JP2015145100A - 繊維強化樹脂製品の製造方法および繊維強化樹脂製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維強化樹脂製のパイプを含む構成において、パイプの軽量化を図りつつ、加工時間の短縮による製造コストの低減を図ることができる繊維強化樹脂製品の製造方法、および、当該繊維強化樹脂製品を提供すること。【解決手段】繊維強化熱可塑性樹脂製品40は、パイプ10とパイプ10に連結される金属円環16とを含む。当該製品40の製造方法は、連続炭素繊維25および熱可塑性樹脂27を含むプリプレグシート26と不連続強化繊維51および熱可塑性樹脂52を含むスタンパブルシート50とを重ねたものを加熱する工程と、プレス加工によって、両シート26および50を湾曲させ、プリプレグシート26の両端面26A同士を溶着させて形成した筒状体28とスタンパブルシート50の両端面50A同士を溶着させて形成した筒状体53を冷却することで、パイプ10を形成する工程とを含む。【選択図】図6

Description

この発明は、たとえば車両のステアリング装置を構成する繊維強化樹脂製品の製造方法および当該繊維強化樹脂製品に関する。
下記特許文献1で開示されたラックアンドピニオン式電動パワーステアリング装置におけるラックハウジングの円筒部は、金属製の芯金にたとえば熱硬化性樹脂を含有したプリプレグを巻回した後硬化させ、外径の切削加工を行うことで形成される。
一方、下記非特許文献1で開示された円環部材形成法では、炭素繊維系コンポジット材料(たとえばCFRTP)からなる2枚のシート(CFTRPシート)を入れ子にセットし加熱する。その後、入れ子を金型にセットし、成形機の型締め力を利用し、2枚のCFRTPシートを円弧形状にプレス加工し、CFRTPシート同士を熱溶着することで円環部材を形成する。その後、樹脂を射出し、円環部材の外周面にリブ部を形成する。
特開2013−208927号公報
発明推進協会公開技報公技番号2013−503060号
特許文献1のラックハウジングの円筒部では、熱硬化性樹脂を含有したプリプレグを用いていることから、熱硬化性樹脂の硬化のために長時間を要するので、製造コストが増大する虞がある。
一方、非特許文献1の円環部材は、熱硬化性樹脂よりも短時間で成形可能な熱可塑性樹脂を含有するCFRTPシートを用いて形成される。円環部材の外周面には、補強のためのリブ部が設けられているため、円環部材自体の薄肉化が可能である。しかし、非特許文献1の場合、リブ部は、円環部材を形成した後に樹脂の射出によって形成しなければならないので、リブ部の加工に時間がかかり、結果として製造コストが増大する虞がある。
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、繊維強化樹脂製のパイプを含む構成において、パイプの軽量化を図りつつ、加工時間の短縮による製造コストの低減を図ることができる繊維強化樹脂製品の製造方法、および、当該繊維強化樹脂製品を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、繊維強化樹脂製のパイプ(10)と、前記パイプの軸方向(X)における端部(10A,10B)に連結される筒状のカラー(16,17,18)とを含む繊維強化樹脂製品(40)の製造方法であって、連続炭素繊維(25)および熱可塑性樹脂(27)によって構成されたプリプレグシート(26)と不連続強化繊維(51)および熱可塑性樹脂(52)によって構成されたスタンパブルシート(50)とを1枚ずつ重ねたもの(60)を2セット準備し、前記熱可塑性樹脂の融点以上まで加熱する工程と、加熱された前記プリプレグシートおよび前記スタンパブルシートをプレス加工することによって、前記プリプレグシートおよび前記スタンパブルシートのそれぞれを前記カラーの外周面(16A,21A)の周方向(C)に沿うように湾曲させる工程と、湾曲した2枚の前記プリプレグシートの前記周方向における両端面(26A)同士をプレス加工で溶着させることによって、前記プリプレグシートの筒状体(28)を形成する工程と、湾曲した2枚の前記スタンパブルシートの前記周方向における両端面(50A)同士をプレス加工で溶着させることによって、前記プリプレグシートの筒状体に同軸状で固定される前記スタンパブルシートの筒状体(53)を形成する工程と、前記プレプレグシートの筒状体および前記スタンパブルシートの筒状体を冷却することで、前記カラーの外周面に対して前記端部が外嵌固定された前記パイプを形成する工程と、を含むことを特徴とする、繊維強化樹脂製品の製造方法である。
請求項2記載の発明は、前記スタンパブルシートは、前記プリプレグシートに対して前記パイプの径方向(R)における外側から重ねられており、湾曲した前記スタンパブルシートの外周面(50B)にプレス加工によってリブ(54,55,56)を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項1記載の繊維強化樹脂製品の製造方法である。
請求項3記載の発明は、前記カラーの外周面には粗面加工が施されていることを特徴とする、請求項1または2記載の繊維強化樹脂製品の製造方法である。
請求項4記載の発明は、前記パイプと前記カラーの外周面との間にガラス繊維(57)の不織布(58)および/またはガラスフレーク(59)を配置する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化樹脂製品の製造方法である。
請求項5記載の発明は、前記パイプと前記カラーの外周面との間に熱接着フィルム(73)を配置する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化樹脂製品の製造方法である。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする、繊維強化樹脂製品である。
請求項7記載の発明は、ラックアンドピニオン式のステアリング装置(1)においてラックバー(8)を収容するラックハウジング(9)を構成していることを特徴とする、請求項6記載の繊維強化樹脂製品である。
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
