および
    該組換えバクテリオファージによって生成されるインジケータータンパク質生成物を検出する工程であって、ここで該インジケータータンパク質生成物の陽性検出はE.coli O157:H7が該サンプルに存在することを示す工程
    を含む、方法。
  12. 前記サンプルが、食品サンプル、環境サンプル、水サンプル、商業サンプル、または臨床サンプルである、請求項11に記載の方法。
  13. 食品安全産業のための標準サイズのサンプル中の10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個程度の少なさの細菌を検出する、請求項11に記載の方法。
  14. 前記サンプルが牛肉または野菜を含む、請求項12に記載の方法。
  15. 前記サンプルが、9時間またはそれ未満、8時間またはそれ未満、7時間またはそれ未満、6時間またはそれ未満、5時間またはそれ未満、4時間またはそれ未満、3時間またはそれ未満、または2時間またはそれ未満の富化時間の間、成長を有利にする条件で最初にインキュベートされる、請求項11に記載の方法。
  16. 結果までの合計時間が、12時間未満、11時間未満、10時間未満、9時間未満、8時間未満、7時間未満、または6時間未満である、請求項11に記載の方法。
  17. 前記インジケーターを検出する工程によって生成されるシグナル対バックグラウンドの比が、少なくとも2.0または少なくとも2.5である、請求項11に記載の方法。
  18. CBA120に由来する組換えバクテリオファージを含む、E.coli O157:H7を検出するためのキット。
  19. 前記組換えバクテリオファージによって発現される可溶性タンパク質生成物を検出するための、インジケーターと反応させるための基質をさらに含む、請求項18に記載のキット。
  20. CBA120に由来する組換えバクテリオファージを含む、E.coli O157:H7を検出するためのシステム。
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