JP2019210958A - 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 - Google Patents

真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 Download PDF

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Abstract

【課題】金属または無機化合物からなるガスバリア膜および無機層状化合物膜を有するガスバリアフィルムを1つ以上含み、高湿環境下でのガスバリア性能の早期劣化を抑制することが可能な真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品を提供する【解決手段】ガスバリアフィルム11の少なくとも1つは、ガスバリア膜2の第1の主面側または第2の主面側に無機層状化合物膜3をさらに有し、真空断熱材用外包材10の厚み方向における、熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある無機層状化合物膜が、熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にあるガスバリア膜よりも熱溶着可能なフィルム側にある、真空断熱材用外包材。【選択図】図1

Description

本開示は、真空断熱材の形成に用いる真空断熱材用外包材に関する。
近年、物品の省エネルギー化を目的として、真空断熱材が用いられている。真空断熱材は、外包材の周縁が接合されてなるシール端部を有する袋体の密閉空間内に、芯材が配置された部材であり、上記密閉空間内が大気圧よりも圧力が低い真空状態に保持されているため、内部の熱対流が抑制されて良好な断熱性能を発揮することができる。なお、真空断熱材に用いられる外包材のことを、真空断熱材用外包材、または単に外包材と称して説明する。
真空断熱材用外包材は、真空断熱材内部の真空状態を長期間保持するために、酸素や水蒸気等のガスの透過を抑制するためのガスバリア性能、対向する一対の外包材の周縁を熱溶着により接合してなるシール端部を有する袋体を形成し、芯材を封入密閉するための熱溶着性等の物性が要求される。これらの物性を満たすため、真空断熱材用外包材として、例えば、樹脂基材上に金属または無機化合物からなるガスバリア膜が設けられたガスバリアフィルムと、熱溶着可能なフィルムと、を有する積層体が用いられる(特許文献1〜3)。
特開2003−262296号公報 特開2006−70923号公報 特開2004−036749号公報 特許4004279号公報
金属または無機化合物からなるガスバリア膜は、その種類により水蒸気バリア性能の良否、酸素バリア性能の良否があり、例えば、水蒸気バリア性能が良好であるが、酸素バリア性能が十分でない場合や、酸素バリア性能が良好であるが、水蒸気バリア性能が十分でない場合等がある。
一方、特許文献4で開示されるように、粘土系鉱物等の無機層状化合物を含む無機層状化合物膜は、酸素バリア性能が良好であることが知られている。そこで、本発明者等は、真空断熱材用外包材の水蒸気バリア性能および酸素バリア性能の向上を図るために、ガスバリア膜上に無機層状化合物膜を設けたガスバリアフィルムを用いた真空断熱材用外包材について検討したところ、高湿環境下では、上記真空断熱材用外包材のガスバリア性能が早期に劣化する場合があることを見出した。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、金属または無機化合物からなるガスバリア膜および無機層状化合物膜を有するガスバリアフィルムを1つ以上含み、高湿環境下でのガスバリア性能の早期劣化を抑制することが可能な真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品を提供することを主目的とする。
本開示は、熱溶着可能なフィルムと、上記熱溶着可能なフィルムの第1の主面側に位置し、金属または無機化合物からなるガスバリア膜を少なくとも有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を含む真空断熱材用外包材であって、上記ガスバリアフィルムの少なくとも1つは、上記ガスバリア膜の第1の主面側または第2の主面側に無機層状化合物膜をさらに有し、上記真空断熱材用外包材の厚み方向における、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある上記無機層状化合物膜が、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある上記ガスバリア膜よりも上記熱溶着可能なフィルム側にある、真空断熱材用外包材を提供する。
また、本開示は、芯材および上記芯材を封入する外包材を有する真空断熱材であって、上記外包材は、熱溶着可能なフィルムと、上記熱溶着可能なフィルムの第1の主面側に位置し、金属または無機化合物からなるガスバリア膜を少なくとも有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を含み、上記ガスバリアフィルムの少なくとも1つは、上記ガスバリア膜の第1の主面側または第2の主面側に無機層状化合物膜をさらに有し、上記外包材の厚み方向における、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある上記無機層状化合物膜が、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある上記ガスバリア膜よりも上記熱溶着可能なフィルム側にある、真空断熱材を提供する。
また、本開示は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材は、芯材および上記芯材を封入する外包材を有し、上記外包材は、熱溶着可能なフィルムと、上記熱溶着可能なフィルムの第1の主面側に位置し、金属または無機化合物からなるガスバリア膜を少なくとも有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を含み、上記ガスバリアフィルムの少なくとも1つは、上記ガスバリア膜の第1の主面側または第2の主面側に無機層状化合物膜をさらに有し、上記外包材の厚み方向における、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある上記無機層状化合物膜が、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある上記ガスバリア膜よりも上記熱溶着可能なフィルム側にある、真空断熱材付き物品を提供する。
本開示によれば、金属または無機化合物からなるガスバリア膜および無機層状化合物膜を有するガスバリアフィルムを1つ以上含む真空断熱材用外包材において、高湿環境下でのガスバリア性能の早期劣化を抑制することができるという効果を奏する。
本開示の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。 本開示の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。 本開示の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。 本開示の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。 本開示の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。 本開示の真空断熱材の一例を示す概略斜視図および断面図である。 実施例1〜4、比較例1〜2、参考例1の真空断熱材の、温度100℃、湿度無管理の雰囲気での熱伝導率の経時変化を示すグラフである。 実施例1〜4、比較例1〜2、参考例1の真空断熱材の、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気での熱伝導率の経時変化を示すグラフである。