請求項1記載の発明によれば、繊維強化樹脂製品は、繊維強化樹脂製のパイプと、パイプの軸方向における端部に連結される筒状のカラーとを含んでいる。パイプは、プリプレグシートとスタンパブルシートとで構成されている。パイプの軸方向における端部は、カラーの外周面に対して外嵌固定されている。
繊維強化樹脂製品を製造する際、まず、連続炭素繊維および熱可塑性樹脂によって構成されたプリプレグシートと不連続強化繊維および熱可塑性樹脂によって構成されたスタンパブルシートとを1枚ずつ重ねたものを2セット準備し熱可塑性樹脂の融点以上まで加熱する。そして、プレス加工によって、プリプレグシートおよびスタンパブルシートのそれぞれをカラーの外周面の周方向に沿うように湾曲させる。湾曲した2枚のプリプレグシートの周方向における両端面同士をプレス加工で溶着させることによって、プリプレグシートの筒状体を形成し、湾曲した2枚のスタンパブルシートの周方向における両端面同士をプレス加工で溶着させることによってスタンパブルシートの筒状体を形成する。プリプレグシートの筒状体とスタンパブルシートの筒状体とは同軸状で固定される。次いで、プリプレグシートの筒状体およびスタンパブルシートの筒状体を冷却し、これらの筒状体によってパイプを形成すると、繊維強化樹脂製品が完成する。
ここで、プリプレグシートは、連続炭素繊維を含むため強度は高いが、複雑な形状に成形することができない。しかし、スタンパブルシートは、繊維長が比較的短い不連続強化繊維を含む。そのため、スタンパブルシートをスタンパブルシート内の熱可塑性樹脂の融点以上まで加熱し溶融させることで、その後のプレス加工において複雑な形状に成形することができる。したがって、請求項2のようにスタンパブルシートがプリプレグシートに対してパイプの径方向における外側から重ねられる場合には、プレス加工によって湾曲したスタンパブルシートの外周面に、リブを形成することができる。リブによって、パイプを補強し、パイプの強度および剛性を向上できるので、パイプ自体を薄肉化し、軽量化を図ることができる。
また、プレス加工によって、プリプレグシートの筒状体およびスタンパブルシートの筒状体を形成するのと同時にリブを形成することができる。そのため、リブを形成するために別の工程を設ける場合と比べて、加工に要する時間を短縮できる。また、パイプを構成するプリプレグシートおよびスタンパブルシートに含まれる樹脂は、熱可塑性樹脂なので、熱硬化性樹脂の場合に比べて、パイプの形成に要する時間を短縮できる。よって、製造コストの低減を図ることができる。
以上の結果、パイプの軽量化を図りつつ、加工時間の短縮による製造コストの低減を図ることができる。
請求項3記載の発明によれば、カラーの外周面には、粗面加工が施されている。プレス工程において、プリプレグシートおよびスタンパブルシートの熱可塑性樹脂が、粗面加工(凹凸加工)によってカラーの外周面に形成された凹部に進入する。凹部に進入した熱可塑性樹脂は、プリプレグシートの筒状体とスタンパブルシートの筒状体とを冷却する際に冷却され、凹凸部に沿った状態で固化される。よって、熱可塑性樹脂がカラーの外周面の凸部に引っ掛かるため、カラーからパイプが抜けにくくなる。
請求項4記載の発明によれば、パイプとカラーの外周面との間にガラス繊維の不織布またはガラスフレークが配置されている。不織布におけるガラス繊維またはガラスフレークは、様々な方向に配向された状態でカラーの外周面の凸部に対して様々な方向から引っ掛かることによって抵抗として効果的に作用する。よって、カラーからパイプが抜けにくくなる。
請求項5記載の発明によれば、プリプレグシートとカラーの外周面との間に熱接着フィルムが配置されている。そのため、カラーの外周面とパイプとが、プリプレグシートおよびスタンパブルシートのそれぞれの熱可塑性樹脂だけでなく熱接着フィルムによっても接着されるので、カラーとパイプとを強固に固定することができる。
請求項6記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれかの記載の製造方法によって製造された繊維強化樹脂製品では、パイプの軽量化を図りつつ、加工時間の短縮による製造コストの低減を図ることができる。
請求項7記載の発明のように、繊維強化樹脂製品は、ラックアンドピニオン式のステアリング装置においてラックバーを収容するラックハウジングを構成していてもよい。
図1は、本発明の一実施形態における繊維強化熱可塑性樹脂製品40を備えるステアリング装置1の概略正面図である。 図2は、ラックハウジング9の斜視図である。 図3は、繊維強化熱可塑性樹脂製品40の製造工程を示す模式的な断面図である。 図4は、スタンパブルシート50の斜視図である。 図5は、図3の次の工程を示す模式的な断面図である。 図6は、図5の次の工程を示す模式的な断面図である。 図7は、図6の次の工程を示す模式的な断面図である。 図8は、図7において一点鎖線で囲った部分を拡大した図である。 図9は、図7の次の工程を示す模式的な断面図である。 図10は、図9に変形例を適用した図である。
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態における繊維強化熱可塑性樹脂製品40を備えるステアリング装置1の概略正面図である。
図1を参照して、ステアリング装置1は、操舵部材2と、ステアリングシャフト3と、中間軸5と、ピニオン軸7と、ラックバー8と、ラックハウジング9とを主に含んでいる。
操舵部材2として、たとえば、ステアリングホイールを用いることができる。操舵部材2には、ステアリングシャフト3の一端が連結されている。ステアリングシャフト3の他端と中間軸5の一端とが自在継手4によって連結されている。また、中間軸5の他端とピニオン軸7の一端とが自在継手6によって連結されている。
ピニオン軸7の他端の外周面にはピニオン14が一体的に設けられている。ラックバー8は、車両の幅方向(図1の左右方向)に延びる略円柱状である。ここで、ラックバー8が延びる方向を軸方向Xとする。図1のステアリング装置1の姿勢を基準として軸方向Xの左方には、符号「X1」を付し、軸方向Xの右方には、符号「X2」を付す。図2以降の図面において図1の各方向に対応する方向には、図1と同じ符号を付している。
