JP5514658B2 - ケース及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、外側に補機等の付属機器を取付可能な筒状のファンケース等のケース、及びその製造方法に関する。
近年、航空機エンジンの分野において、強化繊維と熱硬化性樹脂との複合材料(FRP)が軽量で高強度を有する素材として注目されており、強化繊維と熱硬化性樹脂との複合材料からなりかつ外側に補機を取付可能な筒状のファンケースについて種々の開発がなされている(特許文献1参照)。そして、先行技術に係るファンケースの構成等について簡単に説明すると、次のようになる。
先行技術に係るファンケースは、筒状のケース本体を具備しており、このケース本体は、炭素繊維等の強化繊維とエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂との複合材料からなる。また、ケース本体の外周面におけるケース軸方向の中間には、補機を取付けるための環状の中間フランジが設けられており、この中間フランジは、炭素繊維等の強化繊維とエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂との複合材料からなる。更に、中間フランジは、環状の第1フランジ構成部材、及び第1フランジ構成部材に突き合わせて接合された環状の第2フランジ構成部材を備えている。
先行技術に係るファンケースを製造する際には、まず、ケース本体の形状に対応する形状の成形面を有したマンドレルを用い、マンドレルを軸心周りに回転させつつ、強化繊維の織物等をマンドレル側へ供給することにより、マンドレルの成形面に強化繊維の織物等を巻き付けることにより、ケース本体の成形体を成形(製作)する。次に、治具をケース本体の成形体の外周面に適宜にセットした状態で、ケース本体の成形体の外周面における軸方向の中間に強化繊維の織物等を巻き付けることにより、第1フランジ構成部材の成形体を成形する。更に、別の治具等をケース本体の成形体の外周面に適宜にセットした状態で、ケース本体の成形体の外周面における軸方向の中間に強化繊維の織物等を巻き付けることにより、第2フランジ構成部材の成形体を成形して、第1フランジ構成部材の成形体と第2フランジ構成部材の成形体を突き合わせてなる中間フランジの成形体を成形する。そして、ケース本体の成形体及び中間フランジの成形体を加熱することにより、ケース本体の成形体及び中間フランジの成形体に予め含浸させた熱硬化性樹脂を硬化させる。これにより、炭素繊維等の強化繊維とエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂との複合材料からなるファンケースを製造することができる。
米国公開特許第2008−0118683号明細書
ところで、前述のように、ケース本体の成形体の外周面における軸方向の中間に強化繊維の織物等を巻き付けて、第1フランジ構成部材の成形体及び第2フランジ構成部材の成形体を成形しているため、ケース本体の成形体の成形を終了する前に、第1フランジ構成部材の成形体及び第2フランジ構成部材の成形体の成形を開始することができない。そのため、ケース本体の成形体の成形を終了した後から前記中間フランジの成形体の成形を終了するまでの作業が増えて、全体としてファンケースの製造時間が長くなって、ファンケースの生産性の向上を図ることが困難であるという問題がある。
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成のケース及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の特徴は、外側に付属機器を取付可能な筒状のケースであって、強化繊維と熱硬化性樹脂との複合材料からなる筒状のケース本体と、前記ケース本体の外周面におけるケース軸方向の中間に設けられ、強化繊維と熱硬化性樹脂との複合材料からなり、環状の第1フランジ構成部材、及び前記第1フランジ構成部材に突き合わせて接合された環状の第2フランジ構成部材を備えた前記付属機器を取付けるための環状の中間フランジと、を具備し、前記第1フランジ構成部材は、周方向に沿って分割した複数の円弧状の第1セグメントにより構成され、前記第2フランジ構成部材は、周方向に沿って分割した複数の円弧状の第2セグメントにより構成されていることを要旨とする。
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲の記載において、「ケース」とは、航空機エンジンのファンケースのみならず、強化繊維と熱硬化性樹脂との複合材料を構成材料とした筒状のケースを含む意である。また、「突き合わせて接合され」とは、直接的に突き合わせて接合されたことの他に、別部材を介して間接的に突き合わせて接合されたことを含む意である。
