JP2014203680A - 二次電池多孔膜用スラリー、二次電池用多孔膜及びその製造方法、並びに用途 - Google Patents

二次電池多孔膜用スラリー、二次電池用多孔膜及びその製造方法、並びに用途 Download PDF

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Abstract

【課題】容易に製造することができ、様々な対象に高い接着力で接着することができ、レート特性及び高温サイクル特性に優れた電池を与えることができる多孔膜等を提供する。
【解決手段】非導電性粒子、多孔膜用バインダーおよび水を含む二次電池多孔膜用スラリーであって、前記非導電性粒子が、ガラス転移温度が80℃以上160℃以下で、多孔膜形成後における電解液への膨潤度が3倍以上30倍以下であり、個数基準粒度分布が、粒子径20nm以上150nm以下の範囲及び、粒子径200nm以上1500nm以下の範囲にピークを有し、粒子径が20nm以上150nm以下の範囲にある非導電性粒子の総体積(VS)と、粒子径が200nm以上1500nm以下の範囲にある非導電性粒子の総体積(VL)との比(VS)/(VL)が0.0001以上0.01以下である二次電池多孔膜用スラリー;並びにそれを用いた二次電池等。
【選択図】図1

Description

本発明は、二次電池多孔膜用スラリー、二次電池用多孔膜及びその製造方法、二次電池用セパレーター、二次電池用電極、並びに二次電池に関する。
二次電池では、一般に、正極と負極との間の短絡を防ぐ為に、セパレーターが用いられている。セパレーターは、二次電池の安全性や電池特性などの性能に影響を与えることがある。このため、セパレーターについては、従来から様々な検討がなされている。
セパレーター上に電解液中で膨潤するゲルポリマーを塗布することでサイクル特性を向上させる技術が知られている。しかし、ポリマーを塗布するだけでは、レート特性が低下する。そのため、ポリマーを部分被覆させたり、湿式多孔化する技術でレート特性を確保してきた(特許文献1〜6)。しかし、これらの技術には、溶剤系の塗料が用いられており、環境負荷が高いという問題点、及び工程が多く繁雑であり製造が困難であるという問題点、及び電極の種類によって接着力が異なるという問題点がある。
一方で、水系の塗料で、ポリメチルメタクリレート粒子を塗布する技術が提案されている(特許文献7〜8)。
特開2001−118558号公報 特開平10−177865号公報 特開平10−189054号公報 特開平10−275633号公報 特開2003−086162号公報 特開平11−026025号公報 特開2010−225544号公報 "Close-packed poly(methyl methacrylate) nanoparticle arrays-coated polyethylene separators for high-power lithium-ion polymer batteries" Park, J. H. et al. JOURNAL OF POWER SOURCES, 2011, Vol. 196; Number 16, pages 7035-7038
しかしながら、特許文献7〜8の技術では、粒子が塗布する対象に接着する接着力が弱く、且つ塗布する対象(電極、セパレーターの基材等)の種類によって、粒子の接着力にばらつきがあり汎用性に欠ける。加えて、これらの技術で得られるセパレーターを用いた電池は、レート特性等の電池の特性が依然不十分であった。
従って、本発明の目的は、容易に製造することができ、様々な対象に高い接着力で接着することができ、レート特性及び高温サイクル特性に優れた電池を与えることができる多孔膜、かかる多孔膜を与える二次電池多孔膜用スラリー及びかかる多孔膜の製造方法、並びに、容易に製造することができレート特性及び高温サイクル特性に優れた二次電池及びその構成要素を提供することにある。
本発明者は上述した課題を解決するために検討し、多孔膜を構成する非導電性粒子の性状に着目した。そして、本発明者は、特定の物性及び二次電池多孔膜用スラリーが特定の個数基準粒度分布を有する非導電性粒子を採用することにより、容易に製造できる水を媒体とした多孔膜でありながら、且つレート特性及び高温サイクル特性に優れた二次電池を与えることができ、且つ隣接する層との接着力にも優れ、加えて一旦形成した後のブロッキングも起こしにくい多孔膜を得ることができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき完成された。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕 非導電性粒子、多孔膜用バインダーおよび水を含む二次電池多孔膜用スラリーであって、
前記非導電性粒子が、
ガラス転移温度が80℃以上160℃以下で、
多孔膜形成後における電解液への膨潤度が3倍以上30倍以下であり、
前記二次電池多孔膜用スラリーにおける非導電性粒子の個数基準粒度分布が、粒子径20nm以上150nm以下の範囲及び、粒子径200nm以上1500nm以下の範囲にピークを有し、
粒子径が20nm以上150nm以下の範囲にある非導電性粒子の総体積(VS)と、粒子径が200nm以上1500nm以下の範囲にある非導電性粒子の総体積(VL)との比(VS)/(VL)が0.0001以上0.01以下であることを特徴とする、
二次電池多孔膜用スラリー。
〔2〕 前記非導電性粒子が、ホモポリマーのガラス転移温度が65℃以上となる(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合して形成される構造単位を含有する、〔1〕に記載の二次電池多孔膜用スラリー。
〔3〕 前記非導電性粒子が、不飽和カルボン酸単量体単位を0.1重量%以上15重量%以下含有する、〔1〕又は〔2〕に記載の二次電池多孔膜用スラリー。
〔4〕 前記多孔膜用バインダーが、(メタ)アクリル重合体である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の二次電池多孔膜用スラリー。
〔5〕 前記多孔膜用バインダーが、不飽和カルボン酸単量体単位を0.2重量%以上10重量%以下含有する、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の二次電池多孔膜用スラリー。
〔6〕 非導電性粒子及び多孔膜用バインダー含む二次電池用多孔膜であって、
前記非導電性粒子が、
ガラス転移温度が80℃以上160℃以下で、
多孔膜形成後における電解液への膨潤度が3倍以上30倍以下であり、
個数基準粒度分布が、粒子径20nm以上150nm以下の範囲及び、粒子径200nm以上1500nm以下の範囲にピークを有し、
粒子径が20nm以上150nm以下の範囲にある非導電性粒子の総体積(VS)と、粒子径が200nm以上1500nm以下の範囲にある非導電性粒子の総体積(VL)との比(VS)/(VL)が0.0001以上0.01以下の関係にあることを特徴とする、
二次電池用多孔膜。
〔7〕 有機セパレーター層、及び
前記有機セパレーター層上に設けられた、〔6〕に記載の二次電池用多孔膜を備える、二次電池用セパレーター。
〔8〕 前記有機セパレーター層と前記二次電池用多孔膜との間に介在する耐熱セパレーター層をさらに備える、二次電池用セパレーター。
〔9〕 前記耐熱セパレーター層が耐熱性微粒子を含む、〔8〕に記載の二次電池用セパレーター。
〔10〕 前記耐熱性微粒子が無機微粒子である、〔9〕に記載の二次電池用セパレーター。
〔11〕 前記無機微粒子が、アルミナ、シリカ、ベーマイトよりなる群から選択される少なくとも1種の微粒子である、〔10〕に記載の二次電池用セパレーター。
〔12〕 〔6〕に記載の二次電池用多孔膜を備える、二次電池用電極。
〔13〕 二次電池用多孔膜の製造方法であって、
〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の二次電池多孔膜用スラリーを基材上に塗布して二次電池多孔膜用スラリー層を得ること、及び、
前記二次電池多孔膜用スラリー層を乾燥すること、を含む製造方法。
〔14〕 正極、負極、二次電池用セパレーター及び電解液を備える二次電池であって、
前記二次電池用セパレーターが、〔7〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の二次電池用セパレーターである、二次電池。
〔15〕 正極、負極、及び電解液を備える二次電池であって、
前記正極及び負極のいずれか一方又は両方が、〔12〕に記載の二次電池用電極である、二次電池。
本発明の二次電池多孔膜用スラリーは、容易に製造することができ、様々な対象に高い接着力で接着することができ、レート特性及び高温サイクル特性に優れた電池を与えることができる多孔膜を形成することができる。
本発明の二次電池用多孔膜は、容易に製造することができ、様々な対象に高い接着力で接着することができ、レート特性及び高温サイクル特性に優れた電池を与えることができる。
本発明の二次電池用多孔膜の製造方法では、前記本発明の二次電池用多孔膜を容易に製造することができる。
本発明の二次電池用セパレーター及び二次電池用電極は、容易に製造することができ、レート特性及び高温サイクル特性に優れた二次電池を与えることができる。
本発明の二次電池は、容易に製造することができ、レート特性及び高温サイクル特性に優れる。
図1は、実施例1で製造した多孔膜の、走査電子顕微鏡写真である。 図2は、比較例3で製造した多孔膜の、走査電子顕微鏡写真である。 図3は、比較例5で製造した多孔膜の、走査電子顕微鏡写真である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、(メタ)アクリルといった表現は、アクリル、メタクリル又はこれらの組み合わせを意味する。例えば、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの組み合わせを意味する。また、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート又はこれらの組み合わせを意味する。さらに、(メタ)アクリロニトリルとは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル又はこれらの組み合わせを意味する。
さらに、ある物質(重合体を含む。)が水溶性であるとは、25℃において、その物質0.5gを100gの水に溶解した際に、不溶分が0.5重量%未満であることをいう。一方、ある物質が非水溶性であるとは、25℃において、その物質0.5gを100gの水に溶解した際に、不溶分が90重量%以上であることをいう。
また、複数種類の単量体を共重合して製造される重合体において、ある単量体を重合して形成される構造単位の前記重合体における割合は、別に断らない限り、通常は、その重合体の重合に用いる全単量体に占める当該ある単量体の比率(仕込み比)と一致する。
[1.二次電池多孔膜用スラリー]
本発明の二次電池多孔膜用スラリーは、非導電性粒子、多孔膜用バインダー、及び水を含む流体状の組成物である。
[1.1.非導電性粒子]
非導電性粒子は、無機粒子であってもよく、有機粒子であってもよいが、ガラス転移温度、膨潤度等の要件を満たす観点から、通常は有機粒子である。
有機粒子は、通常は重合体の粒子である。有機粒子は、当該有機粒子の表面の官能基の種類及び量を調整することにより、水に対する親和性を制御でき、ひいては多孔膜に含まれる水分量を制御できる。また有機粒子は、通常は金属イオンの溶出が少ない点で、優れる。
有機粒子の材料として好ましい例を挙げると、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリル重合体等の各種高分子化合物などが挙げられる。粒子を形成する上記高分子化合物は、例えば、混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体、架橋体等であっても使用しうる。有機粒子は、2種以上の高分子化合物の混合物により形成されていてもよい。
所望のガラス転移温度及び膨潤度を得る観点からは、非導電性粒子の材料は、(メタ)アクリル重合体であることが好ましい。
(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む重合体である。ここで(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とは、(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合して形成される構造を有する構造単位を表す。(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、CH=CR−COORで表される化合物が挙げられる。ここで、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rはアルキル基またはシクロアルキル基を表す。