ラックバー8の外周面の周上1箇所には、ピニオン14と噛み合うラック15が形成されている。ピニオン軸7のピニオン14およびラックバー8のラック15は、互いに噛み合うことでラックアンドピニオン式の転舵機構Aを構成している。
ラックハウジング9は、車体に固定される略円筒体であり、軸方向Xに延びている。ラックハウジング9は、ラックバー8を収容し、ラックバー8を車体に固定するためのものである。ラックバー8の両端部は、ラックハウジング9の両側へ突出し、各端部にはそれぞれ継手11を介してタイロッド12が結合されている。各タイロッド12は、対応するナックルアーム(図示せず)を介して対応する転舵輪13に連結されている。
ラックハウジング9は、繊維強化樹脂製品としての繊維強化熱可塑性樹脂製品40と、第1連結部17と、第2連結部18とを主に含んでいる。ちなみに、繊維強化樹脂は、FRTP(Fiber Reinforced Thermo Plastics)とも呼ばれる。
繊維強化熱可塑性樹脂製品40(以下では、「FRTP製品40」と略称する)は、軸方向Xに延びており、全体として略円筒状である。FRTP製品40は、パイプ10と、カラーとしての金属円環16とを含んでいる。
パイプ10は、たとえばラックハウジング9においてラック15よりも左方X1に設けられており、軸方向Xにおいて第1連結部17と第2連結部18との間に配置されている。
図2は、ラックハウジング9の斜視図である。
図2を参照して、パイプ10は、FRTP製であり、軸方向Xに延びる略円筒状である。ここで、パイプ10の左方X1側の端部には、符号「10A」を付し、パイプ10の右方X2側の端部には、符号「10B」を付し、パイプ10の内周面には、符号「10C」を付し、パイプ10の外周面には、符号「10D」を付す(図1も参照)。
パイプ10の外周面10Dには、パイプ10の径方向Rの外側へ突出するリブ54、リブ55およびリブ56が形成されている。リブ54および55のそれぞれは一対ずつ設けられ、リブ56は、複数(ここでは6つ)設けられている(後述する図6も参照)。図2では、リブ54およびリブ55が1つずつ図示されている。
一対のリブ54は、パイプ10の全域において軸方向Xに延びている。各リブ54は、パイプ10の周方向Cにおいて互いに180°隔てて配置されている。一対のリブ55は、パイプ10の全域において軸方向Xに延びている。各リブ55は、周方向Cにおいて、リブ54から90°ずれた位置において、互いに180°隔てて配置されている。そのため、リブ54とリブ55とは、周方向Cにおいて交互に略等間隔で並んで配置されている。複数のリブ56は、パイプ10の軸方向Xにおいて等間隔に配置されており、各リブ56は、周方向Cの全周に亘る環状をなすように形成されている。
図1を参照して、金属円環16は、軸方向Xに延びる筒状をなす金属製の部材である。金属円環16は、パイプ10の左方X1側の端部10Aおよび右方X2側の端部10Bに応じて1つずつ(合計2つ)設けられていて、端部10Aおよび端部10Bのそれぞれに対して1つずつ挿通(内嵌)されている。言い換えると、パイプ10の端部10Aおよび端部10Bは、金属円環16の外周面16Aに対して外嵌されている。金属円環16の外周面16Aの直径は、パイプ10の内周面10Cの直径とほぼ等しい。ここで、金属円環16の外周面16Aの周方向は、パイプ10の周方向Cと一致しており、金属円環16の外周面16Aの径方向は、パイプ10の径方向Rと一致している。
第1連結部17および第2連結部18は、ラックハウジング9を構成することから、操舵部材2の操舵時に転舵輪13から伝達される操舵反力を受ける。そのため、たとえば、第1連結部17および第2連結部18は、強度や剛性に優れたアルミニウム合金等の金属を鋳造した成形品(いわゆるアルミニウムダイカスト)を用いて成形される。
第1連結部17は、ラックハウジング9の左方X1側の端部である。第1連結部17は、軸方向Xに延びる略円筒状である。第1連結部17は、パイプ10の端部10Aに対して左方X1側から隣接している。第1連結部17の右方X2側の端部には、小径部21が一体的に設けられている。小径部21は、右方X2へ向けて軸方向Xに延びる円筒状である。小径部21は、第1連結部17(小径部21以外の部分)よりも小径である。第1連結部17には、ラックバー8を軸方向Xに露出させる挿通穴17Aが形成されている。
図2を参照して、第1連結部17の外周面には、ラックハウジング9を車体に固定するための取付部22が設けられている。取付部22には、取付部22を貫通する取付孔23が形成されている。ラックハウジング9の左方X1側の端部は、取付孔23に挿通される図示しないボルト等によって車体に固定される。
図1を参照して、第2連結部18は、パイプ10の端部10Bに対してラックバー8の右方X2側から隣接している。第2連結部18は、軸方向Xに延びる略円筒状である。前述した小径部21は、第2連結部18の左方X1側の端部にも一体的に設けられている。第2連結部18の小径部21は、左方X1へ向けて軸方向Xに延びる円筒状である。
図2を参照して、第2連結部18の外周面には、取付部31が設けられている。取付部31には、取付部31を貫通する取付孔32が形成されている。ラックハウジング9の右方X2側の端部は、取付孔32に挿通される図示しないボルト等によって車体に固定される。また、第2連結部18には、ピニオン軸7が挿通される挿通穴18Aと、ラック15をピニオン14に押し付けるためのサポートヨーク等が取り付けられる取付孔18Bと、ラックバー8を軸方向Xに露出させる挿通穴18Cが形成されている。
詳しくは後述するが、第1連結部17および第2連結部18は、それぞれの小径部21において、パイプ10の端部10Aまたは10Bに締結されている。
ここで、自動車部品には、環境対策として軽量化が求められている。一方、ラックハウジング9は、ステアリング装置1において大きな重量を占める。本実施形態のラックハウジング9では、FRTP製品40で一部を構成しているため、ラックハウジング9全体をアルミダイカスト等で構成する場合と比べて軽い。また、FRTPは、強度および剛性にも優れている。そのため、必要な強度および剛性を保持した上で、ステアリング装置1の大幅な軽量化を図ることができる。
次に、このようなFRTP製品40の製造方法について説明する。