第1の特徴によると、前記第1フランジ構成部材が周方向に沿って分割した複数の円弧状の前記第1セグメントにより構成され、前記第2フランジ構成部材が周方向に沿って分割した複数の円弧状の第2セグメントにより構成されているため、前記ケースを製造する際に、前記ケース本体の成形体の成形と並行して、複数の前記第1セグメントの成形体及び複数の前記第2セグメントの成形体を成形することができる。これにより、前記ケース本体の成形体の成形を終了する前に、前記中間フランジの成形体の成形に関連する作業の大部分(主要な部分)を終了させておくことができる。
本発明の第2の特徴は、第1の特徴からなるケースを製造するための製造方法であって、前記ケース本体の形状(最終形状)に対応する形状の成形面を有したマンドレルを用い、前記マンドレルを軸心周りに回転させつつ、強化繊維の織物及び強化繊維のロービングのうちの少なくともいずれかを前記マンドレル側へ供給して、前記マンドレルの成形面に強化繊維の織物及び強化繊維のロービングのうちの少なくともいずれかを巻き付けることにより、前記ケース本体の成形体を成形(製作)するケース本体成形工程と、前記第1セグメントの形状(最終形状)に対応する成形面を有した第1セグメント成形型を用い、強化繊維の織物を前記第1セグメント成形型の前記成形面に積層することにより、前記第1セグメントの成形体を成形(製作)し、更に、前記第1フランジ構成部材の分割数に応じた回数だけ同様の積層を行うことにより、複数の前記第1セグメントの成形体を成形する第1セグメント成形工程と、前記第2セグメントの形状(最終形状)に対応する成形面を有した第2セグメント成形型を用い、強化繊維の織物を前記第2セグメント成形型の前記成形面に積層することにより、前記第2セグメントの成形体を成形(製作)し、更に、前記第2フランジ構成部材の分割数に応じた回数だけ同様の積層を行うことにより、複数の前記第2セグメントの成形体を成形する第2セグメント成形工程と、前記ケース本体成形工程、前記第1セグメント成形工程、及び前記第2セグメント成形工程の終了後に、前記ケース本体の成形体の外周面におけるケース軸方向の中間に複数の前記第1セグメントの成形体及び複数の前記第2セグメントを周方向に沿って環状にそれぞれ設置することにより、前記第1フランジ構成部材の成形体と前記第2フランジ構成部材の成形体を突き合わせてなる前記中間フランジの成形体を成形(製作)する中間フランジ成形工程と、前記中間フランジ成形工程の終了後に、前記ケース本体の成形体及び前記中間フランジの成形体を加熱することにより、前記ケース本体の成形体及び前記中間フランジの成形体に予め含浸させた熱硬化性樹脂を硬化させる加熱工程と、を具備したことを要旨とする。
第2の特徴によると、前記ケース本体の成形体の成形と並行して、複数の前記第1セグメントの成形体及び複数の前記第2セグメントの成形体を成形することができるため、前記ケース本体の成形体の成形を終了する前に、前記中間フランジの成形体の成形に関連する作業の大部分(主要な部分)を終了させておくことができる。
本発明によれば、前記ケース本体の成形体の成形を終了する前に、前記中間フランジの成形体の成形に関連する作業の大部分を終了しておくことができるため、前記ケース本体の成形体の成形を終了した後から前記中間フランジの成形体の成形を終了するまでの作業を減らすことができ、全体として前記ケースの製造時間を大幅に短縮して、前記ケースの生産性を十分に向上させることができる。
図1は、図2における矢視部Iの拡大図である。 図2は、航空機エンジンの模式断面図である。 図3は、本発明の第1実施形態に係るファンケースの一部を示す斜視図である。 図4(a)は、本発明の第2実施形態に係るケースの製造方法におけるケース本体成形工程を示す模式斜視図、図4(b)は、ケース本体の成形体を成形した状態を示す模式断面図である。 図5(a)は、本発明の第2実施形態に係るケースの製造方法における第1セグメント成形工程を示す模式斜視図、図5(b)は、第1セグメントの成形体を成形した状態を示す模式断面図である。 図6(a)は、本発明の第2実施形態に係るケースの製造方法における第2セグメント成形工程を示す模式斜視図、図6(b)は、第2セグメントの成形体を成形した状態を示す模式断面図である。 図7(a)(b)は、本発明の第2実施形態に係るケースの製造方法における中間フランジ成形工程を示す模式断面図である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について主に図1から図3を参照して説明する。なお、図面中、「FF」は、前方向、「FR」は、後方向をそれぞれ指してある。
