JP2019217864A - 外装部品及び外装部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
図1に示すように、操舵装置1は、運転者が操作するステアリングホイール2と、ステアリングホイール2と一体で回転するステアリング軸3と、ステアリング軸3の下端に連結されたトーションバー4と、トーションバー4の下端に連結され下端にピニオン5aを有するピニオン軸5と、ピニオン5aに歯合するラック6aを有するラック軸(転舵軸)6と、ラック軸6の両端に固定されたラックエンド7,7に連結するラックエンドスタッド8,8と、ラック軸6を収容する外装部品9と、を備える。また、ラックエンドスタッド8、8には操舵輪(不図示)が連結され、運転手がステアリングホイール2を回転させると、ラック軸6が左方又は右方へ移動し、操舵輪を操舵することができる。
なお、第1実施形態のラックカバー10において、ラックカバー10を形成する樹脂の種類について特に限定されず、樹脂内に強化繊維を含んだ繊維強化樹脂により形成されてもよい。
なお、本実施形態において、左端面11の径方向の長さH(図2参照)は4mmとなっている。
さらに、被嵌合部12の挿入時、ラックカバー10の左端面11がハウジング20の右端面に突き当たり、左端面11がハウジング20の右端面に当接した状態で接合している。以下、ハウジング20の右端面のうちラックカバー10の左端面11と当接する範囲を突き当て面22という。
同様に、ハウジング20の角部23(突き当て面22と貫通孔21の内周面21aとが交わる部位)は、R形状を呈し、断面視で円弧状となっている。
また、隅部13と角部23におけるR形状の曲率半径は、互いに同じ値に設定されている。このため、隅部13と角部23は、互いに倣った形状で対応しており、互いに隙間なく当接している。
上記した外装部品9の左側のハウジング20に対し、例えば右方(嵌合方向)への荷重が作用すると、その荷重がラックカバー10の左端部に伝達され、ラックカバー10の左端部に応力が発生する。
ここで、隅部及び角部が直角に形成された従来の構造によれば、ラックカバーの左端面の最内径の部位、つまり、隅部に応力が集中し大きな荷重が作用した。
しかしながら、本実施形態によれば、ラックカバー10の隅部13がR形状に形成され、ラックカバー10の左端部に発生する応力は、隅部13(左端面11)における径方向外寄りの部位に分散し易い。この結果、隅部13(左端面11)における径方向全域に応力が分散するようになり、ラックカバー10の耐久性が向上する。
r:曲率半径[mm]
H:端面の径方向の長さ[mm]
そして、このような外装部品9Aであっても、ラックカバー10Aの左端部に発生する応力は、隅部13A(左端面11A)の径方向内寄りの部位に分散し易く、ラックカバー10の耐久性が向上する。
例えば、図4に示すように、ハウジング(金属部品)120に段付き加工されてハウジング120に右端面121から突出する被嵌合部122が形成され、ラックカバー(樹脂部品)110に嵌合部111及び突き当て面112が形成され、そして、右端面121と被嵌合部122とで構成される隅部123、及びに突き当て面112と嵌合部111とで構成される角部113がR形状となっている外装部材109であってもよい。
この変形例によれば、隅部123に作用する応力が径方向外寄りの部位に分散し易く、ハウジング120の耐久性が向上する。なお、このような変形例における右端面(端面)121の径方向の長さHは、ハウジング120の外径と被嵌合部122の外径との差分となる。
また、このような変形例であってもハウジング(金属部品)120の被嵌合部122は、ラックカバー(樹脂部品)110の嵌合部111に外嵌される例に限定されず、内嵌されてもよい。
図5に示すように、第2実施形態の外装部品9Bにおいて、ラックカバー10Bの被嵌合部12Bの外周面12aと、左側のハウジング20Bの貫通孔21Bの内周面21aとの間に、外周面12aと内周面21aとを接着する接着層15が設けられている。
この接着層15は、被嵌合部12Bを貫通孔21Bに挿入する前に被嵌合部12Bの外周面12aに接着剤を塗布し、被嵌合部12Bを貫通孔21Bに挿入した後に接着剤を硬化させることで形成されている。
また、この接着層15は、ラックカバー10Bの隅部13B(隅部13Bに左端面11Bが含まれる)とハウジング20Bの角部23B(角部23Bに突き当て面22Bが含まれる)との間にも介在している。
外装部品9の製造方法は、準備工程と、嵌合工程と、溶着工程と、を含んでいる。
準備工程は、被嵌合部12を有するラックカバー10と、被嵌合部12に嵌合可能な嵌合部(貫通孔21)を有する左右のハウジング20,20と、を準備する工程である。