図3は、FRTP製品40の製造工程を示す模式的な断面図である。図4は、スタンパブルシート50の斜視図である。
図3を参照して、FRTP製品40の製造の初期段階として、プリプレグシート26とスタンパブルシート50とを1枚ずつ重ねたもの(ここでは積層シート60とする)が2セット準備される。
プリプレグシート26は、連続炭素繊維25および熱可塑性樹脂27によって構成されている。連続炭素繊維25とは、プリプレグシート26のほぼ全長に亘って連続する炭素繊維の束のことである。プリプレグシート26は、連続炭素繊維25および熱可塑性樹脂27で構成された薄いプリプレグを複数枚積層し、積層したプリプレグをプレスまたはオートクレーブによる加熱および加圧によって一体化した軸方向Xに長手のシート状である。ちなみに、オートクレーブとは、内部を高圧力にすることが可能な耐圧性の装置を用いて行う加圧および加熱処理のことをいう。当該プリプレグ内において、連続炭素繊維25は、ラックハウジング9にかかる応力(発生応力)を考慮し、パイプ10が高い強度および剛性を得られるように配向されている。連続炭素繊維25は主に軸方向Xに引揃えられていることが、強度上好ましい。
連続炭素繊維25には、“トレカ”(登録商標)T300や“トレカ”(登録商標)T700に代表されるあらゆるポリアクリロニトリル(PAN)系およびピッチ系炭素繊維を用いることができる。また、連続炭素繊維25の一部をガラス繊維やアラミド繊維に置き換えてもよい。
熱可塑性樹脂27には、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、芳香族ポリアミド(芳香族PA)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂等の一般的な熱可塑性樹脂を用いることができる。
図4を参照して、スタンパブルシート50は、不連続強化繊維51および熱可塑性樹脂52によって構成された軸方向Xに長手のシート状である。不連続強化繊維51とは、スタンパブルシート50のほぼ全域において細かく切断された炭素繊維の束のことである。不連続強化繊維51は、熱可塑性樹脂52をマトリックスとしており、スタンパブルシート50内において様々な方向に配向されている。
不連続強化繊維51には、10mmから200mm程度の繊維長を有するガラス繊維や炭素繊維を用いることができる。当該炭素繊維としては、連続炭素繊維25と同様に“トレカ”(登録商標)T300や“トレカ”(登録商標)T700に代表されるあらゆるポリアクリロニトリル(PAN)系およびピッチ系炭素繊維を用いることができる。
不連続強化繊維51は、連続炭素繊維25と比較して、強度および剛性が劣るものの、短い繊維であることから、スタンパブルシート50におけるリブ等の複雑な形状の形成を可能にしている。言い換えると、連続炭素繊維25で構成されたプリプレグシート26は、スタンパブルシート50と比較して、単純な形状の形成しか適さないが、強度および剛性が高い。
また、不連続強化繊維51として炭素繊維を用いた場合は、その一部をガラス繊維やアラミド繊維に置き換えることができる。また、不連続強化繊維51としてガラス繊維を用いた場合は、その一部を炭素繊維やアラミド繊維に置き換えることができる。
熱可塑性樹脂52には、熱可塑性樹脂27と同様に一般的な熱可塑性樹脂を用いることができる。本実施形態では、熱可塑性樹脂52には、熱可塑性樹脂27と同じ種類の熱可塑性樹脂を用いている。
図3に戻って、2セットの積層シート60は、それぞれのプリプレグシート26が間隔を隔てて互いに対向するように配置されている。2枚の積層シート60の図3における上下方向の外側には、赤外線ヒーター等のヒーター61が一対設けられている。
図3に示す工程では、ヒーター61によって対応する積層シート60を熱可塑性樹脂27の融点または熱可塑性樹脂52の融点のうち高い方の融点以上まで加熱する。この実施形態では、熱可塑性樹脂27と熱可塑性樹脂52とは、同じ種類なので融点も同じである。ここでの加熱によって、プリプレグシート26の熱可塑性樹脂27とスタンパブルシート50の熱可塑性樹脂52とが軟化する。
図5は、図3の次の工程を示す模式的な断面図である。
図5に示す工程では、プリプレグシート26およびスタンパブルシート50をプレス加工することによって湾曲させる。
図5を参照して、次に、加熱した2セットの積層シート60を一対の金属円環16と共にプレス金型33内に配置する。図5における2セットの積層シート60は、図3と同じ姿勢で配置されている。各金属円環16の外周面16Aには、事前に粗面加工が施されている。そのため、金属円環16の外周面16Aは、多数の凹凸部70を有している。また、金属円環16の内周面16Bには、雌ねじ部19が形成されている。
プレス金型33内において、一対の金属円環16は、軸方向Xに並んで配置されている。図5では一方のみが図示されている。一対の金属円環16は、2セットの積層シート60の間に配置されている。詳しくは、一対の金属円環16における一方が、2セットの積層シート60の軸方向Xにおける一端部の間に配置され、一対の金属円環16における他方が、2セットの積層シート60の軸方向Xにおける他端部の間に配置されている。ここで、金属円環16の中心軸16Cを通って図5の紙面の左右方向に延びる仮想上の平面に、符号「62」を付す。平面62と2セットの積層シート60のそれぞれとは平行に配置される。
プレス金型33は、一対の金型34によって構成されている。一対の金型34は、平面62を挟んで対称に構成されていて、一対の金型34の間に2セットの積層シート60および金属円環16が配置されている。ここでは、主に図5の下側の金型34(以下では「下側の金型34」と略称する)について説明するが、図5の上側の金型34(以下では「上側の金型34」と略称する)についても同様の符号を付す。
下側の金型34の上側に位置する表面34Aには、軸方向Xから見て平面62から離間する方向へ凹む略半円弧状の凹部36が形成されている。金型34において、凹部36を区画する半円弧状の湾曲面には、符号「34B」を付す。
