JP2016159879A - ステアリング装置 - Google Patents

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利浩 朝倉
Toshihiro Asakura
利浩 朝倉
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Abstract

【課題】エンドダンパの弾性体が金属プレートのエッジに当接することを抑制できるステアリング装置を提供する。
【解決手段】弾性部41の軸方向両側の側面には、径方向内側へ向かうにつれて互いに離間するように傾斜する傾斜面41a,41bがそれぞれ設けられている。各金属プレート42,43の弾性部41側の側面には、径方向内側へ向かうにつれて互いに離間するように傾斜する傾斜面42a,43aがそれぞれ設けられている。傾斜面42aは弾性部41の傾斜面41aに、傾斜面43aは弾性部41の傾斜面41bに固定されている。弾性部41の内周面と金属プレート42,43の内周面との間には弾性部41が存在しない円筒状の空間S1が形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、ステアリング装置に関する。
従来、ステアリングホイールの操舵に伴うステアリングシャフトの回転をラックアンドピニオン機構に伝達することで転舵輪の角度を変更するステアリング装置がある。ラックアンドピニオン機構は、ステアリングシャフトの回転運動をラックシャフトの直線運動に変換する。ラックシャフトの両軸端部にはそれぞれラックエンドを介してタイロッドが回動可能に連結されている。ラックシャフトの直線運動が、ラックエンド及びタイロッドを介して転舵輪に伝達される。
ラックアンドピニオン機構を備えたステアリング装置では、ラックシャフトを収容するラックハウジングにラックエンドが当接することで、ラックシャフトの移動、ひいては転舵輪の転舵範囲が機械的に規制される。その一方、車両が縁石に乗り上げるなどに起因して、転舵輪の角度が変わると、その転舵輪の角度変更に伴う逆入力がラックエンドに作用することにより、操舵系に強い衝撃が加わるおそれがある。そのため、たとえば特許文献1のステアリング装置では、ラックエンドとラックハウジングとの間に、それらが当接するいわゆるエンド当て時の衝撃荷重を吸収するためのエンドダンパが配置されている。このエンドダンパは、弾性体の軸方向両側の側面を金属プレートで挟み込んだ、サンドイッチ構造をなしている。
独国特許出願公開第10 2011 051 715号明細書
特許文献1のステアリング装置において、エンド当てに伴って衝撃を吸収するための弾性体に強い衝撃荷重が作用する場合には、当該弾性体が金属プレートに挟まれることにより径方向に押し出されるおそれがある。この場合、弾性体の押し出された部分が金属プレートのエッジに接触し、その接触する一部分に応力が集中することがある。このため、弾性体に摩耗や亀裂が生じてしまい、エンドダンパとしての衝撃吸収性が低減することが懸念される。
本発明の目的は、エンドダンパの弾性体が金属プレートのエッジに当接することを抑制できるステアリング装置を提供することである。
上記目的を達成しうるステアリング装置は、軸方向に往復移動する転舵シャフトと、前記転舵シャフトが挿通される挿通部と、前記挿通部の両端にそれぞれ内径が前記挿通部よりも拡大されて設けられた2つの拡径部と、前記挿通部と前記拡径部との境界部分に形成される規制面と、を有するハウジングと、前記拡径部から突出する前記転舵シャフトの両端部にそれぞれ装着されて転舵輪に連結されるジョイントと、前記転舵シャフトが通された状態で前記2つの拡径部にそれぞれ嵌められる円筒状のエンドダンパと、を備えている。前記エンドダンパは、前記転舵シャフトの軸方向の移動に伴って前記ジョイントが当接する第1のプレートと、前記規制面に当接する第2のプレートと、前記第1のプレートと前記第2のプレートとにより挟み込まれる弾性部を有し、前記第1のプレートと、前記第2のプレートとの間における前記弾性部の径方向内側の部分には、径方向内側へ開放され、かつ前記弾性部が存在しない空間部が設けられている。
この構成によれば、第1のプレートと第2のプレートの間における弾性部の径方向内側の部分には、弾性部が存在しない空間部があるため、ジョイントが第1のプレートに当接する、いわゆるエンド当ての際における弾性部の径方向内側へ向けた弾性変形量が抑えられる。また、弾性部の径方向内側へ向けた弾性変形量が抑えられるので、弾性部が第1のプレートおよび規制面の端部(エッジなど)と接触することが抑制される。このため、弾性部の摩耗や亀裂が抑制される。