なお、ラックカバー10及び左右のハウジング20,20の形状は、第1実施形態で説明しているため、相違点に絞って説明する。
嵌合工程は、ラックカバー10の被嵌合部12をハウジング20の貫通孔21内に圧入し、被嵌合部12を貫通孔21に嵌合させる工程である。本工程においては、ラックカバー10を固定するための治具や、ハウジング20を押し込むための治具を用いたりしてもよく、圧入する方法は特に限定されない。
図6に示すように、溶着工程は、被嵌合部12と貫通孔(嵌合部)21を嵌合した状態で、外的加熱装置によりハウジング20に加圧力を加えながらラックカバー10の被嵌合部12の外周面(被嵌合面)12aを溶融させ、被嵌合部12と貫通孔(嵌合部)21とを溶着する工程である。
超音波溶着機は、被嵌合部12と貫通孔21との接触面で摩擦熱を発生させて樹脂を溶融させる摩擦熱溶着装置の一つであり、具体的には電気エネルギを機械的振動エネルギに変換し、ホーン30を介して機械的振動を部品に伝達して部品同士の接触面で摩擦熱を発生させる装置である。そのほか、超音波溶着機は、上記振動機能の他に、ホーン30に当接する部品を加圧する加圧機能を有している。
次に、超音波溶着機を起動させる。これにより、ホーン30は、ハウジング20の上部20bを下方に押圧する加圧力(図6の矢印参照)を発揮するとともに、ホーン30がハウジング20の上部20bに対し垂直方向(上下方向)に振動する。
この結果、ホーン30の振動がハウジング20に伝達し、ハウジング20の内周側の上面21bと、これに対向する被嵌合部12の外周側の上面12bとの界面で摩擦熱が発生する。そして、摩擦熱が所定温度を超えると、被嵌合部12の上面12bが溶融する。
被嵌合部12の上面12bが溶融した後は、ホーン30を当てる位置を周方向に移動させる。これにより、溶融した樹脂が凝固し、ハウジング20の上面21bと被嵌合部12の上面12bとが溶着する。
また、本発明の外的加熱装置は、摩擦熱溶着装置(超音波溶着装置)に限定されず、電磁誘導によりハウジング20を発熱させる高周波誘導装置を用いることも可能である。
以下、上記した外装部品9の製造方法の変形例であって、高周波誘導装置を用いた溶着工程について説明する。
高周波誘導装置は、環状のコイル部60を備え、コイル部60内に金属部品であるハウジング20を配置し、電磁誘導によりハウジング20に渦電流を発生させてハウジング20を発熱させる装置である。
本実施形態の加圧装置50は、回転軸51を有する図示しない電動モータと、回転軸51に連結するL字状のL字アーム52と、L字アーム52に回転自在に取り付けられた加圧ローラ53と、を備える。
また、回転軸51の回転軸O1から加圧ローラ53の内側面までの距離L2は、ハウジング20の外径よりも小さく設定されている。よって、回転軸51をラックカバー10と同軸上に配置し、加圧ローラ53をハウジング20の外周面に当接させるように配置すると、L字アーム52の弾性変形力により加圧ローラ53がハウジング20の外周面を径方向内側に押圧する。なお、回転軸51の回転により加圧ローラ53が押圧する部位を変えることができる。
次に、加圧装置50の電動モータの回転軸51をラックカバー10と同軸上に配置するとともに、L字アーム52を撓ませながら加圧ローラ53をハウジング20の外周面に当接させる。なお、本実施形態においては、加圧ローラ53は、ハウジング20の外周面のうち上側に位置する上部20bに当接し、その上部20bを径方向内側(下側)に押圧している(図7の矢印参照)。
次に、高周波誘導装置のコイル部60内にハウジング20を配置して起動させる。これにより、ハウジング20は電磁誘導により発熱する。なお、発熱する部位は、ハウジング20の一部でなく全周である。
これによれば、発熱するハウジング20を押し付けられた被嵌合部12の上面12bが溶融する。次に、回転軸51を回転させて加圧ローラ53が押圧する部位を変更すると、溶融した被嵌合部12の上面12bの樹脂が凝固し、ハウジング20の内周側の上部21bbと被嵌合部12の上面12bとが溶着する。
粗面化処理工程は、金属部品側の嵌合面(ハウジング20の内周面21a)に微細な凹凸に形成する工程である。当該工程によれば、溶着工程で溶融した樹脂が微細な凹凸内に入り込んで固着強度が向上する。
嵌合面に微細な凹凸に形成する方法としては、ハウジング20の内周面21aにエッチング処理又はレーザー加工を行う方法が挙げられる。このエッチング処理又はレーザー加工によれば、内周面21aが削られ(微細な凹部が形成され)、内周面全体が微細な凹凸となる。
つぎに、実施例について説明する。
実施例では、隅部13及び角部23の曲率半径rが2mm、3mm、4mm、8mm、15mmに形成された外装部品を用意し、各外装部品に対して左右方向(嵌合)に圧縮する荷重をかけ、隅部13に作用する最大応力値を測定した。
