JP2020170590A - 蓄電デバイス用セパレータ、及びそれを用いた捲回体、リチウムイオン二次電池、並びに蓄電デバイス - Google Patents
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Abstract
Description
また、蓄電デバイスの高容量化を目的として、電極とセパレータとの積層体が捲回された、捲回体を熱プレスすることで、その捲回体の体積を小さくする技術が用いられている。プレス後に電極とセパレータとを固定させてプレス時の体積を維持させるため、所定の条件下で接着機能を発揮する熱可塑性ポリマー含有層をセパレータ上に配置して、セパレータと電極への接着性の向上を図る技術も用いられている。
しかしながら、接着セパレータは、捲回状態で保存される際、捲回体の内層に高い圧力がかかる。このような圧力に起因して、電極とセパレータの捲回体を作製する前の段階、例えば、セパレータのみを捲回した捲回体を保管しておく通常保管段階で、セパレータ同士が接着してしまう「ブロッキング」の発生が予想される。かかる場合、セパレータのみを捲回した捲回体からセパレータを繰り出すとき、セパレータ同士のブロッキング分の応力が必要となり、所望の長さのセパレータをシワなく均一に繰り出すのが困難になる、という問題が生じる。近年、生産性の向上を達成するため、セパレータの捲回体の巻長が長くなる傾向にあり、そのために、より内層の圧力が強くなりブロッキングしやすくなっており、早期の解決が求められている。
上記の状況の中、特許文献1、及び2では、耐ブロッキング性と電極への接着性との両立を如何にして図るかについて検討がなされていなかった。
[1]
基材と、前記基材の少なくとも片面上の少なくとも一部に形成され熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー含有層と、を備える蓄電デバイス用セパレータであって、前記熱可塑性ポリマーが、下記式:
T1.00−T0.25≦15℃
{式中、T1.00は、DSC(示差走査熱量測定)によって測定された単位時間当たりの熱流差を、温度で微分した値をDDSCとしたとき、0℃から150℃までにおけるDDSCの最小値を示す温度であり、T0.25は、0℃から150℃までにおけるDDSCの最大値と前記最小値の差をXとした際に、DDSCが前記T1.00よりも低温側において、前記最大値からの差が0.25Xとなる温度である。}
で表される関係式を満たすことを特徴とする、蓄電デバイス用セパレータ。
[2]
前記T1.00が35℃以上、130℃以下の範囲にある、[1]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[3]
下記式:
P1/P2≧1.0
{式中、P1は、前記蓄電デバイス用セパレータの一つの面(A)と、前記面(A)とは反対側の面(B)とを重ねて積層体を作成し、この積層体を温度90℃、及び圧力1MPaの条件下で5秒間プレスしたときの前記面(A)と前記面(B)の間の剥離強度であり、かつP2は、前記積層体を温度25℃、及び圧力5MPaの条件下で12時間プレスしたときの前記面(A)と前記面(B)の間の剥離強度である。}
で表される関係を満たし、かつ前記P1が、5N/m以上である、[1]または[2]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[4]
前記P2が15N/m以下である、[3]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[5]
前記熱可塑性ポリマー含有層の前記基材に対する被覆面積割合が95%以下である、請求項[1]〜[4]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[6]
前記熱可塑性ポリマーが、(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[7]
前記熱可塑性ポリマーのガラス転移温度が40℃以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[8]
前記熱可塑性ポリマー含有層が、異なるガラス転移温度を有する2種類以上の熱可塑性ポリマーを含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[9]
[1]〜[8]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータが捲回された捲回体。
[10]
[9]に記載の捲回体を前記T0.25以下の温度で輸送、または保管する方法。
[11]
[9]に記載の捲回体から前記蓄電デバイス用セパレータを繰り出し、電極と重ね、前記T1.00以上の温度でプレスする方法。
[12]
[1]〜[8]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータを備える蓄電デバイス。
[13]
[1]〜[8]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータを備えるリチウムイオン二次電池。
本明細書における「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」、及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」、及びそれに対応する「メタクリレート」を意味し、そして「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」、及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
また、本明細書における「上」、及び「面に形成」とは、各部材の位置関係が「直上」であることを限定する意味ではない。例えば、「基材の少なくとも片面上の少なくとも一部に形成され熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー含有層」、「基材上に形成された熱可塑性ポリマー含有層」、及び「基材の表面に形成された熱可塑性ポリマー含有層」という表現は、基材と熱可塑性ポリマー含有層との間に、任意の層(耐熱機能を有する層、例えば無機フィラー多孔層)を含む態様を除外しない。
更に、本明細書における「〜」とは、特に断りがない場合、その前後に記載される数値を上限値、及び下限値として含む意味である。
本明細書における「接着」は、高温プレス時の接着(電極との接着を想定)、「ブロッキング」は、低温プレス時の接着(セパレータ同士の張り付き、「べたつき」と同義)とする。また、「結着」は、基材とバインダの接着力を意味する。
本実施形態の蓄電デバイス用セパレータ(以下、単に「セパレータ」ともいう。)は、基材と、基材の少なくとも片面に形成された熱可塑性ポリマー含有層とを備える。セパレータの片面のみに熱可塑性ポリマー含有層が形成された態様と、セパレータの両面に熱可塑性ポリマー含有層が形成された態様とのいずれも、本発明の範囲に含まれる。
電極とセパレータとの積層体を捲回体とし、熱プレスすることにより電極とセパレータとを接着させるが、この時の温度は、電池への影響が少なくなるよう、より低い温度で接着させることが好ましい。常温と接着時の温度との差が小さくなるため、ある一定温度で急激に変形性を発現するような熱可塑性ポリマーが好ましい。
具体的には、DSCチャートにおいて、ガラス転移点周辺における吸熱ピークがよりシャープな挙動を示すバインダを使用する。
T1.00−T0.25≦15℃
{式中、T1.00は、DSC(示差走査熱量測定)によって測定された単位時間当たりの熱流差(dq/dt)を、温度で微分した値をDDSCとしたとき、0℃から150℃までにおけるDDSCの最小値を示す温度であり、T0.25は、DDSCの最大値と最小値の差をXとした際に、DDSCが最小値を示す温度よりも低温側において、最大値からの差が0.25Xとなる温度である。}