以下、本開示の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚み、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
また、本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
以下、本開示の真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品について、それぞれ説明する。なお、本開示においては、「シート」および「フィルム」を同義として用いる場合がある。
I.真空断熱材用外包材
本開示の真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムと、上記熱溶着可能なフィルムの第1の主面側に位置し、金属または無機化合物からなるガスバリア膜を少なくとも有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を含むものであって、上記ガスバリアフィルムの少なくとも1つは、上記ガスバリア膜の第1の主面側または第2の主面側に無機層状化合物膜をさらに有し、上記真空断熱材用外包材の厚み方向における、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある上記無機層状化合物膜が、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある上記ガスバリア膜よりも上記熱溶着可能なフィルム側にある。
図1は、本開示の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。図1に例示する真空断熱材用外包材10は、熱溶着可能なフィルム12と、熱溶着可能なフィルム12の第1の主面12a側に位置する1つのガスバリアフィルム11と、を有する。ガスバリアフィルム11と熱溶着可能なフィルム12との間には、接着剤層13が介在している。図1に例示するガスバリアフィルム11は、熱溶着可能なフィルム12側から、無機層状化合物膜3、金属または無機化合物からなるガスバリア膜2、および樹脂基材1をこの順に有し、無機層状化合物膜3は、ガスバリア膜2の第1の主面2aに直接形成されており、樹脂基材1は、ガスバリア膜2の第2の主面2bに直接形成されている。図1において、真空断熱材用外包材10の厚み方向(T−T’方向)の、熱溶着可能なフィルム12から最も離れた位置にある無機層状化合物膜3が、熱溶着可能なフィルム12から最も離れた位置にあるガスバリア膜2よりも熱溶着可能なフィルム12側にある。
なお、真空断熱材用外包材の厚み方向の、熱溶着可能なフィルムから最も離れて位置する無機層状化合物膜およびガスバリア膜のことを、それぞれ最外無機層状化合物膜および最外ガスバリア膜とする場合がある。
金属または無機化合物からなるガスバリア膜上に無機層状化合物膜を有するガスバリアフィルムを含む真空断熱材用外包材は、ガスバリア膜により高い水蒸気バリア性能を発揮し、無機層状化物膜により高い酸素バリア性能を発揮することができる。しかし、このような真空断熱材用外包材を高湿環境に曝すと、ガスバリア性能が早期に劣化してしまう場合がある。その理由として、以下のことが推量される。
無機層状化合物は、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を有するため、無機層状化合物で形成された無機層状化合物膜は、高湿環境に曝されると、水分を吸収して無機層状化合物の層状構造の隙間にて保水すると考えられる。中でも真空断熱材用外包材の厚み方向において、無機層状化合物膜が外気中の水分と接しやすい位置にあるほど、無機層状化合物膜中の保水量が高まると考えられる。一方、ガスバリア膜は、このような水分を多量に含んだ無機層状化合物膜に直に接すると、単に高湿環境に曝される場合よりも常に過剰量の水分と接触することになり、劣化が進行しやすくなると推量される。例えば、ガスバリア膜が金属アルミニウム膜の場合、金属アルミニウムは、水分との接触により水酸化アルミニウムや酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物に性状変化が起こりやすく、性状変化により水蒸気バリア性能が劣化しやすい。そのため、金属アルミニウム膜は、無機層状化合物膜に含まれる水分と常に接触する位置にあると、性状変化の進行が促進され、その結果、真空断熱材用外包材全体の水蒸気バリア性能の劣化が短時間で生じると考えられる。このような現象は、ガスバリア膜が金属アルミニウム膜である場合に限らず、他の金属薄膜や無機化合物膜である場合にも生じ得ると推量される。
また、無機層状化合物膜は、水分を吸収すると、無機層状化合物の層状構造の隙間にて保水することで体積が膨張し、隙間が大きくなると考えられる。無機層状化合物膜は、無機層状化合物の層状構造により酸素の通過を妨げて酸素の透過経路を長くする、いわゆる迷路効果により、酸素バリア性能を発揮することができるが、保水により隙間が大きくなると、層状構造が崩れて酸素が通過しやすくなり、酸素バリア性能の劣化が生じると考えられる。
これに対し、本開示によれば、ガスバリア膜および無機層状化合物膜を有するガスバリアフィルムを含む真空断熱材用外包材の厚み方向における、熱溶着可能なフィルムから最も離れて位置する無機層状化合物膜が、熱溶着可能なフィルムから最も離れて位置するガスバリア膜よりも熱溶着可能なフィルム側となるように配置することで、高湿環境下でのガスバリア性能の早期劣化を抑制することが可能である。その理由として、最外無機層状化合物膜と最外ガスバリア膜とを所定の位置関係とすることで、真空断熱材用外包材が高湿環境に長期間曝される場合であっても、最外ガスバリア膜の存在により最外無機層状化合物膜と外気中の水分との接触を阻害し、最外無機層状化合物膜が水分を吸収し保水することを抑制できるためと推量される。
すなわち、本開示の真空断熱材用外包材によれば、最外無機層状化合物膜と最外ガスバリア膜とを所定の位置関係とすることで、高湿環境に長期間曝される場合であっても、ガスバリア膜の水分劣化を抑制して水蒸気バリア性能を維持することができ、また、吸水および保水による最外無機層状化合物膜内の隙間の拡張を抑制して酸素バリア性能を維持することができると推量される。
なお、最外ガスバリア膜は、真空断熱材用外包材の厚み方向において外気中の水分と接触しやすい位置に配置されることになるが、水分を多量に含有した無機層状化合物膜と常に直に接する場合と比較して、水分劣化の程度は小さいと推量される。
以下、本開示の真空断熱材用外包材について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、「無機層状化合物膜がガスバリア膜に形成される」、「無機層状化合物がガスバリア膜に接する」、「ガスバリア膜が樹脂基材に形成される」、もしくは「ガスバリア膜が樹脂基材に接する」といった記載は、「直接形成される」もしくは「直接接する」に限定されるものでは無く、アンカーコート等のコーティング層等の他の層が介在されている場合も含むものである。
1.ガスバリアフィルム
本開示の真空断熱材用外包材におけるガスバリアフィルムは、熱溶着可能なフィルムの第1の主面側に位置し、金属または無機化合物からなるガスバリア膜を少なくとも有する部材である。本開示の真空断熱材用外包材は、ガスバリアフィルムを1つ以上有する。また、ガスバリアフィルムの少なくとも1つは、ガスバリア膜の第1の主面側または第2の主面側に無機層状化合物膜をさらに有する。なお、無機層状化合物膜をさらに有するガスバリアフィルムのことを、特に、無機層状化合物膜付きガスバリアフィルムと称して説明する場合がある。
