JP2019217741A - 木材の湾曲加工方法 - Google Patents

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【課題】針葉樹材などの木材からなる板材を、その樹木が生育環境で備わっていた生物的な変形特性を引き出すようにした、新たな曲げ加工技術を提供する。【解決手段】伐採後のグリーン材として利用可能な繊維飽和点以上の含水率、例えば30%以上、に維持された帯状の板であって木目方向が相対的に板材の短手方向よりも長手方向に対して向いている当該帯状の板を、支持体の形状に従って、帯状の板の繊維間を徐々に伸ばす力を、その長手方向に沿って位置をずらしながら加えることで変形させ、当該変形した状態に保持具で保持することで、変形した所定の中間体の形状に保持する変形及び保持工程と、上記中間体の形状に保持した状態で前記帯状の板を繊維飽和点の含水率を下回る所定の含水率以下となる状態に乾燥させる乾燥工程とを含む加工方法。【選択図】図1

Description

本発明は、針葉樹材などの木材からなる板材を、その樹木が生育環境で備わっていた生物的な変形特性を引き出すようにした、新たな曲げ加工技術に関する。特に本発明は、木材を円筒状、円錐状、円弧状、円板状などの各種形状に曲げ加工して、建築部材、家具部材、容器などの木製品を製造することを可能と方法及びその方法により生産された加工品等に関する。
板材や角材状の木材の曲げ加工においては、人工的な加湿及び加熱手法により木材を軟化させて変形させることが広く行われている。この手法では木材繊維間に水分子を含有させて繊維間を緩ませ、加熱することで水分子を膨張させて繊維間を更に緩ませるとともに、木材を構成している高分子物質を軟化させ変形させようとするものである。
この手法を利用し、例えば、スギやヒノキなどの針葉樹材の厚さ3〜5mmの柾目板材を円筒形に曲げて製造した容器などが知られている。木材は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンといった3つの主要な成分から構成されており、その3成分は、乾燥状態に比べ湿潤状態かつ高温時の場合は分子鎖間の凝集力が低下し、湾曲しやすくなる性質をこの手法は利用している。
しかし、上記加熱および加湿処理では、木材の中に十分にかつ均一に行う必要があるが、特に針葉樹材のほとんどの場合は一度気乾させると、木材の中に水を戻す作業がただ水に浸けるだけでは実現しない性質があり、このため水槽内で長時間高温の状態、或は加圧・減圧の状態を作り、強制的に水を加えて、前記木材の3成分の分子鎖間の凝縮力を低下させ、さらには木材を加熱して柔軟にしてから湾曲させていたが、これらの作業は多くの手間を要し、費用もかかる上、非常に困難でもあった。
しかも、木材からなる板材や角材は、プラスチックや金属のように常に均一の性質を示さず、また樹種により引張・圧縮の特性があるため、たとえ加熱および加湿処理が十分であったとしても、変形の際に破壊するという問題があった。
そこで、木材からなる角材や板材を変形させる際に引張面となる側に帯鉄を当て保護し、帯鉄と木材とを一体として高温多湿状態で曲げ加工を行うことで、木材を破壊することなく曲げ加工を実現するトーネット法が開発されている。
木材の物質的な変形特性をより高める方法として、その人工的な軟化技術を発展させ、高温・高圧水蒸気下での変形技術も知られている。100℃の煮沸よりも数倍高温にできるこの技術により、木材を構成する高分子物質はより軟化し、プラスチック変形に近い変形、プレス変形が可能になっている。
一方、気乾状態である木材からなる板材や角材を通常の弾性範囲内で変形させる手法も知られている。この手法は、弾性範囲内で複数枚を束ねて湾曲させて接着材で圧締(固定)する手法が用いられている。例えば、気乾状態のブナ等の弾性範囲が大きい木材を帯状に裁断して湾曲させながらロール状巻き変形材に加工し、円錐状にした御椀状の容器などが存在している。また、建築構造用材であればJASに規定されている樹種・等級を用いて最小曲率半径より小さくならない範囲で湾曲加工し、接着材で固定する手法により極大な湾曲集成材を製造する方法が開示されている。
このように、従来の手法では、それぞれの手法に適した樹種の物質的な変形特性を、加湿・加熱、高温・高圧、圧締などの条件を利用して外部からの力を加えることで実現したり、変形曲率をJASに応じてある程度に制限せざるを得なかったり、それぞれの手法に適していない樹種及び外部からの力が加えられない長さや厚さをもつ木材については、変形できない状況にあったり、その条件に応じた環境の必要性や、その条件による素材への影響を与えることとなり、多様な樹種に対する利用の障害となっていた。
例えば、加湿及び加熱手法や煮沸手法では、木材本来の弾性範囲を超えて変形させることができる一方、加湿及び加熱や煮沸のための蒸器庫や水槽の大掛かりな装置が必要となる。しかも、蒸器庫や水槽などの装置は複雑になるだけでなく、装置の大きさには限界があるために、その装置を越える長さの木材を加工することができなかった。また、材の温度が下がらないうちに手際よくいっきに短時間で曲げ作業を行う必要があり、その環境での作業者への負担を強いるとともに、加熱処理及び加湿処理を行うことで、木材の本来もつ美しい色つやを失ってしまう、という問題を有する。
気乾状態である木材からなる板材や角材を通常の弾性範囲内で変形させる手法においても、いっぺんに湾曲させて接着剤で圧締(固定)させるには、固定中に応力による反発(スプリングバック)がおきないように接着剤が完全に固化するまで強く圧締及び(集成材製造の接着に一般的に用いられるフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の接着剤であれば)加熱する必要があり、木材の許容応力の範囲内で湾曲させる必要があることから、湾曲の曲率を大きくすることができなかった。また、曲げの程度に応じて接着後においても元の平らな板材に戻ろうとするスプリングバックの応力が常に生じでしまう問題点があり、強力かつ用途に応じて耐候性、耐熱性、耐久性等に優れた接着剤が必要であるため、比較的小さな湾曲部分に利用するか、曲率半径を大きくした形状に設計するか、あるいは、板材自体の厚さを薄くして、限定した家具用又は容器用として利用するしかなく、変形加工の制限とともに、木工製品への適用にも制限が生じていた。
この板材自体の厚さを薄くして湾曲しやすいようにする方法の一つとしては、いわゆるロータリ―レースが知られているが、これも、大規模な浴槽にて加湿及び加熱した丸太を回転させながら切削したり、その後、剥いだ単板をドライヤーで乾燥させたりする必要があり、このような大掛かりな装置とエネルギー消費を必要として、投資の回収には課題が生じることが多い。また、製品の製造に適した薄板を効率良く得るには、あばれにくい樹種の選択が必要であり、そのほとんどはヨーロッパからの輸入に頼っていること、そして、このような弾性のある広葉樹薄板をかつらむきにしてブナコのように湾曲させながら巻き付ける過程においては、湾曲させ易いものの、簡単に元の直線状に戻りやすく、巻きつける際の力の入れ方には熟練が必要であり、必ずしも加工性に優れているとはいえないこと等、その作業のための費用や時聞が必要となっていた。
