JP2019046633A - 蓄電デバイス用セパレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、セパレータを用いた蓄電デバイスの衝突試験安全性と蓄電デバイスの出力特性を維持できる蓄電デバイス用セパレータを提供することである。【解決手段】蓄電デバイス用セパレータは、少なくとも1つの多孔膜含有基材と、その基材の少なくとも1つの面の少なくとも1つの領域に存在するポリマーとを含み、その基材の幅方向の引張り強度が、0.05kgf/cm以上0.9kgf/cm未満であり、かつ圧壊試験について下記式(A):294.2N(30kgf)≦Fsep−Fbase≦980.7N(100kgf) 式A{式中、Fsepは、前記蓄電デバイス用セパレータと電極を用いた円筒型蓄電デバイスの圧壊試験の最大応力であり、かつFbaseは、前記基材と前記電極を用いた円筒型蓄電デバイスの圧壊試験の最大応力である}で表される関係を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電デバイス用セパレータに関する。
近年、リチウムイオン電池により代表される非水電解液電池の開発が、活発に行われていた。通常、非水電解液電池には、微多孔膜を含むセパレータが正負極間に設けられている。セパレータは、正負極間の直接的な接触を防ぎ、かつ微多孔中に保持した電解液を通じてイオンを透過させる機能を有する。
非水電解液電池の電気特性及び安全性を確保し、かつ様々な性質をセパレータに持たせるために、セパレータ基材へ様々なポリマーを塗工したり、配置したりすることが提案されている(特許文献1,2)。
特許文献1では、捲回方向と捲回軸方向に一定値以上の破断伸びを有するセパレータを用いた電池について、該電池が圧壊された場合の安全性が検討されている。
特許文献2では、銅を主成分とするシート状の負極集電体と、アルミニウムを主成分とするシート状の正極集電体を有する電池について、正極集電体の厚みが負極集電体の厚みよりも小さい場合に、該電池の釘刺試験時の安全性が検討されている。
特開2000−156216号公報 特開2007−194203号公報
従来、例えばUL(Underwriters Laboratories Inc.)の安全規格UL1642及び/又はUL2054に従って、セパレータを含むリチウムイオン電池の衝突試験に合格するためには、セパレータの幅方向(TD方向)の引張り強度を比較的低くして、衝突試験時にセパレータを破断させて大きな短絡面積でリークさせて電池を安全な状態にする傾向にあった。
しかしながら、セパレータ強度が低くなるほど、セパレータと電極から成る積層体の剛性は弱くなる。
積層体の剛性を強くする観点から、セパレータ基材へポリマーを塗工することが検討されている。また、セパレータ基材の熱プレスの温度が高いほど、かつ圧力が高いほど、剛性は高く、良好となる。
しかしながら、セパレータ基材の熱プレス透気度は、プレスする温度が高いほど、かつ圧力が高いほど、悪化する。熱プレス透気度が悪化すると、電池性能特性の一つである出力特性が低下する。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、セパレータを用いた蓄電デバイスの衝突試験安全性と蓄電デバイスの出力特性を維持できる蓄電デバイス用セパレータを提供することである。
本発明者らは、特定の範囲内の引張り強度を有する多孔膜含有基材と前記基材の少なくとも1つの面の少なくとも1つの領域に存在するポリマーとを含むセパレータを用いた円筒型蓄電デバイスの圧壊試験において、応力が特定の範囲である場合、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
少なくとも1つの多孔膜を含む基材と、
前記基材の少なくとも1つの面の少なくとも1つの領域に存在するポリマーと
を含む蓄電デバイス用セパレータであって、
前記基材の幅方向の引張り強度が、0.05kgf/cm以上0.90kgf/cm未満であり、かつ
圧壊試験について下記式(A):
294.2N(30kgf)≦Fsep−Fbase≦980.7N(100kgf)・・・(A)
{式中、Fsepは、前記蓄電デバイス用セパレータと電極を用いた円筒型蓄電デバイスの圧壊試験の最大応力であり、かつ
baseは、前記基材と前記電極を用いた円筒型蓄電デバイスの圧壊試験の最大応力である}
で表される関係を満たす蓄電デバイス用セパレータ。
[2]
前記セパレータのプレス透気度上昇率が、15%以下である、[1]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[3]
前記セパレータの前記ポリマーを含むポリマー層の塗工目付が0.1g/m以上1.0g/m以下である、[1]又は[2]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[4]
前記ポリマーが、含フッ素樹脂又はアクリル系樹脂を含む、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[5]
前記ポリマーが、前記アクリル系樹脂を含む、[4]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[6]
前記ポリマーの融点及び/又はガラス転移温度が20℃以上である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[7]
[1]〜[6]のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータと、
正極と、
負極と、
から成る積層体。
[8]
[7]に記載の積層体が捲回されている捲回体。
[9]
[7]に記載の積層体又は[8]に記載の捲回体と電解液とを含む蓄電デバイス。
[10]
正極活物質の容量密度が150mAh/g以上である、[9]に記載の蓄電デバイス。
本発明によれば、セパレータのポリマー部分を電極に接着することによって、セパレータと電極を含む蓄電デバイスの衝突試験において、セパレータの動作に電極を追随させることができるので、電極が破断し易くなり、デバイスの発熱又はガス噴出を抑えて安全性を確保することができる。
図1は圧壊試験装置の外観及び試料を示す写真である。 図2は衝突試験(UL1642及び/又はUL2054)の概略図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態に係る蓄電デバイス用セパレータ(以下「セパレータ」という)は、少なくとも1つの多孔膜を含む基材と、基材の少なくとも1つの面の少なくとも1つの領域に存在するポリマーとを含む。所望により、セパレータは、無機フィラー及び樹脂製バインダを含む多孔層をさらに含んでよい。
本実施形態では、セパレータは、圧壊試験について、下記式(A):
294.2N(30kgf)≦Fsep−Fbase≦980.7N(100kgf)・・・(A)
{式中、Fsepは、蓄電デバイス用セパレータと電極を用いた円筒型蓄電デバイスの圧壊試験の最大応力であり、かつ
baseは、基材と電極を用いた円筒型蓄電デバイスの圧壊試験の最大応力である}
で表される関係を満たす。
式(A)においてFsepからFbaseを引くことにより得られる値は、電極及びセパレータを重ねて捲回することにより得られる積層捲回体1並びに電解液を収納している円筒型蓄電デバイス1と、セパレータの代わりに基材を電極と重ねて捲回することにより得られる積層捲回体2及び電解液を収納している円筒型蓄電デバイス2とを、それぞれ圧壊試験に供した場合における円筒型蓄電デバイス1と2の最大応力(N)の差(以下「応力差」という)である。
積層捲回体1及び電解液を収納している円筒型蓄電デバイス1において、デバイス1の安全性の観点から、セパレータの動作に電極を追従させることが好ましい。例えば安全規格UL1642及び/又はUL2054に従って、円筒型蓄電デバイス1の衝突試験を行うと、電極がセパレータの動作に追従できるならば、セパレータが破断しない程度の衝撃に対しても電極の破断が起こり易く、デバイスの発熱又はガス発生を抑制することができる。このような観点から、セパレータ上に配置されたポリマー部分と、電極集電体上に配置された正極活物質又は負極活物質とを接触させることによって、セパレータに対する電極の追従性を確保することがより好ましい。
電極及びセパレータを重ねて捲回することにより得られる積層捲回体1の剛性の観点から、セパレータは電極と強固に接着することが好ましい。
本実施形態では、電極と強固に接着し、かつ電極をセパレータの動作に追従させることができるセパレータの構造は、応力差が式(A)で表される関係を満たすことにより、すなわち、応力差が294.2N(30kgf)以上かつ980.7N(100kgf)以下であることにより特定される。
例えば、基材上に配置されるポリマーの種類、厚み、目付などを選択したり、電極活物質及び/又は基材に対する接着強度の高いポリマーを選択したり、電極とセパレータの界面で粘着性又はアンカー効果を有するように基材上にポリマーを配置したりすることにより、応力差は、294.2N〜980.7Nの範囲内に調整されることができる。より詳細には、後述される好適なポリマーを基材の少なくとも1つの面の少なくとも1つの領域に配置することによって、応力差を制御することができる。
セパレータに対する電極の追従性及び積層捲回体1の剛性の観点から、応力差の下限値は、300N以上、350N以上、又は400N以上であることが好ましく、応力差の上限値は、900N以下、850N以下、800N以下、750N以下、又は700N以下であることが好ましい。
式(A)中のFsepは、電極及びセパレータを重ねて捲回して積層捲回体1を形成し、積層捲回体1を円筒型外装体1に入れ、円筒型外装体1に電解液を注いでから測定され、電解液の注液後に、円筒型外装体1を60℃で48時間に亘って加熱保管することにより円筒型外装体1を安定化させてから測定される。
捲回は、正極と負極には、捲回軸の回転方向と反対方向に600gの張力を加え、セパレータには、捲回軸の回転方向と反対方向に250gの張力を加えて行う。
式(A)中のFbaseは、基材及び電極を重ねて捲回して積層捲回体2を形成し、積層捲回体2を円筒型外装体2に入れ、円筒型外装体2に電解液を注いでから測定され、電解液の注液後に、円筒型外装体2を60℃で48時間に亘って加熱保管することにより円筒型外装体2を安定化させてから測定される。
捲回は、正極と負極には、捲回軸の回転方向と反対方向に600gの張力を加え、セパレータには、捲回軸の回転方向と反対方向に250gの張力を加えて行う。
圧壊試験に供される使用電極は、正極活物質としてニッケル、マンガン及びコバルトの複合酸化物を備えた正極と負極活物質としてグラファイト粉末を備えた負極である。非水電解液は、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:2で混合した混合溶媒(キシダ化学(株)製Lithium Battery Grade)に、LiPFを1mol/Lとなるように溶解した、非水電解質である。
圧壊試験に供される外装体は、直径18mm及び長さ65mmの寸法を有する、ステンレス製の円筒型電池ケース(外装体)である。
本実施形態では、圧壊試験の容易さ及び再現性の観点から、積層捲回体1と2は、同じ捲回条件下で形成されることが好ましく、円筒型外装体1と2の材質及び寸法は同じであることが好ましく、円筒型外装体1と2には同じ電解液が収納されることが好ましく、そして円筒型蓄電デバイス1と2は、同じヒートセット条件下で安定化されることが好ましい。
