JP2019212588A - 多層セパレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、出力特性とデンドライト耐性を両立する蓄電デバイス用多層セパレータを提供することを目的とする。【解決手段】ポリオレフィン樹脂を含む多孔層Aと無機粒子を含む多孔層Bを備える蓄電デバイス用多層セパレータのフッ化物イオンのパルス磁場勾配NMR測定において多孔層Aのイオン拡散係数をD(A)、多孔層Bのイオン拡散係数をD(B)とし、かつ当該蓄電デバイス用多層セパレータのフッ化物イオンの交換NMR測定において100msのミキシングタイムでの多孔層Aと多孔層Bの間のイオン透過率(%)をr(AB)とした場合、r(AB)とD(A)とD(B)が、それぞれ以下の関係式:r(AB) < 24D(A) > 1×10−11D(B) > 1×10−11を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電デバイス(以下、単に「電池」ともいう。)の発電要素に用いる蓄電デバイス用多層セパレータに関し、さらには、これを用いた電池などに関する。
従来、蓄電デバイスでは、正極板と負極板との間にセパレータを介在させた発電要素に、電解液を含浸させていた。一般に、セパレータには、イオン透過性と、シャットダウン機能などの安全性が求められるため、ポリオレフィン樹脂を含む多孔層を備えるセパレータが使用されている。さらに、熱暴走時の電気絶縁性、耐熱性、サイクル特性などの観点から、樹脂多孔層と、無機フィラー及びそのバインダを含む多孔層とが積層された多層セパレータも検討されている(特許文献1〜4)。
特許文献1には、多層セパレータのうちの一層を構成するポリオレフィン樹脂多孔膜のリチウム(Li)イオン拡散係数が特定の範囲にあると、サイクル特性又はトリクル特性が良好であることが記述されている。特許文献1では、多層セパレータにおけるポリオレフィン樹脂多孔膜以外の層のイオン拡散係数又は多層セパレータの界面のイオン拡散性について言及されていない。
特許文献2では、多層セパレータのうち耐熱性微粒子含有層の空孔率を55%以上に調整することによりデバイス出力特性の向上を試みているが、改善の余地があることに加え、空孔率の増加のために保存特性、リチウムデンドライト耐性等の信頼性に懸念がある。
特許文献3では、耐熱性多孔質層のバインダ割合を7体積%以下に減らすことにより、出力特性の向上を試みているが、バインダ割合の下限値が不明瞭であることに加えて、結着性の低下による短絡又はサイクル特性の低下が懸念される。
特許文献4には、ポリオレフィン多孔質フィルムの表面にバインダ樹脂及びフィラーを含む耐熱層が積層されたフィルムにおいて、バインダ樹脂がポリオレフィン多孔質フィルム内部に浸透する割合を制御することによりイオン透過性を制御することが記述されているが、フィルムと耐熱層の界面のイオン透過性が出力特性に具体的にどのように影響するのか不明瞭である。
特開2016−76337号公報 特開2011−100602号公報 国際公開第2012/005152号 特開2013−46998号公報
従来の多層セパレータは、デバイス出力特性又は耐熱性を有するものであるが、蓄電デバイス内でのデンドライト耐性については検討されていないか、又は改良の余地がある。
したがって、本発明は、出力特性とデンドライト耐性を両立する蓄電デバイス用多層セパレータを提供することを目的とする。
上記課題は、以下の技術的手段により解決されるものである。
[1]
ポリオレフィン樹脂を含む多孔層Aと無機粒子を含む多孔層Bを備える蓄電デバイス用多層セパレータであって、
前記蓄電デバイス用多層セパレータのフッ化物イオンのパルス磁場勾配NMR測定において前記多孔層Aのイオン拡散係数をD(A)、前記多孔層Bのイオン拡散係数をD(B)とし、かつ前記蓄電デバイス用多層セパレータのフッ化物イオンの交換NMR測定において100msのミキシングタイムでの前記多孔層Aと前記多孔層Bの間のイオン透過率(%)をr(AB)とした場合、r(AB)とD(A)とD(B)が、それぞれ以下の関係式:
r(AB) < 24
D(A) > 1×10−11
D(B) > 1×10−11
を満たす、蓄電デバイス用多層セパレータ。
[2]
前記r(AB)と前記D(B)が、以下の関係式:
r(AB)/D(B) < 2.40×1011
を満たす、[1]に記載の蓄電デバイス用多層セパレータ。
[3]
前記多孔層Aの表面の少なくとも一部分が、ポリマーで被覆されている、[1]又は[2]に記載の蓄電デバイス用多層セパレータ。
[4]
前記多孔層Aの表面の少なくとも一部分が、前記多孔層Bに含まれるポリマーとは異なるポリマーで被覆されている、[3]に記載の蓄電デバイス用多層セパレータ。
[5]
前記多孔層Aと前記多孔層Bの間に、前記多孔層Bに含まれるポリマーとは異なるポリマーを含む層Cを備える、[1]又は[2]に記載の蓄電デバイス用多層セパレータ。
[6]
前記r(AB)と前記D(A)と前記D(B)が、それぞれ以下の関係式:
r(AB) > 0
D(A) ≦ 1×10−10
D(B) ≦ 1×10−10
を満たす、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用多層セパレータ。
[7]
前記r(AB)と前記D(B)が、以下の関係式:
r(AB)/D(B) > 1×10
を満たす、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用多層セパレータ。
[8]
前記蓄電デバイス用多層セパレータのフッ化物イオンの交換NMR測定において、下記式:
S(%/ms)={(ミキシングタイム100msでのイオン透過率r(AB))−(ミキシングタイム20msでのイオン透過率r(AB))}/(100−20)
により算出される値Sをイオン透過指数S(AB)とした場合、S(AB)が、以下の関係式:
S(AB) < 0.16
を満たす、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用多層セパレータ。
[9]
前記S(AB)が、以下の関係式:
S(AB) > 0
を満たす、[8]に記載の蓄電デバイス用多層セパレータ。
本発明によれば、出力特性とデンドライト耐性を両立する蓄電デバイス用多層セパレータ及びそれを用いた蓄電デバイスを提供することができる。
図1は、ポリオレフィン樹脂を含む多孔層Aと無機粒子を含む多孔層Bを備える蓄電デバイス用多層セパレータにおけるイオン拡散挙動を説明するための模式図である。 図2は、図1に示される蓄電デバイス用多層セパレータにおけるフッ化物イオンの交換NMRスペクトルの一例であり、図2(a)は、ミキシングタイム(mixing time)が100msの場合を表し、かつ図2(b)は、mixing timeが20msの場合を表す。 図3は、図2(a)に示される多孔層Aのピーク最大値でのスライスデータであり、対角ピークと交差ピークの面積の求め方を表す。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)を詳細に説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。本明細書において、各数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