で表される関係式を満たす。
同様の観点から、T1.00−T0.25は、14℃以下であることが好ましく、13℃以下であることがより好ましい。また、T1.00−T0.25の最小値としては、0より大きい値とすることができる。
P1/P2≧1.0
{式中、P1は、セパレータの一つの面(A)と、面(A)とは反対側の面(B)とを重ねて積層体を形成し、その積層体を温度90℃、及び圧力1MPaの条件下で5秒間プレスしたときの面(A)と面(B)の間の剥離強度であり、かつP2は、積層体を温度25℃、及び圧力5MPaの条件下で12時間プレスしたときの面(A)と面(B)の間の剥離強度である。}で表される関係を満たし、かつ、P1が、5N/m以上であることが好ましい。
セパレータは、上記式を満たすことで、耐ブロッキング性と電極への接着性との両立を図ることができる。P1が5N/m以上であることで、プレスバックを抑制することができる。さらに、P2が15N/m以下であることがより好ましい。
以下、セパレータを構成することができる各部材の好ましい実施形態について、詳細に説明する。
基材は、それ自体が、従来セパレータとして用いられていたものでもよい。基材としては、多孔質膜が好ましく、加えて、電子伝導性がなくイオン伝導性があり、かつ有機溶媒の耐性が高い、孔径の微細な多孔質膜であるとより好ましい。そのような多孔質膜としては、例えば、ポリオレフィン系(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、及びポリ塩化ビニル)、並びにそれらの混合物又はそれらの単量体の共重合体等の樹脂を主成分として含む微多孔膜;ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリシクロオレフィン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂を主成分として含む微多孔膜;ポリオレフィン系の繊維を織ったもの(織布);ポリオレフィン系の繊維の不織布;紙;並びに絶縁性物質粒子の集合体等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
中でも、セパレータの膜厚をより薄くして、蓄電デバイス内の活物質比率を高め、ひいては体積当たりの容量を増大させる観点から、ポリオレフィン系の樹脂を主成分として含むポリオレフィン微多孔膜が好ましい。ポリオレフィン微多孔膜は、その膜上に塗布液を塗工する工程を経る場合、塗布液の塗工性に優れるので、セパレータの厚さをより薄くするのに有利である。
なお、ポリオレフィン系の樹脂を「主成分として含む」とは、基材の全質量に対して50質量%を超えて含むことを意味する。基材としてポリオレフィン微多孔膜を用いる場合、ポリオレフィン微多孔膜におけるポリオレフィン樹脂の含有量は特に限定されない。ただし、セパレータとして用いた場合のシャットダウン性能等の観点から、ポリオレフィン微多孔膜を構成する全成分の50質量%以上100質量%以下がポリオレフィン樹脂であると好ましい。ポリオレフィン樹脂の含有量は、好ましくはそのポリオレフィン微多孔膜を構成する全成分の、75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、なおも更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上であり、100質量%であってもよい。
ポリエチレン及びポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリブテン、及びエチレン−プロピレンランダムコポリマーが挙げられる。
ポリエチレン:[η]=6.77×10-4Mv0.67(Chiangの式)
ポリプロピレン:[η]=1.10×10-4Mv0.80
なお、例えば、粘度平均分子量100万未満のポリオレフィンを単独で用いる代わりに、粘度平均分子量200万のポリオレフィンと粘度平均分子量27万のポリオレフィンとの混合物であって、その粘度平均分子量が100万未満の混合物を用いてもよい。
気孔率=(体積−質量/膜密度)/体積×100
により求めることができる。ここで、例えばポリエチレンから成るポリオレフィン微多孔膜の場合、膜密度を0.95(g/cm3)と仮定して計算することができる。気孔率は、ポリオレフィン微多孔膜の延伸倍率の変更等により調節可能である。
熱可塑性ポリマー含有層は、熱可塑性ポリマーを含有する。熱可塑性ポリマー含有層は、基材の表面の、全部に配置されてもよいし、一部に配置されてもよい。得られる蓄電デバイスが高いイオン透過性を示すように、熱可塑性ポリマー含有層を、基材の面の一部にのみ配置することがより好ましい。
(被覆面積割合の変化率(%))=(C1−C2)/C1×100
ここで、C1は任意の2mm×2mm以上の観察視野範囲における被覆面積割合を示し、C2はそれ以外の2mm×2mm以上の観察視野範囲における被覆面積割合を示す。例えば、熱可塑性ポリマー含有層が部分的に配置されているセパレータについて、2mm×2mmのある観察視野範囲における被覆面積割合の測定値が50%であった場合、そのセパレータの他のどの部分を観察しても、10mm×10mmの観察視野範囲における被覆面積割合が25%以上75%以下であることが好ましい。
熱可塑性ポリマー含有層に含まれる熱可塑性ポリマーは、粒子状重合体を含む。以下の説明において「エチレン性不飽和単量体」とは、分子内にエチレン性不飽和結合を1つ以上有する単量体を意味する。熱可塑性ポリマーが粒子状重合体を含むことにより、優れた電極への接着力とイオン透過性を両立することができる。
耐ブロッキング性と電極への接着性との両立をより有効かつ確実に奏する観点から、熱可塑性ポリマーが(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましい。特に、取り扱いが容易で高い生産性を達成できる観点から、水を分散媒とするアクリル系コポリマーラテックスが好ましい。
CH2=CRY1−COO−RY2
式中、RY1は水素原子又はメチル基を示し、RY2は水素原子又は1価の炭化水素基を示す。RY2が1価の炭化水素基の場合は、置換基を有していてもよくかつ鎖内にヘテロ原子を有していてもよい。1価の炭化水素基としては、例えば、直鎖であっても分岐していてもよい鎖状アルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基が挙げられる。置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、及びフェニル基が挙げられ、ヘテロ原子としては、例えばハロゲン原子、及び酸素原子が挙げられる。(メタ)アクリル系化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。このような(メタ)アクリル系化合物としては、(メタ)アクリル酸、鎖状アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート、及びフェニル基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
(1)(メタ)アクリル酸エステルを単量体単位として有する共重合体(但し、下記の(2)の共重合体、及び(3)の共重合体を除く。)。好ましくは、(メタ)アクリル酸5質量%以下(より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下)と、(メタ)アクリル酸エステル単量体3質量%以上92質量%以下(より好ましくは10質量%以上90質量%以下、更に好ましくは15質量%以上75質量%以下、特に好ましくは25質量%以上55質量%以下)と、アミド基を有する単量体、シアノ基を有する単量体、及びヒドロキシル基を有する単量体から成る群より選択される少なくとも1種15質量%以下(より好ましくは10質量%以下)と、架橋性単量体10質量%以下(より好ましくは0.01質量%以上5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以上3質量%以下)と、の共重合体;