上記のステアリング装置において、前記第1のプレートと前記第2のプレートの前記弾性部側の面の少なくとも一方は、前記転舵シャフトの軸線に沿う方向において、径方向外側よりも径方向内側の方が大きくなるように変化していることが好ましい。
この構成によれば、第1のプレートと第2のプレートの間の間隔が径方向内側へ向かうほど大きくなるので、弾性部の径方向内側へ向けた弾性変形量が抑えられる。また、空間部の体積をより大きくすることができるので、弾性部が第1のプレートおよび第2のプレートのエッジと接触することが抑制される。
上記のステアリング装置において、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートの前記弾性部を介して互いに対向する面には、それぞれ径方向内側へ向かうにつれて互いに離間する傾斜面が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、第1のプレートおよび第2のプレートに傾斜面を設けることにより、第1のプレートと第2のプレートの間の間隔は径方向内側に向かうにつれて大きくすることができる。
上記のステアリング装置において、前記エンドダンパに設計上想定される最大の荷重が作用したとき、弾性変形する前記弾性部が、前記第1のプレートよりも径方向内側にはみ出さない程度に前記空間部の体積が設定されていることが好ましい。
この構成によれば、エンド当ての際、弾性体は空間部に逃げるように弾性変形する。この弾性変形する弾性体は、空間部からはみ出すことはない。このため、弾性部は第1のプレートのエッジに接触しないうえ、転舵シャフトにも接触しない。したがって、弾性部の摩耗や亀裂の発生が抑制される。
上記のステアリング装置において、前記転舵シャフトと平行な回転軸を有するモータと、前記転舵シャフトに多数のボールを介して螺合する円筒状のナットを有するボールねじ機構と、前記モータの回転軸と一体回転可能に固定される駆動プーリと、前記ナットが挿入されてその外周面に固定される従動プーリと、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの間に巻き掛けられるベルトとを有するベルト減速機と、を備えていてもよい。
この構成によれば、いわゆるラックパラレル型の電動パワーステアリング装置に上記のエンドダンパを採用することは、モータやベルト減速機を保護するためにより有効である。ラックパラレル型の電動パワーステアリング装置の場合は、エンド当てに伴う衝撃が直接モータやベルト減速機に伝達されてしまうためである。
本発明のステアリング装置によれば、エンドダンパの弾性体が金属プレートのエッジに当接することを抑制できる。
本実施形態の電動パワーステアリング装置の概略構成を示す構成図。 本実施形態のステアリング装置について、そのラックエンドの構造図。 (a)本実施形態のエンドダンパの構造図、(b)本実施形態のエンドダンパにおいて、荷重が作用した場合の概略構造図、(c)他の実施形態のエンドダンパの構造図、(d)他の実施形態のエンドダンパの構造図。
以下、本実施形態のステアリング装置について説明する。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置10は、ステアリングホイール11の回転を転舵輪12に伝達する転舵機構13と、ステアリングホイール11の操舵を補助するアシスト機構14を備えている。
転舵機構13は、車両の幅方向に沿って延びるハウジングとしてのラックハウジング15と、ラックハウジング15の内部に車両の幅方向に沿って延びるかたちで収容される転舵シャフトとしてのラックシャフト16とを備えている。また、転舵機構13は、ステアリングホイール11と一体回転するステアリングシャフト、およびステアリングシャフト17の回転をラックシャフト16の軸方向の直線移動に変換するラックアンドピニオン機構18を備えている。また、ラックシャフト16の両端には、それぞれジョイントとしてのラックエンド22を介して、タイロッド23が回動自在に連結されている。これらのタイロッド23の端部には、それぞれ転舵輪12が組み付けられている。