(メタ)アクリル酸エステル単量体の例を挙げると、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸−2−エトキシエチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、ベンジルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、イソボルニルアクリレートなどのアクリレート;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、ベンジルメタクリレート、メタクリル酸シクロヘキシル、トリシクロデカニルメタクリレートなどのメタアクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位として、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が65℃以上となる(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含有することが好ましい。このような単位を与える(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、メタクリル酸メチル(Tg=105℃)、メタクリル酸エチル(Tg=65℃)、メタクリル酸イソブチル(Tg=73℃)、メタクリル酸t−ブチル(Tg=107℃)、メタクリル酸シクロヘキシル(Tg=66℃)、ジシクロペンテニルアクリレート(Tg=120℃)、トリシクロデカニルアクリレート(Tg=120℃)、トリシクロデカニルメタクリレート(Tg=175℃)、イソボルニルアクリレート(Tg=120℃)等を挙げることができる。これらの中でも、メタクリル酸メチルが特に好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位として、ホモポリマーのガラス転移温度が65℃以上となる(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含むことにより、保管時のブロッキングを抑制することができる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、前記(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位として、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が65℃未満である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含有していてもよい。このような(メタ)アクリル酸エステル単量体単位としては、アクリレートが好ましく、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルが、多孔膜の強度を向上できる点で、好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル重合体における(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、特に好ましくは97重量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の割合を前記下限値以上にすることにより、良好なイオン伝導性を確保することができる。また、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の割合を前記上限値以下にすることにより、電解液への溶出による抵抗上昇を抑制することができる。
(メタ)アクリル重合体がホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が65℃以上となる(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が65℃未満となる(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とを含む場合は、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が65℃以上となる(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が65℃未満となる(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との合計に対する、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が65℃以上(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、特に好ましくは97重量%以下である。
また、(メタ)アクリル重合体は、エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を含みうる。ここでエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位とは、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を重合して形成される構造を有する構造単位を表す。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、エチレン性不飽和モノカルボン酸及びその誘導体、エチレン性不飽和ジカルボン酸及びその酸無水物並びにそれらの誘導体などが挙げられる。エチレン性不飽和モノカルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。エチレン性不飽和モノカルボン酸の誘導体の例としては、2−エチルアクリル酸、イソクロトン酸、α−アセトキシアクリル酸、β−trans−アリールオキシアクリル酸、α−クロロ−β−E−メトキシアクリル酸、β−ジアミノアクリル酸などが挙げられる。エチレン性不飽和ジカルボン酸の例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。エチレン性不飽和ジカルボン酸の酸無水物の例としては、無水マレイン酸、アクリル酸無水物、メチル無水マレイン酸、ジメチル無水マレイン酸などが挙げられる。エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体の例としては、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、ジクロロマレイン酸、フルオロマレイン酸等のマレイン酸メチルアリル;マレイン酸ジフェニル、マレイン酸ノニル、マレイン酸デシル、マレイン酸ドデシル、マレイン酸オクタデシル、マレイン酸フルオロアルキル等のマレイン酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、非導電性粒子の水に対する分散性を高める観点では、アクリル酸、メタクリル酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル重合体におけるエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の割合は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1.0重量%以上、特に好ましくは3.0重量%以上であり、好ましくは15重量%以下、より好ましくは11.0重量%以下、特に好ましくは7.0重量%以下である。エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の割合を前記下限値以上にすることにより、多孔膜の凝集破壊が抑制されて、電解液中の、多孔膜と隣接する層との接着力を向上させることができる。
また、(メタ)アクリル重合体は、架橋性単量体単位を含みうる。ここで、架橋性単量体単位とは、架橋性単量体を重合して形成される構造を有する構造単位を表す。また、架橋性単量体とは、重合により架橋構造を形成しうる単量体を表す。架橋性単量体の例としては、通常、熱架橋性を有する単量体が挙げられる。より具体的には、熱架橋性の架橋性基及び1分子あたり1つのオレフィン性二重結合を有する単官能性単量体;1分子あたり2つ以上のオレフィン性二重結合を有する多官能性単量体が挙げられる。
架橋性基の例としては、エポキシ基、N−メチロールアミド基、オキセタニル基、オキサゾリン基、アリル基などが挙げられる。これらの架橋性基の種類は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。中でも架橋及び架橋密度の調節が容易であるので、エポキシ基及びアリル基が好ましい。
熱架橋性の架橋性基としてエポキシ基を有し、且つオレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテル;ブタジエンモノエポキシド、クロロプレンモノエポキシド、4,5−エポキシ−2−ペンテン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロヘキセン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンなどのジエンまたはポリエンのモノエポキシド;3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセンなどのアルケニルエポキシド;並びにグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテノエート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、グリシジル−4−メチル−3−ペンテノエート、3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、4−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステルなどの不飽和カルボン酸のグリシジルエステル類が挙げられる。
熱架橋性の架橋性基としてアリル基を有し、且つオレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、アリルアクリレート、アリルメタクリレートが挙げられる。
熱架橋性の架橋性基としてN−メチロールアミド基を有し、且つオレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのメチロール基を有する(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
熱架橋性の架橋性基としてオキセタニル基を有し、且つオレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−トリフロロメチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、及び2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−4−トリフロロメチルオキセタンが挙げられる。
熱架橋性の架橋性基としてオキサゾリン基を有し、且つオレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、及び2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンが挙げられる。
1分子あたり2つ以上のオレフィン性二重結合を有する架橋性単量体の例としては、アリル(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−トリ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパン−ジアリルエーテル、前記以外の多官能性アルコールのアリルまたはビニルエーテル、トリアリルアミン、メチレンビスアクリルアミド、及びジビニルベンゼンが挙げられる。
これらの例示物の中でも、架橋性単量体としては、特に、エチレンジメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、及びグリシジルメタクリレートが好ましい。