(2)芳香族ビニル単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを単量体単位として有する共重合体。好ましくは、芳香族ビニル単量体5質量%以上95質量%以下(より好ましくは10質量%以上92質量%以下、更に好ましくは25質量%以上80質量%以下、特に好ましくは40質量%以上60質量%以下)と、(メタ)アクリル酸5質量%以下(より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下)と、(メタ)アクリル酸エステル単量体5質量%以上95質量%以下(より好ましくは15質量%以上85質量%以下、更に好ましくは20質量%以上80質量%以下、特に好ましくは30質量%以上75質量%以下)と、アミド基を有する単量体、シアノ基を有する単量体、及びヒドロキシル基を有する単量体から成る群より選択される少なくとも1種10質量%以下(より好ましくは5質量%以下)と、架橋性単量体10質量%以下(より好ましくは0.01質量%以上5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以上3質量%以下)と、の共重合体;並びに
(3)シアノ基を有する単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを単量体単位として有する共重合体。好ましくは、シアノ基を有する単量体1質量%以上95質量%以下(より好ましくは5質量%以上90質量%以下、更に好ましくは50質量%以上85質量%以下)と、(メタ)アクリル酸5質量%以下(好ましくは0.1質量%以上5質量%以下)と、(メタ)アクリル酸エステル単量体1質量%以上95質量%以下(より好ましくは5質量%以上85質量%以下、更に好ましくは10質量%以上50質量%以下)と、アミド基を有する単量体、シアノ基を有する単量体、及びヒドロキシル基を有する単量体から成る群より選択される少なくとも1種10質量%以下(より好ましくは5質量%以下)と、架橋性単量体10質量%以下(より好ましくは0.01質量%以上5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以上3質量%以下)と、の共重合体。
また、ラジカル重合開始剤としては、熱又は還元性物質によりラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものである。ラジカル重合開始剤については後述するので、ここでは説明を省略する。
T1.00−T0.25≦15℃
{式中、T1.00は、DSC(示差走査熱量測定)によって測定された単位時間当たりの熱流差(dq/dt)を、温度で微分した値をDDSCとしたとき、DDSCの0℃から150℃までにおける最小値を示す温度であり、T0.25は、最大値と最小値の差をXとした際に、T1.00よりも低温側において、最大値からの差が0.25Xとなる温度である。}
で表される関係式を満たす(図1参照)。
T1.00−T0.25≦15℃
を満たすためには、熱可塑性ポリマー層に含まれる粒子状重合体の重合反応を制御する必要がある。粒子状重合体には複数のモノマーを使用して重合を行うが、重合中に複数のモノマーがより均一に分散した状態で反応することで、粒子状重合体の熱に対する運動性のばらつきが抑制され、ある一定温度で急激に変形性を示す粒子状重合体が得られる。粒子状重合体をより均質に分散した状態で反応させるためには、物理的にモノマーの存在状態を均一に分散させる方法が有効であり、攪拌動力を高める方法が有効である。攪拌動力を高める方法としては、攪拌速度を早くする方法、及び高温かつ短時間で重合を行う方法が挙げられる。
また、共重合体のTgは、下記数式(1)で表されるFOXの式によっても、概算することができる。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・・・・+Wi/Tgi+・・・・・・Wn/Tgn (1)
ここで、式中、Tg(K)は共重合体のTgであり、Tgi(K)は単量体iのホモポリマーのTgであり、Wiは各単量体の質量分率である。
ただし、本実施形態における粒子状重合体のガラス転移温度Tgとしては、上記DSCを用いる方法により測定した値を採用する。
基材と熱可塑性ポリマー含有層との間に、任意の層、例えば、無機フィラー多孔層を含む態様も、本発明の範囲に含まれる。無機フィラー多孔層は、無機フィラーを含み、複数の孔を有する。本欄では、基材と熱可塑性ポリマー含有層との間に無機フィラー多孔層を含む態様を仮定し、かかる無機フィラー多孔層について説明するが、本発明においては、無機フィラー多孔層のような任意の層を省略可能である。
無機フィラーとしては、特に限定されないが、200℃以上の融点を持ち、電気絶縁性が高く、かつリチウムイオン二次電池のような蓄電デバイスの使用範囲で電気化学的に安定であるものを用いることができる。
無機フィラーの粒度分布は、粒径に対する頻度のグラフにおいて、ピークが一つとなるようにすることができる。ただ、ピークが二つか、ピークをなさないような台形状のチャートとなるようにしてもよい。
無機フィラーの無機フィラー多孔層中の含有割合は、無機フィラー多孔層の全量に対して、例えば、20質量%以上100質量%未満、30質量%以上80質量%以下、35質量%以上70質量%以下、更には40質量%以上60質量%以下である。
無機フィラー多孔層に含有される樹脂バインダの樹脂の種類としては、特に限定されないが、リチウムイオン二次電池のような蓄電デバイスの電解液に対して不溶であり、かつリチウムイオン二次電池のような蓄電デバイスの使用範囲において電気化学的に安定な樹脂を用いることができる。樹脂バインダの樹脂として、無機フィラー多孔層に含まれる樹脂バインダ(A)、及び熱可塑性ポリマー含有層に含まれる粒子状重合体(B)に加えて、熱可塑性ポリマー含有層に含まれ、粒子状重合体(B)を基材や無機フィラー多孔層に結着させる結着バインダ(C)が用いられてもよい。樹脂バインダ(A)、及び結着バインダ(C)はセパレータにおいて通常、粒子状になっていない。一方、粒子状重合体(B)はセパレータにおいて粒子状であり、粒子状重合体(B)は、樹脂バインダ(A)、及び結着バインダ(C)と異なる種類の樹脂を含むことができる。
1)ポリオレフィン:例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンラバー、及びこれらの変性体;
2)共役ジエン系重合体:例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、及びその水素化物;
3)アクリル系重合体:例えば、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、及びアクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体;
4)ポリビニルアルコール系樹脂:例えば、ポリビニルアルコール、及びポリ酢酸ビニル;
5)含フッ素樹脂:例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、及びエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体;
6)セルロース誘導体:例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース;並びに
7)融点、及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂あるいは融点を有しないが分解温度が200℃以上のポリマー:例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、及びポリエステル。