<多層セパレータ>
本実施形態に係る多層セパレータは、ポリオレフィン樹脂を含む多孔層Aと無機粒子を含む多孔層Bとを含む。
[各層のイオン拡散係数と多層間イオン透過率と多層間イオン透過指数]
本実施形態に係る多層セパレータは、そのフッ化物イオンのパルス磁場勾配NMR測定において多孔層Aのイオン拡散係数をD(A)、かつ多孔層Bのイオン拡散係数をD(B)とし、そのフッ化物イオンの交換NMR測定において100msのミキシングタイムでの多孔層Aと多孔層Bの間のイオン透過率(%)をr(AB)とした場合、r(AB)とD(A)とD(B)が、それぞれ以下の関係式:
r(AB) < 24
D(A) > 1×10−11
D(B) > 1×10−11
を満たす。優れた出力特性とデンドライト耐性を両立することができる新規な多層セパレータの構成が、r(AB)とD(A)とD(B)の上記関係式により特定されることが見出された。
出力特性及びデンドライト耐性をさらに向上させるという観点から、r(AB)は、好ましくは22.8以下又は22以下、より好ましくは15以下又は10以下である。r(AB)の下限値は、理論上、0を超えることができる。
なお、多層セパレータの交換NMR測定及びパルス磁場勾配NMR測定については、実施例の項目において詳述する。
本実施形態に係る多層セパレータは、そのフッ化物イオンのパルス磁場勾配NMR測定において多孔層Aのイオン拡散係数をD(A)、多孔層Bのイオン拡散係数をD(B)とし、かつそのフッ化物イオンの交換NMR測定において、下記式:
S(%/ms)={(ミキシングタイム100msでのイオン透過率r(AB))−(ミキシングタイム20msでのイオン透過率r(AB))}/(100−20)
により算出される値Sをイオン透過指数S(AB)とした場合、S(AB)とD(A)とD(B)が、それぞれ以下の関係式:
S(AB) < 0.16
D(A) > 1×10−11
D(B) > 1×10−11
を満たすことが好ましい。優れた出力特性とデンドライト耐性を両立することができる新規な多層セパレータの構成が、S(AB)とD(A)とD(B)の上記関係式により特定されることが見出された。
出力特性及びデンドライト耐性をさらに向上させるという観点から、S(AB)は、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.13以下又は0.10以下である。S(AB)の下限値は、理論上、0を超えることができる。
本実施形態に係る多層セパレータの構成要素について以下に説明する。
出力特性及びデンドライト耐性をさらに向上させるという観点から、D(A)は、好ましくは2.0×10−11以上、より好ましくは2.8×10−11以上であり、かつ/又はD(B)は、好ましくは5.0×10−11以上、より好ましくは6.4×10−11以上又は9.8×10−11以上である。なお、D(A)の上限値は、生産性の観点から、好ましくは1×10−10以下であり、かつ/又はD(B)の上限値は、出力特性と保存特性のバランスの観点から、好ましくは1×10−10以下である。
出力特性及びデンドライト耐性の両立という観点から、r(AB)とD(B)が、以下の関係式:
r(AB)/D(B) < 2.40×1011
を満たすことが好ましく、r(AB)/D(B)は2.30×1011以下であることがより好ましい。r(AB)/D(B)の下限値は、r(AB)の下限値とD(B)の上限値に応じて、1×10以上であることができる。
[積層構造]
r(AB)とS(AB)とD(A)とD(B)とr(AB)/D(B)を上記で説明された数値範囲内に制御することは、一例として、ポリオレフィン樹脂を含む多孔層Aと無機粒子を含む多孔層Bとの間に界面を設けることにより達成されることができる。層AとBの間の界面形成については、多孔層Aの表面の少なくとも一部分が、好ましくは、ポリマーで被覆され、より好ましくは、多孔層Bに含まれるポリマーとは異なるポリマーで被覆される。多孔層Aの表面を覆うポリマーは、多孔層Aに含まれるポリオレフィン樹脂と同一でも異なってもよい。また多孔層Bと接する多孔層Aの表面をあらかじめ熱ロール等に接触させることで多孔層Aの表面開口率を変化させ、多孔層Aの最表面のイオン透過性を制御してもよい。
また、本実施形態では、多層セパレータは、以下のような積層構造:
多孔層A/多孔層B
多孔層B/多孔層A/多孔層B
多孔層A/多孔層B/多孔層A
多孔層A/層C/多孔層B
のいずれかを有することができ、かつ/又はいずれかの積層構造の繰り返しを含んでよい。また、r(AB)とS(AB)とD(A)とD(B)を上記で説明された数値範囲内に制御するという観点では、多孔層A/層C/多孔層Bという層構成が好ましい。層Cは、多孔層A及びBとは異なるものであり、r(AB)とS(AB)とD(A)とD(B)が上記で説明された関係を有する限りにおいて使用され、例えば、ポリマー皮膜、熱可塑性ポリマー含有層などである。
なお、本明細書では、層Cと多孔層A表面の被覆とは、区別して使用されるものであり、「層C」は、層AとBの間の三次元的な領域として定義され、そして「被覆」は、多孔性基材の多孔表面の少なくとも一部分を塞いでいる物として定義される。しかしながら、「層C」と「被覆」の定義は、一方で使用される樹脂が、他方で使用される樹脂と同じであることを排除する意図ではない。
[多孔層A]
多孔層Aは、ポリオレフィン樹脂を含む層である。多孔層Aの50質量%以上100質量%以下をポリオレフィン樹脂が占めることが好ましい。多孔層Aにおけるポリオレフィン樹脂が占める割合は、より好ましくは60質量%以上100質量%以下、更に好ましくは70質量%以上100質量%以下である。
樹脂に使用するポリオレフィンの粘度平均分子量としては、成形加工性の観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは2,000以上、さらに好ましくは5,000以上であり、上限として好ましくは12,000,000未満、好ましくは2,000,000未満、さらに好ましくは1,000,000未満である。
ポリオレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等をモノマーとして用いて得られるホモ重合体、共重合体、又は多段重合体等が挙げられる。また、これらのポリオレフィン樹脂は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
中でも、蓄電デバイス用セパレータのシャットダウン特性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの共重合体、並びにこれらの混合物が好ましい。
ポリエチレンの具体例としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等、
ポリプロピレンの具体例としては、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン等、