ステアリングシャフト17の回転運動は、ラックアンドピニオン機構18を介して、ラックシャフト16の軸方向の往復直線運動に変換される。当該往復直線運動がラックシャフト16の両端にそれぞれ連結されたラックエンド22を介してタイロッド23に伝達され、これらタイロッド23の運動が左右の転舵輪12にそれぞれ伝達されることにより、転舵輪12の転舵角が変化する。
アシスト機構14は、ラックハウジング15の外部に配置されたモータ19と、モータ19からベルト20を通じて伝達される回転運動をラックシャフト16の直線運動に変換するボールねじ機構21とを備えている。
アシスト機構14は、運転者のステアリングシャフト17の操舵に連動して駆動するモータ19の回転運動を、ベルト20およびボールねじ機構21を介してラックシャフト16の軸方向の往復直線運動に変換して、運転者のステアリング操作を補助する。
次に、ラックシャフト16の端部の構成について説明する。なお、2つの端部の構成は同じであって、左右の向きが異なるだけである。
図2に示すように、ラックエンド22はボールジョイントであり、先端にボール部31aが設けられたボールスタッド31と、そのボール部31aを回動自在かつ屈曲自在に収容するソケット32とを有している。ソケット32の内部には、ボール部31aの球面形状に対応した球面座32aが装着されている。ボールスタッド31は、そのボール部31aが球面座32aに嵌合されることで、ソケット32に対して屈曲自在に連結されている。このボールスタッド31のボール部31aと反対側の端部にタイロッド23の転舵輪12と反対側の端部が固定されることにより、タイロッド23がラックシャフト16に対して屈曲自在に連結される。
ラックエンド22は、ソケット32がラックシャフト16の端部に螺合されることにより、ラックシャフト16に固定されている。ソケット32のラックシャフト16側の端面33には、ラックシャフト16側に突出する円柱部34が形成されている。円柱部34の外周面には雄ねじ部35が形成されている。一方、ラックシャフト16の端部にはラックシャフト16と同心の円形孔36が設けられている。円形孔36の内周面には、雄ねじ部35に対応する雌ねじ部37が形成されている。雄ねじ部35が雌ねじ部37に螺合されることにより、ソケット32はラックシャフト16の端部に固定される。なお、ソケット32の端面33は、ラックエンド22の端面33でもある。
ラックハウジング15には、ラックシャフト16が挿通される挿通部15aが軸方向において貫通している。挿通部15aの両端部には、それぞれソケット32が挿入される拡径部15bが設けられている。拡径部15bの内径は、挿通部15aの内径よりも大きく設定されている。ラックハウジング15の内部において、挿通部15aと拡径部15bとの境界部分には、軸方向と直交する規制面15cが形成されている。
ソケット32の外径は、ラックハウジング15の挿通部15aの内径より大きく、拡径部15bの内径より小さく設定されている。このため、ラックシャフト16の移動に伴って、端面33が規制面15cに当接する、いわゆるエンド当てが発生する。そこで、エンド当て時の衝撃を緩和するために、ラックハウジング15の規制面15cとラックエンド22の端面33との間には、エンドダンパ40が設けられている。エンドダンパ40は、拡径部15bの内周面に嵌っている。
図3(a)に示すように、エンドダンパ40は、円筒状の弾性部41と、弾性部41の軸方向両側の側面にそれぞれ設けられる円筒状の金属プレート42,43を有してなる。
弾性部41は、ゴム、合成樹脂等の弾性材料により形成されている。弾性部41の軸方向両側の側面には、それぞれ傾斜面41a,41bが設けられている。これら傾斜面41a,41bは、径方向内側(ラックシャフト16側)へ向かうにつれて互いに離間するように傾斜している。すなわち、弾性部41の軸方向の長さは、径方向内側へ向かうにつれて長くなる。弾性部41の外径は、ラックハウジング15における拡径部15bの内径よりも小さく設定されている。また、弾性部41の内径は、ラックシャフト16の外径よりも大きく設定されている。弾性部41には、エンド当て時に加わる荷重を基準として設定される一定の荷重が一定回数だけ作用しても電動パワーステアリング装置10の各部に故障が生じない程度の衝撃吸収性が要求される。