樹脂バインダの無機フィラー多孔層中の含有割合は、例えば、無機フィラー多孔層の全量に対して、0質量%を超え80質量%以下、1質量%以上20質量%以下、2質量%以上10質量%以下、更には3質量%以上5質量%以下である。
無機フィラー多孔層に含まれる粒子状重合体の含有量は、例えば、セパレータに含まれる粒子状重合体の含有量の、5体積%未満、3体積%未満、更には2体積%未満であるようにすることができる。
熱可塑性ポリマー含有層は、熱可塑性ポリマーのみを含有していてもよいし、熱可塑性ポリマーに加えて、これ以外の任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、例えば、無機フィラー多孔層を形成するために上記で説明された無機フィラーが挙げられる。熱可塑性ポリマー含有層における熱可塑性ポリマーの含有量は、その熱可塑性ポリマー含有層の全量に対して、好ましくは、60質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上である。
セパレータは、下記式:
P1/P2≧1.0
で表される関係を満たし、かつP1が、5N/m以上である。P1、及びP2については、上記の通りである。
耐ブロッキング性と電極への接着性との両立を図ることができることで、リチウムイオン二次電池の高容量化に対する期待、及びセパレータに関する製造上のハンドリング性の向上に対する期待の何れにも応えることができる。
ただし、P1/P2≧1.0、かつ、P1≧5N/mである関係を満たしていれば、P1、及びP2の値は、上記の例に限定されない。
[基材の製造方法]
基材を製造する方法は、特に限定されず、既知の製造方法を採用することができ、例えば、湿式多孔化法と乾式多孔化法とのいずれを採用してもよい。湿式多孔化法による例を挙げると、例えば、基材がポリオレフィン微多孔膜である場合、ポリオレフィン樹脂組成物と可塑剤とを溶融混練してシート状に成形後、場合により延伸した後、可塑剤を抽出することにより多孔化させる方法;ポリオレフィン系の樹脂を主成分として含むポリオレフィン樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理と延伸によってポリオレフィン結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法;ポリオレフィン樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート上に成形後、延伸によってポリオレフィンと無機充填材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法;及びポリオレフィン樹脂組成物を溶解後、ポリオレフィンに対する貧溶媒に浸漬させポリオレフィンを凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法が挙げられる。
なお、MD方向とは、例えばポリオレフィン微多孔膜を連続成形するときの機械方向を意味し、TD方向とは、MD方向を90°の角度で横切る方向を意味する。
上記のようにして製造された基材の少なくとも片面に、熱可塑性ポリマー含有層を配置する。無機フィラー多孔層が基材の表面に配置されている場合は、その無機フィラー多孔層の表面の、全部又は一部に、熱可塑性ポリマー含有層を配置するか、又は、及び無機フィラー多孔層の形成されていない基材面に熱可塑性ポリマー含有層を配置する。熱可塑性ポリマー含有層を配置する方法としては、特に限定されず、例えば、粒子状重合体を含有する塗布液を無機フィラー多孔層又は基材に塗布する方法が挙げられる。
基材の少なくとも片面に無機フィラー多孔層を配置する場合、その無機フィラー多孔層を形成する方法としては、特に限定されず、既知の方法によって形成することができる。例えば、無機フィラーと必要に応じて樹脂バインダとを含有する塗布液を基材に塗布する方法が挙げられる。基材がポリオレフィン微多孔膜のように樹脂を含む場合、無機フィラーと樹脂バインダとを含む原料と、樹脂を含む基材の原料とを共押出法により積層して押し出してもよいし、基材と無機フィラー多孔層(膜)とを個別に作製した後にそれらを貼り合せてもよい。
セパレータは、捲回されて捲回体の形態を取ることが好ましい。セパレータを捲回体とすることで高速で簡易に繰り出すことができ、蓄電デバイスの生産工程にて生産性を高めることができる。
このような捲回体は、ブロッキング力を長時間抑制する観点から、T0.25以下の温度で輸送、または保管されることが好ましい。
セパレータを備える蓄電デバイスは、その蓄電デバイス用セパレータを備える以外は、従来既知のものと同様であってもよい。蓄電デバイスとしては、特に限定されないが、例えば、非水系電解液二次電池等の電池、コンデンサー、及びキャパシタが挙げられる。それらの中でも、本発明による作用効果による利益がより有効に得られる観点から、電池が好ましく、非水系電解液二次電池がより好ましく、リチウムイオン二次電池が更に好ましい。本実施形態のセパレータを備えるので、蓄電デバイスは、蓄電性能等のデバイス特性に優れる。また、リチウムイオン二次電池は、電池特性に優れる。
正極としては、正極集電体上に正極活物質を含む正極活物質層が形成されてなる正極を好適に用いることができる。正極集電体としては、例えばアルミニウム箔が挙げられる。正極活物質としては、例えば、LiCoO2、LiNiO2、スピネル型LiMnO4、及びオリビン型LiFePO4等のリチウム含有複合酸化物が挙げられる。正極活物質層には、正極活物質の他、バインダ、導電材等を適宜含んでいてもよい。
セパレータを用いて蓄電デバイスを製造する方法は、特に限定されない。例えば、以下の方法を例示することができる。まず、幅10〜500mm(好ましくは80〜500mm)、長さ200〜10000m(好ましくは1000〜6000m)の縦長形状のセパレータを製造する。次いで、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順で積層し、円又は扁平な渦巻状に捲回して捲回体を得る。その捲回体をデバイス缶(例えば電池缶)内に収納し、更に電解液を注入することにより、製造することができる。又は電極、及びセパレータを折り畳んで捲回体としたものを、デバイス容器(例えばアルミニウム製のフィルム)に入れて電解液を注液する方法によって製造してもよい。
熱可塑性ポリマーの水分散体をアルミ皿上に約1g精秤し、このとき量り取った水分散体の質量を(a)gとした。それを、130℃の熱風乾燥機で1時間乾燥し、乾燥後の熱可塑性ポリマーの乾燥質量を(b)gとした。下記式により固形分を算出した。
固形分=(b)/(a)×100 [%]
粒子状重合体の平均粒径(D50)は、粒子径測定装置(日機装株式会社製、製品名「Microtrac UPA150」)を使用し、測定した。測定条件としては、ローディングインデックス=0.20、測定時間300秒とし、得られたデータにおける50%粒子径(D50)の数値を平均粒径として記載した。
キャピラリー内部の流体は、流体の平均自由工程がキャピラリーの孔径より大きいときはクヌーセンの流れに、小さい時はポアズイユの流れに従うことが知られている。そこで、熱可塑性ポリマー含有層の透気度測定における空気の流れがクヌーセンの流れに、また基材の透水度測定における水の流れがポアズイユの流れに従うと仮定する。
d=2ν×(Rliq/Rgas)×(16η/3Ps)×106
Rgas=0.0001/(透気度×(6.424×10-4)×(0.01276×101325))
Rliq=透水度/100
ν=((8R×T)/(π×M))1/2
基材から、10cm×10cm角の試料を切り取り、格子状に9箇所(3点×3点)を選んで、微小測厚器(株式会社東洋精機製作所、タイプKBM)を用いて室温23±2℃で厚さを測定した。得られた9箇所の測定値の平均値を、基材の厚さとして算出した。
