JP2020161321A - 多孔複合フィルム、電気化学素子、及び多孔複合フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、電極との接着性を有し、かつ優れた電池特性を有する多孔複合フィルムを提供することにある。【解決手段】ポリオレフィンを含む多孔質基材を有し、前記多孔質基材の少なくとも片面に多孔質層を積層した、次のa)〜d)を満たす多孔複合フィルム。a)前記多孔質層がフッ素含有樹脂を含む。b)前記多孔質層の表面に対する、前記表面を被覆しているフッ素含有樹脂の被覆部分の面積比率が、40%以上、60%以下である。c)前記表面に対する、前記表面に形成されている前記多孔質層の孔の面積比率が、10%以上、25%以下である。d)前記表面に対する、前記被覆部分の面積と前記孔の面積の合計面積比率が、55%以上、85%以下である。【選択図】図1
Description
本発明は、多孔複合フィルム、電気化学素子、及び多孔複合フィルムの製造方法に関するものである。
リチウムイオン電池のような二次電池は、スマートフォン、タブレット、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯ゲーム機などのポータブルデジタル機器用途、電動工具、電動バイク、電動アシスト補助自転車などのポータブル機器用途、および電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車などの自動車用途など、幅広く使用されている。
リチウムイオン電池は、一般的に、正極活物質を正極集電体に積層した正極と、負極活物質を負極集電体に積層した負極との間に、二次電池用セパレータと電解質が介在した構成を有している。
二次電池用セパレータとしては、ポリオレフィン系多孔質基材が用いられている。二次電池用セパレータに求められる特性としては、多孔構造中に電解液を含み、イオン移動を可能にする特性と、リチウムイオン電池が異常発熱した場合に、熱で溶融することで多孔構造が閉鎖され、イオン移動を停止させることで、発電を停止させるシャットダウン特性が挙げられる。
さらに、二次電池の製造工程において、電解液を含浸する前のセパレータと電極との接着性が求められている。これは、正極、セパレータ、負極を積層した積層体を運搬する際に、積層体を維持するため、捲回した正極、セパレータ、負極の積層体を円筒型、角型などの缶に挿入する場合、積層体を熱プレスしてから挿入するが、その際に形が崩れないようにするため、積層体を熱プレスすることで、より多くの積層体を缶の中に入れ、エネルギー密度を上げるため、さらにはラミネート型において、外装材に挿入した後に形状が変形しないようにするためである。
また一方では、リチウムイオン電池には、高出力化、長寿命化といった優れた電池特性も求められており、電池の生産性を低下させることなく、良好な電池特性を発現することが求められている。
これらの要求に対して、特許文献1では、ビニルアルコール系共重合体とアクリル系モノマーを主成分とする共重合性モノマーを重合してなる合成樹脂の水性エマルジョンを塗工したセパレータが開示されている。
このようなセパレータによれば、ドライヒートプレスによりセパレータと電極が良好に接着するため、電池製造歩留まりの向上が期待される。
特許文献2では、ポリフッ化ビニリデン系樹脂と、カルボン酸無水物および/又は単量体成分としてカルボン酸無水物を含む樹脂と、水酸基又はアミノ基を含有する樹脂を含む接着性多孔質層を有するセパレータが開示されている。
このようなセパレータにおいても、ドライヒートプレスによりセパレータと電極が良好に接着するため、電池製造歩留まりの向上が期待される。また、電解液含浸後も電極との良好な接着状態が維持されるとしている。
しかしながら、特許文献1に記載のセパレータでは、セパレータに水性エマルジョンを塗工することで、セパレータの表面孔が閉塞してしまう場合があった。その場合、せっかくドライヒートプレスによりセパレータと電極を接着させても、電池の内部抵抗を増加させてしまう。
また、特許文献2に記載のセパレータでは、電解液への適度な膨潤性を発現するために、カルボン酸無水物および/又は単量体成分としてカルボン酸無水物を含む樹脂と、水酸基又はアミノ基を含有する樹脂について高度な分子設計が必要であり、製造が困難であり高コストなものであった。
さらに、前述のとおり、二次電池の製造工程における熱プレス工程によって電極とセパレータの接着性が求められる。また優れた電池特性も求められており、接着性と電池特性の両立が必要である。
本発明の目的は、上記問題に鑑み、水性エマルジョンの塗工及び高度な分子設計を必要とせず、電極との接着性を有し、かつ優れた電池特性を有する多孔複合フィルムを提供することである。
また、本発明の目的は、当該多孔複合フィルムをセパレータとして用いた電気化学素子、及び当該多孔複合フィルムの製造方法を提供することである。
また、本発明の目的は、当該多孔複合フィルムをセパレータとして用いた電気化学素子、及び当該多孔複合フィルムの製造方法を提供することである。
本発明は、前記課題を解決するために、以下の構成を満たす。
<1>ポリオレフィンを含む多孔質基材を有し、前記多孔質基材の少なくとも片面に多孔質層を積層した、次のa)〜d)を満たす多孔複合フィルム。
a)前記多孔質層がフッ素含有樹脂を含む。
b)前記多孔質層の表面に対する、前記表面を被覆しているフッ素含有樹脂の被覆部分の面積比率が、40%以上、60%以下である。
c)前記表面に対する、前記表面に形成されている前記多孔質層の孔の面積比率が、10%以上、25%以下である。
d)前記表面に対する、前記被覆部分の面積と前記孔の面積の合計面積比率が、55%以上、85%以下である。
<2>前記多孔質層が二酸化チタン、アルミナ及びベーマイトからなる群より選択された少なくとも一種を含む、<1>に記載の多孔複合フィルム。
<3>前記フッ素含有樹脂が、フッ化ビニリデン単位を含む重合体である、<1>又は<2>に記載の多孔複合フィルム。
<4>正極、負極及び前記正極と前記負極との間に介されたセパレータを含む電極組立体と、前記電極組立体を収容する電池ケースとを備えた電気化学素子であって、
前記セパレータが、<1>〜<3>のいずれか一つに記載の多孔複合フィルムである、電気化学素子。
<5>リチウム二次電池である、<4>に記載の電気化学素子。
<6>前記電池ケースがパウチ型である、<4>又は<5>に記載の電気化学素子。
<7><1>〜<3>のいずれか一つに記載の多孔複合フィルムを製造する方法であって、
フッ素含有樹脂を溶媒に溶解した塗工液を多孔質基材の少なくとも片面に塗工して塗膜を形成する塗布工程と、
前記塗膜が形成された多孔質基材を加湿された雰囲気にばく露する工程と、
前記溶媒を乾燥する工程を含む、多孔複合フィルムの製造方法。
<8>前記塗工液の粘度が、3cP以上、50cP以下であり、前記塗膜の厚みが、20μm以上、40μm以下であり、前記雰囲気における絶対湿度量が10g/m3以上、25g/m3以下である、<7>に記載の多孔複合フィルムの製造方法。
<1>ポリオレフィンを含む多孔質基材を有し、前記多孔質基材の少なくとも片面に多孔質層を積層した、次のa)〜d)を満たす多孔複合フィルム。
a)前記多孔質層がフッ素含有樹脂を含む。
b)前記多孔質層の表面に対する、前記表面を被覆しているフッ素含有樹脂の被覆部分の面積比率が、40%以上、60%以下である。
c)前記表面に対する、前記表面に形成されている前記多孔質層の孔の面積比率が、10%以上、25%以下である。
d)前記表面に対する、前記被覆部分の面積と前記孔の面積の合計面積比率が、55%以上、85%以下である。
<2>前記多孔質層が二酸化チタン、アルミナ及びベーマイトからなる群より選択された少なくとも一種を含む、<1>に記載の多孔複合フィルム。
<3>前記フッ素含有樹脂が、フッ化ビニリデン単位を含む重合体である、<1>又は<2>に記載の多孔複合フィルム。
<4>正極、負極及び前記正極と前記負極との間に介されたセパレータを含む電極組立体と、前記電極組立体を収容する電池ケースとを備えた電気化学素子であって、
前記セパレータが、<1>〜<3>のいずれか一つに記載の多孔複合フィルムである、電気化学素子。
<5>リチウム二次電池である、<4>に記載の電気化学素子。
<6>前記電池ケースがパウチ型である、<4>又は<5>に記載の電気化学素子。
<7><1>〜<3>のいずれか一つに記載の多孔複合フィルムを製造する方法であって、
フッ素含有樹脂を溶媒に溶解した塗工液を多孔質基材の少なくとも片面に塗工して塗膜を形成する塗布工程と、
前記塗膜が形成された多孔質基材を加湿された雰囲気にばく露する工程と、
前記溶媒を乾燥する工程を含む、多孔複合フィルムの製造方法。
<8>前記塗工液の粘度が、3cP以上、50cP以下であり、前記塗膜の厚みが、20μm以上、40μm以下であり、前記雰囲気における絶対湿度量が10g/m3以上、25g/m3以下である、<7>に記載の多孔複合フィルムの製造方法。
本発明の多孔複合フィルムは、正極、負極及び該正極と負極との間に介されたセパレータとを含む電極組立体と、前記電極組立体を収容する電池ケースとを備えた電気化学素子のセパレータとして好適である。
