JP2017130425A - 蓄電デバイス用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ポリオレフィン多孔膜は、電気絶縁性、イオン透過性等に優れ、適度のシャットダウン機能を有することから、セパレータ材料として広く用いられている。シャットダウン機能とは、デバイスが異常発熱を起こしたときにイオン透過性を抑制して電気化学反応の進行を停止させ、該デバイスの異常反応を安全にストップする機能である。ポリオレフィン多孔膜がシャットダウン機能に優れる機構は、異常発熱によってポリオレフィンが溶融してセパレータ中の細孔を閉塞させることによると考えられる。ポリオレフィン多孔膜はこのシャットダウン機能に優れることから、特に高出力密度及び高容量密度を要求される機器、例えば電気自動車、ハイブリッド自動車等における駆動電源としての蓄電デバイスにおけるセパレータとして適用されている。
特許文献1及び2の技術及びこれらの模倣技術において、多層セパレータの製造は、基材としてのポリオレフィン多孔膜上に、無機層の構成材料を含有する塗工液を塗布して塗膜を形成し、然る後に塗膜を加熱し、場合により更に圧縮する方法によることが通常である。ここで、上記塗工液の塗布に先立って、基材上にコロナ放電処理を施すことが一般的である。
このコロナ放電処理は、基材表面の濡れ性を改良し、基材−無機層間の化学結合力を向上する目的でなされる。基材表面にコロナ放電処理を行わずに無機層を塗工形成しようとすると、塗工ハジキ等の濡れ不良が発生し、無機層の形成不良、剥れ等の問題が生じる場合がある。
従って当業者は、コロナ放電処理を行わずに製造することができ、絶縁性、イオン透過性、密着性、シャットダウン性等に優れる多層セパレータを強く望んでいる。
特許文献3〜5にかかる多孔層を用いたセパレータについて本発明者らが検討したところ、多孔層用塗工液の塗工前、ポリオレフィン基材にコロナ処理を行わない場合には、該塗工液を該基材に塗布する際に塗工液のハジキがあり、基材/多質層間の剥離強度、及びセパレータの熱収縮率に劣ることが分かった(後述する比較例1〜3参照)。
この特許文献6にかかる多孔層を用いたセパレータについて、本発明者らが検討したところ、多孔層用塗工液の塗工前、ポリオレフィン基材にコロナ処理を行わない場合には、基材/多質層間の剥離強度に劣ることが分かった(後述する比較例5参照)。
[1] 多孔基材層から成るA層と、
カルボキシル基含有モノマー単位を2質量%以上27質量%未満有する水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b1)及びその塩から選択される第1の水溶性ポリマーを含有するB層と
を有することを特徴とする、蓄電デバイス用セパレータ。
[2] 前記B層が無機フィラーを更に含有する、[1]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[3] 前記B層における前記第1の水溶性ポリマーの含有割合が、前記無機フィラー100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部である、[2]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[4] 前記第1の水溶性ポリマーが、前記水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b1)のアンモニウム塩又はナトリウム塩である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[6] 前記B層が、カルボキシル基含有モノマー単位を27質量%以上有する水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b2)及びその塩から選択される第2の水溶性ポリマーを更に含有する、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[7] 前記第2の水溶性ポリマーが、前記水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b2)のアンモニウム塩である、[6]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[8] 前記B層が樹脂バインダを更に含有する、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[9] 前記樹脂バインダが非水溶性アクリル系(共)重合体である、[8]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[11] 前記第1の水溶性ポリマーが、前記水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b1)のアンモニウム塩又はナトリウム塩である、[10]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[12] 前記第1の水溶性ポリマーが、前記水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b1)のアンモニウム塩である、[10]又は[11]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[14] 前記第2の水溶性ポリマーが、前記水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b2)のアンモニウム塩である、[13]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[15] 前記B層が樹脂バインダを更に含有する、[10]〜[14]のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[16] 前記第1の水溶性ポリマーの使用量が、前記樹脂バインダ100質量部に対して、0.5質量部以上である、[15]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[17] 前記樹脂バインダが非水溶性アクリル系(共)重合体である、[15]又は[16]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
該基材シート上に、カルボキシル基含有モノマー単位を2質量%以上27質量%未満有する水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b1)及びその塩から選択される第1の水溶性ポリマーを含有するB層を形成する工程を含むことを特徴とする、蓄電デバイス用セパレータの製造方法。
[19] 前記B層が、カルボキシル基含有モノマー単位を27質量%以上有する水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b2)及びその塩から選択される第2の水溶性ポリマーを更に含有する、[18]に記載の蓄電デバイス用セパレータの製造方法。
[20] 前記蓄電デバイス用セパレータが請求項1〜17のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータである、[18]に記載の蓄電デバイス用セパレータの製造方法。
本発明におけるA層は多孔基材層から成る。
多孔基材層であるA層は、ポリオレフィン樹脂を含有することが好ましい。A層がポリオレフィン樹脂を含有することは、蓄電デバイスにおけるシャットダウン性能を効果的に発現する観点から好ましい。A層におけるポリオレフィン樹脂の含有割合は、50質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。とりわけ好ましくは、A層が実質的にポリオレフィン樹脂のみから成る場合である。
A層を構成するポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等から選択される1種以上の重合体又は共重合体を挙げることができる。