セパレータを凍結割断し、その断面をSEM(型式S−4800、HITACHI社製)にて確認した。得られた視野から熱可塑性ポリマー含有層の厚さを測定した。詳細には、セパレータのサンプルを1.5mm×2.0mm程度に切り取り、ルテニウム染色した。ゼラチンカプセル内に染色したサンプルとエタノールを入れ、液体窒素により凍結させた後、ハンマーでそのサンプルを割断した。割断したサンプルをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、30000倍にて観察し、熱可塑性ポリマー含有層の厚さを算出した。なお、SEM画像にて基材断面の多孔構造が見得る部分と見えない部分の境界線と、これに平行で熱可塑性ポリマー含有層と接触する最も基材から遠い線までの最短距離を、熱可塑性ポリマー含有層の厚さの領域とした。
なお、無機フィラー多孔層上に熱可塑性ポリマー含有層がある場合は、基材から熱可塑性ポリマー含有層までの距離から無機フィラー多孔層の厚さを差し引いた距離を熱可塑性ポリマー含有層の厚さとすることができる。
熱可塑性ポリマーを含む水分散体(固形分=38〜42質量%、pH=9.0)を、アルミ皿に適量取り、常温で24時間静置して乾燥皮膜を得た。その乾燥皮膜約17mgを測定用アルミ容器に充填し、DSC測定装置(島津製作所社製、型式名「DSC6220」)にて窒素雰囲気下におけるDSC曲線、及びDSC曲線を得た。測定条件は下記の通りとした。
1段目昇温プログラム:30℃スタート、毎分10℃の割合で昇温。150℃に到達後5分間維持。
2段目降温プログラム:110℃から毎分10℃の割合で降温。−50℃に到達後5分間維持。
3段目昇温プログラム:−50℃から毎分10℃の割合で150℃まで昇温。この3段目の昇温時にDSC、及びDDSCのデータを取得。
得られたDSC曲線に対し、JIS―K7121に記載の方法にガラス転移温度を決定した。具体的には、DSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、DSC曲線における高温側のベースラインを低温側に延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線に対し、ガラス転移の段階上変化部分の曲線とが交わる点の温度をガラス転移温度(Tg)とした。
示差走査熱量測定によって得られたDSC曲線を温度で微分することによってDDSC曲線を得た。
前記DDSC曲線において、DDSCの0℃から150℃までにおける最小値を示す温度をT1.00とした。
最大値と最小値の差をXとした際に、前記T1.00よりも低温側において、最大値からの差が0.25Xとなる温度をT0.25とした。
ASTM−D4020に準拠して、デカリン溶剤中、135℃における極限粘度[η]を求めた。この[η]値を用いて、下記数式の関係から粘度平均分子量Mvを算出した。
ポリエチレンの場合:[η]=0.00068×Mv0.67
ポリプロピレンの場合:[η]=1.10×Mv0.80
基材から10cm×10cm角の試料を切り取り、その体積(cm3)、及び質量(g)を求めた。これらの値を用い、その基材の密度を0.95(g/cm3)として、気孔率を下記式から求めた。
気孔率(%)=(1−質量/体積/0.95)×100
基材について、JIS P−8117に準拠し、東洋精器(株)製のガーレー式透気度計G−B2(型式名)により測定した透気抵抗度を透気度とした。熱可塑性ポリマー含有層が基材の片面にしか存在しない場合は、熱可塑性ポリマー含有層が存在する面から針を突刺することができる。
カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES−G5(型式名)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーで基材を固定した。次に、固定された基材の中央部に対して、先端の曲率半径0.5mmの針を用いて、突刺速度2mm/秒で、25℃雰囲気下において突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重を測定した。その最大突刺加重を20μmの厚さ当たりに換算した値を突刺強度(gf/20μm)とした。熱可塑性ポリマーが基材の片面にしか存在しない場合は、熱可塑性ポリマーが存在する面から針を突刺することができる。
a.正極の作製
正極活物質としてニッケル、マンガン、コバルト複合酸化物(NMC)(Ni:Mn:Co=1:1:1(元素比)、密度4.70g/cm3)を90.4質量%、導電助材としてグラファイト粉末(KS6)(密度2.26g/cm3、数平均粒子径6.5μm)を1.6質量%、及びアセチレンブラック粉末(AB)(密度1.95g/cm3、数平均粒子径48nm)を3.8質量%、並びにバインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)(密度1.75g/cm3)を4.2質量%の比率で混合し、これらをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターを用いて塗布し、130℃において3分間乾燥した後、ロールプレス機を用いて圧縮成形することにより、正極を作製した。このときの正極活物質塗布量は109g/m2であった。
負極活物質としてグラファイト粉末A(密度2.23g/cm3、数平均粒子径12.7μm)を87.6質量%、及びグラファイト粉末B(密度2.27g/cm3、数平均粒子径6.5μm)を9.7質量%、並びにバインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%(固形分換算)(固形分濃度1.83質量%水溶液)、及びジエンゴム系ラテックス1.7質量%(固形分換算)(固形分濃度40質量%水溶液)を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃において3分間乾燥した後、ロールプレス機で圧縮成形することにより、負極を作製した。このときの負極活物質塗布量は5.2g/m2であった。
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1.0mol/Lとなるように溶解させることにより、非水電解液を調製した。
セパレータ又は基材を24mmφ、正極、及び負極をそれぞれ16mmφの円形に切り出した。正極と負極の活物質面とが対向するように、負極、セパレータ又は基材、正極の順に重ね、蓋付きステンレス金属製容器に収容した。容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミニウム箔と、それぞれ接していた。この容器内に前記非水電解液を0.4ml注入して密閉することにより、電池を組み立てた。
d.で組み立てた簡易電池を、25℃において、電流値3mA(約0.5C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を3mAから絞り始めるという方法により、電池作成後の最初の充電を合計約6時間行った。その後、電流値3mAで電池電圧3.0Vまで放電した。
次に、25℃において、電流値6mA(約1.0C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法により、合計約3時間充電を行った。その後、電流値6mAで電池電圧3.0Vまで放電した時の放電容量を1C放電容量(mAh)とした。
次に、25℃において、電流値6mA(約1.0C)で電池電圧4.2Vまで充電した後、4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法により、合計約3時間充電を行った。その後、電流値12mA(約2.0C)で電池電圧3.0Vまで放電した時の放電容量を2C放電容量(mAh)とした。