ガスバリアフィルムの層構成としては、例えば、ガスバリア膜単体からなる層構成、ガスバリア膜と上記ガスバリア膜の第2の主面に形成された樹脂基材とを有する層構成等が挙げられる。
また、無機層状化合物膜付きガスバリアフィルムの層構成としては、例えば、ガスバリア膜と上記ガスバリア膜の第1の主面に形成された無機層状化合物膜とを有する層構成(第1の層構成)、ガスバリア膜と上記ガスバリア膜の第1の主面に形成された無機層状化合物膜と上記ガスバリア膜の第2の主面に形成された樹脂基材とを有する層構成(第2の層構成)、ガスバリア膜と上記ガスバリア膜の第2の主面に形成された樹脂基材と上記ガスバリア膜の第2の主面側に樹脂基材を介して形成された無機層状化合物膜とを有する層構成(第3の層構成)等が挙げられる。中でも、無機層状化合物膜付きガスバリアフィルムは、第1の層構成または第2の層構成を有することが好ましい。
(1)ガスバリア膜
ガスバリアフィルムにおけるガスバリア膜は、金属または無機化合物からなる。
ガスバリア膜は、金属または無機化合物からなるものであればよく、金属薄膜であってもよく無機化合物膜であってもよい。ガスバリア膜が金属薄膜である場合、ガスバリア膜を構成する金属としては、例えばアルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、チタン等の金属または合金が挙げられる。また、ガスバリア膜が無機化合物膜である場合、ガスバリア膜を構成する無機化合物としては、例えばケイ素(シリカ)、アルミニウム、ステンレス、チタン、ニッケル、鉄、銅、マグネシウム、カルシウム、カリウム、錫、ナトリウム、ホウ素、鉛、亜鉛、ジルコニウム、イットリウム等の酸化物、窒化物等の化合物が挙げられる。
中でも、少なくとも1つのガスバリア膜が、金属アルミニウム膜であることが好ましく、少なくとも無機層状化合物膜と接するガスバリア膜が、金属アルミニウム膜であることがより好ましく、最外無機層状化合物膜と接する最外ガスバリア膜が、金属アルミニウム膜であることが特に好ましい。上述したように、金属アルミニウムは、他の金属薄膜や無機化合物膜と比較して、水分との接触により水蒸気バリア性能が劣化しやすい。また、吸湿により水分を多量に含有した無機層状化合物膜と接する金属アルミニウム膜は、単に高湿環境に曝される場合よりも、常に過剰量の水分と接触することとなり、性状変化がより進行しやすくなると推量される。そのため、最外無機層状化合物膜と最外ガスバリア膜との位置関係を規定することで、最外の金属アルミニウム膜の劣化抑制効果をより顕著に発揮することができるからである。
ガスバリア膜は、コーティング等による塗布膜であっても良く、蒸着膜であってもよい。
ガスバリア膜の厚みは、所望のガスバリア性能を発揮することが可能な大きさであれば特に限定されず、ガスバリア膜の種類に応じて適宜設定することができる。上記厚みとしては、例えば、5nm以上1000nm以下であることが好ましく、中でも10nm以上500nm以下であることが好ましい。
ガスバリア膜が複数回蒸着により形成される場合は、ガスバリア膜の厚みとは、複数回蒸着後の全体厚みをいう。
(2)無機層状化合物膜
ガスバリアフィルムは、ガスバリア膜の第1の主面側または第2の主面側に無機層状化合物膜を有することができる。
無機層状化合物膜は、ガスバリア膜の第1の主面に形成されていてもよく、ガスバリア膜の第2の主面側に樹脂基材を介して形成されていてもよい。無機層状化合物膜が、ガスバリア膜の第1の主面に形成される場合、無機層状化合物膜とガスバリア膜との間に接着剤層が介在されるものではない。なお、ここでの接着剤層には、アンカーコート等のコーティング層は含まれないものとする。
無機層状化合物膜は、通常、無機層状化合物とバインダー樹脂とを少なくとも含む。
(a)無機層状化合物
無機層状化合物とは、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を有している無機化合物をいう。つまり「層状化合物」とは、層状構造を有する化合物ないし物質をいう。また、「層状構造」とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス力等の弱い結合力によって平行に積み重なった構造をいう。
無機層状化合物としては、層状構造を有するものであればよく、例えば、グラファイト;リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物);カルコゲン化物;粘土鉱物等が挙げられる。中でも粘土鉱物が好ましい。
粘土鉱物として具体的には、含水ケイ酸塩等のフィロケイ酸塩鉱物;ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライトなどのカオリナイト族粘土鉱物;アンチゴライト、クリソタイルなどのアンチゴライト族粘土鉱物;モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなどのスメクタイト族粘土鉱物;バーミキュライトなどのバーミキュライト族粘土鉱物;白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等雲母又はマイカ族粘土鉱物;クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等の緑泥石族の粘土鉱物、またはこれらの置換体や誘導体が挙げられる。これらの粘土鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよく、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
本開示においては、中でもフィロケイ酸塩鉱物、およびスメクタイト族粘土鉱物が好ましく、特に好ましくは、スメクタイト族粘土鉱物に含まれるモンモリロナイト、およびヘクトライトである。
無機層状化合物の粒子の平均粒径は、50nm以上5μm以下であることが好ましく、中でも100nm以上4μm以下であることが好ましく、特に500nm以上3μm以下であることが好ましい。
無機層状化合物の粒子の平均粒径を上記の範囲とすることで、無機層状化合物膜の酸素バリア性能がより良好となるからである。無機層状化合物の粒子の粒径とは、温度25℃、水溶媒の条件で、超微粒子粒度分析計を用いて測定した動的光散乱法による光子相関法から求めた中心径(長径)とする。
無機層状化合物のアスペクト比は、50以上5000以下であることが好ましく、中でも200以上3000以下であることが好ましく、特に300以上2500以下であることが好ましい。
無機層状化合物のアスペクト比を上記の範囲とすることで、無機層状化合物膜の酸素バリア性能がより良好となるからである。無機層状化合物のアスペクト比は、無機層状化合物の粒子の平均粒径に対する平均面間隔(平均単位厚み)の比であり、下記式(1)で算出される。
Z=L/a … (1)
(上記式(1)中、Zはアスペクト比であり、Lは無機層状化合物の平均粒径であり、aは無機層状化合物の平均面間隔(平均単位厚み)である。)
無機層状化合物の平均粒径Lは、上述した方法により求めた値とする。また、無機層状化合物の面間隔(単位厚み)aは、例えば、X線回折装置を用いた無機層状化合物の粉末X線回折測定により求められる値である。なお、無機層状化合物とバインダー樹脂とを含む組成物の粉末X線回折測定から、無機層状化合物の面間隔が広がっている部分があることを確認することができる。
(b)バインダー樹脂
バインダー樹脂としては、特に限定されないが、中でも水素結合性基またはイオン性基を有する樹脂が好ましい。
水素結合性基とは、炭素以外の原子(ヘテロ原子)に直接結合した水素を少なくとも1個有する基をいい、例えば水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基などが挙げられる。
イオン性基とは、水中において水分子の水和が可能な程度に局在化した「正または負」の少なくとも一方の電荷を有する基をいい、例えばカルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