圧壊試験の詳細については実施例において説明する。なお、本明細書では、用語「圧壊試験」と用語「衝突試験」を区別して用いることを理解されたい。
本実施形態では、セパレータを構成する基材の幅(TD)方向の引張り強度は、衝突試験の観点から、0.05kgf/cm以上0.90kgf/cm未満であり、0.10kgf/cm以上0.80kgf/cm以下であることが好ましい。蓄電デバイスの衝突試験安全性と蓄電デバイスの出力特性を維持できるセパレータの構成が、圧壊試験における294.2N〜980.7Nの範囲内の応力差及び0.05kgf/cm以上0.9kgf/cm未満の範囲内のTD方向の引張り強度により特定される。なお、引張り強度は実施例に記載の方法により測定される。
本実施形態に係るセパレータは、蓄電デバイスの製造に使用されることができる。セパレータに係る各構成について以下に説明する。
[ポリマー、ポリマー層及び接着層]
ポリマーは、単数の多孔膜、又は少なくとも一方の表面に無機フィラー及び樹脂製バインダを含む多孔層を有する多孔膜(これらをあわせて「基材」ともいう)の少なくとも1つの面の少なくとも1つの領域に配置される。基材上に配置されるポリマーは、電極に適用されるときにセパレータと電極を接着し、かつセパレータの動作に電極を追従させるために、熱可塑性ポリマーであることが好ましい。本明細書では、用語「熱可塑性ポリマー」は、セパレータと電極を接着するためのバインダ類として通常使用される熱可塑性ポリマー、又は電解液中で加熱により接着性を発現するポリマーを含むものとする。すなわち、ポリマー層は、電極とセパレータとの間で接着層として機能し得るものである。
上記ポリマーを含有する層(以下「ポリマー層」という)は、基材の少なくとも片面上に形成される。ポリマー層は、基材の少なくとも片面の少なくとも一部の領域に形成されていればよい。
(熱可塑性ポリマー)
本実施形態で使用される熱可塑性ポリマーは、特に限定されないが、例えば、以下の:
ポリエチレン、ポリプロピレン、α−ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;
ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂又はこれらを含むコポリマー;
ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンをモノマー単位として含むジエン系ポリマー又はこれらを含むコポリマー及びその水素化物;
アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなどをモノマー単位として含むアクリル系樹脂又はこれらを含むコポリマー及びその水素化物;
エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;
エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;
ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂:並びに
これらの混合物等が挙げられる。
上記で列挙された熱可塑性ポリマーのうち、ジエン系ポリマー、アクリル系樹脂又は含フッ素樹脂は、電極活物質との結着性、強度、及び柔軟性に優れるので好ましく、セパレータ基材と電極活物質を結び付ける効果(いわゆる「アンカー効果」)及びセパレータと電極を含む蓄電デバイスの圧壊試験において、セパレータの動作に対する電極の追従性の観点から、アクリル系樹脂又は含フッ素樹脂がより好ましく、比較的低い温度でのプレスによっても密着性を発現するという観点から、アクリル系樹脂が特に好ましい。
(ジエン系ポリマー)
ジエン系ポリマーは、特に限定されないが、例えば、ブタジエン、イソプレン等の、共役の二重結合を2つ有する共役ジエンモノマーを重合することにより得られるモノマー単位を含むポリマーである。
共役ジエンモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンなどが挙げられる。これらは単独で重合しても共重合してもよい。
ジエン系ポリマー中の共役ジエンを重合することにより得られるモノマー単位の割合は、特に限定されないが、例えば、全ジエン系ポリマーの質量を基準として、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。
上記ジエン系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエンのホモポリマー及び共役ジエンと共重合可能なモノマーとのコポリマーが挙げられる。
共役ジエンと共重合可能なモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、後述の(メタ)アクリレートモノマー、又は下記のモノマー(以下、「その他のモノマー」ともいう)が挙げられる。
(その他のモノマー)
その他のモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸類;スチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルナフタレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビエルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、イソプロペニルビニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の複素環含有ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート等のアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル化合物;β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシアルキル基含有化合物;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアミド系モノマーなどが挙げられる。
これらの内の1種を使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(アクリル系樹脂)
アクリル系樹脂は、特に限定されないが、好ましくは(メタ)アクリレートモノマーを重合することにより得られるモノマー単位を含むポリマーである。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸又はメタクリル酸」を示し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を示す。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート;アミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリレートモノマーを重合することにより得られるモノマー単位の割合は、特に限定されないが、アクリル系樹脂の全質量を基準として、例えば40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリレートモノマーのホモポリマー、又は(メタ)アクリレートモノマーと、該(メタ)アクリレートモノマーと共重合可能なモノマーとのコポリマーが挙げられる。
(メタ)アクリレートモノマーと共重合可能なモノマーとしては、上記ジエン系ポリマーの項目で列挙した「その他のモノマー」が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(含フッ素樹脂)
含フッ素樹脂としては、特に限定されないが、例えば、フッ化ビニリデンのホモポリマー、及びフッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーとのコポリマーが挙げられる。含フッ素樹脂は、電気化学的安定性の観点から好ましい。
フッ化ビニリデンを重合することにより得られるモノマー単位の割合は、特に限定されないが、含フッ素樹脂の全質量を基準として、例えば、40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアクリル酸、パーフルオロメタクリル酸、アクリル酸又はメタクリル酸のフルオロアルキルエステル等のフッ素含有エチレン性不飽和化合物;シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル等のフッ素非含有エチレン性不飽和化合物;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のフッ素非含有ジエン化合物等が挙げられる。
含フッ素樹脂のうち、フッ化ビニリデンのホモポリマー、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレンコポリマー、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等が好ましい。より好ましいフッ素系ポリマーは、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマーであり、そのモノマー組成は、通常、フッ化ビニリデン30〜90質量%、テトラフルオロエチレン50〜9質量%、及びヘキサフルオロプロピレン20〜1質量%である。
含フッ素樹脂は、粒子の形態でもよい。その場合、含フッ素樹脂粒子は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
(熱可塑性ポリマーの合成)
熱可塑性ポリマーを合成する際に使用するモノマーとして、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、アミド基及びシアノ基から成る群から選択される少なくとも1つの基を有するモノマーを使用してもよい。
ヒドロキシル基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ペンテンオール等のビニル系モノマーを挙げることができる。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のエチレン性二重結合を有する不飽和カルボン酸、ペンテン酸等のビニル系モノマーが挙げられる。
アミノ基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メタクリル酸2−アミノエチル等が挙げられる。
スルホン酸基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリススルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等が挙げられる。
アミド基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
シアノ基を有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリレート等が挙げられる。
本実施形態で用いる熱可塑性ポリマーは、ポリマーを単独で又は2種類以上混合して使用してもよいが、ポリマーを2種類以上含むことが好ましい。
(熱可塑性ポリマーの融点)