金属プレート42,43は、弾性部41に比べて高い弾性率を有し、その外径はラックハウジング15における拡径部15bの内径よりも僅かに小さく設定されている。金属プレート42,43の内径は、ラックシャフト16の外径よりも僅かに大きく設定されている。また、金属プレート42,43の外径は、弾性部41の外径よりも大きく設定されている。金属プレート42,43の内径は、弾性部41の内径よりも小さく設定されている。また、各金属プレート42,43の弾性部41側の側面(軸方向において互いに対向する側面)には、それぞれ傾斜面42a,43aが設けられている。これら傾斜面42a,43aは、径方向内側へ向かうにつれて互いに離間するように傾斜している。すなわち、金属プレート42と金属プレート43との間の間隔は、径方向内側へ向かうにつれて長くなる。また、傾斜面42a,43aと、金属プレート42,43の内周面との境界部分(交わる部分)には、それぞれ環状のエッジEが設けられている。
金属プレート42の傾斜面42aは弾性部41のラックエンド22側の傾斜面41aに、金属プレート43の傾斜面43aは弾性部41の規制面15c側の傾斜面41bに接着剤等の固定手段により固定されている。弾性部41および金属プレート42,43の中心軸線は互いに一致している。金属プレート42の傾斜面42aと反対側(ラックエンド22側)の端面44は、エンド当て時にラックエンド22の端面33と当接する当接面として機能する。金属プレート43の傾斜面43aと反対側(規制面15c側)の端面は、規制面15cに接触した状態に維持される。
また、金属プレート42と金属プレート43との間における径方向内側の部分、正確には弾性部41の内周面と金属プレート42,43の内周面との間には弾性部41が存在しない円筒状の空間S1が形成されている。また、弾性部41の外周面と拡径部15bの内周面(金属プレート42,43の外周面)との間には空間S2が形成されている。なお、傾斜面42a,43aが設けられているため、空間S1の体積は空間S2の体積よりも大きくすることが容易である。たとえば、弾性部41の内周面から金属プレート42,43の内周面までの距離と、弾性部41の外周面から拡径部15bの内周面までの距離が等しい場合には、空間S1の体積は空間S2の体積よりも大きくなる。空間S1,S2の体積は、つぎのように設定される。すなわち、ラックエンド22から入力される衝撃のうち設計上想定される荷重をエンドダンパ40に作用させたとき、空間S1,S2に逃げるように弾性変形する弾性部41が空間S1,S2からはみ出さない程度に空間S1,S2の体積が設定される。空間S1,S2の体積はたとえば傾斜面42a,43aの調節、弾性部41の径方向における長さの調節、あるいは金属プレート42,43と弾性部41との径方向における位置関係の調節などを通じて行われる。
エンドダンパ40の作用を説明する。
ステアリングホイール11の操舵や、転舵輪12から転舵機構13への逆入力によって、ラックエンド22の端面33は、エンドダンパ40の金属プレート42の端面44と当接する。さらにラックエンド22にその端面33を端面44に近付ける方向へ向けた外力が印加されると、弾性部41は軸方向に圧縮され始める。弾性部41が軸方向に圧縮されることにより、エンドダンパ40はエンド当て時の衝撃が緩和される。弾性部41が軸方向に圧縮されるのに伴ってその内部圧力は高められるので、内部圧力を逃がすために弾性部41は径方向へと拡がることとなる。弾性部41は径方向内側にも径方向外側にも逃げることができるが、弾性部41の径方向外側にはラックハウジング15の拡径部15bが位置しているため、弾性部41が拡径部15bに当接してからは径方向外側に拡がることが規制される。弾性部41が拡径部15bに当接すると、径方向外側に拡がることができないため、弾性部41はさらに径方向内側に拡がりやすくなる。
ところで、本実施形態では、図3(b)に示すように、金属プレート42,43には傾斜面42a,43aが形成されているため、金属プレート42と金属プレート43の間の間隔、すなわち、空間S1の体積は、径方向内側に向かうにつれて大きくなる。このため、弾性部41が軸方向に圧縮された場合でも、弾性部41が径方向内側へ向けて拡がりづらくなる。また、空間S1の体積は、ラックエンド22から入力される衝撃のうち設計上想定される荷重を弾性部41に作用させたときであれ、弾性変形する弾性部41が空間S1(換言すれば、金属プレート42,43の内周面)からはみ出さない程度に確保されている。設計上想定される荷重のうち最大のものを弾性部41に作用させたときでも、弾性部41が空間S1からはみ出さないことが好ましい。このため、弾性部41が金属プレート42,43のエッジEと接触することが抑制される。また、弾性部41は金属プレート42,43よりも径方向内側に飛び出さないため、弾性部41がラックシャフト16に接触することも抑制できる。