バインダー樹脂として具体的には、ポリビニルアルコール(PVA);エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH);ポリアクリロニトリル(PAN);ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサン、セルロース、プルラン、キトサン等の多糖類;ポリアクリル酸またはその塩;ポリベンゼンスルホン酸またはその塩;ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリグリセリン等が挙げられる。本開示においては、中でもポリビニルアルコール、ポリアクリル酸が好ましい。
(c)その他
無機層状化合物膜は、無機層状化合物の体積が多い程、酸素バリア性能が向上する。一方、バインダー樹脂の体積が多い程、耐屈曲性が向上する。よって、無機層状化合物とバインダー樹脂との体積比(無機層状化合物/樹脂)としては、5/95〜90/10であることが好ましく、中でも5/95〜50/50の範囲であることがより好ましい。
無機層状化合物とバインダー樹脂との体積比を上記の範囲とすることで、酸素バリア性能および耐屈曲性に優れた無機層状化合物膜とすることができるからである。
無機層状化合物膜の厚みは、1μm以下であることが好ましく、中でも50nm以上500nm以下であることが好ましく、特に100nm以上300nm以下であることが好ましい。
無機層状化合物膜の厚みを上記範囲とすることで、十分な酸素バリア性能を発揮することが可能となり、また、無機層状化合物膜の硬度を比較的小さくすることができるため、真空断熱材用外包材が屈曲応力を受ける場合であっても、無機層状化合物膜内における無機層状化合物の層状構造を維持することができるからである。
(3)樹脂基材
ガスバリアフィルムは、ガスバリア膜の第2の主面に形成された樹脂基材を有することができる。樹脂基材が、ガスバリア膜の第2の主面に形成される場合、樹脂基材とガスバリア膜との間に接着剤層が介在されるものではない。なお、ここでの接着剤層には、アンカーコート等のコーティング層は含まれないものとする。
樹脂基材としては、ガスバリア膜および無機層状化合物膜を支持することが可能なものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム;ポリスチレンフィルム;ナイロン等のポリアミドフィルム;ポリイミドフィルム;ポリウレタンフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリ(メタ)アクリルフィルム;エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム;セルロースフィルムやトリアセチルセルロース等のセルロースフィルム;ポリビニルアルコール(PVA)フィルム等が挙げられる。
本開示においては、中でも寸法安定性が良好な点からポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。これは、比較的融点が高いことから高温条件でも安定な寸法安定性を維持することができるからである。
樹脂基材には、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等の任意の添加剤が含まれていてもよい。
樹脂基材の厚みは、所望の強度を有することが可能であれば、特に限定されないが、例えば2μm以上400μm以下とすることができる。
(4)その他
本開示の真空断熱材用外包材におけるガスバリアフィルムは、少なくとも1つが、上記ガスバリア膜の第1の主面側または第2の主面側に無機層状化合物膜をさらに有する無機層状化合物膜付きガスバリアフィルムである。真空断熱材用外包材が2つ以上のガスバリアフィルムを有する場合、すべてのガスバリアフィルムが、無機層状化合物膜付きガスバリアフィルムであってもよく、無機層状化合物膜付きガスバリアフィルムを1つ以上と、無機層状化合物膜を有さないガスバリアフィルムを1つ以上と、を有していてもよい。
2.熱溶着可能なフィルム
本開示の真空断熱材用外包材における熱溶着可能なフィルムは、真空断熱材用外包材の厚み方向の一方の最外に位置し、一方の最表面を担う部材である。上記熱溶着可能なフィルムは、真空断熱材用外包材を用いて真空断熱材を作製する際に芯材と接し、また、芯材を封止する際に、芯材を介して対向する一対の真空断熱材用外包材の周縁同士を熱溶着により接合する部材である。
熱溶着可能なフィルムとしては、加熱により溶融し、融着することが可能な樹脂フィルムを用いることができる。このような樹脂フィルムとしては、例えば直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレンや未延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステルフィルム、エチレンービニアルアルコール共重合体フィルム(EVOH)、ポリ酢酸ビニルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ(メタ)アクリルフィルム、ウレタンフィルム等が挙げられる。
熱溶着可能なフィルムは、接合したときに所望の接着力を得ることが可能な厚みを有すことが好ましく、上記厚みとしては、例えば15μm以上100μm以下とすることができ、好ましくは25μm以上90μm以下、より好ましくは30μm以上80μm以下である。
3.任意の構成
本開示の真空断熱材用外包材は、厚み方向の一方の最外に熱溶着可能なフィルムを有するが、他方の最外に保護フィルムを有することができる。保護フィルムを有することで、真空断熱材用外包材の厚み方向の他方の最表面を担うことができ、保護フィルム以外の構成部材を損傷や劣化から保護することができる。保護フィルムとしては、熱溶着可能なフィルムよりも高融点を示す汎用の樹脂フィルムを用いることができ、例えばナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚みは特に限定されず、適宜設定することができる。
本開示の真空断熱材用外包材は、例えば熱溶着可能なフィルムとガスバリアフィルムとの間、2つのガスバリアフィルムの間、ガスバリアフィルムと保護フィルムとの間等に接着剤層をすることができる。接着剤層の材料としては、従来公知の感圧性接着剤、熱可塑性接着剤、硬化性接着剤等を用いることができる。
4.その他
本開示の真空断熱材用外包材は、上述した熱溶着可能なフィルムおよび1つ以上のガスバリアフィルムを有し、上記ガスバリアフィルムの少なくとも1つが無機層状化合物膜付きガスバリアフィルムであり、真空断熱材用外包材の厚み方向における、最外無機層状化合物膜が、最外ガスバリア膜よりも熱溶着可能なフィルム側にある積層構成を有すればよく、真空断熱材用外包材のガスバリア性能に応じて積層構成を適宜設計することができる。
例えば真空断熱材用外包材が1つのガスバリアフィルムを有する場合、その積層構成としては、例えば、図1で示した積層構成とすることができる。なお、図示しないが、図1で示した積層構成においては、任意部材としてガスバリアフィルムの熱溶着可能なフィルム側とは反対側に保護フィルムをさらに有していてもよい。
また、真空断熱材用外包材が2つ以上のガスバリアフィルムを有する場合、真空断熱材用外包材の厚み方向における、熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある無機層状化合物膜(最外無機層状化合物膜)が、熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にあるガスバリア膜(最外ガスバリア膜)よりも熱溶着可能なフィルム側にあればよく、最外無機層状化合物膜および最外ガスバリア膜以外の無機層状化合物膜およびガスバリア膜の位置関係については、適宜設定することができる。