このように、従来の上記各種手法では、それぞれの手法に適していない樹種や材質及び外部からの力が加えられない長さや厚さをもつ木材については、変形対象とはされておらず、たとえ変形可能であったとしてもその取り扱いが難しく、多様な樹種に対する多様な変形、活用に著しい制限を有していた。
さらに、今日の社会的背景からも、多種な樹種に対する多様な変形の可能性が求められている。すなわち、日本においてはかつて農林省の主導で、スギなど針葉樹の人工林の造成が積極的に進められてきた経緯があり、近年、成熟したこれらの人工林における樹木および間伐材の有効利用が望まれている。しかし、国産の人工林材より安価で高強度な製材済の海外木材の輸入によって、林業地域に開設された製材所が次々と廃業に追い込まれているなど、これらの人工林における樹木の十分な利用が図られていないばかりか、国産の人工林材を利用する産業が衰退してしまっている現状がある。
上記問題から、木材の変形加工を安価で迅速に行える新たな技術、そして大規模な設備を使用せず未活用の国産の人工林材を有効活用でき、国内産業を活性化できる新たな技術が望まれている。
特開平09−220708号公報 特開平04−147803号公報 特許4449065号
スパイラルワインディング法を用いて製造した円筒形LVLの製造条件と機械的性質(J.Soc.Mta.Sci,Japan),Vol.47,No.4,pp.350−355,Apr.1998)、山内秀文他
従って、本発明の目的は、形状的な強度やデザインの自由度が図れるような、木材の変形特性をより柔軟に引き出せることのできる安価な新たな手法を提供することである。また、樹種や材質や長さに制限されることがなく、各地の製材所で準備可能な工具及び治具を用いて簡単かつ低コストにて、付加価値の高い湾曲材が製造できる手法及びそのようにして製造された湾曲材から建築構造材、湾曲装飾材、家具部材、木製容器等、を提供することである。
さらに本発明の目的は、多様な木材に対しても湾曲加工を可能とし、人工林における樹木に対しての利用を促進させ人工林の適正な間伐を図ることで山々を活性化させるとともに、廃業に追いこまれている産業への寄与を図ることが可能となる新たな手法及びそのようにして製造された湾曲材から建築構造材、湾曲装飾材、家具部材、木製容器等、を提供することにある。
さらに本発明の目的は、国産の人工林で多く生産される針葉樹の木材の有効利用を促進するため、熱処理をせずに、かつ、気乾状態で示される各木材の許容応力度を超えて、広葉樹のブナやミズナラ等を材料とした従来の曲げ加工及び積層加工により製造する場合より、簡便な方法で、針葉樹の木材で湾曲材を製造できる方法及びそのようにして製造された湾曲材から建築構造材、湾曲装飾材、家具部材、木製容器等、を提供することにある。
従って本発明は、人工的な加湿及び加熱操作によらずに、樹木が生育環境で備わっていた生物的な変形特性を引き出す方法であって、伐採後のグリーン材として利用可能な繊維飽和点以上の含水率、例えば30%以上、に維持された帯状の板であって木目方向が相対的に板材の短手方向よりも長手方向に対して向いている当該帯状の板を、支持体の形状に従って、帯状の板の繊維間を徐々に伸ばす力を、その長手方向に沿って位置をずらしながら加えることで変形させ、当該変形した状態に保持具で保持することで、変形した所定の中間体の形状に保持する変形及び保持工程と、上記中間体の形状に保持した状態で前記帯状の板を繊維飽和点の含水率を下回る所定の含水率以下、例えば、気乾状態の含水率以下又は含水率12%以下、となる状態に乾燥させる乾燥工程とを含む加工方法を提供するものである。
さらに本発明の上記加工方法は、その変形及び保持工程において、i)所定間隔内で前記長手方向に沿って位置を所定間隔以内でずらしながら力を加えること、ii)力を加える箇所での押圧速度が所定の速度以下であること、の上記i)及びii)の少なくともいずれかの条件で力が加えられ、利用する樹木が、イチョウ門イチョウ網イチョウ目イチョウ科、球果植物門マツ網マツ目に属するマツ科、ナンヨウスギ科、イヌマキ科、コウヤマキ科、ヒノキ科、イヌガヤ科、イチイ科から選ばれる。
また、それに代えて、あるいはそれに加えて、上記変形及び保持工程における変形が、i)冷間で行われる、ii)天然から得られる温浴設備を利用し、変形前に繊維飽和点以上の含水率に保ったまま加熱する工程後に行われる、のいずれかでもよい。
さらに本発明は、乾燥工程後に、上記保持の状態を開放させてその帯状の板からなる中間体を形成し、当該中間体の帯状の板を所望の形状へとさらに変形させるようにする、加工方法も提供する。
さらに本発明は、上記方法を適用することにより、木材からなる板材又は角材の変形特性が引き出された素材要素を生産する方法を提供する。
さらに本発明は、この方法で生産された素材要素を、少なくとも、当該素材要素が重なった部分間で固着するか、又は他の部材要素との間で固着して、所定の形状に維持するようにした加工品の生産方法及びその加工品も提供する。
さらに本発明は、上記加工品より得られる、集成加工された建築材、家具材、工芸材、木材加工資材、部材からなる木工製品をも提供する。
本発明によって、熱処理を必要とせず、しかも、気乾状態で示される各木材の許容応力度を超えた加工を行うことが可能となり、国産の人工林で多く生産される木材、例えば針葉樹等の木材、の有効利用を促進することが可能となった。また、多様で柔軟な曲げ加工が促進されることにより、建築構造材、湾曲装飾材、家具部材、木製容器等の加工分野への利用の幅が多く広がり、人工林材がより有効に利用可能となった。
本発明に係る木材湾曲のための加工方法は、繊維飽和点以上の含水率に維持されてきた木材を繊維飽和点未満の含水率に乾燥する前に湾曲状の帯板材にすることで、木材を構成する3成分の1要素であるセルロースを柔軟にさせるための加熱処理及び加湿処理を行わず、かつ細胞壁と中葉の許容応力を利用して湾曲させることで、細胞壁や中葉が極度に破損されることを押さえて木材の割れや破損が生じないようにすることが可能となり、品質の高い湾曲材・巻材から建築構造材、家具部材、木製容器等、を提供することができるようになった。
また、特に、生き節を含むことが比較的多い場合がある針葉樹材においても、その材料を破損させずに容易に湾曲が可能となる。特に、積層集成した複数枚の帯板材を加工する場合には、生き節を有する帯板材は、積層の中のほうに入れて使うことも可能となり、強度に大きな影響を与えることも無く、意匠としての美観を損ねることがない。間伐材や心材には節が付き物であるが、その利用も拡大させることができるために、資源の有効的な活用の幅を広げることが可能となり、林野庁および国土交通省が推し進めるCLT(Cross Laminated Timber(直交集成板))にも大いに寄与するものであり、建築設計の多様性や、地域の産業育成や活性にも大きく貢献するものである。