本実施形態で用いる熱可塑性ポリマーの熱特性については、蓄電デバイス圧壊試験におけるセパレータに対する電極の追従性及びセパレータと電極との接着性の観点から、少なくとも1種のポリマーの融点が、20℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、40℃以上であることが特に好ましい。本明細書では、ポリマーの融点とは、ポリマーの示差走査熱量測定(DSC)で得られるDSC曲線において、結晶性ポリマーの融解に伴う吸熱ピークと対応する温度(℃)をいう。
(熱可塑性ポリマーのガラス転移点)
本実施形態で用いる熱可塑性ポリマーのガラス転移温度は、特に限定されないが、−50℃以上であり、好ましくは20℃以上であり、より好ましくは20℃〜120℃であり、更に好ましくは20℃〜100℃である。熱可塑性ポリマーのTgが20℃以上であると、上記ポリマー層を備えるセパレータの最表面がべたつくことを抑制でき、ハンドリング性が向上する傾向にある。また、Tgが120℃以下であると、セパレータの電極(電極活物質)との接着性がより良好になる傾向があり、またTgが20℃以下であると、電解液に含浸する前の乾燥状態でも接着性を発現するため良好である。
ここで、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)で得られるDSC曲線から決定される。なお、本明細書では、ガラス転移温度を「Tg」と表現する場合もある。
具体的には、Tgは、DSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の変曲点における接線との交点により決定される。より詳細には、実施例に記載の方法を参照することができる。
ここで、「ガラス転移」はDSCにおいて試験片であるポリマーの状態変化に伴う熱量変化が吸熱側に生じたものを指す。このような熱量変化はDSC曲線において階段状変化形状又は階段状変化とピークとが組み合わさった形状として観測される。
「階段状変化」とは、DSC曲線において、曲線がそれまでのベースラインから離れ、新たなベースラインに移行するまでの部分を示す。なお、階段状変化は、ピーク及び階段状変化の組み合わさった形状も含む。
「変曲点」とは、階段状変化部分のDSC曲線のこう配が最大になるような点を示す。また、階段状変化部分において上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点と表現することもできる。
「ピーク」とは、DSC曲線において、曲線がベースラインから離れてから、再度ベースラインに戻るまでの部分を示す。
「ベースライン」とは、試験片に転移及び反応を生じない温度領域のDSC曲線のことを示す。
本実施形態では、使用される熱可塑性ポリマーのガラス転移温度のうち少なくとも1つが−50℃〜100℃の領域に存在することにより、上記で説明された応力差を294.2N〜980.7Nの範囲内に制御し易くなる。
本実施形態では、熱可塑性ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、例えば、熱可塑性ポリマーを製造するのに用いるモノマー成分及び各モノマーの投入比を変更することにより適宜調整できる。すなわち、熱可塑性ポリマーの製造に用いられる各モノマーについて、対応するホモポリマーの一般に示されているTg(例えば、「ポリマーハンドブック」(A WILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION)に記載されているTg)及び各モノマーの配合割合から、熱可塑性ポリマーのTgを概ね推定することができる。
例えば、約100℃のTgのポリマーを与えるスチレン、メチルメタクリレ−ト、及びアクリルニトリルなどのモノマーを高比率で配合したコポリマーは、高いTgを有することができる。例えば、約−80℃のTgのポリマーを与えるブタジエン、約−50℃のTgのポリマーを与えるn−ブチルアクリレ−ト及び2−エチルヘキシルアクリレ−ト等のモノマーを高い比率で配合したコポリマーは、低いTgを有することができる。
また、一般に、ポリマーのTgはFOXの式(下記式(2)):
1/Tg=W/Tg+W/Tg+‥‥+W/Tg+‥‥W/Tg (2)
{式中、Tg(K)は、コポリマーのガラス転移温度(Tg)であり、Tg(K)は、各モノマーiのホモポリマーのTgであり、かつWは、各モノマーの質量分率である}
より概算することもできる。ただし、FOXの式により得られるTgは、あくまでも概算値であるため、本願明細書では、特に言及しない限り、熱可塑性ポリマーのTgとしては、上記DSCを用いた方法により測定したTgを採用する。
基材上に存在するポリマー層がガラス転移温度を少なくとも2つ有している場合、上記ガラス転移温度のうちの少なくとも1つは、−50℃〜20℃の領域に存在することが好ましい。これにより、ポリマー層は基材への接着性にさらに優れ、その結果、セパレータが電極との密着性により優れ、また電解液に含浸する前の乾燥状態でも接着性を発現するという効果を奏する。
基材上に存在するポリマー層がガラス転移温度を少なくとも2つ有している場合、上記ガラス転移温度のうちの少なくとも1つが20℃を超える領域に存在することが好ましい。これにより、セパレータと電極との接着性及びハンドリング性に更に優れるという効果を奏する。また、セパレータと電極を含む蓄電デバイスの圧壊試験において、セパレータに対する電極の追従性の観点から好ましい。
熱可塑性ポリマーがガラス転移温度を少なくとも2つ有することは、限定されるものではないが、例えば、2種類以上の熱可塑性ポリマーをブレンドするポリマーブレンド法等により達成されることができる。ポリマーブレンド法において、ガラス転移温度の高いポリマーと低いポリマーとを組み合せることにより、熱可塑性ポリマー全体のガラス転移温度を制御でき、さらに熱可塑性ポリマー全体に複数の機能を付与できる。
ポリマーブレンド法の場合、ガラス転移温度が20℃を超える領域に存在するポリマーと、ガラス転移温度が20℃以下の領域に存在するポリマーとを、2種類以上ブレンドすることにより、ポリマー層のアンカー効果、セパレータの動作に対する電極の追従性、耐ベタツキ性、及び基材への塗れ性を両立することができる。ポリマーブレンド法の場合、複数のポリマー混合比としては、ガラス転移温度が20℃を超える領域に存在するポリマーと、ガラス転移温度が20℃以下の領域に存在するポリマーとの比が、0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲であることが好ましく、より好ましくは、5:95〜95:5であり、更に好ましくは50:50〜95:5であり、特に好ましくは60:40〜90:10である。
セパレータに対する電極の追従性及びセパレータと電極との接着性の観点から、基材上に存在する少なくとも1種のポリマーは、セパレータと電極を含む蓄電デバイスの圧壊試験におけるセパレータに対する電極の追従性の観点から、20℃以上の融点又は20℃以上のガラス転移温度を有することが好ましく、20℃以上の融点及び20℃以上のガラス転移温度の両方を有することがより好ましい。
(粒状熱可塑性ポリマー及びポリマー層の形態)
熱可塑性ポリマーは、粒状でもよく、より詳細には、1種類の熱可塑性ポリマー又は複数の熱可塑性ポリマーの混合物から成る粒子であるか、又は上記で説明したコアシェル構造を有してよい。
熱可塑性ポリマーが粒状であるとき、「粒状」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)の測定において、個々のポリマーが輪郭を持った状態のことを指す。したがって、粒状熱可塑性ポリマーは、例えば、扁平形状であっても、球状であっても、多角形状等であってもよい。
熱可塑性ポリマーの接着性と剛性を確保し、さらに蓄電デバイスの出力を向上させるためには、セパレータを電解液に含浸した後に、ポリマーにより被覆される基材の面の面積割合が、5%以上、10%以上、15%以上、又は20%以上であることが好ましい。この面積割合は、基材の最表面をSEM(倍率30000倍)で観察することにより測定される。
ポリマー層の塗工目付は、好ましくは0.1g/m以上1.0g/m以下であり、より好ましくは0.3g/m以上0.8g/m以下である。ポリマー層の塗工目付が0.1g/m以上であるとき、ポリマー層の接着性が確保され、それにより、セパレータと電極から成る積層体の剛性が向上する。この目付が1.0g/m以下であるとき、セパレータのイオン透過性が確保され、それにより蓄電デバイスのサイクル特性が向上する。
本実施形態では、ポリマーは、基材の全面に存在してもよいし、例えば、ドット状、格子目状、線状、縞状、亀甲模様状等のパターン状で基材上に存在してもよい。
(ポリマーの塗工方法)
セパレータの製造方法の一態様は、上記で説明されたポリマーを含む塗工液を基材上に塗工する工程を含む。
塗工液をポリオレフィン微多孔膜又は多層微多孔膜に塗工する方法としては、特に限定されないが、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗工法、インクジェット塗工法等が挙げられる。これらの中でも、熱可塑性ポリマーの塗工形状の自由度が高く、かつ好ましい面積割合を容易に得られるという観点から、グラビアコーター法又はスプレー塗工法が好ましい。
多孔膜を含む基材に熱可塑性ポリマーを塗工する場合、塗工液が基材の内部にまで入り込んでしまうと、接着性樹脂が孔の表面及び内部を埋めてしまい透過性が低下してしまう。そのため、塗工液の媒体としては、熱可塑性ポリマーの貧溶媒が好ましい。塗工液の媒体として熱可塑性ポリマーの貧溶媒を用いた場合には、多孔膜の内部に塗工液は入り込まず、接着性ポリマーは主に多層微多孔膜の表面上に存在するため、透過性の低下を抑制する観点から好ましい。このような媒体としては水が好ましい。また、水と併用可能な媒体は、特に限定されないが、エタノール、メタノール等を挙げることができる。
塗工前に、基材に表面処理を施すと、塗工液を塗工し易くなると共に、基材と接着性ポリマーとの接着性が向上するため好ましい。表面処理の方法としては、多層微多孔膜の多孔質構造を著しく損なわなければ特に限定はなく、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、機械的粗面化法、溶剤処理法、酸処理法、紫外線酸化法等が挙げられる。
塗工後に塗工膜から溶媒を除去する方法は、ポリオレフィン微多孔膜又は多層微多孔膜に悪影響を及ぼさないならば、限定されない。例えば、ポリオレフィン微多孔膜又は多層微多孔膜を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法、接着性ポリマーに対する貧溶媒に浸漬して接着性ポリマーを凝固させると同時に溶媒を抽出する方法等を用いてよい。
[基材]
本実施形態では、基材は、少なくとも1つの多孔膜を含み、かつ少なくとも1つの面の少なくとも1つの領域にポリマーが配置される。
多孔膜としては、電子伝導性が小さく、イオン伝導性を有し、有機溶媒に対する耐性が高く、かつ孔径の微細なものが好ましい。