中でも、ガスバリアフィルムを2つ以上有し、真空断熱材用外包材の厚み方向における、熱溶着可能なフィルムから最も近い位置にあるガスバリア膜が、熱溶着可能なフィルムから最も近い位置にある無機層状化合物膜よりも熱溶着可能なフィルム側にあることが好ましい。なお、真空断熱材用外包材の厚み方向における、熱溶着可能なフィルムから最も近い位置にあるガスバリア膜および無機層状化合物膜のことを、それぞれ最内ガスバリア膜および最内無機層状化合物膜とする場合がある。
最内ガスバリア膜が最内無機層状化合物膜よりも熱溶着可能なフィルム側にある位置関係とすることで、熱溶着可能なフィルムの第1の主面側において、真空断熱材用外包材に含まれるすべての無機層状化合物膜が最外ガスバリア膜および最内ガスバリア膜により挟まれた構造となる。このような構造とすることで、例えば真空断熱材用外包材が熱や屈曲処理を受けたときに生じる最内無機層状化合物膜の動きを制限し、最内無機層状化合物膜の層状構造の崩れや厚みの変動を抑制することができ、無機層状化合物膜により発揮される酸素バリア性能の経時劣化を抑制することができる。
真空断熱材用外包材が2つ以上のガスバリアフィルムを有する場合の積層構成としては、例えば図2で例示するように、熱溶着可能なフィルム12と、熱溶着可能なフィルム12の第1の主面12a側に位置し、熱溶着可能なフィルム12側から第1ガスバリアフィルム11Aと、第2ガスバリアフィルム11Bと、をこの順に有し、第1ガスバリアフィルム11Aおよび第2ガスバリアフィルム11Bがそれぞれ、ガスバリア膜2Aおよび2B、ガスバリア膜2Aおよび2Bの第1の主面2aに直接形成された無機層状化合物3Aおよび3B、ならびにガスバリア膜2Aおよび2Bの第2の主面2bに直接形成された樹脂基材1Aおよび1Bを有する無機層状化合物膜付きガスバリアフィルムである積層構成が挙げられる。第1ガスバリアフィルム11Aおよび熱溶着可能なフィルム12の間、ならびに第1ガスバリアフィルム11Aおよび第2ガスバリアフィルム11Bの間には、それぞれ接着剤層13が介在している。ここで、図2に例示する積層構成において、最外無機層状化合物膜とは、第2ガスバリアフィルム11Bの無機層状化合物膜3Bを指し、最外ガスバリア膜とは、第2ガスバリアフィルム11Bのガスバリア膜2Bを指す。よって、図2に例示する積層構成においては、第2ガスバリアフィルム11Bの無機層状化合物膜3Bが、第2ガスバリアフィルム11Bのガスバリア膜2Bよりも熱溶着可能なフィルム12側となる。
図2に例示する積層構成において、最内無機層状化合物膜とは、第1ガスバリアフィルム11Aの無機層状化合物膜3Aを指し、最内ガスバリア膜とは、第1ガスバリアフィルム11Aのガスバリア膜2Aを指す。よって、第1ガスバリアフィルム11Aのガスバリア膜2Aが、第1ガスバリアフィルム11Aの無機層状化合物膜3Aよりも熱溶着可能なフィルム12側にあることが好ましい。なお、図示しないが、図2に例示する積層構成においては、任意部材として第2ガスバリアフィルムの熱溶着可能なフィルム側とは反対側に、保護フィルムをさらに有していてもよい。
また、真空断熱材用外包材が2つ以上のガスバリアフィルムを有する場合の積層構成の別の例として、例えば図3で示すように、熱溶着可能なフィルム12と、熱溶着可能なフィルム12の第1の主面12a側に位置し、熱溶着可能なフィルム12側から第1ガスバリアフィルム11Aと、第2ガスバリアフィルム11Bと、をこの順に有し、第1ガスバリアフィルム11Aが、ガスバリア膜2Aと、ガスバリア膜2Aの第2の主面2bに直接形成された樹脂基材1Aとを有し、第2ガスバリアフィルム11Bが、ガスバリア膜2Bと、ガスバリア膜2Bの第1の主面2aに直接形成された無機層状化合物膜3Bと、ガスバリア膜2Bの第2の主面2bに直接形成された樹脂基材1Bと、を有する無機層状化合物膜付きガスバリアフィルムである積層構成が挙げられる。ここで、図3に例示する積層構成において、最外無機層状化合物膜とは、第2ガスバリアフィルム11Bの無機層状化合物膜3Bを指し、最外ガスバリア膜とは、第2ガスバリアフィルム11Bのガスバリア膜2Bを指す。よって、図3に例示する積層構成においては、第2ガスバリアフィルム11Bの無機層状化合物膜3Bが、第2ガスバリアフィルム11Bのガスバリア膜2Bよりも熱溶着可能なフィルム12側となる。
図3に例示する積層構成において、真空断熱材用外包材に含まれる無機層状化合物膜は1つである。このため、第2ガスバリアフィルム11Bの無機層状化合物膜3Bは、最内無機層状化合物膜でもある。一方、最内ガスバリア膜とは、第1ガスバリアフィルム11Aのガスバリア膜2Aを指す。よって、第1ガスバリアフィルム11Aのガスバリア膜2Aが、第2ガスバリアフィルム11Bの無機層状化合物膜3Bよりも熱溶着可能なフィルム12側にあることが好ましい。なお、図示しないが、図3に例示する積層構成においては、任意部材として第2ガスバリアフィルムの熱溶着可能なフィルム側とは反対側に、保護フィルムをさらに有していてもよい。
また、真空断熱材用外包材が2つ以上のガスバリアフィルムを有する場合の積層構成の別の例として、例えば図4で示すように、熱溶着可能なフィルム12と、熱溶着可能なフィルム12の第1の主面12a側に位置し、熱溶着可能なフィルム12側から第1ガスバリアフィルム11Aと、第2ガスバリアフィルム11Bと、をこの順に有し、第1ガスバリアフィルム11Aが、ガスバリア膜2Aと、ガスバリア膜2Aの第1の主面2aに直接形成された無機層状化合物膜3Aと、ガスバリア膜2Aの第2の主面2bに直接形成された樹脂基材1Aと、を有する無機層状化合物膜付きガスバリアフィルムであり、第2ガスバリアフィルム11Bが、ガスバリア膜2Bと、ガスバリア膜2Bの第2の主面2bに直接形成された樹脂基材1Bとを有する積層構成が挙げられる。ここで、図4に例示する積層構成において、最外無機層状化合物膜とは、第1ガスバリアフィルム11Aの無機層状化合物膜3Aを指し、最外ガスバリア膜とは、第2ガスバリアフィルム11Bのガスバリア膜2Bを指す。よって、図4に例示する積層構成においては、第1ガスバリアフィルム11Aの無機層状化合物膜3Aが、第2ガスバリアフィルム11Bのガスバリア膜2Bよりも熱溶着可能なフィルム12側となる。
図4に例示する積層構成において、真空断熱材用外包材に含まれる無機層状化合物膜は1つである。このため、第1ガスバリアフィルム11Aの無機層状化合物膜3Aは、最内無機層状化合物膜でもある。一方、最内ガスバリア膜とは、第1ガスバリアフィルム11Aのガスバリア膜2Aを指す。よって、第1ガスバリアフィルム11Aのガスバリア膜2Aが、第1ガスバリアフィルム11Aの無機層状化合物膜3Aよりも熱溶着可能なフィルム12側にあることが好ましい。なお、図示しないが、図4に例示する積層構成においては、任意部材として第2ガスバリアフィルムの熱溶着可能なフィルム側とは反対側に、保護フィルムをさらに有していてもよい。
また、真空断熱材用外包材が2つ以上のガスバリアフィルムを有する場合の積層構成の別の例として、例えば図5で示すように、熱溶着可能なフィルム12と、熱溶着可能なフィルム12の第1の主面12a側に位置し、熱溶着可能なフィルム12側から第1ガスバリアフィルム11Aと、第2ガスバリアフィルム11Bと、第3ガスバリアフィルム11Cと、をこの順に有し、第1ガスバリアフィルム11A、第2ガスバリアフィルム11Bおよび第3ガスバリアフィルム11Cがそれぞれ、ガスバリア膜2A、2Bおよび2Cと、ガスバリア膜2A、2Bおよび2Cの第1の主面2aに直接形成された無機層状化合物膜3A、3Bおよび3Cと、ガスバリア膜2A、2Bおよび2Cの第2の主面2bに直接形成された樹脂基材1A、1Bおよび1Cとを有する無機層状化合物膜付きガスバリアフィルムである積層構成が挙げられる。ここで、図5に例示する積層構成において、最外無機層状化合物膜とは、第3ガスバリアフィルム11Cの無機層状化合物膜3Cを指し、最外ガスバリア膜とは、第3ガスバリアフィルム11Cのガスバリア膜2Cを指す。よって、図5に例示する積層構成においては、第3ガスバリアフィルム11Cの無機層状化合物膜3Cが、第3ガスバリアフィルム11Cのガスバリア膜2Cよりも熱溶着可能なフィルム12側となる。