また、比較例として、隅部13及び角部23が直角に形成され、R形状となっていない外装部品(曲率半径rが0mm)を用意し、外装部品に対して左右方向(嵌合)に圧縮する荷重をかけ、隅部に作用する最大応力値を測定した。
なお、実施例及び比較例における各外装部品は、曲率半径以外の構成は、第1実施形態で説明した外装部品と同一である。つまり、ラックカバー10の肉厚L1は6mmであり、左端面11における径方向の長さHは4mmであり、被嵌合部12が貫通孔(嵌合部)21に単に内嵌することでラックカバー10と左右のハウジング20,20とが接合している。
また、測定された最大応力値について図8に示す。なお、図8における横軸は、曲率半径rを左端面11の径方向の長さで除算した値となっている。
よって、隅部13及び角部23をR形状とすることで、隅部13及び角部23に発生する応力の集中を抑制できることがわかった。
一方で、曲率半径rが8mmを超えると、最大応力値が上昇した。これは、曲率半径rが大きすぎると、隅部13の径方向外寄りに応力が集中し、隅部13の径方向全域に適切に分散しなかったためと考える。
1≦(r/H)≦2・・・・・式(1)
r:曲率半径[mm]
H:端面の径方向の長さ[mm]
6 ラック軸
6a ラック
9,9A,9B 外装部品
10,10A,10B ラックカバー(樹脂部品)
11,11A,11B 左端面(端面)
12,12A,12B 被嵌合部
13,13A,13B 隅部
20,20A,20B ハウジング(金属部品)
21,21B 貫通孔(嵌合部)
22,22B 突き当て面
23,23A,23B 角部
30 ホーン
40 固定用治具
50 加圧装置
51 回転軸
60 コイル部
110 ラックカバー(樹脂部品)
111 嵌合部
112 突き当て面
113 角部
120 ハウジング(金属部品)
121 右端面(端面)
122 被嵌合部
123 隅部
Claims (5)
- 筒状の樹脂部品と筒状の金属部品とを接合して成り、車両の車輪の転舵を行う転舵軸を収容する外装部品であって、
前記樹脂部品及び前記金属部品のうち一方の部品には、端面から突出する被嵌合部が形成され、
前記樹脂部品及び前記金属部品のうち他方の部品には、前記被嵌合部に嵌合する嵌合部及び前記端面に突き当たる突き当て面が形成され、
前記端面と前記被嵌合部とで構成される隅部、及びに前記突き当て面と前記嵌合部とで構成される角部は、R形状となっていることを特徴とする外装部品。 - 前記R形状における曲率半径は、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の外装部品。
1≦(r/H)≦2・・・・・式(1)
r:曲率半径[mm]
H:端面の径方向の長さ[mm]
- 筒状の樹脂部品と筒状の金属部品とを接合して成り、車両の車輪の転舵を行う転舵軸を収容する外装部品の製造方法であって、
前記樹脂部品及び前記金属部品のうち一方の部品には、端面から突出する被嵌合部が形成され、前記樹脂部品及び前記金属部品のうち他方の部品には、前記被嵌合部に嵌合する嵌合部及び前記端面に突き当たる突き当て面が形成され、前記端面と前記被嵌合部とで構成される隅部、及びに前記突き当て面と前記嵌合部とで構成される角部がR形状となっており、
熱可塑性樹脂製の前記樹脂部品及び前記金属部品を準備する準備工程と、
前記被嵌合部に嵌合部を嵌合する嵌合工程と、
前記被嵌合部と前記嵌合部を嵌合した状態で、外的加熱装置により前記被嵌合部又は前記嵌合部に加圧力を加えながら前記樹脂部品に形成された前記被嵌合部又は前記嵌合部を溶融させ、前記被嵌合部と前記嵌合部とを溶着する溶着工程と、
を含むことを特徴とする外装部品の製造方法。 - 前記準備工程後であって前記嵌合工程前において、前記金属部品に形成された前記被嵌合部又は前記嵌合部に粗面化処理を行う粗面化処理工程を含むことを特徴とする請求項3の外装部品の製造方法。
- 筒状の樹脂部品と筒状の金属部品とを接合して成り、車両の車輪の転舵を行う転舵軸を収容する外装部品の製造方法であって、
前記樹脂部品及び前記金属部品のうち一方の部品には、端面から突出する被嵌合部が形成され、前記樹脂部品及び前記金属部品のうち他方の部品には、前記被嵌合部に嵌合する嵌合部及び前記端面に突き当たる突き当て面が形成され、前記端面と前記被嵌合部とで構成される隅部、及びに前記突き当て面と前記嵌合部とで構成される角部がR形状となっており、
前記金属部品を準備する準備工程と、
前記金属部品を金型内に配置する配置する配置工程と、
前記金型内に樹脂を射出して前記樹脂部品を成形するインサート成形工程と、
を含むことを特徴とする外装部品の製造方法。
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