そのような多孔膜としては、例えば、ポリオレフィン樹脂を含む多孔膜、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリシクロオレフィン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂を含む多孔膜、ポリオレフィン系の繊維を織ったもの(織布)、ポリオレフィン系の繊維の不織布、紙、並びに、絶縁性物質粒子の集合体が挙げられる。これらの中でも、塗工工程を経て多層多孔膜、すなわち蓄電デバイス用セパレータを得る場合に塗工液の塗工性に優れ、セパレータの膜厚をより薄くして、電池等の蓄電デバイス内の活物質比率を高めて体積当たりの容量を増大させる観点から、ポリオレフィン樹脂を含む多孔膜(以下、「ポリオレフィン樹脂多孔膜」又は「ポリオレフィン微多孔膜」ともいう。)が好ましい。
ポリオレフィン樹脂多孔膜について説明する。
ポリオレフィン樹脂多孔膜は、蓄電デバイス用セパレータとした時のシャットダウン性能等を向上させる観点から、多孔膜を構成する樹脂成分の50質量%以上100質量%以下をポリオレフィン樹脂が占めるポリオレフィン樹脂組成物により形成される多孔膜であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂組成物におけるポリオレフィン樹脂が占める割合は、60質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上100質量%以下であることが更に好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物に含有されるポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等をモノマーとして用いて得られるホモ重合体、共重合体、又は多段重合体等が挙げられる。また、これらのポリオレフィン樹脂は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態では、ポリオレフィン微多孔膜は、セパレータのシャットダウン特性と電池安全性及び電池特性の観点から、単数又は複数のポリエチレン、すなわち、一種又は複数種のポリエチレンを含む。
所望により、蓄電デバイス用セパレータのシャットダウン特性の観点から、ポリオレフィン微多孔膜は、ポリエチレンに加えて、ポリプロピレン、及びプロピレンと他のモノマーの共重合体、並びにこれらの混合物を含んでよい。
ポリエチレンの具体例としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等、
ポリプロピレンの具体例としては、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン等、
共重合体の具体例としては、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレンプロピレンラバー等、が挙げられる。
なお、本明細書において、高密度ポリエチレンとは、密度0.942〜0.970g/cmのポリエチレンをいう。高密度ポリエチレンの密度は、多孔膜の強度の点から、0.960〜0.969(g/cm)、又は0.950〜0.958(g/cm)であることが好ましい。なお、本明細書において、ポリエチレンの密度とは、JIS K7112(1999)に従って測定した値をいう。
ポリオレフィン樹脂組成物には、任意の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、ポリオレフィン樹脂以外の重合体;無機フィラー;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。
多孔膜は、非常に小さな孔が多数集まって緻密な連通孔を形成した多孔構造を有しているため、イオン伝導性に非常に優れると同時に耐電圧特性も良好であり、しかも高強度であるという特徴を有する。
多孔膜は、上述した材料から成る単層膜であってもよく、積層膜であってもよい。
基材に含まれる多孔膜を製造する方法としては、既知の製造方法を採用することができる。一般に、多孔膜は、樹脂組成物の溶融押出、その後の延伸等により樹脂フィルムを形成して、樹脂フィルムを多孔化することにより形成される。樹脂フィルムの多孔化は、乾式法と湿式法に大別される。本明細書では、「乾式法」とは、溶剤を用いない延伸開孔方法をいう。乾式法を用いることにより、比較的得られる孔径が小さくなり、かつ、直通孔構造を形成し易い傾向にある。「湿式法」とは、溶剤を用いる延伸開孔方法をいう。
乾式法としては、無機粒子などの非相溶性粒子とポリオレフィンを含む未延伸シートを延伸及び抽出に供することにより異種素材界面を剥離させて孔を形成する方法、ラメラ開孔法、β晶開孔法等がある。
ラメラ開孔法は、樹脂の溶融押出によるシート化時に溶融結晶化条件を制御することにより結晶ラメラ構造を有する未延伸シートを得て、得られた未延伸シートを延伸することによりラメラ界面を開裂させて孔を形成する方法である。
β晶開孔法は、ポリプロピレン(PP)の溶融押出時に比較的結晶密度の低いβ晶を有する未延伸シートを作製し、作製された未延伸シートを延伸することにより比較的結晶密度の高いα晶に結晶転移させ、両者の結晶密度差により孔を形成する方法である。
湿式法としては、ポリオレフィンに、可塑剤などの孔形成材(被抽出物)を添加し、分散させ、シート化した後に被抽出物を溶媒などにより抽出して孔を形成し、必要に応じて抽出前及び/又は後に延伸加工を行う方法などがある。
基材の剛性を向上させ、かつセパレータを含む蓄電デバイスの出力特性を維持するという観点からは、樹脂フィルムの多孔化は、好ましくは乾式法により、より好ましくは乾式ラメラ開孔法により行なわれる。
一例として、乾式多孔化法により多孔化された微多孔フィルムを含む積層微多孔フィルムの製造方法を以下に説明する。
〔積層微多孔フィルムの製造方法〕
本実施形態の積層微多孔フィルムの製造方法は、以下の工程:
融点TmAを有する第1の樹脂組成物から構成される第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物から構成される第2の樹脂フィルムと、が積層された、ポリオレフィンを含む積層フィルムを形成するフィルム形成工程と、
前記フィルムを乾式法により開孔して微多孔膜を形成する開孔工程と、
をこの順で有する。
フィルム形成工程及び開孔工程並びにその他の好ましい工程について以下に説明する。
〔フィルム形成工程〕
フィルム形成工程は、融点TmAを有する第1の樹脂組成物から構成される第1の樹脂フィルムと、前記融点TmAよりも低い融点TmBを有する第2の樹脂組成物から構成される第2の樹脂フィルムと、が積層された、ポリオレフィンを含む積層フィルムを形成する工程である。
積層フィルムの形成方法としては、Tダイやサーキュラーダイを用いて、押出法により各樹脂フィルムを積層した積層フィルムを成形した後、その積層フィルムを延伸して多孔化する方法(a);Tダイやサーキュラーダイを用いて、各樹脂フィルムを別々に押出成形した後、ラミネート法により各樹脂フィルムを貼り合せて積層した積層フィルムを形成し、その後、その積層フィルムを延伸して多孔化する方法(b);Tダイ又はサーキュラーダイを用いて、各樹脂フィルムを別々に押出成形して更に延伸してそれぞれ多孔化した微多孔化フィルムを得た後にそれらの微多孔化フィルムを貼合する方法(c)が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態の積層微多孔フィルムの製造方法においては、得られる積層微多孔性フィルムに要求される物性やイニシャル/ランニングコストの観点から、方法(a)が好ましい。一方、透気性に関しては(a)の方法よりは若干劣るものの、積層微多孔性フィルムの熱収縮率を小さくできるという観点からは(c)の方法も好ましい。
なお、本明細書において「樹脂フィルム」とは、樹脂組成物をフィルム状に成形したものを示し、これを延伸して多孔化することにより微多孔性フィルムを得ることができる。
方法(a)〜(c)のいずれの製造方法においても、押し出し後のドロー比(フィルムの巻取速度(単位はm/分である)/樹脂組成物の押出速度(ダイリップを通過する溶融樹脂の流れ方向の線速度であり、単位はm/分である))は、好ましくは10〜500であり、より好ましくは100〜400であり、さらに好ましくは150〜350である。
また、フィルムの巻取速度は、好ましくは2.0〜400m/分であり、より好ましくは10〜200m/分である。
〔アニール工程〕
本実施形態の積層微多孔フィルムの製造方法は、得られた積層フィルムに対し、熱処理(アニール)を施すアニール工程を有することが好ましい。アニールの方法としては、例えば、積層フィルムを加熱ロール上に接触させる方法;積層フィルムを加熱気相中に曝す方法;積層フィルムを芯体上に巻き取り加熱気相若しくは加熱液相中に曝す方法;及びこれらを組み合わせて行う方法等が挙げられる。これらの熱処理の条件は、フィルムを構成する材料の種類等により適宜決定される。
積層フィルムをアニールする場合の加熱温度は、気孔率、透気度及び熱収縮率のバランスの観点から、好ましくは(TmB−30)℃以上(TmB−2)℃以下であり、より好ましくは(TmB−15)℃以上(TmB−2)℃以下である。加熱時間は、10秒間〜100時間が好ましく、より好ましくは1分間〜10時間である。
〔開孔工程〕
開孔工程は、積層フィルムを乾式法により開孔して微多孔膜を形成する工程である。
開孔工程は、特に限定されないが、積層フィルムを少なくとも一方向に1.05倍〜2.0倍に冷延伸する冷延伸工程と、積層フィルムを少なくとも一方向に1.05倍〜5.0倍に熱延伸する熱延伸工程と、を有することが好ましい。冷延伸工程と熱延伸工程は、いずれを先に行ってもよいが、冷延伸工程を行ってから熱延伸工程を行うことが好ましい。これにより得られる積層微多孔性フィルムの透気性がより向上する傾向にある。
上記(a)、(b)の方法のように、予め第1の微多孔性フィルムと、第2の微多孔性フィルムと、を積層した積層フィルムを形成する場合、その積層フィルムに対して第1の延伸を施して延伸積層フィルムを得る冷延伸工程を含むことが好ましい。また、上記(c)の方法のように、第2の微多孔性フィルムと、第1の微多孔性フィルムと、を別々に多孔化した後にそれらを積層する場合、各フィルムに対して第1の延伸を施して延伸積層フィルムを得る冷延伸工程を含むことが好ましい。
(冷延伸工程)
積層フィルムに対して冷延伸を施す場合、好ましくは−20℃以上(TmB−60)℃以下であり、より好ましくは0℃以上50℃以下である。冷延伸の延伸温度が−20℃以上であることにより、破断をより抑制できる傾向にある。また、冷延伸の延伸温度が(TmB−60)℃以下であることにより、気孔率、透気度がより向上する傾向にある。ここで、冷延伸の延伸温度は冷延伸工程におけるフィルムの表面温度を意味する。フィルムの表面温度は、接触式温度計により測定することができる。
冷延伸工程における延伸倍率は、好ましくは1.05倍〜2.0倍であり、より好ましくは1.1倍〜2.0倍である。冷延伸は、少なくとも一方向に行うが、フィルムの押出し方向(以下、「MD方向」という。)及びフィルムの幅方向(以下、「TD方向」という。)の両方向に行ってもよい。好ましくは、フィルムの押出し方向にのみ一軸延伸を行うことが好ましい。
(熱延伸工程)
積層フィルムに対して熱延伸を施す場合、熱延伸工程の延伸温度は、好ましくは(TmB−60)℃以上(TmB−2.0)℃以下であり、より好ましくは(TmB−30)℃以上(TmB−2.0)℃以下である。熱延伸の延伸温度が(TmB−60)℃以上であることにより、破断をより抑制できる傾向にある。また、熱延伸の延伸温度が(TmB−2.0)℃以下であることにより、気孔率、透気度がより向上する傾向にある。ここで、熱延伸工程の延伸温度とはフィルムの表面温度を意味する。