図5に例示する積層構成において、最内無機層状化合物膜とは、第1ガスバリアフィルム11Aの無機層状化合物膜3Aを指し、最内ガスバリア膜とは、第1ガスバリアフィルム11Aのガスバリア膜2Aを指す。よって、第1ガスバリアフィルム11Aのガスバリア膜2Aが、第1ガスバリアフィルム11Aの無機層状化合物膜3Aよりも熱溶着可能なフィルム12側にあることが好ましい。
図5に例示する積層構成において、第2ガスバリアフィルム11Bは、無機層状化合物膜3Bがガスバリア膜2Bよりも熱溶着可能なフィルム12側となるように配置されているが、これに限定されず、例えば、ガスバリア膜2Bが無機層状化合物膜3Bよりも熱溶着可能なフィルム12側となるように配置されていてもよい。なお、図示しないが、図5に例示する積層構成においては、任意部材として第3ガスバリアフィルムの熱溶着可能なフィルム側とは反対側に、保護フィルムをさらに有していてもよい。
真空断熱材用外包材が2つ以上のガスバリアフィルムを有する場合の積層構成は、図2〜図5に例示したものに限定されず、適宜設計することができる。
本開示の真空断熱材用外包材は、水蒸気透過度が低いほど好ましく、例えば、0.1g/(m・day)以下であることが好ましく、中でも0.05g/(m・day)以下、特に0.01g/(m・day)以下であることが好ましい。上記水蒸気透過度の値は、本開示の真空断熱材用外包材の初期水蒸気透過度とすることができる。
真空断熱材用外包材の水蒸気透過度は、ISO 15106−5:2015(差圧法)に準拠して、水蒸気透過度測定装置を用いて、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定した値とする。測定は、まず、所望のサイズに切り取った真空断熱材用外包材のサンプルを、厚み方向(積層方向)において対向する最表面のうち熱溶着可能なフィルムとは反対側の最表面が高湿度側(水蒸気供給側)となるようにして、上記装置の上室と下室との間に装着し、透過面積約50cm(透過領域:直径8cmの円形)として温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定を行う。水蒸気透過度測定装置は、例えば、英国Technolox社製の「DELTAPERM」を用いることができる。水蒸気透過度の測定は、1つの真空断熱材用外包材につき、少なくとも3つのサンプルに対して行い、それらの測定値の平均をその条件での水蒸気透過度の値とする。
また、本開示の真空断熱材用外包材は、酸素透過度が低いほど好ましく、例えば、0.1cc/(m・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.05cc/(m・day・atm)以下であることがより好ましい。上記酸素透過度の値は、本開示の真空断熱材用外包材の初期酸素透過度とすることができる。
真空断熱材用外包材の酸素透過度は、JIS K7126−2:2006(プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第2部:等圧法、付属書A:電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法)を参考に、酸素ガス透過度測定装置を用いて、温度23℃、湿度60%RHの条件で測定した値とする。上記測定は、キャリアガスを流量10cc/分で60分以上供給してパージしたのち、試験ガス(少なくとも99.5%の乾燥酸素)を流し、流し始めてから平衡状態に達するまでの時間として12時間を確保した後、透過面積約50cm(透過領域:直径8cmの円形)、キャリアガスおよび試験ガスの状態を温度23℃、湿度60%RHの条件に調整して行う。酸素ガス透過度測定装置としては、例えば、米国MOCON社製の「OXTRAN」を用いることができる。酸素透過度の測定は、1つの真空断熱材用外包材につき、少なくとも3つのサンプルに対して行い、それらの測定値の平均をその条件での酸素透過度の値とする。
本開示の真空断熱材用外包材の厚みは、特に限定されず、例えば30μm以上、好ましくは50μm以上とすることができ、また、上記厚みは200μm以下、好ましくは150μm以下とすることができる。
5.製造方法
本開示の真空断熱材用外包材の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを予め成膜し、接着剤層を介して貼り合せるドライラミネーション法や、ガスバリアフィルムの一方の面に直接または接着剤層を介して、熱溶着可能なフィルムを押出形成する方法等が挙げられる。
6.用途
本開示の真空断熱材用外包材は、真空断熱材において、芯材を覆う外包材として用いることができる。真空断熱材用外包材は、真空断熱材において、熱溶着可能なフィルム側の最表面が芯材側となるようにして芯材を介して対向して配置され、周縁が熱溶着により接合されて用いられる。
II.真空断熱材
本開示の真空断熱材は、芯材および上記芯材を封入する外包材を有するものであって、上記外包材は、熱溶着可能なフィルムと、上記熱溶着可能なフィルムの第1の主面側に位置し、金属または無機化合物からなるガスバリア膜を少なくとも有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を含み、上記ガスバリアフィルムの少なくとも1つは、上記ガスバリア膜の第1の主面側または第2の主面側に無機層状化合物膜をさらに有し、上記外包材の厚み方向における、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある上記無機層状化合物膜が、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある上記ガスバリア膜よりも上記熱溶着可能なフィルム側にある。
図6(a)は、本開示の真空断熱材の一例を示す概略斜視図であり、図6(b)は図6(a)のX−X線断面図である。なお、図6(a)、(b)において、外包材10の積層構成については図示を省略する。図6(a)、(b)に例示する真空断熱材20は、芯材21と、芯材21を封入する外包材10と、を有し、芯材21を介して対向する一対の外包材10の周縁が接合されてなるシール端部22を有する。符号22aはシール端部22の端面を示す。
本開示の真空断熱材によれば、芯材を封入する外包材が、上記「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材であるため、高湿環境下での外包材のガスバリア性能の早期劣化が抑制され、長期間高断熱性能を発揮することができる。
以下、本開示の真空断熱材の詳細について説明する。
1.外包材
本開示の真空断熱材における外包材は、芯材を封入する部材であり、芯材側から熱溶着可能なフィルム、ガスバリアフィルムの順となるように配置される。外包材については、上記「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材と同様であるため、ここでの説明は省略する。
中でも、本開示の真空断熱材における外包材は、ガスバリアフィルムを2つ以上有し、外包材の厚み方向における、熱溶着可能なフィルムから最も近い位置にあるガスバリア膜が、熱溶着可能なフィルムから最も近い位置にある無機層状化合物膜よりも熱溶着可能なフィルム側にあることが好ましい。その理由については、上記「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した理由と同様である。
2.芯材
本開示の真空断熱材における芯材は、外包材により封入される部材である。なお、封入される(する)とは、外包材を用いて形成された袋体の内部に密封される(する)ことをいう。