A層におけるポリオレフィン樹脂としては、セパレータの耐熱性を向上する観点から、ポリプロピレンを含有するポリオレフィン樹脂が好ましい。該ポリプロピレンの立体構造は任意であり、アイソタクティック、シンジオタクティック、及びアタクティック、並びにこれらの混合のいずれをも使用することができる。耐熱性とコストとのバランスを考慮すると、アイソタクティックポリプロピレンを使用することが好ましい。
エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等から選択される1種以上の重合体又は共重合体と、
の混合物を挙げることができる。セパレータのシャットダウン性能と電気特性とのバランスを考慮すると、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物がより好ましい。該ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等を挙げることができる。こらのうち、セパレータの強度向上の観点から、JIS K 7112に準拠して測定した密度が0.93g/cm3以上のポリエチレンを使用することが、特に好ましい。
A層におけるポリプロピレンの使用割合は、セパレータの耐熱性とシャットダウン性能とを両立させる観点から、1〜35質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜20質量%、更に好ましくは4〜10質量%である。
ポリオレフィン樹脂の粘度平均分子量は、3万〜1,200万であることが好ましく、より好ましくは5万〜200万、更に好ましくは10万〜100万である。A層の成形性、厚み安定性、シャットダウン性能の発現性の観点から、この範囲の分子量が好ましい。
A層の平均孔径は、0.035〜0.060μmであることが好ましく、0.040〜0.060μmであることがより好ましく、0.042〜0.060μmであることが更に好ましい。A層の曲路率は、1.1〜1.7であることが好ましく、1.15〜1.67であることがより好ましく、1.1〜1.7であることが更に好ましい。A層の孔数は、100〜500個/μm2であることが好ましく、120〜450個/μm2であることが好ましく、140〜400個/μm2であることが更に好ましい。これら平均孔径、曲路率、及び孔数は、気液法により測定することができる。
適度のイオン伝導性及び耐電圧特性の観点から、
A層の気孔率は、50〜90%であることが好ましく、52〜75%であることがより好ましく、55〜70%であることが更に好ましく;
A層の厚みは、5〜22μmであることが好ましく、7〜20μmであることがより好ましい。
上記のようなA層は、公知の方法又はこれに当業者による適宜の変更を加えた方法により、製造することができる。
例えば、上記のポリオレフィン樹脂又はその混合物と、可塑剤と、と溶融混錬してポリオレフィン樹脂組成物とし、該ポリオレフィン樹脂組成物をシート状に成形した後、可塑剤を抽出する手法によることができる。
上記可塑剤としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス等の炭化水素類;フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル等のエステル類;オレイルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール等を挙げることができる。ポリオレフィン樹脂組成物における可塑剤の含有割合は、シート成形性と耐延伸性とのバランスをとる観点から、好ましくは30〜80質量%、より好ましくは40〜70質量%である。
溶融混錬されたポリオレフィン樹脂組成物は、シート状に成形される。成形は、例えば、T−ダイを介して溶融混錬物を押出した後、例えば一対の冷却ロール間に挟持してシート状に成形する手法を挙げることができる。
成形後のシートは、好ましくは延伸される。この延伸は、同時二軸延伸であることが好ましい。延伸倍率は、MD方向に4〜10倍、TD方向に4〜10倍、面倍率として20〜100倍の範囲とすることが、膜強度と生産性のバランスの観点から好ましい。
抽出溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素;塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲ ン化炭化水素;ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン等の非塩素系ハロゲン化溶媒;エタノール、イソプロパノール等のアルコール;ジエ チルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン等を挙げることができる。
このようにして本発明におけるA層を製造することができる。
得られたA層は、これをそのままセパレータの製造に供してもよいし、更に親水化、架橋、熱固定等の操作を施した後に、セパレータの製造に供してもよい。
本発明におけるA層として適用できる市販品としては、例えば、セルガード社製のCG2300、同2400、同2500、同3559、同5550、同5559等(以上いずれも製品名);
宇部興産社製のユーポア(製品名);
東レバッテリーセパレータフィルム社製のセティーラ(製品名);
Entek社製のLP(製品名);
等を挙げることができる。
本発明におけるB層は、少なくとも第1の水溶性ポリマーを含有する。このB層は、例えば、無機フィラーを更に含有する多孔層、又は無機フィラーを含有しない接着層であることができる。上記多孔層は、他の層に対する接着性を持たない非接着性多孔層である場合と、他の層に対する接着性を有する接着性多孔層と、を包含する。
本発明におけるB層は、上記第1の水溶性ポリマーとともに、第2の水溶性ポリマーを含有することが好ましい。
本発明における第1の水溶性ポリマーは、カルボキシル基含有モノマー単位を2質量%以上27質量%未満有する水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b1)及びその塩から選択される。第1の水溶性ポリマーの酸当量は、125〜850g/モルであることが好ましく、150〜800g/モルであることがより好ましい。
第1の水溶性ポリマーは、カルボキシル基含有モノマー及びその塩から選択されるモノマーと、(メタ)アクリル酸エステルと、場合により使用されるその他のモノマーと、の共重合体より成る群から選択される1種以上であることが好ましい。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマール酸、イタコン酸等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。このカルボキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸又はその塩を使用することが、モノマーの入手性及び共重合性の観点から好ましい。
カルボキシル基含有モノマーを塩として使用する場合に使用されるカウンターカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、第4級アンモニウムイオン等を挙げることができる。これらのうち、セパレータの基材/多孔層間の剥離強度をより高くするとの観点から、アンモニウムイオン又はナトリウムイオンが好ましく、最終製品に残留した場合でもデバイスの充放電機能に悪影響を与える程度が少ないとの観点から、アンモニウムイオンがより好ましい。
(メタ)アクリル酸のアリールエステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシフェニル等を;
(メタ)アクリル酸のアラルキルエステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸ベンジル等を、それぞれ挙げることができる。
芳香族ビニル化合物として、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等を;
共役ジエンとして、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等を;
α−オレフィンとして、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等を;
それぞれ挙げることができる。