また、本発明により、従来手法で必要であった蒸気庫および水槽など大掛かりな装置は必要とせず、工程の大幅な簡略化ができる。また、比較的小さい木工加工では、クランプのみを使用し後は手で力を加えながら加工して形状を保持させることも可能となる。
さらに、木材の長さの制限についても、伐採後の運搬の都合、製材所の能力・スペースの都合のみで、最大限の長さ、たとえば国内の一般的な製材所に運ばれてくる最長4mの丸太材なら、その場で製材される最長4mの板材を生かした湾曲材を製作可能である。
さらに、本発明により、所望の型に湾曲後はスプリングバックを発生しないようにすることが可能となり、強力な接着剤を使用する必要がなく、室内加工品に適用するのであれば、人体に有害なホルムアルデヒドフタル酸系可塑剤を使用していない通常の酢酸ビニール樹脂の接着剤(木工用ボンド)を使用しても十分な工法が提供できる。
さらに、本発明により、熱処理が不要であるために、木の色つや、香り、健康維持に有効なフィトンチッド、防腐・防虫効果のある成分がそのままの状態で味わうことができる加工製品を提供することも可能となる。
さらに、湾曲加工帯板材を制作する上で、従来技術で必要であった高価なロータリ―レースを使用する必要がなく、バンドソー又はチップソーなどの木工機械のみを使用すればよく、ロータリ―レースを所持しない通常の製材所でも木材切削の機械も集約できて、簡単に製造が可能となる。
木製加工品の観点からは、建築材用途では、これまでより曲率半径の小さいアーチ状の建築構造材として、無垢の長大材が利用可能なので、ビザンティン建築にみられるドーム型屋根、ゴシック様式にみられる天井や支柱のアーチ構造等を、和の趣を象徴するスギなどの針葉樹材で可能にし、これまで困難だった意匠的な建築曲面造形における応用の自由度が高められる。
さらに、これまで屋根裏部材をアーチ状にする場合、部材に等間隔に切込を入れて形作っていた湾曲材を、本発明にかかる方法によって、湾曲集成材に置き換えられる。さらに、林野庁および国土交通省が推し進めるCLTにおいては、湾曲CLTを製造することが可能となるため、曲線美のあるデザインの建築物が可能となり、木材の消費量を大幅に増やすことが可能になる。
家具用途としては、リング状帯板材は同心円状のものには限られず、例えばS字状にすることも可能であり、幅も厚さも自由に設定できる。例えば、厚さが5mmから10mmであっても、それに対応した曲率半径であれば曲げ加工が可能である。これにより、製品の仕様に応じて、任意の幅や厚さの帯状材料により、曲げ加工が可能となり、集成加工製品のイスその他の家具一般が製造可能である。また、安定供給が可能なので、直線で構成しがちな人間の住空間に、曲線のある住空間を容易に提供することができる。
さらに、日本の人工林・針葉樹材の活用を、デザイン面、構造面から再定義も可能である。加熱処理をしていないので、加熱処理によって生じる苦味色がなく、スギ本来の美しい配色や香りを住空間で楽しめる。具体的には、イス、ソファーサイドテーブル、テーブル、チェア、お掃除ロボ、4面曲げ板を使用したスマートフォーン音声拡大器などに適用可能である。部材用途として木バネ、木ゼンマイも可能である。デザイナーによっては、生活を変えるウッディーデザインを提案することが可能となる。
容器用途として、同じ半径の、又は異なる半径の複数のロール状帯板材を同心円状に配置し、よりバリエーションに富んだ多くの形状の容器を製造することが可能となる。また、「曲げわっぱ」のような「曲物」容器も従来技術では非常に高価でしかできなかったが、本発明により安価に製造が可能となる。具体的には、高級な漆器のみならず、安価に大量供給可能ゆえの駅弁やコンビニ、ファーストフード用途の皿、弁当箱、お椀、ビアジョッキなどに適用可能である。
本発明による変形特性の引き出し方法のブロック図である。 バンドソー20を使用することにより木材10から繊維方向に帯板材11を切り出す一例を示した全体概略図である。 チップソー30の円盤により木材10から繊維方向に帯板材11を切り出す一例を示した全体概略図である。 図1のステップS3の工程に対応した、複数の帯板材11を重ね、その一面に保護材12を載置した状態の側面図である。 図1のステップS4の工程に対応した、第1の形態の湾曲加工方法を示した斜視図である。 図1のステップS4の工程に対応した、第2の形態の湾曲加工方法を示した斜視図である。 図1のステップS4の工程に対応した、第3の形態の湾曲加工方法を示した斜視図である。 本発明による工法により、帯板材11を湾曲・巻回し、ロール状に巻回加工し乾燥させた状態の全体図である。 帯板材11を新たに足して隣り合う帯板材11どうしをテープ105で接続した状態図である。 本発明による工法により、ロール状に巻回した2種類の帯板材11から容器を作る概念図である。 本発明による工法によって、繊維方向に湾曲させてスパイラル状に変形加工した複数の帯板材11を組み合わせて建築用材の円筒形合板13を構成する概念図である。 本発明による工法によって得られた湾曲加工帯板材11と従来方法で得られた帯状板110とを組み合わせた混合円筒形合板13の概念図である。 本発明を利用した木製加工品の一例の斜視図である。 本発明を利用した木製加工品の一例の斜視図である。 本発明を利用した木製加工品の一例の斜視図である。 繊維飽和点60を説明するためのグラフである。 平衡含水率を説明するためのグラフである。 繊維飽和点以上の含水を有する状態の細胞の構造と自由水66および結合水67との関係を示す概念図である。 繊維飽和点未満の含水を有する状態の細胞の構造と自由水66および結合水67との関係を示す概念図である。
本願発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明による木材加工の全体的な処理の一例を示した本発明による変形手法を説明するためのブロック図である。
木から切り取った生材を乾燥させないまま、グリーン材の状態で、その生材から所定の厚さd1を有した板材10に切り出す(ステップS1)。
より好ましいのは、変形工程前における木材の状態が、風雪による曲げ応力や物理的環境障害に対応する変形特性を持つ立木中の樹木に最も近い、伐採直後(伐採後早期)且つ製材直後(製材後早期)である。この生体に近い状態で変形加工させることにより、より木材の生物的な変形特性を引出することができる。
例えば、針葉樹スギ材の伐採直後の含水率(全乾法)は季節に限らず辺材で平均値200%前後、心材で平均値80%前後である。辺材も心材も含水率が通常略30%の繊維飽和点より下回ると細胞壁及び細胞間層が乾燥及び収縮し始め、日本で日常使用する場合の気乾状態まで下がると板材や角材の形状は著しく変形する。一度、含水率をその30%より低く下げていくと、例え再度、含水率を高めても細胞壁(主にゲル状のマトリックスの割合が多い一次壁)およびペクチンを主成分とした中葉の応力は回復しにくくなり、物質的な変形は可能ではあるものの、生物的な変形特性は望めにくくなる。
生材に切り取ってから、板材10にするまでに期間を要する場合には、防乾・防腐の保管状態とすることで、無期限に維持することが可能である。乾燥や腐朽を阻止した状態を維持できれば、本発明によって木材組織を変形させることによって、生物的な変形特性の引出効果を維持させることができる。