すなわち、多孔質層の表面のフッ素含有樹脂および孔の存在状態が特定の範囲であることから、ドライヒートプレスによる電極との接着性に優れ、電池の製造工程において電極と位置ずれしにくくなり、電池の製造歩留りを向上させることができると同時に、優れた電池特性を発現できる。
以下、本発明を詳しく説明する。本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されるべきものではなく、本発明の技術的思想に符合する意味と概念に沿って解釈されるべきものである。
(多孔質基材)
本発明の多孔複合フィルムは、多孔質基材を有する。
多孔質基材は、ポリオレフィンを含む必要がある。特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、及びポリペンテン等で形成された多孔質基材を使用することが好ましい。
本発明の多孔複合フィルムは、多孔質基材を有する。
多孔質基材は、ポリオレフィンを含む必要がある。特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、及びポリペンテン等で形成された多孔質基材を使用することが好ましい。
多孔質基材の形態としては、フィルム形態や不織布形態をすべて使用できる。多孔質基材の厚さは特に制限されないが、5〜50μmが好ましく、多孔質基材に存在する細孔のサイズは0.01〜50μmが好ましく、多孔質基材の空孔率は10〜95%であることが好ましい。このような厚み、細孔のサイズ、空孔率を有することにより、十分な機械的強度と絶縁性が得られ、また十分なイオン電導性を得ることが出来る。
なお、ここで細孔のサイズとは、JIS K3832やASTM F316−86に記載のあるバブルポイント法(ハーフドライ法)に準じて測定された貫通孔径である。
また、ここで空孔率とは、構成材料がa、b・・・、nからなり、構成材料の質量がWa、Wb・・・、Wn(g・cm2)であり、それぞれの真密度がda、db・・・、dn(g/cm3)で、着目する膜厚をt(cm)としたとき、以下の式(1)で求められる値(ε(%))である。
ε={1−(Wa/da+Wb/db+・・・+Wn/dn)/t}×100・・・(1)
ε={1−(Wa/da+Wb/db+・・・+Wn/dn)/t}×100・・・(1)
(多孔質層)
多孔質基材の少なくとも片面には、多孔質層が積層している。多孔質層は、フッ素含有樹脂を含むことが必要であり、好ましくは無機粒子も含んでいる。
多孔質基材の少なくとも片面には、多孔質層が積層している。多孔質層は、フッ素含有樹脂を含むことが必要であり、好ましくは無機粒子も含んでいる。
本発明では、前述のごとく多孔質基材は、ポリオレフィンを含む。しかし、ポリオレフィンを含む多孔質基材は、材料的特性と延伸を含む製造工程上の特性によって100℃以上の温度で激しい熱収縮挙動を見せる。本発明では、この熱収縮挙動を抑制するため、多孔質基材の少なくとも片面に、上述した多孔質層を有する。
多孔質層が無機粒子を含む場合は、フッ素含有樹脂は無機粒子が互いに結着された状態を維持できるように、これらを互いに付着(すなわち、フッ素含有樹脂が無機粒子の間を連結及び固定)させている。多孔質層に含まれる無機粒子は、実質的に互いに接触した状態で充填された構造として存在し、無機粒子が実質的に互いに接触された状態で形成される空き空間が多孔質層の気孔になる。
(フッ素含有樹脂)
多孔質層に含まれるフッ素含有樹脂としては、フッ化ビニリデンの単独重合体(即ちポリフッ化ビニリデン);フッ化ビニリデンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体(ポリフッ化ビニリデン共重合体);これらの混合物;が挙げられる。
多孔質層に含まれるフッ素含有樹脂としては、フッ化ビニリデンの単独重合体(即ちポリフッ化ビニリデン);フッ化ビニリデンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体(ポリフッ化ビニリデン共重合体);これらの混合物;が挙げられる。
フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、トリクロロエチレン等が挙げられ、1種類又は2種類以上を用いることができる。
中でも、電極に対する接着性および多孔質層を適度に強固にできる観点から、VDF−HFP共重合体およびVDF−CTFE共重合体が好ましい。
なお、ここで言う「VDF」はフッ化ビニリデン単量体成分を、「HFP」はヘキサフルオロプロピレン単量体成分を、「CTFE」はクロロトリフルオロエチレン単量体成分を指しており、例えば「VDF−HFP共重合体」とはフッ化ビニリデン単量体成分及びヘキサフルオロプロピレン単量体成分を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂を意味している。
なお、ここで言う「VDF」はフッ化ビニリデン単量体成分を、「HFP」はヘキサフルオロプロピレン単量体成分を、「CTFE」はクロロトリフルオロエチレン単量体成分を指しており、例えば「VDF−HFP共重合体」とはフッ化ビニリデン単量体成分及びヘキサフルオロプロピレン単量体成分を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂を意味している。
ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンをフッ化ビニリデンと共重合することで、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の結晶性、耐熱性、電解液に対する耐溶解性などを適度な範囲に制御できる。
VDF−HFP共重合体においては、HFP単量体成分のモル比が3〜30%であり、且つ、重量平均分子量(Mw)が10万〜150万であることが好ましい。共重合体の物性がかかる範囲であることにより、ドライヒートプレスを行った際のポリマー鎖の運動性が高く、電極表面の凹凸にポリマー鎖が入り込んでアンカー効果が発現し、電極に対する多孔質層の接着を向上させ得る。この観点から、VDF−HFP共重合体のHFP単量体成分のモル比は、5%以上がより好ましく、7%以上がさらに好ましい。
VDF−HFP共重合体のHFP単量体成分のモル比が30%以下であると、電解液に溶解しにくく過度に膨潤することもないので、電池内部において電極と多孔質層との接着が保たれ得るし、孔部分を過度に埋めてしまうことがない。この観点から、VDF−HFP共重合体のHFP単量体成分のモル比は、25%以下がより好ましい。
VDF−HFP共重合体のMwが10万以上であると、多孔質層が電極との接着処理に耐え得る力学特性を確保でき、電極との接着が向上し得る。また、VDF−HFP共重合体のMwが10万以上であると、電解液に溶解しにくいので、電池内部において電極と多孔質層との接着が保たれ易くなる。これらの観点から、VDF−HFP共重合体のMwは、20万以上がより好ましい。
VDF−HFP共重合体のMwが150万以下であると、多孔質層の塗膜成形に用いられる塗工液の粘度が高くなり過ぎず成形性及び結晶形成がよくなり、多孔質層の表面性状の均一性が高くなり、その結果として、電極に対する接着性が良好となる。また、VDF−HFP共重合体のMwが150万以下であると、ドライヒートプレスを行った際のポリマー鎖の運動性が高くなり、電極表面の凹凸にポリマー鎖が入り込んでアンカー効果が発現し、電極に対する多孔質層の接着を向上させ得る。これらの観点から、VDF−HFP共重合体のMwは、100万以下がより好ましく、50万以下がさらに好ましい。
VDF−CTFE共重合体においては、CTFE単量体成分のモル比が5〜30%であり、且つ、重量平均分子量(Mw)が10万〜150万であることが好ましい。共重合体の物性がかかる範囲であることにより、ドライヒートプレスを行った際のポリマー鎖の運動性が高く、電極表面の凹凸にポリマー鎖が入り込んでアンカー効果が発現し、電極に対する多孔質層の接着を向上させ得る。また、強固な多孔質層を形成できる。この観点から、VDF−CTFE共重合体のCTFE単量体成分のモル比は、7%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましく、20%以上が特に好ましい。
VDF−CTFE共重合体のCTFE単量体成分のモル比が30%以下であると、電解液に溶解しにくく過度に膨潤することもないので、電池内部において電極と多孔質層との接着が保たれ得るし、孔部分を過度に埋めてしまうことがない。
VDF−CTFE共重合体のMwが10万以上であると、多孔質層が電極との接着処理に耐え得る力学特性を確保でき、電極との接着が向上し得る。また、VDF−CTFE共重合体のMwが10万以上であると、電解液に溶解しにくいので、電池内部において多孔質層を強固なまま維持できる。これらの観点から、VDF−CTFE共重合体のMwは、15万以上がより好ましく、20万以上がさらに好ましい。