また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル重合体における架橋性単量体単位の割合は、好ましくは0.10重量%以上、より好ましくは0.20重量%以上、特に好ましくは0.50重量%以上であり、好ましくは20.0重量%以下、より好ましくは15.0重量%以下、特に好ましくは10.0重量%以下である。架橋性単量体単位の割合を前記下限値以上にすることにより、非水電解液中での非導電性粒子の強度を高めることができるため、電極と多孔膜との結着力を高めることができる。また、架橋性単量体単位の割合を前記上限値以下となることにより、架橋密度が低く制御されて、イオン透過性を確保することができる。
さらに、前記の(メタ)アクリル重合体は、上述した構造単位以外にも、任意の構造単位を含みうる。これらの任意の構造単位に対応する単量体の例を挙げると、スチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルナフタレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系単量体;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、イソプロペニルビニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の複素環含有ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、及びN,N−ジメチルアクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド単量体;(メタ)アクリルニトリル単量体などが挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
非導電性粒子は、必要に応じて、例えば元素置換、表面処理、固溶体化等が施されていてもよい。また、非導電性粒子は、1つの粒子の中に、前記の材料のうち1種類を単独で含むものであってもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて含むものであってもよい。さらに、非導電性粒子は、異なる材料で形成された2種類以上の粒子を組み合わせて用いてもよい。
非導電性粒子の形状は、例えば、球状、楕円球状、多角形状、テトラポッド(登録商標)状、板状、鱗片状などが挙げられる。
非導電性粒子のガラス転移温度は80℃以上、160℃以下である。非導電性粒子のガラス転移温度は、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上であり、一方好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下である。非導電性粒子のガラス転移温度を前記下限以上とすることにより、多孔膜の保管中のブロッキングを低減することができ、それにより、多孔膜が隣接する層から剥離することを防ぐことができ、ひいては高温サイクル特性を向上させうる。非導電性粒子のガラス転移温度を前記上限以下とすることにより、電解液中の、多孔膜と隣接する層との接着力を高め、ひいては高温サイクル特性を向上しうる。
非導電性粒子は、多孔膜形成後における非水電解液に対する膨潤度が、3倍以上、30倍以下である。当該膨潤度は、好ましくは5倍以上、より好ましくは7倍以上であり、好ましくは20倍以下、より好ましくは15倍以下である。当該膨潤度を前記下限値以上にすることにより、多孔膜のイオン透過性を高めて、ひいてはレート特性を向上させることができる。一方、当該膨潤度を、前記上限値以下にすることにより、非導電性粒子の電解液中の、多孔膜と隣接する層との接着力を高めることができ、ひいては二次電池の高温サイクル特性を高めることができる。
ここで、非導電性粒子の「多孔膜形成後における膨潤度」とは、二次電池多孔膜用スラリーに含まれた状態ではなく、多孔膜を形成した後の状態の非導電性粒子についての膨潤度である。したがって、例えば、多孔膜を製造するために乾燥したことにより非導電性粒子の膨潤度が変化しうる場合には、膨潤度が変化した後の非導電性粒子の膨潤度を評価する。
非導電性粒子の非水電解液に対する膨潤度は、以下の方法によって測定しうる。
非導電性粒子の水分散液を用意し、その固形分濃度を10重量%に調整する。濃度を調整した水分散液をそれぞれ、乾燥厚みが1mmとなるようにシリコン容器に流し入れ、室温で72時間乾燥し、さらに200℃で3時間乾燥し、1cm×1cmの正方形のフィルムを作製し、このフィルムの重量M0を測定する。
その後、フィルムを非水電解液に60℃で72時間浸漬し、浸漬後のフィルムの重量M1を測定する。
測定した重量M0及びM1から、膨潤度(倍)を式M1/M0より算出する。
この際、非水電解液は、濃度1.0MのLiPF溶液に、ビニレンカーボネート(VC)を2容量%添加したものを用いた。また、LiPF溶液の溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、重量比EC/EMC=3/7で含む混合溶媒を用いる。
非導電性粒子は、粒子径が20nm以上150nm以下の範囲にある非導電性粒子(以下において、「非導電性粒子(小)」ということがある)と粒子径が200nm以上1500nm以下の範囲にある非導電性粒子(以下において、「非導電性粒子(大)」ということがある)との混合物である。このため、本発明の二次電池多孔膜用スラリーにおいて、非導電性粒子は、個数基準粒度分布において、粒子径20nm以上150nm以下の範囲及び、粒子径200nm以上1500nm以下の範囲にピークを有する。本発明の二次電池多孔膜用スラリーにおいて、非導電性粒子はさらに、非導電性粒子(小)の総体積(VS)と、非導電性粒子(大)の総体積(VL)との比(VS)/(VL)が0.0001以上0.01以下である。
二次電池多孔膜用スラリーにおける、非導電性粒子(小)の個数基準粒度分布ピークは、20nm以上150nm以下の範囲内であり、好ましくは30nm以上120nm以下の範囲内であり、より好ましくは40nm以上100nm以下の範囲内である。非導電性粒子(小)の個数基準粒度分布ピークが当該範囲内であることにより、多孔膜内に良好な空隙が形成され、レート特性を向上させることができる。
二次電池多孔膜用スラリーにおける、非導電性粒子(大)の個数基準粒度分布ピークは、200nm以上1500nm以下の範囲内であり、好ましくは300nm以上1000nm以下の範囲内であり、より好ましくは400nm以上800nm以下の範囲内である。非導電性粒子(大)の個数基準粒度分布ピークが当該範囲の下限以上であることにより、大きな空隙を形成することができ、イオン伝導性を向上させることができ、ひいてはレート特性を向上させることができる。非導電性粒子(大)の個数基準粒度分布ピークが当該範囲の上限以下であることにより、二次電池多孔膜用スラリー層を薄く塗布する場合でも塗工抜けの発生が少なく、高温サイクル特性を向上させることができる。
二次電池多孔膜用スラリーにおける、非導電性粒子(小)の総体積(VS)と非導電性粒子(大)の総体積(VL)との比(VS)/(VL)は、好ましくは0.0005以上、より好ましくは0.001以上であり、好ましくは0.007以下、より好ましくは0.004以下である。比(VS)/(VL)が前記下限以上であることにより、非導電性粒子(大)が最密充填することを防ぎ、適度な空間を設けることができ、ひいてはレート特性を向上させうる。比(VS)/(VL)が前記上限以下であることにより、非導電性粒子(大)の間に適度な空隙が残り、レート特性を向上させうる。
非導電性粒子の個数基準粒度分布は、以下の方法で求めることができる。
電界放出形走査電子顕微鏡(Hitachi S−4700:日立ハイテク社製)により30000倍に非導電性粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて画像解析ソフトウエア(analySIS Pro:オリンパス社製)を使用して写真画像の解析を行う。画像中のノイズを除去し、複数の写真画像を用いることで、任意に3000個の非導電性粒子を選択し、その粒子径を測定する。得られた粒子径データを用いて、横軸に粒子径、縦軸に粒子個数をとったヒストグラムを作成する。これにより、粒子径のピークを求める。
さらに、非導電性粒子を真球であると仮定し、下記式を用いてそれぞれの非導電性粒子の体積(V)を算出する。
V= 4×π×r÷3
V:非導電性粒子の体積
π:円周率
r:非導電性粒子の粒子半径
得られた非導電性粒子の体積に基づき、粒子径が20nm以上〜150nm以下の範囲にある非導電性粒子の総体積(VS)と、粒子径が200nm以上〜1500nm以下の範囲にある非導電性粒子の総体積(VL)とを求め、これらの比率を算出する。
非導電性粒子として、粒度分布の異なる複数種類の粒子を用いて本発明の二次電池多孔膜用スラリーを調製する場合は、それぞれの粒子についてヒストグラムを求めて、それらを、実際に添加する際の配合割合を加味して組み合わせることにより、二次電池多孔膜用スラリーに含まれる非導電性粒子全体のヒストグラムを求め、それから非導電性粒子(大)及び非導電性粒子(小)のピークを求めることができる。または、非導電性粒子(大)用及び非導電性粒子(小)用として別々に粒子を調製し、非導電性粒子(大)に粒子径150nm以下の粒子が含まれておらず、非導電性粒子(小)に粒子径200nm以上の粒子が含まれていないことを確認したら、これらのそれぞれについてヒストグラムを求めて、それぞれのピークを求めることもできる。
非導電性粒子(大)用及び非導電性粒子(小)用として別々に粒子を調製し、これらを混合して本発明の二次電池多孔膜用スラリーを調製する場合、非導電性粒子(大)に対する非導電性粒子(小)の割合は非常に小さくなるので、非導電性粒子のガラス転移温度及び膨潤度は、非導電性粒子(大)のそれと実質的に等しくなる。したがって、非導電性粒子(大)についてガラス転移温度及び膨潤度を測定することにより、非導電性粒子全体としてのガラス転移温度及び膨潤度が本発明に規定する範囲であるか否かを判定することができる。
前記所定のガラス転移温度、膨潤度及び粒度分布を有する非導電性粒子を得るための手段としては、例えば非導電性粒子の単量体の種類及び割合、並びにかかる単量体を材料とした重合反応の条件を適切に調整することなどが挙げられる。一つの製造反応で、上記所定の割合の非導電性粒子(大)及び非導電性粒子(小)を含むものが得られない場合は、適宜、分級を行ったり、異なる条件の2以上の反応で得られた粒子を混合することにより、上記所定の割合の非導電性粒子(大)及び非導電性粒子(小)を含む非導電性粒子を得ることができる。
[1.2.多孔膜用バインダー]
多孔膜用バインダーは、多孔膜において、非導電性粒子を結着させ、加えて、多孔膜を他の層に接着した状態とする作用を有し、通常は、重合体等の有機材料からなる。
本発明において、多孔膜用バインダーとしては、粒子状バインダー、水溶性バインダー、又はこれらの組み合わせを用いることができる。多孔膜内に空隙を設ける観点からは、粒子状バインダーが好ましい。
[1.2.1.粒子状バインダー]
粒子状バインダーは、非水溶性で、水中において粒子状の形状を維持しうるバインダーである。ただし、バインダーとしての機能を発現させる観点から、粒子状バインダーは、多孔膜の形成における乾燥等の条件下においてその一部が溶融する性質を有する。具体的には、粒子状バインダーのガラス転移温度は、80℃未満である。
通常は、粒子状バインダーは重合体により形成される。粒子状バインダーの材料となりうる重合体のうち好適な例としては、スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(NBR)、水素化SBR、水素化NBR、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、(メタ)アクリル重合体などが挙げられる。また、粒子状バインダーの材料となりうる重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、イオン伝導性が高く、電池のレート特性を向上しうる点、及び電気化学的に安定で、電池の高温サイクル特性を向上しうる点から、(メタ)アクリル重合体がより好ましい。
粒子状バインダーの材料となりうる(メタ)アクリル重合体において、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位に対応する(メタ)アクリル酸エステル単量体の例としては、非導電性粒子の材料として用いうる(メタ)アクリル重合体の説明において挙げたものと同様の例が挙げられる。また、それらの(メタ)アクリル酸エステル単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、柔軟性に優れる点から、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。