好ましい形態では、所望の樹種が抗菌効果の高い樹脂成分を含むヒノキ属又はアスナロ属等の樹種でない場合、防腐処理は製材したてのヒノキ材又はアスナロ又はヒノキアスナロ材との混合パック、或はヒノキ油又はヒバ油を添加したパックである。ヒノキ材・アスナロ材・ヒノキアスナロ材或はヒノキ油又はヒバ油等を同時に用いることによって、木材組織の劣化をより防ぎ、開封後の変形加工工程中の変形成功率を向上させることができ、本発明の方法の効率を向上させることができる。
次に、ステップS2において、その所定の厚さを有する板材10から、その厚さ方向を幅とした薄い帯状の板11(「帯板材」)を、一定の幅d2および厚さd1を有するように切り出す。切り出しは、例えば、図2A、2Bで示すように、バンドソー20(図2A)やチップソー30(図2B)等の切り出し装置を使用することができる。
幅d2および厚さd1は用途(建築用、家具用、木製容器等各種用途)に応じて任意に設定される。そして、帯板材11の繊維の伸びる方向がその帯板材の長手方向に向くように、予め板目材10を切断装置によって切り出すことが望ましい。好ましくは、帯板材11の繊維の方向と帯板材11の長手方向とが一致することが理想であるが、木材を製材した場合には、切断する場所に応じて木目は異なり、柾目のほか板目、杢目の多様な模様を表すこととになる。従って、本発明の変形加工では、板目の方向が、帯板材11の短手方向(つまり幅方向や厚さ方向)に対して長手方向へと、相対的に向いていることが好ましい。
帯板材の繊維の伸びる方向が帯板材の長手方向に向くという意味は、帯板材の短手方向と比較して、繊維の向きがどちら方向の向きに近いかをいうものであり、必ずしも、繊維の向きが長手方向の向きと完全に一致することまでを言うものではない。
従って、特に針葉樹材を木取りする際には、繊維方向に裁断する限りにおいては、柾目、板目を考慮することなく、同じように裁断でき、裁断後に材料として使用することも可能となる。材料として利用する際は、成育時の手入れ具合や部材にもよるが、概ね、組織が分断された異常組織(心割れ・目割れ、入皮、やにつぼ、抜け節、死節等)の箇所を除くだけでよい。
次に、切り出しによって得られた1枚の帯板材11又は複数の帯板材11を重ねて湾曲加工を行う(ステップS4)。このときにも、より木材の生物的な変形特性を引出することができるように、風雪による曲げ応力や物理的環境障害に対応する変形特性を持つ立木中の樹木の水分含有状態であることが好ましく、各帯板材11で保管する必要がある場合には、少なくとも繊維飽和点の含水率を下回らないように先の説明と同様、防乾・防腐の保管状態とする。
複数の帯板材11を一度に湾曲加工するために、複数の帯板材11を使用できるが、必ずしも複数枚である必要は無く、一枚ごとに変形加工を行うようにしてもよい。本明細書では、曲げ(湾曲)加工を行う対象となる帯板材11について説明した場合には、特に限定している場合を除いて、それは、1枚の帯板材11でもよければ、複数枚の帯板材11でもよい。
次に、湾曲等変形加工を行う前に、ステップS3において、帯板材11の一面には、所定の厚さを有した保護材12を載置するようにしてもよい。
保護材12は、薄い帯状の木材や樹脂、金属等を利用することができるが、合板表層の繊維方向が短手方向に向くように切断した帯状の合板の使用が好ましい。短手方向することで、合板の曲り抵抗が少なくすることができる。帯状の合板は、帯板材11と一体として曲げるために、同じ幅とすることが好ましいが、必ずしもこれに制限されない。また、帯板材11の曲げ可能の程度によっては、保護材12を設けなくとも、帯板材11を損傷させないで曲げ加工を行うことができるために、保護材12を設けるかどうかは任意である。
保護材12は、通常は少なくとも湾曲の方向凸面側(後に説明する)に設けることが好ましい。尚、生き節を有する帯板材11は、節を有さない帯板材と比較すると、強度的にも弱くなることから、生き節を有する帯板材を積層体の最内側(つまり、湾曲の凹部側)に使用する場合には、その部分を補強するために、保護材12をその内側面に置く様にしてもよい。
木材(合板)を保護材12とした場合、その厚さは、日本であればJAS規格最薄の2.3mmが好ましく、合板表層の繊維方向が、合板の長手方向に対して異なる方向、すなわち合板の短手方向に向いている合板を使用することで、容易に湾曲が可能になる。
次にステップS4に進み、帯板材11(例えば積層体14)の曲げ加工を行う。
この曲げ加工を行うまでは、その木材の生体に近い状態の変形特性を利用するように、製材、そして製材から板材への切り出し及び保管と同様に、帯板材11を防乾・防腐の保管状態とし、冷間状態において、繊維飽和点(60)以上の含水率、通常は含水率が30%以上の状態を維持させる。
ステップS4を行うにあたり、曲げ加工の帯板材11を支持する支持体を別途用意する。支持体は一つでもよく、あるいは複数の支持体から構成することもできる。支持体5は多様な形態が可能である。図4A乃至4Cは、第1乃至第3の形態による支持体5を利用した曲げ加工を示しているが、この形態に限定されない。
図4Aでは、帯板材11の幅と略同一の幅が円形リング状をした支持体5である。図4Bは、円柱状の支持体5の表面にスパイラル状に帯板材11を巻回していく実施形態を示し、図4Cは、複数の円形の支持体5を略同軸状に軸方向に並べて設置し、その複数の円形の支持体5の面上を帯板材11で巻回する実施形態を示している。
いずれの形態を利用するかは、利用されるサイズや厚さ等で適宜選択すればよい、例えば、図4Bの実施形態では、支持体5として例えば円筒形の空き缶を使用し、厚さ1〜1.5mm、幅10〜30mm位のテープ状の帯板材11を螺旋状に空き缶の表面に巻きつけてジョッキ等の容器を作ることができた。
図4Aを例として変形加工をより詳細に説明すると、その円形リングの支持体5は、所定の幅を有する面が、半径方向外側に向くように円周方向に向かって延びて形成されたリングを形成している。このリングの外側面に対して、冷間状態において含水率が30%以上の状態に維持されてきた帯板材11の一部領域を押圧して、例えばワンハンドクランプなどの保持具35によってリング状の支持体5の外側面に保持する。このとき、帯板材11は、支持体5の外側面と略接線方向に延びている。その保持された位置からわずかにずれた帯板材11の位置を押圧位置と定める。一方、支持体5においては、帯板材11が適性に支持体5の外側面に沿って曲げられたときに、その押圧位置で適切に帯板材11が支持体5のリングの面へと当接される位置を当接位置として定める。従って通常は、支持体5の外側面上での保持位置と当接位置との間の長さと、支持体5上で保持されている帯板材11の位置と押圧位置との距離とは略同じである。帯板材11を曲げるために押圧位置において押圧する力は、支持体5上の当接位置の方に絶えず向くようにして徐々に湾曲させることが好ましい。この押圧は、ワンハンドクランプなどの保持具35を使用することができる。ワンハンドクランプを使用した場合、支持体5の当接位置の内側の位置と、帯板材11の押圧位置の外側の位置とをそのワンハンドクランプで挟み込むようにし、その両箇所がずれないようにワンハンドクランプで次第に締めいく。