VDF−CTFE共重合体のMwが150万以下であると、多孔質層の塗膜成形に用いられる塗工液の粘度が高くなり過ぎず成形性及び結晶形成がよくなり、多孔質層の表面性状の均一性が高くなり、その結果として、電極に対する接着性が良好となる。また、VDF−CTFE共重合体のMwが150万以下であると、ドライヒートプレスを行った際のポリマー鎖の運動性が高くなり、電極表面の凹凸にポリマー鎖が入り込んでアンカー効果が発現し、電極に対する多孔質層の接着を向上させ得る。これらの観点から、VDF−CTFE重合体のMwは、100万以下がより好ましい。
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)やVDF−HFP共重合体、VDF−CTFE共重合体を製造する方法としては、乳化重合や懸濁重合が挙げられる。また、共重合単位の含有量及び重量平均分子量を満足する市販の重合体を選択することも可能である。
(多孔質層表面を被覆しているフッ素含有樹脂の被覆部分の面積比率)
本発明では、多孔質層表面に対する、多孔質層表面を被覆しているフッ素含有樹脂の被覆部分の面積比率(以下、単に「被覆面積比率」と称することがある。)が、40%以上、60%以下であることが必要である。
本発明では、多孔質層表面に対する、多孔質層表面を被覆しているフッ素含有樹脂の被覆部分の面積比率(以下、単に「被覆面積比率」と称することがある。)が、40%以上、60%以下であることが必要である。
上述したように、フッ素含有樹脂はドライヒートプレスを行った際に電極と接着する重要な要素である。したがって、被覆面積比率が40%未満となると、ドライヒートプレスを行った際の電極との接着力が低下し、電池の製造工程において電極と位置ずれしやすくなり、電池の製造歩留りが低下する場合がある。一方、被覆面積比率が60%を超えると、後述する孔面積が減ることを意味するため、レート特性を低下させる場合がある。
被覆面積比率は、電池の製造歩留り向上の観点から、44%以上が好ましく、48%以上がより好ましい。また、被覆面積比率は、孔面積減少抑制の観点から、58%以下が好ましく、55%以下がより好ましい。
なお、被覆面積比率は、実施例の項に後述する通り、取得した表面SEM−EDX画像(図1)を画像処理することにより求めることができる(図2(a)白色の部分がフッ素含有樹脂の被覆部分である。)。
(多孔質層表面に形成されている多孔質層の孔の面積比率)
本発明では、多孔質層表面に対する、多孔質層表面に形成されている多孔質層の孔の面積比率(以下、単に「孔面積比率」と称することがある。)が、10%以上、25%以下であることが必要である。
本発明では、多孔質層表面に対する、多孔質層表面に形成されている多孔質層の孔の面積比率(以下、単に「孔面積比率」と称することがある。)が、10%以上、25%以下であることが必要である。
孔部分は、イオンが優先的に流れる流路であるため、この存在は電池特性、特にレート特性発現に重要な役割を担う。そのため、孔面積比率が10%未満であると、レート特性が低下する場合がある。また、孔面積比率が25%を超えると、前述したフッ素含有樹脂の被覆面積が減ることを意味するため、ドライヒートプレスを行った際の電極との接着力が低下し、電池の製造工程において電極と位置ずれしやすくなり、電池の製造歩留りが低下する場合がある。
孔面積比率は、レート特性が低下するのを防ぐ観点から、14%以上が好ましく、16%以上がより好ましい。また、孔面積比率は、電池の製造歩留り向上の観点から、23%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。
なお、孔面積比率は、実施例の項に後述する通り、取得した表面SEM−EDX画像(図1)を画像処理することにより求めることができる(図2(b)白色の部分が孔である。)。
(多孔質層表面のフッ素含有樹脂の被覆部分の面積と孔の面積の合計面積比率)
本発明では、多孔質層表面のフッ素含有樹脂の被覆部分の面積と孔の面積の合計面積比率(以下、単に「合計面積比率」と称することがある。)が、55%以上、85%以下であることが必要である。これを言い換えると、後述する手法で表面SEM−EDX画像を画像処理したときに、フッ素含有樹脂の被覆部分でも孔部分でもない領域の面積比率が、15%以上、45%以下であることを意味する。
本発明では、多孔質層表面のフッ素含有樹脂の被覆部分の面積と孔の面積の合計面積比率(以下、単に「合計面積比率」と称することがある。)が、55%以上、85%以下であることが必要である。これを言い換えると、後述する手法で表面SEM−EDX画像を画像処理したときに、フッ素含有樹脂の被覆部分でも孔部分でもない領域の面積比率が、15%以上、45%以下であることを意味する。
当該領域がかかる範囲で存在することにより、電極との接着性とレート特性を維持しながら、電池の長期特性(サイクル特性)が良化することを見出し、本発明にたどり着いたものである。メカニズムは必ずしも明確ではないが、当該領域は電極との接着には寄与せず、且つ優先的なイオン流路とならないが、イオンの流れを適度に阻害・周辺領域に分散させ、電流の局所的な集中を防いでいるものと考えられる。
合計面積比率は、電極との接着性とレート特性、さらにはサイクル特性を維持する観点から、60%以上、80%以下であることが好ましく、66%以上、75%以下であることがより好ましい。
なお、合計面積比率は、前述の被覆面積比率と孔面積比率の和である。(図2(a)白色の部分の面積と図2(b)白色の部分の面積の和が、フッ素含有樹脂の被覆部分の面積と孔部分の面積の合計である。)。
(無機粒子)
本発明では、多孔質層の強度を担保するため、多孔質層中に無機粒子を含むことが好ましい。無機粒子としては、電気化学的に安定さえしていれば特に制限されない。
即ち、本発明で使用できる無機粒子は、使用される電気化学素子の作動電圧範囲(例えば、Li/Li+基準で0〜5V)で酸化及び/又は還元反応が起きないものであれば特に制限されないが、リン酸カルシウム、非晶性シリカ、結晶性のガラスフィラー、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、シリカーアルミナ複合酸化物粒子、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカ、ベーマイト等が挙げられる。特に、フッ素含有樹脂の結晶成長性、コスト、入手のしやすさから二酸化チタン、アルミナ、ベーマイトからなる群から選ばれる1種以上を含むことが好適である。
無機粒子の形状は真球形状、略球形状、板状が挙げられるが特に限定されない。
本発明では、多孔質層の強度を担保するため、多孔質層中に無機粒子を含むことが好ましい。無機粒子としては、電気化学的に安定さえしていれば特に制限されない。
即ち、本発明で使用できる無機粒子は、使用される電気化学素子の作動電圧範囲(例えば、Li/Li+基準で0〜5V)で酸化及び/又は還元反応が起きないものであれば特に制限されないが、リン酸カルシウム、非晶性シリカ、結晶性のガラスフィラー、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、シリカーアルミナ複合酸化物粒子、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカ、ベーマイト等が挙げられる。特に、フッ素含有樹脂の結晶成長性、コスト、入手のしやすさから二酸化チタン、アルミナ、ベーマイトからなる群から選ばれる1種以上を含むことが好適である。
無機粒子の形状は真球形状、略球形状、板状が挙げられるが特に限定されない。
無機粒子の含有量の下限は、フッ素含有樹脂と無機粒子との合計に対して、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上であり、上限は90質量%以下が好ましい。無機粒子の含有量がこの範囲であると、多孔質層の強度が適度に保たれる。
無機粒子の平均粒径は、多孔質基材の細孔のサイズの1.5倍以上、50倍以下であることが好ましい。より好ましくは2.0倍以上、20倍以下である。無機粒子の平均粒径が上記好ましい範囲内であると、バインダー高分子と無機粒子が混在した状態でセパレータの細孔を塞ぐことなく透気抵抗度を維持し、さらに電池組み立て工程において前記粒子が脱落し、電池の重大な欠陥を招くのを防ぐ。
(多孔質層の物性)
多孔質層の膜厚は、多孔質基材の片面当たり2〜10μmが好ましく、より好ましくは3〜8μm、さらに好ましくは4〜6μmである。本発明においては、後述する製法を採用することにより、フッ素含有樹脂が多孔質層の表面に偏在したうえで、前述の通りフッ素含有樹脂の被覆部分・孔部分・どちらでもない部分が混在する構成となっている。そのため、多孔質基材の片面あたり膜厚が2μm以上であれば、前述したフッ素含有樹脂の被覆部分・孔部分・どちらでもない部分の効果が十分に発現できる。多孔質基材の片面あたり膜厚が10μm以下であれば、巻き嵩を抑えることができ、今後、進むであろう電池の高容量化に適する。