金型34には、湾曲面34Bの周方向C1における両端において、湾曲面34Bの径方向R1の外側へ窪んだ溝部36Aが1つずつ形成されている。各溝部36Aは、軸方向Xに延びている。各溝部36Aは、金型34の表面34Aから金型34の外側(上側)に露出されている。金型34には、湾曲面34Bの周方向C1における中央部分(各溝部36Aから周方向C1に90°ずれた部分)において、径方向R1の外側へ窪んで軸方向Xに延びる溝部36Bが1つ形成されている。
また、金型34には、周方向C1の全域において径方向R1の外側へ窪んだ溝部36Cが形成されている。溝部36Cは、リブ56と同数(ここでは6つ)設けられている。これらの溝部36Cは、金型34の湾曲面34Bにおいて軸方向Xの全域に亘って等間隔で配置されている。各溝部36Cは、周方向C1に延びる半円弧状である。溝部36Cは、周方向C1の両端において溝部36Aとつながっており、周方向C1の中央において溝部36Bとつながっている。溝部36A、36Bおよび36Cのそれぞれが径方向R1に窪む深さは、均一である。
このような一対の金型34が互いに近づくことによって、2セットの積層シート60は、両外側(図5の上下)から挟まれてプレス加工される。2セットの積層シート60は、事前に加熱されているため、ここでのプレス加工によって曲げることができる。
したがって、下側の積層シート60は、下側の金型34によって図5における左右方向の両端部側から順に上側へ折り曲げられてU字状に湾曲する。一方、上側の積層シート60は、上側の金型34によって図5における左右方向の両端部側から順に下側へ折り曲げられて逆U字状に湾曲する。
一対の金型34がさらに互いに近づくことによって、加熱された各積層シート60では、スタンパブルシート50が徐々に湾曲し、対応する(同じ側にある)金型34の湾曲面34Bの周方向C1に沿うようになる。一方、加熱された各積層シート60では、プリプレグシート26も徐々に湾曲し、金属円環16の外周面16Aの周方向Cに沿うようになる。
図6は、図5の次の工程を示す模式的な断面図である。
図6が示す状態では、一対の金型34の表面34A同士が目一杯接近して互いに接触している。この状態で、一対の金型34の湾曲面34Bは、同軸状に配置されており、全体として一つの円周面35をなしている。また、金属円環16の外周面16Aは、円周面35と同軸状に配置されている。そのため、この状態では、湾曲面34B(円周面35)の周方向C1と金属円環16の外周面16Aの周方向Cとは、一致しており、湾曲面34B(円周面35)の径方向R1と金属円環16の外周面16Aの径方向Rとは、一致している。また、この状態では、一対の金型34の周方向Cにおける両端のそれぞれにおいて、互いの溝部36Aが連通している。そのため、互いに連通した溝部36Aは、全体として径方向Rの外側へ窪み、軸方向Xへ延びる溝部38を構成している。
各プリプレグシート26および各スタンパブルシート50は、金属円環16の外周面16Aと円周面35とに挟まれることによって、周方向Cに沿うように湾曲している。また、各スタンパブルシート50は、各プリプレグシート26に対して径方向Rの外側から重ねられている。
この状態で、図6における上側のプリプレグシート26およびスタンパブルシート50は、上下が逆になった略U字状になっており、図6における下側のプリプレグシート26およびスタンパブルシート50は、略U字状になっている。湾曲した2枚のプリプレグシート26の周方向Cにおける両端面26Aは、互いに対向している。詳しくは、2枚のプリプレグシート26の周方向Cにおける両端面26Aにおける一方同士が対向し、他方同士が対向している。当該一方同士および他方同士のそれぞれは、プレス加工で互いに押し付けられることにより溶着されている。これにより、2枚のプリプレグシート26は、互いの継目である両端面26Aが面溶着されることで、1つの筒状体28を形成している。筒状体28は、金属円環16に対して外嵌された状態で、軸方向Xに延びている。
一方、湾曲した2枚のスタンパブルシート50の周方向Cにおける両端面50Aは、互いに対向している。詳しくは、2枚のスタンパブルシート50の周方向Cにおける両端面50Aにおける一方同士が対向し、他方同士が対向している。当該一方同士および他方同士のそれぞれは、プレス加工で互いに押し付けられることにより溶着されている。2枚のスタンパブルシート50は、互いの継ぎ目である両端面50Aが面溶着されることで、1つの筒状体53を形成している。筒状体53は、軸方向Xに延びている。
また、前述したように、積層シート60において、プリプレグシート26とスタンパブルシート50とは、重なっている。詳しくは、プレス加工後において2枚のプリプレグシート26の両端面26A同士が面溶着し2枚のスタンパブルシート50の両端面50A同士が面溶着するように、径方向Rの外側に位置するスタンパブルシート50は、プリプレグシート26よりも幅広になっている(図3参照)。そのため、プレス加工後には、スタンパブルシート50とプリプレグシート26とは、周方向Cおよび軸方向Xの全域において重なる。スタンパブルシート50とプリプレグシート26とは、当該重なっている部分において溶着している。言い換えると、スタンパブルシート50は、プリプレグシート26に固定されている。そのため、筒状体53は、筒状体28に固定されている。
さらに、本実施形態では、熱可塑性樹脂27と熱可塑性樹脂52とは、同種の熱可塑性樹脂を用いているため、プリプレグシート26とスタンパブルシート50とは、より溶着しやすい。
また、筒状体28および筒状体53は、ともに周方向Cに沿った筒状であるため、同軸状である。この状態で、筒状体28において軸方向Xにおける両端部が、各金属円環16の外周面16Aに対して1つずつ外嵌されている。
ここで、前述したように、スタンパブルシート50は、加熱により溶融する熱可塑性樹脂52と、繊維長が比較的短い不連続強化繊維51とによって構成されている。そのため、プレス加工の加圧および加熱によって溶融した熱可塑性樹脂52と不連続強化繊維51とがプレス金型33の円周面35と筒状体28の外周面28Aとの間で流動可能になる。ここで、円周面35と筒状体28の外周面28Aとの間の空間74は、径方向Rにおいて厚さT1を有している。プレス加工前のスタンパブルシート50の厚さT2(図4参照)は、厚さT1よりも大きい。一方、各溝部36A、36Bおよび36Cの径方向Rにおける底部から筒状体28の外周面28Aまでの距離Dは、厚さT2よりも大きい。そのため、スタンパブルシート50は、距離Dと厚さT1との差によって発生する流動圧を受ける。よって、熱可塑性樹脂52および不連続強化繊維51は、当該圧力を緩和するために流動し、金型34の溝部36A、36Bおよび36Cに入り込む。