そして、1C放電容量に対する2C放電容量の割合を算出し、この値をレート特性とした。
レート特性(%)=(2C放電容量/1C放電容量)×100
A(良好):レート特性が、85%超
B(可):レート特性が、80%超85%以下
C(不良):レート特性が、80%以下
セパレータを幅20mm×長さ70mmに切り取り、そのセパレータの一つの面(A)と、面(A)とは反対側の面(B)とを重ねて捲回体を形成した。実施例、及び比較例では、基材の面(A)と面(B)との両面に熱可塑性ポリマー含有層を形成したので、面(A)の熱可塑性ポリマー含有層と面(B)の熱可塑性ポリマー含有層とが相対するように重なり捲回体が構成されている。その捲回体を以下の条件でプレスした。
温度:25℃
プレス圧:5MPa
プレス時間:12h
プレス後のセパレータの、面(A)と面(B)との間の剥離強度を、(株)イマダ製のフォースゲージZP5N及びMX2−500N(製品名)を用いて、剥離速度50mm/分にて90°剥離試験を行い、剥離強度を測定した。このとき、上記の条件で行った長さ40mm分の剥離試験における剥離強度の平均値を剥離強度として採用した。また、得られた剥離強度の値をP2として、剥離強度の比(P1/P2)の算出に用いた。
熱可塑性ポリマー含有層の被覆面積割合は、走査型電子顕微鏡(SEM)(型式:S−4800、HITACHI社製)を用いて測定した。サンプルであるセパレータをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、50倍の条件にて観察し、下記式から表面被覆率を算出した。なお、SEM画像にて基材表面の多孔構造が見えない領域、あるいは、任意の層の表面が見えない領域、具体的には無機フィラー多孔層表面の多孔構造が見えない領域を熱可塑性ポリマー含有層領域とした。
熱可塑性ポリマー含有層の被覆面積割合(%)=熱可塑性ポリマー含有層の面積÷(基材の孔部分を含む面積、あるいは任意の層の表面の面積)+熱可塑性ポリマー含有層の面積)×100
各サンプルにおける被覆面積割合は、上記測定を3回行い、その相加平均値とした。
セパレータを幅20mm×長さ70mmの長方形状に切り取り、そのセパレータの一つの面(A)と、面(A)とは反対側の面(B)とを重ねて捲回体を形成した。実施例、及び比較例では、基材の面(A)と面(B)とに熱可塑性ポリマー含有層を形成したので、面(A)の熱可塑性ポリマー含有層と面(B)の熱可塑性ポリマー含有層とが相対するように重なり捲回体が構成されている。その捲回体を以下の条件でプレスした。
温度:90℃
プレス圧:1MPa
プレス時間:5秒
プレス後のセパレータの、面(A)と面(B)との間の剥離強度を、(株)イマダ製のフォースゲージZP5N及びMX2−500N(製品名)を用いて、剥離速度50mm/分にて90°剥離試験を行い、剥離強度を測定した。このとき、上記の条件で行った長さ40mm分の剥離試験における剥離強度の平均値を剥離強度として採用した。また、得られた剥離強度の値をP1として、剥離強度の比(P1/P2)の算出に用いた。
セパレータと電極をそれぞれ、幅30mm×長さ200mmの長さにカットし、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に重ねて積層体を作製した。かかる積層体を、幅15mm、厚さ1mmの支持体に巻き付け、最後まで巻きつけたのちに支持体を抜き取り、セパレータと電極の捲回体を作製した。形成した捲回体の厚み(径方向の長さ)を測定した後、その捲回体を以下の条件でプレスした。
温度:90℃
プレス圧:1MPa
プレス時間:2min
プレス後、同様に捲回体の厚みを測定して、以下の基準に基づき、捲回体のプレスバック量を評価した。なお、捲回体の厚みは、定規で測定した。
捲回体のプレスバック量(%)=「(プレス後の捲回体の厚み)−(積層されたセパレータ、及び電極の厚みの総和)」/「(プレス前の捲回体の厚み)−(積層されたセパレータ、及び電極の厚みの総和)」×100
捲回体のプレスバック量の評価基準
A(極めて良好):捲回体のプレスバック量が、0%以上、10%未満
B(良好):捲回体のプレスバック量が、10%以上、50%未満
C(可):捲回体のプレスバック量が、50%以上、95%未満
D(不良):捲回体のプレスバック量が、95%
幅30mm×長さ2000mの長方形状から成るセパレータを捲回して捲回体を形成した。形成した捲回体を25℃かつ30日に亘り、安定的に保存した。保存後の捲回体を自動巻取装置に設置し、捲回体の内層から20m以内の部分を、200gf/mmにて200mmを繰り出し、カットされたセパレータの長さを評価した。均一かつシワなく繰り出せたセパレータ長さを測定して、以下の評価基準に基づき、耐ブロッキング性を評価した。長さが短ければ、SR内層のブロッキングによりハンドリング性が悪化と判断した。
耐ブロッキング性の評価基準
A(極めて良好):均一かつシワなく繰り出せたセパレータ長さが、1m超
B(良好):均一かつシワなく繰り出せたセパレータ長さが、95cm超1m以下
C(不良):均一かつシワなく繰り出せたセパレータ長さが、95m以下
Mvが70万であり、ホモポリマーの高密度ポリエチレン45質量部と、Mvが30万であり、ホモポリマーの高密度ポリエチレン45質量部と、Mvが40万であるホモポリマーのポリプロピレンとMvが15万であるホモポリマーのポリプロピレンとの混合物(質量比=4:3)10質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたポリオレフィン混合物99質量部に酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-5m2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。押し出される全混合物100質量部中に占める流動パラフィンの割合が65質量部となるように、すなわち、樹脂組成物の割合が35質量部となるように、フィーダー、及びポンプの運転条件を調整した。
セルガード社製セパレータ、H1609(型式名);乾式多孔化法法による一軸延伸膜をポリオレフィン微多孔膜B2とし、製造例1−1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
無機フィラーとして水酸化酸化アルミニウム(平均粒径0.7μm)を92.0質量部とアクリルラテックス懸濁液(固形分濃度40%、平均粒径150nm)8.0質量部、ポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ製SNディスパーサント5468)1.0重量部を100質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製し、多孔性基材として上記ポリオレフィン微多孔膜B1の表面にマイクログラビアコーターを用いて塗布した。60℃にて乾燥して水を除去し、ポリオレフィン樹脂多孔膜上に厚さ4.0μmの多孔層を形成した多層多孔膜を得た。得られた多層多孔膜の物性を表2に記す。
多孔性基材、及び無機フィラーを、それぞれ、表2に記載の通りに変更する以外は、多層多孔膜B1−1と同様にして、多層多孔膜を得た。得られた多層多孔膜について、それぞれ、上記方法により評価した。得られた結果を表2に示す。
(製造例A1)水分散体(表中「原料ポリマー」と表記。以下同様。)A1の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下槽、及び温度計を取り付けた反応容器に、イオン交換水70.4質量部と、「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液、表中「KH1025」と表記。以下同様。)0.5質量部と、「アデカリアソープSR1025」(登録商標、株式会社ADEKA製、25%水溶液、表中「SR1025」と表記。以下同様。)0.5質量部と、を投入し、反応容器内部温度を95℃に昇温した。その後、95℃の容器内部温度を保ったまま、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)(表中「APS(aq)」と表記。以下同様。)を7.5質量部添加した。