多孔質層の膜厚は、多孔質基材の片面当たり2〜10μmが好ましく、より好ましくは3〜8μm、さらに好ましくは4〜6μmである。本発明においては、後述する製法を採用することにより、フッ素含有樹脂が多孔質層の表面に偏在したうえで、前述の通りフッ素含有樹脂の被覆部分・孔部分・どちらでもない部分が混在する構成となっている。そのため、多孔質基材の片面あたり膜厚が2μm以上であれば、前述したフッ素含有樹脂の被覆部分・孔部分・どちらでもない部分の効果が十分に発現できる。多孔質基材の片面あたり膜厚が10μm以下であれば、巻き嵩を抑えることができ、今後、進むであろう電池の高容量化に適する。
(多孔複合フィルムの物性)
本発明の多孔複合フィルムの透気度は、100秒/100cm3以上1,000秒/100cm3以下であることが好ましい。より好ましくは、200秒/100cm3以上1,000秒/100cm3以下である。さらに好ましくは、400秒/100cm3以上1,000秒/100cm3以下である。透気度が1,000秒/100cm3以下であると、十分なイオン移動性が得られ、電池特性を向上させることができる。透気度が100秒/100cm3以上であると、十分な力学特性が得られる。
本発明の多孔複合フィルムの透気度は、100秒/100cm3以上1,000秒/100cm3以下であることが好ましい。より好ましくは、200秒/100cm3以上1,000秒/100cm3以下である。さらに好ましくは、400秒/100cm3以上1,000秒/100cm3以下である。透気度が1,000秒/100cm3以下であると、十分なイオン移動性が得られ、電池特性を向上させることができる。透気度が100秒/100cm3以上であると、十分な力学特性が得られる。
(多孔複合フィルムの製造方法)
本発明の多孔複合フィルムの製造方法について説明する。
1.多孔質基材の製造
本発明で用いられる、ポリオレフィンを含む多孔質基材の製造方法としては、所望の特性を有する多孔質基材が製造できれば、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、日本国特許第2132327号明細書及び日本国特許第3347835号公報、国際公開第2006/137540号等に記載された方法を用いることができる。具体的には、下記の工程(i)〜(v)を含むことが好ましい。
本発明の多孔複合フィルムの製造方法について説明する。
1.多孔質基材の製造
本発明で用いられる、ポリオレフィンを含む多孔質基材の製造方法としては、所望の特性を有する多孔質基材が製造できれば、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、日本国特許第2132327号明細書及び日本国特許第3347835号公報、国際公開第2006/137540号等に記載された方法を用いることができる。具体的には、下記の工程(i)〜(v)を含むことが好ましい。
(i)ポリオレフィンと成膜用溶剤とを溶融混練し、ポリオレフィン溶液を調製する工程
(ii)前記ポリオレフィン溶液を押出し、冷却しゲル状シートを形成する工程
(iii)前記ゲル状シートを延伸する第1の延伸工程
(iv)前記延伸後のゲル状シートから成膜用溶剤を除去する工程
(v)前記成膜用溶剤除去後のシートを乾燥する工程
以下、各工程についてそれぞれ説明する。
(ii)前記ポリオレフィン溶液を押出し、冷却しゲル状シートを形成する工程
(iii)前記ゲル状シートを延伸する第1の延伸工程
(iv)前記延伸後のゲル状シートから成膜用溶剤を除去する工程
(v)前記成膜用溶剤除去後のシートを乾燥する工程
以下、各工程についてそれぞれ説明する。
(i)ポリオレフィン溶液の調製工程
ポリオレフィンに、それぞれ適当な成膜用溶剤を添加した後、溶融混練し、ポリオレフィン溶液を調製する。溶融混練方法として、例えば日本国特許第2132327号明細書及び日本国特許第3347835号公報に記載の二軸押出機を用いる方法を利用することができる。溶融混練方法は公知であるので説明を省略する。
ポリオレフィンに、それぞれ適当な成膜用溶剤を添加した後、溶融混練し、ポリオレフィン溶液を調製する。溶融混練方法として、例えば日本国特許第2132327号明細書及び日本国特許第3347835号公報に記載の二軸押出機を用いる方法を利用することができる。溶融混練方法は公知であるので説明を省略する。
ポリオレフィン溶液中、ポリオレフィンと成膜用溶剤との配合割合は、特に限定されないが、ポリオレフィン20〜30質量部に対して、成膜溶剤70〜80質量部であることが好ましい。ポリオレフィンと成膜用溶剤との配合割合が上記範囲内であると、ポリオレフィン溶液を押し出す際にダイ出口でスウェルやネックインが防止でき、押出し成形体(ゲル状成形体)の成形性及び自己支持性が良好となる。
(ii)ゲル状シートの形成工程
ポリオレフィン溶液を押出機からダイに送給し、シート状に押し出す。同一又は異なる組成の複数のポリオレフィン溶液を、押出機から一つのダイに送給し、そこで層状に積層し、シート状に押出してもよい。
ポリオレフィン溶液を押出機からダイに送給し、シート状に押し出す。同一又は異なる組成の複数のポリオレフィン溶液を、押出機から一つのダイに送給し、そこで層状に積層し、シート状に押出してもよい。
押出方法はフラットダイ法及びインフレーション法のいずれでもよい。押出し温度は140〜250℃が好ましく、押出速度は0.2〜15m/分が好ましい。ポリオレフィン溶液の各押出量を調節することにより、膜厚を調節することができる。押出方法としては、例えば日本国特許第2132327号明細書及び日本国特許第3347835号公報に開示の方法を利用することができる。
得られた押出し成形体を冷却することによりゲル状シートを形成する。ゲル状シートの形成方法として、例えば日本国特許第2132327号明細書及び日本国特許第3347835号公報に開示の方法を利用することができる。冷却は少なくともゲル化温度までは50℃/分以上の速度で行うのが好ましい。冷却は25℃以下まで行うのが好ましい。冷却により、成膜用溶剤によって分離されたポリオレフィンのミクロ相を固定化することができる。冷却速度が上記範囲内であると結晶化度が適度な範囲に保たれ、延伸に適したゲル状シートとなる。冷却方法としては冷風、冷却水等の冷媒に接触させる方法、冷却ロールに接触させる方法等を用いることができるが、冷媒で冷却したロールに接触させて冷却させることが好ましい。
(iii)第1の延伸工程
次に、得られたゲル状シートを少なくとも一軸方向に延伸する。ゲル状シートは成膜用溶剤を含むので、均一に延伸できる。ゲル状シートは、加熱後、テンター法、ロール法、インフレーション法、又はこれらの組合せにより所定の倍率で延伸するのが好ましい。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよいが、二軸延伸が好ましい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸、逐次延伸及び多段延伸(例えば、同時二軸延伸及び逐次延伸の組合せ)のいずれでもよい。
次に、得られたゲル状シートを少なくとも一軸方向に延伸する。ゲル状シートは成膜用溶剤を含むので、均一に延伸できる。ゲル状シートは、加熱後、テンター法、ロール法、インフレーション法、又はこれらの組合せにより所定の倍率で延伸するのが好ましい。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよいが、二軸延伸が好ましい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸、逐次延伸及び多段延伸(例えば、同時二軸延伸及び逐次延伸の組合せ)のいずれでもよい。
本工程における延伸倍率(面積延伸倍率)は、9倍以上が好ましく、16倍以上がより好ましく、25倍以上が特に好ましい。また、機械方向(MD)及び幅方向(TD)での延伸倍率は、互いに同じでも異なってもよい。なお、本工程における延伸倍率とは、本工程直前のゲル状シートを基準として、次工程に供される直前の微多孔性基材の面積延伸倍率のことをいう。
本工程の延伸温度は、ポリオレフィンの結晶分散温度(Tcd)〜Tcd+30℃の範囲内にするのが好ましく、Tcd+5℃〜Tcd+28℃の範囲内にするのがより好ましく、Tcd+10℃〜Tcd+26℃の範囲内にするのが特に好ましい。例えば、ポリエチレンの場合は、延伸温度を90〜140℃とするのが好ましく、より好ましくは100〜130℃にする。結晶分散温度(Tcd)は、ASTM D4065による動的粘弾性の温度特性測定により求められる。
以上のような延伸により、例えばポリオレフィンとしてポリエチレンを用いた場合、ポリエチレンラメラ間に開裂が起こり、ポリエチレン相が微細化し、多数のフィブリルが形成される。フィブリルは三次元的に不規則に連結した網目構造を形成し、ゲル状シートは微多孔質基材となる。延伸により機械的強度が向上するとともに細孔が拡大するが、適切な条件で延伸を行うと、貫通孔径を制御し、さらに薄い膜厚でも高い空孔率を有することが可能となる。
所望の物性に応じて、膜厚方向に温度分布を設けて延伸してもよく、これにより機械的強度に優れた微多孔性基材が得られる。その方法の詳細は日本国特許第3347854号公報に記載されている。