図1及び図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る筒状のファンケース1は、航空機エンジン3に用いられ、航空機エンジン3における複数のファンブレード5を覆うものである。また、ファンケース1は、強化繊維と熱硬化性樹脂との複合材料(FRP)を構成材料とし、外側に補機(付属機器の一例)7を取付可能になっている。
ファンケース1は、筒状のケース本体9を具備しており、このケース本体9は、炭素繊維,アラミド繊維,又はガラス繊維等の強化繊維とエポキシ樹脂,フェノール樹脂,又はポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂との複合材料からなっている。また、ケース本体9の前側周縁には、環状のフロントフランジ11が一体形成されており、このフロントフランジ11は、ファンケース1の前側に配設されたエンジンカウル13に複数のフロント接合ボルト(図示省略)によって接合可能である。更に、ケース本体9の後側周縁には、環状のリアフランジ15が一体形成されており、このリアフランジ15は、ファンケース1の後側に配設されたリアケース17に複数のリア接合ボルト(図示省略)によって接合可能である。
ケース本体9の外周面におけるケース軸方向(前後方向)の中間には、補機7を取付けるための複数(本発明の実施形態にあっては2つ)の環状の中間フランジ19が設けられており、各中間フランジ19の具体的な構成は、次のようになる。なお、補機7の取付には、取付ボルト(図示省略)及びナット(図示省略)が用いられ、前記取付ボルトは、中間フランジに形成された貫通穴19h、及び補機7の取付フランジ7fに形成された貫通穴7hに挿通可能である。
中間フランジ19は、炭素繊維,アラミド繊維,又はガラス繊維等の強化繊維とエポキシ樹脂,フェノール樹脂,又はポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂との複合材料からなっている。また、中間フランジ19は、断面形状がL字状を挺した環状の第1フランジ構成部材21と、第1フランジ構成部材21に突き合わせて接合されかつ断面形状がL字状を呈した第2フランジ構成部材23とを備えている。なお、中間フランジ19が第1フランジ構成部材21と第2フランジ構成部材23の他に、第1フランジ構成部材21と第2フランジ構成部材23の間に介在された環状の第3フランジ構成部材(図示省略)等を備えても構わなく、この場合には、第2フランジ構成部材23は第3フランジ構成部材を介して間接的に第1フランジ構成部材21に突き合わせて接合されることになる。
第1フランジ構成部材21は、周方向に沿って分割した複数の円弧状の第1セグメント25により構成されており、第2フランジ構成部材23は、周方向に沿って分割した複数の円弧状の第2セグメント27により構成されている。ここで、第1セグメント25同士の継ぎ目J1の位置と第2セグメント27同士の継ぎ目J2の位置は、周方向にずれている。また、中間フランジ19の構造強度上の必要があれば、第1フランジ構成部材21におけるケース本体9の外周面に接触する部分(円筒部分)、及び第2フランジ構成部材23におけるケース本体9の外周面に接触する部分(円筒部分)に炭素繊維等の強化繊維の織物又はロービング(繊維束)を巻き付けることにより、第1セグメント25同士の継ぎ目J1及び第2セグメント27同士の継ぎ目J2を補強することも可能である。
続いて、本発明の第1実施形態の作用及び効果について説明する。
各中間フランジ19における第1フランジ構成部材21が周方向に沿って分割した複数の円弧状の第1セグメント25により構成され、各中間フランジ19における第2フランジ構成部材23が周方向に沿って分割した複数の円弧状の第2セグメント27により構成されているため、ファンケース1を製造する際に、ケース本体9の成形体9C(図4(b)参照)の成形と並行して、複数の第1セグメント25の成形体25C(図5(b)参照)及び複数の第2セグメント27の成形体27C(図6(b)参照)を成形(製作)することができる。これにより、ケース本体9の成形体9Cの成形を終了する前に、複数の中間フランジ19の成形体19C(図7(b)参照)の成形に関連する作業の大部分(主要な部分)を終了させておくことができる。