また、カルボキシル基含有ユニットは極性が高いことからフィラーとの親和性が高く、一方、アクリル酸エステル等の低極性のユニットは基材との親和性が高いことから、塗工液の乾燥後には、基材/多質層間の剥離強度を高める結着剤として働くと考えられる。従って、基材/多質層間の剥離強度が良好になるため、セパレータが加熱された状態においても耐熱性を有する多孔層と基材との間でずれが発生し難くなり、セパレータの熱収縮性が良好になると考えられる。
以上の観点から、カルボキシル基含有モノマー又はその塩に由来する重合単位の含有割合は、3質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
B層が無機フィラーを含有する場合、第1の水溶性ポリマーの使用量は、無機フィラー100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、0.1質量部以上5質量部以下がより好ましい。この範囲であれば、ポリオレフィン基材にコロナ放電処理を行わなくても、塗工液のハジキが起こらず、多孔層/基材間の剥離強度が良好となる。またこの範囲であれば、ポリオレフィン基材にコロナ放電処理を行った場合と行わない場合の、セパレータの透気度の上昇量(変化率)が小さく、好ましい。
B層が無機フィラーを含有しない場合、第1の水溶性ポリマーの使用量は任意である。しかしながら、B層が後述の樹脂バインダを含有する場合には、第1の水溶性ポリマーの使用量を、該樹脂バインダ100質量部に対して、0.5質量部以上とすることが好ましい。この範囲であれば、ポリオレフィン基材にコロナ放電処理を行わない場合であっても、塗工液のハジキが起こらず、接着層/基材間の剥離強度が良好となる。上記樹脂バインダを分散体として使用する場合には、該樹脂バインダの量は固形分換算値として計算される。
第1の水溶性ポリマーについて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリアクリル酸ナトリウム換算の重量平均分子量Mwは、接着強度の観点から、5,000〜500,000であることが好ましく、7,000〜200,000であることがより好ましい。
本発明におけるB層が含有することのできる第2の水溶性ポリマーは、カルボキシル基含有モノマー単位を27質量%以上有する水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b2)及びその塩から選択される。
第2の水溶性ポリマーは、(メタ)アクリル酸及びその塩から選択されるモノマーの重合体、並びに(メタ)アクリル酸及びその塩から選択されるモノマーと、(メタ)アクリル酸エステルと、場合により使用されるその他のモノマーと、の共重合体より成る群から選択される1種以上であることが好ましい。上記カルボキシル基含有モノマーを塩として用いる場合のカウンターカチオン、及び(メタ)アクリル酸エステルの各具体例としては、それぞれ、上記第1の水溶性ポリマーについて例示したのと同じ種を挙げることができる。
第2の水溶性ポリマーにおける(メタ)アクリル酸又はその塩に由来する重合単位の含有割合は、50質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、特に好ましくは90質量%以上である。(メタ)アクリル酸又はその塩に由来する重合単位の含有割合がこの範囲の第2の水溶性ポリマーは、後述する水性媒体対する溶解性や無機フィラーの分散性に優れ、B層の密着性及びセパレータの電気特性に優れることとなる。
第2の水溶性ポリマーにおけるその他のモノマーとしては、第1の水溶性ポリマーにおけるその他のモノマーとして上述したモノマーと同じものを使用することができる。
本発明における第2の水溶性ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸及びその塩から選択されるモノマーの重合体であることがより好ましく、特に好ましくはポリ(メタ)アクリル酸アンモニウムである。
上記のような第1の水溶性ポリマー及び第2の水溶性ポリマーは、それぞれ、公知の方法又はこれに対して当業者による適宜の変更を加えた方法を用いる重合反応により、製造することができる。これらのポリマーにおける重合成分として(メタ)アクリル酸の塩を使用する場合には、(メタ)アクリル酸として重合反応に供した後に塩としてもよいし、(メタ)アクリル酸塩としたうえで重合反応に供してもよい。後述の水性媒体と同じ種類の媒体を用いる溶液重合により、緻密な構造制御が可能となる点で、(メタ)アクリル酸塩としたうえで重合反応に供することが好ましい。
第1の水溶性ポリマーの市販品としては、例えば、ジュリマーAT−210、ジュリマーET−325、ジュリマーAT−510、ジュリマーAT−613、(以上、東亞合成社製)等を挙げることができる。
第2の水溶性ポリマーの市販品としては、例えば、SNディスパーザント5468、SNディスパーザント5027(以上、サンノプコ社製);
アロンA6114、アロンA30SL、(以上、東亞合成社製)等を挙げることができる。
本発明のセパレータのB層における第1の水溶性ポリマーと第2の水溶性ポリマーとの使用割合は、両者の合計に対する第1の水溶性ポリマーの使用割合として、20質量部%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることが更に好ましい。このような使用割合で第1の水溶性ポリマー、又は両水溶性ポリマーを含有するB層は、A層に対してコロナ放電処理を行わない場合であっても、高い接着性を有することとなり、好ましい。
本発明の蓄電デバイス用セパレータにおけるB層は、上記のような第1の水溶性ポリマー(及び場合により第2の水溶性ポリマー)とともに、無機フィラーを含有することができる。無機フィラーを含有するB層は、多数の細孔を有し、該細孔中に電解液を保持することができるから、得られる蓄電素子のイオン伝導性を確保する機能を発揮することができる。多孔層としてのB層は、上記の成分以外に、樹脂バインダ、増粘剤、等を、更に含有していてもよい。
この多孔層としては、他の層に対する接着性を持たない非接着性多孔層である場合と、他の層に対する接着性を有する接着性多孔層と、がある。以下の説明において、これら両者に共通する部分についてはまとめて説明し、各別に考慮する必要がある部分については、その旨の特記を付す。
多孔層であるB層において、第1の水溶性ポリマー及び第2の水溶性ポリマーは、それぞれ、無機フィラーの分散性を向上及び維持する分散剤としても機能すると考えられる。
水酸化酸化アルミニウム、カオリン等が、より好ましい。
多孔層であるB層における無機フィラーの量は、上記第1の水溶性ポリマー及び第2の水溶性ポリマーの合計1質量部に対して、15〜200質量部となる量とすることが好ましく、20〜100質量部となる量とすることがより好ましい。
B層が多孔層である場合、その厚みは、0.1〜50μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがより好ましく、1〜10μmであることが更に好ましい。
B層が無機フィラーを含有する場合、該B層は、樹脂バインダを更に含有することが好ましい。
この樹脂バインダは、無機フィラーを相互に結着する役割を果たすほか、B層と他の層との接着力を高める役割を果たす樹脂であることが好ましい。
樹脂バインダの種類としては、セパレータとしたときに蓄電デバイスの電解液に対して不溶であり、且つ該蓄電デバイスの使用範囲で電気化学的に安定な樹脂を用いることが好ましい。
1)ポリオレフィン:例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンラバー、及びこれらの変性体;
2)共役ジエン系重合体:例えば、スチレン−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びその水素化物;
3)アクリル系(共)重合体:例えば、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体;
4)ポリビニルアルコール系樹脂:例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル;