(iv)成膜用溶剤の除去工程
洗浄溶媒を用いて、成膜用溶剤の除去(洗浄)を行う。ポリオレフィン相は成膜用溶剤相と相分離しているので、成膜用溶剤を除去すると、微細な三次元網目構造を形成するフィブリルからなり、三次元的に不規則に連通する孔(空隙)を有する多孔質の膜が得られる。洗浄溶媒及びこれを用いた成膜用溶剤の除去方法は公知であるので説明を省略する。例えば日本国特許第2132327号明細書や特開2002−256099号公報に開示の方法を利用することができる。
洗浄溶媒を用いて、成膜用溶剤の除去(洗浄)を行う。ポリオレフィン相は成膜用溶剤相と相分離しているので、成膜用溶剤を除去すると、微細な三次元網目構造を形成するフィブリルからなり、三次元的に不規則に連通する孔(空隙)を有する多孔質の膜が得られる。洗浄溶媒及びこれを用いた成膜用溶剤の除去方法は公知であるので説明を省略する。例えば日本国特許第2132327号明細書や特開2002−256099号公報に開示の方法を利用することができる。
(v)乾燥工程
成膜用溶剤を除去した微多孔性基材を、加熱乾燥法又は風乾法により乾燥する。乾燥温度はポリオレフィンの結晶分散温度(Tcd)以下であることが好ましく、特にTcdより5℃以上低いことが好ましい。
成膜用溶剤を除去した微多孔性基材を、加熱乾燥法又は風乾法により乾燥する。乾燥温度はポリオレフィンの結晶分散温度(Tcd)以下であることが好ましく、特にTcdより5℃以上低いことが好ましい。
乾燥は、微多孔性基材を100質量%(乾燥重量)として、残存洗浄溶媒が5質量%以下になるまで行うのが好ましく、3質量%以下になるまで行うのがより好ましい。残存洗浄溶媒が上記範囲内であると、さらに微多孔性基材の第2の延伸工程及び熱処理工程を行ったときに微多孔性基材の空孔率が維持され、透過性の悪化が抑制される。
2.塗工液の調製
塗工液の調製方法は、以下の工程(a1)を含む。また、塗工液の調製方法は、以下の工程(b1)を含むことが好ましい。なお、以下の説明は、フッ素含有樹脂としてVDF−HFP共重合体とVDF−CTFE共重合体用いる場合について説明したものである。
塗工液の調製方法は、以下の工程(a1)を含む。また、塗工液の調製方法は、以下の工程(b1)を含むことが好ましい。なお、以下の説明は、フッ素含有樹脂としてVDF−HFP共重合体とVDF−CTFE共重合体用いる場合について説明したものである。
(a1)VDF−HFP共重合体とVDF−CTFE共重合体を溶媒に溶解し塗工液を得る工程
(b1)塗工液に無機粒子を添加し、混合する工程
(b1)塗工液に無機粒子を添加し、混合する工程
(a1)塗工液を得る工程
溶媒はVDF−HFP共重合体とVDF−CTFE共重合体を溶解でき、また後述する乾燥工程(c2)にて除去可能なものであれば、特に限定されない。溶解性、揮発性の高さの観点から、溶媒はテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトンが好ましく、アセトンがより好ましい。
溶媒はVDF−HFP共重合体とVDF−CTFE共重合体を溶解でき、また後述する乾燥工程(c2)にて除去可能なものであれば、特に限定されない。溶解性、揮発性の高さの観点から、溶媒はテトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトンが好ましく、アセトンがより好ましい。
VDF−HFP共重合体とVDF−CTFE共重合体を溶媒に加え、ディスパーなどで撹拌することで溶解させ、塗工液(フッ素含有樹脂溶液)を得る。
(b1)無機粒子を添加する工程
上記で得られた塗工液に、撹拌しながら無機粒子を添加して一定の時間(例えば、約1時間)ディスパーなどで撹拌することで予備分散し、さらにビーズミルやペイントシェーカーを用いて粒子を分散させる工程(分散工程)を経て、塗工液に無機粒子を分散させる。
上記で得られた塗工液に、撹拌しながら無機粒子を添加して一定の時間(例えば、約1時間)ディスパーなどで撹拌することで予備分散し、さらにビーズミルやペイントシェーカーを用いて粒子を分散させる工程(分散工程)を経て、塗工液に無機粒子を分散させる。
なお、(a1)または(b1)の工程においては、本発明の目的を阻害しない範囲で添加剤や分散剤、他の高分子材料等を加えてもよい。
塗工液の粘度は、3cP以上、50cP以下であることが好ましく、5cP以上、35cP以下であることがより好ましく、8cP以上、25cP以下であることがさらに好ましい。粘度が50cPを超えると、高速塗工に適さなくなり生産性が悪化する場合がある。また、物質移動速度が遅くなり、本発明で規定する表面構造をとりにくくなる場合がある。塗工液が低粘度であれば高速塗工に適するため好ましいが、例えば安定な塗膜形成の観点から3cPを下回らないことが好ましい。
3.多孔質層の形成
多孔質層の形成方法は、次の工程を有することが好ましい。
(a2)塗工液を多孔質基材の少なくとも片面に塗工して塗膜を形成する工程
(b2)塗膜が形成された多孔質基材を加湿された雰囲気にばく露する工程
(c2)溶媒を乾燥する工程
多孔質層の形成方法は、次の工程を有することが好ましい。
(a2)塗工液を多孔質基材の少なくとも片面に塗工して塗膜を形成する工程
(b2)塗膜が形成された多孔質基材を加湿された雰囲気にばく露する工程
(c2)溶媒を乾燥する工程
(a2)塗工液を多孔質基材の少なくとも片面に塗工して塗膜を形成する工程
塗工液を多孔質基材に塗布する方法は、公知の方法が用いられる。例えば、ディップ・コート法、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、マイヤーバーコート法、パイプドクター法、ブレードコート法およびダイコート法などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて用いることができる。特に、粘度が3cP以上、50cP以下の塗工液を連続的かつ例えば塗工速度50m/min以上で高速塗工する場合は、リバースロール・コート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法が好ましい。
塗工液を多孔質基材に塗布する方法は、公知の方法が用いられる。例えば、ディップ・コート法、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、マイヤーバーコート法、パイプドクター法、ブレードコート法およびダイコート法などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて用いることができる。特に、粘度が3cP以上、50cP以下の塗工液を連続的かつ例えば塗工速度50m/min以上で高速塗工する場合は、リバースロール・コート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法が好ましい。
上記塗膜の厚みは、20μm以上、40μm以下であることが好ましく、25μm以上、38μm以下であることがより好ましく、28μm以上、36μm以下であることがさらに好ましい。
塗膜の厚みが20μm以上であると、フッ素含有樹脂が多孔質層内部にとどまることなく表面に析出し、本発明で規定する表面構造をとりやすくなる。また、塗膜の厚みが40μm以下であると、多孔質層が過度に厚くならず、多孔質層と多孔質基材との密着を確保できる。
塗膜の厚みが20μm以上であると、フッ素含有樹脂が多孔質層内部にとどまることなく表面に析出し、本発明で規定する表面構造をとりやすくなる。また、塗膜の厚みが40μm以下であると、多孔質層が過度に厚くならず、多孔質層と多孔質基材との密着を確保できる。
(b2)塗膜が形成された多孔質基材を加湿された雰囲気にばく露する工程
本発明においては、多孔質層の表面状態を制御するために、塗工液を塗布後、塗膜が形成された多孔質基材を加湿された雰囲気にばく露することが好ましい。
このときの温度は25℃以上55℃以下であることが好ましく、時間は2秒以上10秒以下あることが好ましく、絶対湿度量は10g/m3以上、25g/m3以下であることが好ましい。これにより、多孔質層の表面状態を本発明の範囲に制御できる。
本発明においては、多孔質層の表面状態を制御するために、塗工液を塗布後、塗膜が形成された多孔質基材を加湿された雰囲気にばく露することが好ましい。
このときの温度は25℃以上55℃以下であることが好ましく、時間は2秒以上10秒以下あることが好ましく、絶対湿度量は10g/m3以上、25g/m3以下であることが好ましい。これにより、多孔質層の表面状態を本発明の範囲に制御できる。
工程(b2)によって多孔質層の表面状態を制御できるメカニズムは必ずしも定かではないが、以下のように考えられる。すなわち、揮発性の溶媒が吸湿(含水)することで、溶媒の蒸発速度を適度に遅くし、フッ素含有樹脂が多孔質層の表面に移動する時間を確保しているものと考えられ、また多孔質層表面のフッ素含有樹脂溶解度を下げ、適度に析出させていると考えられる。