共重合体の具体例としては、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレンプロピレンラバー等、が挙げられる。
多孔層Aには任意の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、ポリオレフィン樹脂以外の重合体、例えば、含フッ素樹脂、含フッ素ゴム、その他のゴム類、ポリイミド及びその前駆体など;無機フィラー;酸化防止剤;金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。これらの添加剤の総添加量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、20質量部以下であることがシャットダウン性能等を向上させる観点から好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
[多孔層B]
多孔層Bは、無機粒子を含む層である。多孔層Bの50質量%以上100質量%以下を無機粒子が占めることが好ましい。多孔層Bにおける無機粒子が占める割合は、より好ましくは60質量%以上100質量%以下、更に好ましくは70質量%以上100質量%以下である。
無機粒子としては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、及び酸化鉄などの酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、及び窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、及びケイ砂等のセラミックス;並びにガラス繊維などが挙げられる。無機粒子は、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
多孔層Bは、所望により、無機粒子同士を結着させるバインダ樹脂、無機粒子をバインダ樹脂中に分散させる分散剤を含んでよい。
ここでいうバインダ樹脂としては、1)共役ジエン系重合体、2)アクリル系重合体、3)ポリビニルアルコール系樹脂、及び4)含フッ素樹脂が挙げられる。
1)共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物を単量体単位として含む重合体である。共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、スチレン−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換及び側鎖共役ヘキサジエン類等が挙げられ、これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、1,3−ブタジエンが好ましい。
2)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル系化合物を単量体単位として含む重合体である。上記(メタ)アクリル系化合物とは、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから成る群から選ばれる少なくとも一つを示す。
このような化合物としては、例えば、下記式(P1)で表される化合物が挙げられる。
CH=CRY1−COO−RY2 (P1)
{式中、RY1は、水素原子又はメチル基を示し、かつRY2は、水素原子又は1価の炭化水素基を示す。}
Y2が1価の炭化水素基の場合は、置換基を有してよく、かつ/又は鎖内にヘテロ原子を有してよい。1価の炭化水素基としては、例えば、直鎖又は分岐の鎖状アルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基が挙げられる。
Y2の1種である鎖状アルキル基として、より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基である炭素原子数が1〜3の鎖状アルキル基;n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、及びラウリル基等の、炭素原子数が4以上の鎖状アルキル基が挙げられる。また、RY2の1種であるアリール基としては、例えばフェニル基が挙げられる。
また、1価の炭化水素基の置換基としては、例えばヒドロキシル基及びフェニル基が挙げられ、鎖内のヘテロ原子としては、例えばハロゲン原子、酸素原子等が挙げられる。
このような(メタ)アクリル系化合物としては、(メタ)アクリル酸、鎖状アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート、フェニル基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。(メタ)アクリル系化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
3)ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。
4)含フッ素樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。
ここでいう分散剤は、スラリー中で無機粒子表面に吸着し、静電反発などにより無機粒子を安定化させるものであり、例えば、ポリカルボン酸塩、スルホン酸塩、ポリオキシエーテル、界面活性剤などである。
[層C]
層Cは、多孔層A及びBとは異なるものであり、r(AB)とD(A)とD(B)が上記で説明された関係を有する限りにおいて使用されることができる。多層セパレータが層Cを有する場合には、層Cは、出力特性の観点から多孔層であることが好ましく、r(AB)<20という関係を満たし、かつ多孔層AとBの剥離を抑制する問う観点から、接着性層であることがより好ましく、接着性の観点から熱可塑性ポリマーを含むことがさらに好ましい。また、層AとBの間の界面形成という観点からは、層Cは、多孔層Bに含まれるポリマーとは異なるポリマーを含むことが好ましい。
多孔層A又はBに対する層Cの目付は、接着力とイオン透過性のバランスを取るという観点から、0.05g/m以上2.0g/m以下が好ましく、より好ましくは0.1g/m以上1.5g/m以下、さらに好ましくは0.2g/m以上1.0g/m以下である。
熱可塑性ポリマーは、平均粒径100nm以上2000nm以下の粒子状でよく、層Cに均質に分散して存在することができる。熱可塑性ポリマーは電解液に適度に膨潤することが好ましい。デンドライト抑制の観点から、膨潤度が100%以上であれば好ましく、150%以上がより好ましく、200%以上であればさらに好ましい。出力特性の観点から膨潤度は1000%以下が好ましく、800%以下がさらに好ましく、500%以下がさらに好ましい。
熱可塑性ポリマーのガラス転移温度は、熱可塑性ポリマーの示差走査熱量測定(DSC)で得られるDSC曲線から決定されるか、又は熱可塑性ポリマーを構成する単数又は複数のモノマーについて、対応するホモポリマーの所定のTg(例えば、「ポリマーハンドブック」(A WILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION)に記載されているTg)及び各モノマーの配合割合からFOXの式により概ね推定される。