得られた乳化液を滴下槽から上記反応容器に滴下した。滴下は反応容器に過硫酸アンモニウム水溶液を添加した5分後に開始し、150分かけて乳化液の全量を滴下した。乳化液の滴下中は、容器内部温度を95℃に維持した。このとき、反応容器内に投入しておいた攪拌子をマグネチックスターラーにて常に攪拌した。
単量体、その他の原料の組成、及び重合条件を、表3に記載の通りに変更する以外は、原料ポリマー(水分散体)A1と同様にして、コポリマーラテックス(原料ポリマーA2〜4)を得た。得られた原料ポリマー(水分散体)A2〜A4について、それぞれ、上記方法により評価した。得られた結果を表3に示す。
<乳化剤>
KH1025:「アクアロンKH1025」登録商標、第一工業製薬株式会社製、25%水溶液
SR1025:「アデカリアソープSR1025」登録商標、株式会社ADEKA製、25%水溶液
NaSS:p−スチレンスルホン酸ナトリウム
<開始剤>
APS:過硫酸アンモニウム(2%水溶液)
<単量体>
((メタ)アクリル酸モノマー)
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
((メタ)アクリル酸エステル)
MMA:メタクリル酸メチル
BA:アクリル酸n−ブチル
BMA:メタクリル酸n−ブチル
EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
(芳香族ビニル単量体)
St:スチレン
(シアノ基含有単量体)
AN:アクリロニトリル
(その他の官能基含有単量体)
HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
AM:アクリルアミド
(架橋性単量体)
GMA:メタクリル酸グリシジル
A−TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレート
AcSi:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
製造例A1で得た水分散体A1の一部をとり、これをシードポリマーとする多段重合を行うことにより、水分散体A1−1を合成した。具体的には、まず、撹拌機、還流冷却器、滴下槽、及び温度計を取り付けた反応容器に、水分散体A1を固形分換算で20質量部、及びイオン交換水70.4質量部の混合物を投入し、反応容器内部温度を95℃に昇温した。その後、95℃の容器内部温度を保ったまま、過硫酸アンモニウム(2%水溶液)を7.5質量部添加した。以上が初期仕込みである。
シードポリマー、単量体、その他の原料の組成、及び重合条件を、それぞれ、表4に記載の通りに変更する以外は、原料ポリマー(水分散体)A2−1と同様にして、多段重合によって各コポリマーラテックスを得た。得られた原料ポリマー(水分散体)について、それぞれ、上記方法により評価した。得られた結果を表4に示す。
固形分が30%の水分散体A2−2と、固形分が30%の水分散体A1とを、80質量部対20質量部の割合で混合し、均一に分散させて、熱可塑性ポリマーを含む塗布液(固形分30質量%)を調製した。このとき、後添加界面活性剤として、さらに、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースが塗布液に対して1質量%となるように添加し、塗布液の粘度を30mPa・sに調整した。その後、グラビアコーターを用い、ポリオレフィン微多孔膜B1−1の片面(面(A))に塗布液を塗布した。このときの熱可塑性ポリマーによるポリオレフィン微多孔膜に対する被覆面積割合は20%であった。その後、40℃にて塗布後の塗布液を乾燥して水を除去した。
更に、ポリオレフィン微多孔膜B1−1の面(A)と反対側の面(面(B))にも同様に塗布液を塗布し、再度上記と同様にして乾燥させた。こうして、ポリオレフィン微多孔膜B1−1の両面に熱可塑性ポリマー含有層を形成したセパレータを得た。
なお、実施例1で用いた熱可塑性ポリマーについてのDDSCを図2に示す。
ポリオレフィン微多孔膜、塗布液の組成、及び熱可塑性ポリマーの存在形態を、それぞれ、表4に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、セパレータを得た。
ポリオレフィン微多孔膜、塗布液の組成、熱可塑性ポリマーの存在形態、及び表面処理の有無を、それぞれ、表4に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、セパレータを得た。
なお、比較例1で用いた熱可塑性ポリマーについてのDDSCを図3に示す。
比較例1は、T1.00−T0.25が15℃よりも大きかったため、耐ブロッキング性の評価結果がC評価となり、耐ブロッキング性と電極への接着性との両立を図ることができなかった。
また、熱可塑性ポリマーの基材に対する被覆面積が95%より大きい実施例3、及び、T1.00−T0.25が14℃であった実施例8は、他の実施例に比べて、耐ブロッキング性の評価がB評価であった。乾式多孔化法による一軸延伸膜の実施例6は、他の実施例に比べて、捲回体のプレスバック量の評価がB評価であった。
これらの実施例3及び6以外の実施例については、捲回体のプレスバック量と耐ブロッキング性とのいずれの評価もA評価であり、特に好ましい態様であることが確認された。
[1]
基材と、前記基材の少なくとも片面上の少なくとも一部に形成され熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー含有層と、を備える蓄電デバイス用セパレータであって、前記熱可塑性ポリマーが、下記式:
T1.00−T0.25≦15℃
{式中、T1.00は、DSC(示差走査熱量測定)によって測定された単位時間当たりの熱流差を、温度で微分した値をDDSCとしたとき、0℃から150℃までにおけるDDSCの最小値を示す温度であり、T0.25は、0℃から150℃までにおけるDDSCの最大値と前記最小値の差をXとした際に、DDSCが前記T1.00よりも低温側において、前記最大値からの差が0.25Xとなる温度である。}
で表される関係式を満たし、
前記T 1.00 が35℃以上、130℃以下の範囲にあり、
下記式:
P1/P2≧1.1
{式中、P1は、前記蓄電デバイス用セパレータの一つの面(A)と、前記面(A)とは反対側の面(B)とを重ねて積層体を作成し、この積層体を、温度90℃、及び圧力1MPaの条件下で5秒間プレスしたときの前記面(A)と前記面(B)の間の剥離強度であり、かつP2は、前記積層体を温度25℃、及び圧力5MPaの条件下で12時間プレスしたときの前記面(A)と前記面(B)の間の剥離強度である。}
で表される関係を満たすことを特徴とする、蓄電デバイス用セパレータ。
[2]
P1/P2≧1.1
で表される関係を満たし、かつ前記P1が、5N/m以上である、[1]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[3]
前記P2が15N/m以下である、[2]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[4]
前記熱可塑性ポリマー含有層の前記基材に対する被覆面積割合が95%以下である、請求項[1]〜[3]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[5]
前記熱可塑性ポリマーが、(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[6]
前記熱可塑性ポリマーのガラス転移温度が40℃以上である、[1]〜[5]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[7]