なお、スタンパブルシート50の厚さT2は、プレス加工により溝部38、36Bおよび36Cに入り込んだ後も残りのスタンパブルシート50によって空間74を埋められる程度の厚さに設定されている。
このように、リブ54、55および56は、溝部38、36Bおよび36C内で固化した熱可塑性樹脂52および不連続強化繊維51によってそれぞれ構成されている。
このように、スタンパブルシート50をスタンパブルシート50内の熱可塑性樹脂52の融点以上に加熱し溶融させることで、スタンパブルシート50をプレス加工において複雑な形状に成形することができる。したがって、プレス加工において、湾曲したスタンパブルシート50の外周面50Bに、リブ54、55および56を形成することができる。リブ54、55および56によって、パイプ10を補強し、パイプ10の強度および剛性を向上できるので、パイプ10を薄肉化し、軽量化を図ることができる。
次に、プリプレグシート26の筒状体28およびスタンパブルシート50の筒状体53を冷却する。これにより、熱可塑性樹脂27および熱可塑性樹脂52が固化し、筒状体28および筒状体53が賦形され、略円筒状のパイプ10が形成される。パイプ10の周方向は、金属円環16の外周面16Aの周方向Cと一致しており、パイプ10の径方向は、金属円環16の外周面16Aの径方向Rと一致している。
パイプ10の外周面10D(湾曲したスタンパブルシート50の外周面50Bでもある)には、前述した一対のリブ54、一対のリブ55および複数のリブ56が形成されている(図2も参照)。リブ54、55および56は、溝部38、36Bおよび36Cの径方向Rにおけるそれぞれの深さと同じ寸法だけ筒状体53の外周面53Aから径方向Rの外側へ突出している。なお、各溝部36A、36Bおよび36Cの径方向Rにおける底部から筒状体28の外周面28Aまでの距離Dと空間74の径方向Rにおける厚さT1との差は、リブ54、55および56と、筒状体28の外周面28Aとの肉厚差でもある。
図7は、図6の次の工程を示す模式的な断面図である。
次に、プレス金型33を図6の上下に開いて金型34同士を分離し、完成したパイプ10と一対の金属円環16とをプレス金型33から取り出す。
図7を参照して、完成したパイプ10は、端部10Aおよび10Bにおいて金属円環16の外周面16Aに対して外嵌(詳しくは、後述するように外嵌固定)されている。パイプ10において、リブ54、55および56を含む外側層は、スタンパブルシート50で構成されており、スタンパブルシート50よりも径方向Rにある内側層は、プリプレグシート26で構成されている。
以上により、パイプ10は、軸方向Xにおける両端部10Aおよび10Bにおいて、対応する金属円環16に連結された状態になり、FRTP製品40の製造が完了する。
ここで、パイプ10の材料としては、本実施形態で用いたFRTP以外に熱硬化性樹脂によって構成される炭素繊維強化樹脂(CFRP)を代表とした繊維強化樹脂(FRP)が比較例として挙げられる。比較例であるCFRP製パイプ(中空円筒部)の製造方法としては、いわゆるシートワインディング法やフィラメントワインディング法を用いた方法が挙げられる。シートワインディング法は、CFRPのシートを金属製のマンドレルに巻き付ける方法であり、フィラメントワインディング法は、CFRP繊維を金属製のマンドレルに巻き付ける方法である。
しかし、このようなシートワインディング法やフィラメントワインディング法を用いて形成したCFRP製パイプの外周面には、本実施形態とは異なり、リブをプレス加工によって設けることができない。そのため、リブを設ける方法としては、CFRP製パイプの外周面に接着剤により取り付ける接着方法が挙げられる。しかし、接着方法では、自動車部品としての品質確保が困難である。また、別の方法として、CFRP製パイプを射出金型に配置し、熱可塑性樹脂等を射出してリブを形成する射出方法が挙げられる。しかし、射出方法では、CFRP製パイプを製造した後、別の工程を設ける必要があるため、製造コストが増大する虞がある。
しかし、本実施形態では、プリプレグシート26の筒状体28およびスタンパブルシート50の筒状体53を形成するのと同時にリブ54、55および56を形成することができる。そのため、リブ54、55および56を形成するために別の工程を設ける場合と比べて、加工に要する時間を短縮できる。その結果、製造コストの低減を図ることができる。
図8は、図7において一点鎖線で囲った部分を拡大した図である。
ここで、図8を参照して、プレス工程において、プリプレグシート26の熱可塑性樹脂27とスタンパブルシート50の熱可塑性樹脂52とが、金属円環16の外周面16Aに形成された凹部71に進入する。凹部71に進入した熱可塑性樹脂27および熱可塑性樹脂52は、プリプレグシート26の筒状体28とスタンパブルシート50の筒状体53とを冷却する際に冷却され、凹凸部70に沿った状態で固化される。よって、熱可塑性樹脂27および熱可塑性樹脂52が凹凸部70における凸部72に引っ掛かるため、金属円環16からパイプ10が抜けにくくなる。
そのため、パイプ10の端部10Aおよび10Bは、金属円環16の外周面16Aに対して密着しているため、パイプ10と金属円環16との連結部の強度が向上される。
また、本実施形態では、溶融した熱可塑性樹脂27および熱可塑性樹脂52がプレス加工における加圧によって凹部71に流れ込むため、いわゆるアンカー効果が得られ、パイプ10と金属円環16との締結強度が向上される。一方、比較例では、前述したように、シートワインディング法やフィラメントワインディング法といったプレス加工を用いない方法でCFRP製パイプを形成している。そのため、比較例では、CFRPシートやCFRP繊維を巻き付ける際に、ラッピングテープ等によってCFRPシートやCFRP繊維を加圧するだけなので、熱硬化性樹脂が凹部71に流れ込みにくいため、アンカー効果を得ることが困難である。なお、ラッピングテープとは、マンドレルに巻き付けられたCFRPシートに巻き付けられるテープであって、マンドレルに巻き付けられたCFRPシートの層同士を密着させるためのものである。