このため、絶対湿度量が10g/m3を下回ると、フッ素含有樹脂が表面に析出せず、多孔質層表面を被覆しているフッ素含有樹脂の面積が小さくなり、電極との接着性が低下する場合がある。また、多孔質層内部にフッ素含有樹脂が多く存在することにより、透気性も悪化し、レート特性が悪化する場合がある。一方、絶対湿度量が25g/m3を超えると、多孔質層表面に過度にフッ素含有樹脂が析出するため、多孔質表面を被覆しているフッ素含有樹脂の被覆面積が大きくなりすぎ、電極との接着性は担保されるが電池特性(特にサイクル特性)が悪化する場合がある。
絶対湿度量は、電極との接着性の観点から、15g/m3以上がより好ましく、19g/m3以上がさらに好ましい。また、絶対湿度量は、電池特性の観点から、24g/m3以下がより好ましく、21g/m3以下がさらに好ましい。
(c2)溶媒を乾燥する工程
溶媒を乾燥する方法は熱ロールによる乾燥法、送風による乾燥法、乾燥炉による乾燥法等が挙げられ、特に限定されないが、乾燥温度は25℃以上55℃以下であることが好ましい。乾燥温度が25℃を下回ると溶媒の乾燥に時間を要し、生産性が悪化する場合がある。乾燥温度が55℃を上回ると、多孔複合フィルムが過度に収縮してしまう場合がある。
溶媒を乾燥する方法は熱ロールによる乾燥法、送風による乾燥法、乾燥炉による乾燥法等が挙げられ、特に限定されないが、乾燥温度は25℃以上55℃以下であることが好ましい。乾燥温度が25℃を下回ると溶媒の乾燥に時間を要し、生産性が悪化する場合がある。乾燥温度が55℃を上回ると、多孔複合フィルムが過度に収縮してしまう場合がある。
(電気化学素子)
本発明の電気化学素子は、電極組立体と、電極組立体を収容する電池ケースとを備える。
電極組立体は、正極、負極、及び正極と負極との間に介されたセパレータを含む。
本発明の多孔複合フィルムは、上記セパレータに好適に用いることができる。
本発明の電気化学素子は、電極組立体と、電極組立体を収容する電池ケースとを備える。
電極組立体は、正極、負極、及び正極と負極との間に介されたセパレータを含む。
本発明の多孔複合フィルムは、上記セパレータに好適に用いることができる。
このような電気化学素子としては、例えば、一次電池、二次電池、電気二重層キャパシタ、アルミ電解コンデンサ等が挙げられる。
一次電池としては、例えば、マンガン乾電池、アルカリマンガン乾電池、フッ化黒鉛・リチウム電池、二酸化マンガン・リチウム電池、固体電解質電池、注水電池、熱電池等が挙げられる。
二次電池としては、例えば、リチウム二次電池、鉛蓄電池、ニッケル・カドニウム電池、ニッケル・水素電池、ニッケル・鉄蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、二酸化マンガン・リチウム二次電池、コバルト酸リチウム・炭酸系二次電池、バナジウム・リチウム二次電池等が挙げられる。
一次電池としては、例えば、マンガン乾電池、アルカリマンガン乾電池、フッ化黒鉛・リチウム電池、二酸化マンガン・リチウム電池、固体電解質電池、注水電池、熱電池等が挙げられる。
二次電池としては、例えば、リチウム二次電池、鉛蓄電池、ニッケル・カドニウム電池、ニッケル・水素電池、ニッケル・鉄蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、二酸化マンガン・リチウム二次電池、コバルト酸リチウム・炭酸系二次電池、バナジウム・リチウム二次電池等が挙げられる。
これらの中でも、長期に利用できることから、二次電池が好ましく、有機溶媒を利用することにより高エネルギー密度を実現しているリチウム二次電池がより好ましい。
電池ケースとしては、例えば、アルミニウム製のケース、内面がニッケルメッキされた鉄製のケース、アルミニウムラミネートフィルムからなるケース等を用いることができる。
電池ケースの形状は、パウチ型、円筒型、角型、コイン型等が挙げられる。これらの中でも、高エネルギー密度を実現でき、低コストで自由に形状を設計できることから、パウチ型が好ましい。
正極は、活物質、バインダー樹脂、および導電助剤からなる正極材が集電体上に積層されたものである。
活物質としては、LiCoO2、LiNiO2、Li(NiCoMn)O2などの層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物、LiMn2O4などのスピネル型マンガン酸化物、およびLiFePO4などの鉄系化合物などが挙げられる。
活物質としては、LiCoO2、LiNiO2、Li(NiCoMn)O2などの層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物、LiMn2O4などのスピネル型マンガン酸化物、およびLiFePO4などの鉄系化合物などが挙げられる。
バインダー樹脂としては、耐酸化性が高い樹脂を使用すればよい。具体的には、フッ素含有樹脂、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂などが挙げられる。
導電助剤としては、カーボンブラック、黒鉛などの炭素材料などが挙げられる。
集電体としては、金属箔が好適であり、特にアルミニウムが用いられることが多い。
導電助剤としては、カーボンブラック、黒鉛などの炭素材料などが挙げられる。
集電体としては、金属箔が好適であり、特にアルミニウムが用いられることが多い。
負極は、活物質およびバインダー樹脂からなる負極材が集電体上に積層されたものである。
活物質としては、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボンなどの炭素材料、スズ、シリコンなどのリチウム合金系材料、リチウムなどの金属材料、およびチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)などが挙げられる。
バインダー樹脂としては、フッ素含有樹脂、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂などが挙げられる。
集電体としては、金属箔が好適であり、特に銅箔が用いられることが多い。
活物質としては、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボンなどの炭素材料、スズ、シリコンなどのリチウム合金系材料、リチウムなどの金属材料、およびチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)などが挙げられる。
バインダー樹脂としては、フッ素含有樹脂、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂などが挙げられる。
集電体としては、金属箔が好適であり、特に銅箔が用いられることが多い。
本発明の電気化学素子は、電解液を含有することが好ましい。電解液は、二次電池等の電気化学素子の中で正極と負極との間でイオンを移動させる場となっており、電解質を有機溶媒にて溶解させた構成をしている。
電解質としては、LiPF6、LiBF4、およびLiClO4などが挙げられるが、有機溶媒への溶解性、イオン電導度の観点からLiPF6が好適に用いられている。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどが挙げられ、これらの有機溶媒を2種類以上混合して使用してもよい。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどが挙げられ、これらの有機溶媒を2種類以上混合して使用してもよい。
以下、電気化学素子の中でも好ましく用いられるリチウム二次電池の作製方法について説明する。
リチウム二次電池の作製方法としては、まず活物質と導電助剤をバインダー樹脂溶液中に分散して電極用塗布液を調製し、この塗布液を集電体上に塗工して、溶媒を乾燥させることで正極、負極がそれぞれ得られる。乾燥後の塗工膜の膜厚は50μm以上500μm以下とすることが好ましい。
リチウム二次電池の作製方法としては、まず活物質と導電助剤をバインダー樹脂溶液中に分散して電極用塗布液を調製し、この塗布液を集電体上に塗工して、溶媒を乾燥させることで正極、負極がそれぞれ得られる。乾燥後の塗工膜の膜厚は50μm以上500μm以下とすることが好ましい。
得られた正極と負極の間にリチウム二次電池用セパレータを、それぞれの電極の活物質層と接するように配置し、アルミラミネートフィルム等の外装材に封入し、電解液を注入後、負極リードや安全弁を設置し、外装材を封止する。
このようにして得られたリチウム二次電池は、電極との接着性が高く、かつ優れた電池特性を有し、また、低コストでの製造が可能となる。
このようにして得られたリチウム二次電池は、電極との接着性が高く、かつ優れた電池特性を有し、また、低コストでの製造が可能となる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
[実施例1]
(塗工液の調製)
VDF−HFP共重合体(HFP単量体成分のモル比7%、重量平均分子量25万)2.6g、VDF−CTFE共重合体(CTFE単量体成分のモル20%比、重量平均分子量25万)0.7gを83.8gのアセトンに添加し、ディスパーで撹拌し溶解させた。ここに、アルミナ(平均粒径0.5μm)11gとベーマイト(平均粒径0.4μm)1.9gを添加し、ボールミル法を利用して無機物粉末を破砕及び分散して塗工液(スラリー)を製造した。