芯材の材料は、熱伝導率が低いことが好ましく、無機材料であってもよく、有機材料であってもよく、有機材料と無機材料との混合物であってもよい。芯材の材料として具体的には、粉粒体、発泡樹脂、繊維等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
3.その他
本開示の真空断熱材は、外包材で形成された袋体の中に芯材が封入され、密閉された内部が減圧されて真空状態となっている。真空断熱材の内部の真空度は、例えば5Pa以下であることが好ましい。内部に残存する空気の対流による熱伝導を低くすることができ、優れた断熱性を発揮することが可能となるからである。
本開示の真空断熱材は、熱伝導率が低い程好ましい。熱を外部に伝導しにくくなり、高い断熱効果を奏することができるからである。本開示の真空断熱材の熱伝導率としては、例えば5mW/(m・K)以下であることが好ましく、中でも4mW/(m・K)以下であることがより好ましく、3mW/(m・K)以下であることがさらに好ましい。熱伝導率は、JIS A1412−2:1999に準拠し、高温側30℃、低温側10℃、平均温度20℃の条件で測定した値とすることができ、測定には熱伝導率測定装置として例えばオートラムダHC−074(英弘精機社製)を用いることができる。
4.製造方法
本開示の真空断熱材の製造方法は、上記「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材を用いる方法であれば特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、上記「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材を2枚準備し、それぞれの熱溶着可能なフィルム同士を向き合わせて重ね、三辺の外縁を熱溶着により接合(ヒートシール)し、一辺が開口する袋体を得る。この袋体に、開口から芯材を入れた後、上記開口から空気を吸引し、袋体の内部が減圧された状態で開口を熱溶着により接合して封止することで真空断熱材を得ることができる。
III.真空断熱材付き物品
本開示の真空断熱材付き物品は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備えるものであって、上記真空断熱材は、芯材および上記芯材を封入する外包材を有し、上記外包材は、熱溶着可能なフィルムと、上記熱溶着可能なフィルムの第1の主面側に位置し、金属または無機化合物からなるガスバリア膜を少なくとも有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を含み、上記ガスバリアフィルムの少なくとも1つは、上記ガスバリア膜の第1の主面側または第2の主面側に無機層状化合物膜をさらに有し、上記外包材の厚み方向における、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある上記無機層状化合物膜が、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある上記ガスバリア膜よりも上記熱溶着可能なフィルム側にある。
本開示の真空断熱材付き物品によれば、物品に備わる真空断熱材を構成する外包材が、上記「I.真空断熱材用外包材」の項で説明したものであるため、高湿環境下での外包材のガスバリア性能の早期劣化が抑制され、真空断熱材が高湿環境下において長期間良好な断熱性能を発揮することができる。このような真空断熱材を備えることで、物品や該物品が用いられる対象物の省エネルギー化を達成することができる。
以下、本開示の真空断熱材付き物品の詳細について説明する。なお、本開示の真空断熱材付き物品における真空断熱材、および上記真空断熱材に用いられる外包材については、上記「II.真空断熱材」および「I.真空断熱材用外包材」の項で詳細に説明したため、ここでの説明は省略する。
本開示の真空断熱材付き物品における物品は、熱絶縁領域を有する。ここで上記熱絶縁領域とは、真空断熱材により熱絶縁された領域であり、例えば、保温や保冷された領域、熱源や冷却源を取り囲んでいる領域、熱源や冷却源から隔離されている領域である。これらの領域は、空間であっても物体であってもよい。上記物品として、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、保温器、保冷器等の電気機器、保温容器、保冷容器、輸送容器、コンテナ、貯蔵容器等の容器、車両、航空機、船舶等の乗り物、家屋、倉庫等の建築物、壁材、床材等の建築資材等が挙げられる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示して、本開示をさらに具体的に説明する。
[準備]
真空断熱材用外包材の作製に用いたフィルムの詳細を以下に示す。
・PET12:厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製「E5120」)
・ON15:厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ製「エンブレムONBC」)
・LLDPE50:厚み50μmの直鎖上低密度ポリエチレンフィルム(三井化学東セロ株式会社製「T.U.X(登録商標) HC−E」)
・SiO蒸着PET12:PET12の片面にシリカ蒸着膜(SiO膜)が直接形成されたフィルム(大日本印刷株式会社製「IBPET−UB」)
・Al蒸着PET12:PET12の片面に酸化アルミニウム蒸着膜(Al膜)が直接形成されたフィルム(大日本印刷株式会社製「IBPET−PXB」)
[ガスバリアフィルムAの作製]
連続式真空蒸着機(APPLIED MATERIALS社製 TopMet)の巻き出し装置に、樹脂基材としてPET12をセットし、1.0×10−1Pa未満に減圧した真空蒸着機内で抵抗加熱部にアルミワイヤをフィードして溶融し、気化した金属アルミニウムを走行速度300m/minで走行するPET12の片面に付着堆積させて1回蒸着を行った。アルミワイヤを溶融する際の抵抗加熱部への供給電力値(蒸着ボード電力値)は、8.0kW〜9.0kWの範囲とした。これにより、PET12の片面に金属アルミニウム膜(Al膜)が直接形成されたガスバリアフィルムAを得た。
[ガスバリアフィルムBの作製]
まず、PVA(ポリビニルアルコール)の顆粒(日本酢ビ・ポバール(株)製:JF−04、ケン化度98〜99%、平均重合度400)をイオン交換水に溶解し、20質量%のポリビニルアルコール水溶液を得た。この水溶液にモンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製:クニピアF)を固形質量中10質量%になるように添加し、攪拌して無機層状化合物含有コート溶液を調製した。
次に、上記無機層状化合物含有コート溶液を、上記ガスバリアフィルムAのAl膜上にグラビアコート法によりコーティングし、次いで120℃、140℃および150℃で各20秒間加熱処理することにより、上記ガスバリアフィルムAのAl膜上に無機層状化合物膜を直接形成し、無機層状化合物膜、Al膜、およびPET12をこの順に有するガスバリアフィルムBを作製した。
[ガスバリアフィルムC]
SiO蒸着PET12をガスバリアフィルムCとした。
[ガスバリアフィルムD]
Al蒸着PET12をガスバリアフィルムDとした。
[ガスバリアフィルムE]
ガスバリアフィルムCのSiO膜上に、ガスバリアフィルムBと同様に無機層状化合物膜を直接形成し、無機層状化合物膜、SiO膜、およびPET12をこの順に有するガスバリアフィルムEを作製した。
[実施例1〜7、比較例1〜2、参考例1]
下記表1に示す積層構成を有する真空断熱材用外包材を得た。表1中のガスバリアフィルムの[ ]内は、ガスバリアフィルムを構成する部材の積層順を示す。また、表1中の「/」は直接積層された界面を示し、「//」は接着剤層を介して積層された界面を示す。接着剤層は、ポリエステルポリオールを主成分とする主剤(ロックペイント社製 製品名:RU−77T)、脂肪族系ポリイソシアネートを含む硬化剤(ロックペイント社製 製品名:H−7)、および酢酸エチルの溶剤が、重量配合比が主剤:硬化剤:溶剤=10:1:14となるように混合された2液硬化型の接着剤を用い、貼合させる2つの構成部材のうち一方の構成部材の面に上記接着剤を塗布量3.5g/mとなるように塗布して形成し、他方の構成部材で接着剤層を間に挟んで加圧した。