熱可塑性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、α−ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー又はこれらを含むコポリマー;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンをモノマー単位として含むジエン系ポリマー又はこれらを含むコポリマー及びその水素化物;アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなどをモノマー単位として含むアクリル系ポリマー又はこれらを含むコポリマー及びその水素化物;エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂:並びにこれらの混合物等が挙げられる。
上記熱可塑性ポリマーのうち、ジエン系ポリマー、アクリル系ポリマー又はフッ素系ポリマーは、電極活物質との結着性、強度及び柔軟性に優れるので好ましい。
<多層セパレータの製造方法及び物性>
本実施形態に係る多層セパレータは、例えば、以下の工程:
(a)ポリオレフィン樹脂及び可塑剤を含む組成物Aの溶融混錬及び押し出し、その後の延伸及び可塑剤抽出によって、多孔層Aとしてのポリオレフィン樹脂膜を形成する工程;
(b)多孔層Aの少なくとも一部分にポリマー皮膜を形成するか、又は多孔層A上に層Cを形成するか、又は個別に用意した多孔層B上に層Cを形成する工程;並びに
(c)多孔層Aと多孔層Bを積層する工程;
を含む方法により製造されることができる。
工程aは、従来の可塑剤を使用するポリオレフィン樹脂多孔単層膜の製造法に従って行われることができる。組成物Aは、所望により、溶媒、添加剤などをさらに含んでよい。
工程bは、予め個別に形成したポリマー皮膜を多孔層Aに貼付又は塗工したり、多孔層A上に層C形成用ポリマー組成物を塗工したり、予め個別に用意した多孔層B上に層C形成用ポリマー組成物を塗工したりすることにより行われることができる。ポリマー皮膜又は層Cは、多孔層Aの片面又は両面に形成されることができる。ポリマー皮膜を構成するポリマーは、組成物Aに含まれるポリオレフィン樹脂と同一でも異なってもよいが、多孔層Bがポリマーを含む場合には、多孔層Bに含まれるポリマーとは異なることが好ましい。層C形成用ポリマー組成物は、上記で説明された熱可塑性ポリマーを含むことが好ましい。
工程cにより多孔層Aと多孔層Bの間に界面が形成され、r(AB)<24、S(AB)<0.16、D(A)>1×10−11、及びD(B)>1×10−11の関係を満たす蓄電デバイス用多層セパレータが得られる。多孔層Bは、その用途に照らし、多孔層Aの片面又は両面に積層されることができる。層Cを有する多層セパレータを得るときには、層Cは、その用途に照らし、多孔層AとBの間に形成されることが好ましい。
工程cは、任意の方法で行われることができ、例えば、無機粒子を含む組成物Bを多孔層A上に又は層C上に適用して多孔層Bを形成したり、仮支持体上に予め作製しておいた多孔層Bを多孔層A上に又は層C上に転写したりすることができる。無機粒子を含む組成物Bは、所望により、溶媒、バインダ樹脂、分散剤、添加剤などを含んでよい。
工程b又はcを転写法以外の方法により行うときには、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法などを用いることができる。
工程a〜cのいずれかで使用されることができるポリオレフィン樹脂、無機粒子、バインダ樹脂及び分散剤、工程aで使用されることができる添加剤、及び工程bで使用されることができる熱可塑性ポリマーは、上記で説明されたとおりである。工程aで使用されることができる可塑剤は、例えば、流動パラフィンなどである。工程a〜cのいずれかで使用されることができる溶媒は、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、エタノール、トルエン、熱キシレン、ヘキサンなどである。
工程bのポリマー組成物又は工程cの組成物Bに含まれることができる添加剤は、例えば、増粘剤、湿潤剤、消泡剤、酸又はアルカリを含むpH調整剤などである。これらの添加剤は、溶媒除去又は可塑剤抽出の際に除去できるものが好ましいが、蓄電デバイスの使用時に電気化学的に安定であり、電池反応を阻害せず、かつ200℃程度まで安定ならば、蓄電デバイス内(又は蓄電デバイス内のセパレータ)に残存してもよい。
組成物Aの溶融混練方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂及び必要によりその他の添加剤を、押出機、ニーダー、ラボプラストミル、混練ロール、バンバリーミキサー等の樹脂混練装置に投入し、樹脂成分を加熱溶融させながら任意の比率で可塑剤を導入して混練する方法が挙げられる。この際、ポリオレフィン樹脂、その他の添加剤及び可塑剤を樹脂混練装置に投入する前に、予めヘンシェルミキサー等を用いて所定の割合で事前混練しておくことが好ましい。このような混練方法を用いることにより、可塑剤の分散性が高まり、後の工程で樹脂組成物と可塑剤の溶融混練物のシート状成形体を延伸する際に、破膜することなく高倍率で延伸することができる傾向にある。
工程bのポリマー組成物若しくは層C形成用組成物、又は工程cの組成物Bの調製方法としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌法などが挙げられる。
多層セパレータの突刺強度は、好ましくは100gf以上、より好ましくは150gf以上、更に好ましくは200gf以上であって、好ましくは600gf以下、より好ましくは550gf以下、更に好ましくは500gf以下である。突刺強度を100gf以上に調整することは、蓄電デバイスを作製する際に脱落した活物質等による破膜を抑制する観点から好ましく、また、充放電に伴う電極の膨張収縮によって短絡する懸念を低減する観点からも好ましい。一方、突刺強度を600gf以下に調整することは、加熱時の配向緩和による収縮を低減できる観点から好ましい。
多層セパレータの最終的な膜厚(総厚)は、機械強度とハイレートのバランスを取るという観点から、2μm以上200μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上100μm以下、さらに好ましくは7μm以上30μm以下である。膜厚が2μm以上であると機械強度が十分となる傾向にあり、また、200μm以下であるとセパレータの占有体積が減るため、電池の高容量化の点において有利となる傾向にある。
無機粒子を含む多孔層Bの最終的な厚さは、耐熱性又は絶縁性の観点から、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは1.2μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上、1.8μm以上、又は2.0μm以上であり、イオン透過性及び出力特性を向上させる観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下又は7μm以下である。