粒子状バインダーの材料となりうる(メタ)アクリル重合体における(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上であり、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、特に好ましくは97重量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の割合を前記下限値以上にすることにより、多孔膜の柔軟性を高めて、多孔膜と他の層との結着性を高めることができる。また、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の割合を前記上限値以下にすることにより、多孔膜の剛性を高めて、これによっても多孔膜と他の層との結着性を高めることができる。
また、粒子状バインダーの材料となりうる(メタ)アクリル重合体は、エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を含みうる。このエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位に対応するエチレン性不飽和カルボン酸単量体の例としては、非導電性粒子の材料として用いうる(メタ)アクリル重合体の説明において挙げたものと同様の例が挙げられる。また、それらのエチレン性不飽和カルボン酸単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
粒子状バインダーの材料となりうる(メタ)アクリル重合体におけるエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の割合は、好ましくは0.2重量%以上、より好ましくは0.4重量%以上、特に好ましくは0.6重量%以上であり、好ましくは10.0重量%以下、より好ましくは6.0重量%以下、特に好ましくは4.0重量%以下である。エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の割合を前記範囲内とすることにより、多孔膜の凝集破壊が抑制されて、電解液中の、多孔膜と隣接する層との接着力が向上しうる。
また、粒子状バインダーの材料となりうる(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリロニトリル単量体単位を含みうる。(メタ)アクリロニトリル単量体単位とは、(メタ)アクリロニトリルを重合して形成される構造を有する構造単位である。この際、(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリロニトリル単量体単位として、アクリロニトリルを重合して形成される構造を有する構造単位だけを含んでいてもよく、メタクリロニトリルを重合して形成される構造を有する構造単位だけを含んでいてもよく、アクリロニトリルを重合して形成される構造を有する構造単位とメタクリロニトリルを重合して形成される構造を有する構造単位の両方を任意の比率で組み合わせて含んでいてもよい。
粒子状バインダーの材料となりうる(メタ)アクリル重合体における(メタ)アクリロニトリル単量体単位の割合は、好ましくは0.2重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、特に好ましくは1.0重量%以上であり、好ましくは20.0重量%以下、より好ましくは10.0重量%以下、特に好ましくは5.0重量%以下である。(メタ)アクリロニトリル単量体単位の割合を前記下限値以上にすることにより、二次電池の寿命を特に長くすることができる。また、(メタ)アクリロニトリル単量体単位の割合を前記上限値以下にすることにより、多孔膜の機械的強度を高めることができる。
また、粒子状バインダーの材料となりうる(メタ)アクリル重合体は、架橋性単量体単位を含みうる。この架橋性単量体単位に対応する架橋性単量体の例としては、非導電性粒子の材料として用いうる(メタ)アクリル重合体の説明において挙げたものと同様の例が挙げられる。また、それらの架橋性単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
粒子状バインダーの材料となりうる(メタ)アクリル重合体における架橋性単量体単位の割合は、好ましくは0.2重量%以上、より好ましくは0.6重量%以上、特に好ましくは1.0重量%以上であり、好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは4.0重量%以下、特に好ましくは3.0重量%以下である。架橋性単量体単位の割合を前記下限値以上にすることにより、多孔膜の機械的強度を高めることができる。また、上限値以下にすることにより、多孔膜の柔軟性が損なわれて脆くなることを防止できる。
さらに、粒子状バインダーの材料となりうる(メタ)アクリル重合体は、上述した構造単位以外にも、任意の構造単位を含みうる。これらの任意の構造単位に対応する単量体の例としては、非導電性粒子の材料として用いうる(メタ)アクリル重合体の説明において挙げたものと同様の例が挙げられる。また、それらの単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
粒子状バインダーの個数平均粒子径は、好ましくは0.10μm以上、より好ましくは0.15μm以上、特に好ましくは0.20μm以上であり、好ましくは1.00μm以下、より好ましくは0.80μm以下、特に好ましくは0.60μm以下である。個数平均粒子径を前記下限値以上にすることにより、二次電池多孔膜用スラリー層において粒子状バインダーのマイグレーションを防止して、粒子状バインダーを多孔膜中に均一に分散させることができるので、多孔膜の強度を効果的に向上させることができる。また、個数平均粒子径を前記上限値以下にすることにより、非導電性粒子と粒子状バインダーとの接着点を多くして結着性を高くできる。ここで、粒子状バインダーの個数平均粒子径は、当該粒子状バインダーが非水電解液に膨潤していない状態での個数平均粒子径を表す。
粒子状バインダーの製造方法は特に限定はされず、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの、いずれの方法も用いうる。中でも、水中で重合をすることができ、そのまま二次電池多孔膜用スラリーの材料として好適に使用できるので、乳化重合法及び懸濁重合法が好ましい。また、粒子状バインダーを製造する際、その反応系には分散剤を含ませることが好ましい。
分散剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム等のベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、テトラドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェートナトリウム塩等のエトキシサルフェート塩;アルカンスルホン酸塩;アルキルエーテルリン酸エステルナトリウム塩;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等の非イオン性乳化剤;ゼラチン、無水マレイン酸−スチレン共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、重合度700以上且つケン化度75%以上のポリビニルアルコール等の水溶性高分子;などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。これらの中でも好ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム等のベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、テトラドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩であり、更に好ましくは、耐酸化性に優れるという点から、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム等のベンゼンスルホン酸塩である。分散剤の量は任意に設定してもよく、単量体の総量100重量部に対して、通常0.01重量部以上10重量部以下である。
[1.2.2.水溶性バインダー]
水溶性バインダーは、水溶性であるため、二次電池多孔膜用スラリー中で粒子状の形状を維持せず溶解した状態で存在する。通常は、水溶性バインダーは重合体により形成される。水溶性バインダーの材料となりうる重合体のうち好適な例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系重合体及びこれらのアンモニウム塩並びにアルカリ金属塩;(変性)ポリ(メタ)アクリル酸及びこれらのアンモニウム塩並びにアルカリ金属塩;(変性)ポリビニルアルコール、アクリル酸又はアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸又はマレイン酸若しくはフマル酸とビニルアルコールの共重合体等のポリビニルアルコール類;ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、変性ポリアクリル酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプンなどが挙げられる。ここで、「(変性)ポリ」は「未変性ポリ」及び「変性ポリ」を意味する。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
[1.2.3.バインダーの量]
本発明の二次電池多孔膜用スラリーにおけるバインダーの量は、非導電性粒子100体積部に対して、好ましくは4.0体積部以上、より好ましくは8.0体積部以上、特に好ましくは12.0体積部以上であり、好ましくは40.0体積部以下、より好ましくは35.0体積部以下、特に好ましくは30.0体積部以下である。バインダーの量を前記下限値以上にすることにより、多孔膜の機械的強度を高くすることができる。また、バインダーの量を前記上限値以下とすることにより、多孔膜のイオン透過性を高くできるので、二次電池の抵抗を小さくすることができる。粒子状バインダーと、水溶性バインダーを併用する場合において、粒子状バインダーの量と水溶性バインダーの量との重量比は99:1〜1:99であることが好ましい。
[1.3.水]
本発明の二次電池多孔膜用スラリーは、水を含む。水は、二次電池多孔膜用スラリーにおいて媒体として機能しうる。
水の量は、通常、多孔膜を製造する際に作業性を損なわない範囲の粘度を二次電池多孔膜用スラリーが有する範囲で任意に設定しうる。具体的には、二次電池多孔膜用スラリーの固形分濃度が、好ましくは1体積%以上、より好ましくは5体積%以上、特に好ましくは10体積%以上であり、好ましくは60体積%以下、より好ましくは50体積%以下、特に好ましくは45体積%以下となるように水の量を設定する。
[1.4.任意の成分]
二次電池多孔膜用スラリーは、非導電性粒子、多孔膜用バインダー、及び水以外の任意の成分を含みうる。このような任意の成分としては、電池反応に過度に好ましくない影響を及ぼさないものを用いうる。
任意の成分としては、例えば、イソチアゾリン系化合物、キレート化合物、ピリチオン化合物、分散剤、レベリング剤、酸化防止剤、増粘剤、消泡剤、湿潤剤、及び、電解液分解抑制の機能を有する電解液添加剤などが挙げられる。また、任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
[1.5.二次電池多孔膜用スラリーの製造方法]
二次電池多孔膜用スラリーは、例えば、非導電性粒子、多孔膜用バインダー、及び水、並びに、必要に応じて用いられる任意の成分を混合して製造しうる。この際の混合順序には特に制限は無い。また、混合方法にも特に制限は無い。通常は、非導電性粒子を速やかに分散させるため、混合装置として分散機を用いて混合を行う。
分散機は、上記成分を均一に分散及び混合できる装置が好ましい。例を挙げると、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサーなどが挙げられる。中でも、高い分散シェアを加えることができることから、ビーズミル、ロールミル、フィルミックス等の高分散装置が特に好ましい。
[2.二次電池用多孔膜]
本発明の多孔膜は、上に述べた所定の非導電性粒子、及び多孔膜用バインダーを含む。非導電性粒子として、上に述べた所定のものを含むことにより、本発明の多孔膜は、非導電性粒子(大)が密でない状態に充填され、且つその間に存在する非導電性粒子(小)の数も少ない膜となる。したがって、レート特性、高温サイクル特性等の電池特性を向上させることができる。
本発明の多孔膜は、例えば、二次電池多孔膜用スラリーを基材上に塗布して二次電池多孔膜用スラリー層を得ること、及び、この二次電池多孔膜用スラリー層を乾燥させること、を含む製造方法により、製造しうる。