支持体5の当接位置に向かって帯板材11と支持体5との間を押圧によって締め進めることによって帯板材11への押圧方向は径中心方向に次第に向かい、最終的に帯板材11は支持体5の当接位置まで湾曲されることとなる。押圧位置は、保持具35が帯板材11の面上でずれず、かつ押圧による力が帯板材11の一点に極度に集中しないように押圧位置が定められる。
保持具35によって押圧して変形させ支持体5の一つの箇所での保持が終わると、それを支点として同様の工程での次の箇所での押圧変形を行い、この変形を逐次進行させていくことで、リング状やロール状の帯板材11を形成することが可能となる。
押圧方向とその押圧力、又は押圧方向、押圧力及び押圧の速度は、冷間状態において含水率が30%以上の状態に維持されてきた帯板材11が、生木本来の持つ曲げに対する強靭性を発揮して帯板材11が折れない範囲で適度に決められる。このときの帯板材11内部の繊維の詳細な状態は必ずしも明確ではないが、帯板材の繊維の伸びる方向が帯板材の長手方向に向くように帯板材11が形成されているため、変形の進行方向がその繊維の伸びる方向と略一致し(これは完全に一致することまでを意味するものではない)、折れないで曲げられる生木本来の強靭性が発揮されることと考えられる。
その変形加工を手で行った場合には、その帯板材11から得られる変形の反応を非常に敏感に手で感じることができ、言うなれば、細胞間同士がずれるように力が加わるが、たとえ一部の細胞間同士の接続が破壊されていたとしても、全体として細胞間同士は接続されたまま延ばされ、または全体として木材組織が破壊されずに変形され、製品としての外観や実質的な強度を損なわずに変形特性が引き出されていくことが、帯板材11内部の細胞の変化として明確に感じることができる。
先に説明したように、支持体リングの面に向かって押圧して帯板材11を支持体5の外側面に接触するように押圧したまま、例えば保持具35を使用して支持体5の面に保持する。さらに、その保持位置から、変形を徐々に行う進行方向に向かってわずかに離間した帯板材11の一部領域を支持体リングの半径方向外側の方向から支持体リングの面に向かって押圧する。変形の進行方向に沿って移動と押圧、そして保持を繰り返しながら、徐々に曲げ加工を行うようにする。このように、伐採後のグリーン材として利用可能な繊維飽和点以上の含水率を維持された帯状の板に対して、繊維間を徐々に伸ばす力を、長手方向に沿って逐次位置をずらしながら加えることで、変形特性を引き出しながら徐々に変形を拡張していく本発明の手法を、グラジュアリ・ストレッチ・コールド・ベンド法(Gradually Stretch Cold Bend Method)(GSCB法)と呼んでいる。
具体的な実施例の一つとして、帯板材11は、伐採後のグリーン材における繊維飽和点以上の含水率で、厚さ8mm,幅100mm,長さ4000mmに切り出したスギ帯板を利用した。そのスギ帯板を冷間で、直径660mmの円筒体の支持体5に合わせてらせん状に変形することが確認できた。この結果は、8mmの厚さであっても、本発明による特性引出方法によってスギ材の変形特性を効果的に引き出すことができることを示している。
円柱状にスパイラル状に帯板材11を湾曲させていく図4Bや、複数の支持体5を利用して帯板材11を湾曲させていく図4Cも、図4Aの湾曲手法と基本的に変わることはなく、帯板材11の長手方向に繊維方向は相対的に向いており、変形の進行方向がその繊維の伸びる方向と略一致し、支持体5の面のある一点又は領域で支えながら次の点又は領域で帯板材11を押圧する際には、帯板材11の変形を徐々に進める進行方向に向かう各当接位置又は領域における支持体5外側面の曲率半径の中心方向に向かっていくように押圧することが好ましい。
また、いずれの例の加工においても、その押圧力が強くなって急速な曲げ加工を行うと、帯板材11は全体が平均してストレッチするとは限らず、全体的なモーメントの力が部分的に集中して破断をきたしてしまう場合ある。従って、上述した変形工程においては、全体的なモーメントが極度に一箇所に集中しないか、または、帯板材11の保持具35によって保持された領域部分及びその近傍がストレッチして支持体5の面に沿って湾曲するような押圧とする。
さらに、急速な曲げ加工による押圧の集中を回避するために、所定の速度以下の速度で力を加えながら上述木材組織を変形させることが好ましい。その所定の速度は、板材の樹種、部位、含水率、板厚、板幅、木目の方向及び品質、曲げ直径等、に応じて適宜決定することができる。例えば、直径600mmの円形の支持体5に対して、スギ材、心材、含水率約80%で、節や目切れある厚さ6mm、幅60mmの板材を使用したところ、一周約60分の速度での円形曲げ加工を行うことができた。
尚、図4Cでは、自転車のホイールを複数利用し、複数の柱でホイールの内側を支えるようにしている。ホイールの隣同士が密接していない場合であっても、ホイールの密集具体により、ホイールの外側面を利用して帯板材11を変形加工させることができる。このように、支持体5を、より簡単に作り上げられる構成とすることで、比較的大きな湾曲加工品を提供できるため、利用の価値が格段に向上することが理解できるであろう。
また、上記例では、型となる支持体5の外側面に沿って帯板材11を変形させるようにしたが、目的に応じて、図4Aの型となる支持体5の内側を利用するようにしてもよい。例えば、支持体5の内側面に沿って帯板材11を支持体5の内側の面を這わせるように曲げ、さらにその内側へと巻き回して、支持体5の内部にロール状の帯板材11を形成することができる。この場合の帯板材11への変形加工のための押圧方法は、実質的には異なることはない。実際には、型の外側を使う場合に比較して、内側に適用可能な帯板材の厚さや幅は、例えば厚さ1mm以下、幅10mm以下、のような小さなものが必要となるが、どちらの面を使うかはその目的に応じて、適宜選択すればよい。
上記ロール状の曲げ加工において、帯板材11の長さが足りなかったときは、さらに別の帯板材11を用意し、2つの帯板材11の突端同士を突き合わせて、継続して変形加工を行ってロール状への巻回を続けることができる。
このように、GSCB法を採用することで、変形前の木材組織の不均一成分、例えば節やあて材、製材時の目切れを含有していても変形させることができ、本発明の方法の効率を向上させることができることが明らかとなった。
樹種は特に限定されないが、例えば、イチョウ門イチョウ網イチョウ目イチョウ科、球果植物門マツ網マツ目に属するマツ科、ナンヨウスギ科、イヌマキ科、コウヤマキ科、ヒノキ科、イヌガヤ科、イチイ科から選ばれる樹種とすることができる。
帯板材11を所望の形状に湾曲して保持できるものであれば、任意の支持体や保持具を利用できる。また、押圧と保持とを一つの治具等で行うこともできるが、別々の治具等を利用することもできる。例えば、折り曲げのための帯板材11に加える押圧は、人の手によって行うこともできるし、型や台等のある部分に置かれた帯板材11を押圧して変形させる力を加えられるような、プレス加工可能なベンダー装置等、既存の曲げ加工装置を利用してもよい。