多層セパレータの透気度の下限としては、好ましくは100秒/100ml以上、より好ましくは200秒/100ml以上、更に好ましくは250秒/100ml以上、特に好ましくは300秒/100ml以上である。一方、透気度の上限としては、好ましくは2000秒/100ml以下、より好ましくは1000秒/100ml以下、更に好ましくは900秒/100ml以下である。透気度を100秒/100ml以上に設定することは、デンドライト成長による短絡抑制する観点から好適である。一方、透気度を2000秒/100ml以下に設定することは、良好な出力特性を得る観点から好適である。
<蓄電デバイス>
本発明の別の実施形態に係る蓄電デバイスは、正極と、上記で説明された多層セパレータと、負極と、所望により電解液とを備える。
蓄電デバイスとしては、具体的には、リチウム電池、リチウム二次電池、リチウムイオン二次電池、ナトリウム二次電池、ナトリウムイオン二次電池、マグネシウム二次電池、マグネシウムイオン二次電池、カルシウム二次電池、カルシウムイオン二次電池、アルミニウム二次電池、アルミニウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、レドックスフロー電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池、亜鉛空気電池などが挙げられる。これらの中でも、実用性の観点から、リチウム電池、リチウム二次電池、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、又はリチウムイオンキャパシタが好ましく、リチウムイオン二次電池がより好ましい。
上記で例示された蓄電デバイス内のイオンに由来したデンドライトへの耐性が、多層セパレータにより確保されることができる。デンドライトは、例えば、リチウムデンドライト、α−マグネシウムデンドライト、カルシウムデンドライト、カルシウムスパイク、アルミニウムデンドライト、ニッケルデンドライト、マンガンデンドライト、カドミウムデンドライト、亜鉛デンドライト、銅デンドライト、硫化銅デンドライトなどである。
蓄電デバイスは、例えば、正極と負極とを、本実施形態に係る多層セパレータを介して重ね合わせて、必要に応じて捲回して、積層電極体又は捲回電極体を形成した後、これを外装体に装填し、正負極と外装体の正負極端子とをリード体などを介して接続し、さらに、鎖状又は環状カーボネート等の非水溶媒とリチウム塩等の電解質を含む非水電解液を外装体内に注入した後に外装体を封止して作製することができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の物性又はセル特性は以下の方法により測定又は評価した。
[粘度平均分子量(Mv)]
ASTM−D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η](dl/g)を求める。ポリエチレンのMvは次式により算出した。
[η]=6.77×10−4Mv0.67
ポリプロピレンについては、次式によりMvを算出した。
[η]=1.10×10−4Mv0.80
[厚み(μm)]
ダイヤルゲージ(尾崎製作所製PEACOCK No.25(商標))で試料の膜厚を測定した。MD10mm×TD10mmのサンプルを多孔膜から切り出し、格子状に9箇所(3点×3点)の厚さを測定した。得られた測定値の平均値を膜厚(μm)又は層厚として算出した。
なお、本実施例及び比較例において得られる各単層の厚みとしては各製造工程で得られる単層の状態で測定した。積層状態の場合、前記測定した単層の値を差し引いて算出した。共押出により単層の状態が得られないものに関しては、断面SEMから各層の厚みを算出した。
[透気度(秒/100ml)]
JIS P−8117準拠のガーレー式透気度計(東洋精機製G−B2(商標))を用いて測定した。
[突刺強度(gf)]
ハンディー圧縮試験器「KES−G5」(カトーテック社製)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーで微多孔膜を固定した。固定された微多孔膜の中央部に対して、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/秒の条件下で、25℃雰囲気下にて突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として突刺強度(gf)を測定した。
[NMR]
<磁場勾配NMR法によるフッ化物イオンの拡散係数Dの測定>
1.試料調製
セパレータを直径4mmφにくり抜き、厚み方向に積層して5mmの高さになるようにNMR管へ導入した。NMR管としてはシゲミ製ミクロ試料管を用いた。NMR管に、電解液として1Mのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)のエチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)の混合物(体積比1:2)溶液を加え、電解液にセパレータを一晩浸漬し、セパレータに含浸された電解液以外の余剰電解液を取り除き、得られた試料を測定に供した。
2.測定条件
装置:JNM−ECA400(日本電子(株)製)
観測核:19
測定周波数:372.5 MHz
ロック溶媒:なし
測定温度:30℃
パルスシーケンス:bpp_led_dosy_pfg
Δ:20 ms
δ:0.3 ms〜0.6 ms
磁場勾配NMR測定法では観測されるピーク高さをE、磁場勾配パルスを与えない場合のピーク高さをE、核磁気回転比をγ(T−1・s−1)、磁場勾配強度をg(T・m−1)、磁場勾配パルス印加時間をδ(s)、拡散時間をΔ(s)、自己拡散係数をD(m・s−1)とした場合、下式が成り立つ。
Ln(E/E)=D×γ×g×δ×(Δ−δ/3)
Δおよびδを固定してgを0からLn(E/E)≦−3となる範囲で10点以上変化させ、Ln(E/E)をY軸、γ×g×δ×(Δ−δ/3)をX軸としてプロットした直線の傾きから拡散係数Dを算出した。
ポリオレフィン樹脂を含む多孔層Aと無機粒子を含む多孔層Bに含浸されたフッ化物イオンピークがNMRスペクトルの−90ppm〜−70ppmに観測され、高磁場側に観測されるピークを多孔層A、低磁場側に観測されるピークを多孔層Bとした。この多孔層Aおよび多孔層Bのピーク高さから、多孔層Aと多孔層Bにそれぞれ含まれるフッ化物イオンの拡散係数Dを求めた。
<交換NMR法によるフッ化物イオンの透過率rと透過指数Sの測定>
1.試料調製
セパレータを直径4mmφにくり抜き、厚み方向に積層して5mmの高さになるようにNMR管へ導入した。但し、無機粒子を含む多孔層Bは多孔層Aとは重ねず、必ず多孔層B同志が重なるように積層する。NMR管としてはシゲミ製ミクロ試料管を用いた。NMR管に、電解液として1MのLiTFSIのECとMECの混合物(体積比1:2)溶液を加え、電解液にセパレータを一晩浸漬し、セパレータに含浸された電解液以外の余剰電解液を取り除き、得られた試料を測定に供した。
2.測定条件
装置:JNM−ECS400(日本電子(株)製)
観測核:19
測定周波数:376.2 MHz