6)セルロース系半合成系高分子化合物:例えば、ノニオン性のセルロース系半合成系高分子化合物、アニオン性のセルロース系半合成系高分子化合物、カチオン性のセルロース系半合成系高分子化合物;
7)融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂、又は融点を有しないが分解温度が200℃以上のポリマー:例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル。特に、耐久性の観点から全芳香族ポリアミド、中でもポリメタフェニレンイソフタルアミドが好適である。
これらの中でも、電極との馴染み易さの観点からは上記2)共役ジエン系重合体及び5)含フッ素樹脂が好ましく、耐電圧性の観点からは上記3)アクリル系(共)重合体が好ましく、熱収縮抑制の観点から上記6)セルロース系半合成系高分子化合物が好ましい。
上記共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換及び側鎖共役ヘキサジエン類等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、特に1,3−ブタジエンが好ましい。
上記3)アクリル系(共)重合体に用いられる(メタ)アクリル酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸を挙げることができる。
上記3)アクリル系(共)重合体に用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート;
エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート;が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記2)共役ジエン系重合体は、他の単量体として上記(メタ)アクリル系化合物を共重合させて得られるものであってもよい。
多孔層が非接着性多孔層である場合、樹脂バインダの含有量は、無機フィラーを100質量%としたときに、1質量%〜15質量%とすることが好ましく、2〜10質量%とすることがより好ましい。一方、多孔層が接着性多孔層である場合、樹脂バインダの含有量は、無機フィラーを100質量%としたときに、10質量%〜50質量%とすることが好ましく、20〜40質量%とすることがより好ましい。
本発明の蓄電デバイス用セパレータにおけるB層が無機フィラーを含有しない場合、該B層は、B層と他の層との接着を司る接着層として機能することができる。接着層であるB層は、上記の第1の水溶性ポリマー(及び場合により第2の水溶性ポリマー)を含有するが、無機フィラーは実質的に含有しない。接着層であるB層における無機フィラーの含有割合は、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以下であり、特に無機フィラーを全く含有しないことが好ましい。
接着層であるB層における樹脂バインダとしては、電極との馴染み易さの観点からは上記2)共役ジエン系重合体が好ましく、耐電圧性の観点からは上記3)アクリル系(共)重合体及び5)含フッ素樹脂が好ましい。特に好ましくは3)アクリル系(共)重合体である。
30℃未満の領域にガラス転移温度を示す第1の樹脂バインダと、
30℃以上の領域にガラス転移温度を示す第2の樹脂バインダと、
を含む混合物として使用することが好ましい。
高いガラス転移温度を示す第2の樹脂バインダのガラス転移温度は、30℃以上であることが好ましく、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは70℃以上である。ガラス転移温度が30℃以上の場合、セパレータ最表面のべたつき性及びハンドリング性の観点から好ましい。
接着層であるB層における樹脂バインダの含有量は、A層とB層との接触面積を基準として、0.05g/m2以上1.50g/m2以下が好ましく、より好ましくは0.07g/m2以上1.00g/m2以下であり、更に好ましくは0.10g/m2以上0.70g/m2以下である。樹脂バインダの含有量を0.05g/m2以上1.50g/m2以下とすることは、得られるセパレータにおいて、B層と基材との接着力を一層向上させるとともに、基材の孔を閉塞することによるサイクル特性(透過性)の低下を一層抑制する観点から好ましい。
樹脂バインダが上記の第1の樹脂バインダ及び第2の樹脂バインダの混合物である場合、両者の使用割合としては、両者の合計に対する第1の樹脂バインダの使用割合として、2〜50質量%とすることが好ましく、10〜30質量%とすることがより好ましい。
本発明の蓄電デバイス用セパレータは、多孔基材層から成るA層を少なくとも含む単層又は多層の基材シート上にB層を形成することにより、製造することができる。
上記基材シートとしては、A層そのものから成る単層のシートを使用してもよいし、A層に他の層を有する多層のシートであってもよい。この他の層としては、本発明におけるB層であってもよいし、B層以外の層であってもよいし、B層及びB層以外の層の双方をともに有する場合であってもよい。これらB層及びB層以外の層は、それぞれ一層のみであってもよいし、これらのうちの少なくとも一方が2層以上存在していてもよい。
本発明における基材シートとして、好ましくは、A層そのものから成る単層のシートであるか、或いは、
A層に他の層を有する多層のシートであって、最外層のうちの少なくとも片方がA層である場合である。これらの場合において、B層は、基材シートのA層に接して形成されることが好ましい。
塗工法は、上記のような基材シート上に、B層の各成分を含有する塗工液を塗布して塗膜を形成し、次いでこれを加熱し、必要に応じて更にプレス工程を行って、A層上にB層を形成することにより、本発明の蓄電デバイス用セパレータを得ることができる。
従って、塗工に先立って、基材シートに対してコロナ放電処理を行わないことが好ましい。
該塗工液の媒体は、B層中の成分、特に第1の水溶性ポリマー及び第2の水溶性ポリマーの溶解性の点から、水性媒体とすることが好ましい。この水性媒体は、水、又は水と水溶性有機溶媒との混合物であることができる。該水溶性有機溶媒としては、例えばアルコール、エーテル等を挙げることができる。しかしながら塗工液の媒体としては、水を使用することが、良好な塗工性が得られること、並びに作業者及び環境への影響が少ないことから、好ましい。
塗工液は、B層中の各成分を所定の割合で含有する水溶液又は水分散体として調整されることが好ましい。塗工液は、多孔層を形成する場合には水分散体として、接着層を形成する場合には、水溶液として調製されることが、それぞれより好ましい。塗工液の固形分濃度は、好ましくは15〜70質量%であり、より好ましくは30〜50質量%である。
上記の塗工により、基材上に形成された塗膜を、次いで加熱し、塗膜中の分散媒を蒸散除去することにより、基材上にB層が形成されたセパレータを得ることができる。このときの加熱温度は、90℃以下とすることが好ましく、70℃以下とすることがより好ましい。
先ず、適当な基材フィルム上にB層の各成分を含有する塗工液を塗布し、低湿度ゾーン及び高湿度ゾーンを順次に通過させてB層成分をゲル化させて、基材フィルム上にゲル化したB層成分層を有する転写フィルムを製造する。次いで、該転写フィルムのB層成分層をA層上に積層して積層体とした後、凝固浴中を浸漬して、前記B層成分を多孔層又は接着層に転換する。そして、積層体から基材フィルムを剥離することにより、A層上にB層が積層されたセパレータを得ることができる。
低湿度ゾーンは、例えば、絶対湿度4g/m3以下、好ましくは3g/m3以下の湿度、及び20℃〜50℃の温度に調整されることが好ましい。高湿度ゾーンは、例えば、絶対湿度6g/m3〜25g/m3、好ましくは8g/m3〜15g/m3の湿度、及び20℃〜50℃の温度に調整されることが好ましい。各ゾーンの通過時間は、低湿度ゾーンについて3秒〜20秒、高湿度ゾーンについて3秒〜20秒とすることが好ましい。
しかる後に積層体から基材フィルムを剥離することにより、本発明のセパレータを得ることができる。
本発明の蓄電デバイス用セパレータは、上記のようなA層及びB層を有する。