ステップS4における上記変形工程は冷間で行うことが可能であるが、変形を行う前や変形を行う過程で、温浴や水蒸気などの加熱を行っても良い。
例えば、上述した変形工程前の帯板材11において、天然から得られる温泉等の温浴或は水蒸気にて木材内部まで加熱した直後で上記変形工程において変形する。このような工程を追加することで、生物的な変形特性に加えて、物質的な変形特性が加えられ、変形工程中の変形成功率を向上させることができ、本発明の方法の効率を向上させることができる。
例えば、温浴を行う手段としては、所望の大きさの温泉浴槽が利用できない場合には、塩ビ管を利用した水槽に温泉水を入れて帯板材11を温浴させ、また、熱吸収率の高い、黒色ビニール袋などの膜で覆い日光浴させ数時間以上加熱するようにしてもよい。
塩ビ管水槽や黒色ビニール袋などは、長大サイズのものでも入手が容易で、費用を多くかけず、所望の長材の板材・角材にも物質的な変形特性を付加させることが比較的簡単に行うことが可能となる。
ステップS4の変形加工を終えると、ステップS5において、加工品を乾燥させる、好ましくは、繊維飽和点以下、例えば含水率が30%未満の所定の含水率以下となる状態、好ましくは気乾状態とするか、それ以下の含水率、より好ましくは含水率12%以下、となる状態に乾燥させる。
各種試験から、含水率が30%を下回っただけ、例えば25%くらいの状態では、スプリングバックにより平滑に戻ってしまう。20%以下の含水率まで乾燥させれば、スプリングバックの影響が少なくなり製品に利用できるレベルにまで固定され、略15%となれば、形状固定のうえでは製品に利用できるには十分となり、含水率略12%まで乾燥させれば、形状がほぼ固定されることがわかった。木材の含水率が空気中の湿度と平衡状態となる気乾状態の含水率(平衡含水率とも言う)は季節や地域にもより、日本のある地域では梅雨時は17%前後、冬場では6%前後であるが、変形加工させた帯板材11をこのような気乾状態になるまで乾燥すればよいこともわかった。含水率は、使用する材種や条件によって変化するであろうが、その条件に応じた所定の含水率を予め定めて、その所定の含水率以下に乾燥させるようにすればよく、より乾燥を速めるために乾燥機等の装置を利用してもよい。
この乾燥により、細胞壁及び細胞間層が乾燥及び収縮し始めるため変形するが、帯板材11はその形状が固定されているために、乾燥後にその保持を解いたとしても比較的その形状を維持する。この場合、前述した生物的な強靭性による変形特性は失われるが、物質的な変形は可能でもある。つまり、本発明により、その細胞壁構造を実質的に壊さない範囲で湾曲させてその形状を保持して乾燥すると、高い変形量を示す細胞配列となるように細胞壁と中葉間とが互いにその位置関係で固定されて、変形加工状態である弾性特性を有しながらその形状を維持するように作用するものと思われる。つまり、乾燥後のその形状から更なる湾曲も可能である。また、従来のような乾燥による木材の変形や収縮も少ないために、出来上がった製品の変形も極めて抑えられることがわかった。
また、ステップS5の乾燥工程中に一時的な変形加工を組み入れても良い。例えば、図5Aのロール状の帯板材11は、そのようにして作ることも可能である。より具体的に説明すると、まず、ステップS4において、図4B、図4Cで示したように、螺旋状に巻回された帯板材11を形成させる。その螺旋状に保持された帯板材11は、ある程度の乾燥工程を経ると、自身の形状が、従来の形状からその保持された形状へとしだいに移行し、スプリングバックの力が弱くなる。このスプリングバックの力が弱くなった段階で、かつ完全に形状が固定されない段階の乾燥工程の途中で、図5Aに示したようなロール状の帯板材11へと変形させてそのロール状の保持具35を使用して保持する。その後、さらに乾燥工程を引き続き行って帯板材11を乾燥させ、ロール状に形状が固定された帯板材11を作りだすことができるのである。
ステップS6は、乾燥によって形状が固定された弾性としての性質を利用し、その帯板材11を中間体として、最終的な製品へと適用するものであり、乾燥後の形状固定した変更加工品を製品に対して適用して加工品製造を行う。
以上で説明したように、まず、針葉樹等の生材(グリーン材)を繊維方向に所定の厚さで帯状の板材を製材する。このとき、帯状の板材の長手方向に繊維方向は相対的に向いている。また、リング状、円筒状等の基礎または型の外周面に沿って徐々に帯状の板材を曲げ加工していくことで、最終的に帯状の板材が湾曲変形加工される。つまり、最初の開始始点から外周面に沿って徐々に位置をずらしながら局所的な曲げを行う。
従来のようなリング状、円筒状等の基礎または型に沿って板材を長手方向全体で曲げようとした場合には、その全体の曲げ応力が強度的に湾曲に対して弱い例えば節等の箇所へと集中して、その箇所で破断を生じてしまうが、本発明による、応力集中を回避して局所的な曲げを行いつつ、その位置をずらすことを繰り返すことによって全体的な曲げを発展させることによって、板材自体が割れることから回避されて全体として大きな湾曲加工品を得ることが可能となる。しかも、帯板材11の長手方向に繊維方向は相対的に向き、グリーン材として湿度を有した生命としての機能も維持されていることにより、繊維の延びをより発揮させること可能となり、従来曲げ加工し難かった樹種に対しても湾曲加工が行えることとなり、非常に広い分野での利用を図ることができることとなった。
ここで、よりミクロ的な見地から、含水率及び繊維飽和点60について図10乃至図11Bを参照して説明する。
含水率は当業者にとって周知のとおり、含水率の定義は、
含水率(%)=(乾燥前の重量 − 全乾後の重量)/全乾後の重量 ×100
である。
木材の細胞は細胞壁で囲まれている。隣り合う細胞壁の間には中葉Mが存在する。細胞壁は、一次壁Pと二次壁Sがある。したがって、その一次壁Pの外側には中葉Mが存在して、細胞間層として、細胞間の接着に関与している。
木材の主要な水分は細胞内(細胞内膣(ないこう))の自由水66と細胞壁内の結合水67で構成されている。乾燥においては、細胞内の自由水66から蒸発をし始める。自由水の量の変化によっては、強度的変化は大きくはなく、いわゆる飽和領域を形成する。一方、結合水は木材を構成する分子と二次的に結合していると考えられており、したがって、結合水の変化が生じることで、強度に関して飽和領域を脱し、その変化に応じて強度も変化する。
図9は繊維飽和点60を示すために、木材の含水率と曲げ強度との関係を示すグラフである。細胞内腔内に自由水66を有した状態からその自由水量が変化し、細胞内腔内からその自由水66が消失した時点の木材の含水率を繊維飽和点60と呼ぶ。繊維飽和点60は水分の含水率でいうと概ね30%に相当する。したがって、図9に示したように、繊維飽和点60以上、すなわち概ね含水率30%以上の状態では、木材は縦圧縮強度や曲げ強度が一定で低く、縦方向(繊維方向)にも横方向(繊維方向と直角の方向)にも柔らかい。一方、含水率が繊維飽和点60を下回ると、木材は縦圧縮強度や曲げ強度が含有率の低下に応じてほぼ比例関係に上がり縦方向や横方向に固くなる性質を持つ。