ロック溶媒:なし
測定温度:30℃
パルスシーケンス:noesy_phase
直接観測軸ポイント数:1024
間接観測軸ポイント数:256
ミキシングタイム(mixing time):20 ms、100 ms
交換NMR測定では、ポリオレフィン樹脂を含む多孔層Aと無機粒子を含む多孔層Bの層間でのフッ化物イオンの透過率rおよび透過指数Sを求めた。
イオン透過率r(AB)の測定
100msのmixing timeで交換NMR測定を行い、多孔層Aから多孔層Bに移動するフッ化物イオンの透過率r(AB)を以下のように求めた。
図1は、ポリオレフィン樹脂を含む多孔層Aと無機粒子を含む多孔層Bを備える蓄電デバイス用多層セパレータにおけるイオン拡散挙動を説明するための模式図である。図1には、多孔層Aに含浸されたフッ化物イオンの拡散挙動1、多孔層Bに含浸されたフッ化物イオンの拡散挙動2、多孔層Aから多孔層Bに移動したフッ化物イオンの拡散挙動3、及び多孔層Bから多孔層Aに移動したフッ化物イオンの拡散挙動4が示される。
100msのmixing timeでの交換NMRスペクトルの一例である図2(a)を参照して、直接観測軸の−90ppm〜−70ppmに観測されるピークのうち、高磁場側を多孔層Aに含浸されたフッ化物イオンピーク、低磁場側を多孔層Bに含浸されたフッ化物イオンピークとし、この多孔層Aのピーク最大値でスライスデータ(図3)を取得した。
スライスデータ(図3)の多孔層Aのピーク位置は、対角ピーク(多孔層Aに含浸されたフッ化物イオンを表し、図1の概略図に示されるイオン拡散挙動1と対応する)であり、多孔層Bのピーク位置は交差ピーク(多孔層Aから多孔層Bに移動したフッ化物イオンを表し、図1の概略図に示されるイオン拡散挙動3と対応する)である。
下記式:
交差ピーク面積/(対角ピーク面積+交差ピーク面積)×100
から求めた値(%)をイオン透過率r(AB)とした。
なお、ピークが近接している場合は、ピークとピークの間の極値から直接観測軸に引いた垂線により、対角ピークと交差ピークを分離してそれぞれの面積を求めた。
イオン透過指数S(AB)の測定
mixing timeについて20ms(例えば図2(b)の場合)と100ms(例えば図2(a)の場合)での交換NMR測定を行い、mixing timeが20msと100msのデータそれぞれについてイオン透過率r(AB)を算出した。mixing timeが20msと100msにおけるイオン透過率r(AB)の変化率S(%/ms)を下記式:
S=(100msでのイオン透過率r(AB))−(20msでのイオン透過率r(AB))/(100−20)
により算出して、イオン透過指数S(AB)とした。
[電池特性]
a.正極の作製
正極活物質としてニッケル、マンガン、コバルト複合酸化物(NMC)(Ni:Mn:Co=1:1:1(元素比)、密度4.70g/cm、容量密度175mAh/g)を90.4質量%、導電助材としてグラファイト粉末(KS6)(密度2.26g/cm、数平均粒子径6.5μm)を1.6質量%及びアセチレンブラック粉末(AB)(密度1.95g/cm、数平均粒子径48nm)を3.8質量%、並びにバインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(密度1.75g/cm)を4.2質量%の比率で混合し、これらをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターを用いて塗布し、130℃において3分間乾燥する工程を行った後、ロールプレス機を用いて圧延した。この時の正極活物質塗布量は109g/mであった。
b.負極の作製
負極活物質としてグラファイト粉末A(密度2.23g/cm、数平均粒子径12.7μm)を87.6質量%及びグラファイト粉末B(密度2.27g/cm、数平均粒子径6.5μm)を9.7質量%、並びにバインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%(固形分換算)(固形分濃度1.83質量%水溶液)及びジエンゴム系ラテックス1.7質量%(固形分換算)(固形分濃度40質量%水溶液)を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃において3分間乾燥する工程を行った後、ロールプレス機を用いて圧延した。この時の負極活物質塗布量は52g/mであった。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒(キシダ化学(株)製Lithium Battery Grade)に、LiPFを1mol/Lとなるように溶解した。添加剤としてビニレンカーボネート(VC)を2wt%、プロパンスルトン(PS)を0.5wt%添加し、非水電解質電解液を得た。
d.電池組立
セパレータを直径24mmの円形に打抜き、項目a.で作製した正極を面積2.00cmの円形に打ち抜き、項目b.で作製した負極を面積2.05cmの円形に打ち抜いた。
正極と負極の活物質面が対向するように、鉛直方向の下から負極、セパレータ、正極の順に重ね、アルミ製の蓋付ステンレス金属製容器に収納する。容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミ箔と接している。この容器内に前記した非水電解液を注入して密閉して、容量3mAhの簡易電池を組み立てた。
e.出力特性の評価
項目d.で得た電池を、25℃の環境下、0.3Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で充電して、0.3Cの定電流で3.0Vまで放電した。定電流での充電と定電圧での充電時間の合計を8時間とした。なお、1Cとは電池が1時間で放電される電流値である。
次に、簡易電池を0.3Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で充電して、0.3Cの定電流で3.0Vまで放電した。定電流での充電と定電圧での充電時間の合計を5時間とし、0.3Cの定電流で放電した時の容量を0.3C放電容量(mAh)とした。
次に、簡易電池を0.3Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で充電して、10Cの定電流で3.0Vまで放電した。定電流での充電と定電圧での充電時間の合計を5時間とし、10Cの定電流で放電した時の容量を10C放電容量(mAh)とした。
下記式より0.3C放電容量に対する10C放電容量の割合を算出し、この値を出力特性とした。
出力特性(%)=(10C放電容量/0.3C放電容量)×100
得られた出力特性は、下記基準で評価した。
A:出力特性が、60%超
B:出力特性が、50%超60%以下
C:出力特性が、40%超50%以下
D:出力特性が、23%超40%以下
E:出力特性が、23%以下
[デンドライト短絡試験]
a.非水電解液の調製
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒(キシダ化学(株)製Lithium Battery Grade)に、LiPF6を1mol/Lとなるように溶解して、非水電解質電解液を得た。
b.評価セル組立