B層としては、上記のとおり、例えば、多孔層、接着層等であることができる。A層上に、多孔層としてのB層及び接着層としてのB層が、重畳的に形成されていてもよい。B層は、A層の片面のみに形成されていてもよく、A層の両面に形成されていてもよい。A層の片面に、2層以上のB層が形成されていてもよい。本発明の蓄電デバイス用セパレータが、A層の片面又は両面に、合わせて2層以上のB層を有するものである場合、あるB層と他のB層とは、同じ成分構成を有するものであってもよいし、異なる成分構成を有するものであってもよい。
A層/接着層であるB層、
接着層であるB層/A層/接着層であるB層、
A層/非接着性多孔層であるB層、
A層/非接着性多孔層であるB層/接着層であるB層、
接着層であるB層/A層/非接着性多孔層であるB層/接着層であるB層、
非接着性多孔層であるB層/A層/非接着性多孔層であるB層、
接着層であるB層/非接着性多孔層であるB層/A層/非接着性多孔層であるB層/接着層であるB層、
A層/接着性多孔層であるB層、
接着性多孔層であるB層/A層/接着性多孔層であるB層、
等。
本発明のセパレータは、蓄電デバイスのセパレータとして好適に適用される。
この蓄電デバイスは、本発明のセパレータを備えるものである限り、それ以外の構成は特に限定されず、従来知られているものと同様であってもよい。本発明のセパレータを備える蓄電デバイスとしては、特に限定されないが、例えば、非水電解液電池等の電池、コンデンサ、キャパシタ等であることができる。
以下、蓄電デバイスが非水電解液電池である場合についての好適な態様について説明する。
正極、負極、及び非水電解液に限定はなく、公知のものを用いることができる。
非水電解液としては、電解質を有機溶媒に溶解した電解液を用いることができ、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等が、電解質としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6等のリチウム塩が挙げられる。
また、上記蓄電デバイスは、セパレータ、正極、及び負極を平板状に形成した後、正極−セパレータ−負極−セパレータ−正極、又は負極−セパレータ−正極−セパレータ−負極の順に積層して積層体を得た後、外装体内に収容し、そこに電解液を注入する等の工程を経て製造することもできる。
上記外装体としては、電池缶や袋状のフィルムを用いることができる。
以下における各種の測定及び評価は、それぞれ、下記の手順によって行った。
[塗工性(塗工ハジキ)の評価]
後述のセパレータの製造において、塗工液塗工直後の塗膜の状態を目視により観察し、ハジキ発生の有無及びその程度を調べた。塗工性は以下の基準により評価した。
ハジキが見られなかった場合:塗工性「○」(良好)
ハジキが見られた場合:塗工性「×」(不良)
剥離強度は、各実施例及び比較例におけるセパレータの構成に応じて、多孔層とポリオレフィン多孔性基材との間、又は接着層とポリオレフィン多孔性基材との間の剥離強度であり、いずれも、以下の方法によって測定及び評価した。
剥離強度は、株式会社島津製作所社製の引張試験機(オートグラフ AG−IS)を用い、25℃の環境下において測定した。
上記で製造したセパレータを2.5cm×10cmの大きさに切り出し、基材面をガラスプレートに両面テープ(ニチバン株式会社製 ナイスタック NWBB−15)で固定し、多孔層又は接着層上に3M社製のセロテープ(登録商標)(スコッチ 810−3−12)を貼り付けた。貼り付けたテープの端の5mm程度を剥がし、テープ側を引張試験機の上側(引張側)に、基材側を引張試験機の下側(固定側)にそれぞれ装着し、多孔層の面に対して180°方向に100mm/minの速度で引っ張ったときの積分平均荷重を剥離強度とし、以下の基準で評価した。
剥離強度が100g/cm以上であった場合:剥離強度「○」(良好)
剥離強度が50g/cm以上100g/cm未満であった場合:剥離強度「△」(可)
剥離強度が10g/cm以上50g/cm未満であった場合:剥離強度「×」(不良)
剥離強度が10g/cm未満であった場合:剥離強度「××」(問題外)
セパレータ及び被着体としての正極集電体(冨士加工紙株式会社製アルミニウム箔、厚さ:20μm)をそれぞれ30mm×150mmに切り取り、重ね合わせて積層体を得た。次いで該積層体をテフロン(登録商標)シート(ニチアス株式会社製ナフロン(商標)PTFEシート TOMBO−No.9000)で挟んでサンプルを得た。得られた各サンプルについて、温度80℃及び圧力10MPaの条件下で、3分間に亘って積層方向にプレスを行うことによって試験用プレス体を得た。
得られた各試験用プレス体の基材又はセパレータと正極集電体との間の剥離強度を、株式会社島津製作所製オートグラフAG−IS型(商標)を用いて、JIS K6854−2に準じて引張速度200mm/分で測定した。剥離強度の値に応じて、下記評価基準により電極との接着性を評価した。
<評価基準>
○(許容):5N/m以上9.8N/m未満
×(不良):5N/m未満
得られたセパレータから12cm×12cm角のサンプルを切り出した。該サンプルのMD方向及びTD方向に、それぞれ、10cm間隔で2つずつ(計4つ)の印を付けた。
上記のサンプルを紙で挟んだ状態で、150℃のオーブン中に60分間静置した。オーブンからサンプルを取り出し冷却した後、印間の長さ(cm)を測定し、下記数式により熱収縮率を算出し、以下の基準により評価した。
熱収縮率(TD方向)(%)=(10−加熱後のTD方向の印間の長さ(cm))/10×100
熱収縮率(MD方向)(%)=(10−加熱後のMD方向の印間の長さ(cm))/10×100
熱収縮率が5%未満であった場合:熱収縮率「○」(良好)
熱収縮率が5%以上であった場合:熱収縮率「×」(不良)
[ポリオレフィン多孔性基材の製造]
製造例S1(ポリオレフィン多孔性基材(S1)の製造)
粘度平均分子量Mv70万のポリエチレンホモポリマー47.5質量部と、
Mv25万のポリエチレンホモポリマー47.5質量部と、
Mv40万のポリプロピレンホモポリマー5質量部と
を、タンブラーブレンダー中でドライブレンドし、ポリマー混合物を得た。得られたポリマー混合物99質量部に、酸化防止剤としてのペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]1質量部を加えて再度タンブラーブレンダー中でドライブレンドし、ポリマー組成物を得た。
得られたポリマー組成物を窒素置換し、窒素雰囲気中、フィーダー経由で二軸押出機に供給した。また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5m2/s)をプランジャーポンプ経由で前記二軸押出機のシリンダー部に供給した。
押出される全混合物中の樹脂組成物濃度が33質量%、流動パラフィン濃度が67質量%となるようにフィーらー及びプランジャーポンプを調整して、これらを溶融混錬した。この溶融混錬は、設定温度200℃、スクリュー回転数100rpm、及び吐出量12kg/hの条件下で行った。
ゲルシートを、同時二軸テンター延伸機に導いて、MD倍率7.0倍、TD倍率6.1倍、及び設定温度121℃の条件下で二軸延伸を行い、延伸シートを得た。
次いで、該延伸シートをメチルエチルケトン層に導き、十分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去した後、メチルエチルケトンを乾燥除去して多孔シートを得た。
得られた多孔シートをTDテンターに導き、TD最大倍率2.0倍及び緩和率0.9倍として設定温度120℃において熱固定を行うことにより、膜厚12μm、気孔率40%、透気度150秒・100cc、突刺強度320gのポリオレフィン多孔性基材(S1)を得た。
[η]=k×Mva
{式中、ポリエチレンについてはk=6.77及びa=0.67であり、ポリプロピレンについてはk=1.10及びa=0.80である。}によって求めた値である。
気孔率は、ポリオレフィン多孔膜から10cm×10cm角の試料を切り取り、その体積(cm3)及び質量(g)を測定し、膜密度を0.95(g/cm3)として、下記数式を用いて計算した値である。
気孔率(%)=(体積−質量/膜密度)/体積×100
透気度としては、JIS P−8117に準拠し、東洋精器(株)製のガーレー式透気度計G−B2(商標)により測定した透気抵抗度の値を採用した。