また、パイプ10と金属円環16の外周面16Aとの間には、ガラス繊維57の不織布58が配置されてもよい。
不織布58としては、チョップドストランドマット等を用いることが望ましい。不織布58には、棒状または異型断面を有する形状のガラス繊維57が含まれている。不織布58は、金属円環16がプレス金型33に配置される前に金属円環16の外周面16Aに取り付けられる。
また、パイプ10と金属円環16の外周面16Aとの間には、ガラスフレーク59を配置してもよい。ガラスフレーク59は、板状あるいは面状のフィラーである。
不織布58におけるガラス繊維57およびガラスフレーク59は、様々な方向に配向された状態で金属円環16の外周面16Aの凸部72に対して様々な方向から引っ掛かることによって抵抗として効果的に作用する。よって、金属円環16からパイプ10が抜けにくくなる。
さらに、パイプ10と金属円環16の外周面16Aとの間には、熱接着フィルム73が配置されてもよい。本実施形態では、熱接着フィルム73は、不織布58と金属円環16の外周面16Aとの間に介在されている。
熱接着フィルム73としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂およびポリエステル樹脂を含む熱接着フィルムが適用可能である。具体的には、日立化成工業株式会社製のAS2600等が挙げられる。
金属円環16の外周面16Aとパイプ10とが、熱可塑性樹脂27および熱可塑性樹脂52だけでなく熱接着フィルム73によっても接着されるので、金属円環16とパイプ10とを強固に固定することができる。
なお、当該強度向上のために、熱接着フィルム73の厚さtは、凹凸部70における凸部72の高さh(凹部71の深さ)を超えない程度であることが望ましい。
このように、引張応力に対して抵抗となる不織布58や、接着力を発揮する熱接着フィルム73を用いることで、パイプ10と金属円環16との締結強度を向上させることが可能である。
なお、熱接着フィルム73を用いずに、不織布58を熱可塑性樹脂27および熱可塑性樹脂52のみで金属円環16の外周面16Aにパイプ10を固定することも可能である。
また、不織布58とガラスフレーク59とのうちのいずれか片方のみがパイプ10と金属円環16の外周面16Aとの間に配置されていてもよい。
不織布58およびガラスフレーク59は、熱可塑性樹脂27および熱可塑性樹脂52によって凹凸部70に沿って固定されていてもよいし、熱接着フィルム73によって凹凸部70に沿って固定されていてもよい。
また、不織布58およびガラスフレーク59を用いずに熱接着フィルム73または熱可塑性樹脂27および熱可塑性樹脂52で金属円環16の外周面16Aにパイプ10を固定することも可能である。
以上のように、パイプ10は、対応する金属円環16の外周面16Aに対して、外嵌固定(抜け止め)されている。なお、この状態の金属円環16は、パイプ10の端部10Aおよび10Bに対して軸方向Xにずれないし、周方向Cにもずれないように位置決めされている。本実施形態のように金属円環16を用いてパイプ10を成形する方法のことを「金属ねじ一体成形法」という。
図9は、図7の次の工程を示す模式的な断面図である。
図9を参照して、このように製造されたFRTP製品40は、第1連結部17および第2連結部18と連結されることでラックハウジング9が完成する。
具体的には、第1連結部17の小径部21の外周面21Aには、雄ねじ部20が設けられている。第1連結部17の雄ねじ部20には、左方X1側の金属円環16の雌ねじ部19がねじ締結される。これにより、第1連結部17は、この金属円環16の内周面16Bとねじ締結され、この金属円環16を介してパイプ10の端部10Aに締結された状態になる。
一方、第2連結部18の小径部21の外周面21Aにも、雄ねじ部20が設けられている。第2連結部18の雄ねじ部20には、右方X2側の金属円環16の雌ねじ部19がねじ締結される。これにより、第2連結部18は、この金属円環16の内周面16Bとねじ締結され、この金属円環16を介してパイプ10の端部10Bに締結された状態になる。
このように、本実施形態では、金属円環16に余計な力を加えることなく、パイプ10の端部10Aおよび10Bと第1連結部17および第2連結部18とを確実かつ強固に締結させることができる。そのため、金属円環16の外周面16Aがパイプ10に食い込むことがないことから、パイプ10における連続炭素繊維25は切断されることはないので、パイプ10の強度は、低減されない。
比較例におけるCFRP製パイプは、第1連結部17および第2連結部18に対して金属ねじ一体成形法で機械的に締結されているが、それ以外に、金属円環16を用いずに、第1連結部17および第2連結部18のそれぞれとパイプ10とを直接ねじ締結したり、ヘリサート挿入で締結したりしてもよい。
金属円環16を用いずにラックハウジング9を形成する場合、CFRP製パイプの内周面にねじ加工やヘリサートの取り付けを行う必要がある。この場合、ねじ加工やヘリサートの取り付けの際にCFRP製パイプに含まれる炭素繊維が切断される虞がある。炭素繊維が切断されると、CFRP製パイプと第1連結部17および第2連結部18との連結強度が著しく低下する。そのため、CFRP製パイプに荷重が加えられると、CFRP製パイプと第1連結部17および第2連結部18との連結部は、破壊源となる。
比較例では、CFRP製パイプを形成する工程において熱硬化性樹脂の硬化に要する時間は、熱硬化性樹脂の流動化に要する時間および熱硬化性樹脂の昇温に要する時間を含め5時間以上であり、自動車部品製造のサイクルタイムとしては非常に長く、製造コスト増大の要因となっている。一方、本実施形態のように、プリプレグシート26の熱可塑性樹脂27とスタンパブルシート50の熱可塑性樹脂52との場合は、前述したようにプレス加工(熱プレス)が可能である。そのため、パイプ10をプレス成形工程によって形成するために要する時間、すなわちプリプレグシート26およびスタンパブルシート50によってパイプ10が形成され、スタンパブルシート50によってリブ54、55および56が形成されるまでの時間は、1分程度である。そのため、パイプ10は、CFRP製パイプと比較して短時間(低サイクルタイム)で製造することができる。