(塗工液の調製)
VDF−HFP共重合体(HFP単量体成分のモル比7%、重量平均分子量25万)2.6g、VDF−CTFE共重合体(CTFE単量体成分のモル20%比、重量平均分子量25万)0.7gを83.8gのアセトンに添加し、ディスパーで撹拌し溶解させた。ここに、アルミナ(平均粒径0.5μm)11gとベーマイト(平均粒径0.4μm)1.9gを添加し、ボールミル法を利用して無機物粉末を破砕及び分散して塗工液(スラリー)を製造した。
得られた塗工液の粘度μ(cP)を、粘度計(BROOKFIELD社製DV−I PRIME)を用い、25℃で測定した。
得られた塗工液の粘度は20cPであった。
得られた塗工液の粘度は20cPであった。
(多孔複合フィルムの製造)
厚さ9μmのポリエチレン製多孔質基材を用意し、その片面に、バーコート法(松尾産業(株)製バーコーター#18、塗膜厚み36μm)にて上記で得られた塗工液を塗布した。
塗布後速やかに温度40℃、絶対湿度量11g/m3の環境に4秒ばく露し、その後45℃の温風にて送風乾燥することにより、多孔複合フィルムを得た。
厚さ9μmのポリエチレン製多孔質基材を用意し、その片面に、バーコート法(松尾産業(株)製バーコーター#18、塗膜厚み36μm)にて上記で得られた塗工液を塗布した。
塗布後速やかに温度40℃、絶対湿度量11g/m3の環境に4秒ばく露し、その後45℃の温風にて送風乾燥することにより、多孔複合フィルムを得た。
(電池の作製)
〈電解液の作製〉
エチレンカーボネート(EC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)=3:5:2(体積比)で混合した溶媒を調製した。当該溶媒に、LiPF6(ヘキサフルオロリン酸リチウム)とVC(ビニレンカーボネート)を添加し、LiPF6濃度1.15mol/L及びVC濃度0.5質量%の電解液を調製した。
〈電解液の作製〉
エチレンカーボネート(EC):メチルエチルカーボネート(MEC):ジエチルカーボネート(DEC)=3:5:2(体積比)で混合した溶媒を調製した。当該溶媒に、LiPF6(ヘキサフルオロリン酸リチウム)とVC(ビニレンカーボネート)を添加し、LiPF6濃度1.15mol/L及びVC濃度0.5質量%の電解液を調製した。
〈正極の作製〉
コバルト酸リチウム(LiCoO2)にアセチレンブラック黒鉛とポリフッ化ビニリデンとを加え、N−メチル−2−ピロリドン中に分散させてスラリーにした。このスラリーを、厚さ20μmの正極集電体用アルミニウム箔の両面に均一に塗布して乾燥して正極層を形成した。その後、ロールプレス機により圧縮成形して、集電体を除いた正極層の密度が3.6g/cm3の帯状の正極を作製した。
コバルト酸リチウム(LiCoO2)にアセチレンブラック黒鉛とポリフッ化ビニリデンとを加え、N−メチル−2−ピロリドン中に分散させてスラリーにした。このスラリーを、厚さ20μmの正極集電体用アルミニウム箔の両面に均一に塗布して乾燥して正極層を形成した。その後、ロールプレス機により圧縮成形して、集電体を除いた正極層の密度が3.6g/cm3の帯状の正極を作製した。
〈負極の作製〉
カルボキシメチルセルロースを1.0質量部含む水溶液を人造黒鉛96.5質量部に加えて混合し、さらに固形分として1.0質量部のスチレンブタジエンラテックスを加えて混合して負極合剤含有スラリーを形成した。この負極合剤含有スラリーを、厚みが8μmの銅箔からなる負極集電体の両面に均一に塗付して乾燥して負極層を形成した。その後、ロールプレス機により圧縮成形して、集電体を除いた負極層の密度が1.5g/cm3の帯状の負極を作製した。
カルボキシメチルセルロースを1.0質量部含む水溶液を人造黒鉛96.5質量部に加えて混合し、さらに固形分として1.0質量部のスチレンブタジエンラテックスを加えて混合して負極合剤含有スラリーを形成した。この負極合剤含有スラリーを、厚みが8μmの銅箔からなる負極集電体の両面に均一に塗付して乾燥して負極層を形成した。その後、ロールプレス機により圧縮成形して、集電体を除いた負極層の密度が1.5g/cm3の帯状の負極を作製した。
〈電池の作製〉
上記の正極、実施例1で得られた多孔複合フィルム、及び上記の負極を積層した後、扁平状の巻回電極体(高さ2.2mm×幅32mm×奥行32mm)を作製した。このとき、多孔質層の塗工液が塗布されている面を正極側に対向させた。この扁平状の巻回電極体の各電極へ、シーラント付タブを溶接し、正極リード、負極リードとした。
上記の正極、実施例1で得られた多孔複合フィルム、及び上記の負極を積層した後、扁平状の巻回電極体(高さ2.2mm×幅32mm×奥行32mm)を作製した。このとき、多孔質層の塗工液が塗布されている面を正極側に対向させた。この扁平状の巻回電極体の各電極へ、シーラント付タブを溶接し、正極リード、負極リードとした。
次に、扁平状の巻回電極体部分をアルミラミネートフィルムで挟み、一部開口部を残してシールし、これを真空オーブンにて60℃で12時間乾燥した。乾燥後、速やかに電解液を0.75mL注液し、真空シーラーでシールした。
続いて、得られた電池の充放電を実施した。充放電条件は300mAの電流値で、電池電圧4.35Vまで定電流充電した後、電池電圧4.35Vで15mAになるまで定電圧充電を行った。10分の休止後、300mAの電流値で電池電圧3.0Vまで定電流放電を行い、10分休止した。以上の充放電を3サイクル実施し、電池容量300mAhの試験用二次電池(扁平捲回型電池セル)を作製した。
実施例1の多孔複合フィルムについて、以下の測定を行った。結果を表1に示す。
[測定法]
(多孔質基材、多孔複合フィルム、多孔質層の厚み)
接触式膜厚計((株)ミツトヨ製「ライトマチック」(登録商標)series318)を使用して各厚みを測定した。測定は、超硬球面測定子φ9.5mmを用いて、加重0.01Nの条件で20点を測定し、得られた測定値の平均値を、多孔質基材または多孔複合フィルムの膜厚とした。
(多孔質基材、多孔複合フィルム、多孔質層の厚み)
接触式膜厚計((株)ミツトヨ製「ライトマチック」(登録商標)series318)を使用して各厚みを測定した。測定は、超硬球面測定子φ9.5mmを用いて、加重0.01Nの条件で20点を測定し、得られた測定値の平均値を、多孔質基材または多孔複合フィルムの膜厚とした。
多孔質層の厚みtは、以下の式を用いて計算した。
t=多孔複合フィルムの厚み(t1)−多孔質基材の厚み(t2)
t=多孔複合フィルムの厚み(t1)−多孔質基材の厚み(t2)
(透気度)
100mm×100mmサイズの多孔複合フィルム試料3枚からそれぞれ無作為に抽出した一箇所を選び、王研式透気度測定装置(旭精工(株)社製EG01−5−1MR)を用いて、JIS P 8117(2009)に準拠して測定し、その平均値を多孔複合フィルムの透気度(秒/100cm3)とした。
100mm×100mmサイズの多孔複合フィルム試料3枚からそれぞれ無作為に抽出した一箇所を選び、王研式透気度測定装置(旭精工(株)社製EG01−5−1MR)を用いて、JIS P 8117(2009)に準拠して測定し、その平均値を多孔複合フィルムの透気度(秒/100cm3)とした。
(被覆面積比率及び孔面積比率測定)
表面SEM−EDX画像を画像処理することにより測定した。詳細を以下に記載する。
表面SEM−EDX画像を画像処理することにより測定した。詳細を以下に記載する。
〈多孔質層表面SEM−EDX測定〉
多孔複合フィルム試料から0.5cm×0.5cmの小片を切り出し、以下に示す条件にて、大気暴露下でセパレータ表面SEM−EDXを、場所を変えて10視野測定した。
多孔複合フィルム試料から0.5cm×0.5cmの小片を切り出し、以下に示す条件にて、大気暴露下でセパレータ表面SEM−EDXを、場所を変えて10視野測定した。
〈SEM−EDX測定条件〉
・測定装置SEM:日立ハイテクノロジー製電解放出型走査型電子顕微鏡 FE−SEM S−4800、EDX:Bruker AXS製 QUANTAX FLAT QUAD System Xflash 5060FQ
・加速電圧:3.5kV
・エミッション電流:10μA
・測定倍率:2000倍
・電子線入射角度:0°
・X線取出角度:35°〜
・デッドタイム:1%
・マッピング元素:F
・測定画素数:600×450ピクセル
・測定時間:600sec.
・明るさ:最大輝度に達する画素がなく、明るさの平均値が輝度40%〜60%の範囲に入るように輝度及びコントラストを調整
・測定装置SEM:日立ハイテクノロジー製電解放出型走査型電子顕微鏡 FE−SEM S−4800、EDX:Bruker AXS製 QUANTAX FLAT QUAD System Xflash 5060FQ
・加速電圧:3.5kV
・エミッション電流:10μA
・測定倍率:2000倍
・電子線入射角度:0°
・X線取出角度:35°〜
・デッドタイム:1%
・マッピング元素:F
・測定画素数:600×450ピクセル
・測定時間:600sec.