得られた真空断熱材用外包材(寸法:360mm×450mm)を2枚準備し、熱溶着可能なフィルム同士が向き合う様にして2枚重ねて、四辺形の三辺をヒートシールして一辺のみが開口した袋体を作製した。芯材として290mm×300mm×30mmのグラスウールを用い、乾燥処理を行った後、袋体に、芯材および乾燥剤として5gの酸化カルシウムを収納して、袋体内部を排気した。その後、袋体の開口部分をヒートシールにより密封して真空断熱材を得た。到達圧力は0.05Paとした。
[評価1]
得られた真空断熱材について、温度100℃、湿度無管理の雰囲気で保持後の熱伝導率を経時で測定した。測定は、JIS A1412−2:1999(熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法))に準拠して、熱伝導率測定装置(オートラムダHC−074、英弘精機社製)を用い、真空断熱材の主面が上下方向を向くように配置して下記の条件で行った。少なくとも3つのサンプルを用いて測定し、それらの測定値の平均を、その真空断熱材の熱伝導率とした。
(熱伝導率の測定条件)
・試験の定常に要する時間:15分以上
・標準板:EPS
・高温面の温度:30℃
・低温面の温度:10℃
・測定試料の平均温度:20℃
評価1の結果を下記表2に示す。また、実施例1〜4、比較例1〜2、参考例1の真空断熱材の、温度100℃、湿度無管理の雰囲気での熱伝導率の経時変化を図7に示す。
[評価2]
得られた真空断熱材について、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気で保持後の熱伝導率を経時で測定した。測定方法および測定条件は、評価1と同様とした。評価2の結果を下記表3に示す。また、実施例1〜4、比較例1〜2、参考例1の真空断熱材の、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気での熱伝導率の経時変化を図8に示す。
評価1および評価2、ならびに図7および図8の結果から、温度100℃、湿度無管理の雰囲気では、実施例1〜4の真空断熱材も、比較例1〜2の真空断熱材も、熱伝導率の経時変化に大きな差が見られなかったが、温度40℃、湿度90%RH雰囲気(高湿環境)では、比較例1〜2の真空断熱材は、実施例1〜4の真空断熱材よりも早い段階で熱伝導率の上昇が確認された。このことから、比較例1〜2の真空断熱材用外包材は、高湿環境にてガスバリア性能が早期に劣化したと考えられる。実施例1〜4の真空断熱材用外包材は、最外無機層状化合物膜が最外Al膜よりも熱溶着可能なフィルム側であったのに対し、比較例1〜2の真空断熱材用外包材は、最外Al膜が最外無機層状化合物膜よりも熱溶着可能なフィルム側であった。以上より、Al膜上に無機層状化合物膜を有するガスバリアフィルムを1つ以上含む真空断熱材用外包材は、厚み方向における、最外無機層状化合物膜が、最外Al膜よりも熱溶着可能なフィルム側となるように配置することで、高湿環境下でのガスバリア性能の早期劣化を抑制することが可能であることが示唆された。
1、1A、1B、1C … 樹脂基材
2、2A、2B、2C … ガスバリア膜
2a … ガスバリア膜の第1の主面
2b … ガスバリア膜の第2の主面
3、3A、3B、3C … 無機層状化合物膜
10 … 真空断熱材用外包材
11、11A、11B、11C … ガスバリアフィルム
12 … 熱溶着可能なフィルム
12a … 熱溶着可能なフィルムの第1の主面
20 … 真空断熱材
21 … 芯材
22 … シール端部

Claims (6)

  1. 熱溶着可能なフィルムと、前記熱溶着可能なフィルムの第1の主面側に位置し、金属または無機化合物からなるガスバリア膜を少なくとも有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を含む真空断熱材用外包材であって、
    前記ガスバリアフィルムの少なくとも1つは、前記ガスバリア膜の第1の主面側または第2の主面側に無機層状化合物膜をさらに有し、
    前記真空断熱材用外包材の厚み方向における、前記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある前記無機層状化合物膜が、前記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある前記ガスバリア膜よりも前記熱溶着可能なフィルム側にある、真空断熱材用外包材。
  2. 前記ガスバリアフィルムを2つ以上有し、
    前記真空断熱材用外包材の厚み方向における、前記熱溶着可能なフィルムから最も近い位置にある前記ガスバリア膜が、前記熱溶着可能なフィルムから最も近い位置にある前記無機層状化合物膜よりも前記熱溶着可能なフィルム側にある、請求項1に記載の真空断熱材用外包材。
  3. 芯材および前記芯材を封入する外包材を有する真空断熱材であって、
    前記外包材は、熱溶着可能なフィルムと、前記熱溶着可能なフィルムの第1の主面側に位置し、金属または無機化合物からなるガスバリア膜を少なくとも有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を含み、
    前記ガスバリアフィルムの少なくとも1つは、前記ガスバリア膜の第1の主面側または第2の主面側に無機層状化合物膜をさらに有し、
    前記外包材の厚み方向における、前記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある前記無機層状化合物膜が、前記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある前記ガスバリア膜よりも前記熱溶着可能なフィルム側にある、真空断熱材。
  4. 前記ガスバリアフィルムを2つ以上有し、
    前記外包材の厚み方向における、前記熱溶着可能なフィルムから最も近い位置にある前記ガスバリア膜が、前記熱溶着可能なフィルムから最も近い位置にある前記無機層状化合物膜よりも前記熱溶着可能なフィルム側にある、請求項3に記載の真空断熱材。
  5. 熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、
    前記真空断熱材は、芯材および前記芯材を封入する外包材を有し、
    前記外包材は、熱溶着可能なフィルムと、前記熱溶着可能なフィルムの第1の主面側に位置し、金属または無機化合物からなるガスバリア膜を少なくとも有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を含み、
    前記ガスバリアフィルムの少なくとも1つは、前記ガスバリア膜の第1の主面側または第2の主面側に無機層状化合物膜をさらに有し、
    前記外包材の厚み方向における、前記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある前記無機層状化合物膜が、前記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にある前記ガスバリア膜よりも前記熱溶着可能なフィルム側にある、真空断熱材付き物品。
  6. 前記ガスバリアフィルムを2つ以上有し、
    前記外包材の厚み方向における、前記熱溶着可能なフィルムから最も近い位置にある前記ガスバリア膜が、前記熱溶着可能なフィルムから最も近い位置にある前記無機層状化合物膜よりも前記熱溶着可能なフィルム側にある、請求項5に記載の真空断熱材付き物品。
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