二次電池多孔膜用スラリーの塗布方法に制限は無い。塗布方法の例を挙げると、ドクターブレード法、ディップ法、ダイコート法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などが挙げられる。二次電池多孔膜用スラリーの塗布量は、通常、所望の厚みの多孔膜が得られる範囲にする。
基材上に二次電池多孔膜用スラリー層を形成した後で、その二次電池多孔膜用スラリー層を乾燥させる。乾燥により、二次電池多孔膜用スラリー層から媒体が除去されて、多孔膜が得られる。乾燥方法としては、例えば、温風、熱風、低湿風等の風による乾燥;真空乾燥;赤外線、遠赤外線、電子線などの照射による乾燥法;などが挙げられる。
乾燥の際の温度は、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、特に好ましくは50℃以上であり、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、特に好ましくは70℃以下である。乾燥温度を前記下限以上にすることにより二次電池多孔膜用スラリーからの媒体と低分子化合物を効率よく除去できる。また、上限以下とすることにより基材の熱による収縮を抑えることができる。
乾燥時間は、好ましくは20秒以上、より好ましくは30秒以上、特に好ましくは40秒以上であり、好ましくは10分以下、より好ましくは5分以下、特に好ましくは2分以下である。乾燥時間を前記下限以上にすることにより、多孔膜から媒体を十分に除去できるので、電池の出力特性を向上させることができる。また、上限値以下とすることにより、製造効率を高めることができる。
本発明の多孔膜の製造方法においては、上述した以外の任意の操作を行ってもよい。例えば、金型プレス及びロールプレス等のプレス方法によって、多孔膜に加圧処理を施してもよい。加圧処理を施すことにより、有機セパレーター層等の基材と多孔膜との結着性を向上させることができる。ただし、多孔膜の空隙率が損なわれないようにするために、圧力及び加圧時間を適切に制御することが好ましい。また、残留水分除去のため、例えば真空乾燥やドライルーム内で乾燥することが好ましい。加熱処理することも好ましく、これにより多孔膜中の重合体に含まれる熱架橋基を架橋させて、結着力を高めることができる。
[3.二次電池用セパレーター]
本発明の二次電池用セパレーターは、有機セパレーター層、及び、この有機セパレーター層上に設けられた本発明の多孔膜を備える(以下、「多孔膜付有機セパレーター」ということがある。)。二次電池用セパレーターが備える有機セパレーター層及び多孔膜はいずれも多孔質構造を有するので、二次電池用セパレーターによって電池反応が阻害されることはない。また、二次電池用セパレーターは本発明の多孔膜を備えるので、この二次電池用セパレーターを二次電池に用いることにより、安全性、高温サイクル特性及びレート特性のいずれにも優れる二次電池を実現できる。
有機セパレーター層としては、例えば、微細な孔を有する多孔性基材を用いうる。このような有機セパレーター層を用いることにより、二次電池において電池の充放電を妨げることなく電極の短絡を防止することができる。有機セパレーター層の具体例を挙げると、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂などを含む微孔膜または不織布などが挙げられる。
多孔膜は、有機セパレーター層の、片方の表面だけに設けてもよく、両方の表面に設けてもよい。
多孔膜は、有機セパレーター層上に直接設けてもよく、有機セパレーター層上に他の層を介して設けてもよい。例えば、多孔膜は、有機セパレーター層上に、耐熱セパレーター層を介して設けてもよい。かかる耐熱セパレーター層は、耐熱性微粒子とバインダーとを構成成分として含む多孔質層であることが好ましい。ここでいう「耐熱性微粒子」とは、耐熱温度が200℃以上の微粒子をいい、また「耐熱温度」とは、熱変形などの実質的な物理変化を起こさない温度をいう。耐熱セパレーター層は、耐熱性微粒子を好ましくは50体積%以上、より好ましくは60体積%以上、好ましくは99体積%以下、より好ましくは95体積%以下、バインダーを好ましくは1体積%以上、より好ましくは5体積%以上、好ましくは50体積%以下、より好ましくは30体積%以下含んでいる。
なお、多孔膜に用いる非導電性粒子は耐熱性微粒子には該当しない。すなわち、多孔膜に用いる非導電性粒子の耐熱温度は200℃未満である。また、耐熱セパレーターの効果を損なわない範囲であれば、耐熱セパレーター層は非導電性粒子を含んでいてもよい。
上記耐熱性微粒子としては、耐熱温度が200℃以上で、電気化学的に安定であり、電気絶縁性を有する微粒子であれば特に制限はないが、無機微粒子であることが好ましい。具体的には、酸化鉄、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、TiO、BaTiOなどの無機酸化物微粒子;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの無機窒化物微粒子;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶微粒子;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶微粒子などが挙げられる。ここで、上記無機酸化物微粒子は、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、マイカなどの鉱物資源由来物質またはこれらの人造物などの微粒子であってもよい。また、上記無機微粒子は、金属、SnO、スズ−インジウム酸化物(ITO)などの導電性酸化物;カーボンブラック、グラファイトなどの炭素質材料などで例示される導電性材料の表面を、電気絶縁性を有する材料(例えば、上記無機酸化物など)で被覆することにより電気絶縁性を持たせた粒子であってもよい。
上記耐熱性微粒子には、有機微粒子を用いることもできる。有機微粒子の具体例としては、ポリイミド、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、架橋ポリメチルメタクリレート(架橋PMMA)、架橋ポリスチレン(架橋PS)、ポリジビニルベンゼン(PDVB)、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物などの架橋高分子の微粒子;熱可塑性ポリイミドなどの耐熱性高分子の微粒子;が挙げられる。これらの有機微粒子を構成する有機樹脂は、上記例示の高分子材料の混合物、変性体、誘導体、共重合体(ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)、架橋体(上記耐熱性高分子の場合)であってもよい。
耐熱性微粒子の形状は、例えば、球状、楕円球状、多角形状、テトラポッド(登録商標)状、板状、鱗片状などが挙げられる。
上記耐熱性微粒子は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記耐熱性微粒子の中でも、無機酸化物微粒子がより好ましく、アルミナ、シリカ、ベーマイトが更に好ましい。これらは、電気化学的な安定性が高く、耐熱温度も高いためである。
耐熱セパレーター層に用いるバインダーとしては、上に述べた二次電池用多孔膜と同様のものを用いうる。
耐熱セパレーター層の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。
かかる耐熱セパレーターを有することにより、多孔膜付有機セパレーターの熱収縮が抑制され、多孔膜付有機セパレーターの熱収縮により電極体が短絡するのを防ぐことができる。かかる耐熱セパレーターを有する場合、本発明の二次電池用セパレーターの層構成は、(有機セパレーター層)/(耐熱セパレーター層)/(多孔膜)といった層構成、又は(多孔膜)/(耐熱セパレーター層)/(有機セパレーター層)/(耐熱セパレーター層)/(多孔膜)といった層構成としうる。
有機セパレーター層の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、特に好ましくは10μm以下である。この範囲であると二次電池内での有機セパレーター層による抵抗が小さくなり、また、電池製造時の作業性に優れる。
本発明の二次電池用セパレーターの製造方法に制限は無い。例えば、本発明の多孔膜と有機セパレーター層とを貼り合せて製造してもよい。また、例えば、基材として有機セパレーター層を用いて上述した多孔膜の製造方法を実施することにより、二次電池用セパレーターを製造してもよい。
[4.二次電池用電極]
本発明の二次電池用電極は、前記本発明の多孔膜を備える。本発明の二次電池用電極は、通常、電極活物質層を有し、多孔膜は、この電極活物質層上に、直接又は他の層を介して設けられる。電極が、このような多孔膜を備えることによって、かかる多孔膜を備える多孔膜付有機セパレーターを設けるのと同様の効果を得ることができる。
多孔膜は、電極の片方の表面だけに設けてもよく、両方の表面に設けてもよい。例えば、多孔膜は、電極活物質層上に、耐熱セパレーター層を介して設けてもよい。かかる耐熱セパレーター層としては、上に述べた二次電池用セパレーターの耐熱セパレーター層と同様のものを用いうる。かかる耐熱セパレーターを有することにより、多孔膜付有機セパレーターが熱収縮しても、電極上の耐熱セパレーター層がスペーサーとなり電極体が短絡するのを防ぐことができる。
かかる耐熱セパレーターを有し、且つ電極活物質層に加えて集電体を備える場合、本発明の二次電池用電極の層構成は、(集電体)/(電極活物質層)/(耐熱セパレーター層)/(多孔膜)といった層構成、又は(多孔膜)/(耐熱セパレーター層)/(電極活物質層)/(集電体)/(電極活物質層)/(耐熱セパレーター層)/(多孔膜)といった層構成としうる。また、耐熱セパレーターを有し、且つ集電体を兼ねる電極活物質層(金属リチウム膜等)を有する場合、本発明の二次電池用電極の層構成は、(電極活物質層)/(耐熱セパレーター層)/(多孔膜)といった層構成、又は(多孔膜)/(耐熱セパレーター層)/(電極活物質層)/(耐熱セパレーター層)/(多孔膜)といった層構成としうる。
また、電極活物質層及び集電体を備え、耐熱セパレーターを有しない場合、本発明の二次電池用電極の層構成は、(集電体)/(電極活物質層)/(多孔膜)といった層構成、又は(多孔膜)/(電極活物質層)/(集電体)/(電極活物質層)/(多孔膜)といった層構成としうる。また、集電体を兼ねる電極活物質層(金属リチウム膜等)を有し、耐熱セパレーターを有しない場合、本発明の二次電池用電極の層構成は、(電極活物質層)/(多孔膜)といった層構成、又は(多孔膜)/(電極活物質層)/(多孔膜)といった層構成としうる。
本発明の二次電池用電極における多孔膜の形成方法に制限は無い。例えば、本発明の多孔膜と電極活物質層とを貼り合せて製造してもよい。また、例えば、基材として電極活物質層を用いて、上述した多孔膜の製造方法を実施することにより、二次電池用電極を製造してもよい。
本発明の二次電池用電極における集電体は、電気導電性を有し且つ電気化学的に耐久性のある材料を用いうる。中でも、耐熱性を有するとの観点から、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金などの金属材料が好ましい。その中でも、正極用集電体としてはアルミニウムが特に好ましく、負極用集電体としては銅が特に好ましい。
集電体の形状は特に制限されないが、厚さ0.001mm以上0.5mm以下のシート状のものが好ましい。
集電体は、電極活物質層との接着強度を高めるため、予め粗面化処理して使用するのが好ましい。粗面化方法としては、例えば、機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法などが挙げられる。機械的研磨法においては、例えば、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤーブラシ等が使用されうる。
また、電極活物質層との接着強度や導電性を高めるために、集電体表面に中間層を形成してもよい。
電極活物質層は、電極活物質を含む。以下の説明においては、電極活物質の中でも特に正極用の電極活物質のことを「正極活物質」、負極用の電極活物質のことを「負極活物質」と呼ぶことがある。電極活物質の種類は二次電池の種類に応じて様々であり、ここでは、特にリチウムイオン二次電池用の電極活物質について説明する。ただし、電極活物質は以下で挙げるものに限定されない。
電極活物質は、非水電解液中で電位をかけることにより可逆的にリチウムイオンを挿入放出できるものを用いうる。電極活物質は、無機化合物を用いてもよく、有機化合物を用いてもよい。