突刺強度については、カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES−G5(商標)を用いて、開口部の直径が11.3mmの試料ホルダーでポリオレフィン多孔性基材を固定したうえ、この固定されたポリオレフィン多孔性基材の中央部を、針先端の曲率半径が0.5mmのピンにより、突刺速度2mm/secで、25℃雰囲気下にて突刺試験を行ったときの最大突刺荷重(g)の値を採用し、これを突刺強度とした。
ポリオレフィン多孔性基材S2としてCG2500(乾式、PP製、セルガード株式会社)を用意した。
製造例P1
撹拌機、還流冷却器、滴下槽、及び温度計を取り付けた反応容器に、初期仕込みとして、水65質量部、及びアクアロンKH10(商品名、第一工業製薬(株)製、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩:100%固形分)0.5質量部を投入した。次いで、反応容器中の温度を80℃に維持しつつ、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの10質量%水溶液1.5質量部(固形分換算値として0.15質量部)を添加した。
ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を添加した5分後に、
(メタ)アクリル酸エステル化合物として、メチルメタクリレート26.5質量部、シクロヘキシルメタクリレート6質量部、ブチルアクリレート25質量部、及び2−エチルへキシルメタクリレート35質量部;
官能基含有単量体として、メタクリル酸1質量部、アクリル酸1.5質量部、グリシジルメタクリレート3質量部、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート2質量部;
乳化剤として、アクアロンKH10を1.5質量部、ペルオキソ二硫酸アンモニウム10質量%水溶液1.5質量部(固形分換算値として0.15質量部)、並びに
水55質量部
からなる乳化混合液を、150分かけて滴下槽から前記反応容器中に滴下した。滴下中、反応系のpHは4以下に維持した。乳化混合液の投入終了後、反応容器の温度を80℃に維持しつつ、120分間撹拌継続した後、室温まで冷却した。
冷却後、200メッシュの金網でろ過を行って凝集物等を除去した後、25質量%のアンモニア水でpHを8に調整し、更に水を添加して希釈することにより、濃度45質量%のアクリル系ポリマー(1)を含有するラテックスを得た。
撹拌機、還流冷却器、滴下槽、及び温度計を取り付けた反応容器に、初期仕込みとして、イオン交換水70.4質量部と、「アクアロンKH1025」(商品名、第一工業製薬株式会社製、25質量%水溶液)0.125質量部(固形分換算)と、「アデカリアソープSR1025」(商品名、株式会社ADEKA製、25質量%水溶液)0.125質量部(固形分換算)と、を投入し、反応容器内部温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウム(2質量%水溶液)0.15質量部(固形分換算)を添加した。
(メタ)アクリル酸エステル化合物として、メタクリル酸メチル5.1質量部、メタクリル酸シクロヘキシル25質量部、アクリル酸n−ブチル1質量部、メタクリル酸n−ブチル1質量部、及びアクリル酸2−エチルヘキシル60質量部;
官能基含有単量体として、メタクリル酸0.1質量部、アクリル酸0.1質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2質量部、及びアクリルアミド5質量部;
乳化剤として、「アクアロンKH1025」(商品名、第一工業製薬株式会社製、25質量%水溶液)0.75質量部(固形分換算)、「アデカリアソープSR1025」(商品名、株式会社ADEKA製、25質量%水溶液)0.75質量部(固形分換算)、及びp−スチレンスルホン酸ナトリウム0.05質量部;
架橋剤として、トリメチロールプロパントリアクリレート0.7質量部;
開始剤として過硫酸アンモニウム(2質量%水溶液)0.15質量部(固形分換算);並びに
イオン交換水52質量部
の混合物を、ホモミキサーにより5分間混合させて、乳化液を作製した。得られた乳化液を、滴下槽から反応容器に150分かけて滴下した。
透過型電子顕微鏡(TEM)による観察の結果、このアクリル系ポリマー(2A)は、粒子径160nmの球形、単分散であることが分かった。得られたアクリル系ポリマー(2A)のガラス転移温度は−30℃であった。
上記製造例P2において、反応容器に滴下する乳化液の成分を以下のように変更した他は製造例P2と同様にして、濃度40質量%のアクリル系ポリマー(2B)を含有するラテックスを得た。得られたアクリル系ポリマー(2B)のガラス転移温度は60℃であった。
メタクリル酸メチル:5質量部、
メタクリル酸シクロヘキシル:70質量部、
メタクリル酸n−ブチル:10質量部、及び
アクリル酸2−エチルヘキシル:11.8質量部;
[官能基含有単量体]
メタクリル酸:1質量部、
アクリル酸:1質量部、
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル:1質量部、及び
アクリルアミド:0.1質量部;
[乳化剤]
「アクアロンKH1025」(商品名、第一工業製薬株式会社製、25質量%水溶液)0.75質量部(固形分換算)、
「アデカリアソープSR1025」(商品名、株式会社ADEKA製、25質量%水溶液)0.75質量部(固形分換算)、及び
p−スチレンスルホン酸ナトリウム0.05質量部;
[架橋剤]
トリメチロールプロパントリアクリレート:0.1質量部;
[開始剤]
過硫酸アンモニウム(2質量%水溶液):0.15質量部(固形分換算);並びに
イオン交換水52質量部
の混合物。
製造例WS1(ポリマーEの製造)
攪拌機及びコンデンサを備えた槽型反応器へ、脱イオン水46g及びイソプロピルアルコール250gを仕込み80℃に保持した。この反応器へ、40質量%のメタクリル酸アンモニウム水溶液207g、アクリル酸メチル97g、及びメタクリル酸メチル151gを混合した単量体330g、並びに15質量%過硫酸アンモニウム水溶液60gを、5時間かけて滴下供給した。滴下終了後、反応液を80℃で3時間保持することにより、固形分濃度が40質量%、pHが7である、第1の水溶性ポリマーEを含む水溶液を得た。
得られたポリマーEの重量平均分子量(以下、「Mw」という)を、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
測定装置:HLC8020システム〔東ソー(株)製〕
カラム:G4000PWxl、G3000PWxl、及びG2500PWxl〔東ソー(株)製〕を直列に連結して使用
溶離液:0.1MNaCl+リン酸バッファー(pH7)
検量線:ポリアクリル酸Na(創和科学製)を使用して作成
測定の結果、ポリマーEのMwは10,000であった。
上記製造例WS1(ポリマーEの製造)において、
メタクリル酸アンモニウムをメタクリル酸ナトリウムに変更し、40質量%のメタクリル酸ナトリウム水溶液の使用量を247gに、アクリル酸メチルを90gに、メタクリル酸メチルを141gに変更した以外は、製造例WS1と同様にして、固形分濃度が40質量%、pHが7である、第1の水溶性ポリマーF(Mw:10,000)を含む水溶液を得た。
上記製造例WS1(ポリマーEの製造)において、
メタクリル酸アンモニウム水溶液の使用量を247gに、アクリル酸メチルの使用量を90gに、メタクリル酸メチルの使用量を141gに、それぞれ変更した以外は、製造例WS1と同様にして、固形分濃度が40質量%、pHが7である、第1の水溶性ポリマーG(Mw:11,000)を含む水溶液を得た。
実施例17〜21及び参考例1では、基材シートにコロナ放電処理を行ったうえで塗工を行う態様についての試験を行った。
<多孔層用塗工液の調製>
無機フィラーとして水酸化酸化アルミニウム粒子(平均粒径1.0μm)100質量部;
第1の水溶性ポリマーとしてポリマーAの水溶液(後述)を4質量部(ポリマーAの固形分として1質量部);及び
樹脂バインダとして、上記製造例P1で得たアクリル系ポリマー(1)5.0質量部;
を、100質量部の水にそれぞれ均一に溶解又は分散させることにより、多孔層形成用塗工液を調製した。