熱延伸工程における延伸倍率は、好ましくは1.05倍〜5.0倍であり、より好ましくは1.1倍〜5.0倍であり、さらに好ましくは2.0倍〜5.0倍である。熱延伸は、少なくとも一方向に対して行い、MD、TD両方向に行ってもよいが、冷延伸の延伸方向と同じ方向に行うことが好ましく、より好ましくは冷延伸の延伸方向と同じ方向にのみ一軸延伸を行うことである。
〔熱固定工程〕
本実施形態の積層微多孔フィルムの製造方法は、開孔工程の後に、微多孔膜に熱固定を施す熱固定工程を有することが好ましい。熱固定工程を行うことにより、開孔工程の延伸時に作用した応力残留による積層微多孔フィルムの延伸方向への収縮を抑制でき、得られる積層微多孔フィルムの層間剥離強度もより向上できる傾向にある。
熱固定方法としては、特に限定されないが、例えば、熱固定後の積層微多孔性フィルムの長さが3〜50%減少する程度熱収縮させる方法(以下、この方法を「緩和」という。)、延伸方向の寸法が変化しないように固定する方法等が挙げられる。
微多孔膜に対して熱固定を施す場合、熱固定温度は、好ましくは(TmB−30)℃以上(TmB−2)℃以下であり、より好ましくは(TmB−15)℃以上(TmB−2)℃以下である。ここで、熱固定温度とは、フィルムの表面温度を意味する。
上記冷延伸工程、熱延伸工程、その他の延伸工程及び熱固定を施す工程においては、ロール、テンター、オートグラフ等により、1段階又は2段階以上で、1軸方向及び/又は2軸方向に延伸、熱固定する方法を採用し得る。これらの中でも、本実施形態で得られる積層微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、ロールによる2段階以上の1軸延伸、熱固定を施すことが好ましい。
[フィラー多孔層]
フィラー多孔層は、無機フィラー及び樹脂バインダを含む。
(無機フィラー)
フィラー多孔層に使用する無機フィラーとしては、特に限定されないが、200℃以上の融点を持ち、電気絶縁性が高く、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定であるものが好ましい。
無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス;ガラス繊維等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
これらの中でも、電気化学的安定性及びセパレータの耐熱特性を向上させる観点から、
アルミナ、水酸化酸化アルミニウム等の酸化アルミニウム化合物;及び
カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト等の、イオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物が好ましい。
酸化アルミニウム化合物としては、水酸化酸化アルミニウム(AlO(OH))が特に好ましい。イオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物としては、安価で入手も容易なため、主としてカオリン鉱物から構成されているカオリンがより好ましい。カオリンには、湿式カオリン及びこれを焼成処理して成る焼成カオリンが知られている。本発明においては、焼成カオリンが特に好ましい。焼成カオリンは、焼成処理の際に、結晶水が放出されており、更に不純物も除去されていることから、電気化学的安定性の点で特に好ましい。
無機フィラーの平均粒径は、0.01μmを超えて4.0μm以下であることが好ましく、0.2μmを超えて3.5μm以下であることがより好ましく、0.4μmを超えて3.0μm以下であることが更に好ましい。無機フィラーの平均粒径を上記範囲に調整することは、フィラー多孔層の厚さが薄い場合(例えば、7μm以下)であっても、高温における熱収縮を抑制する観点から好ましい。無機フィラーの粒径及びその分布を調整する方法としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等の適宜の粉砕装置を用いて無機フィラーを粉砕して粒径を小さくする方法等を挙げることができる。
無機フィラーの形状としては、例えば、板状、鱗片状、針状、柱状、球状、多面体状、塊状等が挙げられる。これらの形状を有する無機フィラーの複数種を組み合わせて用いてもよい。
無機フィラーが、フィラー多孔層中に占める割合は、無機フィラーの結着性、セパレータの透過性、及び耐熱性等の観点から適宜決定されることができる。フィラー多孔層中の無機フィラーの割合は、20質量%以上100質量%未満であることが好ましく、より好ましくは50質量%以上99.99質量%以下、更に好ましくは80質量%以上99.9質量%以下、特に好ましくは90質量%以上99質量%以下である。
(樹脂バインダ)
フィラー多孔層に含有される樹脂バインダの種類としては、特に限定されないが、リチウムイオン二次電池の電解液に対して不溶であり、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲において電気化学的に安定な樹脂バインダを用いることが好ましい。
このような樹脂バインダの具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂;フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等の含フッ素ゴム;スチレン−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びその水素化物、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の、融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂等が挙げられる。
フィラー多孔層のイオン抵抗を低減させるために、後述されるポリアルキレングリコール基含有熱可塑性ポリマーを樹脂バインダとしてフィラー多孔層に含有させることも好ましい。
樹脂バインダとしては、樹脂ラテックスバインダを用いることが好ましい。樹脂バインダとして樹脂ラテックスバインダを用いた場合、該バインダと無機フィラーとを含むフィラー多孔層を具備するセパレータは、樹脂バインダ溶液を基材上に塗布する工程を経て樹脂バインダを多孔膜上に結着させたセパレータと比較して、イオン透過性が低下し難く、出力特性の高い蓄電デバイスを与える傾向にある。更に、該セパレータを有する蓄電デバイスは、異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られ易い傾向にある。
樹脂ラテックスバインダとしては、電気化学的安定性及び結着性を向上させる観点から、脂肪族共役ジエン系モノマー及び不飽和カルボン酸モノマー、並びにこれらと共重合可能な他のモノマーを共重合して得られるものが好ましい。この場合の重合方法に特に制限はないが、乳化重合が好ましい。乳化重合の方法としては、特に制限はなく、既知の方法を用いることができる。モノマー及びその他の成分の添加方法については、特に制限されるものではなく、一括添加方法、分割添加方法、及び連続添加方法の何れも採用することができ、重合方法は、一段重合、二段重合、又は三段階以上の多段階重合の何れも採用することができる。
樹脂バインダの平均粒径は、50〜500nmであることが好ましく、より好ましくは60〜460nm、更に好ましくは80〜250nmである。樹脂バインダの平均粒径が50nm以上である場合、該バインダと無機フィラーとを含むフィラー多孔層を具備するセパレータは、イオン透過性が低下し難く、高い出力特性の蓄電デバイスを与え易い。更に、異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性を有する蓄電デバイスが得られ易い。樹脂バインダの平均粒径が500nm以下である場合、良好な結着性を発現し、多層多孔膜とした場合に熱収縮が良好となり、安全性に優れる傾向にある。
樹脂バインダの平均粒径は、重合時間、重合温度、原料組成比、原料投入順序、pHなどを調整することで制御することが可能である。
フィラー多孔層の層厚は、耐熱性及び絶縁性を向上させる観点から、0.5μm以上であることが好ましく、電池の高容量化と透過性を向上させる観点から50μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。
フィラー多孔層の層密度は、0.5〜3.0g/cmであることが好ましく、0.7〜2.0cmであることがより好ましい。フィラー多孔層の層密度が0.5g/cm以上であると、高温での熱収縮率が良好となる傾向にあり、3.0g/cm以下であると、透気度が低下する傾向にある。
フィラー多孔層の形成方法としては、例えば、基材の少なくとも片面に、無機フィラーと樹脂バインダとを含む塗工液を塗工する方法を挙げることができる。この場合の塗工液は、分散安定性及び塗工性の向上のために、溶剤、分散剤等を含んでいてもよい。
塗工液を基材に塗工する方法は、必要とする層厚及び塗工面積を実現できる限り特に限定されない。樹脂バインダを含んだフィラー原料と、ポリマー基材原料と、を共押出法により積層して押出してもよいし、基材とフィラー多孔膜とを個別に作製した後に貼り合せてもよい。
[蓄電デバイス用セパレータ]
本実施形態に係るセパレータは、基材上にポリマー層を備えることにより、電極活物質との接着性に優れ、かつセパレータの動作に電極を追従させる。
セパレータの厚みは、蓄電デバイスの安全性とセパレータの捲回性を確保するという観点から、2μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、蓄電デバイスの充放電特性の観点から、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。セパレータ基材上にポリマーが存在する場合には、ポリマーが存在するセパレータ部を測定することにより得られた厚みが、セパレータの厚みである。セパレータ基材上にポリマーとフィラー多孔層が存在する場合には、ポリマーとフィラー多孔層の両方が存在するセパレータ部を測定することにより得られた厚みが、セパレータの厚みである。
セパレータのプレス透気度上昇率は、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、よりさらに好ましくは3%である。15%以下のプレス透気度上昇率は、セパレータの透過性が維持されていることを意味するので、セパレータを含む電池の出力特性又はサイクル特性に効果的である。プレス透気度は、高温(例えば90℃)及び高加圧(例えば1MPa)という過酷な条件下で測定される。プレス透気度の具体的な測定方法は、実施例において説明される。
セパレータのプレス透気度は、基材の製造方法、例えば、乾式多孔化法又は湿式多孔化法、基材前駆体の延伸温度又は延伸倍率など;及び基材上に存在するポリマー、例えばポリマーの面積割合又は存在形態などにより調節されることができる。乾式多孔化法により得られる基材は、その基材を含むセパレータのプレス透気度上昇率を15%以下の範囲内に調整し易くなるため好ましい。
セパレータの耐熱性の指標であるショート温度は、蓄電デバイスの安全性の観点から、140℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、160℃以上であることがさらに好ましい。
[蓄電デバイス]
本実施形態に係るセパレータを電極と重ねることにより、セパレータと電極とが積層している積層体を得ることができる。