正極活物質は、無機化合物からなるものと有機化合物からなるものとに大別される。無機化合物からなる正極活物質としては、例えば、遷移金属酸化物、リチウムと遷移金属との複合酸化物、遷移金属硫化物などが挙げられる。上記の遷移金属としては、例えば、Fe、Co、Ni、Mn等が使用される。正極活物質に使用される無機化合物の具体例としては、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、LiFePO、LiFeVO等のリチウム含有複合金属酸化物;TiS、TiS、非晶質MoS等の遷移金属硫化物;Cu、非晶質VO−P、MoO、V、V13等の遷移金属酸化物などが挙げられる。一方、有機化合物からなる正極活物質としては、例えば、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレンなどの導電性重合体が挙げられる。
さらに、無機化合物及び有機化合物を組み合わせた複合材料からなる正極活物質を用いてもよい。
また、例えば、鉄系酸化物を炭素源物質の存在下において還元焼成することで、炭素材料で覆われた複合材料を作製し、この複合材料を正極活物質として用いてもよい。鉄系酸化物は電気伝導性に乏しい傾向があるが、前記のような複合材料にすることにより、高性能な正極活物質として使用できる。
さらに、前記の化合物を部分的に元素置換したものを正極活物質として用いてもよい。
これらの正極活物質は、1種類だけを用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、前述の無機化合物と有機化合物との混合物を正極活物質として用いてもよい。
正極活物質の粒子径は、二次電池の他の構成要件との兼ね合いで適宜選択される。負荷特性、高温サイクル特性などの電池特性の向上の観点から、正極活物質の個数平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下である。正極活物質の個数平均粒子径がこの範囲であると、充放電容量が大きい電池を得ることができ、且つ活物質層用スラリーおよび電極を製造する際の取扱いが容易である。
負極活物質は、例えば、アモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、メゾカーボンマイクロビーズ、ピッチ系炭素繊維等の炭素質材料;ポリアセン等の導電性重合体;などが挙げられる。また、ケイ素、錫、亜鉛、マンガン、鉄およびニッケル等の金属並びにこれらの合金;前記金属又は合金の酸化物;前記金属又は合金の硫酸塩;なども挙げられる。また、金属リチウム;Li−Al、Li−Bi−Cd、Li−Sn−Cd等のリチウム合金;リチウム遷移金属窒化物;シリコン等を使用してもよい。さらに、電極活物質は、機械的改質法により表面に導電材を付着させたものを使用してもよい。これらの負極活物質は、1種類だけを用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
負極活物質の粒子径は、二次電池の他の構成要件との兼ね合いで適宜選択される。初期効率、負荷特性、高温サイクル特性などの電池特性の向上の観点から、負極活物質の個数平均粒子径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは15μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下である。
電極活物質層は、電極活物質の他に、電極用バインダーを含むことが好ましい。電極用バインダーを含むことにより、電極中の電極活物質層の結着性が向上し、電極の撒回時等の工程上においてかかる機械的な力に対する強度が上がる。また、電極中の電極活物質層が脱離しにくくなることから、脱離物による短絡等の危険性が小さくなる。
電極用バインダーとしては、例えば重合体を用いうる。例えば、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリアクリル酸誘導体、ポリアクリロニトリル誘導体などを用いてもよい。さらに、例えば多孔膜用のバインダーと同様の重合体を用いてもよい。電極用バインダーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
電極活物質層における電極用バインダーの量は、電極活物質100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、特に好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは5重量部以下、より好ましくは4重量部以下、特に好ましくは3重量部以下である。電極用バインダーの量が前記範囲であることにより、電池反応を阻害せずに、電極から電極活物質が脱落するのを防ぐことができる。
電極活物質層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、電極活物質及び電極用バインダー以外にも、任意の成分が含まれていてもよい。その例を挙げると、導電材、補強材などが挙げられる。なお、任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
導電材としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト、気相成長カーボン繊維、カーボンナノチューブ等の導電性カーボン;黒鉛等の炭素粉末;各種金属のファイバー及び箔;などが挙げられる。導電材を用いることにより、電極活物質同士の電気的接触を向上させることができ、特にリチウムイオン二次電池に用いる場合には高温サイクル特性を改善できる。
補強材としては、例えば、各種の無機および有機の球状、板状、棒状または繊維状のフィラーが使用できる。
導電材及び補強材の使用量は、電極活物質100重量部に対して、それぞれ、好ましくは0重量部以上、より好ましくは1重量部以上であり、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
電極活物質層の厚みは、正極及び負極のいずれも、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下である。
電極活物質層の製造方法は特に制限されない。電極活物質層は、例えば、電極活物質及び媒体、並びに、必要に応じて電極用バインダー及び任意の成分を含む活物質層用スラリーを集電体上に塗布し、乾燥させて製造しうる。媒体としては、水及び有機溶媒のいずれも使用しうる。
[5.二次電池]
本発明の二次電池は、
(i)セパレーターとして前記本発明の二次電池用セパレーターを備えるか、又は
(ii)正極及び負極のいずれか一方又は両方として前記本発明の二次電池用電極を備える。
本発明の二次電池は、高温サイクル特性及びレート特性のいずれにも優れる。
上記(i)の場合、正極及び負極としては、前記本発明の二次電池用電極(前記本発明の多孔膜を備えるもの)を用いてもよいし、多孔膜を備えない電極を用いてもよい。この場合の多孔膜を備えない電極としては、多孔膜を設けない他は上で例示した通りの構成を有する二次電池用電極を用いうる。
上記(ii)の場合、セパレーターは任意であり、前記本発明の二次電池用セパレーター(前記本発明の多孔膜を備えるもの)を用いてもよいし、多孔膜を備えないセパレーターを用いてもよい。この場合の多孔膜を備えないセパレーターとしては、上で例示した有機セパレーター層をそのまま用いうる。
本発明の二次電池は、さらに、電解液を備える。電解液は、通常、非水電解液である。
非水電解液としては、例えば、非水系の溶媒に支持電解質としてリチウム塩を溶解したものを使用しうる。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlCl、LiClO、CFSOLi、CSOLi、CFCOOLi、(CFCO)NLi、(CFSONLi、(CSO)NLiなどが挙げられる。特に溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF、LiClO、CFSOLiは好適に用いられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
支持電解質の量は、非水電解液に対して、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。支持電解質の量をこの範囲に収めることにより、イオン導電度を高くして、二次電池の充電特性及び放電特性を良好にできる。
非水電解液の溶媒としては、支持電解質を溶解させられるものを用いうる。溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、メチルエチルカーボネート(MEC)等のアルキルカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル等のエステル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物類;などが用いられる。特に高いイオン伝導性が得易く、使用温度範囲が広いため、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びメチルエチルカーボネートが好ましい。溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、非水電解液には必要に応じて添加剤を含有させうる。添加剤としては、例えばビニレンカーボネート(VC)などのカーボネート系の化合物が好ましい。添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
二次電池の製造方法としては、例えば、電極及び二次電池用セパレーターを適切に組み合わせて重ね、電池形状に応じて、巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に非水電解液を注入して封口する方法が挙げられる。また、必要に応じて、ヒューズ、PTC素子等の過電流防止素子、リード板、エキスパンドメタルなどを入れ、過充放電の防止、電池内部の圧力上昇の防止をしてもよい。電池の形状は、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など、何れであってもよい。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されず、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。また、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。さらに、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
[評価方法の説明]
〔非導電性粒子及び多孔膜用バインダーのガラス転移点(Tg)の算出方法〕
測定試料(非導電性粒子又は粒子状の多孔膜用バインダーの水分散体から水を除去して粒子のみとしたもの)10mgをアルミパンに計量し、示差熱分析測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「EXSTAR DSC6220」)にて、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲−100℃〜500℃の間で、昇温速度10℃/minで、常湿下で、DSC曲線を測定した。この昇温過程で、微分信号(DDSC)が0.05mW/min/mg以上となるDSC曲線の吸熱ピークが出る直前のベースラインと、吸熱ピーク後に最初に現れる変曲点でのDSC曲線の接線との交点を、ガラス転移点(Tg)として求めた。
〔非導電性粒子の膨潤度の測定方法〕
非導電性粒子の水分散液を用意し、その固形分濃度を10重量%に調整した。濃度を調整した水分散液をそれぞれ、乾燥厚みが1mmとなるようにシリコン容器に流し入れ、室温で72時間乾燥し、さらに200℃で3時間乾燥し、1cm×1cmの正方形のフィルムを作製した。このフィルムの重量M0を測定した。
その後、フィルムを非水電解液に60℃で72時間浸漬し、浸漬後のフィルムの重量M1を測定した。
測定した重量M0及びM1から、膨潤度(倍)を式M1/M0より算出した。
この際、非水電解液は、濃度1.0MのLiPF溶液に、ビニレンカーボネート(VC)を2容量%添加したものを用いた。また、LiPF溶液の溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、重量比EC/EMC=3/7で含む混合溶媒を用いた。
〔個数平均粒子径の測定方法〕
非導電性粒子の水分散液の個数平均粒子径を、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製「LS230」)を用いて測定した。ここで個数平均粒子径とは、粒径−個数積算分布において、積算分布の値が50%となる粒子径である。
〔多孔膜中の個数基準粒度分布における粒子径のピーク、体積比の算出方法〕