前記熱可塑性ポリマー含有層が、異なるガラス転移温度を有する2種類以上の熱可塑性ポリマーを含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[8]
[1]〜[7]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータが捲回された捲回体。
[9]
[8]に記載の捲回体を前記T0.25以下の温度で輸送、または保管する方法。
[10]
[8]に記載の捲回体から前記蓄電デバイス用セパレータを繰り出し、電極と重ね、前記T1.00以上の温度でプレスする方法。
[11]
[1]〜[7]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータを備える蓄電デバイス。
[12]
[1]〜[7]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータを備えるリチウムイオン二次電池。
[1]
基材と、前記基材の少なくとも片面上の少なくとも一部に形成された熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー含有層と、を備える蓄電デバイス用セパレータであって、
前記基材が、ポリオレフィン系の樹脂を主成分として含むポリオレフィン微多孔膜であり、前記熱可塑性ポリマーが、下記式:
T1.00−T0.25≦15℃
{式中、T1.00は、DSC(示差走査熱量測定)によって測定された単位時間当たりの熱流差を、温度で微分した値をDDSCとしたとき、0℃から150℃までにおけるDDSCの最小値を示す温度であり、T0.25は、0℃から150℃までにおけるDDSCの最大値と前記最小値の差をXとした際に、DDSCが前記T1.00よりも低温側において、前記最大値からの差が0.25Xとなる温度である。}
で表される関係式を満たし、
前記T1.00が35℃以上、130℃以下の範囲にあり、
下記式:
P1/P2≧1.1
{式中、P1は、前記蓄電デバイス用セパレータの一つの面(A)と、前記面(A)とは反対側の面(B)とを重ねて積層体を作成し、この積層体を、温度90℃、及び圧力1MPaの条件下で5秒間プレスしたときの前記面(A)と前記面(B)の間の剥離強度であり、かつP2は、前記積層体を温度25℃、及び圧力5MPaの条件下で12時間プレスしたときの前記面(A)と前記面(B)の間の剥離強度である。}
で表される関係を満たし、
前記熱可塑性ポリマーは、ガラス転移温度が40℃以上である粒子状重合体を含むことを特徴とする、蓄電デバイス用セパレータ。
[2]
P1/P2≧1.1
で表される関係を満たし、かつ前記P1が、5N/m以上である、[1]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[3]
前記P2が15N/m以下である、[2]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[4]
前記熱可塑性ポリマー含有層の前記基材に対する被覆面積割合が95%以下である、請求項[1]〜[3]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[5]
前記熱可塑性ポリマーが、(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[6]
前記熱可塑性ポリマー含有層が、異なるガラス転移温度を有する2種類以上の熱可塑性ポリマーを含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[7]
前記熱可塑性ポリマーは、前記粒子状重合体を60質量%以上含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[8]
[1]〜[7]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータが捲回された捲回体。
[9]
[8]に記載の捲回体を前記T0.25以下の温度で輸送、または保管する方法。
[10]
[8]に記載の捲回体から前記蓄電デバイス用セパレータを繰り出し、電極と重ね、前記T1.00以上の温度でプレスする方法。
[11]
[1]〜[7]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータを備える蓄電デバイス。
[12]
[1]〜[7]のいずれかに記載の蓄電デバイス用セパレータを備えるリチウムイオン二次電池。
Claims (13)
- 基材と、前記基材の少なくとも片面上の少なくとも一部に形成され熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性ポリマー含有層と、を備える蓄電デバイス用セパレータであって、前記熱可塑性ポリマーが、下記式:
T1.00−T0.25≦15℃
{式中、T1.00は、DSC(示差走査熱量測定)によって測定された単位時間当たりの熱流差を、温度で微分した値をDDSCとしたとき、0℃から150℃までにおけるDDSCの最小値を示す温度であり、T0.25は、0℃から150℃までにおけるDDSCの最大値と前記最小値の差をXとした際に、DDSCが前記T1.00よりも低温側において、前記最大値からの差が0.25Xとなる温度である。}
で表される関係式を満たすことを特徴とする、蓄電デバイス用セパレータ。 - 前記T1.00が35℃以上、130℃以下の範囲にある、請求項1に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 下記式:
P1/P2≧1.0
{式中、P1は、前記蓄電デバイス用セパレータの一つの面(A)と、前記面(A)とは反対側の面(B)とを重ねて積層体を作成し、この積層体を、温度90℃、及び圧力1MPaの条件下で5秒間プレスしたときの前記面(A)と前記面(B)の間の剥離強度であり、かつP2は、前記積層体を温度25℃、及び圧力5MPaの条件下で12時間プレスしたときの前記面(A)と前記面(B)の間の剥離強度である。}
で表される関係を満たし、かつ前記P1が、5N/m以上である、請求項1または2に記載の蓄電デバイス用セパレータ。 - 前記P2が15N/m以下である、請求項3に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記熱可塑性ポリマー含有層の前記基材に対する被覆面積割合が95%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記熱可塑性ポリマーが、(メタ)アクリル酸エステルの重合単位を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記熱可塑性ポリマーのガラス転移温度が40℃以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 前記熱可塑性ポリマー含有層が、異なるガラス転移温度を有する2種類以上の熱可塑性ポリマーを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータが捲回された捲回体。
- 請求項9に記載の捲回体を前記T0.25以下の温度で輸送、または保管する方法。
- 請求項9に記載の捲回体から前記蓄電デバイス用セパレータを繰り出し、電極と重ね、前記1.00以上の温度でプレスする方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータを備える蓄電デバイス。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータを備えるリチウムイオン二次電池。
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