積層体は、捲回時のハンドリング性並びに蓄電デバイスのレート特性及びサイクル特性だけでなく、接着性及び透過性にも優れる。そのため、積層体は、例えば、非水電解液二次電池等の電池、コンデンサー、キャパシタ等の蓄電デバイスに好適に使用されることができる。
積層体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態に係るセパレータと電極とを重ね、必要に応じて加熱及び/又はプレスする工程を含んでよい。加熱及び/又はプレスは、電極とセパレータとを重ねる際に行われることができる。積層体は、所望により、九十九折りされることができる。
電極とセパレータとを重ねた後に円又は扁平な渦巻き状に捲回して得られる捲回体に対して、加熱及び/又はプレスを行ってもよい。積層体の加熱及びプレス工程は、積層体の作製後に行われ、積層体を外装体内に収納して外装体に電解液を注入した後に行われてもよい。
積層体は、正極/セパレータ/負極/セパレータの順に平板状に積層し、加圧及び必要に応じて補助的に加熱して製造することもできる。
加圧時の圧力は、1MPa〜30MPaであることが好ましい。加圧時間は5秒〜30分であることが好ましい。加熱温度は、40℃〜120℃であることが好ましい。加熱時間は、5秒〜30分であることが好ましい。さらに、加熱をしてから加圧しても、加圧をしてから加熱をしても、加圧と加熱を同時に行ってもよい。これらのなかでも、加圧と加熱を同時に行うことが好ましい。
本実施形態に係る蓄電デバイスは、外装体内に、上記で説明された積層体、又は積層体が捲回されている捲回体を電解液とともに備える。
本実施形態に係る蓄電デバイスの正極活物質の容量密度は、高出力化または高寿命化の観点から、150mAh/g以上であることが好ましく、160mAh/g以上であることがより好ましく、170mAh/g以上であることがさらに好ましいが、容量密度が高くなるほど、蓄電デバイスの安全性を確保することが難しくなるため、圧壊試験の安全性に効果がある本発明は有効と考えられる。
蓄電デバイスが二次電池である場合には、正極集電体と正極活物質層から成る正極積層体の端部に正極端子を溶接し、かつ負極集電体と負極活物質層から成る負極積層体の端部に負極端子を溶接することによって、端子付き正極積層体及び端子付き負極積層体を含む二次電池の充放電を行うことができる。
端子付き正極積層体/セパレータ/端子付き負極積層体/セパレータの順に積層を行うときには、セパレータの塗工面(例えば、上記で説明されたポリマー層及び/又はフィラー多孔層の露出面)を端子付き負極積層体側に配置することが好ましい。セパレータの両面に塗工が行われているときには、セパレータの少なくともポリマー層の露出面を負極積層体側に配置することがより好ましい。
本実施形態に係るセパレータを用いて非水電解液二次電池を製造する場合には、既知の正極、負極及び非水電解液を使用してよい。
正極材料としては、特に限定されないが、例えば、LiCoO、LiNiO、スピネル型LiMnO、オリビン型LiFePO等のリチウム含有複合酸化物等が挙げられる。
負極材料としては、特に限定されないが、例えば、黒鉛質、難黒鉛化炭素質、易黒鉛化炭素質、複合炭素体等の炭素材料;シリコン、スズ、金属リチウム、各種の合金材料等が挙げられる。
非水電解液としては、特に限定されないが、電解質を有機溶媒に溶解した電解液を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等が挙げられる。電解質としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩が挙げられる。
なお、上述した各種物性の測定値は、特に断りの無い限り、後述する実施例における測定法に準じて測定される値である。
実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明する。しかしながら、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例又は比較例中の物性は、それぞれ以下の方法により測定した。なお、特に測定雰囲気が明示されていないものは、23℃、1気圧、及び相対湿度50%の大気中において測定した。
<測定方法及び評価方法>
(1)ポリオレフィンの粘度平均分子量(Mv)
ASTM−D4020に準拠して、デカリン溶媒中における135℃での極限粘度[η](dl/g)を求めた。
ポリエチレンのMvは、次式により算出した。
[η]=6.77×10−4Mv0.67
ポリプロピレンのMvは、次式により算出した。
[η]=1.10×10−4Mv0.80
(2)融点
樹脂組成物の融点は、JIS K−7121に準拠した方法により測定した。
(3)厚さ(μm)
基材からMD10mm×TD10mmのサンプルを切り出した。該サンプル面上で格子状に9箇所(3点×3点)を選び、各箇所の膜厚を微小測厚器(東洋精機製作所(株) タイプKBM)を用いて室温23±2℃で測定した。各々、9箇所の測定値の平均値を、基材の膜厚(μm)とした。
(4)目付(g/m
サンプル10cm×10cm角の試料を切り取り、株式会社島津製作所製電子天秤AEL−200で重量を測定した。得られた重量を100倍することで1m当りの膜の目付け(g/m)を算出した。ポリマー層の塗工目付を下記式に従って得た。
ポリマー層の塗工目付(g/m)=蓄電デバイス用セパレータの目付(g/m)−基材の目付(g/m
(5)セパレータのプレス透気度
セパレータを8枚重ねた状態でヒートプレス機を用いて、90℃及び1MPaの条件下でセパレータを5秒間プレス処理に供した。JIS P−8117準拠のガーレー式透気度計(東洋精機製G−B2(商標)、内筒質量:567g)を用い、645mmの面積(直径28.6mmの円)の熱プレスされる前のセパレータと熱プレスされたセパレータについて、空気100ccが通過する時間(秒)を測定し、これら値の変化率を下記式に従って算出し、セパレータのプレス透気度上昇率(%)として評価した。
セパレータのプレス透気度上昇率(%)=(熱プレス後の透気度(秒)−熱プレス前の透気度(秒))/熱プレス前の透気度(秒)×100
(6)引張り強度
JIS K7127に準拠し、島津製作所製の引張試験機、オートグラフAG−A型(商標)を用いて、サンプル(形状;幅10mm×長さ100mm)について引張破断強度を測定した。また、サンプルはチャック間を50mmとした。引張破断強度(MPa)は、TD方向の測定値である。なお、測定は、温度23±2℃、チャック圧0.30MPa、及び引張速度200mm/分の条件下で行った。
(7)熱可塑性ポリマーのガラス転移温度
熱可塑性ポリマーの塗工液(不揮発分=38〜42%、pH=9.0)をアルミ皿に適量取り、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後の乾燥皮膜約17mgを測定用アルミ容器に詰め、DSC測定装置(島津製作所社製、DSC6220)にて窒素雰囲気下におけるDSC曲線及びDDSC曲線を得た。なお測定条件は下記の通りとした。
(1段目昇温プログラム)
70℃スタート、毎分15℃の割合で昇温、110℃に到達後5分間維持。
(2段目降温プログラム)
110℃から毎分所定の割合で降温、−50℃に到達後所定時間維持。
上記2段目降温プログラムにおける降温速度、及び−50℃の維持時間は、それぞれ、以下の通りである。
(製造例A1及びA2)
降温速度 40℃/min
維持時間 5分間
(3段目昇温プログラム)
−50℃から毎分15℃の割合で130℃まで昇温。この3段目の昇温時にDSC及びDDSCのデータを取得した。
そして、ベースライン(得られたDSC曲線におけるベースラインを高温側に延長した直線)と、変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)における接線との交点をガラス転移温度(Tg)とした。
(8)ポリマーの平均粒径
粒径測定装置(LEED&NORTHRUP社製、商品名「MICROTRAC UPA150」)を用いて光散乱法によりポリマーの50%粒径(nm)を平均粒径として測定した。
(9)ポリマーのゲル分率(トルエン不溶分)
テフロン(登録商標)板上に、ポリマー塗工液(不揮発分:38〜42%、pH:9.0)をスポイトで滴下し(直径5mm以下)、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後、乾燥皮膜を約0.5g精秤(a)し、50mLポリエチレン容器に取り、そこに30mLのトルエンを注ぎ入れて3時間室温で振とうした。その後、内容物を325メッシュでろ過し、メッシュ上に残ったトルエン不溶分をメッシュごと、130℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させた。なお、使用する325メッシュの乾燥重量を予め量っておいた。
トルエンを揮発させた後、トルエン不溶分の乾燥体と325メッシュの重量から、予め量っておいた325メッシュの乾燥重量を差し引くことによりトルエン不溶分の乾燥重量(b)を得た。ゲル分率(トルエン不溶分)を以下の計算式で算出した。
原料ポリマーのゲル分率(トルエン不溶分)=(b)/(a)×100 [%]
(10)ポリマーの電解液に対する膨潤度(電解質溶媒膨潤度)
原料ポリマー又は原料ポリマー分散液を130℃のオーブン中に1時間静置した後、乾燥させたポリマーを重量が0.5gになるように切り取り、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=2:3(質量比)の混合溶媒10gと共に50mLのバイアル瓶に入れた。バイアル瓶中のサンプルを3時間浸透させた後、サンプルを取り出し、上記混合溶媒にて洗浄し、重量(Wa)を測定した。サンプルを150℃のオーブン中に1時間静置した後、重量(Wb)を測定し、下記式でポリマーの電解液に対する膨潤度を測定した。
熱可塑性ポリマーの電解液に対する膨潤度(倍)=(Wa−Wb)÷(Wb)
(11)剛性圧壊試験、衝突試験
a.正極の作製
正極活物質としてニッケル、マンガン、コバルト複合酸化物(NMC)(Ni:Mn:Co=1:1:1(元素比)、密度4.70g/cm、容量密度175mAh/g)を90.4質量%、導電助材としてグラファイト粉末(KS6)(密度2.26g/cm、数平均粒子径6.5μm)を1.6質量%及びアセチレンブラック粉末(AB)(密度1.95g/cm、数平均粒子径48nm)を3.8質量%、並びにバインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(密度1.75g/cm)を4.2質量%の比率で混合し、これらをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔にダイコーターを用いて塗布し、130℃において3分間乾燥する工程を両面について行った後、ロールプレス機を用いて圧延した。圧延後のものを長さ750mm、57.0mm幅に切断して正極を得た。この時の正極活物質塗布量は218g/mであった。
b.負極の作製