各中間フランジ19における第1セグメント25同士の継ぎ目J1の位置と第2セグメント27同士の継ぎ目J2の位置が周方向にずれているため、各中間フランジ19において、第1セグメント25同士の継ぎ目J1を第2セグメント27によって強固に保持(補強)し、かつ第2セグメント27同士の継ぎ目J2を第1セグメント25によって強固に保持(補強)することができる。
本発明の第1実施形態によれば、ケース本体9の成形体9Cの成形を終了する前に、複数の中間フランジ19の成形体19Cの成形に関連する作業の大部分を終了させておくことができるため、ケース本体9の成形体9Cの成形を終了した後から複数の中間フランジ19の成形体19Cの成形を終了するまでの作業を減らすことができ、全体としてファンケース1の製造時間を大幅に短縮して、ファンケース1の生産性を十分に向上させることができる。
また、各中間フランジ19において、第1セグメント25同士の継ぎ目J1を第2セグメント27によって強固に保持し、かつ第2セグメント27同士の継ぎ目J2を第1セグメント25によって強固に保持することができるため、各中間フランジ19の機械的強度を十分に確保して、ファンケース1の品質を安定させることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について主に図4から図7を参照して説明する。
本発明の第2実施形態に係るケースの製造方法は、本発明の実施形態に係るファンケース1を製造するための方法であって、ケース本体成形工程、第1セグメント成形工程、第2セグメント成形工程、中間フランジ成形工程、及び加熱工程を具備している。そして、各工程の具体的な内容は、次のようになる。
ケース本体成形工程
図4(a)に示すように、ケース本体9(図1参照)の形状(最終形状)に対応する形状の成形面29fを有したマンドレル29(図4(b)参照)を用い、回転モータ(図示省略)の駆動によりマンドレル29を軸心周りに回転させつつ、ロール31に巻き付けられかつ炭素繊維等の強化繊維の織物33をマンドレル29側へ供給して、マンドレル29の成形面29fに炭素繊維等の強化繊維の織物33を巻き付ける。これにより、図4(b)に示すように、ケース本体9の成形体9Cを成形(製作)することができる。
ここで、マンドレル29は、一端側に着脱可能なエンド型35を備えてあって、適宜のマンドレル支持機構37に軸心周りに回転可能に支持されている。また、マンドレル29の成形面29fに巻き付ける織物33には、予めエポキシ樹脂,フェノール樹脂,又はポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が含浸されている。
なお、炭素繊維等の強化繊維の織物33をマンドレル29側に供給する代わりに又は供給する他に、炭素繊維等の強化繊維のロービング(繊維束)を供給しても構わない。
第1セグメント成形工程
図5(a)に示すように、第1セグメント25(図3参照)の形状(最終形状)に対応する成形面39fを有した円弧状の第1セグメント成形型39を用い、炭素繊維等の強化繊維の織物41を適宜の第1位置決めピン等の第1位置決め部材(図示省略)に当接させて、第1セグメント成形型39の成形面39fに積層することにより、図5(b)に示すように、第1セグメント25の成形体25Cを成形(製作)する。更に、第1フランジ構成部材21(図3参照)の分割数に応じた回数だけ同様の積層を行うことにより、複数の第1セグメント25の成形体25Cを成形する。ここで、第1セグメント成形型39の成形面39fに積層する織物41には、予めエポキシ樹脂,フェノール樹脂,又はポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が含浸されている。
なお、中間フランジ19(図1参照)の個数分だけ前述の成形を繰り返す。
第2セグメント成形工程
図6(a)に示すように、第2セグメント27(図3参照)の形状(最終形状)に対応する成形面43fを有した円弧状の第2セグメント成形型43を用い、炭素繊維等の強化繊維の織物45を適宜の第2位置決めピン等の第2位置決め部材(図示省略)に当接させて、第2セグメント成形型43の成形面43fに積層することにより、図6(b)に示すように、第2セグメント27の成形体27Cを成形(製作)する。更に、第2フランジ構成部材23(図3参照)の分割数に応じた回数だけ同様の積層を行うことにより、複数の第2セグメント27の成形体27Cを成形する。ここで、第2セグメント成形型43の成形面43fに積層する織物45には、予めエポキシ樹脂,フェノール樹脂,又はポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が含浸されている。