上記強度と含水率との関係は当業者にとって周知ではあるが、その関係は、木材をどの程度曲げられるかとは異なる点に注意すべきである。
従来は、適材適所の観点、例えば比較的弾性の小さい針葉樹材よりも、比較的弾性の大きい広葉樹材を曲げ加工して利用するという合理性や、品質管理技術上の観点、例えば、針葉樹優良材を徹底的な乾燥により木材に潜むねじれを完全に引出した後に正確な製材および表面仕上げをし、その上で、人工的な加湿及び加熱をして曲げ加工を行ったり、煮沸により木材内部に潜む(乾燥後に変形の原因となる)樹脂分を煮出してから曲げ加工を行うといったような品質管理技術、あるいは高温・高湿下での木材の熱可塑性を利用した整形技術等を採用していたという背景が存在し、本発明の技術背景で示したような多くの問題を派生させてしまっていた。
本発明は、強度という観点よりもむしろ生木の強靭性などの生物学的な視点から、今日の課題を克服するものである。生木は本来その生物学的な強靭性を有しており、十分なしなりを発揮する。本発明は、そのしなりが効果的に発揮するように、グリーン材として帯板材を、相対的に繊維方向が帯板材の長手方向に相対的に向くように用意し、その長手方向を変形の進行方向として、ワンハンドクランプ等の保持具又は支持具によって部分的に保持又は支持しながら、その進行方向に向かって保持又は支持を徐々に行いながら曲げを行うことでこれまでにない大きな曲げ加工ができることを発見したものである。
細胞のミクロ的な視点からすると、これは、木繊維内部の細胞間の細胞壁や隣り合う細胞壁を接合している中葉等に力が集中してしまって板の割れや破壊を生じさせてないように、その細胞壁および中葉の許容応力を利用しながら、繊維方向に対して伸ばされるなど、高い変形量を示す細胞配列により、その強靭性を発揮させるものと思われる。
変形加工を行った後に乾燥させた後、固定されたその高い変形量を示す細胞配列からその物質的な変形特性を利用してさらに変形させて最終製品が得られる。乾燥させた後は許容応力度は上記で説明したように低くはなるが、すでにその最終製品への適用前の主要な湾曲である変形工程がステップS4で事前に行われていることから、最終製品に適用するための湾曲等の中間体としての変形は、大きな応力を与える必要がなくなるために、木材の利用の幅を中間体として大きく広げることとなる。このように、新たな湾曲手法に加えてさらなる湾曲変形を段階的に組み合わせた工程を採用することによって、従来では木材が割れたりするような大きな湾曲も可能となるために、製品のバラエティを広げることもできる。また、必要な場合は、ステップS5で得られた中間体に対してワンハンドクランプ等の保持具又は支持具を用いながら押圧してさらに変形加工・接着を行い、所望の曲率等になるようにしてもよい。
本発明の変更加工方法により、主要な湾曲、通常はラフな湾曲を最初の変形工程で行うことができることから、複数の帯板材を積層して一つの変形工程で同時に変形加工を行って乾燥させ、その後に一枚ごとに分けて第2の微調整加工を行うことも可能となる。複数の帯板材は、同じ製品に利用することもできるし、あるいは別な製品に利用することもできるであろう。
繰り返しになるが、変形加工後に保持乾燥させることで、その形状が組織へと記憶される。このとき従来のような生材としての強靭な変形性は有してはいないが、ある程度の変形に対しては弾性特性を有することとなる。従って、最終製品への弾性変形が可能な程度に加工できるばかりか、従来の手法のような乾燥によるあばれも生じることがないために、最終製品での利用が大きく促進されることとなる。このように、乾燥後のその形状から更なる湾曲も可能であり、最終的な湾曲形状の木材は、乾燥状態で変形や収縮も少ないために、出来上がった製品の変形も極めて抑えられることがわかった。
図6は上述した工法を利用して帯板材11をロール状に曲げ加工し、その後帯板材11を中心軸方向に上記した弾力性を利用しながらやや引き伸ばして皿状の木製加工品13を形成するステップS5の一例を示したものである。その木製加工品13の中央に形成された孔の内径D1と一致するように、図の左側下部に示した別の帯板材11を作るようにしてもよい。その別の帯板材11は木製加工品13の基底部として利用することができる。
例えば、その基底部は、円盤状の木からできた基部115の周囲を型として兼用し、本発明による変形工法によりその周囲にロール状に帯板材11を巻回して、その径がD1と一致するように作ることができる。そして、皿状にした木製加工品13の中央の孔の内径と、その内径に一致させた外径を有する基底部とを結合し一体の組み合わせを形成することで、皿としての製品が形成される。
この例では、中心部の孔の径D1に合わせて、基底部115をロール状の湾曲帯板材11の底部に結合させて容器として完成させるものであり、基底部115は、円板状の中心部材の周囲に、やはりロール状の湾曲した帯板材11を所望の厚さ巻回して構成している。円板状の中心部材にロール状の湾曲帯板材11を巻くことで、基底部115を皿の面として利用するロール状の湾曲帯板材11の中心に埋め込む際に、基底部として利用するロール状の湾曲帯板材11の外周先端と皿の面として利用するロール状の湾曲帯板材11の内周先端とをはさみ等で切断するなどして寸法を調整し、両先端の接続位置を微調整したうえで正確に接続できるという特徴がある。もっとも、円盤状の木材を基底部としてそのまま利用し、皿の部分の中央の孔に結合できるようにしても良い。
さらなる製品の発展として、例えば、平衡含水率まで乾燥させて形状固定したロール状の湾曲帯板材11を更に連結加工して、製品の仕様に応じて半径を大きく、また小さくしたりすることで、容器の深さや形状など任意の仕様に決定して木製容器を製造することができる。
また、必要に応じて、ロール状の湾曲帯板材11を接続後、ロール状の湾曲帯板材11をずらしながら構成することで、バリエーションのある木製容器が簡単に製造できる。また、このようにして製造された容器の用途は、容器に限定されるものではなく、その形状を生かして様々な用途に発展して利用することができる。
ロール状に巻回させた湾曲帯板材11は本発明の範囲で多様な方法で作ることができる。例えば、リング状に加工及び乾燥させた帯板材11を複数用意しそのリング状の湾曲帯板材11どうしの端を突き合わせて、図5Bで示したシール105でずれを防止し、バットジョイント法等により接続を行うようにすることで、長く続いたロール状の湾曲帯板材11を作ることができる。
もちろん、図6のロール状の帯板材11の代わりに図4Bや図4Cで示したような螺旋状の帯板材11から図6の容器を作り出すことも本明細書を読んだ当業者ならば理解できるであろう。
図7Aは、螺旋状に巻回した複数の帯板材11を組み合わせた例13を示し、図7Bは、その組み合わせの変形例13を示している。