・明るさ:最大輝度に達する画素がなく、明るさの平均値が輝度40%〜60%の範囲に入るように輝度及びコントラストを調整
〈画像処理〉
上記で得られたSEM−EDX画像について、画像解析ソフトHALCON(Ver.13.0,MVtec社製)にて読み込みを行い、輪郭強調(微分フィルタ(emphasize、ローパスマスクの幅:3/ローパスマスクの高さ:3/コントラストの強調の強度:0.3)、エッジ強調フィルタ(shock_filter、時間ステップ長:0.5/繰り返し回数:1/エッジ検出のタイプ:canny/エッジ検出の平滑化:1)
の順で処理)を行った後、2値化した。
なお、輪郭強調に用いる微分フィルタの「emphasize」、エッジ強調フィルタの「shock_filter」はHALCONに含まれる画像処理フィルタである。
上記で得られたSEM−EDX画像について、画像解析ソフトHALCON(Ver.13.0,MVtec社製)にて読み込みを行い、輪郭強調(微分フィルタ(emphasize、ローパスマスクの幅:3/ローパスマスクの高さ:3/コントラストの強調の強度:0.3)、エッジ強調フィルタ(shock_filter、時間ステップ長:0.5/繰り返し回数:1/エッジ検出のタイプ:canny/エッジ検出の平滑化:1)
の順で処理)を行った後、2値化した。
なお、輪郭強調に用いる微分フィルタの「emphasize」、エッジ強調フィルタの「shock_filter」はHALCONに含まれる画像処理フィルタである。
2値化について、グレイ値に対する閾値の下限を180、上限を255に設定し、180以上の部分はフッ素含有樹脂(セラミック等のフィラーがある場合はそれを含む)が存在する部分とした。さらに、それらフッ素含有樹脂が存在している領域のグレイ値を255、その他の領域のグレイ値を0に置き換え、グレイ値255を持つ連続したピクセル同士を連結し、フッ素含有樹脂が存在する領域の面積を抽出後積算し、元画像の合計ピクセル数で除すことによって当該SEM−EDX画像におけるフッ素含有樹脂の被覆部分の面積比率を算出した。
また、同一のSEM−EDX画像について画像解析ソフトHALCON(Ver.13.0,MVtec社製)にて読み込みを行い、輪郭強調(微分フィルタ(emphasize、ローパスマスクの幅:3/ローパスマスクの高さ:3/コントラストの強調の強度:0.3)、エッジ強調フィルタ(shock_filter、時間ステップ長:0.5/繰り返し回数:1/エッジ検出のタイプ:canny/エッジ検出の平滑化:1)の順で処理)を行った後、2値化した。
2値化について、グレイ値に対する閾値の下限を0、上限を50に設定し、50以下の部分は孔になっている部分とした。さらに、それら孔になっている部分の領域のグレイ値を255、その他の領域のグレイ値を0に置き換え、グレイ値255を持つ連続したピクセル同士を連結し、孔になっている部分の領域の面積を抽出後積算し、元画像の合計ピクセル数で除すことによって当該SEM−EDX画像における孔の面積比率を算出した。
上記の処理を得られたSEM−EDX画像10枚すべてについて行うことで、フッ素含有樹脂の被覆面積比率および孔面積比率の数値を各々10個得た。これらの平均値をとったものを、測定した多孔複合フィルムのフッ素含有樹脂の被覆面積比率および孔面積比率とした。
また、実施例1の多孔複合フィルム又は電池について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(電極との接着力評価)
活物質がLiCoO2、バインダー樹脂がポリフッ化ビニリデン樹脂、導電助剤がアセチレンブラックとグラファイトの正極15mm×100mmと、実施例1の多孔複合フィルムを、活物質と多孔質層が接触するように設置し、熱ロールプレス機にて0.5MPa、100℃、0.2m/分で熱プレスを行い、ピンセットを用いて手動で剥離させ、接着強度を後述する3段階にて評価を行った。
活物質がLiCoO2、バインダー樹脂がポリフッ化ビニリデン樹脂、導電助剤がアセチレンブラックとグラファイトの正極15mm×100mmと、実施例1の多孔複合フィルムを、活物質と多孔質層が接触するように設置し、熱ロールプレス機にて0.5MPa、100℃、0.2m/分で熱プレスを行い、ピンセットを用いて手動で剥離させ、接着強度を後述する3段階にて評価を行った。
接着強度の評価は、下記基準に基づき行った。
○:強い力で電極と多孔性フィルム側が剥離した。
△:やや強い力で電極と多孔性フィルムが剥離した。
×:弱い力で電極と多孔性フィルムが剥離した。
○:強い力で電極と多孔性フィルム側が剥離した。
△:やや強い力で電極と多孔性フィルムが剥離した。
×:弱い力で電極と多孔性フィルムが剥離した。
(レート特性)
レート特性を下記手順にて試験を行い、放電容量維持率にて評価した。
上記で作製した扁平捲回型電池を用いて、25℃の雰囲気下、0.5Cで放電したときの放電容量と、5Cで放電したときの放電容量とを測定し、{(5Cでの放電容量)/(0.5Cでの放電容量)}×100で放電容量維持率を算出した。
レート特性を下記手順にて試験を行い、放電容量維持率にて評価した。
上記で作製した扁平捲回型電池を用いて、25℃の雰囲気下、0.5Cで放電したときの放電容量と、5Cで放電したときの放電容量とを測定し、{(5Cでの放電容量)/(0.5Cでの放電容量)}×100で放電容量維持率を算出した。
ここで、充電条件は0.5C、4.35Vの定電流充電とし、放電条件は3.0Vの定電流放電とした。上記扁平捲回型電池を5個作製し、放電容量維持率が最大、最小となる結果を除去した3個の測定結果の平均を放電容量維持率とした。
レート特性の評価は、下記基準に基づき行った。
○:放電容量維持率が65%以上であった。
△:放電容量維持率が55%以上65%未満であった。
×:放電容量維持率が55%未満であった。
○:放電容量維持率が65%以上であった。
△:放電容量維持率が55%以上65%未満であった。
×:放電容量維持率が55%未満であった。
(サイクル特性)
上記で作製した扁平捲回型電池について、充放電測定装置を使用し、25℃の雰囲気下、下記手順にて試験を行い、放電容量維持率を算出した。
上記で作製した扁平捲回型電池について、充放電測定装置を使用し、25℃の雰囲気下、下記手順にて試験を行い、放電容量維持率を算出した。
〈1〜300サイクル目〉
充電、放電を1サイクルとし、充電条件を1C、4.35Vの定電流充電、放電条件を1C、3.0Vの定電流放電とし、充放電を300回行った。
充電、放電を1サイクルとし、充電条件を1C、4.35Vの定電流充電、放電条件を1C、3.0Vの定電流放電とし、充放電を300回行った。
〈放電容量維持率の算出〉
(300サイクル目の放電容量)/(1サイクル目の放電容量)×100で放電容量維持率を算出した。作製した扁平捲回型電池セルについて5個試験を実施し、放電容量維持率が最大、最小となる結果を除去した3個の測定結果の平均を放電容量維持率とした。
(300サイクル目の放電容量)/(1サイクル目の放電容量)×100で放電容量維持率を算出した。作製した扁平捲回型電池セルについて5個試験を実施し、放電容量維持率が最大、最小となる結果を除去した3個の測定結果の平均を放電容量維持率とした。
サイクル特性の評価は、下記基準に基づき行った。
○:放電容量維持率が70%以上であった。
△:放電容量維持率が60%以上70%未満であった。
×:放電容量維持率が60%未満であった。
○:放電容量維持率が70%以上であった。
△:放電容量維持率が60%以上70%未満であった。
×:放電容量維持率が60%未満であった。
[実施例2〜5及び比較例1、2]
加湿雰囲気の条件を、表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして多孔複合フィルム及び電池を製造し、測定及び評価した。結果を表1に示す。
加湿雰囲気の条件を、表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして多孔複合フィルム及び電池を製造し、測定及び評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
塗工液を塗布後速やかに45℃の温風にて送風乾燥したこと、すなわち加湿雰囲気にばく露しなかったこと以外は、実施例1と同様にして多孔複合フィルム及び電池を製造し、測定及び評価した。結果を表1に示す。
塗工液を塗布後速やかに45℃の温風にて送風乾燥したこと、すなわち加湿雰囲気にばく露しなかったこと以外は、実施例1と同様にして多孔複合フィルム及び電池を製造し、測定及び評価した。結果を表1に示す。
表1から、実施例と比較例との対比から、多孔質層表面のフッ素含有樹脂被覆面積比率、孔面積比率、及び両者の合計面積比率が本発明で規定する範囲内であるものについて、電極との接着力が高いと同時に、レート特性やサイクル特性といった電池特性に優れていることがわかった。
Claims (8)
- ポリオレフィンを含む多孔質基材を有し、前記多孔質基材の少なくとも片面に多孔質層を積層した、次のa)〜d)を満たす多孔複合フィルム。
a)前記多孔質層がフッ素含有樹脂を含む。
b)前記多孔質層の表面に対する、前記表面を被覆しているフッ素含有樹脂の被覆部分の面積比率が、40%以上、60%以下である。
c)前記表面に対する、前記表面に形成されている前記多孔質層の孔の面積比率が、10%以上、25%以下である。
d)前記表面に対する、前記被覆部分の面積と前記孔の面積の合計面積比率が、55%以上、85%以下である。 - 前記多孔質層が二酸化チタン、アルミナ及びベーマイトからなる群より選択された少なくとも一種を含む、請求項1に記載の多孔複合フィルム。
- 前記フッ素含有樹脂が、フッ化ビニリデン単位を含む重合体である、請求項1又は2に記載の多孔複合フィルム。
- 正極、負極及び前記正極と前記負極との間に介されたセパレータを含む電極組立体と、前記電極組立体を収容する電池ケースとを備えた電気化学素子であって、
前記セパレータが、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔複合フィルムである、電気化学素子。 - リチウム二次電池である、請求項4に記載の電気化学素子。
- 前記電池ケースがパウチ型である、請求項4又は5に記載の電気化学素子。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔複合フィルムを製造する方法であって、
フッ素含有樹脂を溶媒に溶解した塗工液を多孔質基材の少なくとも片面に塗工して塗膜を形成する塗布工程と、
前記塗膜が形成された多孔質基材を加湿された雰囲気にばく露する工程と、
前記溶媒を乾燥する工程を含む、多孔複合フィルムの製造方法。 - 前記塗工液の粘度が、3cP以上、50cP以下であり、前記塗膜の厚みが、20μm以上、40μm以下であり、前記雰囲気における絶対湿度量が10g/m3以上、25g/m3以下である、請求項7に記載の多孔複合フィルムの製造方法。
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