なお、弾性部41が金属プレート42,43のエッジEに接触した場合、弾性部41におけるエッジEと当接した部分には、エンド当て時の衝撃に伴う応力が集中する。このため、弾性部41のエッジEと当接する部分に摩耗や亀裂が生じるおそれがある。弾性部41に摩耗や亀裂が生じることにより、エンドダンパ40の衝撃吸収性が低下する。また、弾性部41がラックシャフト16に接触する場合にも、弾性部41が摩耗するためにエンドダンパ40の衝撃吸収性は低下してしまう。
この点、本実施形態では、弾性部41は金属プレート42,43のエッジE、さらにはラックシャフト16と接触しにくいため、弾性部41の摩耗や亀裂の発生が抑制される。
また、空間S2により、弾性部41が弾性変形する際に拡径部15bに接触することが抑制されるので、弾性部41の径方向外側の部分と、拡径部15bの内周面との間の摺動摩擦が低減される。
ところで、端面33と端面44が当接することにより金属プレート42に衝撃が加わった場合には、金属プレート42がたわんでしまう(せん断座屈が生じる)ことが想定される。これは、端面33と端面44が当接している部分と当接していない部分の境界において、衝撃に対して金属プレート42の強度が不足しているときに生じる。この点、本実施形態では、端面33と端面44との当接部分と非当接部分の境界において、傾斜面42aにより、金属プレート42の軸方向における長さが確保しやすいため、強度を確保しやすい。たとえば、一律に長さL1の金属プレートを採用した場合と比べて、金属プレート42を採用する場合、特に強度を要する端面33と端面44との当接部分と非当接部分の境界においては、長さL1よりも長い長さL2とすることができる。
本実施形態の効果を説明する。
(1)金属プレート42と金属プレート43の間の間隔が径方向内側ほど長くなるので、弾性部41が径方向内側に拡がりにくくなる。また、空間S1が存在することにより、弾性部41は金属プレート42,43の内周面からはみ出しにくい。このため、弾性部41が金属プレート42,43のエッジEと接触すること、および弾性部41がラックシャフト16に接触することが抑制されるため、弾性部41の摩耗や亀裂の発生が抑制される。したがって、エンドダンパ40の衝撃吸収性を確保することができる。
(2)端面33と端面44が当接したことにより金属プレート42に衝撃が加わった場合においても、金属プレート42がたわむことを抑制できる。これは、金属プレート42が傾斜面42aを有するため、金属プレート42において、特に強度を要する端面33と端面44との当接部分と非当接部分の境界での長さを長くできるからである。
なお、本実施形態は次のように変更してもよい。
・本実施形態において、金属プレート42,43を用いが、その材質は金属に限らず、たとえば硬質樹脂であってもよい。
・本実施形態において、金属プレート43には傾斜面43aが設けられたが、設けられなくてもよい。たとえば、金属プレート43は軸方向における長さが径方向において一律であってもよい。このようにしても、空間S1を形成することができる。また、金属プレート42と金属プレート43との間の間隔を径方向内側へ向かうにつれて長くすることができる。
・本実施形態では、2枚の金属プレート42,43により、弾性部41が挟まれたがこれに限らない。たとえば、金属プレート42とラックハウジング15の規制面15cに弾性部41が挟まれるようにしてもよい。金属プレート42は弾性部41に均等に衝撃を吸収させるために設けられることが好ましい。このようにしても、空間S1を形成することができる。
・本実施形態では、金属プレート42,43に傾斜面42a,43aが設けられたが、傾斜面42a,43aは設けられなくてよい。たとえば、エンドダンパ40の体格を十分にとれる場合には、金属プレート42,43の弾性部41側の面は互いに平行に設けられてもよい。
・本実施形態では、金属プレート42,43に傾斜面42a,43aが設けられたがこれに限らない。金属プレート42,43の間の間隔が、径方向内側へ向かうほど大きければよい。たとえば、図3(c)に示すように、傾斜面42a,43aは曲面42b,43bであってもよい。また、図3(d)に示すように、金属プレート42,43に段部42c,43cを設け、これを基点として金属プレート42と金属プレート43の間の間隔が、径方向外側よりも径方向内側が大きくなるようにしてもよい。この場合、段部42c,43cでエッジが生じないように、面取りされていることが好ましい。