なお、中間フランジ19の個数分だけ前述の成形を繰り返す。
中間フランジ成形工程
ケース本体成形工程、第1セグメント成形工程、及び第2セグメント成形工程の終了後に、図7(a)に示すように、円弧状の治具47をケース本体9の成形体9Cの外周面に適宜にセットした状態で、ケース本体9の成形体9Cの外周面におけるケース軸方向の中間に複数の第1セグメント25の成形体25Cを周方向に沿って環状に配置(配設)する。これにより、ケース本体9の成形体9Cの外周面におけるケース軸方向の中間に第1フランジ構成部材21の成形体21Cを成形(製作)することができる。
続いて、図7(b)に示すように、円弧状の治具49をケース本体9の成形体9Cの外周面に第2セグメント27の成形体27Cを覆うように適宜にセットした状態で、第1セグメント25の成形体25C同士の継ぎ目(図示省略)の位置と第2セグメント27の成形体27C同士の継ぎ目(図示省略)の位置を周方向にずらしながら、ケース本体9の成形体9Cの外周面におけるケース軸方向の中間に複数の第2セグメント27の成形体27Cを環状に配置(配設)する。これにより、ケース本体9の成形体9Cの外周面におけるケース軸方向の中間に第2フランジ構成部材23の成形体23Cを成形(製作)して、第1フランジ構成部材21の成形体21Cと第2フランジ構成部材23の成形体23Cを突き合わせてなる中間フランジ19の成形体19Cを成形(製作)することができる。
なお、中間フランジ19の個数分だけ前述の成形を繰り返す。
加熱工程
中間フランジ成形工程の終了後に、マンドレル29をマンドレル支持機構37から取り外して、加熱炉(図示省略)の所定位置にセットする。そして、加熱炉のヒータ(図示省略)によってケース本体9の成形体9C及び中間フランジ19の成形体19Cをエポキシ樹脂等の硬化温度まで加熱する。これにより、ケース本体9の成形体9C及び中間フランジ19の成形体19Cに予め含浸させたエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を硬化させることができる。
以上により、強化繊維と熱硬化性樹脂との複合材料からなるファンケース1を製造することができる。そして、ファンケース1の製造後に、エンド型35を離脱させて、ファンケース1をマンドレル29から取り外し、各中間フランジ19に貫通穴19hを機械加工によって形成しておく。
なお、前述のように、マンドレル29の成形面29fに巻き付ける織物33、第1セグメント成形型39の成形面39fに積層する織物41、及び第2セグメント成形型43の成形面43fに積層する織物45に予めエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させる代わりに、中間フランジ形成工程の終了後であって加熱工程の開始前に、溶融状態のエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を注入によってケース本体9の成形体9C及び中間フランジ19の成形体19C内に含浸させるようにしても構わない。
続いて、本発明の第2実施形態の作用及び効果について説明する。
ケース本体9の成形体9Cの成形と並行して、複数の第1セグメント25の成形体25C及び複数の第2セグメント27の成形体27Cを成形することができるため、ケース本体9の成形体9Cの成形を終了する前に、中間フランジ19の成形体19Cの成形に関連する作業の大部分(主要な部分)を終了させておくことができる。
第1セグメント25の成形体25C同士の継ぎ目の位置と第2セグメント27の成形体27C同士の継ぎ目の位置を周方向にずらしながら、ケース本体9の成形体9Cの外周面におけるケース軸方向の中間に複数の第2セグメント27の成形体27Cを環状に配置するため、第1セグメント25同士の継ぎ目J1を第2セグメント27によって強固に保持し、かつ第2セグメント27同士の継ぎ目J2を第1セグメント25によって強固に保持することができる。
従って、本発明の第2実施形態によれば、本発明の第1実施形態と同様の効果を奏するものである。
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、適宜の変更を行うことにより、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
1 ファンケース
3 航空機エンジン
5 ファンブレード
7 補機(付属機器)
9 ケース本体
9C ケース本体の成形体
11 フロントフランジ
15 リアフランジ
19 中間フランジ
19C 中間フランジの成形体
21 第1フランジ構成部材
21C 第1フランジ構成部材の成形体