負極活物質としてグラファイト粉末A(密度2.23g/cm、数平均粒子径12.7μm)を87.6質量%及びグラファイト粉末B(密度2.27g/cm、数平均粒子径6.5μm)を9.7質量%、並びにバインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%(固形分換算)(固形分濃度1.83質量%水溶液)及びジエンゴム系ラテックス1.7質量%(固形分換算)(固形分濃度40質量%水溶液)を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔にダイコーターで塗布し、120℃において3分間乾燥する工程を両面について行った後、ロールプレス機を用いて圧延した。圧延後のものを長さ800mm、58.5mm幅に切断して負極を得た。この時の負極活物質塗布量は104g/mであった。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒(キシダ化学(株)製Lithium Battery Grade)に、LiPFを1mol/Lとなるように溶解して、非水電解質である電解液を得た。
d.電池組立
作製した正極と負極とを、幅60.0mmにスリットしたセパレータの両側に重ねて筒状に巻いた捲回体を得た。これらの部材の捲回操作には直径約4mmで半割れ構造の捲回軸が備えられている捲回装置を使用した。ロール状に巻かれた2本のセパレータを引き出し捲回軸の半割れ部分に挟み込んで捲回軸を数回回転させて巻取り、セパレータとセパレータの間に正極および負極を挿入して捲回した。正極と負極には、捲回軸の回転方向と反対方向に600gの張力を加えた。セパレータには、捲回軸の回転方向と反対方向に250gの張力を加えた。正極および負極を巻き終えた後、さらにセパレータを数回巻いて切断した。作製した捲回体を、直径18mm及び長さ65mmの寸法を有するステンレス製の円筒型電池ケース(外装体)に挿入した。次いで、そこに、上記電解液を5mL注入し、捲回体を電解液に浸漬した後、電池ケースを密閉して非水電解質二次電池を作製した。
e.加熱処理
d.で得た非水電解質二次電池を、60℃の環境下で48時間保存した。
f.初期充放電
e.で得た非水電解質二次電池を、25℃の環境下、0.3Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で充電して、0.3Cの定電流で3.0Vまで放電した。定電流での充電と定電圧での充電時間の合計を8時間とした。なお、1Cとは電池が1時間で放電される電流値である。
次に、電池を1Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で充電して、1Cの定電流で3.0Vまで放電した。定電流での充電と定電圧での充電時間の合計を3時間とした。また、1Cの定電流で放電した時の容量を1C放電容量(mAh)とした。
g.剛性圧壊試験
図1は、圧壊試験装置の外観及び試料の配置を示す写真である。図1を参照して、実施例及び比較例における圧壊試験の手順を以下に説明する。
25℃の環境下で、f.で得た非水電解質二次電池の1C放電容量の50%容量を、1Cの定電流で充電した。
次に25℃の環境下で、電池をステンレス製の設置台に横向きに置き、電池の縦軸方向に対して、直角に圧力が加わるように、ステンレス製の上治具(R=5×L=25mm)を電池から10cm離れた上部からスタートして速度1cm/secで降下していき、電池外装に到達した時点を0mmとして、速度1mm/secで6mmに到達するまで電池を押し潰してから、その6mm位置を5sec保持した後、5.4mm/sの速度でスタート位置に戻した。この時、電池に掛かる最大荷重を剛性応力とした。
また、応力差は下記式から算出した。
応力差=Fsep−Fbase
{式中、Fsepは、セパレータと電極を用いた電池の圧壊試験の最大応力(N)であり、かつFbaseは、基材と電極を用いた電池の圧壊試験の最大応力(N)である。}
h.衝突試験
図2は、UL規格1642及び/又は2054に従う衝突試験の概略図である。
UL規格1642及び/又は2054では、試験台上に配置された試料の上に、試料と丸棒(φ=15.8mm)が概ね直交するように、丸棒を置いて、丸棒から610±25mmの高さの位置から、丸棒の上面へ9.1kg(約20ポンド)の錘を落すことにより、試料に対する衝撃の影響を観察する。
図2とUL規格1642及び2054を参照して、実施例及び比較例における衝突試験の手順を以下に説明する。
25℃の環境下で、f.で得た非水電解質二次電池を1Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で合計3時間充電した。
次に、25℃の環境下で、電池を平坦な面に横向きに置き、電池を横切るように、直径15.8mmのステンレスの丸棒を電池の中央に配置した。電池の中央に配置した丸棒から電池の縦軸方向に対して、直角に衝撃が加わるように、9.1kgの錘を61±2.5cmの高さから落下させた。その後、電池の外装温度を測定し、かつ電池からのガスの噴出の有無と電池の発火の有無を観察した。なお、電池の外装温度とは、電池の外装体の底側から1cmの位置を熱電対(K型シールタイプ)で測定した温度である。
以下の基準で、衝突試験を評価した。
○(良好):電池外装温度80℃未満
△(可):電池外装温度80℃以上、かつガス噴出無し、発火無し
×(不良):ガス噴出有り、または発火有り
(12)出力特性
a.正極の作製
正極活物質としてニッケル、マンガン、コバルト複合酸化物(NMC)(Ni:Mn:Co=1:1:1(元素比)、密度4.70g/cm、容量密度175mAh/g)を90.4質量%、導電助材としてグラファイト粉末(KS6)(密度2.26g/cm、数平均粒子径6.5μm)を1.6質量%及びアセチレンブラック粉末(AB)(密度1.95g/cm、数平均粒子径48nm)を3.8質量%、並びにバインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(密度1.75g/cm)を4.2質量%の比率で混合し、これらをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターを用いて塗布し、130℃において3分間乾燥する工程を行った後、ロールプレス機を用いて圧延した。この時の正極活物質塗布量は109g/mであった。
b.負極の作製
負極活物質としてグラファイト粉末A(密度2.23g/cm、数平均粒子径12.7μm)を87.6質量%及びグラファイト粉末B(密度2.27g/cm、数平均粒子径6.5μm)を9.7質量%、並びにバインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%(固形分換算)(固形分濃度1.83質量%水溶液)及びジエンゴム系ラテックス1.7質量%(固形分換算)(固形分濃度40質量%水溶液)を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃において3分間乾燥する工程を行った後、ロールプレス機を用いて圧延した。この時の負極活物質塗布量は52g/mであった。
c.電池組立
セパレータを縦76.0mm、横55.0mm、正極を縦50.0mm、横30.0mm、負極を縦52.0mm、横32.0mmに切断した。
正極と負極の活物質面とが対向するように、負極、セパレータ、正極の順に重ね、包材に収容した。この容器内に前記非水電解液を0.5ml注入して密封することにより、単層ラミネート型電池を組み立てた。
d.加熱処理
c.で組み立てた電池を、温度90℃、圧力1MPaで5秒間に亘って面プレスした。
e.出力特性の評価
d.で得た電池を、25℃の環境下、0.3Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で充電して、0.3Cの定電流で3.0Vまで放電した。定電流での充電と定電圧での充電時間の合計を8時間とした。なお、1Cとは電池が1時間で放電される電流値である。
次に、簡易電池を1Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で充電して、1Cの定電流で3.0Vまで放電した。定電流での充電と定電圧での充電時間の合計を3時間とし、1Cの定電流で放電した時の容量を1C放電容量(mAh)とした。
次に、簡易電池を1Cの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で充電して、2Cの定電流で3.0Vまで放電した。定電流での充電と定電圧での充電時間の合計を3時間とし、2Cの定電流で放電した時の容量を2C放電容量(mAh)とした。
そして、下記式より1C放電容量に対する2C放電容量の割合を算出し、この値を出力特性とした。
出力特性(%)=(2C放電容量/1C放電容量)×10
得られた出力特性は、下記基準で評価した。
◎(極めて良好):出力特性が、95%超
○(良好):出力特性が、90%超95%以下
△(可):出力特性が、80%超90%以下
×(不良):出力特性が、80%以下
<基材の製造>
[乾式基材D1の製造]
Mvが60万、融点が165℃であるホモポリマーの高密度ポリプロピレン(a−1)を、口径20mm、L/D(L:押出機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:押出機の内径(m)。以下、同じ。)=30、220℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して窒素雰囲気下で投入し、Mvが21万、融点が136℃であるポリエチレン(b−1)を、口径20mm、L/D=30、200℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して窒素雰囲気下で投入し、押出機先端に設置したリップ厚3.0mmの共押Tダイから押し出した。その後直ちに、溶融した樹脂に25℃の冷風を当て、95℃に冷却したキャストロールでドロー比200倍、巻き取り速度15m/分の条件で巻き取り、外層がポリプロピレン(a−1)である第1の微多孔性フィルム(A−1)、内層がポリエチレン(b−1)である第2の微多孔性フィルム(B−1)の構造を有する3層積層フィルム(D1)を成形した(共押出工程)。この積層フィルム(D1)に対して130℃に加熱された熱風循環オ−ブン中で6時間アニールを施した(アニール工程)。
次に、アニール後の積層フィルムを25℃の温度で縦方向に1.3倍で一軸延伸して、延伸積層フィルムを得た(冷延伸工程)。次いで、延伸積層フィルムを120℃の温度で縦方向に3.0倍で一軸延伸(歪速度:0.5/秒)して微多孔膜を得た(熱延伸工程)。その後、130℃の温度で0.8倍に緩和させて熱固定を施した。
[乾式基材D2の製造]
Mvが60万、融点が162℃であるホモポリマーの高密度ポリプロピレン(a−2)を使用する以外は基材D1の製造と同じ方法により基材D2を得た。
[乾式基材D3の製造]
Mvが60万、融点が167℃であるホモポリマーの高密度ポリプロピレン(a−3)を使用する以外は基材D1の製造と同じ方法により基材D3を得た。
[湿式基材T1の製造]
Mvが100万であるホモポリマーの超高分子量ポリエチレン19.2重量%と、Mvが25万であるホモポリマーの高密度ポリエチレン12.8重量%と、フタル酸ジオクチル(DOP)48重量%と、一次粒径が15nmで、DOP吸油量が200ml/100gである微粉シリカ20重量%を混合造粒した。次に先端にTダイを装着した2軸押出機にて窒素雰囲気下で溶融混練した後に押出し、両側から110℃に加熱したロールで圧延し、厚さ110μmのシート状に成形した。該成形物からDOP、微粉シリカを抽出除去し微多孔膜を作製した。該微多孔膜を2枚重ねて115℃に加温したロールにて4.5倍縦方向に延伸した後、テンター延伸機を用いて温度120℃において横方向に2.1倍延伸した。その後、この延伸シートを幅方向に約20%緩和して137℃にて熱処理を行い、ポリオレフィン樹脂多孔膜である基材T1を得た。