上記で調製した塗工液を、ポリオレフィン多孔膜(S1)の片面上に、グラビアコーターを用いて塗工目付け6.6g/m2となるように塗布した後、60℃において乾燥して、前記ポリオレフィン多孔膜上に厚さ4μmの多孔層を形成することにより、多層セパレータを製造した。ここで、塗工に際して、基材シートであるポリオレフィン多孔膜にコロナ放電処理を施さなかった。
上記実施例1の<多孔層用塗工液の調製>において、
第1の水溶性ポリマーとしてのポリマーAの使用量を、固形分換算値として0.1質量部に変更し、
第2の水溶性ポリマーとして、下記ポリマーHを含有する水分散体1質量部(ポリマーHの固形分として0.4質量部)を更に用いた他は、実施例1と同様にして塗工液を調製し、該塗工液を用いてセパレータを製造して各種の評価を行った。評価結果は表2に示した。
上記実施例2の<多孔層用塗工液の調製>において、無機フィラー、第1の水溶性ポリマー、及び第2の水溶性ポリマーの種類及び量を、それぞれ、表1に記載のとおりに変更して塗工液を調整し、そして
上記実施例1の<セパレータの製造>において、上記の塗工液を使用し、ポリオレフィン多孔膜の種類、及び基材シートに対するコロナ放電処理の有無、形成した多孔層の厚さを、それぞれ、表1に記載のとおりとした他は、実施例1と同様にしてセパレータを製造して各種の評価を行った。
なお、比較例5で使用の「F系界面活性剤」は本発明所定の「第1の水溶性ポリマー」には該当しないが、表作成上の便宜のために「第1の水溶性ポリマー」欄に記載した。
表1における各成分の略称は、それぞれ、以下の意味である。
[基材(ポリオレフィン多孔膜)]
S1:上記合成例S1で得たポリオレフィン多孔膜(S1)
S2:セルガード社製、品名「CG2500」、
[無機フィラー]
水酸化酸化アルミニウム:平均粒径1.0μm
焼成カオリン:平均粒径1.0μm
アルミナ:平均粒径1.0μm
ポリマーA:東亞合成社製、商品名「ジュリマーAT−613」、水溶性アクリル共重合体のアンモニウム塩、カルボキシル基含有モノマー単位の割合=10質量%、Tg=76℃、固形分濃度25wt%
ポリマーB:東亞合成社製、商品名「ジュリマーAT−210」、水溶性アクリル共重合体のアンモニウム塩、カルボキシル基含有モノマー単位の割合=10質量%、Tg=−7.5℃、固形分濃度30wt%
ポリマーC:東亞合成社製、商品名「ジュリマーET−325」、水溶性アクリル共重合体のアンモニウム塩、カルボキシル基含有モノマー単位の割合=5質量%、Tg=28℃、固形分濃度30wt%
ポリマーD:東亞合成社製、商品名「ジュリマーAT−510」、水溶性アクリル共重合体のアンモニウム塩、カルボキシル基含有モノマー単位の割合=10質量%、Tg=27.5℃、固形分濃度30wt%
ポリマーE:上記製造例WS1で製造した水溶性アクリル共重合体のアンモニウム塩、カルボキシル基含有モノマー単位の割合=25質量%
ポリマーF:上記製造例WS2で製造した水溶性アクリル共重合体のナトリウム塩、カルボキシル基含有モノマー単位の割合=10質量%
ポリマーG:上記製造例WS3で製造した水溶性アクリル共重合体のアンモニウム塩、カルボキシル基含有モノマー単位の割合=30質量%
ポリマーH:サンノプコ社製、商品名「SNディスパーサント5468」、ポリアクリル酸アンモニウム、固形分濃度40wt%
ポリマーI:東亞合成社製、商品名「アロンA6114」、アクリル酸エステルの共重合体、固形分濃度40wt%
ポリマーJ:サンノプコ社製、商品名「SNディスパーサント5027」、固形分濃度20wt%
[樹脂バインダ]
P1:上記合成例P1で得たアクリル系ポリマー(1)
[その他の成分]
F系界面活性剤:パーフルオロオクタンスルホン酸
無機フィラー、第1の水溶性ポリマー、及び第2の水溶性ポリマーの種類及び量を、それぞれ、表3に記載のとおりに変更した他は実施例2と同様にして塗工液を調整し、ポリオレフィン多孔性基材にコロナ処理をした場合、及びしていない場合のそれぞれについて、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
そして得られたセパレータにおいて、下記式で表される、透気度上昇率を求めた。結果を表3に記載した。
△AR(%)={(AR1―AR2)/A0}×100
AR0:ポリオレフィン多孔膜基材の透気度(秒/100cc)
AR1:ポリオレフィン多孔膜基材にコロナ処理を行ったうえで多孔膜を形成したセパレータの透気度(秒/100cc)
AR2:ポリオレフィン多孔膜基材にコロナ処理を行わずに多孔膜を形成したセパレータの透気度(秒/100cc)
△ARが30%未満であったとき:コロナ処理有無による透気度変化が小「◎」(極めて良好)
△ARが30%以上60%未満であったとき:コロナ処理有無による透気度変化が中程度「○」(良好)
△ARが60%以上であったとき:コロナ処理有無による透気度変化が大「△」(可)
<接着層用塗工液の調製>
樹脂バインダとして、上記製造例P2で得たアクリル系ポリマー2Aの20質量部及び上記製造例P3で得たアクリル系ポリマー2Bの80質量部;
を、100質量部の水にそれぞれ均一に溶解させて樹脂バインダの溶液を得た。この溶液に、第1の水溶性ポリマーとしてポリマーAの水溶液4質量部(ポリマーAの固形分として1質量部、アクリル系ポリマー固形分100質量部に対するポリマーAの固形分として5質量部)を加え、均一に混合して、接着層用塗工液を得た。
<セパレータの製造>
上記塗工液を、ポリオレフィン多孔性基材S1の片面上に、コロナ放電処理を行わずに、グラビアコーターにより、塗工目付け0.5g/m2となるように全面に塗布した後、50℃において1分間加熱して乾燥することにより、ポリオレフィン多孔性基材上に層厚1μmの接着層を形成し、セパレータを得た。
上記で製造したセパレータについて、上述の方法に従って各種の評価を行った。評価結果は表5に示した。
上記実施例27の<接着層用塗工液の調製>において、
更に第2の水溶性ポリマーとして、ポリマーHを含有する水分散体1質量部(ポリマーHの固形分として0.4質量部)を用いた他は、実施例27と同様にして塗工液を調製し、該塗工液を用いてセパレータを製造して各種の評価を行った。評価結果は表5に示した。
上記実施例27において、第1の水溶性ポリマーの種類及び量を、それぞれ、表4に記載のとおりに変更して塗工液を調整し、そして
該塗工液を使用し、ポリオレフィン多孔膜の種類を表4に記載のとおりとした他は、実施例27と同様にしてセパレータを製造した。
基材シートに対して、春日電機製のコロナ表面処理装置による放電量50W・min/m2のコロナ放電処理を行ったうえで塗工を行った他は、比較例7と同様にしてセパレータを製造した。
下記の表4における成分の名称等の略号の意味は、表1におけるのと同じである。
<電池評価>
実施例2及び27、並びに参考例1及び2で得られたセパレータを用いて製造した電池について、以下の手順によってレート特性の評価を行った。
(1)正極の作製
正極活物質としてニッケル−マンガン−コバルト複合酸化物(NMC)(Ni:Mn:Co=1:1:1(元素比)、密度4.70g/cm3)を90.4質量%、導電助材としてグラファイト粉末(KS6)(密度2.26g/cm3、数平均粒子径6.5μm)を1.6質量%、及びアセチレンブラック粉末(AB)(密度1.95g/cm3、数平均粒子径48nm)を3.8質量%、並びにバインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(密度1.75g/cm3)を4.2質量%の比率で混合し、これらをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターを用いて塗布し、130℃において3分間乾燥した後、ロールプレス機を用いて圧縮成形することにより、正極を作製した。このときの正極活物質塗布量は109g/m2であった。
負極活物質としてグラファイト粉末A(密度2.23g/cm3、数平均粒子径12.7μm)を87.6質量%及びグラファイト粉末B(密度2.27g/cm3、数平均粒子径6.5μm)を9.7質量%、並びにバインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%(固形分換算)(固形分濃度1.83質量%水溶液)及びジエンゴム系ラテックス1.7質量%(固形分換算)(固形分濃度40質量%水溶液)を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃において3分間乾燥した後、ロールプレス機で圧縮成形することにより、負極を作製した。このときの負極活物質塗布量は5.2g/m2であった。