23 第2フランジ構成部材
23C 第2フランジ構成部材の成形体
25 第1セグメント
J1 第1セグメント同士の継ぎ目
25C 第1セグメントの成形体
27 第2セグメント
J2 第2セグメント同士の継ぎ目
27C 第2セグメントの成形体
29 マンドレル
29f マンドレルの成形面
31 ロール
33 織物
35 エンド型
37 マンドレル支持機構
39 第1セグメント成形型
39f 第1セグメント成形型の成形面
41 織物
43 第2セグメント成形型
43f 第2セグメント成形型の成形面
45 織物
47 治具
49 治具

Claims (6)

  1. 外側に付属機器を取付可能な筒状のケースであって、
    強化繊維と熱硬化性樹脂との複合材料からなる筒状のケース本体と、
    前記ケース本体の外周面におけるケース軸方向の中間に設けられ、強化繊維と熱硬化性樹脂との複合材料からなり、環状の第1フランジ構成部材、及び前記第1フランジ構成部材に突き合わせて接合された環状の第2フランジ構成部材を備えた前記付属機器を取付けるための環状の中間フランジと、を具備し、
    前記第1フランジ構成部材は、周方向に沿って分割した複数の円弧状の第1セグメントにより構成され、前記第2フランジ構成部材は、周方向に沿って分割した複数の円弧状の第2セグメントにより構成されていることを特徴とするケース。
  2. 前記第1セグメント同士の継ぎ目位置と前記第2セグメント同士の継ぎ目の位置が周方向にずれていることを特徴とする請求項1に記載のケース。
  3. 航空機エンジンに用いられ、前記航空機エンジンにおける複数のファンブレードを覆うものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のケース。
  4. 請求項1に記載のケースを製造するための製造方法であって、
    前記ケース本体の形状に対応する形状の成形面を有したマンドレルを用い、前記マンドレルを軸心周りに回転させつつ、強化繊維の織物及び強化繊維のロービングのうちの少なくともいずれかを前記マンドレル側へ供給して、前記マンドレルの成形面に強化繊維の織物及び強化繊維のロービングのうちの少なくともいずれかを巻き付けることにより、前記ケース本体の成形体を成形するケース本体成形工程と、
    前記第1セグメントの形状に対応する成形面を有した第1セグメント成形型を用い、強化繊維の織物を前記第1セグメント成形型の前記成形面に積層することにより、前記第1セグメントの成形体を成形し、更に、前記第1フランジ構成部材の分割数に応じた回数だけ同様の積層を行うことにより、複数の前記第1セグメントの成形体を成形する第1セグメント成形工程と、
    前記第2セグメントの形状に対応する成形面を有した第2セグメント成形型を用い、強化繊維の織物を前記第2セグメント成形型の前記成形面に積層することにより、前記第2セグメントの成形体を成形し、更に、前記第2フランジ構成部材の分割数に応じた回数だけ同様の積層を行うことにより、複数の前記第2セグメントの成形体を成形する第2セグメント成形工程と、
    前記ケース本体成形工程、前記第1セグメント成形工程、及び前記第2セグメント成形工程の終了後に、前記ケース本体の成形体の外周面におけるケース軸方向の中間に複数の前記第1セグメントの成形体及び複数の前記第2セグメントを周方向に沿って環状にそれぞれ設置することにより、前記第1フランジ構成部材の成形体と前記第2フランジ構成部材の成形体を突き合わせてなる前記中間フランジの成形体を成形する中間フランジ成形工程と、
    前記中間フランジ成形工程の終了後に、前記ケース本体の成形体及び前記中間フランジの成形体を加熱することにより、前記ケース本体の成形体及び前記中間フランジの成形体に予め含浸させた熱硬化性樹脂を硬化させる加熱工程と、を具備したことを特徴とするケースの製造方法。
  5. 前記中間フランジ成形工程中において、前記第1セグメントの成形体同士の継ぎ目の位置と前記第2セグメントの成形体同士の継ぎ目の位置を周方向にずらしながら、前記ケース本体の成形体の外周面におけるケース軸方向の中間に複数の前記第1セグメントの成形体及び複数の前記第2セグメントをそれぞれ環状に設置することを特徴とする請求項4に記載のケースの製造方法。
  6. 前記ケースは、航空機エンジンに用いられているファンケースであることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のケースの製造方法。
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