セパレータを直径24mmの円形に打抜き、金属リチウム箔(厚さ0.5mm、本城金属製)を面積2.00cmの円形と面積2.05cmの円形に打ち抜いた。正極と負極の活物質面が対向するように、鉛直方向の下から金属リチウム箔(2.05cm)、セパレータ、金属リチウム箔(2.05cm)の順に重ね、アルミ製の蓋付ステンレス金属製容器に収納する。容器と蓋とは絶縁されており、容器は下側リチウム箔と、蓋は上側リチウム箔と接している。この容器内に、デンドライト短絡試験の項目a.で得られた非水電解液を注入し、容器を密閉して評価セルを組み立てた。
c.デンドライト耐性評価
上記のようにして組み立てた、正負極に金属Liを用いた評価セルに2mA/cm、5mA/cm、10mA/cm、17mA/cm、25mA/cmの順に、10分間電流を流し、10分間の休止を繰り返すことによってLiの溶解析出に伴うデンドライトを発生させ、電圧をモニターし、短絡が生じる電流値を確認した。なお、短絡の判断としては、電圧変動がΔ0.025Vとなる不連続な点が10点以上確認できた場合、または電圧が完全に0Vとなった場合を短絡と判断した。下記基準に従って試験結果を評価した。
S:短絡せず
A:25mA/cmで短絡
B:17mA/cmで短絡
C:10mA/cmで短絡
D:5mA/cmで短絡
E:2mA/cmで短絡
[樹脂バインダー(b−1)の電解液膨潤度]
樹脂バインダー(b−1)を含むラテックスを80℃のオーブン中に9時間静置した後、更に80℃で12時間真空乾燥を行い、樹脂バインダー(b−1)の乾燥物を得た。得られた樹脂バインダー(b−1)の乾燥物約0.5gの質量を秤量し、浸漬前質量(W)とした。この樹脂バインダー(b−1)乾燥物を、25℃のエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=2:3(体積比)の混合溶媒10gと共に50mLのバイアル瓶に入れ、24時間浸漬した後、サンプルを取り出し、タオルぺーパーで拭き取った直後に質量を測定し、浸漬後質量(W)とした。
樹脂バインダー(b−1)の電解液膨潤度は、以下の式より算出した。
膨潤度(%)=W/W×100
なお、上記の式において、樹脂バインダー(b−1)サンプルが上記混合溶媒に膨潤も溶解もしない場合、膨潤度は100%となる。
<微多孔膜(A)の製造>
製造例A−1
粘度平均分子量(Mv)が70万であるホモポリマーの高密度ポリエチレンを47.5質量部と、Mvが30万であるホモポリマーの高密度ポリエチレンを47.5質量部と、Mvが40万であるホモポリマーのポリプロピレン5質量部と、をタンブラーブレンダーでドライブレンドした。得られたポリオレフィン混合物99質量部に酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーでドライブレンドすることにより、混合物を得た。
得られた混合物をフィーダーにより二軸同方向スクリュー式押出機フィード口へ供給した。また溶融混練し、押し出される全混合物(100質量部)中に占める流動パラフィン量比が67質量部となるように、流動パラフィン「スモイル P−350P」((株)松村石油研究所製)を二軸押出機シリンダーへサイドフィードした。設定温度は、混練部は160℃、Tダイは180℃とした。続いて、溶融混練物をTダイよりシート状に押出し、表面温度70℃に制御された冷却ロールで冷却し、厚み1260μmのシート状のポリオレフィン樹脂組成物を得た。次に連続して同時二軸テンターへ導き、縦方向に7倍、横方向に6.4倍に同時二軸延伸を行った。この時の延伸設定温度は120℃であった。次に塩化メチレン槽に導き、十分に塩化メチレンに浸漬して流動パラフィンを抽出除去した。その後塩化メチレンの乾燥を行った後、更に横テンターに導き横方向に1.75倍延伸したのち最終出口は1.50倍となるように14.3%の緩和率とし(緩和率=(1.75−1.5)/1.75×100=14.3%)、ポリオレフィン微多孔膜の巻取りを行った。横延伸部の設定温度は125℃、緩和部の設定温度は130℃であった。
<無機粒子含有塗料の製造>
塗料A
無機粒子として95.0質量部の水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.4μm)と、イオン性分散剤として0.4質量部(固形分換算)のポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468、固形分濃度40%)とを、100質量部の水に均一に分散させて分散液を調整した。得られた分散液を、ビーズミル(セル容積200cc、ジルコニア製ビーズ径0.1mm、充填量80%)にて解砕処理し、無機粒子の粒度分布を、D50=1.0μmに調整した。粒度分布を調整した分散液に、非溶解イオン性バインダとして4.6質量部(固形分換算)のアクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下、構成モノマー:ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メタクリル酸)を添加することによって塗料Aを作製した。
塗料B
無機粒子として85.0質量部の水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.4μm)と、イオン性分散剤として0.4質量部(固形分換算)のポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468、固形分濃度40%)とを、100質量部の水に均一に分散させて分散液を調整した。得られた分散液を、ビーズミル(セル容積200cc、ジルコニア製ビーズ径0.1mm、充填量80%)にて解砕処理し、無機粒子の粒度分布を、D50=1.0μmに調整した。粒度分布を調整した分散液に、非溶解イオン性バインダとして14.6質量部(固形分換算)のアクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下、構成モノマー:ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メタクリル酸)を添加することによって塗料Bを作製した。
塗料C
無機粒子として80.0質量部の水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.4μm)と、イオン性分散剤として0.4質量部(固形分換算)のポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468、固形分濃度40%)とを、100質量部の水に均一に分散させて分散液を調整した。得られた分散液を、ビーズミル(セル容積200cc、ジルコニア製ビーズ径0.1mm、充填量80%)にて解砕処理し、無機粒子の粒度分布を、D50=1.0μmに調整した。粒度分布を調整した分散液に、非溶解イオン性バインダとして4.6質量部(固形分換算)のアクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下、構成モノマー:ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メタクリル酸)と、イオン性流動調整剤として15.0重量部のカルボキシメチルセルロースナトリウム(ダイセル製1220)を添加することによって塗料Cを作製した。