・本実施形態において、いわゆるラックパラレル型の電動パワーステアリング装置(RP−EPS)を採用したが、これに限らない。どのような電動パワーステアリング装置であってもよく、たとえば、コラムアシスト型の電動パワーステアリング装置(C−EPS)であってもよい。また、電動パワーステアリング装置に限らず、油圧式のパワーステアリング装置であってもよいし、マニュアルステアリング装置であってもよいし、ステアバイワイヤ(SBW)であってもよい。また、後輪を転舵するリヤステアリング装置であってもよい。
10…EPS、11…ステアリングホイール、12…転舵輪、13…転舵機構、14…アシスト装置、15…ラックハウジング(ハウジング)、15a…挿通部、15b…拡径部、15c…規制面、16…ラックシャフト(転舵シャフト)、17…ステアリングシャフト、18…ラックアンドピニオン機構、19…モータ、20…ベルト、21…ボールねじ機構、22…ラックエンド、23…タイロッド、31…ボールスタッド、31a…ボール部、32…ソケット、32a…球面座、33…端面、34…円柱部、35…雄ねじ部、36…円形孔、37…雌ねじ部、40…エンドダンパ、41…弾性部、41a,41b…傾斜面、42,43…金属プレート(第1および第2のプレート)、42a,43a…傾斜面、42b,43b…曲面、42c,43c…段部、44…当接面、L1,L2…長さ、S1,S2…空間(空間部)、E…エッジ。

Claims (5)

  1. 軸方向に往復移動する転舵シャフトと、
    前記転舵シャフトが挿通される挿通部と、前記挿通部の両端にそれぞれ内径が前記挿通部よりも拡大されて設けられた2つの拡径部と、前記挿通部と前記拡径部との境界部分に形成される規制面と、を有するハウジングと、
    前記拡径部から突出する前記転舵シャフトの両端部にそれぞれ装着されて転舵輪に連結されるジョイントと、
    前記転舵シャフトが通された状態で前記2つの拡径部にそれぞれ嵌められる円筒状のエンドダンパと、を備え、
    前記エンドダンパは、前記転舵シャフトの軸方向の移動に伴って前記ジョイントが当接する第1のプレートと、前記規制面に当接する第2のプレートと、前記第1のプレートと前記第2のプレートとにより挟み込まれる弾性部を有し、
    前記第1のプレートと、前記第2のプレートとの間における前記弾性部の径方向内側の部分には、径方向内側へ開放され、かつ前記弾性部が存在しない空間部が設けられているステアリング装置。
  2. 請求項1に記載のステアリング装置において、
    前記第1のプレートと前記第2のプレートの前記弾性部側の面の少なくとも一方は、前記転舵シャフトの軸線に沿う方向において、径方向外側よりも径方向内側の方が大きくなるように変化しているステアリング装置。
  3. 請求項2に記載のステアリング装置において、
    前記第1のプレートおよび前記第2のプレートの前記弾性部を介して互いに対向する面には、それぞれ径方向内側へ向かうにつれて互いに離間する傾斜面が設けられているステアリング装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のステアリング装置において、
    前記エンドダンパに設計上想定される荷重が作用したとき、弾性変形する前記弾性部が、前記第1のプレートよりも径方向内側にはみ出さない程度に前記空間部の体積が設定されているステアリング装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のステアリング装置において、
    前記転舵シャフトと平行な回転軸を有するモータと、
    前記転舵シャフトに多数のボールを介して螺合する円筒状のナットを有するボールねじ機構と、
    前記モータの回転軸と一体回転可能に固定される駆動プーリと、前記ナットが挿入されてその外周面に固定される従動プーリと、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの間に巻き掛けられるベルトとを有するベルト減速機と、を備えるステアリング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019217864A (ja) * 2018-06-19 2019-12-26 株式会社ショーワ 外装部品及び外装部品の製造方法

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