スパイラル(螺旋)状の湾曲帯板材11の夫々は、すでに図4Bで説明した螺旋状帯板材11と同様の工程で作ることができ、まず、複数層の湾曲帯板材11は、1層毎に巻き方向を逆にした湾曲帯板材11から構成され、その間が接着固定され、これにより複数の螺旋状湾曲帯板材からなる円筒形合板13が形成される。ここで、上下に積層された隣同士の湾曲帯板材11は、巻き方向が逆の湾曲帯板材とすることが好ましい。1層毎に巻き方向を逆にすることで、繊維方向が異なるために表面割裂が起こり難くなる。さらに、巻き方向を左右に対称に所定の角度の範囲、例えば5度から15度の範囲の例えば略10度の傾きを持たせるようにしてもよい。
円筒合板の内部には図4Bで示したような支持体5をそのまま利用しても良い。つまり、実際の製品の一部となる支持体5を使用してその上に帯板材11を巻き回するようにしてもよい。もちろん、型としてのみ支持体5を利用し、その後、帯板材11をその支持体5から取り外して、本来の製品用の別の支持体に取り付けるようにしてもよい。接着剤を支持体の面や巻き付ける湾曲帯板材11の内側に塗布して、あるいは釘やビスを打って、支持体に保持するようにしてもよい。支持体は、木、金属、紙、プラスチック等の円筒芯、あるいは円筒合板13の内部に充填されるようにしてもよい。
図7Bは、図7Aの組み合わせの変形例である。図7Aと異なるのは、図7Aの中央部分の帯板は、巻き方向と木材の繊維方向とが相対的に同じ方向であるのに対して、図7Bの中央部分の帯板(違いを明らかにするために符号110で示す)は、巻き方向と繊維方向とが違う方向にあるということである。符号110の帯状の湾曲体は、非特許文献1で示される従来技術の帯状単板である。このように、本発明によって得られた湾曲帯板材11と従来の手法で得られた湾曲帯板材110とを組み合わせることで、強度を増した円筒合板13を構成することができる。
次に、本発明により得られた木製加工製品の例を説明する。
図8Aは、本発明により得られた湾曲変形品を利用して椅子に適用した例である。
図8Bは、アーチ状のドームを形成した例であり、伐採後のグリーン材における繊維飽和点以上の含水率で、厚さ8mm,幅100mm,長4000mmに切り出した、目切れや節があるスギ帯板を、冷間環境で半径1270mmの円弧型枠に合わせてアーチ状に変形させた。この結果から、本発明の特性引出方法によれば、スギ材の変形特性を十分に引出できることを示している。
アーチ状帯板は複数の帯板材を集成して加工して造ることも可能である。このように、建築材用途では、これまでより曲率半径の小さいアーチ状の建築構造材として、無垢仕様の長材が利用可能となり、ビザンティン建築にみられるドーム型屋根、ゴシック様式にみられる天井や支柱のアーチ構造等を、スギなどの針葉樹材で可能になる。
図8Cは、螺旋状に巻き回した帯板材を内装材に利用した例である。特に比較的大きな加工品は、ステップS4において、ある程度ラフに螺旋状に巻き回した帯板材へと変形加工し、次にステップS5において乾燥させた後に、正確に張り合わせるようにしてもよい。
帯板材はリング状の同心円状のものには限られず、例えばS字状或はひねりを加えた形状にすることも可能であり、幅も厚さも自由に設定できる。例えば、一般的に厚さが5mmから10mmであっても、それに対応した曲率半径であれば曲げ加工が可能である。これにより、製品の仕様に応じて、任意の幅や厚さの帯状材料により、変形加工が可能となり、集成加工製品のイスその他の家具一般が製造可能である。具体的には、イス、ソファーサイドテーブル、テーブル、チェアなどに適用可能である。
また、上記以外にも、国内の人工林で多く生産されているスギ材やヒノキ材を使用した湾曲CLTの製造も期待できる。
本明細書に開示された実施例は、本発明を限定するものではなく、説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の思想と範囲が限定されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲により解釈すべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきである。
10 成材から切り出された板材
11 帯板材
12 保護材
13 円筒形合板
14 湾曲帯板材積層体
20 バンドソー
30 チップソー
60 繊維飽和点
66 自由水
67 結合水
105 シール
110 従来技術のロータリーレースで得られた帯状単板
115 円盤状の板(型を兼用)

Claims (9)

  1. 人工的な加湿及び加熱操作によらずに、樹木が生育環境で備わっていた生物的な変形特性を引き出す方法であって、
    伐採後のグリーン材として利用可能な繊維飽和点以上の含水率、例えば30%以上、に維持された帯状の板であって木目方向が相対的に板材の短手方向よりも長手方向に対して向いている当該帯状の板を、支持体の形状に従って、前記帯状の板の繊維間を徐々に伸ばす力を、前記長手方向に沿って位置をずらしながら加えることで変形させ、当該変形した状態に保持具で保持することで、変形した所定の中間体の形状に保持する変形及び保持工程と、
    前記中間体の形状に保持した状態で前記帯状の板を繊維飽和点の含水率未満の所定の含水率以下となる状態に乾燥させる乾燥工程と、を含む、方法。
  2. 前記所定の含水率は気乾状態の含水率である請求項1に記載の方法。
  3. 前記変形及び保持工程において、
    i)所定間隔内で前記長手方向に沿って位置を所定間隔以内でずらしながら力を加えること、
    ii)力を加える箇所での押圧速度が所定の速度以下であること、
    の前記i)及びii)の少なくともいずれかの条件で力が加えられ、
    前記樹木が、イチョウ門イチョウ網イチョウ目イチョウ科、球果植物門マツ網マツ目に属するマツ科、ナンヨウスギ科、イヌマキ科、コウヤマキ科、ヒノキ科、イヌガヤ科、イチイ科から選ばれる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記変形及び保持工程における変形が、
    i)冷間で行われる、
    ii)天然から得られる温浴設備を利用し、変形前に繊維飽和点以上の含水率に保ったまま加熱する工程後に行われる、
    のいずれかである、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記乾燥工程後に、前記保持の状態を開放させて前記帯状の板からなる中間体を形成し、当該中間体の帯状の板を所望の形状へとさらに変形させる、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかの方法を適用することにより、木材からなる板材又は角材の変形特性が引き出された素材要素を生産する方法。
  7. 請求項6に記載の方法で生産された前記素材要素を、少なくとも、当該素材要素が重なった部分間で固着するか、又は他の部材要素との間で固着して、所定の形状に維持するようにした加工品の生産方法。
  8. 請求項7に記載の生産方法により生産された加工品。
  9. 請求項8に記載の加工品より得られる、集成加工された建築材、家具材、工芸材、木材加工資材、部材からなる、木工製品。
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