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1.0mol/Lとなるように溶解させることにより、非水電解液を調製した。
実施例2及び27、並びに比較例1及び7で得られたセパレータのそれぞれを24mmφ、正極及び負極をそれぞれ16mmφの円形に切り出した。
正極及び負極の各活物質面とが対向するように、負極、セパレータ、正極の順に重ね、22.6N/cm、及び70℃の条件下で、プレス速度2m/分にてロールプレスしたうえで、蓋付きステンレス金属製容器に収容した。容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミニウム箔と、それぞれ接していた。この容器内に前記非水電解液を0.4ml注入して密閉することにより、電池(簡易電池)を組み立てた。
上記(4)で組み立てた簡易電池を、25℃において、電流値3mA(約0.5C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を3mAから絞り始めるという方法により、電池作成後の最初の充電を合計6時間行った。その後、電流値3mAで電池電圧3.0Vまで放電した。
次に、25℃において、電流値6mA(約1.0C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法により、合計3時間充電を行った。その後、電流値6mAで電池電圧3.0Vまで放電した時の放電容量を1C放電容量(mAh)とした。
更に、25℃において、電流値6mA(約1.0C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法により、合計3時間充電を行った。その後、電流値を変量して電池電圧3.0Vまで放電した時の放電容量を2C放電容量(mAh)とした。
前記(1C)の放電容量に対する前記(2C)の放電容量の割合を容量維持率(%)と定義し、各セパレートを用いて製造された電池のレート特性を求めた。結果を表5に示した。
Claims (20)
- 多孔基材層から成るA層と、
カルボキシル基含有モノマー単位を2質量%以上27質量%未満有する水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b1)及びその塩から選択される第1の水溶性ポリマーを含有するB層と
を有することを特徴とする、蓄電デバイス用セパレータ。 - 前記B層が無機フィラーを更に含有する、請求項1に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記B層における前記第1の水溶性ポリマーの含有割合が、前記無機フィラー100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部である、請求項2に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記第1の水溶性ポリマーが、前記水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b1)のアンモニウム塩又はナトリウム塩である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記第1の水溶性ポリマーが、前記水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b1)のアンモニウム塩である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記B層が、カルボキシル基含有モノマー単位を27質量%以上有する水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b2)及びその塩から選択される第2の水溶性ポリマーを更に含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記第2の水溶性ポリマーが、前記水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b2)のアンモニウム塩である、請求項6に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記B層が樹脂バインダを更に含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記樹脂バインダが非水溶性アクリル系(共)重合体である、請求項8に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記B層が無機フィラーを含有しない、請求項1に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記第1の水溶性ポリマーが、前記水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b1)のアンモニウム塩又はナトリウム塩である、請求項10に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記第1の水溶性ポリマーが、前記水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b1)のアンモニウム塩である、請求項10又は11に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記B層が、カルボキシル基含有モノマー単位を27質量%以上有する水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b2)及びその塩から選択される第2の水溶性ポリマーを更に含有する、請求項10〜12のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記第2の水溶性ポリマーが、前記水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b2)のアンモニウム塩である、請求項13に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記B層が樹脂バインダを更に含有する、請求項10〜14のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記第1の水溶性ポリマーの使用量が、前記樹脂バインダ100質量部に対して、0.5質量部以上である、請求項15に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記樹脂バインダが非水溶性アクリル系(共)重合体である、請求項15又は16に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 多孔基材層から成るA層を少なくとも含む単層又は多層の基材シートに、コロナ放電処理を行った後に、又はコロナ放電処理を行わずに、
該基材シート上に、カルボキシル基含有モノマー単位を2質量%以上27質量%未満有する水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b1)及びその塩から選択される第1の水溶性ポリマーを含有するB層を形成する工程を含むことを特徴とする、蓄電デバイス用セパレータの製造方法。 - 前記B層が、カルボキシル基含有モノマー単位を27質量%以上有する水溶性(メタ)アクリル系樹脂(b2)及びその塩から選択される第2の水溶性ポリマーを更に含有する、請求項18に記載の蓄電デバイス用セパレータの製造方法。
- 前記蓄電デバイス用セパレータが請求項1〜17のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータである、請求項19に記載の蓄電デバイス用セパレータの製造方法。
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