電界放出形走査電子顕微鏡(Hitachi S−4700:日立ハイテク社製)により30000倍に非導電性粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて画像解析ソフトウエア(analySIS Pro:オリンパス社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。画像中のノイズを除去し、複数の写真画像を用いることで、任意に3000個の非導電性粒子を選択し、その粒子径を測定した。得られた粒子径データを用いて、横軸に粒子径、縦軸に粒子個数をとったヒストグラムを作成した。これにより、粒子径のピークを求めた。
さらに、非導電性粒子を真球であると仮定し、下記式を用いてそれぞれの非導電性粒子の体積(V)を算出した。
V= 4×π×r÷3
V:非導電性粒子の体積
π:円周率
r:非導電性粒子の粒子半径
得られた非導電性粒子の体積に基づき、粒子径が20nm以上150nm以下の範囲にある非導電性粒子の総体積(VS)と、粒子径が200nm以上1500nm以下の範囲にある非導電性粒子の総体積(VL)とを求め、これらの比率を算出した。
〔多孔膜付有機セパレーター及び多孔膜付き電極のブロッキング試験〕
多孔膜付有機セパレーター又は多孔膜付き電極を幅5cm×長さ5cmに切り出し試験片とする。これを2枚積層させ、70℃、1時間、1MPaの条件でプレスした後の多孔膜付き電極又は多孔膜付有機セパレーターの接着状態(ブロッキング状態)を目視で確認した。
(評価基準)
A:まったく接着していない。
B:僅かに接着しているが、手で触れるだけで剥がれ落ちる。
C:僅かに接着しているが、容易に剥がし取れる。
D:接着している。
〔電解液中でのセパレーターと電極との接着性試験〕
多孔膜付有機セパレーター及び電極(実施例21ではセパレーター及び多孔膜付き電極)を幅10mm×長さ50mmに切り出し、試験片とした。切り出した電極の活物質層側の面上(実施例21では多孔膜付き電極の多孔膜側の面上)に、多孔膜付有機セパレーター(実施例21ではセパレーター)を配置して、電極及び多孔膜付有機セパレーター(実施例21ではセパレーター及び多孔膜付き電極)を備える積層体を得た。
前記の積層体をアルミニウム包材中に配置した。このアルミニウム包材の中に、電解液を空気が残らないように注入した。さらに150℃のヒートシールを行うことで、アルミニウム包材の開口を密封して、ラミネート型の試験用セルを作製した。この際、電解液は、濃度1.0MのLiPF溶液にビニレンカーボネート(VC)を2容量%添加したものを用いた。また、LiPF溶液の溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、重量比EC/EMC=3/7で含む混合溶媒を用いた。
前記の試験用セルを、60℃で24時間静置した。その後、試験用セルに、卓上型テストプレスで、温度90℃、時間60秒、圧力1MPaの条件でヒートプレスを施した。その後、試験用セルを解体し、電極及びセパレーターを備える積層体を取り出し、試験片とした。
予め水平な試験台にセロハンテープを固定した。このセロハンテープとしては、「JIS Z1522」に規定されるものを用いた。前記試験片を、電極側の面を下にしてセロハンテープに貼り付けた。これにより、試験片は電極側を下にしてセロハンテープに貼り付いた状態となった。その後、セパレーターの一端を垂直方向に引張り速度10mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した。実施例21以外では、正極および負極でそれぞれ測定を3回行い、その平均値を求めて接着強度とした。実施例21では、多孔膜付き正極及び多孔膜付き負極のそれぞれについて測定を3回行い、その平均値を求めて接着強度とした。接着強度が大きいほど、セパレーターと電極の接着性に優れることを示している。
(評価基準)
A:接着強度が4.0N/m以上
B:接着強度が2.0N/m以上4.0N/m未満
C:接着強度が1.0N/m以上2.0N/m未満
D:接着強度が1.0N/m未満
〔二次電池のレート特性の評価試験〕
パウチ型のリチウムイオン二次電池を、25℃で24時間静置した後に、25℃で0.1Cの充放電レートにて4.2Vまで充電し3.0Vまで放電を行う操作を行った。その後、25℃で0.1Cの充電レートで4.2Vまで充電し、1.0Cの放電レートで3.0Vまで放電する充放電サイクルと、25℃で0.1Cの充電レートで4.2Vまで充電し、3.0Cの放電レートで3.0Vまで放電する充放電サイクルとを、それぞれ行った。1.0Cにおける電池容量に対する3.0Cにおける電池容量の割合を百分率で算出して充放電レート特性とし、下記の基準で判断した。充放電レート特性の値が高いほど、内部抵抗が小さく、高速充放電が可能であることを示す。
(評価基準)
A:80%以上
B:75%以上80%未満
C:70%以上75%未満
D:70%未満
〔二次電池の高温サイクル特性の評価試験〕
パウチ型のリチウムイオン二次電池を、25℃で24時間静置した後に、25℃で0.1Cの充放電レートにて4.2Vまで充電し3.0Vまで放電を行う操作を行い、初期容量C0を測定した。さらに、45℃環境下で、0.1Cの充放電レートで4.2Vに充電し、3.0Vまで放電する充放電を繰り返し、100サイクル後の容量C1を測定した。高温サイクル特性はΔC=C1/C0×100(%)で示す容量維持率にて評価した。この容量維持率の値が高いほど、放電容量の低下が少なく、サイクル特性に優れていることを示す。
(評価基準)
A:85%以上
B:80%以上85%未満
C:75%以上80%未満
D:75%未満
[実施例1]
(1−1.非導電性粒子Aの製造)
撹拌機を備えた反応器に、過硫酸アンモニウムを0.3部、及びイオン交換水を100部入れて混合し混合物Aとし、80℃に昇温した。
一方、別の容器中でメタクリル酸メチル93.0部、メタクリル酸5.0部、エチレンジメタクリレート2.0部、ドデシル硫酸ナトリウム0.5部、及びイオン交換水100部を混合して、単量体混合物1の分散体を調製した。
この単量体混合物1の分散体を、4時間かけて、上で得た混合物A中に、連続的に添加して重合させた。単量体混合物1の分散体の連続的な添加中の反応系の温度は80℃に維持し、反応を行った。連続的な添加の終了後、さらに90℃で3時間反応を継続させた。これにより、非導電性粒子の水分散体を得た。
得られた非導電性粒子の水分散体を25℃に冷却後、これにアンモニア水を添加してpHを7に調整し、その後スチームを導入して未反応の単量体を除去した。その後、イオン交換水で固形分濃度の調整を更に行いながら、200メッシュ(孔径:約77μm)のステンレス製金網でろ過を行った。これにより個数平均粒子径が560nm、固形分濃度40%の非導電性粒子Aの水分散液を得た。
得られた非導電性粒子Aのガラス転移温度、膨潤度、個数平均粒子径、球状、及び個数基準粒度分布における粒子径のピークを求めた。
(1−2.非導電性粒子aの製造)
撹拌機を備えた反応器に、メタクリル酸メチル93.0部、メタクリル酸5.0部、エチレンジメタクリレート2.0部、ドデシル硫酸ナトリウム4.0部、過硫酸アンモニウムを0.3部及びイオン交換水を200部入れて混合し単量体混合物2の分散体を調製した。この単量体混合物2の分散体を80℃に昇温し、12時間反応を行った。これにより、非導電性粒子の水分散体を得た。
得られた非導電性粒子の水分散体を25℃に冷却後、これにアンモニア水を添加してpHを7に調整し、その後スチームを導入して未反応の単量体を除去した。その後、イオン交換水で固形分濃度の調整を更に行いながら、200メッシュ(孔径:約77μm)のステンレス製金網でろ過を行った。これにより個数平均粒子径が70nm、球状、固形分濃度40%の非導電性粒子aの水分散液を得た。
得られた非導電性粒子aの個数平均粒子径、球状、及び個数基準粒度分布における粒子径のピークを求めた。
(1−3.多孔膜用バインダーの製造)
撹拌機を備えた反応器に、ドデシル硫酸ナトリウムを0.06部、過硫酸アンモニウムを0.23部、及びイオン交換水を100部入れて混合し混合物Bとし、80℃に昇温した。
一方、別の容器中でアクリル酸ブチル93.8部、メタクリル酸2.0部、アクリロニトリル2.0部、アリルグリシジルエーテル1.0部、N−メチロールアクリルアミド1.2部、ドデシル硫酸ナトリウム0.1部、及びイオン交換水100部を混合して、単量体混合物3の分散体を調製した。
この単量体混合物3の分散体を、4時間かけて、上で得た混合物B中に、連続的に添加して重合させた。単量体混合物3の分散体の連続的な添加中の反応系の温度は80℃に維持し、反応を行った。連続的な添加の終了後、さらに90℃で3時間反応を継続させた。これにより、多孔膜用バインダーの水分散体を得た。
得られた多孔膜用バインダーの水分散体を25℃に冷却後、これにアンモニア水を添加してpHを7に調整し、その後スチームを導入して未反応の単量体を除去した。その後、イオン交換水で固形分濃度の調整を更に行いながら、200メッシュ(孔径:約77μm)のステンレス製金網でろ過を行った。これにより、個数平均粒子径370nm、球状、固形分濃度40%の多孔膜用バインダーの水分散液を得た。
得られた多孔膜用バインダーのTgは、−38℃であった。
(1−4.二次電池多孔膜用スラリーの製造)
非導電性粒子として工程(1−1)で得た非導電性粒子Aの水分散液を固形分換算量で99.8部、工程(1−2)で得た非導電性粒子aの水分散液を固形分換算量で0.2部、多孔膜用バインダーとして工程(1−3)で得た水分散液を固形分換算量で15部及び湿潤剤としてポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノプコ株式会社製「SNウエット366」)0.1部を混合し、さらにイオン交換水を混合して固形分濃度が10重量%になるように調整し、撹拌することで、二次電池多孔膜用スラリーを得た。
非導電性粒子A及び非導電性粒子aの配合割合、及びそれらの個数基準粒度分布の測定の際に得られたデータに基づき、これらの体積比VS/VLを求めた。
(1−5.耐熱セパレーター層用スラリーの製造)
耐熱性微粒子として、ベーマイト粒子(河合石灰工業社製「BMM」;個数平均粒子径0.9μm)100部、バインダーとして工程(1−3)で得た多孔膜用バインダーの水分散液を固形分換算量で3部、及び湿潤剤としてポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノプコ株式会社製「SNウエット366」)0.2部を混合し、さらにイオン交換水を混合して固形分濃度が40重量%になるように調整し、撹拌することで、耐熱セパレーター層用スラリーを得た。
(1−6.二次電池用セパレーター(多孔膜付有機セパレーター)の製造)
湿式法により製造された単層のポリエチレン製セパレーター(厚さ9μm)を、有機セパレーター層として用意した。この有機セパレーター層の片面に、工程(1−5)で得た耐熱セパレーター層用スラリーを、乾燥厚みが3μmとなるように塗布して耐熱セパレーター層用スラリー層を得た。その後、耐熱セパレーター層用スラリー層を50℃で1分間乾燥することで、耐熱セパレーター層を形成した。さらに、この片面に耐熱セパレーター層を有する有機セパレーター層の両面に、工程(1−4)で得た二次電池多孔膜用スラリーを、乾燥後の厚みがそれぞれ1.5μmとなるように塗布して二次電池多孔膜用スラリー層を得た。その後、二次電池多孔膜用スラリー層を50℃で1分間乾燥することで多孔膜を形成し、有機セパレーター層の片面に耐熱セパレーター層を有し、さらに両面に多孔膜を有するセパレーターを得た。
得られたセパレーター上の多孔膜を、電界放出形走査電子顕微鏡(Hitachi S−4700:日立ハイテク社製)により30000倍に拡大して写真を撮影した。写真を図1に示す。図1に示す通り、バインダーで結合された非導電性粒子(大)の間に、僅かに非導電性粒子(小)が僅かに存在し、全体として、空隙が大きく存在していた。
(1−7.正極の製造)
正極活物質としてLiCoOを95部用意し、これに、正極用バインダーとしてのPVDF(ポリフッ化ビニリデン;呉羽化学社製「KF−1100」)を固形分換算量で3部となるように加え、さらに、アセチレンブラック2部、及びN−メチルピロリドン20部を加えて、これらをプラネタリーミキサーで混合して、正極用スラリーを得た。この正極用スラリーを、厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥後、ローラで圧延して、正極シートを作製した。正極シートを所定のサイズに切断し、加工し、正極リードを溶接して正極を得た。
(1−8.負極の製造)