このように、パイプ10を構成するプリプレグシート26およびスタンパブルシート50に含まれる樹脂は、熱可塑性樹脂27および熱可塑性樹脂52なので、熱硬化性樹脂の場合に比べて、パイプ10の形成に要する時間を短縮できる。
以上の結果、パイプ10の軽量化を図りつつ、製造コストの低減を図ることができる。
次に、本発明の変形例について説明する。
図10は、図9に変形例を適用した図である。また、図10において、上記に説明した部材と同様の部材には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
図10を参照して、変形例のFRTP製品40は、パイプ10と、長繊維射出材からなる第1連結部17と、第2連結部18とによって構成されている。変形例のFRTP製品40は、金属円環16を含んでいない。
変形例では、まず、第1連結部17および第2連結部18と積層シート60とをプレス金型33に配置し、積層シート60を加熱する。次に、プレス加工によって、加熱された積層シート60のスタンパブルシート50およびプリプレグシート26が湾曲し、カラーとしての第1連結部17の小径部21および第2連結部18の小径部21に沿うようになる。
さらに加圧することで、本実施形態と同様にパイプ10が形成される。変形例のパイプ10の端部10Aおよび10Bのそれぞれは、対応する方の小径部21に外嵌されている。
ここで、前述したように変形例の第1連結部17および第2連結部18は、長繊維射出材で形成されている。そのため、パイプ10と第1連結部17および第2連結部18との連結を振動溶着、レーザー溶着、超音波溶着およびスピン溶着等の各種溶着によって行うことができる。これらの溶着によって、パイプ10の内周面10Cと小径部21の外周面21Aとが溶着され、パイプ10と小径部21とを一体化する。そのため、変形例のFRTP製品40では、パイプ10にねじ加工やヘリサートの取り付けを行う必要がなく、パイプ10に含まれる連続炭素繊維25が切断されることがない。また、変形例のFRTP製品40は、本実施形態とは異なり、金属ねじ一体成形を用いる必要がない。そのため、FRTP製品40における部品費の低減が図れる。
もちろん、変形例のFRTP製品40において、前述した金属ねじ一体成形法を用いることも可能である。その場合、小径部21の外周面21Aには、粗面加工(凹凸加工)が施されている必要がある。ここでの粗面加工は、実施形態において金属円環16の外周面16Aに設けられているものと同様である。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述した実施形態のFRTP製品40は、ラックハウジング9であったが、ラックハウジング9以外の各種ハウジング等の円環部材(たとえば各種シャフト、ロッド、パイプ状部品)として構成してもよい。
1…ステアリング装置、8…ラックバー、9…ラックハウジング、10…パイプ、10A…端部、10B…端部、16…金属円環、16A…外周面、17…第1連結部、18…第2連結部、21A…外周面、25…連続炭素繊維、26…プリプレグシート、26A…両端面、27…熱可塑性樹脂、28…筒状体、40…FRTP製品、50…スタンパブルシート、50A…両端面、50B…外周面、51…不連続強化繊維、52…熱可塑性樹脂、53…筒状体、54…リブ、55…リブ、56…リブ、57…ガラス繊維、58…不織布、59…ガラスフレーク、60…積層シート、73…熱接着フィルム、X…軸方向、C…周方向、R…径方向

Claims (7)

  1. 繊維強化樹脂製のパイプと、前記パイプの軸方向における端部に連結される筒状のカラーとを含む繊維強化樹脂製品の製造方法であって、
    連続炭素繊維および熱可塑性樹脂によって構成されたプリプレグシートと不連続強化繊維および熱可塑性樹脂によって構成されたスタンパブルシートとを1枚ずつ重ねたものを2セット準備し、前記熱可塑性樹脂の融点以上まで加熱する工程と、
    加熱された前記プリプレグシートおよび前記スタンパブルシートをプレス加工することによって、前記プリプレグシートおよび前記スタンパブルシートのそれぞれを前記カラーの外周面の周方向に沿うように湾曲させる工程と、
    湾曲した2枚の前記プリプレグシートの前記周方向における両端面同士をプレス加工で溶着させることによって、前記プリプレグシートの筒状体を形成する工程と、
    湾曲した2枚の前記スタンパブルシートの前記周方向における両端面同士をプレス加工で溶着させることによって、前記プリプレグシートの筒状体に同軸状で固定される前記スタンパブルシートの筒状体を形成する工程と、
    前記プレプレグシートの筒状体および前記スタンパブルシートの筒状体を冷却することで、前記カラーの外周面に対して前記端部が外嵌固定された前記パイプを形成する工程と、
    を含むことを特徴とする、繊維強化樹脂製品の製造方法。
  2. 前記スタンパブルシートは、前記プリプレグシートに対して前記パイプの径方向における外側から重ねられており、
    湾曲した前記スタンパブルシートの外周面にプレス加工によってリブを形成する工程を含むことを特徴とする、請求項1記載の繊維強化樹脂製品の製造方法。
  3. 前記カラーの外周面には粗面加工が施されていることを特徴とする、請求項1または2記載の繊維強化樹脂製品の製造方法。
  4. 前記パイプと前記カラーの外周面との間にガラス繊維の不織布および/またはガラスフレークを配置する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化樹脂製品の製造方法。
  5. 前記パイプと前記カラーの外周面との間に熱接着フィルムを配置する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化樹脂製品の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする、繊維強化樹脂製品。
  7. ラックアンドピニオン式のステアリング装置においてラックバーを収容するラックハウジングを構成していることを特徴とする、請求項6記載の繊維強化樹脂製品。
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