塗料F
無機粒子として78.0質量部の水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.4μm)と、イオン性分散剤として0.4質量部(固形分換算)のポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468、固形分濃度40%)と、表面張力調整剤として0.6質量部(固形分換算)の脂肪族ポリエーテル水溶液(サンノプコ社製 E−D057、固形分濃度40%、静的表面張力35mN/m(0.1質量%水溶液、25℃))とを、100質量部の水に均一に分散させて分散液を調整した。得られた分散液を、ビーズミル(セル容積200cc、ジルコニア製ビーズ径0.1mm、充填量80%)にて解砕処理し、無機粒子の粒度分布を、D50=1.0μmに調整した。粒度分布を調整した分散液に、非溶解イオン性バインダとして4.0質量部(固形分換算)のアクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下、構成モノマー:ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メタクリル酸)と、有機粒子として17.0質量部(固形分換算)のアクリルラテックス(固形分濃度23%、平均粒径450nm、ガラス転移温度55℃、構成モノマー:シクロヘキシルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート)を添加することによって塗料Fを作製した。
[実施例1−2,比較例1−4]
表1に示される基材、塗料、塗工方法、層構成、セパレータ製法などに従って、セパレータを作製し、上記物性又はセル特性の測定又は評価を行った。測定・評価結果も表1に示す。
[実施例1,2における多孔層基材への塗料の塗工]
多孔層基材(多孔膜A−1)を繰出機より繰り出し、連続的に表面へコロナ放電処理を施し、アクリルラテックス(固形分25%、平均粒径400nm、ガラス転移温度50℃、膨潤度300%、構成モノマー:シクロヘキシルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリルアミド、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート)塗料を、グラビアリバースコーターを用いて塗工し、続いて、60℃の乾燥機で乾燥させて水を除去し巻き取った。巻き取った捲回体を繰り出し、塗布面上に塗料1(実施例1では塗料A、実施例2では塗料B)を、グラビアリバースコーターを用いて塗工し、続いて、60℃の乾燥機で乾燥させて水を除去し巻き取った。多層膜A−1が多孔層A、塗料1による塗工層が多孔層Bとする。
[その他の塗工]
多孔層基材を繰出機より繰り出し、連続的に表面をコロナ放電処理を施し、塗料を、グラビアリバースコーターを用いて塗工し、続いて60℃の乾燥機で乾燥させて水を除去し、巻き取った。両面塗工の場合は、多孔層基材の裏面も同様に塗工し、多層セパレータを作製した。
なお、比較例4については、多孔膜A−1の片面に塗料Bを塗工し、さらに塗料Bの塗工面にアクリルラテックス(固形分25%、平均粒径400nm、ガラス転移温度50℃、膨潤度300%、構成モノマー:シクロヘキシルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリルアミド、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート)塗料を塗工した。
1 多孔層Aに含浸されたフッ化物イオンの拡散挙動
2 多孔層Bに含浸されたフッ化物イオンの拡散挙動
3 多孔層Aから多孔層Bに移動したフッ化物イオンの拡散挙動
4 多孔層Bから多孔層Aに移動したフッ化物イオンの拡散挙動

Claims (9)

  1. ポリオレフィン樹脂を含む多孔層Aと無機粒子を含む多孔層Bを備える蓄電デバイス用多層セパレータであって、
    前記蓄電デバイス用多層セパレータのフッ化物イオンのパルス磁場勾配NMR測定において前記多孔層Aのイオン拡散係数をD(A)、前記多孔層Bのイオン拡散係数をD(B)とし、かつ前記蓄電デバイス用多層セパレータのフッ化物イオンの交換NMR測定において100msのミキシングタイムでの前記多孔層Aと前記多孔層Bの間のイオン透過率(%)をr(AB)とした場合、r(AB)とD(A)とD(B)が、それぞれ以下の関係式:
    r(AB) < 24
    D(A) > 1×10−11
    D(B) > 1×10−11
    を満たす、蓄電デバイス用多層セパレータ。
  2. 前記r(AB)と前記D(B)が、以下の関係式:
    r(AB)/D(B) < 2.40×1011
    を満たす、請求項1に記載の蓄電デバイス用多層セパレータ。
  3. 前記多孔層Aの表面の少なくとも一部分が、ポリマーで被覆されている、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用多層セパレータ。
  4. 前記多孔層Aの表面の少なくとも一部分が、前記多孔層Bに含まれるポリマーとは異なるポリマーで被覆されている、請求項3に記載の蓄電デバイス用多層セパレータ。
  5. 前記多孔層Aと前記多孔層Bの間に、前記多孔層Bに含まれるポリマーとは異なるポリマーを含む層Cを備える、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用多層セパレータ。
  6. 前記r(AB)と前記D(A)と前記D(B)が、それぞれ以下の関係式:
    r(AB) > 0
    D(A) ≦ 1×10−10
    D(B) ≦ 1×10−10
    を満たす、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用多層セパレータ。
  7. 前記r(AB)と前記D(B)が、以下の関係式:
    r(AB)/D(B) > 1×10
    を満たす、請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用多層セパレータ。
  8. 前記蓄電デバイス用多層セパレータのフッ化物イオンの交換NMR測定において、下記式:
    S(%/ms)={(ミキシングタイム100msでのイオン透過率r(AB))−(ミキシングタイム20msでのイオン透過率r(AB))}/(100−20)
    により算出される値Sをイオン透過指数S(AB)とした場合、S(AB)が、以下の関係式:
    S(AB) < 0.16
    を満たす、請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用多層セパレータ。
  9. 前記S(AB)が、以下の関係式:
    S(AB) > 0
    を満たす、請求項8に記載の蓄電デバイス用多層セパレータ。
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