負極活物質としての粒径20μm、比表面積4.2m/gのグラファイト98部を用意した。これに、負極用バインダーとしてのSBR(スチレン−ブタジエンゴム;ガラス転移点が−10℃)を固形分換算量で1部混合した。この混合物にさらにカルボキシメチルセルロースを1.0部加えて、これらをプラネタリーミキサーで混合して、負極用スラリーを調製した。この負極用スラリーを厚さ10μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥後、ローラで圧延して、負極シートを作製した。負極シートを所定のサイズに切断し、加工し、負極リードを溶接して、負極を得た。
(1−9.二次電池の製造)
工程(1−7)で得た正極と、工程(1−8)で得た負極とを、工程(1−6)で得た多孔膜付有機セパレーターとともにゼリーロール(Jelly Roll)状に捲回して、電極群を作製した。かかるゼリーロール状の形状の電極群内においては、(アルミニウム箔)/(正極活物質層)/(多孔膜付有機セパレーター)/(負極活物質層)/(銅箔)/(負極活物質層)/(多孔膜付有機セパレーター)/(正極活物質層)/(アルミニウム箔)・・・という繰り返しの積層構造が形成された。
この電極群をパウチ型の電池ケース内に挿入し、電解液を注液した後に、ヒートシーラーで電池ケースの開口を封口した。さらに、この二次電池を100℃、1MPaの条件で60秒間プレスすることで、電池を完成させた。電池の設計容量は2000mAhとした。ここで、電解液は、濃度1.0MのLiPF溶液にVC(ビニレンカーボネート)を2容量%添加したものを用いた。前記LiPF溶液の溶媒は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(EC/EMC=3/7重量比)である。
(1−10.評価)
得られた多孔膜付有機セパレーターについて、ブロッキング試験及び電解液中での電極への接着性試験を行った。
また、得られた二次電池のレート特性、高温サイクル特性試験を行った。
[実施例2〜9及び比較例1〜2]
実施例1の工程(1−1)の非導電性粒子Aの製造において、単量体の種類及び量を表1〜表2に示す通り変更し、非導電性粒子B〜I及びM〜Nを得た。
非導電性粒子Aに代えて非導電性粒子B〜I及びM〜Nのいずれかを用いた他は、実施例1の工程(1−2)〜(1−10)と同様にして、二次電池の構成要素及び二次電池を製造し評価した。
[実施例10〜13]
実施例1の工程(1−2)の非導電性粒子aの製造において、単量体の種類及び量を表3に示す通り変更し、非導電性粒子b〜fを得た。
非導電性粒子aに代えて非導電性粒子b〜fを用いた他は、実施例1の工程(1−1)及び(1−3)〜(1−10)と同様にして、二次電池の構成要素及び二次電池を製造し評価した。
[実施例14〜16及び比較例4]
実施例1の工程(1−1)の非導電性粒子Aの製造において、ドデシル硫酸ナトリウムの量を表2に示す通り変更し、非導電性粒子J〜L及びOを得た。
非導電性粒子Aに代えて非導電性粒子J〜L及びOのいずれかを用いた他は、実施例1の工程(1−2)〜(1−10)と同様にして、二次電池の構成要素及び二次電池を製造し評価した。
[実施例17〜20並びに比較例3及び5]
実施例1の工程(1−4)の多孔膜用スラリーの製造において、非導電性粒子A及び非導電性粒子aの添加量を表6〜表7に示す通り変更した他は、実施例1と同様にして、二次電池の構成要素及び二次電池を製造し評価した。
比較例3では、非導電性粒子aの添加量をゼロとした。比較例3及び5で得られた多孔膜付有機セパレーター上の多孔膜を、電界放出形走査電子顕微鏡(Hitachi S−4700:日立ハイテク社製)により30000倍に拡大して写真を撮影した。比較例3及び5の写真をそれぞれ図2及び図3に示す。
図2に示す通り、比較例3では、バインダーで結合された非導電性粒子(大)の間に、非導電性粒子(小)は存在せず、全体として、空隙が少なく密な構造を呈していた。
図3に示す通り、比較例5では、バインダーで結合された非導電性粒子(大)の間に、非導電性粒子(小)は多数存在し、全体として、空隙が少なく密な構造を呈していた。
[実施例21]
(21−1.多孔膜付き正極の製造)
実施例1の工程(1−7)の途中で得られた正極シート上に、多孔膜を形成した。即ち、正極シートの両面に、実施例1の工程(1−4)で得た二次電池多孔膜用スラリーを、乾燥後の厚みがそれぞれ1.5μmとなるように塗布して二次電池多孔膜用スラリー層を得た。その後、二次電池多孔膜用スラリー層を50℃で1分間乾燥することで多孔膜を形成し、(多孔膜)/(正極活物質層)/(アルミニウム箔)/(正極活物質層)/(多孔膜)の層構成を有する、多孔膜付き正極シートを得た。
多孔膜付き正極シートを所定のサイズに切断し、加工し、正極リードを溶接して、多孔膜付き正極を得た。
(21−2.多孔膜付き負極の製造)
実施例1の工程(1−8)の途中で得られた負極シート上に、多孔膜を形成した。即ち、負極シートの両面に、実施例1の工程(1−4)で得た二次電池多孔膜用スラリーを、乾燥後の厚みがそれぞれ1.5μmとなるように塗布して二次電池多孔膜用スラリー層を得た。その後、二次電池多孔膜用スラリー層を50℃で1分間乾燥することで多孔膜を形成し、(多孔膜)/(負極活物質層)/(銅箔)/(負極活物質層)/(多孔膜)の層構成を有する、多孔膜付き負極シートを得た。
多孔膜付き負極シートを所定のサイズに切断し、加工し、正極リードを溶接して、多孔膜付き負極を得た。
(21−3.二次電池用セパレーター(多孔膜なし))
湿式法により製造された単層のポリエチレン製セパレーター(厚さ9μm)を、そのままセパレーターとして用いた。
(21−4.二次電池の製造)
工程(21−1)で得た多孔膜付き正極と、工程(21−2)で得た多孔膜付き負極とを、工程(21−3)で得たセパレーターとともにゼリーロール(Jelly Roll)状に捲回して、電極群を作製した。かかるゼリーロール状の形状の電極群内においては、(アルミニウム箔)/(正極活物質層)/(多孔膜)/(セパレーター)/(多孔膜)/(負極活物質層)/(銅箔)/(負極活物質層)/(多孔膜)/(セパレーター)/(多孔膜)/(正極活物質層)/(アルミニウム箔)・・・という繰り返しの積層構造が形成された。
この電極群をパウチ型の電池ケース内に挿入し、電解液を注液した後に、ヒートシーラーで電池ケースの開口を封口した。さらに、この二次電池を100℃、1MPaの条件で60秒間プレスすることで、電池を完成させた。電池の設計容量は2000mAhとした。ここで、電解液は、濃度1.0MのLiPF溶液にVC(ビニレンカーボネート)を2容量%添加したものを用いた。前記LiPF溶液の溶媒は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(EC/EMC=3/7重量比)である。
(21−5.評価)
得られた多孔膜付き正極及び多孔膜付き負極について、ブロッキング試験及び電解液中での電極への接着性試験を行った。
また、得られた二次電池のレート特性、高温サイクル特性試験を行った。
実施例及び比較例における使用材料及び評価結果を、下記の表1〜表7に示す。
製造した、非導電性粒子A〜O(非導電性粒子(大))のヒストグラムにおいては、粒子径150nm以下の粒子は含まれておらず、非導電性粒子a〜f(非導電性粒子(小))のヒストグラムにおいては、粒子径200nm以上の粒子は含まれていなかった。
上記の表において、略称の意味は、以下の通りである。
MMA:メタクリル酸メチル
BA:アクリル酸ブチル
MAA:メタクリル酸
EDMA:エチレンジメタクリレート
APS:過硫酸アンモニウム
SDS:ドデシル硫酸ナトリウム
粒子径(nm):レーザー回折散乱粒度分布測定装置により測定した、非導電性粒子(大)又は非導電性粒子(小)の個数平均粒子径
Tg:非導電性粒子(大)のガラス転移温度
膨潤度:非導電性粒子(大)の膨潤度
ピークVL:非導電性粒子(大)の、個数基準粒度分布における粒子径ピーク
非導電性粒子(大)量:非導電性粒子(大)の添加量(部)
ピークVS:非導電性粒子(小)の、個数基準粒度分布における粒子径ピーク
非導電性粒子(小)量:非導電性粒子(小)の添加量(部)
VS/VL:非導電性粒子(小)の総体積VSと非導電性粒子(大)の総体積VLの比VS/VL
多孔膜場所:多孔膜を形成した場所。セパ:セパレーター、正/負:正極及び負極
ブロッキング:ブロッキング試験評価結果
接着試験:接着性試験評価結果
レート特性:レート特性評価結果
サイクル:高温サイクル特性評価結果
※1:正極及び負極の両方においてA評価
※2:正極及び負極の両方においてA評価
[検討]
前記の実施例及び比較例から分かるように、本発明の二次電池多孔膜用スラリーを用いて製造した多孔膜を備えたセパレーター又は電極を用いることにより、ブロッキングの発生が少なく、且つ他の部材と良好に接着する多孔膜、及び高温サイクル特性及びレート特性のいずれにも優れる二次電池を実現することができる。

Claims (15)

  1. 非導電性粒子、多孔膜用バインダーおよび水を含む二次電池多孔膜用スラリーであって、
    前記非導電性粒子が、
    ガラス転移温度が80℃以上160℃以下で、
    多孔膜形成後における電解液への膨潤度が3倍以上30倍以下であり、
    前記二次電池多孔膜用スラリーにおける非導電性粒子の個数基準粒度分布が、粒子径20nm以上150nm以下の範囲及び、粒子径200nm以上1500nm以下の範囲にピークを有し、
    粒子径が20nm以上150nm以下の範囲にある非導電性粒子の総体積(VS)と、粒子径が200nm以上1500nm以下の範囲にある非導電性粒子の総体積(VL)との比(VS)/(VL)が0.0001以上0.01以下であることを特徴とする、
    二次電池多孔膜用スラリー。
  2. 前記非導電性粒子が、ホモポリマーのガラス転移温度が65℃以上となる(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合して形成される構造単位を含有する、請求項1に記載の二次電池多孔膜用スラリー。
  3. 前記非導電性粒子が、不飽和カルボン酸単量体単位を0.1重量%以上15重量%以下含有する、請求項1又は2に記載の二次電池多孔膜用スラリー。
  4. 前記多孔膜用バインダーが、(メタ)アクリル重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池多孔膜用スラリー。
  5. 前記多孔膜用バインダーが、不飽和カルボン酸単量体単位を0.2重量%以上10重量%以下含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次電池多孔膜用スラリー。
  6. 非導電性粒子及び多孔膜用バインダー含む二次電池用多孔膜であって、
    前記非導電性粒子が、
    ガラス転移温度が80℃以上160℃以下で、
    多孔膜形成後における電解液への膨潤度が3倍以上30倍以下であり、
    個数基準粒度分布が、粒子径20nm以上150nm以下の範囲及び、粒子径200nm以上1500nm以下の範囲にピークを有し、
    粒子径が20nm以上150nm以下の範囲にある非導電性粒子の総体積(VS)と、粒子径が200nm以上1500nm以下の範囲にある非導電性粒子の総体積(VL)との比(VS)/(VL)が0.0001以上0.01以下の関係にあることを特徴とする、
    二次電池用多孔膜。
  7. 有機セパレーター層、及び
    前記有機セパレーター層上に設けられた、請求項6に記載の二次電池用多孔膜を備える、二次電池用セパレーター。
  8. 前記有機セパレーター層と前記二次電池用多孔膜との間に介在する耐熱セパレーター層をさらに備える、二次電池用セパレーター。
  9. 前記耐熱セパレーター層が耐熱性微粒子を含む、請求項8に記載の二次電池用セパレーター。
  10. 前記耐熱性微粒子が無機微粒子である、請求項9に記載の二次電池用セパレーター。
  11. 前記無機微粒子が、アルミナ、シリカ、ベーマイトよりなる群から選択される少なくとも1種の微粒子である、請求項10に記載の二次電池用セパレーター。
  12. 請求項6に記載の二次電池用多孔膜を備える、二次電池用電極。
  13. 二次電池用多孔膜の製造方法であって、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の二次電池多孔膜用スラリーを基材上に塗布して二次電池多孔膜用スラリー層を得ること、及び、
    前記二次電池多孔膜用スラリー層を乾燥すること、を含む製造方法。
  14. 正極、負極、二次電池用セパレーター及び電解液を備える二次電池であって、
    前記二次電池用セパレーターが、請求項7〜11のいずれか1項に記載の二次電池用セパレーターである、二次電池。
  15. 正極、負極、及び電解液を備える二次電池であって、
    前記正極及び負極のいずれか一方又は両方が、請求項12に記載の二次電池用電極である、二次電池。
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