〔湿式基材B1の製造〕
Mvが70万であるホモポリマーの高密度ポリエチレンを47質量部と、Mvが30万であるホモポリマーの高密度ポリエチレンを46質量部と、Mv40万であるホモポリマーのポリプロピレンを7質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99質量部に酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等混合物を得た。得られたポリマー等の混合物を窒素で置換した後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
押し出される全混合物中の、流動パラフィンの割合が65質量部、及びポリマー濃度が35質量部となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。
次いで、それらを二軸押出機内で200℃に加熱しながら溶融混練し、得られた溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度25℃に制御された冷却ロール上に押出し、その押出物を冷却ロールに接触させ成形(cast)して冷却固化することにより、シート状成形物を得た。
このシートを同時二軸延伸機にて、温度125℃において倍率7.0×7.0倍に延伸した。その後、延伸物を塩化メチレンに浸漬して、流動パラフィンを抽出除去後、乾燥した。更にテンター延伸機を用いて温度125℃において横方向に2倍延伸した。
その後、この延伸シートを幅方向に約20%緩和して130℃で熱処理を行い、ポリオレフィン樹脂多孔膜である基材B1を得た。
〔湿式基材B2の製造〕
Mvが70万であるホモポリマーの高密度ポリエチレンを47.5質量部と、Mvが25万であるホモポリマーの高密度ポリエチレンを47.5質量部と、Mvが40万であるホモポリマーのポリプロピレンを5質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99wt%に酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー等の混合物を得た。
得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
押し出される全混合物中の、流動パラフィンの割合が65質量部、及びポリマー濃度が35質量部となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。
次いで、それらを二軸押出機内で200℃に加熱しながら溶融混練し、得られた溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度25℃に制御された冷却ロール上に押出し、その押出物を冷却ロールに接触させ成形(cast)して冷却固化することにより、シート状成形物を得た。
このシートを同時二軸延伸機にて、温度120℃において倍率7.0×6.4倍に延伸した。その後、延伸物を塩化メチレンに浸漬して、流動パラフィンを抽出除去後、乾燥した。更にテンター延伸機を用いて温度125℃において横方向に1.2倍延伸した。
その後、この延伸シートを幅方向に約20%緩和して130℃で熱処理を行い、ポリオレフィン樹脂多孔膜である基材B2を得た。
上記で得られた全ての基材の詳細を下記表1に示す。
<樹脂の合成及び該樹脂を含有する水分散体の調製>
(水分散体A1)
合成撹拌機、還流冷却器、滴下槽、及び温度計を取り付けた反応容器に、イオン交換水70.4質量部と、「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液、表2中「KH1025」と表記。以下同様。)0.5質量部と、「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製、25%水溶液、表2中「SR1025」と表記。以下同様。)0.5質量部と、を投入し、反応容器内部温度を80℃に昇温した。その後、80℃の容器内部温度を保ったまま、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)(表2中「APS(aq)」と表記。以下同様。)を7.5質量部添加した。
一方、メタクリル酸メチル(表2中「MMA」と表記。以下同様。)38.5質量部、アクリル酸n−ブチル(表2中「BA」と表記。以下同様。)19.6質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(表2中「EHA」と表記。以下同様。)31.9質量部、メタクリル酸(表2中「MAA」と表記。以下同様。)0.1質量部、アクリル酸(表2中「AA」と表記。以下同様。)0.1質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(表2中「HEMA」と表記。以下同様。)2質量部、アクリルアミド(表2中「AM」と表記。以下同様。)5質量部、メタクリル酸グリシジル(表2中「GMA」と表記。以下同様。)2.8質量部、「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液)3質量部、「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製25%水溶液)3質量部、p−スチレンスルホン酸ナトリウム(表2中「NaSS」と表記。以下同様。)0.05質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、表2中「A−TMPT」と表記。以下同様。)0.7質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(表2中「AcSi」と表記。以下同様。)0.3質量部、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)7.5質量部、及びイオン交換水52質量部の混合物を、ホモミキサーにより5分間混合させて、乳化液を作製した。
得られた乳化液を滴下槽から上記反応容器に滴下した。滴下は反応容器に過硫酸アンモニウム水溶液を添加した5分後に開始し、150分かけて乳化液の全量を滴下した。乳化液の滴下中は、容器内部温度を80℃に維持した。
乳化液の滴下終了後、反応容器内部温度を80℃に保ったまま90分間維持し、その後室温まで冷却し、エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを、水酸化アンモニウム水溶液(25%水溶液)を用いてpH=9.0に調整し、濃度40質量%のアクリル系コポリマーラテックスを得た(原料ポリマーA1)。得られた原料ポリマーを含むラテックスについて、上記方法により物性を評価した。評価結果を表2に示す。
(水分散体A2)
表2に記載のモノマー及びその他使用原料の組成を、それぞれ変更する以外は、原料ポリマー(水分散体)A1と同様にして、コポリマーラテックス(原料ポリマーA2)を得た。得られた原料ポリマーを含むラテックスについて、上記方法により物性を評価した。評価結果を表2に示す。
表2中の略号の説明
MMA :メタクリル酸メチル
IBXA :イソボルニルアクリレート
BA :アクリル酸n−ブチル
EHA :アクリル酸2−エチルヘキシル
MAA :メタクリル酸
AA :アクリル酸
HEMA :メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
AM :アクリルアミド
GMA :メタクリル酸グリシジル
NaSS :p−スチレンスルホン酸ナトリウム
A−TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
AcSi :γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
KH1025:アクアロンKH1025(登録商標、第一工業製薬株式会社製)
SR1025:アデカリアソープSR1025(登録商標、株式会社ADEKA製)
APS :過硫酸アンモニウム
<実施例1>
固形分で80質量部の水分散体A2と、固形分で20質量部の水分散体A1とを、水に均一に分散させて、熱可塑性ポリマーを含む塗布液(固形分10質量%)を調製した。このとき、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースが塗布液に対して1質量%となるように添加し、塗布液の粘度を20mPa・sに調整した。次いで、グラビアコーターを用い、リバース塗工によって、基材D1の片面の全面に塗布液を塗布した。その後、60℃にて塗布後の塗布液を乾燥して水を除去した。更に、基材D1のもう片面にも同様に塗布液を塗布し、再度上記と同様にして乾燥させた。こうして、基材D1の両面にポリマー層を形成したセパレータを得た。
<実施例2〜4、比較例1〜4>
使用した基材及び水分散体を、それぞれ、表3に記載のとおりとした他は実施例1と同様にして塗工液を調製し、該塗工液を用いてセパレータを作製して評価した。
実施例1〜4及び比較例1〜4の評価結果を表3に示した。

Claims (10)

  1. 少なくとも1つの多孔膜を含む基材と、
    前記基材の少なくとも1つの面の少なくとも1つの領域に存在するポリマーと
    を含む蓄電デバイス用セパレータであって、
    前記基材の幅方向の引張り強度が、0.05kgf/cm以上0.90kgf/cm未満であり、かつ
    圧壊試験について下記式(A):
    294.2N(30kgf)≦Fsep−Fbase≦980.7N(100kgf)・・・(A)
    {式中、Fsepは、前記蓄電デバイス用セパレータと電極を用いた円筒型蓄電デバイスの圧壊試験の最大応力であり、かつ
    baseは、前記基材と前記電極を用いた円筒型蓄電デバイスの圧壊試験の最大応力である}
    で表される関係を満たす蓄電デバイス用セパレータ。
  2. 前記セパレータのプレス透気度上昇率が、15%以下である、請求項1に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  3. 前記セパレータの前記ポリマーを含むポリマー層の塗工目付が0.1g/m以上1.0g/m以下である、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  4. 前記ポリマーが、含フッ素樹脂又はアクリル系樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  5. 前記ポリマーが、前記アクリル系樹脂を含む、請求項4に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  6. 前記ポリマーの融点及び/又はガラス転移温度が20℃以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータと、
    正極と、
    負極と、
    から成る積層体。
  8. 請求項7に記載の積層体が捲回されている捲回体。
  9. 請求項7に記載の積層体又は請求項8に記載の捲回体と電解液とを含む蓄電デバイス。
  10. 正極活物質の容量密度が150mAh/g以上である、請求項9に記載の蓄電デバイス。
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